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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ジャイロライダー補助デバイス
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20240228BHJP
   B62K 11/00 20060101ALI20240228BHJP
   B62K 19/30 20060101ALI20240228BHJP
   H02K 7/02 20060101ALI20240228BHJP
   F16D 11/10 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B62J45/00
B62K11/00 Z
B62K19/30
H02K7/02
F16D11/10 Z
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019195072
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2020083311
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】16/196067
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523279040
【氏名又は名称】ハーレー-ダビッドソン・モーター・カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Harley-Davidson Motor Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】3700 West Juneau Avenue,Milwaukee,Wisconsin 53208,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブレンデルソン,ジェームズ シー.
(72)【発明者】
【氏名】デル ロサリオ,メイソン
(72)【発明者】
【氏名】カラギアネス,シーン
(72)【発明者】
【氏名】ローウェン,シーン
(72)【発明者】
【氏名】シーリング,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ベン
(72)【発明者】
【氏名】ティチェナー,ポール
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第2678230(FR,A1)
【文献】特開2012-201254(JP,A)
【文献】特表2017-534500(JP,A)
【文献】特開2010-143580(JP,A)
【文献】特公昭46-233(JP,B1)
【文献】特開2016-28955(JP,A)
【文献】特表2013-519887(JP,A)
【文献】特表2018-523612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 45/00
B62K 11/04
B62K 11/00
B62K 19/30
H02K 7/02
G01C 19/02
F16D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
該フレームに連結される前輪と、
前記フレームに連結され、長手方向において前記前輪の後方に位置付けられる、後輪と、
前記前輪と前記後輪との間でライダーを支持するように位置付けられる少なくとも1つのシートを含む座席領域と、
前記座席領域の背後及び前記後輪の上方で密閉容器内に設けられるジャイロライダー補助デバイスとを含む、
傾斜車両であって、
前記ジャイロライダー補助デバイスは、
前記フレームに対して固定されるジンバル支持フレームと、
ロール軸についての回転のために前記ジンバル支持フレームによって回転可能に支持されるジンバルと、
ブラケットによってフライホイール軸についての回転のために支持されるフライホイールと、を含み、前記ブラケットは、歳差軸について前記ジンバルによって回転可能に支持され、
当該傾斜車両は、
力伝達機構を通じて前記ジンバルに連結されるアクチュエータであって、当該傾斜車両を均衡させる補正モーメントが当該傾斜車両上で生成されるよう、前記ジンバル支持フレームに対して前記ジンバルを駆動させて、前記ジンバルに対する前記フライホイールの歳差反応を引き起こすように作動可能である、アクチュエータと、
当該傾斜車両が動作中に傾くときに同じ高さのままであるよう、前記ジンバルが前記ジンバル支持フレーム内で自由に移動することを可能にすることによって、前記力伝達機構を切り離して、前記ジャイロライダー補助デバイスを選択的に非アクティブ化させる、クラッチと、を更に含み、
前記アクチュエータは、線形アクチュエータであり、前記力伝達機構は、レバーアームを含み、前記クラッチは、前記レバーアームと前記ジンバルとの間に位置付けられる
傾斜車両。
【請求項2】
前記クラッチは、歯付きクラッチである、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項3】
フレームと、
該フレームに連結される前輪と、
前記フレームに連結され、長手方向において前記前輪の後方に位置付けられる、後輪と、
前記前輪と前記後輪との間でライダーを支持するように位置付けられる少なくとも1つのシートを含む座席領域と、
前記座席領域の背後及び前記後輪の上方で密閉容器内に設けられるジャイロライダー補助デバイスと、を含む、
傾斜車両であって、
前記ジャイロライダー補助デバイスは、
前記フレームに対して固定されるジンバル支持フレームと、
ロール軸についての回転のために前記ジンバル支持フレームによって回転可能に支持されるジンバルと、
ブラケットによってフライホイール軸についての回転のために支持されるフライホイールと、を含み、前記ブラケットは、歳差軸について前記ジンバルによって回転可能に支持され、
当該傾斜車両は、
力伝達機構を通じて前記ジンバルに連結されるアクチュエータであって、当該傾斜車両を均衡させる補正モーメントが当該傾斜車両上で生成されるよう、前記ジンバル支持フレームに対して前記ジンバルを駆動させて、前記ジンバルに対する前記フライホイールの歳差反応を引き起こすように作動可能である、アクチュエータと、
当該傾斜車両が動作中に傾くときに同じ高さのままであるよう、前記ジンバルが前記ジンバル支持フレーム内で自由に移動することを可能にすることによって、前記力伝達機構を切り離して、前記ジャイロライダー補助デバイスを選択的に非アクティブ化させる、クラッチと、
当該傾斜車両がメモリ中に格納される閾速度を越えるときに前記力伝達機構を切り離すために前記クラッチを作動させるようにプログラムされる、コントローラと、を更に含む、
斜車両。
【請求項4】
前記閾速度は、ユーザ調整可能である、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項5】
前記コントローラは、前記閾速度を無視して、前記ジャイロライダー補助デバイスをオフに切り替えるユーザ入力に応答して前記ジャイロライダー補助デバイスを非アクティブ化された状態に維持するようにプログラムされる、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項6】
フレームと、
該フレームに連結される前輪と、
前記フレームに連結され、長手方向において前記前輪の後方に位置付けられる、後輪と、
前記前輪と前記後輪との間でライダーを支持するように位置付けられる少なくとも1つのシートを含む座席領域と、
前記座席領域の背後及び前記後輪の上方で密閉容器内に設けられるジャイロライダー補助デバイスと、を含む、
傾斜車両であって、
前記ジャイロライダー補助デバイスは、
前記フレームに対して固定されるジンバル支持フレームと、
ロール軸についての回転のために前記ジンバル支持フレームによって回転可能に支持されるジンバルと、
ブラケットによってフライホイール軸についての回転のために支持されるフライホイールと、を含み、前記ブラケットは、歳差軸について前記ジンバルによって回転可能に支持され、
当該傾斜車両は、
力伝達機構を通じて前記ジンバルに連結されるアクチュエータであって、当該傾斜車両を均衡させる補正モーメントが当該傾斜車両上で生成されるよう、前記ジンバル支持フレームに対して前記ジンバルを駆動させて、前記ジンバルに対する前記フライホイールの歳差反応を引き起こすように作動可能である、アクチュエータと、
当該傾斜車両が動作中に傾くときに同じ高さのままであるよう、前記ジンバルが前記ジンバル支持フレーム内で自由に移動することを可能にすることによって、前記力伝達機構を切り離して、前記ジャイロライダー補助デバイスを選択的に非アクティブ化させる、クラッチと、
前記ブラケットと前記ジンバルとの間の第2のアクチュエータであって、前記ブラケットに対して前記フライホイールを再配向するように動作可能な第2のアクチュエータと、該第2のアクチュエータを切り離す第2のクラッチとを更に含む、
斜車両。
【請求項7】
前記アクチュエータは、回転アクチュエータである、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項8】
前記フライホイールは、前記ジャイロライダー補助デバイスのただ1つのフライホイールである、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項9】
傾斜車両であって、
フレームと、
該フレームに連結される前輪と、
前記フレームに連結され、長手方向において前記前輪の後方に位置付けられる、後輪と、
アクチュエータからの入力に応答して当該傾斜車両を均衡させる当該傾斜車両に対する補正モーメントを出力するように動作可能なジャイロライダー補助デバイスと、
当該傾斜車両の第1の状態から当該傾斜車両の第2の状態への移行後に前記ジャイロライダー補助デバイスを選択的に非アクティブ化するよう、前記アクチュエータと前記ジャイロライダー補助デバイスとの間に設けられるクラッチとを含む、
傾斜車両であって、
前記ジャイロライダー補助デバイスは、
前記フレームに対して固定されるジンバル支持フレームと、
ロール軸についての回転のために前記ジンバル支持フレームによって回転可能に支持されるジンバルと、
ブラケットによってフライホイール軸についての回転のために支持されるフライホイールと、を含み、前記ブラケットは、歳差軸について前記ジンバルによって回転可能に支持され
当該傾斜車両は、前記ブラケットと前記ジンバルとの間の第2のアクチュエータであって、前記ブラケットに対して前記フライホイールを再配向するように動作可能な第2のアクチュエータと、該第2のアクチュエータを切り離す第2のクラッチとを更に含む
傾斜車両。
【請求項10】
前記フライホイールは、前記ジャイロライダー補助デバイスのただ1つのフライホイールである、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項11】
前記フライホイールは、前記ジャイロライダー補助デバイスのただ1つのフライホイールである、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項12】
コントローラと、メモリとを更に含み、前記コントローラは、前記メモリ中に格納される指令に従って、前記第1の状態から前記第2の状態への移行に応答して前記ジャイロライダー補助デバイスを非アクティブ化させるために、前記クラッチを作動させるようにプログラムされる、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項13】
傾斜車両であって、
フレームと、
該フレームに連結される前輪と、
前記フレームに連結され、長手方向において前記前輪の後方に位置付けられる、後輪と、
アクチュエータからの入力に応答して当該傾斜車両を均衡させる当該傾斜車両に対する補正モーメントを出力するように動作可能なジャイロライダー補助デバイスと、
当該傾斜車両の第1の状態から当該傾斜車両の第2の状態への移行後に前記ジャイロライダー補助デバイスを選択的に非アクティブ化するよう、前記アクチュエータと前記ジャイロライダー補助デバイスとの間に設けられるクラッチとを含む、
傾斜車両であって、
前記ジャイロライダー補助デバイスは、
前記フレームに対して固定されるジンバル支持フレームと、
ロール軸についての回転のために前記ジンバル支持フレームによって回転可能に支持されるジンバルと、
ブラケットによってフライホイール軸についての回転のために支持されるフライホイールと、を含み、前記ブラケットは、歳差軸について前記ジンバルによって回転可能に支持され、
当該傾斜車両は、コントローラと、メモリとを更に含み、前記コントローラは、前記メモリ中に格納される指令に従って、前記第1の状態から前記第2の状態への移行に応答して前記ジャイロライダー補助デバイスを非アクティブ化させるために、前記クラッチを作動させるようにプログラムされ、
当該傾斜車両の前記第2の状態への前記移行は、当該傾斜車両が前記メモリ中に格納される閾速度値を越えた後に起こる、
斜車両。
【請求項14】
前記メモリ中の前記閾速度値は、ユーザ調整可能である、請求項13に記載の傾斜車両。
【請求項15】
前記クラッチは、歯付きクラッチである、請求項に記載の傾斜車両。
【請求項16】
傾斜車両であって、
フレームと、
該フレームに連結される前輪と、
前記フレームに連結され、長手方向において前記前輪の後方に位置付けられる、後輪と、
アクチュエータからの入力に応答して当該傾斜車両を均衡させる当該傾斜車両に対する補正モーメントを出力するように動作可能なジャイロライダー補助デバイスと、
当該傾斜車両の第1の状態から当該傾斜車両の第2の状態への移行後に前記ジャイロライダー補助デバイスを選択的に非アクティブ化するよう、前記アクチュエータと前記ジャイロライダー補助デバイスとの間に設けられるクラッチとを含む、
傾斜車両であって、
前記ジャイロライダー補助デバイスは、
前記フレームに対して固定されるジンバル支持フレームと、
ロール軸についての回転のために前記ジンバル支持フレームによって回転可能に支持されるジンバルと、
ブラケットによってフライホイール軸についての回転のために支持されるフライホイールと、を含み、前記ブラケットは、歳差軸について前記ジンバルによって回転可能に支持され、
前記アクチュエータは、線形アクチュエータである、
斜車両。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、傾斜する車両におけるジャイロデバイス(gyroscopic devices)に関する。
【0002】
1つの態様において、本発明は、フレームと、フレームに連結される前輪と、フレームに連結され、長手方向において前記前輪の後方に位置付けられる、後輪と、前輪と後輪との間でライダー(乗り手)を支持するように位置付けられる少なくとも1つのシートを含む座席領域と、座席領域の背後及び後輪の上方で密閉容器内に設けられるジャイロライダー補助デバイスとを含む、傾斜車両を提供する。
【0003】
他の態様において、本発明は、傾斜車両であって、フレームと、フレームに連結され、傾斜車両の単線(single track)を定めるよう長手方向において前輪と整列させられる、前輪と、フレームに連結され、前輪と整列させられる、後輪と、アクチュエータからの入力に応答して傾斜車両に修正モーメントを出力するように動作可能なジャイロライダー補助デバイスとを含む、傾斜車を提供する。傾斜車両の第1の状態から傾斜車両の第2の状態への移行後にジャイロライダー補助デバイスを選択的に非アクティブ化させるために、クラッチがアクチュエータとジャイロライダー補助デバイスとの間に設けられる。
【0004】
別の態様において、本発明は、傾斜車両を操作する方法を提供し、この方法は、閾速度以下の第1の速度で傾斜車両を作動させるステップと、第1の速度での動作中に、フライホイールが歳差運動することを可能にし、且つジャイロライダー補助デバイスが傾斜車両に補正モーメントを加えることを可能にする、ジャイロライダー補助デバイスと係合させるステップと、傾斜車両を、閾速度を超える第2の速度まで加速させるステップと、傾斜車両が閾速度を超えることに応答してジャイロライダー補助デバイスを非作動状態に移行させるよう、閾速度を超えることに応答してクラッチを切り離すステップとを含み、非作動状態は、ジャイロライダー補助デバイスが、傾斜車両に補正モーメント及び他のジャイロ反力を加えることを防止する。
【0005】
本発明の他の態様は、詳細な記述及び添付の図面の考慮によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の1つの実施形態に従ったオートバイの側面図である。
【0007】
図2】静止位置における図1の荷物容器内に位置付けられたジャイロライダー補助デバイスの斜視図である。
【0008】
図3図2のジャイロライダー補助デバイスの分解図である。
【0009】
図4】係合位置における図2のジャイロライダー補助デバイスの斜視図である。
【0010】
図5図1の荷物容器内に位置付けられた代替的なジャイロライダー補助デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のあらゆる実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、以下の記述中に示す或いは以下の図面に例示する構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行又は実施されることが可能である。
【0012】
図1は、フレーム14と、エンジン18と、単一の前輪22と、前輪22の後方に位置付けられる1つの後輪26とを含む、オートバイ10(自動二輪車)を例示している。特に、前輪22及び後輪26は、単線(single track)を定める。前輪22は、ハンドルバー34とフロントフォーク38とを含むステアリングユニット30によって支持される。後輪26は、スイングアーム42によってフレーム14に対して枢動可能に支持される。オートバイ10のシート領域を少なくとも部分的に定めるシート46が、主たるライダー(乗り手)(rider)(例えば、操作者)を支持し、任意的に、追加的なライダー(例えば、ピリアン同乗者(pillion passenger))を支持する。シート46は、前輪22と後輪26との間に少なくとも1人のライダーを支持するように位置付けられる。例示のサドル構成において、ライダー及び/又は同乗者の脚は、オートバイ10の外側に跨るが、フットウェル(footwell)を備える従来的なスクーターのサドル構成を含む他のサドル構成も任意的である。手短に言えば、本発明の態様は、全ての種類のサドル乗車される車両、又はオートバイ及びスクーターのような単線二輪車両を非限定的に含む任意の傾く(leaning)若しくは傾斜する車両(tilting vehicle)に当て嵌まり得る。ライダーがフロントフォーク38及び前輪22のステアリング制御を有することを可能にするために、一対のハンドグリップ54がハンドルバー34の遠位端に設けられる。ハンドルバー34は、ハンドグリップからフロントフォークに運動を移転することを可能にする単一の一体的要素又は個々の要素のアセンブリであり得ることも留意されたい。オートバイ10のライダーは、オートバイ10の制御及びバランスを維持する責任がある。何故ならば、オートバイ10は、それ自体は生来的に安定しておらず、横倒しの非作動位置に転倒しやすい種類のものだからである。ライダーは、単線車両において、通常の巡航速度(cruising speed)で、進行方向変更(turns)を操縦する(navigate)中程度又は大きな傾き角度でさえも、安定性を容易に達成可能であるが、渋滞、停止信号、駐車場等のような低速度は、特により未経験のライダー、又はより短い足のライダー、より少ない足強度のライダー等について、バランス制御に対する注目を要求する。
【0013】
例示のオートバイ10は、ツアースタイルの「重量(heavyweight)」級のオートバイであり、後輪26の左側及び右側に並んで位置付けられた一対のサドルバッグ58と、シート46の後方に位置付けられたトランク62とを含む、様々な荷物容器(luggage containers)を含む。例示の構造において、トランク62は、ハーレーダビッドソンのTOUR-PAK(登録商標)であり、オートバイ10のシート46の直ぐ後に位置付けられている。しかしながら、以下に詳細に記載する構成は、ハーレーダビッドソンのTOUR-PAK(登録商標)と共に使用することに限定されず、他のスタイルのトランク又はトップケース、サドルバッグなどを含む、様々なオートバイ荷物容器と共に使用されることができることが理解されるべきである。本発明の態様は、様々な他の種類及びスタイルのオートバイ、スクーター、及び自転車に適用されてもよい。
【0014】
例示のトランク62は、ヒンジ74と共に連結された本体66と蓋70を含む。1つ又はそれよりも多くのラッチ78が、本体66に対して閉じられた位置に蓋70を保持するために使用される。図示の実施形態では、オートバイ10のバランスを取るのを助けるために、ジャイロライダー補助デバイス82が、トランク62内に位置付けられている。幾つかの実施態様では、ラッチが解除されると、蓋70は、本体66及び蓋70によって共同して定められる積荷容積(cargo volume)並びにジャイロライダー補助デバイス82への選択的なアクセスを提供するために開く。他の実施形態において、トランク62は、専らジャイロライダー補助デバイス82を取り囲み(encloses)、貨物容積を含まない。トランク62、特に本体66及び蓋70は、ジャイロライダー補助デバイス82を取り囲む或いは収容するための密閉容器(enclosure)を構成することがある。トランク62は、ジャイロライダー補助デバイス82のための唯一の密閉容器であってもよく(その場合、トランク62は、封じ込め(containment)のために適切に強化される)、或いはジャイロライダー補助デバイス82は、蓋70が開くときにユーザがジャイロライダー補助デバイス82の可動部分にアクセスすることが妨げられるように、トランク62内の他の別個の密閉容器内に取り込まれてよく或いは収容されてよい。ジャイロライダー補助デバイス82が、別個の副密閉容器(sub-enclosure)を用いずに、専らトランク62によって収容される場合、トランク62は、貨物又は荷物容器の外観を有する偽トランクであってよいが、それは実際にはそのように機能しない。ジャイロライダー補助デバイス82は、全ての利用可能な空間を占めて、貨物に効果的でない容積を残すだけでなく、トランク62は、通常の方法において効力のないものにされることがある。例えば、ラッチ78及び/又はヒンジ74は、恒久的に固定的に閉じられ、ジャイロライダー補助デバイス82が非アクティブ化させられるときに選択的に開放可能であってよく、或いは本体66から蓋70を開けるように作動可能でない偽ラッチ又は偽ヒンジであってよい。例示の実施形態は、その位置がピリオン同乗者シートの後方である、ジャイロライダー補助デバイス82のための密閉容器としてのトランク62の使用に焦点を当てているが、他の変形が想定される。例えば、オートバイ10は、ピリオン同乗者シートを有さなくてよく、適切な密閉容器を備えるジャイロライダー補助デバイス82は、単一のライダー着座位置を有するシート46の直ぐ後に位置付けられてよい。他の構造において、適切な密閉容器を備えるジャイロライダー補助デバイス82は、後輪26とシート46との間に、例えば、シート46のピリオン同乗者着座位置の直ぐ下に位置付けられてよい。幾つかの構造において、ジャイロライダー補助デバイス82は、トランク62内に位置付けられず、全ての他の荷物容器から分離されてよい。ジャイロライダー補助デバイス82は、(例えば、電気車両又は従来的でない燃料タンクを有する車両に適用されるときに)従来的なオートバイの燃料タンクによって通常占められる位置において、シート46の前方に位置付けられてよい。
【0015】
図2図4を参照すると、ジャイロライダー補助デバイス82は、単一フライホイールの、2軸ジャイロスコープである。デバイス82は、ジンバル支持フレーム90内に位置付けられ、フレーム90によってロール軸Rについて回転可能に支持される、ジンバル86を含む。ジンバル86は、一対のベアリング118を通じてフレーム90によって枢動可能に支持される。1つのベアリング118が、フレーム90の一対のプレート94a、94bの各々に設けられている。2つのプレート94a、94bが、プレート94a、94bの間に延びるロッド98によって連結されている。ジャイロ補助デバイス82を表面(例えば、トランク62のベース)上で支持するために、脚102がフレーム90の下方部分に連結されている。代替的な実施形態(図示せず)において、フレーム90は、追加的な支持構造を含んでよい。
【0016】
ジンバル86は、四角形の外側プロファイルを有し、以下に更に議論する、他の構成要素の中でもフライホイール106を有するフライホイールアセンブリを収容するように動作可能な孔110を含む。一対のベアリング112が、ロール軸Rに対して垂直な歳差軸Pについてジンバル86の対向する側面86a、86bに位置付けられている。ベアリング112は、フライホイール106を含むフライホイールアセンブリが歳差軸Pについて自由に枢動する或いは「歳差運動する(precess)」するよう、ジンバル86をフライホイールアセンブリに枢動的に連結する。具体的には、ジンバル86が(フライホイールのスピン(回転)(spinning)を伴って)ロール軸Rについて枢動すると、フライホイール106は、ジンバル86と共にロール(回転)(roll)させられる。何故ならば、歳差軸Pは、ジンバル86によって定められ、ジンバル86に対して固定されるからである。物理法則によれば、ロール軸Rについてのジンバル86のローリング(回転)は、均衡モーメント反応(balanced moment reaction)としてジンバル86内の歳差軸Pについてのフライホイール106の歳差運動をもたらす。ジンバル86に対するフライホイール106の歳差運動は、ベアリング112の一方に隣接して位置付けられ、コントローラと電気的に通信して提供される、精密角度エンコーダによって測定される。フライホイール106は、ジャイロライダー補助デバイス82が以下に記載するような動作不能状態に一次的に切り替えられる(toggled)ことがあるかどうかに拘わらず、フライホイールが常に準備完了状態にあるように、オートバイ10の動作を通じて高速スピン状態(high speed spinning state)に保持されることができる。専用モータ166が、フライホイール106をスピン(回転)(spins)させ、フライホイール回転速度(rotational speed)は、センサ(例えば、タコメータ150)によってモニタリング(監視)されてよい。動作速度は、特にフライホイール106の選択される質量に伴って変化し得るが、10,000~20,000rpmのオーダ或いは構成によっては最大30,000rpm又は40,000rpmのオーダにあってよい。上記に列挙したより高い速度範囲で動作するように構成されるとき、フライホイールは、部分的な真空環境に維持されることがある。
【0017】
1つの構造において、ジャイロライダー補助デバイス82は、オートバイ10が直立しているときに、フライホイール106が地面に平行な平面内でスピンするように方向付けられる(配向される)。更に、ロール軸Rは、オートバイ10の長手方向と一致し、歳差軸Pは、オートバイ10の長手方向に対して横断方向に方向付けられる。しかしながら、ジャイロライダー補助デバイス82は、ピッチ、ロール、及びヨーの組み合わせを含む、ピッチ、ロール、又はヨーに対する所望の効果を考慮して、オートバイ10上で他の向きに設けられることができる。例えば、ジャイロライダー補助デバイス82は、幾つかの構造では、フライホイール106が、前輪22、後輪26及び後輪6の平面に平行な平面内でスピンするように、方向付けられる。他の例において、例示のジャイロライダー補助デバイス82は、代わりに地面に平行な水平面内で90度回転された(rotated)向きに取り付けられて、(例えば、ブレーキダイビング(brake dive)及び/又は加速スクワット(acceleration squat)と関連するピッチング動作を制御する)ピッチ制御を提供するように作動させられる。更に他の例を以下に議論する。
【0018】
ジャイロライダー補助デバイス82は、(例えば、プレート94aの外側に固定された固定端を有する)フレーム90に結合されたアクチュエータ122を更に含む。アクチュエータ122は、可動端を有し、可動端は、力伝達機構を通じてジンバル86に連結される。力伝達機構は、レバーアーム126と、ロール軸R上のベアリング118の一方を通じて延びるアクスル又はシャフト128とを含んでよい。シャフト128は、ジンバル86に直接的又は間接的に固定されることができる。図2図4に示すように、アクチュエータ122は、通電されると直線的に延出/後退するように動作可能な線形アクチュエータであるが、他の種類のアクチュエータ、他の種類の力伝達機構、及びそれらの組み合わせも想定される。アクチュエータ122の動きは、レバーアーム126の動きに変わり、次に、ジンバル86をロール軸Rについて回転させる(rotates)。換言すれば、アクチュエータ122は、ジンバル支持フレーム90に対してジンバル86を駆動して、オートバイ10に対する修正モーメント又はトルクが生成されるよう、ジンバル86に対するフライホイール106の歳差運動を引き起こす。図2図4に示す線形アクチュエータ122は、電源(例えば、バッテリ及び/又は充電システム)によって電気的に動力供給されるソレノイド線形アクチュエータである。代替的な実施形態において、アクチュエータ122は、代替的な手段(例えば、液圧手段、空圧手段など)によって動力供給されてよい。アクチュエータ122は、幾つかの構造では、線形アクチュエータよりはむしろモータであってよく、力伝達機構は、ジンバル86を作動させるために別個のレバーアーム126を含むことができるが、それを含む必要はない。以下に議論する図5は、1つのそのような例示的な構造に関する。
【0019】
引き続き図2図4を参照すると、アクチュエータ122とジンバル86との間の力伝達機構は、選択的な係合及び係合解除のために作動可能なクラッチ130を含む。クラッチ130は、ロール軸Rにおいて、プレート94aの外側で、フレーム上に位置付けられているが、適切な機能をもたらす他の位置は任意的である。係合させられると、クラッチ130は、ジャイロライダー補助デバイス82がアクティブ化(起動)させられて、アクチュエータ122を制御することによって修正モーメントの出力を制御することができるよう、力伝達機構を有効にする。代替的に、クラッチ130が係合解除されると、クラッチ130は、アクチュエータ122とジンバル86との間の力伝達メカニズムを切り離して、ジャイロライダー補助デバイス82を選択的に非アクティブ化させる。1つの構造では、クラッチ130の1つの部分は、レバーアーム126の端と固定され、クラッチ130の別の部分は、ジンバルシャフト128と固定される。クラッチ130は、電磁的に制御されることができるが、クラッチ操作のための他の機構は、任意的である。ジャイロライダー補助システム82がクラッチ130によって非アクティブ化(起動解除)されると、ジンバル86は、動作中にオートバイ10が地面に対して傾くならば並びに地面に対して傾くときに、ジンバル支持フレーム90内で自由に動いて、地面と同じ高さに留まることが単に可能にされる。よって、クラッチ130が係合解除されると、ジャイロライダー補助デバイス82は、オートバイ10を均衡させるのを補助するように作動可能でない。しかしながら、これはもちろんオートバイの傾き角を自然に制御したい巡航速度のライダーにとっての利益である。クラッチ130は、積極的な係合又は係止を提供する歯付きクラッチであることができる。代替的な実施形態では、単プレートクラッチ又は多プレートクラッチのような、より従来的な摩擦プレートクラッチを使用されてよい。代替的に、クラッチ130は、ロール軸Rについて様々な異なる位置に配置されてよい。例えば、クラッチ130は、アクチュエータ122に(即ち、アクチュエータ内に又はアクチュエータ上に)位置付けられてよい。ジンバル86を回転させる(rolling)ためのアクチュエータとしての回転モータ(rotary motor)の場合、クラッチ130は、モータと一体的に設けられてよい。ジャイロライダー補助デバイス82は、片側のみにある単一のアクチュエータ122で示されているが、作動荷重を共有するために、他の構造では、タンデムアクチュエータがジンバル86の側面に位置するように設けられる。更に、アクチュエータ122、力伝達機構(レバーアーム126又は他のもの)、及びクラッチ130の1つ、一部、又は全部を、ジンバル86に隣接するフレーム90の内側に設け得ることも想定される。
【0020】
ジャイロライダー補助デバイス82は、他の要素の中でも、クラッチ130と通信するコントローラを追加的に含む。コントローラは、クラッチ130を自動的に作動させて、力伝達メカニズムを切り離して、ジャイロライダー補助デバイス82を選択的に非アクティブ化させるようにプログラムされる。従って、オートバイ10は、閾速度を超えて走行するときに自由に傾くことが可能にされる。加えて、コントローラは、クラッチ130を自動的に作動させて、力伝達機構に連結して、ジャイロライダー補助デバイス82を選択的にアクティブ化させて、閾速度以下の速度で走行するときにオートバイ10を均衡させるのを助けてよい。オートバイ10の走行速度は、信号をコントローラに報告する車輪速度センサによって直接的に測定されることができる。代替的に、走行速度は、エンジン速度及び変速比(transmission rate)などから計算される全地球測位装置(GPS)によって得られてよい。以下に更に詳細に議論するように、閾速度値をメモリに格納することができる。閾速度値は、幾つかの構成においてユーザ調整可能であってよい。閾速度、及びジャイロライダー補助デバイス82の自動切換えは、オートバイ10の第1の状態からオートバイの第2の状態への移行後のアクティブ化/非アクティブ化の一例であり、他のものが可能である。これらは、単純なユーザのオン/オフ制御、及び(例えば、閾速度を超えて選択的にアクティブ化される且つ/或いはライダーによって無効にされることができる)1つ又はそれよりも多くのシナリオにおいてコントローラがオートバイ10の不十分なライダー開始傾き角を決定するときのコーナリング(急旋回)のための自動ロール又は傾き補助を含むが、それらに限定されない。よって、ジャイロライダー補助デバイス82は、オートバイ10を低速で完全直立状態にさせる動作に厳密に限定されないが、それは特に有用な例示的な実施であることが理解されるべきである。ジャイロライダー補助デバイス82の選択的なアクティブ化は、例えば、ディスプレイ又はインフォテインメントシステム(infotainment system)を通じて、オートバイ10の2つ又はそれよりも多くのライダー選択可能な駆動モードの部分として切り替えられる(toggled)ことができる。
【0021】
フライホイールアセンブリに戻ると、フライホイール106は、歳差軸Pについての歳差運動のためにジンバル86内に支持されたディスクである。加えて、フライホイール106は、ジンバル86内のブラケットアセンブリ134によって支持されて、中心フライホイール軸Fについて(例えば、上から時計回りに)回転する(rotates)。ブラケットアセンブリ134は、フライホイール軸F上でフライホイール106のアクスル又はシャフト138(図3)を介してフライホイール106に連結される。ブラケットアセンブリ134は、歳差軸Pに沿う第1のシャフト142a及び第2のシャフト142bを介してジンバル86内に回転可能(rotatably)に支持される。よって、ブラケットアセンブリ134は、ロール軸Rについてジンバル86と共に拘束的に(captively)ロールする。フライホイール106は、ロール軸Rに沿ってジンバル86又はフレーム90に固定されないので、フライホイール106は、ブラケットアセンブリ134内のフライホイール軸Fについてスピンし且つロール軸Rについてジンバルと共にロールする間に、歳差軸Pについてジンバル86に対して自由に歳差運動する。
【0022】
ブラケットアセンブリ134は、歳差軸Pに沿ってフライホイール106をジンバル86に連結する第1のブラケット又は上方ブラケット146を含む。第1及び第2のシャフト142a、142bは、ジンバル86の対向する側面86a、86bと係合する。具体的には、シャフト142a、142bは、ジンバル86上のベアリング112に連結する。上方ブラケット146に連結された上方プレート154が、タコメータ150及びフライホイールシャフト138の端を越えて延びることができる。第2のブラケット又は下方ブラケット158が、フライホイール106を収容する間隙を上方ブラケット146と下方ブラケット158との間に残して、上方ブラケットの遠位端で上方ブラケット146に固定される。下方ブラケット158は、フライホイールモータ166を収容するよう動作可能なモータキャリッジ162を含む。しかしながら、代替的な実施形態において、モータ166は、代替的な場所に位置付けられてよい。
【0023】
ジャイロライダー補助デバイス82は、アクティブ動作状態と非アクティブ動作状態との間で手動で又は自動的に作動されてよいので、それは、ライダーが、例えば低速でオートバイ10を安定化させる補助を必要とするときにのみ、有効である。幾つかの構造において、ジャイロライダー補助デバイス82は、オートバイ10が閾速度をもはや超えていないことに応答して、ジャイロライダー補助デバイス82が作動させられるよう、自動的に作動させられる。具体的には、オートバイ10が閾速度より下に減速すると、コントローラは、クラッチ130を作動させて、力伝達機構に連結させ、力伝達機構は、ジャイロライダー補助デバイス82を作動させる。閾速度は、エンジン18がホイールから切り離される可能性が高い、極めて低い速度、例えば、2mphのような3mphを下回る速度に設定されてよい。例えば、停止に至ったときのライダーによる、エンジン18と変速装置との間のクラッチの係合解除又は開放は、クラッチ130でジャイロライダー補助デバイス82をアクティブ化させるための条件であってもよい。図4に示すように、アクチュエータ122は通電され、直線方向Aに移動し、ジンバル86に作動トルクBを加え、ジンバル86は、ロール軸Rについてそれと共にフライホイール106を支持する。ジンバル86及びフライホイール106がロール軸Rについてロールすると、回転力Cがフライホイール106に加えられて、フライホイール106を歳差軸Pについて歳差運動させる。歳差運動は、フライホイール106の角運動量の変化によって引き起こされる。フライホイールの質量慣性モーメントと回転速度との可能な組み合わせの故に、フライホイール106は、相当な又は有意な量の角運動量を有する。従って、フライホイール106が、ロール軸Rについて作動トルクBによって作用されるとき、フライホイール106の対応する歳差運動及び関連する反応トルクがなければならない。作動トルクBと等しい大きさの反応トルクは、補正のためにオートバイ10に加えられる。コントローラは、車両転倒センサ(vehicle tip sensor)からの信号に応答してアクチュエータ122への入力を制御することができ、車両転倒センサは、オートバイ10の転倒(tipping)をモニタリングする。転倒センサは、ジャイロライダー補助デバイス82による適切な補正行動(corrective action)を計算するために、少なくとも転倒の方向及び大きさを報告する。転倒の変化率(rate of change)が、ジャイロライダー補助デバイス82の応答に影響を及ぼすこともある。コントローラは、フライホイール106の質量及びその回転速度を考慮したアルゴリズム(例えば、コントローラのメモリに格納される或いはコントローラと通信する実行される指令)でプログラムされることができ、それは、タコメータ150からの信号がコントローラに報告されるときに、タコメータ150によって検証されることができる。メモリは、フライホイールの質量、オートバイの質量、固定的な又は調整可能な設定などのような、データを格納することもできる。
【0024】
ジャイロライダー補助デバイス82の応答は、制御装置によって注意深く計算され、(オートバイ10が低速で極めて安定していることに単に気付く)ライダーによって可能な限り気付かれないように自動的に実行されるが、ジャイロライダー補助デバイス82を有効/無効にするための閾速度は、例えば、インフォテインメントシステムの設定メニュー又は他の実装される制御装置を通じた、ライダー調整可能パラメータであってよい。更に、ジャイロライダー補助デバイス82は、閾速度を下回っても有効でないよう、ライダーによって完全にオフに切り替えられる(toggled off)ことができる。ライダーによってオフに切り替えられると、ジャイロライダー補助デバイス82はクラッチ130によって無効にされることがある一方で、フライホイール106は回転し続けるか、或いはフライホイール106はモータ166への動力供給を停止することを介して停止させられてよく、後者は、フライホイール106を休止から動作速度までスピンさせるのに必要な時間の故に、より永久的なオフ状態である。モータ166のこの種類の又は他の種類の制御は、コントローラの指令及び出力を通じて達成されることができる。
【0025】
図5は、別のジャイロライダー補助デバイス282を表示している。この実施形態には示していないが、ジャイロライダー補助デバイス282は、図2図4を参照して上述したジャイロライダー補助デバイス82と類似してよい。例示のジャイロライダー補助デバイス282は、ジャイロライダー補助デバイス82に類似し、同等の部品を含む。ここでは、以下に特に含められていないジャイロライダー補助デバイス282の構成及び要素の記述のために、図2図4に示すジャイロライダー補助デバイス82の記述を参照する。
【0026】
例示のジャイロライダー補助デバイス282は、フレーム内に位置付けられ、ロール軸R’についてフレームによって回転可能に支持される、ジンバル286を含む。ジンバル286は、フライホイール206がフライホイール軸F’について自由に回転し、ロール軸R’についてジンバル286と共にロールし、歳差軸P’について歳差運動するように、フライホイール206を支持する。フレームは、サーボモータ266を支持する2つのプレート294a、294bと、プレート294a、294bの間に挟装されたクラッチ230とを含む。より具体的には、サーボモータ266の出力に連結されたレバーアーム226が、クラッチ230の第1の側面に延びている。クラッチ230は、クラッチ230がジャイロライダー補助デバイス282のアクティブ状態/非アクティブ状態を制御するように、レバーアーム226をジンバル286と選択的に連結させる。
【0027】
図5にも示すように、(歳差軸P’としてラベル付けされた軸ついて)ジンバル286に対してフライホイール206及びブラケットアセンブリ134を移動させるためにサーボモータ266のようなアクチュエータを提供することが可能である。特に、これは、フライホイール206の向きを能動的に駆動することによって、ジャイロライダー補助デバイス282の作動を可能にし、その反応は、ロール軸R’としてラベル付けされた軸についてのジンバル286の歳差運動である。サーボモータ266又は他のアクチュエータは、ジンバル286に対してフライホイール206及びブラケットアセンブリ134と共に移動する。ジャイロライダー補助デバイス282は、所望の向き及びモーメント補助方式に依存して、サーボモータ266の一方又は両方を特徴付けることができる。任意的に、クラッチ230を介してサーボモータの両方を連結して、選択的な係合解除を可能にすることができる。複数のアクチュエータを用いることで、ジャイロライダー補助デバイス282は、離散的に又は互いに組み合わせて(例えば、車両ピッチ及びロール/傾斜の一方又は両方)、多軸モーメント補助を提供することができる。しかしながら、ジャイロライダー補助装置282が、単独で又は他の補助モーメントとの組み合わせにおいて、補助ヨーモーメントを提供するように構成されることも可能である。幾つかの構成において、ジャイロライダー補助デバイス282は、2つのクラッチ230のうちのどの1つが係合されており且つどの1つが係合解除されているかを切り換えること(switching)によって、ピッチ補正モードとロール/傾斜補正モードとの間を切り換える(switch)ことができる。ジャイロライダー補助デバイス282の様々な動作及びモード切換えは、必要に応じてコントローラによって自動的に実行されることができ、且つ/或いは上述のようにライダー制御されることができる。
【0028】
本開示の様々な構成及び利点は、以下の請求項に記載されている。
【符号の説明】
【0029】
10 オートバイ (motorcycle)
14 フレーム (frame)
18 エンジン (engine)
22 前輪 (front wheel)
26 後輪 (rear wheel)
30 ステアリングユニット (steering unit)
34 ハンドルバー (handlebar)
38 フロントフォーク (front folk)
42 スイングアーム (swing arm)
46 シート (seat)
58 サドルバッグ (saddlebags)
62 トランク (trunk)
66 本体 (body)
70 蓋 (lid)
74 ヒンジ (hinges)
78 ラッチ (latches)
82 ジャイロライダー補助デバイス (gyroscopic rider assist device)
86 ジンバル (gimbal)
86a 側面 (side)
86b 側面 (side)
90 フレーム (frame)
94a プレート (plate)
94b プレート (plate)
98 ロッド (rods)
102 脚 (feet)
106 フライホイール (flywheel)
110 孔 (aperture)
112 ベアリング (bearings)
118 ベアリング (bearings)
122 線形アクチュエータ (linear actuator)
126 レバーアーム (lever arm)
128 シャフト (shaft)
130 クラッチ (clutch)
134 ブラケットアセンブリ (bracket assembly)
142a 第1のシャフト (first shaft)
142b 第2のシャフト (second shaft)
146 上方ブラケット (upper bracket)
150 タコメータ (tachometer)
154 上方プレート (upper plate)
158 下方ブラケット (lower bracket)
162 モータキャリッジ (motor carriage)
166 フライホイールモータ (flywheel motor)
206 フライホイール (flywheel)
226 レバーアーム (lever arm)
230 クラッチ (clutch)
266 サーボモータ (servomotor)
282 ジャイロライダー補助デバイス (gyroscopic rider assist device)
286 ジンバル (gimbal)
294a プレート (plate)
294b プレート (plate)
F フライホイール軸 (flywheel axis)
F’ フライホイール軸 (flywheel axis)
P 歳差軸 (precession axis)
P’ 歳差軸 (precession axis)
R ロール軸 (roll axis)
R’ ロール軸 (roll axis)
図1
図2
図3
図4
図5