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特許7444329通信ネットワークにおける構成可能なアプリケーション・データ・フィルタリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】通信ネットワークにおける構成可能なアプリケーション・データ・フィルタリング
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20240228BHJP
   H04W 8/24 20090101ALI20240228BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20240228BHJP
【FI】
H04W28/06
H04W8/24
H04W88/18
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023501661
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021068076
(87)【国際公開番号】W WO2022017752
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】20187794.1
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】バックネル・ポール
(72)【発明者】
【氏名】モールスレイ・ティモシー
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521406(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003480(WO,A1)
【文献】China Mobile,KI #8, New Sols, Providing UE Analytics to the NWDAF,3GPP TSG SA WG2 #139e S2-2004153,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_139e_Electronic/Docs/S2-2004153.zip>,2020年05月22日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ・ネットワークDN(16)、基地局(14)、前記DN(16)からUEアプリケーション(12)を実行してアプリケーション・データを生成するユーザー装置UE(10)への前記基地局(14)を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含む通信システムにおける方法であって:
前記基地局(14)は、UE構成および能力に関するネットワーク構成情報を前記アルゴリズム・エンティティ上で実行中のDNアプリケーションに送信し;
前記DNアプリケーションは、前記ネットワーク構成情報に基づいてフィルタリング構成を生成し、前記アルゴリズム・エンティティ(18)への送信前に前記アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するために、前記UE(10)に送信し、前記UEが前記フィルタリング構成に従ってフィルタリングされたアプリケーション・データを生成できるようにし;
前記接続が、前記フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティに送信する、
方法。
【請求項2】
前記DNアプリケーションが人工知能AIアプリケーションであり、前記UE(10)によって生成されたアプリケーション・データは、前記AIアプリケーションのトレーニング・フェーズまたは推論フェーズにおいて使用され;前記UE(10)によって生成されたアプリケーション・データは前記AIアプリケーションのトレーニング・フェーズおよび推論フェーズの両方において使用され、前記アルゴリズムは、各フェーズにおいて異なるフィルタリング構成を適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、推論またはトレーニングの一部としてフィルタリングを初期に実行し、前記アルゴリズム・エンティティ(18)における該フィルタリングは、次いで、前記フィルタリング構成によって少なくとも部分的に前記UE(10)に転送される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリング構成は、トレーニングまたは推論フェーズの間にチューニングされる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、前記UEと前記基地局との間の前記アプリケーション・データの転送に関連する一つまたは複数の好ましいネットワーク構成を決定し、該好ましいネットワーク構成を前記基地局に送る決定アプリケーションを含む、請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記一つまたは複数の好ましいネットワーク構成は、前記ネットワーク構成情報に基づく、および/または前記DNアプリケーションにおいて使用される前記UE(10)からの前記アプリケーション・データに基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、前記基地局(14)またはセッション管理機能SMFから複数の可能なネットワーク構成を受信し、これらの可能なネットワーク構成から前記一つまたは複数の好ましいネットワーク構成を決定する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、前記ネットワーク構成情報の要求を送信する、請求項1ないし7のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記UE(10)がフィルタリングを開始する前に、フィルタリングされていないアプリケーション・データが前記UE(10)から前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信される、請求項1ないし8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記通信システムが複数のUEに接続され、各UEは前記UEアプリケーション(12)のインスタンスを実行し、各UE(10)のためのデータ・ストリームは、前記基地局(14)内で異なるフローに分離される、または前記基地局(14)内で共通のデータ・フローに組み合わされ、ここで、組み合わせまたは分離に関する決定は、セッション管理機能SMFによって制御される、請求項1ないし9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記フィルタリング構成は、UE無線インターフェースを通じて、UE固有の制御シグナリング・チャネルを使って送信され、非アクセス層NASを介して前記UEアプリケーション(12)に前記フィルタリング構成を適用する、または、前記フィルタリング構成は、ユーザー・データとして前記UE無線インターフェースによって搬送されるアプリケーション層シグナリングを使用して送信される、請求項1ないし10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
データ・ネットワークDN(16)、基地局(14)、前記DNからUEアプリケーション(12)を実行してアプリケーション・データを生成するユーザー装置UE(10)への前記基地局(14)を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含む通信システムであって:
前記基地局(14)は、UE構成および能力に関するネットワーク構成情報を前記アルゴリズム・エンティティ(18)上で実行されるDNアプリケーションに送信するように構成され;
前記DNアプリケーションは、前記アルゴリズム・エンティティ(18)への送信前に前記アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するために、前記ネットワーク構成情報に基づくフィルタリング構成を生成し、前記UE(10)に送信するように構成され、前記UE(10)が前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングできるようにし;
前記接続は、前記フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信するように構成される、
通信システム。
【請求項13】
通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)であって、前記通信システムは、基地局(14)、当該UEからデータ・ネットワークDN(16)への前記基地局を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含み、当該UEは:
アプリケーション・データを生成するUEアプリケーション(12)を実行する段階と;
前記アプリケーション・データについてのフィルタリング構成を、前記アルゴリズム・エンティティ(18)上で実行されているDNアプリケーションから受信する段階であって、前記フィルタリング構成は、前記基地局(14)から前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送られる、UE構成および能力に関するネットワーク構成情報に基づいている、段階と;
前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングする段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信する段階とを実行するように構成されている、
ユーザー装置。
【請求項14】
通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)における方法であって、前記通信システムは、基地局(14)、前記UE(10)からデータ・ネットワークDN(16)への前記基地局を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含み、前記UEは:
アプリケーション・データを生成するUEアプリケーション(12)を実行する段階と;
前記アプリケーション・データについてのフィルタリング構成を、前記アルゴリズム・エンティティ(18)上で実行されているDNアプリケーションから受信する段階であって、前記フィルタリング構成は、前記基地局(14)から前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送られる、UE構成および能力に関するネットワーク構成情報に基づいている、段階と;
前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングする段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信する段階とを実行する、
方法。
【請求項15】
通信システムにおいて無線アクセス・ネットワーク動作のために動作する基地局(14)であって、当該基地局(14)は:
当該基地局(14)からデータ・ネットワークDN(16)に、UE構成および能力に関するネットワーク構成情報を送信し;
前記DN(16)内のアルゴリズム・エンティティ(18)上に存在するDNアプリケーションによって前記ネットワーク構成情報を実行し;
前記ネットワーク構成情報に基づいて前記DNアプリケーションからフィルタリング構成を受信し;
前記フィルタリング構成を、前記通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)に送信し;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記UE(10)から受信する段階であって、フィルタリングされたアプリケーション・データは前記フィルタリング構成に基づいてフィルタリングされている、段階を実行し;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記DN(16)内の前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信するように構成されている、
基地局。
【請求項16】
通信システムにおける基地局(14)無線アクセス・ネットワーク動作のための方法であって、当該方法は:
前記基地局(14)からデータ・ネットワークDN(16)に、UE構成および能力に関するネットワーク構成情報を送信する段階と;
前記DN(16)内のアルゴリズム・エンティティ(18)上に存在するDNアプリケーションによって前記ネットワーク構成情報を実行する段階と;
前記ネットワーク構成情報に基づいて前記DNアプリケーションからフィルタリング構成を受信する段階と;
前記フィルタリング構成を、前記通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)に送信する段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記UE(10)から受信する段階であって、フィルタリングされたアプリケーション・データは前記フィルタリング構成に基づいてフィルタリングされている、段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記DN(16)内の前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信する段階とを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークにおける方法に関する。本発明は、さらに、ユーザー装置および基地局ならびにそれらにおける方法に関する。
【0002】
これだけではないが特に、本発明は、4G(LTE-A)または5G(ニューラジオ[New Radio、NR]としても知られる)無線通信ネットワークのような無線通信ネットワーク内の要素を、AI(Artificial Intelligence[人工知能])アプリケーション、ビデオ処理、またはリアルタイム制御のような資源集約的アプリケーションで使用するために、適応させるための技術に関する。
【背景技術】
【0003】
端末(ユーザー装置またはUE、加入者または移動局とも呼ばれる)が、端末の通信範囲〔レンジ〕内の基地局と空中インターフェースを通じて通信する無線通信ネットワークは、広く知られている。ネットワークのこの部分は、無線アクセス・ネットワーク(Radio Access Network、RAN)として知られている。基地局と他のエンティティとの間でコア・ネットワーク内で、通例は有線接続で、さらなる通信が行われてもよい。
【0004】
一つまたは複数の基地局によってサービスされる地理的領域は、一般にセルと称され、典型的には、多くの基地局が適切な位置に設けられて、隣接するおよび/または重複するセルと多かれ少なかれシームレスに、広い地理的領域をカバーするシステムを形成する。
【0005】
典型的には、多くの送信ポイントが適切な位置に設けられて、隣接するおよび/または重複するセルと多かれ少なかれシームレスに、広い地理的領域をカバーするネットワークを形成する(本明細書では、用語「システム」および「ネットワーク」は同義に使用される)。各セルについて、送信ポイントを提供するか少なくとも管理する基地局は、利用可能な帯域幅、すなわち、周波数および時間資源を、セルによってサービスされる諸端末のための個々の資源割り当てに分割する。このようにして、セル内で送信され、基地局によってスケジュールされる信号は、周波数および時間領域において特定の位置を有する。端末はモバイルであってもよく、よって、セル間で移動することがあり、端末が隣接するセル間を移動する際には、端末のネットワークへの接続のハンドオーバーの必要性を促す。端末は、同時にいくつかのセルのレンジ内であることができる(すなわち、いくつかのセルからの信号を検出し、および/またはいくつかのセルと通信することができる)が、最も単純な場合には、1つの「サービス」セルと通信する。端末は、通例、単一のオペレータによって提供される単一のネットワークにのみアクセス可能である。ただし、ネットワーク/オペレータどうしが協力してもよい。
【0006】
無線アクセス技術(Radio Access Technology、RAT)は、電波ベース(無線)の通信ネットワークのための基礎になる物理的接続方法である。1つの無線アクセス技術RAT、または1つのタイプの無線システムは、ロングタームエボリューション(Long-Term Evolution)LTEまたは後のバージョンについてはLTE-A(Advanced)と呼ばれる一組の標準に基づく。システム・トポロジーでは、LTE(この語はここでは一般にLTEとLTE-Aについて使用される)では、各端末(UE)は、無線/空中インターフェース(Uu)を通じて、向上ノードBまたはeNBの形の基地局に無線接続する。
【0007】
なお、上記の議論は、デフォルトでは、たとえば携帯電話、ラップトップ・コンピュータおよびPDAまたはタブレットの形の、人間のユーザーによって操作されるUEについていう。しかしながら、無線通信ネットワークはまた、モノのインターネット(IoT)で使用されるいわゆるマシンタイプ通信(MTC)のために使用されてもよく、ここで、MTCは、必ずしも人間の対話を必要としない一つまたは複数のエンティティを含むデータ通信の形である。MTCに関与するエンティティ(以下、MTC装置(または端末)と称される)もまた、文脈上別の要求がある場合を除き、一種のUEとみなされる。MTC装置の用途は、センサー、ビデオ/イメージング装置、フリート管理、スマート・メータリング、製品追跡、ホームオートメーション、e-ヘルスなどを含う。MTC装置またはIoT装置は、人間のユーザーのモバイル装置とは対照的に、しばしば固定された場所にあり、または、たとえば、ドローンまたは他のビークルに設置されてもよい。
【0008】
LTEに続く次世代無線アクセス・システムは、「5G」または「NR」(New Radio[ニューラジオ])として知られており、帯域幅、効率、柔軟性の増大に対する現代の要求を満たすために必要とされている。
【0009】
5Gにおける物理層(PHY)設計の一部として、資源をスケジュールするとともに、端末との無線通信のための物理的なアンテナを収容する、基地局の伝統的な概念は、(人間の使用のためであれ、IoTの一部としてであれ、)より流動的になる。5G/NRに関して使用される用語は、少なくとも1つの送信ポイントを(ローカルまたはリモートに)管理する「gNB」(次世代ノードB)を含む。そのような送信ポイントは、受信ポイントとして機能することもでき、典型的には、TRPまたはTRxP(送受信ポイント)と呼ばれる。
【0010】
進化型パケット・コア(Evolved Packet Core、EPC)と呼ばれる4Gコア・ネットワーク(CN)では、プロトコルおよび参照ポイント(インターフェース)は、上述のように、移動性管理エンティティ(Mobility Management Entity、MME)、サービスゲートウェイ(Serving Gateway、S-GW)、およびパケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway、P-GW)などの各エンティティについて定義される。あるいはまた、5Gコアでは、各ネットワーク機能(Network Function、NF)についてプロトコルおよび参照ポイント(インターフェース)が定義される。NFは、専用ハードウェア上のネットワーク要素として、専用ハードウェア上で動作するソフトウェア・インスタンスとして、またはクラウド・インフラストラクチャーなどの適切なプラットフォーム上でインスタンス化された仮想化された機能(特定のハードウェアに限定されない)として実装されうる。
【0011】
図1は、非ローミング参照5Gシステム・アーキテクチャーを示す。仕様3GPP(登録商標) TS 23.501は、5Gシステムについてのアーキテクチャーを記述している。
【0012】
5Gアーキテクチャーはサービス・ベースとして定義され、ネットワーク機能間の相互作用は2つの仕方で表現される:
・サービス・ベースの表現。ここでは、制御プレーン内のネットワーク機能(NF)(たとえば、AMF)が、他の認可されたネットワーク機能がサービスにアクセスできるようにする。この表現は、必要な場合に、ポイントツーポイントの参照ポイントも含む。
・参照ポイント表現。これは、任意の2つのネットワーク機能(たとえば、AMFとSMF)間のポイントツーポイントの参照ポイント(たとえば、N11)によって記述されるネットワーク機能におけるNFサービス間に存在する相互作用を示す。
【0013】
サービス・ベースのインターフェースは制御プレーン内で使用される。5Gシステム・アーキテクチャーは、以下のネットワーク機能(NF)からなる(すべてが図1に示されてはいない):
・認証サーバー機能(Authentication Server Function、AUSF)。
・アクセスおよび移動性管理機能(Access and Mobility Management Function、AMF)。
・データ・ネットワーク(Data Network、DN)、たとえばオペレータ・サービス、インターネット・アクセス、またはサードパーティー・サービス。
・非構造化データ記憶機能(Unstructured Data Storage Function、UDSF)。
・ネットワーク公開機能(Network Exposure Function、NEF)。
・ネットワーク・リポジトリー機能(Network Repository Function、NRF)。
・ネットワーク・スライス固有の認証・認可機能(Network Slice Specific Authentication and Authorization Function、NSSAAF)。
・ネットワーク・スライス選択機能(Network Slice Selection Function、NSSF)。
・ポリシー制御機能(Policy Control Function、PCF)。
・セッション管理機能(Session Management Function、SMF)。
・統一データ管理(Unified Data Management、UDM)。
・統一データ・リポジトリー(Unified Data Repository、UDR)。
・ユーザープレーン機能(User Plane Function、UPF)。
・UE無線能力管理機能(UE radio Capability Management Function、UCMF)。
・アプリケーション機能(Application Function、AF)。
・ユーザー装置(User Equipment、UE)。
・(無線)アクセス・ネットワーク((Radio) Access Network、(R)AN)。
・5G装置識別情報レジスタ(5G-Equipment Identity Register、5G-EIR)。
・ネットワークデータ分析機能(Network Data Analytics Function、NWDAF)。
・課金〔チャージング〕機能(CHarging Function、CHF)。
【0014】
5Gシステム・アーキテクチャーは、以下のネットワーク・エンティティをも有する。
・サービス通信プロキシ(Service Communication Proxy、SCP)。
・セキュリティ・エッジ保護プロキシ(Security Edge Protection Proxy、SEPP)。
【0015】
UEは左下に示され、RAN(gNB)に接続されている。UEと5Gコア・アクセスおよび移動性管理機能(AMF)との間にも、主に非アクセス層(non-access stratum、NAS)シグナリングのために、N1インターフェースを介して直接接続がある。gNB(RAN)は、N3インターフェースを通じてUPFと接続する(N9インターフェースは、図示しない2つの異なるUPFの間にある)。N4インターフェースはUPFをセッション管理機能(SMF)に接続し、N2インターフェースはRAN(すなわちgNB)をAMFに接続する。N6インターフェースはデータネットワーク(DN)へのものであり、これはAI機能を実行するサーバー/エンティティへの接続が存在する可能性が高い場所である。
【0016】
図1に示されるアーキテクチャーでは、ユーザープレーン(UP)データは、ユーザープレーン機能(UPF)を通じてデータネットワーク(DN)に転送される。ある実施形態では、AIまたは類似のアプリケーション(たとえば、UE上で実行され、DN内のAIエンティティに接続される)は、DNから直接、データを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
現在のネットワーク構成方法は、トラフィック・フローについてのネットワークにおける詳細な知識の欠如のために、無線資源使用を多様なアプリケーションからの要求に効率的にマッチさせることができるとは限らない。
【0018】
たとえばユーザー・データの上りリンク(UL)ストリームおよび下りリンク(DL)ストリームのサポートのために、全体的な無線効率を改善することを目的としたネットワーク構成の向上のための新しい方法を提供することが望ましい。
【0019】
この5Gアーキテクチャーのような電気通信ネットワークにおけるシグナリングをそのような使用のために最適化するよう、適応させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の側面によれば、データ・ネットワークDN、基地局、前記データ・ネットワークからユーザー装置UEへの前記基地局を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(プログラムされたサーバーなど)を含む(無線)通信システムにおける方法が提供される。
【0021】
UEアプリケーションは、UE上で実行されて、(インターネット/クラウドなどでのアルゴリズム・エンティティ上のアプリケーションで使用するための)アプリケーション・データを生成してもよい。基地局は、ネットワーク構成情報(UE無線インターフェース用)をアルゴリズム・エンティティ上で実行中のDNアプリケーションに送信する。これは、「マスター」アプリケーションであり、そのためにUEはデータを収集する。
【0022】
DNアプリケーションは、ネットワーク構成情報に基づいてフィルタリング構成(または命令)を生成し、UEに送信する。この命令は、アルゴリズム・エンティティに送信する前にアプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するためのものである。ネットワーク構成情報を使用することにより、フィルタリング(これはいずれにせよ行われる可能性が高い)が、特定のネットワーク条件に、そしてもちろんDNアプリケーションの要件に適合することが可能になる。
【0023】
UEは、フィルタリング構成に従ってアプリケーション・データをフィルタリングしてもよく、前記接続は、フィルタリングされたアプリケーション・データをDNアプリケーション/アルゴリズム・エンティティに送信する。DNアプリケーションは、かなりの量のデータを消費するアプリケーションであってもよく、ある実施形態では、アルゴリズム的アプリケーションである。それは、人工知能AIアプリケーション、好ましくは機械学習アプリケーションでありうる。この場合、UEによって生成されたアプリケーション・データは、AIアプリケーションのトレーニング・フェーズまたは推論フェーズ、またはその両方で使用されうる。UEによって生成されたアプリケーション・データが、AIアプリケーションのトレーニング・フェーズと推論フェーズの両方で使用される場合、アルゴリズムは、フィルタリングを特定のフェーズの要件に適合させ、各フェーズにおいて異なるフィルタリング構成を適用してもよい。たとえば、トレーニング・フェーズでは、典型的には(ビットレートの観点で)より大きなボリュームが使用される。AIアプリケーションのトレーニング(典型的には、機械学習技法を使用する)のために、より多くのデータが必要とされるからである。推論フェーズでは、トレーニングされたAIアプリケーションは必要とされる推論を行うためにアプリケーション・データにおいてそれほど多くの情報を必要としないので、(ビットレートの観点で)より少ないボリュームのデータが必要とされると期待される。
【0024】
アルゴリズム・エンティティ上で実行されるAIアプリケーションは、推論またはトレーニングの一部としてフィルタリングを初期に実行してもよく、アルゴリズム・エンティティにおけるフィルタリングは、フィルタリング構成によって少なくとも部分的にUEに転送される。
【0025】
フィルタリング構成は、一定のままでなくてもよく、たとえば、AIアプリケーションの実行の一部として、好ましくは強化学習を使用して、トレーニングまたは推論フェーズの間に調整されてもよい。アルゴリズム・エンティティは、さらに、(別個にまたはAIアプリケーションの一部として)決定アプリケーションを含んでいてもよい。該決定アプリケーションは、UE(端末)と基地局との間のアプリケーション・データの転送に関連する一つまたは複数の好ましいネットワーク構成を決定し、該好ましいネットワーク構成をgNBに送ることができるgNBは、そのUEに適切なものとして、該ネットワーク構成を転送してもよい
これらの一つまたは複数の好ましいネットワーク構成は、ネットワーク(UE)構成情報に基づいていてもよく、および/またはDNアプリケーションで使用されるUEからのアプリケーション・データに基づいていてもよい。2つ以上がgNBに送信される場合、gNB(またはSMF)はネットワークのその知識に応じて、最良の構成を選択してもよい。
【0026】
同様に、アルゴリズム・エンティティは、gNBまたはSMFから複数の可能なネットワーク構成を受信し、これらの可能なネットワーク構成から前記少なくとも1つの好ましいネットワーク構成を決定する。よって、gNBまたはSMFは、ネットワーク構成に対して有意な影響をもつことができる。
【0027】
UE構成情報は、定期的に、またはgNBによって自動的に、アルゴリズム・エンティティに送信されてもよい。あるいはまた、アルゴリズム・エンティティは、構成情報に対する要求を送信してもよい。
【0028】
場合によっては、UEがフィルタリングを開始する前に、フィルタリングされていないアプリケーション・データがUEからアルゴリズム・エンティティに送信されてもよい。これにより、フィルタリングが開始される前にプロセスおよび資源のベースラインを確立することができ、システムは、送信されるべきデータ量およびデータ伝送要件の印象を得ることができる。
【0029】
多くの状況において、通信システムは複数のUEに接続され、各UEは前記UEアプリケーションのインスタンスを実行する。各UEのためのデータ・ストリームは、異なるフローにおいて基地局内で別個であってもよく、または基地局内で共通のデータ・フローに組み合わされてもよい。組み合わせまたは分離に関する決定は、有利には、セッション管理機能SMFによって制御される。
【0030】
フィルタリング構成は、任意の好適な方法を使用して無線インターフェースを介して伝送される。一例では、UE固有の制御シグナリング・チャネルが、好ましくはRRC層(RRCコンテナを使う)において使用され、非アクセス層NASを介してUEアプリケーションにフィルタを適用する。あるいはまた、フィルタリング構成は、ユーザー・データとして無線インターフェースによって搬送されるアプリケーション層シグナリングを使用して無線インターフェースを通じて伝送されてもよい。
【0031】
本発明のさらなる側面によれば、データ・ネットワークDN、基地局、前記DNからアプリケーション・データを生成するUEアプリケーションを実行するユーザー装置への前記基地局を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティを含む通信システムが提供され、前記基地局は、ネットワーク構成情報を前記アルゴリズム・エンティティ上で実行されるDNアプリケーションに送信するように構成され;前記DNアプリケーションは、前記アルゴリズム・エンティティに送信する前に前記アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するために、前記ネットワーク構成情報に基づくフィルタリング構成を生成し、前記UEに送信するように構成され、前記UEが前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングすることを許容し、前記接続は、前記フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティに送信するように構成される。
【0032】
本発明のさらに別の側面によれば、UE、基地局、前記UEからデータ・ネットワークDNへの前記基地局を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティを含む通信システムにアクセスするユーザー装置UEが提供され、UEは:アプリケーション・データを生成するUEアプリケーションを実行する段階と;前記アプリケーション・データについてのフィルタリング構成を、前記アルゴリズム・エンティティ上で実行されているDNアプリケーションから受信する段階であって、前記フィルタリング構成は、前記基地局から前記アルゴリズム・エンティティに送られるネットワーク構成情報に基づいている、段階と;前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングする段階と;フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティに送信する段階とを実行するように構成される。よって、UEは、送信機および受信機と、前記UEアプリケーションを実行するためのプロセッサおよびメモリとを有していてもよい。
【0033】
本発明のさらに別の側面によれば、UEは、UEと、基地局と、前記UEからデータ・ネットワークNDへの基地局を介した接続と、前記DN上のアルゴリズム・エンティティとを含む通信システムにアクセスするユーザー装置UEにおける対応する方法が提供され、UEは:アプリケーション・データを生成するUEアプリケーションを実行する段階と;前記アプリケーション・データについてのフィルタリング構成を、前記アルゴリズム・エンティティ上で実行されているDNアプリケーションから受信する段階であって、前記フィルタリング構成は、前記基地局から前記アルゴリズム・エンティティに送られるネットワーク構成情報に基づいている、段階と;前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングする段階と;フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティに送信する段階とを実行する。
【0034】
本発明のさらに別の側面によれば、通信システムにおいて無線アクセス・ネットワーク動作のために動作する基地局が提供され、該基地局は:前記基地局からデータ・ネットワークDNにネットワーク構成情報を送信し;前記DN内のアルゴリズム・エンティティ上に存在するDNアプリケーションによって前記ネットワーク構成情報を実行し(たとえば、前記DNアプリケーションによって決定される好ましいネットワーク構成に従って前記ネットワークを構成し);前記ネットワーク構成情報に基づいて前記DNアプリケーションからフィルタリング構成を受信し;前記フィルタリング構成を、前記通信システムにアクセスするユーザー装置(UE)に送信し;フィルタリングされたアプリケーション・データを前記UEから受信する段階であって、フィルタリングされたアプリケーション・データは前記フィルタリング構成に基づいてフィルタリングされている、段階を実行し;フィルタリングされたアプリケーション・データを前記DN内の前記アルゴリズム・エンティティに送信するように構成される。
【0035】
ある実施形態では、前記基地局は:前記UE上で実行中のUEアプリケーションから前記アルゴリズム・エンティティ上で実行中のDNアプリケーションへのアプリケーション・データの送信のためのネットワーク構成情報を送信し;前記ネットワーク構成情報に基づくフィルタリング構成を、前記DNアプリケーションから受信し、前記アルゴリズム・エンティティに送信する前に前記アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するために前記フィルタリング構成を前記UEに送信し;フィルタリングされたアプリケーション・データを受信し、それを前記アルゴリズム・エンティティに送信するように構成されてもよい。よって、基地局は、送信機および受信機(および資源割り当てのような通常の基地局機能を実行するためのプロセッサおよびメモリ)を含むことができる。
【0036】
本発明の最後の側面によれば、通信システム内の基地局の無線アクセス・ネットワーク動作のための方法が提供され、当該方法は:前記基地局からデータ・ネットワークDNにネットワーク構成情報を送信する段階と;前記DN内のアルゴリズム・エンティティ上に存在するDNアプリケーションによって前記ネットワーク構成情報を実行する段階と;前記ネットワーク構成情報に基づいて前記DNアプリケーションからフィルタリング構成を受信する段階と;前記フィルタリング構成を前記通信システムにアクセスするユーザー装置(UE)に送信する段階と;フィルタリングされたアプリケーション・データを前記UEから受信する段階であって、前記フィルタリングされたアプリケーション・データは、前記フィルタリング構成に基づいてフィルタリングされている、段階と;前記フィルタリングされたアプリケーション・データを前記DN内の前記アルゴリズム・エンティティに送信する段階とを含む。
【0037】
ある実施形態では、前記基地局は:前記UE上で実行中のUEアプリケーションからアルゴリズム・エンティティ上で実行中のDNアプリケーションへのアプリケーション・データの送信のためのネットワーク構成情報を送信し;前記ネットワーク構成情報に基づくフィルタリング構成を、前記DNアプリケーションから受信し;前記アルゴリズム・エンティティに送信する前に前記アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するために前記フィルタリング構成を前記UEに送信し;フィルタリングされたアプリケーション・データを受信し、それを前記アルゴリズム・エンティティに送信することを含む。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によるUE/システム/基地局は、前述の方法側面の任意の組み合わせを含んでいてもよい。発明実施形態による方法は、それらが処理およびメモリ能力を必要とするという点で、コンピュータ実装されるものとして記載されうる。
【0039】
好ましい実施形態による装置は、ある種の機能を実行するように構成または配置されたものとして記載される。この構成または配置は、ハードウェア、ミドルウェア、または任意の他の適切なシステムを使用することによって行うことができる。好ましい実施形態では、構成または配置はソフトウェアによる。
【0040】
さらなる側面によれば、UE、基地局、またはネットワークによって実行されると、上記の方法定義のいずれかまたはそれらの何らかの組み合わせに従った方法段階を実行するように基地局またはネットワークを構成する命令を含むコンピュータ・プログラムが提供される。コンピュータ・プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。
【0041】
一般に、言及されるハードウェアは、定義された機能を提供するように構成または配置された要素を含んでいてもよい。たとえば、このハードウェアは、受信機、送信機(または組み合わされたトランシーバ)、プロセッサ、メモリ/記憶媒体、ユーザーインターフェース、および端末に一般的に見出される他のハードウェア構成要素を含んでいてもよい。
【0042】
本発明は、デジタル電子回路、またはコンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装されうる。本発明は、コンピュータ・プログラムまたはコンピュータ・プログラム・プロダクト、すなわち、一つまたは複数のハードウェア・モジュールによる実行のため、またはその動作を制御するために、非一時的な情報担体、たとえば、機械読み取り可能な記憶装置または伝搬される信号において実体的に具現されたコンピュータ・プログラムとして実装されてもよい。コンピュータ・プログラムは、スタンドアローン・プログラム、コンピュータ・プログラム部分または複数のコンピュータ・プログラムの形であってもよく、コンパイルまたはインタープリットされる言語を含む任意の形のプログラミング言語で書かれてもよく、それは、スタンドアローン・プログラムとして、またはデータ処理環境での使用に適したモジュール、コンポーネント、サブルーチン、または他のユニットとしてを含め、任意の形で展開されうる。コンピュータ・プログラムは、1つのモジュール上で、または複数のモジュール上で実行されるように展開されうる。該複数のモジュールは、1つのサイト上であってもよく、またはビークル上またはバックエンド・システム内の複数のサイトを横断して分散されていて、通信ネットワークによって相互接続されていてもよい。
【0043】
本発明の方法段階は、コンピュータ・プログラムを実行する一つまたは複数のプログラマブルなプロセッサによって実行されて、入力データに対して作用し、出力データを生成することによって、本発明の機能を実行することができる。
【0044】
本発明は、特定の実施形態に関して記載される。他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。たとえば、本発明の段階は、異なる順序で実行されて、それでいて望ましい結果を達成することがありうる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
例として、添付の図面を参照する。
図1】5Gコア・アーキテクチャーの概念図である。
図2】無線通信ネットワークにおける方法を示すフロー図である。
図3】データをアルゴリズム・エンティティにフィードするUEを使用する既存のAIアプリケーション処理のブロック図である。
図4】UEおよびアルゴリズム・エンティティにおけるAIデータ・フィルタリング構成を示す、図3と同じ構成要素のブロック図である。
図4a】UEと、5GC(5Gコア)の一部であるアルゴリズム・エンティティとにおけるAIデータ・フィルタリング構成を示す、図3と同じ構成要素のブロック図である。
図5】フィルタリング前のがトレーニング・フェーズがUEアプリケーションにおいて追加されることを、複数のUEとともに示す、図3と同じ構成要素のブロック図である。
図6】UEフィルタリングのSMF制御のさらなる指示とともに、図5のトレーニング・フェーズを示すブロック図である。
図7】フィルタリング機構のトレーニング・フェーズにおける、無線通信ネットワークにおける方法のシグナリング図である。
図8】装置(UE)アプリケーションにフィルタリングが追加された、図5および図6と同じ構成要素のブロック図である。
図8a】フィルタリングが装置(UE)アプリケーションに追加され、強化学習が使用される、図5および図6と同じ構成要素のブロック図である
図9図5図6および図8と同じ構成要素を、フィルタリングの動作フェーズにおいて示す図である。
図10】推論/フィルタ更新シグナリングのためにRRC(無線資源制御)を使用する、図7の方法のシグナリング図である。
図11】基地局またはUEの構造を示すハードウェア図である。
図12】アルゴリズム的アプリケーションおよび/または決定アプリケーションが実行されうる、サーバーなどのコンピューティング装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書に記載される方法は、特定のAIまたは他のアルゴリズムの構成が、上りリンク(UL)または下りリンク(DL)のいずれかにおいて転送されるデータのタイプに関連する特定の要件に適合するように制御されうる使用事例を扱う。
【0047】
これは、(AI)アプリケーション・フィルタリング制御と呼ばれてもよく、アプリケーション・データの効率的な転送を許容し、それにより、効率的なRAN動作を提供し、無線効率を最大化し、低減されたデータ処理で向上した分析動作を可能にする。
【0048】
一例では、RAN内の測定モジュールは、UEにサービスするために使用されるビームについてチャネル品質測定値を収集する。クラウド上のトレーニング・モジュール(RANにリンクされている)は、チャネル品質測定に基づいて機械学習(ML)モデルを生成する。MLモデルに基づくアルゴリズムを使用する予測モジュールが、UEにサービスするために使用されるビーム(単数または複数)を選択するために使用される。
【0049】
これは、5G無線(基地局)においてMIMO(Multiple Input Multiple Output[複数入力複数出力])技術が使用されるときに、アンテナ・ビーム選択問題などの問題にML技術がどのように適用されるかの一例である。
【0050】
典型的には、上述のようなMLシステムでは、推論はトレーニングが行われた後に行われる。トレーニングは、データを分類し、たとえば最も効率的なビーム・パターンのような予測を行うために使用されるモデルを作成する。推論は、トレーニングよりも少ない計算資源および帯域幅を必要とし、トレーニング後に、RANを通じて転送される、より小さなバッチのリアルタイム・データを使用して行われ、該データに基づいて正しい予測を迅速に生成する。
【0051】
本明細書に開示される方法は、AIアプリケーションにおけるフィルタリングおよび処理として、MLトレーニングおよび推論をモデル化する(見なす)。この分割は、処理のトレーニングまたは推論タイプのいくつかを、システム内の異なる物理ノードに移動させることを許容する。フィルタリングは、必要とされるデータ予測を実行するためにすべてのデータが必要とされるわけではないMLアルゴリズムの処理の一部として見ることができる。一部のデータは、フィルタ除去され、処理ステップ、たとえば、予測を提供する推論ステップにおいて使用されない。
【0052】
これらの方法は、システム内のアプリケーション(単数または複数)への/からのデータ・ストリームを処理するために、(AI)アプリケーション・データ・フィルタリングのネットワーク制御される構成を導入する。ネットワーク・シグナリングを使用してアプリケーション・データのフィルタリングを制御することの1つの利点は、アプリケーションのニーズが、無線インターフェースを通じてアプリケーション・データを転送する装置の能力および利用可能な資源と、より密接に結合されることである。たとえば、パターン認識AIアプリケーションに高データレートのストリームを送ることができるビデオ処理アプリケーションは、アプリケーション・データのフィルタリングを制御することによって、アプリケーション・データ・ストリームの量を減らすことができる。このことの利点は、無線インターフェースを通じてデータを転送するために使用される装置の処理の必要性が低減されることである。
【0053】
図2は、基地局、UEからデータ・ネットワークへDNへの基地局を介した接続、およびDN上のアルゴリズム・エンティティを含む、ユーザー装置UEによってアクセスされる通信システムにおける一般的な実施形態による方法のフロー図を示す。任意的なステップS2において、(上記で定義されたメイン・システムの外で)UEアプリケーション(DN上の全体的なAIアプリケーションと一緒に使用するためのデータ収集アプリケーションなど)がUE上で実行され、アプリケーション・データを生成する。ステップS4では、基地局が、システムのDN部分内にあるアルゴリズム・エンティティ上で実行中のアプリケーションにネットワーク構成情報を送信する。ステップS6では、DNアプリケーションが、ネットワーク構成情報に基づいたフィルタリング構成を生成し、UEに送信する。アルゴリズム・エンティティに送信する前に、アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するためである。最後に、ステップS8において、UEが、フィルタリング構成に従ってアプリケーション・データをフィルタリングし、接続/UEが、フィルタリングされたアプリケーション・データをアルゴリズム・エンティティに送信する。
【0054】
本明細書におけるフィルタリングは、アプリケーション(UPおよび/またはDL)データのデータ・ボリュームが、冗長な情報を除去することにより、(R)ANを通じた伝送のために低減されることを意味する。
【0055】
一般的なタイプのフィルタリングは、下記を含む:
1.必須でない情報の除去によるデータ情報の量の制御
2.データの圧縮(これは、zipのような可逆圧縮であってもよく、またはjpegなどのような不可逆データ圧縮であってもよい)
3.圧縮に関係しているが、MLに、より関連しているのは、特徴空間ベクトル抽出である。
4.ベイジアン・アプローチ(より多くのデータが利用可能になったときに仮説を更新する)などの統計的技法
5.パターンマッチング。所与のパターンを検出するために、トークンの所与のシーケンスについてデータがチェックされる。
【0056】
たとえば、ビデオ監視カメラの場合、フィルタリング機能は、特定の事前に定義された基準にマッチするビデオ・フレームのみがAIアプリケーションのML部分に渡されるようにセットアップされてもよい。他の例は、たとえば、アプリケーションからのGPS位置データであってもよく、これは、所定の量だけ変化した場合にのみ、AIアプリケーションに渡されるようにフィルタリングされてもよい。特徴抽出の別の例は、ビデオ・データのエッジ検出でありうる。
【0057】
本明細書の方法によって可能にされる他の例は、データ・ネットワークに接続された複数のUEまたはモデムの使用を含む。典型的には、ネットワークに接続されたすべての装置について、フィルタリングを効率的に制御する必要がある。この制御は、アプリケーション・データの転送のために使用されるのと同じ無線インターフェースを通じて送信されるシグナリングの使用によって容易にされうる。
【0058】
一般的なアプローチは、図3から図6図8、および図9に示されており、これらは、既存の現状技術の制御を示し、本明細書に開示されている革新的要素を強調するために使用される。以下の例では、アプリケーション(またはアプリケーションを含む任意のそのような装置)は、AIアルゴリズムにデータ(これはDLおよび/またはULでありうる)を供給するUEまたはMTC端末モデム(ベースバンド変調および復調機能)に接続され、AIアルゴリズムは、データ・ネットワーク(DN)に接続されたエンティティとして示され、装置/UE上のAIアプリケーションと通信する。これらの特徴は特にAIアプリケーションに言及するが、RANでの帯域幅の集中的な使用を必要としうる他のアルゴリズムにも同様に適用可能である。フィルタリングは、AIアプリケーションの一部として示されており、本明細書で説明するように、これは、UEモデム内または他の場所に存在し得る。
【0059】
以下の説明は、図3に示されるような、無線ネットワークに接続されたUE/モデムからのこのタイプのMLアプリケーション・データ処理のための現在の最新技術の説明から始まる。
【0060】
図3ないし図6図8および図9において、UE/モデム10は、そのAIまたはMLアプリケーション12とともに、3GPPシグナリング・ブロック内の左側に示されている。この図において、UE/モデムは、ユーザー端末(たとえば、携帯電話)またはモデム(たとえば、MTCの一部としての通信モジュール)であってもよい。gNB基地局14は3GPPブロックの中央に示されており、UPF、SMF、AMF、NEFおよびその他のネットワーク機能が右に示されている。gNBはUuインターフェースを通じてUEに接続し、他のインターフェースは図1に記載のようになっている。DN 16内のAIアプリケーション18は、N6インターフェースを通じてUPFに、またUE能力/コンテキスト管理のためにNEFにリンクされることが示されている。データ・フローは、太い矢印で、制御シグナリングは細い矢印で示される。なお、UEおよびDN上のAIアプリケーションは、同じ分散アプリケーションの一部または別々のアプリケーションとして見られてもよい。いずれの場合も、それらは、UE上のアプリケーションが、AIアルゴリズムに関連しているかまたはAIアルゴリズムを組み込んでいるDN上のアプリケーションにデータを供給する(および、該DN上のアプリケーションからデータを受信する)という意味で協働する。
【0061】
AIアルゴリズム・エンティティ18(DNを介して通信するように示されている)は、全体的なAIアプリケーションおよび/またはAIアルゴリズムを実行するAIアプリケーションの一部を含みうる、プログラムされたサーバーまたは他のコンピューティング装置である。それは、UEまたはUEに取り付けられたアプリケーションまたは他の任意の接続されたネットワーク装置からデータを受信し、典型的には、該データをフィルタリングし、MLアルゴリズムを使用して該データを処理して、データ内の特定のパターンまたはトレンドをさがす。MLアルゴリズムからの下向き矢印で示されたMLアルゴリズムの出力は、典型的には、処理されたデータおよび/または入力データに対してなされた決定(たとえば、分類)である。AIアルゴリズムをDN内のアプリケーションに接続する矢印によって示されるように、出力データおよび決定は、典型的には、アプリケーションによってさらに処理され、作用される。
【0062】
AIアプリケーションと3GPP 5Gコア・ネットワークの新しい相互作用を図4に示す。ここでは、AIアルゴリズムは、MLアルゴリズムからのフィルタ制御情報を、3GPPネットワークを通じて、UE上のアプリケーションにおけるフィルタ構成に直接送ることによって相互作用する。この新しい構成では、無線インターフェースを通じたフィルタリング制御の転送は、MLRC(Machin Learning Resource Control[機械学習資源制御])として識別される。これは新しいタイプのRRCである。このトラフィックは、gNBによってUEに送達されるものとして示される。このMLRCの送達は、ユーザー・データとして無線リンクによって運ばれる、より上位層のアプリケーション層シグナリングを使用することによっても可能である。gNBは、任意的に、NAS(Non Application Stratum[非アプリケーション層])シグナリングを使用してこのデータをUEに送信することができる。この種のシグナリングは、典型的には、非無線関連情報およびパラメータをUEに転送するために使用される。NAS情報は、典型的には、5GCのAMFに由来する。この情報のために新しい(RRC様の)UE固有の制御シグナリング・チャネルを使用する利点の1つは、データの完全性と送達が保証されることである。
【0063】
UE nwk cfg.(Network configuration[ネットワーク構成])は、潜在的にはNASシグナリングをも使用して、5GC SMF(Session Management Function[セッション管理機能])から、AIアルゴリズム・エンティティ(接続された任意のUE内のAIアプリケーション(単数または複数)からのデータを使用して、全体的なAIアプリケーションを実行するようにプログラムされたサーバーなど)に転送される。
【0064】
図4aは、5GC 3GPPシステムの一部としてのAIエンティティを示す。AIエンティティ18は、UE能力/コンテキスト管理において動作し、他のネットワーク機能に直接接続され、3GPPシグナリングを介してDN 16に接続される。その他の側面は、図4に対して変更されていない。
【0065】
このUE nwk cfg.(Network configuration[ネットワーク構成])および能力は、たとえば、特定のUEについての不連続受信(DRX)パラメータの詳細を含みうる。これらのパラメータは、頻繁な資源要求の制御チャネル・オーバーヘッドを必要とすることなく、所与の固定した既知のパターンでデータを送信するために、UEによって使用されてもよい。よって、これらの方法の一つの利点は、空中インターフェースを通じてアプリケーション・データを転送するために利用可能な、許容されるトラフィック特性に依存して、データのフィルタリングを改善することである。この文脈において、能力は(capability)、UE能力(すなわち、UEがサービス、フィーチャーのサポートなどの観点で何を提供できるか)を指してもよく、また、構成(configuration)は、定義された仕方で動作するようにUEに命令するための、UEへのシグナリングを指してもよい。構成および能力の例は、下記を含む:
・利用可能な帯域などの無線パラメータ
・BSR(Buffer Status reporting[バッファ状態報告])の構成
・PHR報告(Power Headroom Reporting[電力余地報告])の構成
・異なるセルへのハンドオーバーを容易にするための信号強度測定値を報告するための測定値の構成
・UE/PDCPコンテキスト情報(無線ベアラ情報を含む)の詳細
・スライシング(Slicing)の詳細などのCNパラメータ
【0066】
これらの例は、AIアプリケーションにおけるMLアルゴリズムのトレーニング・フェーズと、推論/フィルタリング・フェーズの両方で使用されうる。たとえば、トレーニングのために、帯域幅/レイテンシーについて異なる要件が存在することがあり、MLアルゴリズムは、報告された構成能力を最大限に利用するように調整しうる。
【0067】
さらに、さらなるステップは、AIアプリケーションが(直接またはgNBを介して)UEからの情報を要求することを含むことができる。直接の接触は、5GC内のNEF機能によるか、AIエンティティが上記のように5GCに直接接続されている場合には、直接的である。そのような情報要求は、ネットワーク構成に関連してもよい:ネットワーク構成の詳細が、MLアルゴリズムを調整するために前述のように使用されてもよい。
【0068】
さらなる洗練において、図5は、複数のUEが、どのようにしてアプリケーション・データ(UEごとに1つずつ、D1からD3の矢印で示されている)を、3GPPシステムを横断してAIアルゴリズム・エンティティに供給するかを示す。AIアルゴリズム・エンティティは、典型的には、フィルタリングをチューニングするために使用される制御シグナリングを用いてMLアルゴリズムをトレーニングする。ここで、UE側のアプリケーションは、単一のアプリケーションとして示されているが、複数のUEのそれぞれで個別に実行される。装置アプリケーション・データのストリームを生成する複数の装置の例は、ビデオ監視カメラのような装置を含む。この場合、特定のあらかじめ定義された基準に合致する(任意的に圧縮のある)ビデオ・データの一部または全部が、割り当てられるべき無線資源を決定するAIエンティティ内の決定アプリケーション(ここには示されていない)に渡されうる。決定アプリケーションは、AIアプリケーションまたはAIエンティティの一部であってもよいし、別個のプログラムとして提供されてもよい。さらに、他の情報ストリームが、同時に送られてもよく、(内部GPSまたは他の手段からの)位置データを含むことができる。該位置データも、ビデオ・データと一緒に、AIエンティティ内の決定アプリケーションにおいて使用される。温度データ、光センサー、動き検出等の他の追加的なセンサー入力も送られることができる。これらはすべて、決定アプリケーションにおいて有用なデータのタイプの例である。アプリケーション・データのストリームの頻度および継続時間は、決定アプリケーションによって計算される制約条件に依存する。たとえば、複数の装置およびセンサーがビデオ監視システムの一部として構成される場合、動き検出は、UEによってRAT上で動作する基地局に送信されるビデオ・フレームのストリームの更新レートを決定することができる。次いで、必要とされる無線資源の決定は、任意の所与の時点で構成可能であるか、または将来必要とされる可能性のある特定のアプリケーション・データ・ストリームに最適にマッチするよう、決定アプリケーションによって計算されうる。特に、所与のネットワーク構成のアプリケーションによって、所与のUE(または、複数のアプリケーションが別々の装置からストリーミングされる場合は、UEのグループ)に対して、異なる無線資源が利用可能にされてもよい。
【0069】
多くのUEが、所与の時点でストリームを(一緒に)提供することができる。利用可能な無線資源の異なるタイプは、異なるQoS(Quality of Service[サービス品質])特性をもつ無線ベアラの構成を含みうる。これらの特性は、下記を含むことができる:
・最小データレート
・最大データレート
・レイテンシー
・誤り率
・パケット遅延変動
・順序外送達
・パケット損失
【0070】
他の例は、たとえば、アプリケーションからのGPS位置データであってもよく、これは、必要とされるネットワーク構成がUEにおいて利用可能である場合にのみ、AIアプリケーションに渡されるようにフィルタリングされてもよい。
【0071】
AIエンティティ内のAIアプリケーションは、アプリケーション・データ・ストリームの扱いの異なるフェーズのために異なるフィルタリング制御を適用してもよい。このシナリオでは、AIアプリケーションは、推論フェーズの前のトレーニング・フェーズを含む、所与の機械学習(ML)アルゴリズムのために、無線資源の異なる集合を必要とすることがありうる。MLのトレーニング・フェーズは、任意的に、アプリケーションのML部分をトレーニングするために、所与の時間について、ずっと高い帯域幅のデータ・ストリーム能力を選択してもよい。これは、好ましいネットワーク構成の選択によって達成されうる。
【0072】
決定アプリケーションは、現在のフェーズのために好適な好ましいネットワーク構成を選択するこの目的のために提供されうる。決定アプリケーションは、たとえば、gNBまたはSMF/UPFから複数の可能なネットワーク構成を受信し、端末と基地局との間のアプリケーション・データの転送に関連する少なくとも1つの好ましいネットワーク構成を決定することができる。選択が必要とされる場合(複数の構成が決定される場合)、基地局は、前記少なくとも1つの好ましいネットワーク構成からネットワーク構成を選択することができる。決定アプリケーションは、履歴の装置アプリケーション・データへのアクセスを有していてもよく(または、履歴の装置アプリケーション・データを組み込むための学習フェーズを経ていてもよく)、装置アプリケーションによって必要とされるデータ転送のタイプに依存して、一つまたは複数の好ましいネットワーク構成を選択することができる。
【0073】
端末は、装置アプリケーション・データを基地局を介して決定アプリケーションに転送してもよい。この転送は、基地局での処理を含んでいてもよいし、または基地局は単にデータを中継するだけでもよい。決定アプリケーションは、好ましいネットワーク構成を決定する際に、この装置アプリケーション・データを使用することができ、さまざまな計算分析手段を使用することができる。たとえば、決定アプリケーションは、パターンを識別し、大規模で多様なデータセット上で推論方法を用いるのために好適な、機械学習(ML)アルゴリズムのようなAI方法を使用することができる。
【0074】
ネットワーク内の基地局によって選択されたネットワーク構成は、端末からの装置アプリケーション・データ報告についてのトリガー条件を設定してもよい。よって、ネットワーク構成は、いつデータが送信されるかを決定することができる。このようにして、決定アプリケーションは、(UEとgNBの間で)いつデータが転送されるかを間接的に完全に制御することができるが、gNBから決定アプリケーションに送信された、可能な構成の集合によって許容される仕方によってのみである。このステップ(gNBが可能な構成を決定する)は、無線転送動作を通して最適な電力節約につながる可能性がある。
【0075】
基地局によって決定アプリケーションに提供される、可能なネットワーク構成は、利用可能な構成の集合として提供されてもよい。あるいはまた、可能なネットワーク構成は、たとえば、通信のために好適であると基地局によって見なされる値の任意的な範囲を有する、パラメータのリストとして提供されてもよい。このようにして、決定アプリケーションは、装置アプリケーション自体の要求(可能なネットワーク構成を提供する時に基地局が有するであろう知識)を考慮するネットワーク構成のみを考慮に入れることができる。
【0076】
決定アプリケーション・データは、装置アプリケーション・データの、QoS、データ速度、および周期のような伝送パラメータを、好ましいネットワーク構成を決定する際に使用するために、記憶してもよい。そのような伝送パラメータは、端末または基地局によって明示的に報告されてもよく、またはアプリケーション・データの受信後に暗黙的に決定されてもよい。
【0077】
決定アプリケーションによって基地局に提供される好ましいネットワーク構成は、やはり、利用可能な構成の集合として提供されてもよい。あるいはまた、好ましいネットワーク構成は、たとえば、決定アプリケーションによって通信のために好適であると見なされる値の任意的な範囲を有するパラメータのリストとして提供されてもよい。複数の好ましいネットワーク構成が提供される場合、基地局は、ネットワーク構成についての最終的な選択を行うことができ、基地局は、選択されたネットワーク構成を決定アプリケーションに報告し返すことができる。このようにして、決定アプリケーションは、受け入れ可能なネットワーク構成について通知されてもよく、この情報を使用して、好ましいネットワーク構成を提供する将来のインスタンスにおける決定作業に知らせることができる。すなわち、この手順は強化学習の手段と見なされてもよい。単一の好ましいネットワーク構成が存在する場合、基地局は、それが依然として可能/好適な構成であることを単にチェックし、そうである場合は、その単一の好ましいネットワーク構成を選択し、またはそうでない場合は、たとえば、更新された可能なネットワーク構成を決定アプリケーションに再シグナリングすることによって、方法を再開してもよい。
【0078】
フィルタリング制御情報は、3GPPネットワークを通じて、この特定のアプリケーションで使用されるUEのグループに転送されてもよい。図5に示されるように、複数のデータストリーム(たとえば、D1、D2、D3)は、任意的に、1つの、または可能性としては複数の基地局に接続された複数の(ここでは3つの)UEから送信されてもよい。やはり図5に示されているように、データは、gNB内で、UPFに接続された異なるフローに分離されてもよい(または、異なるUEに由来するため、事実上分離されたままである)が、データが、その後の処理のために、gNBにおいて共通の単数のデータ・フローに組み合わされる(事実上多重化される)ことも可能である。
【0079】
このデータの組み合わせおよび分離は、図6にも示されており、これは、さらなるシグナリング矢印を含む。組み合わされた複数のデータストリーム(D1、D2、D3)は、gNB内で個々のストリームに分離される。典型的には、この種の構成は、生のデータ転送のための最も適切な無線ベアラ構成を直接許容するよう、SMF(セッション管理機能)によって最もよく制御される。
【0080】
初期トレーニングの後、個々のデータ・ストリームのフィルタリングが、図8(後述)に示されるように、UEまたはUEのグループ上でローカルに実行されるアプリケーション上に転送されうることが期待される。
【0081】
DNに接続されたアプリケーションとUE内のアプリケーションとの間の情報の典型的な流れが、5Gの用語で図7に示されているが、任意の適切なRATに適用されうる。トレーニング・フェーズのこの図は、フィルタ更新情報がUEに転送される前に、アプリケーション・データがどのように処理されうるかを示す。
【0082】
S100では、UE上で動作しているアプリケーションによってアプリケーション・データが収集され、DN上のAIアプリケーションで使用するために、転送前にUEバッファに格納されうる。この時点で、たとえばアプリケーションの以前の使用からDNへの伝送に利用可能な資源にデータを適合させるために、UE上のアプリケーション内にデータ・フィルタがすでに存在していてもよい。シグナリング・トレーニングにおいて、S110では、任意的に、DN上のAIアプリケーションは、UE構成および能力情報の要求を送信する。典型的には、この要求は、UEが最初にgNBに接続する(アイドル・モードから接続モードに移行する)ときに、通常はUE接続手順の一部として、送られる可能性がある。次いで、S120では、基地局が、UE構成および能力をAIアプリケーションに送信する。UE能力は、将来の使用のためにネットワークに格納されることが可能であるが、これはネットワークにとっては任意的である。よって、UE能力は、UEからgNBに以前に提供されていてもよく、またはgNBにおいてすでに利用可能であってもよい。AIアプリケーションは、S130において、構成情報に基づいて推論処理を、特に要求されるフィルタリングを更新する。この更新は、AIエンティティ内で、UEにおいて、またはその両方でのフィルタリングについてである。更新は、フィルタ更新が行われている間にアプリケーション・データが転送されないように実行される。決定アプリケーションは、S130推論/フィルタの更新と同時に、好ましいネットワーク構成を決定するように動作してもよい。アプリケーション・データは、S140において、UEアプリケーションからAIアプリケーションに(基地局を介して)転送される。次いで、S150において、推論のUE部分は、フィルタリングの形で、たとえばMLRCを使用して、指示される。好ましいネットワーク構成は、S150と同時に送信されてもよい。S140とS150の順序は、上述のように、アプリケーション・データの転送が続行される前に更新を許容するために、逆にされてもよい。
【0083】
UEにおけるアプリケーション層では、アプリケーション・データのためのフィルタはS160において更新され(すでに実行中でなければ開始され)、その後、さらなるアプリケーション・データがS170においてUEからAIエンティティに送信される。
【0084】
図8は、潜在的には多くのUE(ここでは、UEの番号で示される、たとえばX=3)にまたがって実行される個別のアプリケーションにおけるフィルタリングのためのトレーニング・フェーズの結果の転送を示す。フィルタリング(FXとして示される)は、各UE内のデータ・ストリームDXに適用される。このように動作させられると、3GPPネットワークを通じてこの情報を転送する多くの異なる手段が潜在的に存在する。それは該情報の一対一マッピングや一対多の伝送を含む。この情報の配布のために3GPPシステムを使用することの利点は、SMFおよび/またはgNBが、アプリケーション・データのAIアルゴリズムへの接続を提供する異なるUEのために利用可能な個々の無線リンクに依存して、最適な転送モードを決定できることである。たとえば、gNBまたはSMFは、前述の決定アプリケーションに一つまたは複数の好適な構成を提供することができる。
【0085】
SMFが上記アーキテクチャーにおける異なるフィルタ(F1…F3)を制御しているとき、制御方法は、任意的に、下記のような方法を含みうる:
・一対一の制御(アプリケーション・フィルタリングごとに1つの構成および制御信号)
・一対多の制御(アプリケーション・フィルタリングのすべてのインスタンスについての構成および制御信号のブロードキャスト)。
【0086】
図8aは、MLRC(機械学習資源制御)インターフェースを使用する、AIアプリケーションに存在するフィルタリングのチューニングによって強化学習を使用する可能性をも示している。これの一例は、AIアプリケーションのML部分における特定データ・モデル更新に基づくデータ圧縮のチューニングである。これは、アプリケーション制御によっても達成できる。アプリケーション制御は、UEおよびDNからAIアルゴリズムのML部分への矢印で示され、これは、追加的にアプリケーション・データ制御もまた転送されることを示している。典型的には、このアプリケーション層制御は、アプリケーションの挙動および機能を制御するためにアプリケーション自体の中で使用される制御情報である。
【0087】
MLがトレーニング後に動作しているときは、図9(これも強化学習を示している)に示されるように、アルゴリズム・エンティティにおけるフィルタリングは必要とされなくてもよい。あるいはまた、AIアルゴリズムにおけるフィルタリングの量を減らすことが適切であることもある。
【0088】
図10は、図7に示される信号フローにおける潜在的なさらなる洗練を含む。図7への変更のみを以下に説明する。
【0089】
図10は、UE推論/フィルタ更新シグナリングのアプリケーション層転送がAIアプリケーションからgNBへであり、次いでNAS(非アクセス層)データをもつRRCコンテナ(層およびプロトコル)を使って、これをUE上のアプリケーションに直接送信することを示している。よって、ステップS150は、アルゴリズム・エンティティからgNBに更新を転送するS150a、NASでRRCコンテナを介して更新を転送するステップS150b、およびNASを介してアプリケーション・フィルタ更新をUE上のアプリケーションに適用するステップS150cに分割される。
【0090】
また、図10は、S140におけるアプリケーション・データの送信を省略しており、アプリケーション・データの送信がフィルタ適用後に開始されてもよいことを示している。
【0091】
ハードウェア実装
図11は、アンテナ802、送信および受信ユニット804、コントローラ806、および記憶媒体またはメモリ808を含む、発明実施形態と一緒に使うのに好適な基地局またはUE 800のハードウェア構造を示す。基地局/UE 800は、図2のUE 10または基地局14の例であってもよい。
【0092】
基地局またはUEは、少なくとも1つのRATに属し、基地局は、たとえば、eNBとして記述されてもよく、またはNR/5Gの形をとってgNBとして記述されてもよい。他の/異なる基地局は、他の局から信号を送受信するのに好適である限り、異なるRATの他の形をとってもよい。
【0093】
任意の実施形態において、コントローラ806は、たとえば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または上述のさまざまな機能を実行するようにプログラムされたまたは他の仕方で構成された他の論理回路であってもよい。たとえば、上述のさまざまな機能は、記憶媒体808に記憶され、コントローラ806によって実行されるコンピュータ・プログラムの形で具現されてもよい。
【0094】
図12は、本明細書に記載される通信システムにおける方法におけるアルゴリズム・エンティティの機能を実装するために使用されうるコンピューティング装置のブロック図である。たとえば、コンピューティング装置は、図3におけるDN上のAIアルゴリズム・ブロックにおいて示されているAIアプリケーションおよび/または決定アプリケーションを記憶して実行することができ、コンピューティング装置は、プロセッサ993およびメモリ994を備える。任意的に、コンピューティング装置は、他のコンピューティング装置、たとえば、発明実施形態の他のコンピューティング装置と通信するためのネットワーク・インターフェース997をも含む。
【0095】
たとえば、ある実施形態は、そのようなコンピューティング装置のネットワークから構成されてもよい。任意的に、コンピューティング装置は、キーボードおよびマウス996のような一つまたは複数の入力機構、および一つまたは複数のモニター995のような表示ユニットをも含む。構成要素は、バス992を介して互いに接続可能である。
【0096】
メモリ994は、コンピュータ読み取り可能媒体を含みうる。この用語は、コンピュータ実行可能命令を担持する、またはその上に記憶されたデータ構造を有するように構成された単一の媒体または複数の媒体(たとえば、中央集中型または分散型のデータベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバー)を指しうる。コンピュータ実行可能命令は、たとえば、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、または特殊目的処理装置(たとえば、一つまたは複数のプロセッサ)によってアクセス可能であり、一つまたは複数の機能または動作を実行するための命令およびデータを含んでいてもよい。このように、用語「コンピュータ読み取り可能記憶媒体」は、機械による実行のための、機械に本開示の方法のいずれか一つまたは複数を実行させる命令の集合を記憶、エンコード、または担持することができる任意の媒体を含んでいてもよい。よって、「コンピュータ読み取り可能記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光学式媒体および磁気媒体を含むが、これらに限定されないと解釈されうる。たとえば、限定するものではないが、そのようなコンピュータ読み取り可能媒体は、ランダムアクセスメモリ、(RAM)読み出し専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、または他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶装置、フラッシュ・メモリ装置(たとえば固体メモリ装置)を含む、非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含んでいてもよい。
【0097】
プロセッサ993は、コンピューティング装置を制御し、処理動作を実行するように構成され、たとえば、メモリに記憶されたコードを実行して、一つまたは複数のUEからのデータを使用して複雑なアルゴリズムを実行するさまざまな異なる機能を実行し、および/または、本明細書および特許請求の範囲に記載されるように、それらのUEとの間でのデータの伝送のために使用される資源を決定する。
【0098】
メモリ994は、プロセッサ993によって読み書きされるデータ、たとえば、UE上で実行中のAIアプリケーションからのデータ、および/またはネットワーク構成に対応するデータを格納することができる。本明細書で言及されるところでは、プロセッサは、マイクロプロセッサ、中央処理装置等の一つまたは複数の汎用処理装置を含むんでいてもよい。プロセッサは、複雑命令セット計算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット計算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサもしくは命令セットの組み合わせを実装するプロセッサを含んでいてもよい。また、プロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの一つまたは複数の特殊目的の処理装置を含んでいてもよい。一つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、本明細書で議論される動作およびステップを実行するための命令を実行するように構成される。
【0099】
ネットワーク・インターフェース(ネットワークI/F)997は、インターネットの一部としてDNのようなネットワークに接続されてもよく、該ネットワークを介して他のそのようなコンピューティング装置に接続可能である。ネットワークI/F 997は、ネットワークを介して他の装置から/へ入力/出力されるデータを制御することができる。
【0100】
DN内の図面に示される(AI)アルゴリズム・アプリケーションおよび/または決定アプリケーションは、メモリ994に記憶された処理命令(プログラム)を実行し、ネットワークI/F 997を介して基地局とデータを交換するプロセッサ993(またはその複数)であってもよい。特に、プロセッサ993は、UE上のアプリケーションで使用するために、ネットワークI/Fを介して基地局からデータおよび/または可能なネットワーク構成を受信し、それらの可能なネットワーク構成から少なくとも1つの好ましいネットワーク構成を決定し、該好ましいネットワーク構成を基地局に報告するための処理命令を実行することができる。
【0101】
本発明の側面を具現する方法は、図12に示すようなコンピューティング装置で実行されうる。そのようなコンピューティング装置は、図12に示されるすべての構成要素を有する必要はなく、これらの構成要素のサブセットで構成されてもよい。
【0102】
本発明の側面を具現する方法は、ネットワークを介して一つまたは複数のデータ記憶サーバーと通信する単一のコンピューティング装置によって実行されてもよい。コンピューティング装置は、データおよび好ましい選択されたネットワーク構成を記憶および処理するデータ記憶装置自体であってもよい。
【0103】
本発明の側面を具現する方法は、互いに協働して動作する複数のコンピューティング装置によって実行されてもよい。該複数のコンピューティング装置のうちの一つまたは複数は、好ましい選択されたネットワーク構成の少なくとも一部を記憶するデータ記憶サーバーであってもよい。
【0104】
まとめ
方法は、単一のAIまたは他のアルゴリズム的アプリケーションについて、UE内のアプリケーション・データ・フィルタリングのトレーニングおよび/またはその後の推論(別個のデータ・ネットワーク接続エンティティから)のための制御の、一つまたは複数のUEへの伝送に関する。
【0105】
2つの新しい制御インターフェースが提供されうる:
・5GC NEF機能を使用する、5Gコア・ネットワーク(5GC)のようなコア・ネットワークへのネットワーク・エンティティ
・5GCからUEへのインターフェース(これは、RRCまたはアプリケーション層シグナリングなどの既存のインターフェースを使用できる)
制御シグナリングは、ASかNASのどちらかによって、そして新しいまたは既存の無線ベアラを通じて転送されうる。
【0106】
機能は、トレーニング・フェーズおよび/または推論フェーズにおいて、潜在的には異なるフィルタリング制御とともに使用されうる。機能は、複数UEおよび複数UEフィルタリングのために提供されてもよい。それは、強化学習の適用を含んでいてもよい。
【0107】
配置は、下記の恩恵のいずれかを提供することができる。
【0108】
無線ネットワークでのシグナリングが、AI/MLアプリケーションのための推論/フィルタリングの最適化をサポートする。方法は、単一または複数のUE上で動作するAI/MLアプリケーションを最適化するために、無線インターフェース関連のフィルタリング構成を使用する。
【0109】
方法は、無線インターフェース資源使用を、AI/MLを使用するアプリケーションにおけるデータ・フローのトレーニングおよび/または推論と効率的にマッチさせることが常にできるわけではない、AI/MLのための推論/フィルタリングの現在の制御の欠点および限界に対処する。
【0110】
推論/フィルタリングは、端末へのおよび端末からの多様なトラフィック・フローについての無線インターフェース資源の知識から特に導出される。方法は、ネットワークが、レイテンシー、ビットレートおよび不均一データ整形のような無線インターフェースのユニークな特性によって決定される推論/フィルタリングを制御することを望む場合に対処する。方法は、1つのアプリケーションをサポートする特定のUEまたはUEのグループのためのトラフィック・フローの決定された特性に関して、AI/MLアプリケーションのための最適な推論/フィルタリングを可能にするためのMLアルゴリズムの使用をサポートする。
【0111】
重要な目的は、フィルタリングの使用により、AIアプリケーションによる資源使用量を削減することである。
【0112】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
データ・ネットワークDN(16)、基地局(14)、前記DN(16)からUEアプリケーション(12)を実行してアプリケーション・データを生成するユーザー装置UE(10)への前記基地局(14)を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含む通信システムにおける方法であって:
前記基地局(14)は、ネットワーク構成情報を前記アルゴリズム・エンティティ上で実行中のDNアプリケーションに送信し;
前記DNアプリケーションは、前記ネットワーク構成情報に基づいてフィルタリング構成を生成し、前記アルゴリズム・エンティティ(18)への送信前に前記アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するために、前記UE(10)に送信し、前記UEが前記フィルタリング構成に従ってフィルタリングされたアプリケーション・データを生成できるようにし;
前記接続が、前記フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティに送信する、
方法。
(付記2)
前記DNアプリケーションが人工知能AIアプリケーションであり、前記UE(10)によって生成されたアプリケーション・データは、前記AIアプリケーションのトレーニング・フェーズまたは推論フェーズにおいて使用され;好ましくは、前記UE(10)によって生成されたアプリケーション・データは前記AIアプリケーションのトレーニング・フェーズおよび推論フェーズの両方において使用され、前記アルゴリズムは、各フェーズにおいて異なるフィルタリング構成を適用する、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、推論またはトレーニングの一部としてフィルタリングを初期に実行し、前記アルゴリズム・エンティティ(18)における該フィルタリングは、次いで、前記フィルタリング構成によって少なくとも部分的に前記UE(10)に転送される、付記1に記載の方法。
(付記4)
前記フィルタリング構成は、トレーニングまたは推論フェーズの間に、好ましくは強化学習を使用して、チューニングされる、付記2または3に記載の方法。
(付記5)
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、前記UEと前記基地局との間の前記アプリケーション・データの転送に関連する一つまたは複数の好ましいネットワーク構成を決定し、該好ましいネットワーク構成を前記基地局に送る決定アプリケーションを含む、付記1ないし4のうちいずれか一項に記載の方法。
(付記6)
前記一つまたは複数の好ましいネットワーク構成は、前記ネットワーク構成情報に基づく、および/または前記DNアプリケーションにおいて使用される前記UE(10)からの前記アプリケーション・データに基づく、付記5に記載の方法。
(付記7)
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、前記基地局(14)またはセッション管理機能SMFから複数の可能なネットワーク構成を受信し、これらの可能なネットワーク構成から前記一つまたは複数の好ましいネットワーク構成を決定する、付記5または6に記載の方法。
(付記8)
前記アルゴリズム・エンティティ(18)は、前記ネットワーク構成情報の要求を送信する、付記1ないし7のうちいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
前記UE(10)がフィルタリングを開始する前に、フィルタリングされていないアプリケーション・データが前記UE(10)から前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信される、付記1ないし8のうちいずれか一項に記載の方法。
(付記10)
前記通信システムが複数のUEに接続され、各UEは前記UEアプリケーション(12)のインスタンスを実行し、各UE(10)のためのデータ・ストリームは、前記基地局(14)内で異なるフローに分離される、または前記基地局(14)内で共通のデータ・フローに組み合わされ、ここで、組み合わせまたは分離に関する決定は、前記セッション管理機能SMFによって制御される、付記1ないし9のうちいずれか一項に記載の方法。
(付記11)
前記フィルタリング構成は、前記無線インターフェースを通じて、UE固有の制御シグナリング・チャネルを使って、好ましくは前記RRC層において送信され、非アクセス層NASを介して前記UEアプリケーション(12)に前記フィルタを適用する、または、ユーザー・データとして前記無線インターフェースによって搬送されるアプリケーション層シグナリングを使用して送信される、付記1ないし10のうちいずれか一項に記載の方法。
(付記12)
データ・ネットワークDN(16)、基地局(14)、前記DNからUEアプリケーション(12)を実行してアプリケーション・データを生成するユーザー装置UE(10)への前記基地局(14)を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含む通信システムであって:
前記基地局(14)は、ネットワーク構成情報を前記アルゴリズム・エンティティ(18)上で実行されるDNアプリケーションに送信するように構成され;
前記DNアプリケーションは、前記アルゴリズム・エンティティ(18)への送信前に前記アプリケーション・データをフィルタリングする際に使用するために、前記ネットワーク構成情報に基づくフィルタリング構成を生成し、前記UE(10)に送信するように構成され、前記UE(10)が前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングできるようにし;
前記接続は、前記フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信するように構成される、
通信システム。
(付記13)
通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)であって、前記通信システムは、基地局(14)、当該UEからデータ・ネットワークDN(16)への前記基地局を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含み、当該UEは:
アプリケーション・データを生成するUEアプリケーション(12)を実行する段階と;
前記アプリケーション・データについてのフィルタリング構成を、前記アルゴリズム・エンティティ(18)上で実行されているDNアプリケーションから受信する段階であって、前記フィルタリング構成は、前記基地局(14)から前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送られるネットワーク構成情報に基づいている、段階と;
前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングする段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信する段階とを実行するように構成されている、
ユーザー装置。
(付記14)
通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)における方法であって、前記通信システムは、基地局(14)、前記UE(10)からデータ・ネットワークDN(16)への前記基地局を介した接続、および前記DN上のアルゴリズム・エンティティ(18)を含み、前記UEは:
アプリケーション・データを生成するUEアプリケーション(12)を実行する段階と;
前記アプリケーション・データについてのフィルタリング構成を、前記アルゴリズム・エンティティ(18)上で実行されているDNアプリケーションから受信する段階であって、前記フィルタリング構成は、前記基地局(14)から前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送られるネットワーク構成情報に基づいている、段階と;
前記フィルタリング構成に従って前記アプリケーション・データをフィルタリングする段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信する段階とを実行する、
方法。
(付記15)
通信システムにおいて無線アクセス・ネットワーク動作のために動作する基地局(14)であって、当該基地局(14)は:
当該基地局(14)からデータ・ネットワークDN(16)にネットワーク構成情報を送信し;
前記DN(16)内のアルゴリズム・エンティティ(18)上に存在するDNアプリケーションによって前記ネットワーク構成情報を実行し;
前記ネットワーク構成情報に基づいて前記DNアプリケーションからフィルタリング構成を受信し;
前記フィルタリング構成を、前記通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)に送信し;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記UE(10)から受信する段階であって、フィルタリングされたアプリケーション・データは前記フィルタリング構成に基づいてフィルタリングされている、段階を実行し;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記DN(16)内の前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信するように構成されている、
基地局。
(付記16)
通信システムにおける基地局(14)無線アクセス・ネットワーク動作のための方法であって、当該方法は:
前記基地局(14)からデータ・ネットワークDN(16)にネットワーク構成情報を送信する段階と;
前記DN(16)内のアルゴリズム・エンティティ(18)上に存在するDNアプリケーションによって前記ネットワーク構成情報を実行する段階と;
前記ネットワーク構成情報に基づいて前記DNアプリケーションからフィルタリング構成を受信する段階と;
前記フィルタリング構成を、前記通信システムにアクセスするユーザー装置UE(10)に送信する段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記UE(10)から受信する段階であって、フィルタリングされたアプリケーション・データは前記フィルタリング構成に基づいてフィルタリングされている、段階と;
フィルタリングされたアプリケーション・データを前記DN(16)内の前記アルゴリズム・エンティティ(18)に送信する段階とを含む、
方法。
図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図6
図7
図8
図8a
図9
図10
図11
図12