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特許7444468ルータ装置、フィルタ登録プログラム及びフィルタ登録方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ルータ装置、フィルタ登録プログラム及びフィルタ登録方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H04L12/46 E
H04L12/46 100R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021113641
(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公開番号】P2023009950
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】石井 徹
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-036087(JP,A)
【文献】特開2015-159482(JP,A)
【文献】特開2019-153913(JP,A)
【文献】特開2020-017809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機を介して外部領域と通信を行う端末の接続口となるLAN接続部と、
前記外部領域との通信を許可する許可端末のMACアドレスである許可MACアドレスが保持される許可MACアドレスデータベースと、
前記許可MACアドレスに基づき、通常動作モードにおいては前記許可端末ではない未登録端末と前記外部領域との通信を制限し、フィルタ登録モードにおいては前記未登録端末から発せられる特定パケットを通過させるフィルタ処理部と、
前記フィルタ処理部で通信を許可された前記許可端末と前記外部領域との通信パケットの送受信を行うルータ処理部と、
前記特定パケットから前記未登録端末の前記MACアドレスを取得するMACアドレス取得部と、
ユーザが押し下げ可能なボタンスイッチと、
前記ボタンスイッチの押し下げを検出したことに応じて、前記フィルタ処理部を前記通常動作モードから前記フィルタ登録モードに切り替え、前記MACアドレス取得部から受信した前記MACアドレスを前記許可MACアドレスとして前記許可MACアドレスデータベースに記録するフィルタ登録処理部と、を有し、
前記フィルタ登録処理部は、前記許可MACアドレスデータベースに前記許可MACアドレスを新たに追加したことを表示部に表示した後に、前記ボタンスイッチの押し下げ回数に応じて前記許可MACアドレスデータベースに追加した前記許可MACアドレスを取り消すか維持するかのいずれか一方の処理を行うルータ装置。
【請求項2】
前記フィルタ処理部は、前記フィルタ登録モードにおいて、前記許可MACアドレスデータベースを参照して、前記許可端末と前記未登録端末とを判別し、前記未登録端末のうち前記フィルタ登録モードにおいて最初にアクセスしてきた前記未登録端末から送信された前記特定パケットを前記MACアドレス取得部に送信し、その他の前記未登録端末から送信された前記特定パケットを含む通信要求を破棄する請求項1に記載のルータ装置。
【請求項3】
予め決められた処理制限時間を計時するタイマ管理部を有し、
前記タイマ管理部は、前記フィルタ登録処理部が前記ボタンスイッチの押し下げを検出したに応じて前記フィルタ登録処理部が出力する指示に応じて前記処理制限時間の計測を開始し、
前記処理制限時間が経過したこと応じて前記フィルタ登録処理部に前記処理制限時間が経過したことを通知し、
前記フィルタ登録処理部は、前記処理制限時間が経過したことの通知を受けとったことに応じて、前記フィルタ処理部に、動作モードを前記フィルタ登録モードから前記通常動作モードに切り替えることを指示する請求項1又は2記載のルータ装置。
【請求項4】
前記MACアドレス取得部は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)に基づく処理を行うDHCPサーバ、又は、ARP(Address Resolution Protocol)に基づく処理を行うARP処理部である請求項1乃至のいずれか1項に記載のルータ装置。
【請求項5】
自機を介して外部領域と通信を行う端末の接続口となるLAN接続部と、前記外部領域との通信を許可する許可端末のMACアドレスである許可MACアドレスが保持される許可MACアドレスデータベースと、自機のユーザが押し下げ可能なボタンスイッチと、前記許可MACアドレスに基づき、前記許可端末ではない未登録端末と前記外部領域との通信を制限するフィルタ処理部と、を有するルータ装置に内蔵されるプロセッサで実行されるフィルタ登録プログラムであって、
前記ボタンスイッチの押し下げを検出したことに応じて、前記未登録端末から通信要求を遮断する通常動作モードから、前記未登録端末から送信される特定パケットの通信を許可するフィルタ登録モードに、前記フィルタ処理部の動作を移行させるモード切替処理と、
前記フィルタ登録モードにおいて、前記未登録端末のから送信された前記特定パケットから前記MACアドレスを取得して、取得した前記MACアドレスを前記許可MACアドレスとして前記許可MACアドレスデータベースに記録する許可MACアドレス追加処理と、を行い、
前記許可MACアドレス追加処理において、前記許可MACアドレスデータベースに前記許可MACアドレスを新たに追加したことを表示部に表示した後に、前記ボタンスイッチの押し下げ回数に応じて前記許可MACアドレスデータベースに追加した前記許可MACアドレスを取り消すか維持するかのいずれか一方の処理を行うフィルタ登録プログラム。
【請求項6】
自機を介して外部領域と通信を行う端末の接続口となるLAN接続部と、前記外部領域との通信を許可する許可端末のMACアドレスである許可MACアドレスが保持される許可MACアドレスデータベースと、自機のユーザが押し下げ可能なボタンスイッチと、前記許可MACアドレスに基づき、前記許可端末ではない未登録端末と前記外部領域との通信を制限するフィルタ処理部と、を有するルータ装置に内蔵されるプロセッサを用いて行うフィルタ登録方法であって、
前記ボタンスイッチの押し下げを検出したことに応じて、前記未登録端末から通信要求を遮断する通常動作モードから、前記未登録端末から送信される特定パケットの通信を許可するフィルタ登録モードに、前記フィルタ処理部の動作を移行させるモード切替処理と、
前記フィルタ登録モードにおいて、前記未登録端末のから送信された前記特定パケットから前記MACアドレスを取得して、取得した前記MACアドレスを前記許可MACアドレスとして前記許可MACアドレスデータベースに記録する許可MACアドレス追加処理と、を行い、
前記許可MACアドレス追加処理において、前記許可MACアドレスデータベースに前記許可MACアドレスを新たに追加したことを表示部に表示した後に、前記ボタンスイッチの押し下げ回数に応じて前記許可MACアドレスデータベースに追加した前記許可MACアドレスを取り消すか維持するかのいずれか一方の処理を行うフィルタ登録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はルータ装置、フィルタ登録プログラム及びフィルタ登録方法に関し、特にMACアドレスに基づく通信制御を行う機能を有するルータ装置、フィルタ登録プログラム及びフィルタ登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、構内と構外等の異なるネットワーク管理領域にある端末同士が通信を仲介する機器としてルータ装置がある。また、通信を行う機器には、それぞれ機器を一意に定義するMACアドレスが割り当てられている。ルータ装置では、自機が管理するネットワーク管理領域にある端末のMACアドレスに基づき、端末に自機を介した通信を許可するか遮断するかを制御するMACアドレスフィルタリング機能がある。MACアドレスフィルタリングを行うためには、端末が有するMACアドレスを調べて、機器が追加される毎に通信を許可するMACアドレスをルータ装置に入力する必要がある。しかしながら、このMACアドレスのルータ装置への入力は、管理者とって大きな負担であり、またネットワークの知識がない利用者にとっては非常に難しいという問題がある。そこでMACアドレスフィルタリングの設定を簡易に行う技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている通信システムでは、予め定めた時間が経過する前にプローブ要求を受信した場合、MACアドレス抽出部が、アクセスポイントを中継局とする無線LANセグメントに接続された機器から送信されたプローブ要求から、その機器のMACアドレスを抽出し、MACアドレス記憶制御部が、抽出したMACアドレスを設定情報記憶部に記憶されたMACアドレステーブルに格納して登録し、フィルタリング処理部が、MACアドレステーブルに格納されたMACアドレスに従って、MACアドレスフィルタリングを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-261939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のMACアドレスフィルタリングの設定方法では、無線通信特有の通信プロトコルに基づき記憶手段に機器情報を記憶するため、有線通信により接続される機器については対応出来ない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるルータ装置の一態様は、自機を介して外部領域と通信を行う端末の接続口となるLAN接続部と、前記外部領域との通信を許可する許可端末のMACアドレスである許可MACアドレスが保持される許可MACアドレスデータベースと、前記許可MACアドレスに基づき、通常動作モードにおいては前記許可端末ではない未登録端末と前記外部領域との通信を制限し、フィルタ登録モードにおいては前記未登録端末から発せられる特定パケットを通過させるフィルタ処理部と、前記フィルタ処理部で通信を許可された前記許可端末と前記外部領域との通信パケットの送受信を行うルータ処理部と、前記特定パケットから前記未登録端末の前記MACアドレスを取得するMACアドレス取得部と、ユーザが押し下げ可能なボタンスイッチと、前記ボタンスイッチの押し下げを検出したことに応じて、前記フィルタ処理部を前記通常動作モードから前記フィルタ登録モードに切り替え、前記MACアドレス取得部から受信した前記MACアドレスを前記許可MACアドレスとして前記許可MACアドレスデータベースに記録するフィルタ登録処理部と、を有する。
【0007】
本発明にかかるフィルタ登録プログラムの一態様は、自機を介して外部領域と通信を行う端末の接続口となるLAN接続部と、前記外部領域との通信を許可する許可端末のMACアドレスである許可MACアドレスが保持される許可MACアドレスデータベースと、自機のユーザが押し下げ可能なボタンスイッチと、前記許可MACアドレスに基づき、前記許可端末ではない未登録端末と前記外部領域との通信を制限するフィルタ処理部と、を有するルータ装置に内蔵されるプロセッサで実行されるフィルタ登録プログラムであって、前記ボタンスイッチの押し下げを検出したことに応じて、前記未登録端末から通信要求を遮断する通常動作モードから、前記未登録端末から送信される特定パケットの通信を許可するフィルタ登録モードに、前記フィルタ処理部の動作を移行させるモード切替処理と、前記フィルタ登録モードにおいて、前記未登録端末のから送信された前記特定パケットから前記MACアドレスを取得して、取得した前記MACアドレスを前記許可MACアドレスとして前記許可MACアドレスデータベースに記録する許可MACアドレス追加処理と、を行う。
【0008】
本発明にかかるフィルタ登録方法の一態様は、自機を介して外部領域と通信を行う端末の接続口となるLAN接続部と、前記外部領域との通信を許可する許可端末のMACアドレスである許可MACアドレスが保持される許可MACアドレスデータベースと、自機のユーザが押し下げ可能なボタンスイッチと、前記許可MACアドレスに基づき、前記許可端末ではない未登録端末と前記外部領域との通信を制限するフィルタ処理部と、を有するルータ装置に内蔵されるプロセッサを用いて行うフィルタ登録方法であって、前記ボタンスイッチの押し下げを検出したことに応じて、前記未登録端末から通信要求を遮断する通常動作モードから、前記未登録端末から送信される特定パケットの通信を許可するフィルタ登録モードに、前記フィルタ処理部の動作を移行させるモード切替処理と、前記フィルタ登録モードにおいて、前記未登録端末のから送信された前記特定パケットから前記MACアドレスを取得して、取得した前記MACアドレスを前記許可MACアドレスとして前記許可MACアドレスデータベースに記録する許可MACアドレス追加処理と、を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるルータ装置、フィルタ登録プログラム及びフィルタ登録方法によれば、端末の接続形態にかかわらず、自動処理によるMACアドレスフィルタリングの登録を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる通信システムの概略図である。
図2】実施の形態1にかかるルータ装置10のブロック図である。
図3】実施の形態1にかかるルータ装置10の動作を説明するフローチャートである。
図4】実施の形態2にかかるルータ装置10aのブロック図である。
図5】実施の形態2にかかるルータ装置10aの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
また、上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、実施の形態1にかかるルータ装置10が利用される通信システム1について説明する。図1に実施の形態1にかかる通信システム1の概略図を示す。
【0014】
図1に示すように、実施の形態1にかかる通信システム1は、ルータ装置10の配下(ローカルエリア)にある端末が、ルータ装置10を介して、公衆ネットワーク(例えば、グローバルエリア)上にある端末或いはサーバにアクセスする。つまり、ルータ装置10は、ローカルエリアにある機器とグローバルエリアにある機器との通信を中継する。
【0015】
また、図1では、ローカルエリアにパーソナルコンピュータ12、プリンタ13がハブ11を介してルータ装置10に接続される例を示した。パーソナルコンピュータ12とプリンタ13は、ハブ11のルーティング機能により互いに通信可能に接続される。また、パーソナルコンピュータ12、プリンタ13は、ハブ11を介してルータ装置10に接続される。また、ルータ装置10は、ローカルエリアにある機器のうち公衆ネットワークと通信可能な機器を、機器のMAC(Media Access Control)アドレスに基づき制限するMACアドレスフィルタリング機能を有する。そして、実施の形態1にかかる通信システム1では、ローカルエリアに追加端末14を追加する際に、追加端末14がルータ装置10を介して公衆ネットワークと通信可能になるように、追加端末14のMACアドレスを許可されるべき許可MACアドレスとして登録する機能を有する。
【0016】
そこで、ルータ装置10についてより詳細に説明する。図2に実施の形態1にかかるルータ装置10のブロック図を示す。図2に示すように、ルータ装置10は、LAN(Local Area Network)接続部20、フィルタ処理部21、許可MACアドレスデータベース22、MACアドレス取得部(例えば、DHCPサーバ23)、ルータ処理部24、WAN(Wide Area Network)接続部25、フィルタ登録処理部26、タイマ管理部27、ボタンスイッチ28、表示部29を有する。
【0017】
LAN接続部20は、自機を介して外部領域(例えば、グローバルエリア)と通信を行う端末の接続口となる接続ポートである。フィルタ処理部21は、フィルタ登録処理部26からの指示に基づき動作モードを、通常動作モードとフィルタ登録モードとで切り替える。フィルタ処理部21は、許可MACアドレスに基づき、通常動作モードにおいては許可端末ではない未登録端末とグローバルエリアとの通信を制限し、フィルタ登録モードにおいては未登録端末から発せられる特定パケットを通過させる。なお、フィルタ処理部21では通信を遮断する場合、未登録端末から送信された通信要求を破棄する。
【0018】
また、フィルタ処理部21は、フィルタ登録モードにおいて、未登録端末から送信された特定パケットをDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ23に伝達し、伝達したDHCPパケットに応答してDHCPサーバ23から受信したDHCP応答を特定パケットの送信元となった未登録端末に送信する。ここで、実施の形態1では、MACアドレス取得部としてDHCPサーバ23を用いるため、特定パケットとしてはDHCPに準拠したものをフィルタ処理部21が通過させる。また、フィルタ処理部21は、フィルタ登録モードにおいて、許可MACアドレスデータベース22を参照して、許可端末と未登録端末とを判別し、未登録端末のうちフィルタ登録モードにおいて最初にアクセスしてきた未登録端末から送信された特定パケットをDHCPサーバ23に送信し、その他の未登録端末から送信された特定パケットを含む通信要求を破棄する。
【0019】
許可MACアドレスデータベース22は、例えば、不揮発性メモリ等の記憶装置である。許可MACアドレスデータベース22には、グローバルエリアとの通信を許可する許可端末のMACアドレスである許可MACアドレスが保持される。図1に示す例では、パーソナルコンピュータ12のMACアドレスが許可MACアドレスデータベース22に格納される。
【0020】
DHCPサーバ23は、受信したDHCPパケットに応じて、未登録端末において通信に必要なネットワーク接続情報を許可端末に払い出す。このネットワーク接続情報は、例えば、許可端末がグローバルエリアにアクセスする際に問い合わせを行うゲートウェイアドレス等の情報が含まれる。また、DHCPサーバ23は、特定パケットを送信した未登録端末のMACアドレスを特定パケットから取得して、取得したMACアドレスをフィルタ登録処理部26に送信する。
【0021】
ルータ処理部24は、フィルタ処理部21で通信を許可された許可端末とグローバルエリアとの通信パケットの送受信を行う。WAN接続部25は、公衆ネットワークとの通信を中継するモデム等の機器が接続される接続ポートである。
【0022】
フィルタ登録処理部26は、ボタンスイッチ28の押し下げを検出したことに応じて、フィルタ処理部21を通常動作モードからフィルタ登録モードに切り替える。また、フィルタ登録処理部26は、DHCPサーバ23から受信したMACアドレスを許可MACアドレスとして許可MACアドレスデータベースに記録する。また、フィルタ登録処理部26は、許可MACアドレスデータベース22に許可MACアドレスを新たに追加したことを表示部に表示した後に、ボタンスイッチ28の押し下げ回数に応じて許可MACアドレスデータベース22に追加した許可MACアドレスを取り消すか維持するかのいずれか一方の処理を行う。
【0023】
タイマ管理部27は、予め決められた処理制限時間を計時する。より具体的には、タイマ管理部27は、フィルタ登録処理部26がボタンスイッチ28の押し下げを検出したに応じてフィルタ登録処理部26が出力する指示に応じて処理制限時間の計測を開始し、処理制限時間が経過したこと応じてフィルタ登録処理部26に処理制限時間が経過したことを通知する。フィルタ登録処理部26は、処理制限時間が経過したことの通知を受けとったことに応じて、フィルタ処理部21に、動作モードをフィルタ登録モードから通常動作モードに切り替えることを指示する。ボタンスイッチ28は、ルータ装置10の利用者が、例えば、追加端末14に通信許可を与える場合に押し下げる物理ボタンである。表示部29は、フィルタ登録処理中の機器のステイタスの表示、フィルタ登録処理の処理結果の表示を行う。
【0024】
なお、上記で説明した処理ブロックのうち、フィルタ処理部21、DHCPサーバ23、ルータ処理部24、フィルタ登録処理部26、タイマ管理部27については、演算部で実行されるフィルタ登録プログラムにより実現することができる。また、許可MACアドレスデータベース22は、演算部がアクセス可能な不揮発性メモリ等により実現出来る。そして、LAN接続部20、WAN接続部25、ボタンスイッチ28、表示部29については、演算部に接続される個別のハードウェアとして実装される。つまり、ルータ装置10は、演算部においてフィルタ登録プログラムを実行するコンピュータにより実現可能なものである。
【0025】
続いて、実施の形態1にかかるルータ装置10におけるフィルタ登録処理について説明する。そこで、図3に実施の形態1にかかるルータ装置10の動作を説明するフローチャートを示す。ルータ装置10では、起動と同時にフィルタ登録処理プログラムが実行される。そして、図3に示すように、ルータ装置10では、ボタンスイッチ28が押し下げられたことに応じてフィルタ登録処理の具体的な処理が開始される(ステップS1)。なお、ルータ装置10は、ボタンスイッチ28が一定時間の間押し下げられた状態になったことに応じてフィルタ登録処理を開始することが好ましい。このように、ボタンスイッチ28の一定時間以上の押し下げに応じてフィルタ登録処理の具体的な処理を開始することで誤ってフィルタ登録処理が開始されることを防止することができる。
【0026】
フィルタ登録処理が開始されると、まず、フィルタ登録処理部26がルータ装置10の動作モードを通常動作モードからフィルタ登録モードに切り替える(ステップS2)。また、フィルタ登録処理部26は、フィルタ登録処理の開始にあわせてタイマ管理部27へのタイマ時間の設定をする(ステップS3)。具体的には、ステップS3では、フィルタ登録処理部26がタイマ管理部27に計時の開始を指示し、タイマ管理部27に計時開始から予め設定されている処理制限時間が経過するまでの時間を計測させる。
【0027】
その後、フィルタ登録処理部26は、フィルタ処理部21にルータ装置10の動作モードがフィルタ登録モードに切り替わったことを通知し、フィルタ処理部21が通常動作モードからフィルタ登録モードに切り替えるモード切替処理を行う(ステップS4)。これにより、フィルタ処理部21は、アクセスしてくる端末のうち許可MACアドレスデータベース22にMACアドレスが登録されていない未登録端末からの特定パケット(例えば、DHCPパケット)をDHCPサーバ23に通知する。そして、DHCPサーバ23は、DHCPパケットを受信したことに伴い、DHCPパケットを送信した端末のMACアドレスを受信した特定パケットから抽出して、抽出したMACアドレスをフィルタ登録処理部26に通知する。(ステップS5)。なお、タイマ管理部27が計時する処理制限時間内にDHCPサーバ23からフィルタ登録処理部26にMACアドレスの通知がない場合(ステップS5のNOの枝)、ルータ装置10は許可MACアドレスデータベース22に新たな許可MACアドレスを登録することなく処理を終了する。一方、ステップS5でフィルタ登録処理部26がDHCPサーバ23からMACアドレスを受信した場合、フィルタ登録処理部26は、受信したMACアドレスを許可MACアドレスデータベース22に許可MACアドレスとして登録する許可MACアドレス追加処理を行う(ステップS6)。
【0028】
続いて、フィルタ登録処理部26は、MACアドレスの許可MACアドレスデータベース22への追加が完了すると、フィルタ処理部21にフィルタ登録モードの解除を指示する(ステップS7)。これにより、フィルタ処理部21の動作モードは、MACアドレスフィルタリングを行う通常動作モードとなる。また、フィルタ登録処理部26は、フィルタ処理部21の動作モードを通常動作モードに切り替えたことに応じてタイマ管理部27の計時を停止させるタイマ時間のキャンセルを行う(ステップS8)。
【0029】
その後、フィルタ登録処理部26は、表示部29にフィルタ登録処理の結果を表示する(ステップS9)。ここでは、フィルタ登録処理部26は、表示部29に、登録したMACアドレスの表示や、登録処理が成功したか否かを表示する(ステップS9)。そして、フィルタ登録処理部26は、利用者が表示部29を押し下げた回数に応じて登録したMACアドレスを維持するか否かを切り替える(ステップS10)。図3に示す例では、フィルタ登録処理部26は、ボタンスイッチ28の押し下げ回数が1回であれば、登録した許可MACアドレスを維持し、所定の時間内のボタンスイッチ28の押し下げ回数が2回であれば、ステップS6で登録した許可MACアドレスの取消を行う(ステップS11)。その後、登録した許可MACアドレスを維持するか、取り消すかが決定したら、フィルタ登録処理部26は、表示部の表示を初期の表示に戻して、次にボタンスイッチ28が押されるまで処理を待機する状態になる(ステップS12)。
【0030】
上記説明より、実施の形態1にかかるルータ装置10では、ローカルエリアネットワークへの帰属後に端末が送信する特定パケット(例えば、DHCPパケット)を利用して新たにネットワークに帰属した端末のMACアドレスを取得して、取得したMACアドレスを許可MACアドレスとして利用する。これにより、ルータ装置10では、追加端末14が有線でネットワーク接続した場合であっても、無線でネットワークに帰属した場合であっても、その両方の接続形態に対して許可MACアドレスの登録の簡単化を実現することができる。
【0031】
また、ルータ装置10では、フィルタ登録により登録された許可MACアドレスを登録後に表示部29に表示して登録されたMACアドレスの良否判定を行うことができる。そして、登録された許可MACアドレスが不正なものである場合は、ボタンスイッチ28を2度押しするのみでキャンセルすることができるため、ネットワークセキュリティを高めることができる。
【0032】
また、ルータ装置10では、フィルタ登録モードにおいて最初にDHCPパケットを発した端末のみを許可MACアドレスの登録対象とする。これにより、ルータ装置10では、複数の端末が一度に許可対象とされることがなく、利用者の混乱を避けて、ネットワークセキュリティをより高めることができる。
【0033】
また、ルータ装置10では、タイマ管理部27を設けて処理制限時間内に追加端末14からのDHCPパケットの受信がない場合は許可MACアドレスを追加することなくフィルタ登録処理を終了することで不正登録の危険性を低減することができる。
【0034】
実施の形態2
実施の形態2では、MACアドレス取得部の別の例について説明する。そこで、図4に実施の形態2にかかるルータ装置10aのブロック図を示す。図2に示すように、実施の形態2にかかるルータ装置10aは、MACアドレス取得部としてARP処理部33が用いられる。
【0035】
ARP処理部33は、ARP(Address Resolution Protocol)コマンドに基づく処理を行う。ARPコマンドは、IPアドレスからMACアドレスの情報を得られるプロトコルである。LANに接続された機器間で通信するためには、IPパケットの下位のレイヤでL2ヘッダが付加された上で伝送されるため、MACアドレスの情報が必要となる。しかし、これらのIPアドレスとMACアドレスは自動的な関連づけがないので、ARPコマンドにより端末のMACアドレスを得る。ARP処理部33は、追加端末14が発したARPコマンドに対して応答を返すが、この応答時に追加端末14のMACアドレスを得るものである。つまり、MACアドレス取得部としてARP処理部33を用いた場合、特定パケットは、このARPパケットに置き換えられる。このように、追加端末14のMACアドレスを取得可能な特定パケットは、DHCPパケットに限られないが、フィルタ処理部21がフィルタ登録モードのときに通過させるパケットを予め決められた特定のものに限定することで、許可MACアドレスとして登録する端末に不正な端末が紛れ込むことをより防ぐことができる。
【0036】
ここで、実施の形態2にかかるルータ装置10aの動作について説明する。図5に実施の形態2にかかるルータ装置10の動作を説明するフローチャートを示す。図5に示すように、ルータ装置10aの動作は、図3のステップS5のDHCP処理をARP処理部33によるMACアドレス取得処理(ステップS25)に変更したものである。なお、ルータ装置10においてもフィルタ処理部21をフィルタ登録モードにしなければ、追加対象の追加端末14とARP処理部33との通信が行えないためステップS4のフィルタ処理部21の動作モードの切り替えが必要である。
【0037】
つまり、MACアドレス取得部としては、追加端末14がローカルエリアネットワークに帰属後に追加端末14とルータ装置との間で送受信されるパケットや情報から追加端末14のMACアドレスを取得するものであれば、実施の形態で説明した構成要素以外でも利用可能である。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 通信システム
10 ルータ装置
11 ハブ
12 パーソナルコンピュータ
13 プリンタ
14 追加端末
20 LAN接続部
21 フィルタ処理部
22 許可MACアドレスデータベース
23 DHCPサーバ
24 ルータ処理部
25 WAN接続部
26 フィルタ登録処理部
27 タイマ管理部
28 ボタンスイッチ
29 表示部
33 ARP処理部
図1
図2
図3
図4
図5