(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】木質ペレット燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/24 20060101AFI20240228BHJP
F23B 99/00 20060101ALI20240228BHJP
F24B 1/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
F23N5/24 106Z
F23B99/00
F24B1/02 D
(21)【出願番号】P 2020106492
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 崇史
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-180970(JP,A)
【文献】特許第4230992(JP,B2)
【文献】特開平08-200643(JP,A)
【文献】特開昭60-256705(JP,A)
【文献】実開昭52-002984(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0169525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/24
F23B 99/00
F24B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質ペレットが燃焼されて空気が加熱される燃焼室と、
前記燃焼室の周壁を構成し、開放されて前記燃焼室が開放される開閉扉と、
前記開閉扉側のみ又は前記開閉扉以外の前記燃焼室側のみに設けられると共に、前記開閉扉に付勢力を作用させて前記開閉扉が前記燃焼室を閉鎖し、前記燃焼室の内圧が上昇する場合に付勢力に抗して前記開閉扉による前記燃焼室の閉鎖が解除される付勢手段と、
を備える木質ペレット燃焼装置。
【請求項2】
前記開閉扉が回動されて開放及び閉鎖される請求項1記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項3】
前記開閉扉に設けられ、移動を規制されて前記開閉扉の開放が規制されると共に、前記付勢手段が設けられて前記開閉扉に付勢力を作用させる規制部を備える請求項1又は請求項2記載の木質ペレット燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室において木質ペレットが燃焼される木質ペレット燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のペレットストーブでは、燃焼室において木質ペレットが燃焼される。
【0003】
ここで、このようなペレットストーブでは、木質ペレットが固形物であるため、木質ペレットの点火が気体燃料及び液体燃料に比べて不安定である。このため、木質ペレットの点火時には、木質ペレットの性状等に起因して、大量の可燃ガス(白煙)が発生して、可燃ガスに一気に引火することで、燃焼室の内圧が急激に上昇する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、燃焼室の内圧が急激に上昇することを抑制できる木質ペレット燃焼装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の木質ペレット燃焼装置は、木質ペレットが燃焼されて空気が加熱される燃焼室と、前記燃焼室の周壁を構成し、開放されて前記燃焼室が開放される開閉扉と、前記開閉扉側のみ又は前記開閉扉以外の前記燃焼室側のみに設けられると共に、前記開閉扉に付勢力を作用させて前記開閉扉が前記燃焼室を閉鎖し、前記燃焼室の内圧が上昇する場合に付勢力に抗して前記開閉扉による前記燃焼室の閉鎖が解除される付勢手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項1に記載の木質ペレット燃焼装置において、前記開閉扉が回動されて開放及び閉鎖される。
【0008】
請求項3に記載の木質ペレット燃焼装置は、請求項1又は請求項2に記載の木質ペレット燃焼装置において、前記開閉扉に設けられ、移動を規制されて前記開閉扉の開放が規制されると共に、前記付勢手段が設けられて前記開閉扉に付勢力を作用させる規制部を備える。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の木質ペレット燃焼装置では、燃焼室において木質ペレットが燃焼されて空気が加熱される。また、開閉扉が燃焼室の周壁を構成しており、開閉扉が開放されて、燃焼室が開放される。
【0010】
ここで、付勢手段が開閉扉に付勢力を作用させて、開閉扉が燃焼室を閉鎖しており、燃焼室の内圧が上昇する場合に、付勢手段の付勢力に抗して開閉扉による燃焼室の閉鎖が解除される。このため、燃焼室の内圧が急激に上昇することを抑制できる。
【0011】
請求項2に記載の木質ペレット燃焼装置では、開閉扉が回動されて開放及び閉鎖される。このため、開閉扉の回動により開閉扉による燃焼室の閉鎖を解除でき、開閉扉による燃焼室の閉鎖を容易に解除できる。
【0012】
請求項3に記載の木質ペレット燃焼装置では、開閉扉の規制部が移動を規制されて、開閉扉の開放が規制される。
【0013】
ここで、付勢手段が、規制部に設けられて、開閉扉に付勢力を作用させる。このため、規制部の移動が規制される際における規制部への負荷を付勢手段が吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るペレットストーブを示す右斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るペレットストーブを示す右方から見た断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るペレットストーブを示す前方から見た断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るペレットストーブにおける開閉扉を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るペレットストーブにおける開閉扉の主要部を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るペレットストーブにおける燃焼室を示す上方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本発明の実施形態に係る木質ペレット燃焼装置としてのペレットストーブ10が右斜め前方から見た斜視図にて示されている。また、
図2には、ペレットストーブ10が右方から見た断面図にて示されており、
図3には、ペレットストーブ10が前方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、ペレットストーブ10の前方を矢印FRで示し、ペレットストーブ10の左方を矢印LHで示し、上方を矢印UPで示している。
【0016】
本実施形態に係るペレットストーブ10は、密閉式(FF式)のものにされると共に、建物の室内(設置空間)に設置されている。
【0017】
図1~
図3に示す如く、ペレットストーブ10には、略直方体箱状の筐体12が設けられており、筐体12は、ペレットストーブ10の外面を構成している。筐体12の後壁の下部には、通気口14が貫通形成されており、通気口14は、筐体12内を筐体12の後側の室内に開放させている。
【0018】
筐体12の後部の上側部分には、収容部としての漏斗状のホッパ16が設けられており、ホッパ16内は上側に開放されている。ホッパ16の上側には、略板状のホッパ蓋16Aが設けられており、ホッパ蓋16Aは、ホッパ16内を上側から閉鎖している。ホッパ蓋16Aは、回動可能にされており、ホッパ蓋16Aが上側に回動されて、ホッパ16内が上側に開放される。ホッパ16内には、加工燃料である例えば円柱状の木質ペレット18が収容されており、木質ペレット18は、間伐材等が粉砕圧縮加工されて製造されている。
【0019】
ホッパ16の下側には、供給手段としての供給スクリュー20が固定されている。供給スクリュー20には、円筒状の搬送筒20Aが設けられており、搬送筒20Aの軸方向は、前方へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。搬送筒20A内の下端部(後端部)には、ホッパ16内の下端が連通されており、搬送筒20A内の下端部には、ホッパ16内の木質ペレット18が流下される。搬送筒20A内には、スクリュー20Bが同軸上に設けられており、スクリュー20Bの下端(後端)には、供給駆動手段としての供給モータ20Cが接続されている。供給モータ20Cは、制御装置(図示省略)に電気的に接続されており、制御装置の制御により供給モータ20Cが駆動されることで、スクリュー20Bが回転されて、搬送筒20A内の木質ペレット18が上側(前側)に搬送される。搬送筒20Aの上端部(前端部)には、供給筒20Dが接続されており、供給筒20Dの軸方向は、前方へ向かうに従い下方へ向かう方向に傾斜されている。供給筒20D内の上端部(後端部)は、搬送筒20A内の上端部に連通されており、搬送筒20A内の上端部に搬送された木質ペレット18が供給筒20D内を前側に流下される。
【0020】
筐体12の前部には、直方体状の燃焼室24が設けられており、燃焼室24の後壁には、供給スクリュー20の供給筒20Dが貫通されている。燃焼室24の左壁及び右壁の上端部には、長尺矩形状の加熱孔26が貫通形成されており、加熱孔26は、前後方向に延伸されている。筐体12の前端部近傍には、燃焼室24の前側の全周において、シール部としての矩形環状のシール壁12A(
図2参照)が設けられており、シール壁12Aは、平板状にされて、前後方向に垂直に配置されている。
【0021】
筐体12の前端部には、略矩形板状の開閉扉22(
図4及び
図5参照)が設けられており、開閉扉22は、閉鎖されて、筐体12の前壁及び燃焼室24の前壁(周壁)を構成している。開閉扉22の後面周部には、シール部材としての矩形枠状のガスケット22Aが固定されており、ガスケット22Aは、耐熱ゴム製にされると共に、後側に突出されている。ガスケット22Aは、全周において、筐体12のシール壁12Aとの間で弾性収縮されており、これにより、ガスケット22Aがシール壁12Aと開閉扉22との間をシールして、開閉扉22が燃焼室24の前側を閉鎖している。開閉扉22には、ガスケット22Aの内側において、視認部としての矩形板状の耐熱ガラス22Bが設けられており、耐熱ガラス22Bは、透明にされて、筐体12の前側から燃焼室24を視認可能にしている。
【0022】
開閉扉22の左端部には、円柱状の回動軸22Cが設けられており、開閉扉22は、回動軸22Cにおいて筐体12に支持されて、回動軸22Cを中心として回動(移動)可能にされている。
【0023】
開閉扉22の後面の右端部には、上下方向中間部において、被付勢部材としての付勢板80が設けられている。付勢板80の前側には、U字形板状の前壁80Aが設けられており、前壁80Aは、開閉扉22に固定されると共に、上端部及び下端部が左側に延出されている。付勢板80の左側の上部及び下部には、矩形板状の左壁80Bが設けられており、上側の左壁80Bは、前壁80Aの上端部から後側及び上側に延出されると共に、下側の左壁80Bは、前壁80Aの下端部から後側及び下側に延出されている。付勢板80の後側の上端部及び下端部には、矩形板状の後壁80Cが設けられており、上側及び下側の後壁80Cは、それぞれ上側及び下側の左壁80Bの上側部から右側に延出されている。
【0024】
開閉扉22の後面には、付勢板80の周囲において、付勢部材(規制部)としての規制板82が設けられている。規制板82の右側には、T字形板状の右壁82Aが設けられており、右壁82Aは、付勢板80の前壁80Aの後側、上側及び下側に配置されると共に、上下方向中間部が後側に突出されている。規制板82の前側の上端部及び下端部には、矩形板状の前壁82Bが設けられており、上側及び下側の前壁82Bは、それぞれ右壁82Aの上端部及び下端部から左側に延出されている。上側及び下側の前壁82Bは、それぞれ付勢板80の前壁80Aの上側及び下側に配置されており、上側及び下側の前壁82Bは、それぞれ付勢板80の上側及び下側の後壁80Cと前後方向において対向されている。
【0025】
付勢板80の上側及び下側の後壁80Cと規制板82の上側及び下側の前壁82Bとは、それぞれ連結部材としての略円柱状の連結ピン84によって連結されており、連結ピン84は、付勢板80の規制板82に対する上下方向への移動を規制すると共に、付勢板80の規制板82に対する前後方向への所定範囲での移動及び左右方向への所定範囲での移動を許可している。
【0026】
付勢板80の上側及び下側の後壁80Cと規制板82の上側及び下側の前壁82Bとの間には、それぞれ付勢手段としての螺旋状の圧縮コイルブリング86が掛渡されており、圧縮コイルブリング86内には、連結ピン84が同軸上に貫通されている。圧縮コイルブリング86の後端は、付勢板80(後壁80C)に固定されると共に、圧縮コイルブリング86の前端は、規制板82(前壁82B)に固定されており、圧縮コイルブリング86は、付勢板80の規制板82に対する左右方向への移動を制限している。圧縮コイルブリング86は、付勢板80に規制板82に対する後側への付勢力を作用させており、圧縮コイルブリング86は、付勢板80の規制板82に対する前後方向への移動を制限している。
【0027】
規制板82の右壁82Aの上下方向中間部には、規制部位としての円柱状の規制ピン82Cが固定されており、規制ピン82Cは、左側に突出されている。筐体12の右端部には、規制機構(図示省略)が設けられており、規制機構には、規制部材としての例えばL字形板状の規制フックが回動可能に設けられている。規制機構は、規制操作されて、規制フックが回動により規制ピン82Cに引っ掛けられており、これにより、規制板82(規制ピン82C)の前側への移動が規制されて、開閉扉22の前側への回動が規制(ロック)されている。規制機構が解除操作された際には、規制フックの回動により、規制フックの規制ピン82Cへの引っ掛けが解除されて、規制板82(規制ピン82C)の前側への移動規制が解除されることで、開閉扉22の前側への回動規制が解除されて、開閉扉22が開放可能にされる。
【0028】
図2及び
図3に示す如く、燃焼室24の後側の下部には、直方体形箱状の燃焼箱28が設けられており、燃焼箱28の後壁は、燃焼室24の後壁にされている。燃焼箱28の前側かつ上側の部分には、直方体形箱状の燃焼炉30が設けられており、燃焼炉30の前壁、左壁及び右壁は、それぞれ燃焼箱28の前壁、左壁及び右壁にされると共に、燃焼炉30内は、燃焼箱28の上側に開放されている。燃焼炉30の下壁及び後壁は、ロストル30Aにされており、ロストル30Aには、多数の空気孔32が貫通形成されている。燃焼炉30内の上側には、供給スクリュー20の供給筒20Dの前端(下端)が配置されており、供給筒20D内を前側に流下された木質ペレット18が燃焼炉30内に流下されて供給される。また、燃焼箱28内の燃焼炉30外側の部分は、給気室34にされている。
【0029】
燃焼炉30の後壁には、点火筒36が接続されており、点火筒36は、内部が燃焼炉30内に連通されると共に、燃焼室24の後壁を貫通されて燃焼室24から後方に延出されている。点火筒36内には、点火ヒータ38が設けられており、点火ヒータ38は、制御装置に電気的に接続されている。点火ヒータ38は、制御装置の制御により発熱可能にされており、点火ヒータ38が発熱されて、燃焼炉30内の木質ペレット18が加熱されることで、点火ヒータ38が当該木質ペレット18に点火可能にされている。
【0030】
燃焼箱28の後壁(燃焼室24の後壁)には、点火筒36の下側において、給気筒40が接続されており、給気筒40は、内部が燃焼箱28内の給気室34に連通されると共に、燃焼室24から後方に延出されている。
【0031】
点火筒36の後側及び給気筒40の後側には、給気箱42が接続されており、給気箱42内は、点火筒36内及び給気筒40内に連通されている。給気箱42の後壁には、給気管42Aが接続されており、給気管42Aは、内部が給気箱42内に連通されると共に、給気箱42から後側に延出されている。給気管42Aは、給気中継箱43を介して給気管42Bに連通されており、給気管42Bは、筐体12の後壁の下部を貫通して建物の外側(屋外)に延出されている。
【0032】
燃焼室24の左側及び右側には、それぞれ直方体状の左加熱室44及び右加熱室46が設けられており、左加熱室44及び右加熱室46の前壁は、筐体12のシール壁12Aにされている。左加熱室44の右壁は、燃焼室24の左壁にされると共に、右加熱室46の左壁は、燃焼室24の右壁にされており、左加熱室44及び右加熱室46は、燃焼室24の加熱孔26を介して燃焼室24に連通されている。
【0033】
燃焼室24の下端部には、燃焼箱28の直下において、直方体形箱状の灰受トレイ48が嵌合されており、灰受トレイ48内は、上側に開放されて、燃焼室24に連通されている。灰受トレイ48は、前後方向にスライド可能にされており、開閉扉22が開放された状態で、灰受トレイ48が前側にスライドされることで、灰受トレイ48を燃焼室24外(筐体12外)に取り出し可能にされている。
【0034】
燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の後壁の下端部には、給気筒40の下側において、排気箱52が接続されており、排気箱52内は、左加熱室44及び右加熱室46に連通されている。排気箱52内には、循環手段を構成する循環部としての排気ファン54が設けられており、排気ファン54には、循環手段を構成する循環駆動部としての排気モータ56が接続されている。排気モータ56は、制御装置に電気的に接続されており、制御装置の制御により排気モータ56が駆動されることで、排気ファン54が回転されて、左加熱室44及び右加熱室46の空気が排気箱52内に吸引される。このため、建物の外側の空気が後記排気管58外周の給気管42B内、給気中継箱43内、給気管42A内、給気箱42内及び点火筒36内を介して燃焼炉30内に吸引される。また、給気箱42内に吸引された空気が、給気筒40内、燃焼箱28内の給気室34及び燃焼炉30のロストル30Aの空気孔32を介して燃焼炉30内に吸引される。さらに、燃焼炉30内に吸引された空気が、燃焼室24に吸引されて、燃焼室24の各加熱孔26を介して左加熱室44及び右加熱室46に吸引される。
【0035】
排気箱52の後壁には、排気管58が接続されており、排気管58は、内部が排気箱52内に連通されると共に、後方に延出されて給気中継箱43及び給気管42Bの中に嵌通されている。排気管58は、建物の外側(屋外)に延出されており、排気ファン54によって排気箱52内に吸引された空気が排気管58内を介して建物の外側に排出される。
【0036】
左加熱室44の左側及び右加熱室46の右側には、それぞれ熱交換室としての直方体状の左熱交換室60及び右熱交換室62が設けられており、左熱交換室60の右壁及び右熱交換室62の左壁の上端部以外の部分は、それぞれ左加熱室44の左壁及び右加熱室46の右壁にされている。左熱交換室60の左壁及び右熱交換室62の右壁は、それぞれ筐体12の左壁及び右壁にされており、左熱交換室60及び右熱交換室62の前壁及び上壁は、それぞれ筐体12のシール壁12A及び上壁にされている。
【0037】
燃焼室24、左加熱室44、右加熱室46、左熱交換室60及び右熱交換室62の後側には、熱交換室としての略直方体状の後熱交換室64が設けられており、後熱交換室64の前壁の上端部、左端部及び右端部以外の部分は、燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の後壁にされている。後熱交換室64の前壁の左端部及び右端部は、それぞれ左熱交換室60及び右熱交換室62の後壁にされており、後熱交換室64の左端部及び右端部の上部は、前側に開放された通過孔69が形成されて、それぞれ左熱交換室60及び右熱交換室62の上部に連通されている。後熱交換室64の左壁、右壁及び上壁は、それぞれ筐体12の左壁、右壁及び上壁にされており、後熱交換室64の後壁の上側部分は、断熱構造材で構成されてホッパ16の前壁に接合されている。後熱交換室64の後壁には、供給スクリュー20の搬送筒20Aが貫通されており、後熱交換室64の下部は、後側に開放されて、ホッパ16及び供給スクリュー20の下側を介して筐体12後壁の通気口14に連通されている。
【0038】
燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の上側には、熱交換室としての略直方体状の上熱交換室66が設けられており、上熱交換室66の下壁は、燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の上壁にされると共に、上熱交換室66の上壁は、筐体12の上壁にされている。上熱交換室66の前壁は、筐体12のシール壁12Aにされており、上熱交換室66の左壁、右壁及び後壁は、それぞれ左熱交換室60の右壁、右熱交換室62の左壁及び後熱交換室64の前壁にされている。上熱交換室66の左壁、右壁及び後壁には、それぞれ矩形状の通過孔68が複数貫通形成されており、上熱交換室66の左壁、右壁及び後壁における複数の通過孔68は、それぞれ上熱交換室66を左熱交換室60、右熱交換室62及び後熱交換室64の上端部に連通させている。上熱交換室66の上壁には、開放口としての矩形状のスリット70が複数貫通形成されており、複数のスリット70は、上熱交換室66を筐体12の上側の室内に開放させている。
【0039】
燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の下側には、直方体状の温風室72が設けられており、温風室72の左端部及び右端部は、それぞれ左熱交換室60及び右熱交換室62の下端部に連通されている。温風室72の下壁は、筐体12の下壁にされており、温風室72の前壁は、筐体12の前壁にされている。温風室72の前壁には、鎧戸状の吹出口74が貫通形成されており、吹出口74は、温風室72を筐体12下端部の前側の室内に開放させている。
【0040】
温風室72内には、温風ファン76が設けられており、温風ファン76には、温風モータ78が接続されている。温風モータ78は、制御装置に電気的に接続されており、制御装置の制御により温風モータ78が駆動されることで、温風ファン76が回転されて、温風室72の空気が吹出口74から前側に吹出される。このため、筐体12の後側の室内の空気が、筐体12後壁の通気口14を介して後熱交換室64に吸引されて、上熱交換室66後壁の複数の通過孔68を介して上熱交換室66に吸引されると共に、左熱交換室60及び右熱交換室62の上部の通過孔69を介してそれぞれ左熱交換室60及び右熱交換室62に吸引される。また、筐体12の上側の室内の空気が、上熱交換室66上壁の複数のスリット70を介して上熱交換室66に吸引される。さらに、上熱交換室66に吸引された空気が、上熱交換室66の左壁及び右壁における複数の通過孔68を介してそれぞれ左熱交換室60及び右熱交換室62に吸引される。しかも、左熱交換室60及び右熱交換室62に吸引された空気が温風室72に吸引される。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
以上の構成のペレットストーブ10では、供給スクリュー20において、制御装置の制御により供給モータ20Cが駆動されて、スクリュー20Bが回転されることで、ホッパ16内の木質ペレット18が、搬送筒20A内に流下されて、搬送筒20A内を搬送される。さらに、搬送筒20A内を搬送された木質ペレット18が、供給筒20D内を流下されて、燃焼室24における燃焼炉30内に流下される。
【0043】
また、制御装置の制御により排気モータ56が駆動されて、排気ファン54が回転されることで、左加熱室44及び右加熱室46の空気が、排気箱52内に吸引されて、排気管58内を介して建物の外側に排出される。このため、建物の外側の空気が排気管58外周の給気管42B内、給気中継箱43内、給気管42A内、給気箱42内及び点火筒36内を介して燃焼炉30内に吸引される。また、給気箱42内に吸引された空気が、給気筒40内、燃焼箱28内の給気室34及び燃焼炉30のロストル30Aの空気孔32を介して燃焼炉30内に吸引される。さらに、燃焼炉30内に吸引された空気が、燃焼室24に吸引されて、燃焼室24の各加熱孔26を介して左加熱室44及び右加熱室46に吸引される。
【0044】
しかも、制御装置の制御により点火ヒータ38が発熱して点火筒36内の空気を加熱する。このため、当該空気が燃焼炉30内に吸引されて燃焼炉30内の木質ペレット18を加熱することで、当該木質ペレット18が点火される。さらに、給気室34の空気が燃焼炉30のロストル30Aの空気孔32を介して燃焼炉30内に吸引(噴出)される。これにより、当該木質ペレット18が燃焼されて、燃焼炉30の上側に炎Fが立ち上ることで、燃焼室24の空気が加熱されて、当該空気が燃焼室24の各加熱孔26を介して左加熱室44及び右加熱室46に吸引される。なお、当該木質ペレット18の燃焼により灰が発生して燃焼室24に飛散するが、当該灰は自然落下して灰受トレイ48内に収容される。
【0045】
また、制御装置の制御により温風モータ78が駆動されることで、温風ファン76が回転されて、温風室72の空気が吹出口74から前側に吹出される。このため、筐体12の後側の室内の空気が、筐体12後壁の通気口14を介して後熱交換室64に吸引されて、上熱交換室66後壁の複数の通過孔68を介して上熱交換室66に吸引されると共に、左熱交換室60及び右熱交換室62の上部の通過孔69を介してそれぞれ左熱交換室60及び右熱交換室62に吸引される。また、筐体12の上側における室内の空気が、上熱交換室66上壁の複数のスリット70を介して上熱交換室66に吸引される。さらに、上熱交換室66に吸引された空気が、上熱交換室66の左壁及び右壁における複数の通過孔68を介してそれぞれ左熱交換室60及び右熱交換室62に吸引される。しかも、左熱交換室60及び右熱交換室62に吸引された空気が温風室72に吸引される。
【0046】
これにより、後熱交換室64の空気が後熱交換室64の前壁(燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の後壁)を介して燃焼室24の加熱された空気との間で熱交換されて加熱される。さらに、上熱交換室66の空気が上熱交換室66の下壁(燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の上壁)を介して燃焼室24、左加熱室44及び右加熱室46の加熱された空気との間で熱交換されて加熱される。また、左熱交換室60の空気が左熱交換室60の右壁(左加熱室44の左壁)を介して左加熱室44の加熱された空気との間で熱交換されて加熱される。さらに、右熱交換室62の空気が右熱交換室62の左壁(右加熱室46の右壁)を介して右加熱室46の加熱された空気との間で熱交換されて加熱される。
【0047】
したがって、後熱交換室64、上熱交換室66、左熱交換室60及び右熱交換室62において加熱された空気が、温風ファン76によって、温風室72に吸引されて、吹出口74から筐体12下端部の前側の室内に吹出される。このため、室内の空気が、ペレットストーブ10によって強制対流されながら暖められて、短時間で温度ムラを少なくされて暖められる。
【0048】
ところで、燃焼炉30内の木質ペレット18が、点火筒36内の点火ヒータ38により加熱された空気によって加熱されて、点火される際には、木質ペレットの性状、燃焼炉30内への灰の残存程度、及び、点火筒36内及び燃焼炉30内に吸引される建物外側の空気の温度等に起因して、大量の可燃ガス(白煙)が発生して、可燃ガスに一気に引火する(所謂爆発燃焼が発生する)ことで、燃焼室24の内圧が急激に上昇する可能性がある。
【0049】
ここで、燃焼室24の内圧が急激に上昇する際には、燃焼室24の内圧により開閉扉22が前側に押圧されることで、開閉扉22において、圧縮コイルブリング86の付勢力に抗して、付勢板80が規制板82に対し前側に回動されて、開閉扉22が前側に回動される(
図6参照)。このため、燃焼室24の内圧の上昇度合いに応じて、開閉扉22による燃焼室24の閉鎖が解除されて、燃焼室24の空気が筐体12の外側に放出されることで、燃焼室24の内圧が急激に上昇することを抑制できる。これにより、開閉扉22(例えば耐熱ガラス22B)が破損することを抑制できる。
【0050】
さらに、開閉扉22が、回動されて、開放及び閉鎖される。このため、燃焼室24の内圧が急激に上昇する際には、開閉扉22の回動により開閉扉22による燃焼室24の閉鎖を解除でき、開閉扉22のスライドにより開閉扉22による燃焼室24の閉鎖を解除する場合とは異なり、開閉扉22による燃焼室24の閉鎖を容易に解除できる。
【0051】
また、開閉扉22では、圧縮コイルブリング86が付勢板80と規制板82との間に設けられている。このため、規制機構の規制フックが規制板82の規制ピン82Cに引っ掛けられて開閉扉22の回動が規制される際、及び、規制フックの規制ピン82Cへの引っ掛けが解除されて開閉扉22の回動規制が解除される際には、規制フックから規制板82(規制ピン82Cを含む)への負荷を圧縮コイルブリング86が吸収でき、規制機構による開閉扉22の回動の規制及び規制解除を容易に行うことができる。
【0052】
さらに、開閉扉22では、圧縮コイルブリング86によって、付勢板80が規制板82に対し後側に付勢されて、開閉扉22が後側に付勢されている。このため、開閉扉22のガスケット22Aが経年劣化しても、圧縮コイルブリング86の付勢力によりガスケット22Aによる筐体12のシール壁12Aと開閉扉22との間のシール性能を維持できる。これにより、ペレットストーブ10の使用期間が長くなっても、開閉扉22による燃焼室24の閉鎖性能を維持できる。
【0053】
なお、本実施形態では、圧縮コイルブリング86が開閉扉22(付勢板80)と規制板82との間に設けられる。しかしながら、圧縮コイルブリング86が開閉扉22又は筐体12と回動軸22Cの軸受との間に設けられてもよい。
【0054】
さらに、本実施形態では、開閉扉22が回動可能にされる。しかしながら、開閉扉22がスライド可能にされてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、本発明をペレットストーブ10に対して適用した場合について説明した。しかしながら、本発明は木質ペレットを燃料として用いるボイラー等に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 ペレットストーブ(木質ペレット燃焼装置)
18 木質ペレット
22 開閉扉
24 燃焼室
82 規制板(規制部)
86 圧縮コイルブリング(付勢手段)