(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2020057033
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】續木 清貴
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
【審査官】堀川 あゆ美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-006716(JP,A)
【文献】特開2011-245121(JP,A)
【文献】特開2017-136178(JP,A)
【文献】特開2020-010970(JP,A)
【文献】特開2009-285210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の選択肢が提示される事前段階が実行された後、当該複数の選択肢のうちのいずれかが選択されたことを示す結末段階に移行する選択演出を実行する演出実行手段と、
複数の前記選択肢に含まれる対象選択肢と同種のものを表した対象装飾部が前面に構築された対象可動体と、
を備え、
前記事前段階においては、表示装置の表示領域に複数の前記選択肢を示す選択肢画像が表示され、
前記対象選択肢が選択されたことを示す前記結末段階とされる場合、前記事前段階においては他の部材に覆われていた前記対象可動体の対象装飾部が
前記表示領域の手前に重なって露出した状態とされることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記対象可動体とは異なる別可動体を備え、
前記事前段階においては、前記対象可動体の対象装飾部が前記別可動体に覆われた状態にあることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記事前段階においては、前記別可動体は正面視で前記表示領域を区切るように位置し、当該表示領域における前記別可動体の一方側および他方側に異なる種類の前記選択肢画像が表示された状態にあることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
手前側に遊技球が流下する遊技領域が構築される遊技盤を備え、
前記事前段階においては、前記対象可動体の対象装飾部が前記遊技盤に覆われた状態にあることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表示領域に重なる位置まで進出することが可能な可動体を備えた遊技機が多い(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、可動体を用いた面白みのある演出を実行することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示領域を有する表示装置と、所定範囲を動作することが可能な第一可動体と、前記表示領域に選択肢として複数の選択肢画像が表示される事前段階から、遊技者が操作手段を操作することを契機としていずれかの選択肢が選択されたことを示す結末段階に移行する選択演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記選択演出は、前記事前段階にて、前記表示領域における前記選択肢画像が表示された領域同士を区切るように前記第一可動体を位置させ、前記結末段階にて、選ばれた選択肢に対応する前記選択肢画像が表示された領域側とは反対側に前記第一可動体を移動させる演出であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、可動体を用いた面白みのある演出を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】可動体が位置することが可能な各位置を説明するための図である。
【
図6】第一具体例の別例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明にて画像というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置50、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置50の表示領域51は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や一般入賞領域20、大入賞口906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動入賞領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動入賞領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(
図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特
図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特
図1および特
図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(
図2参照)。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置50の表示領域51に表示される識別図柄80(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904a(特
図1)を狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、遊技領域902における表示領域51の左側を遊技球が流下するように遊技球を発射させる。つまり、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904b(特
図1)を狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、遊技領域902における表示領域51の右側を遊技球が流下するように遊技球を発射させる。つまり、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0018】
2)可動体
本実施形態にかかる遊技機1は、所定範囲を動作することが可能な可動体11を備える。可動体11の前面には、所定の装飾が施されている。本実施形態における可動体11は、前後方向に直交する平面方向に沿って移動する(平面方向に沿ってスライドする)ことが可能なものである。可動体11を移動させるための駆動機構(駆動源および動力伝達構造)はどのようなものであってもよいから説明を省略する。可動体11の前後方向位置は、表示装置50(表示面)よりも前である。したがって、可動体11と表示領域51が重なる場合、可動体11に表示領域51の一部が覆われることになる。
【0019】
可動体11は、表示領域51を横断する上下に長い形状を呈する。図示しないが、表示領域51の上側に設けられた左右方向に延びる上レールと、下側に設けられた左右方向に延びる下レールとに誘導されることで、平面方向に沿って左右にスライドする。本実施形態における可動体11は、上下方向における位置は変化しない。
【0020】
可動体11は、少なくとも、中央位置(
図1、
図3(a)参照)、右位置(
図2、
図3(b)参照)、左位置(
図3(c)参照)に位置することが可能である。中央位置は、表示領域51における左右方向中央に重なる位置である。可動体11が中央位置に位置する状態においては、表示領域51の中央側の一部が可動体11に覆われ、可動体11の左側の一部、右側の一部が覆われずに露出した状態となる。以下の説明においては、可動体11が中央位置に位置する状態での表示領域51における可動体11に覆われずに露出した部分のうち、正面視での可動体11の左側の領域を左分割領域51CL、右側の領域を右分割領域51CRと称することもある。本実施形態では、可動体11の中央位置は、左分割領域51CLと右分割領域51CRの大きさがおおよそ等しくなるような位置に設定されている(
図3(a)参照)。
【0021】
右位置は、中央位置よりも右側の位置である。つまり、表示領域51の右側を覆う位置である。本実施形態では、右位置に位置する可動体11は、表示領域51の右側端部から所定範囲を覆う。換言すれば、表示領域51の右側の一部は可動体11に覆われた状態となり、左側の一部は可動体11に覆われずに露出した状態となる。以下の説明においては、可動体11が右位置に位置する状態での表示領域51における可動体11に覆われずに露出した部分を、左露出領域51Lと称することもある(
図3(b)参照)。左露出領域51Lは、左分割領域51CLよりも大きな領域であるし、右分割領域51CRよりも大きな領域である。右位置に位置する可動体11が、表示領域51の右に位置し、表示領域51とは重ならない設定としてもよい。
【0022】
左位置は、中央位置よりも左側の位置である。つまり、表示領域51の左側を覆う位置である。本実施形態では、左位置に位置する可動体11は、表示領域51の左側端部から所定範囲を覆う。換言すれば、表示領域51の左側の一部は可動体11に覆われた状態となり、右側の一部は可動体11に覆われずに露出した状態となる。以下の説明においては、可動体11が左位置に位置する状態での表示領域51における可動体11に覆われずに露出した部分を、右露出領域51Rと称することもある(
図3(c)参照)。右露出領域51Rは、左分割領域51CLよりも大きな領域であるし、右分割領域51CRよりも大きな領域である。左位置に位置する可動体11が、表示領域51の左に位置し、表示領域51とは重ならない設定としてもよい。
【0023】
可動体11の原位置(常態における位置)は、右位置(
図2、
図3(b)参照)とされている。ただし、左位置が原位置とされていてもよい。中央位置が原位置として設定されていなければよい。原位置が右位置であるため、常態においては、左露出領域51L=表示領域51である(左露出領域51Lにて種々の演出画像が表示される)。すなわち、左露出領域51Lに変動する識別図柄80等が表示される。
【0024】
3)選択演出
本実施形態にかかる遊技機1は、報知演出を構成する演出の一つとして選択演出を実行することが可能である。選択演出は、表示領域51に選択肢として複数の選択肢画像が表示される段階(事前段階)から、いずれかの選択肢が選択されたことを示す段階(結末段階)に移行することを基本態様とする。以下では、二つの選択肢(選択肢画像)が示される選択演出を例に説明する。
【0025】
可動体11が中央位置に移動することで事前段階に移行する。上述した通り本実施形態では可動体11の原位置は右位置であるから、右位置(
図4(a)参照)から中央位置に可動体11を移動させる(
図4(b)参照)。可動体11を中央位置に位置させた状態で、一つの選択肢を表す第一選択肢画像21と、もう一つの選択肢を表す第二選択肢画像22を表示する。第一選択肢画像21は左分割領域51CLに、第二選択肢画像22は右分割領域51CRに表示される(
図4(b)参照)。つまり、中央位置に位置する可動体11は、表示領域51における選択肢画像が表示された分割領域(左分割領域51CL・右分割領域51CR)同士を区切るものである。表示領域51における分割領域同士を区切る部分に重なるように可動体11が位置する状態であるともいえる。なお、左分割領域51CLや右分割領域51CRの全域に亘って第一選択肢画像21や第二選択肢画像22が表示されるようにしてもよいし、左分割領域51CLや右分割領域51CRの一部に第一選択肢画像21や第二選択肢画像22が表示されるようにしてもよい。
【0026】
その後、複数の選択肢画像のいずれか一つが強調態様とされ、当該強調態様とされる選択指示画像が高速で変化していく状態(選択示唆状態)とされる。本実施形態では、第一選択肢画像21および第二選択肢画像22の一方が他方に比して強調されることが交互に移り変わることになる。強調態様を示す手法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、強調態様とされる選択肢画像に「カーソル」が合った状態とされる。つまり、各選択肢画像間をカーソルが高速で移動していく(
図4(b)参照)。これとは異なり、強調態様とされる選択肢画像の明度を、他の選択肢画像よりも高くするといった手法を用いることも考えられる。このような選択示唆状態を見た遊技者は、将来的にいずれかの選択肢画像が選ばれるのであろうことを推測することができる。
【0027】
また、本実施形態では、第一選択肢画像21としてキャラクタAの画像が、第二選択肢画像22としてキャラクタBの画像が表示される。つまり、事前段階においては、キャラクタAおよびキャラクタBのいずれかが選択されるのであろうことを遊技者が想定する演出形態となる。
【0028】
当該事前段階を経て、結末段階に移行する。事前段階から結末段階に移行する契機はどのようなものであってもよい。選択示唆状態となってから所定時間経過後、自動的に(遊技者が関与せず)結末段階に移行する設定としてもよいし、遊技者の行動に起因して(例えば、押ボタン等の操作手段の操作を契機として)結末段階に移行する設定としてもよい。自動的に結末段階に移行するケースもあれば、遊技者の行動に起因して移行するケースもある設定としてもよい。この場合、一方のケースである場合よりも、他方のケースである場合の方が、遊技者に有利な結末に移行する蓋然性が高い設定とすることが考えられる。
【0029】
本実施形態では、第一選択肢画像21と第二選択肢画像22が示されるのであるから、第一選択肢画像21が選択される結末(以下、第一結末と称することもある)、または第二選択肢画像22が選択される結末(以下、第二結末と称することもある)に至る。本実施形態では、選択示唆状態にて高速で変動していたカーソルが停止することで、選択された選択肢画像が示される。第一結末よりも、第二結末の方が、遊技者にとって有利な結末とされている。
【0030】
第一結末および第二結末のいずれに至る場合であっても、事前段階から結末段階に至ることを契機として可動体11は移動させられる。具体的には、選ばれた選択肢画像が表示された領域側とは反対側に可動体11を移動させる。事前段階にて可動体11は中央位置に位置するところ、本実施形態では選択される選択肢画像に応じ、当該可動体11を右位置または左位置に移動させる。
【0031】
第一結末に至る場合、第一選択肢画像21が選ばれることになる。第一選択肢画像21が選ばれたことは、第一選択肢画像21にカーソルが合わせられること等によって示される(選択示唆状態に応じた態様とされる)。第一選択肢画像21が選ばれた場合には、可動体11は中央位置から右位置に移動させられる。事前段階にて第一選択肢画像21は可動体11の左側である左分割領域51CLに表示されているから、結末段階に移行することに伴って可動体11をその反対側である右側に移動させる。可動体11が右位置に向かって移動することに伴い、左分割領域51CLの大きさが大きくなり、右分割領域51CRの大きさが小さくなっていく。最終的に可動体11が右位置に到達することで、可動体11の左側に左露出領域51Lが存在する状態となる。つまり、左分割領域51CLが次第に大きくなって左露出領域51Lに至るという変化が生じる。このような領域の変化に伴って、第一選択肢画像21として表示されていたキャラクタAが大きくなるような表示がなされる。つまり、可動体11の移動により表示領域51における可動体11の左側の領域が拡大されるような変化が生じるのであるから、当該領域の拡大に伴い第一選択肢画像21が拡大される(
図4(c-1)参照)。これにより、遊技者は、第一選択肢画像21が選択されたということを容易に把握することができる。なお、第一選択肢画像21が拡大される際、遊技者が同一の対象物(キャラクタA)を表していると認識できる程度の変化(形態等の変化)が生じてもよい。
【0032】
第二結末に至る場合、第二選択肢画像22が選ばれることになる。第二選択肢画像22が選ばれたことは、第二選択肢画像22にカーソルが合わせられること等によって示される(選択示唆状態に応じた態様とされる)。第二選択肢画像22が選ばれた場合には、可動体11は中央位置から左位置に移動させられる。事前段階にて第二選択肢画像22は可動体11の右側である右分割領域51CRに表示されているから、結末段階に移行することに伴って可動体11をその反対側である左側に移動させる。可動体11が左位置に向かって移動することに伴い、右分割領域51CRの大きさが大きくなり、左分割領域51CLの大きさが小さくなっていく。最終的に可動体11が左位置に到達することで、可動体11の右側に右露出領域51Rが存在する状態となる。つまり、右分割領域51CRが次第に大きくなって右露出領域51Rに至るという変化が生じる。このような領域の変化に伴って、第二選択肢画像22として表示されていたキャラクタBが大きくなるような表示がなされる。つまり、可動体11の移動により表示領域51における可動体11の右側の領域が拡大されるような変化が生じるのであるから、当該領域の拡大に伴い第二選択肢画像22が拡大される(
図4(c-2)参照)。これにより、遊技者は、第二選択肢画像22が選択されたということを容易に把握することができる。なお、第二選択肢画像22が拡大される際、遊技者が同一の対象物(キャラクタB)を表していると認識できる程度の変化(形態等の変化)が生じてもよい。また、可動体11が原位置である右位置に戻されるタイミングはどのようなものであってもよい。後述するように、本実施形態では選択選出後にリーチ演出が実行されるところ、当該リーチ演出が終了した後可動体11が原位置である右位置に戻るように設定されている。
【0033】
本実施形態では、選択演出が第一結末に至った(第一選択肢画像21が選択された)場合、キャラクタAをモチーフとしたリーチ演出Aが実行される。一方、選択演出が第二結末に至った(第二選択肢画像22が選択された)場合、キャラクタBをモチーフとしたリーチ演出Bが実行される。リーチ演出Aが実行された場合よりも、リーチ演出Bが実行された場合の方が、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高い。それゆえ、第一結末よりも、第二結末の方が、遊技者にとって有利な結末ということになる。なお、本実施形態におけるリーチ演出Aおよびリーチ演出Bは、いずれも演出の結果により当否判定結果が示される演出(スーパーリーチ演出)である。大当たりである場合には成功結果となり、はずれである場合には失敗結果となるように設定されている。また、ある報知演出にて、リーチ演出Aとリーチ演出Bの両方が発生することはない設定とされている。つまり、基本的には、リーチ演出Aおよびリーチ演出Bは、いずれも所定のタイミングで発生しうる演出であって、一方が終了した後、他方が開始されるといった関係にはないものである。「キャラクタ○をモチーフとしたリーチ演出」はどのようなものであってもよい。一例としてはいわゆるバトル演出が例示できる。キャラクタ○が遊技者側キャラクタとされるバトル演出であってもよいし、キャラクタ○が敵側キャラクタとされるバトル演出であってもよい。
【0034】
このように、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な選択演出は、選択肢として表示される選択肢画像同士を区切るように可動体11を位置させた上で、選択に伴って選択された画像が表示された領域を広げるように可動体11が移動させられるものであるから、いずれの選択肢画像が選択されたのか分かりやすく、かつ、面白みのある演出となる。
【0035】
4)以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0036】
〇第一具体例
選択演出にて選ばれた選択肢画像の違い(結末の違い)がより明確に表れる構成とする。上記実施形態にて説明した可動体11を第一可動体11とする。当該第一可動体11に加え、第二可動体12を備えるものとする。第二可動体12は第一可動体11に支持されたものである。したがって、第一可動体11が移動することに伴い、第二可動体12も移動する。また、第二可動体12は、第一可動体11に対する相対位置を変化させることが可能なものである。具体的には、第二可動体12は、当該相対位置について原位置(
図5(a)や(b-1)に示す位置)と演出位置(
図5(b-2)に示す位置)との間を往復動作することが可能なものである。
【0037】
第二可動体12は、第一可動体11よりも後方で、平面方向に沿って動作する。原位置に位置する第二可動体12は、その大部分が第一可動体11に覆われる状態にある(
図5(a)参照)。本例では、原位置に位置する第二可動体12の全てが第一可動体11に重なる状態にある。したがって、第二可動体12が原位置に位置するとき、第一可動体11に正対した状態では第二可動体12が視認されない。つまり、(初めて遊技する)遊技者は第二可動体12の存在に気付かない蓋然性が高い。第二可動体12が原位置に位置した状態で第一可動体11を駆動させた場合、遊技者には第一可動体11のみが移動しているように見える。なお、第二可動体12の一部が第一可動体11に覆われずに露出する設定としてもよい。第二可動体12の半分以上が第一可動体11に覆われるようにすればよい。
【0038】
演出位置に位置する第二可動体12は、原位置に位置するときよりも第一可動体11に覆われる範囲が小さい。本例では、第一可動体11に対して第二可動体12が右側に移動した位置が演出位置である。第一可動体11に対して第二可動体12が原位置から演出位置に移動することに伴い、第二可動体12における露出する部分(第一可動体11に重ならない部分)が大きくなっていく。当該露出する部分は第二可動体12が演出位置にあるときに最大となる。
【0039】
第二可動体12の駆動機構はどのようなものであってもよい。例えば、第一可動体11の裏側に駆動源およびレール(左右方向に沿うレール)を設け、当該レールに誘導されて第二可動体12が原位置と演出位置との間を往復動作することができるような設定とすることが考えられる。
【0040】
事前段階においては、第二可動体12を原位置に位置させたまま第一可動体11を中央位置に位置させる。原位置に位置する第二可動体12は第一可動体11に覆われるから、事前段階における演出形態(遊技者視点での演出の見た目)は上記実施形態にて説明したものと同じである(
図5(a)参照)。
【0041】
第一結末に至る場合には、第二可動体12を原位置に位置させたまま第一可動体11を右位置に位置させる。原位置に位置する第二可動体12は第一可動体11に覆われるから、第一結末の演出形態は上記実施形態にて説明したものと同じである(
図5(b-1)参照)。
【0042】
第二結末に至る場合は、第二可動体12を原位置に位置させたまま第一可動体11を左位置に位置させる。その後、演出位置に向かって第二可動体12を移動させる。上述の通り、第一可動体11に対して第二可動体12が右側に移動した位置が演出位置であるから、第二可動体12の移動は、第二選択肢画像22が表示されていた領域側に向かう移動となる。より具体的には、第二可動体12が演出位置に位置することで、右露出領域51Rの一部が第二可動体12に覆われることになる(
図5(b-2)参照)。
【0043】
本例における第二可動体12は、その前面に装飾が構築されたものである。第二選択肢画像22は、第二可動体12の装飾を模した部分を含むものとされる(
図5(b-2)参照)。上述した通り、第二選択肢画像22がキャラクタBを表す画像とされるのであれば、第二可動体12はキャラクタBを表した部分を含むものとされる。そのため、選択演出が第二結末に至る場合、事前段階にて表示されていたキャラクタBの画像(無体物)が、結末段階に移行することでキャラクタBの第二可動体12(有体物)に変化するという演出形態となる。
【0044】
また、本例では、第一可動体11を左位置に位置させた状態で第二可動体12を演出位置に移動させる。仮に、第一可動体11を中央位置に位置させたまま第二可動体12を演出位置に移動させようとした場合、第二可動体12が他の部材(例えば遊技盤90)に干渉してしまうような関係とされている。つまり、本例では、第一可動体11を中央位置から左位置に変位させることで、第二可動体12を演出位置に位置させるためのスペースを空けている(第一可動体11を左位置に位置させているからこそ、第二可動体12を演出位置に位置させることができる)とみることもできる。
【0045】
本例の構成は以下のように変更等してもよい。
【0046】
第二可動体12は、第一可動体11に支持されたものではなくてもよい。つまり、第一可動体11とは別個独立して設けられたものであってもよい。第二結末に至る場合、右露出領域51Rの一部が第二可動体12に覆われるようにすればよい。例えば、第二可動体12は、原位置においては遊技盤90の右側に覆われているものとする。そこから左側に向かって移動し、演出位置に到達するような構成とする。
【0047】
第二可動体12は、複数の部材から構成されるものであってもよい。例えば、第二可動体12は、第一部材121および第二部材121を有するものとする。原位置では、第一部材121および第二部材121は互いに前後方向で重なった状態で、第一可動体11の後方に位置するものとする(
図6(a)参照)。演出位置では、第一部材121と第二部材121が展開されるものとする。例えば、第一部材121および第二部材121の一方の部材に駆動源の動力が伝達され、当該一方の部材に他方の部材が引っ張られて当該他方の部材が変位するものとする。演出位置に位置する状態においては、原位置に位置する状態よりも、第一部材121と第二部材121の重なりは小さくなる。このようにすることで、原位置での第二可動体12の平面方向における大きさ(前後方向における投影面積)を小さくしつつ、演出位置での第二可動体12の平面方向における大きさを大きくすることができる。つまり、第一可動体11に覆い隠すべき状況においては第二可動体12の大きさを小さくしつつ、露出すべき状況においては第二可動体12の大きさを大きくすることができる。
【0048】
第二可動体12は、第二選択肢画像22を模した部分を含むものでなくてもよい。
例えば、第二可動体12の前面にキャラクタX(キャラクタAやBとは異なるキャラクタ)が構築されたものとする。事前段階にて、第二選択肢画像22が選ばれることはキャラクタBが選択されることであると遊技者に見せかけ、実際にはキャラクタX(事前段階で示したキャラクタBとは異なるキャラクタ)が選択されたことが第二可動体12により示される演出形態とすることが考えられる。
【0049】
〇第二具体例
第二結末として、上記実施形態にて説明した
図4(c-2)に示す第二結末(本例の説明にて第二結末Aとする)と、上記第一具体例にて説明した
図5(b-2)に示す第二結末(本例の説明にて第二結末Bとする)。つまり、第二結末Aと第二結末Bは、第二選択肢画像22が選ばれるという結末という点では共通するものの、第二可動体12が演出位置に移動させられるかどうかで異なるものとする。そして、第二結末Aおよび第二結末Bの一方に至った場合よりも、他方に至った場合の方が、大当たり信頼度が高い設定とする。好ましくは、第二結末Bの方が、第二結末Aよりも大当たり信頼度が高い設定とするとよい。無体物の画像ではなく有体物である第二可動体12が現れる方が、遊技者に与えるインパクトが大きいからである。
【0050】
〇第三具体例
事前段階における可動体11の態様により、選択演出の結末が示唆されるものとする。例えば、可動体11が発光部111を備えるものとする(
図7参照)。当該発光部111の発光態様により、選択演出の結末が示唆されるものとする。例えば、事前段階にて、発光部111は、白色(
図7(a)参照)、青色(
図7(b)参照)、赤色(
図7(c)参照)の三種類のうちのいずれかで発光するものとし(図面においては発光色を文字で示す)、白色である場合よりも青色である場合の方が、青色である場合よりも赤色である場合の方が、第二結末(遊技者に有利な結末)に至る蓋然性が高い設定とする。
【0051】
上述した通り、可動体11は、事前段階にて選択肢画像同士を区切る役割を果たすものであるところ、本例のようにすることで、当該可動体11にもう一つの役割(結末の示唆)が付与されることになり、遊技の趣向性が向上する。なお、可動体11の態様を司る要素として発光部111以外のものを設定することも考えられる。例えば、可動体11をその形態(外観形状)を変化させることができるものとし、事前段階にてある形態である場合よりも、別の形態である場合の方が、遊技者に有利な結末となる蓋然性が高いといった設定とする。
【0052】
当否判定結果が大当たりとなることが確定する可動体11の態様が設定されていてもよい。例えば、発光部111が虹色で発光した場合には当否判定結果が大当たりであることが確定するものとする。
【0053】
〇第四具体例
事前段階にて示される選択肢画像の数(選択肢の数)を三つ以上にすることもできる。この場合、選択肢の数に応じて用いる可動体11の数を増加させるとよい。例えば、事前段階にて示される選択肢画像の数が四つ(第一選択肢画像21~第四選択肢画像24)であり二つの可動体11を用いるものとする。一つの可動体は、表示領域51を左右に区切るように位置することが可能な上下に長いもの(以下、縦可動体11aと称する)であり、もう一方の可動体は、表示領域51を上下に区切るように位置することが可能な左右に長いもの(以下、横可動体11bと称する)である(
図8(a)参照)。
【0054】
縦可動体11aは、上記実施形態にて説明した可動体11のような動きをする。表示領域51を左右に区切る中央位置、中央位置よりも左側の左位置、中央位置よりも右側の右位置に位置することが可能なものである。なお、左位置や右位置において、横可動体11aが表示領域51に重ならない設定としてもよい。横可動体11bは、表示領域51を左右に区切る中央位置、中央位置よりも上側の上位置、中央位置よりも下側の下位置に位置することが可能なものである。なお、上位置や下位置において、横可動体11bが表示領域51に重ならない設定としてもよい。
【0055】
事前段階では、縦可動体11aおよび横可動体11bが中央位置に位置させられる。これにより、縦可動体11aおよび横可動体11bが「十字」の態様を構築する。したがって、縦可動体11aおよび横可動体11bにより表示領域51が四つに区切られたような状態となる。具体的には、左上分割領域52CLU、右上分割領域52CRU、左下分割領域52CLL、右下分割領域52CRLの四つである。左上分割領域52CLUに第一選択肢画像21が、右上分割領域52CRUに第二選択肢画像22が、左下分割領域52CLLに第三選択肢画像23が、右下分割領域52CRLに第四選択肢画像24が表示される(
図8(a)参照)。
【0056】
結末段階に移行するときには、縦可動体11aおよび横可動体11bが、選択肢画像が表示された領域側とは反対側に移動する。第一選択肢画像21が選択される結末に移行するときには、縦可動体11aが右位置に、横可動体11bが下位置に向かって移動し、左上分割領域52CLUが広げられたような変化が生じ、それに伴って第一選択肢画像21が大きくなる。最終的に縦可動体11aが右位置に、横可動体11bが下位置に到達することによって構築される左上露出領域52LUに、大きくなった第一選択肢画像21が表示された状態となる(
図8(b-1)参照)。その他の選択肢画像が選択されるときも同様である。第二選択肢画像22が選択される結末に移行するときには、縦可動体11aが左位置に、横可動体11bが下位置に向かって移動し、右上露出領域52RUに、大きくなった第二選択肢画像22が表示された状態となる(
図8(b-2)参照)。第三選択肢画像23が選択される結末に移行するときには、縦可動体11aが右位置に、横可動体11bが上位置に向かって移動し、左下露出領域52LLに、大きくなった第三選択肢画像23が表示された状態となる(
図8(b-3)参照)。第四選択肢画像24が選択される結末に移行するときには、縦可動体11aが左位置に、横可動体11bが上位置に向かって移動し、右下露出領域52RLに、大きくなった第四選択肢画像24が表示された状態となる(
図8(b-4)参照)。
【0057】
4)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0058】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0059】
・手段1
表示領域を有する表示装置と、所定範囲を動作することが可能な第一可動体と、前記表示領域に選択肢として複数の選択肢画像が表示される事前段階から、いずれかの選択肢画像が選択されたことを示す結末段階に移行する選択演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記選択演出は、前記事前段階にて、前記表示領域における前記選択肢画像が表示された領域同士を区切るように前記第一可動体を位置させ、前記結末段階にて、選ばれた前記選択肢画像が表示された領域側とは反対側に前記第一可動体を移動させる演出であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、選択肢画像が選択されたのか分かりやすく、かつ、面白みのある選択演出を実行することが可能である。
【0060】
・手段2
前記選択演出にて複数の前記選択肢画像のうちの一つである第一選択肢画像が選ばれた場合、前記第一可動体が移動するとともに当該第一選択肢画像が大きくなるかのような表示がなされることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、第一選択肢画像が選ばれたことが分かりやすい。
【0061】
・手段3
所定範囲を動作することが可能な第二可動体を備え、前記選択演出にて複数の前記選択肢画像のうちの一つである第二選択肢画像が選ばれた場合、前記第一可動体が移動するとともに当該第二選択肢画像が表示されていた側に向かって前記第二可動体が移動することを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このように、第二可動体を用いて第二選択肢画像が選ばれたことを強調することもできる。
【0062】
・手段4
前記第二選択肢画像は、前記第二可動体を模した部分を含むものであることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
第二選択肢画像が第二可動体を模した部分を含むものであれば、第二選択肢画像が選択されたということが分かりやすい。
【0063】
・手段5
前記第二可動体は、前記第一可動体に支持されたものであることを特徴とする手段3または手段4に記載の遊技機。
第二可動体は、第一可動体に支持され、第一可動体とともに移動するものとすることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 遊技機
11 可動体(第一可動体)
12 第二可動体
21 第一選択肢画像
22 第二選択肢画像
23 第三選択肢画像
24 第四選択肢画像
50 表示装置
51 表示領域
51CL 左分割領域
51CR 右分割領域
51L 左露出領域
51R 右露出領域