(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 5/02 20060101AFI20240228BHJP
B66B 13/26 20060101ALN20240228BHJP
B66B 3/00 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
B66B5/02 X
B66B13/26 H
B66B3/00 L
(21)【出願番号】P 2022158137
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207826
【氏名又は名称】尾畑 誠治
(74)【代理人】
【識別番号】100228407
【氏名又は名称】大野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】野坂 茂行
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-104983(JP,A)
【文献】特開2007-168962(JP,A)
【文献】特開2016-037374(JP,A)
【文献】特開2006-188334(JP,A)
【文献】特開2011-026013(JP,A)
【文献】特開平08-192978(JP,A)
【文献】特開平10-279219(JP,A)
【文献】特開2010-089843(JP,A)
【文献】特開平10-265154(JP,A)
【文献】特開2005-119761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごと、
前記乗りかごに設けられた乗降口と、
前記乗降口を開閉するかごドアと、
前記かごドアの開閉を制御するかごドア駆動制御部と、
前記乗りかごへの乗客の出入りを検知する乗客出入確認手段と、
前記かごドアの戸当り側に設けられ、前記乗降口を通過する乗客の有無を検知する非接触
式物体検知手段と、
前記非接触式物体検知手段の故障判定を行う故障判定部とを有し、
前記乗客出入確認手段により前記乗りかごに乗客の出入りがあったと検知されたにも関わ
らず、前記非接触式物体検知手段が乗客の通過を検知しないときは、前記故障判定部が、
前記非接触式物体検知手段が故障していると判定し、
前記かごドア駆動制御部が、前記非接触式物体検知手段が故障していると判定されないと
きの戸閉速度より低速の戸閉速度で前記かごドアを戸閉
し、
前記かごドア駆動制御部が、前記非接触式物体検知手段が故障していると判定されないと
きの戸開速度と同じ戸開速度で前記かごドアを戸開する
エレベータ。
【請求項2】
前記エレベータは、前記かごドアに
前記かごドアの戸当り側に設けられ、前記乗降口を通過する乗客の有無を検知する機械式物体検知手段が設けられず、前記非接触式物体
検知手段のみが設けられる
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記エレベータは、出力部を有し、
前記故障判定部が、前記非接触式物体検知手段が故障していると判定したときは、前記出
力部は、前記エレベータを監視する監視部へ故障情報を出力する
請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記乗客出入確認手段は、前記乗りかごに乗車する乗客の荷重を検出する荷重検出器であ
る
請求項1又は2に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごドアに非接触式物体検知手段を有するエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、かごドア戸当り部先端に、戸閉時に乗客が挟まれたことを検知し、反転戸開させる物体検知手段が設けられている。物体検知手段は、乗客がかごドアに挟まれたことを接触して検知する機械式物体検知手段と、非接触で乗客がかごドアに挟まれる前に乗客を検知する非接触式物体検知手段とがある。機械式物体検知手段は、例えば、乗客や台車などに接触することによって所定の方向に移動する検出体を備える。この検出体は、一般に、セーフティシューと呼ばれる。セーフティシューは、かごドアの上下方向に沿って長い長尺状の部材として構成される。このセーフティシューは、閉動作中は、かごドアの閉方向における端部から突出するように構成されている。そして、戸閉中に乗客や台車などに接触したときに、セーフティシューは、所定の方向に移動して、ドアの閉方向における端部からドアの内側に退避するように構成されている。機械式物体検知手段は、ドアの閉動作中に、セーフティシューが移動することによって作動可能なスイッチを備える。機械式物体検知手段は、かごドアの戸閉動作中に、セーフティシューが異物に接触して押し込まれ、スイッチが作動することによって、異物の存在を検出できる。エレベータは、機械式物体検知手段が異物の存在を検出したときに、かごドアを戸閉動作から戸開動作へと反転させる。なお、非接触式物体検知手段の例については後述する。
【0003】
物体検知手段は、機械式物体検知手段のみを設置、非接触式物体検知手段のみを設置、及び、機械式物体検知手段と非接触式物体検知手段の両方が設置される場合がある。
【0004】
ところで、非接触式物体検知手段が設置されたエレベータにおいて、非接触式物体検知手段が故障することがある。この場合、乗降口に乗客がいるにも関わらず、反転戸開されずにかごドアが通常の開閉速度で戸閉され、乗降口の乗客をかごドアが挟み、乗客が不快に感じることがある。非接触式物体検知手段と共に機械式物体検知手段が設けられている場合であっても、非接触式物体検知手段が故障した場合、機械式物体検知手段は乗客を挟んだ後で、反転戸開するものであるため、乗降口の乗客をかごドアが挟むと、乗客が不快に感じるおそれがある。
【0005】
そこで、非接触式物体検知手段の検知結果と、かご乗降口を上下方向にセンシングして異物の有無を判定する上下方向ドアセンサ及び乗降口を撮影した撮像情報を解析して異物の有無を判定する撮像判定ドアセンサの検知結果とが異なる場合に、非接触式物体検知手段が故障している可能性があると診断する技術が知られている(特許文献1)。
【0006】
そして、特許文献1の技術においては、非接触式物体検知手段が故障している可能性があると診断した場合、非接触式物体検知手段による異物の有無の判定結果に応じたかごドアの開閉制御を中止し、機械式物体検知手段によるかごドアの開閉制御を継続してエレベータを運行すると共に、監視センターに非接触式物体検知手段が故障していることを発報し、保守員に報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非接触式物体検知手段が故障している場合において、機械式物体検知手段が併設されていた場合であっても、機械式物体検知手段は乗客を挟んだ後に反転戸開するため、乗客が不快に感じるおそれがある。また、機械式物体検知手段が併設されず非接触式物体検知手段のみが設置されたエレベータにおいては、乗客を挟んでも反転戸開せず、乗客が不快と感じる可能性が高くなる。
【0009】
そこで、課題は、非接触式物体検知手段が故障している場合において、エレベータの運行を継続しても、乗客が不快と感じる可能性を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るエレベータは、エレベータの乗りかごと、乗りかごに設けられた乗降口と、乗降口を開閉するかごドアと、かごドアの開閉を制御するかごドア駆動制御部と、乗りかごへの乗客の出入りを検知する乗客出入確認手段と、かごドアの戸当り側に設けられ、乗降口を通過する乗客の有無を検知する非接触式物体検知手段と、非接触式物体検知手段の故障判定を行う故障判定部とを有し、乗客出入確認手段により乗りかごに乗客の出入りがあったと検知されたにも関わらず、非接触式物体検知手段が乗客の通過を検知しないときは、故障判定部が、非接触式物体検知手段が故障していると判定し、かごドア駆動制御部が、非接触式物体検知手段が故障していると判定されないときの戸閉速度より低速の戸閉速度で前記かごドアを戸閉し、
前記かごドア駆動制御部が、前記非接触式物体検知手段が故障していると判定されないとし、
前記かごドア駆動制御部が、前記非接触式物体検知手段が故障していると判定されないと
きの戸開速度と同じ戸開速度で前記かごドアを戸開する。
【0011】
また、本発明に係るエレベータは、かごドアにかごドアの戸当り側に設けられ、乗降口を通過する乗客の有無を検知する機械式物体検知手段が設けられず、非接触式物体検知手段のみが設けられてもよい。
【0012】
また、本発明に係るエレベータは、出力部を有し、故障判定部が、非接触式物体検知手段が故障していると判定したときは、出力部は、エレベータを監視する監視部へ故障情報を出力してもよい。
【0013】
また、本発明に係るエレベータは、乗客出入確認手段は、乗りかごに乗車する乗客の荷重を検出する荷重検出器であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るエレベータによれば、非接触式物体検知手段が故障している場合において、エレベータの運行を継続しても、乗客がかごドアに挟まれ難くすることで、乗客が不快と感じる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態であるエレベータの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態であるエレベータの乗りかご内の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態である非接触式物体検知手段を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態であるエレベータのかごドア開閉装置の構成を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態であるエレベータの概略構成図である。
【
図6】本発明の一実施形態であるエレベータの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ1について、図面1~
図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。また、各図において、図中に示す「D1」はかご奥行方向である水平方向D1を示し、「D2」はかご間口方向を示す水平方向D2を示し、「D3」は水平方向D1、および水平方向D2に各々直交する上下方向D3を示すものとする。
【0017】
図1に示すように、エレベータ1は、昇降路X2の最上部に機械室X1を有するトラクション式エレベータである。機械室X1に設置された駆動部5の駆動シーブ6には、主ロープ4が掛けられており、この主ロープ4の一端部に乗りかご2が連結され、他端部に釣合錘3が連結されている。また、機械室X1には、エレベータ1の動作を制御する制御装置7が設けられている。
【0018】
駆動部5のモータ(図示せず)からの回転動力が、動力伝達機構(不図示)を介して駆動シーブ6に伝達され、駆動シーブ6が回転駆動されるとこれに伴って主ロープ4が走行し、主ロープ4に吊り下げられた乗りかご2が、ガイドレール(図示せず)に案内されて昇降路X2を上下方向D3に移動する。
【0019】
エレベータ1が設置された建物には、異なる階毎に乗場10A乃至10Cが設けられており、エレベータ1の運転中、乗りかご2は、現在、着床している階の乗場(
図1では、乗場10C)から、次の行先階の乗場(例えば、乗場10A)までの昇降移動を繰り返す。乗りかご2は、行先階の乗場に到着するとかごドア9及びかごドア9と係合した乗場ドア32を開き、乗客が乗降する。
【0020】
なお、本実施形態に係るエレベータ1は、駆動部5及び制御装置7を機械室X1の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室X1が備えられておらず、エレベータ1は、駆動部5及び制御装置7を昇降路X2の内部に配置する、という構成でもよい。
【0021】
また、本実施形態においては、主ロープ4の一端部が乗りかご2に固定され、主ロープ4の他端部が釣合錘3に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、主ロープ4の両端部がそれぞれ昇降路X2の上部に固定され、主ロープ4が乗りかご2のシーブ及び釣合錘3のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、主ロープ4が乗りかご2及び釣合錘3にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0022】
また、本実施形態に係るエレベータ1は、ロープ式の駆動方式である、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、油圧式の駆動方式である、という構成でもよく、また、リニアモータ式の駆動方式である、という構成でもよい。
【0023】
図2は、エレベータ1の乗りかご2内の構成を示す斜視図である。乗りかご2は、天井2A、乗降口11を閉塞するかごドア9,9、かごドア9,9の左右の袖壁2B,2B、側壁2C及び床2Dからなる。また、一方の袖壁2Bには、かご行先階登録装置30が設けられている。エレベータ1の利用者が、かご行先階登録装置30を操作することにより、乗りかご2の行先階が決定される。
【0024】
なお、かごドア9の枚数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、かごドア9は、2枚備えられていてもよい。また、各かごドア9の移動の方向は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、各かごドア9は、開閉時に反対方向に移動する、所謂、センターオープンタイプとしてもよく、また、例えば、開閉時に同じ方向に移動する、所謂、片側オープンタイプとしてもよい。
【0025】
天井2Aには、乗客検知手段12であるカメラ装置12Bが設けられている。
【0026】
乗客検知手段12である荷重検出器12Aは床2Dの床下に設けられている。荷重検出器12Aは、ロードセル等既知のセンサであってもよい。また、荷重検出器12Aは、主ロープ4の乗りかご2との接続部で荷重を検出するものであってもよい。また、カメラ装置12Bは撮影した映像を既知の画像認識技術を使って、乗客の乗りかごへの出入りを判断してもよい。なお、乗客検知手段12は、荷重検出器12A及びカメラ装置12Bのうち、少なくとも1つ設けれていればよい。
【0027】
図3は、かごドア9及びかごドア9の戸当り側先端に設けられた非接触式物体検知手段13を説明する図である。一対のかごドア9の上端には、かごドア9を開閉案内するための、かごドアハンガー14が設けられ、各かごドアハンガー14の上端には、一対のハンガーローラ15がそれぞれ設けられている。
【0028】
非接触式物体検知手段13は、一方のかごドア9の戸当り側先端に設けれた非接触式物体検知手段13の発光体から、他方のかごドア9の戸当り側先端に設けられた非接触式物体検知手段13の受光体へビームBが照射される。一対のかごドア9間に物体が存在した場合、発光体からのビームBの一部が遮光され、受光体でビームBを検知できなくなることから、一対のかごドア9間に物体が存在することを検知する。
図3において非接触式物体検知手段13は透過型の赤外線光電センサである。
【0029】
なお、非接触式物体検知手段13は反射型の赤外線光電センサであってもよい。また、
図3の物体検知手段13はカーテン状にビームBを照射する所謂マルチビーム赤外線式ドアセンサであるが、かごドア9の低中の高さ2ヶ所あるいは3ヶ所の所定高さに設けられた単光軸の赤外線光電センサであってもよい。
【0030】
図4は、かごドア開閉装置31を説明する図である。かごドア開閉装置31は、断面略L字状のフレーム16に各構成が取り付けられる。フレーム16は、水平方向D1に伸びた横フレーム16Aと、横フレーム16Aの一端から上下方向D3の下方に垂下した一辺からなる縦フレーム16Bからなり、横フレーム16A及び縦フレーム16Bに各構成が取り付けられる。横フレーム16Aには、かごドア駆動部18が設けられている。かごドア駆動部18は、水平方向D1に沿った方向に軸を有する図示しないモータを備え、当該モータの軸と同軸のかごドア駆動シーブ18Aを有する。
【0031】
縦フレーム16Bには、かごドアハンガー14のハンガーローラ15が転動して案内されるドアレール17が水平方向D2に沿って設けられている。また、縦フレーム16Bには、水平方向D1に沿った方向に軸を有し、かごドア駆動シーブ18Aとの間に掛け渡された減速ベルト20によって、かごドア駆動部18の駆動力を受けるかごドア駆動シーブ18Aより径が大きい減速シーブ19が設けられている。減速シーブ19と同軸に減速シーブ19より径が小さい可動シーブ19Aが設けられ、可動シーブ19Aと水平方向D2に離れて水平方向D1に沿った方向に軸を有する可動シーブ19Aと同一径の従動シーブ21が設けられている。可動シーブ19Aと従動シーブ21の間には、無端状のかごドア駆動ベルト22が掛け渡されている。
【0032】
可動シーブ19Aと従動シーブ21の間に掛け渡されたかごドア駆動ベルト22は、可動シーブ19Aと従動シーブ21より上側の上側かごドア駆動ベルト22Aと可動シーブ19Aと従動シーブ21より下側の下側かごドア駆動ベルト22Bとからなる。上側かごドア駆動ベルト22Aは、一方のかごドアハンガー14とブラケット24を介して接続され、下側かごドア駆動ベルト22Bは、他方のかごドアハンガー14とブラケット23を介して接続される。
【0033】
図4において、かごドア駆動部18のモータが時計周りに回転すると、上側かごドア駆動ベルト22Aが
図4右側に移動し、下側かごドア駆動ベルト22Bが
図4左側に移動してかごドア9が開く。また、かごドア駆動部18のモータが反時計周りに回転すると、上側かごドア駆動ベルト22Aが
図4左側に移動し、下側かごドア駆動ベルト22Bが
図4右側に移動してかごドア9が閉まる。
【0034】
図5に示すように、制御装置7は、例えば、実施形態のように、各情報(データ)を取得する取得部26と、各情報を記憶する記憶部27と、各情報を演算する演算部28と、駆動部5及びかごドア駆動部18を制御する制御部29及び前記演算部28で行われた演算(判定)の結果をエレベータの外部へ出力する出力部25を備えていてもよい。
【0035】
制御装置7は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、制御装置7の各部25、26、27、28、29は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0036】
なお、制御装置7は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば演算部28、制御部29)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部26、記憶部27)、各種インターフェイス(例えば、取得部26)等を備えるコンピュータである。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウエア及びハードウエアが協働することによって、制御装置7の各部25、26、27,28,29が実現されている。
【0037】
演算部28は、例えば、本実施形態のように、乗客出入確認手段12からの信号に基づいて、乗客の出入りがあるか否かを判定する乗客出入判定部28aと、非接触式物体検知手段13からの信号に基づいて、乗客の出入りがあるか否かを判定する物体検知判定部28bと、乗客出入判定部28aの判定結果と非接触式物体検知判定部28bとを比較して、非接触式物体検知手段13の故障の有無を判定する故障判定部28cとを備えていてもよい。
【0038】
制御部29は、例えば、本実施形態のように、駆動部5を制御して、乗りかご2を昇降させる駆動制御部29bと、かごドア駆動部18を制御して、かごドア9を開閉させるかごドア駆動制御部29aとを備えていてもよい。
【0039】
かごドア駆動制御部29aは、例えば、故障判定部28cで非接触式物体検知手段13が故障したと判定した場合、かごドア9の戸閉速度を、非接触式物体検知手段13が故障していると判断されないときの戸閉速度より低速の戸閉速度へ変更してかごドア駆動部18を駆動する。なお、この場合、戸開速度は、通常の戸開速度であってもよく、また、低速の戸開速度であってもよい。
【0040】
本実施形態に係るエレベータ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータ1において、非接触式物体検知手段13が故障したと判定した場合の戸閉について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0041】
図6に示すように、エレベータ1のかごドア9が戸閉を開始する(S1)。
【0042】
次に、乗客出入確認手段12がエレベータかご2への乗客の出入りを検知し(S2のYES)、さらに非接触式物体検知手段13が乗客の通過を検知しない場合(S3のNO)、故障判定部28cは、非接触式物体検知手段13を故障と判定する(S4)。
【0043】
この場合、かごドア駆動制御部29aは、かごドア駆動部18を非接触式物体検知手段13が故障していると判断されないときの戸閉速度より低速の戸閉速度でかごドア9を戸閉するように制御する(S5)。
【0044】
さらに制御装置7の出力部25は、エレベータ1を監視する監視部33へ非接触式物体検知手段13が故障したとの故障情報を出力し(S6)、一連の制御を終了する。
【0045】
なお、監視部33は、エレベータ1が設置される建物の中にある管理室に設置されてもよく、建物外の遠隔監視が行われる監視センターに設けれらてもよい。
【0046】
以上より、本実施形態に係るエレベータ1は、エレベータ1の乗りかご2と、乗りかご2に設けられた乗降口11と、乗降口11を開閉するかごドア9,9と、かごドア9,9の開閉を制御するかごドア駆動制御部29aと、乗りかご2への乗客の出入りを検知する乗客出入確認手段12と、かごドア9,9の戸当り側に設けられ、乗降口11を通過する乗客の有無を検知する非接触式物体検知手段13と、非接触式物体検知手段13の故障判定を行う故障判定部28cとを有し、乗客出入確認手段12により乗りかご2に乗客の出入りがあったと検知されたにも関わらず、非接触式物体検知手段13が乗客の通過を検知しないときは、故障判定部28cが、非接触式物体検知手段13が故障していると判定し、かごドア駆動制御部29aが、非接触式物体検知手段13が故障していると判定されないときの戸閉速度より低速の戸閉速度で前記かごドア9,9を戸閉する。
【0047】
斯かる構成によれば、非接触式物体検知手段13が故障している場合において、エレベータ1の運行を継続しても、戸閉速度が低速となっているため、乗客がかごドア9,9に挟まれ難く(接触し難く)なり、乗客が不快と感じる可能性を低減することができる。また、戸閉速度が低速になることによりエレベータ1の運行効率は落ちるが、エレベータ1を休止させることなく、乗客に不快と感じさせずに運行を継続することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るエレベータ1は、かごドア9,9に機械式物体検知手段が設けられず、非接触式物体検知手段13のみが設けられてもよい。
【0049】
斯かる構成によれば、例えば、非接触式物体検知手段13のみが設けられている場合において、非接触式物体検知手段13が故障したままで、エレベータ1の運行を継続すると、乗客がかごドア9,9に挟まれる可能性が高くなるが、本実施形態に係るエレベータ1は、戸閉速度が低速となっているため、乗客がかごドア9,9に挟まれ難く(接触し難く)なり、乗客が不快と感じる可能性を低減することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るエレベータ1は、出力部25を有し、故障判定部28cが、非接触式物体検知手段13が故障していると判定したときは、出力部25は、エレベータ1を監視する監視部33へ故障情報を出力してもよい。
【0051】
斯かる構成によれば、非接触式物体検知手段13が故障しているとの故障情報が、エレベータ1を監視する監視部33へ出力されるため、保守員を派遣し、修理、交換作業を迅速に行うことができる。
【0052】
また、本発明に係るエレベータ1は、乗客出入確認手段12は、乗りかご2に乗車する乗客の荷重を検出する荷重検出器12Aであってもよい。
【0053】
斯かる構成によれば、エレベータ1の駆動制御に通常使用される荷重検出器12Aを乗客出入確認手段12として使用するため、簡易な構成で乗客がかごドア9,9に挟まれ難く(接触し難く)なり、乗客が不快と感じる可能性を低減することができる。
【0054】
なお、本発明に係るエレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0055】
(1)上記実施形態に係るエレベータ1は、
図3に示すように非接触式物体検知手段13を所謂マルチビーム赤外線式ドアセンサとして説明したが、1台又は2台以上の単光軸の赤外線式ドアセンサであっても同様の効果を得ることができることは勿論である。
【0056】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ1は、機械室付エレベータとして説明したが、機械室無しエレベータであっても同様の効果を得ることができることは勿論である。
【0057】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ1のカメラ装置12Bは、天井2Aに設けられている。しかしながら、カメラ装置12Bは、袖壁12Bや側壁12Cに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…エレベータ、2…乗りかご、2A…天井、2B…袖壁、2C…側壁、2D …床、3…釣合錘、4…主ロープ、5…駆動部、6…駆動シーブ、7…制御装置、9…かごドア、10…乗場、11…乗降口、12…乗客出入確認手段、12A…荷重検出器、12B…カメラ装置、13…非接触式物体検知手段、14…かごドアハンガー、15…ハンガーローラ、16…フレーム、16A…横フレーム、16B…縦フレーム、17…ドアレール、18…かごドア駆動部、18A…かごドア駆動シーブ、19…減速シーブ、19A…可動シーブ、20…減速ベルト、21…従動シーブ、22…かごドア駆動ベルト、22A…上側かごドア駆動ベルト、22B…下側かごドア駆動ベルト、23,24…ブラケット、25…出力部、26…取得部、27…記憶部、28…演算部、28a…乗客出入判定部、28b…物体検知判定部、28c…故障判定部、29…制御部、29a…かごドア駆動制御部、29b…駆動制御部、30…かご行先階登録装置、31…かごドア開閉装置、32…乗場ドア、33…監視部、X1…機械室、X2…昇降路、B…ビーム
【要約】
【課題】非接触式物体検知手段が故障している場合において、エレベータの運行を継続しても、乗客が不快と感じる可能性を低減すること。
【解決手段】エレベータは、エレベータの乗りかごと、乗りかごに設けられた乗降口と、乗降口を開閉するかごドアと、かごドアの開閉を制御するかごドア駆動制御部と、乗りかごへの乗客の出入りを検知する乗客出入確認手段と、かごドアの戸当り側に設けられ、乗降口を通過する乗客の有無を検知する非接触式物体検知手段と、非接触式物体検知手段の故障判定を行う故障判定部とを有し、乗客出入確認手段により乗りかごに乗客の出入りがあったと検知されたにも関わらず、非接触式物体検知手段が乗客の通過を検知しないときは、故障判定部が、非接触式物体検知手段が故障していると判定し、かごドア駆動制御部が、非接触式物体検知手段が故障していると判定されないときの戸閉速度より低速の戸閉速度で前記かごドアを戸閉する。
【選択図】
図6