(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】化合物、その調製方法及びエネルギー物質としての使用
(51)【国際特許分類】
C06B 29/02 20060101AFI20240228BHJP
C06D 5/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C06B29/02
C06D5/00 A
(21)【出願番号】P 2022544861
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 CN2021073128
(87)【国際公開番号】W WO2021147960
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】202010075667.3
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010211524.0
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010672415.9
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520230237
【氏名又は名称】シーアン クリステン マテリアルズ テクノロジー コーポレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウェイション
(72)【発明者】
【氏名】シャン, ユ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シャオリー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シャオミン
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527174(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101570459(CN,A)
【文献】国際公開第02/032573(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C06B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Aカチオン又はA’カチオン、Bカチオン又はB’カチオン及びXアニオンからなる化合物ABX
3、化合物AB’X
4又は化合物B’
2A’X
5である化合物であって、
前記Aカチオンは、
式(I)又は式(II)の有機カチオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、ただし、n
1
、n
2
、n
3
、n
4
及びn
5
はそれぞれ正の整数であり、R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択され、前記誘導体は、前記有機カチオン本体における水素原子が同時又は非同時に置換基により置換されたものを含み、前記置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基を含み、
前記Aカチオンは、式(I)の有機カチオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n
1
及びn
2
の何れか1つは2よりも大きく、又はR
1
及びR
2
の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、
又は、
前記Aカチオンは、式(II)の有機カチオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n
3
、n
4
及びn
5
の何れか1つは2よりも大きく、又はR
3
及びR
4
の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、
前記Bカチオンは、
カリウムイオン、アンモニウムイオン、銀イオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択され、
前記A’カチオンは、
一価窒素含有カチオンであり、
前記B’カチオンは、
前記B’カチオンの一般式はR
7
R
8
R
9
N
+
-(C
n
3H
2n
3)-N
+
R
10
R
11
R
12
であり、ただし、n
3
は1、2、3、4又は5であり、且つ、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基のうちの少なくとも1つから選択され、
前記Xアニオンは、アニオンエネルギー基である、化合物。
【請求項2】
前記化合物は、Aカチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物AB’X
4、又はA’カチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物B’
2A’X
5で
ある、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記Aカチオンは、
1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記Bカチオンは
、銀イオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
前記A’カチオン
の一般式はNR
3
R
4
R
5
R
6
+
であり、ただし、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
前記B’カチオン
は、n
3
は2であり、且つ/又はR
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
は水素である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
前記Xアニオンは、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、過臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、雷酸イオン、アゾ基及びアジドイオンのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
A成分又はA’成分、B成分又はB’成分、及びX成分を任意の順序で液体反応系において混合するステップと、
前記液体反応系において生成された固体生成物を取得するステップと、を含む化合物の調製方法であって、
前記A成分は、
式(XI)の化合物、式(XII)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、ただし、n
1
、n
2
、n
3
、n
4
及びn
5
はそれぞれ正の整数であり、R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択され、前記誘導体は、有機カチオン本体における水素原子が同時又は非同時に置換基により置換されたものを含み、前記置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基を含み、
前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n
1
及びn
2
の何れか1つは2よりも大きく、又はR
1
及びR
2
の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、
又は、
前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n
3
、n
4
及びn
5
の何れか1つは2よりも大きく、又はR
3
及びR
4
の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、
前記B成分
は、カリウム塩、水酸化カリウム、アンモニウム塩、アンモニア、銀塩、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有塩、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有アルカリ、ヒドラジニウムイオン含有塩、ヒドラジニウムイオン含有アルカリのうちの少なくとも1つから選択され、
前記A’成分は、
一価窒素含有カチオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つであり、
前記B’成分は、
一般式がR
7
R
8
R
9
N
+
-(C
n
3H
2n
3)-N
+
R
10
R
11
R
12
であるイオンの塩類及び水酸化物、及び一般式がR
7
R
8
N-(C
n
3H
2n
3)-NR
10
R
11
であるアミンのうちの少なくとも1つであり、ただし、n
3
は1、2、3、4又は5であり、且つ、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基のうちの少なくとも1つから選択され、
前記X成分は、アニオンエネルギー基を含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
前記液体反応系は、A成分又はA’成分、B成分又はB’成分、及びX成分を溶解可能な極性溶媒である、化合物の調製方法。
【請求項9】
前記化合物は、Aカチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物AB’X
4、又はA’カチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物B’
2A’X
5で
ある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記A成分は、
1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記B成分は、カリウム塩
及び水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択され、且つ
前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、
又は、
前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ
前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと過酸化水素水の反応生成物、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、
又は、
前記B成分は、銀塩から選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
前記A’成分は、
一般式がNR
3
R
4
R
5
R
6
+
であるカチオンの塩類、アルカリ及び水酸化物のうちの少なくとも1つ、又は一般式がNR
3
R
4
R
5
である化合物であり、ただし、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項13】
前記B
’成分
では、
n
3
は2である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項14】
前記X成分は、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、硝酸、硝酸塩、雷酸、雷酸塩、アゾ塩類及びアジド塩類のうちの少なくとも1つから選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の化合物、及び/又は
請求項8又は9に記載の化合物の調製方法により調製された化合物を含む、エネルギー物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー物質の分野に関する。具体的には、一連の化合物、その調製方法及びエネルギー物質としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー物質は、外部エネルギーの刺激によりそれ自身の酸化還元反応が迅速に発生し、且つ大量の熱及びガスを急速に放出することにより、周囲の媒体に仕事を加えることができる化合物又は混合物であり、軍用(例えば武器や弾薬、推進薬及び火工品の信号弾などの面)及び民間用分野(例えば花火、石油掘削用の貫通爆弾、土木工学及び採鉱と爆破などの面)に非常に広く適用されており、国防建設及び国民経済の発展に対して重要な推進作用を奏し、高温、高圧、高速の反応特徴及び瞬間的な単発的効果の特性を有する。
【0003】
エネルギー物質は、特別なエネルギーとして、軍事で各種の火力システムが発射体の発射を達成し、ロケット・ミサイルの運搬を実現する動力エネルギーであり、国の軍事戦闘力及び抑止力の技術と物質基礎であり、民間用の面で工事爆破、機械加工、地質調査、射出装置、花火やエアバッグなどの分野に広く適用されている。最初のエネルギー物質は、西暦9世紀に現れた中国の黒色火薬であり、硫黄、硝酸カリウム及び木炭粉末を混合してなる混合物であり、効果が悪くパフォーマンスが安定的ではない。単体のエネルギー物質は、19世紀半ばから繁栄になり始め、早期の代表的なものはニトログリセリンであり、ノーベルは、珪藻土でニトログリセリンを吸着することでダイナマイトを発明し、その工業的適用が実現された。現代社会に入ってから、性能がニトログリセリンよりも高い単体のエネルギー物質は次々と登場して適用され、例えば有名なトリニトロトルエン(TNT)及び爆発性能がTNTよりも高い有機エネルギー物質であるトリメチレントリニトロアミン(RDX)及びシクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)が挙げられる。エネルギー物質の発展歴史において、単体のエネルギー物質の研究は、ずっと中核の位置を占めており、単体のエネルギー物質が大きく革新される度に(例えば、TNT、RDX、HMXなどの化合物の発明と適用)、エネルギー物質乃至武器が大きく変革される(Agrawal,J. P. ISBN:978-3-527-32610-5. Wiley, 2010.)。
【0004】
その適用シーン及び性能特性に応じて、エネルギー物質は、主に起爆薬(primary explosive)、高性能爆薬(二次爆薬とも呼ばれ、secondary explosive)、推進薬(propellants)及び火工品(pyrotechnics)といった4つの大きな種類に分けることができる。異なる適用シーンに適するために、この4つの種類のエネルギー物質について、その単体のエネルギー物質の性能に対して異なる重点を置いて要求している。
【0005】
起爆薬は、外部の弱い初期衝撃エネルギー(例えば摩擦、衝撃、穿刺、電気エネルギー、火炎、レーザなど)の作用により爆燃して爆轟に迅速に転換可能な爆薬である。このような爆薬は、感度が高く、爆燃が爆轟に迅速に転換できるなどの特性を有し、発生した爆轟波が高性能爆薬を誘爆するために用いられ、初期爆薬、一次装薬又は一次爆薬(即ちprimary explosive)とも呼ばれる。それは、起爆と点火にとって最も敏感な開始エネルギーであり、軍事及び民間用起爆又は点火装置に広く適用されており、例えば、工業雷管、ノネルチューブの誘爆装置、又はロケット、衛星、武器、採鉱及びトンネル掘削用の点火装置に用いられる。最も早く適用された起爆薬は、雷酸水銀(MF)であり、1628年に発見された後の200年以上にずっと雷管装薬及び爆破キャップの伝爆薬の重要な成分であった。しかし、安定性能が比較的悪く、劇毒であり、砲腔及び薬莢を腐食しやすいなどの欠点を有するため、20世紀初頭から、徐々にアジ化鉛(LA)及びトリニトロレゾルシン鉛(LS)などにより置換され、鉛ベース起爆薬の時代を迎えた。現在、LA及びLSは、仍然として最も広く適用されている起爆薬である。しかしながら、環境保護意識の向上及び鉛汚染への関心の高まりにつれて、比較的安全で環境に優しい新世代の鉛フリー起爆薬を見付けることは、現在の火工薬の研究分野におけるホットスポットとなっている。
【0006】
高性能爆薬(二次爆薬とも呼ばれ、secondary explosive)は、起爆薬と比べて高い安定性を有し、使用過程で一般的に熱又は衝撃により起爆せずに、起爆薬の衝撃波により誘爆されて爆轟が発生し、より猛烈な破壊力が発生する。現在使用されている高性能爆薬は、主にTNT、RDX、HMX、TATBが挙げられる(Klapoetke,T.M.,High energydensity materials,Springer,2007)。武器装備の発展につれて、高性能爆薬の安全及び爆轟性能に対してより高く要求しており、TNT及びTATBが比較的鈍感であるが、エネルギーレベルが低く、RDX及びHMXには、結晶型が多く、機械的感度が高く安全性能が低いなどの欠点がある。従って、エネルギーレベルが高く安定性が高い高性能爆薬を設計して合成することは、ずっとエネルギー物質分野において求められている目標である。
【0007】
推進薬及び発射薬は、いずれも火薬の範疇に属し、両者とも規則正しく燃焼してエネルギーを放出し、ガスを生成することにより、ロケット及びミサイルを推進するか(推進薬)、又は銃砲の薬室内で弾丸を発射する(推進薬)ために用いられ、このような火薬は、金属成分を含有しないエネルギー化合物である場合が多い。例えば、HMX、RDXなどは、レシピの比推力値を高めるように推進薬のレシピにおける重要な添加剤としてよく用いられ、一部の高エネルギー変性ダブルベース推進薬などのレシピには適用された(譚恵民、固体推進薬化学と技術、北京理工大学出版社、2015)。例えばヘキサニトロヘキサアザイソウルチタン(CL-20)などに代表される有機エネルギー物質及びまだ基礎研究段階にある全窒素化合物などの現代のエネルギー物質として今まで現れてきた大量の新物質のうち、爆発及び比推力性能に優れたものが少なくないが、構造的安定性が低く、合成プロセスが複雑であり、価格が高過ぎるなどの多くの欠点が存在する場合が多く、大規模に適用し難い。従って、同時に低コスト、高エネルギー密度、高安全性などの利点を有する高エネルギーのエネルギー物質の設計と合成は、エネルギー物質分野、特に推進薬分野において永久的に追求されるものである。
【0008】
火工品(pyrotechnics)は、重要なエネルギー物質に属する。火工品は、分解反応速度が相対的に遅く(燃焼又は爆燃が可能)、光、煙及び騒音を発生可能な薬剤であり、金属及び金属塩を添加することにより、特定のスペクトル色を発することもでき(Thomas M. Klapoetke, Chemistry of High-Energy Materials, De Gruyter, 2012)、よく花火の製造に用いられ、また、軍事上で曳光弾の製造に用いられる。火工品分野と推進薬、爆薬分野には重なる部分があり、一部の火工品は爆薬又は推進薬分野に適用可能である場合も多い。現代の一部の高エネルギー爆薬を含め、制約の少ない場合に火工品のレシピに適用することもできる(Conkling,J. A. & Mocella C.J. ISBN:978-1-4200-1809-7. CRC Press, 2010.)。最初の火工品は、有名な黒色火薬であり、西暦9世紀末に唐王朝に現れ、硝酸カリウム、硫黄及び木炭より混合されてなる。黒色火薬混合物の燃焼と爆発性能は、その調製プロセス及び使用条件に大幅に依存する。制約のない場合の黒色火薬は、単に中世紀の錬金術師が錬金する時に使用される燃料に過ぎず、製造プロセスの向上につれて、黒色火薬が徐々に花火ショーに用いられ、最終的に爆薬に用いられるようになり、熱兵器時代を迎えた。現在、黒色火薬は、仍然として民間用及び軍事用の重要な火工薬であるが、黒色火薬が混合薬剤の生産過程で着火して爆発しやすいため、よく事故が発生することになる。従って、理論設計により、安定性が良好であり、プロセスが簡単であり、安定性が高い新世代の火工品単体を研究開発することは、火工品分野のホットスポットとなっている。
【0009】
新しく合成されたエネルギー物質は、過去数十年内に迅速に増え、特に有機エネルギー分子及びその二成分塩、全窒素化合物、共晶化合物、金属配合物及び分子ペロブスカイト化合物などの結晶エネルギー物質についての研究により、エネルギー物質の発展が大幅に促進されている。
【0010】
酸化還元反応を主なメカニズムとして「迅速にエネルギーを放出してガスを生成する」エネルギー物質にとって、酸素バランス、結晶密度及び生成エンタルピーが全て材料設計上の重要な物理的パラメータである。酸素バランスパラメータは、材料内の実際の酸素含有量とその炭素及び水素を完全に酸化するために必要とされる酸素量との間の差分を反映し、酸素バランスがゼロになる場合、理論上、その炭素及び水素がそれぞれ二酸化炭素及び水に十分に転換し、即ち完全燃焼を達成することができ、それによりエネルギーを最大限に放出する。エネルギー物質の密度は、爆速及び爆圧に直接影響し、密度が大きいほど、その理論爆速及び爆圧が高くなる。しかしながら、酸素バランス及び結晶密度は、互いに関連する場合が多く、同時に高まって更に爆轟パラメータを全面的に向上させることが困難であり、また、生成エンタルピーの高まりがエネルギー物質のエネルギーレベルの向上に役立つが、低い熱安定性に繋がる場合が多い。従って、如何に結晶工学の原理に基づいて成分を合理的に選択することでエネルギー化合物の酸素バランスと結晶密度を同時に最適化し且つエネルギーレベルと熱安定性を兼ね備えるようにするかは、新規なエネルギー化合物の設計と合成過程で面した重要な挑戦課題である。
【0011】
NH4
+カチオンをBサイトとする無金属分子ペロブスカイト型エネルギー物質は、爆発又は分解後に金属残留がなく、ガス生成量が大きく、爆発熱又は燃焼熱が高いなどのメリットを有するため、それが推進薬、発射薬及び高性能爆薬などの分野において非常に高い適用の見通しを有する。
【0012】
しかしながら、現在、Aサイトを調節することで構築された無金属分子ペロブスカイト型エネルギー化合物の結晶密度と生成エンタルピーを同時に高めることは、ボトルネックになり、そのエネルギー特性を更に突破しにくいことを見出した。例えば、最初の無金属分子ペロブスカイトエネルギー化合物(C6H14N2)(NH4)(ClO4)3(DAP-4)及びそのAサイトを調節して最適化することで得られた最適化合物(C6H14N2O)(NH4)(ClO4)3(DAP-O4)は、結晶密度がそれぞれ1.87及び1.85g/cm3であり、生成エンタルピーがそれぞれ-484.0及び-436.1kJ/molであり、爆発熱がそれぞれ1.40及び1.48kcal/gであり、爆速がそれぞれ8.806及び8.900km/sであり、爆圧がそれぞれ35.2及び35.7GPaであり、両者を比べると、後者の性能が前者よりも顕著に高められていない。
【0013】
エチレンジアンモニウムカチオン(H2EA2+)は、安定的に存在でき且つ分子量が小さい正の二価カチオンであるため、2倍の当量の負の一価酸化型アニオンと安定的な塩を形成することができ、ゼロに近い酸素バランスパラメータを得ることに役立つ。例えば、早期の二硝酸エチレンジアンモニウム、二過塩素酸エチレンジアンモニウムなどは、いずれもトリニトロトルエン(TNT)よりも良好な爆轟性能を有するが、両者とも深刻な吸湿性を有するため、更に適用されていない(Chemistry and Technology of Explosives(第II卷)、(ポーランド)Urbanski著、牛秉彝、陳紹亮訳、国防工業出版社、1976、第344及び356ページ)。2008年に、南京理工大学の朱順官らは、二過塩素酸エチレンジアンモニウムと二過塩素酸トリエチレンジアンモニウムを共結晶化した後にエネルギー化合物(C6H14N2)(H2EA)(ClO4)4を得て(SYと名付けられ、中国発明特許ZL200810025381.3を参照)、純粋な二過塩素酸エチレンジアンモニウムに比べ、SYが低い吸湿性及び高い熱安定性を有し、起爆薬の面で良好な性能を示していることを見出した。しかしながら、SYの結晶学的密度の値(報告値が1.834g/cm3であるが、実測値が1.867g/cm3のはずである)が1.9g/cm3に達しておらず、その酸素バランス(-27.8%)も現在よく使用されているRDX及びHMXの対応する値(-21.6%)よりも低い。更に、エチレンジアンモニウムカチオンの共有結合は全て単結合であり、顕著な「フレキシブル」構造を有し、水素結合供与体とすることができる。
【0014】
無金属分子ペロブスカイト型エネルギー物質では、如何にその成分を調節することで結晶密度、生成エンタルピー及び/又は酸素バランスパラメータを更に同時に高め、そのエネルギー特性を向上させるかは、重要な意義を有する挑戦的な課題である。
【0015】
中国特許201610665880.3には、特定の構造を有するエネルギー物質が開示されている。
【発明の概要】
【0016】
幾つかの実施例において、化合物を提供する。幾つかの実施例において、結晶化合物を提供する。幾つかの実施例において、無金属類ペロブスカイト型化合物のような無金属類化合物を提供する。幾つかの実施例において、銀含有類ペロブスカイト型化合物のような銀含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、カリウム含有類ペロブスカイト型化合物のようなカリウム含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、ヒドロキシルアンモニウム含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、ヒドラジニウム含有類化合物を提供する。
【0017】
幾つかの実施例において、無金属類ペロブスカイト型化合物のような良好な熱安定性を有する無金属類化合物などの良好な熱安定性を有するエネルギー物質を提供する。幾つかの実施例において、無金属類ペロブスカイト型化合物のような爆発性能が良好である無金属類化合物などの爆発性能が良好であるエネルギー物質を提供する。幾つかの実施例において、無金属類ペロブスカイト型化合物のようなエネルギー密度が高い無金属類化合物などのエネルギー密度が高い無金属類化合物を提供する。幾つかの実施例において、無金属類ペロブスカイト型化合物のような理論比推力が高い無金属類化合物などの理論比推力が高い無金属類化合物を提供する。幾つかの実施例において、銀含有類ペロブスカイト型化合物のような比較的敏感な銀含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、銀含有類ペロブスカイト型化合物のような爆発性能が良好である銀含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、銀含有類ペロブスカイト型化合物のようなエネルギー密度が高い銀含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、カリウム含有類ペロブスカイト型化合物のような特別な炎色を有するカリウム含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、カリウム含有類ペロブスカイト型化合物のような安定性能が良好であるカリウム含有類化合物を提供する。幾つかの実施例において、ヒドロキシルアンモニウム及び/又はヒドラジニウムイオンに基づいて組み立てられた結晶化合物、その固溶体、及びそれらのエネルギー物質としての使用を提供する。幾つかの実施例において、本願の無金属類化合物は、推進薬及び高性能爆薬として少なくとも適用され、特に適用される。幾つかの実施例において、本願の銀含有類化合物は、起爆薬として少なくとも適用され、特に適用される。幾つかの実施例において、本願のカリウム含有類化合物は、火工品及び高性能爆薬として少なくとも適用され、特に適用される。幾つかの実施例において、本願のヒドロキシルアンモニウム及び/又はヒドラジニウムイオンを有する化合物は、使用時に優れたエネルギー特性及び実用性を有する。
【0018】
幾つかの実施例において、本願の化合物は、エネルギー基を有する。エネルギー基は、爆発性を有する基を指し、一般的な爆発性を有する基としては、ClO3
-、ClO4
-、NO3
-、ONC-、アゾ基及びアジドイオンなどの基が挙げられ、例えば、ClO4
-基である。このようなエネルギー物質は、爆薬として使用可能であるが、これに限定されない。例えば、それは、推進薬、ロケットの燃料又はエアバッグのガス発生剤として使用されてもよい。
【0019】
幾つかの実施例において、本願の化合物は、ペロブスカイト型化合物である。ペロブスカイト型化合物は、チタン酸カルシウム(CaTiO3)に似たような結晶構造を有する固体化合物であり、同じ一般化学式ABX3を有し、ただし、AとBは異なるサイズのカチオンであり、Xはアニオンである。ペロブスカイト型化合物の理想的な構造は、高度に対称な立方晶系に属し、構造特徴は、各Bカチオンが6つの隣接するXアニオンに接続され、各Xアニオンが2つの隣接するBカチオンに接続され、更に立方体籠状ユニットからなる三次元アニオン骨格を形成し、Aカチオンがこれらの立方体籠状ユニットの穴に充填されているように記述されてよい。そのうち、Aはカチオンであり、Bはカチオンであり、Xはアニオンである。しかしながら、ペロブスカイト型化合物は、六方ペロブスカイト構造のような他の構造を呈してもよく、別の幾つかの実施例において、その構造特徴は、各Bカチオンの周りにおける6つのXアニオンがBX6八面体ユニットを形成し、隣接するBカチオンが3つのXアニオンにより接続されて一次元鎖を形成し、Aカチオンが鎖間に充填されているように記述されてもよい。ペロブスカイト型化合物ABX3が2種類以上のAカチオンを含む場合、異なるAカチオンは、規則的又は不規則にAサイトに分布することができる。ペロブスカイト型化合物ABX3が2種類以上のBカチオンを含む場合、異なるBカチオンは、規則的又は不規則にBサイトに分布することができる。ペロブスカイト型化合物ABX3が2種類以上のXアニオンを含む場合、異なるXアニオンは、規則的又は不規則にXサイトに分布することができる。
【0020】
幾つかの実施例において、本願の化合物は、Aカチオン、Bカチオン及びXアニオンからなる一般式がABX3である化合物である。幾つかの実施例において、本願の化合物は、Aカチオン、Bカチオン及びXアニオンからなる一般式がAB’X4である化合物である。幾つかの実施例において、本願の化合物は、A’カチオン、Bカチオン及びXアニオンからなる一般式がB’2A’X5である化合物である。幾つかの実施例において、前記化合物ABX3は、ペロブスカイト型化合物ABX3である。
【0021】
幾つかの実施例において、本願の化合物ABX3、化合物AB’X4及び/又は化合物B’2A’X5において、
【0022】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、有機カチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、窒素含有ヘテロ環有機カチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、二価窒素含有有機カチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、二価窒素含有ヘテロ環有機カチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、二価窒素含有五員環カチオン、二価窒素含有六員環カチオン及び二価窒素含有七員環カチオンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0023】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)及び式(II)のイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択されてもよく、ただし、n
1、n
2、n
3、n
4及びn
5は、それぞれ好ましくは1、2、3、4又は5、より好ましくは1、2又は3である正の整数であってもよく、R
1、R
2、R
3及びR
4は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択されてもよく、誘導体は、有機カチオン本体における水素原子が同時又は非同時に置換基により置換されたものを指し、一般的な置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基などを含む。
幾つかの実施例において、
前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n
1及びn
2の何れか1つは2よりも大きく、又はR
1及びR
2の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、
又は、
前記Aカチオンは、式(II)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n
3、n
4及びn
5の何れか1つは2よりも大きく、又はR
3及びR
4の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。
【0024】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n1及びn2の何れか1つは2よりも大きく、又はR1及びR2の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(II)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n3、n4及びn5の何れか1つは2よりも大きく、又はR3及びR4の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n1及びn2の何れか1つは2よりも大きく、又は前記Aカチオンは、式(II)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn3、n4及びn5の何れか1つは2よりも大きい。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R1及びR2の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、又は前記Aカチオンは、式(II)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R3及びR4の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。
【0025】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R1及びR2の何れか1つはメチル基であり、又は前記Aカチオンは、式(II)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R3及びR4の何れか1つはメチル基である。
【0026】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n1及びn2の何れか1つは2である。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn1及びn2はいずれも2である。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n1は2であり、n2は2以上である。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(I)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n1及びn2の何れか1つは3である。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(II)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n3、n4及びn5の何れか1つは2である。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、式(II)のイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、n3、n4及びn5はいずれも2である。
【0027】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(式(III)、1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane-1,4-diium)、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(式(IV)、1-hydroxy-1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane-1,4-diium)、1,4-ジヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(式(V)、1,4-dihydroxy-1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane-1,4-diium)、ピラジン-1,4-ジイウムイオン(式(VI)、pyrazine-1,4-diium)、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン(式(VII)、piperazine-1,4-diium)、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン(式(VIII)、1-methylpiperazine-1,4-diium)、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(式(IX)、1-methyl-1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane-1,4-diium)、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン(式(X)、1,4-diazepane-1,4-diium)、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0028】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0029】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0030】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0031】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0032】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピラジン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0033】
幾つかの実施例において、前記Bカチオン及び/又はA’カチオンは、一価カチオンである。
【0034】
幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、銀イオン、アンモニウムイオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、銀イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオン、銀イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオン及び銀イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、銀イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、ナトリウムイオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、ルビジウムイオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、セシウムイオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、銀イオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、ヒドロキシルアンモニウムイオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、ヒドラジニウムイオンである。
【0035】
幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アルカリ金属イオン及び一価窒素含有カチオンのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アルカリ金属イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、一価窒素含有カチオンである。幾つかの実施例において、前記Bカチオンの一般式はNR3R4R5R6
+であり、ただし、R3、R4、R5、R6は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0036】
幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、銀イオン、アンモニウムイオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、銀イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、カリウムイオン、銀イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、カリウムイオン及び銀イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、銀イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、カリウムイオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、ナトリウムイオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、カリウムイオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、ルビジウムイオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、セシウムイオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、銀イオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、アンモニウムイオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、ヒドロキシルアンモニウムイオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、ヒドラジニウムイオンである。
【0037】
幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、アルカリ金属イオン及び一価窒素含有カチオンのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、アルカリ金属イオン及びアンモニウムイオンのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンは、一価窒素含有カチオンである。幾つかの実施例において、前記A’カチオンの一般式はNR3R4R5R6
+であり、ただし、R3、R4、R5、R6は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0038】
幾つかの実施例において、前記B’カチオンは、脂肪族ジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記B’カチオンは、飽和脂肪族ジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記B’カチオンは、アルキルジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記B’カチオンは、直鎖アルキルジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記B’カチオンの一般式はR7R8R9N+-(Cn3H2n3)-N+R10R11R12であり、ただし、n3は、好ましくは1、2、3、4又は5、より好ましくは1、2又は3、より好ましくは2である正の整数であってもよく、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。幾つかの実施例において、前記B’カチオンでは、R7、R8、R9、R10、R11、R12のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は全てが水素である。幾つかの実施例において、前記B’カチオンでは、n3は1である。幾つかの実施例において、前記B’カチオンでは、n3は2である。幾つかの実施例において、前記B’カチオンでは、n3は3である。幾つかの実施例において、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンを含む。幾つかの実施例において、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。
【0039】
幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0040】
幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、銀イオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、銀イオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、銀イオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0041】
幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンから選択され、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0042】
幾つかの実施例において、前記化合物の一般式はAB’X4であり、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。
【0043】
幾つかの実施例において、前記化合物の一般式はB’2A’X5であり、前記A’カチオンは、アンモニウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンである。
【0044】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、アニオンエネルギー基である。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、一価アニオンである。
【0045】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、雷酸イオン、アゾ基及びアジドイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、雷酸イオン、アゾ基及びアジドイオンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0046】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、ハロゲンを含有する一価アニオンである。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、ハロゲンを含有する一価酸素含有酸アニオンである。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、ハロゲン酸イオン及び過ハロゲン酸イオンのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過ハロゲン酸イオン及び硝酸イオンのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過ハロゲン酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン及び硝酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン及び過ヨウ素酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン及び過ヨウ素酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオン及び過臭素酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオン及び過ヨウ素酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過臭素酸イオン及び過ヨウ素酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過臭素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過ヨウ素酸イオンである。
【0047】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、カリウムイオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンである。これらの実施例の一部の試験例において、化合物は、高性能爆薬又は火工品として適用するメリットを有し、化合物が紫色の炎色反応を示し、Aカチオンが1,4-ジヒドロ-ピペラジンアンモニウムイオンである場合、PAP-2密度が2.02g/cm3と高く、エネルギー密度が3.04kcal/cm3であり、爆速が8.78km/sと高く、爆圧が36.6GPaと高く、Aカチオンが1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンである場合、PAP-H2密度が1.96g/cm3と高く、エネルギー密度が2.49kcal/cm3であり、爆速が8.17km/sと高く、爆圧が31.1GPaと高い。
【0048】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、カリウムイオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオンである。
【0049】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。これらの実施例の一部の試験例において、化合物は、高性能爆薬又は起爆薬として適用するメリットを有し、本発明のエネルギー化合物は、高い結晶密度を有し、結晶密度が2.35~2.50g/cm3の範囲にあり、理論爆発熱が1.14~1.29kcal/gと高く達することができ、爆轟性能が優れ、爆速が速く、Kamlet-Jacob式により計算したところ、化合物の理論爆速が8.54~8.96km/sと高く達することができ、理論爆圧が38.0~42.4GPaと高く達することができ、熱安定性が良好であり、化合物の熱分解温度が全て308.3~341.6℃よりも高く、化合物の衝撃感度と摩擦感度が比較的敏感であり、Aカチオンがピペラジン-1,4-ジイウムイオンである場合、PAP-5の密度が2.50g/cm3と高く、エネルギー密度が2.91kcal/cm3と高く達することができ、理論爆速が8.96km/sと高く、理論爆圧が42.4GPaと高く、Aカチオンが1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンである場合、PAP-M5の密度が2.35g/cm3と高く、エネルギー密度が3.05kcal/cm3と高く達することができ、理論爆速が8.73km/sと高く、理論爆圧が39.2GPaと高く、Aカチオンが1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンである場合、DAP-5衝撃感度が3Jであり、摩擦感度が≦5Nである。
【0050】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、銀イオンであり、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0051】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンであり、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。これらの実施例の一部の試験例において、化合物は、高性能爆薬又は固体推進薬として適用するメリットを有し、本発明のエネルギー化合物は、エネルギー密度が高く、理論爆発熱が1.19~1.48kcal/gと高く、結晶密度が1.74~1.85g/cm3の範囲にあり、爆轟性能が優れ、爆速が速く、Kamlet-Jacob式により計算したところ、化合物の理論爆速が8.08~8.90km/sと高く達することができ、理論爆圧が28.8~35.7GPaと高く達することができ、熱安定性が良好であり、分解温度が全て288.2~364.0℃よりも大きく、高い理論比推力値を有し、DFT及び設計された爆発分解反応により化合物の生成エンタルピーを推定し、EXPLO5により計算したところ、理論比推力値が225.3~264.2sと高く達することができ、Aカチオンが1-ヒドロキシ-4-ヒドロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンアンモニウムイオンである場合、DAP-O4化合物の理論爆発熱が1.48kcal/gと高く、対応するエネルギー密度が2.74kcal/cm3と高く達することができ、Aカチオンが1,4-ジヒドロ-ピペラジンアンモニウムイオンである場合、PAP-4化合物の理論比推力値が264.2sと高い。
【0052】
幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンであり、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンであり、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンであり、前記Bカチオンは、アンモニウムイオンであり、且つ前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0053】
幾つかの実施例において、Aは、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、Bは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、銀イオン、アンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。Xは、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン及び過ヨウ素酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、Aは、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、Bは、カリウムイオン、ルビジウムイオン、銀イオン、アンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。Xは、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン及び過ヨウ素酸イオンのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、Aは、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン、及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、Bは、カリウムイオン、ルビジウムイオン、銀イオン、アンモニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択される。Xは、塩素酸イオンから選択される。
【0054】
幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、前記Bカチオンは、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択され、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、前記Bカチオンは、ヒドラジニウムイオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンから選択される。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、前記Bカチオンは、ヒドロキシルアンモニウムイオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンから選択される。これらの実施例の一部の試験例において、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンは、高い生成エンタルピーを有し、且つ結晶においてより多くの水素結合を形成して相互作用する見込みがあり、又はより強い結合力を得ることに役立ち、それにより化合物の生成エンタルピーと結晶密度を同時に高める。これらの実施例の一部の試験例において、理論爆発熱が1.52、1.43kcal/gと高く、室温密度がそれぞれ1.90、1.87g/cm3と高く、対応する体積エネルギー密度がそれぞれ2.89、2.67kcal/cm3と高く、Kamlet-Jacob式により計算した理論爆速が9.12、8.88km/sと高く、理論爆圧が38.1、35.8GPaと高く、分解ピーク温度が246.1、376.1℃に達することができ、理論比推力値が265.3、256.9sと高い。
【0055】
幾つかの実施例において、前記化合物の一般式はAB’X4であり、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記Aカチオンは、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。幾つかの実施例において、前記化合物の一般式はB’2A’X5であり、前記A’カチオンは、アンモニウムイオンであり、前記B’カチオンは、エチレンジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、過塩素酸イオンである。これらの実施例の一部の試験例において、その理論爆発熱と体積エネルギー密度が高く、酸素バランスが高く、結晶学的密度値が高く、爆轟性能が優れ、摩擦に比較的敏感であるが衝撃に比較的鈍感であり、安全性能が良好であり、吸湿性が低く且つ熱安定性が高く、分解することなく長期保存可能であり、室温での結晶性が単一であり、原材料が安価で入手しやすく、生産プロセスが簡単であり、安全で大量に調製できる。具体的には、これらの実施例の一部の試験例において、その理論爆発熱が最も高くて1.40kcal/gに達することができ、室温での結晶密度が最も高くて1.91g/cm3に達し、酸素バランスパラメータ値が最も高くて6.25%に達することができ、Kamlet-Jacob式により計算したところ、その理論爆速が最も高くて9.09km/sに達し、理論爆圧が最も高くて37.6GPaに達し、その分解ピーク温度が最も高くて376.0℃に達し、その比推力値が最も高くて264.2sに達し、摩擦に敏感であるが衝撃に鈍感であり、摩擦感度(frictionsensitivity,FS)が9N~36Nの間にあり、衝撃感度(impactsensitivity,IS)が9J~20Jの間にある。
【0056】
幾つかの実施例において、本願の化合物は、上記Aカチオンの何れか1つ、2つ又は複数の種類又は上記A’カチオンの何れか1つ、2つ又は複数の種類、上記Bカチオンの何れか1つ、2つ又は複数の種類又は上記B’カチオンの何れか1つ、2つ又は複数の種類、及び/又は上記Xアニオンの何れか1つ、2つ又は複数の種類を含む。
【0057】
幾つかの実施例において、前記化合物ABX3では、前記Aカチオンの原子価と前記Bカチオンの原子価の合計は、前記Xアニオンの原子価の3倍である。幾つかの実施例において、前記化合物AB’X4では、前記Aカチオンの原子価と前記B’カチオンの原子価の合計は、前記Xアニオンの原子価の4倍である。幾つかの実施例において、前記化合物B’2A’X5では、前記A’カチオンの原子価と前記B’カチオンの原子価の2倍の合計は、前記Xアニオンの原子価の5倍である。
【0058】
幾つかの実施例において、本願の化合物は、Aカチオン又はA’カチオン、Bカチオン又はB’カチオン及びXアニオンからなる化合物ABX3、化合物AB’X4又は化合物B’2A’X5であり、前記Aカチオンは、窒素含有有機カチオンであり、前記Bカチオン及び前記A’カチオンは、カチオンであり、前記B’カチオンは、飽和脂肪族ジアンモニウムカチオンであり、且つ前記Xアニオンは、アニオンエネルギー基である。
【0059】
幾つかの実施例において、本願の化合物は、Aカチオン、Bカチオン及びXアニオンからなる化合物ABX3であり、前記Aカチオンは、窒素含有有機カチオンであり、前記Bカチオンは、カチオンであり、且つ前記Xアニオンは、アニオンエネルギー基であり、又はAカチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物AB’X4、又はA’カチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物B’2A’X5であり、前記Aカチオンは、二価窒素含有単環ヘテロ環カチオンであり、前記A’カチオンは、アルカリ金属イオン及び一価窒素含有カチオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、飽和脂肪族ジアンモニウムカチオンであり、且つ前記Xアニオンは、アニオンエネルギー基である。
【0060】
本願の少なくとも一部の実施例において、本願の化合物は、例えば化合物ABX3、化合物AB’X4又は化合物B’2A’X5であり、対応するA成分又はA’成分、B成分又はB’成分及びX成分を任意の順序で液体反応系に加えて反応させることで得られ、液体反応系は、A成分又はA’成分、B成分又はB’成分及びX成分を溶解可能な極性溶媒であることが好ましい。又は既知の合成方法により得られる。反応温度は、特に制限されておらず、例えば0~100℃のような非常に大きな範囲内で調節可能である。
【0061】
幾つかの実施例において、化合物の調製方法は、
1)A成分又はA’成分、B成分又はB’成分及びX成分を任意の順序で液体反応系において混合するステップと、
2)前記液体反応系において生成された固体生成物を取得し、好ましくは更に精製するステップと、を含むことができる。
【0062】
液体反応系は、A成分又はA’成分、B成分又はB’成分及びX成分を溶解可能な極性溶媒であることが好ましい。又は既知の合成方法により得られる。反応温度の範囲は、例えば0℃~100℃であってもよく、例えば室温又は25℃であってもよく、例えば15℃~40℃又は20℃~30℃などであってもよい。
【0063】
幾つかの実施例において、A成分又はA’成分、B成分又はB’成分及びX成分は、液体反応系において十分に撹拌することで混合可能である。幾つかの実施例において、前記液体反応系において生成された固体生成物を濾過し、エタノール又は類似する有機溶媒で残渣を洗浄し、真空乾燥することにより、精製する。
【0064】
幾つかの実施例において、化合物の調製方法は、
1)前記A成分又はA’成分溶液、即ち合成される化合物におけるAカチオン又はA’カチオンを含有する溶液を合成するステップと、
2)A成分又はA’成分溶液、B成分又はB’成分及びX成分を任意の順序で液体反応系において混合するステップと、
3)前記液体反応系において生成された固体生成物を取得して精製するステップと、を含むことができる。
【0065】
幾つかの実施例において、化合物の調製方法は、
1)前記B成分又はB’成分溶液、即ち合成される化合物におけるBカチオン又はBカチオンを含有する溶液を合成するステップと、
2)A成分又はA’成分溶液、B成分又はB’成分及びX成分を任意の順序で液体反応系において混合するステップと、
3)前記液体反応系において生成された固体生成物を取得して精製するステップと、を含むことができる。
【0066】
幾つかの実施例において、化合物の調製方法は、
1)前記A成分又はA’成分溶液、即ち合成される化合物におけるAカチオン又はA’カチオンを含有する溶液を合成するステップと、
2)前記B成分又はB’成分溶液、即ち合成される化合物におけるBカチオン又はBカチオンを含有する溶液を合成するステップと、
3)A成分又はA’成分溶液、B成分又はB’成分及びX成分を任意の順序で液体反応系において混合するステップと、
4)前記液体反応系において生成された固体生成物を取得して精製するステップと、を含むことができる。
【0067】
幾つかの実施例において、前記A成分又はA’成分及び前記B成分又はB’成分は固体であり、まず極性溶媒に溶解することができ、化合物の調製方法は、
1)A成分又はA’成分及びB成分又はB’成分をそれぞれ又は一緒に極性溶媒に溶解し、A成分又はA’成分溶液及びB成分又はB’成分溶液を得るステップと、
2)前記A成分又はA’成分溶液、前記B成分又はB’成分溶液及び前記X成分を任意の順序で混合するステップと、
3)前記液体反応系において生成された固体生成物を取得して精製するステップと、を含むことができる。
【0068】
幾つかの実施例において、化合物の調製方法は、
1)A成分又はA’成分を極性溶媒に加え、更にX成分を加え、均一に撹拌し、A成分又はA’成分及びX成分溶液を得るステップと、
2)B成分又はB’成分を極性溶媒に溶解し、B成分又はB’成分溶液を得るステップと、
3)前記A成分又はA’成分及びX成分溶液及び前記B成分又はB’成分溶液を混合し、十分に撹拌し、濾過し、エタノールで残渣を洗浄し、真空乾燥し、白色粉末状化合物を得るステップと、を含むことができる。
【0069】
幾つかの実施例において、前記A成分、A’成分、B成分及び/又はB’成分は、合成される化合物におけるAカチオン、A’カチオン、Bカチオン及び/又はB’カチオンを含む塩類、又は合成される化合物におけるAカチオンを含有する溶液であり、又は、前記A成分、A’成分、B成分及び/又はB’成分は、前記Aカチオン、A’カチオン、Bカチオン及び/又はB’カチオンが脱プロトン化(deprotonated)された生成物であり、即ち、前記A成分、A’成分、B成分及び/又はB’成分がプロトン化(protonated)された後の生成物は、前記Aカチオン、A’カチオン、Bカチオン及び/又はB’カチオンである。
【0070】
幾つかの実施例において、前記A成分は、窒素含有ヘテロ環化合物である。幾つかの実施例において、前記A成分は、二価窒素含有有機化合物又はその塩類である。幾つかの実施例において、前記A成分は、二価窒素含有ヘテロ環化合物又はその塩類である。幾つかの実施例において、前記A成分は、二価窒素含有五員環、二価窒素含有六員環及び二価窒素含有七員環、又はそのオニウム塩を含む塩類のうちの少なくとも1つから選択される。
【0071】
幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(XII)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、ただし、n
1、n
2、n
3、n
4及びn
5は、それぞれ好ましくは1、2、3、4又は5、より好ましくは1、2又は3である正の整数であってもよく、R
1、R
2、R
3及びR
4は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択されてもよく、誘導体は、有機カチオン本体における水素原子同時又は非同時に置換基により置換されたものを指し、一般的な置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基などを含む。
【0072】
幾つかの実施例において、
前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n1及びn2の何れか1つは2よりも大きく、又はR1及びR2の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、
又は、
前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ
n3、n4及びn5の何れか1つは2よりも大きく、又はR3及びR4の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。
【0073】
幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn1及びn2の何れか1つは2よりも大きく、又はR1及びR2の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn3、n4及びn5の何れか1つは2よりも大きく、又はR3及びR4の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn1及びn2の何れか1つは2よりも大きく、又は前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn3、n4及びn5の何れか1つは2よりも大きい。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R1及びR2の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含み、又は前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R3及びR4の何れか1つは少なくとも1つの炭素原子を含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R1及びR2の何れか1つはメチル基であり、又は前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つ、R3及びR4の何れか1つはメチル基である。
【0074】
幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn1及びn2の何れか1つは2である。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn1及びn2はいずれも2である。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn1は2であり、n2は2以上である。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物又は式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類又はその誘導体から選択され、且つn1は2であり、n2は2よりも大きい。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XI)の化合物、式(I)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn1及びn2の何れか1つは3である。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn3、n4及びn5の何れか1つは2である。幾つかの実施例において、前記A成分は、式(XII)の化合物、式(II)のイオンのオニウム塩を含む塩類、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、且つn3、n4及びn5はいずれも2である。
【0075】
幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと過酸化水素水の反応生成物、ピラジン、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、ピラジン-1,4-ジイウム、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0076】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと過酸化水素水の反応生成物、1,4-ジアゼパン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0077】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0078】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0079】
幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと過酸化水素水の反応生成物、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと過酸化水素水の反応生成物、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0080】
幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及び1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアゼパン、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0081】
幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピラジン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアゼパン及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピラジン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム及びその誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0082】
幾つかの実施例において、前記B又はA’成分は、合成される化合物におけるB又はA’カチオンを含む塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択され、且つ/又は前記B又はA’成分は、前記液体反応系に溶解した後に前記B又はA’カチオンが生じる。幾つかの実施例において、前記B又はA’成分は、合成される化合物におけるB又はA’カチオンを含む塩基(base)から選択される。幾つかの実施例において、前記B又はA’成分は、一価カチオンを含む塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。
【0083】
幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウムイオン、銀イオン及びアンモニウムイオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウムイオン及び銀イオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、銀イオン及びアンモニウムイオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウムイオン及びアンモニウムイオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウム塩、水酸化カリウム、アンモニウム塩、アンモニア及び銀塩の少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、アルカリ金属塩類及び水酸化物、一価窒素含有カチオン塩類、及び一価窒素含有アルカリのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、アルカリ金属の塩類及び水酸化物、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウム塩、水酸化カリウム、アンモニウム塩、アンモニア及び銀塩のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウム塩、水酸化カリウム、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、アンモニウム塩、アンモニア及び銀塩のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウム塩、水酸化カリウム及び銀塩のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、ナトリウム塩及び水酸化ナトリウムのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウム塩及び水酸化カリウムのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、ルビジウム塩及び水酸化ルビジウムのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、セシウム塩及び水酸化セシウムのうちの少なくとも1つである。前記アンモニアは、アンモニアガス、アンモニア水及び他の溶媒に溶解されるアンモニアのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。幾つかの実施例において、前記B成分は、銀塩である。
【0084】
幾つかの実施例において、前記B成分は、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有塩、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有アルカリ、ヒドラジン、ヒドラジニウムイオン含有塩、ヒドラジニウムイオン含有アルカリのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアンモニウム塩、ヒドラジン、ヒドラジニウム塩の少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアンモニウム塩の少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、ヒドラジン及びヒドラジニウム塩の少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、ヒドロキシルアミンである。幾つかの実施例において、前記B成分は、ヒドラジンである。
【0085】
幾つかの実施例において、前記B成分は、一価窒素含有カチオン塩類及び一価窒素含有アルカリのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B成分は、一般式がNR3R4R5R6
+であるカチオンの塩類、アルカリ及び水酸化物のうちの少なくとも1つ、ただし、R3、R4、R5、R6は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択されてもよい、又は一般式がNR3R4R5である化合物であってもよい。
【0086】
幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウムイオン、銀イオン、及びアンモニウムイオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウムイオン及び銀イオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、銀イオン及びアンモニウムイオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウムイオン及びアンモニウムイオンの塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウム塩、水酸化カリウム、アンモニウム塩、アンモニア及び銀塩の少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、アルカリ金属塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つであり、又は一価窒素含有カチオン塩類及び一価窒素含有アルカリのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、アルカリ金属の塩類及び水酸化物、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウム塩、水酸化カリウム、アンモニウム塩、アンモニア及び銀塩のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウム塩、水酸化カリウム、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、アンモニウム塩、アンモニア及び銀塩のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウム塩、水酸化カリウム及び銀塩のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記A’成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、ナトリウム塩及び水酸化ナトリウムのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、カリウム塩及び水酸化カリウムのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、ルビジウム塩及び水酸化ルビジウムのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、セシウム塩及び水酸化セシウムのうちの少なくとも1つである。前記アンモニアは、アンモニアガス、アンモニア水及び他の溶媒に溶解されるアンモニアのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。幾つかの実施例において、前記A’成分は、銀塩である。
【0087】
幾つかの実施例において、前記A’成分は、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有塩、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有アルカリ、ヒドラジン、ヒドラジニウムイオン含有塩、ヒドラジニウムイオン含有アルカリのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアンモニウム塩、ヒドラジン、ヒドラジニウム塩の少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアンモニウム塩の少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、ヒドラジン及びヒドラジニウム塩の少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、ヒドロキシルアミンである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、ヒドラジンである。
【0088】
幾つかの実施例において、前記A’成分は、一価窒素含有カチオン塩類及び一価窒素含有アルカリのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記A’成分は、一般式がNR3R4R5R6
+であるカチオンの塩類、アルカリ及び水酸化物のうちの少なくとも1つ、ただし、R3、R4、R5、R6は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ペルオキシ基、アゾ基及びニトロ基のうちの少なくとも1つから選択されてもよい、又は一般式がNR3R4R5である化合物であってもよい。
【0089】
幾つかの実施例において、前記B’成分は、合成される化合物におけるB’カチオンを含む塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択され、且つ/又は前記B’成分は、前記液体反応系に溶解した後に前記B’カチオンが生じる。幾つかの実施例において、前記B’成分は、合成される化合物におけるB’カチオンを含む塩基(base)から選択される。
【0090】
幾つかの実施例において、前記B’成分は、脂肪ジアミン及び脂肪族ジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B’成分は、飽和脂肪族ジアミン及び飽和脂肪族ジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B’成分は、アルキルジアミン及びアルキルジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B’成分は、直鎖アルキルジアンモニウム及び直鎖アルキルジアミン塩のうちの少なくとも1つである。幾つかの実施例において、前記B’成分は、一般式がR7R8R9N+-(Cn3H2n3)-N+R10R11R12イオンである塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つであり、ただし、n3は、好ましくは1、2、3、4又は5、より好ましくは1、2又は3、より好ましくは2である正の整数であってもよく、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。幾つかの実施例において、前記B’成分は、一般式がR7R8N-(Cn3H2n3)-NR10R11であるアミンであり、ただし、n3は、好ましくは1、2、3、4又は5、より好ましくは1、2又は3、より好ましくは2である正の整数であってもよく、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。幾つかの実施例において、前記B’成分では、R7、R8、R9、R10、R11、R12の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は全部は水素である。幾つかの実施例において、前記B’成分では、n3は1である。幾つかの実施例において、前記B’成分では、n3は2である。幾つかの実施例において、前記B’成分では、n3は3である。
【0091】
幾つかの実施例において、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記B’成分は、エチレンジアミンを含む。幾つかの実施例において、前記B’成分は、エチレンジアンモニウム塩を含む。幾つかの実施例において、前記B’成分は、エチレンジアミンである。
【0092】
幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウム塩及び水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、カリウム塩及び水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン及びピペラジン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0093】
幾つかの実施例において、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0094】
幾つかの実施例において、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと過酸化水素水の反応生成物、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと過酸化水素水の反応生成物、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。幾つかの実施例において、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0095】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0096】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0097】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン及びピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つを含み、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン及び1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つを含み、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つを含み、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0098】
幾つかの実施例において、前記X成分は、合成される化合物におけるXアニオンを含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択され、且つ/又は前記X成分は、前記液体反応系に溶解した後に前記Xアニオンが生じる。
【0099】
幾つかの実施例において、前記X成分は、アニオンエネルギー基を含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択される。
【0100】
幾つかの実施例において、前記X成分は、一価アニオンを含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択される。
【0101】
幾つかの実施例において、前記X成分は、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、硝酸、硝酸塩、雷酸、雷酸塩、アゾ塩類及びアジド塩類のうちの少なくとも1つから選択される。
【0102】
幾つかの実施例において、前記X成分は、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、硝酸、硝酸塩、雷酸、雷酸塩、アゾ塩類及びアジド塩類のうちの少なくとも1つから選択される。
【0103】
幾つかの実施例において、前記X成分は、ハロゲンを含有する酸及び塩類のうちの少なくとも1つを含む。
【0104】
幾つかの実施例において、前記X成分は、ハロゲンを含有する酸素含有酸及びその塩類、硝酸、及び硝酸塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0105】
幾つかの実施例において、前記X成分は、ハロゲンを含有する酸素含有酸及びその塩類のうちの少なくとも1つを含む。
【0106】
幾つかの実施例において、前記X成分は、ハロゲン酸、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸、過ハロゲン酸塩、硝酸、及び硝酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、ハロゲン酸、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸、及び過ハロゲン酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過ハロゲン酸、過ハロゲン酸塩、硝酸、及び硝酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過ハロゲン酸及び過ハロゲン酸塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0107】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸、過塩素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、硝酸及び硝酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸、過塩素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過ヨウ素酸及び過ヨウ素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸、過塩素酸塩、過臭素酸及び過臭素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸、過塩素酸塩、過ヨウ素酸及び過ヨウ素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過臭素酸、過臭素酸塩、過ヨウ素酸及び過ヨウ素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0108】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過臭素酸及び過臭素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記X成分は、過ヨウ素酸及び過ヨウ素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0109】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、カリウム塩及び水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0110】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、カリウム塩及び水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、及びピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0111】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0112】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0113】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0114】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0115】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0116】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1,4-ジアゼパン、ピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0117】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0118】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1-メチルピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、及び1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0119】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0120】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0121】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、銀塩から選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0122】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0123】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0124】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0125】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、アンモニウム塩及びアンモニアのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A成分は、1-メチルピペラジン、1,4-ジアゼパン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0126】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸基含有酸、過塩素酸基含有塩のうちの少なくとも1つであり、前記極性溶媒は、水、エタノール、メタノールのうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有塩、ヒドロキシルアンモニウムイオン含有アルカリ、ヒドラジン、ヒドラジニウムイオン含有塩、ヒドラジニウムイオン含有アルカリのうちの少なくとも1つであり、且つ前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンを含有する有機塩のうちの少なくとも1つである。
【0127】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸基含有酸、過塩素酸基含有塩のうちの少なくとも1つであり、前記B成分は、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアンモニウムイオンを含有する塩及びヒドロキシルアンモニウムイオン含有アルカリのうちの少なくとも1つであり、且つ前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンを含有する有機塩のうちの少なくとも1つである。
【0128】
幾つかの実施例において、前記X成分は、過塩素酸基含有酸、過塩素酸基含有塩のうちの少なくとも1つであり、前記B成分は、ヒドラジン、ヒドラジニウムイオンを含有する塩及びヒドラジニウムイオン含有アルカリのうちの少なくとも1つであり、且つ前記A成分は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンを含有する有機塩のうちの少なくとも1つである。
【0129】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩を含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0130】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアゼパン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウム、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0131】
幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩を含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、ピペラジン及びピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つを含み、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1-メチルピペラジン及び1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つを含み、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施例において、前記A成分は、1,4-ジアゼパン及び1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムのうちの少なくとも1つを含み、前記B’成分は、エチレンジアミン及びエチレンジアンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含み、前記X成分は、過塩素酸及び過塩素酸塩のうちの少なくとも1つを含む。
【0132】
幾つかの実施例において、前記A成分は、上記A成分の何れか1つ、2つ又は複数から選択され、前記A’成分は、上記A’成分の何れか1つ、2つ又は複数から選択され、前記B成分は、上記B成分の何れか1つ、2つ又は複数から選択され、前記B’成分は、上記B’成分の何れか1つ、2つ又は複数から選択され、且つ/又は前記X成分は、上記X成分の何れか1つ、2つ又は複数から選択される。
【0133】
幾つかの実施例において、合成される化合物は化合物ABX3であり、前記A成分は、合成される化合物におけるAカチオンを含む塩類から選択され、前記B成分は、合成される化合物におけるBカチオンを含む塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択され、前記X成分は、合成される化合物におけるXアニオンを含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記Aカチオンの原子価と前記Bカチオンの原子価の合計は、前記Xアニオンの原子価の3倍である。
【0134】
幾つかの実施例において、合成される化合物は化合物AB’X4であり、前記A成分は、合成される化合物におけるAカチオンを含む塩類から選択され、前記B’成分は、合成される化合物におけるB’カチオンを含む塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択され、前記X成分は、合成される化合物におけるXアニオンを含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記Aカチオンの原子価と前記B’カチオンの原子価の合計は、前記Xアニオンの原子価の4倍である。
【0135】
幾つかの実施例において、合成される化合物は化合物B’2A’X5であり、前記A’成分は、合成される化合物におけるA’カチオンを含む塩類から選択され、前記B’成分は、合成される化合物におけるB’カチオンを含む塩類及び水酸化物のうちの少なくとも1つから選択され、前記X成分は、合成される化合物におけるXアニオンを含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記A’カチオンの原子価と前記B’カチオンの原子価の2倍の合計は、前記Xアニオンの原子価の5倍である。
【0136】
幾つかの実施例において、化合物の調製方法は、A成分又はA’成分、B成分又はB’成分、及びX成分を任意の順序で液体反応系において混合するステップと、前記液体反応系において生成された固体生成物を取得するステップと、を含み、前記A成分は、窒素含有有機化合物及びその塩類のうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分及び前記A’成分は、アルカリ金属の塩類及び水酸化物、アンモニウム塩、アンモニア、銀塩、一価窒素含有カチオン塩類及び一価窒素含有アルカリのうちの少なくとも1つから選択され、前記B’成分は、飽和脂肪族ジアンモニウム塩及び飽和脂肪族ジアミンのうちの少なくとも1つから選択され、前記X成分は、アニオンエネルギー基を含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記液体反応系は、A成分又はA’成分、B成分又はB’成分、及びX成分を溶解可能な極性溶媒である。
【0137】
幾つかの実施例において、化合物の調製方法により合成される化合物は、Aカチオン、Bカチオン及びXアニオンからなる化合物ABX3であり、前記Aカチオンは、窒素含有有機カチオンであり、前記Bカチオンは、カチオンであり、前記Xアニオンは、アニオンエネルギー基であり、前記A成分は、窒素含有有機化合物及びその塩類のうちの少なくとも1つであり、前記B成分は、カチオンを含む塩類及び水酸化物及びアンモニアのうちの少なくとも1つであり、且つ前記X成分は、アニオンを含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つであり、又は、前記化合物は、Aカチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物AB’X4、又はA’カチオン、B’カチオン及びXアニオンからなる化合物B’2A’X5であり、前記Aカチオンは、二価窒素含有単環ヘテロ環カチオンであり、前記A’カチオンは、アルカリ金属イオン及び一価窒素含有カチオンのうちの少なくとも1つであり、前記B’カチオンは、飽和脂肪族ジアンモニウムカチオンであり、前記Xアニオンは、アニオンエネルギー基であり、前記A成分は、二価窒素含有単環ヘテロ環及びそのオニウム塩を含む塩類のうちの少なくとも1つから選択され、前記A’成分は、アルカリ金属の塩類及び水酸化物、一価窒素含有カチオン塩類及び一価窒素含有アルカリのうちの少なくとも1つから選択され、前記B成分は、飽和脂肪族ジアンモニウム塩及び飽和脂肪族ジアミンのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記X成分は、アニオンを含む酸及び塩類のうちの少なくとも1つから選択される。
【0138】
幾つかの実施例において、極性溶媒は、水及びアルコール類のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。幾つかの実施例において、極性溶媒は、水、エタノール、メタノールのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。幾つかの実施例において、極性溶媒は、水であってもよい。
【0139】
本願の幾つかの実施例において、上記何れか1つの実施例における化合物、上記何れか2つ又は複数の実施例における化合物の組み合わせ、又は上記何れか1つの実施例における化合物の調製方法により調製された化合物、上記何れか2つ又は複数の実施例における化合物の調製方法の組み合わせにより調製された化合物を含むエネルギー物質を提供する。本願の幾つかの実施例において、上記何れか1つの実施例における化合物、上記何れか2つ又は複数の実施例における化合物の組み合わせ、又は上記何れか1つの実施例における化合物の調製方法により調製された化合物、上記何れか2つ又は複数の実施例における化合物の調製方法の組み合わせにより調製された化合物の、エネルギー物質としての使用を提供する。本願の幾つかの実施例において、上記何れか1つの実施例における化合物、上記何れか2つ又は複数の実施例における化合物の組み合わせ、又は上記何れか1つの実施例における化合物の調製方法により調製された化合物、上記何れか2つ又は複数の実施例における化合物の調製方法の組み合わせにより調製された化合物の、エネルギー物質の製造における使用を提供する。
【0140】
上記の幾つかの実施例において、エネルギー物質は、起爆薬、高性能爆薬、推進薬又は火工品である。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アンモニウムイオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択され、且つ前記エネルギー物質は高性能爆薬又は推進薬であり、例えば固体推進薬である。幾つかの実施例において、エネルギー物質は無金属のエネルギー物質である。
【0141】
幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、銀イオンから選択され、且つ前記エネルギー物質は起爆薬又は高性能爆薬である。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオンから選択され、且つ前記エネルギー物質は高性能爆薬又は火工品である。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、アンモニウムイオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン及びヒドラジニウムイオンのうちの少なくとも1つから選択され、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン、1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンアンモニウムイオン又は1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンから選択され、前記Xイオンは、過塩素酸イオンから選択され、且つ前記エネルギー物質は高性能爆薬又は推進薬であり、例えば固体推進薬である。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、銀イオンから選択され、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオン、1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオン又は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンから選択され、前記Xイオンは、過塩素酸イオンから選択され、且つ前記エネルギー物質は起爆薬又は高性能爆薬である。幾つかの実施例において、前記Bカチオンは、カリウムイオンから選択され、前記Aカチオンは、ピペラジン-1,4-ジイウムイオン又は1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンから選択され、前記Xイオンは、過塩素酸イオンから選択され、且つ前記エネルギー物質は高性能爆薬又は火工品である。
【0142】
本願の少なくとも一部の実施例において、少なくとも1つの化合物は、揮発性がなく、分解することなく長期保存可能であり、吸湿せず、室温での結晶性が単一であり、原材料が安価で入手しやすく、生産プロセスが簡単であり、安全で大量に調製できる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【
図7】化合物AB’X
4の結晶構造の模式図である。
【
図8】化合物B’
2A’X
5の結晶構造の模式図である。
【
図9】実施例1の化合物PAP-4の粉末X線回折パターンである。
【
図10】実施例1の化合物PAP-4の示差熱分析曲線である。
【
図11】実施例2の化合物PAP-M4の粉末X線回折パターンである。
【
図12】実施例2の化合物PAP-M4の示差熱分析曲線である。
【
図13】実施例3の化合物PAP-H4の粉末X線回折パターンである。
【
図14】実施例3の化合物PAP-H4の示差熱分析曲線である。
【
図15】実施例4の化合物DAP-O4の粉末X線回折パターンである。
【
図16】実施例4の化合物DAP-O4の示差熱分析曲線である。
【
図17】実施例5の化合物DAP-M4の粉末X線回折パターンである。
【
図18】実施例5の化合物DAP-M4の示差熱分析曲線である。
【
図19】実施例6の化合物PAP-5の粉末X線回折パターンである。
【
図20】実施例6の化合物PAP-5の示差熱分析曲線である。
【
図21】実施例7の化合物PAP-M5の粉末X線回折パターンである。
【
図22】実施例7の化合物PAP-M5の示差熱分析曲線である。
【
図23】実施例8の化合物PAP-H5の粉末X線回折パターンである。
【
図24】実施例8の化合物PAP-H5の示差熱分析曲線である。
【
図25】実施例9の化合物DAP-5の粉末X線回折パターンである。
【
図26】実施例9の化合物DAP-5の示差熱分析曲線である。
【
図27】実施例11の化合物PAP-H2の粉末X線回折パターンである。
【
図28】実施例11の化合物PAP-H2の示差熱分析曲線である。
【
図29】実施例12の化合物DAP-6の粉末X線回折パターンである。
【
図30】実施例12の化合物DAP-6の示差熱分析スペクトルである。
【
図31】実施例13の化合物DAP-7の粉末X線回折パターンである。
【
図32】実施例13の化合物DAP-7の示差熱分析スペクトルである。
【
図33】実施例14の化合物EAPの粉末X線回折パターンである。
【
図34】実施例14の化合物EAPの示差熱分析スペクトルである。
【
図35】実施例15の化合物PEPの粉末X線回折パターンである。
【
図36】実施例15の化合物PEPの示差熱分析スペクトルである。
【
図37】実施例16の化合物MPEPの粉末X線回折パターンである。
【
図38】実施例16の化合物MPEPの示差熱分析スペクトルである。
【
図39】実施例17の化合物HPEPの粉末X線回折パターンである。
【
図40】実施例17の化合物HPEPの示差熱分析スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0144】
発明者は、特定の一般化学式を有する化合物を設計し、それらが単体のエネルギー物質としてエネルギー物質分野に用いられる場合について研究した。幾つかの実施例において、これらの化合物は、三元結晶エネルギー化合物である。幾つかの実施例において、これらのエネルギー化合物は、一般式ABX3として表されてもよい。幾つかの実施例において、これらのエネルギー化合物は、一般式AB’X4として表されてもよい。幾つかの実施例において、これらのエネルギー化合物は、一般式B’2A’X5として表されてもよい。幾つかの実施例において、これらの結晶化合物は、ペロブスカイト型構造の特徴を有し、一例として、一般化学式がABX3であるペロブスカイト型構造の特徴を有する結晶化合物である。
【0145】
幾つかの実施例において、ABX3、AB’X4又はB’2A’X5におけるXはアニオンエネルギー基である。エネルギー基は爆発性を有する基を指す。一般的な爆発性基は、ClO3
-、ClO4
-、IO4
-、NO3
-、ONC-、アゾ基、アジドイオン、ニトロ基などの基を含むが、これらに限定されない。
【0146】
幾つかの実施例において、ABX3、AB’X4又はB’2A’X5には、例えばXに対して、1種類又は2種類以上のイオンを含んでもよく、例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類、10種類…のXイオンが同時に存在してもよい。A、A’、Bについても同じ道理である。ペロブスカイトが2種類以上のA又はA’カチオンを含む場合、異なるA又はA’カチオンは、規則的又は不規則にA又はA’サイトに分布することができる。ペロブスカイトが2種類以上のBカチオンを含む場合、異なるBカチオンは、規則的又は不規則にBサイトに分布することができる。ペロブスカイトが2種類以上のXアニオンを含む場合、異なるXアニオンは、規則的又は不規則にXサイトに分布することができる。
【0147】
このような性質に基づき、本明細書に記載の「Xは…基/イオンである」、「Aは…基/イオンである」、「A’は…基/イオンである」、「Bは…基/イオンである」、「B’は…基/イオンである」、「Xは、…のうちの少なくとも1つから選択される」、「Aは、…のうちの少なくとも1つから選択される」、「A’は、…のうちの少なくとも1つから選択される」、「Bは、…のうちの少なくとも1つから選択される」、「B’は、…のうちの少なくとも1つから選択される」などは、例えばXについて、ABX3、AB’X4又はB’2A’X5の三次元結晶構造には、イオンで構成される多くのXサイトが含有され、三次元結晶構造では、複数のXサイトは、同じイオンで構成されてもよく、異なる複数のイオンで構成されてもよく、異なるイオンで構成された場合、そのうち少なくとも一部のサイト(又は大部のサイト)が…基/イオンであると理解すべきである。この場合、ABX3、AB’X4又はB’2A’X5の三次元結晶構造全体に、前記…基/イオンではない又は他の異種イオンである可能性のあるサイトが少量存在することを排除せず、これらのサイトの数が大きな程度で全体の性能に影響しなければよい。前記少量のサイトは、例えばモル数が50%以下であってもよく、例えば40%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を超えない。A、Bについても同じ道理である。
【0148】
幾つかの実施例において、本願は、粉末X線単結晶構造の特徴付け試験、X線粉末回折同定、示差熱分析(DTA)試験による特徴付け、衝撃及び摩擦感度試験による特徴付け、爆轟パラメータ(爆発熱/爆圧/爆速値)の計算などを含む複数の同定及び特徴付け方法を提供する。
【0149】
幾つかの実施例において、化合物ABX3、AB’X4又はB’2A’X5の合成は、本願に開示されている合成方法により行われてもよい。
【0150】
ペロブスカイト化合物ABX
3の結晶構造の模式図は
図1に示す通りである。
図1に示すように、Bサイトにあるカチオン(例えばアンモニウムイオンである)は6つの隣接するXサイトにあるアニオンに接続され、各Xサイトのアニオンは、2つの隣接するBサイトのカチオンに接続され、更に立方体籠状ユニットからなる三次元アニオン骨格を形成し、Aサイトにある有機カチオンは、各立方体籠状ユニットの穴に充填されている。
【0151】
ペロブスカイト化合物ABX
3の結晶構造の模式図は
図2に示す通りである。
図2に示すように、Bサイトにあるカチオン(例えば銀イオンである)は6つの隣接するXサイトにあるアニオンに接続され、各Xサイトのアニオンは、2つの隣接するBサイトにあるイオンに接続され、更に立方体籠状ユニットからなる三次元アニオン骨格を形成し、Aサイトにある有機カチオンは、各立方体籠状ユニットの穴に充填されている。
【0152】
ペロブスカイト化合物ABX
3の結晶構造の模式図は
図3に示す通りである。
図3に示すように、Bサイトにあるカチオン(例えば銀イオンである)の周りにおける6つのXサイトにあるアニオンは、BX
6八面体を形成し、隣接するカチオンは、3つのμ
2-アニオンを介して接続されてb軸方向に一次元鎖を形成し、Aサイトにある有機カチオンは、鎖間に充填されている。
【0153】
ペロブスカイト化合物ABX
3の結晶構造の模式図は
図4に示す通りである。
図4に示すように、Bサイトにあるカチオン(例えばカリウムイオンである)は6つの隣接するXサイトにあるアニオンに接続され、各Xサイトのアニオンは、2つの隣接するBサイトのカチオンに接続され、更に立方体籠状ユニットからなる三次元アニオン骨格を形成し、Aサイトにある有機カチオンは、各立方体籠状ユニットの穴に充填されている。
【0154】
ペロブスカイト化合物ABX
3の結晶構造の模式図は
図5に示す通りである。
図5に示すように、Bサイトにあるカチオン(例えばNH
3OH
+イオンである)の周りにおける6つのXサイトにあるアニオン(例えばClO
4
-イオンである)は押し潰された八面体を形成し、隣接するBサイトのカチオンは、3つのμ
2-Xサイトのアニオンを介してb軸方向に接続されて一次元鎖を形成し、Aサイトにある有機カチオン(例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(H
2dabco
2+)カチオンである)は鎖間に充填されている。
【0155】
ペロブスカイト化合物ABX
3の結晶構造の模式図は
図6に示す通りである。
図6に示すように、Bサイトにあるカチオン(例えばNH
2NH
3
+イオンである)の周りにおける6つのXサイトにあるアニオン(例えばClO
4
-イオンである)は押し潰された八面体を形成し、隣接するBサイトのカチオンは、3つのμ
2-Xサイトのアニオンを介して接続されてb軸方向に一次元鎖を形成し、Aサイトにある有機カチオン(例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(H
2dabco
2+)カチオンである)は鎖間に充填されている。
【0156】
ペロブスカイト化合物AB’X
4の結晶構造の模式図は
図7に示す通りである。
図7に示すように、各B’サイトのカチオン(例えばH
2EA
2+イオンである)の周りにおける10個のXサイトのアニオン(例えば過塩素酸イオンである)は不規則な十二面体(
図7aを参照)を形成し、隣接するB’サイトのカチオンは、4つのμ
4-Xサイトのアニオン及び6つのμ
2-Xサイトのアニオンを介してb軸及びc軸方向に接続されて層状構造(
図7bを参照)を形成し、隣接する二層の間のAサイトのカチオン(例えばピペラジンカチオンである)とXサイトのアニオンは、交互に配列される(
図7cを参照)。
【0157】
ペロブスカイト化合物B’
2A’X
5の結晶構造の模式図は
図8に示す通りである。
図8に示すように、隣接するA’サイトのカチオン(例えばアンモニウムイオンである)の間は接続されてダイヤモンドネットワーク構造を構成し、構造の独立したユニットにXサイトのアニオン(例えばClO
4
-イオンである)が存在し、そのうちの1種類のアニオンの間も接続されて辺長が隣接するA’サイトのカチオンにより形成されたダイヤモンドネットワーク構造の辺長と同じダイヤモンドネットワーク構造を構成し、2つのダイヤモンドネットワークは相互に貫入し、各A’サイトのカチオン及びそのようなXサイトのアニオンの周りにおける6つのB’サイトのカチオン(例えばエチレンジアンモニウムカチオンである)は八面体構造を構成し、3つの八面体は1つのμ
3-B’サイトのカチオンを介して接続され、別の種類のXサイトのアニオンは、3つの八面体の間にある。
【0158】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C4H12N2)(NH4)(ClO4)3(PAP-4と記す)を採用し、この化合物は、298Kで立方晶系のFm-3c空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=b=c=14.5631(3)Åであり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約12.10±0.2°、17.17±0.2°、21.03±0.2°、24.33±0.2°、27.27±0.2°、29.95±0.2°、34.70±0.2°、36.30±0.2°、36.89±0.2°、40.95±0.2°、42.81±0.2°、44.67±0.2°、47.95±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が288.2℃であることが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用してエネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ6.00kJ/g、8.63km/s及び32.4GPaである。密度汎関数DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアを利用してエネルギー化合物の生成エンタルピー及び理論比推力値を得て、それぞれ-537.7kJ/mol及び264.2sである。
【0159】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C5H14N2)(NH4)(ClO4)3(PAP-M4と記す)を採用し、この化合物は、298Kで斜方晶系のPnma空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.2673(2)Å、b=14.7004(2)Å、c=20.9914(3)Åであり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約7.45±0.2°、9.68±0.2°、12.15±0.2°、13.57±0.2°、15.45±0.2°、16.53±0.2°、17.35±0.2°、18.34±0.2°、18.86±0.2°、20.86±0.2°、21.88±0.2°、22.95±0.2°、23.72±0.2°、24.31±0.2°、25.15±0.2°、26.97±0.2°、27.46±0.2°、27.66±0.2°、28.21±0.2°、29.13±0.2°、29.95±0.2°、30.51±0.2°、31.13±0.2°、33.05±0.2°、34.56±0.2°、35.52±0.2°、36.56±0.2°、37.93±0.2°、38.83±0.2°、39.93±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が323.1℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、PAP-M4が摩擦感度に対して比較的敏感(FS≦6N)であることが示され、衝撃感度特徴付け結果により、PAP-M4が衝撃感度に対して比較的鈍感である(IS=30J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.14kJ/g、8.31km/s及び30.3GPaである。密度汎関数DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアを利用し、エネルギー化合物の生成エンタルピー及び理論比推力値を得て、それぞれ-859.9kJ/mol及び241.2sである。
【0160】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C5H14N2)(NH4)(ClO4)3(PAP-H4と記す)を採用し、この化合物は、223Kで単斜晶系のP21/n空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=19.7404(5)Å、b=14.3294(5)Å、c=21.2948(8)Å、β=90.075(3)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約6.14±0.2°、7.66±0.2°、12.25±0.2°、13.70±0.2°、14.86±0.2°、16.58±0.2°、17.41±0.2°、18.29±0.2°、19.05±0.2°、20.70±0.2°、21.86±0.2°、22.27±0.2°、22.99±0.2°、23.37±0.2°、24.50±0.2°、24.80±0.2°、25.29±0.2°、25.93±0.2°、26.50±0.2°、27.74±0.2°、28.31±0.2°、29.32±0.2°、29.95±0.2°、30.48±0.2°、30.83±0.2°、31.52±0.2°、33.36±0.2°、34.07±0.2°、35.13±0.2°、35.64±0.2°、36.20±0.2°、36.62±0.2°、37.11±0.2°、37.91±0.2°、39.42±0.2°、39.97±0.2°°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が348.9℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、PAP-H4が摩擦感度に対して比較的敏感である(FS=6N)ことが示され、衝撃感度特徴付け結果により、PAP-H4が衝撃感度に対して比較的鈍感である(IS=27.5J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.76kJ/g、8.76km/s及び34.3GPaである。密度汎関数DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアを利用し、エネルギー化合物の生成エンタルピー及び理論比推力値を得て、それぞれ-600.4kJ/mol及び255.4sである。
【0161】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C6H14N2O)(NH4)(ClO4)3(DAP-O4と記す)を採用し、この化合物は、298Kで立方晶系のFm-3c空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=b=c=14.7627(1)Å、β=90°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約12.06±0.2°、20.90±0.2°、24.15±0.2°、27.05±0.2°、29.7±0.2°、34.38±0.2°、35.99±0.2°、36.52±0.2°、38.60±0.2°、40.52±0.2°、42.42±0.2°、49.36±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が352.0℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、DAP-O4が摩擦感度に対して比較的敏感である(FS<5N)ことが示され、衝撃感度特徴付け結果により、DAP-O4が衝撃感度に対して比較的鈍感である(IS=17.5J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ6.21kJ/g、8.90km/s及び35.7GPaである。密度汎関数DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアを利用し、エネルギー化合物の生成エンタルピー及び理論比推力値を得て、それぞれ-436.1kJ/mol及び262.4sである。
【0162】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C7H16N2)(NH4)(ClO4)3(DAP-M4と記す)を採用し、この化合物は、298Kで単斜晶系のP21空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.1520(2)Å、b=10.9824(2)Å、c=14.7774(2)Å、β=89.856(1)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約9.94±0.2°、11.81±0.2°、11.44±0.2°、17.07±0.2°、18.29±0.2°、20.00±0.2°、21.03±0.2°、23.90±0.2°、24.39±0.2°、25.71±0.2°、26.64±0.2°、27.35±0.2°、28.00±0.2°、28.43±0.2°、29.83±0.2°、31.42±0.2°、32.43±0.2°、33.06±0.2°、33.88±0.2°、34.61±0.2°、35.03±0.2°、35.38±0.2°、35.89±0.2°、36.15±0.2°、36.60±0.2°、37.29±0.2°、38.35±0.2°、39.97±0.2°、40.70±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が364.0℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、DAP-M4が摩擦感度に対して比較的敏感である(FS=10N)ことが示され、衝撃感度特徴付け結果により、DAP-M4が衝撃感度に対してやや敏感である(IS=7.5J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ4.99kJ/g、8.09km/s及び28.8GPaである。密度汎関数DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアを利用し、エネルギー化合物の生成エンタルピー及び理論比推力値を得て、それぞれ-839.1kJ/mol及び225.2sである。
【0163】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C4H12N2)[Ag(ClO4)3](PAP-5と記す)を採用し、この化合物は、223Kで単斜晶系のP21/c空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.1221(2)Å、b=9.6470(2)Å、c=13.2672(3)Å、β=91.7815(19)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約12.88±0.2、13.43±0.2°、14.64±0.2°、17.68±0.2°、18.35±0.2°、18.73±0.2°、19.78±0.2°、21.82±0.2°、22.54±0.2°、22.90±0.2°、24.07±0.2°、25.66±0.2°、26.44±0.2°、26.80±0.2°、28.11±0.2°、28.74±0.2°、29.32±0.2°、30.01±0.2°、30.83±0.2°、31.56±0.2°、32.40±0.2°、32.70±0.2°、35.50±0.2°、36.89±0.2°、37.73±0.2°、38.52±0.2°、38.79±0.2°、39.24±0.2°、39.83±0.2°、40.24±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が341.6℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、PAP-5が摩擦感度に対して比較的敏感である(FS≦5N)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ4.88kJ/g、8.96km/s及び42.4GPaである。
【0164】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C5H14N2)[Ag(ClO4)3](PAP-M5と記す)を採用し、この化合物は、298Kで斜方晶系のPnma空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.1827(3)Å、b=13.8975(4)Å、c=20.2734(5)Åであり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約8.74±0.2°、9.72±0.2°、11.61±0.2°、12.33±0.2°、12.76±0.2°、14.60±0.2°、15.76±0.2°、17.02±0.2°、17.43±0.2°、17.78±0.2°、18.56±0.2°、19.60±0.2°、20.60±0.2°、24.82±0.2°、25.68±0.2°、26.64±0.2°、27.52±0.2°、27.99±0.2°、28.56±0.2°、29.46±0.2°、30.62±0.2°、31.03±0.2°、31.54±0.2°、32.21±0.2°、33.97±0.2°、34.48±0.2°、35.50±0.2°、36.13±0.2°、37.40±0.2°、37.93±0.2°、38.24±0.2°、38.91±0.2°、39.46±0.2°、40.99±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が308.3℃であることが示された。感度試験結果により、PAP-M5が摩擦に対して比較的敏感である(FS≦5N)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.42kJ/g、8.73km/s及び39.2GPaである。
【0165】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C5H14N2)[Ag(ClO4)3](PAP-H5と記す)を採用し、この化合物は、298Kで単斜晶系のP21/n空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.7045(2)Å、b=8.60470(10)Å、c=15.6254(3)Å、β=90.345(2)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約10.00±0.2°、11.33±0.2°、14.37±0.2°、16.56±0.2°、18.98±0.2°、20.39±0.2°、20.66±0.2°、21.66±0.2°、22.62±0.2°、23.01±0.2°、23.62±0.2°、25.05±0.2°、25.60±0.2°、26.09±0.2°、26.60±0.2°、27.21±0.2°、27.66±0.2°、28.19±0.2°、29.03±0.2°、29.85±0.2°、30.93±0.2°、31.81±0.2°、32.09±0.2°、32.87±0.2°、33.15±0.2°、33.5±0.2°、34.68±0.2°、35.54±0.2°、36.58±0.2°、37.07±0.2°、38.20±0.2°、38.56±0.2°、39.89±0.2°、40.52±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が328.7℃であることが示された。感度試験結果により、PAP-H5が摩擦に対して比較的敏感である(FS≦5N)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.36kJ/g、8.69km/s及び38.7GPaである。
【0166】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C6H14N2)[Ag(ClO4)3](DAP-5と記す)を採用し、この化合物は、223Kで立方晶系のPa-3空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=14.1379(3)Åであり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約12.46±0.2°、13.90±0.2°、17.62±0.2°、18.72±0.2°、21.64±0.2°、23.41±0.2°、25.06±0.2°、25.83±0.2°、28.06±0.2°、28.75±0.2°、30.83±0.2°、31.48±0.2°、33.90±0.2°、34.53±0.2°、35.72±0.2°、36.29±0.2°、37.41±0.2°、37.96±0.2°、39.06±0.2°、40.11±0.2°、40.62±0.2°、41.15±0.2°、41.68±0.2°、42.13±0.2°、42.76±0.2°、44.12±0.2°、44.58±0.2°、45.09±0.2°、46.03±0.2°、46.15±0.2°、46.64±0.2°、47.88±0.2°、47.98±0.2°、48.32±0.2°、49.24±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が313.7℃であることが示された。感度試験結果により、DAP-5が衝撃と摩擦の何れに対しても比較的敏感である(IS=3J、FS≦5N)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ4.76kJ/g、8.59km/s及び38.5GPaである。
【0167】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C4H12N2)[K(ClO4)3](PAP-2と記す)を採用し、この化合物は、284(17)Kで斜方晶系のPbcm空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.3353(6)Å、b=9.6777(6)Å、c=13.9862(10)Å、α=β=γ=90°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約8.55±0.2、12.52±0.2°、12.65±0.2°、14.03±0.2°、15.29±0.2°、17.15±0.2°、17.83±0.2°、18.32±0.2°、19.40±0.2°、20.25±0.2°、20.48±0.2°、21.23±0.2°、21.36±0.2°、22.32±0.2°、22.84±0.2°、23.27±0.2°、23.94±0.2°、25.19±0.2°、25.45±0.2°、26.53±0.2°、26.90±0.2°、27.34±0.2°、27.46±0.2°、27.92±0.2°、28.20±0.2°、28.28±0.2°、28.46±0.2°、28.87±0.2°、28.97±0.2°、29.68±0.2°、30.34±0.2°、30.85±0.2°、31.54±0.2°、31.73±0.2°、31.76±0.2°、31.86±0.2°、32.24±0.2°、32.51±0.2°、32.70±0.2°、33.34±0.2°、33.62±0.2°、34.41±0.2°、34.69±0.2°、35.19±0.2°、35.95±0.2°、36.12±0.2°、36.53±0.2°、37.06±0.2°、37.37±0.2°、37.70±0.2°、38.10±0.2°、38.25±0.2°、38.59±0.2°、38.73±0.2°、38.94±0.2°、39.38±0.2°、39.51±0.2°、40.05±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ6.29kJ/g、8.78km/s及び36.6GPaである。
【0168】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C5H14N2)[K(ClO4)3](PAP-H2と記す)を採用し、この化合物は、298Kで斜方晶系のPbca空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=9.6351(3)Å、b=14.7473(4)Å、c=20.9607(8)Åであり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約8.44±0.2°、11.96±0.2°、12.461±0.2°、12.68±0.2°、13.84±0.2°、14.66±0.2°、16.78±0.2°、17.46±0.2°、18.40±0.2°、19.36±0.2°、19.82±0.2°、20.76±0.2°、22.00±0.2°、22.40±0.2°、22.74±0.2°、24.04±0.2°、24.42±0.2°、25.08±0.2°、25.46±0.2°、25.82±0.2°、26.14±0.2°、26.48±0.2°、27.16±0.2°、27.88±0.2°、28.24±0.2°、28.86±0.2°、29.04±0.2°、29.54±0.2°、29.76±0.2°、30.44±0.2°、30.72±0.2°、31.02±0.2°、31.20±0.2°、31.64±0.2°、32.24±0.2°、32.76±0.2°、33.08±0.2°、33.24±0.2°、33.60±0.2°、34.20±0.2°、34.36±0.2°、35.02±0.2°、35.32±0.2°、35.50±0.2°、35.72±0.2°、35.84±0.2°、36.04±0.2°、36.38±0.2°、36.58±0.2°、37.38±0.2°、37.54±0.2°、37.80±0.2°、38.04±0.2°、38.30±0.2°、38.52±0.2°、38.68±0.2°、38.78±0.2°、39.28±0.2°、39.64±0.2°、39.84±0.2°、40.26±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が367.4℃であることが示された。感度試験結果により、PAP-H2が衝撃に対して鈍感であるが、摩擦に対して比較的敏感であることが示され、PAP-H2の衝撃感度及び摩擦感度は、それぞれIS=27.5J及びFS=7Nである。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.32kJ/g、8.17km/s及び31.1GPaである。
【0169】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C6H14N2)(NH3OH)(ClO4)3(DAP-6と記す)を採用し、この化合物は、223Kで単斜晶系のP21空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=20.740(1)Å、b=8.2366(2)Å、c=20.790(1)Å、β=119.65(1)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約9.81±0.2°、14.56±0.2°、19.68±0.2°、21.56±0.2°、22.46±0.2°、27.62±0.2°、29.36±0.2°、34.12±0.2°、37.00±0.2°、49.34±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が246.1℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、DAP-6が摩擦に対して比較的敏感である(FS≦5N)ことが示され、衝撃感度結果により、DAP-6が衝撃に対して比較的鈍感である(IS=15J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ1.52kcal/g、9.12km/s及び38.1GPaである。
【0170】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C6H14N2)(NH3NH2)(ClO4)3(DAP-7と記す)を採用し、この化合物は、223Kで単斜晶系のP21/m空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.378(2)Å、b=8.0505(7)Å、c=10.587(2)Å、β=117.99(2)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約14.52±0.2°、19.36±0.2°、19.76±0.2°、21.98±0.2°、22.30±0.2°、22.65±0.2°、29.78±0.2°、35.74±0.2°、37.40±0.2°、49.68±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析計による試験結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が376.1℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、DAP-7が摩擦に対して比較的敏感である(FS≦5N)ことが示され、衝撃感度特徴付け結果により、DAP-7が衝撃に対して比較的鈍感である(IS=27.5J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びK-J経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ1.43kcal/g、8.89km/s及び35.80GPaである。
【0171】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(H2EA)2(NH4)(ClO4)5(EAPと記す)を採用し、この化合物は、298Kで正方晶系のI41/a空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=b=10.7731(1)Å、c=19.1420(3)Å、α=β=γ=90°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約9.29±0.2°、14.73±0.2°、16.30±0.2°、18.86±0.2°、21.78±0.2°、23.25±0.2°、24.77±0.2°、25.10±0.2°、32.11±0.2°、38.16±0.2°、48.28±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析試験結果により、EAPに2つの分解放熱ピークが存在し、ピーク温度がそれぞれ304.2℃及び376.0℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、EAPが摩擦に対して比較的敏感である(FS=36N)ことが示され、衝撃感度結果により、EAPが衝撃に対して比較的鈍感である(IS=12J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びKamlet-Jacob経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.07kJ/g、8.97km/s及び37.0GPaである。
【0172】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C4H12N2)(H2EA)(ClO4)4(PEPと記す)を採用し、この化合物は、298Kで斜方晶系のPbca空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=23.9304(2)Å、b=10.3226(1)Å、c=31.4590(4)Å、α=β=γ=90°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約11.31±0.2°、11.84±0.2°、14.78±0.2°、15.82±0.2°、18.70±0.2°、20.56±0.2°、21.72±0.2°、22.90±0.2°、23.44±0.2°、25.44±0.2°、26.95±0.2°、28.76±0.2°、34.75±0.2°、41.46±0.2°、49.69±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析試験の結果により、この化合物の熱分解ピーク温度が311.6℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、PEPが摩擦に対して比較的敏感である(FS=12N)ことが示され、衝撃感度特徴付け結果により、PEPが衝撃に対して比較的鈍感である(IS=9J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びKamlet-Jacob経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ6.10kJ/g、9.09km/s及び37.6GPaである。
【0173】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C5H14N2)(H2EA)(ClO4)4(MPEPと記す)を採用し、この化合物は、298Kで単斜晶系のP21/c空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=12.7872(5)Å、b=10.3107(3)Å、c=15.9171(5)Å、α=γ=90°、β=99.987(4)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約6.99±0.2°、14.04±0.2°、14.94±0.2°、16.68±0.2°、18.57±0.2°、19.53±0.2°、21.13±0.2°、22.42±0.2°、23.88±0.2°、26.13±0.2°、26.85±0.2°、33.33±0.2°、34.69±0.2°、47.76±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析試験の結果により、MPEPに3つの分解放熱ピークが存在し、ピーク温度がそれぞれ300.0℃、323.0℃及び368.0℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、MPEPが摩擦に対して比較的敏感である(FS=9N)ことが示され、衝撃感度特徴付け結果により、MPEPが衝撃に対して比較的鈍感である(IS=20J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びKamlet-Jacob経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.86kJ/g、8.73km/s及び34.0GPaである。
【0174】
1つの実施例において、エネルギー物質としての化合物としては、(C5H14N2)(H2EA)(ClO4)4(HPEPと記す)を採用し、この化合物は、298Kで単斜晶系のP21/n空間群において結晶化し、単位胞パラメータa=10.7045(2)Å、b=8.60470(10)Å、c=15.6254(3)Å、α=γ=90°、β=90.345(2)°であり、室温での粉末X線回折(Cu-Kα線)は、回折角度2θが約7.02±0.2°、10.98±0.2°、14.11±0.2°、15.47±0.2°、18.35±0.2°、21.01±0.2°、22.43±0.2°、23.54±0.2°、25.37±0.2°、26.46±0.2°、27.50±0.2°、42.10±0.2°、48.46±0.2°である所に発生するが、これらに限定されない。示差熱分析試験の結果により、HPEP熱分解ピーク温度が324.6℃であることが示された。摩擦感度特徴付け結果により、HPEPが摩擦に対して比較的敏感である(FS=12N)ことが示され、衝撃感度特徴付け結果により、MPEPが衝撃に対して比較的鈍感である(IS=17.5J)ことが示された。文献に報道されている爆轟パラメータの計算方法により、密度汎関数DFT理論及びKamlet-Jacob経験式を利用し、エネルギー化合物の爆発熱、爆速及び爆圧値を得て、それぞれ5.87kJ/g、8.76km/s及び34.4GPaである。
【0175】
PAP-4、PAP-M4及びDAP-O4の単結晶構造のデータは、理学Rigaku XtaLAB P300DS単結晶回折計(Cu-Kα、λ=1.54184Å)により測定される。PAP-H4及びDAP-M4の単結晶構造のデータは、アジレント(Agilent)SuperNova単結晶回折計(Mo-Kα、λ=0.71073Å)により測定される。X線粉末回折データは、Advance D8回折計(θ-2θ走査モード、Cu-Kα)にて試験して得られる。示差熱分析データは、米国Idea Science計器会社のDTA 552-EX防爆示差熱分析計(DTA)にて試験して測定される。衝撃及び摩擦感度は、それぞれBFH 10 BAMドロップハンマー衝撃感度計及びFSKM10 BAM摩擦感度計により国際連合による危険品の輸送基準に従って測定される。
【0176】
PAP-5及びDAP-5の単結晶構造のデータは、理学Rigaku XtaLAB P300DS単結晶回折計(Mo-Kα、λ=0.71073Å)により223Kの温度で測定され、PAP-M5及びPAP-H5の単結晶構造のデータは、理学Rigaku XtaLAB P300DS単結晶回折計(Cu-Kα、λ=1.54184Å)により298Kの温度で測定される。X線粉末回折データは、Advance D8回折計(θ-2θ走査モード、Cu-Kα)にて試験して得られる。示差熱分析データは、米国Idea Science計器会社のDTA 552-EX防爆示差熱分析計(DTA)にて試験して測定される。衝撃及び摩擦感度は、それぞれBFH 10 BAMドロップハンマー衝撃感度計及びFSKM10 BAM摩擦感度計により国際連合による危険品の輸送基準に従って測定される。
【0177】
PAP-2の単結晶構造のデータは、アジレントSuperNova単結晶回折計(Cu-Kα、λ=1.54178Å)により測定され、PAP-H2の単結晶構造のデータは、理学Rigaku XtaLAB P300DS単結晶回折計(Cu-Kα、λ=1.54184Å)により測定される。X線粉末回折データは、Advance D8回折計(θ-2θ走査モード、Cu-Kα)にて試験して得られる。示差熱分析データは、米国Idea Science計器会社のDTA 552-EX防爆示差熱分析計(DTA)にて試験して測定される。衝撃及び摩擦感度は、それぞれBFH 10 BAMドロップハンマー衝撃感度計及びFSKM10 BAM摩擦感度計により国際連合による危険品の輸送基準に従って測定される。
【0178】
DAP-6及びDAP-7の単結晶構造のデータは、アジレントSuperNova単結晶回折計(CuKα、λ=1.54184Å)により223Kで測定される。X線粉末回折データは、Advance D8回折計(θ-2θ走査モード、Cu-Kα)にて試験して得られる。示差熱分析データは、米国Idea Science計器会社のDTA 552-EX防爆示差熱分析計(DTA)にて試験して測定される。衝撃及び摩擦感度は、それぞれBFH 10 BAMドロップハンマー衝撃感度計及びFSKM10 BAM摩擦感度計により国際連合による危険品の輸送基準に従って測定される。
【0179】
EAP、PEP、MPEP及びHPEPの単結晶構造のデータは、理学Rigaku XtaLAB P300DS単結晶回折計(Cu-Kα、λ=1.54184Å)により室温の環境で測定される。X線粉末回折データは、Advance D8回折計(θ-2θ走査モード、Cu-Kα)にて試験して得られる。示差熱分析データは、米国Idea Science計器会社のDTA 552-EX防爆示差熱分析計(DTA)にて試験して測定される。衝撃及び摩擦感度は、それぞれBFH 10 BAMドロップハンマー衝撃感度計及びFSKM10 BAM摩擦感度計により国際連合による危険品の輸送基準に従って測定される。
【0180】
実施例1
(C4H12N2)(NH4)(ClO4)3(PAP-4)の合成と試験(一般式ABX3、Aはピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、BはNH4
+であり、XはClO4
-である)
【0181】
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら2.35gの過塩素酸アンモニウムを更に加え、常温で5min撹拌した。
2)1.72gの無水ピペラジンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、80℃に加熱して10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-4純粋相であり、収率が80%であった。
【0182】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図9に示す通りである。
【0183】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表1に示す通りである。
【0184】
【0185】
PAP-4の示差熱分析(DTA)による特徴付け:PAP-4のDTA曲線は
図10に示す通りである。
図10から分かるように、粉末状のエネルギー化合物PAP-4は、分解ピーク温度288.2℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0186】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-4の爆発熱、爆圧、爆速の値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-4の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.43kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-4の爆速が約8.63km/sであり、爆圧が約32.4GPaであった。
【0187】
DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアにより計算されたエネルギー化合物PAP-4の理論比推力値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-4の生成エンタルピーが約-537.7kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、PAP-4の理論比推力値が264.2sであった。比較として、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンをAカチオンとする(C6H14N2)[NH4(ClO4)3](DAP-4)は、同様の条件下での理論生成エンタルピーが-484.0kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、DAP-4の理論比推力値が253.5sであった。
【0188】
単位モル当たりのPAP-4により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-4が無酸素環境で完全に爆発した後に13.75モルのガス物質を生成可能であり、3.25モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、PAP-4が完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0189】
実施例2
(C5H14N2)(NH4)(ClO4)3(PAP-M4)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、BはNH4
+であり、XはClO4
-である)
【0190】
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら2.35gの過塩素酸アンモニウムを更に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.00gの1-メチルピペラジンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-M4純粋相であり、収率が80%であった。
【0191】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図11に示す通りである。
【0192】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表2に示す通りである。
【0193】
【0194】
PAP-M4の示差熱分析(DTA)による特徴付け:PAP-M4のDTA曲線は
図12に示す通りである。
図12から分かるように、粉末状のエネルギー化合物PAP-M4は、分解ピーク温度323.1℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0195】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-M4の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-M4の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.23kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-M4の爆速が約8.31km/sであり、爆圧が約30.3GPaであった。
【0196】
DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアにより計算されたエネルギー化合物PAP-M4の理論比推力値:汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-M4の生成エンタルピー密度が約-859.9kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、PAP-M4の理論比推力値が241.2sであった。
【0197】
単位モル当たりのPAP-M4により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-M4が無酸素環境で完全に爆発した後に14.25モルのガス物質を生成可能であり、2.75モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、PAP-M4が完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0198】
実施例3
(C5H14N2)(NH4)(ClO4)3(PAP-H4)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンであり、BはNH4
+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら2.35gの過塩素酸アンモニウムを更に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.00gのホモピペラジンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-H4純粋相であり、収率が80%であった。
【0199】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図13に示す通りである。
【0200】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表3に示す通りである。
【0201】
【0202】
PAP-H4の示差熱分析(DTA)による特徴付け:PAP-H4のDTA曲線は
図14に示す通りである。
図14から分かるように、粉末状のエネルギー化合物PAP-H4は、分解ピーク温度348.9℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0203】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-H4の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-H4の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.38kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-H4の爆速が約8.76km/sであり、爆圧が約34.3GPaであった。
【0204】
DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアにより計算されたエネルギー化合物PAP-H4の理論比推力値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-H4の生成エンタルピーが約-600.4kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、PAP-H4の理論比推力値が255.4sであった。
【0205】
単位モル当たりのPAP-H4により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-H4が無酸素環境で完全に爆発した後に14.25モルのガス物質を生成可能であり、2.75モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、PAP-H4が完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0206】
実施例4
(C6H14N2O)(NH4)(ClO4)3(DAP-O4)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1-ヒドロキシ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、BはNH4
+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら2.35gの過塩素酸アンモニウムを更に加え、常温で5min撹拌した。
2)氷水浴で2.24gの1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを5.9mLの30%の過酸化水素水に徐々に加え、5min撹拌してから、室温まで徐々に回復して30min撹拌した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、DAP-O4純粋相であり、収率が85%であった。
【0207】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図15に示す通りである。
【0208】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表4に示す通りである。
【0209】
【0210】
DAP-O4の示差熱分析(DTA)による特徴付け:DAP-O4のDTA曲線は
図16に示す通りである。
図16から分かるように、粉末状のエネルギー化合物DAP-O4は、分解ピーク温度352.0℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0211】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物DAP-O4の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-O4の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.48kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、DAP-O4の爆速が約8.90km/sであり、爆圧が約35.7GPaであった。
【0212】
DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアにより計算されたエネルギー化合物DAP-O4の理論比推力値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-O4の生成エンタルピーが約-436.1kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、DAP-O4の理論比推力値が262.4sであった。
【0213】
単位モル当たりのDAP-O4により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのDAP-O4が無酸素環境で完全に爆発した後に14.75モルのガス物質を生成可能であり、3.25モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、DAP-O4が完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0214】
実施例5
(C7H16N2)(NH4)(ClO4)3(DAP-M4)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、BはNH4
+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら2.35gの過塩素酸アンモニウムを更に加え、常温で5min撹拌する。
2)5.08gの1-メチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンヨウ化物を5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、DAP-M4純粋相であり、収率が70%であった。
【0215】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図17に示す通りである。
【0216】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表5に示す通りである。
【0217】
【0218】
DAP-M4の示差熱分析(DTA)による特徴付け:DAP-M4のDTA曲線は
図18に示す通りである。
図18から分かるように、粉末状のエネルギー化合物DAP-M4は、分解ピーク温度364.0℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0219】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物DAP-M4の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-M4の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.20kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、DAP-M4の爆速が約8.08km/sであり、爆圧が約28.8GPaであった。
【0220】
DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアにより計算されたエネルギー化合物DAP-M4の理論比推力値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-M4の生成エンタルピーが約-839.1kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、DAP-M4の理論比推力値が225.2sであった。
【0221】
単位モル当たりのDAP-M4により生成されたガス量:
無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのDAP-M4が無酸素環境で完全に爆発した後に14.75モルのガス物質を生成可能であり、5.25モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、DAP-M4が完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0222】
実施例6
(C4H12N2)[Ag(ClO4)3](PAP-5)の合成と試験(一般式ABX3、Aはピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、BはAg+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を5mLの水に加え、撹拌しながら4.14gの過塩素酸銀を更に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.19gのピペラジンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-5純粋相であり、収率が75%であった。
【0223】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図19に示す通りである。
【0224】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表6に示す通りである。
【0225】
【0226】
PAP-5の示差熱分析(DTA)による特徴付け:PAP-5のDTA曲線は
図20に示す通りである。
図20から分かるように、粉末状のエネルギー化合物PAP-5は、分解ピーク温度341.6℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0227】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-5の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-5の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.17kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-5の爆速が約8.96km/sであり、爆圧が約42.4GPaであった。
【0228】
単位モル当たりのPAP-5により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-5が無酸素環境で完全に爆発した後に11.5モルのガス物質を生成可能であり、0.5モルの炭素単体及び1モルの塩化銀固体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、1モルのPAP-5が完全に爆発した後に1モルの塩化銀固体残留物が存在する。
【0229】
実施例7
(C5H14N2)[Ag(ClO4)3](PAP-M5)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、BはAg+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を2mLの水に加え、撹拌しながら4.14gの過塩素酸銀を更に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.00gの1-メチルピペラジンを2mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-M5純粋相であり、収率が75%であった。
【0230】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図21に示す通りである。
【0231】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表7に示す通りである。
【0232】
【0233】
PAP-M5の示差熱分析(DTA)による特徴付け:PAP-M5のDTA曲線は
図22に示す通りである。
図22から分かるように、粉末状のエネルギー化合物PAP-M5は、分解ピーク温度308.3℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0234】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-M5の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-M5の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.29kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-M5の爆速が約8.73km/sであり、爆圧が約39.2GPaであった。
【0235】
単位モル当たりのPAP-M5により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-M5が無酸素環境で完全に爆発した後に12モルのガス物質を生成可能であり、2モルの炭素単体及び1モルの塩化銀固体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、1モルのPAP-M5が完全に爆発した後に1モルの塩化銀固体残留物が存在する。
【0236】
実施例8
(C5H14N2)[Ag(ClO4)3](PAP-H5)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンであり、BはAg+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を2mLの水に加え、撹拌しながら4.14gの過塩素酸銀を更に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.00gのホモピペラジンを2mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-H5純粋相であり、収率が75%であった。
【0237】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図23に示す通りである。
【0238】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表8に示す通りである。
【0239】
【0240】
PAP-H5の示差熱分析(DTA)による特徴付け:PAP-H5のDTA曲線は
図24に示す通りである。
図24から分かるように、粉末状のエネルギー化合物PAP-H5は、分解ピーク温度328.7℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0241】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-H5の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-H5の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.28kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-H5の爆速が約8.69km/sであり、爆圧が約38.7GPaであった。
【0242】
単位モル当たりのPAP-H5により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-H5が無酸素環境で完全に爆発した後に12モルのガス物質を生成可能であり、2モルの炭素単体及び1モルの塩化銀固体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、1モルのPAP-H5が完全に爆発した後に1モルの塩化銀固体残留物が存在する。
【0243】
実施例9
(C6H14N2)[Ag(ClO4)3](DAP-5)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、BはAg+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を5mLの水に加え、撹拌しながら4.14gの過塩素酸銀を更に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.24gの1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、DAP-5純粋相であり、収率が90%であった。
【0244】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図25に示す通りである。
【0245】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表9に示す通りである。
【0246】
【0247】
DAP-5の示差熱分析(DTA)による特徴付け:DAP-5のDTA曲線は
図26に示す通りである。
図26から分かるように、粉末状のエネルギー化合物DAP-5は、分解ピーク温度313.7℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0248】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物DAP-5の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-5の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.14kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、DAP-5の爆速が約8.59km/sであり、爆圧が約38.5GPaであった。
【0249】
単位モル当たりのDAP-5により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのDAP-5が無酸素環境で完全に爆発した後に12モルのガス物質を生成可能であり、3モルの炭素単体及び1モルの塩化銀固体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、1モルのDAP-5が完全に爆発した後に1モルの塩化銀固体残留物が存在する。
【0250】
実施例10
(C4H12N2)[K(ClO4)3](PAP-2)の合成と試験(一般式ABX3、Aはピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、BはK+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)72gのピペラジンと0.25gのホモピペラジンを5mLの水に加えて溶解し、8.61gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.77gの過塩素酸カリウムを5mLの水に加え、加熱しながら撹拌して溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、30min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-2純粋相であり、収率が70%であった。
【0251】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表10に示す通りである。
【0252】
【0253】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-2の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-2の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.29kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-2の爆速が約8.78km/sであり、爆圧が約36.6GPaであった。
【0254】
単位モル当たりのPAP-2により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-2が無酸素環境で完全に爆発した後に11.5モルのガス物質を生成可能であり、0.5モルの炭素単体及び1モルの塩化カリウム固体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、1モルのPAP-2が完全に爆発した後に1モルの塩化カリウム固体残留物が存在する。
【0255】
実施例11
(C5H14N2)[K(ClO4)3](PAP-H2)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンであり、BはK+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)2.00gのホモピペラジンを5mLの水に加えて溶解し、8.61gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を加え、常温で5min撹拌した。
2)2.77gの過塩素酸カリウムを5mLの水に加え、加熱しながら撹拌して溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、30min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PAP-H2純粋相であり、収率が80%であった。
【0256】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図27に示す通りである。
【0257】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表11に示す通りである。
【0258】
【0259】
PAP-H2の示差熱分析(DTA)による特徴付け:PAP-H2のDTA曲線は
図28に示す通りである。
図28から分かるように、粉末状のエネルギー化合物PAP-H2は、分解ピーク温度367.4℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速である。
【0260】
PAP-H2の衝撃感度及び摩擦感度:連邦材料研究試験所(BAM)より定められた衝撃、摩擦試験方法に従って試験し、PAP-H2の衝撃感度が27.5Jであり、摩擦感度が7Nであった。
【0261】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物PAP-H2の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem .Soc. 2012, 134, 1422)、PAP-H2の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.27kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PAP-5の爆速が約8.17km/sであり、爆圧が約31.1GPaであった。
【0262】
単位モル当たりのPAP-H2により生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc .2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A. 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び金属の塩化物塩及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)などの固体物質である。従って、1モルのPAP-H2が無酸素環境で完全に爆発した後に12モルのガス物質を生成可能であり、2モルの炭素単体及び1モルの塩化カリウム固体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、1モルのPAP-H2が完全に爆発した後に1モルの塩化カリウム固体残留物が存在する。
【0263】
実施例12
(C6H14N2)(NH3OH)(ClO4)3(DAP-6)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、BはNH3OH+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を5mLの水に加え、撹拌しながら1.32gの50%ヒドロキシルアミン溶液を更に加え、常温で5min撹拌した。
2)2.24gの1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、n-ブタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、DAP-6純粋相であり、収率が80%であった。
【0264】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図29に示す通りである。
【0265】
単結晶構造の特徴付け試験:結晶構造の模式図は
図5に示す通りである。
図5に示すように、BサイトにあるNH
3OH
+イオンの周りにおける6つのXサイトにあるClO
4
-イオンは、押し潰された八面体を形成し、隣接するNH
3OH
+イオンは、3つのμ
2-ClO
4
-イオンを介して接続されてb軸方向に一次元鎖を形成し、Aサイトにある有機カチオンの1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(H
2dabco
2+)カチオンは、鎖間に充填されている。詳細な結晶測定データは表12に示す通りである。
【0266】
【0267】
DAP-6の示差熱分析(DTA)による特徴付け:DAP-6のDTA曲線は
図30に示す通りである。
図30から分かるように、粉末状エネルギー化合物DAP-6の分解ピーク温度は246.1℃であり、且つ分解ピークが鋭く、分解過程が非常に迅速であることが示された。
【0268】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物DAP-6の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-6の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.52kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、DAP-6の爆速が約9.12km/sであり、爆圧が約38.1GPaであった。
【0269】
DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアにより計算されたエネルギー化合物DAP-6の理論比推力値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-6の生成エンタルピーが約-373.7kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、DAP-6の理論比推力値が265.3sであった。
【0270】
酸素バランスパラメータ及び単位モル当たりのDAP-6により生成されたガス量:CO2生成物に基づいて計算して得られた酸素バランス、即ち分子式CaHbNcCldOeに対する酸素バランスパラメータは、OB[%]=1600[e-2a-(b-d)/2]/MWであり、ただし、MWは、分子の相対分子質量であり、計算したところ、DAP-6の酸素バランスパラメータが-23.3%であった。無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)という固体物質である。従って、1モルのDAP-6が無酸素環境で完全に爆発した後に14.75モルのガス物質を生成可能であり、3.25モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、DAP-6が完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0271】
実施例13
(C6H14N2)(NH3NH2)(ClO4)3(DAP-7)の合成と試験(一般式ABX3、Aは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、BはNH2NH3
+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)2.24gの1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを5mLの水に加えて溶解し、撹拌しながら5.74gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を加え、常温で5min撹拌した。
2)撹拌しながら1.02gの水和ヒドラジン液体を加え、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、DAP-7純粋相であり、収率が90%であった。
【0272】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図31に示す通りである。
【0273】
単結晶構造の特徴付け試験:結晶構造の模式図は
図6に示す通りである。
図6に示すように、BサイトにあるNH
2NH
3
+イオンの周りにおける6つのXサイトにあるClO
4
-イオンは、押し潰された八面体を形成し、隣接するNH
2NH
3
+イオンは、3つのμ
2-ClO
4
-イオンを介して接続されてb軸方向に一次元鎖を形成し、Aサイトにある有機カチオン1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオン(H
2dabco
2+)カチオンは、鎖間に充填されている。詳細な結晶測定データは表13に示す通りである。
【0274】
【0275】
DAP-7の示差熱分析(DTA)による特徴付け:DAP-7のDTA曲線は
図32に示す通りである。
図32から分かるように、粉末状エネルギー化合物DAP-7の分解ピーク温度が376.1℃であり、且つ分解ピークが鋭く、分解過程が非常に迅速であることが示された。
【0276】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物DAP-7の爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-7の分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.43kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、DAP-7の爆速が約8.88km/sであり、爆圧が約35.8GPaであった。
【0277】
DFT理論及びEXPLO5ソフトウェアにより計算されたエネルギー化合物DAP-7の理論比推力値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、DAP-7の生成エンタルピーが約-362.1kJ/molであり、生成エンタルピーをEXPLO5 v.6.04.02に代入して計算したところ、DAP-7の理論比推力値が256.9sであった。
【0278】
酸素バランスパラメータ及び単位モル当たりのDAP-7により生成されたガス量:CO2生成物に基づいて計算して得られた酸素バランス、即ち分子式CaHbNcCldOeに対する酸素バランスパラメータは、OB[%]=1600[e-2a-(b-d)/2]/MWであり、ただし、MWは、分子の相対分子質量であり、計算したところ、DAP-7の酸素バランスパラメータが-28.7%であった。無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)という固体物質である。従って、1モルのDAP-7が無酸素環境で完全に爆発した後に15モルのガス物質を生成可能であり、4モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤(例えばよく使用されるNH4ClO4)が混入された場合、DAP-7が完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0279】
実施例14
(H2EA)2(NH4)(ClO4)5(EAP)の合成と試験(一般式B’2A’X5、A’はNH4
+であり、BはエチレンジアンモニウムカチオンH2EA2
2+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)7.14gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を1mLの水に加え、均一に撹拌した。
2)1.20gのエチレンジアミンを4mLの水に加え、均一に撹拌した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌してから、撹拌しながら1.4gの25%アンモニア水溶液を加え、30min撹拌し、濾過し、アセトンで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、EAP純粋相であり、収率が80%であった。
【0280】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図33に示す通りである。
【0281】
単結晶構造の特徴付け試験:
結晶構造の模式図は
図8に示す通りである。
図8に示すように、隣接するNH
4
+の間は接続されて辺長が7.205Åのダイヤモンドネットワーク構造を構成し、構造の独立ユニットに2種類の過塩素酸基が存在し、そのうち1種類の過塩素酸基における隣接するCl1(ClO
4
-に由来)の間も接続されて辺長が7.205Åのダイヤモンドネットワーク構造を構成し、2つのダイヤモンドネットワークが相互に貫入し、各NH
4
+及びCl1の周りにおける6つのエチレンジアンモニウムカチオンは、八面体構造を構成し、3つの八面体は、1つのμ
3-エチレンジアンモニウムカチオンを介して接続され、別の種類の過塩素酸基(Cl2)は、3つの八面体の間にある。詳細な結晶測定データは表14に示す通りである。
【0282】
【0283】
EAPの示差熱分析(DTA)による特徴付け:EAPのDTA曲線は
図34に示す通りである。
図34から分かるように、粉末状エネルギー化合物EAPには2つの分解放熱ピークがあり、ピーク温度がそれぞれ304.2℃及び376.0℃であった。
【0284】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物EAPの爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、EAPの分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.21kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、EAPの爆速が約8.97km/sであり、爆圧が約37.0GPaであった。
【0285】
単位モル当たりのEAPにより生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に全てガス生成物であり、即ち、窒素ガス、ハロゲン化水素、水、二酸化炭素及び酸素ガスなどの気体物質である。従って、1モルのEAPが無酸素環境で完全に爆発した後に22.25モルのガス物質を生成可能である。
【0286】
実施例15
(C4H12N2)(H2EA)(ClO4)4(PEP)の合成と試験(一般式AB’X4、Aはピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、BはエチレンジアンモニウムカチオンH2EA2
2+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)11.43gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら1.20gのエチレンジアミンを加え、常温で5分間撹拌した。
2)1.72gの無水ピペラジンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、PEP純粋相であり、収率が85%であった。
【0287】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図35に示す通りである。
【0288】
単結晶構造の特徴付け試験:結晶構造の模式図は
図7に示す通りであり、各H
2EA
2+の周りにおける10個のClO
4
-イオンは、不規則な十二面体(
図7aを参照)を形成し、隣接するH
2EA
2+イオンは、4つのμ
4-ClO
4
-イオン及び6つのμ
2-ClO
4
-イオンを介してb軸及びc軸方向に接続されて層状構造(
図7bを参照)を形成し、隣接する二層の間のピペラジンカチオンと過塩素酸基アニオンは、交互に配列される(
図7cを参照)。詳細な結晶測定データは表15に示す通りである。
【0289】
【0290】
PEPの示差熱分析(DTA)による特徴付け:PEPのDTA曲線は
図36に示す通りである。
図36から分かるように、粉末状エネルギー化合物PEPは、分解ピーク温度311.6℃で分解し、且つ分解ピークが鋭く、分解が迅速であり、続いて持続的に緩やかに分解する段階が2つあり、ピーク温度がそれぞれ336.1℃及び391.7℃であった。
【0291】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物EAPの爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、PEPの分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.46kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、PEPの爆速が約9.09km/sであり、爆圧が約37.6GPaであった。
【0292】
単位モル当たりのPEPにより生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)という固体物質である。従って、1モルのPEPが無酸素環境で完全に爆発した後に18.5モルのガス物質を生成可能であり、2.5モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤が混入された場合、PEPが完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0293】
実施例16
(C5H14N2)(H2EA)(ClO4)4(MPEP)の合成と試験(一般式AB’X4、Aは1-メチルピペラジン-1,4-ジイウムイオンであり、BはエチレンジアンモニウムカチオンH2EA2
2+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)11.43gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら1.20gのエチレンジアミンを加え、常温で5分間撹拌した。
2)2.00gの1-メチルピペラジンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、MPEP純粋相であり、収率が80%であった。
【0294】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図37に示す通りである。
【0295】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表16に示す通りである。
【0296】
【0297】
MPEPの示差熱分析(DTA)による特徴付け:MPEPのDTA曲線は
図38に示す通りである。
図38から分かるように、粉末状エネルギー化合物MPEPには複数の分解段階があり、分解ピーク温度299.2℃で分解し、且つ分解が迅速であり、続いて持続的に緩やかに分解する段階が2つあり、ピーク温度がそれぞれ322.0℃及び366.1℃であった。
【0298】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物MEAPの爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、MPEPの分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.40kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、MPEPの爆速が約8.73km/sであり、爆圧が約34.0GPaであった。
【0299】
単位モル当たりのMPEPにより生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)という固体物質である。従って、1モルのMPEPが無酸素環境で完全に爆発した後に19モルのガス物質を生成可能であり、4モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤が混入された場合、MPEPが完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0300】
実施例17
(C5H14N2)(H2EA)(ClO4)4(HPEP)の合成と試験(一般式AB’X4、Aは1,4-ジアゼパン-1,4-ジイウムイオンであり、BはエチレンジアンモニウムカチオンH2EA2
2+であり、XはClO4
-である)
合成方法:
1)11.43gの質量分率が70%~72%の過塩素酸溶液を15mLの水に加え、撹拌しながら1.20gのエチレンジアミンを加え、常温で5分間撹拌した。
2)2.00gのホモピペラジンを5mLの水に加えて溶解した。
3)ステップ1)とステップ2)の溶液を混合し、10min撹拌し、濾過し、エタノールで沈殿物を洗浄し、真空乾燥し、固体粉末を得て、X線粉末回折により同定したところ、HPEP純粋相であり、収率が75%であった。
【0301】
粉末X線回折同定スペクトル:室温での粉末X線回折パターンは
図39に示す通りである。
【0302】
単結晶構造の特徴付け試験:詳細な結晶測定データは表17に示す通りである。
【0303】
【0304】
HPEPの示差熱分析(DTA)による特徴付け:HPEPのDTA曲線は
図40に示す通りである。
図40から分かるように、粉末状エネルギー化合物HPEPは、分解ピーク温度324.6℃で分解し、且つ分解が迅速である。
【0305】
密度汎関数(DFT)理論により得られたエネルギー化合物HEAPの爆発熱、爆圧、爆速値:密度汎関数(DFT)理論により計算したところ(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422)、HPEPの分解熱(分解エンタルピーΔHdet)が約1.40kcal/gであり、Kamlet-Jacob式により計算したところ、MPEPの爆速が約8.76km/sであり、爆圧が約34.4GPaであった。
【0306】
単位モル当たりのHPEPにより生成されたガス量:無酸素環境でエネルギー物質が完全に爆発した生成物の判断について、文献(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1422、J. Phys. Chem. A 2014, 118, 4575、Chem. Eur.J. 2016, 22, 1141)によると、その分解生成物は、最終的に窒素ガス、ハロゲン化水素、水及び二酸化炭素などの気体物質、及び炭素単体(酸素原子が全ての炭素原子を二酸化炭素に完全に転換するために十分ではない場合)という固体物質である。従って、1モルのHPEPが無酸素環境で完全に爆発した後に19モルのガス物質を生成可能であり、4モルの炭素単体が残された。十分な酸化剤が混入された場合、HPEPが完全に爆発した後に固体残留物がない。
【0307】
表18に示すように、実施例14~17の化合物(一般式はAB’X4、B’2A’X5である)と比較例(その化学式はAB’X4であり、Aは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムイオンであり、BはエチレンジアンモニウムカチオンH2EA2
2+であり、XはClO4
-である)の性能比較である。
【0308】
ただし、ρは比重であり、Qは爆発熱であり、Dは爆速であり、Pは爆圧であり、ΔHfは仮設された爆発反応に基づいてヘスの法則により逆算して得られた生成エンタルピーであり、Ispは逆算して得られた生成エンタルピーに基づいてEXPLO5 v6.04.02ソフトウェアにより計算して得られた比推力値であり、OBはCO2に基づいて計算して得られた酸素バランスであり、分子式がCaHbNcCldOeである場合、OB[%]=1600[e-2a-(b-d)/2]/MWであり、ただしMWは分子の相対分子質量である。
【0309】
【0310】
上記実施例から以下のことが分かる。
1)比較例と比べ、本願の実施例14、15、16及び17の酸素バランスがよりゼロに近く、特に、実施例14の酸素バランスパラメータが正の値であり、これは、様々なレシピ設計において酸化剤成分として用いられることを意味する。
2)比較例と比べ、実施例15は同様の(やや高い)密度を有するが、より高い爆発熱、爆速、爆圧及び比推力値などを有し、性能がより良好である。
3)比較例と比べ、実施例14の酸素バランスと密度がいずれも明らかに高く、爆速、爆圧などの性能指標ではより良好な技術的効果を示す。
【0311】
上記実施形態は、単に本願の好ましい実施形態に過ぎず、これによって本願の保護範囲を限定してはいけず、当業者が本願を基になされた如何なる非実質的な変化や置換も本願で請求される保護範囲に属する。