(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ショットブラスト装置及び鋼床版添接ボルトの付着物除去方法
(51)【国際特許分類】
B24C 3/06 20060101AFI20240228BHJP
B24C 5/06 20060101ALI20240228BHJP
B24C 1/00 20060101ALI20240228BHJP
E01C 23/088 20060101ALI20240228BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B24C3/06 C
B24C5/06 E
B24C1/00 Z
E01C23/088
E01D22/00 A
(21)【出願番号】P 2019129006
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(73)【特許権者】
【識別番号】593162291
【氏名又は名称】株式会社フタミ
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】丑久保 吾郎
(72)【発明者】
【氏名】駒坂 翼
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-167970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/06
B24C 5/06
B24C 1/00
E01C 23/088
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪が取り付けられた走行体と、
前記走行体に対して上下方向に延びる回転軸周りに回動可能に取り付けられ、投射材を処理面に投射して研掃する投射装置と、
を備え
たショットブラスト装置であって、
前記投射装置は、
投射材を貯留するホッパと、
投射材を打ち出す投射ユニットと、
前記ホッパに貯留された投射材を前記投射ユニットに供給するシュートと、
前記投射ユニットを駆動する電動モータと、
前記投射ユニットにより打ち出された投射材を処理面に投射する投射室と、
前記処理面で反射された投射材、及び前記処理面から除去された付着物を前記ホッパに回収するリターンダクトと、
前記リターンダクトにより前記ホッパに回収された投射材及び付着物を分離し、前記投射材を前記ホッパに供給するとともに前記付着物を吸引ダクト接続口に排出するセパレータと、
前記電動モータを制御する制御盤と、
を備え、
前記投射装置は、モータによって回動する、
ショットブラスト装置。
【請求項2】
前記投射装置は、前記走行体のフレームから垂下されている、
請求項1に記載のショットブラスト装置。
【請求項3】
前記投射装置は、回動角度及び回動速度が変更可能である、
請求項1又は請求項2に記載のショットブラスト装置。
【請求項4】
前記走行体は、モータによって自走可能である、
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のショットブラスト装置。
【請求項5】
前記回転軸は、前記投射室の上方に配置された、
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載のショットブラスト装置。
【請求項6】
複数の車輪が取り付けられた走行体と、
前記走行体に対して上下方向に延びる回転軸周りに回動可能に取り付けられ、投射材を処理面に投射して研掃する投射装置と、
を備えたショットブラスト装置であって、
前記投射装置は、
投射材を貯留するホッパと、
投射材を打ち出す投射ユニットと、
前記ホッパに貯留された投射材を前記投射ユニットに供給するシュートと、
前記投射ユニットを駆動する電動モータと、
前記投射ユニットにより打ち出された投射材を処理面に投射する投射室と、
前記処理面で反射された投射材、及び前記処理面から除去された付着物を前記ホッパに回収するリターンダクトと、
前記リターンダクトにより前記ホッパに回収された投射材及び
付着物を分離し、前記投射材を前記ホッパに供給するとともに前記付着物を吸引ダクト接続口に排出するセパレータと、
前記電動モータを制御する制御盤と、
を備え、
前記回転軸が前記投射室の上方に配置された、
ショットブラスト装置。
【請求項7】
請求項1~
請求項6のいずれか1つに記載のショットブラスト装置を使用して、投射装置を回動させながら投射材を鋼床版添接ボルトに投射し、前記添接ボルトに付着している付着物を除去する、
鋼床版添接ボルトの付着物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射材を処理面に投射して研掃するショットブラスト装置、及びこれを使用して鋼床版添接ボルトの付着物を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼床版を用いた橋梁の表層に舗設されたアスファルト舗装を修繕する場合、既存のアスファルト舗装を除去しなければならない。鋼床版添接ボルト上に舗設されたアスファルト舗装の除去作業は、一般的に、(1)エアブレーカやバックホウなどを使用してアスファルト舗装を撤去し、(2)チッパーなどを使用して添接ボルト周囲の付着物を除去し、(3)カップワイヤブラシを使用してボルト頭部周り及びボルト頭部間の付着物を除去し、(4)ショットブラスト装置を使用して添接ボルト周りの付着物を研掃し、(5)カップワイヤブラシを使用して残存付着物を除去する、という手順で行われていた。ここで、ショットブラスト装置による研掃作業は、特開2008-2086号公報(特許文献1)に記載されるように、さび、ごみ、泥、油などの異物を除去するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるショットブラスト装置は、一方向から投射材を処理面に投射する構成が採用されているため、投射材の投射方向を向く部分の付着物を研掃できるが、添接ボルト頭部によって投射材が届かない部分の付着物を十分に研掃することができなかった。このため、上述した除去作業の(3)及び(5)に人手と時間とがかかり、例えば、交通規制を伴う作業時間を短縮することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、ショットブラスト装置による付着物の研掃方法を見直し、付着物の除去作業に要する人手を少なくすると共にその作業時間を短縮可能にした、ショットブラスト装置及び鋼床版添接ボルトの付着物除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、ショットブラスト装置は、複数の車輪が取り付けられた走行体と、投射材を処理面に投射して研掃する投射装置と、を備えている。投射装置は、走行体に対して上下方向に延びる回転軸周りに回動可能に取り付けられているとともに、モータによって回動する。ここで、投射装置は、投射材を貯留するホッパと、投射材を打ち出す投射ユニットと、ホッパに貯留された投射材を投射ユニットに供給するシュートと、投射ユニットを駆動する電動モータと、投射ユニットにより打ち出された投射材を処理面に投射する投射室と、処理面で反射された投射材、及び処理面から除去された付着物をホッパに回収するリターンダクトと、リターンダクトによりホッパに回収された投射材及び付着物を分離し、投射材をホッパに供給するとともに付着物を吸引ダクト接続口に排出するセパレータと、電動モータを制御する制御盤と、を備えている。そして、このようなショットブラスト装置を使用して、投射装置を回動させながら投射材を鋼床版添接ボルトに投射し、添接ボルトに付着している付着物を除去する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、付着物の除去作業に要する人手を少なくすると共にその作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ショットブラスト装置の一例を示す側面図である。
【
図2】ショットブラスト装置の一例を示す平面図である。
【
図3】鋼床版添接ボルトの付着物を除去する第1工程を示す側面図である。
【
図4】鋼床版添接ボルトの付着物を除去する第1工程を示す平面図である。
【
図5】添接ボルトの研掃不十分領域の説明図である。
【
図6】鋼床版添接ボルトの付着物を除去する第2工程を示す平面図である。
【
図7】鋼床版添接ボルトの付着物を除去する第2工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1及び
図2は、本実施形態に係るショットブラスト装置100の一例を示している。
【0010】
ショットブラスト装置100は、自走可能な走行体200と、走行体200に対して上下方向に延びる回転軸周りに回動可能に取り付けられた投射装置300と、を備えている。以下においては、説明の都合上、
図1及び
図2の左方を前方、
図1及び
図2の右方を後方と称することとする。従って、前方及び後方で規定される前後方向に直交する方向は、左右方向又は上下方向となる。なお、ショットブラスト装置100の実際の運用においては、例えば、
図1及び
図2の左方が後方、
図1及び
図2の右方が前方などであってもよい。
【0011】
走行体200は、複数の角鋼管を接合して構成された略直方体のフレーム220と、自在キャスター車輪240と、自走用の車輪260と、車輪260を回転駆動させる電動モータ280と、を備えている。
【0012】
フレーム220は、前後方向に平行して延びる左右一対の第1の部材220Aと、前方において上下方向に平行して延びる左右一対の第2の部材220Bと、後方において上下方向に平行して延びる左右一対の第3の部材220Cと、左右方向に平行して延びる4つの第4の部材220Dと、を含んで構成されている。ここで、第3の部材220Cは、第2の部材220Bより短くなっている。
【0013】
第1の部材220Aの前端部には、第2の部材220Bの上端部及び第4の部材220Dの左右端部が夫々接合されている。また、第1の部材220Aの後端部には、第3の部材220Cの上端部及び第4の部材220Dの左右端部が夫々接合されている。さらに、第2の部材220Bの下端部及び第3の部材220Cの下端部には、第4の部材220Dの左右端部が夫々接合されている。従って、フレーム220は、略直方体の下面の長辺を除く各辺に、第1の部材220A、第2の部材220B、第3の部材220C及び第4の部材220Dが適宜配設されることで構成されている。
【0014】
フレーム220の前方下部には、第4の部材220Dの上面に接合されたブラケット220Eを介して、第1の部材220Aを超えて左右方向に延びる第5の部材220Fが接合されている。第5の部材220Fの一端部、例えば、左方に位置する端部には、上下方向に延びる回転軸周りに回転可能な自在キャスター車輪240が取り付けられている。また、第5の部材220Fの他端部、例えば、右方に位置する端部には、上下方向に延びる回転軸周りに回転可能な車輪260が取り付けられている。
【0015】
フレーム220の後方下部には、第4の部材220Dの下面に接合されたブラケット220Gを介して、上下方向に延びる回転軸周りに回転可能な車輪260が取り付けられている。車輪260は、左右一対の第1の部材220Aから等距離、即ち、走行体200の左右方向の中央部に配置されている。
【0016】
フレーム220の前方及び後方に夫々配置された車輪260は、図示しない駆動チェーン及び一対のスプロケットを介して、電動モータ280によって回転駆動するように構成されている。従って、電動モータ280によって2つの車輪260を回転駆動させることで、走行体200が自走できるようになっている。なお、2つの車輪260は、図示しない操舵用の電動モータによって、上下方向に延びる回転軸周りに回転するようにしてもよい。このようにすれば、走行体200の走行方向を電動で操舵することができる。このとき、自在キャスター車輪240は、走行体200の操舵に伴って自動的に旋回するので、これを能動的に旋回させる機構などは必要でない。
【0017】
投射装置300は、投射材を処理面に投射して研掃する装置であって、ホッパ310と、シュート320と、投射ユニット330と、投射用の電動モータ340と、投射室350と、リターンダクト360と、吸引ダクト接続口370と、制御盤380と、を備えている。
【0018】
ホッパ310は、平面視で略矩形形状をなしつつ下部が一方向に徐々に狭くなる中空部材であって、その内部空間の下部に投射材が貯留されている。また、ホッパ310の内部空間の上部には、投射材と研掃くずとを分離する、図示しないセパレータが配設されている。ホッパ310の下部に貯留された投射材は、円弧形状に屈曲された管材などからなるシュート320を介して、投射材を打ち出して処理面に投射する投射ユニット330に供給される。投射ユニット330は、図示しない大小一対のスプロケット、駆動チェーン及び駆動軸を介して、電動モータ340の回転駆動力によって回転し、投射材を図の下方へと打ち付けて処理面に投射する。
【0019】
投射ユニット330により打ち出された投射材は、投射口から下面が開口する投射室350内へと供給され、その下面開口を臨む処理面に投射される。そして、処理面に投射材が投射されることで、処理面が研掃され、例えば、処理面に付着していた付着物が除去される。処理面から除去された付着物は、処理面で反射された投射材と共に、円弧形状に屈曲された部分を有する管材などからなるリターンダクト360を介して、ホッパ310の上部空間に回収される。ホッパ310の上部空間に回収された投射材及び付着物は、ここに配設されているセパレータによって投射材と付着物とに分離され、投射材のみがホッパ310の下部空間へと供給される。一方、投射材から分離された付着物は、ホッパ310の上部空間から吸引ダクト接続口370へと排出され、図示しない吸引ダクトを介して集塵機へと回収される。
【0020】
また、投射装置300には、投射ユニット330を回転駆動する電動モータ340の回転速度などを制御する制御ユニット、作業指示を入力するボタン、及び各種のランプなどが取り付けられた制御盤380が設けられている。ここで、制御盤380の制御ユニットとしては、マイクロコンピュータを内蔵した電子制御ユニットに限らず、リレーを用いたリレーシーケンスであってもよい。
【0021】
投射装置300は、走行体200に対して上下方向に延びる回転軸周りに回動可能に取り付けられている。具体的には、走行体200のフレーム220の上面には、左右方向に延びて左右一対の第1の部材220Aを連結する第6の部材220Hが接合されている。第6の部材220Hの下面には、上下方向に延びる回転軸周りに回転可能な円環形状の旋回ベアリング400が取り付けられている。旋回ベアリング400には、フレーム220と相対回転可能なように、前後方向に離間して上下方向に平行に延びる一対のブラケット420を介して、投射装置300が垂下状態で取り付けられている。従って、投射装置300は、走行体200のフレーム220に取り付けられた旋回ベアリング400の中心軸の周りに回動することができる。
【0022】
走行体200の後方に位置する左右一対の第3の部材220Cの後面には、左右方向に延びる板材からなるブラケット440が接合され、ここに回動用の電動モータ460が取り付けられている。電動モータ460の出力軸の端部には、大小一対のスプロケットのうち、歯数が少ないスプロケット462が固定されている。また、旋回ベアリング400又はこれと一体化されている一対のブラケット420には、大小一対のスプロケットのうち、歯数が多いスプロケット464が固定されている。そして、歯数が少ないスプロケット462と歯数が多いスプロケット464とは、駆動チェーン466を介して連結されている。従って、電動モータ460を作動させると、その回転駆動力がスプロケット462、駆動チェーン466及びスプロケット464を介して投射装置300に伝達され、走行体200に対して上下方向に延びる回転軸周りに投射装置300を回動させることができる。
【0023】
走行体200の車輪260を回転駆動させる電動モータ280、走行体200に対して投射装置300を回動させる電動モータ460は、投射装置300の制御盤380の制御ユニットによって制御することができる。しかしながら、電動モータ280及び460は、投射装置300の制御盤380とは別体の制御ユニットで制御してもよい。
【0024】
走行体200に対する投射装置300の回動角度は、走行体200のフレーム220に取り付けられたリミットスイッチによって規制することができる。
この構成に代えて、走行体200に対する投射装置300の回動角度及び回動速度は、制御盤380の制御ユニットによって任意に変更可能に構成されていてもよい。この場合、投射装置300を回動させる電動モータ460の回転角度を検出するセンサを取り付け、大小一対のスプロケット462及び464の減速比を考慮して、センサの出力信号から回動角度を求めて規制することができる。また、投射装置300を回動させる電動モータ460が三相ブラシレスモータである場合、PWM(Pulse Width Modulation)制御のデューティ比を変更することで回動速度を変更することができる。これらの場合、投射装置300の電動モータ340に電力を供給する電力線のねじれが過度にならないようにすべく、投射装置300の回動角度を360°程度に制限することが好ましい。
【0025】
次に、ショットブラスト装置100の作用について説明する。
鋼床版添接ボルトに付着している付着物を除去する場合、
図3及び
図4に示すように、走行体200の自在キャスター車輪240及び2つの車輪260を鋼床版SPDが延びる方向と平行にしつつ、制御盤380を適宜操作して自走用の電動モータ280を作動させ、鋼床版SPDの添接ボルトBLTの上方に投射装置300の投射室350を位置させる。そして、制御盤380を適宜操作して投射用の電動モータ340を作動させ、シュート320を介してホッパ310から投射ユニット330へと供給された投射材を打ち出し、投射口から添接ボルトBLTを含む鋼床版SPDに向けて投射材を投射する。鋼床版SPDに向けて投射された投射材は、その投射方向を向く領域の添接ボルトBLTを研掃し、そこに付着していた付着物を除去する。
【0026】
添接ボルトBLTから除去された付着物は鋼床版SPD又は添接ボルトBLTで反射した投射材と共に、リターンダクト360を介してホッパ310の上部空間に回収される。ここで、投射室350には飛散防止カバーが設けられているため、鋼床版SPD又は添接ボルトBLTで反射した投射材が周囲に散乱することがなく、その大部分又は全部を回収することができる。その後、上述したように、ホッパ310の上部空間に配設されているセパレータによって投射材と付着物とが分離され、投射材がホッパ310の下部空間へと供給されると共に、付着物が吸引ダクト接続口370を介して集塵機へと回収される。
【0027】
このとき、添接ボルトBLTに向けて投射された投射材は、
図5に示すように、投射材の投射方向を向く領域に当たるが、添接ボルトBLTの頭部によって投射材が届かない領域には当たらず、ここが研掃不十分領域となってしまう。そこで、制御盤380を適宜操作して回動用の電動モータ460を作動させ、
図6又は
図7に示すように、走行体200に対して上下方向に延びる回転軸周りに投射装置300を回動させ、添接ボルトBLTに対する投射材の投射方向を変更する。このようにすれば、添接ボルトBLTの研掃不十分領域がなくなり、ショットブラスト装置100のみで添接ボルトBLTに付着していた付着物をほぼ完全に除去することができる。
【0028】
要するに、本実施形態に係るショットブラスト装置100を使用して、投射装置300を回動させながら投射材を鋼床版SPDの添接ボルトBLTに投射し、添接ボルトBLTに付着している付着物を除去することができる。このとき、平面視で所定角度内において時計方向及び反時計方向に投射装置300を順次回動させながら、添接ボルトBLTに付着している付着物を除去してもよい。また、この代わりに、走行体200に対する投射装置300の回動角度を一定としたまま、走行体200を鋼床版SPDに沿って走行させて添接ボルトBLTの付着物を除去した後、走行体200に対する投射装置300の回動角度を変化させ、走行体200を鋼床版SPDに沿って走行させて添接ボルトBLTの付着物を除去することを繰り返してもよい。
【0029】
本実施形態に係るショットブラスト装置100を使用することで、上述したように、添接ボルトBLTに付着していた付着物をほぼ完全に除去することができる。このため、背景技術で説明したアスファルト舗装の除去作業のうち、(3)カップワイヤブラシを使用してボルト頭部周り及びボルト頭部間の付着物を除去する作業が不要となると共に、(5)カップワイヤブラシを使用して残存付着物を除去する作業が軽減又は不要となる。よって、既設のアスファルト舗装などの舗装版を撤去する作業時間を短縮することができ、例えば、交通規制を伴う作業時間を短縮することが可能となる。
【0030】
また、上記作業(3)及び(5)が軽減又は不要となるため、作業者の人数を減らすことができ、アスファルト舗装の除去作業を伴うアスファルト舗装の修繕作業に要するコストを低減することもできる。さらに、従来技術であれば、除去作業の最後に作業者が付着物の残留がないことを確認していたが、この確認作業に伴う労力を軽減することができる。
【0031】
本発明は、上記及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、多くの変更、変形及び修正が可能であることを認識するであろう。
【0032】
一例を挙げると、走行体200は、上下方向に延びる回転軸周りに回動可能に投射装置300を取り付け可能であればよく、例えば、4つ以上の車輪を有していたり、本実施形態とは異なる構成のフレーム220を有していたりしてもよい。また、投射装置300は、投射材を一定方向に投射可能であればよく、例えば、投射ユニットを使用しない投射方法、投射材の回収構造などが異なっていてもよい。さらに、走行体200に対する投射装置300の取り付けは、走行体200のフレーム220に投射装置300を垂下させる構成に限らず、投射装置300の中間部又は下部を回動可能に支持するようにしてもよい。
【0033】
また、自走用の電動モータ280、投射用の電動モータ340及び回動用の電動モータ460の代わりに、油圧モータやエアモータなどの公知のアクチュエータを使用してもよい。さらに、走行体200は、自走可能な構成に限らず、作業者が人手によって押すことで走行可能な構成であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 ショットブラスト装置
200 走行体
220 フレーム
240 自在キャスター車輪
260 車輪
280 電動モータ
300 投射装置
400 旋回ベアリング
460 電動モータ
SPD 鋼床版
BLT 添接ボルト