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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H01G4/30 515
H01G4/30 201L
H01G4/30 201N
H01G4/30 512
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018196300
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2019102798
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2017-0167534
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0040402
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャ、バーム ハ
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ス キョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、フィ デ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-011172(JP,A)
【文献】特開2010-208905(JP,A)
【文献】特開2014-143392(JP,A)
【文献】特開2015-029158(JP,A)
【文献】特開平09-320887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、Ba及びTiを含む母材主成分と副成分を含み、
前記セラミック本体は、前記複数の内部電極が重なる領域である活性領域と、前記活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と、セラミック本体の前記上部及び下部カバー部領域に含まれる誘電体組成とが互いに異なり、前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部の誘電率が、前記セラミック本体の前記上部及び下部カバー部領域の誘電率より低く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Siを含む酸化物または炭酸塩、もしくはSiを含むガラス(Glass)化合物を含む第3副成分を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるケイ素(Si)の含量が、前記セラミック本体内に含まれるケイ素(Si)の含量より高く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、希土類酸化物を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれる希土類酸化物の含量は、前記セラミック本体内に含まれる希土類酸化物の含量より低い、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体(前記第1面、第2面、第3面及び第4面に直交する面が、前記セラミック本体より誘電率が低い誘電体で被覆されたものを除く。)と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、Ba及びTiを含む母材主成分と副成分を含み、
前記セラミック本体は、前記複数の内部電極が重なる領域である活性領域と、前記活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と、セラミック本体に含まれる誘電体組成とが互いに異なり、前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部の誘電率が、前記セラミック本体の誘電率より低く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Siを含む酸化物または炭酸塩、もしくはSiを含むガラス(Glass)化合物を含む第3副成分を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるケイ素(Si)の含量が、前記セラミック本体内に含まれるケイ素(Si)の含量より高く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、希土類酸化物を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれる希土類酸化物の含量は、前記セラミック本体内に含まれる希土類酸化物の含量より低い、積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnの少なくとも1つ以上を含む第1副成分を含む、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるマンガン(Mn)の含量が、前記セラミック本体内に含まれるマンガン(Mn)の含量より高い、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Ba及びCaの少なくとも1つを含む第2副成分を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、La、Tb、Yb、及びPrの少なくとも1つを含む第4副成分、及びMgまたはAlを含む第5副成分を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、副成分として、Na及びLiの少なくとも1つ以上をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるNa及びLiの少なくとも1つ以上の含量が、前記セラミック本体内に含まれるNa及びLiの少なくとも1つ以上の含量より高い、請求項7に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、Ba及びTiを含む母材主成分と副成分を含み、
前記セラミック本体は、前記複数の内部電極が重なる領域である活性領域と、前記活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnの少なくとも1つ以上を含む第1副成分を含み、前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるマンガン(Mn)の含量が、前記セラミック本体の前記上部及び下部カバー部領域内に含まれるマンガン(Mn)の含量より高く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Siを含む酸化物または炭酸塩、もしくはSiを含むガラス(Glass)化合物を含む第3副成分を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるケイ素(Si)の含量が、前記セラミック本体内に含まれるケイ素(Si)の含量より高く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、希土類酸化物を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれる希土類酸化物の含量は、前記セラミック本体内に含まれる希土類酸化物の含量より低い、積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体(前記第1面、第2面、第3面及び第4面に直交する面が、前記セラミック本体より誘電率が低い誘電体で被覆されたものを除く。)と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、Ba及びTiを含む母材主成分と副成分を含み、
前記セラミック本体は、前記複数の内部電極が重なる領域である活性領域と、前記活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnの少なくとも1つ以上を含む第1副成分を含み、前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるマンガン(Mn)の含量が、前記セラミック本体内に含まれるマンガン(Mn)の含量より高く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Siを含む酸化物または炭酸塩、もしくはSiを含むガラス(Glass)化合物を含む第3副成分を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるケイ素(Si)の含量が、前記セラミック本体内に含まれるケイ素(Si)の含量より高く、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、希土類酸化物を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれる希土類酸化物の含量は、前記セラミック本体内に含まれる希土類酸化物の含量より低い、積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、副成分として、Ba及びCaの少なくとも1つを含む第2副成分、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、La、Tb、Yb、及びPrの少なくとも1つを含む第4副成分、及びMgまたはAlを含む第5副成分を含む、請求項9または10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、副成分として、Na及びLiの少なくとも1つ以上をさらに含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部内に含まれるNa及びLiの少なくとも1つ以上の含量が、前記セラミック本体内に含まれるNa及びLiの少なくとも1つ以上の含量より高い、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、平均厚さが18μm以下である、請求項12または13に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関し、より詳細には、内部電極の先端部に集中される電界を緩和することで、絶縁破壊を防止して信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体と、本体の内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるようにセラミック本体の表面に設けられた外部電極と、を備える。
【0003】
近年、電子製品の小型化及び多機能化に伴い、チップ部品も小型化及び高機能化する傾向にあるため、積層セラミックキャパシタにも、小型でありながらも、容量が大きい高容量の製品が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、電極有効面積の最大化(容量の実現に必要な有効体積分率の増加)が求められる。
【0005】
上記のように小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造するにあたり、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計によって内部電極の幅方向の面積を最大化するとともに、かかるチップの製作後に、焼成前の段階で、チップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着して完成する方法が適用されている。
【0006】
しかしながら、上記のように積層セラミックキャパシタを製作する際に、従来は、サイドマージン部を形成するための誘電体組成を、セラミック本体の誘電体組成と差別化せず、セラミック本体の誘電体組成物をそのまま用いていた。
【0007】
積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊は、内部電極の先端部に集中される電界によって発生している。
【0008】
上記積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊を防止するためには、内部電極の先端部に集中される電界を緩和しなければならない。
【0009】
したがって、内部電極の先端部に集中される電界を緩和することのできる研究が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開特許第2010-0136917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、内部電極の先端部に集中される電界を緩和することで、絶縁破壊を防止して信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に配置され、上記第1及び第2面に露出し、且つ上記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、上記第1面及び第2面に露出した上記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、上記第1及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と、セラミック本体に含まれる誘電体組成とは互いに異なり、上記第1及び第2サイドマージン部の誘電率が、上記セラミック本体の誘電率より低い、積層セラミックキャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によると、内部電極が、誘電体層の幅方向において全体的に形成され、且つセラミック本体の幅方向の側面に露出し、その上に第1及び第2サイドマージン部が別に付着されることにより、内部電極の重なり面積を最大化して高容量の積層セラミックキャパシタを実現することができる。また、第1及び第2サイドマージン部の誘電率を、上記セラミック本体の誘電率より低く形成することで、内部電極の先端部に集中される電界を緩和させ、絶縁破壊を防止して信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3図1のII-II'線に沿った断面図である。
図4図1に示された積層セラミックキャパシタを構成する一誘電体層を示す上部平面図である。
図5a】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図5b】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図5c】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図5d】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
図5e】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
図5f】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0016】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【0017】
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0018】
図3図1のII-II'線に沿った断面図であり、図4図1に示された積層セラミックキャパシタを構成する一誘電体層を示す上部平面図である。
【0019】
図1から図4を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタは、セラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成される複数の内部電極121、122と、上記セラミック本体110の外表面に形成される外部電極131、132と、を含む。
【0020】
上記セラミック本体110は、互いに対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面と第2面を連結する第3面3及び第4面4と、上面及び下面である第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0021】
上記第1面1及び第2面2はセラミック本体110の幅方向において対向する面、上記第3面3及び第4面4は長さ方向において対向する面、上記第5面5及び第6面6は厚さ方向において対向する面と定義することができる。
【0022】
上記セラミック本体110の形状は特に制限されないが、図面に示すように、直方体形状であることができる。
【0023】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数の内部電極121、122は、セラミック本体の第3面3または第4面4に一端が露出する。
【0024】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対とすることができる。
【0025】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出し、第2内部電極122の一端は第4面4に露出することができる。
【0026】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の他端は、第3面3または第4面4から所定の間隔を置いて形成される。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0027】
上記セラミック本体の第3面3及び第4面4には第1及び第2外部電極131、132が形成され、上記内部電極とそれぞれ電気的に接続されることができる。
【0028】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記セラミック本体110の内部に配置され、上記第1及び第2面1、2に露出し、且つ上記第3面3または第4面4に一端が露出する複数の内部電極121、122と、上記第1面1及び第2面2に露出した上記内部電極121、122の端部上に配置された第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114と、を含む。
【0029】
上記セラミック本体110の内部には複数の内部電極121、122が形成される。上記複数の内部電極121、122の各末端は、上記セラミック本体110の幅方向の面である第1面1及び第2面2に露出し、露出した端部上に第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114が配置される。
【0030】
第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さd1は、18μm以下であることができる。
【0031】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110は、複数の誘電体層112が積層された積層体111と、上記積層体の両側面に形成される第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114とで構成されることができる。
【0032】
上記積層体111を構成する複数の誘電体層112は焼結された状態であって、隣接する誘電体層同士の境界は、確認が不可能な程度に一体化されることができる。
【0033】
上記積層体111の長さは上記セラミック本体110の長さに相当し、上記セラミック本体110の長さは、セラミック本体の第3面3から第4面4までの距離に相当する。すなわち、セラミック本体110の第3及び第4面は、積層体111の第3面及び第4面と理解されることができる。
【0034】
上記積層体111は複数の誘電体層112の積層により形成されるものであって、上記誘電体層112の長さは、セラミック本体の第3面3と第4面4との間の距離を形成する。
【0035】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、セラミック本体の長さは400~1400μmであることができる。より具体的には、セラミック本体の長さは400~800μm、または、600~1400μmであることができる。
【0036】
上記誘電体層上に内部電極121、122が形成されることができ、内部電極121、122は、焼結により、一誘電体層を間に挟んで上記セラミック本体の内部に形成されることができる。
【0037】
図4を参照すると、誘電体層112に第1内部電極121が形成される。上記第1内部電極121は、誘電体層の長さ方向においては全体的に形成されない。すなわち、第1内部電極121の一端は、セラミック本体の第4面4から所定の間隔を置いて形成されることができ、第1内部電極121の他端は、第3面3まで形成されて第3面3に露出することができる。
【0038】
積層体の第3面3に露出した第1内部電極の他端は第1外部電極131と接続される。
【0039】
第1内部電極とは反対に、第2内部電極122の一端は、第3面3から所定の間隔を置いて形成され、第2内部電極122の他端は、第4面4に露出して第2外部電極132と接続される。
【0040】
上記誘電体層112は第1内部電極121の幅と同一の幅を有することができる。すなわち、上記第1内部電極121は、誘電体層112の幅方向においては全体的に形成されることができる。
【0041】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、誘電体層の幅及び内部電極の幅は100~900μmであることができる。より具体的には、誘電体層の幅及び内部電極の幅は100~500μm、または、100~900μmであることができる。
【0042】
セラミック本体が小型化するにつれ、サイドマージン部の厚さが積層セラミックキャパシタの電気的特性に影響し得る。本発明の一実施形態によると、サイドマージン部の厚さが18μm以下に形成され、小型化した積層セラミックキャパシタの特性を向上させることができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、内部電極と誘電体層は同時に切断されて形成されるものであって、内部電極の幅と誘電体層の幅は同一に形成されることができる。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0044】
本実施形態において、誘電体層の幅は内部電極の幅と同一に形成される。これにより、セラミック本体110の幅方向の第1及び第2面に内部電極121、122の末端が露出することができる。
【0045】
上記内部電極121、122の末端が露出したセラミック本体110の幅方向の両側面には、第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114が形成されることができる。
【0046】
上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さは18μm以下であることができる。上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さが小さいほど、セラミック本体内に形成される内部電極の重なり面積が相対的に広くなることができる。
【0047】
上記第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さは、積層体111の側面に露出する内部電極のショートを防止することができる厚さであれば特に制限されないが、例えば、第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さは2μm以上であることができる。
【0048】
上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが2μm未満である場合には、外部衝撃に対する機械的強度が低下する恐れがあり、上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが18μmを超える場合には、内部電極の重なり面積が相対的に減少し、積層セラミックキャパシタの高容量の確保が困難であり得る。
【0049】
積層セラミックキャパシタの容量を最大化するために、誘電体層を薄膜化する方法、薄膜化した誘電体層を高積層化する方法、内部電極のカバレッジを向上させる方法などが考えられている。
【0050】
また、容量を形成する内部電極の重なり面積を増加させる方法が考えられている。
【0051】
内部電極の重なり面積を増加させるためには、内部電極が形成されていないマージン部の領域を最小化させる必要がある。
【0052】
特に、積層セラミックキャパシタが小型化するほど、内部電極の重なり領域を増加させるためには、マージン部の領域を最小化させる必要がある。
【0053】
本実施形態によると、誘電体層の幅方向の全体に内部電極が形成され、サイドマージン部の厚さが18μm以下に設定されるため、内部電極の重なり面積が広いという特徴を有する。
【0054】
通常、誘電体層が高積層化するほど、誘電体層及び内部電極の厚さは薄くなる。したがって、内部電極のショート現象が頻繁に発生し得る。また、誘電体層の一部にのみ内部電極が形成される場合、内部電極による段差が生じて、絶縁抵抗の加速寿命や信頼性が低下し得る。
【0055】
しかし、本実施形態によると、薄膜の内部電極及び誘電体層を形成しても、内部電極が誘電体層の幅方向において全体的に形成されるため、内部電極の重なり面積が大きくなり、積層セラミックキャパシタの容量を大きくすることができる。
【0056】
また、内部電極による段差を減少させることで、絶縁抵抗の加速寿命を向上させるため、優れた容量特性及び信頼性を有する積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0057】
一方、積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊は、内部電極の先端部に集中される電界によって発生している。
【0058】
上記積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊を防止するためには、内部電極の先端部に集中される電界を緩和しなければならない。
【0059】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部113、114に含まれる誘電体組成と、セラミック本体110に含まれる誘電体組成とが互いに異なる。
【0060】
また、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率が、上記セラミック本体110の誘電率より低いことを特徴とする。
【0061】
上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率を上記セラミック本体110の誘電率より低く調節することで、内部電極の先端部に集中される電界を緩和することができ、積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊を防止して積層セラミックキャパシタの信頼性を向上させることができる。
【0062】
上記のように、通常の積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊は、内部電極の先端部に集中される電界によって発生する。内部電極の先端部に集中される電界を緩和する方法としては、本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率を、上記セラミック本体110の誘電率より低く制御することにより緩和が可能である。
【0063】
すなわち、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率が上記セラミック本体110の誘電率より低い場合、内部電極の先端部に集中される電界が分散されながら緩和されるという効果がある。
【0064】
本発明の一実施形態において、上記セラミック本体110は、第1内部電極121と第2内部電極122が重なる領域である活性領域と、上記活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域までを含む部分を意味する。
【0065】
通常の積層セラミックキャパシタの場合、内部電極が互いに重なって容量を形成する活性領域と、内部電極が重ならないか、内部電極が形成されていない領域であるマージン部と、を含むセラミック本体を製作する際に、同一の誘電体組成を有するセラミックグリーンシートを積層して形成するため、活性領域の誘電体組成と、マージン部の誘電体組成が同一であることが一般的である。
【0066】
かかる従来の積層セラミックキャパシタは、同一の誘電体組成を有するセラミックグリーンシートを積層することで、活性領域とマージン部を含むセラミック本体を製作する。したがって、両領域の誘電体組成を異ならせて適用することが不可能な構造である。
【0067】
一方、本発明の一実施形態のように、小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造するにあたり、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計によって内部電極の幅方向の面積を最大化するとともに、かかるチップの製作後に、焼成前の段階で、チップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着して完成する方法が適用されている。
【0068】
しかし、上記のように積層セラミックキャパシタを製作する場合、従来は、サイドマージン部を形成するための誘電体組成を、セラミック本体の誘電体組成と差別化せず、セラミック本体の誘電体組成物をそのまま用いていた。
【0069】
このように、従来は、サイドマージン部を形成するための誘電体組成を、セラミック本体の誘電体組成と差別化せず、セラミック本体の誘電体組成物をそのまま用いていたため、両領域の誘電体組成が同一であり、異ならせて適用していなかった。
【0070】
しかし、本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部113、114に含まれる誘電体組成と、セラミック本体110に含まれる誘電体組成は互いに異なり、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率が、上記セラミック本体110の誘電率より低いことを特徴とする。
【0071】
上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率を上記セラミック本体110の誘電率より低く制御する方法としては、本発明の一実施形態によると、誘電体に含まれる副成分の含量を調節することにより制御が可能である。
【0072】
特に、本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部113、114に含まれる誘電体組成と、セラミック本体110に含まれる誘電体組成において、副成分の含量が互いに異なるように調節するため、サイドマージン部の全体に含まれる副成分の含量と、セラミック本体内に含まれる同一の副成分の含量は互いに異なる。
【0073】
通常、セラミック本体内に含まれる副成分が拡散によってサイドマージン部内に移動することにより、サイドマージン部の一部領域で副成分の含量がより高くなる現象が発生し得る。
【0074】
しかし、本発明の一実施形態によると、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計によってチップの製作後、焼成前の段階で、チップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着して完成する方法を用いる。この際、サイドマージン部を形成するための誘電体組成を、セラミック本体の誘電体組成と異なるようにするため、サイドマージン部全体の副成分の含量とセラミック本体内に含まれる同一の副成分の含量とに差が生じる。
【0075】
上記第1及び第2サイドマージン部113、114と上記セラミック本体110に含まれる誘電体磁気組成物は、Ba及びTiを含む母材主成分を含むことができる。
【0076】
上記母材主成分は、BaTiOまたはCa、Zr、Snなどが一部固溶した(Ba,Ca)(Ti,Ca)O、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O、Ba(Ti,Zr)O、(Ba,Ca)(Ti,Sn)Oで表される主成分を含む。上記母材主成分は、粉末の形態で含まれることができる。
【0077】
上記第1及び第2サイドマージン部113、114と上記セラミック本体110に含まれる誘電体磁気組成物は、副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、及びZnの少なくとも1つ以上を含む第1副成分を含むことができる。
【0078】
また、Ba及びCaの少なくとも1つを含む第2副成分、Siを含む酸化物または炭酸塩、もしくはSiを含むガラス(Glass)化合物を含む第3副成分、Y、Dy、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、La、Tb、Yb、及びPrの少なくとも1つを含む第4副成分、及びMgまたはAlを含む第5副成分をさらに含むことができる。
【0079】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部113、114とセラミック本体110内に含まれる副成分として、マンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量を制御することで、誘電率が互いに異なるようにすることができる。
【0080】
具体的には、上記セラミック本体110に比べて、上記第1及び第2サイドマージン部113、114内に含まれるマンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量がより高い。
【0081】
上記セラミック本体110に比べて、上記第1及び第2サイドマージン部113、114内に含まれるマンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量をより高く調節することで、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率を、上記セラミック本体110の誘電率より低く制御することができる。
【0082】
上記セラミック本体110及び上記第1及び第2サイドマージン部113、114内に含まれるマンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量において、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の全体に含まれるマンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量は、上記セラミック本体110内に含まれるマンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量より高い。
【0083】
すなわち、上記第1及び第2サイドマージン部内の一部領域、例えば、セラミック本体と接する隣接領域内でのみ上記マンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量差が生じるのではなく、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の全体においても、マンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量差が生じる。
【0084】
このような特徴は、従来と異なって、積層セラミックキャパシタの製作過程で、セラミック本体を形成するための誘電体組成と、第1及び第2サイドマージン部を形成するための誘電体組成とを互いに異ならせることによって可能である。
【0085】
これにより、内部電極の先端部に集中される電界を緩和することができ、積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊を防止して積層セラミックキャパシタの信頼性を向上させることができる。
【0086】
一方、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率を上記セラミック本体110の誘電率より低く制御する方法としては、本発明の一実施形態によると、誘電体に含まれる副成分のうち希土類酸化物の含量を調節することにより制御が可能である。
【0087】
具体的には、上記第1及び第2サイドマージン部113、114内に含まれる希土類酸化物の含量は、上記セラミック本体110内に含まれる含量より低くすることができる。但し、これに制限されるものではなく、上記第1及び第2サイドマージン部113、114内に含まれる希土類酸化物の含量は、上記セラミック本体110内に含まれる含量と同一であってもよい。
【0088】
上記希土類元素は、特に制限されないが、例えば、Y、Dy、Ho、Er、及びYbの何れか1つ以上の元素であることができる。
【0089】
また、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率を上記セラミック本体110の誘電率より低く制御する方法としては、本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部113、114はナトリウム(Na)とリチウム(Li)を含むことができる。
【0090】
上記第1及び第2サイドマージン部113、114がナトリウム(Na)とリチウム(Li)をさらに含むことで、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率が、上記セラミック本体110の誘電率より低くなる。これにより、内部電極の先端部に集中される電界を緩和することができ、絶縁破壊を防止して積層セラミックキャパシタの信頼性を向上させることができる。
【0091】
セラミック本体110内にも、ナトリウム(Na)とリチウム(Li)が選択的に含まれることができるが、本発明の一実施形態によると、第1及び第2サイドマージン部113、114の誘電率を上記セラミック本体110の誘電率より低く制御するために、第1及び第2サイドマージン部113、114内にはナトリウム(Na)とリチウム(Li)が必須的に添加され、その含量も、セラミック本体110内に少量添加された含量に比べてより高く含まれることができる。
【0092】
また、上記セラミック本体110及び上記第1及び第2サイドマージン部113、114内に含まれるナトリウム(Na)とリチウム(Li)の含量において、上記第1及び第2サイドマージン部113、114の全体に含まれるナトリウム(Na)とリチウム(Li)の含量は、上記セラミック本体110内に含まれるナトリウム(Na)とリチウム(Li)の含量より高い。
【0093】
以下、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0094】
図5aから図5fは、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図及び斜視図である。
【0095】
図5aに示すように、セラミックグリーンシート212a上に、所定の間隔d4を置いて複数のストライプ状の第1内部電極パターン221aを形成する。上記複数のストライプ状の第1内部電極パターン221aは、互いに平行に形成されることができる。
【0096】
上記所定の間隔d4は、内部電極を互いに異なる極性を有する外部電極と絶縁させるための距離であって、図4に示されたd2×2の距離と理解されることができる。
【0097】
上記セラミックグリーンシート212aは、セラミック粉末、有機溶剤、及び有機バインダーを含むセラミックペーストで形成されることができる。
【0098】
上記セラミック粉末は高い誘電率を有する物質であって、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料などを用いることができ、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を用いることが好ましい。上記セラミックグリーンシート212aが焼成されると、セラミック本体を構成する誘電体層112となる。
【0099】
ストライプ状の第1内部電極パターン221aは、導電性金属を含む内部電極ペーストによって形成されることができる。上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金であることができる。
【0100】
上記セラミックグリーンシート212a上にストライプ状の第1内部電極パターン221aを形成する方法は特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などの印刷法により形成することができる。
【0101】
また、図示していないが、さらに他のセラミックグリーンシート212a上に、所定の間隔を置いて複数のストライプ状の第2内部電極パターン222aを形成することができる。
【0102】
以下、第1内部電極パターン221aが形成されたセラミックグリーンシートを第1セラミックグリーンシートと称し、第2内部電極パターン222aが形成されたセラミックグリーンシートを第2セラミックグリーンシートと称する。
【0103】
次に、図5bに示すように、ストライプ状の第1内部電極パターン221aとストライプ状の第2内部電極パターン222aとが交差積層されるように、第1及び第2セラミックグリーンシートを交互に積層することができる。
【0104】
その後、上記ストライプ状の第1内部電極パターン221aによって第1内部電極121を形成することができ、ストライプ状の第2内部電極パターン222aによって第2内部電極122を形成することができる。
【0105】
図5cは、本発明の一実施例によって第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体210を示す断面図であり、図5dは、第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体210を示す斜視図である。
【0106】
図5c及び図5dを参照すると、複数の平行なストライプ状の第1内部電極パターン221aが印刷された第1セラミックグリーンシートと、複数の平行なストライプ状の第2内部電極パターン222aが印刷された第2セラミックグリーンシートは、互いに交互に積層される。
【0107】
より具体的には、第1セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第1内部電極パターン221aの中央部と、第2セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第2内部電極パターン222a間の間隔d4とが重なるように積層されることができる。
【0108】
次に、図5dに示すように、上記セラミックグリーンシート積層体210は、複数のストライプ状の第1内部電極パターン221a及びストライプ状の第2内部電極パターン222aを横切るように切断されることができる。すなわち、上記セラミックグリーンシート積層体210は、C1-C1の切断線に沿って棒状積層体220に切断されることができる。
【0109】
より具体的には、ストライプ状の第1内部電極パターン221a及びストライプ状の第2内部電極パターン222aは長さ方向に切断され、一定の幅を有する複数の内部電極に分割されることができる。この際、積層されたセラミックグリーンシートも内部電極パターンとともに切断される。これにより、誘電体層は、内部電極の幅と同一の幅を有するように形成されることができる。
【0110】
上記棒状積層体220の切断面に、第1及び第2内部電極の末端が露出することができる。上記棒状積層体の切断面はそれぞれ、棒状積層体の第1側面及び第2側面と称することができる。
【0111】
上記セラミックグリーンシート積層体を焼成した後に、棒状積層体となるように切断することができる。また、上記セラミックグリーンシートを棒状積層体に切断した後に、焼成を行ってもよい。これに制限されるものではないが、上記焼成は1100℃~1300℃のN-H雰囲気で行うことができる。
【0112】
次に、図5eに示すように、上記棒状積層体220の第1及び第2側面のそれぞれに、第1サイドマージン部213a及び第2サイドマージン部214aを形成することができる。第2サイドマージン部214aは明確に示さず、点線でその輪郭を示した。
【0113】
上記第1及び第2サイドマージン部213a、214aは、棒状積層体220に、セラミック粉末を含むセラミックスラリーを用いて形成することができる。
【0114】
上記セラミックスラリーは、セラミック粉末、有機バインダー、及び有機溶剤を含むものであって、第1及び第2サイドマージン部213a、214aが所望の厚さを有するように、セラミックスラリーの量を調節することができる。
【0115】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部213a、214aを形成するためのセラミックスラリー内の組成は、上記棒状積層体220を形成するためのセラミックペースト内の組成と互いに異なる。
【0116】
すなわち、上記第1及び第2サイドマージン部213a、214aを形成するためのセラミックスラリー内の組成は、上記第1及び第2サイドマージン部の誘電率が、セラミック本体に相当する上記棒状積層体220の誘電率より低く形成されるように、上記棒状積層体220を形成するためのセラミックペースト内の組成と異なる。
【0117】
具体的な組成は、上述の本発明の一実施形態による第1及び第2サイドマージン部及びセラミック本体の組成で説明したとおりである。
【0118】
上記棒状積層体220の第1及び第2側面にセラミックスラリーを塗布して第1及び第2サイドマージン部213a、214aを形成することができる。上記セラミックスラリーの塗布方法は特に制限されず、例えば、スプレー方式により噴射、または、ローラーを用いて塗布することができる。
【0119】
また、上記棒状積層体をセラミックスラリーにディッピング(dipping)することで、棒状積層体の第1及び第2側面に第1及び第2サイドマージン部213a、214aを形成することができる。
【0120】
上述のように、上記第1及び第2サイドマージン部の厚さは18μm以下に形成されることができる。
【0121】
次に、図5e及び図5fに示すように、第1及び第2サイドマージン部213a、214aが形成された上記棒状積層体220を、C2-C2の切断線に沿って、個別のチップサイズに応じて切断することができる。
【0122】
棒状積層体220をチップサイズに切断することで、積層本体211と、積層本体の両側面に形成された第1及び第2サイドマージン部213、214と、を有するセラミック本体が形成されることができる。
【0123】
上記棒状積層体220をC2-C2の切断線に沿って切断することで、重なっている第1内部電極の中央部と第2内部電極の間に形成された所定の間隔d4が同一の切断線によって切断されることができる。他の観点では、第2内部電極の中央部と第1内部電極の間に形成された所定の間隔が同一の切断線によって切断されることができる。
【0124】
これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端が、C2-C2の切断線に沿った切断面に相互に露出することができる。上記第1内部電極が露出した面は、図4に示す積層体の第3面3と理解されることができ、上記第2内部電極が露出した面は、図4に示す積層体の第4面4と理解されることができる。
【0125】
上記棒状積層体220をC2-C2の切断線に沿って切断することで、ストライプ状の第1内部電極パターン221a間の所定の間隔d4が半分に切断され、第1内部電極121の一端が、第4面から所定の間隔d2を置いて形成されることになる。また、第2内部電極122の一端が、第3面から所定の間隔を置いて形成されることになる。
【0126】
その後、上記第1及び第2内部電極の一端と接続されるように、上記第3面及び第4面のそれぞれに外部電極を形成することができる。
【0127】
本実施形態のように、棒状積層体220に第1及び第2サイドマージン部を形成し、チップサイズに切断した場合、一回の工程により複数の積層本体211にサイドマージン部を形成することができる。
【0128】
また、図示していないが、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する前に、棒状積層体をチップサイズに切断して複数の積層体を形成することができる。
【0129】
すなわち、棒状積層体を、重なっている第1内部電極の中央部と、第2内部電極の間に形成され、所定の間隔が同一である切断線によって切断されるように切断することができる。これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は、切断面において交互に露出することができる。
【0130】
次に、上記積層本体の第1及び第2面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成することができる。第1及び第2サイドマージン部の形成方法は上述のとおりである。
【0131】
また、上記第1内部電極が露出した積層本体の第3面と、上記第2内部電極が露出した積層本体の第4面に、それぞれ外部電極を形成することができる。
【0132】
本発明の他の実施形態によると、積層体の第1及び第2面を介して第1及び第2内部電極の末端が露出する。積層された複数の第1及び第2内部電極は同時に切断され、上記内部電極の末端は一直線上に位置することができる。その後、上記積層体の第1及び第2面に、第1及び第2サイドマージン部が一括して形成される。上記積層体及び上記第1及び第2サイドマージン部によってセラミック本体が形成される。すなわち、上記第1及び第2サイドマージン部は、セラミック本体の第1及び第2側面を形成するようになる。
【0133】
これにより、本実施形態によると、上記複数の内部電極の末端からセラミック本体の第1及び第2面までの距離は、一定に形成されることができる。また、上記第1及び第2サイドマージン部はセラミックペーストで形成されるものであって、厚さが薄く形成されることができる。
【0134】
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解のためのものにすぎず、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0135】
実験例
本発明の一実施形態に従って、セラミック本体を形成するための誘電体組成と、第1及び第2サイドマージン部を形成するための誘電体組成とを互いに異ならせて準備した。
【0136】
母材主成分と、本発明の一実施形態による副成分含量差を有しない副成分は、上記セラミック本体を形成するための誘電体組成物と第1及び第2サイドマージン部を形成するための誘電体組成物において同様に適用した。
【0137】
具体的には、上記セラミック本体を形成するための誘電体組成物と第1及び第2サイドマージン部を形成するための誘電体組成物において、母材主成分は、50nm級以下のBaTiO粉末を用いた。
【0138】
本発明の一実施形態に従って、実施例は、副成分として、マンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量が、セラミック本体に比べて第1及び第2サイドマージン部内でより高いように、各領域を形成するための誘電体組成物の含量を調節した。
【0139】
これに対し、比較例は、マンガン(Mn)とケイ素(Si)の含量が、セラミック本体と第1及び第2サイドマージン部内で同一であるように製作した。
【0140】
スラリーの製作時に、母材主成分及び副成分の粉末に対して、ジルコニアボールを混合/分散媒介として用い、エタノール/トルエンと分散剤を混合した後、機械的ミル(milling)を行った。その後、誘電体シートの強度を実現するために、バインダー混合工程を追加した。
【0141】
製造されたスラリーを、ヘッド吐出方式のオン-ロール(on roll)成形コーター(coater)を用いて、サイドマージン部を形成することができるように、厚さ10~20μmの成形シートを製造した。
【0142】
そして、幅方向に内部電極が露出し、マージンのないグリーンチップの電極露出部に上記成形シートを付着し、サイドマージン部を形成することができるように5cmx5cmのサイズに切断した。
【0143】
チップの変形を最小化する条件で一定の温度と圧力を加えながら、チップの両面に第1及び第2サイドマージン部を形成するための成形シートを付着することで、0603サイズ(横x縦x高さ:0.6mmx0.3mmx0.3mm)の積層セラミックキャパシタグリーンチップを製作した。
【0144】
このように製作が完了した積層セラミックキャパシタの試験片を、400℃以下、窒素雰囲気でか焼工程を経て、焼成温度1200℃以下、水素濃度0.5%H以下の条件で焼成した後、高温耐電圧などの電気的特性を総合的に確認した。
【0145】
下記表1は、比較例と実施例によって製作された0603サイズ、実際の積層セラミックキャパシタ(MLCC)の電気的特性の結果をまとめて示したものである。
【0146】
【表1】
【0147】
上記表1に示すように、比較例1は、従来の積層セラミックキャパシタのサンプルであり、本体を形成する誘電体組成と、サイドマージン部の誘電体組成とが同一である場合であり、高温耐電圧特性において問題があることが分かる。
【0148】
また、比較例6と7は、サイドマージン部に含まれる副成分であるSiOの含量が、本体に含まれるSiOの含量より少ない場合であり、高温耐電圧特性において問題があることが分かる。
【0149】
また、比較例10は、サイドマージン部に含まれる副成分であるNaCOの含量が、本体に含まれるNaCOの含量より少ない場合であり、高温耐電圧特性において問題があることが分かる。
【0150】
また、比較例13と14は、サイドマージン部に含まれる副成分であるLiOの含量が、本体に含まれるLiOの含量より少ない場合であり、高温耐電圧特性において問題があることが分かる。
【0151】
しかし、上記表1において、実施例2~5、8~9、11~12、及び15は、サイドマージン部に含まれる副成分であるMnO、SiO、NaCO、及びLiOの含量が、本体に含まれる含量よりそれぞれ多い場合であり、高温耐電圧特性に優れていることが分かる。
【0152】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0153】
110 セラミック本体
111 積層体
112 誘電体層
113、114 第1及び第2サイドマージン部
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
212a セラミックグリーンシート
221a、222a ストライプ状の第1及び第2内部電極パターン
210 セラミックグリーンシート積層体
220 棒状積層体
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f