(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】乾式壁材
(51)【国際特許分類】
E04F 13/12 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
E04F13/12 101F
(21)【出願番号】P 2019219723
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石垣温子
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-141603(JP,A)
【文献】特開2003-239447(JP,A)
【文献】特開2003-013580(JP,A)
【文献】特開2019-065506(JP,A)
【文献】特開2003-090112(JP,A)
【文献】特開2017-31720(JP,A)
【文献】特開2018-53633(JP,A)
【文献】特開2015-86607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/12
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製表面材と裏面材間に芯材を形成し、金属製表面材の上下端部に雄雌連結構造を形成した横長で長尺状の乾式壁材において、金属製表面材の化粧面に、
上傾斜面と底面と下傾斜面とからなる3面構造を形成した複数本の横目地を形成し、さらに該横目地によって区画化された化粧面は上下左右それぞれの方向に傾斜を有した傾斜面または平面からなる多数の凸部
からなる複数段のブロックを形成し、該凸部は短手方向の長さHと長手方向の幅Wとの関係においてH>Wが常に成り立つことを特徴とする乾式壁材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物の内装、あるいは外装を形成する乾式壁材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製板材をロール成形、プレス成形等して加工し、化粧面に凹凸を形成した外装材は数多く上市されている。(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5882782号公報
【文献】特開2009-281075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は「外装材等に使用する建築板」に係り、木質系基板や金属系基板を使用し、略水平に形成された線状柄により、短手端部同士が隣接する建築板の継ぎ目を目立たなくさせる等の効果を発揮させるものである。特許文献2は「金属サイディングを用いた壁構造」に係り、平面視略矩形の飾り凹部が目地溝部を挟んで交互に対向することなくずらした意匠を有する金属サイディングを使用した記載がされている。
【0005】
しかしながら特許文献1および2は金属製板材の化粧面にエンボスや印刷を施したり、凹部の配置を工夫することにより、連結を目立たなくさせることに重きをおいており、単調な意匠になってしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような欠点を解消するために、金属製表面材と裏面材間に芯材を形成し、金属製表面材の上下端部に雄雌連結構造を形成した横長で長尺状の乾式壁材において、金属製表面材の化粧面には上傾斜面と底面と下傾斜面とからなる3面構造を形成した複数本の横目地が形成され、前記横目地により区画化された化粧面は、横目地と直交するように複数の凸部から形成される複数の傾斜面および平面とからなる複数段のブロックを形成し、該凸部は短手方向の長さHと長手方向の幅Wとの関係においてH>Wが常に成り立っており、上下方向において同一形状の前記傾斜面および平面が並ばず、不規則な凹凸を有することを特徴とする乾式壁材。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る乾式壁材によれば(1)複数本の横目地により、外装材同士の連結目地を目立たなくすることができ、外装材意匠の一体感を作り出すことができる。(2)縦張り、横張りそれぞれの施工方法によって異なる印象を醸し出すことができる。(3)各段のブロックに形成される凸状のテクスチャが外装材の短手方向および長手方向それぞれに傾斜しているため、いずれの施工方法においても陰影が出やすい。等の特徴、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る乾式壁材の代表例を示す端面図である。
【
図2】本発明に係る乾式壁材の代表例を示す部分拡大断面図である。
【
図3】本発明に係る乾式壁材の施工状態を示す断面図である。
【
図4】本発明に係る乾式壁材の化粧面を示す部分拡大図である。
【
図5】本発明に係る乾式壁材の化粧面を示す正面図である。
【
図6】本発明に係る乾式壁材の化粧面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
以下に図面を用いて、本発明に係る乾式壁材の一実施例について詳細に説明する。乾式壁材Aは
図1、
図2(a)、(b)、
図3、
図4に示すように、金属製表面材1と裏面材2の間に芯材3が充填されている乾式壁材Aである。例えば金属製表面材1と裏面材2は金属薄板からなり、芯材3は合成樹脂発泡体からなる。また、
図3は施工状態を示す図であり、αは躯体、βは固定具、γは連結目地部である。なお
図1~3は化粧面6部分の凹凸模様(エンボス模様)を省略して示したものであり、詳細は
図5に示したものである。
【0010】
金属製表面材1と裏面材2は例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(もちろん、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をエンボスロール成型あるいはプレス成型したものである。また、裏面材2としてはアルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の一種、または二種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものでも良い。
【0011】
芯材3は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体からなるものであり、金属製表面材1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出し、加熱して反応・硬化させて金属製表面材1もしくは裏面材2を一体に形成するものである。また、芯材3の中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることもできる。
【0012】
乾式壁材A同士は、係合片10が嵌合溝16へ、係合溝11には嵌合片14が連結されることにより、
図3に示すように連結されるものである。
【0013】
乾式壁材Aの全体形状の一例としては、
図1、
図2(a)、(b)に示すように、長尺で金属製の薄板からなる金属製表面材1と裏面材2間に芯材3をサンドイッチし、幅方向の一端に形成した雄型連結部4、他端に形成した雌型連結部5とから形成し、化粧面6の下端には下側壁7、上端には上側壁8を形成したものである。
【0014】
さらに詳説すると、雄型連結部4は化粧面6下端を裏面側に屈曲した下側壁7と、下側壁7の先端を下方に垂下した横目地底面7aと、横目地底面7aの先端を裏面側に折り返し、先端を上方へ延設した上面7bと、横目地底面7aと上面7bからなる突出片9と、上面7bの先端を裏面側下方に垂下した係合片10と、上面7bと係合片10からなる係合溝11とから形成したものである。なお、Pは防水性強化のために形成したパッキンである。
【0015】
雌型連結部5は化粧面6の上端を裏面側に屈曲した上側壁8と、上側壁8の先端をさらに裏面側に屈曲した段差12と、段差12を上方向に突出した目地底面8aと、目地底面8a先端を裏面側下方に屈曲した下面13と、目地底面8aと下面13からなる嵌合片14と、下面13の先端を上方に屈曲して突出した固定面15と、下面13と固定面15とから形成した嵌合溝16とから形成したものである。
【0016】
化粧面6は詳細に示した
図4~6に示すように
、化粧面6に対して表面側に凸状に突出した凸部18と、
図4のように台形状に窪んだ長手方向に横断する横目地
17とからなる。
【0017】
横目地17は
図4に示すように横目地17が上傾斜面17a、下傾斜面17bおよび底面17cから形成されており、これは下側壁7、横目地底面7aおよび上側壁8から形成される連結目地γと同様に3面から構成されているため、連結目地を目立たなくさせる効果を奏する。
【0018】
ブロック19は、該横目地17によって区画化された化粧面である。
【0019】
凸部18は、ブロック
19の短手方向の長さをH
、ブロック19の長手方向に沿う方向の幅をWとすると、
図5のようにそれぞれの長さおよび幅はH>Wが常に成り立つ。また、右傾斜面18a、左傾斜面18bおよび平面18cからなる凸部18は同一ブロック
19において、幅や傾斜が同一の形状の凸部18を有さない。
【0020】
ブロック19の段数は該凸部18がH>Wの関係が保持されるのならば、3段でなくてもよい。
【0021】
図6は化粧面6を横目地
17と平行な面から見た断面図である。化粧面6には短手方向または
長手方向それぞれの方向に傾斜を有した右傾斜面18a、左傾斜面18bおよび短手方向に傾斜した平面18cからなる凸部18が形成され、それぞれがランダムに組み合わされることにより、単一的でない、複雑な印象を醸し出すことができる。
【0022】
化粧面6にある細かい多数の凸部18により、太陽光を乱反射させることができ、縦張り、横張りそれぞれの施工方法において異なる印象を醸し出すことができる。
【符号の説明】
【0023】
α 躯体
β 固定具
γ 連結目地
A 乾式壁材
P パッキン
1 金属製表面材
2 裏面材
3 芯材
4 雄型連結部
5 雌型連結部
6 化粧面
7 下側壁
7a 横目地底面
7b 上面
8 上側壁
8a 目地底面
9 突出片
10 係合片
11 係合溝
12 段差
13 下面
14 嵌合片
15 固定面
16 嵌合溝
17 横目地
17a 上傾斜面
17b 下傾斜面
17c 底面
18 凸部
18a 右傾斜面
18b 左傾斜面
18c 平面
19 ブロック