(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】カソードルミネッセンス電子顕微鏡
(51)【国際特許分類】
H01J 37/141 20060101AFI20240228BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20240228BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20240228BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01J37/141 Z
G02B21/00
H01J37/20 E
H01J37/244
(21)【出願番号】P 2021566583
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020063093
(87)【国際公開番号】W WO2020225453
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-05-10
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520316771
【氏名又は名称】アットライト エージー
【氏名又は名称原語表記】Attolight AG
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】バーニー,ジャン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-98891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37
G02B 21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に入口開口及び下面に出口開口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に半径方向に配置された電磁コイルと、
前記ハウジング内に配置され、第1軸方向の開口を有する凹面鏡及び第2軸方向の開口を有する凸面鏡を備えた集光光学素子と、
前記ハウジング内に配置され、第1セットの偏向器及び該第1セットの偏向器の下方に配置された第2セットの偏向器を備える電子ビーム偏向器とを含み、
前記第2セットの偏向器は、前記第1軸方向の開口から前記電磁コイルの焦点まで延びる仮想円錐によって定義される領域内に配置されている、電磁対物レンズ。
【請求項2】
前記第2セットの偏向器は、少なくとも部分的に前記第2軸方向の開口内に配置されている、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項3】
前記第2セットの偏向器は、前記凸面鏡の下方に配置されている、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項4】
前記第2セットの偏向器は、前記凸面鏡の障害物の円錐内に配置されている、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項5】
前記第1セットの偏向器は、少なくとも部分的に前記第1軸方向の開口内に配置されている、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項6】
前記第2セットの偏向器は、少なくとも部分的に前記第2軸方向の開口内に配置されている、請求項5に記載の電磁対物レンズ。
【請求項7】
前記第2セットの偏向器は、前記凸面鏡の下方に配置されている、請求項5に記載の電磁対物レンズ。
【請求項8】
前記第1セットの偏向器及び前記第2セットの偏向器は、四極子又は八極子のいずれかをそれぞれ含む、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項9】
前記集光光学素子は、シュバルツシルト反射対物レンズを含む、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項10】
前記集光光学素子は、球面収差で無限遠補正された反射対物レンズを含む、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項11】
前記電磁対物レンズ内に配置されるスティグメータをさらに含む、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項12】
前記凸面鏡を前記凹面鏡に機械的に取り付けるコネクタをさらに含む、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項13】
前記集光光学素子の焦点及び前記凸面鏡の外径で定義される立体角が、前記集光光学素子の焦点及び前記凹面鏡の外径で定義される立体角よりも少なくとも0.3ステラジアン小さい、請求項1に記載の電磁対物レンズ。
【請求項14】
サンプルホルダーと、
前記サンプルホルダーに配置されたサンプルに電子ビームを照射するための電子カラムと、
前記電子カラムからの光ビームを受ける光撮像素子と含み、
前記電子カラムは、
真空筐体と、
電子源と、
上面に入口開口及び底面に出口開口を有するハウジングを含む、前記真空筐体内に配置された電磁対物レンズと、
前記ハウジング内に半径方向に配置された電磁コイルと、
前記ハウジング内に配置され、第1軸方向の開口を有する凹面鏡及び第2軸方向の開口を有する凸面鏡とを備えた対物レンズと、
前記ハウジング内に配置され、第1セットの偏向器及び該第1セットの偏向器の下方に配置された第2セットの偏向器を備えた電子ビーム偏向器とを含み、
前記第2セットの偏向器は、第1軸方向の開口の下方に配置され、
前記第1セットの偏向器は、前記第2偏向器の上方に配置されている、走査型電子顕微鏡。
【請求項15】
前記光撮像素子は、前記真空筐体の外側に配置された結像モノクロメータと、前記結像モノクロメータからの光を受けるように配置された光センサとを含む、請求項14に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項16】
前記サンプルホルダーは、極低温ステージを含む、請求項15に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項17】
前記電子源は、パルス電子源を含む、請求項16に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項18】
前記第1セットの偏向器は、少なくとも部分的に前記第1軸方向の開口内に配置されている、請求項14に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項19】
前記第2セットの偏向器は、少なくとも部分的に前記第2軸方向の開口内に配置されている、請求項18に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項20】
前記第2セットの偏向器は、前記第1軸方向の開口から前記電磁コイルの焦点まで延びる仮想円錐によって定義される領域内に配置されている、請求項14に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項21】
前記凸面鏡を前記凹面鏡に機械的に取り付けるコネクタをさらに含む、請求項14に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項22】
前記集光光学素子の焦点及び前記凸面鏡の外径で定義される立体角は、前記集光光学素子の焦点及び前記凹面鏡の外径で定義される立体角よりも少なくとも0.3ステラジアン小さい、請求項14に記載の電磁対物レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年5月9日に出願された米国仮出願第62/845,722号の優先権の利益を主張し、その開示のすべてが参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、電磁レンズを含む走査型電子顕微鏡に関するものである。特に、排他的ではないが、カソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡に関するものである。同様に、本発明は、当該顕微鏡の測定配置及び操作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電子顕微鏡は、光学顕微鏡とは対照的に、加速された電子を照明源として使用する顕微鏡である。電子の波長が可視光の光子の波長よりも10万倍も短いため、電子顕微鏡は光学顕微鏡よりも高い解像力をもち、より小さな物体の構造を明らかにし得る。
【0004】
走査型電子顕微鏡(SEM)は電子顕微鏡の一種であり、集束した電子ビームでサンプルを走査することで試料の画像を得る。電子は、サンプル中の原子と相互作用して、サンプルの表面形状、構造及び組成に関する情報を含む検出可能な様々な信号を生成する。電子ビームは通常、ラスタースキャンパターンで走査されるが、他の走査技術を用いてもよく、ビームの位置と検出された信号を組み合わせて画像を生成する。SEMでは、1ナノメートル以上の分解能が得られ得る。SEMで発生する信号には、二次電子(SE)、反射電子(BSE)、特性X線、光(カソードルミネッセンス、CL)、試料電流及び透過電子(TEM)などがある。
【0005】
電子衝撃時に試料に放射される光は、カソードルミネッセンスと呼ばれる。カソードルミネッセンス測定は、走査型電子顕微鏡において、電子顕微鏡の高集束電子ビームプローブを試料の表面上で走査し、試料上の電子ビーム位置の関数としてカソードルミネッセンス信号強度を記録することによって行われ得る。カソードルミネッセンスマップを生成されてもよく、これは光学顕微鏡で得られる広視野の光学像よりも高解像度の分光情報を提供する。
【0006】
通常、電子顕微鏡のアライメントは二次電子モードで行われる。このモードでは、試料の電子衝撃時に抽出された電子(二次電子)の強度が、電子プローブ位置の関数として記録される。二次電子マップのコントラストは、ほとんどの場合、試料の表面モフォロジーに関連している。二次電子マップは、リアルタイムで生成され得、電子顕微鏡のプローブサイズを最小化するために使用され得る。カソードルミネッセンスマップは、プローブサイズを最小化した後に測定するのが好ましい。
【0007】
今日、ほとんどの市販のカソードルミネッセンス測定ソリューションは、既存の電子顕微鏡へのサードパーティのアドオンである。これらは、少なくとも集光手段及び光検出器で構成されている。
図1は、従来の電子顕微鏡の断面の一部を概略的に示したものである。光ビーム4を方向転換するための集光光学系3の第1要素は、通常、放物線状又は楕円状の反射器(ミラー)であり、電子対物レンズとして知られる電子光学カラムの最後の電磁レンズ5と、試料7としても知られるサンプル7との間に挿入される。集光光学系は、電子ビーム9が通過するための中央開口を含んでいる。放物面鏡3の焦点は、サンプル上の電子ビームの焦点と一致する。このようなシステムの欠点は、3つある。
【0008】
まず、高い反射率、良好な波面均一性、大きな視野及び良好な機械的安定性など、良好な光学的及び機械的性能を維持するためには、反射鏡3は大きくなければならない。反射鏡が大きければ大きいほど、作動距離、すなわちサンプル7と電子顕微鏡の最後のレンズ5との間の距離が大きくなる。しかしながら、電子光学系では、より短い作動距離(数ミリメートル)でより小さな電子ビームプローブを実現している。したがって、電子ビームプローブのサイズを小さくすることと、カソードルミネッセンス検出の光学的及び機械的性能を良好にすることとの間で、トレードオフを見出す必要がある。
【0009】
第二に、反射鏡3は、二次電子を抽出する役割を果たす電界を遮蔽又は遮断し、それによって二次電子の最適な収集を妨げる。これにより、二次電子モードでのS/N比が低下し、電子プローブサイズの最適化が困難になり、達成可能な最高の空間分解能が劣化する。
【0010】
第三に、一般的なカソードルミネッセンス集光システムで使用されている放物面鏡/楕円反射鏡の視野は、数マイクロメートルに制限されている。視野とは、光を失うことなく検出器に結像化され得る反射鏡の焦点周辺領域のことである。したがって、光を失うことなくカソードルミネッセンスマップを取得するためには、サンプルを焦点位置に正確に配置し、電子プローブが反射鏡の視野内でサンプルを走査する必要がある。しかしながら、試料を反射鏡の焦点位置に配置し、同時に電子プローブが最適なサイズで正しい範囲を走査するようにすることは非常に難しいことである。これは、試料が大量の光を発している場合にのみ実行可能である。実際には、このような繰り返し作業は適切に行われ得ず、収集効率が低下してしまう。中及び大面積(数マイクロメートル以上)のスキャンでは、集光効率の著しい不均一性(ケラレ)に悩まされ、定量的なカソードルミネッセンスマップが作成され得ない。
【0011】
上述の問題のほとんどは、
図2に概略的に示されているように、1つの凹面鏡、1つの凸面鏡及び1つの平面鏡を含む複合反射対物レンズを使用することで解決され得る。これは、電子ビームプローブ顕微鏡の分野では既知の解決策であり、反射対物レンズは、試料の表面を結像化するために使用される。ほとんどの実施例では、カセグレン式反射対物レンズが使用されている。カセグレン式反射対物レンズは、単一の放物面鏡又は楕円鏡よりもはるかに広い視野を提供するように配置された2つの球面鏡で構成されている。大きな凹面球面鏡M1を試料の上に配置し、試料からの光をサンプルとM1の間に配置された小さな凸面球面鏡M2に向けて反射させる。ミラーM2は、電磁対物レンズ5の光軸に沿って光を方向転換するように配置され、平面ミラーM3は、光ビームを出力に向けて方向転換する。3つのミラーM1、M2及びM3はすべて、電子ビームが遮られないように、電子ビーム経路を通過させるための穴を備えている。
【0012】
カセグレン式反射対物レンズの作動距離は大きいため、電子顕微鏡の電子対物レンズ5内に収まり得る。視野は重要であり(通常、数百マイクロメートル)、この配置は光学顕微鏡の対物レンズとして使用され得る。電子対物レンズの下方にはミラーがないため、二次電子が遮蔽されず、高い空間分解能(小さな電子プローブサイズ)に到達するために必要なだけ作動距離が短くされ得る。
【0013】
しかしながら、この解決策は、明るい光源で照らされたサンプルを結像化するために主に使われてきた。1秒間又は1分間に数個のフォトンしか放出されないような弱いカソードルミネッセンス信号の測定には適していなかった。そのため、現在使用されている反射対物レンズの開口数(NA)は低く(通常0.3以下)、低光度条件での高い収集効率には適していない。特に、走査型電子顕微鏡の電子対物レンズ内に高開口数の反射対物レンズ(NA>0.4)を埋め込み、広い試料領域を走査する能力を維持する方法は開示されていない。
【0014】
集光を粒子ビームカラムに組み込んだシステムのさらなる開示については、読者は米国特許第3,845,305号明細書、米国特許出願公開第2013/0335817号及び第2019/0103248号明細書、並びに仏国特許出願公開第2173436号明細書を参照されたい。これらの開示によって解決が試みられた問題の1つは、短い作動距離を可能にするために、様々な粒子及び光光学素子のすべてを小さな領域に組み込む方法である。例えば、米国特許出願公開第2019/0103248号明細書及び仏国特許出願公開第2173436号明細書では、光学素子を電磁素子の下方に配置している。しかしながら、これは比較的大きな作動距離をもたらし、ビーム内の電子の相互反発によるビーム拡大を可能にする。
【発明の概要】
【0015】
本開示の以下の概要は、本発明のいくつかの様態及び特徴の基本的な理解を提供するために含まれる。この概要は、本発明の広範な概要ではなく、そのようなものとして、本発明の主要又は重要な要素を特に特定すること、又は本発明の範囲を明確にすることを意図していない。その唯一の目的は、以下に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化して提示することである。
【0016】
本発明の目的は、走査型電子顕微鏡に関する上記問題を克服することである。特に、本発明の目的は、空間分解能、視野などの電子顕微鏡の性能を低下させることなく、走査型電子顕微鏡の電磁電子対物レンズ内に高開口数の反射対物レンズを組み込み得る方法を示すことである。
【0017】
開示された様態によれば、一体化された定量的カソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡が設けられ、光学素子は電磁光学素子によって占められる空間内に同軸に配置される。
【0018】
開示された実施形態では、集光ミラーは、電子カラムの電磁対物レンズ内に配置される。各集光ミラーは、電子ビームの通過を可能にするための中央開口を有する。ビーム走査素子も電磁対物レンズ内に配置される。ビーム走査素子は、集光を妨げないように集光ミラーの「影」内に配置されている。場合によっては、ビーム走査素子の一部又は全部が少なくとも部分的に集光ミラーの一方又は両方の開口内に配置されてもよい。
【0019】
開示された実施形態は、電子ビーム偏向手段(ビーム走査素子)をサンプルの非常に近くに配置し得るため、従来の走査型電子顕微鏡に比べて走査面積を大きくすることができるという点で有利である。また、ビーム走査素子が顕微鏡内に配置されているため、光の障害物が増えることもない。電子ビームが、電磁対物レンズの光軸と発生磁場が最大となる位置の中心を通るようにすることで、サンプルの走査による光学収差を最小限に抑え得る。
【0020】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、本明細書とともに、本発明の原理を説明し、図示する役割を果たす。図面は、例示的な実施形態の主要な特徴を図式的に説明することを意図している。図面は、実際の実施形態のすべての特徴や、描かれた要素の相対的な寸法を描くことを意図しておらず、縮尺に合わせて描かれていない。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来技術による電子顕微鏡の下部の概略断面図である。
【
図2】従来技術による別の電子顕微鏡の下部の概略断面図である。
【
図3】一実施形態に係るカソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡の下部の概略断面図である。
【
図4】一実施形態に係る一体化された定量カソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡の断面図である。
【
図5】
図5a及び
図5bは、電子ビーム偏向器の効果を示す走査型電子顕微鏡の下部の簡略化された概略断面図である。
【
図6】
図6a~
図6dは、本発明に係る走査型電子顕微鏡で使用される反射対物レンズの様々な形状を示す概略図である。
【
図7】本発明の別の実施形態に係るカソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡の下部の概略断面図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る走査型電子顕微鏡の操作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のいくつかの実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に以下に説明する。異なる図面に現れる同一の機能的及び構造的要素には、同じ参照数字が割り当てられている。
【0024】
本発明のカソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡の実施形態について、図面を参照しながら説明する。異なる実施形態又はそれらの組み合わせは、異なる用途に使用されてもよく、異なる利益を達成するために使用されてもよい。達成しようとする結果に応じて、本明細書に開示された様々な特徴は、部分的に又は最大限に、単独で又は他の特徴と組み合わせて利用して、利点を要件及び制約とのバランスを取ってもよい。したがって、特定の利点は、異なる実施形態を参照して強調されるが、開示された実施形態に限定されない。すなわち、本明細書に開示された特徴は、それらが記載された実施形態に限定されるものではなく、他の特徴と「混合及び適合」され、本明細書に明示的に記載されていなくても、他の実施形態に組み込まれ得る。
【0025】
図3は、カソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡の下部を、サンプル又は試料7とともに示す断面図である。
図4は、同様の顕微鏡の下部を断面図で示したものである。
図4に示すように、顕微鏡は、一般に、真空筐体10内に収容される電子カラム41、及び大気環境にある撮像素子42を含む。
図4に示す一体型顕微鏡は、電子ビーム像、光ビーム像、カソードルミネッセンス(CL)像、及びCL分光像を生成し得る。結像化されたCL発光は、ナノスケールでのサンプル材料の構造及び品質と相関性があり得る。CLデータは、他の撮像モードでは見えない材料の応力、不純物、結晶学的欠陥、表面下の欠陥を明らかにし得る。重要なことに、CL像はサンプルを検査する非破壊な方法であるということである。
【0026】
電子カラムは、電子を放出する熱電子源又は電界放出源などの電子源1を含む。放出された電子は、電磁レンズ5’、電磁対物レンズ5、及び開口ディスク(絞りと呼ばれることもある)6などの様々な粒子光学素子によって電子ビーム9に形成される。なお、開口ディスク6は、電位を印加することで静電レンズとして機能するものであってもよい。
図4において、パルス2は、この例では電子源1からの電子放出がパルスで行われることを示しているが、必ずしもそうではない。例えば、連続的に発光させてもよく、シャッターを用いて断続的に発光させてもよい。
【0027】
単に電磁対物レンズとも呼ばれる電磁対物レンズ5は、
図3により詳細に示されている。既知の方法で、コイル11は、磁場、この図では電磁対物レンズ5の光軸z(
図6a~
図6d)の高さで実質的に水平な磁場を生成するために設けられている。磁場の大部分は、出力又は出口開口13の高さに位置していてもよく、レンズと試料の間の領域の外側にあってもよい。電磁対物レンズ5は厚いレンズであるとみなされてもよいため、第1主面及び第2主面を有する。
図3の説明では、第1主面が上側の面、第2主面が下側の面となる。この構成では、電子ビームが偏向されるのは第2主面であり、言い換えれば、電子ビームの集束が行われるのは第2主面であるといえる。以下の説明では、磁場の大部分は、第2主面と電磁対物レンズ5の光軸との交点に位置すると仮定している。この交点は、後に説明するように、サンプル7と第1偏向器17の下端との間の軸方向に位置する。
【0028】
磁場の目的は、サンプル7の表面に焦点を合わせ得る集束電子ビーム9を生成することである。この例では、電子エミッタ1によって生成された電子ビーム9は、図の上部から下部に向かって伝播する。電子ビームのスパンは、レンズ5’などのコンデンサ手段によって変更されてもよく、それによって発散、コリメート又は集束化し得る。コンデンサ手段は、電子エミッタの下方に配置されてもよい。電子ビームは、通常、数ミリメートルの範囲、例えば、2mm~3mmの範囲の幅を有する。
【0029】
電磁対物レンズ5は、その光軸に沿って回転対称であってもよく、これは電子ビーム9の経路と基本的に一致する。電磁対物レンズ5は、後に説明するように、その中心を横切る有限又は無限の距離にある電子源1から発せられた電子ビーム(平行ビーム)が焦点面に集束するように設計されている。焦点面の位置、より具体的にはサンプルからの高さは、電磁対物レンズ5を流れる磁場の強度を変化させることで調整し得るが、電磁対物レンズ5の中心から約5mm下方に焦点面を配置したときに、最小のプローブサイズが得られるように最適化されている。
【0030】
レンズ5は、電子ビーム9が通過し得るようにその光軸に沿って中空の内部を有する。この中空部(通路又は隙間)は、後で説明するように、サンプル7から放射された又は反射された光があまり妨げられることなく通過し得るように十分に広い。良好な電子光学性能を維持するためには、電磁対物レンズ5の出力開口13をできるだけ小さくすることが好ましいので、作動距離が小さく留まるようにシステムを構築することが好ましい。
【0031】
図からわかるように、サンプル7の表面を結像化するために、電磁対物レンズ5内に反射対物レンズが設けられている。この例では、シュワルツシルト反射対物レンズが使用されている。シュワルツシルト対物レンズは、2つの鏡面反射対物レンズであって、光軸z(本質的には電子ビームの経路と一致する、
図6a~
図6dを参照)を中心に回転対称であり、無収差で無限遠補正されている。幾何光学の文脈では、光軸に平行に対物レンズに入るすべての光線が同じ焦点に集束して回折限界点を形成するか、又は逆に焦点から放射され対物レンズを通過するすべての光線がその光軸に平行な光線の束、又は等価的にコリメートされた出力ビームを形成する場合に、対物レンズは無限遠補正される。電磁対物レンズ5と反射対物レンズは、同じ焦点面を有していてもよい。
【0032】
対物レンズは、アッベの正弦法則及びラグランジュの条件(フェルマーの原理とも呼ばれる)の両方を満たす場合、無収差である。無限遠補正された対物レンズの場合、アッベの正弦法則は、焦点を通過し、光軸と角度αをなす光線は、光軸に平行でかつ光軸から距離y’だけ離れて対物レンズを出るというもので、y’=m×sin(α)(mは実数の定数)となる。この法則は、少なくとも焦点付近で満たされるべきである。無限遠補正された対物レンズの場合、ラグランジュの条件は、焦点及びコリメート光ビーム内に光軸に対して直交して配置された平面の間の光線が従う光路が角度αの値に関わらず一定であることを述べる。
【0033】
無収差対物レンズの利点は、光学収差の理論を使用して評価し得る点である。収差は、結像光学システムの理想からのずれを表す。理想的な結像光学システムは、(1)非点収差的及び(2)非色収差的である。つまり、(1)光学システムから有限又は無限の距離にあり、光学システムによって結像される点の像は、点(又はより正確には光の回折によってサイズが制限されるスポット)であり、(2)像点の位置は光の波長に依存しない。光学システムの結像特性に対する収差の影響は、点物体の回折限界像を変形させることである。(とりわけ)単色収差を記述する方法は、Seidelによって開発された。ここで、収差は、それらの相対的な重要性(奇数の累乗項として)及び結像光学システムを介した点光源の像に対するそれらの影響に従って分類される。べき級数の3次項は、球面及びコマ収差、非点収差、像面湾曲、並びに歪みなどの最も基本的な収差(3次収差として知られている)を表す。
【0034】
無収差対物レンズは、球面及びコマ収差を補正する。球面収差は、点物体の軸上又は軸外の位置に関係なく、点物体の像に影響を与える。ここで、軸上及び軸外とは、光軸上にある物体から放射された光線、及び光軸から離れた位置にある物体から放射された光線とそれぞれ理解するべきである。球面収差の影響を受けた対物レンズは、入射光線が光軸となす角度に応じて、光軸と平行な軸に沿った様々な位置に入射光線の焦点を合わせる。これにより、球面収差が無い場合の回折限界の像のスポットサイズからのずれが生じる。コマ収差は、点物体が軸外にある場合、点物体の像に影響を与える。コマ収差の影響を受ける対物レンズは、入射光線が光軸となす角度及び光軸に対する点物体の位置に応じて、光軸に対して垂直な平面内の様々な位置に入射光線の焦点を合わせる。コマ収差は、コマ収差が無い場合の回折限界の円対称スポットをコマ状スポットに変換する。
【0035】
無限遠補正対物レンズを扱うことには利点がある。第一に、対物レンズを出る光線は光軸に平行であるため、例えば別のレンズを追加した場合、光軸に沿った任意の軸方向の距離で物体の像を形成し得る。第二に、像の位置を変えることなく、プレート、偏光板、空間フィルター及び分光フィルターなどの光学素子を追加することが可能である。シュワルツシルト反射対物レンズは、焦点位置で所望の光学特性を有するように計算される。また、無収差であり、つまり焦点から離れてもこれらの特性が大きく変化しない。つまり、焦点面内の点から軸外に放射された光は、ほぼコリメートされた出力ビームを生成する。逆に、比較的大きな角度(最大数度)で対物レンズに入射する平行ビームは、焦点面に比較的小さな(回折限界に近い)スポットを形成する。
【0036】
本発明の教示は、非無限遠補正反射対物レンズを使用する場合にも適用可能であることに留意されたい。例えば、電磁対物レンズは、物事に焦点を合わせる後焦点面を備えたシュワルツシルト対物レンズと非常に相性が良いだろう。
【0037】
図3及び
図4からわかるように、電磁対物レンズ5内の反射対物レンズは、この例では球面凹状の主鏡とも呼ばれる第1ミラーM1と、この例では球面凸状の副鏡とも呼ばれる第2ミラーM2とを含む。第1ミラーM1の直径は、第2ミラーM2の直径よりも大きい。第1ミラーM1は、第2ミラーM2の上方に配置され、電子ビーム9がサンプル7の表面に当たった結果としてサンプルから来る光を反射し、当該サンプル及び第1ミラーM1の間に配置された第2ミラーM2に光を向ける。第2ミラーM2は、電磁対物レンズの光軸に沿って(
図3では上向きに)光を方向転換するように配置され、この例では平面の第3ミラーM3は、
図4に示すように、光ビーム4を出力に向けて方向転換するように配置されている。この例では、第3ミラーM3は、電子ビーム9の軸に対して45°の角度を有し、真空筐体10の外に光を向けるために使用される。3つのミラーM1、M2及びM3はすべて、電子ビームが妨害されないように、電子ビーム経路に沿って開口又は開口部を有している。
【0038】
図3及び
図4に示された顕微鏡はまた、第1偏向器要素又は単に第1偏向器17と呼ばれる第1電子ビーム偏向手段17と、第2偏向器要素又は単に第2偏向器15と呼ばれる第2電子ビーム偏向手段15とを備えている。見てわかるように、
図3及び
図4に示された第1実施形態では、第1偏向器17は、少なくとも部分的に第2ミラーM2の開口内に配置されており、一方、第2偏向器15は、少なくとも部分的に第1ミラーM1の開口内に配置されている。言い換えれば、第1偏向器17は、第2ミラーM2の開口から半径方向内側に位置し、その開口と少なくとも部分的に軸方向に一致しており、一方、第2偏向器15は、第1ミラーM1の開口から半径方向内側に位置し、その開口と少なくとも部分的に軸方向に一致している。偏向器15、17は、電子ビーム9又は反射光ビームの伝播を妨げないように配置されている。
【0039】
各偏向器は、例えば、電極とも呼ばれる4つの長手方向の電気伝導体(四極子)から構成されていてもよい。また、4つの磁気コイル(磁気偏向器)で構成されていてもよい。しかしながら、電極や磁極の数は4つとは異なる可能性もある。例えば、電子ビームの非点収差も補正できるように、4つではなく8つの電極又は磁極(八極子)があってもよい。この場合、4つの電極又は磁極は非点収差を補正するため使用されるスティグメータと呼ぶ。
【0040】
電子ビームの特性は、その経路に沿った電磁素子によって影響を受け得る。エミッタの後に配置される集光レンズ5’の球面収差及び色収差は、ビーム形成の品質、したがってスポットサイズを制限し得る。電子光学素子の開口部の直径が円形でない場合、又は光軸に対してずれたり傾いたりしている場合には、集束スポットに深刻な形態の非点収差が生じ得る。このような場合、電界又は磁界の形状が楕円になることで、楕円率非点収差と呼ばれる収差が発生する。結果として得られる集光スポットは、一次的には断面が円形ではなく楕円形になる。このような非点収差は、ビームの周囲に配置された対向する電界又は磁界のn極素子であるスティグメータを使用することで補正され得る。同じn極素子を使用して、ビームを偏向させ、非点収差を補正してもよい。
【0041】
電極は、電子ビームの軌道に沿って配置される。ただし、電子ビームが電磁対物レンズ5の通路とミラーM1、M2及びM3の開口を遮ることなく通過できるようにする。偏向器は、電子ビームがサンプル7の表面上を走査し得るように電子ビームの軌道を偏向させるために使用される。サンプル7は、第1偏向器17からサンプル7までの距離が電磁対物レンズ5の焦点距離の20倍よりも小さくなるように、電磁対物レンズ5の焦点又は焦点面でサンプルホルダー47に配置される。
【0042】
電磁対物レンズ5の制約のため、より具体的には、光を通すために大きな中空が必要であるため、従来の電磁対物レンズは、通常、比較的強い軸外収差に悩まされており、サンプル表面での走査が電磁対物レンズの光軸の位置からずれてしまう。したがって、本発明ではこのような軸外収差を最小限に抑えるために、電磁対物レンズ5の光軸が第2主平面と交差する位置を中心に、電子ビーム9が電磁対物レンズ5と交差するように走査が行われるように設計されている。この例では、第2主平面は、出力開口13の位置と一致している。これは、
図5a及び
図5bに概略的に示されている。第2偏向器15は、電子ビーム9を一方向に偏向するように配置され、一方、第1偏向器17は、電子ビームが電磁対物レンズ5の中心を通過するように、第2偏向器の効果を打ち消すように配置される。この例では、2つの静電八極子を用いて電子ビームを偏向させているので、任意の方向に電子ビームを偏向させ得、非点収差も補正し得る。電子ビーム9の最適なピボット点は、2つの偏向器15、17に印加される電圧比を変化させ、収差を最小にする走査電圧を選択することで得られる。走査時に2つの偏向器15、17の電圧比を注意深く維持することで、電子ビーム9のピボット点をレンズ中心に固定することができる。図示の例では、ピボット点は出口開口13にある。
【0043】
偏向器が電磁レンズの第2主面から離れているほど、電子ビームを偏向させるのに必要な電界が強くなる。なお、電子ビーム9は、通常、偏向器15、17に接触しない。高電圧偏向器の製造に伴うコスト及び電気絶縁、冷却、高価な電源又は最終的な走査速度の低下などの技術的問題を最小限に抑えるために、後者は有利にも、光軸に沿って電磁対物レンズ5の第2主面にできるだけ近い位置に配置される。これは、有利には、それらが反射対物レンズ内に少なくとも部分的に挿入されることを意味する。
【0044】
偏向器15、17の位置、形状及びサイズは、偏向器がいかなる光も妨げないように、又はいかなる場合でも反射対物レンズによって妨げられるであろうサンプル7から放出される光の一部のみを妨害しないように選択される。第1偏向器17は、第2ミラーM2によって生成される影の円錐内、すなわち、第2ミラーM2の外径と、光軸がサンプルの表面と交差するサンプルの表面上の交点とによって定義される仮想円錐内に配置される。また、影の円錐は、第1ミラーM1の開口の直径と、光軸がサンプルの表面と交差するサンプルの表面上の交点とによって定義される虚数円錐として定義されてもよい。偏向器17は、一般的に、影の円錐内に配置される。
【0045】
反射対物レンズ内に2つの偏向器15、17を配置できるようにするために、本実施形態では、第2ミラーM2の内半径は第1偏向器17を収容するのに十分な大きさに設計されており、第1ミラーM1の外半径は電磁対物レンズ5のサイズとコストが妥当であるように十分小さく保たれている。これらは実際には、二面回転対称反射対物レンズの形状と寸法を決定する2つのパラメータである。第2偏向器15は、少なくとも一部が第1ミラーM1の開口内に配置されていてもよく、本実施形態のように反射対物レンズの上方に延びていてもよい。したがって、本実施形態の第2偏向器15は影の円錐内にもある。その結果、偏向器15及び17は、収集対物レンズによって収集される可能性のある光を妨害しない。
【0046】
第1ミラーM1の外半径は、40mm~160mmの範囲であってもよく、50mm~70mmの範囲であってもよい。この特定の例では、第1ミラーの外半径は約60mmであり、これにより、電磁対物レンズ5の妥当な製造コストが保証される。第2ミラーM2の内半径は、1mm~4mmの範囲内、又は1.50mm~3mmの範囲内であってもよい。この特定の例では、第2ミラーM2の内半径は約2mmであり、これにより、4mmの直径を有する偏向器は第2ミラーM2の開口に挿入され得る。焦点が決まると、これらの2つの制約により、本発明の実施形態で使用するシュワルツシルト反射対物レンズの形状が一意に決まる。なお、ミラー開口の半径方向の断面は、非円形であってもよいことに留意されたい。円形でない場合、上記で言及されている半径は、開口の最大の横断面寸法の半分を意味すると理解される。第1ミラーM1は、第2ミラーM2で反射された光を光軸に沿って通過させるように、第2ミラーM2よりも大きな半径方向断面の開口を有する。
【0047】
第1及び第2ミラーは、互いに機械的に接続されていてもよいが、これらの機械的なコネクタがいかなる光も遮らないように、又は少なくとも最小限の障害を引き起こさないようにする。例えば、第2ミラーM2は、光をできる限り遮らない4本の非常に細い脚からなる三脚台によって第1ミラーM1に保持されてもよい。2つのミラー及び機械的コネクタは、反射対物レンズが熱的であるように、すなわち、あらゆる温度でその光学性能を維持するように、例えば、アルミニウム又は銅の同じキャストで作られてもよい。アルミニウム及び銅は、熱伝導率が高く、熱化が早いという利点を有する。ミラーは、所定のスペクトル範囲で反射率を高めるために、金属又は誘電体などの様々な反射材料でコーティングされ得る。また、第1ミラーM1及び第2ミラーM2につながる電気配線は、さらなる光の障害とならないように設計されている。
【0048】
所定のシュワルツシルト反射対物レンズの正確な幾何学的形状は、第1ミラーM1の表面上の1つの点の位置と、第2ミラーM2の表面上の1つの点の位置(その焦点に対して)を指定することによって、一意に定義される。実際には、対物レンズの焦点に対する2つのミラーの頂点の位置を指定する方が簡単である。ミラーの頂点とは、ミラーの表面(又はミラーの開口によるその想像上の延長)と光軸zとの交点のことである。シュワルツシルト反射対物レンズ内のミラーの形状及び位置は、解析的又は数値的に計算されてもよい。この計算は、2つのパラメータ、例えば、対物レンズの焦点に対する2つのミラーの頂点の位置のみに依存するため、これら2つのパラメータを変化させることにより、無限の数のシュワルツシルト対物レンズの形状を計算することが可能である。
図6a~6dは、適用可能な様々な反射対物レンズの形状を示している。これらの図面については、次に詳しく説明する。
【0049】
実用上の理由から、サンプル7から放射された光を全立体角にわたって集光することは不可能であり、集光角は、光軸zを対称軸として半頂角αをもつ受容円錐に制限される。この半頂角αを決めることで、シュワルツシルト反射対物レンズの開口数(NA)が決まる。NAは、NA=n×sin(α)(真空中での使用を前提としているため、n=1)と定義される。言い換えれば、開口数は最大半集光角α、すなわち光軸zと最も極端な集光角のなす角の正弦として定義される。
【0050】
最大集光角を制限すると、
図6a~6dに示すように、ミラーM1及びM2の最大外半径も制限される。焦点Oから最大半集光角αで放射された光線は、点P1で第1ミラーM1に反射され、点P2で第2ミラーM2に反射される。P1及びP2は、それぞれM1及びM2の最大到達距離と、シュワルツシルト反射対物レンズのミラー全体の大きさを規定している。M2は、放出された光の一部を妨害していることがわかる。このように、焦点Oから放射されてP2を通過した光線は、点P3でM1に、点P4でM2に反射される。点P2は、シュワルツシルト対物レンズで集光可能な最小の射出角をもつ光線を定義している。(光軸に対して)より小さい射出角をもつ光線は、第2ミラーM2によって遮られ、影の円錐が定義される。
【0051】
ここで、外半径は、光軸zから点P1又はP2までの半径距離として定義される。同様に、内半径は、光軸zから点P3又はP4までの半径距離として定義される。光軸及びP3(P4)で区切られた第1ミラーM1の表面は、第2ミラーM2の影になっているため光学的にはアクティブではない。所定の開口数の場合、2つの頂点の位置を変えることによって、第2ミラーM2の全体的な障害物を調整し得る。同様に、両ミラーの内半径及び外半径も調整し得る。第2ミラーM2は、障害物の半値角「β」が30°よりも小さく、いくつかの実装では20°又は15°よりも小さくなるように設計されてもよい。光の障害物の角度(ここでは、反射対物レンズの焦点及び第2ミラーM2の外径によって定義される)に対応する立体角は、最大集光角(ここでは、反射対物レンズの焦点及び第1ミラーM1の最大外径によって定義される)に対応する立体角よりも、少なくとも0.3ステラジアン(sr)小さい。これにより、カソードルミネッセンスの微弱な光を十分に集光することができる。
【0052】
焦点Oで放射された光のうち、最終的に反射対物レンズに集められる割合は、対物レンズの開口数及び第2ミラーM2による障害物に依存するだけでなく、放射された光の角度発光強度にも依存する。反射対物レンズで集められた光の発光角強度を立体角で積分することで、どの程度の割合の光が集められたかを判断することが可能である。多くの場合、焦点Oでサンプル7に放射される光は、ランベルトの放射パターンに従い、ランベルトの余弦法則に従う。これは、サンプル7の表面から観測される放射強度が、観察者の視線と表面の法線との間の角度αの余弦に正比例することを意味する。
【0053】
ランベルト放射体の集光効率は、低い開口数ではゆっくりと増加し、開口数が大きいと(開口数0.71まで)連続的に速くなる。サンプル7が非常に低い速度で光子を放出する場合、できるだけ多くの光子を収集して大きな開口数を使用することが重要である。本発明によれば、開口数は0.35より大きくてもよい。いくつかの変形例では、0.5~0.9の間であり、他の変形例では0.6~0.8の間である。さらにいくつかの変形例では、0.65~0.75の間となっている。この特定の例では、0.72(すなわち、光軸に対して45°の最大集光角)であるため、ランベルト放射体によって放射された光の50%を集光し得る。第2ミラーM2の存在による障害物の影響は、M2が大きな立体角をカバーしないようなシュワルツシルト幾何学的形状を選択することによって軽減され得る。これは、ミラーM2の頂点をミラーM1の頂点にできるだけ近づけることで実行され得る。実際には、両方の頂点が互いに非常に近い場合、対物レンズの製造は非常に困難になる。障害物の高さは、通常、良好な製造性を維持しながら光の4%以下に抑えられ得る。
【0054】
別の実施形態が
図7に示されている。この実施形態では、シュワルツシルト反射対物レンズの幾何学的形状は、他の実施形態のものとは異なる。この実施形態によれば、反射対物レンズの幾何学的形状は、
図6bに示すものに対応する。見てわかるように、この実施形態では、第1偏向器17は、第2ミラーM2の完全に下、すなわち第2ミラーM2と出力開口13との間に配置されている。この場合も、第1偏向器17は、第2ミラーによる障害物の円錐内に配置されているため、偏向器15、17は、光にさらなる障害を与えない。障害物の円錐は、電磁対物レンズの光軸と、サンプルから放出されて第1ミラーM1の最も内側の反射面に到達する光線との間の角度、すなわち、電子ビームのサンプルへの衝突点と第1ミラーM1の開口の内半径から引かれる想像上の線によって定義されてもよい。また、偏向器17の位置は、第1ミラーM1の開口から電磁コイル11の焦点まで伸びる仮想の円錐内にあると定義され得、これは電子ビームのサンプルへの衝突点でもある。偏向器17がこの仮想円錐内に配置されている限り、偏向器が集光の妨げになることはない。
【0055】
開示された実施形態では、第1偏向器17は、第1中央開口と焦点面との間に軸方向に配置された体積領域の内側で、電磁対物レンズの焦点面と電磁対物レンズの光軸との間の交点において第1中央開口によって定められた立体角内に配置されている。電磁対物レンズの光軸は、反射対物レンズの光軸と実質的に一致していてもよい。したがって、光軸は、電磁対物レンズの軸方向の回転中心であってもよい。なお、立体角は、円錐の形状に限定されない。
【0056】
図8のフローチャートは、一例による走査型電子顕微鏡の操作方法をまとめたものであり、記載されているステップの一部又は全部が、同時に又は他の所望の順序で発生してもよい。ステップ31では、電子エミッタ1又はプローブが、パルス電子ビーム9を生成する。ステップ32では、電子エミッタによって生成された電子ビームは、電子ビーム9の軌道上に配置されたコリメートレンズ5’によって、コリメートされた、集束された、又は発散された電子ビームに変換される。ステップ33では、電磁対物レンズ5は、電子ビームをサンプル7に集束させるために、電磁対物レンズ5の出力開口13に磁場を発生させる。ステップ34では、偏向器15、17が電子ビーム9を偏向させることで、サンプル7上での走査を可能にする。ステップ35では、電子ビーム9に沿って軸方向に、電磁対物レンズ5内に取り付けられた反射対物レンズが、サンプル7からの光を集める。サンプルから集められた光は、第3ミラーM3に方向転換され、さらに光を真空筐体10の外に方向転換する。ステップ36では、集められた光をモノクロメータに通して、光をその波長成分に空間的に分離する。ステップ37では、選択した波長での光の強度を検出する。
【0057】
図4に戻ると、ミラーM3で反射された光は、レンズ22によって結像用モノクロメータ43に集光される。この例では、CCDカメラ45、及びInGaAs又はPMT検出器などの検出器46の2つの結像器が設けられている。ミラー24がハーフミラーである場合、両方の結像器を同時に操作し得る。逆に、ミラー24はフリップミラーであってもよく、一度に1つの結像器を使用することができる。この配置では、検出器46は特定の波長の光強度を検出するために使用し得、一方、CCDカメラは複数の波長の光強度を同時に検出するために使用されてもよい。
【0058】
サンプルの光像を生成するために、光源26を操作して、フリップミラー27によってレンズ22に反射される光ビームを生成し、それからミラーM2及びM1を介してサンプルに向かってM3をミラーリングしてもよい。ここで、反射光は逆の経路を進んでCCDカメラに入る。この動作モードでは、3つのミラーM1、M2及びM3を含むミラー構成を使用して、光源26からサンプル7に光を向け、サンプル7から反射された光を収集し、それをCCD検出器45に向ける。
【0059】
図4の実施形態では、電子検出器19が設けられており、サンプルから放出された二次電子、又はサンプルで反射された反射電子を検出できるようになっている。この検出器の信号を用いて、走査型電子顕微鏡(SEM)像を生成し得る。また、
図4の実施形態では、サンプルホルダー47が極低温ステージの形態をしており、これによりサンプルを低温に保つことでノイズの多い発光を回避する。
【0060】
本明細書に開示されている実施形態は、上面に入口開口を有し、底面に出口開口を有するハウジングと、ハウジング内に半径方向に配置された電磁コイルと、ハウジング内に配置された集光光学素子と、ハウジング内に配置された電子ビーム偏向器とを備える電磁レンズであって、該集光光学素子は、第1軸方向の開口を有する凹面鏡と、第2軸方向の開口を有する凸面鏡とを備え、該電子ビーム偏向器は、少なくとも部分的に第1軸方向の開口内に配置された第1セットの偏向器と、該第1セットの偏向器の下方に配置された第2セットの偏向器とを備える、電磁レンズを包含している。
【0061】
開示された実施形態は、電子ビーム像、光ビーム像、カソードルミネッセンス(CL)像、及びCL分光像を生成する電子顕微鏡を提供するものであって、真空筐体と、該真空筐体の上部に配置された電子源と、該真空筐体の下部に配置された電磁対物レンズとを含み、該電磁対物レンズは、上面に入口開口及び下面に出口開口を有するハウジングと、該ハウジング内に半径方向に配置された電磁コイルと、前記ハウジング内に配置され、第1軸方向の開口を有する凹面鏡及び第2軸方向の開口を有する凸面鏡を備える光対物レンズと、前記ハウジング内に配置され、電子ビームを試料上で走査するために協働する第1セットの偏向器及び第2セットの偏向器を備える電子ビーム偏向器と、対物レンズで集光された光を真空容器の外側に向けて偏向する偏向ミラーと、前記偏向ミラーに向けて光を照射する光源と、試料から放出される電子を検出する電子センサーと、結像センサーと、前記対物レンズで集光された光を異なる波長に分割する結像モノクロメータと、電子センサーからの出力信号を受けて電子画像を生成し、結像センサーからの出力信号を受けて光画像を生成し、結像モノクロメータからの出力信号を受けてカソードルミネッセンス(CL)像及びCL分光像を生成する制御機器とを含む。
【0062】
開示された実施形態は、走査型電子顕微鏡を提供するものであって、電子ビーム(9)を設けるための電子エミッタと、前記電子ビームを電磁対物レンズの光軸に実質的に垂直な電磁対物レンズ(5)の焦点面に収束させるための磁場を生成するように配置された電磁対物レンズ(5)と、電子ビーム(9)をサンプル(7)上で走査するために電子ビーム(9)を偏向させるための第1電子ビーム偏向手段(17)と、サンプル(7)からの光の収集又はサンプル(7)への光の集束のために、電磁対物レンズ(5)内の電子ビーム(9)の経路の周りに配置された反射対物レンズと含み、前記反射対物レンズは、電磁対物レンズ(5)の出力開口(13)から第1距離内にある第1ミラー(M1)及び出力開口(13)から第2距離内にある第2ミラー(M2)を備え、第1距離は第2距離よりも大きい。前記第1ミラー(M1)及び前記第2ミラー(M2)は、前記電子ビーム(9)が前記第1及び第2ミラー(M1、M2)を通過することを可能にするために、それぞれ第1中央開口及び第2中央開口を有し、前記第1電子偏向手段(17)は、前記第1中央開口と前記焦点面との間に位置する軸方向の体積領域内であって、前記電磁対物レンズの焦点面と前記電磁対物レンズ(5)の光軸との交点から前記第1中央開口によって定められる立体角の範囲内に配置されている。第1電子偏向手段(17)は、第2中央開口から半径方向内側に位置していてもよく、第1電子偏向手段(17)は、第2中央開口と同軸上に位置していてもよい。また、第1電子偏向手段(17)は、第2ミラー(M2)と電磁対物レンズ(5)の出力開口(13)との間に軸方向に配置されていてもよい。
【0063】
顕微鏡は、電子ビーム(9)を偏向させ、第1電子ビーム偏向手段(17)と電子エミッタとの間に軸方向に配置された第2電子ビーム偏向手段(15)をさらに含んでもよい。
【0064】
電磁対物レンズ(5)は、磁場に垂直な光軸を有してもよく、第1電子ビーム偏向手段(17)及び第2電子ビーム偏向手段(15)は、電子ビーム(9)が電磁対物レンズ(5)によって生成された電磁場内で光軸を通過するように電子ビームを走査するように配置されている。
【0065】
電磁対物レンズ(5)は、第1主面及び第2主面を有してもよく、第1主面及び第2主面のうちの一方は、電子ビーム(9)を収束させるように配置されており、第1電子ビーム偏向手段(17)及び第2電子ビーム偏向手段(15)は、電子ビーム(9)を偏向させるように配置された主面において、電子ビーム(9)が光軸を通過するように電子ビームを走査するように配置されている。第2電子ビーム偏向手段(15)は、第1中央開口と同軸に、かつ第1中央開口から半径方向内側に配置されていてもよい。
【0066】
反射対物レンズは、無収差であってもよく、シュワルツシルト又はヘッド反射対物レンズであってもよい。また、電磁対物レンズ(5)及び反射対物レンズは、同じ焦点面を有していてもよい。
【0067】
反射対物レンズの開口数NAは、NA=n×sin(α)で定義され、αは第1ミラー(M1)に入射又は出射し得る最大円錐の半値角、nは反射対物レンズが配置されている媒体の屈折率であり、少なくとも0.35又は少なくとも0.7であってもよい。
【0068】
第2中央開口の最大半径寸法は、2.5mm~12mmの間であってもよい。
【0069】
反射対物レンズの焦点及び第2ミラー(M2)の最大外形寸法で定義される立体角の半値角(β)は、最大で20度であってもよい。
【0070】
顕微鏡は、電磁対物レンズ(5)に到達する前に、電子エミッタからの電子ビーム(9)を成形するための電子ビーム成形手段をさらに備えてもいてもよい。
【0071】
反射対物レンズの焦点及び第2ミラー(M2)の最大外形寸法によって定義される立体角は、反射対物レンズの焦点及び第1ミラー(M1)の最大外形寸法によって定義される立体角よりも少なくとも0.3ステラジアン(sr)小さくてもよい。
【0072】
また、走査型電子顕微鏡を操作する方法であって、電子エミッタに電力を供給して電子ビーム(9)を生成するステップと、電磁対物レンズ(5)に電力を供給して電子ビームを電磁対物レンズの光軸に実質的に垂直な電磁対物レンズ(5)の焦点面に電子ビームを集束させるための磁場を生成するステップと、サンプル(7)上で電子ビーム(9)を走査するために第1電子ビーム偏向手段(17)に電力を供給して電子ビーム(9)を偏向させるステップと、サンプル(7)から光を収集するために、電磁対物レンズ(5)内の電子ビーム(9)の経路を周りに反射対物レンズを配置するステップとを含み、反射対物レンズは、電磁対物レンズ(5)の出力開口(13)から第1距離内にある第1ミラー(M1)及び出力開口(13)から第2距離内にある第2ミラー(M2)を含み、第1距離は、第2距離よりも大きい。第1ミラー(M1)及び第2ミラー(M2)は、電子ビーム(9)が第1及び第2ミラー(M1、M2)を通過するのを可能にするために第1中央開口及び第2中央開口を有し、第1電子偏向手段(17)は、第1中央開口と焦点面との間に軸方向に位置する体積領域の内側で、電磁対物レンズの焦点面と電磁対物レンズ(5)の光軸との交点からの第1中央開口によって定められた立体角の範囲内に配置されている。
【0073】
本発明は、図面及び前述の記載において詳細に説明してきたが、当該図面及び記載は、例示的又は模範的で非制限的なものとみなされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。他の実施形態及び変形は、当業者が図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究に基づいて、請求された発明を実施する際に理解され、達成され得るものである。
【0074】
特許請求の範囲において、「含む」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、また、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。異なる特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に使用し得ないことを示すものではない。また、特許請求の範囲に記載されている参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。