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特許7444334エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法
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  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図1
  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図2
  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図3
  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図4
  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図5
  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図6
  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図7
  • 特許-エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B66B5/00 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023514227
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2021015337
(87)【国際公開番号】W WO2022219722
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 誠一
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬秀
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-203500(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038927(WO,A1)
【文献】特開2012-068736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行し得るように設けられた本体部と、
前記本体部に設けられ、画像を撮影する撮影部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部がエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記撮影部が前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記撮影部に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体。
【請求項2】
飛行し得るように設けられた本体部と、
前記本体部に設けられ、画像を撮影する撮影部と、
前記本体部に設けられ、カメラがエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記撮影部に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮影部に撮影された画像の情報が前記記憶部に記憶された画像に近づくように前記本体部の水平方向および鉛直方向の飛行位置を制御する請求項1または請求項2に記載の飛翔体。
【請求項4】
前記記憶部は、前記昇降路の内部において鉛直方向を長手方向とする長尺物の画像の情報を記憶し、
前記制御部は、前記撮影部に撮影された画像の情報が前記長尺物の画像の情報に近づくように前記本体部の水平方向の飛行位置を制御する請求項1または請求項2に記載の飛翔体。
【請求項5】
前記記憶部は、前記昇降路の内部において鉛直方向を長手方向とする複数の長尺物が同時に撮影された画像の情報を記憶し、
前記制御部は、前記撮影部に撮影された画像の情報が前記複数の長尺物が同時に撮影された画像の情報に近づくように前記本体部の水平方向の飛行位置を制御する請求項1または請求項2に記載の飛翔体。
【請求項6】
前記記憶部は、前記かごの上の四隅からの画像の情報を記憶し、
前記制御部は、前記かごの上の四隅からの画像に基づいて前記本体部の水平方向の飛行範囲を設定する請求項4または請求項5に記載の飛翔体。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された画像から前記かごの上の四隅からの画像を推定し、前記かごの四隅からの画像に基づいて前記本体部の水平方向の飛行範囲を設定する請求項4または請求項5に記載の飛翔体。
【請求項8】
前記本体部に設けられ、前記本体部の鉛直方向の位置を判定する位置判定部、
を備え、
前記制御部は、前記位置判定部により判定された位置に基づいて前記本体部の鉛直方向の飛行位置を制御する請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の飛翔体。
【請求項9】
前記本体部に設けられ、外部からの鉛直方向の移動に関する情報を受信する受信部、
を備え、
前記制御部は、前記受信部により受信された情報に基づいて前記本体部の鉛直方向の飛行位置を制御する請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の飛翔体。
【請求項10】
前記記憶部は、前記画像の情報と前記かごの鉛直方向の位置の情報とを対応付けて記憶し、
前記制御部は、前記記憶部において対応付けられた前記画像の情報と前記かごの鉛直方向の位置の情報とに基づいて前記本体部の鉛直方向の飛行位置を制御する請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の飛翔体。
【請求項11】
飛行し得るように設けられた本体部と、
前記本体部に設けられ、エレベーターの昇降路の機器との距離を測定する測定部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記測定部が前記かごの昇降に追従しながら測定した距離の情報を記憶した記憶部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記測定部に測定される距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体。
【請求項12】
飛行し得るように設けられた本体部と、
前記本体部に設けられ、エレベーターの昇降路の機器との距離を測定する測定部と、
前記本体部に設けられ、距離センサが前記昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら測定した前記昇降路の機器との距離の情報を記憶した記憶部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記測定部に測定される距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体。
【請求項13】
飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体がエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、
前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体の制御装置。
【請求項14】
飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体とは別のカメラがエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、
前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体の制御装置。
【請求項15】
飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体がエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら測定した前記昇降路の機器との距離の情報を記憶した記憶部と、
前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に測定される距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体の制御装置。
【請求項16】
飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体とは別の距離センサがエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら測定した前記昇降路の機器との距離の情報を記憶した記憶部と、
前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に測定される前記昇降路の機器との距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた飛翔体の制御装置。
【請求項17】
エレベーターの昇降路の内部においてかごの上に飛翔体を載せる飛翔体設置工程と、
前記飛翔体設置工程の後、前記飛翔体が前記かごの上に載せられた状態で前記かごを昇降させながら、前記飛翔体で前記昇降路の内部を撮影して画像の情報を前記飛翔体で記憶する画像情報記憶工程と、
前記画像情報記憶工程の後、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体が撮影する画像の情報が記憶された画像の情報に近づくように、前記飛翔体が飛行位置を制御する飛行位置制御工程と、
を備えた飛翔体の飛行方法。
【請求項18】
エレベーターの昇降路の内部においてかごの上に飛翔体を載せる飛翔体設置工程と、
前記飛翔体設置工程の後、前記飛翔体が前記かごの上に載せられた状態で前記かごを昇降させながら、前記飛翔体で前記昇降路の内部において測定した前記昇降路の機器との距離の情報を前記飛翔体で記憶する距離情報記憶工程と、
前記距離情報記憶工程の後、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体が測定する前記昇降路の機器との距離の情報が記憶された距離の情報に近づくように、前記飛翔体が飛行位置を制御する飛行位置制御工程と、
を備えた飛翔体の飛行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの昇降路の内部を点検する飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの飛翔体を開示する。当該飛翔体は、昇降路の内部の機器に衝突しないように飛行し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2017-128440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の飛翔体においては、多くの距離センサが必要となる。このため、飛翔体の構成が複雑になる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、簡単な構成で飛翔体を昇降路の内部の機器に衝突させずに飛行させることができる飛翔体、飛翔体の制御装置および飛翔体の飛行方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る飛翔体は、飛行し得るように設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、画像を撮影する撮影部と、前記本体部に設けられ、前記本体部がエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記撮影部が前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記撮影部に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、を備えた。
【0007】
本開示に係る飛翔体は、飛行し得るように設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、画像を撮影する撮影部と、前記本体部に設けられ、カメラがエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記撮影部に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、を備えた。
【0008】
本開示に係る飛翔体は、飛行し得るように設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、距離を測定する測定部と、前記本体部に設けられ、前記本体部がエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記測定部が前記かごの昇降に追従しながら測定した距離の情報を記憶した記憶部と、前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記測定部に測定される距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、を備えた。
【0009】
本開示に係る飛翔体は、飛行し得るように設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、距離を測定する測定部と、前記本体部に設けられ、距離センサがエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら測定した距離の情報を記憶した記憶部と、前記本体部に設けられ、前記本体部が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記測定部に測定される距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記本体部の飛行位置を制御する制御部と、を備えた。
【0010】
本開示に係る飛翔体の制御装置は、飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体がエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、を備えた。
【0011】
本開示に係る飛翔体の制御装置は、飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体とは別のカメラがエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶した記憶部と、前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に撮影される画像の情報が前記記憶部に記憶された画像の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、を備えた。
【0012】
本開示に係る飛翔体の制御装置は、飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体がエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら測定した距離の情報を記憶した記憶部と、前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に測定される距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、を備えた。
【0013】
本開示に係る飛翔体の制御装置は、飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体とは別の距離センサがエレベーターの昇降路の内部においてかごの上に載せられた状態で前記かごの昇降に追従しながら測定した距離の情報を記憶した記憶部と、前記飛翔体とは別に設けられ、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体に測定される距離の情報が前記記憶部に記憶された距離の情報に近づくように前記飛翔体の飛行位置を制御する制御部と、
を備えた。
【0014】
本開示に係る飛翔体の飛行方法は、エレベーターの昇降路の内部においてかごの上に飛翔体を載せる飛翔体設置工程と、前記飛翔体設置工程の後、前記飛翔体が前記かごの上に載せられた状態で前記かごを昇降させながら、前記飛翔体で前記昇降路の内部を撮影して画像の情報を前記飛翔体で記憶する画像情報記憶工程と、前記画像情報記憶工程の後、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体が撮影する画像の情報が記憶された画像の情報に近づくように、前記飛翔体が飛行位置を制御する飛行位置制御工程と、を備えた。
【0015】
本開示に係る飛翔体の飛行方法は、エレベーターの昇降路の内部においてかごの上に飛翔体を載せる飛翔体設置工程と、前記飛翔体設置工程の後、前記飛翔体が前記かごの上に載せられた状態で前記かごを昇降させながら、前記飛翔体で前記昇降路の内部において測定した前記昇降路の機器との距離の情報を前記飛翔体で記憶する距離情報記憶工程と、前記距離情報記憶工程の後、前記飛翔体が前記昇降路の内部において前記かごが移動する軌跡の範囲内で飛行する際に、前記飛翔体が測定する前記昇降路の機器との距離の情報が記憶された距離の情報に近づくように、前記飛翔体が飛行位置を制御する飛行位置制御工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、簡単な構成で飛翔体を昇降路の内部の機器に衝突させずに飛行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1における飛翔体が適用されるエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1における飛翔体による画像の記憶方法を説明するための図である。
図3】実施の形態1における飛翔体に記憶された画像の情報を示す図である。
図4】実施の形態1における飛翔体に撮影された画像の情報を示す図である。
図5】実施の形態2における飛翔体が適用されるエレベーターの構成図である。
図6】実施の形態2における飛翔体が適用されるエレベーターの昇降路の横断面図である。
図7】実施の形態3における飛翔体が適用されるエレベーターの昇降路の横断面図である。
図8】実施の形態4における飛翔体が適用されるエレベーターの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0019】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における飛翔体が適用されるエレベーターの構成図である。
【0020】
図1のエレベーターシステムにおいて、昇降路1は、図示されない建築物の各階を貫く。巻上機2は、昇降路1の上部に設けられる。主ロープ3は、巻上機2に巻き掛けられる。
【0021】
一対のかご側ガイドレール4は、昇降路1の内部に設けられる。一対のかご側ガイドレール4の各々の長手方向は、鉛直方向である。かご5は、昇降路1の内部に設けられる。かご5は、下方から主ロープ3の一側に支持される。かご5は、一対のかご側ガイドレール4に鉛直方向に案内される。
【0022】
一対のおもり側ガイドレール6は、昇降路1の内部に設けられる。一対のおもり側ガイドレール6の各々の長手方向は、鉛直方向である。つり合いおもり7は、昇降路1の内部に設けられる。つり合いおもり7の上部は、主ロープ3の他側に支持される。つり合いおもり7は、一対のおもり側ガイドレール6に鉛直方向に案内される。
【0023】
ガバナ8は、昇降路1の上部に設けられる。張り車9は、昇降路1の下部に設けられる。ガバナロープ10は、無端状に設けられる。ガバナロープ10は、ガバナ8と張り車9とに巻き掛けられる。
【0024】
制御装置11は、昇降路1の上部に設けられる。制御装置11は、エレベーターを全体的に制御し得るように設けられる。
【0025】
図1のエレベーターにおいて、制御装置11は、巻上機2を回転させる。主ロープ3は、巻上機2の回転に追従して移動する。かご5とつり合いおもり7とは、主ロープ3の移動に追従して互いに反対方向に昇降する。この際、ガバナロープ10は、かご5の昇降に追従して移動する。ガバナ8は、ガバナロープ10の移動に追従して回転する。制御装置11は、ガバナ8の回転速度に基づいてかご5の鉛直方向の位置を認識する。
【0026】
飛翔体12は、エレベーターの昇降路1の内部の点検に利用される。飛翔体12は、本体部12aと撮影部12bと記憶部12cと制御部12dとを備える。
【0027】
本体部12aは、飛翔体12の筐体をなす。本体部12aは、飛行し得るように設けられる。撮影部12bは、本体部12aに設けられる。撮影部12bは、画像を撮影し得るように設けられる。記憶部12cは、本体部12aに設けられる。記憶部12cは、昇降路1の内部の画像の情報を記憶し得るように設けられる。制御部12dは、本体部12aに設けられる。制御部12dは、飛翔体12の動作を全体的に制御し得るように設けられる。
【0028】
例えば、本体部12aが昇降路1の内部においてかご5の上方で飛行する際、制御部12dは、撮影部12bに撮影された画像の情報が記憶部12cに記憶された画像の情報に近づくように本体部12aの飛行位置を制御する。
【0029】
次に、図2を用いて、飛翔体12による画像の記憶方法を説明する。
図2は実施の形態1における飛翔体による画像の記憶方法を説明するための図である。
【0030】
図2に示されるように、飛翔体12は、昇降路1の内部を点検する前にかご5の上に載せされる。この状態において、制御装置11は、かご5を昇降させる。この際、記憶部12cは、撮影部12bがかご5の昇降に追従しながら撮影した画像の情報を記憶する。
【0031】
次に、図3図4とを用いて、飛翔体12の飛行位置の制御を説明する。
図3は実施の形態1における飛翔体に記憶された画像の情報を示す図である。図4は実施の形態1における飛翔体に撮影された画像の情報を示す図である。
【0032】
図3は、かご5が最下階よりも50mmだけ上方に位置する状態において飛翔体12が記憶した画像の情報を示す。図4は、かご5が最下階に位置する状態において飛翔体12がかご5の上から撮影した画像の情報を示す。図3図4との画像には、昇降路1の機器の画像が含まれる。図3図4とにおいて、昇降路1の機器は、簡略化されて五角形で示される。
【0033】
例えば、昇降路1の内部の点検時において、飛翔体12は、かご5が最下階に位置する場合よりも50mmだけ上方に位置することを目標とする際に現時点において撮影される画像が図3の画像と一致するまでかご5の上方を飛び回る。
【0034】
例えば、昇降路1の内部の点検時において、飛翔体12は、かご5が最下階に位置する場合よりも50mmだけ上方に位置することを目標とする際に図4の画像と図3の画像との差分を判定する。その後、飛翔体12は、当該差分に基づいて50mmだけ上方に移動することを決定する。その後、飛翔体12は、当該決定に基づいて飛行を開始する。その後、飛翔体12は、現時点において撮影される画像が図3の画像と一致するように飛行位置を修正し、現時点において撮影される画像が図3の画像と一致するまで飛行を続ける。
【0035】
以上で説明した実施の形態1によれば、飛翔体12は、かご5の上に載せられた状態で撮影した画像の情報を記憶する。飛翔体12は、撮影された画像の情報が記憶された画像の情報に近づくように飛行位置を制御する。この際、飛翔体12は、昇降路1の内部の機器の位置座標の情報を要することなく、かご5が走行により移動する軌跡の範囲内で飛行を繰り返す。このため、多くのセンサを必要とすることなく、簡単な構成で飛翔体12を昇降路1の内部の機器に衝突させずに飛行させることができる。その結果、着床プレートのように断面積が小さい機器に対しても、飛翔体12が衝突することを回避できる。
【0036】
なお、飛翔体12において、画像の情報とかご5の鉛直方向の位置の情報とを対応付けて記憶してもよい。かご5の鉛直方向の位置の情報は、制御装置11から取得すればよい。この際、飛翔体12は、互いに対応付けられた画像の情報とかご5の鉛直方向の位置の情報とに基づいて鉛直方向の飛行位置を制御すればよい。この場合、飛翔体12の鉛直方向の飛行位置をより正確に制御することができる。
【0037】
また、飛翔体12において、かご5の上の四隅のそれぞれの位置から撮影した画像の情報を記憶してもよい。この際、飛翔体12において、かごの四隅からの画像に基づいて、水平方向の飛行範囲を設定してもよい。なお、飛翔体12をかご5の上に載せる際に、上方から見て飛翔体12がかご5からはみ出さないようにする。この場合、飛翔体12をかご5の上方で確実に飛行させることができる。その結果、飛翔体12が昇降路1の内部の機器に衝突することをより確実に回避できる。
【0038】
また、飛翔体12において、ある画像からかご5の上の四隅からの画像の情報を推定してもよい。この場合、より少ないかご5の走行回数で飛翔体12の水平方向の飛行範囲を設定することができる。
【0039】
実施の形態2.
図5は実施の形態2における飛翔体が適用されるエレベーターの構成図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0040】
実施の形態2において、飛翔体12は、位置判定部12eを備える。位置判定部12eは、本体部12aの鉛直方向の位置を判定する。例えば、位置判定部12eは、上方向または下方向の距離センサの計測値から本体部12aの鉛直方向の位置を判定する。例えば、位置判定部12eは、カメラに撮影された下方向の画像から本体部12aの鉛直方向の位置を判定する。例えば、位置判定部12eは、加速度センサの計測値から本体部12aの鉛直方向の位置を判定する。
【0041】
制御部12dは、位置判定部12eにより判定された位置に基づいて本体部12aの鉛直方向の飛行位置を制御する。
【0042】
次に、図6を用いて、飛翔体12における水平方向の飛行位置の制御を説明する。
図6は実施の形態2における飛翔体が適用されるエレベーターの昇降路の横断面図である。
【0043】
図6において、飛翔体12は、鉛直方向を長手方向とする長尺物の画像に基づいて水平方向の飛行位置を制御する。例えば、飛翔体12において、記憶部12cは、一対のかご側ガイドレール4の一方の画像を記憶する。制御部12dは、撮影部12bに撮影された画像の情報が一対のかご側ガイドレール4の一方の画像の情報に近づくように本体部12aの水平方向の飛行位置を、特に一対のかご側ガイドレール4によって形成される面の法線方向の飛行位置を制御する。
【0044】
以上で説明した実施の形態2によれば、飛翔体12は、撮影された画像の情報が長尺物の画像の情報に近づくように水平方向の飛行位置を制御する。このため、飛翔体12の水平方向の飛行位置を容易に制御することができる。
【0045】
また、飛翔体12は、自らが鉛直方向の位置を判定して鉛直方向の飛行位置を制御する。このため、飛翔体12の鉛直方向の飛行位置を容易に制御することができる。
【0046】
なお、長尺物の画像として、おもり側ガイドレール6、ガバナロープ10の画像を採用してもよい。この場合も、飛翔体12の水平方向の飛行位置を容易に制御することができる。
【0047】
また、長尺物の画像として、鉛直方向において少なくとも1箇所の画像を採用すればよい。例えば、長尺物の画像として、鉛直方向において1箇所のみの画像を採用し、飛翔体12の鉛直方向の位置に関係なく、当該画像を用いて飛翔体12の水平方向の位置を制御してもよい。例えば、長尺物の画像として、かご5が最下階から最上階まで移動する際に連続的に撮影された複数の画像を採用し、飛翔体12の鉛直方向の位置に対応した画像を用いて飛翔体12の水平方向の位置を制御してもよい。例えば、長尺物の画像として、かご5が最下階から最上階まで移動する際に離散的に撮影された複数の画像を採用し、飛翔体12の鉛直方向の位置に最も近い位置で撮影された画像を用いて飛翔体12の水平方向の位置を制御してもよい。
【0048】
実施の形態3.
図7は実施の形態3における飛翔体が適用されるエレベーターの昇降路の横断面図である。なお、実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0049】
図7において、飛翔体12は、鉛直方向を長手方向とする複数の長尺物が同時に撮影された画像に基づいて水平方向の飛行位置を制御する。例えば、飛翔体12において、記憶部12cは、一対のおもり側ガイドレール6が同時に撮影された画像を記憶する。制御部12dは、撮影部12bに撮影された画像の情報が一対のおもり側ガイドレール6の画像の情報に近づくように本体部12aの水平方向の飛行位置を、特に一対のおもり側ガイドレール6によって形成される面の法線方向の飛行位置を制御する。
【0050】
以上で説明した実施の形態3によれば、飛翔体12は、撮影された画像の情報が複数の長尺物が同時に撮影された画像の情報に近づくように水平方向の飛行位置を制御する。このため、飛翔体12の水平方向の飛行位置をより正確に制御することができる。
【0051】
なお、複数の長尺物が同時に撮影された画像として、無端状のガバナロープ10の一側と他側とが同時に撮影された画像を採用してもよい。この場合も、飛翔体12の水平方向の飛行位置をより正確に制御することができる。
【0052】
また、複数の長尺物が同時に撮影された画像として、鉛直方向において少なくとも1箇所の画像を採用すればよい。例えば、複数の長尺物が同時に撮影された画像として、鉛直方向において1箇所のみの画像を採用し、飛翔体12の鉛直方向の位置に関係なく、当該画像を用いて飛翔体12の水平方向の位置を制御してもよい。例えば、複数の長尺物が同時に撮影された画像として、かご5が最下階から最上階まで移動する際に連続的に撮影された複数の画像を採用し、飛翔体12の鉛直方向の位置に対応した画像を用いて飛翔体12の水平方向の位置を制御してもよい。例えば、複数の長尺物が同時に撮影された画像として、かご5が最下階から最上階まで移動する際に離散的に撮影された複数の画像を採用し、飛翔体12の鉛直方向の位置に最も近い位置で撮影された画像を用いて飛翔体12の水平方向の位置を制御してもよい。
【0053】
実施の形態4.
図8は実施の形態4における飛翔体が適用されるエレベーターの構成図である。なお、実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0054】
実施の形態4において、飛翔体12は、受信部12fを備える。受信部12fは、外部からの鉛直方向の移動に関する情報を受信する。例えば、受信部12fは、エレベーターの保守員が操作するリモコンから鉛直方向の移動に関する情報を受信する。
【0055】
制御部12dは、受信部12fにより受信された情報に基づいて本体部12aの鉛直方向の飛行位置を制御する。
【0056】
以上で説明した実施の形態4によれば、飛翔体12は、外部からの情報に基づいて鉛直方向の飛行位置を制御する。このため、飛翔体12の鉛直方向の飛行位置を柔軟に制御することができる。
【0057】
なお、実施の形態1から実施の形態4において、飛翔体12とは別のカメラが昇降路1の内部においてかご5の上に載せられた状態で撮影した画像の情報を飛翔体12で記憶してもよい。この際も、飛翔体12は、撮影された画像の情報が記憶された画像の情報に近づくように飛行位置を制御すればよい。この場合も、簡単な構成で飛翔体12を昇降路1の内部の機器に衝突させずに飛行させることができる。
【0058】
また、実施の形態1から実施の形態4において、撮影部12bを距離センサ等の測定部としてもよい。この際、記憶部12cにおいて、本体部12aが昇降路1の内部においてかご5の上に載せられた状態で測定部が測定した距離の情報を記憶すればよい。制御部12dにおいて、本体部12aが昇降路1の内部においてかご5の上方で飛行する際に、測定部に測定された距離の情報が記憶部12cに記憶された距離の情報に近づくように本体部12aの飛行位置を制御すればよい。この場合も、簡単な構成で飛翔体12を昇降路1の内部の機器に衝突させずに飛行させることができる。
【0059】
また、飛翔体12とは別の距離センサが昇降路1の内部においてかご5の上に載せられた状態で測定した距離の情報を飛翔体12で記憶してもよい。この際も、飛翔体12は、測定された画像の情報が記憶された距離の情報に近づくように飛行位置を制御すればよい。この場合も、簡単な構成で飛翔体12を昇降路1の内部の機器に衝突させずに飛行させることができる。
【0060】
また、飛翔体12の制御装置として、記憶部12cと制御部12dとを飛翔体12とは別に設けてもよい。この場合、より簡単な構成の飛翔体12を昇降路1の内部の機器に衝突させずに飛行させることができる。
【0061】
また、昇降路1の下部に巻上機2、制御装置11が設けられるエレベーターまたは機械室に巻上機2、制御装置11が設けられるエレベーターにおいて、実施の形態1または実施の形態2の飛翔体12を適用してよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本開示の飛翔体および飛翔体の飛行方法は、エレベーターシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 昇降路、 2 巻上機、 3 主ロープ、 4 かご側ガイドレール、 5 かご、 6 おもり側ガイドレール、 7 つり合いおもり、 8 ガバナ、 9 張り車、 10 ガバナロープ、 11 制御装置、 12 飛翔体、 12a 本体部、 12b 撮影部、 12c 記憶部、 12d 制御部、 12e 位置判定部、 12f 受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8