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特許7444268測定データ処理装置、測定データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】測定データ処理装置、測定データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/90 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G01S13/90
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022546201
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2021029784
(87)【国際公開番号】W WO2022050026
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2020148283
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛道
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】赤川 奈緒
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔平
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035598(JP,A)
【文献】米国特許第06150972(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103675814(CN,A)
【文献】丸木大樹 外 5 名,“SAR強度画像間の対応付けに基づく地表面の3次元計測手法の検討”,映像情報メディア学会技術報告 ( ITE Technical Report )[ISSN: 1342-6893],2014年08月20日,Volume 38,Number 32,Pages 43-46
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - G01S 7/42
G01S 13/00 - G01S 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得する取得手段と、
前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定データのノイズ除去を行うノイズ除去手段と、
あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う判定手段と、
を備え
前記測定データは、前記測定点における前記地表面の高さの変化の測定値を含み、
前記ノイズ除去手段は、前記測定データの、前記地表面の高さの変化の測定値のノイズ除去を行う
測定データ処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、建造物が除去された前記地表面である地面の高さの情報を含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
請求項1に記載の測定データ処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、建造物の三次元形状と当該建造物の前記地表面における配置とに基づく前記建造物の表面の高さの情報をさらに含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
請求項2に記載の測定データ処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記建造物測定点が、当該建造物測定点の位置と所定の種類の建造物と距離が所定基準を満たす特定測定点であるか否かを判定し、前記特定測定点をノイズと判定する
請求項1乃至のいずれか1項に記載の測定データ処理装置。
【請求項5】
合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得し、
前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定データのノイズ除去を行い、
あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行
前記測定データは、前記測定点における前記地表面の高さの変化の測定値を含み、
前記ノイズ除去において、前記測定データの、前記地表面の高さの変化の測定値のノイズ除去を行う
測定データ処理方法。
【請求項6】
建造物が除去された前記地表面である地面の高さの情報を含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
請求項に記載の測定データ処理方法。
【請求項7】
合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得する取得処理と、
前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定データのノイズ除去を行うノイズ除去処理と、
あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う判定処理と、
をコンピュータに実行させ
前記測定データは、前記測定点における前記地表面の高さの変化の測定値を含み、
前記ノイズ除去処理は、前記測定データの、前記地表面の高さの変化の測定値のノイズ除去を行う
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定データを処理する技術に関し、特に、合成開口レーダーによる測定データを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダーによる地表面の測定の結果として、例えば、地表面の複数の測定点における、所定の基準面からの高さの情報が得られる。それらの測定点を、人工建造物の表面に存在する測定点と、人工建造物以外の地表面に存在する測定点とに分離する要望が存在する。
【0003】
二次元の測定データにおいて人工建造物の領域を分離する技術の例が、特許文献1によって開示されている。特許文献1に記載の方法は、複数の二次元画像から算出した対象の三次元形状における急傾斜地の閉領域を人工建造物の領域として抽出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-265448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人工建造物の周囲に急傾斜部分が必ずあるとは限らない。特許文献1の技術では、人工建造物の周囲に例えば壁などの急傾斜の地点が存在しなければ、人工建造物の範囲を検出できない。また、光学カメラによる撮像によって得られた画像と、合成開口レーダーによって得られた観測の結果は、性質が異なる。
【0006】
本開示の目的の1つは、地表面の高さが観測された測定点を、建造物上の測定点と、建造物以外の測定点とに分離する精度を向上できる測定データ処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る測定データ処理装置は、合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得する取得手段と、あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う判定手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る測定データ処理方法は、合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得し、あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得する取得処理と、あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う判定処理と、をコンピュータに実行させる。本開示の一態様は、上述のプログラムを記憶する記憶媒体によっても実現される。
【発明の効果】
【0010】
本開示には、地表面の高さが観測された測定点を、建造物上の測定点と、建造物以外の測定点とに分離する精度を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の第1の実施形態に係る測定データ処理システムの構成の例を表すブロック図である。
図2図2は、本開示の第1の実施形態の測定データ処理装置の動作の例を表すフローチャートである。
図3図3は、本開示の第2の実施形態に係る測定データ処理装置の構成の例を表すブロック図である。
図4図4は、本開示の第2の実施形態の測定データ処理装置の動作の例を表すフローチャートである。
図5図5は、本開示の実施形態に係る測定データ処理装置を実現することができる、コンピュータのハードウェア構成の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
まず、本開示の第1の実施形態について説明する。
【0014】
<<構成>>
図1は、本実施形態に係る測定データ処理システム1の構成の例を表すブロック図である。図1に示す例では、測定データ処理システム1は、測定データ処理装置100と、測定データ記憶装置200と、出力先装置300とを含む。測定データ処理装置100は、測定データ記憶装置200及び出力先装置300の各々と、通信可能に接続されている。
【0015】
測定データ処理装置100は、取得部110と、判定部120と、ノイズ除去部130と、出力部140と、地表情報記憶部150と、建造物情報記憶部160とを含む。
【0016】
<<概要>>
測定データ記憶装置200は、合成開口レーダーによる観測によって得られた、複数の測定点における対象の測定データが格納されている。測定データには、各測定点における対象の基準面からの高さのデータが含まれている。
【0017】
判定部120は、取得部110が測定データ記憶装置200から取得した測定データの測定点が、建造物上にある測定点である建造物測定点であるか、建造物ではないもの(例えば地面)の上にある測定点である地面測定点であるかを判定する。判定部120は、地表情報記憶部150に格納されている地表面の標高の情報に基づいて、測定点が建造物測定点であるか地面測定点であるかを判定してよい。判定部120は、建造物情報記憶部160に格納されている建造物の三次元モデルにさらに基づいて、測定点が建造物測定点であるか地面測定点であるかを判定してよい。
【0018】
ノイズ除去部130は、測定点における測定データからノイズを除去する。具体的にはノイズ除去部130は、高さのデータがノイズであると判定された測定点(ノイズ測定点)を抽出する。ノイズ除去部130は、ノイズ測定点における高さのデータを測定データから除外してもよい。ノイズ除去部130は、ノイズ測定点の周囲の測定点における高さのデータを使用して、ノイズ測定点における高さの推定データを算出してもよい。
【0019】
出力部140は、測定点が建造物測定点と地面測定点とに分類され、ノイズ除去が行われた測定データを、出力先装置300に出力する。
【0020】
以下、測定データ処理システム1の各構成要素について詳細に説明する。
【0021】
<<測定データ記憶装置200>>
測定データ記憶装置200は、測定データを記憶する。
【0022】
測定データは、例えば、ある時点における、合成開口レーダーによる、複数の点における、地表面の高さの測定の結果(以下、地表面の高さの測定値とも表記)を表すデータを含む。測定データは、更に、ある時点における地表面の高さの測定の結果の、その時点の直前の時点における地表面の高さの測定の結果からの変化(以下、地表面の高さの変化の測定値と表記)を表すデータを含む。本開示の説明では、地表面は、地球の表面である。地表面は、地面、及び、建造物の表面なども含む。
【0023】
地表面の高さは、地表面の、あらかじめ定められた基準面からの高さであってよい。測定データの地表面の高さは、例えば、人工衛星や航空機などの飛翔体に搭載されたレーダーを合成開口レーダー(SAR;Synthetic Aperture Radar)として使用する観測によって得られた、地表面上の複数の測定点における高さである。以下の説明では、このような観測を、合成開口レーダーによる観測と表記する。
【0024】
地表面において、地表面の高さの測定値が得られている点を、測定点と表記する。
【0025】
高さの変化は、測定点における、ある時点の地表面の高さの測定値の、その時点の直前の時点の地表面の高さの測定値からの差であってよい。高さの変化は、測定点における、ある時点の地表面の高さの測定値の、その時点の直前の時点の地表面の高さの測定値からの、所定期間当たりの変化によって表した値であってよい。所定期間は、適宜定められていてよい。所定期間は、例えば、1か月であってもよい。所定期間は、例えば、1年であってもよい。以下の説明において、ある時点の地表面の高さの測定値の、その時点の直前の時点の地表面の高さの測定値からの変化を、高さの変化の測定値とも表記する。
【0026】
測定データは、複数の測定点の、測定点の位置を表す位置データと、その測定点における地表面の高さの測定値を表すデータと、その測定点における地表面の高さの変化の測定値を表すデータと、の組み合わせを含むデータであってよい。地表面上の点(すなわち測定点)の位置を表す情報は、例えば、緯度及び経度の情報であってよい。位置を表す情報は、地表面上の位置を特定できる他の情報であってもよい。以下では、点の位置を表す情報を、測定点情報と表記する。
【0027】
<<測定データ処理装置100>>
<<取得部110>>
取得部110は、測定データ記憶装置200から、測定データを取得する。取得部110は、測定データ記憶装置200に格納されている全ての測定データを読み出してもよい。取得部110は、例えば、あらかじめ定められている地表面上の範囲に含まれる測定点の測定データを、測定データ記憶装置200に格納されている測定データから抽出してもよい。取得部110は、例えば測定データ処理装置100のユーザによって指示された地表面上の範囲に含まれる測定点の測定データを、測定データ記憶装置200に格納されている測定データから抽出してもよい。その地表面上の範囲は、測定データ処理装置100のユーザによって、簡単のため図1において省略されているキーボード等の入力装置を使用して入力されてよい。そして、取得部110は、抽出した測定データを測定データ記憶装置200から読み出してもよい。
【0028】
以下では、取得部110が取得する測定データの測定点が含まれる地表面上の範囲を、対象範囲と表記する。対象範囲は、例えば、緯度及び経度によって表されていてよい。
【0029】
取得部110は、取得した測定データを、判定部120に送出する。取得部110は、さらに、対象範囲を表す情報を、判定部120に送出してよい。
【0030】
<<地表情報記憶部150>>
地表情報記憶部150は、地面の高さのデータ(以下、地表情報とも表記)を記憶する。
【0031】
地面は、建造物が存在しない場合の地球の表面である。建造物が存在する領域における地面は、建造物の表面と異なるように、適宜設定されている面であってよい。建造物が存在する領域における地面は、例えば、その建造物の周囲で建造物が存在しない領域の地面を所定の方法に従って適宜延長した面であってもよい。建造物が存在する領域における地面は、例えば、建造物の露出部分のうち最も標高の低い部分の標高の水平面であってもよい。道路などの表面は、地面として扱われてもよい。
【0032】
地面の高さは、標高であってもよい。地面の高さは、所定の基準面からの高さであってもよい。地面の高さのデータのフォーマットは、一般的なコンピュータが読み書き可能な形式であってよい。
【0033】
地表情報記憶部150は、地面の高さを表すデータを、例えば、地点の位置の情報(例えば、緯度及び経度)によって、その地点における地面の高さを特定できる形式で記憶していてもよい。具体的には、地面の高さを表すデータは、例えば、一定間隔の格子点の各々における高さを表すデータであってよい。地面の高さを表すデータは、例えば、等高線の線上の点の座標の集合と、その等高線が表す高さとの組み合わせの集合として表されていてもよい。地面の高さを表すデータは、例えば、所定間隔の格子点の座標及びその座標における高さと、それらの格子点が頂点である三角形の集合によって表されていてもよい。地面の高さを表すデータは、以上の例以外の形式で表されていてもよい。
【0034】
<<建造物情報記憶部160>>
建造物情報記憶部160は、建造物の情報である建造物情報を記憶する。
【0035】
建造物は、例えば、人工の立体構造物のうち、表面が地面とみなされない立体構造物であってよい。
【0036】
建造物情報は、建造物の三次元データと、建造物の配置データとを含む。建造物の三次元データは、三次元空間内における建造物の形状(言い換えると、形と大きさ)を表すデータである。建造物の三次元データは、例えば、頂点及び頂点をつなぐ線の組み合わせによって表されているポリゴンのデータであってもよい。建造物の三次元データは、例えば、一定方向に垂直な一定間隔の複数の面における建造物の断面の集合であってもよい。建造物の三次元データは、他の形式のデータであってもよい。
【0037】
建造物の三次元データには、建造物の基準点と基準方向とが定められていてよい。建造物の配置データは、建造物の三次元空間内における、位置、高さ、及び、向きを特定できるデータである。高さは、地表情報記憶部150に格納されている地面の高さのデータにおける、高さの基準と同じ基準からの高さであってよい。建造物の配置データは、建造物が三次元空間内のどこにどのような向きで存在しているかを特定できる情報である。言い換えると、建造物の配置データは、地表情報記憶部150に格納されている地面の高さのデータによって表される地面状における、建造物の三次元データによって表される建造物の、位置および向きを特定できるデータである。建造物の配置データは、例えば、建造物の基準点の、緯度、経度、及び、高さと、基準方向の方位と、を表すデータを含んでいてよい。
【0038】
言い換えると、建造物の情報は、三次元空間内における、建造物の形、大きさ、位置、高さ、向きなどを特定できる情報である。
【0039】
<<判定部120>>
判定部120は、取得部110から、測定データを受け取る。判定部120は、測定データに加えて、対象範囲を表す情報を受けってよい。判定部120は、測定データに含まれる測定点の測定点情報から、対象範囲を特定してもよい。
【0040】
判定部120は、対象範囲内の地面の高さを表す情報(すなわち、地表情報)を、地表情報記憶部150から読み出す。判定部120は、測定データに地表面の高さの情報が含まれる測定点の測定点情報が示す位置の、地面の高さを読み出してもよい。
【0041】
判定部120は、建造物情報記憶部160から、対象範囲に含まれる建造物の建造物情報を読み出す。
【0042】
判定部120は、測定によって得られた、対象範囲内の測定点における地表面の高さと、対象範囲の地面の高さと、対象範囲に含まれる建造物の建造物情報とに基づいて、対象範囲内の測定点を、建造物測定点と地面測定点とに分類する。以下の説明では、測定によって得られた、対象範囲内の測定点における地表面の高さを、地表面の高さの測定値と表記する。上述のように、対象範囲内の測定点は、判定部120が受け取った測定データに地表面の高さの情報が含まれる測定点である。建造物測定点は、建造物の表面上の測定点である。地面測定点は、建造物の表面ではない地面状の測定点である。
【0043】
判定部120は、まず、対象範囲の地面の高さと、対象範囲に含まれる建造物の建造物情報とから、対象範囲内の建造物の表面の高さを算出する。判定部120は、例えば、対象範囲の地面の、建造物情報によって表される位置に、建造物情報によって表される方向で、建造物情報によって表される形状の建造物を配置した場合の、建造物の表面の高さを算出する。これにより、対象範囲内において、建造物が存在する範囲と、その範囲における建造物の表面の高さが得られる。
【0044】
判定部120は、例えば、対象範囲に含まれる測定点の1つを選択してよい。選択した測定点を、対象測定点と表記する。
【0045】
判定部120は、対象測定点の位置が、建造物が存在する範囲に含まれているか判定してよい。
【0046】
対象測定点の位置が、建造物が存在する範囲に含まれていない場合、判定部120は、対象測定点の地表面の高さ(例えば、最も新しく測定された地表面の高さ)と、対象測定点における地面の高さとを比較する。対象測定点の地表面の高さの測定値と対象測定点における地面の高さとの差が所定範囲以内(以下、第1所定範囲とも表記)である場合、判定部120は、その対象測定点が地面測定点であると判定してよい。対象測定点の地表面の高さの測定値と対象測定点の位置における地面の高さとの差が所定範囲(すなわち、上述の第1所定範囲)以内ではない場合、判定部120は、その対象測定点が、地面測定点でも建造物測定点でもない測定点である、ノイズ測定点であると判定してよい。測定点がノイズ測定点である場合、その測定点における地表面の高さの測定値は、ノイズであるとみなすことができる。
【0047】
対象測定点の位置が、建造物が存在する範囲に含まれている場合、判定部120は、地表面の高さの測定値と測定点の位置における建造物の表面の高さとを比較する。地表面の高さの測定値と測定点の位置における建造物の表面の高さとの差が、所定範囲(以下、第2所定範囲と表記)以内である場合、判定部120は、その対象測定点が建造物測定点であると判定してよい。第2所定範囲は、第1所定範囲と同じであってもよい。第2所定範囲は第1所定範囲と、異なっていてもよい。第1所定範囲及び第2所定範囲は、適宜定められていてよい。地表面の高さの測定値と測定点の位置における建造物の表面の高さとの差が、所定範囲(すなわち、上述の第2所定範囲)以内ではない場合、判定部120は、その対象測定点が、地面測定点でも建造物測定点でもない測定点である、ノイズ測定点であると判定してよい。
【0048】
測定点が、地面測定点、建造物測定点、及び、ノイズ測定点のどれであるかを判定することを、地面測定点、建造物測定点、及び、ノイズ測定点への分類、及び、単に、対象点の分類とも表記する。
【0049】
判定部120は、対象範囲に含まれるすべての測定点の、地面測定点、建造物測定点、及び、ノイズ測定点への分類が終了するまで、対象範囲に含まれる測定点の選択と、選択した測定点の分類とを繰り返してもよい。
【0050】
測定点が地面測定点、建造物測定点、及び、ノイズ測定点のいずれであるかを表す情報を、測定点の分類の情報と表記する。
【0051】
判定部120は、測定データと、測定点の分類の情報とを、ノイズ除去部130に送出する。
【0052】
<<ノイズ除去部130>>
ノイズ除去部130は、判定部120から、測定データと、測定点の分類の情報とを受け取る。ノイズ除去部130は、測定点の分類の情報に基づいて、測定データのノイズ除去を行う。上述のように、測定点がノイズ測定点である場合、測定データに含まれる、その測定点における地表面の高さの測定値は、ノイズであるとみなすことができる。測定データに含まれる、測定点における地表面の高さの変化の測定値は、地表面の高さの測定値を使用して算出された値である。したがって、地表面の高さの測定値がノイズであるとみなされる場合、地表面の高さの変化の測定値も、同様にノイズであるとみなすことができる。ノイズ除去部130は、測定データのノイズ除去として、ノイズ測定点における地表面の高さの変化の測定値の、そのノイズ測定点の周囲の測定点における地表面の高さの変化の測定値に基づく推定を行う。具体的には、ノイズ除去部130は、例えば、以下の例のように動作する。
【0053】
ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点が、建造物が存在する領域に含まれるか否かを判定する。ノイズ測定点が、建物が存在する領域に含まれる場合、ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する建造物測定点において測定された地表面の高さの変化の測定値に基づいて、ノイズ測定点における地表面の高さの変化の測定値を推定する。推定された地表面の高さの変化の測定値を、地表面の高さの変化の推定値と表記する。具体的には、ノイズ除去部130は、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する建造物測定点において測定された地表面の高さの変化の測定値の、上述の統計値を、ノイズ測定点における地表面の高さの変化の推定値としてよい。
【0054】
ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点を所定平面(例えば、高さの基準面や、海水面)に投影した点と、建造物測定点を同じ所定平面に投影した点との間の距離を、ノイズ測定点と建造物測定点との距離として算出してよい。ノイズ測定点が、建物が存在する領域に含まれる場合、ノイズ除去部130は、例えば、そのノイズ測定点が含まれる建造物と同じ建造物の表面の建造物測定点を抽出してもよい。ノイズ除去部130は、抽出された建造物測定点において測定された地表面の高さの変化の測定値に基づいて、ノイズ測定点における地表面の高さの変化の推定値を推定してもよい。具体的には、ノイズ除去部130は、抽出された建造物測定点において測定された地表面の高さの変化の測定値の、上述の統計値を、ノイズ測定点における地表面の高さの変化の推定値としてよい。
【0055】
ノイズ測定点が、建物が存在する領域に含まれない場合、ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する地面測定点において測定された地表面の高さの変化の測定値に基づいて、ノイズ測定点における地表面の高さの変化の推定値を推定してよい。具体的には、ノイズ除去部130は、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する地面測定点において測定された地表面の高さの変化の測定値の、上述の統計値を、ノイズ測定点における地表面の高さの変化の推定値としてよい。
【0056】
ノイズ除去部130は、ノイズ除去が行われた測定データを出力部140に送出する。ノイズ除去部130は、更に、測定点の分類の情報を、出力部140に送出してもよい。
【0057】
<<出力部140>>
出力部140は、ノイズ除去部130から、ノイズ除去が行われた測定データを受け取る。出力部140は、更に、測定点の分類の情報を受け取る。出力部140は、ノイズ除去が行われた測定データを出力先装置300に送出する。出力部140は、更に、測定点の分類の情報を出力先装置300に送出してもよい。
【0058】
出力部140は、例えば、対象範囲の地図の画像の各画素の画素値を、ノイズ除去が行われた測定データの、対応する測定点における地表面の高さの変化に応じた画素値に変更し、画素値の変更が行われた、対象範囲の地図の画像を、出力先装置300に出力してもよい。地図の情報は、例えば、地表情報記憶部150に格納されていてよい。出力部140は、対象範囲の地図の情報を地表情報記憶部150から読み出し、読み出した情報に基づいて、画素値の変更が行われた、対象範囲の地図の画像を生成してもよい。出力部140は、対象範囲を表す地図の、各測定点に対応する位置に、測定点の分類の情報を示すマークを重畳してもよい。測定点の分類の情報を示すマークは、例えば、色や形が異なる円や多角形などの図形であってもよい。出力先装置300がディスプレイである場合、出力部140は、生成した地図の画像を出力先装置300に表示してよい。
【0059】
<<出力先装置300>>
出力先装置300は、例えば、ディスプレイであってもよい。その場合、出力部140は、生成した地図の画像や、地表面の高さの変化を表す文字情報等を、出力先装置300に表示してよい。出力先装置300は、例えば、記憶装置であってもよい。その場合、出力部140は、ノイズ除去が行われた測定データや、測定手の分類の情報を、出力先装置300に格納してよい。出力先装置300は、端末装置又はサーバ装置などのコンピュータであってもよい。その場合、出力部140は、ノイズ除去が行われた測定データや、測定手の分類の情報を、出力先装置300に送信してよい。
【0060】
<動作>
次に、本実施形態の測定データ処理装置100の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0061】
図2は、本実施形態の測定データ処理装置100の動作の例を表すフローチャートである。図2に示す例では、取得部110が、測定データ記憶装置200から、測定データを取得する(ステップS101)。上述のように、測定データは、対象範囲に含まれる複数の測定点における、地表面の高さの測定値と、地表面の高さの変化の測定値とを含む。次に、判定部120が、地表情報記憶部150から、地表情報を読み出す(ステップS102)。上述のように、地表情報は、地面の高さを表す情報である。判定部120は、対象範囲に含まれる前述の複数の測定点における、地面の高さを表す情報を読み出してよい。判定部120は、さらに、建造物情報記憶部160から、建造物情報を読み出す(ステップS103)。判定部120は、対象範囲に含まれる建造物の建造物情報を読み出してよい。判定部120は、地表情報と建造物情報とに基づいて、測定点を建造物測定点と地面測定点とに分類する(ステップS104)。次に、ノイズ除去部130が、測定点を建造物測定点と地面測定点とに分類した結果を表す、測定点の分類の情報に基づいて、測定データのノイズ除去を行う(ステップS105)。そして、出力部140が、測定点の分類を表す情報と、ノイズ除去が行われた測定データとを、出力先装置300に出力する(ステップS106)。
【0062】
<効果>
本実施形態には、地表面の高さが観測された測定点を、建造物上の測定点と、建造物以外の測定点とに分離する精度を向上できるという第1の効果がある。第1の効果が生じる理由は、判定部120が、地面の高さの情報と建造物の三次元形状の情報とに基づいて、測定点が、地面の測定点である地面測定点であるか建造物の測定点である建造物測定点であるかを判定するからである。
【0063】
本実施形態には、地表面の高さの変化の測定値の精度を向上できるという第2の効果がある。第2の効果が生じる理由は、ノイズ除去部130が、ノイズ測定点であると判定された測定点における、地表面の高さの変化の測定値を、その測定点の周囲の測定点における地表面の高さの変化の測定値に基づいて推定するからである。ノイズ測定点は、地表面の高さの測定値がノイズである測定点である。
【0064】
<第1の実施形態の第1の変形例>
以下では、第1の実施形態の変形例について説明する。まず、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
【0065】
本変形例では、判定部120は、建造物測定点から、建造物の側面に存在する側面測定点を検出し、検出した側面測定点を建造物測定点から除外してもよい。判定部120は、例えば、建造物の三次元形状において、水平面となす角度が所定範囲(例えば、90度を含む所定範囲の角度幅)に含まれる面(以下、側面と表記)を検出してもよい。判定部120は、建造物測定点のうち、検出した、側面に存在する測定点を、側面測定点として検出してよい。判定部120は、側面と側面ではない面との両方に含まれる建造物測定点を、建造物測定点から除外しなくてよい。
【0066】
<第1の実施形態の第2の変形例>
第1の実施形態の第2の変形例では、判定部120は、第1の実施形態の判定部120と同様に、対象測定点の高さの測定値と、地面の高さとの差が、第1所定範囲に含まれる場合、その対象測定点を地面測定点と判定する。そして、本変形例の判定部120は、第1の実施形態の判定部120とはことなり、地面の高さとの差が、第1所定範囲に含まれない場合、その対象測定点を建造物測定点と判定する。言い換えると、本変形例の判定部120は、測定点の分類に、建造物情報を使用しない。
【0067】
<第1の実施形態の第3の変形例>
第1の実施形態の第3の変形例では、建造物情報記憶部160は、高さの測定値を安定して得られない建造物(例えば、電線など)の地表面上の位置の情報を記憶している。高さの測定値を安定して得られない建造物を、不安定建造物と表記する。不安定建造物は、例えば、形状が可変であり、形状の変化が大きい建造物である。不安定建造物は、建造物の高さや幅が小さいために、建造物上の観測点における高さの安定した測定をできない建造物である。不安定建造物は、適宜定められていてよい。
【0068】
判定部120は、不安定建造物のからの距離が所定範囲に含まれる測定点のうち、測定された地表面の高さと地面の高さとの差が所定範囲に含まれない測定点を、ノイズ測定点にする。判定部120は、不安定建造物のからの距離が所定範囲に含まれる測定点のうち、測定された地表面の高さと他の建造物の表面の高さとの差が所定範囲に含まれる測定点を、ノイズ測定点ではなく建造物測定点としてよい。
【0069】
<第1の実施形態の第4の変形例>
第1の実施形態の第4の変形例では、ノイズ除去部130は、測定データにおける地表面の高さの変化の測定値のノイズ除去に加えて、測定データにおける地表面の高さの測定値のノイズ除去を行う。具体的には、ノイズ除去部130は、例えば、更に以下の例のように動作する。
【0070】
ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点が、建造物が存在する領域に含まれるか否かを判定する。ノイズ測定点が、建物が存在する領域に含まれる場合、ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する建造物測定点において測定された地表面の高さの測定値に基づいて、ノイズ測定点における地表面の高さの測定値を推定する。推定された地表面の高さの測定値を、地表面の高さの推定値と表記する。具体的には、ノイズ除去部130は、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する建造物測定点において測定された地表面の高さの測定値の統計値を、ノイズ測定点における地表面の高さの推定値としてよい。統計値は、例えば、平均値、中間値、中央値、最頻値などのいずれかであってよい。統計値が最頻値である場合、ノイズ除去部130は、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する建造物測定点において測定された地表面の高さの測定値の値域を所定数又は所定幅の複数の範囲に分割してよい。そして、ノイズ除去部130は、地表面の高さの測定値が最も多く含まれる範囲を特定してよい。ノイズ除去部130は、特定した範囲を代表する値を、ノイズ測定点における地表面の高さの推定値としてよい。特定した範囲を代表する値は、例えば、その範囲の、最小値、中央値、最大値などである。特定した範囲を代表する値は、適宜定められていてよい。
【0071】
ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点を所定平面(例えば、高さの基準面や、海水面に投影した点と、建造物測定点を同じ所定平面に投影した点との間の距離を、ノイズ測定点と建造物測定点との距離として算出してよい。ノイズ測定点が、建物が存在する領域に含まれる場合、ノイズ除去部130は、例えば、そのノイズ測定点が含まれる建造物と同じ建造物の表面の建造物測定点を抽出してもよい。ノイズ除去部130は、抽出された建造物測定点において測定された地表面の高さの測定値に基づいて、ノイズ測定点における地表面の高さの推定値を推定してもよい。具体的には、ノイズ除去部130は、抽出された建造物測定点において測定された地表面の高さの測定値の上述の統計値を、ノイズ測定点における地表面の高さの推定値としてよい。
【0072】
ノイズ測定点が、建物が存在する領域に含まれない場合、ノイズ除去部130は、例えば、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する地面測定点において測定された地表面の高さの測定値に基づいて、ノイズ測定点における地表面の高さの推定値を推定してよい。具体的には、ノイズ除去部130は、ノイズ測定点から所定距離以内に存在する地面測定点において測定された地表面の高さの測定値の、上述の統計値を、ノイズ測定点における地表面の高さの推定値としてよい。
【0073】
<第1の実施形態の第5の変形例>
本変形例では、測定データは、地表面の高さの推移を表すデータと、地表面の高さの変化の推移を表すデータとを含む。
【0074】
地表面の高さの推移を表すデータは、例えば、高さを表す値と、その高さが観測によって得られた時点を表すデータとの組み合わせを複数含むデータであってよい。時点を表すデータの単位は、適宜定められていてよい。例えば、時点を表すデータは、日付を表していてもよく、日付及び時刻を表していてもよい。時刻の単位も、適宜定められていてよい。
【0075】
地表面上の測定点における、地表面の高さの推移を表すデータを、以下では、高さ推移データと表記する。測定データに含まれる高さ推移データは、ノイズの除去などが行われていないデータである。測定データの高さ推移データには、ノイズなどが含まれている。
【0076】
言い換えると、測定データにおいて、高さ推移データは、その高さ推移データが表す高さの推移が測定された測定点の測定点情報と関連付けられていてよい。さらに言い換えると、測定データは、複数の測定点の測定点情報と、複数の測定点の各々における高さ推移データとを含む。
【0077】
また、上述のように、高さの変化は、測定点における、ある時点の地表面の高さの測定値の、その時点の直前の時点の地表面の高さの測定値からの差であってよい。高さの変化は、測定点における、ある時点の地表面の高さの測定値の、その時点の直前の時点の地表面の高さの測定値からの、所定期間当たりの変化によって表した値であってよい。所定期間は、上述の所定期間と同じでよい。以下の説明において、ある時点の地表面の高さの測定値の、その時点の直前の時点の地表面の高さの測定値からの変化を、高さの変化の測定値とも表記する。
【0078】
地表面の高さの変化の推移を表すデータは、例えば、高さの変化を表す値と、その高さの変化が観測によって得られた時点を表すデータとの組み合わせを複数含むデータであってよい。時点を表すデータの単位は、地表面の高さの推移を表すデータにおける時点を表すデータと同じでよい。
【0079】
地表面上の測定点における、地表面の高さの変化の推移を表すデータを、以下では、高さ変化推移データと表記する。測定データに含まれる高さ変化推移データは、ノイズの除去などが行われていないデータである。測定データの高さ変化推移データには、ノイズなどが含まれている。
【0080】
言い換えると、測定データにおいて、高さ変化推移データは、その高さ変化推移データが表す高さの変化の推移が測定された測定点の測定点情報と関連付けられていてよい。さらに言い換えると、測定データは、複数の測定点の測定点情報と、複数の測定点の各々における高さ変化推移データとを含む。
【0081】
本変形例では、判定部120は、測定データに含まれる地表面の高さの測定値が測定された時点毎に、第1の実施形態の判定部120と同様に、測定点の分類を行う。ノイズ除去部130は、測定データに含まれる地表面の高さの変化の測定値が得られた時点毎に、第1の実施形態のノイズ除去部130と同様に、ノイズ測定点における地表面の高さの変換測定値の推定値の算出を行う。
【0082】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0083】
<<構成>>
図3は、本実施形態の測定データ処理装置101の構成の例を表すブロック図である。
【0084】
図3に示す例では、本実施形態の測定データ処理装置101は、取得部110と、判定部120と、を備える。取得部11は、合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得する。判定部120は、あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う。本実施形態の判定部120による判定の方法は、第1の実施形態の判定部120の判定の方法と同じでよい。
【0085】
<<動作>>
図4は、本実施形態の測定データ処理装置101の動作の例を表すフローチャートである。図4に示す例では、取得部110が、測定データを取得する(ステップS201)。次に、判定部120が、測定点が建造物測定点であるか地面測定点であるかを判定する(ステップS202)。
【0086】
<<効果>>
本実施形態には、第1の実施形態の第1の効果と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の第1の効果が生じる理由と同じである。
【0087】
<他の実施形態>
測定データ処理装置100及び測定データ処理装置101は、記憶媒体から読み出されたプログラムがロードされたメモリと、そのプログラムを実行するプロセッサとを含むコンピュータによって実現することができる。測定データ処理装置100及び測定データ処理装置101は、専用のハードウェアによって実現することもできる。測定データ処理装置100及び測定データ処理装置101は、前述のコンピュータと専用のハードウェアとの組み合わせによって実現することもできる。
【0088】
図5は、測定データ処理装置100及び測定データ処理装置101を実現することができる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。図5に示す例では、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記憶媒体である。記憶装置1003が記憶媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、出力先装置300にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、測定データ処理装置100として動作させるプログラムが格納されている。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、測定データ処理装置101として動作させるプログラムが格納されていてもよい。
【0089】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、測定データ処理装置100として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、測定データ処理装置100として動作する。
【0090】
同様に、プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、測定データ処理装置101として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、測定データ処理装置101として動作する。
【0091】
取得部110、判定部120、ノイズ除去部130、出力部140は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現することができる。また、地表情報記憶部150、建造物情報記憶部160は、コンピュータ1000が含むメモリ1002やハードディスク装置等の記憶装置1003により実現することができる。あるいは、取得部110、判定部120、ノイズ除去部130、出力部140、地表情報記憶部150、建造物情報記憶部160の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。
【0092】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0093】
(付記1)
合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得する取得手段と、
あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う判定手段と、
を備える測定データ処理装置。
【0094】
(付記2)
前記判定手段は、建造物が除去された前記地表面である地面の高さの情報を含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
付記1に記載の測定データ処理装置。
【0095】
(付記3)
前記判定手段は、建造物の三次元形状と当該建造物の前記地表面における配置とに基づく前記建造物の表面の高さの情報をさらに含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
付記2に記載の測定データ処理装置。
【0096】
(付記4)
前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定データのノイズ除去を行うノイズ除去手段
をさらに備える付記1乃至3のいずれか1項に記載の測定データ処理装置。
【0097】
(付記5)
前記測定データは、前記測定点における地表面の高さの変化の測定値を含み、
前記ノイズ除去手段は、前記測定データの、前記地表面の高さの変化の測定値のノイズ除去を行う
付記4に記載の測定データ処理装置。
【0098】
(付記6)
前記判定手段は、前記測定点が建造物の側面に存在する側面測定点であるか否かを判定し、前記側面測定点を前記建造物測定点から除外する
付記1乃至5のいずれか1項に記載の測定データ処理装置。
【0099】
(付記7)
前記判定手段は、前記建造物測定点が、当該建造物測定点の位置と所定の種類の建造物と距離が所定基準を満たす特定測定点であるか否かを判定し、前記特定測定点を前記建造物測定点から除外する
付記1乃至6のいずれか1項に記載の測定データ処理装置。
【0100】
(付記8)
合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得し、
あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う、
測定データ処理方法。
【0101】
(付記9)
建造物が除去された前記地表面である地面の高さの情報を含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
付記8に記載の測定データ処理方法。
【0102】
(付記10)
建造物の三次元形状と当該建造物の前記地表面における配置とに基づく前記建造物の表面の高さの情報をさらに含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
付記9に記載の測定データ処理方法。
【0103】
(付記11)
前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定データのノイズ除去を行う
付記8乃至10のいずれか1項に記載の測定データ処理方法。
【0104】
(付記12)
前記測定データは、前記測定点における地表面の高さの変化の測定値を含み、
前記測定データの、前記地表面の高さの変化の測定値のノイズ除去を行う
付記11に記載の測定データ処理方法。
【0105】
(付記13)
前記測定点が建造物の側面に存在する側面測定点であるか否かを判定し、前記側面測定点を前記建造物測定点から除外する
付記8乃至12のいずれか1項に記載の測定データ処理方法。
【0106】
(付記14)
前記建造物測定点が、当該建造物測定点の位置と所定の種類の建造物と距離が所定基準を満たす特定測定点であるか否かを判定し、前記特定測定点を前記建造物測定点から除外する
付記8乃至13のいずれか1項に記載の測定データ処理方法。
【0107】
(付記15)
合成開口レーダーによって測定された測定点における地表面の高さの測定値のデータである測定データを取得する取得処理と、
あらかじめ得られている前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定点が建造物の測定点である建造物測定点であるか、建造物測定点以外の測定点である地面測定点であるかの判定を行う判定処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0108】
(付記16)
前記判定処理は、建造物が除去された前記地表面である地面の高さの情報を含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
付記15に記載のプログラム。
【0109】
(付記17)
前記判定処理は、建造物の三次元形状と当該建造物の前記地表面における配置とに基づく前記建造物の表面の高さの情報をさらに含む前記地表面の高さの情報に基づいて、前記判定を行う
付記16に記載のプログラム。
【0110】
(付記18)
前記地表面の高さの情報に基づいて、前記測定データのノイズ除去を行うノイズ除去処理
をさらにコンピュータに実行させる付記15乃至17のいずれか1項に記載のプログラム。
【0111】
(付記19)
前記測定データは、前記測定点における地表面の高さの変化の測定値を含み、
前記ノイズ除去処理は、前記測定データの、前記地表面の高さの変化の測定値のノイズ除去を行う
付記18に記載のプログラム。
【0112】
(付記20)
前記判定処理は、前記測定点が建造物の側面に存在する側面測定点であるか否かを判定し、前記側面測定点を前記建造物測定点から除外する
付記15乃至19のいずれか1項に記載のプログラム。
【0113】
(付記21)
前記判定処理は、前記建造物測定点が、当該建造物測定点の位置と所定の種類の建造物と距離が所定基準を満たす特定測定点であるか否かを判定し、前記特定測定点を前記建造物測定点から除外する
付記15乃至20のいずれか1項に記載のプログラム。
【0114】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0115】
この出願は、2020年9月3日に出願された日本出願特願2020-148283を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0116】
1 測定データ処理システム
100 測定データ処理装置
101 測定データ処理装置
110 取得部
120 判定部
130 ノイズ除去部
140 出力部
150 地表情報記憶部
160 建造物情報記憶部
200 測定データ記憶装置
300 出力先装置
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 I/Oインタフェース
1005 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5