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特許7444571部品実装装置の吸着位置補正方法および部品実装装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】部品実装装置の吸着位置補正方法および部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240228BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/08 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019173099
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021052058
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】牧野 真幸
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-101294(JP,A)
【文献】特開2003-078293(JP,A)
【文献】特開2017-045805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って並置され、部品を供給する複数の部品供給部と、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を吸着する複数の吸着ノズルとを備え、前記複数の吸着ノズルそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品を、被実装基板における所定の実装位置に実装する部品実装装置の吸着位置補正方法であって、
前記部品実装装置は、後記吸着開口の位置の変化量を補正データとして記憶する記憶部をさらに備え、
前記複数の吸着ノズルそれぞれは、所定の回転軸に対し回転可能であって、負圧が生じる吸着開口を前記回転軸の位置から外れた開口位置に持ち、
前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を前記複数の吸着ノズルそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルの現実位置と、当該吸着ノズルに対応する部品供給部の正規位置との間に生じた置ずれ量を求める位置ずれ量決定工程と、
前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルにおいて、前記位置ずれ量決定工程で求められた位置ずれ量を前記記憶部に記憶した前記補正データを用いて補正して前記部品実装装置が設計通りになるように、当該吸着ノズルを回転する補正工程とを備え、
前記正規位置は、仕様に応じて予め設定される設計位置である、
部品実装装置の吸着位置補正方法。
【請求項2】
前記置ずれ量は、前記複数の部品供給部を並置する際に生じた位置ずれ量を含む、
請求項1に記載の部品実装装置の吸着位置補正方法。
【請求項3】
前記置ずれ量は、前記複数の吸着ノズルを取り付ける際に生じた位置ずれ量を含む、
請求項1または請求項2に記載の部品実装装置の吸着位置補正方法。
【請求項4】
前記部品実装装置は、前記複数の部品供給部を並置して搭載する台車をさらに備え、
前記置ずれ量は、前記台車を取り付ける際に生じた位置ずれ量を含む、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の部品実装装置の吸着位置補正方法。
【請求項5】
前記複数の部品供給部それぞれは、前記一方向に直交する搬送方向に前記部品を搬送することによって前記部品を供給し、
前記複数の吸着ノズルは、前記部品を吸着する際に、前記一方向に沿って並置されるように配置され、
前記位置ずれ量は、前記一方向に沿った長さであり、
前記位置ずれ量決定工程は、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルにおいて、前記求められた位置ずれ量を補正するように、当該吸着ノズルを回転することによって、当該吸着ノズルと、当該吸着ノズルに対応する部品供給部との間に前記搬送方向に沿って生じる正規位置からの第2位置ずれ量をさらに求め、
前記補正工程は、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、前記位置ずれ量決定工程で求められた第2位置ずれ量を補正して前記部品実装装置が設計通りになるように、当該吸着ノズルに対応する部品供給部における前記部品の搬送をさらに制御する、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の部品実装装置の吸着位置補正方法。
【請求項6】
一方向に沿って並置され、部品を供給する複数の部品供給部と、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を吸着する複数の吸着ノズルとを備え、前記複数の吸着ノズルそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品を、被実装基板における所定の実装位置に実装する部品実装装置であって、
前記複数の吸着ノズルそれぞれは、所定の回転軸に対し回転可能であって、負圧が生じる吸着開口を前記回転軸の位置から外れた開口位置に持ち、
前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を前記複数の吸着ノズルそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルの現実位置と、当該吸着ノズルに対応する部品供給部の正規位置との間に生じた置ずれ量を求める位置ずれ量決定部と、
前記吸着開口の位置の変化量を補正データとして記憶する記憶部と、
前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルにおいて、前記位置ずれ量決定部で求められた位置ずれ量を前記記憶部に記憶した前記補正データを用いて補正して当該部品実装装置が設計通りになるように、当該吸着ノズルを回転する補正部とをさらに備え、
前記正規位置は、仕様に応じて予め設定される設計位置である、
部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズルによって吸着した部品を、所定の位置で、被実装基板に実装する部品実装装置において、前記吸着ノズルの吸着位置を補正する部品実装装置の吸着位置補正方法および前記部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、吸着ノズルによって吸着した、例えば集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗素子等の部品を、所定の位置で、例えばプリント基板等の被実装基板に実装する部品実装装置が知られている。このような部品実装装置では、例えば吸着不良や実装位置不良等を回避するために、例えば部品の中心位置等の、部品における所定の位置に、吸着ノズルの位置を合わせることが望まれる。このため、部品実装装置において、部品における所定の位置と、吸着ノズルの位置とに、ずれが生じている場合に、前記ずれを解消するように吸着位置を補正する技術が望まれる。このような技術として、例えば、特許文献1に開示された部品実装装置における吸着位置補正方法が提案されている。
【0003】
この特許文献1に開示された部品実装装置における吸着位置補正方法は、昇降及び回転が可能な吸着ノズルを有し、この吸着ノズルにより部品供給部から吸着した部品を被実装基板上に搬送して、被実装基板の所定位置に実装する実装用ヘッドを備えるとともに、上記吸着ノズルによる部品吸着後に上記吸着ノズルを所定の認識用高さにした状態で、吸着ノズルに吸着された部品の認識を行なう認識手段を備えた部品実装装置における吸着位置補正方法であって、上記吸着ノズルが上記認識用高さにあるときと部品吸着高さまで下降したときとでの吸着ノズル先端の水平方向の位置変化量であるノズル先端位置変化量を検出するノズル先端位置変化量検出工程と、部品吸着時に上記ノズル先端位置変化量に応じた補正量を含む吸着位置補正量により部品吸着位置を補正する補正制御工程とを有する。前記特許文献1の[0051]段落に記載されているように、例えば吸着ノズルが取り付けられるノズルシャフトがZ軸方向に対して傾いている場合に、吸着ノズルの降下によって吸着ノズルの位置がずれ、また、吸着ノズルの回転によって吸着ノズルの位置がずれる。前記特許文献1に開示された部品実装装置における吸着位置補正方法は、上記構成により、これらのずれを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-164276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部品を供給する複数の部品供給装置を備える部品実装装置において、部品供給装置を部品実装装置に配置する際に、部品供給装置が設計通りに理想的に配置されれば良いが、実際には、配置の際に、複数の部品供給装置の並列方向(X方向)に、誤差が生じてしまう。このため、通常、部品実装装置は、この誤差を補正する並列方向の補正値(X方向のオフセット量)を持ち、吸着ノズルで部品供給装置から部品を吸着する場合に、この補正値だけ吸着位置をずらして部品を吸着している。ところで、複数の吸着ノズルそれぞれで複数の部品を略同時に吸着する場合、1つの前記補正値で複数の吸着ノズルをずらして複数の部品を略同時に吸着すると、通常、複数の部品供給装置それぞれで各誤差が異なるため、複数の吸着ノズルそれぞれは、複数の部品それぞれを適正な各吸着位置で吸着することが難しい。
【0006】
一方、部品供給装置が設計値通りに配置されている場合でも、吸着ノズルを部品実装装置に取り付けるノズルシャフト(ヘッドシャフト)の配置の際に生じるノズルシャフトの誤差により、複数の吸着ノズルそれぞれで複数の部品を略同時に吸着する場合、上述と同様に、複数の吸着ノズルそれぞれは、複数の部品それぞれを適正な各吸着位置で吸着することが難しい。
【0007】
前記特許文献1に開示された部品実装装置における吸着位置補正方法は、吸着ノズルの降下によって生じる吸着ノズルの位置ずれや、吸着ノズルの回転によって生じる吸着ノズルの位置ずれ量を補正する技術であるため、複数の吸着ノズルそれぞれで複数の部品を同時に吸着する場合に生じる上述のずれの位置ずれ量を補正することが難しい。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、複数の吸着ノズルそれぞれで複数の部品を略同時に吸着する場合に、適正な各吸着位置で吸着できるように各吸着位置を補正できる部品実装装置の吸着位置補正方法および部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる部品実装装置の吸着位置補正方法は、一方向に沿って並置され、部品を供給する複数の部品供給部と、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を吸着する複数の吸着ノズルとを備え、前記複数の吸着ノズルそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品を、被実装基板における所定の実装位置に実装する部品実装装置の吸着位置補正方法であって、前記部品実装装置は、後記吸着開口の位置の変化量を補正データとして記憶する記憶部をさらに備え、前記複数の吸着ノズルそれぞれは、所定の回転軸に対し回転可能であって、負圧が生じる吸着開口を前記回転軸の位置から外れた開口位置に持ち、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を前記複数の吸着ノズルそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルの現実位置と、当該吸着ノズルに対応する部品供給部の正規位置との間に生じた置ずれ量を求める位置ずれ量決定工程と、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルにおいて、前記位置ずれ量決定工程で求められた位置ずれ量を前記記憶部に記憶した前記補正データを用いて補正して前記部品実装装置が設計通りになるように、当該吸着ノズルを回転する補正工程とを備え、前記正規位置は、仕様に応じて予め設定される設計位置である。
【0010】
このような部品実装装置の吸着位置補正方法は、複数の吸着ノズルそれぞれが吸着開口を回転軸の位置から外れた開口位置に持つ。このため、上記部品実装装置の吸着位置補正方法は、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルを回転することで、当該吸着ノズルに応じた位置ずれ量を補正できるから、適正な各吸着位置で吸着できるように各吸着位置を補正できる。
【0011】
他の一態様では、上述の部品実装装置の吸着位置補正方法において、前記置ずれ量は、前記複数の部品供給部を並置する際に生じた位置ずれ量を含む。
【0012】
このような部品実装装置の吸着位置補正方法は、複数の部品供給部を並置する際に生じた位置ずれ量を補正できる。
【0013】
他の一態様では、これら上述の部品実装装置の吸着位置補正方法において、前記置ずれ量は、前記複数の吸着ノズルを取り付ける際に生じた位置ずれ量を含む。
【0014】
このような部品実装装置の吸着位置補正方法は、複数の吸着ノズルを取り付ける際に生じた位置ずれ量を補正できる。
【0015】
他の一態様では、これら上述の部品実装装置の吸着位置補正方法において、前記部品実装装置は、前記複数の部品供給部を並置して搭載する台車をさらに備え、前記置ずれ量は、前記台車を取り付ける際に生じた位置ずれ量を含む。
【0016】
このような部品実装装置の吸着位置補正方法は、台車を取り付ける際に生じた位置ずれ量を補正できる。
【0017】
他の一態様では、これら上述の部品実装装置の吸着位置補正方法において、前記複数の部品供給部それぞれは、前記一方向に直交する搬送方向に前記部品を搬送することによって前記部品を供給し、前記複数の吸着ノズルは、前記部品を吸着する際に、前記一方向に沿って並置されるように配置され、前記位置ずれ量は、前記一方向に沿った長さであり、前記位置ずれ量決定工程は、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルにおいて、前記求められた位置ずれ量を補正するように、当該吸着ノズルを回転することによって、当該吸着ノズルと、当該吸着ノズルに対応する部品供給部との間に前記搬送方向に沿って生じる正規位置からの第2位置ずれ量をさらに求め、前記補正工程は、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、前記位置ずれ量決定工程で求められた第2位置ずれ量を補正して前記部品実装装置が設計通りになるように、当該吸着ノズルに対応する部品供給部における前記部品の搬送をさらに制御する。
【0018】
吸着ノズルが吸着開口を回転軸の位置から外れた開口位置に持つので、一方向に沿った位置ずれ量を補正するように、吸着ノズルが回転されると、搬送方向に沿って正規位置からの第2位置ずれ量でずれが生じる。この第2位置ずれ量が、例えば吸着不良や実装位置不良等の観点から無視できる長さであれば補正の必要が無いが、上記部品実装装置の吸着位置補正方法は、この第2位置ずれ量を補正できるので、例えば吸着不良や実装位置不良等をより適切に回避できる。
【0019】
本発明の他の一態様にかかる部品実装装置は、一方向に沿って並置され、部品を供給する複数の部品供給部と、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を吸着する複数の吸着ノズルとを備え、前記複数の吸着ノズルそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品を、被実装基板における所定の実装位置に実装する部品実装装置であって、前記複数の吸着ノズルそれぞれは、所定の回転軸に対し回転可能であって、負圧が生じる吸着開口を前記回転軸の位置から外れた開口位置に持ち、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を前記複数の吸着ノズルそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルの現実位置と、当該吸着ノズルに対応する部品供給部の正規位置との間に生じた置ずれ量を求める位置ずれ量決定部と、前記吸着開口の位置の変化量を補正データとして記憶する記憶部と、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルにおいて、前記位置ずれ量決定部で求められた位置ずれ量を前記記憶部に記憶した前記補正データを用いて補正して当該部品実装装置が設計通りになるように、当該吸着ノズルを回転する補正部とをさらに備え、前記正規位置は、仕様に応じて予め設定される設計位置である。
【0020】
このような部品実装装置は、複数の吸着ノズルそれぞれが吸着開口を回転軸の位置から外れた開口位置に持つ。このため、上記部品実装装置は、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルを回転することで、当該吸着ノズルに応じた位置ずれ量を補正できるから、適正な各吸着位置で吸着できるように各吸着位置を補正できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる部品実装装置の吸着位置補正方法および部品実装装置は、複数の吸着ノズルそれぞれで複数の部品を略同時に吸着する場合に、適正な各吸着位置で吸着できるように各吸着位置を補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態における部品実装装置の概略構成を示す平面図である。
図2】前記部品実装装置の部分正面図である。
図3】前記部品実装装置に用いられる吸着ノズルを説明するための図である。
図4】前記部品実装装置に用いられる部品供給ユニットの概略構成を示す全体斜視図である。
図5】テープフィーダの装着状況を見えるようにした前記部品供給ユニットの斜視図である。
図6】前記部品実装装置に用いられるテープフィーダの概略構成を示す斜視図である。
図7】前記部品実装装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図8】前記部品実装装置に記憶される、吸着ノズルの回転に伴う吸着開口位置の変化量を説明するための図である。
図9】吸着位置補正に関し、前記部品実装装置の動作を示すフローチャートである。
図10】第1態様にかかる吸着位置補正を説明するための図である。
図11】第2態様にかかる吸着位置補正を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0024】
実施形態における部品実装装置は、一方向に沿って並置され、部品を供給する複数の部品供給部と、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を吸着する複数の吸着ノズルとを備え、前記複数の吸着ノズルそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品を、被実装基板における所定の実装位置に実装する装置である。本実施形態では、前記複数の吸着ノズルそれぞれは、所定の回転軸に対し回転可能であって、負圧が生じる吸着開口を前記回転軸の位置から外れた開口位置に持つ。そして、前記部品実装装置は、前記複数の部品供給部それぞれから前記部品を前記複数の吸着ノズルそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルと、当該吸着ノズルに対応する部品供給部との間に生じた正規位置からの位置ずれ量を求める位置ずれ量決定部と、前記複数の吸着ノズルそれぞれについて、当該吸着ノズルにおいて、前記位置ずれ量決定部で求められた位置ずれ量を補正するように、当該吸着ノズルを回転する補正部とをさらに備える。このような部品実装装置について、以下、より具体的に説明する。そして、前記の部品実装装置の動作を説明することで、部品実装装置の吸着位置補正方法が説明される。
【0025】
図1は、実施形態における部品実装装置の概略構成を示す平面図である。図2は、前記部品実装装置の部分正面図である。図3は、前記部品実装装置に用いられる吸着ノズルを説明するための図である。図3Aおよび図3Bは、実施形態における部品実装装置に用いられる実装用ヘッド15を示し、図3Aは、その側面図であり、図3Bは、図3Aに示す実装用ヘッド15を、吸着開口側から見た平面図である。図3Cおよび図3Dは、比較例の実装用ヘッド115を示し、図3Cは、その側面図であり、図3Dは、図3Cに示す実装用ヘッド115を、吸着開口側から見た平面図である。図4は、前記部品実装装置に用いられる部品供給ユニットの概略構成を示す全体斜視図である。図5は、テープフィーダの装着状況を見えるようにした前記部品供給ユニットの斜視図である。図6は、前記部品実装装置に用いられるテープフィーダの概略構成を示す斜視図である。図7は、前記部品実装装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0026】
図1およびその他の図面には、方向関係の明確化のために、XYZ直角座標軸が示されている。なお、X方向は、例えば水平面と平行な方向であり、Y方向は、前記水平面上でX方向と直交する方向であり、Z方向は、X方向及びY方向にそれぞれ直交する方向(垂直方向、前記水平面の法線方向)である。
【0027】
実施形態における部品実装装置Dは、主に、例えば図1ないし図7に示すように、各部機構の作動によって、例えば集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗素子等の部品PZを、所定の実装位置MPで、例えばプリント基板等の被実装基板Kに実装する本体機構部1と、例えば図7に示すように、その作動を制御する制御処理部61と、表示を行う表示部71と、例えばプログラムやデータ等の所定の情報を記憶する記憶部81とを備える。なお、図1に示す実装位置MPは、一例であって、これに限定されるものではなく、被実装基板Kや部品PZに応じて適宜に設定される。
【0028】
本体機構部1は、基台2等からなる実装機本体と、この実装機本体に対して移動可能なヘッドユニット3とを有している。基台2上には、基板搬送用のコンベヤ4が配置され、コンベヤ4は、上部に載置された被実装基板Kを搬送して所定の装着作業位置(図1に示された位置)で停止させるようになっている。コンベヤ4の両側には、それぞれ、X方向に沿って並置された2個の部品供給ユニット5が装着され配置されている。したがって、図1に示す例では、本体機構部1は、合計4個の部品供給ユニット5を備えている。これら各部品供給ユニット5には、X方向に沿って並置され、部品を供給する複数のテープフィーダ5aが設けられている。なお、X方向は、一方向の一例に相当し、テープフィーダ5aは、部品を供給する部品供給部の一例に相当する。これら部品供給ユニット5およびテープフィーダ5aについて、さらに、後述で説明する。
【0029】
ヘッドユニット3は、基台2の上方に配置されているとともに部品供給ユニット5と被実装基板Kが配置される装着作業位置とにわたって移動可能とされている。より具体的には、ヘッドユニット3は、被実装基板Kの表面と略平行する平面上で互いに直交するX軸(X方向)およびY軸(Y方向)に沿って移動可能とされている。
【0030】
すなわち、基台2上には、Y方向に沿って延びる固定レール7と、Y軸サーボモータ8により駆動されるボールねじ軸9とが配設されている。固定レール7上には、ヘッドユニット3を支持する支持部材10が配置され、この支持部材10に設けられたナット部10aがボールねじ軸9に螺合している。支持部材10には、X方向に沿って延びるガイド部材11と、X軸サーボモータ12により駆動されるボールねじ軸13とが配設され、ガイド部材11にヘッドユニット3が移動可能に保持され、ヘッドユニット3に設けられたナット部(不図示)がボールねじ軸13に螺合している。このような構成によって、Y軸サーボモータ8の駆動により支持部材10がY方向に移動し、X軸サーボモータ12の駆動によりヘッドユニット3が支持部材10に対してX方向に移動する。これにより、ヘッドユニット3のX軸およびY軸に沿った移動が実現されている。
【0031】
ヘッドユニット3には、実装用ヘッド15が設けられ、図1および図2に示す例では、6個の実装用ヘッド15がX方向に沿って一列に並んで設けられている。なお、実装用ヘッド15の個数は、6個に限定されるものではなく、複数であれば、任意であって良く、例えば部品実装装置の仕様に応じて適宜に決定される。各実装用ヘッド15は、上下方向(Z方向)に延びる中空のヘッドシャフト15aと、このヘッドシャフト15aの先端(下端)に着脱可能に取り付けられた吸着ノズル15bとを備え、図外の負圧供給手段からヘッドシャフト15aを通して吸着ノズル15bに供給される負圧により、吸着ノズル15bの先端(下端)に開口形成された吸着開口NPで負圧が生じ、部品を吸着し得るようになっている。なお、吸着ノズル15bとしては、サイズや形状等が異なる複数の種類が用意され、吸着する部品の種類等に応じて選択された吸着ノズル15bがヘッドシャフト15aの先端に取り付けられる。
【0032】
ヘッドユニット3には、実装用ヘッド15を上下方向(Z方向)に移動させる昇降機構と、実装用ヘッド15を軸回り(R軸回り)に回転させる回転機構とが設けられている。前記昇降機構は、Z軸サーボモータ16(図7参照)を有し、このZ軸サーボモータ16によりボールねじ等を介して実装用ヘッド15を上下方向に移動させるようになっている。前記回転機構は、各実装用ヘッド15ごとに(したがって、各吸着ノズル15bごとに)、R軸サーボモータ17(図7参照)を有し、これら各R軸サーボモータ17の各回転駆動に応じて各実装用ヘッド15それぞれをR軸回りに回転させるようになっている。よって、R軸は、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト15aおよび吸着ノズル15b)の回転軸である。図1および図2に示す例では、前記回転機構は、6個の実装用ヘッド15に応じて、6個のR軸サーボモータ17を備えている。
【0033】
ここで、比較例の実装用ヘッド115の吸着ノズル115bは、例えば図3Cおよび図3Dに示すように、負圧の生じる吸着開口NPaを、所定の回転軸であるR軸の位置RPに開口位置CPaで持つ。すなわち、比較例の吸着ノズル115bでは、R軸を法線とする平面において、R軸の位置RPと吸着開口NPaの中心位置(中央位置)CPaとを一致させて吸着開口NPaが吸着ノズル115bの先端に開口形成されている。したがって、吸着開口NPaの前記開口位置CPaは、吸着開口NPaの中心位置CPaである。
【0034】
これに対し、本実施形態における実装用ヘッド15の吸着ノズル15bは、例えば図3Aおよび図3Bに示すように、負圧の生じる吸着開口NPを、所定の回転軸であるR軸の位置RPから外れた開口位置CPで持つ。すなわち、実施形態における吸着ノズル15bでは、R軸を法線とする平面において、R軸の位置RPと吸着開口NPの中心位置(中央位置)CPとをずれ量δだけずらして偏心させて吸着開口NPが吸着ノズル15bの先端に開口形成されている。したがって、吸着開口NPの前記開口位置CPは、吸着開口NPの中心位置CPである。
【0035】
ヘッドユニット3には、さらに、被実装基板Kに付されたフィデューシャルマークを撮像すること等によって被実装基板Kを認識する基板認識用の第1撮像部18が設けられている。本実施形態では、第1撮像部18は、複数のテープフィーダ5aを並置する際に生じた、部品供給部の正規位置からの位置ずれ量を求めるために、上方から、テープフィーダ5a等を撮像する。
【0036】
吸着ノズル15bに吸着された部品の認識を行なう認識手段として、第2撮像部19が、基台2上の、ヘッドユニット移動範囲内の所定位置に設けられている。第2撮像部19は、これに付設された照明装置(図示せず)による反射照明条件下で、吸着ノズル15b先端に吸着された部品(もしくは吸着ノズル先端)を下方から撮像することにより、部品(もしくは吸着ノズル先端)の底面の反射画像を得ることが可能となっている。本実施形態では、部品供給ユニット5がコンベヤ4の両側それぞれに配置されていることに応じ、コンベヤ4の両側それぞれに、第2撮像部19が配置されている。そして、本実施形態では、第2撮像部19は、複数の吸着ノズル15bをヘッドシャフト15aを介してヘッドユニット3に取り付ける際に生じた、吸着ノズルの正規位置からの位置ずれ量を求めるために、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト15aおよび吸着ノズル15b)を下方から撮像する。
【0037】
これら第1および第2撮像部18、19は、それぞれ、例えば、撮像対象の光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記撮像対象の光学像を電気的な信号に変換するイメージセンサ、および、イメージセンサの出力を画像処理することで前記撮像対象の画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタルカメラである。
【0038】
次に、部品供給ユニット5およびテープフィーダ5aについて、説明する。
【0039】
部品供給ユニット5は、複数のテープフィーダ5aを、X方向に沿って並置するように搭載し、本体機構部1に着脱可能に装着される。これにより、本体機構部1に対し、複数のテープフィーダ5aが一括で交換可能となっている。前記着脱するために、部品供給ユニット5には、係合ピン(不図示)が設けられ、本体機構部1には、前記係合ピンが例えば嵌合等で係合する係合孔が設けられている。各テープフィーダ5aは、部品PZを所定の間隔おきに収納、保持したテープがリールから、前記部品PZを導出するように各々構成されており、ヘッドユニット3による取出しが可能となるように、前記部品PZを間欠的に吸着位置ADに繰り出すようになっている。前記吸着位置ADは、吸着ノズル15bが、前記テープに収納、保持された部品PZを吸着する位置である。本実施形態では、後述から分かるように、吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5a(当該吸着ノズル15bが吸着する部品PZを収容、保持したテープを搬送するテープフィーダ5a)との間に生じた正規位置NLからの位置ずれに起因してずれた吸着位置ADが補正され、吸着位置ADが適正化される。
【0040】
より具体的には、部品供給ユニット5は、本実施形態では、例えば、図4および図5に示すように、複数のテープフィーダ5aを着脱可能に支持したキャスタ付きの手押し式の台車である。本実施形態では、部品供給ユニット5は、前記リールも収容できるようになっている。このような部品供給ユニット5は、台車本体20と、台車本体20の上部に支持されたフィーダ支持台21とを備える。
【0041】
台車本体20は、下面にキャスタ23を備えたベース22と、その上部に設けられた箱形のテープホルダ(リールホルダ)24とを備える。テープホルダ24は、X方向で一対(左右一対)の側板25a、25bと前面板25cとを備えた、後方(-Y方向)および上方(+Z方向)に開口した平面視コ字型のフレーム25を有している。フレーム25の内側には、前記リールの幅等に応じた間隔でX方向に等間隔に立設された複数の仕切板26aによって仕切られた複数のテープ収容部26がX方向に並設されている。図示を省略しているが、これらテープ収容部26に、前記テープを巻回した前記リールが各々回転可能に収容される。フレーム25の上部には、複数のテープガイド27がX方向に並設されており、テープ収容部26に収容されたリールから、テープフィーダ5aに引き出されるテープが、これらテープガイド27によりガイドされる。
【0042】
フィーダ支持台21は、テープホルダ24の前部上方に、当該テープホルダ24から前方(+Y方向)に張り出すように設けられる。フィーダ支持台21は、平面視矩形のテーブル28と、テーブル28のX方向両端に設けられたX方向で一対(左右一対)のガイドブロック29A、29Bと、テーブル28の前部に立設された位置決めプレート31とを備える。テーブル28の上面には、Y方向に延び、X方向に所定の間隔で等間隔に設けられた複数の凸条30aによって、Y方向に延在してX方向に並ぶ互いに平行な複数のスロット30が設けられている。これらスロット30は、テーブル28の上面に形成されたテープフィーダ装着用のスリット状の溝である。テープフィーダ5aは、その支持用のブランケット54(図6参照)の底部が、このスロット30に差し込まれた状態でテーブル28上に支持される。なお、図4では、便宜上、前記複数のテープフィーダ5aのうちの1つのテープフィーダ5aが図示されているが、被実装基板Kの生産時には、各スロット30にテープフィーダ5aが装着(セット)されることにより、複数のテープフィーダ5aがX方向に並列にかつ近接し状態で配置される。位置決めプレート31には、各スロット30に対応してZ方向で一対(上下一対)のピン孔31a、31aが形成されており、これらピン孔31a、31aに、テープフィーダ5aの先端に設けられた一対のピン51、51(図5参照)が挿入される。これにより、テープフィーダ5aがフィーダ支持台21に対してXYZの各方向(左右、前後および上下の各方向)に位置決めされる。フィーダ支持台21には、X方向で一対の側板32a、32bおよびこれら側板32a、32bの間に配置された天板32cとを有する正面視コ字型のカバーが設けられる。前記カバーの前端上部には、シャッタ33の作動により開閉される部品取り出し用の図外の開口部が設けられている。このシャッタ33が+Y方向(前方)にスライドして(図4中の矢印参照)、前記開口部が開放される。これにより、ヘッドユニット3によるテープフィーダ5aから吸着位置ADで、部品PZの取り出しが可能となっている。
【0043】
テープフィーダ5aは、より具体的には、本実施形態では、例えば、図6に示すように、Y方向に長尺に形成された本体部材50を備え、その先端には、前記一対のピン51、51と、テープ駆動用の回転体52とが設けられている。これら一対のピン51、51は、それぞれ、+Y方向(前方)に向けて突出している。回転体52は、前記テープを送るための部材であり、駆動モータ(不図示)で所定の角度ずつ回転するように駆動される。本体部材50におけるY方向の略中央部であって下端部には、コネクタ53が設けられる。コネクタ53は、部品供給ユニット5を介して、テープフィーダ5aと制御処理部61とを電気的に接続する。本体部材50の後端には、支持用のブランケット54が設けられる。ブランケット54は、-Z方向(下方)へ突出するように設けられる。
【0044】
このような構成の部品供給ユニット5およびテープフィーダ5aでは、テープ収容部26に収容された前記リールから、前記テープが引き出され、この引き出された前記テープは、テープガイド27を介して、テープフィーダ5aにセットされる。このセットされた前記テープは、所定の角度ずつ回転する前記駆動モータによる回転体52の間欠的な回転によって、Y方向に沿って搬送され、間欠的に繰り出される。これによって前記テープに収納され保持されている各部品PZが吸着位置ADに間欠的に順次に供給される。本実施形態では、Y方向が搬送方向の一例であり、前記搬送方向は、一方向(この例ではX方向)に直交する。この供給された部品PZは、シャッタ33の作動により開放された前記開口部を介して、ヘッドユニット3における実装用ヘッド15の吸着ノズル15bで吸着され、前記テープから取り出される。なお、部品PZの取り出し後の前記テープは、テープフィーダ5aの先端からカッターユニット34に案内され、カッターユニット34により細断されて図略のダストボックスに収容されることとなる。
【0045】
次に、部品実装装置の電気的な構成について説明する。
【0046】
実施形態における部品実装装置は、電気的には、例えば、図7に示すように、X軸サーボモータ12と、Y軸サーボモータ8と、Z軸サーボモータ16と、R軸サーボモータ17と、第1撮像部18と、第2撮像部19と、テープフィーダ5aと、制御処理部61と、表示部71と、記憶部81とを備える。これらX軸サーボモータ12、Y軸サーボモータ8、Z軸サーボモータ16、R軸サーボモータ17、第1撮像部18、第2撮像部19、テープフィーダ5a、表示部71および記憶部81は、それぞれ、制御処理部61に電気的に接続され、制御処理部61の制御に従って各装置12、8、16、17、18、19、5a、71、81の当該機能に応じて動作する。
【0047】
表示部71は、制御処理部61の制御に従って、例えば第1および第2撮像部18、19で撮像した画像や、部品実装装置Dの動作状況等の所定の情報を表示する装置である。表示部71は、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置である。
【0048】
記憶部81は、制御処理部61の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、部品PZを、被実装基板Kにおける所定の実装位置MPに実装するように、部品実装装置Dの各装置12、8、16、17、18、19、5a、71、81を当該機能に応じて動作させる実装プログラム等が含まれる。前記実装プログラムには、被実装基板Kを搬送する制御等を行い、部品実装装置全体の制御を司る制御プログラムや、X軸サーボモータ12、Y軸サーボモータ8、Z軸サーボモータ16およびR軸サーボモータ17それぞれを制御するモータ制御プログラムや、複数のテープフィーダ5aそれぞれから部品PZを複数の吸着ノズル15bそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5a(部品供給部の一例)との間に生じた正規位置NLからの位置ずれ量Δを求める位置ずれ量決定プログラムや、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bにおいて、前記位置ずれ量決定プログラムで求められた位置ずれ量Δを補正するように、当該吸着ノズル15bに対応するR軸サーボモータ17を制御することによって、当該吸着ノズル15bを回転する補正プログラムや、前記テープに収納、保持された部品PZを吸着位置ADに供給するように、テープフィーダ5aを制御する供給制御プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば、被実装基板Kを搬送する搬送系に関する所定の搬送系データや、部品実装装置Dの設備ごとに固有な設備固有データや、吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aとの間に生じた正規位置NLからの位置ずれ量Δを補正するための補正データ等の、各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。これら実装プログラム、搬送系データ、設備固有データおよび補正データをそれぞれ記憶するために、記憶部81は、実装プログラム記憶部811、搬送系データ記憶部812、設備固有データ記憶部813および補正データ記憶部814を機能的に備える。記憶部81は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。記憶部81は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部61のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0049】
前記補正データについて、さらに、説明する。図8は、前記部品実装装置に記憶される、吸着ノズルの回転に伴う吸着開口位置の変化量を説明するための図である。
【0050】
本実施形態では、図3を用いて上述したように、吸着ノズル15bの吸着開口NPは、R軸の位置RPと吸着開口NPの中心位置(中央位置)CPとをずれ量δだけずらして偏心している。このため、吸着ノズル15bをR軸周りに回転させることによって、R軸の位置RP(すなわち、ヘッドシャフト15aの取り付け位置)に対し、吸着開口NPの位置を変化させることができる。この吸着開口NPの位置の変化で、前記位置ずれ量Δが相殺され、補正される。したがって、吸着開口NPの位置の変化量が前記補正データとして補正データ記憶部814に記憶される。
【0051】
例えば、吸着ノズル15bの回転の基準が-Y方向に設定され(回転角θ=0°)、-Y方向から反時計回りの回転角θが正値とされ(-Y方向から時計回りの回転角θが負値とされ)、回転角θ=0°の場合に、吸着開口NPの中心位置(中央位置)CPが-Y軸上(点(0、-δ))に位置するとした場合、回転角θにおける吸着開口NPの位置の変化量は、(-δsinθ、-δcosθ)となる(回転角θにおける変化量VMのX成分VMx(θ)=-δsinθ、回転角θにおける変化量VMのY成分VMy(θ)=-δcosθ。一例として、ずれ量δ=100μmとした場合における変化量VMが図8に示されている。図8には、回転角θ=-90°、-60°、-30°、0°、+45°、+90°である場合について、変化量VMが具体的な数値で示されている。例えば、回転角θ=-90°である場合、吸着開口NPの中心位置CPが点CP1に位置し、その変化量VMは、(+100、0)[μm]であり、また例えば、回転角θ=-60°である場合、吸着開口NPの中心位置CPが点CP2に位置し、その変化量VMは、(+86.6、-50)[μm]であり、また例えば、回転角θ=+45°である場合、吸着開口NPの中心位置CPが点CP5に位置し、その変化量VMは、(-70.7、-70.7)[μm]である。
【0052】
なお、ずれ量δは、100[μm]に限定されるものではなく、例えば部品PZの大きさや吸着ノズル15bの大きさ等に応じて適宜に設定される。また、吸着ノズル15bの回転の基準は、-Y方向に限定されるものではなく、例えば+X方向や-X方向等、任意に適宜に定義されて良い。また、-Y方向から反時計回りの回転角θが正値とされたが、これに限定されるものではなく、例えば回転の基準から時計回りの回転角θが正値とされて良く、任意に適宜に定義されて良い。
【0053】
回転角θにおける変化量VMは、例えば、VMx(θ)=-δsinθ、VMy(θ)=-δcosθのように(あるいは、θ=sin-1(-VMx/δ)、VMy(θ)=-δcosθのように)、数式で補正データ記憶部814に記憶されて良い。また例えば、回転角θにおける変化量VMは、回転角θと、この回転角θに対応する上述のような具体的な数値との対応関係を表すテーブル形式でデータ記憶部814に記憶されて良い。
【0054】
制御処理部61は、部品実装装置Dの各装置12、8、16、17、18、19、5a、71、81を当該機能に応じてそれぞれ制御し、部品PZを、被実装基板Kにおける所定の実装位置MPに実装するための回路である。制御処理部61は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部61は、前記各プログラムが実行されることによって、制御部611、モータ制御部612、補正部613、位置ずれ量決定部614および供給制御部615を機能的に備える。
【0055】
制御部611は、被実装基板Kを搬送する制御等を行い、部品実装装置全体の制御を司るものである。
【0056】
モータ制御部612は、複数のテープフィーダ5aそれぞれから、各部品PZを、各吸着ノズル15bで吸着し、複数の吸着ノズル15bそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品PZを、被実装基板Kにおける所定の実装位置NLに実装するように、X軸サーボモータ12、Y軸サーボモータ8、Z軸サーボモータ16およびR軸サーボモータ17それぞれを制御するものである。
【0057】
位置ずれ量決定部614は、複数のテープフィーダ5aそれぞれから部品PZを複数の吸着ノズル15bそれぞれで吸着する場合に、複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aとの間に生じた正規位置NLからの位置ずれ量Δを求めるものである。本実施形態では、位置ずれ量決定部614は、第1および第2撮像部18、19のうちの少なくとも一方で生成された画像に基づいて前記位置ずれ量Δを演算する。
【0058】
補正部613は、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bにおいて、位置ずれ量決定部614で求められた位置ずれ量Δを補正するように、当該吸着ノズル15bに対応するR軸サーボモータ17を制御することによって、当該吸着ノズル15bを回転するものである。
【0059】
本実施形態では、位置ずれ量決定部614は、第1ずれ量決定部6141と、第2ずれ量決定部6142とを機能的に備える。
【0060】
第1ずれ量決定部6141は、複数のテープフィーダ5aそれぞれから部品PZを複数の吸着ノズル15bそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、X方向(一方向の一例)において、当該吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aとの間に生じた正規位置NLからの第1位置ずれ量を求める。第1位置ずれ量は、一方向(この例ではX方向)に沿った長さとなる。
【0061】
第2ずれ量決定部6142は、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bにおいて、第1ずれ量決定部6141で求められた第1位置ずれ量を補正するように、当該吸着ノズル15bを回転することによって、当該吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aとの間にY方向(前記テープの搬送方向の一例)に沿って生じる正規位置からの第2位置ずれ量を求めるものである。
【0062】
そして、補正部613は、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、第2ずれ量決定部6142で求められた第2位置ずれ量を補正するように、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aにおける前記部品の搬送をさらに制御する。
【0063】
供給制御部615は、前記テープに収納、保持された部品を吸着位置ADに供給するように、テープフィーダ5aを制御するものである。
【0064】
これら制御処理部61、表示部71および記憶部81は、例えば、各装置12、8、16、17、18、19、5aに対しデータを送受信するためのインターフェース回路を備えたデスクトップ型やノード型等のコンピュータによって構成可能である。
【0065】
次に、主に吸着位置補正に関し、本実施形態の動作について説明する。図9は、吸着位置補正に関し、前記部品実装装置の動作を示すフローチャートである。図10は、第1態様にかかる吸着位置補正を説明するための図である。図11は、第2態様にかかる吸着位置補正を説明するための図である。
【0066】
このような構成の部品実装装置Dでは、オペレータ(ユーザ)は、複数のテープフィーダ5aを部品供給ユニット5に装着(セット)し、前記テープを巻き回した複数の前記リールを部品供給ユニット5に収容し、複数の前記リールそれぞれから各テープを引き出し、これら引き出した各テープを複数のテープフィーダ5aそれぞれにセットする。オペレータは、部品供給ユニット5を本体機構部1に装着する。
【0067】
そして、図9において、図略の電源スイッチがオンされ(S1)、部品実装装置Dが稼働を始める。部品実装装置Dは、稼働を開始すると、例えばヘッドユニット3やコンベヤ4等を原点復帰する等の部品実装装置Dが初期化される(S2)。制御処理部61には、その実装プログラム等の実行によって、制御部611、モータ制御部612、補正部613、位置ずれ量決定部614および供給制御部615が機能的に構成される。位置ずれ量決定部614には、第1ずれ量決定部6141および第2ずれ量決定部6142が機能的に構成される。
【0068】
続いて、吸着位置補正に関し、部品実装装置Dは、例えばメカスイッチ等の図略のセンサによって、テープフィーダ5aが部品供給ユニット5にセットされていることや、部品供給ユニット5が本体機構部1にセットされていることを確認する(S3)。
【0069】
続いて、部品実装装置Dは、第1撮像部18で複数のテープフィーダ5a等を撮像することによって、全てのテープフィーダ5aの位置(フィーダ位置)を特定する(S4)。
【0070】
より具体的には、モータ制御部612は、X軸サーボモータ12およびY軸サーボモータ8を制御することによって、ヘッドユニット3の第1撮像部18で複数のテープフィーダ5a等を撮像できるように、ヘッドユニット3を移動する。ヘッドユニット3が移動すると、位置ずれ量決定部614は、第1撮像部18に撮像させ、複数のテープフィーダ5a等を写した画像を生成させ、この画像を第1撮像部18から取得(受信)する。位置ずれ量決定部614は、前記画像を画像処理することによって複数のテープフィーダ5aそれぞれの各フィーダ位置を求めて特定する。例えば、位置ずれ量決定部614は、前記画像をいわゆるエッジフィルタで画像処理することによって、エッジを抽出し、この抽出したエッジから、前記テープにおけるポケット(各部品Cが収容される各領域)の輪郭を抽出し、この抽出したポケットの輪郭から、ポケットの中心位置(中央位置)をテープフィーダ5aのフィーダ位置として求める。また例えば、位置ずれ量決定部6141は、前記抽出したエッジから、テープフィーダ5aの両側端を抽出し、これら抽出した両側端の中央位置をテープフィーダ5aのフィーダ位置として求める。
【0071】
続いて、部品実装装置は、第2撮像部19で複数の実装用ヘッド15を撮像することによって、全ての実装用ヘッド15の位置(ノズル位置、シャフト位置、R軸の位置RP)を特定する(S5)。
【0072】
より具体的には、モータ制御部612は、X軸サーボモータ12およびY軸サーボモータ8を制御することによって、第2撮像部19でヘッドユニット3の複数の実装用ヘッド15を撮像できるように、ヘッドユニット3を移動する。ヘッドユニット3が移動すると、位置ずれ量決定部614は、第2撮像部19に撮像させ、複数の実装用ヘッド15を写した画像を生成させ、この画像を第2撮像部19から取得(受信)する。位置ずれ量決定部614は、前記画像を画像処理することによって複数の実装用ヘッド15それぞれの各ノズル位置(各シャフト位置)を求めて特定する。例えば、位置ずれ量決定部614は、前記画像をいわゆるエッジフィルタで画像処理することによって、エッジを抽出し、この抽出したエッジから実装用ヘッド15の輪郭を抽出し、この抽出した実装用ヘッド15の輪郭から、実装用ヘッド15の中心位置(中央位置)をノズル位置(シャフト位置)として求める。
【0073】
なお、輪郭等を抽出する際に、例えば直線や曲線のハフ変換(Hough変換)等の画像処理が用いられても良い。
【0074】
続いて、部品実装装置は、吸着ノズル15bと、この吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aとの間に生じた正規位置NLからの位置ずれ量Δを求める(S6)。
【0075】
より具体的には、まず、第1に、第1ずれ量決定部6141は、複数のテープフィーダ5aそれぞれから部品PZを複数の吸着ノズル15bそれぞれで吸着する場合に、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、X方向(一方向)において、当該吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aとの間に生じた正規位置NLからの第1位置ずれ量を求める。
【0076】
例えば、図10に示すように、複数の実装用ヘッド15それぞれが吸着ノズルの正規位置NLに等間隔でヘッドユニット3に取り付けられている場合、あるいは、前提として、複数の実装用ヘッド15それぞれが正規位置NLに等間隔でヘッドユニット3に取り付けられているとした場合、部品供給部の正規位置NLからの位置ずれ量Δが第1位置ずれ量として求められる。この場合では、前記正規位置NLからの位置ずれ量Δには、前記複数の部品供給部(本実施形態ではテープフィーダ5a)を並置する際に生じた位置ずれ量が含まれる。なお、図10では、各吸着ノズル15bは、後述のような補正による回転後の状態で図示されている。前記吸着ノズルの正規位置は、実装用ヘッド15をヘッドユニット3に取り付ける設計位置(理想的な位置)である。一例として、図10に示す例では、6個の実装用ヘッド15(ヘッドシャフト1~ヘッドシャフト6)それぞれにおける吸着ノズルの各正規位置は、12[mm]間隔の各位置とされている。なお、実装用ヘッド15の間隔は、後述のテープフィーダ5aの間隔も同様に、12[mm]に限定されるものではなく、例えば部品実装装置Dの仕様等に応じて適宜に設定される。前記部品供給部の正規位置は、部品供給ユニットに装着されるテープフィーダ5aの設計位置(理想的な位置)である。一例として、図10に示す例では、6個のテープフィーダ5a(FDR1~FDR6)それぞれにおける部品供給部の各正規位置NL1~NL6は、12[mm]間隔の各位置とされている。
【0077】
より詳しくは、第1ずれ量決定部6141は、複数の実装用ヘッド15のうちのいずれかの実装用ヘッド15に対応するテープフィーダ5aを基準に、各テープフィーダ5aの各第1位置ずれ量を、処理S4で求めた各テープフィーダ5aの各フィーダ位置から求める。図10に示す例では、6個の実装用ヘッド15のうちの最も端(この例では紙面右端)に位置する実装用ヘッド15に対応するテープフィーダ5a(FDR1)を基準に、第1ずれ量決定部6141は、残余の各テープフィーダ5a(FDR2~FDR6)それぞれについて、テープフィーダ5a間の間隔12[mm]のからの各ずれ量を、残余の各テープフィーダ5aの各第1位置ずれ量Δ1~Δ5として、処理S4で求めた各テープフィーダ5aの各フィーダ位置から求める。この図10に示す例では、例えば、基準のテープフィーダ5a(FDR1)と、これに隣接するテープフィーダ5a(FDR2)との間隔は、12.05[mm]であり、テープフィーダ5a(FDR2)の第1位置ずれ量Δ1は、+0.05[mm](=+50[μm])である。また例えば、このテープフィーダ5a(FDR2)と、これに隣接するテープフィーダ5a(FDR3)との間隔は、11.93[mm]であり、テープフィーダ5a(FDR3)の第1位置ずれ量Δ2は、-0.07[mm](=-70[μm])である。また例えば、テープフィーダ5a(FDR4)と、これに隣接するテープフィーダ5a(FDR5)との間隔は、12.086[mm]であり、テープフィーダ5a(FDR5)の第1位置ずれ量Δ4は、+0.086[mm](=-86[μm])である。ここで、1画素に映り込む実長を予め求めておくことで、実長で第1位置ずれ量を求めることができるが、1画素のサイズを単位に補正データを生成しておくことで、画素数で第1位置ずれ量が求められても良い。
【0078】
なお、この図10に示す、複数の実装用ヘッド15それぞれが吸着ノズルの正規位置に等間隔でヘッドユニット3に取り付けられている場合、あるいは、前提として、複数の実装用ヘッド15それぞれが正規位置に等間隔でヘッドユニット3に取り付けられているとした場合では、処理S4の処理結果のみで第1位置ずれ量が上述のように求められるので、処理S5が省略可能である。
【0079】
また例えば、図11に示すように、複数のテープフィーダ5aそれぞれが部品供給部の正規位置に等間隔で部品供給ユニット5に装着されている場合、あるいは、前提として、複数のテープフィーダ5aそれぞれが部品供給部の正規位置に等間隔で部品供給ユニット5に装着されているとした場合、吸着ノズルの正規位置からの位置ずれ量が第1位置ずれ量として求められる。この場合では、前記正規位置からの位置ずれ量には、前記複数の吸着ノズル5bを取り付ける際に生じた位置ずれ量が含まれる。一例として、図11に示す例では、吸着ノズルの各正規位置NL11、NL12、NL13、・・・および部品供給部の各正規位置は、それぞれ、12[mm]間隔の各位置とされている。なお、図11は、便宜上、3組の実装用ヘッド15およびテープフィーダ5aが図示され、他の図示は、省略されている。図11Aは、補正前の各実装用ヘッド15およびテープフィーダ5aの状況を示し、図11Bは、補正による回転後の各実装用ヘッド15を示す。
【0080】
より詳しくは、第1ずれ量決定部6141は、複数の実装用ヘッド15のうちのいずれかの実装用ヘッド15を基準に、各実装用ヘッド15の各第1位置ずれ量を、処理S5で求めた各実装用ヘッド15の各ノズル位置(各シャフト位置)から求める。図11に示す例では、複数の実装用ヘッド15のうちの最も端(この例では紙面右端)に位置する実装用ヘッド15(ヘッドシャフト1)を基準に、第1ずれ量決定部6141は、残余の各実装用ヘッド15(ヘッドシャフト2、ヘッドシャフト3、・・・)それぞれについて、実装用ヘッド15間の間隔12[mm]のからの各ずれ量を、残余の各実装用ヘッド15の各第1位置ずれ量Δ11、Δ12、・・・として、処理S5で求めた各実装用ヘッド15の各ノズル位置から求める。この図11に示す例では、例えば、基準の実装用ヘッド15(ヘッドシャフト1)と、これに隣接する実装用ヘッド15(ヘッドシャフト2)との間隔は、12.05[mm]であり、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト2)の第1位置ずれ量Δ11は、-0.05[mm](=-50[μm])である。また例えば、この実装用ヘッド15(ヘッドシャフト2)と、これに隣接する実装用ヘッド15(ヘッドシャフト3)との間隔は、11.93[mm]であり、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト3)の第1位置ずれ量Δ12は、+0.07[mm](=+70[μm])である。
【0081】
なお、この図11に示す、複数のテープフィーダ5aそれぞれが部品供給部の正規位置に等間隔で部品供給ユニット5に装着されている場合、あるいは、前提として、複数のテープフィーダ5aそれぞれが部品供給部の正規位置に等間隔で部品供給ユニット5に装着されているとした場合では、処理S5の処理結果のみで第1位置ずれ量が上述のように求められるので、処理S4が省略可能である。
【0082】
また例えば、図示を省略するが、図10に示す場合や図11に示す場合では無い場合には、第1ずれ量決定部6141は、各テープフィーダ5aそれぞれを基準に、各実装用ヘッド15それぞれについて(各テープフィーダ5aそれぞれについて)、各第1位置ずれ量を、処理S4で求めた各テープフィーダ5aの各フィーダ位置および処理S5で求めた各実装用ヘッド15の各ノズル位置から求める。より詳しくは、第1ずれ量決定部6141は、各実装用ヘッド15それぞれについて、処理S4で求めたテープフィーダ5aのフィーダ位置と、処理S5で求めた、このテープフィーダ5aに対応する実装用ヘッド15のノズル位置との差を第1位置ずれ量として求める。なお、上述の場合において、複数の実装用ヘッド15それぞれが基準とされても良く、この場合、図10に示す場合の上述の説明と図11に示す場合の上述の説明とから分かるように、第1位置ずれ量の符号が逆となる。
【0083】
また例えば、図示を省略するが、部品供給ユニット5を本体機構部1に装着する場合に、本体機構部1に対する部品供給ユニット5における正規位置からの位置ずれ量が第1位置ずれ量とされても良い。この場合では、前記正規位置からの位置ずれ量には、台車(本実施形態ではその一例として部品供給ユニット5)を取り付ける際に生じた位置ずれ量が含まれる。部品供給ユニット5にテープフィーダ5aが装着されるので、部品供給ユニットにおける正規位置からの位置ずれ量は、部品供給部の正規位置からの位置ずれ量に重畳されている。このため、部品供給ユニットにおける正規位置からの位置ずれ量は、図10に示す場合の第1位置ずれ量の演算によって、あるいは、図10に示す場合や図11に示す場合では無い場合の第1位置ずれ量の演算によって求められる。
【0084】
次に、第2に、第2ずれ量決定部6142は、複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bにおいて、第1ずれ量決定部6141で求められた第1位置ずれ量を補正するように、当該吸着ノズル15bを回転することによって、当該吸着ノズル15bと、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aとの間にY方向(前記テープの搬送方向)に沿って生じる正規位置からの第2位置ずれ量を求める。より詳しくは、第2ずれ量決定部6142は、複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、上述のように求められた、当該吸着ノズル15bにおける第1位置ずれ量に対応する第2位置ずれ量を、補正データ記憶部814に記憶された補正データから求める。例えば、図10および図8に示す場合において、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト1)は、0°の回転で、-100[μm](=-δcosθ=-100×cos0°=-100)だけずれるので、このずれ量-100[μm]が第2位置ずれ量として求められる。また例えば、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト2)は、-30°の回転で、-86.6[μm](=-δcosθ=-100×cos330°=-86.6)だけずれるので、このずれ量-86.6[μm]が第2位置ずれ量として求められる。また例えば、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト3)は、+45°の回転で、-70.7[μm](=-δcosθ=-100×cos45°=-70.7)だけずれるので、このずれ量-70.7[μm]が第2位置ずれ量として求められる。
【0085】
図9に戻って、続いて、部品実装装置Dは、複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bにおいて、位置ずれ量決定部614で求められた位置ずれ量Δを補正するように、吸着位置ADを補正する(S7)。
【0086】
より具体的には、まず、第1に、補正部613は、複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、処理S6で第1ずれ量決定部6141によって求めた、X方向の位置ずれ量である第1位置ずれ量を相殺するように、R軸サーボモータ17を制御することによって、吸着ノズル15bをR軸周りに回転させる。より詳しくは、補正部613は、当該吸着ノズル15bの第1位置ずれ量に対応する回転角θを、補正データ記憶部814に記憶された補正データから求める。そして、補正部613は、当該吸着ノズル15bに対応するR軸サーボモータ17を制御することにより、この求めた回転角θだけ、当該吸着ノズル15bをR軸周りに回転させる。このような処理が複数の吸着ノズル15bそれぞれについて実施される。これによって、吸着位置ADにおけるX方向の第1位置ずれ量が補正され、X方向において、吸着位置ADが適正化される。
【0087】
そして、第2に、この吸着ノズル15bの回転によって、Y方向に第2位置ずれ量だけずれるので、この第2位置ずれ量が補正される。すなわち、補正部613は、複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、処理S6で第2ずれ量決定部6142によって求めた、Y方向の第2位置ずれ量を相殺するように、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aにおける部品の搬送を制御する。より詳しくは、補正部613は、複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bの第2位置ずれ量だけ、当該吸着ノズル15bに対応するテープフィーダ5aにおけるY方向のオフセット量を調整して設定する。
【0088】
例えば、図10および図8に示す例において、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト1)は、回転角0°で回転され(すなわち、非回転)、これに対応するテープフィーダ5a(FDR1)は、Y方向のオフセット量を-100[μm]だけ調整され、設定される。また例えば、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト2)は、回転角-30°で回転され、これに対応するテープフィーダ5a(FDR2)は、Y方向のオフセット量を-86.6[μm]だけ調整され、設定される。また例えば、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト3)は、回転角+45°で回転され、これに対応するテープフィーダ5a(FDR3)は、Y方向のオフセット量を-70.7[μm]だけ調整され、設定される。
【0089】
続いて、部品実装装置Dは、各吸着ノズル15bそれぞれで各テープフィーダ5aそれぞれから部品PZを吸着し、前記各吸着ノズル15bそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品PZを、被実装基板Kにおける所定の実装位置MPに実装する実装処理を行い(S8)、本処理を終了する。
【0090】
以上説明したように、本実施形態における部品実装装置Dおよびこれに実装された吸着位置補正方法は、複数の吸着ノズル15bそれぞれが吸着開口NPを回転軸の位置から外れた開口位置CPに持つ。このため、上記部品実装装置Dおよびその吸着位置補正方法は、前記複数の吸着ノズル15bそれぞれについて、当該吸着ノズル15bを回転することで、当該吸着ノズル15bに応じた位置ずれ量Δを補正できるから、適正な各吸着位置で吸着できるように各吸着位置を補正できる。
【0091】
前記正規位置NLからの位置ずれ量Δが複数の部品供給部(上述の例ではテープフィーダ5a)を並置する際に生じた位置ずれ量を含む場合、上記部品実装装置Dおよびその吸着位置補正方法は、このような複数の部品供給部を並置する際に生じた位置ずれ量を補正できる。
【0092】
前記正規位置NLからの位置ずれ量Δが前記複数の吸着ノズル15bを取り付ける際に生じた位置ずれ量を含む場合、上記部品実装装置Dおよびその吸着位置補正方法は、このような複数の吸着ノズル15bを取り付ける際に生じた位置ずれ量を補正できる。
【0093】
前記正規位置NLからの位置ずれ量Δが前記台車(上述の例では部品供給ユニット5)を取り付ける際に生じた位置ずれ量を含む場合、上記部品実装装置Dおよびその吸着位置補正方法は、このような台車を取り付ける際に生じた位置ずれ量を補正できる。
【0094】
吸着ノズル15bが吸着開口NPを回転軸の位置から外れた開口位置CPに持つので、一方向(上述の例ではX方向)に沿った第1位置ずれ量を補正するように、吸着ノズル15bが回転されると、搬送方向(上述の例ではY方向)に沿って正規位置からの第2位置ずれ量でずれが生じる。この第2位置ずれ量が、例えば吸着不良や実装位置不良等の観点から無視できる長さであれば補正の必要が無いが、上記部品実装装置Dおよびその吸着位置補正方法は、この第2位置ずれ量を補正できるので、例えば吸着不良や実装位置不良等をより適切に回避できる。
【0095】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0096】
D 部品実装装置
K 被実装基板
PZ 部品
MP 実装位置
CP、Cpa 開口位置(吸着開口の中心位置)
NL 正規位置
Δ 正規位置からの位置ずれ量
X X方向(一方向の一例)
Y Y方向(搬送方向の一例)
3 ヘッドユニット
5 部品供給ユニット(台車の一例)
5a テープフィーダ(部品供給部の一例)
15 実装用ヘッド
15a ヘッドシャフト
15b 吸着ノズル
17 R軸サーボモータ
18 第1撮像部
19 第2撮像部
61 制御処理部
81 記憶部
613 補正部
614 位置ずれ量決定部
814 補正データ記憶部
6141 第1ずれ量決定部
6142 第2ずれ量決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11