(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】第1の無線局、第2の無線局、無線端末、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0457 20230101AFI20240228BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20240228BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20240228BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20240228BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20240228BHJP
H04W 52/02 20090101ALN20240228BHJP
【FI】
H04W72/0457 110
H04W72/0446
H04W72/1268
H04W72/23
H04W92/20
H04W52/02 111
(21)【出願番号】P 2022186279
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2021074767の分割
【原出願日】2013-12-03
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2013033703
(32)【優先日】2013-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】二木 尚
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/138142(WO,A2)
【文献】特開2014-120940(JP,A)
【文献】特表2014-533900(JP,A)
【文献】特表2014-514840(JP,A)
【文献】NTT DOCOMO,Enhanced Cell Identification for Additional Carrier Type,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #68 R1-120398,[online],2012年01月31日,pages 1-4,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68/Docs/R1-120398.zip,[検索日 2018.01.22]
【文献】Ericsson, ST-Ericsson,"DRX with Carrier Aggregation",3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #68 R2-096751,[online],2009年11月02日,pages 1-5,[retrieved on 2024-01-16], Retrieved from <https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_68/Docs/R2-096751.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線局が提供する第1のセルと第2の無線局が提供する第2のセルとを使用したデュアルコネクティビティをサポートする手段と、
前記デュアルコネクティビティを実行するように構成された無線端末へ、第1の期間に関連する情報と第2の期間に関連する情報とを含む無線リソース制御(RRC)メッセージを送信する手段を有し、
前記第1の期間は前記第1のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、前記第2の期間は前記第2のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、
前記第1のセルにおいて前記第1の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を送信する送信手段を有する、
第1の無線局。
【請求項2】
前記第1の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示し、
前記第2の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示す、
請求項1に記載の第1の無線局。
【請求項3】
前記第1の期間に関連する情報と前記第2の無線局から送信された前記第2の期間に関連する情報とを含む前記RRCメッセージを前記無線端末へ送信する手段を有する、
請求項1に記載の第1の無線局。
【請求項4】
第1の無線局によって提供される第1のセルと、第2の無線局によって提供される第2のセルとを使用したデュアルコネクティビティを実行する手段と、
前記第1の無線局から、第1の期間に関連する情報と第2の期間に関連する情報とを含む無線リソース制御(RRC)メッセージを受信する手段を有し、
前記第1の期間は前記第1のセル内の無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、前記第2の期間は前記第2のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、
前記第1のセルにおいて前記第1の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を前記第1の無線局から受信する手段と、
前記第2のセルにおいて前記第2の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を前記第2の無線局から受信する手段を有する、
無線端末。
【請求項5】
前記第1の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示し、
前記第2の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示す、
請求項4に記載の無線端末。
【請求項6】
前記第1のセルで前記第1の期間を開始するように指示するための情報、及び、前記第2のセルで前記第2の期間を開始するように無線端末に指示するための情報のうちの少なくとも1つの情報を受信した場合、前記第1の期間に関連する情報、及び、前記第2の期間に関連する情報のうちの少なくとも1つの情報に基づき、送信する手段を有する、
請求項4に記載の無線端末。
【請求項7】
第1のセルを提供するように構成された第1の無線局における通信制御方法であって、
前記第1のセルと第2の無線局が提供する第2のセルとを使用したデュアルコネクティビティをサポートし、
前記デュアルコネクティビティを実行するように構成された無線端末に、第1の期間に関連する情報と第2の期間に関連する情報とを含む無線リソース制御(RRC)メッセージを送信し、
前記第1の期間は前記第1のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、前記第2の期間は前記第2のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、
前記第1のセルにおいて前記第1の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を送信する、
通信制御方法。
【請求項8】
前記第1の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示し、
前記第2の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示す、
請求項7に記載の通信制御方法。
【請求項9】
無線端末における通信制御方法であって、
第1の無線局によって提供される第1のセルと、第2の無線局によって提供される第2のセルとを使用したデュアルコネクティビティを実行し、
前記第1の無線局から、第1の期間に関連する情報と第2の期間に関連する情報とを含む無線リソース制御(RRC)メッセージを受信し、
前記第1の期間は前記第1のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、前記第2の期間は前記第2のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、
前記第1のセルにおいて前記第1の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を前記第1の無線局から受信し、
前記第2のセルにおいて前記第2の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を前記第2の無線局から受信する、
通信制御方法。
【請求項10】
前記第1の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示し、
前記第2の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示す、
請求項9に記載の通信制御方法。
【請求項11】
前記デュアルコネクティビティを実行することは、前記第1のセルで前記第1の期間を開始することを前記無線端末に指示する情報と、前記第2のセルで前記第2の期間を開始することを前記無線端末に指示する情報のうちの少なくとも1つの情報を前記無線端末が受信した場合、前記第1の期間に関連する情報、及び、前記第2の期間に関連する情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて送信動作を実行することを含む、
請求項9に記載の通信制御方法。
【請求項12】
第1の無線局が提供する第1のセルと、第2の無線局が提供する第2のセルとを使用するデュアルコネクティビティをサポートする手段と、
前記デュアルコネクティビティを実行するように構成された無線端末へ、前記第1の無線局を介して、第1の期間に関連する情報を送信する手段を有し、
前記第1の期間は、前記第2のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、
前記無線端末へ、前記第2のセルにおいて前記第1の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を送信する手段を有する、
第2の無線局。
【請求項13】
前記第1の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示す、
請求項12に記載の第2の無線局。
【請求項14】
第2のセルを提供する第2の無線局における通信制御方法であって、
第1のセルと前記第2のセルを使用するデュアルコネクティビティをサポートし、
前記デュアルコネクティビティを実行するように構成された無線端末へ、第1の無線局を介して、第1の期間に関連する情報を送信し、
前記第1の期間は、前記第2のセル内の前記無線端末による上りリンク信号の送信に関連し、
前記第2のセルにおいて前記第1の期間を開始するように前記無線端末に指示するための情報を前記無線端末へ送信する、
通信制御方法。
【請求項15】
前記第1の期間に関連する情報は、明示的又は暗示的に、(a)上りリンク信号の送信が禁止される期間、(b)上りリンク信号が送信される期間、(c)上りリンク信号の送信が許可される期間、のうち少なくとも1つを示す、
請求項14に記載の通信制御方法。
【請求項16】
前記デュアルコネクティビティを実行することは、前記第1のセルで前記第1の期間を開始することを前記無線端末に指示する情報と、前記第2のセルで第2の期間を開始することを前記無線端末に指示する情報のうちの少なくとも1つの情報を前記無線端末が受信した場合、前記第1の期間に関連する情報、及び、前記第2の期間に関連する情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて送信動作を実行することを含む、
請求項14に記載の通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線局と無線端末が複数のセルを利用して通信を行う無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモバイルトラフィックの急激な増大による通信品質の低下の改善、及びさらなる高速通信の実現のため、3GPP(登録商標) LTE(Long Term Evolution)では無線基地局(eNode B: eNB)と無線端末(User Equipment: UE)が複数のセルを使用して通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation: CA)機能の仕様化が行われている。なお、UEがCAで使用可能なセルは、1つのeNBの複数セル(つまり、eNBが運用する複数セル)に限定される。
【0003】
CAにおいてUEが使用するセルは、CAを開始する時点でサービングセルとして使用されているプライマリセル(Primary cell: PCell)と、追加的に又は従属的に使用されるセカンダリセル(Secondary cell: SCell)に分類される。SCellは、必要に応じてUEにおいて使用されたり、使用を中止されたりすることができる。なお、SCellの使用を開始することを、活性化する(activate)、又はアクティベーション(activation)と呼ぶ。同様に、SCellの使用を中止することを、非活性化する(deactivate)又はディアクティベーション(deactivation)と呼ぶ。PCellでは、無線接続の(再)確立(RRC Connection Establishment, RRC Connection Re-establishment)の際に、NASモビリティ情報(Non Access Stratum mobility information)やセキュリティ情報(security input)が送受信される(非特許文献1)。PCellに対応するDL (downlink) Carrierは、DL PCC (Primary Component Carrier)と呼ばれ、UL (uplink) CarrierはUL PCCと呼ばれる。同様に、SCellに対応するDL CarrierはDL SCC (Secondary Component Carrier)と呼ばれ、UL CarrierはUL SCCと呼ばれる。
【0004】
CAにおける下りリンクのデータ(DL data)送受信の動作を
図17を用いて説明する(非特許文献2)。ここでは、UEがeNBによって運用される第1のセル(Cell1)をPCellとして使用し、第2のセル(Cell2)をSCellとして使用することを想定する。ステップS1では、eNBがUEにSCell(つまり、Cell2)の設定情報を送信する(RRC Connection Reconfiguration (Scell configuration))。ステップS2では、eNBがUEにCell2のアクティベーション(Activation)の指示を送信する(Activation control element (activation of SCell))。ステップS3では、UEがSCellの使用を開始する(SCell activation)。ステップS4及びS5では、eNB及びUEは、PCell及びSCellを使用してDL dataを送受信する。
【0005】
ステップS6では、eNBは、UEのためにSCellを使用する必要が無いと判断し、SCellのディアクティベーション(Deactivation)の指示を送信する(Deactivation control element (deactivation of SCell))。ステップS7では、UEがCell2の使用を中断する(SCell deactivation)。ステップS8では、eNB及びUEは、PCellのみを使用してDL dataを送受信する。
【0006】
ステップS9では、eNBは、再びUEのためにSCellを使用する必要があると判断し、SCellの使用開始の指示を送信する(Activation control element (activation of SCell))。ステップS10では、UEがSCellの使用を開始する(SCell activation)。ステップS11及びS12では、eNB及びUEは、PCell及びSCellを使用してDL dataを送受信する。
【0007】
以上のように、eNBは、UEのデータ量(トラフィック量とも呼ぶ)に応じて、SCellを使用するか(活性化するか)否かを適応的に制御することができる。これにより、UE毎のスループットを向上しつつ、UEが不必要にSCellにおいて下りリンク制御信号(Physical Downlink Control Channel: PDCCH)を復号することによる消費電力の増加を回避することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】3GPP TS 36.300 V11.3.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 11)”, Section 7.5, September 2012
【文献】3GPP TS 36.321 V11.0.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Medium Access Control (MAC) protocol specification (Release 11)”, Section 6.1.3.8, September 2012
【文献】3GPP RWS-120046, Samsung Electronics, “Technologies for Rel-12 and Onwards”, 3GPP TSG RAN Workshop on Rel-12 and Onwards, Ljubljana, Slovenia, 11-12 June 2012
【文献】3GPP RWS-120010, NTT DOCOMO, “Requirements, Candidate Solutions & Technology Roadmap for LTE Rel-12 Onward”, 3GPP TSG RAN Workshop on Rel-12 and Onwards, Ljubljana, Slovenia, 11-12 June 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
さらに、異なる無線基地局(eNB)のセルを同時に使用する基地局間キャリアアグリゲーション(inter-eNB CA)の提案がある(非特許文献3及び4)。例えば、マクロ基地局(Macro eNB: MeNB)のセルをPCellとし、低電力基地局(Low Power Node: LPN)のセルをSCellとして同時に使用することができる。基地局間キャリアアグリゲーションでは、PCellとSCellでそれぞれ独立にベアラが設定され、UEとMeNB及びUEとLPNの間で通信が行われる。
【0010】
例えば、無線端末(UE)は、PCellにて音声通信(VoIP (Voice over IP)又はVoLTE (Voice over LTE)と呼ばれる)を実行し、SCellにてデータ通信(例えば、FTP)を実行する。一般的に、VoIPは通信頻度が低く、FTPのトラフィック量はユーザーアクティビティーに応じて増減する。このとき、通常の同一基地局の複数セルを使用するCAであれば、eNBは、FTPのトラフィック量に応じて、SCellのアクティベーション/ディアクティベーションを適応的に制御できる。しかしながら、PCellとSCellが異なるeNBによって管理される場合、PCellを管理するeNB(例えばMeNB)は、他のeNB(例えばLPN)のSCellにおいて提供されるFTPのトラフィック量に応じて、SCellのアクティベーション/ディアクティベーションを適応的に制御することが難しい。したがって、例えば、UEは、通信頻度の低いSCellにおいて不必要に下りリンク制御信号(PDCCH)を復号しなければならず、無駄に電力を消費してしまうおそれがある。このことは、PCellのリソーススケジューリングとSCellのリソーススケジューリングが異なる基地局によって独立に行われる場合に特に問題となるかもしれない。なぜなら、各無線基地局が独立にスケジューリングを行う場合、PCCのPDCCHをSCCでのデータ送信のスケジューリングのために使用すること(いわゆるcross-carrier scheduling)が難しい可能性があるためである。
【0011】
また、キャリアアグリゲーションでは、UEがPCellとの間にアクティブな接続を有していることを前提としてSCellがアクティベートされる。言い換えると、SCellは、UEがPCellに接続していることを条件として追加的に又は従属的にアクティベートされる。したがって、UEは、SCellをアクティベートしたままでPCellのみをディアクティベートすることができない。このため、UEは、PCellにおけるVoIPの通信頻度が低い場合であっても、PCellにおいて受信可能な状態又は送信可能な状態を維持しておかなければならない。
【0012】
本件発明の目的の1つは、異なる無線局によって運用される複数セルのキャリアアグリゲーションにおいて、無線端末(UE)の無駄な電力消費を抑制することに寄与する無線通信システム、無線局、無線端末、通信制御方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様では、無線通信システムは、第1のセルを運用する第1の無線局、第2のセルを運用する第2の無線局、及び前記第1のセル及び前記第2のセルを使用するキャリアアグリゲーションを行うことが可能な無線端末を含む。さらに、前記第1又は第2の無線局は、前記無線端末に制約情報を送信するよう構成されている。前記制約情報は、前記キャリアアグリゲーションが行われているときの前記第1のセル及び前記第2のセルの少なくとも一方に関する受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。前記受信制限は、前記第1のセル及び前記第2のセルの1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における下りリンク信号の受信に関する制限である。前記送信制限は、前記1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における上りリンク信号の送信に関する制限である。
【0014】
第2の態様では、第1のセルを運用する第1の無線局は、通信制御部を含む。前記通信制御部は、前記第1のセル及び第2の無線局によって運用される第2のセルを使用するキャリアアグリゲーションをサポートする。さらに、前記通信制御部は、前記キャリアアグリゲーションを行う無線端末に制約情報を送信する。前記制約情報は、前記キャリアアグリゲーションが行われているときの前記第1のセル及び前記第2のセルの少なくとも一方に関する受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。前記受信制限は、前記第1のセル及び前記第2のセルの1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における下りリンク信号の受信に関する制限である。前記送信制限は、前記1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における上りリンク信号の送信に関する制限である。
【0015】
第3の態様では、第2のセルを運用する第2の無線局は、通信制御部を含む。前記通信制御部は、第1の無線局によって運用される第1のセル及び前記第2のセルを使用するキャリアアグリゲーションをサポートする。さらに、前記通信制御部は、前記キャリアアグリゲーションを行う無線端末に制約情報を送信する。前記制約情報は、前記キャリアアグリゲーションが行われているときの前記第1のセル及び前記第2のセルの少なくとも一方に関する受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。前記受信制限は、前記第1のセル及び前記第2のセルの1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における下りリンク信号の受信に関する制限である。前記送信制限は、前記1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における上りリンク信号の送信に関する制限である。
【0016】
第4の態様では、無線端末は、第1の無線局によって運用される第1のセルを第1のセルとして使用し且つ第2の無線局によって運用される第2のセルを第2のセルとして使用するキャリアアグリゲーションをサポートする通信制御部を含む。さらに、前記通信制御部は、前記第1又は第2の無線局から制約情報を受信する。前記制約情報は、前記キャリアアグリゲーションが行われているときの前記第1のセル及び前記第2のセルの少なくとも一方に関する受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。前記受信制限は、前記第1のセル及び前記第2のセルの1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における下りリンク信号の受信に関する制限である。前記送信制限は、前記1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における上りリンク信号の送信に関する制限である。
【0017】
第5の態様では、第1のセルを運用する第1の無線局における通信制御方法は、キャリアアグリゲーションを行う無線端末に制約情報を送信することを含む。前記キャリアアグリゲーションは、前記第1のセルを及び第2の無線局によって運用される第2のセルを使用する。前記制約情報は、前記キャリアアグリゲーションが行われているときの前記第1のセル及び前記第2のセルの少なくとも一方に関する受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。前記受信制限は、前記第1のセル及び前記第2のセルの1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における下りリンク信号の受信に関する制限である。前記送信制限は、前記1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における上りリンク信号の送信に関する制限である。
【0018】
第6の態様では、第2のセルを運用する第2の無線局における通信制御方法は、キャリアアグリゲーションを行う無線端末に制約情報を送信することを含む。前記キャリアアグリゲーションは、第1の無線局によって運用される第1のセル及び前記第2のセルを使用する。前記制約情報は、前記キャリアアグリゲーションが行われているときの前記第1のセル及び前記第2のセルの少なくとも一方に関する受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。前記受信制限は、前記第1のセル及び前記第2のセルの1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における下りリンク信号の受信に関する制限である。前記送信制限は、前記1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における上りリンク信号の送信に関する制限である。
【0019】
第7の態様では、無線端末における通信制御方法は、第1の無線局によって運用される第1のセル及び第2の無線局によって運用される第2のセルを使用するキャリアアグリゲーションを行うこと、及び前記第1又は第2の無線局から制約情報を受信することを含む。前記制約情報は、前記キャリアアグリゲーションが行われているときの前記第1のセル及び前記第2のセルの少なくとも一方に関する受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。前記受信制限は、前記第1のセル及び前記第2のセルの1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における下りリンク信号の受信に関する制限である。前記送信制限は、前記1サブフレーム期間以上にわたる前記無線端末における上りリンク信号の送信に関する制限である。
【0020】
第8の態様では、プログラムは、上述した第5の態様に係る通信制御方法をコンピュータに行わせるための命令群を含む。
【0021】
第9の態様では、プログラムは、上述した第7の態様に係る通信制御方法をコンピュータに行わせるための命令群を含む。
【0022】
第10の態様では、プログラムは、上述した第7の態様に係る通信制御方法をコンピュータに行わせるための命令群を含む。
【発明の効果】
【0023】
上述した態様によれば、異なる無線局によって運用される複数セルのキャリアアグリゲーションにおいて、無線端末(UE)の無駄な電力消費を抑制することに寄与する無線通信システム、無線局、無線端末、通信制御方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る第1の無線局の構成例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る第2の無線局の構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る無線端末の構成例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例1)。
【
図6】第1の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例2)。
【
図7】第1の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例3)。
【
図8】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例4)。
【
図9】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例4の変形)。
【
図10】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例5)。
【
図11】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例6)。
【
図12】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例6の変形)。
【
図13A】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例7のオプション1)。
【
図13B】手順例7のオプション1における受信期間(ON期間)及び非受信期間(OFF期間)を示す図である。
【
図14A】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例7のオプション2)。
【
図14B】手順例7のオプション2における受信期間(ON期間)及び非受信期間(OFF期間)を示す図である。
【
図15A】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例7のオプション3)。
【
図15B】手順例7のオプション3における受信期間(ON期間)及び非受信期間(OFF期間)を示す図である。
【
図16】第2の実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の一例を示すシーケンス図である(手順例7のオプション1)。
【
図17】LTEのキャリアアグリゲーション手順を示すシーケンス図である(背景技術)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0026】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示している。本実施形態に係る無線通信システムは、第1の無線局1、第2の無線局2、及び無線端末3を含む。無線局1及び2は、コアネットワーク4に接続され、第1のセル10及び第2のセル20をそれぞれ運用する。無線局1及び2は、例えば、無線基地局、基地局制御局、又は無線基地局の一部の機能(プロトコルレイヤ)のみを有する簡易無線基地局である。無線端末3は、1つの無線局のセルを使用している間に他の無線局のセルも使用する機能を有する。言い換えると、無線端末3は、異なる無線局によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーション(またはセルアグリゲーション)をサポートする。尚、異なる無線局とは、独立した異なる無線局でもよいし、ある無線局とそれに従属する別の無線局でもよい。さらに、異なる無線局のそれぞれが、機能が異なる種類の無線局であってもよい。
【0027】
例えば、無線端末3は、第1のセル10における第1の無線接続を維持したまま、第2のセル20における第2の無線接続を確立することができる。これにより、無線端末3は、信号(例えば、ユーザーデータ又は制御情報)の送信又は受信のために複数のセル(例えば、セル10及び20)を同時に使用することができる。「複数のセルを同時に使用する」とは、実際に複数のセルで信号を同時に受信又は送信することに限定はされず、複数のセルの両方において信号を受信又は送信することが可能な状態になっているが実際にはいずれかのセルで信号を受信又は送信すること、複数のセルそれぞれで種類の異なる信号を受信又は送信すること、或いは、複数のセルそれぞれを信号の受信又は送信のいずれかに使用すること、などを含む。
【0028】
異なる無線局によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーションという観点から、異なる無線局によって運用される複数のセルを使用する機能は、無線局間キャリアアグリゲーションと呼ぶことができる。また、上述のような複数のセルの同時使用の観点から、異なる無線局によって運用される複数のセルを使用する機能は、デュアル接続(Dual Connection)、デュアル接続性(Dual Connectivity)、マルチ接続(Multi Connection)、マルチ接続性(Multi Connectivity)、などと呼ぶこともできる。
【0029】
無線端末3は、無線局1又は2に対して無線局間キャリアアグリゲーションを行う能力を有すること(つまり、無線局間キャリアアグリゲーションをサポートすること)を示す端末能力報告を行ってもよい。これに代えて、無線端末3は、無線端末3のカテゴリ又は装置リリース番号などにより無線局間キャリアアグリゲーションをサポートすることを暗に示してもよい。無線局間キャリアアグリゲーションの能力は、デュアル接続の能力、又はマルチ接続の能力、と呼ぶこともできる。
【0030】
図1は、ヘテロジーニアス・ネットワーク(Heterogeneous Network: HetNet)環境を示している。具体的に述べると、
図1に示された第1のセル10は、第2のセル20に比べて広いカバレッジを有する。また、
図1は、第1のセル10内に第2のセル20が配置された階層化セル構成を示している。しかしながら、
図1に示されたセル構成は一例に過ぎない。例えば、第1及び第2のセル10及び20は、同程度のカバレッジを有してもよい。言い換えると、本実施形態に係る無線通信システムは、ホモジーニアス・ネットワーク(Homogeneous Network)環境に適用されてもよい。
【0031】
続いて以下では、本実施形態の無線通信システムの動作についてさらに詳しく説明する。本実施形態の無線通信システムは、無線局間キャリアアグリゲーションが設定されている間に、無線端末3が第1のセル10及び第2のセル20の少なくとも一方において信号の送受信単位期間(例えば1サブフレーム)以上のインターバルで間欠的に受信又は送信を行えるようにする。無線局間キャリアアグリゲーションが設定されている間とは、言い換えると、無線端末3が第1のセル10を使用している間に、さらに第2のセル20を使用するよう指示されている期間である。また、無線局間キャリアアグリゲーションが設定されている間とは、無線端末が第1の無線局1の(少なくとも下りリンクの)コンポーネントキャリア(Component Carrier: CC)をプライマリ・コンポーネントキャリア(PCC)とし、第2の無線局2の(少なくとも下りリンクの)コンポーネントキャリア(CC)をセカンダリ・コンポーネントキャリア(SCC)としている間と言うこともできる。無線局間キャリアアグリゲーションが設定されている間は、無線端末3は、セル10及び20の両方においてアクティブな接続を有している状態である。
【0032】
無線局間キャリアアグリゲーションが設定されているときの無線端末3の間欠的な受信又は送信を可能とするために、本実施形態の無線通信システムは、以下のように動作する。すなわち、無線局1又は2は、無線端末3に制約情報(Constraint information)を送信する。制約情報は、無線局間キャリアアグリゲーションが行われているときの第1のセル10及び第2のセル20の少なくとも一方における受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。ここで、受信制限は、信号の送受信単位(例えば1サブフレーム)期間以上にわたる無線端末3における下りリンク信号の受信に関する制限であり、例えば無線端末3が所定期間(又はタイミング)で所定の下りリンク信号を受信又は復号しなくてもよいこと、又は所定期間(又はタイミング)で所定の下りリンク信号を受信又は復号すべきであること、などを含む。所定の下りリンク信号は、例えば、下りリンク制御チャネル(例えば、LTEのPDCCH)で送信される信号、ページングを送信するための信号、システム情報を送信するための信号、などである。送信制限は、信号の送受信単位(例えば、1サブフレーム)期間以上にわたる無線端末3における上りリンク信号の送信に関する制限であり、例えば無線端末3による上りリンク信号(例えば、LTEのPUSCH (Physical Uplink Shared Channel))の送信が所定期間(又はタイミング)に禁止されること、又は上りリンク信号の送信が所定期間(又はタイミング)に許可される可能性があること、などを含む。1サブフレーム期間とは、無線通信システムが準拠する通信規格(例えば、3GPP LTE)において規定されたTTI(Transmission Time Interval)を意味する。LTEの1サブフレーム期間は、1ミリ秒である。
【0033】
制約情報は、受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために、例えば以下の(a)~(h)のうち少なくとも1つを明示的又は暗示的に示してもよい。
(a)所定の下りリンク信号を受信すべき期間(又はタイミング)
(b)所定の下りリンク信号を復号すべき期間(又はタイミング)
(c)所定の下りリンク信号を受信しなくてもよい期間(又はタイミング)
(d)所定の下りリンク信号を復号しなくてもよい期間(又はタイミング)
(e)上りリンク信号の送信が禁止される期間(又はタイミング)
(f)上りリンク信号を送信してもよい期間(又はタイミング)
(g)上りリンク信号を送信する可能性がある期間(又はタイミング)
(h)上りリンク信号の送信が許可される可能性がある期間(又はタイミング)
これらの期間又はタイミングは、無線端末3の観点から表現されているが、無線局1及び2の観点からの表現に変換しても同義である。
【0034】
また、受信制限の例としては、上記(c)又は(d)を示す「受信ギャップ」を設定することが考えられる。或いは、上記(a)と(c)の組み合わせ、又は(b)と(d)の組み合わせで規定される「間欠受信(Discontinuous Reception: DRX)」を指示することも考えられる。尚、(a)又は(b)に相当する期間を「受信期間」、「受信On期間」(又は「On期間」)、または「Active期間」と呼び、(c)又は(d)に相当する期間を「非受信期間」、「受信Off期間」(又は「Off期間」)、または「Inactive期間」と呼ぶ。
【0035】
送信制限の例としては、上記(e)を示す「送信ギャップ」を設定することが考えられる。或いは、(e)と(f)~(h)のいずれかの組み合わせで規定される、つまり上りリンク信号の送信が許可されるタイミング(例えばサブフレーム)を絞りこむ「送信タイミングのマスキング(Masking)」を指示することも考えられる。さらに、(e)と(f)~(h)のいずれかの組み合わせで規定される「間欠送信(Discontinuous Transmission: DRX)」を指示することも考えられる。尚、(e)に相当する期間を「非送信期間」、「送信Off期間」(又は「Off期間」)、または「Inactive期間」と呼び、(f)、(g)、又は(h)に相当する期間を「送信期間」、「送信On期間」(又は「On期間」)、または「Active期間」と呼ぶ。
【0036】
さらに、制約情報は、受信制限と送信制限の少なくともいずれかを直接的に示してもよいし、暗に示してもよい。例えば、制約情報は、以下のうち少なくとも1つを含んでも良い。
(A)受信制限の適用の要求(又は指示)
(B)送信制限の適用の要求(又は指示)
(C)受信制限の内容
(D)送信制限の内容
(E)受信制限の制御パラメータ
(F)送信制限の制御パラメータ
【0037】
(A)は、例えば受信制限が何を指すかを予め無線局1及び2の間あるいは無線局1及び2と無線端末3の間で共有している、または仕様に規定されている場合に、当該受信制限を適用することを要求する際に用いられる。同様に、(B)は、例えば送信制限が何を指すかを予め無線局1及び2の間で共有している、または仕様に規定されている場合に、当該送信制限を適用することを要求する際に用いられる。
【0038】
(C)は、どのような受信制限を適用するかを示す情報であり、例えば「受信ギャップ」の設定か、又は「DRX」の指示か、などを示す。同様に(D)は、どのような送信制限を適用するかを示す情報であり、例えば「送信ギャップ」の設定か、又は「送信タイミングのマスキング」の指示か、などを示す。
【0039】
(E)は、受信制限において設定する制御パラメータを示す情報であり、例えば上述の(a)~(d)の少なくともいずれかを示す。同様に、(F)は、送信制限において設定する制御パラメータを示す情報であり、例えば上述の(e)~(h)の少なくともいずれかを示す。
【0040】
無線端末3は、例えば、以下のように動作してもよい。無線端末3は、無線局1又は2から制約情報を受信する。そして、無線端末3は、無線局間キャリアアグリゲーションにおいて、受信制限を考慮した受信動作、又は送信制限を考慮した送信動作を行う。例えば、無線端末3は、制約情報に含まれる受信制限に基づいて特定された第2のセルの受信制限に含まれる1又は複数のサブフレームにおいて、第2のセルのPDCCHの復号(つまりPDCCHブラインド・デコーディング)を停止してもよい。ここで、受信制限は、無線端末3が所定期間(又はタイミング)に所定の下りリンク信号を復号しなくてもよいことを意味する。また、無線端末3は、例えば、制約情報に含まれる送信制限に基づいて特定された第2のセルの送信制限に含まれる1又は複数のサブフレームにおいて、第2のセルに関する送信用の回路要素(例えば増幅器)の動作を停止してもよいし、送信用の回路要素を低電力動作に切り替えてもよい。ここで、送信制限は、無線端末3による上りリンク信号(例えば、LTEのPUSCH (Physical Uplink Shared Channel))の送信が所定期間(又はタイミング)に禁止されることを意味する。これにより、無線端末3は、無線局間キャリアアグリゲーションが行われているときに、制約情報に基づいて受信動作又は送信動作を休止することが可能となる。
【0041】
制約情報の対象となるセルは、第1のセル10及び第2のセル20の両方でもよいし、いずれか一方のみでもよい。例えば、無線端末3は、第1のセル10の受信制限又は送信制限(例えば、受信ギャップ、送信ギャップ、DRX、又は送信タイミングのマスキング)を用いて、第2のセル20の受信制限又は送信制限(例えば、受信ギャップ、送信ギャップ、受信期間、又は送信期)を求めてもよい。この場合、制約情報は、第2のセル20の受信制限又は送信制限を特定するために必要な情報要素として、第1のセル10に関する受信制限又は送信制限を示す情報要素を含んでいれば十分である。
【0042】
制約情報に基づく第2のセル20の受信制限(又は送信制限)は、第1のセル10の受信制限(又は送信制限)と独立に設定されてもよい。この方法の利点は、無線局1及び2において同じ無線端末3に対して実行されるサービス(つまり、データ送受信)の状況を考慮する必要がないことである。
【0043】
これに代えて、第2のセル20の受信制限(又は送信制限)は、第1のセル10の受信制限(又は送信制限)に依存して設定されてもよい。例えば、第2のセル20の受信ギャップ(又は送信ギャップ)は、第1のセル10の受信ギャップ(又は送信ギャップ)と少なくとも一部が重複しないように設定されてもよい。例えば、第1のセル10及び第2のセル20の受信ギャップは、第2のセル20における受信期間の先頭位置が第1のセル10における受信期間の先頭位置と重複しないように設定されてもよい。同様に、第1のセル10及び第2のセル20の送信ギャップは、第2のセル20における送信期間の先頭位置が第1のセル10における送信期間の先頭位置と重複しないように設定されてもよい。この方法の利点は、受信期間または送信期間の先頭に無線端末3が無線局1及び2からの下りリンク信号を同時に受信する必要が無い期間または無線局1及び2への上りリンク信号を同時に送信する必要が無い期間を設定し、できるだけ当該期間で下りリンクデータまたは上りリンクデータを送受信することで、無線端末3の負荷を軽減すると共に、データ送受信における遅延を抑えることができることである。
【0044】
また、例えば、第1のセル10及び第2のセル20の受信ギャップ(又は送信ギャップ)は、第1のセル10の受信期間(又は送信期間)と第2のセル20の受信期間(送信期間)が全く重複しないように決定されてもよい。この方法の利点は、無線端末3が無線局1及び2からの下りリンク信号を同時に受信する(又は異なる無線局への上りリンク信号を同時に送信する)ことを回避することで無線端末3における負荷を大幅に軽減することができることである。特に、無線端末3が異なる周波数帯域の複数セルを同時に使用している場合に、負荷を軽減することができる。なぜなら、異なる周波数帯域の複数セルを使用するには、周波数帯域毎のハードウェア(例えば無線周波数(RF)部)を無線端末3に搭載する構成が考えられるが、当該方法により複数のハードウェアが同時に動作する並列処理の大幅な低減が期待できる為である。
【0045】
また、例えば、第1のセル10の受信期間(又は送信期間)は、第2のセル20の受信期間(又は送信期間)に包含されるように決定されてもよい。これとは反対に、第2のセル20の受信期間(又は送信期間)は、第1のセル10の受信期間(又は送信期間)に包含されるように決定されてもよい。例えば、第1のセル10及び第2のセル20の受信ギャップ(又は送信ギャップ)は、第2のセル20における受信期間(又は送信期間)の先頭位置が第1のセル10における受信期間(又は送信期間)の先頭位置と重複するように設定されてもよい。この方法によれば、無線端末3が無線局1及び2からの下りリンクデータを受信(又は異なる無線局へ上りリンクデータを送信)することが可能な機会を重複して設定し、データ送受信における遅延を削減することが可能である一方で、無線局1及び2が同じ無線端末3に対するデータ送受信の状況をお互いに共有し、できるだけ無線局1及び2が同じ無線端末3とデータ送受信を同時に行うことを回避することも可能である。つまり、この方法は、無線局1及び2と無線端末3の間の通信に柔軟性を持たせることができ、データ送受信における遅延削減を優先するか又は無線端末における負荷軽減を優先するかをポリシーによって使いわけることができる。
【0046】
制約情報は、第1のセル10において第1の無線局1から無線端末3に送信されてもよいし、第2のセル20において第2の無線局2から無線端末3に送信されてもよい。例えば、第1の無線局1は、無線端末3及び第2の無線局2に制約情報を送信してもよい。また、第1の無線局1が制約情報を第2の無線局2を介して無線端末3に送信してもよい。このとき、第1の無線局1は第2の無線局2に当該制約情報を含むメッセージを送信するが、第2の無線局2は当該メッセージのコンテンツを知らなくてもよいし、知ることができるような構成にしてもよい。第2の無線局2は、第2のセル20において当該制約情報を無線端末3に送信する場合、制御情報として送信してもよいし、他の下りリンクデータと同様に送信してもよい。他の例において、第1の無線局1が無線端末3に制約情報を送信し、無線端末3が第2の無線局2に制約情報を転送してもよい。さらに、他の例において、第2の無線局2が第2のセル20に関する制約情報を第1の無線局1に送信し、第1の無線局1が無線端末3に制約情報を送信してもよい。第1の無線局1と第2の無線局2の間の制約情報の送信は、コアネットワーク4を介して行われてもよい。
【0047】
続いて以下では、本実施形態に係る無線局1及び2、並びに無線端末3の構成例について説明する。
図2は、第1の無線局1の構成例を示すブロック図である。無線通信部11は、無線端末3から送信された上りリンク信号(uplink signal)をアンテナを介して受信する。受信データ処理部13は、受信された上りリンク信号を復元する。得られた受信データは、通信部14を経由して他のネットワークノード、例えばコアネットワーク4のデータ中継装置若しくはモビリティ管理装置、又は他の無線局に転送される。例えば、無線端末3から受信された上りリンクユーザーデータは、上位ネットワークのデータ中継装置に転送される。また、無線端末3から受信された制御データのうち非アクセス層(Non-Access Stratum(NAS))の制御データは、上位ネットワークのモビリティ管理装置に転送される。さらに、受信データ処理部13は、無線局2に送信される制御データを通信制御部15から受信し、これを通信部14を経由して無線局2に送信する。
【0048】
送信データ処理部12は、無線端末3宛てユーザーデータを通信部14から取得し、誤り訂正符号化、レートマッチング、インタリービング等を行なってトランスポートチャネルを生成する。さらに、送信データ処理部12は、トランスポートチャネルのデータ系列に制御情報を付加して送信シンボル列を生成する。無線通信部11は、送信シンボル列に基づく搬送波変調、周波数変換、信号増幅等の各処理を行って下りリンク信号(downlink signal)を生成し、これを無線端末3に送信する。さらに、送信データ処理部12は、無線端末3に送信される制御データを通信制御部15から受信し、これを無線通信部11を経由して無線端末3に送信する。
【0049】
通信制御部15は、第1のセル10及び第2のセル20を使用する無線局間キャリアアグリゲーションを制御する。さらに、通信制御部15は、一例において、上述した制約情報を無線端末3に送信してもよい。
【0050】
図3は、第2の無線局2の構成例を示すブロック図である。
図3に示された無線通信部21、送信データ処理部22、受信データ処理部23、及び通信部24の機能及び動作は、
図2に示された無線局1の対応する要素、すなわち無線通信部11、送信データ処理部12、受信データ処理部13、及び通信部14と同様である。
【0051】
無線局2の通信制御部25は、第1のセル10及び第2のセル20を使用する無線局間キャリアアグリゲーションを制御する。さらに、通信制御部25は、一例において、上述した制約情報を無線端末3に送信してもよい。
【0052】
図4は、無線端末3の構成例を示すブロック図である。無線通信部31は、異なる無線局によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーションをサポートし、信号の送信又は受信のために複数のセル(例えば、セル10及び20)を同時に使用することができる。具体的には、無線通信部31は、アンテナを介して、無線局1若しくは無線局2又はこれら両方から下りリンク信号を受信する。受信データ処理部32は受信された下りリンク信号から受信データを復元してデータ制御部33に送る。データ制御部33は、受信データをその目的に応じて利用する。また、送信データ処理部34及び無線通信部31は、データ制御部33から供給される送信データを用いて上りリンク信号を生成し、無線局1若しくは無線局2又はこれら両方に向けて送信する。
【0053】
無線端末3の通信制御部35は、第1のセル10及び第2のセル20を使用する無線局間キャリアアグリゲーションを制御する。さらに、通信制御部35は、第1の無線局1又は第2の無線局2から制約情報を受信する。そして、通信制御部35は、無線局間キャリアアグリゲーションにおいて、制約情報に基づき特定される受信制限(又は送信制限)を考慮した受信動作(又は送信動作)を行う。
【0054】
続いて以下では、本実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の手順例1~3について説明する。
【0055】
(手順例1)
手順例1では、第1の無線局1は、上述の制約情報を無線端末3及び第2の無線局2に送信する。
図5は、手順例1に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。ステップS101及びS102では、第1の無線局1は、制約情報を無線端末3及び第2の無線局2に送信する。ステップS103では、第1の無線局1及び無線端末3は、制約情報に基づいて特定される受信制限(例えば、受信ギャップ)又は送信制限(例えば、送信ギャップ)に従って、第1のセル10において信号を送受信する。ステップS104では、第2の無線局2及び無線端末3は、制約情報に基づいて特定される受信制限(例えば、受信ギャップ)又は送信制限(例えば、送信ギャップ)に従って、第2のセル20において信号を送受信する。
【0056】
無線端末3に通知される制約情報は、例えば、第1のセル10において所定の下りリンク信号を受信すべき受信期間に関する情報と、第2のセル20において所定の下りリンク信号を受信すべき受信期間に関する情報を含んでもよい。無線端末3は、制約情報に基づき特定される受信期間においてのみ、第1のセル10及び第2のセル20での所定の下りリンク信号の受信を行えばよい。これにより、無線端末3が所定の下りリンク信号の不必要な受信動作(又は復号動作)を行うことを回避し、無駄な電力消費を抑制できる
【0057】
制約情報は、第1のセル10と第2のセル20のいずれか一方の受信制限(又は送信制限)を特定するために必要な情報のみを含んでもよい。例えば、第1の無線局1は、第1のセル10のみに関する制約情報を無線端末3及び第2の無線局2に送信してもよいし、第2のセル20のみに関する制約情報を無線端末3及び第2の無線局2に送信してもよい。
【0058】
また、第1の無線局1は、第2のセル20に関する制約情報を考慮して、第1のセル10での無線端末3に関する送信又は受信を行ってもよい。これとは反対に、第2の無線局2は、第1のセル10に関する制約情報を考慮して、第2のセル20での無線端末3に関する送信又は受信を行ってもよい。例えば、第1の無線局1は、第2のセル20における無線端末3の受信ギャップにおいて、無線端末3への下りリンク信号を第1のセル10にて送信してもよい。
【0059】
第1の無線局1から無線端末3に送信される制約情報は、第1の無線局1から第2の無線局2に送信される制約情報と同じ内容でもよいし異なる内容でもよい。例えば、第1の無線局1は、第1のセル10及び第2のセル20の両方に関する制約情報を無線端末3に送信し、第2のセル20のみに関する制約情報を第2の無線局2に送信してもよい。
【0060】
(手順例2)
手順例2では、第1の無線局1が上述の制約情報を無線端末3に送信し、無線端末3が第2の無線局2に制約情報を転送する。
図6は、手順例2に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。ステップS201では、第1の無線局1は、制約情報を無線端末3に送信する。ステップS202では、無線端末3は、制約情報を第2の無線局2に転送する。ステップS203及びS204における処理は、
図5のステップS103及びS104における処理と同様である。
【0061】
第1の無線局1から無線端末3に送信される制約情報は、第1及び第2のセル10及び20に関する制約情報を含んでもよい。一方、無線端末3から第2の無線局2に転送される制約情報は、少なくとも第2のセル20に関する制約情報を含んでいればよい。しかしながら、無線端末3から第2の無線局2に送信される制約情報は、第1の無線局1から無線端末3に送信される制約情報と同じ内容であってもよい。無線端末3は、第2のセル20に関する制約情報を自発的に第2の無線局2に送信してもよいし、第2の無線局2からの報告指示に応答して送信してもよい。
【0062】
(手順例3)
手順例3では、無線端末3への制約情報の通知が、第2の無線局2の要求に基づいて行われる。制約情報は、第1の無線局1又は第2の無線局2によって生成される。
図7は、手順例3に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。ステップS301では、第2の無線局2は、第2のセル20において無線端末3による信号の受信又は送信に制約を設定するための要求を第1の無線局1に送信する。このとき、第2の無線局2は、第2のセル20に関する制約情報を第1の無線局1に送信してもよい。
【0063】
ステップS302では、第1の無線局1は、第2のセル20に関する制約情報を認めるか否か、言い換えると第2のセルへの制約の適用を認めるか否か、を示す応答を第2の無線局2に送信する。ステップS301での要求受信時に第2の無線局2から制約情報を受信していない場合、第1の無線局1は、第2のセル20に関する制約情報を第2の無線局2に送信してもよい。第1の無線局1は、第2のセル20への制約の適用を認める場合、第2のセル20に関する制約情報を無線端末3に送信する(ステップS303)。ステップS304及びS305における処理は、
図5のステップS103及びS104における処理と同様である。
【0064】
ステップS302において、第1の無線局1は、無線端末3に対する第1のセル10に関する制約情報を第2の無線局2へ送信してもよい。同様に、ステップS303において、第1の無線局1は、第1のセル10に関する制約情報を無線端末3へ送信してもよい。
【0065】
第1の無線局1は、第2の無線局2から第2のセルに関する制約情報を受信した場合、当該制約情報をそのまま受け入れずに、新たに第2のセルに関する制約情報を生成(又は設定)し、第2の無線局2に送信してもよい。
【0066】
(手順例3の変形)
第1の無線局1は、第2のセル20に関する制約情報の生成(又は設定)を第2の無線局2に要求してもよい。この場合、第2の無線局2が第2のセル20に関する制約情報を第1の無線局1に送信し、第1の無線局1が当該制約情報を無線端末3へ送信してもよい。
【0067】
<第2の実施形態>
本実施形態では、上述した第1の実施形態を3GPP LTEシステムに適用する例について説明する。本実施形態に係る無線通信システムの構成例は、
図1と同様とすればよい。ただし、無線局1及び2はeNBに相当し、無線端末3はUEに相当し、コアネットワーク4はEPC(Evolved Packet Core)に相当する。無線局間(つまり、eNB間)の情報の送受信は、直接インタフェースであるX2インタフェースを用いてもよいし、EPCを経由するインタフェースであるS1インタフェースを用いてもよいし、或いは、新たに規定されるインタフェース(例えば、X3インタフェース)でもよい。無線端末(UE)3は、異なる無線局(eNB)によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーション(Inter-eNB CAまたはInter-Site CAと呼ぶ)をサポートする。なお、ここでの「Inter-eNB CA」とは、実際に異なるeNBのセルで信号を同時に受信又は送信することに限定はされず、異なるeNBのセルの両方において信号(例えば、ユーザーデータ又は制御情報)を受信又は送信することが可能な状態になっているが実際にはいずれかのeNBのセルで信号を受信又は送信すること、異なるeNBのセルそれぞれで種類の異なる信号を受信又は送信すること、或いは、異なるeNBのセルそれぞれを信号の受信又は送信のいずれかに使用すること、などを含む。
【0068】
以下では、無線局1及び2をeNB1及び2、無線端末3をUE3とし、コアネットワーク4をEPC4として説明する。さらに、UE3が、eNB1のセル10をプライマリセル(PCell)として使用している間に、eNB2のセル20をセカンダリセル(SCell)として使用する無線基地局間のキャリアアグリゲーション(Inter-eNB CA)を行うことを想定する。ここで、プライマリセル(PCell)は、CAを開始する前に既にサービングセルとして使用されていたセルである。一方、セカンダリセル(SCell)は、UE3がプライマリセルに接続していることを前提として、追加的に又は従属的に使用される(活性化される)セルである。PCellでは、無線接続の確立(RRC Connection Establishment)や無線接続の再確立(RRC Connection Re-establishment)の際に、NASモビリティ情報(Non Access Stratum mobility information)及びセキュリティ情報(security input)等が送受信される。PCellに対応するDL Component CarrierがDL PCCであり、UL Component CarrierがUL PCCである。同様に、SCellに対応するDL Component CarrierがDL SCCであり、UL Component CarrierがUL SCCである。
【0069】
eNB1又は2は、UE3に制約情報(Constraint information)を送信する。制約情報は、eNB間キャリアアグリゲーションのためにSCell(第2のセル20)が活性化(アクティベーション)されているときのPCell及びSCellの少なくとも一方における受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために必要な情報要素を含む。U3は、eNB1又は2から制約情報を受信する。そして、UE3は、eNB間キャリアアグリゲーションにおいて、受信制限を考慮した受信動作、又は送信制限を考慮した送信動作を行う。
【0070】
制約情報は、例えば、受信制限及び送信制限の少なくとも一方を特定するために、以下の(a)~(h)のうち少なくとも1つを明示的又は暗示的に示してもよい。
(a)所定の下りリンク信号(DL Signal)を受信すべき期間(又はタイミング)
(b)所定の下りリンク信号を復号すべき期間(又はタイミング)
(c)所定の下りリンク信号を受信しなくてもよい期間(又はタイミング)
(d)所定の下りリンク信号を復号しなくてもよい期間(又はタイミング)
(e)上りリンク信号(UL Signal)の送信が禁止される期間(又はタイミング)
(f)上りリンク信号を送信してもよい期間(又はタイミング)
(g)上りリンク信号を送信する可能性がある期間(又はタイミング)
(h)上りリンク信号の送信が許可される可能性がある期間(又はタイミング)
これらの期間又はタイミングは、UE3の観点から表現されているが、eNB1及び2の観点からの表現に変換しても同義である。
【0071】
所定の下りリンク信号(DL signal)は、例えば、下りリンク制御チャネルであるPDCCH又はEPDCCH (Enhanced PDCCH)で送信される信号(L1/2 control signaling)である。この信号は、UEへのデータ送信などのために割り当てられた下りリンクの無線リソースのスケジューリング情報や、UEがデータ送信などに使用する上りリンクの無線リソースの使用許可情報(UL grant)などを含む。所定の下りリンク信号(DL signal)は、ページング(Paging)を送信するための信号、又はシステム情報(System information)を送信するための信号であってもよい。
【0072】
また、受信制限の例としては、上記(c)又は(d)を示す「受信ギャップ」を設定することが考えられる。或いは、上記(a)と(c)の組み合わせ、又は(b)と(d)の組み合わせで規定される「間欠受信(Discontinuous Reception: DRX)」を指示することも考えられる。ここで、DRXを指示する場合、第1のセル10(例えば、PCell)と第2のセル20(例えば、SCell)でDRXに関する設定の全て又は一部を共通にしてもよいし、DRXに関する設定を全て独立に設定してもよい。DRXに関する設定としては、例えばOn-Duration(OnDurationTimer)、drx-InactivityTimer、drx-RetransmissionTimer、longDRX-CycleStartOffset、shortDRX-Cycle、drxShortCycleTimer、HARQ RTT Timer、などが考えられる。さらに、UE3は、DRXに使用する上述のタイマーの全て又は一部を第1のセル10と第2のセル20で協調させて動作させてもよいし、独立に動作させてもよい。これにより、第1のセル10及び第2のセル20それぞれのデータ送受信状況に応じた柔軟なDRXを行うことができる。尚、DRXに使用するタイマーの動作は、基本的に無線端末において行われるが、無線基地局においても対応する動作を行ってもよい。
【0073】
送信制限の例としては、上記(e)を示す「送信ギャップ」を設定することが考えられる。或いは、(e)と(f)~(h)のいずれかの組み合わせで規定される、つまり上りリンク信号の送信が許可されるタイミング(例えばサブフレーム)を絞りこむ「送信タイミングのマスキング(Masking)」を指示することも考えられる。
【0074】
さらに、制約情報は、受信制限と送信制限の少なくともいずれかを直接的に示してもよいし、暗に示してもよい。例えば、制約情報は、以下のうち少なくとも1つを含んでも良い。
(A)受信制限の適用の要求(又は指示)
(B)送信制限の適用の要求(又は指示)
(C)受信制限の内容
(D)送信制限の内容
(E)受信制限の制御パラメータ
(F)送信制限の制御パラメータ
【0075】
(A)は、例えば受信制限が何を指すかを予めeNB1及び2の間あるいはeNB1及び2とUE3の間で共有している、または仕様に規定されている場合に、当該受信制限を適用することを要求する際に用いられる。同様に、(B)は、例えば送信制限が何を指すかを予めeNB1及び2の間で共有している、または仕様に規定されている場合に、当該送信制限を適用することを要求する際に用いられる。
【0076】
(C)は、どのような受信制限を適用するかを示す情報であり、例えば「受信ギャップ」の設定か、又は「DRX」の指示か、などを示す。同様に(D)は、どのような送信制限を適用するかを示す情報であり、例えば「送信ギャップ」の設定か、又は「送信タイミングのマスキング」の指示か、などを示す。
【0077】
(E)は、受信制限において設定する制御パラメータを示す情報であり、例えば上述の(a)~(d)の少なくともいずれかを示す。同様に、(F)は、送信制限において設定する制御パラメータを示す情報であり、例えば上述の(e)~(h)の少なくともいずれかを示す。
【0078】
制約情報は、第1のセル10においてeNB1からUE3に送信されてもよいし、第2のセル20においてeNB2からUE3に送信されてもよい。例えば、eNB1は、UE3及びeNB2に制約情報を送信してもよい。また、eNB1が制約情報をeNB2を介してUE3に送信してもよい。このとき、eNB1はeNB2に当該制約情報を含むメッセージを例えばX2インタフェース(又は新規インタフェース)にて送信するが、eNB2は当該メッセージのコンテンツを知らなくてもよいし、知ることができるような構成にしてもよい。eNB2は、第2のセル20において当該制約情報をUE3に送信する場合、制御情報としてSRB (Signaling Radio Bearer) を使用して送信してもよいし、他の下りリンクデータと同様にDRB (Data Radio Bearer) を使用して送信してもよい。他の例において、eNB1が無線端末3に制約情報を送信し、UE3がeNB2に制約情報を転送してもよい。さらに、他の例において、eNB2が第2のセル20に関する制約情報をeNB1に送信し、eNB1がUE3に制約情報を送信してもよい。eNB1とeNB2の間の制約情報の送信は、コアネットワーク4を介してS1インタフェースにて行われてもよい。
【0079】
制約情報の対象となるセルは、PCell(第1のセル10)及びSCell(第2のセル20)の両方でもよいし、いずれか一方のみでもよい。
【0080】
制約情報に基づくSCellの受信制限(又は送信制限)は、PCellの受信制限(又は送信制限)と独立に設定されてもよい。これに代えて、SCellの受信制限(又は送信制限)は、PCellの受信制限(又は送信制限)に依存して設定されてもよい。例えば、SCellの受信ギャップ(又は送信ギャップ)は、PCellの受信ギャップ(又は送信ギャップ)と少なくとも一部が重複しないように設定されてもよい。例えば、PCell及びSCellの受信ギャップは、SCellにおける受信期間の先頭位置がPCellにおける受信期間の先頭位置と重複しないように設定されてもよい。同様に、PCell及びSCellの送信ギャップは、SCellにおける送信期間の先頭位置がPCellにおける送信期間の先頭位置と重複しないように設定されてもよい。
【0081】
また、例えば、PCell及びSCellの受信ギャップ(又は送信ギャップ)は、PCellの受信期間(又は送信期間)とSCellの受信期間(又は送信期間)が全く重複しないように決定されてもよい。
【0082】
また、例えば、SCellの受信ギャップ(又は送信ギャップ)は、PCellの受信ギャップ(又は送信ギャップ)に包含されるように決定されてもよい。言い換えると、PCellの受信期間(又は送信期間)は、SCellの受信期間(又は送信期間)に包含されるように決定されてもよい。これとは反対に、PCellの受信ギャップ(又は送信ギャップ)は、SCellの受信ギャップ(又は送信ギャップ)に包含されるように決定されてもよい。言い換えると、SCellの受信期間(又は送信期間)は、PCellの受信期間(又は送信期間)に包含されるように決定されてもよい。
【0083】
以下では、本実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の手順例4~8について説明する。手順例4~6では、制約情報に基づいて特定される受信ギャップ(Rx gap)が、PDCCHを復号しなくてもよい期間(1又は複数のサブフレーム)を示す場合を例に用いて説明する。また、以下では、PDCCHを受信して復号すべき期間をON期間(又はActive期間)と呼び、PDCCHを復号しなくてもよい期間をOFF期間(又はInactive期間)と呼ぶ。例えば、OFF期間が受信ギャップ(が有効な期間)に相当する。
【0084】
(手順例4)
手順例4は、第1の実施形態で説明した手順例1に対応する。すなわち、eNB1は、受信ギャップを特定するために必要な制約情報をUE3及びeNB2に送信する。
図8は、手順例4を示すシーケンス図の一例である。なお、
図8において、第1のセル10はCELL1と表示され、第2のセル20はCELL2と表示されている。ステップS401では、eNB1は、制約情報(Constraint information)を含むメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)をUE3に送信する。ステップS402では、eNB1は、制約情報(Constraint information)を含むメッセージ(Constraint indication)をeNB2に送信する。
【0085】
ステップS403~S406では、eNB1及びeNB2は、制約情報に基づき、CELL1及びCELL2において下りリンクデータ(DL data)をそれぞれ送信し、UE3はeNB1及びeNB2からDL dataを受信する。例えばCELL1における受信期間(ON期間)において、eNB1はUE3へのDL data(e.g. VoIP data)を送信し、UE3はPDCCHを復号することでDL data(e.g. VoIP data)を受信することができる(ステップS403及びS405)。一方、CELL2における受信期間(ON期間)において、eNB2はUE3へのDL data(e.g. FTP data)を送信し、UE3はPDCCHを復号することでDL data(e.g. FTP data)を受信することができる(ステップS404及びS406)。
【0086】
CELL1の受信ギャップ(OFF期間)では、UE3は、CELL1のPDCCHを復号しなくてもよい。同様に、CELL2の受信ギャップ(OFF期間)では、UE3は、CELL2のPDCCHを復号しなくてもよい。これにより、不必要なPDCCHの受信(又は復号)を回避できるため、UE3の消費電力を低減できる。
図8において、CELL1の受信ギャップ(OFF期間)は、CELL1のON期間を除く期間に相当する。同様に、CELL2の受信ギャップ(OFF期間)は、CELL2のON期間を除く期間に相当する。
【0087】
制約情報は、CELL1とCELL2のいずれか一方の受信ギャップ(OFF期間)を特定するために必要な情報のみを含んでもよい。例えば、eNB1は、CELL1のみに関する制約情報をUE3及びeNB2に送信してもよいし、CELL2のみに関する制約情報をUE3及びeNB2に送信してもよい。
【0088】
また、eNB1は、CELL2に関する制約情報を考慮して、CELL1でのUE3に関する送信又は受信を行ってもよい。これとは反対に、eNB2は、CELL1に関する制約情報を考慮して、CELL2でのUE3に関する送信又は受信を行ってもよい。例えば、eNB1は、CELL2におけるUE3の受信ギャップ(OFF期間)において、UE3への下りリンク信号をCELL1にて送信してもよい。
【0089】
eNB1からUE3に送信される制約情報は、eNB1からeNB2に送信される制約情報と同じ内容でもよいし異なる内容でもよい。例えば、eNB1は、CELL1及びCELL2の両方に関する制約情報をUE3に送信し、CELL2のみに関する制約情報をeNB2に送信してもよい。
【0090】
制約情報(Constraint information)を有効にするタイミング、つまり制約情報で特定される受信制限や送信制限を有効にするタイミングは、例えばUE又はeNB2が当該制約情報をeNB1から受信した時点でもよいし、当該制約情報を受信してから所定時間経過後でもよい。所定時間は、制約情報に含んで送信されることにより指定されてもよいし、UE3及びeNB2に予め設定されていてもよい。
【0091】
制約情報の有効化は、例えば、以下に示す手順に従って行なってもよい。
図9は、制約情報の有効化手順のオプション1~3を示している。
図9のステップS401及びS402における処理は、
図8のステップS401及びS402における処理と同様である。
図9のステップS411及びS412は、オプション1を示している。すなわち、ステップS411では、eNB1は、CELL1に関する制約情報を有効にする指示をUE3に送信する(Activation of constraint on CELL1)。ステップS412では、eNB2は、CELL2に関する制約情報を有効にする指示をUE3に送信する(Activation of constraint on CELL2)。
【0092】
図9のステップS421及びS422は、オプション2を示している。ステップS421では、eNB1は、CELL1及びCELL2に関する制約情報を有効にする指示をUE3に送信する(Activation of constraint on CELL1 and CELL2)。このとき、ステップS422に示すように、eNB1は、UE3に対して制約情報を有効化したことを、eNB2に通知してもよい(Constraint activation indication)。
【0093】
図9のステップS431及びS432は、オプション3を示している。ステップS431では、eNB1は、CELL1及びCELL2に関する制約情報を有効にする指示をUE3に送信する(Activation of constraint on CELL1 and CELL2)。ステップS432では、UE3は、CELL2における制約情報の有効化をeNB2に通知する(Constraint activation report)。
【0094】
(手順例5)
手順例5は、第1の実施形態で説明した手順例2に対応する。すなわち、eNB1が制約情報をUE3に送信し、UE3がeNB2に制約情報を転送する。
図10は、手順例5を示すシーケンス図の一例である。
図10において、第1のセル10はCELL1と表示され、第2のセル20はCELL2と表示されている。ステップS501では、eNB1は、制約情報(Constraint information)を含むメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)をUE3に送信する。ステップS502では、UE3は、制約情報(Constraint information)を含むメッセージ(Constraint information report)をeNB2に送信する。UE3は、 CELL2に関する制約情報を自発的にeNB2に送信してもよいし、 eNB2からの制約情報の報告指示(Constraint information report request)に応答して送信してもよい。
図10のステップS503及びS505における処理は、
図8のステップS403及びS404における処理と同様である。
【0095】
eNB1からUE3に送信される制約情報は、CELL1及びCELL2に関する制約情報を含んでもよい。一方、UE3からeNB2に転送される制約情報は、少なくともCELL2に関する制約情報を含んでいればよい。しかしながら、UE3からeNB2に送信される制約情報は、eNB1からUE3に送信される制約情報と同じ内容であってもよい。
【0096】
(手順例6)
手順例6は、第1の実施形態で説明した手順例3に対応する。すなわち、UE3への制約情報の通知が、eNB2の要求に基づいて行われる。制約情報は、eNB1又はeNB2によって生成される。
図11は、手順例6に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。
図11において、第1のセル10はCELL1と表示され、第2のセル20はCELL2と表示されている。ステップS601では、eNB2は、CELL2においてUE3による信号の受信又は送信に制約(つまり、受信制限又は送信制限)を設定するための要求をeNB1に送信する(Constraint configuration request (for CELL2))。
【0097】
ステップS602では、eNB1は、CELL2に関する制約情報を認めるか否か、言い換えるとCELL2への制約の適用を認めるか否か、を示す応答をeNB2に送信する。CELL2への制約の適用を認める場合、eNB1は、CELL2に関する制約情報をeNB2に送信する(Constraint information indication)。さらに、ステップS603では、eNB1は、CELL2に関する制約情報をUE3に送信する(RRC Connection Reconfiguration (including Constraint information))。ステップS603では、eNB1は、CELL1に関する制約情報をUE3へ送信してもよい。ステップS604及びS605における処理は、
図8のステップS403及びS404における処理と同様である。
【0098】
ステップS601での要求送信の際に、eNB2は、推奨する制約情報をeNB1に送信してもよい。この場合、eNB1は、eNB2から受信した制約情報を認めるか否かを判定した結果をeNB2に送信してもよい。また、eNB1は、eNB2から受信した制約情報の代わりにeNB1が推奨する制約情報を生成(又は設定)してeNB2に送信してもよい。
【0099】
ステップS602において、eNB1は、UE3に対するCELL1に関する制約情報をeNB2へ送信してもよい。同様に、ステップS603において、eNB1は、CELL1に関する制約情報をUE3へ送信してもよい。
【0100】
(手順例6の変形)
eNB1は、CELL2に関する制約情報の生成(又は設定)をeNB2に要求してもよい。この場合、eNB2がCELL2に関する制約情報をeNB1に送信し、eNB1が当該制約情報をUE3へ送信してもよい。
図12は、手順例6の変形を示すシーケンス図の一例である。
図12において、第1のセル10はCELL1と表示され、第2のセル20はCELL2と表示されている。ステップS611では、eNB1は、CELL2に関する制約情報の生成(又は設定)をeNB2に要求する(Constraint configuration request (for CELL2))。ステップS612では、eNB2は、CELL2に関する制約情報をeNB1に送信する(Constraint information indication)ステップS613では、eNB1は、CELL2に関する制約情報を受信したことを示す応答をeNB2に送信してもよい。ステップS614では、eNB1は、eNB2から受信したCELL2に関する制約情報をUE3へ送信する(RRC Connection Reconfiguration (including Constraint information))。
【0101】
(手順例7)
ここでは、CELL1及びCELL2の受信期間(ON期間)と非受信期間(OFF期間)の設定に関するオプション1~3を示す。オプション1では、UE3に対するPCell及びSCellの非受信期間(OFF期間)は、CELL1の受信期間(ON期間)とCELL2の受信期間(ON期間)が全く重複しないように設定される。なお、CELL1の非受信期間(OFF期間)とCELL2の非受信期間(OFF期間)は、その一部が重複してもよい。言い換えると、CELL1及びCELL2の両方においてPDCCHを受信しなくてもよい非受信期間(OFF期間)が設けられてもよい。
図13Aは、オプション1での下りリンクデータ送信の具体例を示すシーケンス図である。
図13Bは、オプション1における受信期間(ON期間)と非受信期間(OFF期間)の配置の例を示している。
図13A及び13Bに示すように、CELL1の受信期間(ON期間)とCELL2の受信期間(ON期間)は、時間軸にそって交互に配置されてもよい。オプション1によれば、UE3は、CELL1及びCELL2を同時に受信する必要はなく、いずれか一方のみを受信すればよい。
【0102】
オプション2では、UE3に対するCELL1の非受信期間(OFF期間)とCELL2の非受信期間(OFF期間)は、互いに独立に設定される。言い換えると、UE3に対するCELL1の受信期間(ON期間)とCELL2の受信期間(ON期間)は、互いに独立に設定される。なお、オプション2では、CELL1及びCELL2のいずれか一方のみに、非受信期間(OFF期間)が設定されてもよい。
図14Aは、オプション2での下りリンクデータ送信の具体例を示すシーケンス図である。
図14Bは、オプション2における受信期間(ON期間)と非受信期間(OFF期間)の配置の例を示している。受信期間(ON期間)および非受信期間(OFF期間)はCELL1及びCELL2においてそれぞれ独立に設定されるから、CELL1の受信期間(ON期間)とCELL2の受信期間(ON期間)は、
図14A及び14Bに示されているように一部が重複するかもしれない。また、偶然に、CELL1の受信期間(ON期間)とCELL2の受信期間(ON期間)は、全く重複しないかもしれない。オプション2によれば、CELL1及びCELL2それぞれの送信パターンに合わせて、受信期間(ON期間)及び非受信期間(OFF期間)の配置を最適化できる。
【0103】
オプション3では、PCellの受信期間(ON期間)は、SCellの受信期間(ON期間)に包含されるように設定される。
図15Aは、オプション3での下りリンクデータ送信の具体例を示すシーケンス図である。
図15Bは、オプション3における受信期間(ON期間)と非受信期間(OFF期間)の配置の例を示している。なお、
図15A及び15Bの例とは反対に、SCellの受信期間(ON期間)は、PCellの受信期間(ON期間)に包含されるように決定されてもよい。
【0104】
ここで、本実施形態において、例えば上記オプション1から3において、非受信期間(OFF期間)が、対象とするサービングセルにおける受信ギャップ(Rx gap)に相当すると考えることができる。或いは、受信期間(ON期間)と非受信期間(OFF期間)が、対象とするサービングセルにおけるDRX cycleのOn-Duration(Wake up period)とOpportunity for DRX(Sleep period)に相当すると考えることもできる。
【0105】
(手順例8)
上述した手順例4~7では、eNB間キャリアアグリゲーションでの下りリンク送信に関する受信期間(ON期間)及び非受信期間(OFF期間)の設定について説明した。手順例8では、制約情報(Constraint information)に基づいて送信期間及び非送信期間が設定される例について説明する。既に述べたように、送信期間は、UE3に対して上りリンク信号(UL signal)の送信が許可される可能性があるON期間(又はActive期間)を意味する。一方、非送信期間は、UE3が上りリンク信号(UL signal)を送信してはいけないOFF期間(又はInactive期間)を意味する。ここで、対象とするサービングセルにおける非送信期間(OFF期間)が送信ギャップ(Tx gap)に相当すると考えることができる。或いは、対象とするサービングセルにおける送信期間(ON期間)が送信タイミングのマスキングにおける送信可能期間に相当すると考えることもできる。さらに、対象とするサービングセルにおける送信期間(ON期間)と非送信期間(OFF期間)が、DTX cycleのOn-Duration(Transmission period)とOpportunity for DTX(Non-transmission period)に相当すると考えることもできる。
【0106】
図16は、手順例8を示すシーケンス図の一例である。
図16において、第1のセル10はCELL1と表示され、第2のセル20はCELL2と表示されている。ステップS801では、eNB1、eNB2、及びUE3は、制約情報に基づいてCELL1及びCELL2の送信期間(ON期間)及び非送信期間(OFF期間)を設定する。送信期間(ON期間)及び非送信期間(OFF期間)の設定は、CELL1及びCELL2のいずれか一方のみにおいて行われてもよい。ステップS801では、UE3は、eNB1又はeNB2から制約情報を受信する。ステップS801の処理は、手順例4~6で説明した制約情報の送受信手順のいずれかと同様とすればよい。
【0107】
ステップS802~S405では、UE3は、制約情報に基づき、CELL1及びCELL2において上りリンク信号を送信し、eNB1及びeNB2はUEから上りリンク信号を受信する。
図16の例では、CELL1でRRC signalingが送信され、CELL2で上りリンクデータ(ユーザーデータ)が送信される。例えばCELL1における送信期間(ON期間)において、UE3はeNB1へのRRC signalingを送信する(ステップS802及びS804)。一方、CELL2における送信期間(ON期間)において、UE3はeNB2に上りリンクデータを送信する(ステップS803及びS805)。
【0108】
図18は、実施例7において説明したオプション1と同様の思想に従って、CELL1及びCell2の送信期間および非送信期間(OFF期間)が設定されている。すなわち、UE3に対するPCell及びSCellの非送信期間(OFF期間)は、CELL1の送信期間(ON期間)とCELL2の送信期間(ON期間)が全く重複しないように設定される。なお、CELL1の非送信期間(OFF期間)とCELL2の非送信期間(OFF期間)は、その一部が重複してもよい。言い換えると、CELL1及びCELL2の両方において上りリンク送信が許可されない非送信期間(OFF期間)が設けられてもよい。これによりUE3は、CELL1とCELL2の両方で同時に上りリンク信号(RRC signalingやData)を送信する必要が無いため、複雑度(complexity)を低減することができる。特に、CELL1とCELL2が異なる周波数帯域の場合、上りリンクの同期を維持する為に適した上りリンク信号の送信タイミングが異なることが考えられ、これを考慮した制御が必要になる。しかし、
図18のステップS802~S805に示した例のように送信期間(ON期間)を設定することで、この制御の複雑さが低減される。
【0109】
上述した手順例4~8は、例えば、以下に述べるように変形されてもよい。手順例4~8では、制約情報に基づいて非受信期間の例として受信ギャップ(Rx gap)または非送信期間の例として送信ギャップ(Tx gap)を設定することが考えられることを示した。この場合、以下に挙げる例外処理を適用してもよい。
・UE3は、重要な情報、例えばシステム情報(Master Information Block: MIB、又はSystem Information Block: SIB)、ページング(Paging indication、又はPaging channel: PCH)、及びRRC signalingなどは、受信ギャップに関わらず受信する。
・UE3は、下りリンクで再送される信号は、受信ギャップに関わらず受信する。
・UE3は、上りリンクで再送すべき信号は、送信ギャップに関わらず送信する。
【0110】
UE3への制約情報の送信はRRC signalingで、制約情報(つまり、受信制限や送信制限)の有効化(Activation)及び無効化(Deactivation)の指示はMAC (Medium Access Control) signalingやL1/L2 (Layer 1 and/or Layer 2) control signalingで行ってもよい。
【0111】
制約情報の送信は、いずれかの無線基地局(例えばeNB1)が行い、一方で当該制約情報(つまり、受信制限や送信制限)の有効化及び無効化は各無線基地局(eNB1およびeNB2)で行ってもよい。
【0112】
eNB1とeNB2の間の制約情報の送受信は、コアネットワーク(e.g. EPC)を介して行われてもよい。
【0113】
<その他の実施形態>
第1及び第2の実施形態では、制約情報に基づく受信制限又は送信制限を無線端末(UE)個別に設定をする例を示した。しかしながら、制約情報に基づく受信制限又は送信制限は、例えば、複数の無線端末(UE)に共通であってもよいし、同じセル内の無線端末(UE)全てに共通であってもよい。また、制約情報は、無線端末(UE)個別に送信されてもよいし、複数の無線端末(UE)に共通のメッセージで送信されてもよいし、同じセル内の無線端末(UE)全てに共通のメッセージ(例えば、システム情報)で送信されてもよい。
【0114】
第1及び第2の実施形態の適用先としては、第1の無線局1(eNB1)が比較的カバレッジの大きいマクロセルを運用(管理)するマクロ無線基地局(Macro eNB:MeNB)であり、第2の無線局2(eNB2)がカバレッジの小さいセルを運用(管理)する低電力無線局(Low Power Node: LPN)である場合が考えられる。LPNとしては、例えばMeNBと同様の機能(プロトコルレイヤ)を持つピコ無線基地局(Pico eNB:PeNB)や、MeNBに比べ機能(プロトコルレイヤ)が少ない新しい種類のネットワークノード(New Node)である場合が考えられる。或いは、MeNBがLPN及びLPNのセルにおける制御系機能(例えばRRCレイヤ)を管理するような構成でも良い。また、第2のセル20は、従来とは異なる新しい種類のキャリア(New Carrier Type)を構成要素とする従来とは異なる新しい種類のセル(New Cell Type)であってもよい。
【0115】
また、第1及び第2の実施形態で述べた無線局1(通信制御部15)、無線局2(通信制御部25)、及び無線端末3(通信制御部35)による通信制御方法は、いずれもApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)を含む半導体処理装置を用いて実現されてもよい。また、これらの処理は、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. マイクロプロセッサ、Micro Processing Unit(MPU)、Digital Signal Processor(DSP))を含むコンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現してもよい。具体的には、フローチャート及びシーケンス図に示されたアルゴリズムをコンピュータシステムに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを作成し、当該プログラムをコンピュータに供給すればよい。
【0116】
このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0117】
また、第1及び第2の実施形態では、主にLTEシステムに関して説明を行った。しかしながら、これらの実施形態は、LTEシステム以外の無線通信システム、例えば、3GPP UMTS (Universal Mobile Telecommunications System)、3GPP2 CDMA2000システム(1xRTT, HRPD (High Rate Packet Data))、GSM (Global System for Mobile Communications) システム、又はWiMAXシステム等に適用されてもよい。
【0118】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0119】
この出願は、2013年2月22日に出願された日本出願特願2013-033703を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0120】
1 第1の無線局
2 第2の無線局
3 無線端末
10 第1のセル
20 第2のセル
15 通信制御部
25 通信制御部
35 通信制御部