(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】扉でスイッチが隠される歯科用光重合器
(51)【国際特許分類】
A61C 13/15 20060101AFI20240228BHJP
B29C 35/08 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61C13/15
B29C35/08
(21)【出願番号】P 2019196542
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(72)【発明者】
【氏名】坪井 太郎
(72)【発明者】
【氏名】粂田 治庸
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-105607(JP,A)
【文献】実開平02-004104(JP,U)
【文献】特開2014-226209(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0057816(KR,A)
【文献】特開昭47-036030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/15
B29C 35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する重合空間を内部に有するケース本体と前記開口部を塞ぐ扉とからなるケースと、
前記ケース本体の内壁部に配置されて、前記重合空間内に配置された光硬化性材料からなる歯科用補綴物に光を照射する1以上の発光源と、
前記ケース本体内に配置されて、キートップを有する1以上の設定スイッチにより設定された条件で前記1以上の発光源に電力を供給する電力供給回路と、
前記扉が閉じられているときにだけ、前記電力供給回路から前記1以上の発光源に前記電力が供給されることを許容する扉開閉検知手段を備えている歯科用光重合器であって、
前記1以上の設定スイッチが、前記扉が開かれているときには操作可能であり、前記扉が閉じられているときには前記扉によって隠蔽され且つ前記1以上の発光源からの光に前記キートップが晒されない位置に配置されて
おり、
前記扉が閉じられた状態で、前記重合空間から前記光が漏れて前記1以上の設定スイッチの前記キートップに当たることを阻止する遮光構造を備えており、
前記開口部に沿って形成されて前記開口部の前方及び前記重合空間に向かって開口する凹部を備えており、
前記凹部内に前記1以上の設定スイッチの前記キートップが位置しており、
前記扉には、前記遮光構造として、前記扉が閉じられた際に、前記凹部の前記重合空間側の開口を閉塞する閉塞板が配置されていることを特徴とする歯科用光重合器。
【請求項2】
前記キートップは、樹脂製である請求項1に記載の歯科用光重合器。
【請求項3】
前記1以上の設定スイッチが、前記ケース本体の前記開口部の周囲にあって、前記扉が閉じられた状態において、前記扉と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科用光重合器。
【請求項4】
前記扉の外装板は、未硬化の光硬化性材料が付着しにくい金属材料によって形成されている請求項1に記載の歯科用光重合器。
【請求項5】
前記扉の前面部には、1以上の時間設定スイッチにより設定された設定時間の経過を表示する表示手段を備えている請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の歯科用光重合器。
【請求項6】
前記表示手段は、複数の発光素子と該複数の発光素子を制御する発光制御回路とを備えており、
前記発光制御回路は、前記設定時間が予め定めた時間経過するまでは、前記複数の発光素子を点灯状態にし、前記設定時間が予め定めた時間経過すると、所定の時間が経過するごとに順番に前記複数の発光素子を消灯する請求項
5に記載の歯科用光重合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合空間内に配置された光硬化性材料からなる歯科用補綴物に光を照射する歯科用光重合器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第6347840号公報(特許文献1)には、蓋が閉鎖した姿勢で蓋で囲まれる空間の内側に配置され、開口が形成された姿勢で発光源の点灯と非点灯とを切り替える内側スイッチと、蓋で囲まれる重合空間の外側に配置され、閉鎖の姿勢で発光源の点灯と非点灯とを切り替える外側スイッチとを備えた歯科用光重合器が開示されている。具体的には、蓋が閉じられたときに蓋で囲まれる重合空間の内側に配置される発光源の点灯と非点灯とを切り替える内側スイッチは、仮重合用の光の照射時間を、光を照射しながら調整するために、蓋をあけた状態で操作する目的で、重合空間の内側に配置されている。そして重合空間の外側(具体的には、蓋に覆われないケース本体の前面部)に本重合用の発光源の点灯と非点灯を切り替える外側スイッチを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の歯科用光重合器のように、本重合用の発光源の点灯と非点灯の切り替えに用いる外側スイッチのキートップには、作業者の指先に付いた光硬化性材料が、付着することが多い。キートップに付着して硬化した光硬化性材料は、多くは後から取り除くことができるものの、取り除けないものもあり、さらに取り除く回数が多くなるとキートップが変色したりするため、歯科用光重合器の正面の外観が見栄えの悪い状態になる問題がある。また歯科用光重合器は、作業台の上に置かれて使用されるため、外側スイッチが装置の前面側にあると、作業者が誤って外側スイッチに触れてしまい、誤動作が発生する問題がある。
【0005】
本発明の目的は、長期に亘って使用しても外観の見栄えが悪くなるのを防止することができて、しかも誤動作を生じさせ難い歯科用光重合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の歯科用光重合器は、開口部を有する重合空間を内部に有するケース本体と開口部を塞ぐ扉とからなるケースと、ケース本体の内壁部に配置されて、重合空間内に配置された光硬化性材料からなる歯科用補綴物に光を照射する1以上の発光源と、ケース本体内に配置されて、キートップを有する1以上の設定スイッチにより設定された条件で複数の発光源に電力を供給する電力供給回路と、扉が閉じられているときにだけ、電力供給回路から1以上の発光源に電力が供給されることを許容する扉開閉検知手段を備えている。本発明では、1以上の設定スイッチを、扉が開かれているときには操作可能であり、扉が閉じられているときには扉によって隠蔽され且つ1以上の発光源からの光にキートップが晒されない位置に配置する。
【0007】
本発明のように、扉が閉じられた状態において、扉によって隠蔽され且つ1以上の発光源からの光にキートップが晒されない位置に1以上の設定スイッチを配置すると、スイッチのキートップが発光源からの光に直接晒されることがなく、キートップに光硬化性材料が付着しても直ぐに硬化することがないので、キートップに付着した光硬化性材料の拭き取りが容易である。また拭き取りきれなかった光硬化性材料が残っても、扉の外側からは見えないので、装置の外観の見栄えが悪くなることはない。さらに設定スイッチが扉によって隠蔽されているので、動作中に作業者がスイッチを誤操作することを防止できる利点がある。また重合空間に1以上の発光源から放射される光は、樹脂成形品を劣化させるため、キートップが樹脂製の場合に、重合空間内にキートップが露出する状態で1以上の設定スイッチを配置すると、キートップが劣化する問題が発生するが、本発明によれば、キートップが発光源からの光に晒されないので、このような劣化を防止できる。
【0008】
なお設定スイッチは、照射時間または光量等の設定、スタートまたは停止の設定などに用いられるスイッチがある。また設定スイッチ以外のスイッチが、1以上の設定スイッチと一緒に設けられていてもよいのは勿論である。
【0009】
1以上の設定スイッチは、ケース本体の開口部の周囲にあって、扉が閉じられた状態において、扉と対向する位置に配置されていてもよい。このような位置に1以上の設定スイッチを配置すると、ケース本体の開口部の周囲の形状及び扉の裏側の形状を単純な形状とすることができ、製造コストを下げることができる。
【0010】
開口部と対向する扉の外装板は、未硬化の光硬化性材料が付着しにくい金属材料によって形成されているのが好ましい。このような金属材料としては、例えばアルマイト処理されたアルミニウム板を用いることができる。このような材料で外装板を形成すると、光硬化性材料が付着し難い上、付着して硬化した光硬化性材料を簡単に除去することができる。
【0011】
扉が閉じられた状態で、重合空間から光が漏れて1以上の設定スイッチのキートップに当たることを阻止する遮光構造を備えているのが好ましい。このような遮光構造を用いれば、スイッチのキートップを発光源からの光に晒されるのを確実に防止できる。
【0012】
遮光構造は、扉が閉じられた状態で、扉とケース本体の開口部の周囲に位置する面との間に挟まれて、開口部の周囲を囲む遮光性材料からなる枠部材を備えているのが好ましい。遮光性材料としては、ゴム、独立気泡タイプのスポンジ等を用いることができる。枠部材は、扉側またはケース本体側のいずれに設けられていてもよく、また両者にそれぞれ分散して設けられていてもよい。
【0013】
また開口部に沿って形成されて開口部の前方及び重合空間に向かって開口する凹部を備え、凹部内に1以上の設定スイッチのキートップが位置していてもよい。この場合、扉には、遮光構造として、扉が閉じられた際に、凹部の重合空間側の開口を閉塞する閉塞板を配置する。このような構造にしても、1以上の設定スイッチのキートップを発光源からの光に晒されるのを防止できる。
【0014】
扉の前面部にスイッチを配置しない場合でも、扉の前面部には、1以上の時間設定スイッチにより設定された設定時間の経過を表示する表示手段を備えているのが好ましい。このようにすれば、扉が閉じられている状態で、作業者に運転状況を知らせることができる。
【0015】
表示手段は、複数の発光素子と該複数の発光素子を制御する発光制御回路とを備えているのが好ましい。この場合、発光制御回路は、設定時間が予め定めた時間経過するまでは、複数の発光素子を点灯状態にし、設定時間が予め定めた時間経過すると、所定の時間が経過するごとに順番に複数の発光素子を消灯するようにしてもよい。このようにすると、点灯している発光素子の数または量を認識することにより、作業状況を感覚的に把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の歯科用光重合器の実施の形態の一例で、扉が閉じた状態の歯科用光重合器の斜視図である。
【
図2】扉が開いた状態の歯科用光重合器の斜視図である。
【
図3】扉が開いた状態の歯科用光重合器の正面図である。
【
図4】扉が開いた状態の歯科用光重合器の背面図である。
【
図7】(A)及び(B)は、設定スイッチの異なる配置例を説明するための用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の歯科用光重合器の実施の形態の一例で、扉5が閉じた状態の歯科用光重合器1の斜視図を示しており、
図2、
図3及び
図4は扉5が開いた状態の歯科用光重合器1の斜視図、正面図及び背面図をそれぞれ示している。
図5は
図4のV-V線概略断面図を示しており、
図6は
図4のVI-VI線概略断面図を示している。なお
図5及び
図6においては、配線と所定の部品の詳細構造は省略してある。
【0018】
本実施の形態の歯科用光重合器1は、ケース3を備えており、ケース3は扉5とケース本体7とを備えている。ケース本体7は、開口部9を有する重合空間11を内部に有している。重合空間11は、歯科用補綴物が置かれるターンテーブル13が配置される底壁部15Aと、底壁部15Aよりも幅寸法が小さく且つ底壁部15Aと対向する上壁部15Bと、底壁部15Aの幅方向の両端から起立する一対の起立壁部15C及び15Dと、一対の起立壁部15C及び15Dと上壁部15Bの幅方向の両端とを結ぶ一対の傾斜壁部15E及び15Fと、開口部9と対向する対向壁部15Gとからなる壁構造体15によって囲まれている。一対の傾斜壁部15E及び15F、上壁部15B及び対向壁部15Gには、ターンテーブル13上の歯科用補綴物(図示せず)に向かって光を照射するように配置された複数の青色と白色の発光ダイオードを備えた4つの発光源17が配置されている。そして一対の起立壁部15C及び15Dには、ターンテーブル13上の歯科用補綴物に向かって光を照射するように、発光源17の発光ダイオードよりも波長が短い光を放射する発光ダイオードを備えた追加の発光源19がそれぞれ配置されている。このように波長の異なる発光源と備えていると、発光ダイオードを発光素子として用いる場合でも、硬化させる樹脂の特性に応じた波長の発光源を準備できる。
【0019】
またケース本体7は、開口部9が形成された正面側外壁7Aと、一対の起立壁部15C及び15D及び一対の傾斜壁部15E及び15Fの外側に位置する一対の側面側外壁7B及び7Cと、上壁部15Bの外側に位置する上面側外壁7Dと、対向壁部15Gの外側に位置する背面側外壁7Eと、底壁部15Aの外側に位置する底面側外壁7Fとを備えている。正面側外壁7Aは、開口部9が形成されて上下方向に延びる第1の外壁部分7Aaと、第1の外壁部分7Aaの下端部から水平方向に延びる第2の外壁部分7Abと、第2の外壁部分7Abの先端部から下方に延びる第3の外壁部分7cとを備えている。第2の外壁部分7Abの幅寸法は、蓋5の厚みより僅かに大きく、第2の外壁部分7Abの長さ寸法は蓋5の幅寸法とほぼ等しい。その結果、
図1に示すように、扉5が閉じられた状態で、蓋5が第2の外壁部分7Abの空間に嵌まった状態になる。
図2及び
図3に示すように、正面側外壁7Aの第1の外壁部分7Aaと、扉5の裏面5Bとの間には、扉5をケース本体7に対して開閉自在に取り付けるための一対の蝶番21が配置されている。正面側外壁7Aの開口部9よりも下側で第1の外壁部分7Aaの第2の外壁部分7Abに隣接する部分(面)には、それぞれプッシュ式スイッチからなる5つの設定スイッチ23~27の樹脂製のキートップ23A~27Aが突出している。キートップ23A~27Aの上には、各スイッチが押されていることを、点灯することによって表示する表示ランプ29が配置されている。本実施の形態では、設定スイッチ23~27が発光源(17,19)の照射時間を設定するためのスイッチである。5つの設定スイッチ23~27は、それぞれ発光源(17,19)の照射時間を予め定めた異なる設定時間に設定する際に、操作者によって押される。
【0020】
このような位置に設定スイッチ23~27を配置すると、ケース本体7の開口部9の周囲にあって、扉5が閉じられた状態において、扉5と対向する位置に、設定スイッチ23~27が配置されることになる。すなわちこの構成によれば、設定スイッチ23~27を、扉5が開かれているときには操作可能であり、扉5が閉じられているときには扉5によって隠蔽され且つ発光源(17,19)からの光にキートップ23A~27Aが晒されない位置に配置することが可能になる。その結果、キートップに光硬化性材料が付着しても直ぐに硬化することがないので、キートップに付着した光硬化性材料の拭き取りが容易である。また拭き取りきれなかった光硬化性材料が残っても、扉5の外側からは見えないので、装置の外観の見栄えが悪くなることはない。さらに設定スイッチ23~27が扉によって隠蔽されているので、動作中に作業者がスイッチを誤操作することを防止できる利点がある。
【0021】
ケース本体7内には、設定スイッチ23~27により設定された設定時間だけ複数の発光源(17,19)に電力を供給する電力供給回路31と、扉5が閉じられているときにだけ、設定スイッチ23~27の設定により電力供給回路31から発光源(17,19)に電力が供給されることを許容する扉開閉検知手段としてリミットスイッチ34が配置されている。正面側外壁7Aの第1の外壁部分7Aaの上方領域には、扉5の裏面側に設けられたプッシュ棒33が扉5を閉じた際にリミットスイッチ34を押すことを可能にする貫通孔35が形成されている。
【0022】
また本実施の形態では、扉5の前面部にスイッチを配置しない場合でも、扉5によって覆われないケース本体7の正面側外壁7Aの第3の外壁部分7Acには、設定スイッチ23~27により設定された設定時間の経過を表示する表示手段37を備えている。表示手段37は、複数の発光素子39と該複数の発光素子39を制御する図示しない発光制御回路とを備えている。この場合、発光制御回路は、設定時間が予め定めた時間経過するまでは、複数の発光素子39を点灯状態にし、設定時間が予め定めた時間経過すると、所定の時間が経過するごとに順番に複数の発光素子39を消灯するようにしている。このようにすると、扉5が閉じられている状態で、作業者に運転状況を知らせることができる上、点灯している発光素子39の数または量を作業者が認識することにより、作業状況を感覚的に把握することができるようになる。なお表示手段37は、扉5の前面部分に設けてもよいのは勿論である。
【0023】
本実施の形態では、扉5の裏面側に、扉5が閉じられた状態で、開口部9の周囲を囲んで、重合空間11から光が漏れて設定スイッチ23~27のキートップ23A~27Aに当たることを積極的に阻止する遮光構造としての枠部材41を備えている。本実施の形態の枠部材41は、ゴム、独立気泡タイプのスポンジ等の遮光性材料から形成されており、扉5が閉じられた状態で、扉5とケース本体7の開口部9の周囲に位置する第1の外壁部分7Aaの表面との間に挟まれて圧縮されている。圧縮状態を形成し且つ維持するために、扉5の裏面と第1の外壁部分7Aaの表面には、扉5が閉じられたときに引きつけ合うマグネット43及び45が固定されている。このような遮光構造を用いれば、設定スイッチ23~27のキートップ23A~27Aを発光源17,19からの光に晒されるのを確実に防止できる。
【0024】
なお枠部材41は、扉5側またはケース本体7側のいずれに設けられていてもよく、また両者にそれぞれ分散して設けられていてもよい。また本実施の形態では、枠部材41により遮光構造を構成したが、遮光構造は枠部材41のように開口部9を囲む、枠形状である必要はなく、設定スイッチ23~27のキートップ23A~27Aの上方に連続して横方向に延びる直線状のものでもよいのは勿論である。
【0025】
本実施の形態では、扉5の中央部に、扉5が閉じられた状態で、重合空間11内を覗くための窓部47が設けられている。この窓部47には、光透過性を有し且つ減光特性を有する交換可能な減光板48が装着されている。この減光板48は、着色ガラス板、着色ポリカーボネート板等によって形成されたものを用いるのが好ましい。このような減光板48として、溶接用マスク等で作業者の目を保護する目的で使用されているものを用いると、装置の価格を安くすることができる。またガラス板を減光板48として用いると汚れ難く、汚れを簡単に除去することができる。
【0026】
また本実施の形態では、
図4及び
図6に示すように、ケース本体7の背面側外壁7Eに設けた吐き出し口51には、吐き出し用送風機53が装着されている。また一対の側面側外壁7B及び7Cには、ケース本体7の内部空間57に外気を引き込む吸引口55が設けられている。
図6に示すように、ケース本体7と壁構造体15との間の内部空間57には、複数の発光源14,19及びその駆動回路から発生する熱を放熱するための空気が流れる冷却流路が形成されている。本実施の形態のように、一対の側面側外壁7B及び7Cに設けた吸引口55からケース本体7と壁構造体15との間の内部空間57を通って吐き出し口51に至る冷却流路を形成すると、重合空間11を内部に有する壁構造体15も一緒に冷却できるので、重合空間11内の温度が必要以上に高くなることを有効に防止できる。
【0027】
(変形例)
上記実施の形態では、ケース本体7の正面側外壁7Aの開口部9よりも下側の第2の外壁部分7Abに隣接する部分に、5つの設定スイッチ23~27の樹脂製のキートップ23A~27Aを配置した。しかしながら設定スイッチ23~27の配置は、上記実施の形態の態様に限定されるものではない。
図7(A)及び(B)は、設定スイッチ23~27の異なる配置例を示している。
図7の配置例では、開口部9に沿って開口部9の前方と重合空間11内に向かって開口する凹部61と、この凹部61の重合空間11側に開口する開口部63を閉塞する閉塞板5Aを備えている。凹部61の、第2の外壁部分7Abと連続する底部61Aには、設定スイッチ23~27の樹脂製のキートップ23A~27Aが、突出している。また壁構造体15の底壁部15Aと凹部61の底部61Aとの間に位置する側部61Bには表示ランプ29が設けられている。そして扉5には、遮光構造として、扉5が閉じられた際に、凹部61の重合空間11側の開口部63を閉塞する閉塞板5Aが配置されている。このような構造にしても、設定スイッチ23~27の樹脂製のキートップ23A~27Aを発光源(17,19)からの光に晒されるのを防止できる。なおこの凹部61は、開口部9の周囲のその他の部分に設けられてもよい。また凹部61の底部61Aに表示ランプ29を設け、凹部61の側部61Bにキートップ23A~27Aを配置するようにしてもよい。なお凹部61は、開口部9の周囲であれば何処に設けてもよい。
【0028】
上記実施の形態は、本発明の実施の形態の一例であって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、扉が閉じられた状態において、扉によって隠蔽され且つ1以上の発光源からの光にキートップが晒されない位置に1以上の設定スイッチを配置したので、スイッチのキートップが発光源からの光に直接晒されることがなく、キートップに光硬化性材料が付着しても直ぐに硬化することがなく、キートップに付着した光硬化性材料の拭き取りが容易である。また拭き取りきれなかった光硬化性材料が残っても、扉の外側からは見えないので、装置の外観の見栄えが悪くなることはない。さらに設定スイッチが扉によって隠蔽されているので、動作中に作業者がスイッチを誤操作することを防止できる利点がある。
【符号の説明】
【0030】
1 歯科用光重合器
3 ケース
5 蓋
7 ケース本体
9 開口部
11 重合空間
13 ターンテーブル
15 壁構造体
17,19 発光源
21 蝶番
23~27 設定スイッチ
23A~27A キートップ
31 電力供給回路
34 リミットスイッチ(開閉検知手段)
35 貫通孔
37 表示手段
39 発光素子
41 枠部材(遮光構造)
43,45 マグネット
47 窓部
48 減光板
51 吐き出し口
53 吐き出し用送風機
55 吸引口
57 内部空間
61 凹部
5A 閉塞板