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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】樹木成長管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20240228BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A01G9/00 Z
A01G7/00 602Z
【請求項の数】 58
(21)【出願番号】P 2020533889
(86)(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 IL2018050984
(87)【国際公開番号】W WO2019043720
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】62/553,948
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520072279
【氏名又は名称】ツリー-チューブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アンテビ,エホナタン
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ツール,シャハル
(72)【発明者】
【氏名】エイロン,ヤコブ
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第1440988(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0160487(US,A1)
【文献】米国特許第4950103(US,A)
【文献】特開2005-299904(JP,A)
【文献】特許第2886528(JP,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1329767(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0015487(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 - 9/08
A01G 7/00
E03F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空通路を画定する細長い円筒状本体を備えるシステムであって、
前記細長い円筒状本体は、(i)100~800cmの間の長さ、および(ii)断面周囲内の最大内接円が50~300cmの間の直径を有するように寸法決めされた前記断面周囲を有し、
前記細長い円筒状本体は、
第1の開口部から延長される植え付け用延長部であって、
前記第1の開口部は、前記細長い円筒状本体の長手方向の上半分の周りに配置され、かつ300~20000cmの間の面積を有し、
前記植え付け用延長部は、筒状であり、前記細長い円筒状本体の上面から周囲の人工的構造物の地表面レベルまで垂直に延長される
植え付け用延長部と、
周囲の人工的構造物と干渉しない所望の成長経路に向かって樹木または植物の根を向けるように、システム内で成長する樹木または植物の根のための出口を提供するように構成され、水平面に対して少なくとも2つの異なる角度に位置する少なくとも2つの第2の根の開口部であって、
(a)前記内接円の1時の位置から5時の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の第1の長手方向側部領域、または
(b)前記内接円の7時の位置から11時の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の第2の長手方向側部領域、
のうちの一方に配置され、20~700cmの間の面積をそれぞれ有する、少なくとも2つの第2の根の開口部と、
前記細長い円筒状本体の長手方向底部領域の周りに配置された、少なくとも1つの排水開口部と、
を含み、
前記細長い円筒状本体は、少なくとも10トンの荷重を支持することができる、
システム。
【請求項2】
前記細長い円筒状本体が、前記細長い円筒状本体の前記長手方向の上半分の周りに配置された2つ以上の前記第1の開口部を備え、前記2つ以上の第1の開口部は、それらの中心間で少なくとも300cm離間される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記植え付け用延長部は5~60cmの間の長さを有する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記細長い円筒状本体が、前記第1および第2の長手方向側部領域の少なくとも一方の周りに配置された3~10個の前記第2の根の開口部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記細長い円筒状本体が、前記内接円の5時30分の位置から6時30分の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の長手方向底部領域の周りに配置された少なくとも1つの第3の開口部をさらに備え、前記少なくとも1つの第3の開口部は80~500cmの間の面積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記細長い円筒状本体が、前記内接円の11時30分の位置から12時30分の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の長手方向上部領域の周りに配置された少なくとも1つの第4の開口部をさらに備え、前記少なくとも1つの第4の開口部は1~12cmの間の面積を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
2つ以上の前記細長い円筒状本体をさらに備え、前記細長い円筒状本体のそれぞれは、1つまたは複数の他の前記細長い円筒状本体に結合するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記結合が、エンドツーエンド結合、エンドツーサイド結合、およびサイドツーサイド結合からなる群から選択される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記結合が、180度、直角、鈍角、および鋭角からなる群から選択される角度を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記2つ以上の細長い円筒状本体が、直線、曲線、円、長方形、T接合、L接合、およびHパターンの1つまたは複数を含むレイアウトを形成するように相互接続される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記細長い円筒状本体が湾曲している、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記細長い円筒状本体が1つまたは複数の地点で曲げられ、前記曲げのそれぞれは、180度、直角、鈍角、および鋭角からなる群から選択される角度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記細長い円筒状本体が、ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、鋳鉄、黒鉄、鋼、およびコンクリートからなる群から選択される1種または複数種の材料から作製される、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記細長い円筒状本体は、円筒状波形管である、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記円筒状波形管が内壁および外壁を備え、前記外壁は複数の連続する離間された環状リブを画定し、前記離間された環状リブの各対の間には環状の谷を画定する部分があり、前記離間された環状リブのそれぞれは、その内部に形成された対応する環状中空チャネルを画定する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記離間された環状リブが前記細長い円筒状本体の周りに螺旋状に形成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記細長い円筒状本体が、前記細長い円筒状本体の前記内壁の周りに軸方向および円周方向に延びる複数の穿孔をさらに備え、前記複数の穿孔のそれぞれは1~5cmの間の面積を有する、請求項15~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記穿孔のそれぞれが、前記細長い円筒状本体の内部と環状中空チャネルの1つとの間の空気連通を可能にするために、前記細長い円筒状本体の前記内壁を貫通する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第4の開口部のそれぞれが、前記複数の離間された環状リブのうちの1つの頂部の周りに配置され、前記対応する環状中空チャネルと周囲大気との間の空気連通を提供する、請求項15~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第4の開口部のそれぞれに接続された少なくとも1つの通気シャフトをさらに備え、前記通気シャフトは5~60cmの間の長さを有する、請求項14~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の開口部の前記面積と前記第2の根の開口部の前記面積との間の比が、1.5:1~4:1の間である、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記細長い円筒状本体の全ての開口部および穿孔の総面積が、前記細長い円筒状本体の総表面積の6%~25%の間に等しい、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記細長い円筒状本体を地面アンカーに接続するための相互接続手段をさらに備え、前記相互接続手段は、通し穴を含む1つまたは複数のブラケットを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記細長い円筒状本体の外壁の周りに配置され、そこから外側に垂直に延びる少なくとも1つの安定化フィンをさらに備える、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記細長い円筒状本体内に長手方向に配置され、その長さに沿って複数の穿孔を有する導管をさらに備える、請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記導管が灌漑要素を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記灌漑要素が滴下式灌漑要素である、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記導管が、その長さに沿って配置されたジオテキスタイルファブリックの層をさらに含む、請求項25~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
樹木の成長を管理する方法であって、
中空通路を画定する細長い円筒状本体を含むシステムを提供するステップであって、
前記細長い円筒状本体は、(i)100~800cmの間の長さ、および(ii)断面周囲内の最大内接円が50~300cmの間の直径を有するように寸法決めされた断面周囲を有し、
前記細長い円筒状本体は、
第1の開口部から延長される植え付け用延長部であって、
前記第1の開口部は、前記細長い円筒状本体の長手方向の上半分の周りに配置され、かつ300~20000cmの間の面積を有し、
前記植え付け用延長部は、筒状であり、前記細長い円筒状本体の上面から周囲の人工的構造物の地表面レベルまで垂直に延長される
植え付け用延長部と、
周囲の人工的構造物と干渉しない所望の成長経路に向かって樹木または植物の根を向けるように、システム内で成長する樹木または植物の根のための出口を提供するように構成され、水平面に対して少なくとも2つの異なる角度に位置する少なくとも2つの第2の根の開口部であって、
(a)前記内接円の1時の位置から5時の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の第1の長手方向側部領域、または
(b)前記内接円の7時の位置から11時の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の第2の長手方向側部領域
のうちの一方に配置され、20~700cmの間の面積をそれぞれ有する、少なくとも2つの第2の根の開口部と、
前記細長い円筒状本体の長手方向底部領域の周りに配置された、少なくとも1つの排水開口部と、
を含み、
前記細長い円筒状本体は、少なくとも10トンの荷重を支持することができる、
システムを提供するステップと、
前記第1の開口部が実質的に上に向けられるように、前記細長い円筒状本体を、周囲の人工的構造物の地表面レベルより下に配備するステップと、
前記第1の開口部を介して植物を植え付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記細長い円筒状本体が、前記細長い円筒状本体の前記長手方向の上半分の周りに配置された2つ以上の前記第1の開口部を備え、前記2つ以上の第1の開口部は、それらの中心間で少なくとも300cm離間される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記植え付け用延長部は5~60cmの間の長さを有する、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記配備するステップが、(i)前記細長い円筒状本体を(a)前記第1の開口部が実質的に上に向けられるように、かつ(b)前記植え付け用延長部の上端が実質的に周囲の人工的構造物の地表面レベルにあるように、配備することを含み、および(ii)前記植え付けるステップが、前記植え付け用延長部を介して植物を植え付けることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記細長い円筒状本体が、前記第1および第2の長手方向側部領域の少なくとも一方の周りに配置された3~10個の前記第2の根の開口部を備える、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記細長い円筒状本体が、前記内接円の5時30分の位置から6時30分の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の長手方向底部領域の周りに配置された少なくとも1つの第3の開口部をさらに備え、前記少なくとも1つの第3の開口部は80~500cmの間の面積を有する、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記細長い円筒状本体が、前記内接円の11時30分の位置から12時30分の位置まで時計回りに延びる前記細長い円筒状本体の長手方向上部領域の周りに配置された少なくとも1つの第4の開口部をさらに備え、前記少なくとも1つの第4の開口部は1~12cmの間の面積を有する、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記システムが、2つ以上の前記細長い円筒状本体をさらに備え、前記細長い円筒状本体のそれぞれは、1つまたは複数の他の前記細長い円筒状本体に結合するように構成される、請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記結合が、エンドツーエンド結合、エンドツーサイド結合、およびサイドツーサイド結合からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記結合が、180度、直角、鈍角、および鋭角からなる群から選択される角度を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記配備するステップが、(i)直線、曲線、円、長方形、T接合、L接合、およびHパターンの1つまたは複数を含むレイアウトを形成するように前記複数の前記細長い円筒状本体の2つ以上を相互接続すること、ならびに(ii)前記細長い円筒状本体のそれぞれの前記第1の開口部のそれぞれが実質的に上に向けられるように前記レイアウトを周囲の人工的構造物の地表面レベルより下に配備することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細長い円筒状本体が湾曲している、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記細長い円筒状本体が1つまたは複数の地点で曲げられ、前記曲げのそれぞれは、180度、直角、鈍角、および鋭角からなる群から選択される角度を有する、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記細長い円筒状本体が、ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、鋳鉄、黒鉄、鋼、およびコンクリートからなる群から選択される1種または複数種の材料から作製される、請求項29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記細長い円筒状本体は、円筒状波形管である、請求項29~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記円筒状波形管が内壁および外壁を備え、前記外壁は複数の連続する離間された環状リブを画定し、前記離間された環状リブの各対の間には環状の谷を画定する部分があり、前記離間された環状リブのそれぞれは、その内部に形成された対応する環状中空チャネルを画定する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記離間された環状リブが前記細長い円筒状本体の周りに螺旋状に形成される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記細長い円筒状本体が、前記細長い円筒状本体の前記内壁の周りに軸方向および円周方向に延びる複数の穿孔をさらに備え、前記複数の穿孔のそれぞれは1~5cmの間の面積を有する、請求項44~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記穿孔のそれぞれが、前記細長い円筒状本体の内部と環状中空チャネルの1つとの間の空気連通を可能にするために、前記細長い円筒状本体の前記内壁を貫通する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第4の開口部のそれぞれが、前記複数の離間された環状リブのうちの1つの頂部の周りに配置され、前記対応する環状中空チャネルと周囲大気との間の空気連通を提供する、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記システムが、前記第4の開口部のそれぞれに接続された少なくとも1つの通気シャフトをさらに備え、前記配備するステップが、前記少なくとも1つの通気シャフトが少なくとも周囲の人工的構造物の地表面レベルにあるように前記細長い円筒状本体を配備することを含む、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の開口部の前記面積と前記第2の根の開口部の前記面積との間の比が、1.5:1~4:1の間である、請求項29~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記細長い円筒状本体の全ての開口部および穿孔の総面積が、前記細長い円筒状本体の総表面積の6%~25%の間に等しい、請求項29~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記細長い円筒状本体が、前記細長い円筒状本体を地面アンカーに接続するための相互接続手段をさらに備え、前記相互接続手段は、通し穴を含む1つまたは複数のブラケットを含む、請求項29~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記配備するステップが、(i)前記地面アンカーを設置すること、および(ii)前記地面アンカーを前記相互接続手段に接続することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細長い円筒状本体が、前記細長い円筒状本体の外壁の周りに配置されかつそこから外側に垂直に延びる少なくとも1つの安定化フィンをさらに備える、請求項29~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記システムが、前記細長い円筒状本体内に長手方向に配置されかつその長さに沿って複数の穿孔を有する導管をさらに備える、請求項29~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記導管が灌漑要素を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記灌漑要素が滴下式灌漑要素である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記導管が、その長さに沿って配置されたジオテキスタイルファブリックの層をさらに含む、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹木の成長の管理の分野に関する。
【0002】
本出願は、2017年9月4日に出願された米国仮特許出願第62/553,948号からの優先権の利益を主張する。上記文書の内容は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により完全な形で組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
樹木は、都市環境に著しい経済的、社会的、環境的利益をもたらす。他の利益の中でも、樹木は街並みを美しくし、歩行者に日陰となる葉を提供し、大気汚染を遮断して吸収し、都市のヒートアイランド効果の抑制に一役買い、野生生物の生息地を提供する。しかしながら、密集した都市環境で樹木を上手く成長させるには、いくつかの課題がある。樹木が成熟した植物に成長するためには、十分な高品質の土壌、十分な水分、および効率的な土壌排水が提供されなければならない。街路樹の衰退の主な原因には、適切な土壌体積の不足、および下層土壌中の不十分な灌漑および通気がある。
【0004】
関連技術の前述の例およびそれに関連する制限は、例示的であり、排他的ではないことを意図している。関連技術の他の制限は、本明細書を読み、図を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
以下の実施形態およびその態様は、範囲を限定することなく、例示的でありかつ説明に役立つことを意図したシステム、ツール、および方法と併せて記載および図示される。
【0006】
一実施形態によれば、そこを貫通する中空通路を画定する細長い本体を備えるシステムが提供され、前記細長い本体は、(i)100~800cmの間の長さ、および(ii)断面周囲内の最大内接円が50~300cmの間の直径を有するように寸法決めされた前記断面周囲を有し、前記細長い本体は、前記細長い本体の長手方向の上半分の周りに配置されかつ300~20000cmの間の面積を有する第1の開口部と、(a)前記内接円の大体1時の位置から大体5時の位置まで時計回りに延びる前記細長い本体の第1の長手方向側部領域、および(b)前記内接円の大体7時の位置から11時の位置まで時計回りに延びる前記細長い本体の第2の長手方向側部領域の少なくとも一方の周りに配置された少なくとも2つの第2の開口部であって、20~700cmの間の面積をそれぞれ有する少なくとも2つの第2の開口部とを含む。
【0007】
一実施形態によれば、樹木の成長を管理する方法も提供され、前記方法は、そこを貫通する中空通路を画定する細長い本体を含むシステムを提供するステップであって、前記細長い本体は、(i)100~800cmの間の長さ、および(ii)断面周囲内の最大内接円が50~300cmの間の直径を有するように寸法決めされた前記断面周囲を有し、前記細長い本体は、前記細長い本体の長手方向の上半分の周りに配置されかつ300~20000cmの間の面積を有する第1の開口部と、(a)前記内接円の大体1時の位置から大体5時の位置まで時計回りに延びる前記細長い本体の第1の長手方向側部領域、および(b)前記内接円の大体7時の位置から11時の位置まで時計回りに延びる前記細長い本体の第2の長手方向側部領域の少なくとも一方の周りに配置された少なくとも2つの第2の開口部であって、20~700cmの間の面積をそれぞれ有する少なくとも2つの第2の開口部とを含む、提供するステップと、前記第1の開口部が実質的に上に向けられるように、前記細長い本体を表面下に配備するステップと、前記第1の開口部を介して植物を植え付けるステップとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記細長い本体は、前記細長い本体の前記長手方向の上半分の周りに配置された2つ以上の前記第1の開口部を備え、前記2つ以上の第1の開口部は、それらの中心間で少なくとも300cm離間される。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記システムは、前記第1の開口部に結合するようにおよび前記細長い本体の上面から垂直に延びるように構成された中空導管を備える植え付け用延長部をさらに備え、前記植え付け用延長部は5~60cmの間の長さを有する。いくつかの実施形態では、前記方法は、(i)前記細長い本体を(a)前記第1の開口部が実質的に上に向けられるように、および(b)前記植え付け用延長部の上端が実質的に表面レベルにあるように配備することをさらに含み、および(ii)前記植え付けることは前記植え付け用延長部を介して植物を植え付けることを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、前記第1および第2の長手方向側部領域の少なくとも一方の周りに配置された3~10個の前記第2の開口部を備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、前記内接円の大体約5時30分の位置から大体6時30分の位置まで時計回りに延びる前記細長い本体の長手方向の底部領域の周りに配置された少なくとも1つの第3の開口部をさらに備え、前記少なくとも1つの第3の開口部は80~500cmの間の面積を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、前記内接円の大体11時30分の位置から大体約12時30分の位置まで時計回りに延びる前記細長い本体の長手方向の上部領域の周りに配置された少なくとも1つの第4の開口部をさらに備え、前記少なくとも1つの第4の開口部は1~12cmの間の面積を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記システムは、2つ以上の前記細長い本体をさらに備え、前記細長い本体のそれぞれは、1つまたは複数の他の前記細長い本体に結合するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記結合は、エンドツーエンド結合、エンドツーサイド結合、およびサイドツーサイド結合からなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記結合は、180度、直角、鈍角、および鋭角からなる群から選択される角度を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記2つ以上の細長い本体は、直線、曲線、円、長方形、T接合、L接合、およびHパターンの1つまたは複数を含むレイアウトを形成するように相互接続される。いくつかの実施形態では、前記方法は、(i)直線、曲線、円、長方形、T接合、L接合およびHパターンの1つまたは複数を含むレイアウトを形成するように前記複数の前記細長い本体の2つ以上を相互接続すること、および(ii)前記細長い本体のそれぞれの前記第1の開口部のそれぞれが実質的に上に向けられるように、前記レイアウトを表面下に配備することをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、円形、楕円形、八角形、馬蹄形、および長方形からなる群から選択される断面プロファイルを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は湾曲している。いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、1つまたは複数の地点で曲げられ、前記曲げのそれぞれは、180度、直角、鈍角、および鋭角からなる群から選択される角度を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、鋳鉄、黒鉄(black iron)、鋼、およびコンクリートからなる群から選択される1種または複数種の材料から作製される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、少なくとも10トンの荷重を支持することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は波形構造を有する。いくつかの実施形態では、前記波形構造は内壁および外壁を備え、前記外壁は複数の連続する離間された環状リブを画定し、前記環状リブの各対の間には環状の谷を画定する部分があり、前記環状リブのそれぞれは、その内部に形成された対応する環状中空チャネルを画定する。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記環状リブは、細長い本体の周りに螺旋状に形成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体は、前記細長い本体の内壁の周りに軸方向および円周方向に延びる複数の穿孔をさらに備え、前記複数の穿孔のそれぞれは、1~5cmの間の面積を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記穿孔のそれぞれは、前記細長い本体の内部と前記環状中空チャネルの1つとの間の空気連通を可能にするために、前記細長い本体の前記内壁を貫通する。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記第4の開口部のそれぞれは、前記複数の環状リブのうちの1つの頂部の周りに配置され、前記対応する環状中空チャネルと周囲大気との間の空気連通を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記システムは、前記第4の開口部のそれぞれに接続された少なくとも1つの通気シャフトをさらに備え、前記通気シャフトは5~60cmの間の長さを有する。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記少なくとも1つの通気シャフトが少なくとも表面レベルにあるように前記細長い本体を配備することをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記第1の開口部の前記面積と前記第2の開口部の前記面積との間の比は、1.5:1~4:1の間である。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記細長い本体の全ての開口部および穿孔の総面積は、前記細長い本体の総表面積の6%~25%の間に等しい。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記システムは、前記細長い本体を地面アンカーに接続するための相互接続手段をさらに備え、前記相互接続手段は、通し穴を含む1つまたは複数のブラケットを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、(i)前記地面アンカーを設置すること、および(ii)前記地面アンカーを前記相互接続手段に接続することをさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記システムは、前記細長い本体の外壁の周りに配置され、そこから外側に垂直に延びる少なくとも1つの安定化フィンをさらに備える。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記システムは、前記細長い本体内に長手方向に配置され、その長さに沿って複数の穿孔を有する導管をさらに備える。いくつかの実施形態では、前記導管は灌漑要素を含む。いくつかの実施形態では、前記灌漑要素は滴下式灌漑要素である。いくつかの実施形態では、前記導管は、その長さに沿って配置されたジオテキスタイルファブリックの層をさらに含む。
【0032】
上記の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態は、図面を参照し、以下の詳細な記載を検討することにより明らかになるであろう。
【0033】
例示的な実施形態が、参照される図に示されている。図に示されている構成要素および特徴部の寸法は、表示の利便性と明確さのために大まかに選択されており、必ずしも原寸に比例して示されているわけではない。各図を以下に列記する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一般的なオープンピット植え付けシステムの図である。
図2A】一実施形態による、植物成長管理のための例示的なシステムの部分的に断面の斜視立面図である。
図2B図2Aのシステムの断面図である。
図3A】一実施形態による、植物成長管理のためのシステムの一セクションの斜視図である。
図3B図3Aのセクションの長手方向断面図である。
図3C図3Aのセクションの概略断面正面図である。
図3D】一実施形態による、植物成長管理のためのシステムの一セクションのための植え付け用延長部を示す。
図4A】一実施形態による、植物成長管理システムの第2の例示的なセクションの斜視図である。
図4B図4Aのセクションの長手方向断面図である。
図5】一実施形態による、植物成長管理のためのシステムの相互接続されたセクションを示す。
図6A】植物成長管理のためのシステムの一セクションの追加の実施形態を示す。
図6B】植物成長管理のためのシステムの一セクションの追加の実施形態を示す。
図7】一実施形態による、植物成長管理のためのシステムの一セクションの灌漑要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書に開示されるのは、都市環境および/または同様の環境における植物成長を管理するためのシステムおよび方法である。いくつかの実施形態では、本発明は、構築された人工的構造物、インフラストラクチャ、および/または縁石、歩道、舗道および/または道路などの同様の耐荷重面の近くの樹木または他の大きな植物および植生に適した成長環境を提供する。
【0036】
多くの都市景観の設計は、多くの場合、例えば街路、舗道および歩道に沿って、これらの特徴物を使用する歩行者が樹木の恩恵を享受できるように、樹木を植えることを必要とする。例えば、図1を参照すると、一般的な都市植樹慣行は、縁石102および道路104などの周囲の耐荷重人工的構造物を支持するための圧密土を含む掘り落とし穴または空洞であり得る一連のオープンピット110を提供する。しかしながら、樹木120などの樹木および同様の大きな植物は、栄養素と水を求めて広範な根系を張り巡らせることに依存している。多くの場合、栄養不足でありかつ汚染されている可能性のある圧密土は、根系の成長および樹木の成長を阻害する。さらに、樹木の大きさ(樹冠の直径と幹の直径の両方)と健全な成長に必要な土壌体積との間には直接的な関係がある。
【0037】
その結果、都市環境内で限られた体積の圧密土内に植えられた樹木は、その全潜在能力まで成長できない可能性があり、時期尚早に枯れてしまうことさえある。さらに、永続的で堅固な配置済みの人工的構造物により、樹木成長空間の容量を維持および拡張することは困難である。場合によっては、成長条件が不十分なために周囲の人工的構造物が破損する可能性もある。例えば、樹木の根は通常、土壌内の比較的浅い領域を占有するが、樹木の滴下線をはるかに越えて外側に広がる場合がある。木が成長するにつれて、適切な成長空間が不足すると、根が人工的構造物の下に伸びて、例えば歩道や道路の座屈や隆起を引き起こす可能性がある。また、根は、人工的構造物の下に延びるユーティリティ配管と干渉する可能性がある。表面下
【0038】
雨水流出の制御は、土壌が圧密化された密集した都市部における別の問題である。雨水を上手く制御することで、雨水を地面に廃棄しながら効率的に排水することができる。密度が高くなると、舗装または建物のために、専ら雨水管理にあてがうことができる領域が減少する。
【0039】
したがって、本発明の潜在的な利点は、適切な土壌成長条件、植物の根の管理、メンテナンスのための簡単なアクセス、および効果的な排水を提供しながら、構築された人工的構造物の近くで樹木および/または他の比較的大きな植物を成長させるための費用効果が高くメンテナンスの少ない解決策を提供することである。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明は、1つまたは複数の植物のための表面下成長空間を提供し得る剛性植物成長エンクロージャを提供する。いくつかの実施形態では、剛性植物成長エンクロージャは、植物の成長に適した組成および/または圧密さの土壌を含み得る適切な内部成長空間を与えながら、エンクロージャの上および周囲にある人工的構造物に十分な構造的支持を提供するように構造的に構成することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明は、複数の植物のための共有された剛性エンクロージャ成長空間を提供し得る。いくつかの実施形態では、本発明は、複数の相互接続する植物成長エンクロージャおよび同様のセクションを備えるモジュール式植物成長システムを提供し得る。いくつかの実施形態では、本発明のモジュール式植物成長システムの各セクションは、長手方向の貫通通路を有しかつモュール式システムの1つまたは複数の他のセクションと相互接続するように構成された細長い本体を含み得る。いくつかの実施形態では、システムのそのようなセクションは、円形、楕円形、馬蹄形、八角形、長方形、または別の断面形状であり得る。いくつかの実施形態では、システムのセクションは、異なるサイズの樹木または他の植物および様々な配備場所に対応するために、様々な長さおよび/または断面積サイズで提供され得る。いくつかの実施形態では、これらのセクションのいくつかは、その長手方向軸に沿って湾曲していてもよい。いくつかの変形例では、これらのセクションのいくつかは、1つまたは複数の地点で、例えば、直角、鋭角、および/または鈍角で曲げられてもよい。いくつかの実施形態において、各セクションは、1つまたは複数の他のセクションと、例えば、エンドツーエンド、エンドツーサイド、および/またはサイドツーサイドで相互接続するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの相互接続のそれぞれは、直角、180度、鋭角、および/または鈍角であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明のモジュール式植物成長システムの複数の相互接続されたセクションは、様々なレイアウトに従って、表面下で、例えば掘られた溝またはトレンチ内に配備するように構成され得る。いくつかの実施形態では、そのようなレイアウトは、直線および/または湾曲経路、周辺レイアウト、円、長方形、Hパターンレイアウト等を含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明のモジュール式植物成長システムの各セクションは、植え付け、根の成長管理、通気、排水、および/またはメンテナンスのためのアクセスを容易にするように構成された複数の開口部および/または穿孔を備えてもよい。いくつかの実施形態において、セクションは、本発明のモジュール式植物成長システム内の異なる機能を果たすために、これらの開口部および/または穿孔の指定された組み合わせに基づく様々な構成で提供され得る。例えば、1つのそのような構成は、1つまたは複数の樹木または他の植物を受け入れて成長させることを意図したセクションを備えてもよい。別の構成は、植物受け入れセクションに相互接続し、例えば、内部成長空間を拡張し、および/またはシステムへのメンテナンスアクセスを提供する働きをするように構成された拡張セクションを備えてもよい。さらに別の例では、いくつかのセクションはこれらの機能の両方を単一のセクションで結合する場合がある。
【0043】
いくつかの実施形態では、各セクションは、表面下に、掘り込まれたトレンチ内に配備され、上および周囲の人工的構造物、ならびに上の歩行者および車両の交通を支えることができる、囲まれた構造的に剛性の成長空間を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、各セクションの一部または全部は、少なくとも10トンの全体的な荷重を支えることができるように構築されてもよい。いくつかの実施形態では、各セクションは、ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、および/または任意の他のタイプのポリオレフィン)、金属(鋳鉄、黒鉄、鋼等)、コンクリートおよび/またはそれらの任意の組み合わせなど、任意の適切な材料で構築され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、セクションの一部または全部は、耐久性、高い強度重量比、および費用対効果の利点を提供し得る波形または同様のリブまたは隆起構造を部分的または全体的に採用してもよい。他の変形例では、材料自体、例えばコンクリートが、各セクションに必要な構造強度と剛性を提供してもよい。
【0045】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、一実施形態による都市の人工的構造物内に配備された例示的なシステム200の斜視立面図および側面断面図を概略的に示す。この実施形態では、システム200は、例えば、相互接続され得る1つまたは複数の植物成長セクション212を含む円筒状連続成長空間を含む。システム200は、表面下に、例えば縁石202および隣接する道路204の下に掘られたトレンチ内に配置することができる。セクション212は、開口部214を通して植えられる樹木220の成長を支えるのに十分な土壌体積を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、システム200は、複数のセクションを含むより大きな連続植物成長システムの一部であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、開口部216(図2Bに示す)などの複数の側面開口部は、樹木220の根に出口を提供するように構成することができる。開口部216は、根の成長を、例えば実質的に水平に制御および誘導し、例えば座屈による周囲の人工的構造物への潜在的な損傷を最小限にするように配置することができる。セクション212の底部の開口部218は、システム200に排水を提供するように構成され得る。
【0047】
図3Aおよび3Bは、それぞれ、本発明の例示的な植物成長セクション300の斜視図および長手方向断面図を示す。いくつかの実施形態では、セクション300は、図2Aおよび2Bのシステム200など、より大きなモジュール式植物成長システムの一部として使用されてもよい。この実施形態のセクション300は、例えば、100cmと800cmの間の長さおよび50cmと300cmの間の内径を有する、剛性の二重壁円筒状波形管として構成される。いくつかの実施形態では、例えば、楕円形、八角形、長方形、馬蹄形、または他の断面プロファイルを有する、様々な形状の他のタイプの管および/または同様の細長い中空本体を使用することができる。細長い本体の断面プロファイルが円形以外の場合、細長い本体の断面周囲は、前記断面周囲内の最大内接円が50cm~300cmの間の直径を有するように寸法決めされる。
【0048】
図3Aおよび3Bに示す実施形態では、セクション300は、円筒状中空通路を画定する内壁と、連続した離間環状リブ304および谷306を有する波形外壁とを有する波形管構造を含む。いくつかの実施形態では、リブ304は、セクション300の周囲に、例えば環状および/または螺旋状に形成され得る。いくつか実施形態では、リブ304のそれぞれは、セクション300の内壁と外壁との間に内部に形成された環状の中空チャネル304aを画定してもよい。いくつかの実施形態では、リブ304は、セクション300の構造的剛性および強度を高めるように構成されてもよい。
【0049】
図3Aおよび3Bに示されるセクション300の構造的形態は、例示的な実施形態に過ぎず、いくつかの変形例では、セクション300は、波形および/または非波形の単層構造などの異なる構造設計、リブ、隆起、および/または同様の特徴部などの異なるおよび/または追加の強化構造要素、および/またはセクション300の様々な部分を構築するために使用される異なる材料を含み得る。
【0050】
引き続き図3Aおよび3Bを参照すると、セクション300は、開口部308など、セクション300の長手方向の上半分の周りに位置する1つまたは複数の貫通開口部を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、開口部308は、セクション300の長手方向および/または横方向の寸法に対して中心に位置づけられてもよい。他の実施形態では、開口部308はセクション300の長手方向の寸法に沿って移動することができ、および/またはセクション300の長手方向の中心線に対して片側にオフセットすることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、開口部308は、円形、楕円形、長方形、または別の形状など、様々な周囲形状であってもよい。いくつかの変形例では、セクション300は、例えばセクション300の全長およびシステム200内のその意図された機能に応じて、潜在的に様々な形状およびサイズの1つより多くの開口部308を備えてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、開口部308は、例えば、それを通る樹木の根球または別の大きな植物を受け入れるための寸法とすることができる。いくつかの実施形態では、各開口部308は、20から160cmの間の直径を有する。いくつかの実施形態では、各開口部308の総開口部面積は、例えば約300から20000cmの間とすることができる。いくつかの実施形態では、セクション300の十分な全体的剛性を維持するために、開口部308の長さ方向の寸法は、セクション300の長手方向中央の3分の1以下に制限されてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、セクション300は、少なくとも2つの根の貫通開口部310をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、根の開口部310は、円形、楕円形、長方形、または別の形状などの様々な周囲形状であり得る。円形バージョンでは、根の開口部310はそれぞれ5から30cmの間の直径を有し得る。他の変形例では、根の開口部310はそれぞれ、約20~700cmの総開口部面積を有し得る。セクション300の概略断面正面図を示す図3Cを参照すると、根の開口部310は、それぞれ大体11:00と1:00の間、および5:00と7:00の間でセクション300の周囲と交差する水平面1、2によって画定される長手方向側部領域A1および/またはA2の周りに配置することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、根の開口部310は、周囲の人工的構造物と干渉しない所望の成長経路に向かって根を向けるように、セクション300内で成長する樹木または植物の根のための出口を提供するように構成され得る。例えば、図2Aおよび2Bに示す実施形態では、根の開口部310(図2Aおよび2B中、符号216として参照される)は、樹木220の根を片側のみに、すなわち、道路204から縁石202の下の領域に向けるように配置することができる。他の実施形態では、根の開口部310は、根を片側または両側に、水平面に対して様々な角度で向けるように構成されてもよい。
【0055】
いくつかの変形例では、セクション300は、例えばセクション300の全長およびシステム200内のその意図される機能に応じて、潜在的に様々な形状およびサイズの3つ以上の根の開口部310を含み得る。例えば、セクション300は、領域A1および/またはA2内の様々なレイアウトで、例えば、領域A1、A2内の異なる高さで、および/または図3Aおよび3Bに示されるように長手方向の列に沿って対で配置された3~10個の根の開口部310を含み得る。いくつかの実施形態では、根の開口部310は、中心間で40cmから120cmの間で間隔を空けられてもよい。他の変形例では、セクション300は、開口の上部列に位置する根の開口部310が下部列に位置する根の開口部310の開口部面積よりも小さい開口部面積を有し得るように構成されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、様々な種類および成長パターンの樹木または植物に対応するために、異なる数の根の開口部310が、領域A1および/またはA2の周りに様々な所望のパターンで配置されてもよい。いくつかの実施形態では、根の開口部310は、例えば、周囲の人工的構造物に対するその意図された配備位置および向きに応じて、セクション300の片側または両側の領域に配置されてもよい。
【0057】
引き続き図3A~3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの排水貫通開口部312。排水開口部312は、それぞれ大体11時30分と6時30分の間、および12時30分と5時30分の間でセクション300の周囲と交差する2つの垂直平面3、4によって画定されるセクション300の長手方向底部領域A3(図3Cに示す)の周りに配置することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、排水開口部312は円形であってもよく、5~25cmの間の半径を有し得る。他の実施形態では、開口部312は、80cmから500cmの間の開口部面積を有し得る。いくつかの実施形態では、開口部312は、セクション300からの水の流出を許容するように構成され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、排水開口部312は、円形、楕円形、長方形、または別の形状など、様々な周囲形状であってもよい。いくつかの変形例では、セクション300は、例えばセクション300の全長およびシステム200内のその意図された機能に応じて、潜在的に様々な形状およびサイズの1つより多くの排水開口部312を含んでもよい。
【0060】
引き続き図3A~3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの通気開口部314が、垂直平面3、4によって画定されるセクション300の長手方向上部領域A4(図3Cに示す)の周りに配置され得る。
【0061】
図3Aおよび3Bに示す変形例では、セクション300は、例えば、通気開口部314、通気シャフト316、および中空チャネル304aを含む通気システムを介して、セクション300の内部の通気を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、通気開口部314はそれぞれ、1~12cmの間の開口部面積を有し得、例えば図3Bに示される通気シャフト316を受け入れて、大気をセクション300の内部に導入するように構成される。
【0062】
例えば、通気開口部314は、大気がその対応する中空チャネル304aに導入され得るように、リブ304の外壁のみを貫通するように、環状リブ304の頂部の周りに配置され得る。いくつかの実施形態では、セクション300の配備の表面下の深さに応じて、周囲大気と通気開口部314との間の空気連通を提供するために、通気シャフト316は少なくとも表面レベルまで延びるように構成され得る。いくつかの実施形態では、図3A~3Bで見ることができるように、大気は、セクション300の上部セグメントが除去されて開口部308が形成された、リブ304の開放端部に導入することもできる。
【0063】
いくつかの実施形態では、通気システムは、セクション300の内壁の周りに位置する複数の穿孔をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、これらの穿孔は、1つまたは複数のリブ304と一致し得る部分的に円周方向の列318に配置されてもよい。したがって、各穿孔列316は、リブの対応する中空チャネル304aとセクション300の内部空間との間に空気流の連通を提供することができ、それにより、通気システムが完成する。
【0064】
いくつかの実施形態では、各穿孔は、1~5cmの間の面積を有し得る。いくつかの実施形態では、穿孔列318は、中心間で1~4cmの間の円周方向寸法で間隔を空けた複数の穿孔を含み得る。いくつかの実施形態では、図3Cを参照すると、穿孔列318は、外側領域A1、A2にそれぞれ対応する内側領域A5、A6のどちらかかまたは両方の内部に配置することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、セクション300は、開口部308の半径と開口部310の半径との間の比が1.5:1~4:1の間であり得るように構成され得る。いくつかの実施形態では、セクション300は、その中の全ての開口部および穿孔の総面積がセクション300の内壁の総表面積の6%~25%の間に等しくなるように構成されてもよい。
【0066】
図3Dを参照すると、いくつかの実施形態では、セクション300は、例えば開口部308から表面レベルまで延びるように構成された植え付け用延長部320を備えてもよい。植え付け用延長部320は、例えばメンテナンス、栄養補給、および/または水やりのために、システム200への表面レベルのアクセスを提供するように構成されてもよい。さらに、植え付け用延長部320は、例えば、回転および/または軸方向の変位に対して、その配備位置内にセクション300を固定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、植え付け用延長部320は、セクション300の最上点から5~60cm延びるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、植え付け用延長部320はセクション300にしっかりと接続されてもよいが、他の変形例では植え付け用延長部320は取り外し可能な植え付け用延長部であってもよい。
【0067】
本発明の植物成長セクション400の別の構成の例示的な実施形態が、図4Aおよび4Bにそれぞれ斜視図および長手方向断面図で示されている。この変形例では、セクション400は、例えば、図3Aおよび3Bに示されるセクション300への延長セクションとして機能するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、セクション400は、セクション300と同様の構造であり得、同様の材料で作製され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、セクション400は、関連する修正を加えて、セクション300と同様の様々な開口部および穿孔のレイアウトを備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、セクション400は、図3A~3Bの開口部308と同様に、セクション400の長手方向の上半分の周りに配置されたメンテナンス貫通開口部408を備えてもよい。開口部408は、開口部308と同様の、またはそれよりも小さい開口部面積を有し得、システム200の複数部分への水やりおよび/またはメンテナンスのためのアクセスを提供し得る。いくつかの実施形態では、開口部408は、円形、楕円形、長方形、または別の形状など、様々な形状であり得る。
【0069】
さらに、いくつかの実施形態では、セクション400は、以下のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。
・セクション300の根の開口部310と同様の寸法および同様の配置の根の開口部410、
・セクション300の排水開口部312と同様の寸法および同様の配置の排水開口部412、
・セクション300の通気開口部316と同様の寸法および同様の配置の通気開口部414、および/または
・セクション300の穿孔列318と同様の寸法および同様の配置の穿孔列416。
【0070】
いくつかの実施形態では、セクション400は、その中の全ての開口部および穿孔の総面積がセクション400の内壁の総表面積の8%~20%に等しくなり得るように構成されてもよい。
【0071】
図5は、一実施形態による植物成長管理のためのシステムの2つの相互接続されたセクション、例えばセクション300および400の概略図である。いくつかの実施形態では、セクション300は、例えば、セクション400をセクション300の端部に挿入できるように、より小さい直径の延長セクション400にエンドツーエンドで結合することができる。他の実施形態では、外側結合スリーブを介したもの、および/または他の方法を含む、2つ以上のセクションの他の結合手段が考慮されてもよい。上述のように、いくつかの実施形態では、セクション300および400は、直角、180度、鋭角、および/または鈍角で、例えば、エンドツーエンド、エンドツーサイド、および/またはサイドツーサイドで互いにおよび/または追加セクションと相互接続するように構成され得る。
【0072】
図6Aおよび6Bは、それぞれ、本発明の例示的な植物成長セクション600の斜視図および正面断面図を示す。いくつかの実施形態では、セクション600は、例えばセクション600内に植えられた植物または樹木を揺らす可能性のある強風によるセクション600の回転および/または軸方向の変位を防ぐために、1つまたは複数の固定および/または安定化手段を使用してもよい。例えば、セクション600は、例えばケーブル624を介してアイフック622に接続されるステーク620によって、地中および/または周囲の人工的構造物に固定するように構成されてもよい。他の実施形態では、セクション600は、セクション600の回転および/または軸方向の変位に抵抗するように周囲の地中に引っ掛かりを得るように構成された1つまたは複数の安定化フィン614を含み得る。さらに他の実施形態において、セクション600は、対応する根の開口部610に、例えば、ねじおよび/または摩擦接続を介してしっかりと接続するように構成された1つまたは複数の延長導管612を含み得る。いくつかの実施形態では、延長導管612は、セクション600の回転および/または軸方向の変位に抵抗するように周囲の地中に延びることができる。
【0073】
図7は、セクション700の長さに沿って内部に配置された任意選択の灌漑導管720をさらに含む本発明の植物成長セクション700の例示的な実施形態を示す。灌漑導管720は、滴下式灌漑要素722などの灌漑要素用の導管を提供するように構成されてもよい。灌漑導管720は、有利には、灌漑要素の詰まりを防ぐために、その長さに沿って配置されたジオテキスタイルファブリックの層を含むことができる。いくつかの実施形態では、灌漑導管720は、上からセクション700内の土壌を灌漑するために、植物成長セクション700の上部内部領域に配置するように構成される。
【0074】
上の記載および実施例は全て、例示の目的で与えられたものであり、決して本発明を限定することを意図するものではないことが理解されよう。本明細書で使用される際、「例えば(for example)」、「例えば(e.g.,)」、「任意選択的に」という用語は、非限定的な例を紹介するために使用されることを意図している。特定の例の構成要素に対して特定の参照がなされるが、他の構成要素も同様に使用でき、および/または例の構成要素はより少ない構成要素に組み合わせることができる、および/またはさらなる構成要素に分割することができる。本出願の記載および特許請求の範囲において、「含む、備える(comprise)」、「含む(include)」および「有する(have)」という単語のそれぞれ、およびそれらの形態は、その単語が関連付けられ得るリスト内のメンバーに必ずしも限定されない。さらに、本出願と参照により組み込まれた文書との間に矛盾がある場合、本出願が支配することがここに書くことによって意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7