(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】パターン検出とレーザ加工を行うための装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20240228BHJP
B23K 26/02 20140101ALI20240228BHJP
【FI】
H05K3/00 M
B23K26/02 A
(21)【出願番号】P 2019076925
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2022-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】菊地 潤
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 千幸
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-361464(JP,A)
【文献】特開2010-162559(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012199(WO,A1)
【文献】特開平09-204527(JP,A)
【文献】特開平10-150279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
B23K 26/02
H05K 1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板内に形成され当該プ
リント基板の表面では見えない所定形状の導体パターンに対してレーザを照射した加工を行う際に用いられ、前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを検出するパターン検出装置において、
前記プリント基板を透視できるカメラであって前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを含む領域の読取り画像データを取得するものと、
前記カメラで取得した前記読取り画像データを処理して前記導体パターンの前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報を取得する画像処理部
であって、前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報として、前記導体パターンのうち全ての円形パターンについての中心位置情報を取得するものと、
当該画像処理部で検出した前記
全ての円形パターンについての中心位置情報を記憶する位置記憶部と、を備える、
ことを特徴とするパターン検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン検出装置において、
前記カメラは、前記プリント基板の表面を論理的に複数の区画に分けた各区画の全体の画像データを順番に読取る、
ことを特徴とするパターン検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパターン検出装置において、
前記カメラは、前記プリント基板の表面全体を一度に読取る、
ことを特徴とするパターン検出装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のパターン検出装置において、
前記位置記憶部は、
複数のプリント基板における前記導体パターンの
前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報を記憶するとともに、当該位置情報がいずれのプリント基板のものであるかを識別する情報も記憶する、
ことを特徴とするパターン検出装置。
【請求項5】
プリント基板内に形成され当該プ
リント基板の表面では見えない所定形状の導体パターンに対してレーザを照射した加工を行う際に、前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを検出するパターン検出方法において、
前記プリント基板を透視できるカメラにより前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを含む領域の読取り画像データを取得する第1のステップと、
当該第1のステップで取得した前記読取り画像データを処理して前記導体パターンの前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報
として、前記導体パターンのうち全ての円形パターンについての中心位置情報を取得する第2のステップと、
当該第2のステップで取得した前記
全ての円形パターンについての中心位置情報を記憶する第3のステップと、を備える、
ことを特徴とするパターン検出方法。
【請求項6】
請求項
5に記載のパターン検出方法において、
前記第1のステップにおいては、前記カメラは前記プリント基板の表面を論理的に複数の区画に分けた各区画の全体の画像データを順番に読取る、
ことを特徴とするパターン検出方法。
【請求項7】
請求項
5に記載のパターン検出方法において、
前記第1のステップにおいては、前記カメラは前記プリント基板の表面全体を一度に読取る、
ことを特徴とするパターン検出方法。
【請求項8】
請求項
5~7のいずれか1項に記載のパターン検出方法において、
前記第3のステップでは、
複数のプリント基板における前記導体パターンの前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報を記憶するとともに、当該位置情報がいずれのプリント基板のものであるかを識別する情報も記憶する、
ことを特徴とするパターン検出方法。
【請求項9】
プリント基板内に形成された所定形状の導体パターンにレーザを照射した当該導体パターンの加工を行うようにしたレーザ加工装置において、
前記プリント基板を透視できるカメラであって前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを含む領域の読取り画像データを取得するものと、
前記カメラで取得した前記読取り画像データを処理して前記導体パターンの前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報を取得する画像処理部
であって、前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報として、前記導体パターンのうち全ての円形パターンについての中心位置情報を取得するものと、
当該画像処理部で検出した前記
全ての円形パターンについての中心位置情報を記憶する位置記憶部と、を備える、
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項10】
請求項
9に記載のレーザ加工装置において、
前記カメラは、前記プリント基板の表面を論理的に複数の区画に分けた各区画の全体の画像データを順番に読取る、
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項11】
請求項
9に記載のレーザ加工装置において、
前記カメラは、前記プリント基板の表面全体を一度に読取る、
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項12】
請求項
9~11のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、
前記位置記憶部は、
複数のプリント基板における前記導体パターンの前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報を記憶するとともに、当該位置情報がいずれのプリント基板のものであるかを識別する情報も記憶する、
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に形成されている所定形状の導体パターンにレーザを使用して穴あけ加工等を行う場合に、導体パターンを検出するパターン検出とレーザ加工を行うための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを使用したプリント基板の加工においては、例えば、特許文献1に開示されているように、プリント基板上に設けられた基準マークとなるアライメントマークを予め検出し、検出したアライメントマークに基づいてプログラムから与えられる加工位置データの補正を行い、加工すべき導体パターンの実際の加工位置を求めるようにしている。
ところが、プリント基板によってはアライメントマークが絶縁層で覆われていて検出できなくなっていたり、またまたアライメントマークを検出できたとしても、アライメントマークに基づいた位置補正では対処できないほど加工すべき導体パターンが小径化している高密度なプリント基板においては、正しい位置への穴あけが困難になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、プリント基板に形成されている所定形状の導体パターンにレーザを使用して穴あけ加工等を行う場合に、加工位置精度を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なパターン検出装置は、プリント基板内に形成され当該プリント基板の表面では見えない所定形状の導体パターンに対してレーザを照射した加工を行う際に用いられ、前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを検出するパターン検出装置において、前記プリント基板を透視できるカメラであって前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを含む領域の読取り画像データを取得するものと、
前記カメラで取得した前記読取り画像データを処理して前記導体パターンの前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報を取得する画像処理部であって、前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報として、前記導体パターンのうち全ての円形パターンについての中心位置情報を取得するものと、当該画像処理部で検出した前記全ての円形パターンについての中心位置情報を記憶する位置記憶部と、を備える、ことを特徴とする。
【0006】
また、本願において開示される発明のうち、代表的なパターン検出方法は、プリント基板内に形成され当該プリント基板の表面では見えない所定形状の導体パターンに対してレーザを照射した加工を行う際に、前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを検出するパターン検出方法において、前記プリント基板を透視できるカメラにより前記レーザを照射した加工が行われる導体パターンを含む領域の読取り画像データを取得する第1のステップと、当該第1のステップで取得した前記読取り画像データを処理して前記導体パターンの前記レーザを照射した加工が行われる位置を特定できる位置情報として、前記導体パターンのうち全ての円形パターンについての中心位置情報を取得する第2のステップと、当該第2のステップで取得した前記全ての円形パターンについての中心位置情報を記憶する第3のステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
なお、本願において開示される発明の代表的な特徴は以上の通りであるが、ここで説明していない特徴については、以下に説明する実施例に適用されており、また特許請求の範囲にも示した通りである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プリント基板に形成されている所定形状の導体パターンにレーザを使用して穴あけ加工等を行う場合に、加工位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1を説明するためのパターン検出装置のブロック図である。
【
図2】
図1における中心位置記憶部の内容を示す図である。
【
図3】
図1のパターン検出装置でパターン検出を行ったプリント基板に穴あけを行うレーザ加工装置のブロック図である。
【
図4】本発明の実施例2を説明するためのレーザ加工装置のブロック図である。
【
図5】レーザ加工する前のプリント基板を説明するための図で、(a)は平面図、(b)は(a)でのA-A断面図である。
【
図6】レーザ加工した後のプリント基板を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
ここで扱うプリント基板は何枚か積層されて多層プリント基板になる素材になるものであり、基本的には絶縁材からなるベース層と、このベース層の上に形成される銅層と、これらを覆う絶縁材からなる表面層とから構成されている。
図5はこのようなプリント基板を説明するための図であり、(a)はプリント基板の表面層の下側を見た平面図、(b)は(a)でのA-A断面図である。
図5において、1はプリント基板、5は絶縁材からなるベース層、6はベース層5の上に形成される銅層、7はこれらを覆う絶縁材からなる表面層である。
図5はレーザ加工する前の状態を示している。銅層6の部分としては、円形パターン2とこの円形パターン2に連なった帯状パターン3が形成されている。このプリント基板1が他の層のプリント基板と積層された場合に、上の層及びあるいは下の層となるプリント基板に形成された円形パターン2と電気的接続するためのものである。
【0012】
図1は実施例1を説明するためのパターン検出装置のブロック図である。各構成要素や接続線は、主に実施例を説明するために必要と考えられるものを示してあり、パターン検出装置として必要な全てを示している訳ではない。
図1において、12はプリント基板1を載置する検出テーブル、13はプリント基板1の表面層7の下を透視できる近赤外線カメラである。14は近赤外線カメラ13を搭載する読取ユニットであり、この読取ユニット14にはプリント基板1に付加されているプリント基板を識別するためのワーク識別情報を読取ることができるワーク識別情報読取部15が搭載されている。ワーク識別情報読取部15において読取るワーク識別情報は、ロット番号を表す部分とロット番号を表す部分とワーク番号を表す部分とから成るものとする。
このパターン検出装置においては、検出テーブル12を介してプリント基板1を読取ユニット14に対し相対的移動させることにより、プリント基板1に形成された円形パターン2を検出するようになっている。
【0013】
16は装置全体の動作を制御する全体制御部で、例えばプログラム制御の処理装置によって実現され、その中の各構成要素や接続線は、論理的なものも含むものとする。また各構成要素の一部は全体制御部16と別個に設けられていてもよい。また、各構成要素や各構成要素間を接続する線は、主に本実施例を説明するために必要と考えられるものを示してあり、ここで説明するもの以外の構成要素や制御機能を有しているものする。
全体制御部16には、検出テーブル12を介してプリント基板1の近赤外線カメラ3に対する相対的移動を制御する相対移動制御部17、近赤外線カメラ13からの読取り画像データを処理して円形パターン2の中心位置を検出し、その位置情報(以下中心位置情報と呼ぶ)を取得するための画像処理部18、この画像処理部18で検出された中心位置情報を記憶する中心位置記憶部19とが設けられている。
【0014】
このパターン検出装置では全体制御部16の制御のもとで以下の動作を行なう。
先ず、相対移動制御部17の制御により検出テーブル2を介してプリント基板1と読取ユニット14を相対移動させ、所定の位置においてプリント基板1に付加されたワーク識別情報のうちのワーク番号をワーク識別情報読取部15で読取る。
全体制御部16内にはプリント基板における円形パターン2の位置情報が予め包括的に把握され、図示していない記憶手段に格納されている。ワーク識別情報読取部15で読取ったワーク番号に基づき、このプリント基板1における円形パターン2の位置情報を前記記憶手段から取得する。
この位置情報に基づき、相対移動制御部17の制御により検出テーブル12を介してプリント基板1を近赤外線カメラ13に対し相対移動させ、近赤外線カメラ13を円形パターン2の上面位置に位置合わせる。
なお、検出テーブル12に載置されたプリント基板1における円形パターン2の位置情報がワーク識別情報読取部15でワーク識別情報を読取ることなく全体制御部16内で得られるなら、この時点においてワーク識別情報読取部15で読取ったワーク番号を使う必要はない。
【0015】
例えば、
図5(a)における円形パターン2の一つを指定する位置情報に基づき、当該円形パターン2の上面位置に近赤外線カメラ13を位置合わせる。
この場合、先に述べたように、円形パターン2が小径化している高密度なプリント基板1においては、円形パターン2の位置情報に基づいて近赤外線カメラ15を位置合わせしようとしても、近赤外線カメラ15がずれてしまい、必ずしも円形パターン2を適切に読取れるとは限らない。
そこで、ずれたとしても相対移動制御部17に用意されている相対移動の微調整機能を使って円形パターン2とその周辺を含む画像データを読取る。
次に、画像処理部18により近赤外線カメラ13の読取り画像データから円形パターン2を検出し、さらに円形パターン2の中心位置を例えば面積重心を求める方法により検出する。画像処理部18により検出し取得した中心位置情報は、ワーク識別情報読取部15で読取ったワーク番号とともに中心位置記憶部19に記憶する。
プリント基板1上の残りの円形パターン2についても同様に検出し、全ての円形パターン2についての中心位置情報を中心位置記憶部19に追加の記憶をする。
新たなプリント基板1が検出テーブル2に載置された場合にも、同様にして全ての円形パターン2についての中心位置情報を取得し、ワーク識別情報読取部15で読取ったワーク番号とともに中心位置記憶部19に記憶する。この中心位置記憶部19に記憶された中心位置情報は、伝送路10を介してプリント基板1の穴あけを行うレーザ加工装置に送られる。
【0016】
中心位置記憶部19の内容は例えば
図2に示すようになっている。
図2において、W1、W2、W3・・・はそれぞれパターン検出を行ったプリント基板1のワーク番号を示し、P11、P12、P13・・・はワーク番号W1のプリント基板1における円形パターン2の中心位置情報、P21、P22、P23・・・はワーク番号W2のプリント基板1における円形パターン2の中心位置情報、P31、P32、P33・・・はワーク番号W3のプリント基板1における円形パターン2の中心位置情報であり、以下同様である。
なお、中心位置記憶部19にワーク番号を記憶する場合、ロット番号も合わせたワーク識別情報を記憶するようにしてもよい。
なお、同じロットに属するプリント基板1の円形パターン2の中心位置はほぼ同じ位置にあると見做す方式としてもよい。この方式においては、別のロットに属する新たなプリント基板1が検出テーブル12に載置された場合のみあらためてパターン検出動作を行い、中心位置記憶部19にはロット番号毎の円形パターン2の中心位置情報を記憶する。
【0017】
図3は
図1のパターン検出装置でパターン検出を行ったプリント基板に穴あけを行うレーザ加工装置のブロック図である。各構成要素や接続線は、主に実施例を説明するために必要と考えられるものを示してあり、レーザ加工装置として必要な全てを示している訳ではない。
32はプリント基板1を載置する加工テーブル、33はレーザ発振器からのレーザパルスをガルバノスキャナ等を用いて走査してプリント基板1にレーザを照射させるレーザ照射系、34はレーザ照射系33を搭載する加工ユニットである。
加工ユニット34には、プリント基板1に付加されているプリント基板を識別するためのワーク識別情報を読取ることができるワーク識別情報読取部35が搭載されている。ワーク識別情報読取部35において読取るワーク識別情報は、
図1でのワーク識別情報読取部15と同様、ロット番号を表す部分とワーク番号を表す部分とから成るものとする。
【0018】
36は装置全体の動作を制御する全体制御部で、
図1でのパターン検出装置における全体制御部16と同様に、例えばプログラム制御の処理装置によって実現され、その中の各構成要素や接続線は、論理的なものも含むものとする。また各構成要素の一部は全体制御部36と別個に設けられていてもよい。また、各構成要素や各構成要素間を接続する線は、主に本実施例を説明するために必要と考えられるものを示してあり、ここで説明するもの以外の構成要素や制御機能を有しているものする。
全体制御部36には、加工テーブル32を介してプリント基板1の加工ユニット34に対する相対的移動を制御する相対移動制御部37、伝送路10を介して
図1のパターン検出装置から送られた円形パターン2についての中心位置情報を記憶する中心位置記憶部39とが設けられている。中心位置記憶部39の内容は、
図5に示すようになっているものとする。
相対移動制御部37は
図1における相対移動制御部17と同等なものである。
【0019】
このレーザ加工装置では、全体制御部36の制御のもとで以下の動作を行なう。
先ず、相対移動制御部37の制御により検出テーブル32を介してプリント基板1を読取ユニット34に対し相対移動させ、所定の位置においてプリント基板1に付加されたワーク番号をワーク識別情報読取部33で読取る。
次に、ワーク識別情報読取部33で読取ったワーク番号に基づき、このプリント基板1における円形パターン2の中心位置情報を中心位置記憶部39から読出す。そして、この中心位置情報に基づき、相対移動制御部37の制御により加工テーブル32を介してプリント基板1を加工ユニット34に対し相対移動させ、レーザ照射系33を円形パターン2の中心位置の上面位置に位置合わし、各々の中心位置をめがけてレーザ照射系33からレーザを照射し各円形パターン2に穴あけを行う。
【0020】
別の新たなプリント基板1が加工テーブル32に載置されると、同様にして、ワーク識別情報読取部33で読取ったワーク番号に基づき、このプリント基板1における円形パターン2の中心位置情報を中心位置記憶部39から読出し、各々の中心位置をめがけてレーザ照射系33からレーザを照射し各円形パターン2に穴あけを行う。
なお、同じロットに属するプリント基板1の円形パターン2の中心位置はほぼ同じ位置にあると見做す方式においては、ワーク識別情報読取部33で読取ったロット番号に基づき、ロット番号毎の円形パターン2の中心位置情報を記憶する中心位置記憶部39から各円形パターン2の中心位置情報を読出し、各々の中心位置をめがけてレーザ照射系33からレーザを照射し各円形パターン2に穴あけを行う。
【0021】
以上の実施例1におけるパターン検出装置は、レーザ加工装置と離れた場所に配置されていても、あるいはプリント基板1をレーザ加工装置の加工テーブル32まで搬送するための搬送路の途中に配置されていてもよい。
さらに伝送路10を介してレーザ加工装置と接続しているが、パターン検出装置における中心位置記憶部19のデータを一旦USBメモリの如き携帯型記憶媒体に写し、次にこの携帯型記憶媒体からレーザ加工装置における中心位置記憶部39にデータを移すようにして、伝送路10をなくしてもよい。
【実施例2】
【0022】
実施例1においては、専用のパターン検出装置によりパターン検出を行うようにしているが、このように専用のパターン検出装置を設けず、穴あけを行うレーザ加工装置自身にパターン検出機能を持たせるようにしてもよい。
このようなレーザ加工装置を実施例2として以下説明する。
図4は実施例2を説明するためのレーザ加工装置のブロック図である。各構成要素や接続線は、主に実施例を説明するために必要と考えられるものを示してあり、レーザ加工装置として必要な全てを示している訳ではない。
【0023】
図4において、42はプリント基板1を載置する加工テーブル、43はレーザ発振器からのレーザパルスをガルバノスキャナ等を用いて走査してプリント基板1にレーザを照射させるレーザ照射系、44はレーザ照射系43を搭載する加工ユニットである。
加工ユニット44には、表面層7の下を透視できる近赤外線カメラ45とプリント基板1に付加されているプリント基板を識別するためのワーク番号を読取ることができるワーク識別情報読取部46とが搭載されている。
近赤外線カメラ45とワーク識別情報読取部46は、それぞれ実施例1における近赤外線カメラ13、ワーク識別情報読取部15と同等なものである。
このレーザ加工装置においては、加工テーブル42を介してプリント基板1を加工ユニット44に対し相対的移動させることにより、プリント基板1に形成された円形パターン2を検出するとともに、そこに穴をあけるようになっている。
【0024】
47は装置全体の動作を制御する全体制御部で、
図1でのパターン検出装置における全体制御部16や
図3でのレーザ加工装置における全体制御部36と同様に、例えばプログラム制御の処理装置によって実現され、その中の各構成要素や接続線は、論理的なものも含むものとする。また各構成要素の一部は全体制御部47と別個に設けられていてもよい。また、各構成要素や各構成要素間を接続する線は、主に本実施例を説明するために必要と考えられるものを示してあり、ここで説明するもの以外の構成要素や制御機能を有しているものする。
全体制御部47には、加工テーブル42を介してプリント基板1の加工ユニット44に対する相対的移動を制御する相対移動制御部48、近赤外線カメラ45からの読取り画像データを処理して円形パターン2の中心位置を検出し、その中心位置情報を取得するための画像処理部49、この画像処理部49で検出された中心位置を記憶する中心位置記憶部50とが設けられている。
相対移動制御部48と画像処理部49はそれぞれ
図1における相対移動制御部17、画像処理部18と同等なものである。
【0025】
このパターン検出装置では全体制御部47の制御のもとで以下の動作を行なう。
先ず、相対移動制御部48の制御により加工テーブル42を介してプリント基板1と加工ユニット44を相対移動させ、所定の位置においてプリント基板1に付加されたワーク番号(例えばW1)をワーク識別情報読取部46で読取る。
全体制御部47内にはプリント基板における円形パターン2の位置情報が予め包括的に把握され、図示していない記憶手段に格納されている。ワーク識別情報読取部15で読取ったワーク番号W1に基づき、このプリント基板1における円形パターン2の位置情報を前記記憶手段から取得する。
この位置情報に基づき、相対移動制御部17の制御により検出テーブル12を介してプリント基板1を近赤外線カメラ13に対し相対移動させ、近赤外線カメラ13を円形パターン2の上面位置に位置合わせる。
なお、加工テーブル42に載置されたプリント基板1における円形パターン2の位置情報がワーク識別情報読取部46でワーク識別情報を読取ることなく全体制御部47内で得られるなら、この時点においてワーク識別情報読取部46で読取ったワーク番号を使う必要はない。
【0026】
この場合も、円形パターン2が小径化している高密度なプリント基板1においては、円形パターン2の位置情報に基づいて近赤外線カメラ45を位置合わせしようとしても、近赤外線カメラ45がずれてしまい、円形パターン2を適切に読取れない現象が起こる。
従って、相対移動制御部48の制御による位置合わせも、
図1における相対移動制御部17と同じ微調整動作を行い、円形パターン2とその周辺を含む画像データを近赤外線カメラ45で読取る。
次に、画像処理部49により近赤外線カメラ45からの読取り画像データから円形パターン2を検出し、さらに円形パターン2の中心位置を例えば面積重心を求める方法により検出する。画像処理部49により検出し取得した中心位置情報は、ワーク識別情報読取部46で読取ったワーク番号とともに中心位置記憶部50に記憶する。
プリント基板1上の残りの円形パターン2についても同様に検出し、全ての円形パターン2についての中心位置情報を中心位置記憶部50に追加の記憶をする。
中心位置記憶部50の内容は、実施例1での中心位置記憶部19と同じようになっている。
【0027】
上記のようにして全ての円形パターン2についての中心位置情報を求めた後は、中心位置記憶部50から各円形パターン2の中心位置情報をそれぞれ読出し、相対移動制御部48の制御により加工テーブル42を介してプリント基板1を加工ユニット44に対し相対移動させ、レーザ照射系43を円形パターン2の中心位置の上面位置に位置合わし、各々の中心位置をめがけてレーザ照射系43からレーザを照射し各円形パターン2に穴あけを行う。
次に別の新たなプリント基板1が加工テーブル2に載置された場合にも、上記と同様にして全ての円形パターン2についての中心位置情報を取得し、ワーク識別情報読取部46で読取ったワーク番号とともに中心位置記憶部50に記憶し、その後、各円形パターン2に穴あけを行う。
【0028】
なお、この実施例2においても、同じロットに属するプリント基板1の円形パターン2の中心位置はほぼ同じ位置にあると見做す方式としてもよい。この方式においては、同じロットに属する新たなプリント基板1が検出テーブル12に載置された場合、中心位置記憶部50から当該ロット番号での各円形パターン2の中心位置情報を読出し、各々の中心位置をめがけてレーザ照射系33からレーザを照射し各円形パターン2に穴あけを行う。
また、別のロットに属する新たなプリント基板1が検出テーブル12に載置された場合は、あらためてパターン検出動作を行い、中心位置記憶部50にはそのロット番号とともに円形パターン2の中心位置情報を記憶し、その後、各々の中心位置をめがけてレーザ照射系43からレーザを照射し各円形パターン2に穴あけを行う。
【0029】
図6は、レーザ加工した後のプリント基板1における表面層の下側を見た平面図である。
図5と同じ番号のものは同じものを示す。
8は各円形パターン2の中心にレーザ照射によりあけた貫通穴で、上の層となるプリント基板1及びあるいは下の層となるプリント基板1に形成された円形パターン2と電気的接続するために使うものとなる。
なお、中心位置記憶部39、49に記憶させた各円形パターン2の中心位置は、穴8をあける場合に使用するだけでなく、多層プリント基板を製作するためにプリント基板1を複数枚積層する際、上下に位置する貫通穴8の位置を互いに一致させるために利用してもよい。
【0030】
以上の実施例によれば、プリント基板1のアライメントマークが絶縁材からなる表面層7で覆われていて表面側から見えなくても、またアライメントマークを検出できたとしても、もはやアライメントマークに基づいた位置補正では対処できないほど円形パターン2が小径化している高密度なものであっても、プリント基板1の円形パターン2の中心位置を正確に検出することができる。
また、全体制御部16あるいは47内にはプリント基板における円形パターン2の位置情報が予め包括的に把握され、図示していない記憶手段に格納されている。円形パターン2の検出動作のうちの初動動作は、この位置情報を使って行うので、個々の円形パターン2の中心位置の検出を高速に行うことができる。
【0031】
以上、実施の形態に基づき本発明を具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、実施例1及び2において、全体制御部16あるいは47内に記憶されたプリント基板における円形パターン2の位置情報を使って円形パターン2の検出動作のうちの初動動作を行っているが、前記位置情報がなくても、プリント基板1の表面を近赤外線カメラで端から順番に読取っていき、その読取り画像データから円形パターン2の有無を探索し、円形パターン2があれば、その中心位置を検出して中心位置情報を取得するようにしてもよい。
また、実施例1及び2においては、円形パターン2の画像を近赤外線カメラで一つずつ取得するようにしたが、近赤外線カメラのカメラの解像度と画像処理部の能力によっては、必ずしもこのようにする必要はない。
【0032】
すなわち、実施例1及び2において、プリント基板1の表面を論理的に複数の区画に分け、各区画の全体の画像データを近赤外線カメラで順番に読取り、各区画の読取り画像データから円形パターン2を探索し、円形パターン2があればその中心位置を検出するようにして、プリント基板1の全ての円形パターン2についての中心位置情報を取得するようにしてもよい。
さらには、プリント基板1の表面全体を近赤外線カメラで一度に読取り、その読取り画像データから円形パターン2を探索し、円形パターン2があればその中心位置を検出するようにして、プリント基板1の全ての円形パターン2についての中心位置情報を取得するようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施例においては、近赤外線カメラを用いてプリント基板1を上から透視するようにしたが、別の赤外線領域や別の光線を使ったものでも良く、要はプリント基板1を上から透視して表面層7の下にある導体パターンの画像を読取ることができればよい。
さらに、円形パターン2の位置を特定できるようにするため、円形パターン2の中心位置情報を取得する場合を説明したが、必ずしも中心位置情報を取得する必要はなく、円形パターン2に加工を行うことができるように、その位置を特定できればよい。
さらに、円形のパターンに対して穴あけを行う場合を説明したが、穴あけ以外の加工を行う場合であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1:プリント基板 2:円形パターン 3:帯状パターン
5:ベース層、6:銅層 7:表面層 8:貫通穴、12:検出テーブル
13、45:近赤外線カメラ 14:読取ユニット
15、35、46:ワーク識別情報読取部
16、36、47:全体制御部 17、37、48:相対移動制御部
18、49:画像処理部 19、39、50:中心位置記憶部
32、42:加工テーブル 33、43:レーザ照射系
34、44:加工ユニット