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特許7444569鏡視下手術支援装置、鏡視下手術支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】鏡視下手術支援装置、鏡視下手術支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20240228BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240228BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240228BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61B1/045 610
A61B5/00 G
G06T19/00 A
A61B1/00 V
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019169671
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021045340
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】500109320
【氏名又は名称】ザイオソフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 剛
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-102249(JP,A)
【文献】特開2016-168189(JP,A)
【文献】国際公開第2019/016244(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/045
A61B 5/00
G06T 19/00
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡視下手術を支援する鏡視下手術支援装置であって、
取得部及び処理部を備え、
前記取得部は、被検体のボリュームデータを取得する機能を有し、
前記処理部は、
前記ボリュームデータに含まれる組織を表現するモデルを設定し、
前記ボリュームデータを可視化するための第1の視野と、前記モデルにおけるターゲットの位置と、を設定し、
前記モデルを変形させるための第1の操作情報を取得し、
前記第1の操作情報に基づいて、前記モデルの変形前後における前記ターゲットの位置と向きの変化を算出し、
算出された前記ターゲットの位置及び向きの変化を用いて、前記第1の視野に対する前記変化の後の前記ターゲットの位置及び向きと第2の視野に対する前記変化の前の前記ターゲットの位置及び向きとが同等になるように、前記第2の視野を算出し、
前記第2の視野に基づいて、前記ボリュームデータを可視化する、機能を有する、
鏡視下手術支援装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記被検体における前記ターゲットを含む組織を区分し、区分された前記組織に基づいて前記モデルを設定する
請求項1に記載の鏡視下手術支援装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記組織の輪郭を示す情報を表示部に表示させ、
前記モデルの変形に応じて、前記輪郭を変形させて前記輪郭を示す情報を表示させる、
請求項2に記載の鏡視下手術支援装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記ボリュームデータの可視化において、前記被検体の骨を非表示にさせる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の鏡視下手術支援装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記ボリュームデータの可視化において、前記第1の視野に基づいて前記ボリュームデータを可視化する場合に可視化される画像に含まれる前記被検体の骨を、表示させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の鏡視下手術支援装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記ボリュームデータとともに、前記被検体の内部において前記ターゲットに向かって挿入された鉗子を表示させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の鏡視下手術支援装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記モデルの変形前における前記ターゲットの位置と前記第2の視野に対応する視点との距離を操作するための第2の操作情報を取得し、
前記第2の操作情報に基づいて、前記ボリュームデータを可視化する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の鏡視下手術支援装置。
【請求項8】
被検体のボリュームデータを取得するステップと、
前記ボリュームデータに含まれる組織を表現するモデルを設定するステップと、
前記ボリュームデータを可視化するための第1の視野と、前記モデルにおけるターゲットの位置と、を設定するステップと、
前記モデルを変形させるための第1の操作情報を取得するステップと、
前記第1の操作情報に基づいて、前記モデルの変形前後における前記ターゲットの位置と向きの変化を算出するステップと、
算出された前記ターゲットの位置及び向きの変化を用いて、前記第1の視野に対する前記変化の後の前記ターゲットの位置及び向きと第2の視野に対する前記変化の前の前記ターゲットの位置及び向きとが同等になるように、前記第2の視野を算出するステップと、
前記第2の視野に基づいて、前記ボリュームデータを可視化するステップと、
を有する鏡視下手術支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載の鏡視下手術支援方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鏡視下手術を支援する鏡視下手術支援装置、鏡視下手術支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術シミュレーションにおいて、表示画面への操作入力に応じて被検体の3次元医用画像に対する処理を施し、処理を施された3次元医用画像を表示画面に表示させる医用画像表示装置が知られている(特許文献1参照)。ここでの3次元医用画像に対する処理は、変形処理を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-54358公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の医用画像表示装置は、手術中ナビゲーションや術前シミュレーションにおいて被検体における観察対象(ターゲット)の可視化について、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてされたものであって、被検体における観察対象の可視化を改善できる鏡視下手術支援装置、鏡視下手術支援方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、鏡視下手術を支援する鏡視下手術支援装置であって、取得部及び処理部を備え、前記取得部は、被検体のボリュームデータを取得する機能を有し、前記処理部は、前記ボリュームデータに含まれる組織を表現するモデルを設定し、前記ボリュームデータを可視化するための第1の視野と、前記モデルにおけるターゲットの位置と、を設定し、前記モデルを変形させるための第1の操作情報を取得し、前記第1の操作情報に基づいて、前記モデルの変形前後における前記ターゲットの位置と向きの変化を算出し、算出された前記ターゲットの位置及び向きを用いて、前記第1の視野に対する前記変化の後の前記ターゲットの位置及び向きと第2の視野に対する前記変化の前の前記ターゲットの位置及び向きとが同等になるように、前記第2の視野を算出し、前記第2の視野に基づいて、前記ボリュームデータを可視化する、機能を有する、鏡視下手術支援装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、被検体におけるターゲットの観察環境のし易さを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態における医用画像処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図
図2】医用画像処理装置の機能構成例を示すブロック図
図3】医用画像処理装置による処理概要を説明する図
図4】モデルの生成例を示す図
図5】モデルの変形例を示す図
図6】ターゲットと実カメラ位置との位置関係の一例を示す模式図
図7】実カメラ位置と臓器の変形例とを示す模式図
図8】仮想カメラ位置の一例を示す模式図
図9】ターゲットを含まない臓器やターゲットを含む臓器の体表をレンダリング対象外とした画像の表示例を示す図
図10】ターゲットを含む臓器と、ターゲットを含まない移動された臓器をレンダリング対象とした画像の表示例を示す図
図11】医用画像処理装置の動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
術前シミュレーションや術中ナビゲーションでは、被検体の一部である観察対象(ターゲット)に注目して、詳細に観察することがある。例えば、鏡視下手術において、カメラ位置から見ると臓器の裏側にターゲットが位置する場合、カメラ位置からターゲットを確認できるように、臓器を変形することが想定される。このケースにおいて特許文献1の医用画像表示装置を用いる場合、ボリュームデータにおける臓器の部分を変形して、3次元医用画像をボリュームレンダリング等によりディスプレイに表示することになる。したがって、ボリュームデータに対して変形処理することとなり、演算量が膨大となる。さらに、ボリュームデータの各ボクセルに適切に剛性を設定し、臓器の境界における滑り、体液の流れ、空気を考慮する必要がある。さらに、手術過程を想定して臓器を少しずつ繰り返し変形させる場合、変形処理に係るボリュームデータの整合性を維持する必要がある。したがって、ボリュームデータと関心領域に対する微調整を手動で行う必要が出てくる。したがって、例えば、鏡視下手術において術者が鉗子を用いて臓器を操作するようなシミュレーションをリアルタイムに行うことは困難である。
【0011】
また、ボリュームデータの非剛体変形処理により変形処理されレンダリングされた画像は、術前シミュレーションや術中ナビゲーションにおいてそのまま確認されるので、変形処理の精度が高精度であることが要求される。特に、臓器境界が破綻していないことが要求される。
【0012】
また、臓器を変形する場合に、ターゲットを含む臓器を観察し易くするために、この臓器の周辺の他の臓器(例えば腹部領域における小腸)を細かく除去した区分(セグメンテーション)処理を行った上でターゲットを可視化することも考えられるが、迂遠である。また、ターゲットを含む臓器のみ変形させるシミュレーションをすることも考えられるが、この場合には複数の臓器間が仮想空間上で重なる可能性があり、被検体の可視化精度が低下し得る。
【0013】
また、ボリュームデータではなくサーフィスデータを変形させると、変形に係る処理速度を改善できるが、サーフィスレンダリングの精度が不十分となり得る。サーフィスデータを生成するために各臓器のセグメンテーションが不正確である場合、例えば細かい血管が大量にあると、細かい血管や入り組んだ臓器のサーフィスを正確に生成することが困難であるためである。例えば、肝臓に接続している血管と部分と接続していない血管が、更に不明瞭に可視化され得る。
【0014】
以下の実施形態では、被検体における観察対象の可視化を改善できる鏡視下手術支援装置、鏡視下手術支援方法、及びプログラムについて説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における医用画像処理装置100の構成例を示すブロック図である。医用画像処理装置100は、取得部110、UI120、ディスプレイ130、プロセッサ140、及びメモリ150を備える。医用画像処理装置100は、鏡視下手術(ロボット手術を含む)を画像処理によって支援する。医用画像処理装置100は、例えば、術者による手術中のサポートを行うための術中ナビゲーション、又は術者による手術前の手術計画を策定するための術前シミュレーションを行う。
【0016】
医用画像処理装置100には、CT装置200が接続される。医用画像処理装置100は、CT装置200からボリュームデータを取得し、取得されたボリュームデータに対して処理を行う。医用画像処理装置100は、PCとPCに搭載されたソフトウェアにより構成されてもよい。
【0017】
CT装置200は、被検体へX線を照射し、体内の組織によるX線の吸収の違いを利用して、画像(CT画像)を撮像する。被検体は、生体、人体、動物、等を含んでよい。CT装置200は、被検体内部の任意の箇所の情報を含むボリュームデータを生成する。CT装置200は、CT画像としてのボリュームデータを医用画像処理装置100へ、有線回線又は無線回線を介して送信する。CT画像の撮像には、CT撮像に関する撮像条件や造影剤の投与に関する造影条件が考慮されてよい。
【0018】
医用画像処理装置100内の取得部110は、例えば、通信ポートや外部装置接続ポート、組み込みデバイスへの接続ポートを含み、CT装置200で得られたボリュームデータを取得する。取得されたボリュームデータは、直ぐにプロセッサ140に送られて各種処理されてもよいし、メモリ150において保管された後、必要時にプロセッサ140へ送られて各種処理されてもよい。また、ボリュームデータは、記録媒体や記録メディアを介して取得されてもよい。また、ボリュームデータは中間データ、圧縮データやシノグラムの形で取得されてもよい。また、ボリュームデータは医用画像処理装置100に取り付けられたセンサデバイスからの情報から取得されてもよい。このように、取得部110は、ボリュームデータ等の各種データを取得する機能を有する。
【0019】
UI120は、例えば、タッチパネル、ポインティングデバイス、キーボード、又はマイクロホンを含んでよい。UI120は、医用画像処理装置100のユーザから、任意の入力操作を受け付ける。ユーザは、術者、医師、看護師、放射線技師、学生、等を含んでよい。
【0020】
UI120は、各種操作を受け付ける。例えば、ボリュームデータやボリュームデータに基づく画像(例えば後述する3次元画像、2次元画像)における、関心領域(ROI)の指定や輝度条件の設定等の操作を受け付ける。関心領域は、各種組織(例えば、血管、気管支、臓器、器官、骨、脳)の領域を含んでよい。組織は、病変組織、正常組織、腫瘍組織、等を含んでよい。また、UI120は、ボリュームデータを基に生成されたモデルに対する各種操作(例えば変形操作)を受け付けてよい。
【0021】
ディスプレイ130は、例えばLCDを含んでよく、各種情報を表示する。各種情報は、ボリュームデータから得られる3次元画像や2次元画像を含んでよい。3次元画像は、ボリュームレンダリング画像、サーフェスレンダリング画像、仮想内視鏡画像、仮想超音波画像、CPR画像、等を含んでもよい。ボリュームレンダリング画像は、レイサム(RaySum)画像、MIP画像、MinIP画像、平均値画像、レイキャスト画像、等を含んでもよい。2次元画像は、アキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像、MPR画像、等を含んでよい。
【0022】
メモリ150は、各種ROMやRAMの一次記憶装置を含む。メモリ150は、HDDやSSDの二次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、USBメモリやSDカードの三次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、各種情報やプログラムを記憶する。各種情報は、取得部110により取得されたボリュームデータ、プロセッサ140により生成された画像、プロセッサ140により設定された設定情報、各種プログラムを含んでもよい。メモリ150は、プログラムが記録される非一過性の記録媒体の一例である。
【0023】
プロセッサ140は、CPU、DSP、又はGPUを含んでよい。プロセッサ140は、メモリ150に記憶された医用画像処理プログラムを実行することにより、各種処理や制御を行う処理部160として機能する。
【0024】
図2は、処理部160の機能構成例を示すブロック図である。処理部160は、領域処理部161、変形処理部162、モデル設定部163、情報設定部164、画像生成部165、及び表示制御部166を備える。なお、処理部160に含まれる各部は、1つのハードウェアにより異なる機能として実現されてもよいし、複数のハードウェアにより異なる機能として実現されてもよい。また、処理部160に含まれる各部は、専用のハードウェア部品により実現されてもよい。
【0025】
領域処理部161は、例えば取得部110を介して、被検体のボリュームデータを取得する。領域処理部161は、ボリュームデータに含まれる任意の領域を抽出する。領域処理部161は、例えばボリュームデータの画素値に基づいて、自動で関心領域を指定し、関心領域を抽出してよい。領域処理部161は、例えばUI120を介して、手動で関心領域を指定し、関心領域を設定してよい。関心領域は、臓器、骨、血管、患部(例えば病変組織や腫瘍組織)、等の領域を含んでよい。
【0026】
また、関心領域は、単一の組織だけでなく、その組織の周囲の組織を含んでセグメンテーション(区分)されて抽出されてもよい。例えば、関心領域としての臓器が肝臓の場合、肝臓本体だけでなく、肝臓に接続する又は肝臓内若しくは肝臓周辺を走行する血管(例えば肝動脈、肝静脈、門脈)や、肝臓周辺の骨(例えば背骨、肋骨)を含んでもよい。また、上記の肝臓本体と肝臓内又は肝臓周辺の血管と肝臓周辺の骨とは、別々の組織としてセグメンテーションされて得られてもよい。
【0027】
モデル設定部163は、組織のモデルを設定する。モデルは関心領域とボリュームデータに基づいて設定されてよい。モデルは、ボリュームデータに表現されている組織を、ボリュームデータよりも簡素化して表現するものである。したがって、モデルのデータ量は、モデルに対応するボリュームデータのデータ量よりも小さい。モデルは、変形処理や変形操作の対象となる。モデルは、例えばボーン変形モデルでよい。この場合、モデルは、簡易な有限要素において骨組みを仮定して、有限要素の頂点を移動させることで、ボーンが変形する。組織の変形は、ボーンの変形を追従することによって表現できる。モデルは、臓器(例えば肝臓)を模した臓器モデルを含んでよい。モデルは、単純な形状の多角形(例えば三角形)に類似する形状を有してもよいし、その他の形状を有してもよい。モデルは、例えば、臓器を示すボリュームデータの輪郭線であってもよい。モデルは、3次元モデルであっても2次元モデルであってもよい。なお、骨についてはモデルの変形ではなく、ボリュームデータの変形で表現されてもよい。骨は変形の自由度が小さいため、ボリュームデータのアフィン変換で表現できるためである。
【0028】
モデル設定部163は、ボリュームデータに基づいて、モデルを生成することで、モデルを取得してよい。また、モデルのテンプレートが複数予め決まっており、メモリ150や外部サーバに保持されていてもよい。モデル設定部163は、ボリュームデータに合わせて、予め用意された複数のモデルのテンプレートから1つのモデルのテンプレートをメモリ150や外部サーバから取得することで、モデルを取得してもよい。
【0029】
情報設定部164は、各種情報を入力し又は取得し、設定する。例えば、情報設定部164は、鏡視下手術に用いられる内視鏡(カメラ)に関する情報(カメラ情報)を設定してよい。カメラは、カメラポートから挿入されて被検体内を撮像する。カメラ情報は、被検体に対するカメラ位置、カメラ向き、カメラ画角、等の情報を含んでよい。カメラ向きは、カメラが撮像する向きであり、カメラの光軸の方向と一致してよい。カメラ位置とカメラ向きとカメラ画角に応じて、カメラによる撮像範囲が決定されてよい。言い換えると、カメラ位置は、被検体を観察するための術者の視点とも言える。カメラ向きは、視点を起点とした術者の視線の向きとも言える。カメラ画角は、視点を基点とした術者の視野角とも言える。撮像範囲は、術者の視野とも言える。視点と視線の向きと視野角に応じて、視野が決定されてよい。視野は、ボリュームデータを可視化するための基準となる。なお、ここでのカメラ位置、カメラ向き、カメラ画角、及び撮像範囲は、実際に配置されるカメラを想定した情報であるので、実カメラ位置(実視点)、実カメラ向き(実視線向き)、実カメラ画角(実視野角)、及び実撮像範囲(実視野)とも称する。ここでの実際のカメラ情報を実カメラ情報とも称する。なお、情報設定部164は、術中ナビゲーションでは、任意のセンサにより検出されたカメラ情報を取得し、設定してもよい。
【0030】
情報設定部164は、術者が操作する鉗子(実鉗子)に関する鉗子情報を設定する。鉗子情報は、鉗子の位置や向きの情報を含んでよい。
【0031】
情報設定部164は、被検体に穿孔される各種ポートの位置の情報を設定してよい。各種ポートには、例えば、鉗子が挿入される鉗子ポート、カメラが挿入されるカメラポートが含まれる。なお、カメラは、カメラポートから挿入されるので、動きの自由度は小さい。また、鉗子は、鉗子ポートから挿入されるので、動きの自由度は小さい。
【0032】
情報設定部164は、組織におけるターゲットを模して、組織に対応するモデルにおけるターゲットに関するターゲット情報を設定する。ターゲット情報は、ターゲットの位置や向きの情報を含んでよい。ターゲットは、任意の組織(例えば臓器)内もしくは組織近傍に設定される。ターゲット位置が定まると、ターゲットの向き(ターゲット向き)が定まる。ターゲット向きとは、変形におけるターゲットの向きの変化を求めるのに利用するパラメータであり、初期値は任意に設定できる。ターゲット位置は、組織内のターゲットの位置又は組織内のターゲット位置から最短距離にある組織の輪郭上の点における接線方向にできる。情報設定部164は、U120を介してターゲット位置を指定してよい。また、過去に被検体に対して処置されたターゲット(例えば患部)の位置がメモリ150に保持されていてもよい。情報設定部164は、メモリ150からターゲット位置を取得して設定してもよい。情報設定部164は、組織におけるターゲット位置に基づいてターゲット向きを算出して設定してよい。
【0033】
変形処理部162は、手術対象の被検体における変形に関する処理を行う。被検体内の臓器等の組織は、手術における術者の各種処置を模してユーザによって各種の変形操作がされ得る。変形操作は、臓器を持ち上げる操作、ひっくり返す操作、切る操作、等を含んでよい。これに対応して、変形処理部162は、変形に関する処理として、被検体内の臓器等の組織に対応するモデルを変形させてよい。例えば、臓器が鉗子(例えば把持鉗子、剥離鉗子、電気メス)により引っ張られたり押されたり、切断されたりし得るが、この様子をモデルの変形によりシミュレートしてよい。これらの変形は、例えば、臓器の内部や裏側に位置することで術者により視認不能又は視認困難であるターゲットを、術者の視点(カメラ位置に相当)から視認可能(撮像可能)にさせるために実施され得る。つまり、モデルの内部や裏側に位置することで術者により視認不能又は視認困難であるターゲットを、術者の視点から視認可能にさせるために実施され得る。例えば、変形により、術者の視点とターゲットとの間に障害物(例えば骨)が不在の状況にする。モデルが変形すると、モデルにおけるターゲットも変形し得る。
【0034】
変形操作による変形は、モデルに対して行われ、有限要素法を用いた大変形シミュレーションでよい。例えば、体位変換による臓器の移動をシミュレートしてよい。この場合、臓器や病変の接点に加わる弾性力や臓器や病変の剛性、その他の物理的な特性が加味されてよい。モデルに対する変形処理は、ボリュームデータに対する変形処理と比較すると、演算量が低減される。変形シミュレーションにおける要素数が低減されるためである。
【0035】
モデルの設定では、モデル化される臓器におけるどの部分が被検体における他の部分とつながっているか、臓器に接続される血管の根本部分(臓器への接続部分)は動き難い、血管の先端部分は動き易い、骨は動き難い、骨を避けて他の組織が移動する、等の情報が設定され得る。組織のどのあたりが動き易く動き難いかの情報は、例えば、個別に細かく設定されてもよいし、均一の動きやすさとして設定されてもよい。また、変形によって組織が曲がる方向は、1つであっても複数存在してもよい。変形処理部162は、例えば、カメラ位置から見て静脈の裏側にターゲットが存在する場合、ターゲットを視認可能にモデルを変形することが困難であり、鏡視下手術は困難であるという情報を提供できる。
【0036】
モデルは、ディスプレイ130に表示されてよい。変形処理部162は、UI120を介してモデルに対して変形操作の情報を取得することで、モデルを変形してもよい。この場合、モデルに対する変形操作量に応じて、モデルにおける各部の変形量が決定されてよい。変形操作の情報は、例えば鉗子によって臓器を押す情報を含んでよい。臓器を押す情報は、臓器を押す位置、臓器を押す力、臓器を押す方向、等の情報を含んでよい。臓器を押す力は、臓器の可動点を、臓器を押す方向に変形させる要因として作用する。
【0037】
変形処理部162は、ターゲットを含む臓器とターゲットを含まない臓器との位置関係に応じて、ターゲットを含む臓器のモデルの変形を制限してよい。例えば、臓器の周囲の一部において変形し難い骨が存在する場合、骨は変形しないものとして、骨が存在する方向にはこの臓器が変形しないように制限してもよい。モデルの変形の制限に関する制限情報(例えばモデルにおける変形が制限される位置の情報)は、モデルに関する情報として設定され、メモリ150に保持されていてもよい。
【0038】
なお、モデルの形状は、実際の組織と比較して不正確でよい。例えば、臓器の輪郭は不正確であってよい。また、モデルの変形具合は、実際の組織の変形と比較して不正確でよく、例えば、臓器の変形前後の輪郭や形状は不正確であってよい。例えば、肝臓の端部の輪郭が不正確であることで、胃の一部が肝臓に入り込んでもよい。モデルの変形が実際の変形と比較して多少誤差があっても、モデルに対応するボリュームデータの可視化においてターゲットを視認しやすくなれば足りるためである。
【0039】
変形処理部162は、モデルの変形前後におけるターゲット位置及びターゲット向きの変化を算出する。この場合、モデルの変形を加味して、変形前のターゲット位置及びターゲット向きに基づいて、変形後のターゲット位置及びターゲット向きを算出してよい。
【0040】
変形処理部162は、ボリュームデータを可視化するための仮想的なカメラ位置、カメラ向き、カメラ画角、及び撮像範囲を算出する。ここでのカメラ位置、カメラ向き、カメラ画角、及び撮像範囲は、実際に配置されるカメラを想定した情報ではなく、仮想的に導出された情報であるので、仮想カメラ位置(仮想視点)、仮想カメラ向き(仮想視線向き)、仮想カメラ画角(仮想視野角)、及び仮想撮像範囲(仮想視野)とも称する。ここでの仮想的なカメラ情報を仮想カメラ情報とも称する。
【0041】
変形処理部162は、例えば、実カメラ位置と、実カメラ向きと、変形された(変形後の)臓器におけるターゲット位置やターゲット向きに基づいて、ターゲットを可視化するための仮想カメラ位置と仮想カメラ向きとを算出する。この場合、ターゲットを含む変形後の臓器のターゲット向きと実カメラ向きとの成す角度A1(図3参照)を算出する。そして、変形されていない(変形前の)臓器のターゲット向きと仮想カメラ向きとの成す角度A2(図3参照)が、算出された角度A1と同じになるように、仮想カメラ位置を決定する。
【0042】
変形処理部162は、モデルの変形に応じて、鉗子の位置及び向きを変更してよい。この場合、実カメラ位置及び実カメラ向きから仮想カメラ位置及び仮想カメラ向きへの変更と同様の方法で、実鉗子位置及び実鉗子向きから仮想鉗子位置及び仮想鉗子向きへ変更してよい。例えば、実鉗子位置と、実鉗子向きと、変形後の臓器におけるターゲット位置やターゲット向きに基づいて、仮想鉗子位置と仮想鉗子向きとを算出してよい。この場合、ターゲットを含む変形後の臓器のターゲット向きと実鉗子向きとの成す角度を算出し、変形前の臓器のターゲット向きと仮想鉗子向きとの成す角度が、算出された角度と同じになるように、仮想鉗子位置を決定してよい。なお、実鉗子は、実際の手術の際の鉗子を想定したものでよい。仮想鉗子は、演算により仮想的に導出された鉗子でよい。
【0043】
また、変形処理部162は、変形に関する処理として、仮想的に被検体に対して気腹する気腹シミュレーションを行ってよい。気腹シミュレーションの具体的な方法は、公知の方法であってよく、例えば参考非特許文献1に記載された方法でよい。つまり、変形処理部162は、非気腹状態のボリュームデータを基に、気腹シミュレーションを行い、仮想気腹状態のボリュームデータを生成してよい。気腹シミュレーションにより、ユーザは、被検体に対して実際に気腹しなくても、被検体が気腹された状態を仮定し、仮想的に気腹された状態を観察できる。なお、気腹状態のうち、気腹シミュレーションにより推定される気腹の状態を仮想気腹状態と称し、実際の気腹された状態を実気腹状態と称してよい。
【0044】
(参考非特許文献1)Takayuki Kitasaka, Kensaku Mori, Yuichiro Hayashi, Yasuhito Suenaga, Makoto Hashizume, and Jun-ichiro Toriwaki, “Virtual Pneumoperitoneum for Generating Virtual Laparoscopic Views Based on Volumetric Deformation”, MICCAI (Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention), 2004, P559-P567
【0045】
気腹シミュレーションは、有限要素法を用いた大変形シミュレーションでよい。この場合、変形処理部162は、被検体の皮下脂肪を含む体表と、被検体の腹部内臓と、をセグメンテーションしてよい。そして、変形処理部162は、体表を皮膚と体脂肪との2層の有限要素にモデル化し、腹部内臓を有限要素にモデル化してよい。変形処理部162は、任意に、例えば肺と骨とをセグメンテーションし、モデルに追加してよい。また、体表と腹部内臓との間にガス領域を設け、仮想的なガス注入に応じてガス領域(気腹空間)が拡張(膨張)してよい。
【0046】
画像生成部165は、各種画像を生成する。画像生成部165は、取得されたボリュームデータの少なくとも一部(例えばボリュームデータにおいて抽出された領域)に基づいて、3次元画像や2次元画像を生成する。画像生成部165は、変形処理部162により変形されたボリュームデータ(例えば仮想気腹状態のボリュームデータ)に基づいて、3次元画像や2次元画像を生成してよい。この場合、画像生成部165は、仮想カメラ位置から仮想カメラ向きを見た状態を表現するよう、ボリュームデータを可視化(例えばレンダリング)して3次元画像や2次元画像を生成してよい。
【0047】
表示制御部166は、各種データ、情報、画像をディスプレイ130に表示させる。画像は、画像生成部165で生成された画像(例えばレンダリング画像)を含む。また、表示制御部166は、レンダリング画像の輝度調整を行ってよい。輝度調整は、例えばウインドウ幅(WW:Window Width)及びウインドウレベル(WL:Window Level)の少なくとも一方の調整を含んでよい。
【0048】
図3は、医用画像処理装置100による処理概要を説明する図である。
【0049】
まず、取得部110は、被検体のボリュームデータを取得する。領域処理部161は、必要に応じて被検体に含まれる臓器TLの領域を抽出する。モデル設定部163は、臓器TLの領域に基づいて、モデルMLを生成する。臓器TLには、ターゲットTGが含まれる(過程A参照、臓器TLはモデルMLと区別せず説明する)。このモデルMLは、変形前のモデルMLAである。モデルMLの変形前の状態では、モデルMLAに対応する臓器TLを実カメラ位置21Aから実カメラ向き22Aを見た様子として可視化した場合、ターゲットTGを視認することはできない。
【0050】
変形処理部162は、モデルMLAに対して変形シミュレーションを施し、変形後のモデルMLBを得る(過程B参照)。変形シミュレーションでは、変形情報が得られる。変形情報は、例えば、変形前後のモデルMLのボーンの変形を示すものでよい。そして、変形処理部162は、変形後のターゲット位置41B及びターゲット向き42Bを算出する。ターゲット向き42(42A,42B)とは、臓器のターゲット位置41(41A,41B)等における接線方向である。モデルMLの変形後の状態では、モデルMLBに対応する臓器を実カメラ位置21Aから実カメラ向き22Aを見た様子として可視化した場合、臓器TL下部のターゲットTGを視認可能である。
【0051】
情報設定部164は、実カメラ位置21A及び実カメラ向き22Aを含む実カメラ情報を取得する。変形処理部162は、変形後のターゲット位置41B及びターゲット向き42B並びに実カメラ位置21A及び実カメラ向き22Aに基づいて、変形後のターゲットと実カメラとの位置関係を導出する。変形処理部162は、変形後のターゲットと実カメラとの位置関係に基づいて、つまり変形後のターゲット位置41B及びターゲット向き42B並びに実カメラ位置21A及び実カメラ向き22Aに基づいて、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bを算出する(過程C参照))。つまり、変形処理部162は、変形前のモデルMLAにおいて、変形後のモデルMLBであればターゲットTGを視認可能であったはずの角度と距離になるように、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bを算出する。この角度とは、実カメラ向き22Aと変形後のターゲット向き42Bとの成す角度A1と、仮想カメラ向き22Bと変形前のターゲット向き42Aとの成す角度A2であり、同じ角度となる。画像生成部165は、変形前のボリュームデータに基づいて、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bを用いて可視化した画像を生成する。表示制御部166は、生成された画像をディスプレイ130に表示させる。つまり、変形前である元のボリュームデータを、仮想カメラ情報に基づいて可視化する。
【0052】
これにより、医用画像処理装置100は、実カメラと変形後のターゲットTGとの角度関係と、仮想カメラと変形前のターゲットTGとの角度関係とが維持された状態で、仮想カメラ位置21BからターゲットTGを含む臓器を視認可能である。よって、ユーザは、ターゲットTGを十分に観察可能である。よって、例えば臓器のボリュームデータを変形させてターゲットTGを視認可能にして可視化して観察する場合と比較すると、プロセッサ140の演算量やユーザの手間を低減できる。このようなターゲットTGへのアプローチを示す可視化でも、術中ナビゲーション及び術前シミュレーションでは十分である。
【0053】
図4は、モデルMLの生成例を示す図である。
【0054】
図4で示すモデルMLは、肝臓のボーン変形モデルである。肝臓10には、門脈12及び静脈14が含まれる。領域処理部161は、肝臓10の領域として、被検体から、肝臓10本体と門脈12と静脈14とを含む領域を区分して抽出する。肝臓10本体と門脈12及び静脈14とは繋がっている。門脈12及び静脈14は、肝臓10の外部において固定点として扱ってよい。この情報は例えば有限要素法を用いてボーンの変形を計算するときにおいて用いられる。なお、肝臓10本体と門脈12と静脈14とは、それぞれ別々の領域として抽出され、この3つの領域を合わせて肝臓10の領域とされてもよい。
【0055】
図5は、モデルMLの変形例を示す図である。変形処理部162は、例えばUI120を介して変形操作を受け、モデルMLを変形する。例えば、UI120を介して変形前のモデルMLAの部分を矢印αの方向(図5では左上方向)へ移動させる操作を受け、この移動の検出に応じて矢印αの方向へ変形し、変形後のモデルMLBを生成する。肝臓10Aは、変形前のモデルMLAに対応する変形前の肝臓を示す。肝臓10Bは、変形後のモデルMLBに対応する肝臓を示す。よって、変形前後において肝臓10の輪郭が変化している。なお、ここでは肝臓10のモデルMLの変形が行われ、肝臓10のボリュームデータの変形は行われないことで、変形に係る演算量を低減可能である。
【0056】
図6は、ターゲットTGと実カメラ位置21Aの位置関係の一例を示す模式図である。ここでは、鏡視下手術の一例として腹腔鏡手術を挙げるが、他の鏡視下手術であってもよい。なお、図6図10では、モデルMLの輪郭が、肝臓10の輪郭と一致していることを例示する。また、モデルMLは、ディスプレイ130に表示されても表示されなくてもよい。図6図10では、モデルMLは、肝臓10の臓器モデルであることを例示する。
【0057】
図6では、変形前のカメラ位置(実カメラ位置21A)及びカメラ向き(実カメラ向き22A)並びに鉗子30の位置及び向きが示されている。図6では、実カメラ位置21Aから見ると、変形前の肝臓10に対応するモデルMLAにおけるターゲットTGは、肝臓10における他箇所の裏側に隠れている。そのため、実カメラ位置21Aから実カメラ向き22Aを見ても、ターゲットTGを確認できない状態である。なお、実カメラ位置21A及び鉗子30の位置とは一致しておらず、異なっている。
【0058】
図7は、実カメラ位置21Aと臓器の変形例を示す模式図である。
【0059】
変形前のモデルMLAは、ターゲット位置41がカメラ位置21から視認可能となるように、つまりカメラ位置21とターゲット位置41との間に障害物が不在となるように、変形される。モデルMLの変形は、UI120を介した変形操作に応じて行われてよい。変形後のモデルMLBでは、ターゲット位置41Bが実カメラ位置21Aから視認可能となっており、つまり実カメラ位置21Aとターゲット位置41Bとの間に障害物が不在となっている。ここでの障害物とは、ターゲットTGを含む肝臓10における他の箇所であったり、他の組織(例えば骨)であったりしてよい。
【0060】
また、図7では、肝臓10に対応するモデルMLの変形に伴って、モデルMLに含まれるターゲットTGが変形され、つまりターゲット位置41やターゲット向き42が変化する。変形処理部162は、モデルMLの変形に係る変形情報に基づいて、ターゲットTGの変形前後における移動情報及び回転情報を算出してよい。例えば、ユーザによる手術の操作(例えば、臓器を引っ張る、臓器をひっくり返す、臓器をめくる、臓器の切除)が、演算における変形によるターゲットTGの移動や回転で示されてよい。つまり、手術操作による臓器の変形を、演算によって移動や回転の組み合わせによって疑似的に表現されてよい。モデルMLの変形情報やターゲットTGの移動情報や回転情報は、メモリ150に保持されてよい。
【0061】
図8は、仮想カメラ位置21Bの一例を示す模式図である。
【0062】
変形処理部162は、ターゲットTGの移動情報及び回転情報を取得する。そして、変形前のモデルMLに対してターゲットTGの移動情報及び回転情報の逆算結果を適用し、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bを算出する。つまり、変形処理部162は、実カメラ位置21A及び実カメラ向き22Aに対する変形後のターゲット位置41B及びターゲット向き42Bの角度と距離に関する関係と、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bに対する変形前のターゲット位置41A及びターゲット向き42Aの角度と距離に関する関係とが等しくなるように、即ち角度A1とA2とが等しくなるように、実カメラ位置21Aの位置及び実カメラ向き22Aを、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き23Bへ変更する。この場合、変形処理部162は、カメラ位置及びカメラ向きの変更と同様に、鉗子30の位置及び向きを変更してよい。つまり、実際の鉗子30(実鉗子30A)の位置及び向きを、仮想的な鉗子30(仮想鉗子30B)の位置及び向きに変更してよい。
【0063】
次に、医用画像処理装置100による画像の表示例について説明する。
【0064】
表示制御部166は、図9に示すように、例えば、ターゲットTGを含まない臓器(例えば骨)やターゲットTGを含む臓器の表面等を非表示とし、内部の血管を表示して、レンダリング画像を表示させてよい。これにより、医用画像処理装置100は、視点移動した仮想カメラ位置21Bから見た画像(例えば仮想内視鏡画像)の手前に障害物が存在することを抑制でき、観察対象であるターゲットTGやターゲットTG周辺の臓器を良好に観察し易くできる。
【0065】
また、画像生成部165は、ターゲットTGを含まない臓器(例えば骨や手術の障害になり得る別の臓器)を、ターゲットTGを含む臓器とは別途レンダリングしてよい。表示制御部166は、図10に示すように、別途レンダリングされたターゲットTGを含まない臓器の画像とターゲットTGを含む臓器の画像とを合成して表示させてよい。
【0066】
この場合、変形処理部162は、実カメラ位置21Aから仮想カメラ位置21Bの移動に伴って、別途レンダリングされたターゲットTGを含まない臓器を移動させてよい。例えば、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bを導出する際と同様に、モデルMLの変形前後におけるターゲットTGの移動情報及び回転情報を逆算して、ターゲットTGを含まない臓器の位置及び向きを算出してよい。この場合、移動前のターゲットTGを含まない臓器の位置及び向きに対する変形後のターゲット位置41B及びターゲット向き42Bの角度及び距離の関係と、移動後のターゲットTGを含まない臓器の位置及び向きに対する変形前のターゲット位置41A及びターゲット向き42Aの角度及び距離の関係と、が等しくなるように、移動前のターゲットTGを含まない臓器の位置及び向きを、移動後のターゲットTGを含まない臓器の位置及び向きへ変更してよい。図10では、骨15を骨15Bとなるように移動させて、肝臓10とは別にレンダリングした画像例を示している。
【0067】
図11は、医用画像処理装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、被検体(例えば患者)のボリュームデータを取得する(S11)。気腹シミュレーションを実行する(S12)。臓器を抽出する臓器セグメンテーション及び骨を抽出する骨セグメンテーションを実行する(S13)。ボリュームデータに基づいて、モデルMLを取得する(S14)。鉗子ポート、カメラポート、及びターゲット情報(例えばターゲット位置41及びターゲット向き42)を取得する(S15)。実鉗子の位置(実鉗子位置)及び向き(実鉗子向き)と実カメラの位置(実カメラ位置21A)及び向き(実カメラ向き22A)の情報を取得する(S16)。なお、S16では、実カメラ位置21A及び実カメラ向き22Aの情報の取得は、実撮像範囲(実視野)の取得であってもよい。
【0069】
鉗子30によってターゲットTGを含む臓器を押す情報を取得する(S17)。臓器を押す情報に基づいて、モデルMLを変形し、モデルMLの変形前後におけるターゲット位置41及びターゲット向き42の変化を算出する(S18)。ここでは、変形後のターゲット位置41B及びターゲット向き42Bが算出されてよい。ターゲット位置41及びターゲット向き42の変化、実鉗子位置及び実鉗子向き、並びに実カメラ位置21A及び実カメラ向き22Aに基づいて、移動後の仮想鉗子30Bの位置(仮想鉗子位置)及び向き(仮想鉗子向き)と仮想カメラの位置(仮想カメラ位置21B)及び向き(仮想カメラ向き22B)を算出する(S19)。仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bに基づいて、ボリュームデータを仮想カメラ位置21Bから仮想カメラ向き22Bを見てレンダリングした画像を生成する(S20)。なお、S19及びS20では、仮想カメラ位置21B及び仮想カメラ向き22Bの算出は、仮想撮像範囲(仮想視野)の算出であってもよく、仮想撮像範囲に基づいて、画像生成が行われてもよい。
【0070】
なお、処理部160は、S20におけるレンダリング後に、S16における実鉗子位置、実鉗子向き、実カメラ位置、及び実カメラ向きを、UI120を介して入力し、S17以降の処理を行ってもよい。つまり、S16~S20の処理を反復してもよい。これにより、医用画像処理装置100は、ユーザが鉗子30やカメラを自由に動かして操作しても、操作された鉗子30やカメラの位置や向きを反映しながら、ターゲットTGを見やすい状態でレンダリングして可視化できる。
【0071】
なお、処理部160は、S20におけるレンダリング後に、S17における臓器を押す情報を、UI120を介して入力し、S18以降の処理を行ってもよい。つまり、S17~S20の処理を反復してもよい。これにより、医用画像処理装置100は、例えばユーザが鉗子30を動かして臓器の押し方(例えば臓器を押す位置、押す力、押す方向)を変更しても、操作された鉗子30やカメラの位置や向きを反映しながら、ターゲットTGを見やすい状態でレンダリングして可視化できる。
【0072】
なお、S13における臓器セグメンテーション及び骨セグメンテーションの精度は、高精度でなくてもよい。例えば臓器や骨の輪郭に多少の誤差があっても、臓器におけるターゲットTGの様子を視認し易くなれば足りるためである。
【0073】
図11の処理によれば、医用画像処理装置100は、画素数の大きなボリュームデータの変形を行わずに、モデルMLの変形を行うことで、変形に係る演算量を低減できる。また、モデルMLの変形により臓器を変形してターゲットTGを視認可能な状態を、可視化対象のボリュームデータを変形せずに手軽に再現できる。よって、ユーザは、実カメラ位置からターゲットTGに対してアプローチ可能か否か、アプローチの途中に障害物があるか否か、鉗子30によるアプローチが可能な角度であるか否かを、等を確認できる。また、医用画像処理装置100は、モデルMLを変形してもターゲットTGを視認できない場合には、鏡視下手術ではなく開腹手術を行うことを推奨できる。つまり、鏡視下手術可能か開腹手術が必要かの判断材料を提供できる。
【0074】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、術前シミュレーション及び術中ナビゲーションが行われる鏡視下手術は、腹腔鏡手術、関節鏡手術、気管支鏡手術、大腸鏡手術、又はその他の鏡視下手術であってもよい。また、鏡視下手術は、術者が鉗子を直接操作して行う手術であっても、手術ロボットを用いたロボット手術であってもよい。
【0076】
また、組織の変形は、組織の切除を含んでよい。ここでの切除による変形は、モデルMLに対して実施されるが、ボリュームデータに対しても適用されてよい。切除に係る演算量は、ボリュームデータを用いても膨大ではないためである。具体的には、変形処理部162は、例えばUI120を介して切除操作を取得すると、切除操作に応じて、ボリュームデータを切除することで変形してよい。また、領域処理部161が、ボリュームデータにおいて切除される箇所を表示対象外となる非マスク領域に設定し、表示制御部166が、非マスク領域に含まれるボリュームデータの一部を非表示にさせてもよい。
【0077】
また、組織の変形は、ボリュームデータに対して等間隔に配置された格子点を動かすことによって表現しても良い。この場合、ターゲットの向きの変化は、格子点間に張られる線分の向きの変化によって表現できる。例えば参考特許文献1にこの実施方法が記載されている。
(参考特許文献1:米国特許第8311300号明細書)
【0078】
また、視点の移動に関して、変形前後において、ターゲットTGに対してカメラ位置(視点)を移動可能にする一方、ターゲットTGとカメラ位置との距離を一定に保たずに距離が変化してもよい。例えば、ターゲットTGを含む臓器を仮想内視鏡画像(透視投影画像)によって可視化する場合、仮想内視鏡画像において視点とターゲットTGとの距離が維持されても維持されなくてもよい。なお、平行投影の場合、ターゲットTGと視点との距離を観念困難である。距離を維持しない場合、例えば、実カメラ位置とターゲットTGとの距離とは異なるズームインやズームアウトを表現できる。
【0079】
また、変形処理部162は、ターゲットTGに対する実カメラ位置及び実カメラ向きの仮想カメラ位置及び仮想カメラ向きへの移動後に、UI120を介して仮想カメラ位置及び仮想カメラ向きの少なくとも一方を更に変更してもよい。これにより、医用画像処理装置100は、実カメラ位置と変形後のモデルMLにおけるターゲットTGとの位置関係に基づく自動の視点移動に加えて、手動による視点移動も追加実施できる。よって、例えば、自動の視点移動の結果を手動の視点移動で微調整して、手動で移動された視点を基準として生成された画像を確認することで、ターゲットTGの様子を更に見易くすることができる。
【0080】
また、処理部160は、ターゲットTGが実カメラ位置から視認困難又は視認不可能である場合に実カメラ位置から仮想カメラ位置へ移動させてターゲットTG周辺を可視化することを例示したが、これに限らない。例えば、処理部160は、ターゲットTGが実カメラ位置から視認可能であるが、ターゲットTGの様子をより見やすい仮想カメラ位置へ移動させ、仮想カメラ位置から見たターゲットTG周辺の様子を可視化してもよい。これにより、医用画像処理装置100は、ターゲットTGを視認可能な場合でも、ターゲットTGの様子を一層観察し易くできる。
【0081】
上記実施形態の適用対象の臓器として肝臓を主に例示したが、他の臓器であってもよい。例えば、肺、胃、腸、膵臓、その他の臓器であってもよい。
【0082】
また、医用画像処理装置100は、少なくともプロセッサ140及びメモリ150を備えていればよい。取得部110、UI120、及びディスプレイ130は、医用画像処理装置100に対して外付けであってもよい。
【0083】
また、撮像されたCT画像としてのボリュームデータは、CT装置200から医用画像処理装置100へ送信されることを例示した。この代わりに、ボリュームデータが一旦蓄積されるように、ネットワーク上のサーバ(例えば画像データサーバ(PACS)(不図示))等へ送信され、保管されてもよい。この場合、必要時に医用画像処理装置100の取得部110が、ボリュームデータを、有線回線又は無線回線を介してサーバ等から取得してもよいし、任意の記憶媒体(不図示)を介して取得してもよい。
【0084】
また、撮像されたCT画像としてのボリュームデータは、CT装置200から医用画像処理装置100へ取得部110を経由して送信されることを例示した。これは、実質的にCT装置200と医用画像処理装置100とを併せて一製品として成立している場合も含まれるものとする。また、医用画像処理装置100がCT装置200のコンソールとして扱われている場合も含む。
【0085】
また、CT装置200により画像を撮像し、被検体内部の情報を含むボリュームデータを生成することを例示したが、他の装置により画像を撮像し、ボリュームデータを生成してもよい。他の装置は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、血管造影装置(Angiography装置)、又はその他のモダリティ装置を含む。また、PET装置は、他のモダリティ装置と組み合わせて用いられてもよい。
【0086】
また、医用画像処理装置100における動作が規定された医用画像処理方法として表現可能である。また、コンピュータに医用画像処理方法の各ステップを実行させるためのプログラムとして表現可能である。
【0087】
(上記実施形態の概要)
上記実施形態の一態様は、鏡視下手術を支援する医用画像処理装置100(鏡視下手術支援装置の一例)であって、取得部110と、処理部160と、を備える。取得部110は、被検体のボリュームデータを取得する機能を有する。処理部160は、ボリュームデータに含まれる組織を表現するモデルMLを設定する。処理部160は、ボリュームデータを可視化するための実視野(第1の視野の一例)と、モデルMLにおけるターゲットTGの位置と、を設定する。処理部160は、モデルMLを変形させるための変形操作の情報(第1の操作情報の一例)を取得する。処理部160は、変形操作の情報に基づいて、モデルMLの変形前後におけるターゲットTGの位置と向きの変化を算出してよい。処理部160は、算出されたターゲットTGの位置及び向きの変化を用いて、実視野に対する変化後のターゲットTGの位置及び向きと仮想視野(第2の視野の一例)に対する変化前のターゲットTGの位置及び向きとが同等になるように、仮想視野を算出してよい。処理部160は、仮想視野に基づいて、ボリュームデータを可視化してよい。
【0088】
これにより、医用画像処理装置100は、組織の変形を行わずに、変形後のターゲットTGと実カメラとの位置関係が、変形前のターゲットTGと仮想カメラとの位置関係と同様になるように、仮想視野を求め、仮想視野を基準としたボリュームデータの可視化を提供できる。よって、例えば、実視野から実視線向きを見ると臓器の裏側にターゲットが位置する場合でも、臓器の変形をして可視化するのではなく、視野を変更して変形していない臓器を可視化することで、臓器を変形して可視化することと同様の状態を表現できる。また、ボリュームデータの変形を行わないので、演算量を低減できる。さらに、ボリュームデータの各ボクセルに適切に剛性を設定し、臓器の境界における滑り、体液の流れ、空気を考慮する必要が無くなる。さらに、手術過程を想定して臓器を少しずつ繰り返し変形させる場合、変形処理に係るボリュームデータの整合性を維持する必要も無くなる。したがって、ボリュームデータと関心領域に対する手動による微調整も不要となる。したがって、例えば、鏡視下手術において術者が鉗子30を用いて臓器を操作するようなシミュレーションをリアルタイムに行うことができる。特に、臓器境界が破綻していないことが保証される。
【0089】
また、可視化される臓器は変形されないので、臓器の変形により複数の臓器間が仮想空間上で重なることはない。また、可視化される臓器は変形されないので、例えば各臓器のセグメンテーションが正しくない場合でも、肝臓の輪郭に接続している血管と接続していない血管とを明瞭に可視化でき、サーフィスレンダリングの精度が低下することを抑制できる。このように、被検体における観察対象の可視化を改善できる。
【0090】
また、処理部160は、被検体におけるターゲットTGを含む組織を区分し、区分された組織に基づいてモデルMLに設定してよい。これにより、医用画像処理装置100は、ターゲットTGを含む組織のみ、モデルMLを用いて、仮想視野から見たボリュームデータを可視化でき、ターゲットTGを含む組織を観察しやすくできる。この場合でも、医用画像処理装置100は、可視化される臓器が変形されないので、変形する臓器と変形しない臓器とが混在することはなく、臓器の変形により複数の臓器間が仮想空間上で重なることを防止できる。また、ターゲットTGとの関連の深い臓器に対応するモデルに対する変形操作がし易くなる。
【0091】
また、処理部160は、組織の輪郭を示す情報をディスプレイ130(表示部の一例)に表示させてよい。そして、モデルMLの変形に応じて、輪郭を変形させて輪郭を示す情報を表示させてよい。輪郭のはっきりしない臓器も存在するが、医用画像処理装置100は、輪郭を示す情報を表示することで、組織がどのような形状を有するかを明確にできる。なお、変形操作のためのモデルMLもディスプレイ130に表示されてもよい。輪郭は、ポリゴンによって生成されてよい。
【0092】
また、処理部160は、仮想視野に基づくボリュームデータの可視化において、被検体の骨を非表示にさせてよい。これにより、医用画像処理装置100は、ターゲットを含む臓器と直接の関係ない情報を表示対象から除外し、ターゲットを見易くできる。
【0093】
また、処理部160は、仮想視野に基づくボリュームデータの可視化において、実視野に基づいてボリュームデータを可視化する場合に可視化される画像に含まれる被検体の骨を、表示させてよい。これにより、医用画像処理装置100は、ターゲットTG及びその周辺の骨を可視化でき、術者による鏡視下手術をサポートできる。なお、処理部160は、骨の抽出を行わずに骨を可視化してもよい。例えば、骨のCT値は他の組織と比較して大きいので、CT値が閾値以上のボクセルを可視化することで、骨を可視化できる。
【0094】
また、処理部160は、ボリュームデータとともに、被検体の内部においてターゲットTGに向かって挿入された鉗子30を表示させてよい。これにより、医用画像処理装置100は、ターゲットTGとターゲットTGに対する各種措置を行うための鉗子30との位置関係を可視化でき、術者による鏡視下手術をサポートできる。
【0095】
また、処理部160は、モデルの変形前におけるターゲット位置41Aと仮想視野に対応する仮想視点との距離を操作するための変形操作の情報(第2の操作情報の一例)を取得してよい。そして、この変形操作の情報に基づいて、ボリュームデータを可視化してよい。これにより、医用画像処理装置100は、手動で視点の移動を行うことで、仮想視点を調整でき、術者の所望する仮想視点からの距離や角度でターゲットTGを可視化できる。よって、従者の所望するターゲットTGを含む画像を得やすくできる。
【0096】
上記実施形態の一態様は、被検体のボリュームデータを取得するステップと、ボリュームデータに含まれる組織を表現するモデルを設定するステップと、ボリュームデータを可視化するための第1の視野と、モデルにおけるターゲットの位置と、を設定するステップと、モデルを変形させるための第1の操作情報を取得するステップと、第1の操作情報に基づいて、モデルの変形前後におけるターゲットの位置と向きの変化を算出するステップと、算出されたターゲットの位置及び向きの変化を用いて、第1の視野に対する変化後のターゲットの位置及び向きと第2の視野に対する変化前のターゲットの位置及び向きとが同等になるように、第2の視野を算出するステップと、第2の視野に基づいて、ボリュームデータを可視化するステップと、を有する鏡視下手術支援方法、である。
【0097】
本実施形態の一態様は、上記の鏡視下手術支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本開示は、被検体における観察対象の可視化を改善できる鏡視下手術支援装置、鏡視下手術支援方法、及びプログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0099】
10,10A,10B 肝臓
12 門脈
14 静脈
15,15B 骨
21 カメラ位置
21A 実カメラ位置
21B 仮想カメラ位置
22 カメラ向き
22A 実カメラ向き
22B 仮想カメラ向き
30 鉗子
30A 実鉗子
30B 仮想鉗子
41,41A,41B ターゲット位置
42,42A,42B ターゲット向き
100 医用画像処理装置
110 取得部
120 UI
130 ディスプレイ
140 プロセッサ
150 メモリ
160 処理部
161 領域処理部
162 変形処理部
163 モデル設定部
164 情報設定部
165 画像生成部
166 表示制御部
200 CT装置
ML,MLA,MLB モデル
TG ターゲット
図1
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