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特許7444490共鳴誘導ワイヤレス充電のためのデータリンク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】共鳴誘導ワイヤレス充電のためのデータリンク
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20240228BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240228BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240228BHJP
   B60L 53/122 20190101ALI20240228BHJP
   B60L 53/38 20190101ALI20240228BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240228BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240228BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240228BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20240228BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240228BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240228BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240228BHJP
   H04B 5/48 20240101ALI20240228BHJP
【FI】
H02J50/80
B60L5/00 B
B60L50/60
B60L53/122
B60L53/38
B60L53/66
B60L58/10
B60M7/00 X
H01F38/14
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/12
H02J50/40
H04B5/48
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2022516269
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 US2020050492
(87)【国際公開番号】W WO2021050941
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】16/570,801
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/675,618
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514287443
【氏名又は名称】インダクトイーブイ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダガ、アンドリュー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン、フランシス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガンダー、エドワード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワード、マシュー エル.
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536068(JP,A)
【文献】特開2006-005560(JP,A)
【文献】特開2008-131097(JP,A)
【文献】特開2016-116359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0001593(US,A1)
【文献】特開2013-051744(JP,A)
【文献】特表2016-535577(JP,A)
【文献】特開2000-115130(JP,A)
【文献】MCMAHON, Frank et al.,Inductively Coupled, Full Duplex Data Link for Use in Resonant Induction Wireless Charging,2019 IEEE Transportation Electrification Conference and Expo (ITEC),米国,IEEE,2019年06月19日,p.1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/80
H02J 50/12
H02J 50/40
H02J 7/00
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 50/60
B60L 53/122
B60L 53/38
B60L 53/66
B60L 58/10
H04B 5/48
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の充電システムであって、
少なくとも1つのコイルと、第1の誘導リンクを介して第1の信号を送信し、第2の誘導リンクを介して第2の信号を受信する第1の送受信システムを有する全二重誘導結合データ通信システムとを有するものである、地上アセンブリと、
少なくとも1つのコイルと、前記第1の誘導リンクを介して前記第1の信号を受信し、前記第2の誘導リンクを介して前記第2の信号を送信する第2の送受信システムを有する全二重誘導結合データ通信システムとを有するものである、車両アセンブリと
を有し、
前記第1と第2の送受信システムは、振幅変調、位相変調、周波数変調、直交周波数分割多重(OFDM)、または直接スペクトラム拡散、チャープスペクトラム拡散(CSS)、2値直交変調(BOK:binary orthogonal keying)、周波数ホッピング、または直接変調(DM)のうちの少なくとも1つを含む技術を実装するスペクトラム拡散回路のうちの少なくとも2つのために電気回路を使用および切り替えるように構成されており、
前記地上アセンブリの前記少なくとも1つのコイルは充電中に充電信号を送信するように前記車両アセンブリの前記少なくとも1つのコイルと平行に配置されるように構成され、充電中に前記車両アセンブリの形状に一致するように選択的に有効化されるものであり、
前記第1の送受信システムまたは前記第2の送受信システムのうちの少なくとも1つを、前記第1および第2の送受信システムの他方によって使用される信号処理回路と同じ型式の信号処理回路に切り替えるものである、
車両の充電システム。
【請求項2】
請求項1記載の車両の充電システムにおいて、前記地上アセンブリは、前記地上アセンブリおよび外部システムからのデータを処理して前記車両アセンブリへ送信し、前記車両アセンブリから受信したデータを処理して前記地上アセンブリおよび前記外部システムによる処理のために前記地上アセンブリおよび前記外部システムに配信するプロセッサを有するものである、車両の充電システム。
【請求項3】
請求項2記載の車両の充電システムにおいて、故障事象が前記地上アセンブリによって検出されるまたは前記車両アセンブリから受信された場合は、前記プロセッサは前記充電信号を無効にするものである、充電システム。
【請求項4】
請求項1記載の車両の充電システムにおいて、前記車両アセンブリは、前記車両アセンブリ、および車両バッテリー管理システム、車両乗員情報システム、または車両娯楽システムのうちの少なくとも1つから受信したコマンドまたはデータのうちの少なくとも1つを処理して前記地上アセンブリに通信し、前記地上アセンブリから受信したデータを処理して前記車両アセンブリおよび前記車両バッテリー管理システム、前記車両乗員情報システム、または前記車両娯楽システムのうちの少なくとも1つに配信するプロセッサを有するものである、車両の充電システム。
【請求項5】
請求項4記載の車両の充電システムにおいて、前記車両アセンブリは、さらに、
デジタルインターフェースを有し、
前記プロセッサは、前記第1の信号、前記第2の信号、および前記充電信号に関連する測定値を前記デジタルインターフェースに提供するものである、
車両の充電システム。
【請求項6】
請求項5記載の車両の充電システムにおいて、前記車両アセンブリは第1のアンテナ構造を有し、前記地上アセンブリは第2のアンテナ構造を有するものであり、前記測定値は、信号強度、ビット誤り率、前記第1および第2のアンテナ構造によって受信された第1または第2の信号の合計および差、スペクトラム雑音密度に対するビットあたりのエネルギーの比率、受信信号強度表示、中心周波数、または前記第1および第2のアンテナ構造における振幅と位相シフトのうちの少なくとも1つを含むものである、車両の充電システム。
【請求項7】
請求項6記載の車両の充電システムにおいて、さらに、
車両に実装されたプロセッサを有し、前記測定値は、位置合わせ検出または閉ループ充電システムの管理および制御のうちの少なくとも1つのために前記デジタルインターフェースを介して前記車両に実装されたプロセッサに配信されるものである、車両の充電システム。
【請求項8】
請求項7記載の車両の充電システムにおいて、前記車両に実装されたプロセッサは、前記車両アセンブリのほぼリアルタイムの電圧および電流測定値、前記車両アセンブリの熱測定値、前記車両のロードまたはアンロードによるZギャップ変化、車両アセンブリまたは地上アセンブリの障害アラート、充電中の動作事象に関するアラート、および前記車両アセンブリまたは車両電気系統から通信用の前記プロセッサまでの前記車両アセンブリに関連する追加の車両検出データを提供するものである、車両の充電システム。
【請求項9】
請求項1記載の車両の充電システムにおいて、前記第1の信号および前記第2の信号は、充電サイクルの所定の段階または信号品質の所定の閾値を超えたかどうかに応じて狭帯域信号または広帯域信号のいずれかの信号として構成されるものである、車両の充電システム。
【請求項10】
請求項1記載の車両の充電システムにおいて、前記第1の信号と前記第2の信号は、補完符号系列を使用して非同期スペクトラム拡散信号として構成されるものである、車両の充電システム。
【請求項11】
請求項10記載の車両の充電システムにおいて、前記第1および第2の送受信システムはそれぞれ、前記第1および第2の送受信システムが信号と同一チャネル干渉を区別できるようにする符号系列を送信する直接スペクトラム拡散システムを有するものである、車両の充電システム。
【請求項12】
請求項11記載の車両の充電システムにおいて、前記符号系列は補完符号系列である、車両の充電システム。
【請求項13】
請求項1記載の車両の充電システムにおいて、前記第1および第2の送受信システムは、出力信号を変調し、入力信号を復調するように構成されたハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア構成のうちの少なくとも1つから選択可能であるように構成されているものである、車両の充電システム。
【請求項14】
請求項13記載の車両の充電システムにおいて、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアのうちの前記少なくとも1つは、振幅変調、位相変調、周波数変調、直交周波数分割多重(OFDM)、またはスペクトラム拡散技術のうちの少なくとも2つを使用して前記出力信号を変調するように構成されているものである、車両の充電システム。
【請求項15】
請求項14記載の車両の充電システムにおいて、前記スペクトラム拡散技術は、直接スペクトラム拡散、チャープスペクトラム拡散(CSS)、2値直交変調(BOK)、または周波数ホッピングのうちの少なくとも1つを有するものである、車両の充電システム。
【請求項16】
請求項13記載の車両の充電システムにおいて、前記第1および第2の送受信システムはそれぞれ、受信機と、アナログ・デジタル変換器と、前記地上アセンブリまたは外部システムのうちの少なくとも1つからのデータを処理して前記車両アセンブリへ送信し、前記車両アセンブリから受信したデータを処理して前記地上アセンブリおよび外部システムによる処理のために前記地上アセンブリおよび前記外部システムに配信するデジタルプロセッサと、デジタル・アナログ変換器または送信機と、を有するものである、車両の充電システム。
【請求項17】
請求項16記載の車両の充電システムにおいて、前記アナログ・デジタル変換器およびデジタル・アナログ変換器は独立した集積回路として実装され、前記デジタルプロセッサはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイとして実装されるものである、車両の充電システム。
【請求項18】
請求項16記載の車両の充電システムにおいて、前記アナログ・デジタル変換器、デジタルプロセッサ、およびデジタル・アナログ変換器は、特定用途向け集積回路(ASIC)に常駐するファームウェアとして実装されるものである、車両の充電システム。
【請求項19】
請求項16記載の車両の充電システムにおいて、各送受信システムの前記デジタルプロセッサは、送信用の入力データを処理し、前記デジタルプロセッサに実装されたソフトウェア構造を使用して他の送受信システムから受信したデータを処理するものである、車両の充電システム。
【請求項20】
請求項16記載の車両の充電システムにおいて、前記第1および第2の送受信システムはそれぞれ、さらに、
少なくとも1つのバンドパスフィルタを有するものである、車両の充電システム。
【請求項21】
車両を充電する方法であって、
充電信号を受信するように地上アセンブリに対して車両の車両アセンブリを配置する工程であって、
前記車両アセンブリは、少なくとも1つのコイルと、第1の誘導リンクを介して第1の信号を受信し、第2の誘導リンクを介して第2の信号を送信する第1の送受信システムを有する全二重誘導結合データ通信システムとを有するものであり、
地上アセンブリは、少なくとも1つのコイルと、前記第1の誘導リンクを介して第1の信号を送信し、前記第2の誘導リンクを介して第2の信号を受信する第2の送受信システムを有する全二重誘導結合データ通信システムとを有するものである、
前記配置する工程と、
充電のために、前記地上アセンブリに対する前記車両アセンブリの幾何学的配置に基づいて前記地上アセンブリおよび前記車両アセンブリの前記少なくとも1つのコイルを選択的に有効にする工程と、
充電中に前記第1の送受信システムまたは前記第2の送受信システムのうちの少なくとも1つを、前記第1および第2の送受信システムの他方によって使用されるものと同じ型式のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアに切り替える工程と、
充電中に前記第1および第2の誘導リンクを介して前記第1および第2の送受信システム間で充電管理および制御データを通信する工程と
を有するものである、方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記切り替える工程は、前記第1の送受信システムまたは前記第2の送受信システムのうちの少なくとも1つを、振幅変調回路、位相変調回路、周波数変調回路、直交周波数分割多重(OFDM)回路、または直接スペクトラム拡散、チャープスペクトラム拡散(CSS)、2値直交変調(BOK)、周波数ホッピング、または直接変調(DM)のうちの少なくとも1つを含む技術を実装するスペクトラム拡散回路、のうちの少なくとも2つの間で切り替える工程を有するものである、方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、さらに、
充電中に前記第1および第2の誘導リンクを介して前記地上アセンブリと前記車両アセンブリの間でソフトウェア更新、診断または遠隔測定情報、または乗客娯楽サービスデータのうちの少なくとも1つを通信する工程を有するものである、方法。
【請求項24】
請求項21記載の方法において、さらに、
振幅変調、位相変調、周波数変調、直交周波数分割多重(OFDM)、またはスペクトラム拡散技術のうちの少なくとも2つを使用して出力信号を変調するように構成された前記同じ型式のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを有するように、前記第1の送受信システムおよび第2の送受信システムを構成する工程を有するものである、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記スペクトラム拡散技術は、直接スペクトラム拡散、チャープスペクトラム拡散(CSS)、2値直交変調(BOK)、または周波数ホッピングのうちの少なくとも1つで構成されるものである、方法。
【請求項26】
請求項21記載の方法において、さらに、
充電中に、前記第1および第2の誘導リンクを介して前記地上アセンブリと前記車両アセンブリの間でソフトウェア更新、診断または遠隔測定情報、または乗客娯楽サービスデータのうちの少なくとも1つを通信する工程を有するものである、方法。
【請求項27】
請求項21記載の方法において、さらに、
障害事象が前記地上アセンブリによって検出された時または前記車両アセンブリから受信された時に前記充電信号を無効にする工程を有するものである、方法。
【請求項28】
請求項21記載の方法において、さらに、
前記車両アセンブリおよび外部システムからのコマンドおよびデータのうちの少なくとも1つを処理して前記地上アセンブリに送信し、前記地上アセンブリから受信したデータを処理して前記車両アセンブリまたは前記外部システムのうちの少なくとも1つに配信する前記第1の送受信システムを有するものである、方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、さらに、
前記第1の信号、前記第2の信号、および前記充電信号に関連する測定値を処理用のデジタルインターフェースに提供する工程を有するものである、方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、前記車両アセンブリは第1のアンテナ構造を有し、前記地上アセンブリは第2のアンテナ構造を有するものであり、前記測定は、信号強度、スペクトル雑音密度に対するビットあたりのエネルギーの比率、周波数、または前記車両アセンブリと地上アセンブリの第1および第2のアンテナ構造での振幅と位相シフト、のうちの少なくとも1つが含まれるものである、方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、さらに、
位置合わせ検出または閉ループ充電システムの管理と制御のうちの少なくとも1つのために前記デジタルインターフェースを介して外部プロセッサに前記測定値を配信する工程を有するものである、方法。
【請求項32】
請求項31記載の方法において、さらに、
前記車両アセンブリのほぼリアルタイムの電圧および電流測定値、前記車両アセンブリの熱測定値、前記車両アセンブリを含む車両のロードまたはアンロードによるZギャップの変化、地上アセンブリまたは車両アセンブリの障害アラート、充電半ばの動作事象に関するアラート、または前記車両アセンブリから前記地上アセンブリまでの前記車両アセンブリに関連する追加の検出データ、のうちの少なくとも1つを送信する工程を有するものである、方法。
【請求項33】
請求項21記載の方法において、さらに、
充電サイクルの段階または信号品質の閾値を超えたかどうかに応じて前記第1の信号および前記第2の信号を狭帯域信号または広帯域信号として構成する工程を有するものである、方法。
【請求項34】
請求項21記載の方法において、さらに、
前記第1の信号および前記第2の信号を非同期スペクトラム拡散信号として構成する工程を有するものである、方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法において、さらに、
前記第1および第2の送受信システムが信号と同一チャネル干渉を区別することを可能にする前記第1および第2の送受信システム間の符号系列を送信する工程を有するものである、方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、前記符号系列を送信する工程は補完符号系列を送信する工程を有するものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電動車両の充電には、共鳴誘導の制御を目的とした全二重の近接場データリンクであるワイヤレス電力伝送システムが使用される。可干渉性中継装置構成は、干渉を拒否する同期検波および近くのおよび隣接する車両から発信される信号の確実な拒否が可能にする。
【0002】
誘導送電には、多くの産業や市場にまたがる多くの重要な用途がある。共鳴誘導ワイヤレス電力装置は、電源の入力部分および出力部分を分離および絶縁する大きな空隙変圧器を有するスイッチモードDC-DC電源と見なすことができる。出力電流は入力側パラメータの調整によって制御されるため、出力パラメータを入力側制御回路に伝達する方法が必要である。従来の絶縁型スイッチモード電源は、オプトカプラまたは連結変圧器を使用して絶縁障壁を越えて通信するが、これらの従来の方法は、大きな物理的ギャップが存在する場合には役立たない。前記電力伝送ギャップを越えた音響および光通信は、原則として可能であるが、泥、道路のがれき、雪、氷、および静水にさらされた場合、実際には不十分である。受信コイルのインピーダンスを変調し、一次側コイルに誘導される電圧と電流の変動を検出することにより、前記電力伝送ギャップを越えて通信することが可能である。しかしながら、前記共鳴誘導ワイヤレス電力伝送装置によって採用される一般的に低い動作周波数、およびそのような共鳴誘導ワイヤレス電力伝送システムの一次および二次側コイルの中程度から高い負荷Qのために、利用可能なデータ通信帯域幅は厳しく制限され、全二重通信の実装は困難である。
【0003】
したがって、無線周波数に実装されたデータ通信システムは、上記の問題の影響を受けないため、好まれる。しかしながら、従来の無線周波数データ通信システムは、いくつかの面で不十分である。半二重システムは一方向にのみ送信するが、送信方向をすばやく変更することにより、全二重リンクとして機能するデータリンクを作成する。伝送データのバッファリングまたは待機は、制御システムのフィードバック経路に配置されたときに前記制御システムが不安定になる原因として特に望ましくない大幅で変動する伝送遅延をもたらす。
【0004】
従来のスーパーヘテロダイン受信機は、一般的に、オフチャネル干渉除去を提供するためにかなり優れた中間周波数フィルターを必要とする。ただし、このようなフィルターは高価になる傾向があり、モノリシック集積化には適していない。
【0005】
さらに、従来の無線式データリンクは、同じタイプの他の近接のデータリンクをもともと区別しない。これは、電動車両のワイヤレス充電を仲介するために使用される従来の無線式のデータリンクは、近くまたは隣接する駐車区画の充電装置によって発せられる前記無線コマンドに応答することが多く、明確な車両識別とその後のワイヤレス充電制御を非常に複雑にする動作を意味している。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2020/0059266号明細書
(特許文献2) 米国特許第10,135,496号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2011/0199028号明細書
(特許文献4) 米国特許第9,899,145号明細書
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、有効な通信範囲を制限するために従来のシステムのように遠方場伝搬とは対照的に、近接離誘導結合に依存し、同期検出を使用して、高度な周波数領域フィルタリングなしでオフチャネルおよび一部の同一チャネル干渉を拒否し、さらに可干渉性中継装置構成を使用して、データリンク送受信機器のペアを確実に識別する、可干渉性、全二重無線周波数データリンクを実装することによって、前述および選考技術のその他の制限に対処する。
【0007】
サンプルの実施形態では、2つの装置が提供され、1つは前記地上側のワイヤレス電力伝送装置に関連付けられ、もう1つは前記車両側のワイヤレス電力伝送装置に関連付けられる。前記地上側装置に配置された水晶制御基準発振器は、伝送と検出に必要なすべての無線周波数信号を可干渉に生成するための共通の基盤を提供する。これは全二重通信装置であるため、前記地上側から前記車両側装置への順方向リンクと、前記車両側から前記地上側装置への返送リンクの2つの独立した送受信リンクがある。前記車両側ループアンテナは通常、前記車両の前記導電性車体底部の下に配置され、接地面に対して平行である。
【0008】
前記順方向リンク伝送信号は、前記基準発振器から得られる。シリアルデータは、前記変調器によって前記順方向リンク搬送波に課される。伝送は、前記順方向リンクの動作周波数での波長よりもはるかに短い波長で分離された、重要な相互誘導結合を有する2つの電気的に小さなループアンテナ間で発生する。前記順方向リンクの前記車両側では、受信信号は、前記信号のキャリアを抽出し、同期検出器の検出基準として使用するホモダイン検出器によって検出される。抽出された搬送波は、周波数が乗算され、第2の変調器で前記搬送波に課せられた前記返送リンクデータとともに前記返送リンクの前記搬送波として使用される。返送リンク送信は、以前のように、2つの近接した電気的に小さなループアンテナ間の近接場誘導結合によって発生する。前記リンクの前記地上側にある同期検出器は、前記もともとの基準発振器信号の周波数乗算バージョンを検出基準として使用して、前記返送リンクデータを抽出する。両方向のリンク変調は、振幅変調、位相変調、または両方の組み合わせである可能性がある。
【0009】
前記順方向リンク搬送波、前記順方向リンク検出リファレンス、前記返送リンク搬送波、および前記返送リンク検出リファレンスはすべて同じ基準発振器から派生しているため、これら4つの重要な信号の干渉性は設計によって保証されている。複雑な周波数取得および同期回路は必要ない。さらに、基準発振器間の製造公差と環境に起因する周波数変動により、隣接する駐車場に配置された装置からの前記リンク信号が可干渉にならず、したがって同期検出の対象にならない。隣接する駐車区画内の装置および車両から発生するリンク信号のさらなる拒絶は、前記リンク伝送波長が前記車両の車体底部から接地面への分離距離を超え、前記車両の車体底部および前記接地面が誘導伝搬遮断周波数より下の導波管の前記2つのプレートとして機能するときに起きる減衰から生じる。
【0010】
第1の態様によれば、充電コイルを有する第1のコイルアセンブリと、第1の誘導リンクを介して第1の信号を送信し、第2の誘導リンクを介して第2の信号を受信する第1の送受信システムを有する第1の全二重誘導結合データ通信システムと、充電コイルを有する第2のコイルアセンブリと、前記第1の誘導リンクを介して前記第1の信号を受信し、前記第2の誘導リンクを介して前記第2の信号を送信する第2の送受信システムを有する第2の全二重誘導結合データ通信システム、とを含む充電システムが提供される。サンプルの実施形態では、前記第1および第2の送受信システムは、出力信号を変調し、入力信号を復調するように適合されたハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェア構成のうちの少なくとも1つから選択可能であるように適合される。また、前記第1のコイルアセンブリの前記充電コイルは、充電中に充電信号を受信するように前記第2のコイルアセンブリの前記充電コイルと平行に配置されるように構成され、充電中に前記第2のコイルアセンブリの形状に選択的に一致するようにできるようにする。
【0011】
サンプルの実施形態では、前記第1の送受信システムは、前記第1のコイルアセンブリおよび外部システムの少なくとも1つからのデータを処理して前記第2のコイルアセンブリに送信し、前記第2のコイルアセンブリから受信したデータを処理して前記第1のコイルアセンブリと処理用の外部システムの少なくとも1つに配信するプロセッサを有する。サンプルの実施形態では、故障事象が前記第1のコイルアセンブリによって検出されるか、または前記第2のコイルアセンブリから受信されると、前記プロセッサは前記充電信号を無効にする。
【0012】
他のサンプル実施形態では、前記第2の送受信システムは、前記第2のコイルアセンブリおよび外部システムからのコマンドおよびデータの少なくとも1つを処理して前記第1のコイルアセンブリに送信し、前記第2のコイルアセンブリと少なくとも1つの前記外部システムに配信するために前記第1のコイルアセンブリから受信したデータを処理して配信するプロセッサを有する。サンプルの実施形態では、前記第2のコイルアセンブリは、さらに、デジタルインターフェースを有し、前記プロセッサは、前記第1の信号、前記第2の信号、および前記充電信号に関連する測定値を前記デジタルインターフェースに提供する。前記測定には、信号強度、ビットエラー率、スペクトラムノイズ密度に対するビットあたりのエネルギーの比率、周波数、および前記第1のコイルアセンブリと第2のコイルアセンブリの第1および第2アンテナ構造での振幅と位相シフトの少なくとも1つが含まれる。前記サンプルの実施形態では、前記外部システムは、外部プロセッサを含む。そのような実施形態では、前記測定値は、位置合わせ検出および閉ループ充電システムの管理および制御のうちの少なくとも1つのために、前記デジタルインターフェースを介して前記外部プロセッサに配信される。前記外部プロセッサは、前記第2のコイルアセンブリのほぼリアルタイムの電圧および電流測定、第2コイルアセンブリの熱測定、Zギャップの変更、第1のコイルアセンブリまたは第2のコイルアセンブリの障害アラート、充電中のパフォーマンス事象に関するアラート、および前記送信用のプロセッサへの第2のコイルアセンブリに関連する追加の検出データを提供する場合がある。
【0013】
他のサンプルの実施形態では、前記第1の信号および前記第2の信号は、充電サイクルの段階または信号品質の閾値を超えたかどうかに応じて、狭帯域または広帯域信号のいずれかとして構成される。
【0014】
さらに他のサンプルの実施形態では、前記第1の信号および前記第2の信号は、非同期スペクトラム拡散信号として構成される。そのような実施形態では、前記第1および第2の送受信システムはそれぞれ、前記第1および第2の送受信システムが信号と同一チャネル干渉とを区別することを可能にする補完符号系列を送信する直接スペクトラム拡散システムを含む。
【0015】
サンプルの実施形態では、前記ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアは、振幅変調、位相変調、周波数変調、直交周波数分割多重(OFDM)、およびスペクトラム拡散技術のうちの少なくとも2つを使用して出力信号を変調するように適合されている。前記スペクトラム拡散技術は、直接スペクトラム拡散、チャープスペクトラム拡散(CSS)、2値直交変調(BOK)、および周波数ホッピングの少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
さらに別のサンプルの実施形態では、前記第1および第2の送受信システムはそれぞれ、受信機、アナログ-デジタル変換器、前記第1のコイルアセンブリの少なくとも1つからのデータを処理し、前記第1のコイルアセンブリの少なくとも1つおよび処理のための前記外部システム、デジタル-アナログ変換器、および送信機に配信するために前記第2のコイルアセンブリから受信したデータを処理するデジタルプロセッサ、を有する。前記サンプルの実施形態では、前記アナログ-デジタル変換器およびデジタル-アナログ変換器は、独立した集積回路として実装され、前記デジタルプロセッサは、フィールドプログラマブルゲートアレイとして実装される。また、前記アナログ-デジタル変換器、デジタルプロセッサー、およびデジタル-アナログ変換器は、特定用途向け集積回路(ASICc)に常駐するファームウェアとして実装することができる。前記サンプルの実施形態では、各送受信システムの前記デジタルプロセッサは、送信用の入力データを処理し、前記デジタルプロセッサに実装されたソフトウェア構造を使用して、前記他の送受信システムから受信したデータを処理する。前記第1および第2の送受信システムは、任意選択で、少なくとも1つのバンドパスフィルタを含む。
【0017】
第2の態様によれば、車両を充電する方法は、充電信号を受信するように地上アセンブリに対して車両アセンブリを配置することを含むように提供され、前記車両アセンブリは、1つ若しくはそれ以上の充電コイルを有し、各充電コイルは、第1の誘導リンクを介して第1の信号を受信し、第2の誘導リンクを介して第2の信号を送信する第1の送受信システムを有する第1の全二重誘導結合データ通信システムと、前記地上アセンブリは、1つ若しくはそれ以上の充電コイルを有し、各充電コイルは、前記第1の誘導リンクを介して前記第1の信号を送信し、前記第2の誘導リンクを介して第2の信号を受信する第2の送受信システムを含む第2の全二重誘導結合データ通信システムを有する。前記地上アセンブリおよび前記車両アセンブリの前記充電コイルは、充電のための前記地上アセンブリに対する前記車両アセンブリの幾何学的配置に基づいて選択的に有効にされる。前記第1の送受信システムおよび前記第2の送受信システムの少なくとも1つは、出力信号を変調し、前記第1および第2の送受信システムの一方と同じ方法で入力信号を復調するように適合された同じタイプのハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを有するように選択される。
【0018】
サンプルの実施形態では、前記第1の送受信システムおよび前記第2の送受信システムは、振幅変調、位相変調、周波数変調、直交周波数分割多重(OFDM)、およびスペクトラム拡散技術のうちの少なくとも2つを使用して前記出力信号を変調するように適合される。前記スペクトラム拡散技術には、直接スペクトラム拡散、チャープスペクトラム拡散(CSS)、2値直交変調(BOK)、および周波数ホッピングの少なくとも1つが含まれる場合がある。
【0019】
他のサンプル実施形態では、ソフトウェア更新、診断または遠隔測定情報、および乗客娯楽サービスデータのうちの少なくとも1つは、充電中に第1および第2の誘導リンクを介して前記地上アセンブリと前記車両アセンブリとの間で通信される。故障事象が前記地上アセンブリによって検出されたまたは前記車両アセンブリから受信された場合に、前記充電信号が無効になることがある。
【0020】
他のサンプル実施形態では、前記第1の送受信システムは、前記車両アセンブリおよび外部システムからのコマンドおよびデータの少なくとも1つを処理して前記地上アセンブリに送信し、前記地上アセンブリから受信したデータを処理して前記車両アセンブリおよび前記外部システムの少なくとも1つに配信する。前記第1の信号、前記第2の信号、および前記充電信号に関連する測定値もまた、処理のためにデジタルインターフェースに提供される。前記測定値には、信号強度、スペクトラムノイズ密度に対するビットあたりのエネルギーの比率、周波数、および前記車両アセンブリと地上アセンブリの第1および第2アンテナ構造での振幅と位相シフトの少なくとも1つを含めることができる。前記測定値は、位置合わせ検出および閉ループ充電システムの管理および制御の少なくとも1つのために、前記デジタルインターフェースを介して外部プロセッサに配信される。
【0021】
さらに他のサンプルの実施形態では、前記方法は、前記車両アセンブリのほぼリアルタイムの電圧および電流測定値、前記車両アセンブリの熱測定値、前記車両アセンブリを含む車両のロードまたはアンロードによるZギャップ変化、地上アセンブリまたは車両アセンブリの障害アラート、充電中の動作事象に関するアラート、および前記車両アセンブリから前記地上アセンブリまでの前記車両アセンブリに関連する追加の検出データのうちの少なくとも1つを送信することを含む。
【0022】
さらに別のサンプルの実施形態では、前記方法は、充電サイクルの段階に応じて、または信号品質が閾値を超えたかどうかに応じて、前記第1の信号および前記第2の信号を狭帯域または広帯域信号として構成することを含む。
【0023】
さらに別のサンプルの実施形態では、前記方法は、前記第1の信号および前記第2の信号を非同期スペクトラム拡散信号として構成することを含む。補完符号系列は、前記第1および第2の送受信システムが信号と同一チャネル干渉とを区別することを可能にする前記第1および第2の送受信システム間で送信される。
【0024】
第3の態様によれば、少なくとも2つの独立したコイルを有するクラスター化地上アセンブリを含む車両充電システムが提供され、各コイルは、第1の誘導リンクを介して第1の信号を送信し、第2の誘導リンクを介して車両から第2の信号を受信する送受信システムを含む第1の全二重誘導結合データ通信システムを有し、前記第1および第2の信号は、前記車両の充電中に前記クラスター化された地上アセンブリと前記車両との間で通信される。前記クラスター化された地上アセンブリは、単一のマクロ地上アセンブリを形成するために、至近距離で連続した方法で取り付けられた個々の地上アセンブリを含むことができる。
【0025】
サンプルの実施形態では、充電される前記車両は、単一の車両アセンブリで達成されるよりも高い電力伝達を可能にするように取り付けられた2つ若しくはそれ以上の車両アセンブリを有し、前記クラスター化された地上アセンブリは、前記2つ若しくはそれ以上車両アセンブリの形状に一致するように構成されたコイルを含む。
【0026】
さらなるサンプルの実施形態では、前記充電される車両は、前記クラスター化された地上アセンブリに一致する形状のクラスター化された車両アセンブリを装備される。前記クラスター化された車両アセンブリは、少なくとも2つの独立したコイルを含み、各コイルは、第2の誘導リンクを介して前記第2の信号を送信し、前記第1の誘導リンクを介して前記クラスター化された地上アセンブリから前記第1の信号を受信する送受信システムを有する第2の全二重誘導結合データ通信システムを有し、前記第1および第2の信号は前記車両の充電中に前記クラスター化された地上アセンブリと前記クラスター化された車両アセンブリ間で通信される。
【0027】
前記クラスター化された車両アセンブリおよび前記クラスター化された地上アセンブリは、それぞれ2つ若しくはそれ以上の機能的に同一のアセンブリを含み、各機能的に同一のアセンブリは、磁気誘導アンテナおよび共通の共振誘導コイルユニットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の前述のおよび他の有益な特徴および利点は、添付の図に関連する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1図1は、地上側および車両側の伝送装置のサンプル実施形態の概念図を示している。
図2図2は、全二重無線周波数データリンクのサンプル実施形態を示している。
図3図3は、自己干渉を回避するために前記図2のサンプル実施形態によって採用された低調波波形を示している。
図4図4は、前記図2のサンプル実施形態で使用されるデジタル振幅偏移変調の表現を示している。
図5図5は、前記図3に示す波形を生成する前記低調波発生回路の実施形態を示している。
図6図6は、前記図2の実施形態で使用されるデジタル振幅偏移変調の表現を示している。
図7図7は、受信機レベル検出回路の実施形態を示している。
図8図8は、自己干渉除去のための装置の実施形態を示している。
図9図9は、本明細書で説明される通信方法論を使用する動的充電の実施形態を示す。
図10図10は、サンプルの実施形態における伝送装置のクラスター化された展開の例を示している。
図11a図11aは、サンプルの実施形態でワイヤレス電力伝送(WPT)システムの誘導結合通信システム(ICCS)によって使用される信号伝達と構成要素を示している。
図11b図11bは、前記ワイヤレス電力伝送(WPT)システムの誘導結合通信システム(ICCS)用のダイバーシティレシーバーアンテナの例を示している。
図12a図12aは、サンプルの実施形態における前記ICCSの機能要素を示している。
図12b図12bは、前記車両側アセンブリと前記地上側アセンブリを含む前記ICCSのサンプルハードウェアの実施形態を示している。
図13a図13aは、サンプルの実施形態において、単一列の地理的配置で展開された駐車場に実装されたワイヤレス充電ステーションの俯瞰図を示している。
図13b図13bは、サンプルの実施形態において2列の地理的配置で展開された駐車場に実装されたワイヤレス充電ステーションの俯瞰図を示している。
図14図14は、サンプルの実施形態で動的充電が可能になっている高速道路の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
電動車両の充電に使用するためのサンプルの実施形態を図1~14に関して説明するが、当業者は、本明細書で提供される教示が他の非車両共振磁気誘導ワイヤレス電力伝送システムで使用できることを理解するであろう。そのような実施形態は、本開示の範囲内にあることを意図している。
【0030】
図1は、2つの装置、地上側無線電力伝送装置に関連する地上側装置、および車両側無線電力受信装置に関連する車両側装置が提供されるサンプル実施形態の概念図を示す。図1に示される前記データリンクは、例えば、米国特許第10,193,400号に記載されている前記コイル位置合わせエラー検出装置に実装される。図1に示すように、前記地上側装置は、周波数乗算器10、送信用の入力データを受信するデータ変調器20、および前記車両側装置からの返信リンク上のデータを受信して出力データを提供する同期検出器30を含む。同様に、前記車両側装置は、周波数乗算器40、前記地上側装置から送信リンクでデータを受信するホモダイン検出器50、および前記送信リンクでデータを前記地上側装置に送信する変調器60を含む。前記地上側装置のループアンテナ70および70'は、従来の方法で、前記車両側装置のループアンテナ80および80'との誘導によってワイヤレスで通信する。前記地上側装置に配置された水晶制御基準発振器90は、送信および検出に必要なすべての無線周波数信号のコヒーレント生成のための共通の基礎を提供する。これは全二重通信装置であるため、前記地上側から前記車両側装置への送信リンクと、前記車両側から前記地上側装置への返信リンクの2つの独立した送受信リンクがある。前記車両側ループアンテナ80および80'は、通常、前記車両の前記導電性車体底部の下に配置され、前記地上側ループアンテナ70および70'に対して平行である。
【0031】
ここで説明され、図1に示されている前記システムと方法は、次のように従来の無線データ通信とは異なります。
-通信経路は全二重で双方向であり、前記地上側装置から前記車両側装置への送信経路と、前記車両側装置から前記地上側装置にデータを送信する第2の返信データ経路とを有する。
-電子通信メカニズムは、従来の無線周波数データ通信の非近接場の自由空間伝搬ではなく、衝突する磁場エネルギーに敏感な2つのアンテナ707、80および70'、80'間の近接場、磁場連結である。
-前記送信経路信号搬送波は、周波数増倍による二次経路信号の生成の基礎を提供する。これは、前記二次経路信号が前記送信経路信号に調和的に関連しており、返信経路同期検出のために同期的でコヒーレントな基準信号を導出するという技術的な困難が回避されることを意味する。
さらに、前記コヒーレントで調和関係にある送信経路信号により、隣接する駐車区画内の他の同一の装置から発信される同一チャネルおよびオフチャネル干渉の単純で明確な除去とデータリンク信号の除去が可能になる。
【0032】
図2に示される例示的な実施形態では、基準発振器90からの前記送信経路周波数は13.560MHzである。前記返信経路は、前記送信経路の3次高調波である40.680MHzで動作する。両方の周波数は、非通信の産業科学医療(ISM)用に国際的に割り当てられている。通信の使用は、規制上の要件が緩和されたISMチャネルにおいて許可されているが、他のすべてのISMチャネルユーザーからの干渉は受け入れられる。本明細書に記載の前記コヒーレントトランスポンダーシステムの非放射性の近接場の性質は、典型的な用途における前記車両の導電性車体底部および前記接地面によって構成される遮断構造の下の前記導波管とともに、前記記載されたシステムを同一チャネル干渉に対して非常に耐性にし、この理由のためにISMで割り当てられた周波数での使用に適合させる。
【0033】
前記送信経路信号の生成は、13.560MHzの周波数で動作する基準水晶発振器90から始まる。この信号は、図1の前記変調器20を一緒に構成する第3高調波キャンセル回路22および振幅偏移変調器24を含む波形生成段階に適用される。もちろん、周波数シフト変調器、QPSK変調器などの他のタイプの変調器などを使用できる。例示的な実施形態では、振幅偏移変調器24は、図3に示される長方形の波形を生成し、ここで、Tは波形周期であり、前記第3高調波電力はほぼゼロである。平衡給電を備えた小型ループアンテナ70は、前記送信経路通信アンテナとして機能し、第2の、車載の平衡給電、小型ループアンテナ80は、前記送信経路受信アンテナとして使用される。両方のアンテナ70、80は、前記動作周波数での波長よりもはるかに小さいため、自由空間送信アンテナとしては不十分である。しかしながら、物理的に近接している場合、前記2つの小型ループアンテナ70、80は、有意な自由空間伝搬なしに送信および返信の両方の通信経路を可能にする有意な相互磁場連結を有する。
【0034】
「Engineering Mathematics Handbook、Third Edition、Tuma、Jan.、McGraw-Hill 1987 ISBN 0-07-065443-3」から、図3に示す修正正弦波形のフーリエ級数係数は次のようになる。
【0035】
【数1】
【0036】
最初の20個のフーリエ級数係数のうち、6個を除くすべてがゼロである。前記非ゼロ係数は5番目と7番目であり、-14dBと-16.9dBに抑制され、11番目と13番目は-16.9dBと-20.8dBが抑制され、17番目と19番目は-22.9dBと-25.5dBが抑制される。数学的に理想的な波形には無限の3次高調波抑制があるが、実際の実装では、0-1と1-0の論理伝搬遅延が等しくないことや、その他の小さな波形の非対称性により、高調波のキャンセルが無限にならない。それでも、図5に示す回路を備えた前記3次高調波キャンセル回路22によって生成された図3の波形は、優れた3次高調波抑制(3次高調波エネルギーがゼロに近づく)と前記送信伝送経路と前記40.680MHz返信経路の検出を有する。残りの残留第3高調波エネルギーは、必要に応じて、従来の高調波フィルタリング技術を使用してさらに抑制される。
【0037】
図5に示す前記低3次高調波発生回路は、PLL周波数乗数108によって前記基準発振器90からの13.560MHz周波数から導出される、前記目的の出力周波数の6倍でクロックされる3つのDフリップフロップ102、104、106で構成される歩行リングカウンタで構成される。一対のNANDゲート110、112は、前記歩行リングカウンタをデコードして、対称的なプッシュプル構成に配置された2つのトランジスタ114、116によって前記送信リンクループアンテナ70を駆動する所望の矩形波を生成する。電圧源122に接続された前記2つの無線周波数チョーク118、120のインダクタンスは、図5に示される前記ループアンテナ70および前記アンテナ共振コンデンサ124の前記インダクタンスと組み合わされて、残留高調波エネルギー、特に図示の実施形態における第3の高調波の抑制を提供する共振回路を構成する。
【0038】
図2に示されるように、例示的な実施形態では、振幅偏移変調(ASK)変調は、前記送信リンク送信段階供給電圧の値を変化させることによって振幅偏移変調器24によって送信リンク搬送波に課される。論理1ビットは、前記送信段階が完全な供給電圧で動作する完全な信号振幅としてエンコードされる。論理ゼロビットは、前記完全な信号振幅の半分としてエンコードされ、前記送信段階は減弱した電源電圧で動作する。このように前記送信機段の供給電圧を変化させると、図4に示す前記送信波形が生成される。
【0039】
前記送信リンクの前記車両側では、可変利得制御増幅器52がループアンテナ80からの受信信号振幅を増加させる。前記受信信号は論理ゼロビットに対してもゼロ以外の値を有するので、13.56MHzの搬送波が常に存在する(図4を参照)。前記増幅された受信信号の一部は、振幅データ変調によって導入されたものと、前記2つの送信経路ループアンテナ70、80との間の前記磁場連結の偶発的な変化によって生じたものの両方の受信信号振幅変動を除去する制限増幅器54に適用される。前記制限増幅器54の前記出力は、前記受信信号の瞬間的な極性を示す一定振幅の矩形波である。前記制限増幅器54に適用されない前記可変利得増幅器出力の部分は、乗法ミキサー56の一方の入力に適用される。前記制限増幅器54の出力は、前記他方のミキサー入力を駆動する。前記制限増幅器54および前記ミキサー56は、前記入力信号搬送波が抽出され、前記入力信号を同期的に検出するために使用される前記ホモダイン検出器50を有する。コヒーレント検出の完全な利点を達成するために、前記制限増幅器54の伝搬遅延は無視できるか、または補償される。前記ホモダイン検出器50の前記出力は、前記入ってくる振幅変調信号の全波整流に相当する。抵抗-コンデンサローパスフィルタリングは、2倍の搬送波周波数リップルを除去し、印加されたシリアルデジタル変調に従って振幅を変化させる直流電圧を残す。前記搬送波リップルフィルタリングされたポストホモダイン検出器信号は、自動利得制御(AGC)制御ループ58に給電し、振幅レベル検出によって前記送信経路シリアルデータも抽出するレベル検出回路59に適用される。その実装については、図7を参照して以下で詳しく説明する。
【0040】
前記制限増幅器54によって回収された前記送信経路搬送波は、パルス発生器として実装された周波数トリプラー42に適用され、続いてフィルターまたは同等に最初に水晶フィルター44を通過した後、位相ロックループが続き、十分に強い送信リンク信号が存在することによって、周波数の競合を回避できる。結果として生じる40.680MHzの搬送波は、前記返信データ経路上のシリアルデジタルデータをエンコードするために、以前と同様に100%および50%の変調レベルを使用して第2の振幅偏移変調器62に適用される。前記返信経路振幅偏移変調器62は、図5の要素102~112が必要ないことを除いて、以前のように小型共振ループアンテナ80'を駆動する。
【0041】
前記返信リンクの前記地上側には、アンテナ70'と自動利得制御(AGC)回路34によって制御される増幅器32を受信する小さな共振閉回路がある。前記受信した返信経路信号の同期検出は、周波数3倍の手段による40.680MHzの同期検出基準信号を生成することによって実装される。前記同期検出基準信号の周波数誤差は、前記装置の全体的な設計によってゼロであることが保証されているが、ゼロ位相誤差は保証されておらず、直角位相チャネル位相検出と位相調整器段階の位相ロック閉回路制御を使用して得られる。周波数3倍器14の後ではなく前に前記位相調整段階(位相調整器12)を置くことは、位相同期検出を保証するために前記同期検出器30で必要とされる完全な360度ではなく、合計位相調整制御範囲が120度を超える必要があることを意味する。40.680MHzでの直角位相基準信号の生成を容易にするために、前記水晶発振器90からの前記地上側13.560MHz信号に、90度オフセットされた2つの矩形波を出力する周波数3倍器14によって増加される。前記周波数3倍器14は、図6に示すように、IおよびQ同期検出基準信号を取得するためのDフリップフロップ130、132を含む2回路による直角位相除算が続く6位相ロッ直角位相周波数乗算器の係数によって実装される。17で出力されたQチャネル信号が0Vに等しいとき、位相誤差がないことが理解されよう。しかしながら、17での出力が0Vでない場合、位相誤差があり、位相調整器12の前記位相ロック閉回路動作は、前記位相差をゼロに駆動するように機能する。
【0042】
前記可変位相調整回路12は、可変供給電圧を備えた一連の容量負荷の論理インバーターとして実装されている。前記容量性負荷は、インバーター入力からインバーター出力への伝搬遅延を増加させる。供給電圧を上げると、インバーターの伝搬遅延が減少し、それによってインバーターの位相調整が減少する。前記Qチャネルミキサー17および関連する調整フィルター16によって構成される従来の位相ロック閉回路は、前記同期検出器30のQチャネル出力をゼロに駆動し、それにより、前記Iチャネル振幅検出のための適切な位相同期を保証する。
【0043】
前記同期検出器36の前記Iチャネルミキサー38は、増幅器32の前記出力を周波数3倍器14の前記Iチャネル出力と混合し、それにより、前記レベル検出回路36に前記入力信号を提供する。前記車両側の送信経路、レベル検出回路59は、前記設置側の前記返信経路、レベル検出回路36と同じであるが、前者は、前記搬送波検出機能および前記返信経路信号の存在を検出する関連する電圧比較器138(図7)を含む。
【0044】
図7は、前記受信側レベル検出回路36の実施形態を示している。全波精密整流器136によって駆動されるピーク保持コンデンサ344は、前記検出された最大電圧レベルを保持し、次に、前記AGC回路34によって一定値に保持される(図2)。前記AGC振幅安定化されたピーク検出電圧は、1-0シリアル、バイナリ検出電圧比較器138の基準電圧および図4に示す前記検出後波形の前記ピーク値のそれぞれ25%と75%での電圧比較器の基準電圧を設定するR-2R-R抵抗分圧器142によって前記搬送波検出電圧比較器140の前記基準電圧を提供する。前記搬送波検出電圧比較器140は車両側の故障発生の迅速な表示を提供する。突然の予期せぬ負荷制限など前記車両側で障害が発生した場合、前記返信リンク搬送波はただちに無効になる。前記地上側の装置は、検出前後のフィルタ遅延によってのみ遅延した前記搬送波除去を検出し、ワイヤレス電力伝送を即座に停止する。前記ピーク保持機能の全値は、前記AGC増幅器34の利得を調整し、したがって増幅器32の前記利得を調整して、前記ピーク保持コンデンサ134の電圧を前記AGC設定点146の電圧に等しく維持する前記AGC積分器144に適用される。前記従来型の高精度整流器136は、前記入力電圧の絶対値に比例する出力電圧を生成し、演算増幅器フィードバック経路内に配置された1つ若しくはそれ以上の小信号ダイオードからなり、前記ダイオードの送信電圧降下を効果的にキャンセルし、それによって最小のエラーで低レベル信号の高精度整流を可能にする構成である。
【0045】
あるいは、返信リンク同期検出は、コヒーレントであるが、位相同期されていない、IおよびQ検出チャネルを利用することによって行うことができる。振幅および位相変調は、振幅が前記IおよびQチャネルの二乗平均平方根であり、前記位相角が前記IおよびQの比率の逆正接である従来型の方法で抽出することができる。この代替の実施形態では、前記位相シフトおよび位相ロック回路は必要ない。
【0046】
図1図2は、4つのループアンテナを示している。一対の前記送信リンク用の送受信アンテナ70、80および一対の前記返信リンク用の第2のアンテナ70'、80'である。代替の実施形態では、前記一対の送信及び返信リンクアンテナは、従来型のアンテナ共用器を備えた単一ループアンテナに統合して、前記送信および受信リンク信号を分離および分離することができる。同様に、一方または両方のデータリンク信号を、前記ワイヤレス電力伝送コイル、または米国特許第10、193、400号に記載されている前記コイル位置合わせエラー検出装置の一部である渦電流生成コイルなどの補助電磁構造に多重化することも可能である。
【0047】
簡素さとコスト削減の理由から、前記送信と返信経路が共通のアンテナ構造を共有することが望ましい。問題は、単一のアンテナ構造に機能を組み合わせることによって直面する相互およびその他の電気信号からの前記送信方向経路と前記受信経路の信号の組み合わせおよびその後の分離である。通常は、信号の組み合わせを実装するには、分離とルーティングの2つの一般的な方法がある。第1の方法は、信号の流れの方向によって送信方向と返信方向の経路信号を区別するハイブリッド変圧器、ハイブリッド連結器、または方向性連結器を使用する。第2の方法は、周波数に基づいて信号を区別する周波数選択フィルターに依存している。周波数選択マルチプレクサは、LC集中構成要素、分散構成要素、または複数の共振素子と連結素子を含むモノリシック回路として実装できる。周波数分割多重化機能ブロックは、信号方向と信号周波数弁別の両方を組み合わせることができる。
【0048】
信号マルチプレクサ機能ブロック(回路)の性能は、図8に示すように、前記電子信号キャンセルの追加によって向上させることができる。前記電子信号キャンセル機能ブロック(回路)は、共通の送信/返信経路アンテナと前記受信機の間の前記経路に取り付けられる。前記共通アンテナは信号スプリッタ204のポート202に接続されている。1つのスプリッタ出力は、分離増幅器208によってミキサー206の入力ポートに送られる。キャンセルされる前記信号のサンプルがポート210に印加され、前記印加された信号は可変位相調整器212によって同相に調整され、制限増幅器214によってミキサー206の前記ローカル発振器ポートに適用される。前記ミキサー206の出力は、ループフィルタ216に適用され、次に、前記可変移相器212の制御ポートに適用される。構成要素212、214、206および216は、前記キャンセル信号がポート202に適用された不要な信号構成要素と90度位相がずれていることを保証する位相制御ループを構成する。ゼロ位相エラーは、ミキサー206の前記出力でのゼロ直流電圧に対応する。
【0049】
図8に示されるように、スプリッタ204の第2の出力は、分離増幅器220によって結合器218に送られる。図示のように、信号結合器218、スプリッタ222、絶縁増幅器224、ミキサー226、ループフィルタ228、および減衰器230は、一緒になって、振幅制御ループを構成する。位相調整器212によって出力された前記直角位相サンプル信号の一部は、前記固定された90度位相調整器232に適用され、前記キャンセル信号の180度逆位相バージョンを作成し、制御減衰器230を通過して信号結合器218に入り、前記キャンセル信号の振幅が正しければ、前記不要な信号の完全なキャンセルが実行される。前記結合器218の出力信号の一部は、スプリッタ222を介して234の前記受信機入力に向けられる。別の部分は、絶縁増幅器224を介して、前記180度の位相のずれたキャンセル信号の減衰されていない部分によって駆動されるコヒーレント振幅検出器として機能するミキサー226の前記信号ポートに向けられる。ミキサー226の前記出力は、前記可変減衰器230を制御するループフィルター228を通過する。当業者は、ゼロキャンセル信号振幅誤差が、ミキサー226の前記出力におけるゼロ直流電圧に対応することを理解するであろう。
【0050】
動作中、車両がワイヤレス充電ステーションに近づくと、通信が充電が開始される前に確立される。充電が開始されると、全二重通信を使用して、転送された電力レベル、出力電圧、電流、適切なシステム動作の監視を含む前記ワイヤレス電力伝送操作の複数の側面を仲介および制御する。制御通信を確立するために、前記地上設備は、車両が生成する返信経路信号を聞いている間、連続的または定期的に送信経路信号を発することができる。二重通信は、車両が生成した逆方向経路信号を検出すると開始される。あるいは、前記車両側電子機器は、前記ホモダイン検出器50によって回収され、前記地上側電子機器によって非コヒーレントに検出される、通常使用される搬送波の代わりに、一時的な水晶発振器(図示せず)から一時的に導出される返信経路信号と最初に接触することができる。前記車両信号を地上側で受信すると、前記地上側機器は順方向経路信号を発信する。車両側の通信開始の場合、前記車両側装置は前記一時的な水晶発振器を無効にし、ホモダイン検出と搬送波回復が成功するとコヒーレントトランスポンダー動作に戻る。
【0051】
上記の両方の開始方法は、順方向または逆方向経路信号の前記放出に依存している。通信はまた、順方向または逆方向の経路放出なしで有利に開始される。例示的な実施形態では、前記地上設備は、ワイヤレス電力伝送コイルの前記インピーダンスのオーバーヘッド車両によって引き起こされる変化を検出し、順方向経路信号を放出することによって応答する。この実施形態は、不必要な信号放出を低減または排除し、いくつかの規制環境において有利である。前記ワイヤレス電力伝送コイルに加えて、前記開始インピーダンスの変化は、前記コイル位置合わせ補助コイルまたは前記近距離無線通信アンテナでも検出できる。インピーダンスの変化に加えて、絶縁された電磁要素間の相互インピーダンスの変化も通信を開始するために使用される場合がある。
【0052】
本明細書に記載の例示的な実施形態では、40.680MHzの前記逆方向信号は、13.560MHzの前記順方向信号周波数の単純な整数倍であり、両方の信号は、既存の国際的に指定されたISM-産業科学医療-周波数割り当て内にある。他の周波数および非整数周波数比の周波数ペアも使用できる。例えば、中心周波数が2450MHzと5800MHzの2つの国際ISM周波数帯域も使用できる。従来型の位相ロックループ技術と組み合わされた本明細書に記載のコヒーレントトランスポンダ基本設計概念は、周波数比M/N 116/49、ここで、M=5800MHzおよびN=2450MHz、の2450MHz信号と周波数同期される5800MHz信号を生成する。ISM周波数帯と非ISM周波数帯周波数の他の組み合わせ、他の整数または有理分数周波数との周波数ペア、および複数の同時送信および受信搬送波周波数も可能である。例えば、複数の返信経路データチャネル、ここで、MおよびNが整数である、前記第1の誘導性リンクの前記送信周波数の異なるM/N倍数でデータを送信する各返信経路データチャネルも使用される。全二重の周波数コヒーレント通信は、近接場伝搬とは対照的に、遠距離場によってリンクされた前記地上および前記遠隔装置との通信も可能である。
【0053】
動的充電
動的電動車両充電は、車両が動いている間に電動車両に電力を供給する特殊なケースである。図9に示されるように、前記動的充電の使用は、複数の独立した送信機300が直線状アレイの道路に設置され、標的車両310、312が前記直線状アレイ300上を移動するときに制御された順序で通電される共振磁気誘導を使用して達成される。動的充電は、送信機300の前記アレイ上を移動する車両310が1台だけである場合、またはより現実的な状況では、送信機300の前記アレイ上を移動する異なる型、速度、および電力要件の複数の電気自動車310、312がある。後者の場合、特定の送信機300の通電の順序付けは、前記アレイ内で可変であり、前記様々な車両型およびそれらの動き、本質的に予測不可能な要因に依存するであろう。したがって、動的充電の技術要件は、特別な技術的課題をもたらす。上記のシステムは、以下に列挙する動的充電の複数の問題を解決する。
【0054】
動的充電の最も深刻な問題は、車両間および地上から車両への通信の必要性であり、この通信では、前記充電システムを指揮および制御するための要件として、離散的、高速、識別性が高く信頼性の高いデータが転送される。このデータは、地上に埋め込まれた誘導電力送信機の一連のアレイを通過する可能性のある1台または複数の車両の場合に前記充電システムを操作するために必要である。
【0055】
図9に示されるように、誘導電力送信機300のアレイが車道の下に設置され、各送信機300は、前記車道の長手方向軸に沿って直列アレイに配置される。前記意図は、電動車両310、312によって駆動されたときに、誘導送信機300の前記直線アレイ上を移動する前記車両310、312に電力を供給できる車道の長さを提供することである。前記車両受信機の真下にある前記送信機300のみが通電されることが望ましい。それらの上に車両がない前記送信機300は、不活性のままでなければならない(すなわち、通電されていない)。
【0056】
誘導動力伝達のすべての例でここで説明する前記動的充電モードであろうと、単一の電力受信機を装備した車両が駐車され、単一の電力送信機の上で動かないままである上記のより単純な定常充電の場合であろうと、車道に埋め込まれているため、前記車両設置の受信機と前記地上設置の送信機の間で通信が行われる。これは、車両の識別、エネルギー購入の請求、電流と電圧の調整、共振周波数、垂直ギャップ分離距離、一次から二次への位置合わせ、および安全な操作や緊急時の給電停止などの他の目的に適している。これは、前記車両に組み込まれた前記単一の送信機が複数の独立した送信機と順番に通信することを除いて、移動中に充電している移動中の車両の場合にも当てはまる。この移動する1対1の関係は、非常に重要な通信上の課題を課す。
【0057】
移動する車両を充電するための動作方法は、前記直線アレイ内の各独立送信機300に電圧を加えて、前記車両受信機320が各独立送信機300を通過するときに連続パターンで共振磁場を生成させることである。車両の型式、その特定の充電要件、その速度、前記送信機300に対する位置合わせ、およびその予測される軌道はすべて、この問題を解決することを困難にする重要な要因である。
【0058】
図9に示されるように、車道に埋め込まれた送信機300のアレイが2台若しくはそれ以上の車両310、312の存在を同時に経験し、各車両310、312の前記変動する条件に応答する場合が確実にそれにあたる。この場合、各車両310、312とそれが配置されている前記特定の地上送信機300との間の通信は、他の車両310、312が混乱したり、近くの車両310、312からのデータ送信が受信されて誤読されたりしないように、離散的かつ識別的である。前記要件には、前記データ通信システムが前記目的の車両310、312の前記標的領域に近位に制約されることが含まれる。比較すると、ラジオ放送およびWi-Fiなどの他のシステムは、多くの近くの車両によって容易に受信される範囲を有する。
【0059】
第1の要件は、2メートル未満に制限されている非常に近位の送受信機能を有することである。(60MPHで移動する車両は、毎秒88フィート移動する。前記受信機が前記送信機にさらされる時間は、0.02秒のオーダーになる場合がある。この時間枠では、0.04~0.07秒のデジタル通信システムに典型的な信号伝送の時間遅延は明らかに受け入れられない)。
【0060】
第2の要件は、前記信号に時間遅延(または待ち時間)がないまたは非常に小さいということである。これが必要なのは、前記車両310、312が前記複数の送信機300上を高速で移動している可能性があり、前記車載受信機320と任意の1つの送信機300との間の個別の通信が保証される必要がある。
【0061】
第3の要件は、前記通信システムが、送信機300の前記順序立てられたアレイへの通信を「ハンドオフ」または順序付けできることである。これは、送信機300を互いに配線することによって、または1つの送信機300が本明細書に記載の前記近接場通信システムを使用して前記順序立てられたアレイ内の前記隣接する送信機300をアドレス指定するために通信できるようにすることによって行うことができる。
【0062】
第4の要件は、前記車両310、312が前記送信機300上に存在する前記非常に短い期間で、データが前記車両から前記地上へ、そして地上から車両までの両方向で交換されることを保証するために、全二重動作または双方向性である。
【0063】
第5の要件は、全ての気象および環境条件下で通信が中断されないようにすることである。これは、本明細書で説明するように、水、雪、氷、および他の悪路の表面状態を介した通信を可能にする磁気エネルギーを使用することによって達成される。
【0064】
第6の要件は、前記車両310、312の遠位にある複数のアンテナの問題を回避することである。複数の遠位アンテナは、マルチパス信号無効化などの道路舗装および車体干渉のために重大な問題をもたらす。複数のアンテナを使用した信頼性の高い車両識別は、悪意のあるハッキングやその他のサイバー破壊行為を回避することを保障することは困難である。
【0065】
当技術分野の当業者は、本明細書に記載の通信システムがこれらの要件のそれぞれに対して均一な解決策を提供することを理解するであろう。
【0066】
上記のように、動的充電は、前記車両310、312が前記車道の送信機300を通過するときに、運転中に移動する車両を充電することを可能にする。各送信機300は、その上に車両310、312の存在を予測するので、制御された順序で通電される。前記車両受信機320は、いずれか1つの充電ステーションの上に短時間「存在」するだけであるため、前記車両の受信機と前記充電ステーションの送信機とがリアルタイムで相互に関連している場所を知る順序付システムが必要である。理想的には、先行連鎖可動手順は、前記車両受信機320と同じ速度で移動する磁気エネルギーの進行波を効果的に確立する。これを行うためには、本明細書で説明するような最小の待ち時間を備えた通信システムが必要である。上記のように、本明細書で説明される前記通信システムは、非常に高速(ほぼゼロの待ち時間)であり、非常に近接であるため、前記受信機320が送信機300に対してどこにあるかがわかる。したがって、動的充電を可能にするために、本明細書に記載の前記通信システムを備えた一連の充電ステーションが提供される。動作中、各充電ステーションおよび/または車両送信機は、例えば、車両の識別、電力購入の請求、電流と電圧の調整、共振周波数、垂直ギャップ分離距離、一次から二次への位置合わせ、および、安全な動作および緊急電源遮断、位置、タイミング、軌道、および/または次の送信機への前記車両310、312に関する速度情報などのその他の目的を含む情報を提供し、そのため移動中に前記車両のワイヤレス充電受信機320が前記送信機300上に配置されると、次の送信機が可動する。
【0067】
堅固なハイブリッド代替の実施形態
本明細書に記載のタイプのワイヤレス電力伝送(WPT)システムの場合、地上側充電システムと車両側充電電子機器との間の安全で明確な2地点間、低遅延、全二重リンクも必要である。前記通信リンクは、バッテリー管理システム(BMS)コマンドおよび地上と車両の電子機器間のその他の通信シナリオをサポートする必要がある。
【0068】
サポートされている運用シナリオには、国内および国際市場のさまざまな気象条件下での静的および動的充電が含まれる。誘導結合通信システム(ICCS)は、ライセンスのある同一チャネルユーザーとライセンスのない同一チャネルユーザーの両方がいる過密した無線環境で信頼性があり、同時に干渉を最小限に抑える。この同じ誘導通信システムは、水、雪、氷が立ちはだかっても機能するように設計されている。
【0069】
一実施形態では、共振誘導のワイヤレス電力伝送システムを制御するための前記狭帯域全二重、低遅延、近接場データリンクは、前記地上側アセンブリ(GA)と車両側アセンブリ(VA)間の広帯域全二重、低遅延、近接場データリンクによって増強または置き換えられる。この改善された(ハイブリッドまたは広帯域)ワイヤレス二重データリンクにより、セキュリティの強化、データレートの向上、動的帯域幅の選択、周波数の俊敏性、および変調方式の敏捷性が可能になり、ローカルスペクトラム規制、電磁界(EMF)の安全性、および近接場誘導結合通信システムで使用するためのデータレート要件に対応できる。
【0070】
可能な限り幅広い静的展開構成をサポートするには、前記データリンクは、隣接または近接する地上側アセンブリの設置によって生成される干渉に耐える必要がある。近接設置は、距離(地理的または駐車場の場合は垂直方向)または遮蔽構造(例えば、駐車場内のように縁石または床面)のいずれかによって減衰される。隣接するシステムは、次の車両の駐車位置または車線に配置される場合がある。いくつかの隣接する事例では、複数のクラスター化された地上アセンブリが、一致する配列で対応するクラスター化された車両アセンブリを備えた同じ駐車位置または車線が与えられた車両に展開される。「マクロ」GAが複数のより小さなクラスター化されたGAで構成される隣接展開が可能である。
【0071】
動的充電展開構成では、例えばGAを備えた走行車線では、前記データリンクは、隣接または近接する地上側アセンブリの備え付けによって生成される干渉に耐えるだけでなく、一連の地上側アセンブリ間または地上側アセンブリクラスター間の滑らかな基地局切り替え機能をサポートする必要がある。滑らかな基地局切り替えでは、前記車両の充電プラットフォームは、前記GAを備えた走行車線を移動するときに、連続する地上アセンブリへの複数のデータリンクを順番にサポートする。
【0072】
クラスター化された充電器のシナリオ
単一のコイルアセンブリを独立型の地上アセンブリ(GA)として展開でき、2若しくはそれ以上のコイルアセンブリをクラスター化して、より高い電力伝達が可能なより大きな(幾何学的に)地上アセンブリを実現できるモジュラー式コイル設計は、ユーザーのニーズに合わせたWPTシステムに合わせるのに有利である。例えば、バス、トラック、列車、建設機器、またはワイヤレス電力伝送を必要とするその他の車両の場合、クラスター化された地上側アセンブリと対応する車両側アセンブリ(VA)が互いに隣接して取り付けられている必要があり(例えば、各コイルアセンブリに独自の二重誘導通信がある隣接して取り付けられた4つの50kw充電コイルで構成されるVAを備えたバス)、1つのコイルの通信信号と隣接するコイルの通信信号との干渉を軽減する必要がある。
【0073】
この展開の柔軟性により、前記車両には1つ、2つ、若しくはそれ以上の車両アセンブリが取り付けられ、単一のVAで達成できるよりも高い電力伝達が可能になる。同様に、前記地上アセンブリ(GA)をクラスター化して、前記VA設備の形状に一致するように選択的に有効にすることができる。このようなクラスター化された展開では、単一のGAが緊密に連続してインストールされ、単一のマクロGAが形成され、固有の放射電力の減衰範囲の制限により、近接する他のデータリンクに干渉しないという前記近接場データリンクの固有の利点が影響を受ける。前記近接場の誘導通信リンクでは、前記磁場強度と磁場パワーがそれぞれ1/(r3)と1/(r6)の割合で低下する(ここで、r=半径)。
【0074】
アンテナからの前記非近接場放射磁場は、磁場強度の場合は1/r、磁場エネルギーの場合は1/r2としてのみ減衰するが、約λ/2nまでの距離では前記近接場磁場が支配的である。例えば、13.56MHzでの前記磁気誘導近接場伝送アンテナの前記放射抵抗は、前記エネルギーの大部分が前記近接場で連結されるため、その無効インピーダンスと比較して非常に小さくなる(通常の比率は0.0005未満である)。従って、前記磁気信号の前記非近接場での伝播エネルギーは、同等の意図的な放射システムのエネルギーと比較して無視できる。距離に伴う前記磁場のこの強力な減少は、同じクラスター化コイルアセンブリの隣接するコイルからの信号の処理に注意が払われているが、隣接する車両または充電ステーションのコイル間の干渉の心配がないことを意味する。
【0075】
図10は、例示的な実施形態におけるクラスター化された展開の例を示している。この場合、前記車両(例えば、バス)1001には、前記車両1001の底部に取り付けられたクラスター化された車両アセンブリ1004が装備されている。図示のように、乗客用停車場または駐車区画1003にも、対応するクラスタ展開地上アセンブリ1002が装備されている。
【0076】
図11aは、例示的な実施形態において、前記ワイヤレス電力伝送(WPT)システムの誘導結合通信システム(ICCS)1101によって使用される信号伝達および構成要素を示している。図11aは、ICCS1101を断面的に示しており、それにより、前記車両アセンブリ(VA)1102および地上アセンブリ(GA)1103は、垂直に対向しているように示されている。他の展開の選択肢、例えば、鉄道車両の側面にVA1102を取り付け、壁にGA1103を取り付けた水平取り付けも可能である。前記VAとGA間の密接な並列対向が達成可能である限り、展開におけるGAからVAへの方向付けを行うことができる。前記VA1102通信構成要素は、単一の送信アンテナ1105の周辺に配置された少なくとも一対の受信アンテナ1104および1106を含む。前記VA受信アンテナ1104および1106は、前記GA送信アンテナ1108からの前記送信1110および1111を受信する。同様に、前記GA受信アンテナ1107および1109は、前記送信信号1112および1113を受信する。前記双方向充電信号1114または1127は、通信セッション中いつでも存在することができる。
【0077】
追加の近接場受信機アンテナが、信号受信を支援し、全二重通信システムによって提供される付随機能を改善するために配備される。
【0078】
図11bは、下から見た例示的な電動車両1115を示している。一実施形態では、追加の受信機アンテナが前記VA1102上またはVA1102内に設置される。x軸(前から後ろ)に少なくとも2つのアンテナ、y軸(左から右)に少なくとも2つのアンテナがある場合、前記VA1102は、前記x軸とy軸の両方に沿ったGAコイルの位置合わせ変位を決定するために有効になる優先的に、これらのVAに取り付けられた受信機アンテナ1116、1117,1118および1119は、前記磁気的に連結されたGA送信機の1108信号1112および1113の範囲内で、前記VA1102の四隅に配置される。前記双方向充電信号1114および1127を送受信するための前記VAコイルアセンブリ1126はまた、名目上、前記VA1102の前記送信アンテナ1105の下の前記VA1102内に存在する。前記GA(図示せず)構造は、前記通信アンテナと充電コイルアセンブリを複製して、前記VA1102のものをミラーリングし、二重通信と双方向充電を可能にする。
【0079】
追加のダイバーシティ受信機アンテナもまた、前記車両のどこにでも配置でき、二次分散アンテナ/受信機システム1121、1122、1224、および1125を形成する前記車両の長さおよび幅に沿って可能な限り優先的に変位させることができることに留意されたい。前記GAに実装された送信機から前記分散アンテナ1121、1122、1224、および1125までの前記範囲によって、前記受信アンテナは、前記無効近接場範囲と前記GA送信機の1108信号1112および1113の放射近接場(別名フレネル領域)範囲によって決定されるように磁気誘導ループまたは近接場アンテナのいずれかになる。いくつかの実施形態では、前記変位したダイバーシティ受信アンテナは、前記磁気送信アンテナからの距離に応じて同一平面上、平行、または直交(前記送信機ループアンテナに対して)に取り付けられたループアンテナのいずれかによって磁気的に連結される。1つのループ要素が前記送信機ループに平行で、2番目のループ要素が直交するハイブリッドループアンテナを使用して、送信機からアンテナまでの範囲または同一平面上に取り付けることができるかが不確かな場合に、前記磁気連結リンクを拡張することもできる。
【0080】
前記動的充電の場合、分散型前方アンテナまたはアンテナ1121および1122は、通信範囲の拡大を可能にし、前記現在のGAの前方のGAとの通信を可能にする。この高度な通信により、増加を最小限に抑える必要が生じる前に、前記車両の起動時間の前記経路でGAが有効になる。前記分散型横方向アンテナは、右1122と1124、および左1121と1125も、コイル効率を最大化するために進行方向の中心位置合わせを提供する。
【0081】
1つの物理的実施形態では、4つ若しくはそれ以上の受信機アンテナ1116、1117、1118、および1119が、前記VA1102上に前方および後方(進行方向に関連して)および左右の横方向に分布している。4つの追加のアンテナ1121、1122、1124、および1125が追加され、2つは前部1120に取り付けられ(例えば、バンパー内、バンパーの下、または前記車両フレーム上に)、後部1223に2つが同様に取り付けまたは埋め込まれる。前記前部と後部の両方の配置で、前記アンテナは横軸上で前記左右に最大限の間隔を空ける必要がある。
【0082】
前記分散アンテナは、有線または無線(Bluetooth、Zigbee(IEEE 802.15)など)接続を使用して前記ICCS 1101にバックホールできる。前記ICCS 1101は、前記使用される通信リンク方式とデータプロトコルに必要なさまざまな受信時間と処理時間を補正する。
【0083】
水平面に対して共通または既知のオフセットを備えた前記分散アンテナ1121、1122、1124、および1125も、位置合わせ機能の向上を可能にする。ダイバーシティ受信機を使用すると、信号強度測定(SSM)、到着時間(TOA)、到着時間差(TDOA)などの測位および測距技術が利用できるようになる。指向性受信機アンテナを使用すると、到着角度(AoA)技術が有効になる。前記AoA技術を備えた前記車両前面に取り付けられた指向性アンテナは、前方への位置決めと位置合わせに特に有利である。
【0084】
高度道路交通システム(ITS)の永続的な79GHz帯域割り当てにより、TOA、TDOA、AOA、または説明されている2つ若しくはそれ以上の技術を使用したハイブリッド位置決めの使用が容易になる。12のITU(国際電気通信連合)で定義された産業科学医療(ISM)バンドは、位置合わせで使用できるもう1つの潜在的なスペクトルである(6つはグローバルに利用可能で、他の6つのISMバンドは地域の規制に応じて利用できる場合がある)。位置合わせの精度は、より高い解像度を提供するより高い周波数とより低い解像度を提供するより低い周波数の使用によって異なる。
【0085】
前記TDOA、AOA、またはTDOAーAOAハイブリッド位置決め技術を備えた前記分散アンテナの使用は、Z軸(垂直)測定の生成に使用できる。いくつかの実施形態では、非無線手段、例えば超音波トランスデューサ距離計をZ軸推定に使用することができる。
【0086】
あるいは、車両が適切に装備されていない場合、メーカー、モデル、製造者、および確率変数の公称Zギャップを前記車両または地上のネットワークサーバーからアップロードして、コイルクラスター内で前記ワイヤレス電力伝送GA電圧およびコイルの有効化を設定することができる。
【0087】
ソフトウェア無線
前記改良されたICCS1101を実装するための1つのオプションは、ソフトウェア定義の送信機および受信機を使用し、前記地上局と車両設置間の信号を、前記地上側アセンブリ(GA)1103および前記車両側アセンブリ(VA)1102間の前記誘導結合通信を使用して改善することである。
【0088】
前記ICCS1101は、サンプルの実施形態では、振幅変調、位相変調、および周波数変調用の2つ若しくはそれ以上の型式の回路、および直接スペクトラム拡散やチャープスペクトラム拡散(CSS)など(例えば、必要に応じて、2値直交変調(BOK)、周波数ホッピング、および直接変調(DM))の拡散技術の使用を可能にする回路から選択できるように設計されている。以下に説明するように、このような機能は、サンプルの実施形態ではフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)に実装することができるが、説明する機能は、独立した集積回路構成要素および/またはマルチチップ・モジュールを使用して、および/またはデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)のような他の処理装置によって実行されるソフトウェアに展開することもできる。いくつかの実施形態では、前記ICCS1101は、直交周波数分割多重システム(OFDM)のように複数の同時サブキャリアを使用することができ、前記サブキャリアは、免許不要スペクトル(または予約されたスペクトル)に割り当てられ、記載された変調方式のいずれかを使用することができる。
【0089】
図12aは、サンプルの実施形態における前記ICCSの前記機能要素を示している。図示のように、受信機1201は、磁気誘導信号に特化した1つまたは複数のアンテナを使用する。前記受信されたアナログ信号は、上記のように前記受信機1201でフィルタリングされる。前記受信された信号は、デジタル化要素1202によって処理され、前記受信されたアナログ信号を取得し、それを前記信号のデジタル表現に変換する。次に、前記受信信号の前記デジタル表現は、処理要素1203によってデジタル処理される。次に、前記処理された信号から抽出されたデータは、デジタルインターフェース1206を介して出力される。
【0090】
受信デジタルデータはまた、入力インターフェース1207を介して前記処理要素1203に適用される。前記受信データは、前記アナログ変換要素1204においてアナログ信号に変換される前に、前記処理要素1203によってパッケージ化される。アナログ型式に変換されると、次に、フィルタリングされ、磁気誘導信号に特化された1つまたは複数のアンテナを介して送信機1205によって送信される。
【0091】
サンプルの実施形態では、図12aの前記ICCS機能要素は、いくつかの方法のいずれかで実装される。例えば、前記ICCSは次のように構成できる。
・プログラム可能な要素(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、EEEROMなど)を備えた独立した集積回路(IC)(例えば、アナログ・デジタル変換器(ADC)、デジタル・アナログ変換器(DAC))で構成される回路。)
・マルチチップ・モジュール内の混合ハードウェア(ICs)、ソフトウェア、および組み込みファームウェアとして。
・必要な制御ロジック、デジタル化、およびアナログ変換機能を含む特定用途向け集積回路(ASIC)に常駐するファームウェアとして。
・デジタルからアナログおよびアナログからデジタルの回路が付随しているコンピューター・プラットフォーム(中央処理装置(CPU)またはデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)など)で実行されるソフトウェア構造として。
【0092】
いずれの場合も、必要に応じて、選択した設計にアナログ信号フィルタリングを含めることができる(例えば、バンドパス中間周波数(IF)段階を備えたスーパーヘテロダイン設計またはアナログ帯域幅が制限された直接変換設計の場合)。
【0093】
使用するICCSの実装(FPGAとDSP)および展開(独立したIC、マルチチップ・ICモジュール、またはASICのアセンブリとして)の選択は、開発コスト、生産量、および必要なコンピュータ資源のコストに大きく依存する。実装においては、前記FPGAはパラレル経路信号処理を提供し、前記CPU/DSPは優れたメモリアクセスおよびオペレーティングシステムを提供してタスクを簡素化する。前記独立したICパッケージは、構成要素の選択とそれらの構成要素の配置に最も柔軟性を与え、前記マルチチップ・モジュールは個別構成要素間の固定相互接続を提供する。前記ASICパッケージは、ICCS構成要素と相互接続の両方を単一の統合サブシステムに提供し、開発時間とコストを最大にするが、展開は最も簡単である。サンプルの実施形態では、前記ICCS構成は、製造時に選択されるが、使用中にユーザーが選択することもできる。
【0094】
図12bは、独立した集積回路の実施形態における前記VA1202およびGA1201を含む前記ICCS1101のサンプル実施形態を示す。図示のように、前記通信チャネル1211および1227は、短距離、前記GA1260と前記VA1202間の前記前記低電力磁場リンクのための最小限に伝播する磁場を連結する磁気誘導を使用する。前記GA通信信号1211および前記VA通信信号1227は、前記事前設定されたプログラミング、前記充電サイクルの段階(アプローチ、大まかな位置決め、微細な位置決め、異物検出(FOD)および生物検出(LOD)スキャン、充電、充電終了、または信号品質の閾値(例えば、受信信号強度、ビットエラー率)を超えたかどうかに応じて、狭帯域または広帯域のいずれかである。
【0095】
前記GA誘導結合通信システム1260のコア1262は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)1265、デジタル・アナログ変換器(ADC)1263、およびデジタル・アナログ変換器(DAC)1264を含む。前記FPGA1265は計算資源を提供する。前記FPGA1265による計算動作には、信号処理(信号の加算、組み合わせ、選択、変調、復調、デジタルフィルタリング、データ抽出、自動利得制御(AGC)、ICCSハードウェア制御など)が含まれる。前記GAおよび外部システムからのデータは、前記VA1261への送信のために処理するために、デジタルインターフェース1240を介して前記GAコア1262に入力される。
【0096】
前記GAコア・デジタル・アナログ変換器(DAC)1264は、前記FPGAのデジタル出力ビットストリームを量子化されたアナログ信号に変換してから、前記送信増幅器1208によって増幅され、次に帯域制限され、前記帯域通過フィルタ1209によって平滑化され、前記誘導磁気信号1211として伝搬する前記GA送信アンテナ1210によって送信されるように機能する。
【0097】
前記GA通信の信号1211は、前記VA1261とGA1260間の前記エアギャップ1266を通過し、前記VA受信機アンテナ1212と1213で受信される(この例では、2つの受信機アンテナが使用されているが、設計では1つの受信機アンテナおよび任意の複数の受信機アンテナの使用がサポートされている。)。前記VAの対の連結アンテナ構造1212および1213の1つまたは複数によって受信されると、前記GA信号は、フィルタ1214および1215を使用してバンドパスフィルタリングされる。次に、前記帯域制限された信号は、VA受信機経路ごとに1つの前記対の低ノイズ増幅器(LNA)1216および1217によって増幅される。次に、バンドパスフィルタ1218および1219の第2の対を使用して、各前記VA受信経路での直接デジタル変換のための信号周波数帯域幅を制限する。
【0098】
前記アナログからデジタルへの変換は、前記VA ADC1223で行われる。前記VA ADC1223は、ADCの対のセットとして、またはnチャネルADCとして(使用する受信アンテナの数に応じて)実装できる。次に、前記デジタル化された信号が前記VA FPGA1222に渡される。前記VA FPGA1222は、従来型のデジタル信号処理技術を使用して前記受信したデジタル化信号を変換し、前記再構築されたビットストリームを処理する(例えば、フレーミング、トレーニング系列の削除、前方誤り訂正およびデータエンコーディングの実装(例えば、畳み込みコーディング、ターボコーディング、ハミングコード)、セキュリティマスクされたビット系列のデコード)、デジタルインターフェイス1238を介して車両バッテリー管理システム(VBMS)1239、潜在的に中間プロセッサ、ネットワーク、およびコントローラ・エリア・ネットワーク(CANバス)(図示されていない)などのプロトコルを介して、前記ビットストリームを配信する。前記通信信号に関連する測定値は、デジタルインターフェース1236上で車両に実装されたプロセッサ1250に出力される。前記充電信号に関連する測定値は、デジタルインターフェース1237上に出力される。
【0099】
前記車両バッテリ管理システム(VBMS)1239、前記車両乗員情報システム、前記車両の娯楽システム、およびその他の車両搭載データまたは遠隔測定システムは、前記VBMSおよび車両搭載システムの前記構成に応じて前記デジタルインターフェイス1238および1243を介して前記VA FPGA1222にビットストリームを提供する。前記VA FPGA1222は、前記フレーミング、トレーニング系列を適用し、前方誤り訂正とデータエンコーディングを実装し(例えば、畳み込みコーディング、ハミングコード、アダマールコードを使用)、セキュリティマスクされたビット系列をエンコードし、ビットストリームを前記VAデジタル・アナログ変換器(DAC)1221に配信する。次に、前記VA DAC1221の前記出力は、送信増幅器1224によって増幅される。次に、送信用の前記VA信号は、所望のチャネル帯域幅に一致するようにバンドパスフィルタ1225によってフィルタリングされる。次に、前記帯域制限されたアナログVA信号は、前記磁場空気インターフェース1266を介して連結アンテナ構造1226を使用して送信される。
【0100】
前記VAの誘導磁気信号1227は、1若しくはそれ以上の前記GAの連結アンテナ構造1228および1229によって受信される。次に、前記VA信号は、フィルタ1230および1231を使用して、各GA受信経路上で帯域通過フィルタリングされる。次に、前記帯域制限信号は、GA受信経路ごとに1つの前記一対の低ノイズ増幅器(LNA)1232および1233によってそれぞれ増幅される。次に、バンドパス受信機の第2の対1234および1235を使用して、前記GA受信経路のそれぞれで直接デジタル変換するための信号周波数帯域を制限する。前記ICCSのいくつかの構成では、前記バンドパスフィルタ1290、1214、1215、1218、1219、1225、1230、1231、1234、および1235は、複数の周波数帯域に対応するためのスイッチド・フィルタ・バンクとして構築される。
【0101】
前記アナログからデジタルへの変換は、前記GA ADC1263で行われる。前記GA ADC1263は、一対のADCのペアまたは2チャネルADCのいずれかとして実装できる。次に、前記デジタル化された信号が前記VA FPGA1265に渡される。前記VA FPGA1265は、従来型のデジタル信号処理技術を使用して前記受信したデジタル化信号を変換し、次に前記再構築されたビットストリームを処理し(例えば、フレーミング、トレーニング系列の削除、前方誤り訂正およびデータエンコーディングの実装(例えば、畳み込みコーディング、ターボコーディング、ハミングコードの使用))、セキュリティマスクされたビットシーケンスをデコード)、前記ビットストリームを、前記ワイヤレス充電器および外部通信インターフェース1242にローカルな前記地上側計算資源1241に、潜在的に中間プロセッサ、インターフェース、およびプロトコル(図示せず)を介して配信する。検出された(前記GAによって)または送信された(前記VAによって)障害事象の場合、前記VA FPGA1265は前記緊急遮断1244に信号を送り(例えば、コイル障害または熱閾値を超えた場合)、前記充電信号1245を無効にする。
【0102】
閉ループと開ループの制御および報告
前記ICCS1101は、前記充電信号1245と通信信号1211および1227の両方を能動的に測定する。測定値には、受信信号強度、ビットエラー率、前記第1の1228および第2の1229アンテナ構造によって受信された前記信号1227の和および差、Eb/No(前記スペクトル雑音密度(No)に対するビットあたりのエネルギー(Eb)の比率)、受信信号強度表示(RSSI)、中心周波数、および前記第1および第2受信アンテナ1228および1229での振幅と位相シフトが含まれる。前記測定値は、前記GAデジタル制御インターフェース1241を介して地上にまたは位置合わせ検出のための1若しくはそれ以上の車両に実装されたプロセッサ1250の場合は前記VAデジタル制御インターフェース1236、および閉ループ充電システムの管理および制御を介して配信される。
【0103】
前記閉ループ制御には、前記FPGA1222へのほぼリアルタイムの電圧および電流測定値(VAの)、VA熱測定値、前記車両のロードまたはアンロードによるZギャップの変化、ソフトVAまたはGA障害(クラスター化)アラート、充電中の動作事象のアラート、および必要に応じて前記VAまたは車両電気システムに関連する車両側の追加の検知の必要に応じた前記GAおよびVAへの伝達の提供が含まれる場合がある。
【0104】
前記VBMS1239は、前記VA制御デジタルインターフェース1238を使用して、前記GA制御デジタルインターフェース1241を介して前記GAに命令することができる前記充電システムに送信するためのコマンドを渡す。
【0105】
スペクトラム拡散広帯域信号
一実施形態では、前記全二重VA-GA通信リンクに使用される広帯域信号は、補完符号系列を使用する非同期直接系列スペクトラム拡散信号である。一部の展開シナリオでは、例えば、GAがより大きなマクロGAクラスターの構成要素として隣接して展開されている場合(例えば、単一の車両駐車区画充電器として)、距離は、前記複数のGA・VA間およびVA・GA間通信の同一チャネル干渉を軽減するのに十分な磁気信号減衰を提供するために依存することができない。前記拡散シーケンス技術の使用は、前記GAおよびVA受信機のそれぞれが、各受信機に送信された信号と同一チャネル干渉を区別できるようにする。直接シーケンススペクトラム拡散システムでの前記補完符号の使用は、前記受信機による相関処理を可能にして、前記GAおよび前記VA両方の送信機間の前記同一チャネル干渉と同期の欠如を克服するために使用される。
【0106】
GA(およびペアのVA)間の距離が十分にある場合、前記磁気信号の信号減衰により符号の再利用が可能になり、符号系列の短縮が可能になる。符号系列を短くすると、前記直接系列スペクトラム拡散システムのビットあたりの「チップ」の数を最小限に抑えることができ、前記同じ帯域幅でのデータレートが向上する。
【0107】
伝送に誘導結合を使用する通信システムでは、信号反射およびマルチパスは、磁場伝搬の固有の物理学によって最小限に抑えられる。一実施形態では、補完符号系列を使用する直接系列符号拡散は、無線充電駐車場または車線などの、近接して配置された(クラスター化、隣接または近接)送信機と受信機との間の同一チャネル干渉を軽減するように設計される。
【0108】
非同期システムを使用すると、それぞれが独自の送信機と受信機を備えた複数の個別の地上アセンブリを、共有のリアルタイムタイミングソースを必要とせずに、隣接または近接して展開できる。共通のタイミングソースが不要なため、前記GAシステムとVAシステム間のクロックリカバリや位相ロックが不要になる。従って、整列されたGAとVAの各ペアは、前記展開されたユニットの数や機能しているユニットの数に関係なく、独立して通信できる。GAがVAと一対になっていない場合(展開配列またはVAの障害状態が異なるため)、GAは充電信号を開始しない。
【0109】
サンプルの実施形態では、そのような充電システムを使用して、充電信号を受信するように、前記GAに対して前記車両の前記VAを配置することによって車両を充電することができる。前記GAおよび前記VAの前記コイルは、充電のための前記GAに対する前記VAの幾何学的配置に基づいて選択的に有効にされ、その結果、前記位置合わせされたコイルのみが始動される。必要に応じて、前記GAおよびVAの前記送受信システムの一方または両方が、同じ型式の信号処理回路を有するように選択される。次に、前記送受信システムを使用して、充電中の誘導リンクを介して、前記GAおよびVAの前記送受信システム間で充電管理および制御データを通信することができる。
【0110】
上記のように、前記送受信システムは、振幅変調、位相変調、周波数変調、直交周波数分割多重方式(OFDM)、および直接系列スペクトラム拡散、チャープスペクトラム拡散(CSS)、2値直交変調(BOK)、周波数ホッピング、および直接変調(DM)のうちの少なくとも1つを含む技術を実装するスペクトラム拡散、のうちの1若しくはそれ以上を提供するハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを含む場合がある。前記送受信システムの型式は、例えば、設計/製造時またはユーザーの選択によって同じになるように選択される。次に、前記VAおよびGAは、充電中に、ソフトウェア更新、診断または遠隔測定情報、および/または乗客娯楽サービスデータをそれらの間で通信することができる。
【0111】
図13aは、サンプルの実施形態における単一列の地理的配置1301に配置された駐車場に実装されたワイヤレス充電ステーションの俯瞰図を示している。前記駐車区画1304、1305、1306、および1307は、通常のように縁石1303と塗装されたラインマーカーによって定義される。走行車線1302は、各駐車区画への車両アクセスを提供する。この例では、各駐車区画1304、1305、1306、および1307には、ワイヤレス充電地上アセンブリ(GA)1310、1311、1312、および1313が取り付けられている。前記GA13101311、1312、および1313は、4つの隣接する独立したGAのクラスター化されたアセンブリとして示されているが、前記駐車場の区画の長さと幅には他の形状も可能である。
【0112】
前記動作可能なGA1311、1312、および1313は、各充電時間の前および充電中に磁気通信信号1315を放射する。連結された磁気誘導信号の伝搬特性および垂直アンテナ配向のために、同一チャネル干渉は、GAクラスター内および潜在的に隣接する駐車区画1314間に潜在的に限定される。
【0113】
各動作可能なGAクラスター1311、1312、および1313によって放射される前記磁気信号は、それぞれの(この例では、クラスターごとに最大8つの信号があり、GAからVAに4つ、VAからGAに4つの信号がある)通信リンクのための同一チャネル干渉の1つのソースである。駐車区画を備えた近隣の動作可能なGA1312または1313からの磁気信号1315の潜在的な重複または衝突も可能性はあるが、隣接しない動作可能なGA1311と1312間の十分な物理的分離1309を備えることで潜在的な同一チャネル干渉を大幅に低減または排除するのに役立つ。前記走行車線1302を横切る可能性のある追加の充電器は、同一チャネル干渉の可能性を制限するのに十分な物理的分離1308を有するであろう。
【0114】
図13bは、サンプル実施形態における2列の地理的配置1316に展開された駐車場に実装されたワイヤレス充電ステーションの俯瞰図を示している。GAを備えた駐車場の前記2列1316は、走行車線1304によって分離されている。この図では、駐車区画1317、1320、1321、および1322には現在動作可能なGAがあり、駐車区画1318、1319、1323、および1324は動作不可である(つまり、非充電状態では、駐車区画は空いているか、占有されているが、充電が機能していないか、終了しているか、まだ開始されていない可能性がある)。前記磁気的に連結された全二重通信システムの潜在的な同一チャネル干渉は、前記動作可能な駐車区画(磁気信号1315を放射するもの)に存在する。マクロGA内のGAの前記各クラスタ間の同一チャネル干渉(ここで、前記マクロGAは、それぞれが独立した二重通信を有する4つの隣接するGAからなる)および隣接するマクロGA間の潜在的な同一チャネル干渉1314は、前記通信システムによって許容される。同じ列の最も近い動作可能なGA1317および1320、または十分な地理的分離1309を備えた列全体の動作可能な最も近いGA1322および1320は、前記2列の充電ステーション1316へのアクセスを提供する前記1若しくはそれ以上の走行車線1304を横切って地理的に離れた可能性があるGA1308と同様に潜在的な干渉はない。
【0115】
有効な通信リンク
一実施形態では、前記充電サイクル中、前記全二重リンクが常に有効になり、前記VAとGA間の継続的な通信、ならびに車両ソフトウェアの更新、診断、遠隔測定、娯楽、および他の情報のための安全な伝達を提供する。前記ICCS1101は、充電時間の前、充電中、および充電後に特定の事象をサポートするために、送信および受信周波数の変更、変調、およびコーディングをサポートする。
【0116】
クラスタ化された展開において、個々のGAは、個々のVAとの独立した通信リンクをサポートする場合がある。このように、クラスター化されたGAは、単独のVAまたはクラスター化されたVAをサポートでき、(例えば、前記車両の最大幅と長さまで、2つのVAが1行、2つのVAが2行、2つのVAが3行など)または幾何学的に対応するVAを持つGAの充電信号を起動するだけで、部分的に動作するVAであってもサポートできる。単一の充電拠点が複数構成の車両をサポートする可能性があるため、独立した通信を使用すると、展開と運用の両方が容易になる。あるいは、前記GAは、前記充電信号が起動されると単一のGAとVAが通信を維持する協調クラスターとして展開することもできる。
【0117】
静的な場合
前記二重通信データリンクは、静的および動的充電シナリオで前記WPTの認証およびアクセス制御を提供するのに役立つ。さらに、前記データリンクを使用して、前記GAとVA間で情報、ソフトウェアの更新、診断または遠隔測定情報、および乗客娯楽サービスを提供することができる。前記二重データリンクの一連の特性により、前記GAとVA間に導入された異物の検出後の前記充電信号の非動作化などの制御システムのフィードバックが高速になる。前記充電コイルの物理的周辺に前記通信システム受信機を配置することで、導入された障害物を早期に検出することもできる。
【0118】
動的な場合
前記動的充電の場合の実施形態では、装備された鉄道または高速道路を前記車両が下るときに通信リンクが維持される。この展開では、直接系列拡散システム(DSSS)で有効化された前記ICCSを使用して、符号系列が選択され、隣接するGAと可能な限り短く直交するため、GA間の高速ソフトハンドオフが可能になる。前記磁気誘導通信リンクを使用して、前記予想されるGAの系列および関連する符号系列を前記車両にアップロードして、GAを装備した走行車線または鉄道の許容速度を上げることができる。前記アップロードされた系列を使用して、前記ICCSをあらかじめロードして、前記通信信号をより高速に復調および復号することができる。
【0119】
図14は、動的充電が有効になっている高速道路1401の一例を示している。前記高速道路は2つの縁石1402と1403の間に設定され、走行レーン1405と充電車線1406に分割される。これらの充電車線は、充電をより良く最適化するために速度と車両間ギャップ長を設定できる。前記充電車線速度は、各一連のGA1407の充電時間(別名滞留時間)を管理するように設定される。車両1404および1409は、前記充電車線に移動でき、ここでは、自由にまたは指定されたエントリ・ポイントで、明確な車線マーキングまたは物理的な分離1408を示している。
【0120】
鉄道の例では、VAを装備した鉄道車両を充電するためのGAの系列またはアレイ(一連のクラスター)が線路の間に配置される(最大1ゲージ幅)。前記GAは、前記鉄道車両の側面または上部に配置されたVAに面している場合もある。
【0121】
走行経路に沿って複数のGAを順番に並べることで、アンテナの延長(充電と通信の両方)などの前記GAのカスタマイズを展開し、現在の車線と潜在的な車線に沿った潜在的な充電拠点の両方で最適な充電を行うための自動運転車制御情報を提供できる。
【0122】
アセンブリごとの独立した通信経路
一実施形態では、全二重誘導結合データリンクは、独立したGA(マクロGA)のクラスタの各要素に対して展開される。同様に、各独立VA(マクロVAクラスタの一部)には、全二重誘導結合データリンクが装備されている。
【0123】
このデータリンクの独立した動作によって、アセンブリがクラスター化されている場合にアセンブリ間の通信を調整するために必要な回路と処理が削除されるため通信の遅延が最小になる。調整の欠如は、各アセンブリペア(GAからVA)による同時データリンクセットアップが有効になっているため、前記リンクの開始が高速であることも意味する。
【0124】
前記独立したデータリンクは、単一および複数のアセンブリの展開を容易にする。GAの幾何学的に任意のクラスタは、車両の寸法をサポートし、電源のニーズを拡大するために必要な領域やパターンに展開できる。
【0125】
各VAとGAを機能的に同一にすることにより(例えば、同一の磁気誘導アンテナおよび共通の共振誘導コイルユニットを使用して)、規模の経済を実現できる。前記共通の共振誘導コイルユニットは、前記充電信号の効率を高め、前記ICCS全体としての電力効率を高めるのにも役立つ。
【0126】
前記GAとVAのペア構成の前記独立した特性は、クラスター化された展開における単一のGAまたはVAの障害が、残りのGAとVAのペアを介してより低い充電状態への正常な低下であることを意味する。一態様では、VAユニットの前記故障は、前記一対のGAからの前記充電信号の前記即時の遮断をもたらす。このGAはもはや放射を行っていないため、前記車両は、もはや終了していない充電信号からの加熱の影響を受けない。
【0127】
当業者は、本明細書に記載のトポロジーおよび回路実装方法論が、単一の特定用途向け集積回路、独立した集積回路、マルチ・チップ・モジュールとして、および/または補助A/DおよびD/A回路を備えたデジタル信号処理回路上で実行されるソフトウェアとして効果的な実現を可能にすることを理解するであろう。さらに、本明細書に含まれる開示は、車両への電力の供給に関するものであるが、これは多くの可能な用途のうちの1つにすぎず、非車両用途を含む他の実施形態が可能であることを理解されたい。例えば、当業者は、歯ブラシを充電するために使用されるもの(例えば、パワーマット(商標))、携帯電話、およびその他のデバイスなどの携帯型家庭用電子機器充電器などの非車両誘導充電アプリケーションにおいて全二重データリンクを提供する多くの用途があることを理解するであろう。さらに、当業者は、本明細書に記載の通信システムの伝送帯域幅(データレート)が、他の複雑な変調方法を使用する同時振幅および角度変調を使用して、および複数の変調された送信および返信経路搬送波を使用することによって増加されることを理解するであろう。従って、これらおよび他のそのような用途は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14