(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】経路検索支援装置、経路検索支援プログラム及び経路検索支援方法
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240228BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240228BHJP
【FI】
B61L25/02 A
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020037389
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-01-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許を受ける権利を有した権利者が公開するとともに、当該権利者が公開者からの公開依頼を承諾し、公開者が公開した。9件のウェブサイトの掲載 1. 2019年10月11日 小田急電鉄株式会社 https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001mvv2-att/o5oaa1000001mvv9.pdf 2. 2019年10月11日 東京都 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/2019/10/documents/201911_02.pdf 3. 2019年10月11日 東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/press/2019/20191011_ho02.pdf 4. 2019年10月11日 株式会社ヴァル研究所 https://www.val.co.jp/images/topics/201910/pdf_2019101102_01.pdf 5. 2020年1月27日 東日本旅客鉄道株式会社 Android用:https://play.google.com/srore/apps/details?id=jp.co.jreast iOS用:http://apps.apple.com/jp/app/jr東日本アプリ/jd820004378 6. 2020年1月31日 小田急電鉄株式会社 https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001opfc-att/o5oaa1000001opfj.pdf 7. 2020年1月31日 東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/press/2019/20200131_ho02.pdf 8. 2020年1月31日 株式会社ヴァル研究所 https://www.val.co.jp/topics/2020/013101.html 9. 2020年2月13日 立川市 https://www.city.tachikawa.lg.jp/kotsutaisaku/event/maas_jissyoujikkenn.html
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596130185
【氏名又は名称】株式会社 ヴァル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小西 勇介
(72)【発明者】
【氏名】横山 元紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 厚子
(72)【発明者】
【氏名】根本 逸平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隼人
(72)【発明者】
【氏名】篠原 徳隆
(72)【発明者】
【氏名】青山 正太郎
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067114(JP,A)
【文献】特開昭64-090866(JP,A)
【文献】特開2015-057588(JP,A)
【文献】特開2004-075005(JP,A)
【文献】特開2003-246270(JP,A)
【文献】特開2021-049863(JP,A)
【文献】特開2005-024517(JP,A)
【文献】特開2015-033890(JP,A)
【文献】特開2016-076272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00 - 99/00
G06Q 50/00 - 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の遅延時間を基に、列車の遅延時間の変動状況
及び列車の停止状況について判定する判定手段と、
前記判定手段による列車の停止状況の判定結果に基いて、列車が不通となることが予則される区間である予測不通区間を特定する特定手段と、
前記予測不通区間を通らないよう設定されたユーザに提示する経路に係るデータである提示経路データと、前記
判定手段による列車の遅延時間の変動状況の判定結果に係るデータである遅延傾向データと、を送信手段により前記ユーザが使用する端末装置へと送信させる第1送信制御手段
と、
を備えることを特徴とする経路検索支援
装置。
【請求項2】
前記判定手段は、経過時間と列車の遅延時間との関係に基いて、列車の遅延時間の変動状況及び列車の停止状況について判定することを特徴とする請求項1に記載の経路検索支援装置。
【請求項3】
前記判定手段は、経過時間と列車の遅延時間との関係を示す回帰式の傾きに基いて、列車の遅延時間の変動状況及び列車の停止状況について判定することを特徴とする請求項2に記載の経路検索支援装置。
【請求項4】
前記第1送信制御手段は、前記提示経路データと、前記遅延傾向データと、を表示する画面である経路提示画面に係るデータを、送信手段により前記端末装置へと送信させることを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の経路検索支援
装置。
【請求項5】
前記提示経路データに含まれる区間を走行する列車の運行間隔に係るデータである運行間隔データを取得する第
1取得手段
を備え、
前記第1送信制御手段は、前記提示経路データと、前記遅延傾向データと、前記運行間隔データと、を送信手段により前記端末装置へと送信させることを特徴とする請求項1
から4のいずれか一項に記載の経路検索支援
装置。
【請求項6】
前期ユーザの出発地及び目的地に応じた
前記予測不通区間を通らないよう設定された経路のデータである第1経路データを取得する第
2取得手段
と、
前記第1経路データを基に、前記提示経路データを作成する提示経路データ作成手段
と、
を備えることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の経路検索支援
装置。
【請求項7】
前記第1経路データに含まれる区間を走行する列車の運行時刻に係るデータである区間別時刻表データを取得する第
3取得手段
を備え、
前記提示経路データ作成手段は、前記区間別時刻表データに係る列車の運行時刻に遅延時間を反映させて遅延時間反映区間別時刻表データを作成の上、当該遅延時間反映区間別時刻表データを用いて、前記提示経路データを作成することを特徴とする請求項
6に記載の経路検索支援
装置。
【請求項8】
前記提示経路データに係る経路に含まれる区間のうち、前記ユーザが乗車する列車の変更を希望する区間に係るデータである変更希望区間データを取得する第
4取得手段
と、
前記変更希望区間データに係る区間につき前記提示経路データに係る経路から乗車する列車を変更した経路に係るデータを含む変更後提示経路データを作成する変更後提示経路データ作成手段
と、
前記変更後提示経路データを、前記送信手段により前記端末装置へと送信させる第2送信制御手段
と、
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の経路検索支援
装置。
【請求項9】
前記変更希望区間データに係る区間を走行する複数の列車のデータである変更候補列車データを、前記送信手段により前記端末装置へと送信させる第3送信制御手段
と、
前記変更候補列車データから、前記ユーザが変更を希望する列車として選択した列車に係るデータである変更希望列車データを取得する第
5取得手段
と、
を備え、
前記変更後提示経路データ作成手段は、前記変更希望区間データに係る区間
につき乗車する列車を、前記変更希望列車データに係る列車に変更して、前記変更後提示経路データを作成することを特徴とする請求項8に記載の経路検索支援
装置。
【請求項10】
前記変更後提示経路データ作成手段は、前記変更希望区間データに係る区間ついての乗車する列車の変更に対応して、さらに当該区間の前及び/又は後の区間において乗車する列車を変更して、前記変更後提示経路データを作成することを特徴とする請求項8又は9に記載の経路検索支援
装置。
【請求項11】
コンピュータを、
列車の遅延時間を基に、列車の遅延時間の変動状況
及び列車の停止状況について判定する判定手段、
前記判定手段による列車の停止状況の判定結果に基いて、列車が不通となることが予則される区間である予測不通区間を特定する特定手段、
前記予測不通区間を通らないよう設定されたユーザに提示する経路に係るデータである提示経路データと、前記
判定手段による列車の遅延時間の変動状況の判定結果に係るデータである遅延傾向データと、を送信手段により前記ユーザが使用する端末装置へと送信させる送信制御手
段、
として機能させる経路検索支援
プログラム。
【請求項12】
列車の遅延時間を基に、列車の遅延時間の変動状況
及び列車の停止状況について判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける列車の停止状況の判定結果に基いて、列車が不通となることが予則される区間である予測不通区間を特定する特定ステップと、
前記予測不通区間を通らないよう設定されたユーザに提示する経路に係るデータである提示経路データと、前記
判定ステップにおける列車の遅延時間の変動状況の判定結果に係るデータである遅延傾向データと、を前記ユーザに提示する提示ステップと、
を含む経路検索支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路検索支援装置、経路検索支援プログラム及び経路検索支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末の普及に伴い、携帯端末のユーザが入力した出発地、目的地、出発時刻、到着時刻等の情報に基づき、利用すべき鉄道路線や乗車すべき列車からなる経路を検索の上、これを携帯端末によりユーザに提示させる経路検索のためのアプリケーションが種々開発され、提供されている。
【0003】
このようなアプリケーションにおいては、通常、列車の定刻の運行時刻に基づき経路検索が行われるが、列車には種々のトラブルにより頻繁に遅延が生じ、定刻の運行時刻に基づいて経路検索を行うのみでは、適切な経路を提示することができない可能性がある。
そこで、列車に遅延が生じている場合においても適切な経路を提示することを可能とするため、列車の遅延時においては、列車の遅延時間を加味した経路検索を行うものが開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5986300号公報
【文献】特許第6429657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば人身事故や車両故障等に伴い列車の運行が遅延している場合において、その遅延時間は刻一刻と変化している。したがって、経路検索時に遅延時間を加味した経路検索を行うのみでは、実際に遅延している列車に乗車する際には遅延時間が変動していることが多く、例えば、遅延が拡大していれば検索時よりも到着時刻が遅れることとなり、ユーザが到着時刻を予測することは困難であった。
【0006】
本発明の課題は、列車に遅延が発生している場合において、ユーザが遅延時間の変動を予測し易い経路検索支援装置、経路検索支援プログラム及び経路検索支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、経路検索支援装置において、
列車の遅延時間を基に、列車の遅延時間の変動状況及び列車の停止状況について判定する判定手段と、
前記判定手段による列車の停止状況の判定結果に基いて、列車が不通となることが予則される区間である予測不通区間を特定する特定手段と、
前記予測不通区間を通らないよう設定されたユーザに提示する経路に係るデータである提示経路データと、前記判定手段による列車の遅延時間の変動状況の判定結果に係るデータである遅延傾向データと、を送信手段により前記ユーザが使用する端末装置へと送信させる第1送信制御手段と、
を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の経路検索支援装置において、
前記判定手段は、経過時間と列車の遅延時間との関係に基いて、列車の遅延時間の変動状況及び列車の停止状況について判定することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の経路検索支援装置において、
前記判定手段は、経過時間と列車の遅延時間との関係を示す回帰式の傾きに基いて、列車の遅延時間の変動状況及び列車の停止状況について判定することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の経路検索支援装置において、
前記第1送信制御手段は、前記提示経路データと、前記遅延傾向データと、を表示する
画面である経路提示画面に係るデータを、送信手段により前記端末装置へと送信させることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の経路検索支援装置において、
前記提示経路データに含まれる区間を走行する列車の運行間隔に係るデータである運行間隔データを取得する第1取得手段を備え、
前記第1送信制御手段は、前記提示経路データと、前記遅延傾向データと、前記運行間隔データと、を送信手段により前記端末装置へと送信させることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の経路検索支援装置において、
前期ユーザの出発地及び目的地に応じた前記予測不通区間を通らないよう設定された経路のデータである第1経路データを取得する第2取得手段と、
前記第1経路データを基に、前記提示経路データを作成する提示経路データ作成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の経路検索支援装置において、
前記第1経路データに含まれる区間を走行する列車の運行時刻に係るデータである区間別時刻表データを取得する第3取得手段を備え、
前記提示経路データ作成手段は、前記区間別時刻表データに係る列車の運行時刻に遅延時間を反映させて遅延時間反映区間別時刻表データを作成の上、当該遅延時間反映区間別時刻表データを用いて、前記提示経路データを作成することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の経路検索支援装置において、
前記提示経路データに係る経路に含まれる区間のうち、前記ユーザが乗車する列車の変更を希望する区間に係るデータである変更希望区間データを取得する第4取得手段と、
前記変更希望区間データに係る区間につき前記提示経路データに係る経路から乗車する列車を変更した経路に係るデータを含む変更後提示経路データを作成する変更後提示経路データ作成手段と、
前記変更後提示経路データを、前記送信手段により前記端末装置へと送信させる第2送信制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の経路検索支援装置において、
前記変更希望区間データに係る区間を走行する複数の列車のデータである変更候補列車データを、前記送信手段により前記端末装置へと送信させる第3送信制御手段と、
前記変更候補列車データから、前記ユーザが変更を希望する列車として選択した列車に係るデータである変更希望列車データを取得する第5取得手段と、
を備え、
前記変更後提示経路データ作成手段は、前記変更希望区間データに係る区間につき乗車する列車を、前記変更希望列車データに係る列車に変更して、前記変更後提示経路データを作成することを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の経路検索支援装置において、
前記変更後提示経路データ作成手段は、前記変更希望区間データに係る区間ついての乗車する列車の変更に対応して、さらに当該区間の前及び/又は後の区間において乗車する列車を変更して、前記変更後提示経路データを作成することを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、経路検索支援プログラムにおいて、
コンピュータを、
列車の遅延時間を基に、列車の遅延時間の変動状況及び列車の停止状況について判定する判定手段、
前記判定手段による列車の停止状況の判定結果に基いて、列車が不通となることが予則される区間である予測不通区間を特定する特定手段、
前記予測不通区間を通らないよう設定されたユーザに提示する経路に係るデータである提示経路データと、前記判定手段による列車の遅延時間の変動状況の判定結果に係るデータである遅延傾向データと、を送信手段により前記ユーザが使用する端末装置へと送信させる送信制御手段、
として機能させることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、経路検索支援方法において、
列車の遅延時間を基に、列車の遅延時間の変動状況及び列車の停止状況について判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける列車の停止状況の判定結果に基いて、列車が不通となることが予則される区間である予測不通区間を特定する特定ステップと、
前記予測不通区間を通らないよう設定されたユーザに提示する経路に係るデータである提示経路データと、前記判定ステップにおける列車の遅延時間の変動状況の判定結果に係るデータである遅延傾向データと、を前記ユーザに提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、列車に遅延が発生している場合において、ユーザが遅延時間の変動を予測し易い経路検索支援装置、経路検索支援プログラム及び経路検索支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る経路検索支援システムの構成の概略を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る経路検索支援システムにおける提示データ作成・送信サーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る経路検索支援システムにおける経路検索サーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る経路検索支援システムにおける運行情報サーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る経路検索支援システムにおける端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る経路検索支援システムにおける定期的に行われる定期処理の流れの概略を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る経路検索支援システムにおけるユーザUの要求に応じて随時行われる随時処理の流れの概略を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る経路検索支援システムにおける動作時のデータの流れの概略を示すブロック図である。
【
図9】実施形態に係る経路検索支援システムにおける列車の停止及び遅延傾向の判定に係るデータの一例を示すグラフである。
【
図10】
図9のグラフから、列車T1に係るグラフのみを抜き出した図である。
【
図11】実施形態に係る経路検索支援システムにおける確認画面の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る経路検索支援システムにおける遅延時間反映区間別時刻表データの内容の一例を示す図である。なお、15時台の列車及び16時台の列車のみを図示している。
【
図13】実施形態に係る経路検索支援システムにおける経路提示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1から
図13に基づいて、本発明の実施形態である経路検索支援システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0024】
[第1 構成の説明]
経路検索支援システム100は、システムを利用するユーザUに利用すべき鉄道路線や乗車すべき列車からなる経路情報を提示し、ユーザUによる経路検索を支援するためのシステムであり、
図1に示すように、経路検索支援システム100を管理・運営する企業等が管理する各種サーバ、すなわち、ユーザUに提示する経路検索の結果に係るデータの作成及び作成したデータの端末装置4への送信等を行う提示データ作成・送信サーバ1、検索条件に従った経路検索等を行う経路検索サーバ2及び列車の運行情報等に係るデータの取得及び取得したデータの解析等を行う運行情報サーバ3と、システムを利用して経路検索を行うユーザUがそれぞれ保有する端末装置4と、を備えて構成されている。
また、各サーバ及び端末装置4の間は、
図1に示すように、通信ネットワークNを介して接続されている。
【0025】
なお、上記各サーバは、必ずしも別個に設けられていることを要せず、単一のPC(Personal Computer)、WS(Work Station)等の情報機器が、これら複数のサーバとしての機能を兼ねていてもよい。例えば、提示データ作成・送信サーバ1が、全てのサーバの機能を兼ねる構成とすることも可能である。この場合、提示データ作成・送信サーバ1は、後述の動作の説明において経路検索サーバ2から取得するものとされている各種データや、運行情報サーバ3から取得するものとされている各種データを自ら作成することにより、これらデータを取得することとなる。
また、反対に、上記各サーバは、必ずしもそれぞれ単一の機器であることを要せず、複数のPC、WS等の情報機器により、各サーバの機能が実現されていてもよい。
また、上記各サーバは、必ずしも経路検索支援システム100を管理・運営する企業等自らが保有することを要せず、例えば、クラウドサービスを提供する企業等が保有するPC、WS等の情報機器を利用してもよい。
【0026】
[1 提示データ作成・送信サーバ]
提示データ作成・送信サーバ1は、例えば、PC、WS等の情報機器であり、後述のように、ユーザUに提示する経路検索の結果に係るデータの作成及び作成したデータの端末装置4への送信等を行う。
提示データ作成・送信サーバ1は、
図2に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0027】
制御部11は、提示データ作成・送信サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部12に記憶されたプログラムとCPUとの協働により、提示データ作成・送信サーバ1の各部を統括制御する。
【0028】
記憶部12は、提示データ作成・送信サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等の提示データ作成・送信サーバ1の運用に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0029】
記憶部12には、後述のようにユーザUに提示する経路検索の結果に係るデータの作成及び作成したデータの端末装置4への送信等を行う際の提示データ作成・送信サーバ1への指令内容が組み合わされたプログラムである提示データ作成・送信プログラム121と、ユーザUに係るデータであるユーザデータD9が記憶されるユーザデータベース122と、後述のように経路検索サーバ2から取得した経路に係るデータである経路データD12、経路データD12に係る各区間を走行する列車の運行時刻に係るデータである区間別時刻表データD14、区間別時刻表データD14に係る列車の運行時刻に各区間の列車の遅延時間を反映させたデータである遅延時間反映区間別時刻表データD16、遅延時間反映区間別時刻表データD16を基に作成された遅延時間を反映させた経路に係るデータである遅延時間反映経路データD17及びユーザUの希望に従って遅延時間反映経路データD17から乗車列車を変更して作成された経路に係るデータである変更後遅延時間反映経路データD25が記憶される検索結果データベース123と、が備えられている。
【0030】
通信部13は、提示データ作成・送信サーバ1と、経路検索支援システム100を構成する他のサーバ及び端末装置4との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0031】
[2 経路検索サーバ]
経路検索サーバ2は、例えば、PC、WS等の情報機器であり、後述のように、提示データ作成・送信サーバ1より取得した検索条件データD10に基づく経路検索等を行う。
経路検索サーバ2は、
図3に示すように、提示データ作成・送信サーバ1と同様、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えて構成されている。
【0032】
記憶部22には、後述のように経路検索を行う際の経路検索サーバ2への指令内容が組み合わされたプログラムである経路検索プログラム221が備えられている。
【0033】
また、経路検索サーバ2は、
図1に示すように、通信部23により、提示データ作成・送信サーバ1と通信ネットワークNを介して接続され、提示データ作成・送信サーバ1との間でデータの送受信が可能とされている。
【0034】
[3 運行情報サーバ]
運行情報サーバ3は、例えば、PC、WS等の情報機器であり、後述のように、列車の運行情報等に係る情報の取得及び解析等を行う。
運行情報サーバ3は、
図4に示すように、提示データ作成・送信サーバ1等と同様、例えば、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えて構成されている。
【0035】
記憶部32には、後述のように運行情報データD1等のデータを取得する際の運行情報サーバ3への指令内容が組み合わされたプログラムである情報取得プログラム321と、取得した情報を基に運行間隔データD4を作成する際の運行情報サーバ3への指令内容が組み合わされたプログラムである運行間隔算出プログラム322と、取得した情報を基に不通区間データD5を作成する際の運行情報サーバ3への指令内容が組み合わされたプログラムである不通区間判定プログラム323と、取得した情報を基に遅延時間データD6を作成する際の運行情報サーバ3への指令内容が組み合わされたプログラムである遅延時間抽出プログラム324と、取得した情報を基に停止・遅延傾向判定データD7を作成する際の運行情報サーバ3への指令内容が組み合わされたプログラムである停止・遅延傾向判定プログラム325と、後述のように運行情報サーバ3において取得された各種データ、すなわち、運行情報データD1、在線情報データD2、停車駅データD3、運行間隔データD4、不通区間データD5、遅延時間データD6、停止・遅延傾向判定データD7及び予測不通区間データD8が記憶される列車情報データベース326と、が備えられている。
【0036】
なお、これらプログラムは、それぞれ別個のプログラムとして記憶されていることを必ずしも要せず、単一のプログラムが、これら複数のプログラムとしての指令内容を含むものであってもよい。また、反対に、これらのプログラムは、必ずしもそれぞれ単一のプログラムであることを要せず、複数のプログラムにより、各プログラムの内容が実現されていてもよい。
この点は、本実施形態における他の装置において記憶されているプログラムについても同様である。
【0037】
また、運行情報サーバ3は、
図1に示すように、通信部33により、提示データ作成・送信サーバ1と通信ネットワークNを介して接続され、提示データ作成・送信サーバ1との間でデータの送受信が可能とされている。
さらに、運行情報サーバ3は、通信部33から通信ネットワークNを介して、図示しない所定の鉄道会社等のシステムと接続され、後述のようにこれらシステムから情報を取得することができるように構成されている。
【0038】
[4 端末装置]
端末装置4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の通信端末であり、後述のように、ユーザUによる出発地、目的地、出発時刻、到着時刻等の検索条件に係るデータの入力や、提示データ作成・送信サーバ1から取得した経路検索の結果に係るデータのユーザUに対する提示等に用いられる。
端末装置4は、
図5に示すように、例えば、提示データ作成・送信サーバ1等と同様に、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えると共に、更に、表示部44と、操作部45と、位置情報取得部46と、を備えて構成されている。
【0039】
記憶部42には、後述のようにユーザUによる出発地、目的地、出発時刻、到着時刻等の検索条件に係るデータの入力や、提示データ作成・送信サーバ1から取得した経路検索の結果に係るデータのユーザUに対する提示等を行う際の端末装置4への指令内容が組み合わされたプログラムである経路検索支援アプリケーション421が備えられている。
【0040】
また、端末装置4は、
図1に示すように、通信部43から、通信ネットワークNを介して、提示データ作成・送信サーバ1と接続され、提示データ作成・送信サーバ1との間でデータを送受信可能に構成されている。
【0041】
表示部44は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部41から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0042】
操作部45は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、ユーザUからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部41へと出力する。操作部45は、例えば、表示部44と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよい。
なお、操作部45は、上記のキーボード、タッチパネル等に限定されず、音声入力、テキスト入力等によってユーザUの意思を反映できるものであれば、種々の手段を用いることができる。
【0043】
位置情報取得部46は、端末装置4の現在位置に関する情報を取得する部分であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機が用いられる。GPS受信機は、GPSを構成する複数のGPS衛星から提供される測位用電波であるGPS信号を受信し、これを用いて、端末装置4、ひいてはそれを所持するユーザUの位置情報を取得する。
なお、位置情報取得部46としては、端末装置4の位置情報を取得可能なものであればよく、GPS受信機には限られない。例えば、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)受信機等、その他の衛星測位システムに係る信号の受信機を使用してもよい。
【0044】
[5 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、
図1に示すように、各サーバの間及び提示データ作成・送信サーバ1と端末装置4との間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように各装置間を繋ぎ、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0045】
[第2 動作の説明]
以下、実施形態に係る経路検索支援システム100の使用時の流れについて説明する。経路検索支援システム100の動作は、
図6に示すようなユーザUの要求を待つことなく定期的に行われる定期処理と、
図7に示すようなユーザUの要求に応じて随時行われる随時処理と、からなり、
図8に示すように各サーバ及び端末装置4の間でデータの送受信が行われる。
【0046】
[1 定期処理]
まず、経路検索支援システム100において、ユーザUの要求を待つことなく定期的に行われる定期処理につき説明する。
【0047】
[(1) ステップR1:情報の取得]
運行情報サーバ3においては、制御部31が、情報取得プログラム321に従い、所定の間隔ごとに、通信部33から通信ネットワークNを介して、運行情報データD1と、在線情報データD2と、停車駅データD3と、を取得する。
【0048】
運行情報データD1は、鉄道の各路線の運行状況、すなわち、鉄道の路線、駅間の区間及び方面ごとの、平常運転、遅延、運転見合わせ等のいずれの状態に該当するかに係るデータである。なお、運転見合わせには、例えば人身事故等の偶発的要因によるものと、例えば線路工事等の所定の要因によるものの両者が含まれる。
在線情報データD2は、鉄道の各路線について、運行中の列車が路線内のどこに位置しているか、並びに運行中の各列車の遅延の有無及び遅延が生じている場合の具体的遅延時間に係るデータである。
停車駅データD3は、鉄道の各路線の各駅に停車している列車についてのデータである。
【0049】
これらのデータは、各鉄道事業者が所定の間隔で提供していることから、各鉄道会社が運営する図示しない所定のシステムから、これらデータを自動的に取得するようにすればよい。
また、取得する間隔も、各鉄道事業者による情報提供の間隔に合わせ、各鉄道会社がこれらデータを提供する度に取得するようにして設定すればよく、例えば、毎分データを更新する鉄道事業者に関しては、更新のタイミングに合わせて、1分間隔で取得するようにすればよい。
【0050】
これらデータを取得すると、運行情報サーバ3においては、制御部31が、情報取得プログラム321に従い、取得したデータを、記憶部32の列車情報データベース326に記憶する。
すなわち、運行情報サーバ3には、各鉄道事業者から運行情報、在線情報及び停車駅に係るデータが提供される度に、所定の間隔で運行情報データD1、在線情報データD2及び停車駅データD3が蓄積されていくこととなる。
【0051】
[(2) ステップR2:運行間隔の算出]
運行情報サーバ3においては、ステップR1において取得した情報を基に、所定の間隔ごと、例えばステップR1における情報取得の間隔が1分間隔であればこれに合わせて1分間隔とする等の形で予め定められた間隔ごとに、制御部31が、記憶部32に備えられた運行間隔算出プログラム322に従い、列車の運行間隔につき算出し、運行間隔データD4を作成する。
【0052】
具体的には、制御部31は、例えば、鉄道の路線、駅及び方面ごとに、過去所定の時間以内(例えば30分以内等)かつ最新所定本数(例えば最新5本等)の列車の通過間隔の平均値を算出することで、鉄道の路線、駅及び方面ごとに運行間隔を算出して、運行間隔データD4を作成する。なお、上記所定の時間以内の通過列車の本数が、上記所定本数に達しない場合には、上記所定の時間以内の列車の通過間隔の平均値を算出することとなる。
【0053】
運行間隔データD4が作成されると、制御部31が、運行間隔算出プログラム322に従い、作成した運行間隔データD4を、記憶部32の列車情報データベース326に記憶する。
すなわち、運行情報サーバ3には、所定の間隔で、鉄道の路線、駅及び方面ごとの運行間隔に係るデータが蓄積されていくこととなる。
【0054】
[(3) ステップR3:不通区間の判定]
運行情報サーバ3においては、ステップR1において取得した情報を基に、所定の間隔ごと、例えばステップR1における情報取得の間隔が1分間隔であればこれに合わせて1分間隔とする等の形で予め定められた間隔ごとに、制御部31が、記憶部32に備えられた不通区間判定プログラム323に従い、列車の不通区間につき判定し、不通区間データD5を作成する。
【0055】
具体的には、制御部31は、運行情報データD1に含まれる列車の運転見合わせに係る情報を基に、鉄道の路線、駅間の区間及び方面ごとに、不通となっている区間を判定して、不通区間データD5を作成する。
【0056】
不通区間データD5が作成されると、制御部31が、不通区間判定プログラム323に従い、作成した不通区間データD5を、記憶部32の列車情報データベース326に記憶する。
すなわち、運行情報サーバ3には、所定の間隔で、鉄道の路線、駅間の区間及び方面ごとの不通区間に係るデータが蓄積されていくこととなる。
【0057】
[(4) ステップR4:遅延時間の抽出]
運行情報サーバ3においては、ステップR1において取得した情報を基に、所定の間隔ごと、例えばステップR1における情報取得の間隔が1分間隔であればこれに合わせて1分間隔とする等の形で予め定められた間隔ごとに、制御部31が、記憶部32に備えられた遅延時間抽出プログラム324に従い、列車の遅延時間に係るデータを抽出し、遅延時間データD6を作成する。
【0058】
具体的には、制御部31は、在線情報データD2に含まれる各列車の遅延時間に係るデータのうち最新のものを抽出して、遅延時間データD6を作成する。
【0059】
遅延時間データD6が作成されると、制御部31が、遅延時間抽出プログラム324に従い、作成した遅延時間データD6を、記憶部32の列車情報データベース326に記憶する。
すなわち、運行情報サーバ3には、所定の間隔で、鉄道の各路線において運行中の各列車について、その遅延時間に係るデータが蓄積されていくこととなる。
【0060】
[(5) ステップR5:列車の停止及び遅延傾向の判定]
運行情報サーバ3においては、ステップR1において取得した情報を基に、所定の間隔ごと、例えばステップR1における情報取得の間隔が1分間隔であればこれに合わせて1分間隔とする等の形で予め定められた間隔ごとに、制御部31が、記憶部32に備えられた停止・遅延傾向判定プログラム325に従い、列車の停止及び遅延傾向の判定を行い、当該判定の結果に係るデータである停止・遅延傾向判定データD7を作成する。
【0061】
具体的には、制御部31は、過去から当該判定時点までの所定の期間の在線情報データD2を元に、列車単位で、経過時間をx、遅延時間をyとして単回帰分析を行いy=ax+bの回帰式を作成し、傾きaを求める。
上記の処理を、直前の複数の期間(例えば、15分前から現在、10分前から現在、5分前から現在の3つの期間)に対して行い、それぞれの傾きを元に、例えば、以下のように列車の停止及び遅延傾向の判定を行う。
【0062】
まず、上記複数の期間の全てにおいて、傾きaが所定の値以上だった場合、当該列車は停止していると判定する。
また、上記第1のパターンには該当しない場合で、傾きaが全ての期間において正(すなわちy=ax+bのグラフが右上がり)であり、かつ増加傾向、すなわち、上記の例で言えば、15分前から現在、10分前から現在、5分前から現在の順にaの値が大きくなっており、さらに、最新(上記の例で言えば、5分前から現在)の傾きaが所定の値以上の場合、短時間のうちに停止する可能性が高い状態にあると判定する。
また、上記第1及び第2のパターンには該当しない場合で、傾きaが全ての期間において正であり、かつ減少傾向、すなわち、上記の例で言えば、15分前から現在、10分前から現在、5分前から現在の順にaの値が小さくなっている場合、遅延が拡大しているものの、拡大は緩やかとなっていることから、運転状況が回復しつつある状況(回復傾向)にあると判定する。
また、上記第1、第2及び第3のパターンには該当しない場合で、傾きaが全ての期間において正である場合、列車が停止又は短時間のうちに停止する可能性が高い状態には至っていないものの遅延が拡大している状態であり、かつ、回復傾向にあるともいえない状態(拡大傾向)にあると判定する。
傾きaが0又は実質的に0とみなすものができるものとして定めた所定の範囲内である場合に、遅延の有無にかかわらず列車が通常速度で運転されている状態(一定状態)と判定する。
また、上記5つのパターン以外の場合、いずれの状態とも判定できない状態(判定不能状態)と判定する。
【0063】
なお、一度発生した遅延が継続的に縮小していくことは考え難いことから、通常生じないものの、上記において判定不能状態とした状態のうち、傾きaが全ての期間において負(すなわちy=ax+bのグラフが右下がり)である場合に、遅延が縮小している状態(縮小傾向)にあると判定するようにしてもよい。
【0064】
上記のようにして停止・遅延傾向判定データD7が作成されると、制御部31は、停止・遅延傾向判定プログラム325に従い、上記のようにして停止しているか、又は短時間のうちに停止する可能性が高い状態にあると判定された列車と、在線情報データD2に含まれる各列車の在線位置に基づき、ステップR3において不通区間と判定された区間以外で、不通となることが予測される区間につき特定し、不通となることが予測される区間に係るデータである予測不通区間データD8を作成する。
すなわち、停止・遅延傾向判定データD7において停止しているか、又は短時間のうちに停止する可能性が高い状態にあると判定された列車が在線情報データD2において位置している区間のうち、不通区間データD5に含まれていない区間に係るデータが、予測不通区間データD8となる。
【0065】
上記の列車の停止及び遅延傾向の判定の具体例につき、
図9及び
図10のグラフを基に説明する。
図9及び
図10のグラフにおいて、横軸は時刻を示し、縦軸は遅延時間(秒)を示し、各折れ線グラフは、ある路線の各列車の遅延時間の推移を示す。
また、このグラフにおいて、18時15分00秒に何らかの事故が発生し、運行情報データD1において全列車につき運転見合わせが通告されたのが、18時25分00秒であったとする。
【0066】
この場合において、18時20分00秒の時点で、停止・遅延傾向判定データD7が作成されるとすると、まず、直前の複数の期間(ここでは、18時05分00秒から18時20分00秒までの15分間、18時10分00秒から18時20分00秒までの10分間及び18時15分00秒から18時20分00秒までの5分間の3つの期間)につき、y=ax+bの回帰式を作成し、傾きaを求める。
そうすると、18時05分00秒から18時20分00秒までの15分間の各グラフを基に、列車ごとにy=ax+bの回帰式を作成し、傾きaを求めると、いずれのグラフにおいても傾きaの値は小さい。例えば、
図10に示すように、列車T1についてのグラフにおいては、その傾きaの値は、1/3(すなわち経過時間15分の間に遅延時間が5分増加する状態)にも満たない。
また、18時10分00秒から18時20分00秒までの10分間の各グラフを基に、列車ごとにy=ax+bの回帰式を作成し、傾きaを求めると、多くのグラフにおいて傾きaの値が若干増加することとなるが、その値は未だ小さい。例えば、
図10に示すように、列車T1についてのグラフにおいては、その傾きaの値は、若干増加するものの、未だ1/2(すなわち経過時間10分の間に遅延時間が5分増加する状態)にも満たない。
これに対し、18時15分00秒から18時20分00秒までの5分間の各グラフを基に、列車ごとにy=ax+bの回帰式を作成し、傾きaを求めると、多くのグラフにおいても傾きaの値がさらに増加する。例えば、
図10に示すように、列車T1についてのグラフにおいては、その傾きaの値は、1/2を超え、1(すなわち経過時間5分の間に遅延時間が5分増加する状態、グラフの角度が45°)に近づくこととなる。
この場合、例えば、傾きaが全て正でありかつ増加傾向で、さらに、最新(ここでは5分前から現在)の傾きaの値が1に近い所定の値以上の場合に、短時間のうちに停止する可能性が高い状態にあると判定するものとして、停止・遅延傾向判定プログラム325がプログラムされていたとすると、
図10に示す列車T1を始めとして、
図9のグラフにおいて、18時15分00秒から18時20分00秒までの傾きaの値が1に近い所定の値以上である列車については、短時間のうちに停止する可能性が高い状態にあると判定されることとなる。
【0067】
なお、列車の停止及び遅延傾向の判定は、上記のように行われることが好ましいが、これに限られるものではない。
例えば、精度は低下するものの、一つの期間(例えば、15分前から現在)についてのみ、列車単位で経過時間をx、遅延時間をyとして単回帰分析を行いy=ax+bの回帰式を作成し、傾きaを求めた上で、傾きaが所定の第一の値以上であった場合に停止、第一の値未満であり、第一の値よりも小さい第二の値以上であった場合に短時間のうちに停止する可能性が高い状態、傾きaが0又は実質的に0とみなすものができるものとして定めた所定の範囲内であった場合に一定状態、上記以外で傾きaが正である場合に遅延が拡大している状態(拡大傾向)、上記以外で傾きaが負である場合に遅延が縮小している状態(縮小傾向)と判定するといった方法を用いることも可能である。
この場合、精度は低下するものの、上記よりも単純化された処理内容により、列車の停止及び遅延傾向の判定を行うことが可能となる。
【0068】
また、この場合、後述のステップS7において作成される付与用遅延傾向データD18-2には、遅延が発生している乗車予定の列車について、当該遅延が、拡大傾向、縮小傾向又は一定状態のいずれに該当するかについてのデータが含まれることとなり、ステップS8において作成される経路提示画面G2には、遅延傾向通知A4として、例えば、上向きの矢印が拡大傾向を意味し、下向きの矢印が縮小傾向を意味し、水平方向の矢印が一定状態を意味するように表示されることとなる。
【0069】
[2 随時処理]
続いて、経路検索支援システム100において、ユーザUの要求に応じて随時行われる随時処理につき説明する。
【0070】
[(1) ステップS1:ユーザ登録]
経路検索支援システム100の利用を希望するユーザUは、システムの利用開始前に、まず、ユーザ登録を行う。
【0071】
具体的には、ユーザUは、まず、端末装置4から、所定のWEBサイト等にアクセスの上、経路検索支援アプリケーション421のダウンロードを行う。ダウンロードされた経路検索支援アプリケーション421は、制御部41によって、記憶部42に記憶される。
【0072】
経路検索支援アプリケーション421のダウンロードが完了した後、ユーザUは、続いて、ユーザデータD9の登録を行う。
具体的には、ユーザUは、まず、端末装置4の操作部45を用いて、例えば、氏名、住所、連絡先、システム使用時のID、パスワード等を含む所定の情報からなるユーザデータD9を入力する。
ユーザデータD9の入力は、例えば、提示データ作成・送信サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、必要項目の入力欄が設けられた所定の入力フォームに係るデータを端末装置4へと送信させ、これを受信した端末装置4において、制御部41が当該入力フォームを表示部44に表示させ、ユーザUが、操作部45を用いて、これに入力することによって行われるようにすればよい。
【0073】
ユーザデータD9が入力されると、端末装置4においては、制御部41が、経路検索支援アプリケーション421に従って、入力されたユーザデータD9を、通信部43から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように提示データ作成・送信サーバ1に送信し、通信部13によってこれを受信した提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、受信したユーザデータD9を、記憶部12のユーザデータベース122に記憶する。
【0074】
なお、ユーザUによる経路検索支援アプリケーション421のダウンロード及びユーザデータD9の入力を要するのは、ユーザUが経路検索支援システム100の利用を開始する前の一度のみであり、それ以降ユーザUは、連絡先、システム使用時のID、パスワード等のユーザデータD9に含まれる情報に変更があった場合にのみ、変更部分につき入力すればよい。
【0075】
また、後述の端末装置4が経路検索支援アプリケーション421に従って行う処理を、適宜提示データ作成・送信サーバ1に行わせることで、ユーザUが、経路検索支援アプリケーション421のダウンロード及びユーザデータD9の入力を行うことなく利用できるようにシステムを構成することも可能である。
【0076】
[(2) ステップS2:検索条件の設定]
ユーザ登録を行ったユーザUは、経路検索を行うことを希望する場合、まず、端末装置4の操作部45を用いて、ユーザUが希望する経路検索の条件に係るデータである検索条件データD10を入力する。
検索条件データD10は、例えば、ユーザUが経路検索を行うことを希望する出発地に係るデータである出発地データD10-1と、到着地に係るデータである到着地データD10-2と、出発時刻に係るデータである出発時刻データD10-3と、を含むデータである。
【0077】
なお、出発地データD10-1は、必ずしもユーザUによって具体的に入力されることを要せず、例えば、ユーザUは単に現在地を出発地として利用することを希望する旨を入力し、これを受けて端末装置4において位置情報取得部46によって現在地に係る情報を取得し、当該情報を出発地データD10-1として利用するようにしてもよい。
また、出発時刻データD10-3も、必ずしもユーザUによって具体的に入力されることを要せず、例えば、ユーザUは単に現在時刻を出発時刻として利用することを希望する旨を入力し、これを受けて提示データ作成・送信サーバ1又は端末装置4において常時取得されている時刻に係る情報を、出発時刻データD10-3として利用するようにしてもよい。
【0078】
検索条件データD10の入力は、例えば、提示データ作成・送信サーバ1の制御部11が、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13から通信ネットワークNを介して、ユーザUが希望する検索条件を入力できるように構成された所定の入力画面に係るデータを端末装置4へと送信させ、これを受信した端末装置4において、制御部41が当該画面を表示部44に表示させ、当該画面を確認したユーザUが、操作部45を用いて、希望する検索条件を入力することにより行えばよい。
【0079】
入力が完了すると、制御部41は、経路検索支援アプリケーション421に従って、
図11に示す確認画面G1を表示部44に表示する。
図11においては、出発地データD10-1として「現在地」、到着地データD10-2として「西葛西」、出発時刻データD10-3として「現在時刻」と入力した場合につき図示しているが、具体的な入力内容はこれに限られず、ユーザUは経路検索時に希望する条件につき適宜入力することができる。
【0080】
ユーザUが、操作部45を用いて、表示部44に表示された確認画面G1の確認アイコンA1を操作すると、制御部41が、経路検索支援アプリケーション421に従い、入力された検索条件データD10を、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように提示データ作成・送信サーバ1に送信する。
【0081】
なお、以下においては、ユーザUが入力した出発時刻データD10-3に係る出発時刻に合わせて経路検索が行われる場合につき説明するが、これに替えて、ユーザUが経路検索を行うことを希望する到着時刻に係るデータである到着時刻データを入力し、到着時刻に合わせて経路検索が行われるようにすることも可能である。
この場合、出発時刻は自動的に現在時刻以降と設定された上で、到着時刻に合わせた経路検索、すなわち、当該到着時刻以前に到着地データD10-2に係る到着地に到着する中で、出発時刻ができるだけ遅くなるようにして経路検索がなされることとなる。
【0082】
[(3) ステップS3:経路検索]
提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13によって検索条件データD10を受信した提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、運行情報サーバ3へと、運行情報サーバ3の記憶部32の列車情報データベース326に記憶された不通区間データD5及び予測不通区間データD8のうち、鉄道路線ごとの最新のデータを一括して送信する旨の所定の指示に係るデータである不通区間データ送信指示データD11を、
図8に示すように送信する。
【0083】
不通区間データ送信指示データD11を受信した運行情報サーバ3においては、制御部31が、これに従い、記憶部32の列車情報データベース326に記憶された不通区間データD5及び予測不通区間データD8のうち、鉄道路線ごとの最新のデータを、一括して、通信部33から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように提示データ作成・送信サーバ1へと送信する。
【0084】
提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13によって、運行情報サーバ3から送信されたデータを受信した提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、端末装置4から取得した検索条件データD10並びに運行情報サーバ3から取得した不通区間データD5及び予測不通区間データD8を、通信部13から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように、経路検索サーバ2へと送信する。
【0085】
通信部23によって検索条件データD10、不通区間データD5及び予測不通区間データD8を受信した経路検索サーバ2においては、制御部21が、経路検索プログラム221に従い、検索条件データD10に対応した所定の検索処理を行い、検索条件データD10に対応した移動経路に係るデータである経路データD12を作成する。
【0086】
すなわち、経路検索プログラム221は、検索条件データD10を取得した場合に、出発地と到着地との間の経路につき、特定の出発時刻又は到着時刻に応じて検索する際の所定の処理内容を含むプログラムであり、制御部21は、当該プログラムに従い、出発地データD10-1に係る出発地と到着地データD10-2に係る到着地との間の経路を、出発時刻データD10-3に応じて検索(すなわち、出発時刻以降に出発地から出発する中で、到着時刻ができるだけ早くなるようにして検索することとなる。)の上、例えば所要時間の短い方から抽出する等の方法で所定の数抽出し、経路データD12を作成する。
また、このとき、制御部21は、不通区間データD5又は予測不通区間データD8に係る区間が含まれる経路については、これを除外の上で所定の数の経路を抽出し、経路データD12を作成する。したがって、不通となっている又は不通となっていることが予測される区間を含む経路については、この段階で除かれることとなる。
【0087】
なお、このような検索処理の具体的な内容については、既存の周知の経路検索に係るシステムにおける処理を適宜用いることができることから、詳細な説明は省略する。
【0088】
このようにして作成された経路データD12には、既存の周知の経路検索に係るシステムを用いた経路検索の結果に係る情報と同様、例えば、出発地、到着地及び経由地についての情報、これらの間の移動に使用する鉄道の路線についての情報、出発地からの出発時刻、到着地への到着時刻、経由地への到着時刻及び出発時刻、並びに移動に要する費用についての情報等からなる経路に係る情報が、複数パターン含まれることとなる。
【0089】
経路データD12を作成すると、経路検索サーバ2においては、制御部21が、経路検索プログラム221に従い、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように、経路データD12を提示データ作成・送信サーバ1へと送信する。
提示データ作成・送信サーバ1においては、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13によって経路データD12を受信した後、制御部11が、経路データD12を、記憶部12の検索結果データベース123に、当該ユーザUに係るユーザデータD9と紐付けて記憶する。
【0090】
[(4) ステップS4:区間別時刻表の作成]
経路データD12を記憶部12の検索結果データベース123に記憶すると、続いて、提示データ作成・送信サーバ1の制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従い、経路データD12に含まれる全ての経路につき、区間ごとに分割し、区間データD13を作成する。
例えば、A駅-B駅-C駅-D駅という経路であり、かつA駅-B駅間の移動にE鉄道路線を使用し、B駅-C駅間の移動にF鉄道路線を使用し、C駅-D駅間の移動にG鉄道路線を使用するという経路であれば、区間データD13としては、「A駅-B駅間、E鉄道路線使用」、「B駅-C駅間、F鉄道路線使用」及び「C駅-D駅間、G鉄道路線使用」の3つのデータが作成されることとなる。
制御部11は、このようなデータを、ステップS3で作成された経路データD12に含まれる所定の数の経路につき、全て作成する。したがって、例えば、経路データD12にNパターンの経路の情報が含まれる場合において、各経路がM個の区間に分割されるとすると、区間データD13にはN×M個の区間に係る情報が含まれることとなる。
【0091】
区間データD13を作成すると、提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、提示データ作成・送信プログラム121に従い、区間データD13を、通信部13から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように、経路検索サーバ2へと送信する。
【0092】
通信部23によって区間データD13を受信した経路検索サーバ2においては、制御部21が、経路検索プログラム221に従って所定の検索処理を行い、区間データD13に係る全ての区間につき、各区間を走行する検索対象となる日の一日分の全ての列車の運行時刻、すなわち区間の始点からの出発時刻及び区間の終点への到着時刻に係るデータである区間別時刻表データD14を作成する。
【0093】
すなわち、経路検索プログラム221は、区間データD13を取得した場合に、区間データD13に係る全ての区間につき、各区間を走行する検索対象となる日の一日分の全ての列車につき検索する際の所定の処理内容を含むプログラムであり、制御部21は、当該プログラムに従い、所定の検索処理を行い、区間別時刻表データD14を作成する。
【0094】
なお、このような検索処理の具体的な内容については、既存の周知の経路検索に係るシステムにおける処理を適宜用いることができることから、詳細な説明を省略する。
【0095】
このようにして作成された区間別時刻表データD14には、例えば、上記のように、区間データD13にN×M個の区間に係る情報が含まれる場合に、一日に各区間を走行する列車がL本あるとすると、N×M×L本の列車につき、区間の始点からの出発時刻と、区間の終点への到着時刻に係るデータが含まれることとなる。すなわち、例えば「A駅-B駅間、E鉄道路線」という区間であれば、A駅とB駅との間を走るE鉄道路線の特定の日の一日分の全ての列車についての、A駅からの出発時刻に係るデータと、B駅への到着時刻に係るデータが含まれることとなる。
【0096】
区間別時刻表データD14を作成すると、経路検索サーバ2においては、制御部21が、経路検索プログラム221に従い、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように、区間別時刻表データD14を提示データ作成・送信サーバ1へと送信する。
提示データ作成・送信サーバ1においては、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13によって区間別時刻表データD14を受信した後、制御部11が、区間別時刻表データD14を、記憶部12の検索結果データベース123に、当該ユーザUに係るユーザデータD9と紐付けて記憶する。
【0097】
[(5) ステップS5:遅延時間の反映]
続いて、提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13から通信ネットワークNを介して、運行情報サーバ3へと、運行情報サーバ3の記憶部32の列車情報データベース326に記憶された遅延時間データD6のうち、列車ごとの最新のデータを一括して送信する旨の所定の指示に係るデータである遅延時間データ送信指示データD15を、
図8に示すように送信する。
【0098】
遅延時間データ送信指示データD15を受信した運行情報サーバ3においては、制御部31が、これに従い、記憶部32の列車情報データベース326に記憶された遅延時間データD6のうち、列車ごとの最新のデータを一括して、通信部33から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように提示データ作成・送信サーバ1へと送信する。
【0099】
提示データ作成・送信サーバ1においては、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13によって、運行情報サーバ3から送信された遅延時間データD6を受信した後、制御部11が、受信した遅延時間データD6を区間別時刻表データD14に反映させ、遅延時間反映区間別時刻表データD16を作成する。
【0100】
すなわち、上記のように、区間別時刻表データD14は、区間データD13に係る全ての区間につき、各区間を走行する検索対象となる日の一日分の全ての列車の運行時刻に係るデータであり、各列車につき、区間の始点からの出発時刻及び区間の終点への到着時刻に係るデータが含まれる。
また、遅延時間データD6は、上記のように列車ごとの具体的な遅延時間に係るデータであることから、区間別時刻表データD14に含まれる区間の始点からの出発時刻及び区間の終点への到着時刻に係るデータにつき、遅延時間データD6に係る遅延時間を足すことにより、遅延時間反映区間別時刻表データD16を作成することとなる。
【0101】
例えば、「A駅-B駅間、E鉄道路線」という区間を走行することとなるE鉄道路線のある列車につき、区間別時刻表データD14において、A駅からの出発時刻が15時00分、B駅への到着時刻が15時20分とされていた場合において、運行情報サーバ3から受信した遅延時間データD6に、当該列車の最新の遅延時間が10分というデータが含まれていたとすると、遅延時間反映区間別時刻表データD16においては、A駅からの出発時刻を15時10分、B駅への到着時刻を15時30分と修正することとなる。
【0102】
遅延時間反映区間別時刻表データD16に含まれる内容の一例を、
図12に基づき説明する。
図12に示すように、例えば「高円寺駅-新宿駅間、H鉄道路線」という区間であればば、遅延時間を反映した場合の各列車の高円寺駅からの出発時刻及び新宿駅への到着時刻に係るデータが含まれることとなる。この場合、取消線で消されている部分が、遅延時間が反映された結果変更された部分を示す。
なお、
図12においては、15時台の列車及び16時台の列車のみを図示しているが、遅延時間反映区間別時刻表データD16には、このようなデータが検索対象となる日の一日分全ての列車について含まれることとなる。
また、
図12においては、各列車の列車番号及び終着駅(東京行)についても図示しているが、これらデータを含むことは必須ではない。
【0103】
遅延時間反映区間別時刻表データD16を作成すると、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従い、当該データを、記憶部12の検索結果データベース123に、当該ユーザUに係るユーザデータD9と紐付けて記憶する。
【0104】
[(6) ステップS6:列車の再選択]
続いて、提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、提示データ作成・送信プログラム121に従い、経路データD12に含まれる各経路につき、遅延時間反映区間別時刻表データD16に基づき各区間において乗車する列車の再選択を行い、遅延時間反映経路データD17を作成する。
【0105】
まず、制御部11は、各経路の1番目の区間につき、列車の再選択を行う。
具体的には、出発時刻データD10-3に係る時刻以降に1番目の区間の始点を出発し、かつ1番目の区間の終点に最初に到着する列車を遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出し、経路データD12に含まれる1番目の区間において乗車する列車に係るデータを、抽出された列車に置き換える。
なお、遅延が発生していないか、遅延を加味しても列車に変更が生じない場合には、経路データD12において選択されていた列車がそのまま選択されることとなる。この点はこれ以降の区間についても同様である。
【0106】
続いて、制御部11は、各経路の2番目の区間につき、列車の再選択を行う。
具体的には、上記のように1番目の区間につき置き換えられた列車が、1番目の区間の終点(2番目の区間の始点)に到着する時刻に、所定の乗換時間を足した時刻以降に、2番目の区間の始点を出発し、かつ2番目の区間の終点に最初に到着する列車を遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出し、経路データD12に含まれる2番目の区間において乗車する列車に係るデータを、抽出された列車に置き換える。
【0107】
上記と同様の処理を3番目の区間、4番目の区間と順次全ての区間につき行い、経路データD12に含まれる各経路につき各区間で乗車する列車の再選択を行うことで、遅延時間反映経路データD17が作成されることとなる。
【0108】
例えば、上記のように、A駅-B駅-C駅-D駅という経路であり、かつA駅-B駅間の移動にE鉄道路線を使用し、B駅-C駅間の移動にF鉄道路線を使用し、C駅-D駅間の移動にG鉄道路線を使用するという経路であれば、まず、最初の「A駅-B駅間、E鉄道路線」という区間につき、列車の再選択を行う。
具体的には、出発時刻データD10-3に係る時刻以降にA駅を出発する列車のうち、B駅に最初に到着する列車を遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出し、「A駅-B駅間、E鉄道路線」という区間において乗車する列車を、当該列車に置き換える。
【0109】
続いて、2番目の「B駅-C駅間、F鉄道路線」という区間につき、列車の再選択を行う。
具体的には、まず、一つ前の「A駅-B駅間、E鉄道路線」という区間につき乗車する列車がB駅に到着する時刻に、B駅におけるE鉄道路線とF鉄道路線との乗換に通常要する時間等から予め設定された所定の乗換時間を足した時刻以降にB駅を出発する列車のうち、C駅に最初に到着するF鉄道路線の列車を遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出し、「B駅-C駅、F鉄道路線」という区間において乗車する列車を、当該列車に置き換える。
【0110】
続いて、3番目の「C駅-D駅間、G鉄道路線」という区間につき、列車の再選択を行う。
具体的には、まず、一つ前の「B駅-C駅間、F鉄道路線」という区間につき乗車する列車がC駅に到着する時刻に、C駅におけるF鉄道路線とG鉄道路線との乗換に通常要する時間等から予め設定された所定の乗換時間を足した時刻以降にC駅を出発する列車のうち、D駅に最初に到着するG鉄道路線の列車を遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出し、「C駅-D駅、G鉄道路線」という区間において乗車する列車を、当該列車に置き換える。
【0111】
上記のようにして各経路の各区間において乗車する列車が再選択されることで、遅延時間反映経路データD17においては、各経路が、遅延時間を加味した場合に、出発時刻データD10-3に係る時刻以降に出発地データD10-1に係る出発地を出発する中で、最も到着地データD10-2に係る到着地に早く到着するようにして設定されることとなる。
【0112】
遅延時間反映経路データD17を作成すると、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従い、当該データを、記憶部12の検索結果データベース123に、当該ユーザUに係るユーザデータD9と紐付けて記憶する。
【0113】
[(7) ステップS7:付与情報の作成]
続いて、提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、提示データ作成・送信プログラム121に従い、ステップS8のユーザUへの提示時に遅延時間反映経路データD17に含まれる各経路に係る情報に付与して提供するデータであり、列車の運行間隔に係るデータである付与用運行間隔データD18-1と、列車の遅延傾向に係るデータである付与用遅延傾向データD18-2と、を含む付与情報データD18を作成する。
【0114】
具体的には、まず、提示データ作成・送信サーバ1においては、制御部11が、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13から通信ネットワークNを介して、運行情報サーバ3へと、運行情報サーバ3の記憶部32の列車情報データベース326に記憶された運行間隔データD4及び停止・遅延傾向判定データD7のうち最新のデータを一括して送信する旨の所定の指示に係るデータである付与用データ送信指示データD19を、
図8に示すように送信する。
【0115】
付与用データ送信指示データD19を受信した運行情報サーバ3においては、制御部11が、これに従い、記憶部32の列車情報データベース326に記憶された運行間隔データD4及び停止・遅延傾向判定データD7のうち最新のデータを一括して、通信部33から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように提示データ作成・送信サーバ1に送信する。なお、運行間隔データD4としては、鉄道の路線、駅及び方面ごとの最新のデータが送信され、停止・遅延傾向判定データD7としては、列車ごとの最新のデータが送信されることとなる。
【0116】
提示データ作成・送信サーバ1においては、提示データ作成・送信プログラム121に従い、制御部11が、運行情報サーバ3から送信された運行間隔データD4及び停止・遅延傾向判定データD7を受信した後、受信したデータから、遅延時間反映経路データD17に含まれる経路に係るものを抽出し、付与情報データD18を作成する。
【0117】
具体的には、制御部11は、まず、ステップS5において取得した遅延時間データD6に基づき、遅延時間反映経路データD17に含まれる各経路の各区間につき乗車する列車に、遅延が発生しているか及び遅延が発生している場合に遅延時間が所定値を超えているかにつき判定する。
続いて、運行情報サーバ3から受信した運行間隔データD4及び停止・遅延傾向判定データD7から、遅延が発生していると判定された列車に乗車予定の区間につき、当該区間を走行する列車の運行間隔に係るデータと、遅延が発生している乗車予定の列車の遅延傾向に係るデータを抽出し、付与用運行間隔データD18-1と、付与用遅延傾向データD18-2とを作成する。
付与用運行間隔データD18-1は、遅延が発生している列車に乗車予定の区間についての、具体的な列車の運行間隔についてのデータである。
また、付与用遅延傾向データD18-2は、遅延が発生している乗車予定の列車についての遅延時間の変動状況、すなわち、当該遅延が、拡大傾向、回復傾向、一定状態又は判定不能状態のいずれに該当するかに係るデータである。
【0118】
例えば、上記のように、A駅-B駅-C駅-D駅という経路であり、かつA駅-B駅間の移動にE鉄道路線を使用し、B駅-C駅間の移動にF鉄道路線を使用し、C駅-D駅間の移動にG鉄道路線を使用する場合において、B駅-C駅という区間につき、遅延時間反映経路データD17において乗車予定の列車に遅延が生じ、B駅における運行間隔が15分であり、停止・遅延傾向判定データD7に含まれる当該区間で乗車予定の列車に係るデータが遅延が拡大傾向にあるというものであるとすれば、付与用運行間隔データD18-1には、例えば15分という具体的な列車の運行間隔の数値に係る情報が含まれ、付与用遅延傾向データD18-2には、遅延が拡大傾向であるという情報が含まれることとなる。なお、付与用運行間隔データD18-1としては、例えば、上記のように区間の始点となる駅における運行間隔に係るデータを使用してもよいし、区間の終点となる駅における運行間隔に係るデータを使用してもよい。
【0119】
[(8) ステップS8:ユーザへの提示]
続いて、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従い、遅延時間反映経路データD17に係る経路つき、付与情報データD18に係る情報を付与した上で、ユーザUに提示する画面である経路提示画面G2を作成する。
【0120】
経路提示画面G2を作成すると、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従って、
図8に示すように、経路提示画面G2に係るデータ(経路提示画面データD20)を、当該画面を表示部44に表示させる旨の端末装置4への所定の指令を付して、
図8に示すように、ステップS2において検索条件データD10を送信したユーザUの端末装置4へと、通信部13から通信ネットワークNを介して送信する。すなわち制御部11は、経路提示画面データD20という画面のデータに含む形で、遅延時間反映経路データD17及び付与情報データD18を、端末装置4へと送信することとなる。
【0121】
通信部43によって経路提示画面データD20を受信した端末装置4においては、制御部41が、経路検索支援アプリケーション421に従って、経路提示画面G2を、表示部44に表示する。
【0122】
経路提示画面G2には、
図13に示すように、例えば、利用する鉄道路線、経由する駅、出発時刻、到着時刻、料金等の情報を含む複数の経路表示Cが含まれる。
図13においてはC1からC4の4つの経路が表示される場合につき図示しているが、一度に表示される経路表示Cの数はこれに限られない。
さらに、経路表示Cに重なるようにして、遅延が生じている区間には、遅延が生じている旨を示す遅延通知アイコンA2が表示されると共に、列車の運行間隔に係る通知である運行間隔通知A3及び列車の遅延傾向に係る通知である遅延傾向通知A4が表示される。
【0123】
なお、遅延通知アイコンA2は、ステップS7の付与情報の作成の過程において、遅延時間データD6に基づき、乗車する列車に遅延が発生しており、かつ遅延時間が所定値を超えていると判定された区間に表示されることとなる。
また、運行間隔通知A3は、遅延通知アイコンA2が表示される各区間につき、付与用運行間隔データD18-1から、当該区間に係る具体的な運行間隔の数値を抽出の上、表示されることとなる。
また、遅延傾向通知A4は、遅延通知アイコンA2が表示される各区間につき、付与用遅延傾向データD18-2から、当該区間に係る具体的な遅延傾向に係るデータを抽出の上、表示されることとなる。
【0124】
なお、
図13においては、個々の駅への具体的な到着時刻及び個々の駅からの具体的な出発時刻等は表示されていないが、これが経路提示画面G2上に表示されるようにしてもよいし、ユーザUによる端末装置4の操作部45を用いた所定の操作により、別画面において各経路の詳細についての情報が表示されるようにしてもよい。
【0125】
また、
図13においては、遅延通知アイコンA2として「!」を含むマークが表示される場合につき図示しているが、ユーザUが列車に遅延が生じている区間である旨を認識できるものであればよく、これには限られない。
また、運行間隔通知A3としては、具体的な運行間隔を通知できるものであればよい。
【0126】
また、遅延傾向通知A4としては、
図13においては矢印を用いるものにつき図示している。すなわち、
図13においては、上向きの矢印、斜め上向きの矢印及び水平方向の矢印が図示されているが、この場合、上向きの矢印がステップR5で説明した拡大傾向であることを意味し、斜め上向きの矢印がステップR5で説明した回復傾向であることを意味し、水平方向の矢印がステップR5で説明した一定状態であることを意味することとなる。
【0127】
なお、上記のように通常生じないものの、ステップR5において縮小傾向についても判定している場合において、仮に縮小傾向と判定された区間があった場合には、付与用遅延傾向データD18-2に縮小傾向に該当する旨のデータも含むようにした上で、経路提示画面G2には、遅延傾向通知A4として、下向きの矢印を表示するようにすればよい。
また、ステップR5で説明した判定不能状態である場合、遅延傾向通知A4は表示されないようにすればよい。
【0128】
遅延傾向通知A4は、遅延が、上記いずれの状態に該当するかにつき判別できるものであればよく、矢印を用いた表示には限られない。
例えば、遅延傾向を運行時刻の予測の確度に見立て、一定状態であるときに確度が高く、拡大傾向であるときに確度が低く、回復傾向である場合にその中間であるものとして、遅延が一定状態なら「A」、回復傾向なら「B」、拡大傾向なら「C」等と表示するようにしてもよいし、遅延が一定状態なら「高」、回復傾向なら「中」、拡大傾向なら「低」等と表示するようにしてもよい。
【0129】
どのような表示方法を用いるとしても、ユーザUによる端末装置4の操作部45を用いた所定の操作により、いずれの表示がいかなる意味を有するかに係る案内が表示部44に表示されるようにすれば、表示の意味をユーザUに対して明確に示すことができる。
【0130】
また、
図13においては、経路提示画面G2を、大手町駅から日進駅までの経路を、5月18日18時52分出発として検索した場合において、当該画面が端末装置4としてのスマートフォンに表示された場合につき図示しているが、具体的な検索条件及び表示される端末装置4の構成はこれに限られるものではなく、適宜、検索条件及び表示される端末装置4の表示部44の形状等に応じた画面が作成される。
【0131】
このような経路提示画面G2が端末装置4の表示部44に表示されることで、ユーザUは、遅延時間を加味して作成された経路に係るデータである遅延時間反映経路データD17を、各経路の各区間のうち遅延が発生している区間の列車の運行間隔に係るデータ及び遅延が発生している列車の遅延の拡大又は縮小等の傾向に係るデータを含む付与情報データD18が付与された状態で、確認することが可能となる。
【0132】
[(9) ステップS9:ユーザの選択に従った再検索]
ユーザUは、端末装置4の表示部44に経路提示画面G2が表示された場合において、表示されたいずれかの経路につき、一部の区間で乗車する列車を変更したい場合、所定の操作を行うことで、当該区間で乗車する列車を変更の上、変更した列車に合わせて、当該経路につき再検索した経路に係るデータを取得することができる。具体的には以下の通りである。
【0133】
まず、ユーザUは、操作部45を用いて、表示部44に表示された経路提示画面G2の経路表示のうち、変更を希望する区間に係る表示をクリックする等、所定の操作を行う。なお、例えば使用列車の変更を希望する区間を指定するための専用のアイコン等が経路提示画面G2上に表示され、当該アイコン等を操作するようにしてもよい。
上記操作がなされると、端末装置4の制御部41は、経路検索支援アプリケーション421に従い、上記操作がなされた区間に係る情報(変更希望区間データD21)を、通信部43から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように、提示データ作成・送信サーバ1へと送信する。
【0134】
提示データ作成・送信サーバ1においては、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13によって、変更希望区間データD21を受信した後、制御部11が、変更希望区間データD21に係る区間につき、遅延時間反映経路データD17において選択されていた列車の前後所定本数の列車に係るデータを、遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出して、変更候補となる列車に係るデータである変更候補列車データD22を作成の上、これら列車が一覧的に表示される画面である変更候補列車提示画面を作成する。
変更候補列車データD22は、変更希望区間データD21に係る区間の遅延時間反映経路データD17において選択されていた列車の前後所定本数の列車についての、区間の始点からの出発時刻及び区間の終点への到着時刻に加え、当該列車の始発駅、当該列車の終着駅、急行又は各駅停車等の各列車の種別等に係るデータを含み、変更候補列車提示画面は、これらデータが一覧的に表示されるように構成されることとなる。
【0135】
続いて、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従って、
図8に示すように、変更候補列車提示画面に係るデータ(変更候補列車提示画面データD23)を、当該画面を表示部44に表示させる旨の端末装置4への所定の指令を付して、
図8に示すように、変更希望区間データD21を送信した端末装置4へと、通信部13から通信ネットワークNを介して送信する。すなわち制御部11は、変更候補列車提示画面データD23という画面のデータに含む形で、変更候補列車データD22を端末装置4へと送信することとなる。
【0136】
通信部43によって変更候補列車提示画面データD23を受信した端末装置4においては、制御部41が、経路検索支援アプリケーション421に従って、変更候補列車提示画面を、表示部44に表示する。
【0137】
変更候補列車提示画面が表示部44に表示されると、ユーザUは、変更候補列車提示画面に表示された複数の列車を確認し、乗車を希望する列車を決定の上、表示された複数の列車のうち、乗車を希望する列車に係る表示をクリックする等、所定の操作を行う。なお、例えば乗車を希望する列車を指定するための専用のアイコン等が変更候補列車提示画面上に表示されるようにし、当該アイコン等を用いて、ユーザUが乗車を希望する列車を選択するようにしてもよい。
上記操作がなされると、端末装置4の制御部41は、経路検索支援アプリケーション421に従い、上記操作がなされた列車に係る情報(変更希望列車データD24)を、通信部43から通信ネットワークNを介して、
図8に示すように、提示データ作成・送信サーバ1へと送信する。
【0138】
提示データ作成・送信サーバ1においては、提示データ作成・送信プログラム121に従い、通信部13によって変更希望列車データD24を受信した後、制御部11が、遅延時間反映経路データD17につき、変更希望列車データD24を受信した区間を含む経路につき列車の再検索を行い、変更後遅延時間反映経路データD25を作成する。
【0139】
具体的には、制御部11は、まず、変更希望列車データD24を受信した区間につき、遅延時間反映経路データD17において従来乗車予定であった列車を、変更希望列車データD24に係る列車に変更する。
続いて、当該区間の後の区間につき、ステップS6において説明したのと同様に、順次列車の到着時刻に所定の乗換時間を足した時刻以降に出発し、かつ次の区間の終点に最初に到着する列車に置き換えていくことで、変更後遅延時間反映経路データD25を作成する。なお、変更希望列車データD24を受信した区間を含む経路以外については、特に変更されることはない。
【0140】
また、例えば変更に係る経路の出発時刻前であって、変更希望列車データD24を受信した区間の前の区間についても列車の変更が可能な場合には、変更希望列車データD24に係る列車に乗車可能な列車の中で最も出発時刻が遅いものを選択するようにして、変更希望列車データD24を受信した区間の前の区間についても列車の変更を行うようにしてもよい。
また、好ましくはないものの、変更希望列車データD24を受信した区間の前の区間についてのみ、列車の変更を行うようにすることも一応可能である。
【0141】
例えば、上記のように、遅延時間反映経路データD17に、A駅-B駅-C駅-D駅という経路であり、かつA駅-B駅間の移動にE鉄道路線を使用し、B駅-C駅間の移動にF鉄道路線を使用し、C駅-D駅間の移動にG鉄道路線を使用するという経路が含まれていた場合において、当該経路における、「B駅-C駅間、F鉄道路線」という区間につき、変更希望列車データD24を受信していた場合、制御部11は、「B駅-C駅間、F鉄道路線」という区間につき、乗車する列車を、変更希望列車データD24に係る列車に変更する。
【0142】
続いて、3番目の「C駅-D駅間、G鉄道路線」という区間につき、変更希望列車データD24に係る列車がC駅に到着する時刻に、C駅におけるF鉄道路線とG鉄道路線との乗換に通常要する時間等から予め設定された所定の乗換時間を足した時刻以降にC駅を出発する列車のうち、最も早くD駅に到着するG鉄道路線の列車を遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出し、「C駅-D駅、G鉄道路線」という区間において乗車する列車を、当該列車に置き換える。
【0143】
また、変更希望列車データD24に係る「B駅-C駅間、F鉄道路線」という区間の前の区間についても変更可能である場合においては、変更希望列車データD24に係る「B駅-C駅間、F鉄道路線」という区間を走行する列車のB駅からの出発時刻から、B駅におけるE鉄道路線とF鉄道路線との乗換に通常要する時間等から予め設定された所定の乗換時間を引いた時刻以前にB駅に到着する列車のうち、最も遅くA駅を出発するE鉄道路線の列車を遅延時間反映区間別時刻表データD16から抽出し、「A駅-B駅間、E鉄道路線」という区間において乗車する列車を当該列車に置き換える。
【0144】
変更後遅延時間反映経路データD25を作成すると、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従い、当該データを、記憶部12の検索結果データベース123に、当該ユーザUに係るユーザデータD9と紐付けて記憶する。
【0145】
続いて、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従い、変更後遅延時間反映経路データD25に係る経路つきユーザUに提示する画面である変更後経路提示画面を作成する。
変更後経路提示画面としては、例えば、表示される経路を、変更後遅延時間反映経路データD25に係る経路に変更した点を除き、
図13に示す経路提示画面G2と同様の画面を用いればよい、したがって、この場合、変更後経路提示画面にも、付与情報データD18に係る情報が含まれることとなる。
【0146】
続いて、制御部11は、提示データ作成・送信プログラム121に従って、
図8に示すように、変更後経路提示画面に係るデータ(変更後経路提示画面データD26)を、当該画面を表示部44に表示させる旨の端末装置4への所定の指令を付して、
図8に示すように、変更希望列車データD24を送信した端末装置4へと、通信部13から通信ネットワークNを介して送信する。すなわち制御部11は、変更後経路提示画面データD26という画面のデータに含む形で、変更後遅延時間反映経路データD25を端末装置4へと送信することとなる。
【0147】
通信部43によって変更後経路提示画面データD26を受信した端末装置4においては、制御部41が、経路検索支援アプリケーション421に従って、変更後経路提示画面を、表示部44に表示する。
【0148】
このような変更後経路提示画面が端末装置4の表示部44に表示されることで、ユーザUは、特定の区間において乗車する列車につき、例えば、始発駅の列車に乗りたい、各駅停車の列車に乗りたい等の希望に応じて変更の上、当該変更を前提として再設定された経路に係る情報を取得することが可能となる。
【0149】
[第3 効果の説明]
本実施形態に係る経路検索支援システム100によれば、提示データ作成・送信サーバ1において、列車の遅延が拡大しているか又は縮小しているかに係るデータを含む列車の遅延の傾向に関するデータである付与用遅延傾向データD18-2を含む付与情報データD18を取得し、ユーザUに提示する経路に係るデータである遅延時間反映経路データD17と共に、付与情報データD18を、通信部13によりユーザUが使用する端末装置4へと送信する。
これによって、ユーザUは、経路についての情報に加え、列車につき遅延が生じている場合に、当該遅延の傾向、すなわち、当該遅延が拡大しているのか、縮小し解消に向かっているのかについての情報を得ることが可能となることから、列車に遅延が発生している場合において、ユーザUが遅延時間の変動を予測し易くなる。
【0150】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、遅延時間反映経路データD17と、付与用遅延傾向データD18-2を含む付与情報データD18と、を同時に表示する画面である経路提示画面G2を作成の上、経路提示画面G2に係るデータである経路提示画面データD20を、通信部13によりユーザUが使用する端末装置4へと送信することで、端末装置4において、遅延時間反映経路データD17及び付与用遅延傾向データD18-2を単一の画面で同時に表示することが可能となることから、ユーザUに対し、経路及び列車の遅延の傾向を、これらの関係を認識し易い態様で提示することが可能となる。
【0151】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、遅延時間反映経路データD17と共に端末装置4へと送信する付与情報データD18に、付与用遅延傾向データD18-2に加えて、付与用運行間隔データD18-1が含まれることで、ユーザUは、経路に含まれる区間のうち遅延が発生している区間につき、列車の運行間隔についての情報を得ることが可能となる。
【0152】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、経路データD12に含まれる区間を走行する列車の運行時刻に係るデータである区間別時刻表データD14を取得し、これに遅延時間データD6を反映させて遅延時間反映区間別時刻表データD16とした上で、遅延時間反映区間別時刻表データD16を用いて、ユーザUに提示することとなる遅延時間反映経路データD17を作成することで、列車の遅延時間を考慮した上で、ユーザUに対して適切な経路を提示することが可能となる。
【0153】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、列車の不通区間に係るデータである不通区間データD5を取得し、さらに、経路データD12として、不通区間データD5に係る区間を通らないように設定された経路のデータを取得することで、ユーザUに対して、不通区間を避けて設定された経路検索の結果を提示することが可能となる。
【0154】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、不通区間データD5に加え、列車の不通となることが予測される区間に係るデータである予測不通区間データD8を取得し、経路データD12として、不通区間データD5に係る区間に加え、予測不通区間データD8に係る区間も通らないように設定された経路のデータを取得することで、ユーザUに対して、不通が確定している区間に加え、不通であるか又は短時間のうちに不通となると予測される区間も避けて設定された経路検索の結果を提示することが可能となる。
【0155】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、ユーザUに提示された遅延時間反映経路データD17に係る経路に含まれる区間のうち、ユーザUが変更を希望する区間に係るデータである変更希望区間データD21を取得し、変更希望区間データD21に係る区間につき乗車する列車を変更した経路に係るデータを含む変更後遅延時間反映経路データD25を作成の上、これを通信部13によりユーザUが使用する端末装置4へと送信することで、ユーザUに対し、ユーザUが乗車する列車の変更を希望する区間につき、乗車する列車を変更して作成された経路検索の結果を提示することが可能となる。
【0156】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、変更希望区間データD21に係る区間を走行する複数の列車のデータである変更候補列車データD22を通信部13によりユーザUが使用する端末装置4へと送信し、ユーザUが変更を希望する列車として選択した列車に係るデータである変更希望列車データD24を取得した上で、変更希望区間データD21に係る区間つき乗車する列車を、変更希望列車データD24に係る列車に変更して、変更後遅延時間反映経路データD25を作成することで、ユーザUに対し、例えば、始発駅の列車に乗りたい、各駅停車の列車に乗りたいといった当該ユーザUの希望に応じて乗車する列車を変更して作成された経路検索の結果を提示することが可能となる。
【0157】
また、提示データ作成・送信サーバ1において、変更希望区間データD21に係る区間ついての乗車する列車の変更に対応して、さらに当該区間の前及び/又は後の区間において乗車する列車を変更して、変更後遅延時間反映経路データD25を作成することで、ユーザUに対し、特定の区間につきユーザUの希望に応じて乗車する列車を変更すると共に、当該区間の前後についても乗車列車を変更して作成された経路検索の結果を提示することが可能となる。
【符号の説明】
【0158】
100 経路検索支援システム
1 提示データ作成・送信サーバ(サーバ装置、経路検索支援装置)
11 制御部(第1送信制御手段、提示経路データ作成手段、変更後提示経路データ作成手段、第2送信制御手段、第3送信制御手段、送信制御手段)
12 記憶部
121 提示データ作成・送信プログラム(経路検索支援プログラム)
13 通信部(第1取得手段、送信手段、第2取得手段、第3取得手段、第4取得手段、第5取得手段、第6取得手段、第7取得手段、取得手段)
2 経路検索サーバ
3 運行情報サーバ
4 端末装置
41 制御部(送信制御手段)
42 記憶部
421 経路検索支援アプリケーション(経路検索支援プログラム)
43 通信部(送信手段、取得手段)
44 表示部
45 操作部
46 位置情報取得部
D4 運行間隔データ
D5 不通区間データ
D6 遅延時間データ
D7 停止・遅延傾向判定データ
D8 予測不通区間データ
D10 検索条件データ
D12 経路データ(第1経路データ)
D14 区間別時刻表データ
D16 遅延時間反映区間別時刻表データ
D17 遅延時間反映経路データ(提示経路データ)
D18 付与情報データ
D18-1 付与用運行間隔データ(運行間隔データ)
D18-2 付与用遅延傾向データ(遅延傾向データ)
D20 経路提示画面データ
D21 変更希望区間データ
D22 変更候補列車データ
D24 変更希望列車データ
D25 変更後遅延時間反映経路データ(変更後提示経路データ)
G2 経路提示画面
U ユーザ