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特許7444457静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法
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  • 特許-静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法 図1
  • 特許-静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法 図2
  • 特許-静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法 図3
  • 特許-静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法 図4a
  • 特許-静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法 図4b
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  • 特許-静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】静的鉄道線路構成を用いた鉄道車切替システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B61F 7/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B61F7/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020545056
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 US2018061775
(87)【国際公開番号】W WO2019099984
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】62/588,124
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520169742
【氏名又は名称】ロヒット シングハル
【氏名又は名称原語表記】SINGHAL, Rohit
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】ロヒット シングハル
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ シャルマ
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08950337(US,B1)
【文献】米国特許第03508496(US,A)
【文献】特表2017-519679(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0347330(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 7/00
B61B 3/00,13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路切替機構を備えた輸送システムであって、前記線路切替機構は、
自動推進車を支持する走行線路(101, 103, 501)と、
静的機器のセットを備える切替線路(102, 502)と、
前記自動推進車に取り付けられる切替機構であって、前記切替機構は、作動時に1つ以上の切替車輪(402, 604a, 604b)の移動を制御するように構成され、前記1つ以上の切替車輪(402, 604a, 604b)と前記切替線路(102, 502)との係合を容易にして、前記自動推進車の線路変更操作を実行するように構成される、切替機構と、
を備え、
前記自動推進車が鉄道車両(601, 201)であり、
前記鉄道車両が、走行車輪のセット(401, 603a, 603b)及び前記切替車輪(402, 604a, 604b)を備え、
前記走行車輪のセット(401, 603a, 603b)が、前記鉄道車両に対して一定の高さを有し、前記走行車輪のセット(401, 603a, 603b)が、前記走行線路(101, 103, 501)に係合されるように構成され、
前記鉄道車両が線路を切替しようとするか否かに応じて、前記切替車輪(402, 604a, 604b)が上下方向に伸縮し、
前記切替機構が、前記1つ以上の切替車輪(402, 604a, 604b)と前記切替線路(102, 502)との係合の後に、前記走行車輪(401, 603a, 603b)を係合解除するように構成され、前記切替機構が、前記鉄道車両の所望の目的地に応じて任意に係合されるように構成され、
前記切替線路(102, 502)が、前記走行線路(101, 103, 501)の上方に高架化され、または前記走行線路(101, 103, 501)の水平面に位置し、または前記走行線路の下に位置する、輸送システム。
【請求項2】
前記切替線路(102, 502)の軌間が前記走行線路(101, 103, 501)の軌間と同じである、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記切替線路(102, 502)が前記走行線路(101, 103, 501)の上方に高架化され、前記切替線路(102, 502)の軌間が前記走行線路(101, 103, 501)の軌間と異なる、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記切替線路(102, 502)が前記走行線路(101, 103, 501)の水平面の下に位置し、前記切替線路(102, 502)の軌間が前記走行線路(101, 103, 501)の軌間と異なる、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項5】
前記切替線路(102, 502)が前記走行線路(101, 103, 501)の水平面に位置し、前記切替線路(102, 502)の軌間が前記走行線路(101, 103, 501)の軌間と異なる、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記切替線路(102, 502)は初期には前記走行線路(101, 103, 501)の水平面にあり、前記走行線路(101, 103, 501)上を移動する車両が前記切替線路(102, 502)の下を通過できる水平面まで徐々に上昇する、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項7】
前記切替線路(102, 502)の軌間が前記走行線路(101, 103, 501)の軌間よりも広い、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項8】
前記切替線路(102, 502)が、モノレールおよび平行レールシステムの一方を備える、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項9】
鉄道車両(601, 201)が線路を切り替えることを可能にするための方法であって、前記方法は、
前記鉄道車両(601, 201)を支持する走行線路(101, 103, 501)を提供するステップと、
静的機器のセットを備える切替線路(102, 502)を提供するステップと、
前記切替線路(102, 502)に沿って走行するように配置される1つ以上の切替車輪(402, 604a, 604b)を少なくとも1つのレールコーチに連結するステップと、
前記鉄道車両(601, 201)の前記少なくとも1つのレールコーチに、前記1つ以上の切替車輪(402, 604a, 604b)の移動を制御するように構成される切替機構を取り付けるステップと、
任意に、第1の前記走行線路(101, 103, 501)から前記鉄道車両(601, 201)を係合解除し、前記鉄道車両(601, 201)を第2の前記走行線路(101, 103, 501)と係合させることによって、前記鉄道車両(601, 201)の線路変更操作を実行するために、前記1つ以上の切替車輪(402, 604a, 604b)と前記切替線路との係合を容易にするように前記切替機構を作動させるステップと、
を含む方法であって、
前記鉄道車両が、走行車輪のセット(401, 603a, 603b)及び前記切替車輪(402, 604a, 604b)を備え、
前記鉄道車両(601, 201)の各レールコーチが、前記走行線路(101, 103, 501)に係合されるように構成される走行車輪のセット(401, 603a, 603b)を備え、
前記走行車輪のセット(401, 603a, 603b)が、前記鉄道車両に対して一定の高さを有し、
前記鉄道車両が線路を切替しようとするか否かに応じて、前記切替車輪が上下方向に伸縮し、
前記切替機構を作動させるステップが、前記1つ以上の切替車輪(402, 604a, 604b)と前記切替線路(102, 502)との係合の後に、前記走行車輪(401, 603a, 603b)を係合解除することを含み、
前記切替機構が、前記鉄道車両(601, 201)の所望の目的地に応じて任意に係合されるように構成され、
前記切替線路(102, 502)が、前記走行線路(101, 103, 501)の上方に高架化される、方法。
【請求項10】
前記切替線路(102, 502)が、モノレールおよび平行レールシステムの一方を備える、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本明細書に開示される特許請求の範囲は、米国仮特許出願(出願番号62/588,124、出願日2017年11月17日、発明の名称「SYSTEM AND METHOD FOR SWITCHING RAILCARS USING A STATIC RAIL-TRACK CONFIGURATION」)に関連する優先権から利益を受け、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書の実施形態は、鉄道車両の線路切替のための機構を開示する。本明細書の実施形態は特に、鉄道車両が静的鉄道切替機構を使用して線路を切り替えることを可能にするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
鉄道輸送は、1世紀以上にわたり人気のある搬送手段である。世界のほとんどの国々は、国土を横切る鉄道路線のネットワークを保有している。鉄道車両の線路切替機構は、鉄道運行の最も重要な側面の一つである。これは、鉄道車両が所望の方向へ運行することを可能にするための中核であるからである。
【0004】
従来の鉄道交換システムは、鉄道車両の方向を切り替えるために移動レールを使用する。鉄道切替として知られるこれらの機構は、一方の位置から他方の位置に再構成するのが遅い。低切替速度に対応するために、異なる目的地に運行する複数の鉄道車両の間には大きな距離が維持される。この分離による処理能力の損失を補うために、鉄道車は長い列車に編成される。鉄道車は長い列車を引っ張る強度を有するために、強靭で重くなければならない。重量の大きさから、鉄道は線路に特別な摩耗を引き起こし、その結果、高い建設費および整備費がかかる。さらに、摩耗および結果として生じる整備費の大部分は、移動切替に費やされる。適切な整備の欠如はしばしば事故につながる。
【0005】
上記の問題を緩和するために、鉄道車には、他の方法では受動式鉄道線路に切り替える車載装置および機構が必要である。現在利用可能な車載切替機構は、高価な制御システムを必要とする装置の複雑なコレオグラフィを伴う、非常に複雑な設計を採用している。このことは、システム全体を遅くし、事故を起こしやすくする傾向がある。
【0006】
従って、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にする、複雑でない車載機構が必要とされている。
【0007】
上記の短所、欠点、問題は、本明細書で対処され、以下の明細書を読んで研究することによって理解されるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書における実施形態の主な目的は、鉄道車両の線路切替のための機構を提供することである。
【0009】
本明細書の実施形態の別の目的は、レールまたは線路上の移動機器を使用せずに、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【0010】
本明細書の実施形態の別の目的は、レールまたは線路上の動的機器を使用せずに、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【0011】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、線路の切替が特別に設計される切替線路を介して可能になる鉄道車両用の線路切替機構を提供することである。
【0012】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、切替機構が鉄道車両内の車載システムによって制御される、鉄道車両用の線路切替機構を提供することである。
【0013】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、切替機構が線路の切替を可能にするための1つ以上の切替車輪を備える、鉄道車両用の線路切替機構を提供することである。
【0014】
本明細書の実施形態のこれらおよび他の目的並びに利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から容易に明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書の様々な実施形態は、鉄道車両の線路切替のための機構を提供する。また、様々な実施形態は、鉄道車両がレール内の静的機器のみを使用して線路を切り替えることを可能にするシステムおよび方法を提供する。
【0016】
本明細書に記載される一実施形態によれば、輸送システムのための線路切替機構が開示される。線路切替機構は、自動推進車を支持する走行線路と、静的機器のセットを備える切替線路と、自動推進車の少なくとも1つの車両内に取り付けられる切替機構とを備え、車載切替は1つ以上の切替車輪の移動を制御するように構成され、切替機構は作動するときに切替車輪と切替線路との係合を容易にして、自動推進車のための線路変更操作を実行するように構成される。
【0017】
本明細書の別の実施形態によれば、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にするシステムが開示される。このシステムは、静的機器のセットと、少なくとも1つのレールコーチに取り付けられる切替機構とを備える切替線路を備え、切替機構は1つ以上の切替車輪の移動を制御するように構成され、切替機構は作動するときに1つ以上の切替車輪と切替線路との係合を容易にして、鉄道車両用の線路変更操作を実行するように構成される。
【0018】
本明細書の別の実施形態によれば、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にする方法が開示される。この方法は、静的機器のセットを備える切替線路を提供する工程と、1つ以上の切替車輪を少なくとも1つのレールコーチに結合する工程であって、切替車輪のセットが切替線路に沿って走行するように配置される、工程と、鉄道車両の各レールコーチに切替車輪の動きを制御するように構成される切替機構を取り付ける工程と、任意に、第1走行線路から鉄道車両を係合解除し、鉄道車両を第2走行線路と係合させることによって、鉄道車両用の線路変更操作を実行するために、切替車輪および切替線路の係合を促進するように切替機構を作動させる工程と、を含む。
【0019】
本明細書の実施形態のこれらのおよび他の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて考慮されると、より良く認識され、理解されるだろう。しかし、以下の説明は好ましい実施形態およびその多数の特定の詳細を示すが、例示のために与えられるものであり、限定のためではないことを理解されたい。本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明の実施形態の範囲内で多くの変更および修正を行うことができ、本発明の実施形態は、そのようなすべての修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本明細書の一実施形態による、鉄道車両の線路切替を可能にするための異なる軌間を有する走行線路および切替線路の配置を図示する。
図2】本明細書の一実施形態による、異なる軌間の線路を使用する鉄道車両の線路切替の実施形態を図示する。
図3】本明細書の一実施形態による、鉄道車両を1つの線路から別の線路に切り替えるための合流地点の上面図を図示する。
図4a】本明細書における一実施形態による、走行車輪および切替車輪により可能にされる鉄道車両の底面図を図示する。
図4b】本明細書における一実施形態による、走行車輪および切替車輪により可能にされる鉄道車両の側面図を図示する。
図4c】本明細書における一実施形態による、走行車輪および切替車輪により可能にされる鉄道車両の側面図を図示する。
図5】本明細書の一実施形態による、鉄道車両の線路切替を可能にするための走行線路および切替線路の配置を図示する。
図6】本明細書の一実施形態によって可能になる、鉄道車両用の線路切替を図示する。
【図面の詳細な説明】
【0021】
他の目的、特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の説明および添付の図面から当業者に想起されるだろう。
【0022】
ただし、本明細書の実施形態の特定の特徴はいくつかの図面に示されており、他の図面には示されていない。これは、各特徴が本明細書の実施形態による他の特徴のいずれかまたはすべてと組み合わされる可能性があるため、便宜上でのみ行われる。
【0023】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、実用化可能な特定の実施形態を図示により示す。これらの実施形態は、当業者が本実施形態を実施できるように十分詳細に記載されており、論理的、機械的、およびその他の変更は、実施形態の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0024】
本明細書の様々な実施形態は、鉄道車両の線路切替のための機構を提供する。また、様々な実施形態は、鉄道車両がレール内の静的機器のみを使用して線路を切り替えることを可能にするシステムおよび方法を提供する。
【0025】
本明細書の一実施形態によれば、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にするシステムおよび方法が提供される。このシステムは二重誘導路システムを備える。両誘導路は固定され、物理的、機械的、および電磁的に受動的である。第1誘導システム、すなわち走行線路は、伝統的な平行レールシステムを備える。鉄道車両は一般に、走行線路のネットワーク上を運行する。第2誘導システム、切替線路は、線路ネットワーク上の切替地点の近く、すなわち線路ネットワーク内の端点、または2つの線路が交差する点にのみ設置される構成である。切替線路は、別個のモノレールまたは平行レールシステムを備える。鉄道車両の車載装置は、車両の意図される目的地に応じて、切替線路と係合するように、または係合しないように作動させ得る。一旦係合すると、切替線路は、鉄道車両をある走行線路から円滑に分離して別の走行線路に乗せることにより、鉄道車両用の線路変更機構を制定する。
【0026】
本明細書の一実施形態によれば、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にする機構が提供される。本機構によれば、切替線路は、走行線路の上方およびその上を走行する鉄道車両の上方に高架化されている。鉄道車両が切替地点に接近し、線路を切り替えようとするとき、鉄道車両の1つ以上の切替車輪が作動して切替線路と係合する。切替線路と切替車輪が係合するときに、鉄道車両は切替線路から垂直下方に吊り下げられるようになる。切替線路は鉄道車両を第2走行線路上に誘導し、鉄道車両を第2走行線路上に配置するように設計されている。鉄道車両が切替地点に近づき、線路切替を行わない場合、切替車輪は作動せず、鉄道車両は同じ走行線路を運行し続ける。
【0027】
本明細書の一実施形態によれば、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にするさらに別の機構が提供される。本機構によれば、切替線路は走行線路と同じ水平面にある。切替線路と走行線路の軌間は異なる。切替線路は、走行線路よりも狭くても広くてもよい。分岐切替地点では、切替線路と走行線路が切替地点の前で、ある程度の距離を平行に走り、切替地点を越えて分岐する。合流切替地点では、切替線路および走行線路が切替地点を越えてある距離だけ互いに平行に走る。鉄道車両が切替地点に接近し、線路を切替えようとするとき、1つ以上の切替車輪を含む車載装置が鉄道車両内で作動する。切替車輪は、作動するときに、切替線路に係合するように設計されている。切替線路と切替車輪が係合しているときに、鉄道車両は、主走行車輪を走行線路から離脱させるように設計される。切替線路は、鉄道車両を第2走行線路に誘導し、鉄道車両を第2走行線路上に配置するように設計されている。鉄道車両が切替点に近づき、線路切替を行わない場合、切替車輪は作動せず、鉄道車両は同じ走行線路を運行し続ける。
【0028】
本明細書の一実施形態によれば、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にするさらに別の機構が提供される。本機構によれば、切替線路は走行線路と同じ水平面から始まり、走行線路を運行する車両が切替線路の下を通過できる高さまでゆっくり上昇する。切替線路の軌間は、走行線路より広い。分岐切替地点では、切替線路と走行線路が切替地点の前で、ある程度の距離を平行に走り、切替地点を越えて分岐する。合流切替地点では、切替線路および走行線路が切替地点を越えてある距離だけ互いに平行に走る。鉄道車両が切替地点に接近し、線路を切替えようとするとき、1つ以上の切替車輪を含む車載装置が鉄道車両内で作動する。切替車輪は、作動するときに、切替線路に係合するように設計されている。切替線路と切替車輪が係合しているときに、鉄道車両は、主走行車輪を走行線路から離脱させるように設計される。切替線路は、鉄道車両を第2走行線路に誘導し、鉄道車両を第2走行線路上に配置するように設計されている。鉄道車両が切替点に近づき、線路切替を行わない場合、切替車輪は作動せず、鉄道車両は同じ走行線路を運行し続ける。
【0029】
図1は、鉄道車両の線路切替を可能にするための異なる軌間を有する走行線路および切替線路の配置を図示する。このシステムは、二重誘導システムを有する静的切替を備える。両誘導は機械的に、電磁気的受動的に固定される。第1誘導システムである走行線路101は、伝統的な平行レールシステムを備える。鉄道車両は一般に走行線路上を運行する。第2誘導システムである切替線路102は、線路ネットワーク上の切替地点の近くにのみ設置される構成である。切替線路102は、走行線路とは異なる軌間で平行レールシステムを備える。
【0030】
図2は、異なる軌間の線路を使用する鉄道車両の線路切替の実施形態を図示する。切替線路102は、ある走行線路101から別の走行線路103に鉄道車両を円滑に移動させることにより、鉄道車両に対する線路変更機構として機能する。
【0031】
図3は、鉄道車両を1つの線路から別の線路に切り替えるための合流地点の上面図を図示する。本実施形態は、レールのネットワークの構成単位として機能する。
【0032】
図4aは、本明細書における一実施形態による、走行車輪および切替車輪により可能にされる鉄道車両の底面図を図示する。鉄道車両の各ワゴンには、走行車輪401および切替車輪402のセットが固定されている。
【0033】
図4bおよび図4cは、本明細書における一実施形態による、走行車輪および切替車輪により可能にされる鉄道車両の側面図を示す。走行車輪は、鉄道車両に対して一定の高さを有する。切替車輪は、車両が線路を切替しようとするか否かに応じて、伸縮する。
【0034】
図5は、本明細書における一実施形態による、鉄道車両の線路切替を可能にするための走行線路および切替線路の配置を図示する。このシステムは、二重誘導システムを有する静的切替を備える。両誘導は、機械的、物理的、または受動的な電磁結合を介して固定されている。第1誘導システムである走行線路501は、伝統的な平行レールシステムを備える。鉄道車両は走行線路を運行する。第2誘導システム、切替線路502は、走行線路上の切替地点の近くにのみ配置される構成である。切替線路502はモノレールまたは平行レールシステムを備え、切替線路は走行線路501と比較して高架化されている。切替線路502は、鉄道車両をある走行線路501から別の走行線路に円滑に移動させることによって、鉄道車両に対する線路変更機構として機能する。切替機構は切替えが必要なときに、鉄道車両内の使用者が作動させる。
【0035】
図6は、本明細書の一実施形態によって可能になる、鉄道車両用の線路切替を図示する。このシステムは、走行線路501と、切替線路502と、鉄道車両601とを備える。鉄道車両201は、走行車輪603a、603bと、切替車輪604a、604bとを備える。本機構によれば、切替線路502は、走行線路501およびその上を走行する鉄道車両601の上方に高架化されている。鉄道車両601が切替地点に近づき、線路を切り替えようとするとき、鉄道車両内の使用者は、鉄道車両601内の1つ以上の切替車輪604a、604bを作動させることが可能になる。切替車輪604a、604bは、作動するときに、切替線路502に係合されるように設計される。切替線路502および切替車輪604a、604bが係合されると、鉄道車両601は切替線路502から垂直に吊り下げられる。切替線路502は、鉄道車両601を第2走行線路に誘導し、鉄道車両を第2走行線路上に配置するように設計される。鉄道車両601が切替地点に近づき、線路切替を行わない場合、切替車輪604a、604bは作動せず、鉄道車両601は同じ走行線路を運行し続ける。
【0036】
本明細書の別の実施形態によれば、鉄道車両が線路を切り替えることを可能にする方法が開示される。この方法は、静的機器のセットを備える切替線路を提供する工程と、1つ以上の切替車輪を少なくとも1つのレールコーチに結合する工程であって、切替車輪の組は切替線路に沿って走行するように配置される、工程と、鉄道車両の各レールコーチに切替車輪の動きを制御するように構成される切替機構を取り付ける工程と、任意に、第1走行線路から鉄道車両を係合解除し、鉄道車両を第2走行線路と係合させることによって、鉄道車両用の線路変更動作を実行するために、切替車輪と切替線路との係合を促進するように切替機構を作動させる工程と、を含む。
【0037】
特定の実施形態の前記の説明は、本明細書の実施形態の一般的な性質を十分に明らかにするので、現在の知識を適用することによって、他の実施形態が一般的な概念から逸脱することなく、特定の実施形態などの様々な応用を容易に修正および/または適応させることができ、したがって、そのような適応および修正は、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されるべきであり、そのように意図される。本明細書で使用される語法または用語は説明を目的としたものであり、限定を目的としたものではないことを理解されたい。したがって、本明細書の実施形態を好ましい実施形態に関して説明したが、当業者は本明細書の実施形態を修正して実施できることを認識するだろう。しかし、そのような修正はすべて特許請求の範囲内にあると考えられる。
【0038】
本明細書の実施形態は様々な特定の実施形態で説明されているが、当業者であれば、本明細書の実施形態を修正して実行することは明らかであろう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6