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特許7444567複合構造体を製造するためのシステム及び方法
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  • 特許-複合構造体を製造するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】複合構造体を製造するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/44 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B29C70/44
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019166292
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2020062875
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】16/142,819
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン マイケル シューチャック
(72)【発明者】
【氏名】マイケル マトラック
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジェイ.ルチニ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254425(JP,A)
【文献】特表2014-502223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体の形成方法であって、
ツールの外側モールドライン面を加工温度に加熱することと、
前記外側モールドライン面の内側に、マンドレルの内側モールドライン面を、当該内側モールドライン面に配置された複合材プリフォームとともに配置することと、
前記内側モールドライン面及びゲル化した前記複合材プリフォームを前記外側モールドライン面から離脱させることと、を含み、
前記ゲル状の複合材プリフォームは、当該ゲル状の複合材プリフォームを前記マンドレルから離脱させるのに十分な自立性を有しており
前記マンドレルは、端部片に接続された内包体アセンブリを含み、前記内包体アセンブリは、膨張可能な内包体と、当該内包袋の周りを覆う形状記憶層とを含んでおり、当該形状記憶層は、閾値温度よりも低い温度では剛性状態を維持し、前記閾値温度よりも高い温度では軟化した可撓性状態となって、前記内包体の膨張に伴って膨張するように構成されている、方法。
【請求項2】
前記複合材プリフォームを前記内側モールドライン面に配置すること、及び/又は、
前記複合材プリフォームを前記内側モールドライン面に配置する前、又は、配置した後に、前記複合材プリフォームが配置された前記内包体を膨張させること、及び/又は、
前記複合材プリフォームを前記外側モールドライン面に対して押圧すること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内側モールドライン面を加熱して、前記内側モールドライン面を前記剛性状態から前記可撓性状態に転移させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記内側モールドライン面が前記可撓性状態のときに、前記内側モールドライン面の内側に配置されている前記内包体を膨張させることをさらに含み
記内側モールドライン面及び前記複合材プリフォームを前記外側モールドライン面から離脱させた後に、前記内包体を収縮させること、及び/又は、
前記内側モールドライン面が前記剛性状態のときに、前記複合材プリフォームを前記内包体に配置すること、及び/又は、
前記複合材プリフォームが室温であるときに、前記複合材プリフォームを前記内包体に配置すること、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記内側モールドライン面を、当該内側モールドライン面に配置された前記複合材プリフォームとともに、前記外側モールドライン面の内側に配置した後に、前記内側モールドライン面及び当該内側モールドライン面に配置された前記複合材プリフォームに真空圧を印加することと、
前記内側モールドライン面に設けられた離型剤コーティングに前記複合材プリフォームを配置することと、
ゲル化した前記複合材プリフォームを前記ツールの前記外側モールドライン面から離脱させた後に、前記複合材プリフォームを硬化させて前記複合構造体を形成することと、のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記複合材プリフォームを前記内側モールドライン面から離脱させること、及び次の第2複合材プリフォームを前記内側モールドライン面にレイアップすることをさらに含み、前記次の第2複合材プリフォームを前記内側モールドライン面にレイアップすることは、前記内側モールドライン面の内側に配置された前記内包体を収縮させた後に行う、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
次の第2複合材プリフォームを第2内側モールドライン面にレイアップすることをさらに含み
記第2内側モールドライン面を前記第2複合材プリフォームとともに、前記外側モールドライン面の内側に配置することと、第2内包体を膨張させて、前記第2複合材プリフォームを前記外側モールドライン面に対して押圧することと、前記第2内側モールドライン面を、ゲル化した前記第2複合材プリフォームとともに、前記外側モールドライン面から離脱させることと、前記第2複合材プリフォームを硬化させて、第2複合構造体を形成することと、をさらに含むか、及び/又は、
前記内側モールドライン面を前記複合材プリフォームとともに離脱させ、また、前記第2内側モールドライン面を前記第2複合材プリフォームとともに前記外側モールドライン面の内側に配置する間、前記外側モールドライン面の温度を前記加工温度に維持することをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記複合材プリフォームに熱硬化性樹脂が含浸されているか、
前記内側モールドライン面が室温で前記剛性状態であるか、
前記内側モールドライン面が65℃で軟化するか、
前記加工温度が180℃であるか、あるいは、前記加工温度が180℃から215℃までの間であるか、のうちの少なくとも1つを充足する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
離脱させることは、前記外側モールドライン面の温度が前記加工温度に維持されている間に、前記内側モールドライン面を前記外側モールドライン面から離脱させることを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記内側モールドライン面及び複合材プリフォームを前記外側モールドライン面から離脱させた後に、前記内側モールドライン面を溶解させることをさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記マンドレルは、前記内包体アセンブリに接続された端部片備える、請求項1~10のいずれかに記載の方法
【請求項12】
前記内包体が、空気、窒素、蒸気、又は、油によって膨張されるか、
前記内包体が前記端部片に封着されているか、
前記マンドレルが、前記内包体に接続されているとともに、前記内包体を膨張及び収縮させるための加圧システムをさらに備えるものであって、前記加圧システムが、加熱された空気、窒素、蒸気、又は、油を前記内包体に供給するものであるか、
前記内包体がシリコーン製であるか
記形状記憶層が形状記憶ポリマからなるものであるか、のうちの少なくとも1つを充足する、請求項11に記載の方法
【請求項13】
前記内包体アセンブリに接続された第2端部片をさらに備え、前記端部片が前記内包体アセンブリの一端に接続されており、前記第2端部片が前記内包体アセンブリにおける前記端部片と反対側の端部に接続されている、及び/又は、
前記内側モールドライン面が実質的に円筒形である、及び/又は、
前記端部片に接続された支持プレートをさらに備え、前記内包体アセンブリが、前記支持プレートと前記端部片の間に挟まれており、
前記端部片は、前記内包体の内部と連通するポートを有する、請求項11又は12に記載の方法
【請求項14】
合構造体を製造するためのシステムであって、
ツールアセンブリと、
コントロールシステムと、
複合材プリフォームと、を備え、
前記ツールアセンブリは、加熱素子及び外側モールドライン面を有するツールと、
内側モールドライン面を規定するとともに、端部片に接続された内包体アセンブリを有するとともに、前記ツールの中に離脱可能に配置されるマンドレルと、を含み、
前記内包体アセンブリは、膨張可能な内包体と、当該内包袋の周りを覆う形状記憶層とを含んでおり、当該形状記憶層は、閾値温度よりも低い温度では剛性状態を維持し、前記閾値温度よりも高い温度では軟化した可撓性状態となって、前記内包体の膨張に伴って膨張するように構成されており、
前記コントロールシステムは、前記加熱素子に接続された温度コントローラと、
前記内包体アセンブリに接続された圧力コントローラと、を含み、
前記複合材プリフォームは、前記内包体アセンブリの周りに配置されている、システム。
【請求項15】
前記温度コントローラは、前記外側モールドライン面を加工温度に維持し、前記圧力コントローラは、前記内包体アセンブリの内部を、前記複合材プリフォームが前記外側モールドライン面に対して押圧される所定の圧縮圧力に維持し、及び/又は、
前記コントロールシステムは、前記ツールに接続されて、前記ツールの開閉を制御するアクセスコントローラを含み、及び/又は、
前記コントロールシステムは、配置・離脱コントローラを含み、当該配置・離脱コントローラは、前記ツールに対する前記マンドレル及び前記複合材プリフォームの配置及び離脱を制御する機構に接続されている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空機部材の製造に関する。より具体的には、本開示は、航空機用の複合構造体を作製するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の設計及び製造において、使用される複合材料の割合が高くなってきている。複合材料は、一般的に、ポリマ樹脂マトリックスで結合した強化繊維を含む。繊維は、一方向繊維でもよいし、織物や織布の形態のものでもよい。これらの繊維と樹脂を配置し、硬化することで、例えば航空機の胴体バレルなどの複合構造体が形成される。
【0003】
現行では、複合材の胴体バレルは、作成中のパーツの内側モールドライン又は外側モールドラインのいずれかに適合する固定のツールを用いて製造されている。この製造方法では、マンドレルにレイアップを配置した後、このレイアップを真空バッグと当て板(caul plate)で覆う処理を手作業で行う。次いで、真空バッグを用いてレイアップを圧密化(consolidate)し、圧密化したレイアップを、オートクレーブに入れて加熱及び加圧して硬化させる。この硬化サイクルは、少なくとも4~24時間を要し、この間、多くのリソース(resources)の使用が制限されることになる。さらに、現行のプロセスでは、複合構造体を連続で作製する場合、そのサイクル時間は、4~24時間に及ぶ硬化サイクルに支配されることになる。
【0004】
現行の方法は、意図した目的については十分に有用であるものの、このような部品の製造に必要なリソースを減らす方法や装置についての技術、また、その他の潜在的な問題に対処する技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの態様において、複合構造体の形成方法は、ツールの外側モールドライン面を加工温度に加熱することと、前記外側モールドライン面の内側に、内側モールドライン面を、当該内側モールドライン面に配置された複合材プリフォームとともに配置することと、前記内側モールドライン面及びゲル化した前記複合材プリフォームを前記外側モールドライン面から離脱させることと、を含む。
【0006】
いくつかの他の態様において、ゲル状の複合材を形成するためのマンドレルは、内側モールドライン面を規定するとともに、形状記憶層及び内包体を含む内包体アセンブリと、前記内包体アセンブリに接続された端部片と、を備える。
【0007】
いくつかの他の態様において、複合構造体を製造するためのシステムはツールアセンブリを含み、当該ツールアセンブリは、加熱素子及び外側モールドライン面を有するツールと、内側モールドライン面を規定する内包体アセンブリを有するマンドレルと、を含む。前記マンドレルは、前記ツールの中に離脱可能に配置されている。前記ツールアセンブリは、さらに、コントロールシステムを含み、当該コントロールシステムは、前記加熱素子に接続された温度コントローラと、前記内包体アセンブリに接続された圧力コントローラと、を含む。また、複合合材プリフームが、前記内包体アセンブリの周りに配置されている。
【0008】
いくつかの他の態様において、装置は、マンドレルと、前記マンドレルに巻き付けられた、ゲル状の複合材プリフォームと、を備える。
【0009】
上述した特徴、機能、及び、利点は、様々な実施形態において個別に実現することも可能であるし、さらに他の実施形態と組み合わせることも可能である。その詳細は、下記の説明及び添付図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面は、あくまでも例示を目的としており、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
【0011】
図1】例示的な実施形態による複合材製造システムのコンポーネントを示すシステム構成図である。
図2A】例示的な実施形態による複合材製造システムのツールアセンブリを示す側面斜視図である。
図2B】例示的な実施形態による複合材製造システムのツールアセンブリを示す分解斜視図である。
図3】例示的な実施形態によるツールアセンブリに複合材プリフォームが配置された状態を示す断面図であって、図2Aの矢印3-3の方向に見た図である。
図3A】代替の実施形態によるツールアセンブリの部分断面図であって、複合材プリフォームが中に配置された状態を示している。
図4】例示的な実施形態によるツールアセンブリを図2Aの矢印4-4の方向に見た端面図である。
図5】例示的な実施形態によるツールアセンブリの概略側面図である。
図6】例示的な実施形態による複合構造体の形成方法を示す例示的なフロー図である。
図7】例示的な実施形態による複合構造体の他の形成方法を示す例示的なフロー図である。
図8】例示的な実施形態による複合構造体のさらに他の形成方法を示す例示的なフロー図である。
図9】航空機の製造及び就航の方法を示す例示的なフロー図である。
図10】航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記載は、あくまでも例示であって、本開示及びその用途や仕様を限定することを意図するものではない。
【0013】
図1を参照すると、迅速硬化性樹脂(quick cure resin)を用いた複合構造体の製造システムが符号10で示されている。一実施例において、迅速硬化性樹脂は、約30分以内に硬化する樹脂を含む。ここでいう「約」という用語の意味は、当業者の解釈に委ねられる。或いは、ここでの「約」という用語は、±5分を含む。システム10で作製される複合構造体は、好ましくは、湾曲した複合構造体であり、例えば、航空機の機体に用いられるナセルやバレルである。システム10は、概して、ツールアセンブリ12と、ツールアセンブリ12に充填された複合材プリフォーム14と、ツールアセンブリ12の動作を制御するよう構成されたコントロールシステム16と、を含む。
【0014】
次に、図2A図2B図3図3A図1と併せて参照すると、ツールアセンブリ12は、マンドレル18、ツール20、及び、硬化デバイス21を含む。図2Aは、ツールアセンブリ12の側面斜視図であり、図2Bは、ツールアセンブリ12の分解斜視図である。マンドレル18は、複合材プリフォーム14(図2Bに示す)を支持するとともに、複合構造体の内側モールドラインを規定するよう構成されている。マンドレル18は、図3に示すように、ツール20の中に配置可能なサイズである。マンドレル18は、内包体アセンブリ26に接続された第1端部片(first end piece)22及び第2端部片(second end piece)24を含む。本実施例では、マンドレル18が2つの端部片22及び24を含んでいるが、マンドレル18が第1端部片22のみを含む構成も、本開示の範囲を逸脱するものではない。第1端部片22のみが用いられる場合、第1端部片22は、内包体アセンブリ26を片持ち支持する構成である。端部片22、24は、ツール20内で内包体アセンブリ26を支持するとともに、マンドレル18とツール20の間の接続部を構成する。また、端部片22、24は、内包体アセンブリ26を加圧したときの膨張圧に反作用するが、詳細は後述する。本実施例では、端部片22、24は、円形である。端部片22、24が円形であると、端部片22、24の製造が容易である。また、端部片22、24が円形であると、マンドレル18の割出し操作(indexing)の必要がないので、ツール20に容易に装填できる。ただし、端部片22、24が円形以外の形状を有する場合は、ツール20に対してマンドレル18の割出し操作、即ち、回転方向の位置合わせ操作を行うことが望ましい。端部片22、24は、例えば、矩形、三角形、又は、その他の多面形であってもよい。
【0015】
図3は、複合材プリフォーム14を含むツールアセンブリ12の断面図を示す。内包体アセンブリ26は、硬化前は、複合材プリフォーム14を剛性支持し、硬化中は、複合材プリフォームを柔軟に支持して、圧縮するよう構成されている。内包体アセンブリ26は、形状記憶層28と、形状記憶層28の内側に配置された内包体30と、を含む。形状記憶層28の外側表面は、内側モールドライン(IML)面32を規定する。このIML面32が、複合構造体の内側モールドラインを規定する。形状記憶層28は、内包体30の周りを覆っており、形状記憶ポリマからなる。形状記憶ポリマは、温度などのパラメータの変化に応じて、剛性が変化する性質を有する。よって、形状記憶層28は、剛性状態と、軟化した可撓性状態とを有する。剛性状態は、形状記憶層28が室温のときに現れ、加熱されて閾値温度を超えると、可撓性状態に転移する。室温は、複合材プリフォーム14をマンドレル18に沿わせて配置することができる温度をいう。室温の範囲は、材料加工の仕様によって決まる。例えば、特定の種類の繊維強化材料については、室温は約43℃である。ここでいう「約」という用語の意味は、当業者の解釈に委ねられる。或いは、ここでの「約」という用語は、±10度を含む。他の実施形態において、他の種類の繊維強化材料については、室温は約27℃である。ここでいう「約」という用語の意味は、当業者の解釈に委ねられる。或いは、ここでの「約」という用語は、±10度を含む。他の実施例では、室温は、閾値温度より数度低い温度の可能性もある。閾値温度は、室温よりも高く、特定の態様では、後述するように、硬化処理が行われる温度よりも高い。特定の態様では、形状記憶層28は、約65℃で軟化して可撓性を有する状態に転移する。ここでいう「約」という用語の意味は、当業者の解釈に委ねられる。或いは、ここでの「約」という用語は、±10度を含む。
【0016】
内包体30は、気密であって、膨張可能な構成である。一実施形態では、内包体30は、シリコーン製であるが、他の膨張可能な材料を使用してもよい。第1端部片22には、ポート34が貫通しており、このポートを介して、内包体30にアクセス可能である。内包体30を膨張させるには、例えば、空気、窒素、蒸気、又は、油で内包体30を加圧する。空気、窒素、蒸気、又は、油は、ポート34を介して内包体30と連通する加圧システム35(図2A及び図3に示す)から供給される。加圧システム35は、例えば、加圧された空気、窒素、蒸気、又は、油などの供給源、ポンプ、圧力センサ、圧力逃し弁、及び、供給ラインを含む。加圧システム35の圧力逃し弁は、OML面56に加わる圧力を制御して、ツール20を強制的に開放させる圧力を超えないようにする。特定の態様では、内包体30の膨張時の圧力は、約620kPaに達する。ここでいう「約」という用語の意味は、当業者の解釈に委ねられる。或いは、ここでの「約」という用語は、±50kPaを含む。様々な態様において、膨張圧は、低ければ100kPa程度であり、高ければ2100kPa程度である。内包体30の膨張圧は、複合材プリフォーム14の材料に基づいて選択される。一実施例において、内包体30は、容積基準で約10%膨張し、他の実施例では、容積基準で約2%~約3%膨張し、好ましい実施例では、容積基準で約1%膨張する。ここでいう「約」という用語の意味は、当業者の解釈に委ねられる。或いは、ここでの「約」という用語は、容量基準で±1パーセントを含む。一実施形態において、第2端部片24を貫通するポート37が設けられているので、内包体30をより迅速に充填することができるとともに、空気がツール20を通過して再循環することができる。
【0017】
内包体アセンブリ26は、端部片22、24に封着して取り付けられており、その取り付け方法としては、端部片22、24が個別に、あるいは、協働して、内包体アセンブリ26、複合材プリフォーム14、加圧システム35、及び、任意のセンサなどを支持できるのであれば、様々な方法が可能である。提示した実施例では、形状記憶層28が端部片22と端部片24の間に挟まれている。内包体30は、一端が第2端部片24に取り付けられており、他端が、第1端部片22と支持プレート36との間に挟み込まれている。別の実施形態では、形状記憶層28と内包体30の両方が、支持プレート36と端部片22、24との間に挟まれている。別の実施形態では、形状記憶層28と内包体30の両方が、端部片22、24に、例えば、接着剤で接合された構成である。この場合、内包体アセンブリ26の使用中に、端部片22、24を取り外すことはできない。さらに別の実施形態では、端部片22、24は、内包体アセンブリ26から離脱可能な構成である。
【0018】
これ以外の構成の内包体アセンブリ26も、本開示の範囲から逸脱するものではない。例えば、形状記憶層28を省略して、水溶性、又は、溶剤可溶性の内部マンドレルを内包体30の中に配置してもよい。この実施形態では、内包体30がIML面32を規定する。可溶性の内部マンドレルは、室温では剛性であるが、内包体30を水で膨張させると、溶解する。
【0019】
引き続き図2A図2B図3、及び、図3Aを参照すると、ツール20は、複合材プリフォーム14をゲル化させるよう構成されており、自己発熱型であるか、あるいは、オーブンの中に配置される。ツール20は、完成部品の外側モールドラインを規定する。ツール20は、互いに組み合わさるように構成された第1コンポーネント40と第2コンポーネント42を含む。第1コンポーネント40は、当該第1コンポーネント40の内側に第1外側モールドライン(OML)面44を規定する。また、第1コンポーネント40は、第1OML面44の両側に2つのスロット46、48を規定する。同様に、第2コンポーネント42は、当該第2コンポーネント42の内側に第2外側モールドライン(OML)面50を規定する。また、第2コンポーネント42は、第2OML面50の両側に2つのスロット52、54を規定する。第1コンポーネント40と第2コンポーネント42を組み合わせると、第1OML面44と第2OML面50が一緒になって、マンドレル18及び複合材プリフォーム14を収容する空間が画成される。つまり、第1OML面44と第2OML面50とが一緒になって、複合構造体の外側モールドラインを規定する外側モールドライン(OML)面56が形成される。外側モールドライン面56は、例えば、鋼、インバー(Invar)、アルミニウム、又は、複合材料など、任意の適当な材料で形成される。加えて、第1コンポーネント40と第2コンポーネント42を組み合わせると、スロット46とスロット52が合わさって、第1端部片22を収容し、スロット48とスロット54が合わさって、第2端部片24を収容する。スロット46、52を貫通する開口58が設けられているので、第1コンポーネント40と第2コンポーネント42を組み合わせたときに、ツール20の内部に形成される空間にアクセスすることができ、よって、マンドレル18の第1端部片22のポート34にアクセスすることができる。
【0020】
この実施例におけるOML面56の形状は、樽形、つまり、円筒形であるが、OML面56は、当然ながら様々な形状に構成することができ、例えば、航空機胴体部の様々なセクションやエンジンナセルのパネルなどの様々な完成部品に適合した形状にすることができる。同様に、実施例におけるスロット46、48、52、54は、端部片22、24を収容する半円筒形であるが、スロット46、48、52、54は、当然ながら、端部片22、24を収容する様々な形状に構成することができる。このようなスロット46、48、52、54は、コンポーネント40及び42の中で処理中の内包体アセンブリ26と複合材プリフォーム14を支持する補助として有用である。例えば、端部片22、24が円形でない場合は、スロット46、48、52、54も半円筒形にはせず、径方向に非対称なツールの使用や、ツール20におけるマンドレル18の割り出し操作を補助する形状にすることができる。なお、第1端部片22のみを用いる場合は、ツールは、スロット46、52のみを有する構成でもよい。特定の態様では、コンポーネント40、42は、スロット46、48、52、54内にねじ切りされた領域を設けて、端部片22及び24の一方又は両方をツール20に螺合させるよう構成してもよい。開口58が設けられていることにより、マンドレル18がツール20内部に配置された状態で、内包体30を加圧することができる。また、開口58は、センサや制御機器へのアクセスポイント、及び、処理のリアルタイム監視及び制御のためのアクセスポイントも提供する。ガスケット59は、第1端部片22とツール20との間に配置されており、開口58の周りを封止する。また、開口58を通るラインや導管などがある場合には、これらと開口58の間にシール材(図示せず)を追加で設けることができる。
【0021】
次に、ツールアセンブリ12の端面図が示す図4を参照すると、第1コンポーネント40は、様々な方法で第2コンポーネント42に固定することができる。図示の実施例によれば、第1コンポーネント40は、一対の特異部60A、60Bを有し、第2コンポーネント42は一対の特異部62A、62Bを有する。一対のラッチ機構64は、特異部60A、62Aを特異部60B、62Bと係合させて、第1コンポーネント40を締め付けて第2コンポーネント42に固定する。他の実施形態では、油圧、ボルト、ピンなどによって、第1コンポーネント40を第2コンポーネント42に連結する。
【0022】
次に、ツールアセンブリ12の側面を概略的に示す図5を参照すると、ツール20のOML面56は、参照符号69、70、71、72、及び、74で示す1つ以上の加熱素子で加熱される。一実施例では、ツール20は、外部加熱システム69に接続されている。外部加熱システム69は、ツール20に配管されたチューブ70に熱油を供給する。熱油は、チューブ70を経由して循環されて、OML面56を加熱する。この構成では、ツール20は、マンドレル18の第1端部片22が第2端部片24の上方に位置するように、垂直方向に配置することが好ましい。他の実施例では、ツール20に配線された電線72に外部電気システム71が接続されている。外部電気システム71は、電線72で抵抗熱を発生させてOML面56を加熱する。他の実施例では、例えば、カートリッジヒータ、ヒートブランケットやヒートマット、誘導加熱器、オーブン、又は、プレス機に設けたヒータプラテンなど、1つ以上の外部熱源74がツール20に接続されており、ツール20とOML面56を加熱する。他の実施例では、内包体30を膨らませるために使用する加圧システム35を用いて、ツール20を加熱してもよい。OML面56は、マンドレル18をツール20の中に配置した後に、内包体30を内部から加熱することで加熱される。例えば、OML面56を加熱するには、加熱した窒素、加熱した空気、熱油、又は、蒸気を加圧システム35から供給して、内包体30を内部から加熱する。例えば、加熱流体又は加熱した圧縮空気は、ツール20の開口58とマンドレル18のポート34を通る流体ラインを介して内包体30に送られる。マンドレル18及びツール20は、図示のように水平方向での処理にも、図示しない垂直方向での処理にも用いることができる。
【0023】
上述のように、複合材プリフォーム14は、マンドレル18に沿って配置される。なお、図においては編組構造の複合材プリフォーム14が示されているが、例えば、一方向繊維のプリフォームなど、その他の構造も利用可能である。特定の態様では、複合材プリフォーム14は、IML面32の全体を覆うが、他の態様では、複合材プリフォーム14は、IML面32のすべて、又は、一部を覆う構成でもよい。複合材プリフォーム14は、例えば、テープやトウのレイアップマシン、ファブリックのドレーピングシステム、又は、編組システムを用いてマンドレル18に配置することができる。複合材プリフォーム14に含まれる繊維は、一方向繊維でもよいし、織物や織布の形態であってもよい。様々な態様において、複合材プリフォーム14には、例えば、約30分以内にゲル化する迅速硬化性樹脂が含侵されている。様々な態様において、内包体30は、例えば、約65℃を超える温度で膨張させた後に冷却することにより、複合材プリフォーム14を支持する内側モールドライン内包体の形状に固めることができる。特定の態様では、複合材プリフォーム14には、熱硬化性樹脂が含侵されている。いくつかの態様では、ファイバは、例えば、二軸又は三軸などの多軸ファイバである。様々な態様において、複合材プリフォームに含まれるファイバは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、又は、ボロン繊維である。
【0024】
図3Aは、マンドレル18及び複合材プリフォーム14の代替実施形態の断面を拡大して示す。図3Aでは、織物布又は通気性材料(breather material)75が複合材プリフォーム14とIML面32との間に配置されており、作製プロセスにおいて脱気を促進する。脱気は、図3及び図4に示すように、OML面56に連通する真空ポート76を介して行うことができる。一実施形態では、真空ポート76は、真空を生成する真空源78につながっている。複合材プリフォーム14に真空圧を印加すると、複合材プリフォーム14がOML面56側に引き寄せられる。また、真空圧によって内側モールドライン面32も、外側モールドライン面56側に引き寄せられる。通気性材料75は、複合材処理において、複合材プリフォーム14に溶け込んだガスや溶剤の除去を促進し、より均一に真空圧を行き渡らせるために有効である。他の実施形態では、真空ポート76は、周囲環境に連通しており、内包体30を膨張させたときに、空気をツール20から外に逃がすことができる。特定の態様では、複合材プリフォーム14とIML面32との間に、例えば、FREKOTE700NCなどの離型剤コーティング77を配置してもよい。あるいは、離型剤コーティング77の代わりに、例えば、PTFEフィルムやFEPフィルムのほか、適当な離型剤フィルムなどのバリアフィルム(図示せず)を用いてもよい。
【0025】
図1と併せて、引き続き図2図5を参照すると、コントロールシステム16は、ツールアセンブリ12の動作を制御するよう構成されている。コントロールシステム16は、圧力コントローラ80、温度コントローラ82、アクセスコントローラ84、及び、配置・離脱コントローラ(placement and removal controller)86を含む。圧力コントローラ80は、例えば、圧力トランスデューサや圧力センサで内包体30の圧力を監視するとともに、加圧システム35を制御することで、内包体30の圧力を特定の圧力に維持する。温度コントローラ82は、例えば、熱電対を用いてIML面32及びOML面56の温度を監視するとともに、加圧システム35(図3)及び/又は加熱素子69、70、71、72、74(図5)を制御することで、各温度を、例えば、加工温度などの特定の温度に維持する。特定の態様では、温度コントローラ82と圧力コントローラ80のいずれか、又は、両方が比例積分偏差(PID:proportional-integral-derivative)コントローラである。アクセスコントローラ84は、ツール20の開閉を制御して、ツール内部へのアクセスを可能にする。配置・離脱コントローラ86は、マンドレル18と係合する機構87を制御して、マンドレル18と複合材プリフォーム14をツール内部に配置したり、マンドレル18と複合材プリフォーム14をツール20から離脱させたりする。
【0026】
OML面56は、マンドレル18と複合材プリフォーム14をツール20に配置する前に所望の加工温度に加熱してもよいし、あるいは、マンドレル18と複合材プリフォーム14を配置した後で、内包体30を内部から加熱することで加熱してもよい。OML面56が高温に加熱されているので、マンドレル18と複合材プリフォーム14をツール20に配置する作業を、機構87を用いた自動プロセスで行うことができる。機構87は、好ましくは、1つ以上のロボットアーム又は把持機構であって、マンドレル18を把持してツール20に配置し、及び/又は、ツールから取外すことができる。特定の態様では、マンドレル18と複合材プリフォーム14をツール20に配置する作業及びツール20から離脱させる作業は、フォークリフト、クレーン、人力、あるいは、その他の適当な手段を用いて行われる。
【0027】
様々な態様において、マンドレル18は、内包体30を膨張させる前に、IML面32に巻きつけられた状態で複合材プリフォーム14とともにツール20に配置される。複合材プリフォーム14は、やや小さいサイズに形成されており、図3及び図3Aに示すように、ツール20に配置すると、複合材プリフォーム14とOML面56との間に隙間88が形成される。内包体30を膨張させると、複合材プリフォーム14は、IML面32とOML面56の間で圧縮される。様々な態様において、真空ポート76を介して複合材プリフォーム14に真空圧を印加すると、複合材プリフォーム14がOML面56に対して押圧されるので、圧縮が促進される。
【0028】
一実施形態では、OML面56の加工温度は、約180℃である。他の実施形態では、加工温度は、約180℃と約215℃との間である。ここでいう「約」という用語の意味は、当業者の解釈に委ねられる。或いは、ここでの「約」という用語は、±10℃を含む。このような高温に約30分間晒すと、複合材プリフォーム14に含まれる樹脂がゲル化する。なお、複合材プリフォーム14における樹脂と繊維は、ゲル化した状態で十分な自立性を有しており、複合材プリフォーム14をマンドレル18から離脱しても、ゲル化した複合材プリフォーム14がつぶれたり、変形したりしない状態である。次いで、マンドレル18と複合材プリフォーム14をツール20から離脱させる。マンドレル18が形状記憶層28を含む構成では、マンドレル18を加熱してIML面32を軟化させると、ツール20からマンドレル18と複合材プリフォーム14を離脱させることが可能になる。軟化した状態は、マンドレル18は所望の態様に膨張させることができ、その後、マンドレル18がまだ柔らかいうちに十分に収縮させることで、複合材プリフォーム14から適切に分離することができる。これによって、マンドレル18の分離及び除去が容易になる。マンドレル18が、上述したような可溶性の内部マンドレルを含む構成では、この可溶性の内部マンドレルを溶解させて、複合材プリフォーム14をツール20から容易に離脱させることができる。特定の態様では、複合材プリフォーム14は、マンドレル18からの離脱に加えて、硬化デバイス21に配置されたツール20からも取り外される。硬化デバイス21は、オーブンやその他の加熱装置であって、ゲル化した複合材プリフォーム14を最終硬化させて、複合構造体を形成するよう構成されている。いくつかの態様では、マンドレル18と複合材プリフォーム14の両方を硬化デバイス21に入れて、複合材プリフォーム14を最終硬化させて、複合構造体を形成する。その後、最終硬化した複合構造体を、マンドレル18から離脱させる。硬化デバイス21は、特定の態様では、1つのオーブンであってもよく、他の態様では、硬化デバイス21は、コンベアオーブン又はバスオーブン(conveyer or bath oven)である。特定の態様では、複合材プリフォーム14は、適切な硬化温度の油浴に入れて加熱する。いくつかの実施形態では、硬化した複合材プリフォーム14をマンドレル18から離脱させる前に、マンドレル18を冷却して、形状記憶層28の剛性を復元させる。
【0029】
様々な態様において、硬化した複合材プリフォーム14をマンドレル18から離脱した後、ゲル化されていない状態の複合材プリフォーム14と同等の第2複合材プリフォーム14'をマンドレル18に配置する。その他の態様では、第2複合材プリフォーム14'は、ツール20に配置されている次の第2マンドレル18'に配置される。
【0030】
次に図6を参照すると、特定の実施形態において、複合構造体を作製する例示的な方法100を示すフロー図が示されている。図6に示す方法は、図1に示すシステム10によって実施される。システム10は、ツールアセンブリ12とコントロールシステム16とともに、速やかにゲル化する性質の樹脂が含浸された複合材プリフォーム14を使用して、複合構造体の生産率を高めている。システム10によれば、オートクレーブ処理の排除又は低減を実現し、真空バッグや当て板の使用を最小限に抑えることができる。つまり、システム10は、複合構造体の硬化に際してコストの高い処理を排除又は低減して、コストを低減しており、これは、オートクレーブ処理に関係する時間を排除あるいは低減し、よって、真空バッグや当て板の配置に要する人的労力を排除することで実現される。加えて、システム10は、複数のマンドレル18と複合材プリフォーム14をツール20に連続的に出し入れする間、ツール20の温度を維持することで、ツール20の加熱及び冷却に要するコストと時間を低減し、これによってもコストの低減を実現する。
【0031】
ブロック102において、OML面56を、例えば、約180℃に加熱する。特定の実施態様では、OML面56を約180℃から約215℃までの間の加工温度に加熱して、硬化サイクルを速めている。OML面56の温度を約180℃から約215℃までの間での上げ下げすることで、室温と約215℃の間で温度の上げ下げする場合に比べ、時間とコストを低減することができる。
【0032】
ブロック104において、複合材プリフォーム14をマンドレル18のIML面32に配置する。複合材プリフォーム14が、織物プリプレグ又は一方向性プリプレグである場合、複合材プリフォーム14は、マンドレル18に巻き付けることができる。複合材プリフォーム14が編組体である場合、複合材プリフォーム14は、マンドレル18にレイアップされる。上述したように、複合材プリフォーム14は、熱硬化性樹脂を含浸させたものであるか、より迅速な硬化サイクルを促進する予備含浸テープや予備含浸トウであってもよい。特定の態様では、内包体30は、複合材プリフォーム14をIML面32に配置する前に膨張させてもよい。あるいは、内包体30は、複合材プリフォーム14を配置する前に膨張させてもよい。特定の実施態様では、複合材プリフォーム14は予め室温にしておき、その後、同様に室温のIML面32にレイアップする。内包体アセンブリ26が形状記憶層28を含む場合、形状記憶層28は、室温では剛性状態であり、例えば約65℃で軟化する。
【0033】
ブロック106において、IML面32に配置されたマンドレル18と複合材プリフォーム14を、ツール20のOML面56内側に配置する。端部片22、24は、ツール20内でIML面32と複合材プリフォーム14を支持する。内包体30は、予め膨張させておくか、あるいは、内包体30は、例えば、加圧システム35で圧縮した空気、窒素、蒸気、油などによって膨張させる。いくつかの態様では、内包体30は、熱した空気、熱した窒素、蒸気、又は、熱した油で加熱及び加圧される。
【0034】
ブロック108において、内包体30を膨張させて複合材プリフォーム14をOML面56に対して押圧する。温度が高くなっているので、形状記憶層28は、内包体30が膨張するのに伴って撓む。ラッチ機構64がツール20を閉状態に維持する。加圧システム35の圧力逃し弁がOML面56にかかる圧力を加減して、ツール20を強制的に開放させるような圧力を超えないようにする。加圧システム35の圧力センサは、内包体30内部の圧力を感知し、また、圧力コントローラ80は、内包体30内部を所定の圧力に維持する。
【0035】
ブロック110において、複合材プリフォーム14がゲル化したら、IML面32に巻き付けられているマンドレル18と複合材プリフォーム14を、ツール20のOML面56から離脱させる。いくつかの態様では、温度と加熱時間に対して予想される架橋量(expected amount of crosslinking)を関連づけておき、熱曲線(thermal profile)に基づいて複合材プリフォーム14がゲル化したタイミングを特定する。他の態様では、樹脂の架橋の際に生じるキャパシタンスの増加を予め登録しておいて、誘電センサを用いて、複合材プリフォーム14がゲル化したタイミングを特定する。その後、複合材プリフォーム14を硬化デバイス21によって硬化して、複合構造体を形成する。特定の実施態様では、マンドレル18とゲル状の複合材プリフォーム14の両方を硬化デバイス21に入れるが、別の態様では、ゲル状の複合材プリフォーム14をマンドレル18から離脱させた上で硬化デバイス21に入れて、最終硬化させる。様々な実施態様では、OML面56を加工温度に維持した状態で、マンドレル18及びゲル状の複合材プリフォーム14をツール20から離脱させる。続いて、ブロック112において、OML面56を加工温度に維持した状態で、第2マンドレル18'及び第2複合材プリフォーム14'をツール20内に配置する。様々な態様では、IML面32を室温で自然冷却するか、あるいは、例えば、冷却液で冷却して剛性状態に戻した上で、硬化した複合構造体をマンドレル18から離脱させる。内包体30は、ツール20から離脱させる前に、複合材プリフォーム14がゲル化した状態で、収縮させる。
【0036】
上述したように、様々な態様において、第2複合材プリフォーム14'は、マンドレル18にレイアップされ、他の態様では、第2複合材プリフォーム14'は、第2マンドレル18'にレイアップされる。いずれの態様においても、第2複合材プリフォーム14'をツール20中に配置しておき、内包体30を膨張させることで、あるいは、第2マンドレル18'内の第2内包体30'を膨張させることで、第2複合材プリフォームをOML面56に対して押圧する。その後、内包体30又は第2内包体30'を第2複合材プリフォーム14'とともにツール20から離脱させる。その後、第2複合材プリフォーム14'を硬化デバイス21によって硬化して、第2複合構造体を形成する。
【0037】
図7を参照すると、方法100を拡張して、複数のマンドレル18及び複数のツール20を用いるようにした例示的な方法200が示されている。この方法により、複数の複合材プリフォーム14を並列処理して、複数の複合構造体を形成することができる。例えば、各ツール20は、特定の種類の航空機における1つの胴体バレルセクションに対応して、例えば、ノーズ部分、中央部分、後方部分、ナセル部分などに対応して構成されている。つまり、航空機の胴体部全体を並列処理により同時に作製することが可能である。これらの複合構造体を、連続的ではなく同時に作成することで、時間の節約とコストの削減を実現することができる。個々のマンドレル18及びツール20の処理の詳細は、方法100について既に記載した内容と同じである。
【0038】
ブロック202において、複数のツール20の複数のOML面56を加熱する。ブロック204において、複数のマンドレル18の複数のIML面32のそれぞれに複合材プリフォーム14を配置する。ブロック206において、各IML面32を、当該IML面32に巻き付けられた複合材プリフォーム14とともに、対応するOML面56に配置する。ブロック208では、各複合材プリフォーム14を、対応するOML面56に対して押圧する。ブロック210において、各IML面32に巻き付けられた複合材プリフォーム14がゲル化したら、当該複合材プリフォームをIML面32とともに、対応するOML面56から離脱させる。次いで、各複合材プリフォーム14を1つの硬化デバイス21又は複数の硬化デバイス21で硬化して、航空機の複合構造体をそれぞれ形成する。
【0039】
次に、図8を参照すると、システム10を用いて複合構造体を作製する別の例示的な方法300が示されている。ブロック302において、ツール20のOML面56を、約180℃と約215℃の間の加工温度に加熱する。ブロック304において、マンドレル18のIML面32に配置された第1複合材プリフォーム14を、ツール20のOML面56の内側に配置する。ブロック306では、内包体30を膨張させて、第1複合材プリフォーム14をOML面56に対して押圧する。ブロック308において、第1複合材プリフォーム14がゲル化するまで、第1複合材プリフォーム14をツール20内に保持する。ブロック310において、第1複合材プリフォーム14を外側モールドライン面56から離脱させる。ブロック312において、第1複合材プリフォーム14を硬化デバイス21で硬化させて、例えば、ノーズ部分、中央部分、後方部分、ナセル部分などの複合構造体を形成する。
【0040】
ブロック314において、第2マンドレル18'の第2IML面32'に配置された第2複合材プリフォーム14'を、ツール20のOML面56の内側に配置する。OML面56の温度は、第1複合材プリフォーム14をツール20から離脱させ、次いで第2複合材プリフォーム14'をツールに配置する間、加工温度に維持しておく。ブロック316において、第2内包体30'を膨張させて、第2複合材プリフォーム14'をOML面56に対して押圧する。ブロック318において、第2複合材プリフォーム14'がゲル化するまで、ツール20の中に第2複合材プリフォーム14'を保持する。ブロック320において、第2複合材プリフォーム14'を外側モールドライン面56から離脱させる。ブロック322において、第2複合材プリフォーム14'を硬化デバイス21によって硬化して、もう1つ同じ複合構造体を形成する。
【0041】
システム10の実施形態は、部品及び小組立品の製造、システム統合、整備及び保守、機体の製造において利用可能である。例として、図9及び図10を参照して、システム10を用いた本開示の実施形態を、航空機の製造及び就航に関する方法500(図9)と航空機502(図10)に関連付けて説明する。製造開始前において、例示的な方法500は、航空機502の仕様決定及び設計504と、材料調達506とを含む。製造中には、航空機502の部品及び小組立品の製造508及びシステム統合510が行われる。その後、航空機502は、認証及び納品512の工程を経て、就航514の段階に入る。顧客による就航の間、航空機502は、定期的な整備及び保守516(改良、再構成、改修、など)のスケジュールに組み込まれる。
【0042】
方法500の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者を特に限定なくいくつ含んでいてもよい。第三者は、売主、下請業者、供給業者を特に限定なくいくつ含んでいてもよい。オペレータは、例えば、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織、及び他の適当なオペレータを含む。
【0043】
図10に示すように、方法500によって製造された航空機502は、複数のシステム520及び内装522を有する機体518を含む。高レベルシステム520の例としては、推進系524、電気系526、油圧系528、及び、環境系530のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。なお、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本発明の原理は、例えば自動車産業などの他の産業にも適用可能である。本明細書に記載のシステム10及び方法100、200、300は、部品及び小組立品の製造508、システム統合510、機体518の作製において採用することができる。
【0044】
図6図8に示したフロー図及びブロック図は、例示的な実施形態による装置及び方法において可能な態様の構成、機能、及び動作を示すものである。ここで、フロー図又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、及び/又は、動作もしくはステップの一部を表す。例示的な一実施形態のいくつかの代替の態様においては、ブロックに示した機能が、図に示した順序とは異なる順序で実行されてもよい。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックを、関連する機能に応じて、実質的に同時に実行してもよいし、逆の順序で実行してもよい。また、図示のブロックとはさらに他のブロックを追加してもよい。
【0045】
本開示に記載の複合構造体を製造するためのシステム及び方法は、いくつかの利点及び効果を実現する。本開示では、添付図面を概括的に参照して、大型、小型を問わず、湾曲した複合構造体を作製するためのシステム及び方法について説明した。本システム及び方法によれば、迅速硬化性樹脂を利用することができる。迅速硬化性樹脂を用いれば、複合材プリフォームが形状を維持できる状態に短時間で変化する(つまり、複合材プリフォームが自立可能な状態になるのが非常に速い)ので、関連するツールの一部又はすべてを開放して、他の複合材セクションの形成に利用することが可能になる。
【0046】
当業者には多くの改変又は変形が明らかであろう。さらに、例示の実施形態によっては、他の好適な実施形態とは異なる特徴をもたらす場合がある。選択した実施形態は、実施形態の原理及び実際の用途を最も的確に説明するために選択且つ記載したものであり、また、想定した特定の用途に適した種々の改変を加えた様々な実施形態のための開示を当業者が理解できるようにするために、選択且つ記載したものである。
【0047】
本発明は、以下の付記においてさらに明らかにされる。
【0048】
1. 複合構造体の形成方法(100)であって、
ツール(20)の外側モールドライン面(56)を加工温度に加熱することと、
前記外側モールドライン面(56)の内側に、内側モールドライン面(32)を、当該内側モールドライン面に配置された複合材プリフォーム(14)とともに配置することと、
前記内側モールドライン面(32)及びゲル化した前記複合材プリフォーム(14)を前記外側モールドライン面(56)から離脱させることと、を含む方法。
【0049】
2. 前記複合材プリフォーム(14)を前記内側モールドライン面(32)に配置することをさらに含む、付記1に記載の方法(100)。
【0050】
3. 前記複合材プリフォーム(14)を前記内側モールドライン面(32)に配置する前、又は、配置した後に、前記複合材プリフォーム(14)が配置された内包体(30)を膨張させることをさらに含む、付記1又は2に記載の方法(100)。
【0051】
4. 前記複合材プリフォーム(14)を前記外側モールドライン面(56)に対して押圧することをさらに含む、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0052】
5. 前記内側モールドライン面(32)を加熱して、前記内側モールドライン面(32)を剛性状態から可撓性状態に転移させることをさらに含む、付記1に記載の方法(100)。
【0053】
6. 前記内側モールドライン面(32)が可撓性状態のときに、前記内側モールドライン面(32)の内側に配置されている内包体(30)を膨張させることをさらに含む、付記5に記載の方法(100)。
【0054】
7. 前記内側モールドライン面(32)及び前記複合材プリフォーム(14)を前記外側モールドライン面(56)から離脱させた後に、前記内包体(30)を収縮させることをさらに含む、付記6に記載の方法(100)。
【0055】
8. 前記内側モールドライン面(32)が剛性状態のときに、前記複合材プリフォーム(14)を前記内包体(30)に配置することをさらに含む、付記6又は7に記載の方法(100)。
【0056】
9. 前記複合材プリフォーム(14)が室温であるときに、前記複合材プリフォーム(14)を前記内包体(30)に配置することをさらに含む、付記6~8のいずれかに記載の方法(100)。
【0057】
10. 前記内側モールドライン面(32)を、当該内側モールドライン面に配置された前記複合材プリフォーム(14)とともに、前記外側モールドライン面(56)の内側に配置した後に、前記内側モールドライン面(32)及び当該内側モールドライン面に配置された前記複合材プリフォーム(14)に真空圧を印加することをさらに含む、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0058】
11. 前記内側モールドライン面(32)に設けられた離型剤コーティング(77)に前記複合材プリフォーム(14)を配置することをさらに含む、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0059】
12. ゲル化した前記複合材プリフォーム(14)を前記ツール(20)の前記外側モールドライン面(56)から離脱させた後に、前記複合材プリフォーム(14)を硬化させて前記複合構造体を形成することをさらに含む、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0060】
13. 前記複合材プリフォーム(14)を前記内側モールドライン面(32)から離脱させることをさらに含む、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0061】
14. 次の第2複合材プリフォーム(14')を前記内側モールドライン面(32)にレイアップすることをさらに含む、付記13に記載の方法(100)。
【0062】
15. 前記次の第2複合材プリフォーム(14')を前記内側モールドライン面(32)にレイアップすることは、前記内側モールドライン面(32)の内側に配置された内包体(30)を収縮させた後に行う、付記14に記載の方法(100)。
【0063】
16. 次の第2複合材プリフォーム(14')を第2内側モールドライン面(32')にレイアップすることをさらに含む、付記1~12のいずれかに記載の方法(100)。
【0064】
17. 前記第2内側モールドライン面(32')を前記第2複合材プリフォーム(14')とともに、前記外側モールドライン面(56)の内側に配置することと、第2内包体(30')を膨張させて、前記第2複合材プリフォーム(14')を前記外側モールドライン面(56)に対して押圧することと、前記第2内側モールドライン面(32')を、ゲル化した前記第2複合材プリフォーム(14')とともに、前記外側モールドライン面(56)から離脱させることと、前記第2複合材プリフォーム(14')を硬化させて、第2複合構造体を形成することと、をさらに含む、付記16に記載の方法(100)。
【0065】
18. 前記内側モールドライン面(32)を前記複合材プリフォーム(14)とともに離脱させ、また、前記第2内側モールドライン面(32')を前記第2複合材プリフォーム(14')とともに前記外側モールドライン面(56)の内側に配置する間、前記外側モールドライン面(56)の温度を前記加工温度に維持することをさらに含む、付記16又は17に記載の方法(100)。
【0066】
19. 前記複合材プリフォーム(14)に、熱硬化性樹脂が含浸されている、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0067】
20. 前記内側モールドライン面(32)は、室温で剛性状態である、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0068】
21. 前記内側モールドライン面(32)は、約65℃で軟化する、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0069】
22. 前記加工温度は約180℃であるか、あるいは、前記加工温度は約180℃から約215℃までの間である、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0070】
23. 離脱させることは、前記外側モールドライン面(56)の温度が前記加工温度に維持されている間に、前記内側モールドライン面(32)を前記外側モールドライン面(56)から離脱させることを含む、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0071】
24. 前記内側モールドライン面(32)及び複合材プリフォーム(14)を前記外側モールドライン面(56)から離脱させた後に、前記内側モールドライン面(32)を溶解させることをさらに含む、先行する付記のいずれかに記載の方法(100)。
【0072】
25. ゲル状の複合材を形成するためのマンドレル(18)であって、
内側モールドライン面(32)を規定する内包体アセンブリ(26)であって、形状記憶層(28)及び内包体(30)を含む内包体アセンブリ(26)と、
前記内包体アセンブリ(26)に接続された端部片(22)と、を備える、マンドレル(18)。
【0073】
26. 前記内包体(30)は、空気、窒素、蒸気、又は、油によって膨張される、付記25に記載のマンドレル(18)。
【0074】
27. 前記内包体(30)は、前記端部片(22)に封着されている、付記25又は26に記載のマンドレル(18)。
【0075】
28. 前記内包体に接続されており、前記内包体を膨張及び収縮させるための加圧システム(35)をさらに備える、付記25~27のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0076】
29. 前記加圧システム(35)は、加熱された空気、窒素、蒸気、又は、油を前記内包体(30)に供給する、付記28に記載のマンドレル(18)。
【0077】
30. 前記内包体(30)は、シリコーン製である、付記25~29のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0078】
31. 前記形状記憶層(28)は、前記内包体(30)の周りに配置されている、付記25~30のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0079】
32. 前記形状記憶層(28)は、形状記憶ポリマからなり、前記形状記憶ポリマは、閾値温度未満の温度では剛性状態であり、前記閾値温度を超える温度では可撓性状態である、付記25~31のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0080】
33. 前記閾値温度は、約65℃である、付記32に記載のマンドレル(18)。
【0081】
34. 前記内包体アセンブリ(26)に接続された第2端部片(24)をさらに備える、付記25~33のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0082】
35. 前記端部片(22)は、前記内包体アセンブリ(26)の一端に接続されており、前記第2端部片(24)は、前記内包体アセンブリ(26)における前記端部片(22)と反対側の端部に接続されている、付記34に記載のマンドレル(18)。
【0083】
36. 前記内側モールドライン面(32)は、実質的に円筒形である、付記25~35のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0084】
37. 前記端部片(22)に接続された支持プレート(36)をさらに備え、前記内包体アセンブリ(26)は、前記支持プレート(36)と前記端部片(22)の間に挟まれている、付記25~36のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0085】
38. 前記端部片(22)は、前記内包体(30)の内部と連通するポート(34)を有する、付記25~37のいずれかに記載のマンドレル(18)。
【0086】
39. ツールアセンブリ(12)と、
コントロールシステム(16)と、
複合材プリフォーム(14)と、を備える、複合構造体を製造するためのシステム(10)であって、
前記ツールアセンブリは、
加熱素子(69、70、71、72、74)及び外側モールドライン面(56)を有するツール(20)と、
内側モールドライン面(32)を規定する内包体アセンブリ(26)を有するマンドレルであって(18)、前記ツール(20)の中に離脱可能に配置されたマンドレル(18)と、を含み、
前記コントロールシステムは、
前記加熱素子(69、70、71、72、74)に接続された温度コントローラ(82)と、
前記内包体アセンブリ(26)に接続された圧力コントローラ(80)と、を含み、
前記複合材プリフォームは、前記内包体アセンブリ(26)の周りに配置されている、システム(10)。
【0087】
40. 前記温度コントローラ(82)は、前記外側モールドライン面(56)を加工温度に維持し、前記圧力コントローラ(80)は、前記内包体アセンブリ(26)の内部を、前記複合材プリフォーム(14)が前記外側モールドライン面(56)に対して押圧される所定の圧縮圧力に維持する、付記39に記載のシステム(10)。
【0088】
41. 前記コントロールシステム(16)は、前記ツール(20)に接続されているとともに前記ツール(20)の開閉を制御するアクセスコントローラ(84)を含む、付記39又は40に記載のシステム(10)。
【0089】
42. 前記コントロールシステム(16)は、配置・離脱コントローラ(placement and extraction controller)(86)を含み、当該配置・離脱コントローラは、前記ツール(20)に対する前記マンドレル(18)及び前記複合材プリフォーム(14)の配置及び離脱を制御する機構(87)に接続されている、付記39~41のいずれかに記載のシステム(10)。
【0090】
43. マンドレル(18)と、
前記マンドレル(18)に巻き付けられた、ゲル状の複合材プリフォーム(14)と、を備える装置。
【0091】
44. ツール(20)をさらに備え、前記マンドレル(18)及び前記ゲル状の複合材プリフォーム(14)は、前記ツール(20)の中に配置されている、付記43に記載の装置。
【0092】
45. 前記ゲル状の複合材プリフォーム(14)は、当該ゲル状の複合材プリフォーム(14)を前記マンドレル(18)から離脱させるのに十分な自立性を有している、付記43又は44に記載の装置。
【0093】
46.前記ゲル状の複合材プリフォーム(14)は、加工温度である約180℃において、約30分でゲル化する、付記43~45に記載の装置。
図1
図2A
図2B
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10