(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
F24F6/00 D
(21)【出願番号】P 2020088869
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 悠太
(72)【発明者】
【氏名】相馬 江利加
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-243102(JP,A)
【文献】特開2006-010135(JP,A)
【文献】特開2008-145047(JP,A)
【文献】特開2012-007744(JP,A)
【文献】特開2014-016070(JP,A)
【文献】特開2004-163044(JP,A)
【文献】特開2005-147644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿室と、
前記加湿室を収容し、且つ前記加湿室に通じる吸気口および排気口を有する筐体と、
前記排気口から排気された気体を機外に送風する送風手段と、
前記加湿室の下部に設けられ、且つ加湿水を貯留する加湿水プールと、
前記加湿水プールに貯留された加湿水を加熱する加熱手段と、
前記吸気口を閉塞する閉塞位置と前記吸気口を開放する開放位置とに移動可能な吸気口シャッタと、
前記排気口を閉塞する閉塞位置と前記排気口を開放する開放位置とに移動可能な排気口シャッタと、
前記加湿室内において前記加湿水プールに貯留された加湿水に下端が浸される加湿フィルタと、
を備え
、
前記加湿フィルタは、第1方向の寸法が第2方向の寸法よりも小さい扁平な形状であって、前記第1方向に通過する気体を加湿し、
前記筐体は、前記吸気口から前記排気口に気体が流れる通気方向および上下方向と直角である脱着方向に前記加湿フィルタを脱着するための、上下方向の寸法が前記通気方向の寸法よりも小さい扁平な形状のフィルタ脱着口を有し、
前記加湿フィルタの装着においては、前記第1方向が上下方向に沿い、前記第2方向が前記通気方向に沿う姿勢で、前記フィルタ脱着口から前記加湿室内に前記脱着方向に沿って前記加湿フィルタが挿入された後に、前記加湿フィルタが前記脱着方向周りに回転されて、前記第1方向が前記通気方向に沿い、且つ前記第2方向が上下方向に沿う姿勢となり、
前記フィルタ脱着口を閉塞するフィルタ脱着口閉塞手段を備える、
加湿器。
【請求項2】
前記加湿水プールに貯留された加湿水を、前記加湿フィルタに上方から供給する給水手段を備える、
請求項
1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記送風手段が停止しており、前記吸気口シャッタおよび前記排気口シャッタの双方が前記閉塞位置にある状態において、前記加熱手段によって加湿水を加熱する除菌モードを有する、請求項1
または2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記除菌モードにおいて、前記給水手段により加湿水を前記加湿フィルタに供給する、請求項
2を引用する請求項
3に記載の加湿器。
【請求項5】
予め設定された除菌間隔時間に基づいて、前記除菌モードを定期的に実行する、請求項
3または
4に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の湿度をより快適に保つための装置として、加湿器が広く利用されている。加湿器は、気化式や超音波式等の手法によって、加湿水を気化させる機構を有する。この気化機構に、雑菌やカビが生じることが問題となりやすい。特許文献1には、従来の加湿器の一例が開示されている。同文献に開示された加湿器においては、加湿水を加熱殺菌することが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加湿器の一般的な構成として、気化機構として加湿フィルタを含む構成や、加湿室を有する構成がある。加湿水を加熱する手法では、これらの加湿フィルタや加湿室を殺菌することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、雑菌やカビの繁殖を抑制し、加湿室全体を清潔に保つことが可能な加湿器を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される加湿器は、加湿室と、前記加湿室を収容し、且つ前記加湿室に通じる吸気口および排気口を有する筐体と、前記排気口から排気された気体を機外に送風する送風手段と、前記加湿室の下部に設けられ、且つ加湿水を貯留する加湿水プールと、前記加湿水プールに貯留された加湿水を加熱する加熱手段と、前記吸気口を閉塞する閉塞位置と前記吸気口を開放する開放位置とに移動可能な吸気口シャッタと、前記排気口を閉塞する閉塞位置と前記排気口を開放する開放位置とに移動可能な排気口シャッタと、を備える。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記加湿室内において前記加湿水プールに貯留された加湿水に下端が浸される加湿フィルタを備える。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記加湿水プールに貯留された加湿水を、前記加湿フィルタに上方から供給する給水手段を備える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記加湿フィルタは、第1方向の寸法が第2方向の寸法よりも小さい扁平な形状であって、前記第1方向に通過する気体を加湿し、前記筐体は、前記吸気口から前記排気口に気体が流れる通気方向および上下方向と直角である脱着方向に前記加湿フィルタを脱着するための、上下方向の寸法が前記通気方向の寸法よりも小さい扁平な形状のフィルタ脱着口を有し、前記加湿フィルタの装着においては、前記第1方向が上下方向に沿い、前記第2方向が前記通気方向に沿う姿勢で、前記フィルタ脱着口から前記加湿室内に前記脱着方向に沿って前記加湿フィルタが挿入された後に、前記加湿フィルタが前記脱着方向周りに回転されて、前記第1方向が前記通気方向に沿い、且つ前記第2方向が上下方向に沿う姿勢となり、前記フィルタ脱着口を閉塞するフィル タ脱着口閉塞手段を備える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記送風手段が停止しており、前記吸気口シャッタおよび前記排気口シャッタの双方が前記閉塞位置にある状態において、前記加熱手段によって加湿水を加熱する除菌モードを有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記除菌モードにおいて、前記給水手段により加湿水を前記加湿フィルタに供給する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、予め設定された除菌間隔時間に基づいて、前記除菌モードを定期的に実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、雑菌やカビの繁殖を抑制し、加湿室全体を清潔に保つことができる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る加湿器の一例を示す全体斜視図である。
【
図2】本発明に係る加湿器の一例を示す全体斜視図である。
【
図3】本発明に係る加湿器の一例を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る加湿器の一例を示す背面図である。
【
図5】本発明に係る加湿器の一例を示す平面図である。
【
図6】本発明に係る加湿器の一例を示す側面図である。
【
図7】本発明に係る加湿器の一例を示す全体分解斜視図である。
【
図8】本発明に係る加湿器の一例を示す全体分解斜視図である。
【
図10】本発明に係る加湿器の一例の吸気口シャッタの(a)は開放位置を示し、(b)は閉塞位置を示す要部拡大断面図である。
【
図11】本発明に係る加湿器の一例の排気口シャッタの(a)は開放位置を示し、(b)は閉塞位置を示す要部拡大断面図である。
【
図12】
図5のXII-XII線に沿う断面図である。
【
図13】本発明に係る加湿器の一例の加湿室ユニットを示す分解斜視図である。
【
図14】(a),(b)は、本発明に係る加湿器の一例の加湿室への加湿フィルタの挿入を示す斜視図である。
【
図15】(a),(b)は、本発明に係る加湿器の一例の加湿室への加湿フィルタの挿入および回転を示す斜視図である。
【
図16】(a),(b)は、本発明に係る加湿器の一例の加湿室に加湿フィルタが装着された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
本開示における「第1」、「第2」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0018】
<加湿器A1>
図1~
図16は、本発明に係る加湿器の一例を示している。本実施形態の加湿器A1は、筐体1、加湿室ユニット2、加湿水タンク3、加湿フィルタ4、給水手段5、送風手段6、吸気口シャッタユニット7、排気口シャッタユニット8、操作部91、表示部92および制御部93を備えている。以下に説明する加湿器A1は、加湿フィルタ4による加湿水の気化を利用した気化式の加湿器として構成されているが、これは本発明に係る加湿器の一例である。本発明に係る加湿器は、加湿フィルタ4を備える構成に限定されず、たとえば超音波を利用して加湿を行う超音波式の加湿器であってもよい。
【0019】
図1は、加湿器A1を示す全体斜視図である。
図2は、加湿器A1を示す全体斜視図である。
図3は、加湿器A1を示す正面図である。
図4は、加湿器A1を示す背面図である。
図5は、加湿器A1を示す平面図である。
図6は、加湿器A1を示す側面図である。
図7は、加湿器A1を示す全体分解斜視図である。
図8は、加湿器A1を示す全体分解斜視図である。
図9は、
図5のIX-IX線に沿う断面図である。
図10は、加湿器A1の吸気口シャッタ71の(a)は開放位置を示し、(b)は閉塞位置を示す要部拡大断面図である。
図11は、加湿器A1の排気口シャッタ81の(a)は開放位置を示し、(b)は閉塞位置を示す要部拡大断面図である。
図12は、
図5のXII-XII線に沿う断面図である。
図13は、加湿器A1の加湿室ユニット2を示す分解斜視図である。
図14は、(a),(b)は、加湿器A1の加湿室21への加湿フィルタ4の挿入を示す斜視図である。
図15は、(a),(b)は、加湿器A1の加湿室21への加湿フィルタ4の挿入および回転を示す斜視図である。
図16は、(a),(b)は、加湿器A1の加湿室21に加湿フィルタ4が装着された状態を示す斜視図である。これらの図において、z方向は、加湿器A1の使用に際したとえば床面に載置した場合の上下方向(鉛直方向)に相当する。x方向およびy方向は、ともにz方向に対して直角である方向であり、x方向は本発明の脱着方向に相当し、y方向は本発明の通気方向に相当する。また、N1方向は本発明の第1方向に相当し、N2方向は本発明の第2方向に相当する。
【0020】
〔筐体1〕
筐体1は、
図7~
図9および
図12に示すように、加湿室ユニット2、加湿水タンク3、加湿フィルタ4、給水手段5、送風手段6、吸気口シャッタユニット7、排気口シャッタユニット8および制御部93等を収容しており、加湿器A1の外観の大部分をなしている。筐体1は、例えばABS樹脂等の樹脂材料からなるが、その材質は特に限定されない。加湿器A1の形状は特に限定されず、図示された例においては、
図1~
図6に示すように、z方向に起立した姿勢で設置可能な形状であり、z方向視においてたとえば四隅がラウンド形状とされた矩形状である。
【0021】
筐体1は、複数の別体の部位によって形成されていてもよいし、全体が一体的に形成されていてもよい。加湿器A1の製造や使用の便宜から、筐体1は、複数の別体の部位によって形成されていることが好ましい。また、たとえば、加湿室ユニット2および送風手段6等の一部が、筐体1の一部によって構成されていてもよい。
【0022】
本実施形態の筐体1は、
図1~
図8に示すように、正面パネル11、背面パネル12、側面パネル13、上部カバー14およびタンクカバー15を有する。
【0023】
正面パネル11は、筐体1のy方向における正面部分をなす部位である。背面パネル12は、筐体1のy方向における背面部分をなす部位である。図示された例においては、正面パネル11に、水位窓111が設けられている。水位窓111は、加湿水タンク3の水位を外部から視認するための開口である。
【0024】
背面パネル12には、吸気口17が設けられている。吸気口17は、加湿室ユニット2に外気を吸気するための開口である。図示された例においては、吸気口17は、背面パネル12のz方向における下方部分に設けられている。また、吸気口17には、吸気カバー171が取り付けられている。吸気カバー171は、たとえば樹脂からなる格子状の部材であり、異物や使用者の身体の一部等が誤って吸気口17に入り込むことを阻止するためのものである。
【0025】
また、本実施形態においては、正面パネル11と背面パネル12とは、互いに結合されることにより、筐体1のz方向下面部分やx方向の一方側の側面部分を構成する形状とされている。正面パネル11および背面パネル12からなるx方向の一方側の側面部分には、脱着口16が設けられている。脱着口16は、後述の加湿フィルタ4の脱着がなされるための開口である。脱着口16は、筐体1のz方向における下方部分に設けられている。また、脱着口16は、z方向の寸法がy方向の寸法よりも小さい扁平な形状であり、図示された例においては、長矩形状である。
【0026】
また、本実施形態においては、加湿器A1には、脱着口閉塞手段161が備えられている。脱着口閉塞手段161は、脱着口16を閉塞するものであり、脱着口16を閉塞する状態と開放する状態とをとる。図示された例においては、脱着口閉塞手段161は、筐体1の脱着口16に対して取り付けおよび取り外しが可能な別部品によって構成されているが、筐体1に対してスライドや揺動が可能に取り付けられた構成であってもよい。
【0027】
側面パネル13は、筐体1のx方向の他方側の側面部分をなす部位である。図示された例においては、側面パネル13は、正面パネル11および背面パネル12のx方向端部に挟まれている。
【0028】
上部カバー14は、筐体1のz方向の上面部分の一部をなす部位である。上部カバー14には、送風口141が設けられている。送風口141は、送風手段6から吐出された空気をz方向上方に向けて送風するための開口である。図示された例においては、送風口141は、格子状の部材が配置されている。この格子状の部材は、送風方向を規定するフラップとして機能したり、異物や使用者の身体の一部等が誤って送風口141に入り込むことを阻止したりするためのものである。
【0029】
タンクカバー15は、上部カバー14に対してx方向に隣接して配置されており、筐体1のz方向の上面部分の一部をなす部位である。また、タンクカバー15は、加湿水タンク3のz方向直上に位置しており、正面パネル11、背面パネル12、側面パネル13および上部カバー14に対して脱着可能とされている。加湿水タンク3を筐体1から脱着する際には、タンクカバー15が取り外され、加湿水タンク3を脱着するための開口が構成される。
【0030】
〔加湿室ユニット2〕
加湿室ユニット2は、
図7~
図9および
図12に示すように、筐体1に収容されており、加湿フィルタ4を利用して吸気口17から吸気された空気を加湿するためのユニットである。本実施形態の加湿室ユニット2は、
図7~
図9、
図12および
図13に示すように、加湿室21、加湿水プール22、タンク受け部23、フィルタフレーム24および加熱手段25を有する。なお、本実施形態とは異なり、たとえば超音波式の加湿器である場合、加湿室ユニット2は、加湿フィルタ4に代えて超音波振動子等を内蔵していてもよい。
【0031】
加湿室21は、加湿フィルタ4を収容する部位であり、本実施形態においては、たとえば樹脂成形品によって構成されている。加湿室21は、略直方体形状である。図示された例においては、加湿室21には、内部吸気口211、内部脱着口212およびフレームガイド213が設けられている。
【0032】
内部吸気口211は、吸気口17のy方向における内側に位置しており、吸気口17から空気が通過する開口である。内部脱着口212は、脱着口16のx方向における内側に位置しており、後述の加湿フィルタ4の脱着がなされるための開口である。フレームガイド213は、加湿室21の内面において内部脱着口212に隣接して設けられている。フレームガイド213は、x方向に沿って視て円弧形状の溝状部分である。
【0033】
加湿水プール22は、加湿室21のz方向下方に設けられており、加湿室ユニット2によって加湿するための加湿水が一時的に貯留されるための部位である。図示された例においては、加湿水プール22は、加湿室21とともに一体的に形成されており、加湿室21のz方向下方側部分をなしている。
図9によく表れているように、加湿水プール22の一部は、z方向下方に凹む曲面部分とされている。
【0034】
タンク受け部23は、加湿水タンク3をz方向下方から受ける部位である。加湿水タンク3から供給された加湿水は、タンク受け部23から加湿室ユニット2に設けられた開口や導水路等を適宜経由して加湿水プール22に貯留される。
【0035】
フィルタフレーム24は、加湿室21内において、加湿フィルタ4を保持するためのものである。また、フィルタフレーム24は、後述の加湿フィルタ4の脱着において加湿フィルタ4を保持した状態でx方向周りに回転可能に加湿室21に支持されている。図示された例においては、フィルタフレーム24は、たとえば樹脂等からなる格子状の部材からなる。フィルタフレーム24は、係合部241を有する。係合部241は、x方向に突出する突起であり、フレームガイド213に係合する。図示された例においては、フィルタフレーム24は、2つの係合部241を有する。フィルタフレーム24は、2つの係合部241がフレームガイド213に係合し、これらの係合部241がフレームガイド213に対して摺動することにより、x方向周りに回転可能に加湿室21に支持されている。
【0036】
加熱手段25は、加湿水プール22に貯留された加湿水を加熱するためのものである。加熱手段25の具体的構造は何ら限定されず、図示された例においては、通電によって発熱するヒータが樹脂成形品等に組み合わされた構成とされている。加熱手段25は、加湿水プール22の下方から加湿水プール22に取り付けられており、その一部が加湿水プール22内に露出している。
図9によく表れているように、本実施形態においては、加熱手段25は、y方向において吸気口17(内部吸気口211)とフィルタフレーム24(加湿フィルタ4)との間に配置されている。加熱手段25は、加湿水を沸騰させないような温度で加熱するよう構成されている。加熱手段25自体が自ら温度調節を行うよう、例えばPTCヒータを用いても良い。あるいは、加湿水、若しくは加湿室21の内部温度を測定する温度センサ(図示略)を設け、その測定値が一定以下になるように加熱手段25の加熱量を制御する手段(図示略)を設けても良い。加湿室21、及び加湿フィルタ4は、カビ、雑菌、及びウイルスを不活化するため、約60℃まで加熱する必要がある。
【0037】
図9に示すように、加湿器A1は、排気口18を備える。排気口18は、加湿室21において加湿された空気が加湿室21から排気される開口である。本実施形態の排気口18は、加湿室21のz方向上端の開口部分によって構成されており、たとえばz方向に沿って視てx方向を長手方向とする略長矩形状である。なお、排気口18は、たとえば筐体1の一部によって構成されていてもよい。排気口18は、y方向においてフィルタフレーム24(加湿フィルタ4)を挟んで吸気口17(内部吸気口211)とは反対側に配置されている。また、排気口18は、吸気口17のz方向上端よりもz方向上方に位置しており、さらに加湿フィルタ4のz方向上端よりもz方向上方に位置している。
【0038】
吸気口17の排気口18配置関係と、後述の加湿フィルタ4の構成および配置により、加湿室21内においては、吸気口17(内部吸気口211)から吸気された空気が、概ねy方向に沿って進行しつつ加湿フィルタ4を通過し、その後排気口18からz方向上方に向けて排気される。本実施形態においては、y方向が加湿室21における通気方向であると定義する。
【0039】
〔加湿水タンク3〕
加湿水タンク3は、加湿室ユニット2によって空気を加湿するために用いられる必要量の加湿水を貯めておくためのものである。
図5、
図6および
図9に示すように、本実施形態においては、加湿水タンク3は、筐体1内に収容されており、タンクカバー15が取り外された開口を通じてz方向上方から下方に向けて装着され、加湿室ユニット2のタンク受け部23によって支持される。加湿水タンク3は、タンク本体31および蓋部32を有する。タンク本体31は、加湿水を貯めるための部位であり、たとえば透明または半透明の樹脂からなる。蓋部32は、タンク本体31を塞ぐ部材であり、タンク本体31のz方向下端部分の開口に螺合等によって取り付けられる。蓋部32は、タンク受け部23に支持された状態で、たとえばタンク受け部23の突起部分に押圧されることにより、タンク本体31内の加湿水を注出可能な開口状態となる機構が組み込まれている。
【0040】
〔加湿フィルタ4〕
加湿フィルタ4は、加湿水を吸水する材質からなり、加湿水を蒸発させることにより、加湿室21に吸気された空気の加湿を実現する。加湿フィルタ4は、加湿水プール22に貯留された加湿水にz方向下端が浸されるように、加湿室21内に収容されている。加湿フィルタ4の具体的構成は何ら限定されず、たとえば蛇腹状に折られた不織布等によって構成される。
図8、
図9および
図10に示すように、加湿フィルタ4は、N1方向の寸法が、N2方向の寸法よりも小さい扁平な形状であり、図示された例においては、扁平な直方体形状である。加湿フィルタ4は、フィルタフレーム24内に保持されており、加湿器A1の使用時においては、加湿室21内にてN1方向がy方向に沿い、N2方向がz方向に沿う姿勢とされている。
【0041】
ここで、
図14~
図16を参照しつつ、加湿フィルタ4の装着方法を説明する。
【0042】
図14は、加湿フィルタ4を加湿室21に挿入する直前の状態を示している。加湿フィルタ4は、N1方向がz方向に沿い、N2方向がy方向に沿った姿勢で、脱着口16(内部脱着口212)に向けてx方向に移動させられる。脱着口16(内部脱着口212)は、図示された状態の加湿フィルタ4が通過可能なように、y方向を長手方向とする扁平な長矩形状である。また、加湿フィルタ4を挿入する際には、係合部241をフレームガイド213に摺動させることによって、フィルタフレーム24のx方向端部の開口が、内部脱着口212(脱着口16)と略一致する姿勢とされている。なお、この挿入に先立って、脱着口閉塞手段161が取り外される等によって、脱着口16が開放されている。
【0043】
次いで、加湿フィルタ4をx方向に移動させることにより、
図15および
図16に示すように、加湿フィルタ4を加湿室21内に挿入する。この際、加湿フィルタ4は、内部脱着口212(脱着口16)を通じて加湿室21内に進入すると、即座にフィルタフレーム24によって保持される。
【0044】
次いで、
図16に示すように、加湿フィルタ4を加湿室21内において脱着方向であるx方向周りに回転させ、N1方向がy方向に沿い、N2方向がz方向に沿う姿勢とする。本実施形態においては、この回転は、加湿フィルタ4を保持するフィルタフレーム24の係合部241をフレームガイド213に対して摺動させることによって行う。これにより、加湿フィルタ4の装着が完了し、
図9および
図12に示す状態が実現する。加湿フィルタ4を装着した後は、脱着口閉塞手段161によって脱着口16を再び閉塞することが好ましい。なお、加湿フィルタ4の取り外しは、
図14~
図16に示す手順とは逆の手順によって行えばよい。
【0045】
〔給水手段5〕
給水手段5は、加湿水プール22に貯留された加湿水を、加湿フィルタ4にz方向上方から供給するものである。
図7~
図9、
図12および
図13に示すように、本実施形態の給水手段5は、ポンプ51、ノズル52、導水部53および給水口54を有する。なお、本発明に係る加湿器は、給水手段5を有さない構成であってもよい。
【0046】
ポンプ51は、加湿水プール22に設けられており、図示しない取水口から加湿水プール22に貯留された加湿水を汲み上げるためのものである。本実施形態においては、ポンプ51は、加湿水プール22のx方向一端側(内部脱着口212側)であって、y方向一端側(内部吸気口211とは反対側)に配置されている。
【0047】
ノズル52は、ポンプ51によって汲み上げられる加湿水の流路を構成している。図示された例においては、ノズル52は、ポンプ51からz方向上方に向かって延びる細い円筒状の部材である。
【0048】
導水部53は、ノズル52を通じて汲み上げられた加湿水を加湿フィルタ4のz方向上方へと導くための流路を構成している。図示された例においては、導水部53は、ノズル52の上端から、x方向に向かう流路とy方向に向かう比較的短い流路と、x方向に向かう比較的長い流路とを構成する形状である。
【0049】
給水口54は、導水部53によって導かれた加湿水を加湿フィルタ4にz方向上方から給するための開口である。図示された例においては、導水部53の下部設けられた複数の貫通孔によって給水口54が構成されている。なお、給水口54の具体的構成は何ら限定されず、複数の貫通孔やスリット等によって構成されうる。
【0050】
〔送風手段6〕
送風手段6は、加湿室21において加湿されて排気口18から排気された空気を、送風口141を通じて機外へと送風するためのものである。送風手段6の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、
図7~
図9および
図12に示すように、ケーシング61、ファン62、モータ63、吸込口64および吐出口65を有する。送風手段6は、加湿室ユニット2および加湿フィルタ4に対してz方向上方に配置されている。
【0051】
ケーシング61は、ファン62およびモータ63を収容または保持するとともに、送風手段6によって送風される空気の流路を構成する部材である。ケーシング61は、たとえば樹脂成形品によって構成され、一体的な部品または複数の部品の集合体からなる。
【0052】
ファン62は、複数の羽根を有しており、これらの羽根によって送風するための差圧を生じさせるものである。ファン62は、ケーシング61に収容されている。ファン62の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、y方向に沿った回転軸周りに回転する遠心ファンによって構成されている。
【0053】
モータ63は、ファン62を回転駆動するための駆動源である。モータ63は、たとえば電動モータであり、ファン62の回転軸が連結されている。モータ63は、ケーシング61に保持されており、ファン62に対してy方向に並んで配置されている。
【0054】
吸込口64は、ファン62が空気を吸い込む開口であり、排気口18のz方向直上に位置している。吸込口64は、y方向に開口しており、本実施形態においては、ケーシング61の一部によって規定されている。
【0055】
吐出口65は、ファン62からの空気が吐出される開口であり、ファン62に対してz方向上方に配置されており、送風口141のz方向直下に位置している。吐出口65は、z方向に開口しており、本実施形態においては、ケーシング61の一部によって規定されている。
【0056】
なお、本実施形態とは異なり、たとえば、ファン62やモータ63が、筐体1の一部によって保持される構成であってもよい。
【0057】
〔吸気口シャッタユニット7〕
吸気口シャッタユニット7は、
図8~
図10に示すように、複数の吸気口シャッタ71およびモータ72を有している。複数の吸気口シャッタ71は、吸気口17(内部脱着口212)を閉塞する閉塞位置と吸気口17(内部脱着口212)を開放する開放位置とに移動可能である。本実施形態においては、吸気口シャッタ71は、
図10に示すように、同図(a)の開放位置と同図(b)の閉塞位置とを、回転移動によって移動する。より具体的には、吸気口シャッタ71は、x方向に延びる一端縁付近(z方向上端付近)を中心として回転可能とされている。なお、吸気口シャッタ71の移動は、回転移動に限定されず、たとえば閉塞位置と開放位置とを平行移動等によって移動する構成であってもよい。また、本実施形態においては、x方向を長手方向とする長矩形状の吸気口シャッタ71が採用されているが、吸気口シャッタ71の形状や大きさは何ら限定されない。また、吸気口シャッタ71の個数は、2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。図示された例においては、2つの吸気口シャッタ71が、z方向に並んで配置されている。モータ72は、2つの吸気口シャッタ71を回転移動させるための駆動源である。
【0058】
〔排気口シャッタユニット8〕
排気口シャッタユニット8は、
図7、
図9および
図11に示すように、排気口シャッタ81およびモータ82を有している。排気口シャッタ81は、排気口18を閉塞する閉塞位置と排気口18を開放する開放位置とに移動可能である。本実施形態においては、排気口シャッタ81は、
図11に示すように、同図(a)の開放位置と同図(b)の閉塞位置とを、回転移動によって移動する。より具体的には、排気口シャッタ81は、x方向に延びる一端縁付近を中心として回転可能とされている。なお、排気口シャッタ81の移動は回転移動に限定されず、たとえば閉塞位置と開放位置とを平行移動等によって移動する構成であってもよい。また、本実施形態においては、x方向を長手方向とする長矩形状の排気口シャッタ81が採用されているが、排気口シャッタ81の形状や大きさは何ら限定されない。また、排気口シャッタ81の個数は、1つに限定されず、複数であってもよい。モータ82は、排気口シャッタ81を回転移動させるための駆動源である。
【0059】
〔操作部91〕
操作部91は、加湿器A1の使用者が操作を行うためのものである。
図1、
図2、
図5、
図7、
図8および
図12に示すように、本実施形態においては、操作部91は、筐体1の上部カバー14に設けられた複数の押しボタン等によって構成されている。なお、操作部91は、遠隔操作を実現するリモコン操作機等を含んでいてもよい。
【0060】
〔表示部92〕
表示部92は、たとえば加湿器A1の動作状態や周囲の雰囲気の状態等を示すためものである。
図1、
図3および
図7に示すように、本実施形態においては、表示部92は、筐体1の正面パネル11に設けられたLEDや液晶パネル等の発光デバイスによって構成されている。
【0061】
〔制御部93〕
制御部93は、加湿器A1の動作を制御するものである。制御部93は、たとえば、CPU、メモリ、インターフェース等からなり、これらを構成する複数の電子部品とこれらの電子部品が実装される配線基板等からなる。
図12に示すように、本実施形態においては、制御部93は、上部カバー14の内側に配置されている。なお、制御部93は、1つのユニットの形式で構成されたものに限定されず、たとえば、加湿器A1の各所に配置された複数のユニットによって構成されていてもよい。また、加湿器A1は、電源コード94を有している。電源コード94は、たとえば外部の商用の交流100Vコンセントに接続されることにより、加湿器A1に電力を導くためのものである。制御部93は、交流100V電力を、各部の動作に適した直流電力等に変換する変電機能を具備していてもよい。あるいは、加湿器A1は、制御部93とは別に、変電機能を果たす電源部(図示略)を備えていてもよい。
【0062】
次に、加湿器A1の動作例について説明する。
【0063】
〔加湿運転モードX〕
加湿運転モードは、加湿された空気を送風口141から機外に送風することにより、加湿器A1の雰囲気を加湿するモードである。加湿運転モードでは、制御部93の司令により、吸気口シャッタユニット7の吸気口シャッタ71および排気口シャッタユニット8の排気口シャッタ81が、ともに開放位置に移動させられる。また、加熱手段25の加熱制御や送風手段6の送風制御が制御部93によってなされる。制御部93は、たとえば筐体1に設けられた温度センサや湿度センサ(図示略)の検出結果に基づいて、加熱手段25の加熱制御や送風手段6の送風制御を行ってもよい。あるいは、予め定められたタイムテーブルや加熱量および送風量のテーブル等を制御部93のメモリに記録しておき、これらに基づいて、加熱手段25や送風手段6を制御してもよい。さらに、制御部93がタイマー機能を具備することにより、設定時間が経過した後に加湿動作を停止したり、設定された時刻に加湿動作を開始したりする等の制御を行ってもよい。また、加湿室21での加湿を促進することを目的として、加湿水プール22において加熱手段25によって加熱された加湿水を、給水手段5によって加湿フィルタ4にz方向上方から給水するにように、制御部93によって給水手段5を制御してもよい。
【0064】
〔除菌モードY1〕
加湿器A1は、加熱手段25による加熱を利用して加湿室21や加湿フィルタ4の除菌を行う除菌モードを有する。除菌モードの一例としては、まず、加湿水プール22等に設けられた水位センサ(図示略)によって加湿水の水位監視を開始する。次いで、吸気口シャッタユニット7の吸気口シャッタ71および排気口シャッタユニット8の排気口シャッタ81を閉塞位置に移動させる。次いで、加湿水プール22の水位が所定水位以上である状態で、加熱手段25をONし加湿水プール22の加湿水を加熱する。この加熱により、加湿室21内が高温の水蒸気で満たされ、加湿室21の除菌が行われる。たとえば、制御部93にて予め設定された除菌継続時間が経過したら、加熱手段25をOFFに切り替え、加熱を停止する。また、吸気口シャッタユニット7の吸気口シャッタ71および排気口シャッタユニット8の排気口シャッタ81を開放位置に移動させる。これにより、除菌モードが終了する。たとえば、水位センサによって加湿水プール22内に所定水位以上の加湿水が貯留している場合、除菌モードから加湿運転モードに復帰してもよい。
【0065】
〔除菌モードY2〕
除菌モードの他の例としては、上述した除菌モードY1において加熱手段25によって加湿水を加熱している間に、給水手段5によって加熱された加湿水を加湿フィルタ4にz方向上方から給水する。この処理により、加湿室21に高温の水蒸気をより速やかに充満させることができる。
【0066】
〔除菌モードY3〕
上述の除菌モードY1,Y2において、吸気口シャッタユニット7の吸気口シャッタ71および排気口シャッタユニット8の排気口シャッタ81を閉塞位置に移動させる前に、排気口シャッタ81を開放位置に移動させた状態で、加熱手段25によって加湿水プール22の加湿水を加熱する。この加熱により、加湿室21のz方向上方に滞留していた比較的低温(たとえば室温程度)の空気を加湿室21から排気口18を通じて速やかに排気することができる。この排気が適宜完了した後、たとえば予め設定された準備時間が経過した後に、吸気口シャッタユニット7の吸気口シャッタ71および排気口シャッタユニット8の排気口シャッタ81を閉塞位置に移動させ、上述した加熱手段25による加湿水の加熱を行う。なお、排気口シャッタ81を開放位置に移動させた状態での加熱では、吸気口シャッタ71は、閉塞位置でも開放位置でもよい。
【0067】
〔除菌モードY4〕
除菌モードの他の例としては、上述した除菌モードY1~Y3を、予め設定された除菌間隔時間に基づいて定期的に実行するモードが挙げられる。たとえば、除菌間隔時間として、23.5Hrが設定されていた場合、制御部93は、除菌間隔時間が経過すると、加湿運転等よりも除菌を優先して、強制的に除菌モードY1~Y3等の除菌を行う。これにより、使用者の動作設定等によらず、加湿室21を一定時間ごとに確実に除菌することができる。なお、使用者によって電源コード94がコンセントから抜かれていたときであっても、除菌間隔時間が経過した時点で除菌を行うために、たとえば電池やキャパシタ等のバックアップ電源を加湿器A1は備えていてもよい。
【0068】
〔除菌モードY5〕
除菌モードの他の例としては、上述の除菌間隔時間に基づいて除菌を行うにおいて、加湿運転モードを優先させるモードであってもよい。たとえば、除菌間隔時間が経過した時点で、加湿運転が継続中である場合、この加湿運転が終了した後に除菌を行う。このモードにおいては、除菌間隔時間は、除菌モードY4での除菌間隔時間よりも短く設定されていることが好ましく、たとえば17Hr程度に設定される。なお、本モードの除菌間隔時間の計測開始は、除菌間隔時間が経過した時点で開始してもよいし、ある加湿運転が終了した時点やある除菌運転が完了した時点等であってもよい。
【0069】
〔乾燥モードZ〕
乾燥モードZは、加湿フィルタ4を乾燥させるモードである。たとえば、加湿水タンク3を取り外した状態、あるいは上述の水位センサによって加湿水プール22の加湿水が所定水位以下であることを確認する。また、吸気口シャッタ71および排気口シャッタ81を、それぞれ開放位置に移動させる。次いで、加熱手段25をONにし、加湿室21内を加熱する。また、送風手段6をONにし、加湿室21内に通風させる。これにより、加湿水プール22を完全な渇水状態により近い状態とする。次いで、加熱手段25をOFFにし、送風手段6のONを継続する。これにより、加湿フィルタ4に空気が通風され、加湿フィルタ4が乾燥する。
【0070】
なお、乾燥モードZにおける乾燥時間は、以下のように設定される。たとえば、温度センサおよび湿度センサ等による環境温湿度と乾燥時間との関係を予めテーブルとして制御部93のメモリに記憶させておく。制御部93は、このテーブルに基づいて送風手段6による送風等の乾燥動作の継続時間を決定する。また、加湿室21内に湿度センサ(図示略)を設置し、この湿度センサの出力信号によって加湿室21の湿度が所定湿度以下になるまで、送風手段6による送風を行ってもよい。あるいは、加湿フィルタ4の温度を検出する温度センサ(図示略)を設けてもよい。加湿フィルタ4の乾燥が進行すると、加湿フィルタ4からの蒸発による気化熱によって、加湿フィルタ4の温度が低下する。温度センサの出力信号によって加湿フィルタ4の温度が所定温度(たとえば室温程度)に到達した時点で、送風手段6の送風による加湿フィルタ4の乾燥を終了してもよい。
【0071】
次に、加湿器A1の作用について説明する。
【0072】
図9に示すように、加湿器A1は、吸気口シャッタ71と排気口シャッタ81とを備える。
図10(b)に示すように、吸気口シャッタ71は、吸気口17(内部吸気口211)を閉塞する閉塞位置に移動可能である。また、
図11(b)に示すように、排気口シャッタ81は、排気口18を閉塞する閉塞位置に移動可能である。吸気口シャッタ71および排気口シャッタ81を閉塞位置に移動させると、加湿室21を密閉に近い状態とすることができる。これにより、加湿器A1が使用されていない状態において、吸気口17や排気口18から加湿室21へとカビや雑菌あるいはホコリ等が侵入することを抑制することができる。また、加湿室21を密閉した状態で、たとえば上述の除菌モードY1~Y5を行えば、加湿室21内に高温の水蒸気をより確実に充満させることが可能である。したがって、加湿室21における雑菌やカビの繁殖を抑制し、加湿室21全体を清潔に保つことができる。また、加湿器A1は、気化式として構成されることから、加湿室21内に加湿フィルタ4が設けられている。加湿器A1によれば、加湿フィルタ4の雑菌やカビの繁殖を抑制し、加湿フィルタ4を清潔に保つことができる。
【0073】
図9および
図11に示すように、排気口シャッタ81は、加湿室21と送風手段6の吸込口64との間に配置されている。このため、排気口シャッタ81が
図11(b)に示す閉塞位置であるときには、加湿室21と送風手段6とが遮断される格好となる。たとえば本実施形態とは異なり、排気口シャッタ81と同様の閉塞手段が送風口141に設けられている場合、送風口141(排気口18)から加湿室21へとカビや雑菌あるいはホコリ等が侵入することが抑制可能である。しかしながら、除菌モードY1~Y5における高温の水蒸気が送風手段6に過度に滞留することは、送風手段6の適切な機能維持等に好ましくない。また、加湿フィルタ4及び加湿室21を水蒸気で除菌するにあたり、水蒸気が充満する空間を必要最小限とすることで、温度上昇を短時間で行い、加熱手段25への通電時間を最小限とすることが可能となる。加えて、本実施形態によれば、除菌モードY1~Y5において加湿室21に充満させるべき水蒸気が、意図せずに送風手段6へと漏れることを抑制することができる。このような効果は、仮に上述した構成の吸気口シャッタ71を備えない場合であっても期待できる。吸気口シャッタ71を有しない構成では、吸気口17(内部吸気口211)よりもz方向上方に水蒸気が滞留し、加湿フィルタ4の温度を上昇させる。従って吸気口シャッタ71を有しない構成では、加湿フィルタ4が出来るだけ広い範囲で滞留した水蒸気に接触するよう、吸気口17(内部吸気口211)を可能な限りz方向下方に配置することが効果的である。
【0074】
図7~
図9、
図12および
図13に示すように、給水手段5を備えることにより、加湿水プール22において加熱された加湿水をz方向上方から加湿フィルタ4に給水することができる。これは、上述した加湿運転モードXにおける気化の効率を向上させるのに適している。また、除菌モードY2において給水手段5を動作させることにより、加湿室21により速やかに高温の水蒸気を充満させるとともに、加熱された加湿水を直接供給することで、加湿フィルタ4の温度をより短時間で上昇させることが可能であり、除菌効果を高めることができる。この効果を高めるためには、給水手段5の取水を加湿水プール22の加熱手段25近傍から行うのが効果的である。
【0075】
図14~
図16を参照して説明したとおり、加湿フィルタ4の装着においては、
図14に示すようにN2方向がy方向に沿う姿勢で加湿フィルタ4を挿入した後に、加湿室21内において加湿フィルタ4を回転させてN2方向をz方向に沿わせる。このため、
図16に示すように、N2方向がz方向に沿った姿勢の加湿フィルタ4によって、内部脱着口212(脱着口16)の一部のみが塞がれる格好となり、このままでは、内部脱着口212(脱着口16)の一部(図示された例においては、加湿フィルタ4を挟んでy方向両側に位置する部分)が開放されたままとなってしまう。本実施形態においては、加湿器A1は、脱着口閉塞手段161を有している。これにより、加湿フィルタ4の装着が終了したときに、脱着口16を脱着口閉塞手段161によって完全に閉塞することが可能である。したがって、加湿室21からの漏れを生じさせることなく、適切に加湿器A1を動作させることができる。
【0076】
除菌モードY3によれば、加湿室21のz方向上方に滞留していた比較的低温(たとえば室温程度)の空気を加湿室21から排気口18を通じて速やかに排気することが可能であり、除菌の効率を向上させることができる。また、本実施形態においては、
図9に示すように、排気口18が吸気口17よりもz方向において上方に位置している。このため、加湿室21のz方向上方に滞留していた空気を、排気口18からより確実に排気することが可能である。
【0077】
除菌モードY4,Y5を備えることにより、使用者が定期的に除菌のための操作を行わなくとも、加湿室21や加湿フィルタ4の除菌をより確実に定期的に行うことができる。加湿室21や加湿フィルタ4での雑菌やカビ除菌の繁殖ペースを考慮して除菌間隔時間を設定すれば、加湿器A1を長期間使用した後であっても、加湿室21や加湿フィルタ4を清潔な状態で保つことができる。
【0078】
乾燥モードZを備えることにより、加湿フィルタ4が十分に乾燥した状態を達成することができる。これは、加湿フィルタ4における雑菌やカビの繁殖を抑制するのに適している。特に、加湿が強く求められる季節が終了し、長期間にわたって加湿器A1が使用されないことが想定される場合に、乾燥モードZの実行によって加湿フィルタ4を乾燥させておくことは、衛生面において好ましい。
【0079】
本発明に係る加湿器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る加湿器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0080】
A1 :加湿器
1 :筐体
2 :加湿室ユニット
3 :加湿水タンク
4 :加湿フィルタ
5 :給水手段
6 :送風手段
7 :吸気口シャッタユニット
8 :排気口シャッタユニット
11 :正面パネル
12 :背面パネル
13 :側面パネル
14 :上部カバー
15 :タンクカバー
16 :脱着口
17 :吸気口
18 :排気口
21 :加湿室
22 :加湿水プール
23 :タンク受け部
24 :フィルタフレーム
25 :加熱手段
31 :タンク本体
32 :蓋部
51 :ポンプ
52 :ノズル
53 :導水部
54 :給水口
61 :ケーシング
62 :ファン
63 :モータ
64 :吸込口
65 :吐出口
71 :吸気口シャッタ
72 :モータ
81 :排気口シャッタ
82 :モータ
91 :操作部
92 :表示部
93 :制御部
94 :電源コード
111 :水位窓
141 :送風口
161 :脱着口閉塞手段
171 :吸気カバー
211 :内部吸気口
212 :内部脱着口
213 :フレームガイド
241 :係合部
X :加湿運転モード
Y1,Y2,Y3,Y4,Y5:除菌モード
Z :乾燥モード