(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】爪研ぎ器
(51)【国際特許分類】
A01K 15/02 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A01K15/02 G
(21)【出願番号】P 2019160481
(22)【出願日】2019-09-03
【審査請求日】2022-06-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060594
【氏名又は名称】株式会社サンコー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】角谷 太基
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3187315(JP,U)
【文献】登録実用新案第3174534(JP,U)
【文献】登録実用新案第3120875(JP,U)
【文献】登録実用新案第3022541(JP,U)
【文献】登録実用新案第3003974(JP,U)
【文献】実開昭60-074566(JP,U)
【文献】特開2018-110578(JP,A)
【文献】特開2013-243991(JP,A)
【文献】特開2003-164234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0103613(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0045191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
猫用の爪研ぎ器において、
爪研ぎ部材と、
該爪研ぎ部材の一側に設けられており、被装着体に装着される装着部材と、
一面に前記爪研ぎ部材が設けられており、他面に前記装着部材が設けられている基板と
を備え、
該基板は、
一方向に長い段ボール板であり、
該段ボール板の中芯は、前記一方向に交差する方向に並ぶ波状をなし、
前記基板は、該基板の
前記一方向の全長に亘って設けられたスリットによって分割されており、
前記爪研ぎ部材は分割されていないことを特徴とする爪研ぎ器。
【請求項2】
前記爪研ぎ部材は、段ボール又は麻を用いてなることを特徴とする請求項
1に記載の爪研ぎ器。
【請求項3】
前記装着部材は、表面に吸盤状の凹部が形成されている合成樹脂製の吸着部を有することを特徴とする請求項1
又は2の何れか一項に記載の爪研ぎ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は爪研ぎ器に関する。
【背景技術】
【0002】
爪研ぎはネコ科の動物の習性だと言われている。飼い猫が床又は壁等で爪を研ぐことを抑制するために、飼い主は爪研ぎ器を用意することがある。
従来、段ボール製の板状ブロックを備える猫用爪研ぎ器(爪研ぎ器)が提案されている(特許文献1参照)。板状ブロックは、各短冊状の複数枚の段ボール片が互いに貼り合わされてなる。板状ブロックの一面には、複数枚の段ボール片夫々のフルート端面が並んでいる。猫用爪研ぎ器は、段ボール片のフルート端面が上向きになるようにして床に載置される。猫は猫用爪研ぎ器に乗り、板状ブロックで爪を研ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の猫用爪研ぎ器の場合、猫用爪研ぎ器に乗った猫の体重を利用して、爪研ぎの際に猫用爪研ぎ器が位置ずれすることを抑制している。しかしながら、猫が猫用爪研ぎ器に乗っていない場合には、例えば猫が猫用爪研ぎ器にじゃれつくことによって、猫用爪研ぎ器が飼い主にとって不適切な場所に移されてしまう虞がある。
また、特許文献1に記載の猫用爪研ぎ器は床置きされることが前提なので、猫用爪研ぎ器の使用形態が限定されている。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、所望の場所に固定すること、及び使用形態の自由度を向上させることができる爪研ぎ器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、猫用の爪研ぎ器において、爪研ぎ部材と、該爪研ぎ部材の一側に設けられており、被装着体に装着される装着部材とを備えることを特徴とする。
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、猫用の爪研ぎ器において、爪研ぎ部材と、該爪研ぎ部材の一側に設けられており、被装着体に装着される装着部材と、一面に前記爪研ぎ部材が設けられており、他面に前記装着部材が設けられている基板とを備え、該基板は、該基板の一側から他側に亘って設けられたスリットによって分割されており、前記爪研ぎ部材は分割されていないことを特徴とする。
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、猫用の爪研ぎ器において、爪研ぎ部材と、該爪研ぎ部材の一側に設けられており、被装着体に装着される装着部材と、一面に前記爪研ぎ部材が設けられており、他面に前記装着部材が設けられている基板とを備え、該基板は、該基板の一側から他側に亘って設けられたスリットによって分割されており、前記基板の分割された一部と該一部に隣り合う他部とは互いに非接触であり、前記爪研ぎ部材は分割されていないことを特徴とする。
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、猫用の爪研ぎ器において、爪研ぎ部材と、該爪研ぎ部材の一側に設けられており、被装着体に装着される装着部材と、一面に前記爪研ぎ部材が設けられており、他面に前記装着部材が設けられている基板とを備え、該基板は、一方向に長い段ボール板であり、該段ボール板の中芯は、前記一方向に交差する方向に並ぶ波状をなし、前記基板は、該基板の前記一方向の全長に亘って設けられたスリットによって分割されており、前記爪研ぎ部材は分割されていないことを特徴とする。
【0007】
本実施の形態にあっては、爪研ぎ部材の一側に装着部材が設けられている。
人間が被装着体に装着部材を装着することによって、爪研ぎ器を所望の場所に固定することができる。故に、爪研ぎ器が人間にとって不適切な場所に移されることを抑制することができる。
【0008】
例えば被装着体が床であれば、床置きされた爪研ぎ器の爪研ぎ部材で猫が爪を研ぐことができる。しかも、床置きされた爪研ぎ器が、猫の爪研ぎの際に位置ずれすることを抑制することができる。
また、例えば被装着体が壁であれば、縦置きされた爪研ぎ器の爪研ぎ部材で猫が爪を研ぐことができる。しかも、縦置きされた爪研ぎ器が、猫の爪研ぎの際に倒れることを抑制することができる。
以上の結果、爪研ぎ器の使用形態の自由度を向上させることができる。
【0009】
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、一面に前記爪研ぎ部材が設けられており、他面に前記装着部材が設けられている基板を更に備えることを特徴とする。
【0010】
本実施の形態にあっては、基板の一面に爪研ぎ部材が設けられており、基板の他面に装着部材が設けられている。爪研ぎ部材と装着部材との間に基板が介在することによって、爪研ぎ部材及び装着部材を保形することができる。
【0011】
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、前記基板は、該基板の一側から他側に亘って設けられたスリットによって分割されていることを特徴とする。
【0012】
本実施の形態にあっては、スリットによって基板が分割されている。例えば湿度又は温度の変化に伴って基板に反りが生じたとしても、基板の分割された各部夫々の最大の反り量は小さい。故に、基板全体の最大の反り量を小さく抑えることができる。
【0013】
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、前記基板は、一方向に並ぶ波状の中芯を夫々含む複数枚の段ボール板を互いに積層してなり、隣り合う前記段ボール板の前記中芯の波の並設方向は互いに交差していることを特徴とする。
【0014】
本実施の形態にあっては、基板が段ボール板の積層体である。隣り合う段ボール板夫々が反り易い方向は互いに交差している。故に、隣り合う段ボール板が互いに補強し合うので、基板の反りを抑制することができる。
【0015】
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、前記爪研ぎ部材は、段ボール又は麻を用いてなることを特徴とする。
【0016】
本実施の形態にあっては、段ボール又は麻を用いてなる爪研ぎ部材は、猫の爪研ぎに好適である。
【0017】
本実施の形態に係る爪研ぎ器は、前記装着部材は、表面に吸盤状の凹部が形成されている合成樹脂製の吸着部を有することを特徴とする。
【0018】
本実施の形態にあっては、被装着体に押し付けられた吸着部の真空吸着によって、装着部材を被装着体に着脱可能に装着することができる。
【発明の効果】
【0019】
本実施の形態の爪研ぎ器によれば、爪研ぎ器を所望の場所に固定すること、及び爪研ぎ器の使用形態の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1に係る爪研ぎ器の斜視図である。
【
図3】実施の形態2に係る爪研ぎ器の側面図である。
【
図4】実施の形態3に係る爪研ぎ器の要部を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態4に係る爪研ぎ器が備える基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0022】
実施の形態 1.
図1は、実施の形態1に係る爪研ぎ器の斜視図である。
図中1は爪研ぎ器であり、爪研ぎ器1は基板2、爪研ぎ部材3、及び装着部材4を備える。爪研ぎ部材3は基板2の一面に設けられており、装着部材4は基板2の他面に設けられている。以下では、基板2の爪研ぎ部材3側の面を正面といい、基板2の装着部材4側の面を背面という。
図1は、爪研ぎ器1の正面側の斜視図である。
図2は、爪研ぎ器1の背面側の斜視図である。
【0023】
図1及び
図2に示す基板2は、一方向に長い矩形状をなす。基板2は段ボール板であり、2枚のライナ(平坦な紙)の間に中芯(一方向に並ぶ波状の紙)が挟まれてなる。基板2においては、段ボールの流れ方向(中芯の波の並設方向)が基板2の短辺に沿う。
【0024】
爪研ぎ部材3は、複数枚の段ボール片31,31,…が互いに積層されてなる矩形板状の積層体である。各段ボール片31は短冊状をなす。段ボール片31においては、流れ方向が段ボール片31の長さ方向である。段ボール片31,31,…夫々の寸法は互いに等しい。隣り合う段ボール片31夫々のライナは、互いに接着されている。各段ボール片31の長辺は爪研ぎ部材3の長辺に沿い、各段ボール片31の短辺は爪研ぎ部材3の厚さ方向に沿う。爪研ぎ部材3の両面夫々においては、段ボール片31,31,…夫々のフルート端面(流れ方向に沿う方向の端面)が爪研ぎ部材3の短辺に沿って並んでいる。
爪研ぎ部材3の縦横の長さは基板2の縦横の長さに等しい。爪研ぎ部材3の一面は、接着剤を用いて、基板2の正面に接着されている。
【0025】
装着部材4は、基体41及び複数の吸着部42,42,…を備える。
基体41は矩形状をなす。基体41の縦横の長さは基板2の縦横の長さに等しい。基体41は、例えば不織布である。基体41の一面は、接着剤を用いて、基板2の背面に接着されている。基体41の他面には、吸着部42,42,…が設けられている。
各吸着部42は基体41の全幅に亘る凸条状をなす。吸着部42,42,…は基体41の長辺に沿って並設されている。吸着部42,42,…は、発泡させた合成樹脂を基体41に塗布することによって形成されている。吸着部42の表面には、目に見えない吸盤状の凹部が多数形成されている。
【0026】
爪研ぎ器1は、猫が爪を研ぐために使用するものである。例えば猫の飼い主は、図示しない被装着体(床、壁、柱、又は家具の側板等)に装着部材4の吸着部42,42,…を押し付ける。被装着体に押し付けられた吸着部42,42,…の真空吸着によって、装着部材4は被装着体に着脱可能に装着される。この結果、爪研ぎ器1を所望の場所に固定することができる。
真空吸着の効果を向上させるために、被装着体の吸着部42,42,…に接触する部分は滑らかであることが望ましい。
【0027】
被装着体が床である場合、爪研ぎ部材3の正面が上側に向く。爪研ぎ器1の縦横の長さは、例えば床に固定された爪研ぎ器1に猫が乗ることができる程度である。この場合、猫は爪研ぎ部材3に乗り、爪研ぎ部材3で爪を磨く。
被装着体が壁又は柱等である場合、爪研ぎ器1の正面が手前側に向く。爪研ぎ器1の横方向の長さは、猫が両前足を広げた長さよりも長いことが望ましい。猫は後足で立つようにして、爪研ぎ部材3で前足の爪を磨く。壁又は柱等に取り付けられた爪研ぎ器1は、飼い主の邪魔になり難い。
【0028】
爪研ぎ器1の短辺の長さは、例えば100mm以上300mm以下(具体例として220mm)である。爪研ぎ器1の長辺の長さは、例えば300mm以上1000mm以下(具体例として450mm)である。
【0029】
装着部材4の真空吸着により、猫の爪研ぎの際に、床に固定された爪研ぎ器1が位置ずれしたり、壁又は柱等に固定された爪研ぎ器1が倒れたりすることが抑制される。故に、爪研ぎ器1の使用形態の自由度を向上させることができる。
固定された爪研ぎ器1は、例えば猫が爪研ぎ器1にじゃれついた程度では移動しないので、爪研ぎ器1が飼い主にとって不適切な場所に移されることを抑制することができる。
装着部材4は着脱可能なので、爪研ぎ器1を被装着体から取り外して収納したり別の被装着体に装着したりすることができる。
【0030】
段ボール製の爪研ぎ部材3は、特に段ボール片31の中芯が猫の爪に引っ掛かり易いので、猫の爪研ぎに好適である。被装着体が壁又は柱等である場合、爪研ぎ器1の長辺が上下に向くようにして爪研ぎ器1が被装着体に固定されることが望ましい。この場合、猫の爪は、特に、段ボール片31の2枚のライナの間に挿入されて段ボール片31の中芯を引っ掻く。
【0031】
猫の爪研ぎにより、爪研ぎ部材3は徐々に削れていく。爪研ぎ部材3は厚いほど長持ちする。現実的には、爪研ぎ部材3の厚さ(段ボール片31の幅)は、例えば10mm以上60mm以下(具体例として15mm)である。
段ボール片31の厚さは、例えば3mm、5mm、7mm、又は9mmである。
段ボール片31は2枚のライナ及び中芯を備える構成に限定されず、1枚のライナ及び中芯を備える構成でもよい。
【0032】
上述したように、基板2においては、段ボールの流れ方向が基板2の短辺に沿う。故に、基板2は長辺に沿って反り難い。
基板2は厚いほど反り難い。基板2の厚さは3mm以上であることが望ましい。
【0033】
なお、基板2は段ボール製に限定されず、例えば木製、合成樹脂製、又は金属製でもよい。ただし、段ボール製の基板2には、軽量、安価、及び低環境負荷等の利点がある。
基板2に対する爪研ぎ部材3(又は装着部材4)の固定は、接着剤によるものに限定されない。例えば、基板2と爪研ぎ部材3(又は装着部材4の基体41)との間に両面テープを介在させることによって、基板2に爪研ぎ部材3(又は装着部材4)を固定してもよい。
吸着部42は凸条状に限定されず、例えばドット状でもよい。また、層状の吸着部42が基体41に積層されてもよい。
本実施の形態では、吸着部42,42,…は基体41に全面的に配されているが、これに限定されるものではない。例えば、吸着部42,42,…は基体41の一部(例えば四隅)に配されてもよい。
【0034】
装着部材4は、吸着部42を有する構成に限定されない。例えば装着部材4は、再剥離性を有する接着剤の層が基体41の背面に形成された構成でもよい。
基板2の素材によっては、吸着部42又は再剥離性を有する接着剤の層が基板2の背面に形成されてもよい。
装着部材4は永久磁石を備え、例えば冷蔵庫に装着される構成でもよい。装着部材4は例えばオス型の面ファスナを備え、メス型の面ファスナを備える被装着体に装着される構成でもよい。
装着部材4は、被装着体に着脱可能に装着される構成に限定されない。例えば装着部材4は両面テープであり、装着部材4の一面が基板2の背面に接着され、装着部材4の他面が被装着体に接着される。
【0035】
本実施の形態では、装着部材4は基板2の全面に配されているが、これに限定されるものではない。例えば、4つの装着部材4,4,…が基板2の四隅に配されてもよい。
爪研ぎ器1の形状は一方向に長い矩形に限定されず、例えば正方形又は円形でもよい。
本実施の形態の爪研ぎ器1は、基板2の正面及び背面に板状の爪研ぎ部材3及びシート状の装着部材4が積層された3層構造であるが、これに限定されるものではない。例えば、爪研ぎ器1は爪研ぎ部材3の背面に装着部材4が積層された2層構造でもよい。この場合、装着部材4の基体41が爪研ぎ部材3の背面に接着剤又は両面テープ等を用いて直接的に固定される。故に、爪研ぎ器1の構成が簡易であり、爪研ぎ器1を安価に製造することができる。ただし、基板2を備える爪研ぎ器1の方が、爪研ぎ部材3及び装着部材4の保形に有利である。
【0036】
次に、実施の形態2~4を説明する。実施の形態2~4の爪研ぎ器1の構成は、実施の形態1の爪研ぎ器1の構成と略同様である。実施の形態2~4の爪研ぎ器1は、実施の形態1の爪研ぎ器1の作用効果と略同様の作用効果を奏する。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0037】
実施の形態 2.
図3は、実施の形態2に係る爪研ぎ器1の側面図である。
本実施の形態の爪研ぎ部材3は、基体32及び爪研ぎ本体33を備える。
基体32は矩形状をなす。基体32の縦横の長さは基板2の縦横の長さに等しい。基体32は、例えばフェルトである。
【0038】
爪研ぎ本体33は基体32の一面に設けられている。爪研ぎ本体33は矩形状をなす。爪研ぎ本体33縦横の長さは基板2の縦横の長さに等しい。爪研ぎ本体33は、例えば麻布である。爪研ぎ本体33の一面は基体32の一面に接着されている。
【0039】
基体32の他面には、装着部材4の吸着部42,42,…と同様の吸着部34,34,…が設けられている。例えば飼い主は、基板2の正面に爪研ぎ部材3の吸着部34,34,…を押し付ける。被装着体に押し付けられた吸着部34,34,…の真空吸着によって、爪研ぎ部材3は基板2に着脱可能に装着される。この結果、爪研ぎ部材3を容易に交換することができる。
吸着部34,34,…の真空吸着の効果を向上させるために、基板2には、基板2の正面を滑らかにする表面処理加工が施されている。
なお、爪研ぎ部材3は基板2に接着されてもよい。
【0040】
基体32は十分な厚さ(例えば3mmの厚さ)を有することが望ましい。基体32が十分に厚い場合、爪研ぎ本体33を貫通した猫の爪が吸着部34又は基板2を破損させることが抑制される。
【0041】
麻製の爪研ぎ部材3は、爪研ぎの際に削りくずが出にくいので、猫の爪研ぎに好適である。
なお、爪研ぎ本体33は麻製に限定されず、例えば綿製でもよい。綿製の爪研ぎ部材3も爪研ぎの際に削りくずが出にくい。しかしながら、麻繊維は綿繊維よりも硬く、猫の爪に引っ掛かり易いので、綿よりも麻の方が好適である。
爪研ぎ本体33は織物でも編物でもよい。また、爪研ぎ本体33は不織布でもフェルトでもよい。爪研ぎ本体33は、麻、綿等の繊維を利用したループ状の突起が多数、織布、不織布等の生地の表面に設けられたものでもよい。
【0042】
実施の形態 3.
実施の形態1で述べたように、基板2には、爪研ぎ部材3及び装着部材4夫々が接着剤を用いて接着される。接着剤の乾燥に伴い、接着剤は収縮する。また、基板2においては、段ボールの流れ方向が基板2の短辺に沿うので、基板2は短辺に沿って反り易い。以上のことから、接着剤の収縮に伴い、基板2が短辺に沿って反る虞がある。
基板2の反り量が大きい場合、例えば床又は壁のような平坦な被装着体に装着部材4を装着することができない。故に、以下のようにして基板2の反り量を抑える。
【0043】
図4は、実施の形態3に係る爪研ぎ器1の要部を示す斜視図である。
図4においては、装着部材4の図示が省略されている。
基板2は、2本のスリット21,21によって3枚の段ボール板22,22,22に分割されている。スリット21,21は、基板2の短辺に沿って並設されている。各スリット21は、基板2の全長に亘る。
【0044】
各段ボール板22は短冊状をなす。段ボール板22においては、段ボールの流れ方向が段ボール板22の短辺に沿う。
段ボール板22,22,22は、段ボール板22の短辺に沿う方向に並べられる。隣り合う段ボール板22,22間にスリット21が形成される。各段ボール板22は、爪研ぎ部材3及び装着部材4に接着される。基板2は、爪研ぎ部材3及び装着部材4への接着によって段ボール板22,22,22が一体化されたものである。
【0045】
接着剤の収縮に伴って段ボール板22に反りが生じたとしても、段ボール板22の最大の反り量は小さい。故に、基板2全体の最大の反り量を小さく抑えることができる。
なお、スリット21の本数は3本以上でもよく、1本でもよい。
本実施の形態においては、基板2は短辺に沿って反り易いので、基板2の全長に亘るスリット21によって分割されている。基板2が長辺に沿って反り易い場合、基板2の全幅に亘るスリット21によって分割されることが望ましい。
【0046】
基板2が段ボール製である場合に限定されず、基板2が反り易い素材又は構成である場合、基板2はスリットによって複数枚に分割されていることが望ましい。基板2が長辺及び短辺両方に沿って反り易い場合、2本のスリットが十字状に設けられてもよい。
【0047】
実施の形態 4.
図5は、実施の形態4に係る爪研ぎ器1が備える基板2の斜視図である。
本実施の形態の基板2は、複数枚(図中3枚)の段ボール板23,23,23を互いに厚さ方向に積層してなる。各段ボール板23の縦横の長さは基板2の縦横の長さに等しい。
【0048】
ただし、隣り合う段ボール板23,23夫々の流れ方向は互いに直交している。つまり、隣り合う段ボール板23,23夫々が反り易い方向は互いに直交している。
図5においては、中央の段ボール板23の流れ方向は基板2の長辺に沿い、両側の2枚の段ボール板23,23夫々の流れ方向は基板2の短辺に沿う。故に、隣り合う段ボール板23,23が互いに補強し合うので、基板2の反りを抑制することができる。
なお、段ボール板23の枚数は2枚でもよく、4枚以上でもよい。
【0049】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 爪研ぎ器
2 基板
21 スリット
23 段ボール板
3 爪研ぎ部材
4 装着部材
42 吸着部