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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】アシストキャスター
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B60B33/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020031582
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021133818
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591101249
【氏名又は名称】株式会社鈴木電機吾一商会
(73)【特許権者】
【識別番号】599133381
【氏名又は名称】山口 仁一
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清友
(72)【発明者】
【氏名】山口 仁一
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197156(JP,A)
【文献】特開平07-033026(JP,A)
【文献】特開平09-202236(JP,A)
【文献】特開2000-142452(JP,A)
【文献】中国実用新案第208698364(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存車体に取り付けられ、前記既存車体の走行を補助するアシストキャスターであって、
モータを有する駆動装置を含む駆動ユニット、前記駆動装置に軸支されたキャスターを含むキャスターユニット、および前記駆動ユニットと前記キャスターユニットを前記既存車体に固定する固定ユニットを有し、
前記駆動ユニットは、弾力性を有する板状の調整部材を介して前記固定ユニットに接続されていることを特徴とするアシストキャスター。
【請求項2】
前記調整部材は、前記モータに連結される主体部分と、弾力を有する屈折部を有し前記主体部分から突出する突出部分とを備えることを特徴とする請求項1記載のアシストキャスター。
【請求項3】
前記固定ユニットは、前記既存車体に固定される断面コの字形状の固定部材と、前記固定部材の下方に接続される接続部材とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のアシストキャスター。
【請求項4】
前記キャスターユニットは、前記接続部材に接続され、かつ前記駆動装置から突出するシャフトの先端を保持する保持部材が凹部に挿入された軸受け部を備え、
前記保持部材は、前記既存車体の最大積載加重の3~10倍の基本静定格荷重への耐性を有することを特徴とする請求項に記載のアシストキャスター。
【請求項5】
前記シャフトは、軸方向に遊間をもって前記保持部材に嵌合されることを特徴とする請求項記載のアシストキャスター。
【請求項6】
前記固定部材は、コの字形状の上板部分と下板部分の幅が異なることを特徴とする請求項の何れか一項に記載のアシストキャスター。
【請求項7】
前記固定部材は、前記キャスターを上方に持ち上げるためのリフトレバーを備えることを特徴とする請求項の何れか一項に記載のアシストキャスター。
【請求項8】
前記キャスターを上方に持ち上げた状態で前記リフトレバーを固定するロックピンを備えることを特徴とする請求項記載のアシストキャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば台車や車椅子などの既存車体に取り付けられ、荷物や人を運搬する際に既存車体の走行を補助するアシストキャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、既存の台車に専用ユニットを装着するだけで、走行をアシストすることが可能な電動アシストユニットが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。この電動アシストユニットによれば、たとえば、坂道などにおいて、モータの駆動力により台車の走行を補助することで、重量物の搬送をサポートすることが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】JAROC “HOME 製品情報 アシスト台車”、[online]、[令和2年2月26日検索]、インターネット<URL:https://www.jaroc.com/products/pipe_joints/assisttrolley/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の電動アシストユニットにおいては、走行する台車の振動や捩れがモータに伝達されるなどして、アシスト機能が正確かつ安定的に実行できなくなる場合があった。
本発明の目的は、正確かつ安定的にアシスト機能を実行することができるアシストキャスターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のアシストキャスターは、
既存車体に取り付けられ、前記既存車体の走行を補助するアシストキャスターであって、
モータを有する駆動装置を含む駆動ユニット、前記駆動装置に軸支されたキャスターを含むキャスターユニット、および前記駆動ユニットと前記キャスターユニットを前記既存車体に固定する固定ユニットを有し、
前記駆動ユニットは、弾力性を有する板状の調整部材を介して前記固定ユニットに接続されていることを特徴とする。
【0006】
このように、駆動ユニットが、弾力性を有する板状の調整部材を介して固定ユニットに接続されることにより、既存車体から駆動装置に伝達される振動や応力を抑制し、駆動装置のアシスト機能を正確かつ安定的に実行することができる。
【0007】
また、本発明のアシストキャスターは、
前記調整部材が、前記モータに連結される主体部分と、弾力を有する屈折部を有し前記主体部分から突出する突出部分とを備えることを特徴とする。
これにより、調整部材をモータに連結することができると共に、弾力を有する屈折部により、走行する既存車体の振動や捩れを屈折部に集中させ、モータに伝達されることを防止することができる。
【0009】
また、本発明のアシストキャスターは、
前記固定ユニットは、前記既存車体に固定される断面コの字形状の固定部材と、前記固定部材の下方に接続される接続部材とを備えることを特徴とする。
これにより、固定ユニットは、既存車体とアシストユニット、および駆動ユニットに接続される。
【0010】
また、本発明のアシストキャスターは、
前記キャスターユニットが、前記接続部材に接続され、かつ前記駆動装置から突出するシャフトの先端を保持する保持部材が凹部に挿入された軸受け部を備え、
前記保持部材は、前記既存車体の最大積載加重の3~10倍の基本静定格荷重への耐性を有することを特徴とする。
これにより、キャスターを安定的に軸受け部に保持させることができる。
【0011】
また、本発明のアシストキャスターは、
前記シャフトが、軸方向に遊間をもって前記保持部材に嵌合されることを特徴とする。
これにより、既存車体の振動による軸方向の力を逃がすことができる。このため、シャフトに配置された各センサが正確に計測を行うことができる。
【0012】
また、本発明のアシストキャスターは、
前記固定ユニットが、前記既存車体に固定される断面コの字形状の固定部材を備え、
前記固定部材は、コの字形状の上板部分と下板部分の幅が異なることを特徴とする。
これにより、固定部材を製造する際に、平板を折り曲げた時に、上板部分の端部と下板部分の端部がぶつからないようにし、効率よく製造することができる。
【0014】
また、本発明のアシストキャスターは、
前記キャスターを上方に持ち上げるためのリフトレバーを備えることを特徴とする。
これにより、リフトレバーを持ち上げることで、キャスターユニットを強制的に上方に持ち上げることができ、予期せぬバッテリー切れや駆動車輪のパンクなどの緊急時に、既存車体を手動で動かすことができる。
【0015】
また、本発明のアシストキャスターは、
前記キャスターを上方に持ち上げた状態で前記リフトレバーを固定するロックピンを備えることを特徴とする。
これにより、キャスターをわずかに上方に持ち上げた状態が保持され、既存車体を手動で動かすことができる状態が維持される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、正確かつ安定的にアシスト機能を実行することができるアシストキャスターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図5】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す分解斜視図である。
図6】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す分解斜視図である。
図7】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す分解斜視図である。
図8】第1の実施の形態に係るアシストキャスターを示す分解斜視図である。
図9】第2の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図10】第2の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図11】第2の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図12】第2の実施の形態に係るアシストキャスターを示す斜視図である。
図13】第2の実施の形態に係るアシストキャスターの使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、第1の実施の形態に係るアシストキャスターについて説明する。このアシストキャスターは、台車や車椅子などの既存車体に取り付けられ、運搬の際に走行を補助するものである。図1~4は、第1の実施の形態に係るアシストキャスターを上方から視た斜視図であり、図5~8は、その分解斜視図である。このアシストキャスター2は、たとえば、台車に用いる場合、手押し部分の直下に位置する既存の車輪と車輪の間に取り付けられる。
【0020】
図1~8に示すように、アシストキャスター2は、駆動装置4、保護部材6、調整部材8を含む駆動ユニット、シャフトホルダー10、キャスター12、保持部材13、軸受け部16を含むキャスターユニット、および接続部材18、固定部材20、弾性材22を含む固定ユニットを備えている。
【0021】
ここで、駆動装置4は、角型のケース4a内に図示しないモータを収納している。ケース4aのキャスター12側には図示しない減速機が配置され、減速機の出力軸であるシャフト4bが突出している。また、減速機の配置される円柱状部分4cは、調整部材8の貫通穴8aに貫通される。そして、ケース4aの周囲を包囲する保護部材6は、キャスター12側に形成された袖部6aを調整部材8に接合して取付けられる。なお、シャフト4bには、それぞれ図示しないトルクセンサ、回転速度センサ、回転角度センサなどが配置されている。
【0022】
ここで、保護部材6は、たとえば、SUS301-CSP、SUS304-CSP等のばね用ステンレス鋼などで形成された部材であり、モータを収納するケース4aの周囲を覆っている。この保護部材6は、その内周がケース4aよりも大きくなるように形成されており、軸方向において袖部6aのみが調整部材8に接合され、他の部分はケース4aとは接触していない。なお、袖部6aの端部は、ケース4aの外周面と隙間なく接触している。さらに、保護部材6のキャスター12側の端部の内周面は、後述する主体部分8bの外縁に密接している。保護部材6は、このような形状を有することにより、モータを保護するのみならず、保護部材6に発生する振動や応力を後述する屈折部8dに流す役割を担っている。
【0023】
調整部材8は、弾性を有する、ばね用ステンレス鋼(たとえば、SUS301-CSPやSUS304-CSPなど)や鉄などで形成され、駆動装置4に伝達される振動や応力を調整する板状の部材であり、ケース4aおよび保護部材6に接続されている。この調整部材8は、貫通穴8aが形成された主体部分8bと、主体部分8bから突出する突出部分8cとによって構成されている。ここで、主体部分8bは、駆動装置4に接続されると共に、その外縁を保護部材6の内周面に密接させて保護部材6に取り付けられている。主体部分8bは、このようにして、駆動装置4、保護部材6に接続され、曲げ剛性が高められている。主体部分8bは、このような曲げ剛性を有することにより、応力が加わった場合に耐性を発揮することができる。
【0024】
突出部分8cは、2mm以上の厚さを有しており、主体部分8bから軸方向と直交する方向に突出している。具体的には、既存車体の走行方向側に突出している。この突出部分8cは、主体部分8bから延設され断面V字状に屈折する部分を有し弾力を有する屈折部8dと、屈折部8dから略直角に折り曲げられた平面部8eとを有している。この平面部8eは、接続部材18に接続される。このため、駆動装置4を含む駆動ユニットは、弾力をもって接続部材18を含む固定ユニットに接続され、既存車体から接続部材18に伝達された振動や捩じれなどの応力は、屈折部8dに集中されて逃がされる。
【0025】
シャフトホルダー10は、シャフト4bがキー締結しながら貫通する部材であり、シャフト4bの先端は、シャフトホルダー10を介して軸方向に遊間をもって保持部材13に嵌合される。これにより、たとえば、既存車体が振動した際における軸方向の力が逃がされ、シャフト4bに配置された各センサが正確に回転を計測することができる。なお、キャスター12は、シャフトホルダー10とボルト等で締結され、駆動装置4に軸支された車輪であり、回転することにより路上を走行する。
【0026】
保持部材13は、既存車体の最大積載加重の3倍~10倍の基本静定格荷重への耐性を有している。また、軸受け部16は、たとえばジュラルミンなどの部材によって構成された略矩形状の部材であり、キャスター12の位置する側に保持部材13の端部が嵌合する凹部16aが形成されている。凹部16aには、保持部材13が挿入されており、キャスター12やシャフト4bを保持するストッパーとしての機能を有している。なお、軸受け部16は、保持部材13を凹部16aに挿入させた場合にも十分に機能できる剛性、すなわち、保持部材13と同様、少なくとも、既存車体の最大積載加重の3倍~10倍の基本静定格荷重への耐性を有している。軸受け部16がこのような耐荷重(耐性・強度・剛性)を備えることにより、キャスター12を安定的に軸受け部16に保持させることができる。
【0027】
また、軸受け部16の既存車体の走行方向側の端部には、軸受け部16と直交して接続部材18が接続されている。接続部材18は、さらに調整部材8とも接続された部材であり、その上方には、略直角に折り曲げられた面状部分18aを有している。また、接続部材18は、たとえば、アルミニウム製の板であり、面状部分18aに固定部材20が載せられて固定されている。
【0028】
固定部材20は、断面コの字形状を有しており、後述するリフトレバー26を固定するための部材である。固定部材20は、断面コの字形状の上板部分20aが既存車体の床下に固定され、コの字形状の下板部分20bが面状部分18aに固定される。固定部材20は、断面コの字形状を有することによって弾力を備え、リフトレバー26を操作した際には、断面コの字形状が開かれるように変形する(図13参照)。
【0029】
また、固定部材20は、コの字形状の上板部分20aと下板部分20bの幅が異なり、上板部分20aの幅が下板部分20bの幅よりも小さくなるように形成されている。このような形状にすることにより、固定部材20の製造時において、平板を折り曲げた時に、上板部分20aの端部と下板部分20bの端部がぶつからないようにすることができる。これにより、固定部材20を効率よく製造することが可能となる。また、製造時において平板の折り曲げを繰り返して調節する作業を減少でき、折り曲げる回数も少なくすることができるため、断面コの字形状の折り曲げ角度の精度を高めることができる。
【0030】
なお、上板部分20aと下板部分20bの間には、コの字形状の折り曲げ角度を必要以上に狭角にならないように保持すべく、緩衝材20cが嵌め込まれる。この緩衝材20cは、単一の部材とすれば良いが、二つに分割し、固定部材20の両端部に配置するようにしてもよい。
【0031】
また、接続部材18の下方には、弾性材22が取付けられている。弾性材22は、中間部分が傾斜した断面U字形状の部材であり、固定部材20と同様に弾力を備えている。この弾性材22は、弾力を備えることにより、たとえば、障害物にぶつかった時などにおいて衝撃を緩和し、アシストキャスター2を保護する機能を有している。
【0032】
図9~12は、第2の実施の形態に係るアシストキャスター2であり、車体取付部材24やリフトレバー26をさらに取り付けた状態を示す斜視図である。図9~12に示すように、固定部材20の上板部分20aの上には、さらに車体取付部材24が取り付けられている。
【0033】
ここで、車体取付部材24は、既存車体に直接固定される板状の部品であり、リフトレバー26の位置する場所には、断面L字型のL字部材24aが取り付けられている。なお、L字部材24aには、ロックピン24bが配置されており、リフトレバー26には、ロックピン24bが貫通する貫通孔27(図9、10参照)が形成されている。このロックピン24bは、予期せぬバッテリー切れや駆動車輪のパンクなどの緊急時に用いられるものである。
【0034】
たとえば、アシスト機能を用いて既存車体を走行させた走行時には、図13(a)に示すように、リフトレバー26と車体取付部材24は略平行状態にある。ここで、緊急的に既存車体を手動で動かしたい場合、操作者は、図13(b)に示すように、リフトレバー26を把持して持ち上げる。すると、弾性力によって、コの字形状の固定部材20が広がり、これに伴って接続部材18、軸受け部16が傾斜してキャスター12がわずかに上方に持ち上がる。これにより、キャスター12が地面に接触しなくなるため、既存車体を手動で動かすことが可能となる。
【0035】
なお、リフトレバー26を持ち上げると、リフトレバー26の貫通孔27とロックピン24bの位置が符合する。このため、ロックピン24bをリフトレバー26の貫通孔27に貫通させることにより、図13(b)に示すように、リフトレバー26の位置が固定され、キャスター12をわずかに上方に持ち上げた状態が保持される。
【0036】
また、アシストキャスター2のアシスト機能は、図示しない操作装置によって操作される。具体的には、操作装置は、アシストボタン、停止ボタン、ブーストボタンを備えている。
【0037】
アシストボタンを押して、アシストモードに入った場合は、速度制限制御付きトルク制御を実行する。すなわち、トルク目標値を小さい値(ゼロ近傍)に設定するとともに、あらかじめ設定された設定最高回転速度以上になった場合、設定最高速度を大幅に超えないように、速度(制限)制御を行う。
【0038】
また、停止ボタンを押し、停止モードに入った場合、押されたときの位置(角度)を目標値にして位置制御を実行する。
さらに、ブーストボタンを押している時、もしくは、ブーストボタンを押してブーストモードに入った場合は、速度制限制御付きトルク制御を実行する。具体的には、取り付けられた既存車体が前進方向に動く方向に設定目標トルクを設定するとともに、速度制限値は、アシストモード時の設定値よりも小さい値に設定する。特に後退方向の速度制限値については、前進方向よりも小さい値に設定する。
【0039】
この各々の実施の形態に係るアシストキャスター2によれば、駆動ユニットが弾力性を有する板状の調整部材8を介して固定ユニットに接続されることにより、既存車体から駆動装置4に伝達される振動や応力を抑制し、駆動装置4のアシスト機能を正確かつ安定的に実行することができる。
【0040】
また、調整部材8が、屈折部8dを有する突出部分8cを備えることにより、調整部材8をモータに連結することができると共に、走行する既存車体の振動や捩れを屈折部8dに集中させ、モータに伝達されることを防止することができる。
【0041】
また、調整部材8に含まれる主体部分8bが駆動装置4に接続されると共に、その外縁を保護部材6の内周面に密接させて固定されているため、主体部分8bの曲げ剛性が高められ、応力が加わった場合に耐性を発揮することができる。
【0042】
また、固定ユニットは、固定部材20の下方に接続部材18を備えることにより、既存車体とアシストユニット、および駆動ユニットを接続することができる。
【0043】
また、軸受け部16は、所定の剛性を備えることにより、キャスター12を安定的に軸受け部16に保持させることができる。
【0044】
また、シャフト4bが軸方向に遊間をもってシャフトホルダー10を経由して保持部材13に嵌合されるため、既存車体の振動による軸方向の力を逃がすことができる。このため、シャフト4bに配置された各センサが正確に計測を行うことができる。
【0045】
また、固定部材20を構成するコの字形状の上板部分20aと下板部分20bの幅が異なるため、固定部材20を製造する際に、上板部分の端部と下板部分の端部がぶつからないようにし、効率よく製造することができる。
【0046】
また、接続部材18の下方に、断面U字形状の弾性材22が取付けられていることにより、アシストキャスター2が障害物にぶつかった時などにおいて衝撃を緩和し、アシストキャスター2を保護することができる。
【0047】
また、キャスター12を上方に持ち上げるためのリフトレバー26を備えることにより、リフトレバー26を持ち上げることで、キャスターユニットを強制的に上方に持ち上げることができ、予期せぬバッテリー切れや駆動車輪のパンクなどの緊急時に、既存車体を手動で動かすことができる。
【0048】
また、キャスター12を上方に持ち上げた状態でリフトレバー26を固定するロックピン24bを備えることにより、キャスター12をわずかに上方に持ち上げた状態が保持され、既存車体を手動で動かすことができる状態が維持される。
【0049】
なお、上述の各実施の形態において、トルクセンサは、モータに接続された減速機の出力軸に配置されていてもよい。この場合においても、トルク情報を用いてトルク制御をすることができる。
【0050】
また、回転速度センサは、モータの出力軸、減速機の何れに配置されていてもよい。この場合でも、計測した回転速度の情報を用いて(回転)速度制御することができる。また、回転角度センサもまた、モータの出力軸、減速機の出力軸の何れに配置されていてもよい。この場合でも、計測した回転角度の情報を用いて角度(位置)制御することができる。
【0051】
また、上述の各実施の形態において、アシストキャスター2は、固定部材20を備えず、直接接続部材18を介して既存車体に取り付けられていてもよい。このように、アシストキャスター2は、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0052】
2 アシストキャスター
4 駆動装置
4a ケース
4b シャフト
4c 円柱状部分
6 保護部材
6a 袖部
8 調整部材
8a 貫通穴
8b 主体部分
8c 突出部分
8d 屈折部
8e 平面部
10 シャフトホルダー
12 キャスター
13 保持部材
16 軸受け部
16a 凹部
18 接続部材
18a 面状部分
20 固定部材
20a 上板部分
20b 下板部分
20c 緩衝材
22 弾性材
24 車体取付部材
24a L字部材
24b ロックピン
26 リフトレバー
27 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13