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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】センサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/14 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G01B7/14
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020019276
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2020144112
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】1901753.2
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511294198
【氏名又は名称】フューチャー テクノロジー(センサーズ)リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Future Technology(Sensors)Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】ハワード エリオット
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04119513(US,A)
【文献】特開平01-176861(JP,A)
【文献】特開2010-032406(JP,A)
【文献】特表2013-511705(JP,A)
【文献】国際公開第2017/089749(WO,A1)
【文献】米国特許第04842713(US,A)
【文献】米国特許第09103738(US,B2)
【文献】特表2014-500479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0006791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の環状面と第2の環状面を有する外側に延在するフランジを有するセンサ本体と、
第1の環状面と第2の環状面と前記センサ本体が受容される開口部を有しており、前記センサ本体を実質的に囲む、非導電性で環状の第1のスペーサと、
第1の環状面と第2の環状面と前記センサ本体が受容される開口部を有しており、前記センサ本体を実質的に囲む、非導電性で環状の第2のスペーサと、を備え、
さらに前記外側に延在するフランジと前記第1のスペーサと前記第2のスペーサが受容される環状溝を有するハウジングを備え、前記環状溝は、前記ハウジングの第1の環状面と第2の環状面の間に画成されており、
前記ハウジングの前記第1の環状面は、前記第1のスペーサの前記第1の環状面と摺接しており、
前記第1のスペーサの前記第2の環状面は、前記外側に延在するフランジの前記第1の環状面と摺接しており、
前記外側に延在するフランジの前記第2の環状面は、前記第2のスペーサの前記第1の環状面と摺接しており、
前記第2のスペーサの前記第2の環状面は、前記ハウジングの前記第2の環状面と摺接しており、
前記ハウジングの前記第1の環状面と前記第2の環状面は、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサによって前記外側に延在するフランジに圧縮荷重を加えることにより摺接する前記環状面との間に気密封止を形成し、前記環状面間の摺接により、前記センサ本体と前記ハウジングとの間の熱膨張差が吸収可能とされている、センサアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のスペーサと前記第2のスペーサは、セラミック材料から形成されている請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジングは、金属または金属合金から形成されている請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
前記フランジは、前記第1の環状面と前記第2の環状面の間に外側の端面を含んでいる請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
前記環状溝は、前記ハウジングの前記環状面間に内面を含んでいる請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のスペーサと前記第2のスペーサの各々は、前記環状溝の前記内面に対向する外側の端面と、前記センサ本体の外面に対向する内側の端面とを含んでいる請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項7】
前記第1のスペーサと前記第2のスペーサの前記外側の端面は、前記環状溝の前記内面に接触し、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサの前記内側の端面は、前記センサ本体の前記外面と接触している請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項8】
前記センサ本体は、前記ハウジングから電気的に絶縁されている請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項9】
前記センサ本体は、環状の隙間によって前記ハウジングから離隔している請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記センサ本体は、非導電性の材料によって前記ハウジングから離隔している請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
前記センサ本体は、金属,金属合金またはセラミック,またはそれらの組合せから形成されている請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
前記センサ本体は、導電性電極を含んでいる請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
前記センサ本体は、前記電極を画成する導電性材料の層と、非導電性材料の1つ以上の層とを有する多層構造を有している請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記電極または前記センサ本体が配置される凹状開口部を含む端部を含んでいる請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項15】
前記ハウジングの前記端部は、環状の隙間によって前記電極または前記センサ本体から離隔している請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項16】
前記ハウジングの前記端部は、非導電性の材料によって前記電極または前記センサ本体から離隔している請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項17】
前記電極または前記センサ本体は表面を有しており、前記非導電性の材料は、前記電極または前記センサ本体の前記表面上にも延在する遮熱コーティングである請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項18】
前記ハウジングの前記端部は、前記電極または前記センサ本体の前記表面を越えて突出して、環状襟部を画成する請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項19】
前記センサ本体は、軸方向に延びる支持体を含む請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項20】
前記ハウジングは2部品ハウジングであり、前記環状溝の前記第1の環状面は第1のハウジング部に形成され、前記環状溝の前記第2の環状面は第2のハウジング部に形成されている請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項21】
前記第1ハウジング部は前記第2ハウジング部に強固に固定され、前記センサ本体は前記2部品ハウジングに物理的に固定されていない請求項2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項22】
第1の環状面と第2の環状面を有する外側に延在するフランジを有するセンサ本体を提供する工程と、
第1の環状面と第2の環状面と、開口部を有しており、非導電性で環状の第1のスペーサを提供する工程と、
前記第1のスペーサの前記開口部で前記センサ本体を受容し、前記第1のスペーサの前記第2の環状面を前記外側に延在するフランジの前記第1の環状面に接触させる工程と、
第1の環状面と第2の環状面と、開口部を有しており、非導電性で環状の第2のスペーサを提供する工程と、
前記第2のスペーサの前記開口部で前記センサ本体を受容し、前記外側に延在するフランジの前記第2の環状面を前記第2のスペーサの前記第1の環状面に接触させる工程と、
前記外側に延在するフランジと前記第1のスペーサと前記第2のスペーサが受容される環状溝を有する2部品ハウジング内に前記センサ本体と前記第1のスペーサと前記第2のスペーサを配置する工程と、を備え、前記環状溝は、第1のハウジング部に形成された第1の環状面と第2のハウジング部に形成された第2の環状面との間に画成されており、
前記第1のハウジング部の前記第1の環状面を前記第1のスペーサの前記第1の環状面に接触させる工程と
記第2のスペーサの前記第2の環状面を前記第2のハウジング部の前記第2の環状面に接触させる工程と、
前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を固定して一体型2部品ハウジングを形成し、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサによって圧縮荷重が前記外側に延在するフランジに加えられるようにすることにより摺接する前記環状面との間に気密封止を形成し、前記環状面間の摺接により、前記センサ本体と前記ハウジングとの間の熱膨張差が吸収可能とされている工程と、を含む、センサアセンブリの製造方法。
【請求項23】
前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を固定する前記工程がさらに、
前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部が熱膨張する特定の温度まで前記センサアセンブリの温度を上昇させる工程と、
前記特定の温度で前記センサアセンブリに対してろう付けプロセスを用いて前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を一緒に固定する工程と、
前記センサアセンブリの前記温度を下げて、前記一体型2部品ハウジングの前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を熱収縮させて、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサによって前記外側に延在するフランジに圧縮荷重を加える工程と、を含む、請求項2に記載のセンサアセンブリの製造方法。
【請求項24】
前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を固定する前記工程がさらに、
前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を一緒に機械的に圧縮して、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサによって前記外側に延在するフランジに圧縮荷重を加える工程と、
前記圧縮荷重が印加されている間に、溶接によって前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を一緒に固定する工程と、を含む、請求項2に記載のセンサアセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサアセンブリに関し、特にセンサ本体を組み込んだセンサアセンブリに関するものである。
【0002】
「センサアセンブリ」という用語は、次の(非網羅的)リストによって示されるような多種多様なセンサタイプおよび製品をカバーすることを意図している。すなわち、圧力センサ,歪ゲージセンサ,温度センサ,静電容量センサ,変位測定センサ,刃先タイミングセンサ,刃先クリアランス測定センサ,誘導センサ,光学センサ,マイクロ波センサおよび赤外線センサである。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第2330408号公報は、高温動作環境で使用可能なセンサアセンブリを記載している。このセンサアセンブリは、径方向フランジを有するセンサ本体を含んでいる。ハウジングは、センサ本体の径方向フランジが受容される環状溝を有している。環状溝は、各々が環状面と略円筒形状面を有する一対の対向する肩部によって画成されている。
【0004】
肩部の環状面は、フランジの環状面と摺接して、フランジに圧縮荷重を加える。それゆえ、センサ本体は、ハウジングに対して物理的に(例えば、ろう付けによって)固定されていないが、肩部の環状面によってフランジに圧縮荷重が加えられた結果、ハウジング内に強固に保持されている。センサアセンブリの係る特有な構造は、熱膨張差に重大な問題がなく、したがってセンサアセンブリは高温環境での使用に本質的に適している、ことを意味している。
【0005】
センサアセンブリは、ガスタービンエンジンブレードの先端と周囲のケースとの間の隙間を測定するために使用される静電容量センサであってもよい。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1の環状面と第2の環状面を含む外側に延在するフランジを有するセンサ本体と、第1の環状面と第2の環状面を有する第1のスペーサと、第1の環状面と第2の環状面を有する第2のスペーサと、前記外側に延在するフランジと前記第1のスペーサと前記第2のスペーサが受容される環状溝を有するハウジングと、を備え、前記環状溝は、前記ハウジングの第1の環状面と第2の環状面間に画成されており、前記ハウジングの前記第1の環状面は、前記第1のスペーサの前記第1の環状面と摺接しており、前記第1のスペーサの前記第2の環状面は、前記外側に延在するフランジの前記第1の環状面と摺接しており、前記外側に延在するフランジの前記第2の環状面は、前記第2のスペーサの前記第1の環状面と摺接しており、前記第2のスペーサの前記第2の環状面は、前記ハウジングの前記第2の環状面と摺接しており、前記ハウジングの前記第1の環状面と前記第2の環状面は、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサによって前記外側に延在するフランジに圧縮荷重を加える、センサアセンブリを提供する。
【0007】
スペーサは非導電性であり、適切なセラミック材料または任意の他の適切な非導電性材料から形成されていてもよい。材料の選択は、気密封止を維持し熱膨張差に対応できるように、スペーサが摺接しているセンサ本体のフランジやハウジングのような他の構成要素の材料に依存していてもよい。スペーサは、センサ本体を実質的に包囲していてもよいし(例えば、環状スペーサ)、センサ本体が受容される開口部を有していてもよい。
【0008】
ハウジングは、センサアセンブリが使用中に通常経験する高い動作温度に耐えることができる適切な金属または金属合金から形成されていてもよい。
【0009】
センサ本体は、略円形断面を有する略円筒形状を有していてもよい。
【0010】
フランジは径方向フランジであってもよい。フランジは、その第1の環状面と第2の環状面との間に外側の端面を含んでいてもよい。外側の端面は、略円筒形であってもよい。
【0011】
環状溝は、第1の環状面と第2の環状面の間にハウジングの内面をさらに含んでいてもよい。ハウジングの内面は、略円筒形であってもよい。
【0012】
各スペーサは、ハウジングの内面に対向する外側の端面と、スペーサ開口部を画成しセンサ本体の外面に対向する内側の端面と、を含んでいてもよい。各スペーサの外側の端面は、略円筒形であってもよい。各スペーサの内側の端面は、略円筒形であってもよい。各スペーサの外側の端面と内側の端面は、それぞれハウジングの内面とセンサ本体の外面に接触していてもよいし、あるいはわずかな許容誤差でフィットしていてもよい。
【0013】
センサ本体は、オプションでスペーサによってハウジングから離隔されるように、ハウジングから電気的に絶縁されていることが好ましい。センサ本体は、環状隙間によって、または非導電性材料を挿入することによって、ハウジングから離隔されていてもよい。センサ本体とハウジングの間の隙間の少なくとも一部を、適切な非導電性材料で満たすか、または必要な電気絶縁を提供するエアギャップとして空けた状態のままとしてもよい。
【0014】
センサ本体は、任意の適切な材料から形成することができ、好ましくは導電性電極を含んでいる。センサ本体はまた、導電性シールドを含んでいてもよい。かかる電極およびシールドは、金属、金属合金またはセラミックなどの任意の適切な導電性材料で形成することができる。シールドは電極から電気的に絶縁されている。
【0015】
センサ本体は、金属、金属合金、セラミック、またはそれらの組み合わせなどの任意の適切な材料から形成されていてもよい。センサ本体は、金属、金属合金、またはセラミックなどの適切な導電性材料の1つ以上の層または部位、および適切なセラミックなどの非導電性材料の1つ以上の層または部位を備えた、多層または複数部位の構造を有していてもよい。センサ本体の導電層または部位が、電極またはシールド、あるいは電極またはシールドと伝送ケーブル、例えば同軸または三軸ケーブル、との間の電気的接続を提供するセンサ本体の一部を画成していてもよい。かかる伝送ケーブルは、適切な方法でセンサ本体に電気的に接続されていてもよい。1つの構成では、センサ本体と伝送ケーブルとの間の接続は、気密封止され且つ実質的に剛性のあるケーブル接続アセンブリを用いて行われていてもよい。かかるケーブル接続アセンブリは、ハウジング内のセンサ本体の小さな動きや振動を減衰させ、それによって騒音を最小限に抑えることができる。無機絶縁ケーブルは通常吸湿性を持ち、水分を吸収するとケーブルの絶縁抵抗が損なわれる可能性がある。気密封止されたケーブル接続アセンブリを使用することは、センサアセンブリに少量の湿気が入っても、以下のように無機絶縁ケーブルに悪影響を及ぼさないことを意味する。伝送ケーブルは、センサ本体の軸に略垂直に、あるいは他の適切なまたは都合のよい方向に向けることができる。センサ本体の非導電性の層または部位は、例えば、ハウジングから電極を、または電極およびハウジングからシールドを、電気的に絶縁することができる。かかる層のいくつかは、例えば、適切な堆積プロセスを使用して塗布された、堆積層であってもよい。
【0016】
電極は、任意の適切な形状を有していてもよい。通常、電極は略円形の断面形状を有している。
【0017】
導電性コーティングが、例えば、電極の前面または外側の面に塗布されていてもよい。
【0018】
遮熱コーティングは、例えば電極の前面または外側の面、または以前に塗布された表面コーティングに適用されて、使用中にさらされる可能性のある高温から電極を保護することができる。電極は、通常、センサアセンブリの前端部に配置されている。たとえば、ガスタービンエンジンのブレードの先端と周囲のケースの隙間を測定するために使用される静電容量センサの場合、センサアセンブリの前端部は、ブレードの先端に向かって延び、使用中に高温や汚染物質にさらされる部分である。高温にさらされると、センサアセンブリ自体の温度が上昇する。ガスタービンエンジンが作動していないときの周囲温度と、ガスタービンエンジンが作動しているときの1200℃以上の高温との間の大きな温度変化の結果生じるセンサアセンブリのさまざまな構成要素間の熱膨張差に対して、センサアセンブリの構造により対応する方法の詳細については、以下を参照されたい。
【0019】
センサ本体は、軸方向に延びる支持体と電極で形成されていてもよい。電極が別個の構成要素として形成される場合、電極は、例えば、溶接またはろう付けによるなどの任意の適切な手段によって、または相補的なねじ山または機械的固定によって、支持体に固定されていてもよい。フランジは支持体の一部であってもよいし、スペーサの1つが支持体の前端部上に配置された後、電極が支持体の前端部に固定されていてもよい。すなわち、配置されたスペーサは軸方向でフランジと電極の間の支持体上に位置決め配置されている。
【0020】
上述したように、支持体は、電極と、例えば同軸または三軸ケーブルなどの伝送ケーブルとの間の電気的接続を提供することができる。センサ本体にシールドが含まれている場合、支持体はシールドと伝送ケーブル間の電気接続も提供できる。伝送ケーブルは、使用時に前端部よりも温度が低い後端部で支持体に電気的に接続できる。
【0021】
ハウジングは、2つの部分からなるハウジングであってもよい。特に、ハウジングの第1の環状面が第1のハウジング部に形成され、ハウジングの第2の環状面が第2のハウジング部に形成されていてもよい。第1のハウジング部は、例えば、ろう付け材料や溶接または任意の他の適切な固定プロセスによって、第2のハウジング部分に強固に固定されていることが好ましい。第1のハウジング部と第2のハウジング部の一方が、外部ハウジングであってもよいし、第第1のハウジング部と第2のハウジング部の他方が、外部ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、あるいは完全に配置される内部ハウジングであってもよい。
【0022】
ハウジングの前端部は、電極が配置される凹状開口部を含んでいてもよい。ハウジングの前端部は、環状隙間によって、または非導電性材料を挿入することによって、電極から離隔されていてもよい。少なくとも電極とハウジングの前端部の間の環状隙間の部分は、高温から保護するために電極の前面または外側に延在する面にも塗布できる前述の遮熱コーティングを含む、適切な非導電性材料で満たされていてもよい。あるいは、電極とハウジングの前端部との間の環状隙間は、充填されないまま、すなわち、必要な電気的絶縁を提供する空隙として残されていてもよい。環状隙間を充填することは、センサアセンブリの前端部の凹状開口部を封止し、センサアセンブリの動作に影響を与える可能性のある汚染物質の侵入を防ぐことができるため、有用である。ハウジングの前端部は、電極の前面または外側の面を越えて突出して、例えば、遮熱コーティング材料または他の非導電性材料で満たすことができる環状襟部を画成していてもよい。
【0023】
センサ本体は、ハウジングに物理的に固定されていないが、ハウジングによってフランジに加えられる圧縮荷重の結果として、すなわちスペーサによってハウジング内に強固に保持されている。センサアセンブリの係る特有の構造は、それらが通常、金属、金属合金、セラミックなどの異なるタイプの材料で作られている場合でも、センサアセンブリの様々な構成要素間の熱膨張差によって大きな問題が生じないことを意味している。したがって、センサアセンブリは本質的に、動作温度が高い環境での使用に適している。ハウジングが適切な金属または金属合金で作られている場合、センサ本体は主に適切な金属または金属合金から作られ、スペーサは適切なセラミックから作られており、センサ本体が温度の著しい変化を受けると、ハウジングとスペーサの間の熱膨張差は、対向する環状面の間の摺接によって対応でき、スペーサとセンサ本体間の熱膨張差は、対向する環状面間の摺接によって対応できる。ハウジングが適切な金属または金属合金で作られている場合、センサ本体は主に適切なセラミックで作られ、スペーサは適切なセラミックで作られており、センサ本体が温度の著しい変化を受けると、ハウジングとスペーサ間の熱膨張差は、対向する環状面間の摺接によって対応できる。(センサ本体とスペーサの両方が適切なセラミック製である場合には、それらの間の熱膨張差はごくわずかであり、同じセラミックを使用することによってまたは実質的に同様の熱膨張係数を持つ異なるセラミックを使用することによって、これを最小化または完全に消去できることが理解されるであろう。)センサアセンブリの構成要素は、大幅な温度変化の結果として、主として径方向に互いに相対的に移動し、かかる径方向の動きは、上述したように、さまざまな対向する環状面間の摺接によって対応される。軸方向の相対的な動きは非常に小さく(通常は数ミクロン程度)、ハウジングの材料の特性によって対応されている。
【0024】
摺接面間の摩擦および摩耗を低減するために、適切なコーティングが環状面のいずれかに適用されていてもよい。
【0025】
ハウジングによってフランジに加えられる圧縮荷重は、同様に摺接する4組の対向する環状面、すなわち(i)第1のハウジング部と第1のスペーサの対向する環状面、(ii)第1のスペーサとフランジの対向する環状面、(iii)第2のスペーサとフランジの対向する環状面、および(iv)第2のハウジング部と第2のスペーサの対向する環状面、を介して加えられる。このことは、第1のハウジング部とフランジの対向する環状面および第2のハウジング部とフランジの対向する環状面という2組の対向する環状面のみを通じて圧縮荷重が印加される欧州特許第2330408号公報に記載されているセンサアセンブリと比較して、大幅な改善を提供し得る。この改善は、環状面における摩耗を低減でき、センサアセンブリの寿命を増加させることができる。スペーサはまた、ハウジング内のセンサ本体の位置/配置を維持でき、電気絶縁を提供できる。
【0026】
センサアセンブリは、以下でより詳細に説明されるように、従来のろう付け技術を用いて費用効果的な方法で製造されていてもよい。
【0027】
本発明は、さらに以下の工程を含むセンサアセンブリの製造方法を提供する。
すなわち、第1の環状面と第2の環状面を含む外側に延在するフランジを有するセンサ本体を提供する工程と、
第1の環状面と第2の環状面を有する第1のスペーサを提供する工程と、
第1の環状面と第2の環状面を有する第2のスペーサを提供する工程と、
前記外側に延在するフランジと前記第1のスペーサと前記第2のスペーサが受容される環状溝を有する2部品ハウジング内に前記センサ本体と前記第1のスペーサと前記第2のスペーサを配置する工程と、を備え、前記環状溝は、第1のハウジング部に形成された第1の環状面と第2のハウジング部に形成された第2の環状面との間に画成されており、
前記第1のハウジング部の前記第1の環状面を前記第1のスペーサの前記第1の環状面に接触させる工程と、
前記第1のスペーサの前記第2の環状面を前記外側に延在するフランジの前記第1の環状面に接触させる工程と、
前記外側に延在するフランジの前記第2の環状面を前記第2のスペーサの前記第1の環状面に接触させる工程と、
前記第2のスペーサの前記第2の環状面を前記第2のハウジング部の前記第2の環状面に接触させる工程と、を備え、
さらに前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部を固定して一体型2部品ハウジングを形成し、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサによって圧縮荷重が前記外側に延在するフランジに加わるようにする工程を含む。
【0028】
1つの方法では、第1のハウジング部と第2のハウジング部を一緒に固定する工程が、さらに以下の工程を含んでいてもよい。
すなわち、第1のハウジング部と第2のハウジング部が熱膨張する特定の温度までセンサアセンブリの温度を上昇させる工程と、
第1のハウジング部と第2のハウジング部を、特定の温度でセンサアセンブリに固定する工程と、
一体型2部品ハウジングの第1のハウジング部と第2のハウジング部が熱収縮を受けて、第1のスペーサと第2のスペーサによって外側に延在するフランジに圧縮荷重が加わるまでセンサアセンブリの温度を低下させる工程と、を含む。
【0029】
第1のハウジング部と第2のハウジング部を互いに固定する工程は、ろう付けプロセスを用いることができ、溶融状態で第1のハウジング部と第2のハウジング部の間にろう材を塗布する工程をさらに含んでいてもよい。センサアセンブリの温度を特定の温度(例えばろう付け温度)から下げることは、ろう付け材料が固化して、第1のハウジング部と第2のハウジング部を互いに固定して一体型2部品ハウジングを形成することを意味する。
【0030】
任意の適切なろう付け材料を使用することができる。
【0031】
好ましいろう付け方法では、第1のハウジング部と第2のハウジング部は、それぞれのろう付け面が接触または近接してセンサ本体を実質的に囲むように一緒に組み立てられる。ろう付け工程中、センサアセンブリがろう付け温度まで上昇すると、第1のハウジング部と第2のハウジング部は、好ましくは、様々な対向する環状面間の直接的な接触を維持するように負荷がかけられる。より具体的には、負荷は、好ましくは、第1のハウジング部と第2のハウジング部に加えられて、軸方向で互いに向かわせる。これにより、第1のハウジング部と第2のハウジング部の環状面がスペーサの対向する環状面と接触し、スペーサの反対側の環状面がフランジの対向する環状面と接触する。特定のろう付け温度では、ろう付け材料は溶融状態にあり、様々な対向する環状面間の接触は、好ましくは負荷をかけた状態で維持される。ろう付け材は、第1のハウジング部と第2のハウジング部のろう付け面の間に塗布される。ろう付け材は、センサアセンブリの温度が特定のろう付け温度に達したときに溶融状態に移行するように、またはセンサアセンブリの温度がろう付け温度(つまり、「高温」工程)に達したらろう付け材料が塗布されるように、センサアセンブリが周囲温度であるときに(つまり、「低温」工程で)ろう付け材料が塗布されていてもよい。その後、センサアセンブリの温度が低下すると、ろう付け材料が固化して、第1のハウジング部と第2のハウジング部を互いにしっかりと固定し、センサ本体を囲む一体型2部品ハウジングを形成する。センサアセンブリの温度が下がると、第1のハウジング部と第2のハウジング部が熱収縮し、センサ本体のフランジ上に効果的に収縮して、スペーサを介して軸方向に大きな圧縮荷重をフランジに加える。言い換えれば、第1のハウジング部と第2のハウジング部は、温度が低下するにつれてセンサ本体よりも収縮する。圧縮荷重を加えることにより、ハウジングとセンサ本体の間に気密封止が形成される。特に、気密封止は、圧縮荷重の印加によって摺接されるさまざまな対向する環状面間に形成される。実際には、気密封止は一般にセンサアセンブリの後部への湿気やその他の汚染物質の進入を防ぐが、非常に少量の空気が、摺動面の凸凹やへたりなどによって、ときに摺動封止を通過することが理解されるであろう。第1のハウジング部と第2のハウジング部の収縮から生じる圧縮荷重が、ろう付け工程時に印加される外部荷重とは異なることが容易に理解されるであろう。圧縮荷重は、センサアセンブリの動作寿命全体を通じて維持される。セラミック材料は、圧縮荷重に十分に対応することが知られており、そのような材料は、スペーサや、フランジを画成するセンサ本体の少なくとも一部に本質的に適している。実際には、センサアセンブリの動作温度が上昇したときに加えられる圧縮荷重は、ハウジングとセンサ本体の間の軸方向の熱膨張差のために、周囲温度で加えられる圧縮荷重よりもわずかに小さい。しかしながら、圧縮荷重は常に、様々な対向する環状面間の気密封止を維持するのに十分なレベルにある。
【0032】
別の方法では、第1のハウジング部と第2のハウジング部を一緒に固定する工程は、さらに以下の工程を含んでいてもよい。
すなわち、第1のハウジング部と第2のハウジング部を一緒に機械的に圧縮して、第1のスペーサと第2のスペーサによって外側に延在するフランジに圧縮荷重を加える工程と、
圧縮荷重が印加されている間に、溶接によって第1のハウジング部と第2のハウジング部を一緒に固定する工程と、を含む。
【0033】
これは室温で行うことができ、高温ろう付けプロセスを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の第1のセンサアセンブリを示す断面図である。
図2図2は、図1の第1のセンサアセンブリの軸方向端面図である。
図3図3は、図1の第1のセンサアセンブリの一部の分解概略図であって、ハウジングの環状溝、スペーサおよびフランジを示す図である。
図4図4は、遮熱コーティングを有する図1の第1のセンサアセンブリの前端部の詳細図である。
図5図5は、遮熱コーティングを有する図1の第1のセンサアセンブリの他の態様の前端部の詳細図である。
図6図6は、本発明の第2のセンサアセンブリを示す断面図である。
図7図7は、本発明の第3のセンサアセンブリを示す断面図である。
図8図8は、本発明の第4のセンサアセンブリを示す断面図である。
図9図9は、図8の第4のセンサアセンブリの他の態様の断面図であって、センサ本体とハウジング間の隙間が非導電性の材料で充填されている図である。
図10図10は、遮熱コーティングを有する図8の第4のセンサアセンブリの他の態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から図5を参照すると、第1のセンサアセンブリ2は、軸方向に延びる支持体8に固定された電極6を有するセンサ本体4を含んでいる。
【0036】
電極6は、略円形である前面6aと外側円筒面6bを有している。電極6の内側円筒面6cは、支持体8の前端部8aを受容する開口部を画成している。電極6は、例えば溶接やろう付けなどの任意の適切な方法で支持体8の前端部8aに固定されていてもよい。図示されていないが、電極の内側円筒面6cは、支持体8の前端部8aのねじ部に固定可能なねじ部を有していてもよい。
【0037】
電極6と支持体8は、両方とも導電性金属または金属合金から形成されている。
【0038】
支持体8は略円筒形であり、支持体の外面から外側に延在する径方向フランジ10を含んでいる。フランジ10は、第1の環状面10a,第2の環状面10bおよび外側円筒面10cを含んでいる。
【0039】
センサアセンブリ2は、一体型2部品ハウジングを含んでいる。第1のハウジング部12は、外側ハウジングとして形成され、その前端部12aに、電極6が配置される凹部14を含んでいる。電極6の外側円筒面6bは、電気的絶縁を提供する環状の隙間またはエアギャップ16によって、第1のハウジング部12の前端部12aの内面から離隔している。
【0040】
図4に示すように、遮熱コーティング18が、電極6の前面6aに塗布されていてもよい。遮熱コーティング18は、センサアセンブリ2が高温の環境にさらされたときに電極6を保護する。遮熱コーティング18は、電極6と第1のハウジング部12の前端部12aとの間の環状の隙間内に延びてこれを充填し、汚染物質がセンサアセンブリ2に侵入するのを防止することができる。電極と第1のハウジング部間の環状の隙間はまた、他の適切な非導電性材料で満たされていてもよい。図1および図4に示すセンサアセンブリ2では、第1のハウジング部12の前端部12aは、電極6の前面6aと実質的に面一である。しかし、図5に示す他の構成では、第1のハウジング部の前端部12aは、電極6の前面6aを越えて軸方向に突出し、遮熱コーティング18を収容する環状襟部を画成している。
【0041】
第1のハウジング部12は、環状面12bおよび内側円筒面12cを含んでいる。
【0042】
第2のハウジング部20は、第1のハウジング部12内に同軸状に配置される内側保持リングとして形成されている。第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は、以下でより詳細に説明するように互いにしっかりと固定されている。第2のハウジング部20は、図1および図3に示すように、第1のハウジング部12の環状面12bに対向する環状面20aを含んでいる。ハウジングの環状溝26は、第2のハウジング部20の環状面20aと、第1のハウジング部12の環状面12bおよび内側円筒面12cによって画成されている。
【0043】
第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は、金属または金属合金から形成されている。
【0044】
第1の環状スペーサ22は、第1の環状面22a,第2の環状面22b,開口部を画成する内側円筒面22cおよび外側円筒面22dを含んでいる。第2の環状スペーサ24は、第1の環状面24a,第2の環状面24b,開口部を画成する内側円筒面24cおよび外側円筒面24dを含んでいる。第1のハウジング部12と第2のハウジング部20,第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24およびフランジ10によって画成された環状溝26は、軸方向および径方向にわずかに離隔して図3に概略的に示されており、さまざまな表面が明確に識別できる。実際のセンサアセンブリでは、対向する環状面は互いに摺接しており、以下でより詳細に説明するように気密封止を維持するために圧縮荷重下にあることが理解されるであろう。
【0045】
第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24は、非導電性セラミックから形成されている。
【0046】
第1の環状スペーサ22は、図1に示されているように、フランジ10に隣接する支持体8の一部がスペーサ開口部を介して受容されるように配置されている。第1の環状スペーサ22は、例えば、電極6がそれに固定される前に、支持体8の前端部8aに亘って受容されていてもよい。第1の環状面22aは、第1のハウジング部12の環状面12bと摺接しており、第2の環状面22bは、フランジ10の第1の環状面10aと摺接している。第2の環状スペーサ24は、図1に示すように、フランジ10に隣接する支持体の一部がスペーサ開口部を通して受容されるように、支持体8上に配置されている。第1の環状面24aは、フランジ10の第2の環状面10bと摺接しており、第2の環状面24bは、第2のハウジング部20の環状面20aと摺接している。
【0047】
第1の環状スペーサ22の開口部を画成する内側円筒面22cは、支持体8の外側円筒面とわずかな許容誤差でフィットしていてもよく、外側円筒面22dは、第1のハウジング部12の内側円筒面12cとわずかな許容誤差でフィットしていてもよい。同様に、第2の環状スペーサ24の開口部を画成する内側円筒面24cは、支持体8の外側円筒面とわずかな許容誤差でフィットしていてもよく、外側円筒面24dは、第1のハウジング部12の内側円筒面12cとわずかな許容誤差でフィットしていてもよい。第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24は、支持体8が、電気的絶縁を提供する環状の隙間またはエアギャップ28によって2部品ハウジングから離隔するような大きさである。
【0048】
第1のハウジング部12の後端部は、エンドキャップ30により閉塞されている。
【0049】
伝送ケーブル32は、支持体8に電気的に接続されている。伝送ケーブル32は、使用中に前端部よりもわずかに低い温度にさらされる可能性がある支持体8の後端部に接続されている。伝送ケーブル32と支持体8間の接続は、支持体の振動を減衰させることができる気密封止された実質的に剛性を有するケーブル接続アセンブリを使用して行われている。支持体8は、伝送ケーブル32の導体(例えば、同軸または3軸ケーブルの内部導体)と電極6間の電気的接続を提供している。他の実施形態では、支持体は、伝送ケーブルの導体(例えば、3軸ケーブルの中間導体)と電極を実質的に取り囲むシールド間の別個の電気的接続も提供するように構成されていてもよい。電極を用いて行われた測定結果は、伝送ケーブル32を介して外部測定機器に供給することができる。
【0050】
組み立てられたセンサアセンブリ2では、センサ本体4は2部品ハウジングに物理的に固定されていないが、ハウジング、すなわち、対向する環状面12bおよび環状面20bと第1の環状スペーサ22および第2の環状スペーサ24によって、フランジ10に加えられる圧縮荷重の結果として、ハウジング内にしっかりと保持されている。圧縮荷重は、摺接しているさまざまな環状面(たとえば、摺動/封止界面)間の気密封止を維持し、センサアセンブリの後端部への汚染物質の侵入を防止する。径方向における支持体8と2部品ハウジング間の熱膨張差は、様々な環状面間の摺接によって対応されている。
【0051】
第1のハウジング部12と第2のハウジング部12は、ろう付け面を含んでいる。一緒に組み立てられると、第2のハウジング部20のろう付け面は、わずかな許容誤差で第1のハウジング部12のろう付け面内に配置されている。
【0052】
次に、センサアセンブリの組立工程について説明する。
【0053】
第1のハウジング部12は、適切なフレームまたは支持体で支持される。センサ本体4、すなわち電極6と支持体8および第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24は、第1の環状スペーサ22の第1の環状面22aが第1のハウジング部の環状面12bと接触するように、第1のハウジング部12の穴内に挿入されている。第1の環状スペーサ22の第2の環状面22bは、フランジ10の第1の環状面10aと接触し、第2の環状スペーサ24の第1の環状面24aは、フランジの第2の環状面10bと接触する。一実施形態では、第1の環状スペーサ22,支持体8および第2の環状スペーサ24は、第1のハウジング部12の後端部から挿入可能であり、これにより、第2のスペーサは、環状溝26と凹部14間の内側に延びるフランジによって画成される第1のハウジング部の環状面12b上に載置されている。電極6は、凹部14に挿入され、支持体8の前端部8aに固定されていてもよい。
【0054】
次に、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は、ろう付け工程によって互いに固定される。ろう付け材(任意でペーストの形態)が、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20のそれぞれのろう付け面間の界面に塗布される。ろう付け材は、たとえば対向するろう付け面の一方または両方に形成された狭い環状溝に位置していてもよい。センサアセンブリ2は、使用されるろう付け材料によって決定される特定のろう付け温度まで上げられる。ろう付け工程中、軸方向荷重が第2のハウジング部20に加えられ、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20や第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24や支持体8のフランジ10のさまざまな環状面間の直接的な接触を維持している。
【0055】
センサアセンブリの温度がろう付け温度に達すると、ろう付け材料は溶融状態になり、毛細管作用によって第1のハウジング部12と第2のハウジング部20のろう付け面間の界面に引き込まれる。
【0056】
その後、センサアセンブリの温度が低下すると、ろう付け材料が固化して、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20を互いに固定して、センサ本体4を取り囲む一体型2部構成ハウジングを形成する。特に、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は、一般的にはセンサアセンブリの後端部において、対向するろう付け面間の接合部または境界面で、ろう付け材料によって互いにしっかりと固定される。第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は、他の界面で一緒に固定されておらず、様々な対向する環状面と圧縮荷重との間の摺接の組み合わせは別として、いかなる方法でもセンサ本体4に物理的に固定されていない。このことは、他の状況ではセラミックおよび/または金属成分の崩壊または故障につながる可能性がある、センサアセンブリ2が熱膨張差の結果としていかなる応力も受けないことを意味する。
【0057】
その後、センサアセンブリの温度が低下すると、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20が熱収縮し、第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24上に効果的に収縮し、これにより支持体8のフランジ10上に軸方向に大きな圧縮荷重が加わる。ろう付け工程中に圧縮荷重を加えることにより、ハウジングと支持体の間に気密封止が形成される。より具体的には、気密封止は、第1のハウジング部12および第2のハウジング部20と第1の環状スペーサ22および第2の環状スペーサ24の対向する環状面との間、および第1の環状スペーサ22および第2の環状スペーサ24とフランジ10の対向する面との間に形成される。1つまたは複数の環状面は、可能な限り大きな面積に亘って密接な物理的接触が確立されるように滑らかな表面仕上げを提供するように、機械加工やコーティングやまたは他の方法で処理されていてもよい。耐摩耗性コーティング等を適用してもよい。
【0058】
伝送ケーブル32が、気密封止されたケーブル接続アセンブリによって支持体に接続されていてもよいし、第1のハウジング部12の後端部が、エンドキャップ30によって覆われていてもよい。別の構成では、電極6は、ろう付け工程が完了した後、支持体の前端部8aに固定されていてもよい。
【0059】
センサアセンブリ2が高温の環境にさらされると、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は熱膨張し、径方向において支持体8から離れる方向に膨張する。この膨張により、第1のハウジング部12と第2のハウジング部20の環状面12b,20aは、第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24の対向する環状面22a,24bに対して径方向に摺動する。第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24の環状面22b,24aはまた、フランジ10の対向する第1の環状面10aおよび第2の環状面10bに対して径方向に摺動してもよい。フランジ10および第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24は、高い動作温度では圧縮荷重下に留まっており、気密封止は、センサアセンブリの動作寿命の間、常に維持される。
【0060】
図6を参照すると、第2のセンサアセンブリ40が、第1のセンサアセンブリ2と非常に類似していることが示されており、同様の部分には同一の参照符号が与えられている。第2のセンサアセンブリ40は、延長された軸方向の構造を有している、すなわち、ハウジングが軸方向に長いため、伝送ケーブル32はセンサアセンブリの前端部からさらに離れている。
【0061】
図7を参照すると、第3のセンサアセンブリ50が、第1のセンサアセンブリ2と第2のセンサアセンブリ40に非常に類似していることが示されており、同様の部分には同一の参照符号が与えられている。電極52は、電極の前面の法線が、センサアセンブリの長手方向軸と平行にならないように角度が付けられている。
【0062】
図8から図10は、第4のセンサアセンブリ60を示している。第4のセンサアセンブリ60は、第1のセンサアセンブリ2,第2のセンサアセンブリ40および第3のセンサアセンブリ50と同様であり、同様の部分には同一の参照符号が与えられている。
【0063】
第4のセンサアセンブリ60は、一体電極(図示せず)を備えたセンサ本体62を含んでいる。1つの構成では、センサ本体62は、金属、金属合金またはセラミックなどの適切な導電性材料の1つまたは複数の層または部分と、適切な非導電性の1つまたは複数の層または部分との多層構造を有していてもよい。センサ本体の導電性の層または部分は、電極またはシールド、あるいは電極またはシールドと伝送ケーブル、例えば同軸または3軸ケーブルとの間の電気的接続を提供するセンサ本体の一部を画成していてもよい。非導電性の層または部分は、導電性の層または部分の間の絶縁体またはスペーサを画成していてもよい。
【0064】
センサ本体62は略円筒形であり、センサ本体の外面から外側に延在する径方向フランジ64を含んでいる。フランジ64は、上述のフランジ10に対応し、第1の環状面64a,第2の環状面64bおよび外側円筒面64cを含んでいる。通常、フランジ64を画成するセンサ本体62の部分は、セラミックなどの適切な非導電性材料で形成されている。
【0065】
センサアセンブリ60は、一体型2部品ハウジングを含んでいる。第1のハウジング部12は、外側ハウジングとして形成され、その前端部12aに開口部を含んでいる。センサ本体62の前端部62aの外側円筒面は、電気的絶縁を提供する環状の隙間またはエアギャップ16(図8)によって、第1のハウジング部12の前端12aの内面から離隔している。
【0066】
環状の隙間は、図9に示すように、適切な非導電性材料66で充填され、汚染物質がセンサアセンブリ60内に侵入するのを防止していてもよい。遮熱コーティング68は、図10に示されるように、センサ本体62の前面62bに塗布されていてもよい。遮熱コーティング68は、センサアセンブリ60が高温の環境にさらされたときに、センサ本体62を保護する。遮熱コーティング68は、センサ本体62と第1のハウジング部の前端部12aとの間の環状の隙間内に延在して充填してもよい(すなわち、図9に示す非導電性材料66が遮熱材料であってもよい)。図8から図10に示すセンサアセンブリ60では、第1のハウジング部12の前端部12aは、センサ本体62の前面62bと略面一である。しかし、他の構成では、第1のハウジング部の前端部は、センサ本体の前面よりも軸方向に突出して、遮熱コーティングを収容する環状襟部を画成している。
【0067】
第1のハウジング部12は、環状面12bおよび内側円筒面12cを有している。
【0068】
第2のハウジング部20は、第1のハウジング部12内に同軸上に配置された内側保持リングとして形成されている。第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は、上記でより詳細に説明したように、互いに固定されている。第2のハウジング部20は、図9から図10に示すように、第1のハウジング部12の環状面12bに対向する環状面20aを有している。ハウジングの環状溝26は、第2のハウジング部20の環状面20aと、第1のハウジング部12の環状面12bおよび内側円筒面12cによって画成されている。
【0069】
第1のハウジング部12と第2のハウジング部20は、金属または金属合金から形成されている。
【0070】
第1の環状スペーサ22は、第1の環状面22a,第2の環状面22b,開口部を画成する内側円筒面22cおよび外側円筒面22dを有している。第2の環状スペーサ24は、第1の環状面24a,第2の環状面24b,開口部を画成する内側円筒面24cおよび外側円筒面24dを有している。
【0071】
第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24は、非導電性セラミックから形成されている。
【0072】
第1の環状スペーサ22は、フランジ64に隣接するセンサ本体62の一部がスペーサ開口部を介して受容されるように、図8から図10に示すように配置されている。第1の環状スペーサ22は、センサ本体が第1の収容部12に挿入される前に、センサ本体62の前端部62aを覆うように受容されていてもよい。第1の環状面22aは、第1のハウジング部12の環状面12bに摺接し、第2の環状面22bは、フランジ64の第1の環状面64aに摺接している。第2の環状スペーサ24は、図8から図10に示すように、スペーサ開口部を介して受容されるフランジ64に隣接するセンサ本体62の一部と共に、センサ本体62上に配置されている。第1の環状面24aはフランジ64の第2の環状面64bに摺接し、第2の環状面24bは第2のハウジング部20の環状面20aに摺接している。
【0073】
第1の環状スペーサ22の開口部を画成する内側円筒面22cは、センサ本体62の外側円筒面とわずかな許容誤差でフィットしており、外側円筒面22dは、第1のハウジング部12の内側円筒面12cとわずかな許容誤差でフィットしている。同様に、第2の環状スペーサ24の開口部を画成する内側円筒面24cは、センサ本体62の外側円筒面とわずかな許容誤差でフィットしており、外側円筒面24dは、第1のハウジング部12の内側円筒面12cとわずかな許容誤差でフィットしている。第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24は、センサ本体62が2部品ハウジングから離隔するようなサイズとされている。
【0074】
組み立てられたセンサアセンブリ60では、センサ本体62は、2部品ハウジングに物理的に固定されていないが、ハウジングによってフランジ64に加えられる圧縮荷重の結果として、すなわち対向する環状面12b,20bおよび第1の環状スペーサ22と第2の環状スペーサ24によって、ハウジング内に強固に保持されている。圧縮荷重は、摺接しているさまざまな環状面(たとえば、摺接/封止界面)間の気密封止を維持し、センサアセンブリの後端部への汚染物質の侵入を防止する。センサ本体62と2部品ハウジング間の径方向の熱膨張差は、様々な環状面間の摺接によって対応されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10