(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】振動アクチュエータ及び触覚デバイス
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20240228BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20240228BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H02K33/16 A
B06B1/04 S
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2019088553
(22)【出願日】2019-05-08
【審査請求日】2022-04-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 慎司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正明
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/030265(WO,A1)
【文献】特開2018-088752(JP,A)
【文献】特開2019-013089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
B06B 1/04
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、
支持体と、
弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、
前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、
を備え、
前記コイルが設けられた前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材は、
前記コイルが固定されるベースプレートと、
前記コイルに被さって前記ベースプレートに位置決め固定されるカバーと、
を有し、
前記カバーは、前記コイルが嵌合する凹部を有し、
前記ベースプレートは、
前記コイル及び前記カバーが設置される平板部と、
前記平板部に立設され、前記コイル及び前記カバーを挟んで対向して配置される一対の側板部と、
を有し、
前記カバーを前記ベースプレートに位置決めする複数の係合部が、前記ベースプレートの前記側板部と、前記側板部に接する前記カバーの側面に設けられて
おり、
前記係合部は、
前記ベースプレートの前記側板部及び前記カバーの前記側面の一方に設けられる係合穴と、
前記ベースプレートの前記側板部及び前記カバーの前記側面の他方に設けられ、前記係合穴に嵌合する係合爪と、
によって構成される振動アクチュエータ。
【請求項2】
請求項
1記載の振動アクチュエータであって、
前記コイルを形成しているコイル線の両端部が接続される給電基板を備え、
前記凹部の側板部には、一対のスリットが設けられており、
前記コイル線の両端部は、前記スリットを通して前記カバーの外側に引き出されている振動アクチュエータ。
【請求項3】
請求項
1又は2記載の振動アクチュエータであって、
前記凹部の底壁部に、前記コイルの一部を露出させる貫通穴が形成されている振動アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項記載の振動アクチュエータであって、
前記支持体は、前記可動体を収容する金属製のケースを有し、
前記ベースプレートは、非磁性金属材料からなり、前記ケースに接合されている振動アクチュエータ。
【請求項5】
可動体と、
支持体と、
弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、
前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、
を備え、
前記コイルが設けられた前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材は、
前記コイルが固定されるベースプレートと、
前記コイルに被さって前記ベースプレートに位置決め固定されるカバーと、
を有し、
前記カバーは、前記コイルが嵌合する凹部を有し、
前記ベースプレートは、
前記コイル及び前記カバーが設置される平板部と、
前記平板部に立設され、前記コイル及び前記カバーを挟んで対向して配置される一対の側板部と、
を有し、
前記カバーを前記ベースプレートに位置決めする複数の係合部が、前記ベースプレートの前記側板部と、前記側板部に接する前記カバーの側面に設けられて
おり、
前記係合部は、
前記ベースプレートの前記側板部及び前記カバーの前記側面の一方に設けられる係合穴と、
前記ベースプレートの前記側板部及び前記カバーの前記側面の他方に設けられ、前記係合穴に嵌合する係合爪と、
によって構成される触覚デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を振動させる振動アクチュエータ及び触覚デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報を振動によって報知するデバイスとして、永久磁石を有する支持体と、永久磁石と対向するコイルを有する可動体とを備え、コイルに交流電流を流し、コイルに作用するローレンツ力を駆動力として、可動体を振動させるアクチュエータが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたアクチュエータでは、コイルは、可動体の板状部材に形成された貫通穴に嵌め入れられて可動体に保持されているが、コイルの脱落が懸念される。板状部材を一対の蓋板によって挟むことにより、コイルの脱落を防止することはできるが、一対の蓋板の組み付けに手間を要する。また、部品点数の増加に伴ってアクチュエータの製造コストも増加する。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、組み立ての作業性に優れ、製造コストの増加を抑制可能な振動アクチュエータ及び触覚デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の振動アクチュエータは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記コイルが設けられた前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材は、前記コイルが接合されるベースプレートと、前記コイルに被さって前記ベースプレートに位置決め固定されるカバーと、を有し、前記カバーは、前記コイルが嵌合する凹部を有する。
【0007】
また、本発明の一態様の触覚デバイスは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記コイルが設けられた前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材は、前記コイルが接合されるベースプレートと、前記コイルに被さって前記ベースプレートに位置決め固定されるカバーと、を有し、前記カバーは、前記コイルが嵌合する凹部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組み立ての作業性に優れ、製造コストの増加を抑制可能な振動アクチュエータ及び触覚デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、振動アクチュエータ(触覚デバイス)の一例の斜視図である。
【
図2】
図1の振動アクチュエータの分解斜視図である。
【
図3】
図1の振動アクチュエータのアクチュエータ本体の分解斜視図である。
【
図4】
図3のアクチュエータ本体を支持体と可動体と接続体とに分解した分解斜視図である。
【
図5】
図3のアクチュエータ本体の磁気駆動回路の分解斜視図である。
【
図6】
図5の磁気駆動回路のコイルと、コイルを保持するベースプレート及びカバーとを分解した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明において、可動体の振動方向(第2方向)をXとし、第2方向Xの一方側をX1とし、他方側をX2とする。また、第2方向Xと交差する第1方向をZとし、第1方向Zおよび第2方向Xと交差する第3方向をYとする。
【0011】
(全体構成)
図1及び
図2に示す振動アクチュエータ1は円柱状を呈し、その軸方向は、可動体の振動方向である第2方向Xに一致している。振動アクチュエータ1は、振動アクチュエータ1を手にした利用者に対し、可動体の第2方向Xの振動によって情報を報知し、例えばゲーム機の操作部材等として利用可能である。また、振動アクチュエータ1は、振動によって触覚を提示する触覚デバイスとしても利用可能である。
【0012】
振動アクチュエータ1は、振動アクチュエータ1の外形を規定する外ケース2と、外ケース2に収容されるアクチュエータ本体10とを備える。外ケース2は円筒状に形成されている。なお、外ケース2の形状は、振動アクチュエータ1の利用態様に応じて種々に変更できる。
【0013】
図3から
図7に示すように、アクチュエータ本体10は、支持体11と、可動体12と、接続体13とを備える。そして、支持体11は、内ケース20と、ベースプレート30と、コイル40と、カバー70とを有し、可動体12は、永久磁石60と、ヨーク61とを有する。コイル40及び永久磁石60によって磁気駆動回路14が形成され、磁気駆動回路14は、可動体12を支持体11に対して第2方向Xに振動させる。接続体13は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、支持体11及び可動体12の双方に接する。接続体13が支持体11と可動体12との間に介在することにより、可動体12は、第2方向Xに振動可能に、支持体11に支持される。
【0014】
(支持体11の構成)
支持体11の内ケース20は角筒状を呈し、その軸方向は、可動体12の振動方向である第2方向Xに一致している。内ケース20は、第1方向Zの一方側Z1に配置される第1ケース部材21と、他方側Z2に配置される第2ケース部材22とを有する。
【0015】
第1ケース部材21は、第1方向Zに対して略垂直に配置される第1平板部211と、第1平板部211の第3方向Yの両端から第1方向Zの他方側Z2に延びる一対の第1側板部212と、第1平板部211の第2方向Xの両端から第1方向Zの他方側Z2に延びる一対の第1蓋板部214とを有する。第1側板部212の端部には、矩形状の切り欠き部215と、一対の第1フランジ部213とが形成されおり、一対の第1フランジ部213は切り欠き部215の両側に隣設されている。
【0016】
第2ケース部材22は、第1方向Zに対して略垂直に配置される第2平板部221と、第2平板部221の第3方向Yの両端から第1方向Zの一方側Z1に延びる一対の第2側板部222と、第2平板部221の第2方向Xの両端から第1方向Zの一方側Z1に延びる一対の第2蓋板部224とを有する。第2側板部222の端部には第2フランジ部223が形成されている。
【0017】
第1ケース部材21の一対の第1フランジ部213と、第2ケース部材22の第2フランジ部223とが接合され、筒状の内ケース20が形成される。支持体11のベースプレート30、コイル40、及びカバー70と、可動体12の永久磁石60及びヨーク61と、接続体13とは、内ケース20に収容されている。
【0018】
ベースプレート30は、銅、アルミニウム合金等の非磁性金属材料からなる。ベースプレート30は、コイル40が固定される矩形状の平板部31と、一対のフランジ部32と、一対の側板部33とを有する。一対のフランジ部32は、平板部31の一対の対辺から延設されており、一対の側板部33は、平板部31の他の一対の対辺に沿って立設されている。
【0019】
フランジ部32は、切り欠き部215を通して内ケース20から突出し、内ケース20の第2フランジ部223に接合されている。したがって、ベースプレート30は、内ケース20の内側において、第3方向Yに対向する一対の第2側板部222に架け渡されている。コイル40が固定されている平板部31は、内ケース20の第1平板部211及び第2平板部221と第1方向Zに対向しており、平板部31及びコイル40と第1平板部211との間、及び平板部31及びコイル40と第2平板部221との間には、隙間がおかれている。
【0020】
一方のフランジ部32には、給電基板41が固定されている。給電基板41には、一対の第1ランド42と、一対の第2ランド43と、第1ランド42と第2ランド43とを接続している回路パターンとが設けられている。第1ランド42には、コイル40から引き出されたコイル線の端末部45が電気的に接続されており、第2ランド43には、リード線44の端末部が電気的に接続されている。リード線44は、内ケース20と外ケース2との間の隙間を通って第2方向Xに延び、外ケース2から引き出されている。コイル40は、リード線44及び給電基板41を介して給電される。
【0021】
(可動体12の構成)
可動体12のヨーク61もまた角筒状を呈する。ただし、ヨーク61の軸方向は、第3方向Yに一致している。ヨーク61は、第1方向Zの一方側Z1に配置される第1ヨーク62と、他方側Z2に配置される第2ヨーク63とを有する。第1ヨーク62及び第2ヨーク63は、鋼等の磁性材料からなる。
【0022】
第1ヨーク62は平板状に形成されており、ベースプレート30に固定されたコイル40と内ケース20の第1平板部211との間で、第1方向Zに対して略垂直に配置されている。第2ヨーク63は、平板部631と、一対の側板部632とを有する。平板部631は、ベースプレート30と内ケース20の第2平板部221との間で、第1方向Zに対して略垂直に配置されている。側板部632は、平板部631の第2方向Xの両端端から第1方向Zの一方側Z1に延びており、ベースプレート30及びコイル40を第2方向Xに挟んで配置されている。そして、側板部632の端部が第1ヨーク62の第2方向Xの両端に接合され、筒状のヨーク61が形成される。ベースプレート30及びコイル40は、筒状のヨーク61の内側に配置されている。
【0023】
第1ヨーク62は、内ケース20の第1平板部211と第1方向Zに対向しており、第2ヨーク63の平板部631は、内ケース20の第2平板部221と第1方向Zに対向している。第1ヨーク62と内ケース20の第1平板部211との間、及び第2ヨーク63の平板部631と内ケース20の第2平板部221との間には、接続体13がそれぞれ設けられている。ヨーク61は、これらの接続体13を介して内ケース20に支持されており、ベースプレート30及びコイル40と非接触に配置されている。
【0024】
なお、本例では、第1ヨーク62と接続体13との間にウェイト64が介装され、ウェイト64は第1ヨーク62に固定されている。また、第2ヨーク63の平板部631と接続体13との間にウェイト65が介装され、ウェイト65は第2ヨーク63の平板部631に固定されている。これらのウェイト64,65によって、可動体12の振動特性(例えば共振周波数)が適宜調整されている。
【0025】
可動体12の永久磁石60は、第1磁石66と、第2磁石67とを有する。第1磁石66は、筒状のヨーク61の内側において、第1ヨーク62上に固定されており、コイル40と第1方向Zに対向している。第2磁石67は、筒状のヨーク61の内側において、第2ヨーク63の平板部631上に固定されており、コイル40と第1方向Zに対向している。
【0026】
第1磁石66は、第2方向Xに隣り合って配置される一対の磁石661,662を有する。磁石661,662は、平板状に形成されており、厚さ方向に着磁されている。そして、磁石661,662それぞれのコイル40との対向面の磁極は、互いに逆の極性とされている。第2磁石67もまた、第2方向Xに隣り合って配置される一対の磁石671,672を有する。磁石671,672は、平板状に形成されており、厚さ方向に着磁されている。そして、磁石671,672それぞれのコイル40との対向面の磁極は、互いに逆の極性とされている。
【0027】
そして、第2磁石67の一方の磁石671は、第1磁石66の一方の磁石661と第1方向Zに対向しており、磁石661,671それぞれのコイル40との対向面の磁極は、互いに逆の極性とされている。同様に、第2磁石67の他方の磁石672は、第1磁石66の他方の磁石662と第1方向Zに対向しており、磁石662,672それぞれのコイル40との対向面の磁極は、互いに逆の極性とされている。例えば、第1磁石66の一方の磁石661のコイル40との対向面がS極である場合に、第1磁石66の他方の磁石662のコイル40との対向面はN極である。そして、第2磁石67の一方の磁石671のコイル40との対向面はN極であり、第2磁石67の他方の磁石672のコイル40との対向面はS極である。
【0028】
(磁気駆動回路14の構成)
コイル40は、コイル線を長円状に多数巻回してなる空芯のコイルである。コイル線は、第1磁石66の一方の磁石661と第2磁石67の一方の磁石671との間を第3方向Yの一方側Y1から他方側Y2に向けて横断し、且つ第1磁石66の他方の磁石662と第2磁石67の他方の磁石672との間を第3方向Yの他方側Y2から一方側Y1に向けて横断するように巻回されている。
【0029】
コイル40は、カバー70を用いて、ベースプレート30の平板部31における所定位置に固定される。カバー70は、矩形板状に形成されており、ベースプレート30の平板部31に載置される。平板部31に接するカバー70の裏面側には凹部71が設けられており、凹部71は、コイル40に対応した長円状に形成されている。コイル40は凹部71に嵌合し、カバー70は、コイル40に被さって平板部31に載置される。そして、カバー70が、ベースプレート30に位置決め固定されることにより、凹部71の底壁部72と平板部31との間に挟まれるコイル40もまた、平板部31における所定位置に固定される。
【0030】
カバー70をベースプレート30に固定するための固定手段として、カバー70を第2方向Xに挟むベースプレート30の一対の側板部33と、側板部33に接するカバー70の側面とに、係合部が設けられている。本例では、側板部33の係合部は、係合穴34によって構成されており、係合穴34は、側板部33の第3方向Yの両端部に形成されている。一方、カバー70の係合部は、係合穴34に嵌合する係合爪73によって構成されている。カバー70がベースプレート30の平板部31に載置されることにより、係合爪73が係合穴34に嵌合し、これにより、カバー70は、平板部31における所定位置に配置され、そして位置決めされた状態でベースプレート30に固定される。なお、係合穴がカバー70に設けられ、係合爪が側板部33に設けられてもよい。
【0031】
凹部71の側壁部74には一対のスリット75が設けられており、また、凹部71の底壁部72には貫通穴76が設けられている。コイル40が凹部71に嵌合しており且つカバー70がベースプレート30に固定されている状態で、コイル線の端末部45は、スリット75を通してカバー70の外側に引き出され、給電基板41に電気的に接続される。また、コイル40の一部が貫通穴76を通して露出している。
【0032】
(動作)
交流電流がコイル40に供給される。コイル40への給電に伴い、第2方向Xのローレンツ力が支持体11側のコイル40に作用し、反力が可動体12側の第1磁石66及び第2磁石67に作用する。この第1磁石66及び第2磁石67に作用する反力に起因して、接続体13の第2方向Xのせん断変形を伴い、可動体12が第2方向Xに変位する。そして、ローレンツ力の作用方向が交流の半周期毎に逆転する。これにより、可動体12が第2方向Xに振動する。
【0033】
(作用・効果)
コイル40は、凹部71に嵌合することによってカバー70に位置決めされ、カバー70がベースプレート30に位置決めされることにより、コイル40も自ずとベースプレート30に位置決めされる。そして、カバー70がコイル40に被さった状態でベースプレート30に固定されることにより、コイル40は、ベースプレート30とカバー70とによって挟まれてベースプレート30に固定される。これにより、コイル40を治具によってベースプレート30に位置決めし、接着等によってベースプレート30に固定した後に治具を取り除く手間を省くことができるので、組み立ての作業性に優れる。また、コイルが貫通穴に嵌め入れられた板状部材を一対の蓋板で挟む場合に比べて、ベースプレート30及びカバー70の2つの部材によってコイル40を保持できるので、部品点数を減らし、製造コストを低減できる。
【0034】
また、ベースプレート30がカバー70を挟む一対の側板部33を有し、カバー70を位置決めするための係合部が側板部33に設けられているので、カバー70の位置決めが容易であり、組み立ての作業性をさらに高められる。
【0035】
また、ベースプレート30の側板部33の係合部が係合穴34であり、側板部33に接するカバー70の側面の係合部が係合爪73であり、係合爪73が係合穴34に嵌合することによって、カバー70の位置決めと、カバー70の固定とが同時に行える。これにより、組み立ての作業性をさらに高められる。
【0036】
また、カバー70の凹部71の側壁部74には一対のスリット75が設けられており、コイル線の端末部45は、スリット75を通してカバー70の外側に引き出され、給電基板41に電気的に接続されている。これにより、振動アクチュエータ1に過大な衝撃が作用した場合にも、コイル線の端末部45と、ヨーク61、永久磁石60等の他の部材との接触を抑制でき、コイル線の断線を防止できる。
【0037】
また、カバー70の凹部71の底壁部72に、コイル40の一部を露出させる貫通穴76が設けられており、コイル40の放熱性が高まる。これにより、熱に起因するコイル40の劣化を抑制し、振動アクチュエータ1の性能を長期に亘って維持できる。内ケース20(第1ケース部材21及び第2ケース部材22)の材料は、樹脂材料でもよいが、好ましくは熱伝導率の高い金属材料であり、例えばアルミニウム合金である。これにより、コイル40に生じた熱をベースプレート30から内ケース20に速やかに導いてコイル40の放熱性をさらに高めることができる。
【0038】
(他の実施の形態)
なお、上述した振動アクチュエータ1では、コイル40が支持体11に設けられ、永久磁石60が可動体12に設けられているが、コイル40が可動体12に設けられ、永久磁石60が支持体11に設けられてもよい。
【0039】
以上、説明したとおり、本明細書に開示された振動アクチュエータは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記コイルが設けられた前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材は、前記コイルが接合されるベースプレートと、前記コイルに被さって前記ベースプレートに位置決め固定されるカバーと、を有し、前記カバーは、前記コイルが嵌合する凹部を有する。
【0040】
また、本明細書に開示された振動アクチュエータは、前記ベースプレートが、前記コイル及び前記カバーが設置される平板部と、前記平板部に立設され、前記コイル及び前記カバーを挟んで対向して配置される一対の側板部と、を有し、前記カバーを前記ベースプレートに位置決めする複数の係合部が、前記ベースプレートの前記側板部と、前記側板部に接する前記カバーの側面に設けられている。
【0041】
また、本明細書に開示された振動アクチュエータは、前記係合部が、前記ベースプレートの前記側板部及び前記カバーの前記側面の一方に設けられる係合穴と、前記ベースプレートの前記側板部及び前記カバーの前記側面の他方に設けられ、前記係合穴に嵌合する係合爪と、によって構成される。
【0042】
また、本明細書に開示された振動アクチュエータは、前記コイルを形成しているコイル線の両端部が接続される給電基板を備え、前記凹部の側板部には、一対のスリットが設けられており、前記コイル線の両端部は、前記スリットを通して前記カバーの外側に引き出されている。
【0043】
また、本明細書に開示された振動アクチュエータは、前記凹部の底壁部に、前記コイルの一部を露出させる貫通穴が形成されている。
【0044】
また、本明細書に開示された振動アクチュエータは、前記支持体が、前記可動体を収容する金属製のケースを有し、前記ベースプレートは、非磁性金属材料からなり、前記ケースに接合されている。
【0045】
また、本明細書に開示された触覚デバイスは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記コイルが設けられた前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材は、前記コイルが接合されるベースプレートと、前記コイルに被さって前記ベースプレートに位置決め固定されるカバーと、を有し、前記カバーは、前記コイルが嵌合する凹部を有する。
【符号の説明】
【0046】
1 振動アクチュエータ
2 外ケース
3 外ケース本体
10 アクチュエータ本体
11 支持体
12 可動体
13 接続体
14 磁気駆動回路
20 内ケース
21 第1ケース部材
22 第2ケース部材
30 ベースプレート
31 平板部
32 フランジ部
33 側板部
34 係合穴
40 コイル
41 給電基板
42 第1ランド
43 第2ランド
44 リード線
45 コイル線の端末部
60 永久磁石
61 ヨーク
62 第1ヨーク
63 第2ヨーク
64 ウェイト
65 ウェイト
66 第1磁石
67 第2磁石
70 カバー
71 凹部
72 底壁部
73 係合爪
74 側壁部
75 スリット
76 貫通穴
211 第1平板部
212 第1側板部
213 第1フランジ部
214 第1蓋板部
215 切り欠き部
221 第2平板部
222 第2側板部
223 第2フランジ部
224 第2蓋板部
631 平板部
632 側板部
661 磁石
662 磁石
671 磁石
672 磁石
X 第2方向
Y 第3方向
Z 第1方向