(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】制御装置、転送方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/06 20220101AFI20240228BHJP
H04N 21/658 20110101ALI20240228BHJP
H04N 5/765 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H04L67/06
H04N21/658
H04N5/765
(21)【出願番号】P 2020048866
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】三木 敏光
(72)【発明者】
【氏名】松本 昭男
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 美保
(72)【発明者】
【氏名】長山 慎輔
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 香代
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一聡
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208672(JP,A)
【文献】国際公開第2013/118382(WO,A1)
【文献】特開2015-046702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04N 21/658
H04N 5/765
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置を制御する制御装置であって、
撮影部にて得られたストリームを所定時間単位で分割して複数の分割ファイルを形成するファイル形成部と、
記憶部における転送データを保持するための転送領域に、前記形成された複数の分割ファイルを保持させる記憶制御部と、
前記転送領域に保持された複数の分割ファイルをサーバへ順次送信させる制御を通信部に対して実行する転送制御部と、
を具備
し、
前記処理装置は、電源から無停電電源装置を介して電力を供給され、
前記制御装置は、
前記電源から前記無停電電源装置への電力供給の状態を検知する電源状態検知部と、
前記電源から前記無停電電源装置への電力供給が断たれたことが検知された場合、前記撮影部による撮影を停止させる制御を実行する撮影制御部と、
をさらに具備し、
前記ファイル形成部は、前記撮影を停止させる制御が実行された場合、形成中の分割ファイルの形成を完了させた後に、分割ファイルの形成処理を停止する、
制御装置。
【請求項2】
前記記憶制御部は、前記サーバにて正常に受信されたことを確認できた分割ファイルを前記転送領域から削除する制御を実行する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記処理装置は、電源から無停電電源装置を介して電力を供給され、
前記制御装置は、前記電源から前記無停電電源装置への電力供給の状態を検知する電源状態検知部をさらに具備し、
前記転送制御部は、前記電源から前記無停電電源装置への電力供給が断たれたことが検知された場合、前記通信部による分割ファイルの送信を停止させる、
請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記転送制御部は、前記電源から前記無停電電源装置への電力供給が断たれたことが検知された後に前記電力供給が再開したことが検知された場合、前記転送領域に保持されている分割ファイルの送信を再開させる制御を前記通信部に対して実行する、
請求項
1又は
3に記載の制御装置。
【請求項5】
処理装置を制御する制御装置によって実行される転送方法であって、
撮影部にて得られたストリームを所定時間単位で分割して複数の分割ファイルを形成すること
と、
転送データを保持するための記憶部の転送領域に、前記形成された複数の分割ファイルを保持すること
と、
前記転送領域に保持された複数の分割ファイルをサーバへ順次送信させる制御を通信部に対して実行すること
と、
を含
み、
前記処理装置は、電源から無停電電源装置を介して電力を供給され、
前記転送方法は、
前記電源から前記無停電電源装置への電力供給が断たれたことが検知された場合、前記撮影部による撮影を停止させる制御を実行することと、
前記撮影を停止させる制御が実行された場合、形成中の分割ファイルの形成を完了させた後に、分割ファイルの形成処理を停止することと、
をさらに含む、転送方法。
【請求項6】
撮影部にて得られたストリームを所定時間単位で分割して複数の分割ファイルを形成すること
と、
転送データを保持するための記憶部の転送領域に、前記形成された複数の分割ファイルを保持させること
と、
前記転送領域に保持された複数の分割ファイルをサーバへ順次送信させる制御を通信部に対して実行すること
と、
を含む処理を、
処理装置を制御する制御装置に実行させ
、
前記処理装置は、電源から無停電電源装置を介して電力を供給され、
前記処理は、
前記電源から前記無停電電源装置への電力供給が断たれたことが検知された場合、前記撮影部による撮影を停止させる制御を実行することと、
前記撮影を停止させる制御が実行された場合、形成中の分割ファイルの形成を完了させた後に、分割ファイルの形成処理を停止することと、
をさらに含む、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、転送方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影装置で撮影された映像のデータをサーバに転送して、該映像データが種々の目的に利用されている。例えば特許文献1に開示されている技術では、鉄道車両に配設されたカメラによる撮影によって得られた映像データが映像記録装置を介して監視センタ(サーバ)に転送されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、特許文献1に開示されている技術では映像記録装置とサーバとの間の通信が安定的であることが前提であるため、映像記録装置とサーバとの間の通信が不安定である場合には映像データを転送できない可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、ストリームの転送の確実性を向上させることができる、制御装置、転送方法、及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様にかかる制御装置は、処理装置を制御する制御装置であって、
撮影部にて得られたストリームを所定時間単位で分割して複数の分割ファイルを形成するファイル形成部と、
記憶部における転送データを保持するための転送領域に、前記形成された複数の分割ファイルを保持させる記憶制御部と、
前記転送領域に保持された複数の分割ファイルをサーバへ順次送信させる制御を通信部に対して実行する転送制御部と、
を具備する。
【0007】
第2の態様にかかる転送方法は、制御装置によって実行される転送方法であって、
撮影部にて得られたストリームを所定時間単位で分割して複数の分割ファイルを形成すること、
転送データを保持するための記憶部の転送領域に、前記形成された複数の分割ファイルを保持すること、及び、
前記転送領域に保持された複数の分割ファイルをサーバへ順次送信させる制御を通信部に対して実行すること、
を含む。
【0008】
第3の態様にかかる制御プログラムは、撮影部にて得られたストリームを所定時間単位で分割して複数の分割ファイルを形成すること、
転送データを保持するための記憶部の転送領域に、前記形成された複数の分割ファイルを保持させること、及び、
前記転送領域に保持された複数の分割ファイルをサーバへ順次送信させる制御を通信部に対して実行すること、
を含む処理を、制御装置に実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、ストリームの転送の確実性を向上させることができる、制御装置、転送方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態における制御装置を含む処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態における転送システムの一例を示す図である。
【
図4】第2実施形態における処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図5】第2実施形態における制御装置による、電力供給が断たれたときの処理動作の説明に供する図である。
【
図6】第2実施形態における制御装置による、電力供給が再開されたときの処理動作の説明に供する図である。
【
図7】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0012】
<第1実施形態>
<処理装置の構成例>
図1は、第1実施形態における制御装置を含む処理装置の一例を示すブロック図である。
図1において処理装置10は、記憶部11と、制御部(制御装置)20とを有している。制御部20は、処理装置10を制御する機能部(装置)であり、ファイル形成部21と、記憶制御部22と、転送制御部23とを有している。なお、ここでは、制御部(制御装置)20が処理装置10に含まれるものとして説明するが、本開示はこれに限定されるものではなく、制御部(制御装置)20は、処理装置10に接続された処理装置10と別体の装置であってもよい。
【0013】
処理装置10は、撮影装置(不図示)から該撮影装置にて撮影された映像に係るストリームを受け取る。
【0014】
制御部20にてファイル形成部21は、撮影装置(不図示)から受け取る上記のストリームを「所定時間単位」で分割して複数のファイル(以下では、「分割ファイル」と呼ぶことがある)を形成する。「所定時間」は、例えば1分であってもよい。すなわち、「分割ファイル」は、再生可能な動画ファイルの単位で形成される。
【0015】
記憶制御部22は、記憶部11における転送データを保持するための領域(以下では、「転送領域」と呼ぶことがある)に、ファイル形成部21にて形成された分割ファイルを記憶させる。すなわち、
図1に示すように、記憶部11は、転送領域11Aを有している。
【0016】
転送制御部23は、転送領域11Aに保持された分割ファイルをサーバ(不図示)へ順次送信させる制御を、通信部(不図示)に対して実行する。なお、サーバ(不図示)への通信部(不図示)による分割ファイルの送信は、無線によって行われてもよいし、有線によって行われてもよい。
【0017】
<処理装置の動作例>
以上の構成を有する処理装置10の処理動作の一例について説明する。ここでは、特に、制御部(制御装置)20の処理動作について説明する。
図2は、第1実施形態における制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0018】
ファイル形成部21は、撮影装置(不図示)から受け取るストリームを「所定時間単位」で分割して分割ファイルを形成する(ステップS101)。
【0019】
記憶制御部22は、ファイル形成部21にて形成された分割ファイルを、記憶部11の転送領域11Aに記憶させる(ステップS102)。
転送制御部23は、転送領域11Aに保持された分割ファイルをサーバ(不図示)へ順次送信させる制御を、通信部(不図示)に対して実行する(ステップS103)。
【0020】
以上で説明した第1実施形態によれば、制御部(制御装置)20にてファイル形成部21は、上記のストリームを「所定時間単位」で分割して複数の分割ファイルを形成する。記憶制御部22は、記憶部11の転送領域11Aに、ファイル形成部21にて形成された分割ファイルを記憶させる。転送制御部23は、転送領域11Aに保持された分割ファイルをサーバ(不図示)へ順次送信させる制御を、通信部(不図示)に対して実行する。
【0021】
この制御部(制御装置)20の構成により、転送領域11Aに記憶された分割ファイルの単位で転送制御することができる。このため、例えば通信部(不図示)とサーバ(不図示)との間の通信環境が不安定なタイミングでは分割ファイルの転送を中断して該通信環境が安定的になった後に転送を再開させることができる。また、例えば通信環境が不安定になったため分割ファイルの転送が正常に完了しなかった場合でも、通信環境が安定的になった後にこの分割ファイルの再転送を行うことができる。これにより、ストリームの転送の確実性を向上させることができる。また、サーバ(不図示)側では、任意の数で且つ任意の組み合わせの複数の分割ファイルを結合して結合ファイルを形成することができるので、種々のニーズに応じた結合ファイルを形成することができる。
【0022】
<第2実施形態>
<転送システムの概要>
図3は、第2実施形態における転送システムの一例を示す図である。
図3において転送システム1は、撮影装置30と、UPS(無停電電源装置)40と、処理装置(録画装置)50と、通信装置(通信部)70と、サーバ90とを有している。例えば、撮影装置30とUPS40と処理装置50と通信装置70とは、鉄道車両に配設される「車上局」として用いられ、サーバ90は、保守事務所等に配設されて「地上局」として用いられる。
【0023】
UPS40は、電源(上記の例では、鉄道車両の電源)に電源ラインPL11を介して接続される。処理装置50は、UPS40に電源ラインPL12を介して接続される。撮影装置30は、処理装置50に電源ラインPL13を介して接続される。すなわち、処理装置50には、UPS40を介して電力が供給され、撮影装置30には、処理装置50を介して電力が供給される。UPS40は、電源からUPS40への電力供給が断たれたときでも、UPS40に蓄えられている電力を利用して、「所定の供給継続可能時間」の間、処理装置50及び撮影装置30に電力を供給することができる。
【0024】
UPS40と処理装置50とは、信号ラインSL21を介して接続されている。例えば、処理装置50は、電源からUPS40への電力供給が断たれたときに、電力供給断を示す「電源状態通知信号」を、UPS40から信号ラインSL21を介して受け取る。
【0025】
撮影装置30と処理装置50とは、信号ラインSL22を介して接続されている。例えば、撮影装置30は、鉄道車両の走行中に路線周辺(線路を含む)を撮影して得られたストリーム(例えば、動画、又は、画像フレーム群)を信号ラインSL22に送出し、処理装置50は、該ストリームを、信号ラインSL22を介して受け取る。
【0026】
処理装置50と通信装置70とは、信号ラインSL23を介して接続されている。例えば、処理装置50は、上記の分割ファイルを信号ラインSL23に送出し、通信装置70は、該分割ファイルを、信号ラインSL23を介して受け取る。
【0027】
通信装置70は、例えば路線に沿って構築されたネットワークのアクセスポイントと無線接続する。そして、通信装置70とサーバ90とは、例えばそのネットワーク及び公衆ネットワーク等を介して接続されている。例えば、通信装置70は、処理装置50から受け取った分割ファイルを上記のアクセスポイントに無線送信する。これにより、サーバ90は、該分割ファイルを、ネットワークを介して受け取る。そして、サーバ90は、分割ファイルを正しく受信できた場合、該分割ファイルについての肯定応答(ACK)を処理装置50に向けて送信する。すなわち、後述するように、電源からUPS40への電力供給が断たれたために通信装置70による送信が行われなかった分割ファイルや、通信装置70とアクセスポイントとの伝搬環境が悪くてサーバ90にて受け取ることができなかった分割ファイル等についての肯定応答を、処理装置50は受け取らない。
【0028】
サーバ90にて取得された複数の分割ファイルは、分割ファイル単独で又は任意の組み合わせで結合されて結合ファイルとされた後に再生されて、例えば保守員による点検項目(例えば、キロ程、噴泥、建築限界)の点検に利用されてもよい。また、既に発生した問題に関するデータ及び問題が発生する予兆に関するデータを蓄積し、蓄積したデータを用いて識別装置(例えば、ニューラルネットワーク)を学習させてもよい。学習後の識別装置に上記の分割ファイル又は結合ファイルを入力することによって、既に発生している問題及び問題が発生する予兆を精度良く検出することができる。
【0029】
<処理装置の構成例>
図4は、第2実施形態における処理装置の一例を示すブロック図である。
図4において処理装置50は、記憶部51と、電源部52と、インタフェース53,54,55と、制御部(制御装置)60とを有している。制御部60は、処理装置50を制御する機能部(装置)であり、ファイル形成部61と、記憶制御部62と、転送制御部63と、電源状態検知部64と、撮影制御部65とを有している。ファイル形成部61と、記憶制御部62と、転送制御部63と、電源状態検知部64と、撮影制御部65とは、例えば、アプリケーションレイヤの機能部に相当する。なお、ここでは、制御部(制御装置)60が処理装置50に含まれるものとして説明するが、本開示はこれに限定されるものではなく、制御部(制御装置)60は、処理装置50に接続された処理装置50と別体の装置であってもよい。
【0030】
電源部52は、電源ラインPL12を介して受け取る電力を、処理装置50に供給すると共に電源ラインPL13を介して撮影装置30に供給する。
【0031】
インタフェース53は、処理装置50と撮影装置30との間のインタフェースである。インタフェース54は、処理装置50と通信装置70との間のインタフェースである。インタフェース55は、処理装置50とUPS40との間のインタフェースである。
【0032】
記憶部51は、第1実施形態の記憶部11と同様に、転送領域51Aを有している。
【0033】
ファイル形成部61は、第1実施形態のファイル形成部21と同様に、撮影装置30から受け取るストリームを所定時間単位で分割して複数の分割ファイルを形成する。また、ファイル形成部61は、撮影制御部65によって撮影装置30の撮影を停止させる制御が実行された場合、形成中の分割ファイルの形成を完了させた後に、分割ファイルの形成処理を停止する。
【0034】
記憶制御部62は、第1実施形態の記憶制御部22と同様に、記憶部51の転送領域51Aに、ファイル形成部61にて形成された分割ファイルを記憶させる。また、記憶制御部62は、サーバ90から送信された肯定応答をインタフェース54を介して受け取った場合、この肯定応答に対応し且つ転送領域51Aに記憶されている分割ファイルを転送領域51Aから削除する制御を実行する。これにより、転送領域51Aには、基本的には、未送信の分割ファイル及び送信されたが記憶制御部62が未だ確認応答を受け取っていない分割ファイルが保持される。
【0035】
電源状態検知部64は、UPS40から受け取る「電源状態通知信号」に基づいて、電源からUPS40への電力供給の状態を検知する。すなわち、電源状態検知部64は、「電源状態通知信号」に基づいて、電源からUPS40への電力供給が断たれたことを検知することができる。また、電源状態検知部64は、「電源状態通知信号」に基づいて、電源からUPS40への電力供給が開始(再開)したことを検知することができる。ここで、撮影装置30とUPS40と処理装置50と通信装置70とが鉄道車両に配設される場合、瞬断等によって電源からUPS40への電力供給が断たれる可能性がある。
【0036】
転送制御部63は、第1実施形態の転送制御部23と同様に、「転送制御処理」において、転送領域51Aに保持された分割ファイルを、インタフェース54を介して通信装置70へ順次送出して、分割ファイルをサーバ90へ、通信装置70に無線送信させる。すなわち、サーバ90への分割ファイルのアップロードが行われる。
【0037】
また、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知された場合、転送制御部63は、通信装置70への分割ファイルの送出を停止すると共に、通信装置70による分割ファイルの送信(転送)を停止させる。その後、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が開始(再開)したことが検知された場合、転送制御部63は、転送領域51Aに保持された分割ファイルを通信装置70へ送出することを再開すると共に、通信装置70による分割ファイルの送信(転送)を再開させる。ここで、上記の通り、転送領域51Aには、未送信の分割ファイル及び送信されたが記憶制御部62が未だ確認応答を受け取っていない分割ファイルが保持されている。このため、転送領域51Aに保持された分割ファイルの送信を再開することによって、サーバ90に届いていない分割ファイルを確実に送信することができる。
【0038】
撮影制御部65は、撮影開始トリガが生じたときに(例えば、撮影開始操作が為されたとき、又は、撮影開始予約時間になったとき等)、撮影を開始させる制御を撮影装置30に対して実行する。また、撮影制御部65は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知された場合、撮影を停止させる制御を撮影装置30に対して実行する。このとき、上記の通り、ファイル形成部61は、形成中の分割ファイルの形成を完了させた後に、分割ファイルの形成処理を停止する。ここで、撮影制御部65は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知されたタイミングから少なくとも「分割ファイルの時間長(つまり、上記の所定時間)」が経過した後に、撮影を停止させる制御信号を撮影装置30へ送出する。このため、撮影装置30は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知されたタイミングから少なくとも「分割ファイルの時間長」より長い時間の間撮影を継続してから撮影を停止する。これにより、ファイル形成部61が形成中の分割ファイルの形成を完了させた後に分割ファイルの形成処理を停止することが可能となる。また、上記の「所定の供給継続可能時間」は、「分割ファイルの時間長(つまり、上記の所定時間)」よりも長い。これにより、ファイル形成部61が形成中の分割ファイルの形成が完了して該分割ファイルが転送領域51Aに記憶されるまでの電力を担保することができる。
【0039】
<処理装置の動作例>
以上の構成を有する処理装置50の処理動作の一例について説明する。ここでは、主に、制御部(制御装置)60の処理動作について説明する。
【0040】
まず、撮影装置30が撮影を実行しており、制御部60が分割ファイルを形成すると共に分割ファイルの送信制御を実行しているものとする。
図5は、第2実施形態における制御装置による、電力供給が断たれたときの処理動作の説明に供する図である。
【0041】
制御部60は、電源からUPS40への電力供給の状態を監視する(ステップS201NO)。制御部60は、電源からUPS40への電力供給が断たれたことを検知した場合(ステップS201YES)、通信装置70への分割ファイルの送出を停止すると共に、通信装置70による分割ファイルの送信(転送)を停止させる(ステップS202)。
【0042】
また、制御部60は、撮影を停止させる制御を撮影装置30に対して実行すると共に、形成中の分割ファイルの形成を完了させ、分割ファイルの形成処理を停止する(ステップS203)。そして、制御部60は、その分割ファイルを転送領域51Aに記憶させる(ステップS204)。
【0043】
図6は、第2実施形態における制御装置による、電力供給が再開されたときの処理動作の説明に供する図である。
【0044】
制御部60は、電源からUPS40への電力供給が開始(再開)されて自動的に立ち上がってON状態となると、転送領域51Aに記憶されている分割ファイルが存在するかを判定する(ステップS301)。転送領域51Aに記憶されている分割ファイルが存在しない場合(ステップS301NO)、転送領域51Aに分割ファイルが記憶されるまで待つ。
【0045】
転送領域51Aに記憶されている分割ファイルが存在する場合(ステップS301YES)、制御部60は、転送領域51Aに記憶されている分割ファイルを通信装置70へ順次送出して、分割ファイルの送信を通信装置70に開始させる(ステップS302)。
【0046】
以上で説明した第2実施形態によれば、制御装置60にて記憶制御部62は、サーバ90から送信された肯定応答を受け取った場合、この肯定応答に対応し且つ転送領域51Aに記憶されている分割ファイルを転送領域51Aから削除する制御を実行する。
【0047】
この制御装置60の構成により、転送領域51Aには、基本的には、未送信の分割ファイル及び送信されたが記憶制御部62が未だ確認応答を受け取っていない分割ファイルが保持される。このため、上記のように分割ファイルの転送が再開される場合であっても、サーバ90にて既に正しく受信されている分割ファイルが重複して送信されることを回避することができる。また、転送領域51Aに保持された分割ファイルの送信を再開することによって、サーバ90に届いていない分割ファイルを確実に送信することができる。
【0048】
また、制御装置60にて転送制御部63は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知された場合、通信装置70による分割ファイルの送信(転送)を停止させる。
【0049】
この制御装置60の構成により、分割ファイルの無駄な送信を回避することができる。すなわち、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知された場合、分割ファイルがサーバ90にて正しく受信されたときでも制御装置60はその分割ファイルについての肯定応答を受け取ることができない可能性が高い。このため、通信装置70による分割ファイルの送信を停止させることによって、分割ファイルの無駄な送信を回避することができる。
【0050】
また、制御装置60にてファイル形成部61は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知された場合、形成中の分割ファイルを「所定時間単位」の形で形成した後に、分割ファイルの形成処理を停止する。
【0051】
この制御装置60の構成により、「所定時間単位」に満たない分割ファイルが形成されることを回避することができる。また、サーバ90にて時間長が異なる複数の分割ファイルを結合する場合、時間長が揃っている複数の分割ファイルを結合する場合に比べて、サーバ90による結合処理の負荷が大きくなる。このため、この制御装置60の構成により、サーバ90による結合処理の負荷を軽減することもできる。
【0052】
<変形例>
制御装置60に対する変形例を説明する。転送制御部63は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知されてもこの検知タイミングから所定時間以内に電源からUPS40への電力供給が開始(再開)したことが検知された場合、通信装置70への分割ファイルの送出の停止及び通信装置70による分割ファイルの送信(転送)の停止を回避してもよい。そして、転送制御部63は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知されてこの検知タイミングから所定時間以内に電源からUPS40への電力供給が開始(再開)したことが検知されない場合、通信装置70への分割ファイルの送出の停止及び通信装置70による分割ファイルの送信(転送)の停止を制御してもよい。
【0053】
また、撮影制御部65は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知されてもこの検知タイミングから所定時間以内に電源からUPS40への電力供給が開始(再開)したことが検知された場合、撮影装置30に対する撮影を停止させる制御を回避してもよい。そして、撮影制御部65は、電源状態検知部64にて電源からUPS40への電力供給が断たれたことが検知されてこの検知タイミングから所定時間以内に電源からUPS40への電力供給が開始(再開)したことが検知されない場合、撮影装置30に対する撮影を停止させる制御を実行してもよい。
【0054】
<他の実施形態>
<1>実施形態1及び実施形態2で説明した処理装置10,50は、鉄道車両に配設される利用形態だけでなく、種々の形態で利用することができる。例えば、処理装置10,50は、撮影装置、通信装置、及びUPSと共に、森林地帯や山中等に配設されて利用されてもよい。この利用形態においても、通信装置とサーバとの間の通信環境が不安定なタイミングでは分割ファイルの転送を中断して該通信環境が安定的になった後に転送を再開させることができる。又は、処理装置10,50は、撮影装置、通信装置、及びUPSと共に、ネットワークの使用が一定期間に限られるような工場内等に配設されて利用されてもよい。この利用形態においても、ネットワークを使用できないタイミングでは分割ファイルの転送を中断してネットワークが使用可能なタイミングにて転送を再開させることができる。
【0055】
<2>
図7は、制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
図7において制御装置100は、プロセッサ101と、メモリ102とを有している。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ101は、図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ102にアクセスしてもよい。
【0056】
第1実施形態及び第2実施形態の制御装置20,60は、それぞれ、
図7に示したハードウェア構成を有することができる。第1実施形態及び第2実施形態の制御装置20,60のファイル形成部21,61と、記憶制御部22,62と、転送制御部23,63と、電源状態検知部64と、撮影制御部65とは、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されてもよい。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、制御装置20,60に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって制御装置20,60に供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムを制御装置20,60に供給できる。
【0057】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 転送システム
10 処理装置
11 記憶部
11A 転送領域
20 制御部(制御装置)
21 ファイル形成部
22 記憶制御部
23 転送制御部
30 撮影装置
50 処理装置(録画装置)
51 記憶部
51A 転送領域
52 電源部
53 インタフェース
54 インタフェース
55 インタフェース
60 制御部(制御装置)
61 ファイル形成部
62 記憶制御部
63 転送制御部
64 電源状態検知部
65 撮影制御部
70 通信装置(通信部)
90 サーバ