(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ロボット駆動領域シミュレーション装置、およびロボット駆動領域シミュレーション方法並びにロボット駆動領域シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B25J9/22 A
(21)【出願番号】P 2019236056
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】松山 勝太郎
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132707(JP,A)
【文献】特開2013-202731(JP,A)
【文献】特開2015-066668(JP,A)
【文献】特開平03-066586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/416
G05B 19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の軸関節部を備えた多関節ロボットの駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーション装置であって、
前記多関節ロボットの前記複数の軸関節部のそれぞれの回動可動範囲を取得する角度範囲取得部と、
前記多関節ロボットの現状状態における、前記多関節ロボットのロボット中心の位置を第1位置として取得する第1位置取得部と、
前記第1位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第1位置角度取得部と、
前記多関節ロボットの前記複数の軸関節部のそれぞれの可動域を
、前記多関節ロボットの先端部に取り付けられた工具が所定の傾斜角度を維持して加工点で被加工物を加工できる状態のまま前記加工点から前記ロボット中心が最大限離れた時の前記多関節ロボットの姿勢とする、前記多関節ロボットのロボット中心の位置を第2位置として取得する第2位置取得部と、
前記第2位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第2位置角度取得部と、
前記第1位置及び前記第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、前記第1位置の前記ロボット中心と前記第2位置の前記ロボット中心との間の前記立体座標系における空間距離を算出する距離算出部と、
前記第2位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度と、前記第1位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、前記第1位置の前記ロボット中心から前記第2位置の前記ロボット中心に至るまでの前記空間距離を表示する表示処理部と、を備える
ことを特徴とするロボット駆動領域シミュレーション装置。
【請求項2】
前記距離算出部における前記空間距離の算出に際し、前記立体座標系は三軸直交座標系であって、前記三軸直交座標系の各軸平面方向における平面視の距離から前記空間距離は算出される請求項1に記載のロボット駆動領域シミュレーション装置。
【請求項3】
前記表示処理部における前記空間距離の表示に際し、前記第1位置の前記ロボット中心から前記第2位置の前記ロボット中心に至るまでの差分量も表示される請求項1または2に記載のロボット駆動領域シミュレーション装置。
【請求項4】
前記表示処理部における前記空間距離の表示は、棒グラフとしての表示である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット駆動領域シミュレーション装置。
【請求項5】
複数の軸関節部を備えた多関節ロボットの駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーション方法であって、
前記多関節ロボットの前記複数の軸関節部のそれぞれの回動可動範囲を取得する角度範囲取得ステップと、
前記多関節ロボットの現状状態における、前記多関節ロボットのロボット中心の位置を第1位置として取得する第1位置取得ステップと、
前記第1位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第1位置角度取得ステップと、
前記多関節ロボットの前記複数の軸関節部のそれぞれの可動域を
、前記多関節ロボットの先端部に取り付けられた工具が所定の傾斜角度を維持して加工点で被加工物を加工できる状態のまま前記加工点から前記ロボット中心が最大限離れた時の前記多関節ロボットの姿勢とする、前記多関節ロボットのロボット中心の位置を第2位置として取得する第2位置取得ステップと、
前記第2位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第2位置角度取得ステップと、
前記第1位置及び前記第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、前記第1位置の前記ロボット中心と前記第2位置の前記ロボット中心との間の前記立体座標系における空間距離を算出する距離算出ステップと、
前記第2位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度と、前記第1位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、前記第1位置の前記ロボット中心から前記第2位置の前記ロボット中心に至るまでの前記空間距離を表示する表示処理ステップと、を備える
ことを特徴とするロボット駆動領域シミュレーション方法。
【請求項6】
複数の軸関節部を備えた多関節ロボットの駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーションプログラムであって、
コンピュータに、
前記多関節ロボットの前記複数の軸関節部のそれぞれの回動可動範囲を取得する角度範囲取得機能と、
前記多関節ロボットの現状状態における、前記多関節ロボットのロボット中心の位置を第1位置として取得する第1位置取得機能と、
前記第1位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第1位置角度取得機能と、
前記多関節ロボットの前記複数の軸関節部のそれぞれの可動域を
、前記多関節ロボットの先端部に取り付けられた工具が所定の傾斜角度を維持して加工点で被加工物を加工できる状態のまま前記加工点から前記ロボット中心が最大限離れた時の前記多関節ロボットの姿勢とする、前記多関節ロボットのロボット中心の位置を第2位置として取得する第2位置取得機能と、
前記第2位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第2位置角度取得機能と、
前記第1位置及び前記第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、前記第1位置の前記ロボット中心と前記第2位置の前記ロボット中心との間の前記立体座標系における空間距離を算出する距離算出機能と、
前記第2位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度と、前記第1位置における前記複数の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、前記第1位置の前記ロボット中心から前記第2位置の前記ロボット中心に至るまでの前記空間距離を表示する表示処理機能と、を実現させる
ことを特徴とするロボット駆動領域シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシミュレーション装置、およびロボットシミュレーション方法並びにロボットシミュレーションプログラムに関し、特に産業用の多関節ロボットの形状をディスプレイに表示し、そのロボットの運動を模擬するロボット駆動領域シミュレーション装置、およびロボット駆動領域シミュレーション方法並びにロボット駆動領域シミュレーションプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、産業用ロボットは、プログラミングによってその作業内容を変更できる多様な動作を含む作業を実施でき、特定の作業に特化された専用機械と比較すると作業の複雑性が増す。産業用ロボットは、プログラムにより作業内容の変更ができ、再プログラミングにより様々な作業を担当させることが出来る。
【0003】
一方、生産現場では、産業用ロボットの多様性に起因する動作の複雑さから、産業用ロボットを含むシステムの統合が困難になり、ロボットシミュレーションが必要になる。ロボットシミュレーションとは、コンピュータ上でロボットのモデルを作成し、観測または実験することをいい、その一環として、産業用ロボットの実機を設置する前に予めどのような問題が起こるかを視覚化し、確かめることをいう。
【0004】
産業用ロボットを含むシステムの中の各設備のレイアウトの妥当性、産業用ロボット及びその周辺の設備を含む全体の動作、また動作をさせた際の時間など、問題を事前に把握し解決しておく事は作業現場で非常に有用である。
【0005】
システムの中における産業用ロボットのレイアウトは、産業用ロボットが被加工物に加工を加える加工点に基づいて行われる。すなわち、産業用ロボットの設置位置は加工点を基準として位置決めされる。
【0006】
複数の加工点を含むシステムの場合は、各々の加工点に対して産業用ロボットが割り当てられる。産業用ロボットのレイアウトにおけるシミュレーションは、基準姿勢の状態の産業用ロボットにより行われる。基準姿勢の状態における産業用ロボットの先端部が被加工物の加工点に来るように産業用ロボットの設置位置が決定される。
【0007】
産業用ロボットの基準姿勢とは、産業用ロボットのあらゆる姿勢及び動作の元になる姿勢であり、産業用ロボットの初期化された状態の姿勢であり、レイアウトのシミュレーションを行う上での設計上の数値を具現化した姿勢である。
【0008】
実際の現地において産業用ロボットを設置した場合の設置位置とシミュレーション上のレイアウトにおける産業用ロボットの設置位置とではズレが生じる。そのため、被加工物に加工を加える加工点に対して産業用ロボットの実際の設置位置がどこまで離れることができるかの検証を事前に行う必要がある。
【0009】
そこで、従来は産業用ロボットの実際の設置位置を数ミリずつ動かし、その都度、産業用ロボットの姿勢がどのくらい変化することができるか、加工点での加工が可能かを確認していた。そして、この加工点から実際の産業用ロボットの設置位置をどこまで離すことができるかを検証した。加工点から最大限離れた設置位置での産業用ロボットの姿勢を延びきり姿勢と定義している。
【0010】
このような検証作業を効率良く行うために特許文献1の開示は、多関節ロボットの姿勢変更の予測および可動範囲を容易に認識するために、多関節ロボットの姿勢状態の現状状態、および該多関節ロボットに入力された姿勢変更指示情報を操作者に表示する表示手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1の開示は、前記多関節ロボットの前記現状状態から前記多関節ロボットの延びきり姿勢に至るまでの所定点の移動距離を算出することは出来なかった。従来の多関節ロボットでは、現状状態が延びきった姿勢ではないか、または、延びきりに近い姿勢でないかを手動で確認する必要があった。そのため、操作者は、多関節ロボットの姿勢を変更する際に直感的な操作ができないという課題があった。
【0013】
そこで、本発明は、現在の姿勢から延びきり状態までの操作量を視覚化し、前記多関節ロボットの模擬操作を直感的にできる、ロボット駆動領域シミュレーション装置、およびロボット駆動領域シミュレーション方法並びにロボット駆動領域シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、第1の態様は、複数の軸関節部を備えた多関節ロボットの駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーション装置であって、多関節ロボットの複数の軸関節部のそれぞれの回動可動範囲を取得する角度範囲取得部と、多関節ロボットの現状状態における、多関節ロボットのロボット中心の位置を第1位置として取得する第1位置取得部と、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第1位置角度取得部と、多関節ロボットの複数の軸関節部のそれぞれの可動域を延きらせた状態における、多関節ロボットのロボット中心の位置を第2位置として取得する第2位置取得部と、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第2位置角度取得部と、第1位置及び第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、第1位置のロボット中心と第2位置のロボット中心との間の立体座標系における空間距離を算出する距離算出部と、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度と、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、第1位置のロボット中心から第2位置のロボット中心に至るまでの空間距離を表示する表示処理部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第2の態様は、上記第1の態様において、距離算出部における空間距離の算出に際し、立体座標系は三軸直交座標系であって、三軸直交座標系の各軸平面方向における平面視の距離から空間距離は算出されることを特徴とする。
【0016】
第3の態様は、第1または第2の態様において、表示処理部における空間距離の表示に際し、第1位置のロボット中心から第2位置のロボット中心に至るまでの差分量も表示されることを特徴とする。第4の態様は、第1ないし第3の態様において、表示処理部における空間距離の表示は、棒グラフとしての表示であることを特徴とする。
【0017】
第5の態様は、複数の軸関節部を備えた多関節ロボットの駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーション方法であって、多関節ロボットの複数の軸関節部のそれぞれの回動可動範囲を取得する角度範囲取得ステップと、多関節ロボットの現状状態における、多関節ロボットのロボット中心の位置を第1位置として取得する第1位置取得ステップと、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第1位置角度取得ステップと、多関節ロボットの複数の軸関節部のそれぞれの可動域を延びきらせた状態における、多関節ロボットのロボット中心の位置を第2位置として取得する第2位置取得ステップと、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第2位置角度取得ステップと、第1位置及び第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、第1位置のロボット中心と第2位置のロボット中心との間の立体座標系における空間距離を算出する距離算出ステップと、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度と、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、第1位置のロボット中心から第2位置のロボット中心に至るまでの空間距離を表示する表示処理ステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
第6の態様は、複数の軸関節部を備えた多関節ロボットの駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーションプログラムであって、コンピュータに、多関節ロボットの複数の軸関節部のそれぞれの回動可動範囲を取得する角度範囲取得機能と、多関節ロボットの現状状態における、多関節ロボットのロボット中心の位置を第1位置として取得する第1位置取得機能と、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第1位置角度取得機能と、多関節ロボットの複数の軸関節部のそれぞれの可動域を延びきらせた状態における、多関節ロボットのロボット中心の位置を第2位置として取得する第2位置取得機能と、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する第2位置角度取得機能と、第1位置及び第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、第1位置のロボット中心と第2位置のロボット中心との間の立体座標系における空間距離を算出する距離算出機能と、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度と、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、第1位置のロボット中心から第2位置のロボット中心に至るまでの空間距離を表示する表示機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るロボット駆動領域シミュレーション装置、およびロボット駆動領域シミュレーション方法並びにロボット駆動領域シミュレーションプログラムは、ロボットの現状状態から延びきらせた状態までの操作量を視覚化し、多関節ロボットの模擬操作を直感的に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】ロボット駆動領域シミュレーション装置のシステム構成を示す図。
【
図5】ロボットの現状状態と延びきらせた状態とを比較する模式図。
【
図7】ロボット駆動領域シミュレーションプログラムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明に係る多関節ロボットの駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーション装置1(以下、単にシミュレーション装置1という。)の実施の形態について、
図1乃至
図7を参照して説明する。なお、本発明は以下に詳述する本発明の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0022】
図1に、シミュレーション装置1を用いて操作をシミュレーションするロボット2の外観を示す。ロボット2は、複数の軸関節部を備えた多関節ロボットであるが、便宜上、その一例として6軸多関節ロボットとする。なお、軸の数は6軸に限定されるものではなく、3軸、4軸、或いは5軸ロボットであっても良いし、6軸より多数の軸を備える多関節ロボットであっても良い。
【0023】
ロボット2は、6軸において腕部が回動することで、その姿勢を変えることができ、腕部の先端部分に工具3を装着して溶接等の作業を実施できる構成となっている。ロボット2は、その土台となる部分に基部11を備える。生産現場の床面に基部11を接地してロボット2は配置される。
【0024】
本実施例においては、基部11の中心部を、シミュレーションにおける三軸直交座標系の基準点としてロボット中心25を定める。なお、基準点は、基部11の中心に設ける必要はなく、基準点と基部11の中心部との相対位置関係が分かれば他の位置に設けられてもよい。ロボット2には基部11の中心部から鉛直方向に延びる第1軸12が設けられる。基部11の上部には、ロボット2の下胴部13が第1軸12に回動可能に装着される。下胴部13は基部11に対して旋回可能に装着されている。
【0025】
ロボット中心25は、ロボット2の各部位の座標の基準点となる。即ち、ロボット2の各部位は、ロボット中心25との相対位置関係によりその座標が付与される。そして、ロボット中心25はロボット2の姿勢及び動作を指示する上での基準となる。本実施例のレイアウトのシミュレーションにおいて、ロボット2のシステム内における設置位置および移動距離はロボット中心25を基準点として指令および測定などの各処理が行われる。ロボット中心25は、ロボット2と被加工物の加工点との間の距離を測定する上でのロボット2側の基準点となる。
【0026】
ロボット中心25は、被加工物の加工点からの遠位端までの距離の算出の基準となる。なお、ロボット中心25は、点である必要は無く、所定の範囲を備えていても良い。この範囲内の所定点から被加工物の加工点までの移動距離を測定することにより被加工物の加工点から遠位端までの距離を測定することができる。
【0027】
下胴部13には、水平方向に延び第1軸12もしくは第1軸12に平行な軸に直交する第2軸14が設けられている。ロボット2の第1腕部15は、その一端が第2軸14に回動可能に装着される。第1腕部15は、第2軸14を中心に、所定の角度範囲で、下胴部13に対して回動可能となっている。
【0028】
第1腕部15の他端部には、水平方向に延び第1軸12に平行な軸に直交するように第3軸16が設けられている。ロボット2の上胴部17は、第3軸16に回動可能に装着される。上胴部17は、第3軸16を中心に、所定の角度範囲で、第1腕部15に対して回動可能となっている。
【0029】
上胴部17には、第3軸16に平行な軸に対して直交するように第4軸18が設けられている。ロボット2の第2腕部19は第4軸18に回動可能に嵌挿装着される。第2腕部19は、上胴部17に対して回動可能となっている。
【0030】
第2腕部19の先端部には、水平方向に延び第4軸18に直交するように第5軸20が設けられている。ロボット2の第3腕部21は第5軸20に回動可能に装着される。第3腕部21は、第5軸20を中心に、所定の角度範囲で、第2腕部19に対して回動可能となっている。
【0031】
第3腕部21には、第5軸20に直交するように第6軸22が設けられる。ロボット2の第4腕部23が、第3腕部21に嵌挿装着され、第6軸22に対して回動可能となっている。工具3は第4腕部23の先端部24に装着され、ロボット2の姿勢を調整することで工具3の位置は調整される構成となっている。
【0032】
ロボット2の関節部には図示しないアクチュエータがそれぞれ備えられている。アクチュエータとして例えば、サーボモータ、ステッピングモータ等が用いられる。アクチュエータがその回動位置を変化させることで、6軸においてそれぞれの関節部が回動し、第1腕部15、第2腕部19、第3腕部21、及び第4腕部23がそれぞれ回動或いは傾斜する。
【0033】
本発明に係る実施の形態のロボット2では、第1腕部15と第2腕部19との間のなす角が0°のときを第3軸16の回動角度の0°とし、第2腕部19と第3腕部21との間のなす角が0°のときを第5軸20の回動角度の0°とする。
【0034】
次に、
図2を用いてロボット2の延びきらせた状態について説明する。ロボット2の延びきらせた状態とは、ロボット2の先端部24に取り付けられた工具3が現状状態の所定の傾斜角度を維持して加工点で被加工物を加工できる状態のまま、この加工点からロボット中心25が最大限離れた時の姿勢のことをいう。即ち、ロボット2の延びきらせた状態とは、現状状態の第4腕部23の傾斜角度を維持したままロボット2の第3軸16の関節部が延びきった状態をいう。
【0035】
本発明に係る実施の形態のロボット2では、第1腕部15と第2腕部19との間のなす角が180°のときを第3軸16の回動角度の180°とし、第2腕部19と第3腕部21との間のなす角が180°のときを第5軸20の回動角度の180°とする。さらに本実施形態では、第3軸16の回動角度が180°のときを第3軸16の関節部の延びきった状態とし、第5軸20の回動角度が180°のときを第5軸20の関節部の延びきった状態とする。なお、延びきった関節部の回動角度は180°に限定されるものではなく、ロボットの種類等によっては180°未満のものもある。
【0036】
ロボット2は、各腕部及び各胴部が各軸に対して回動する既知の手段、および各腕部及び各胴部の回動状態の情報をシミュレーション装置1に出力する手段を備えている。
図3は、シミュレーション装置1のシステム構成図である。シミュレーション装置1は、CPU100、入力部101、記憶部102、出力部103、表示装置104を備える。
【0037】
CPU100は、ロボット駆動領域をシミュレーションするプログラムを実行する演算処理を行う。CPU100には、それぞれの機能を実現するために、角度範囲取得部110、第1位置取得部120、第1位置角度取得部130、第2位置取得部140、第2位置角度取得部150、距離算出部160、表示処理部170を備える。
【0038】
入力部101は、シミュレーション装置1のI/Oインターフェイスであり、外部装置からのデータ等を取り込む。この入力部101で取り込まれたデータ等は記憶部102に保存され、シミュレーションのプログラムを実行する上で必要となる初期条件、前提条件、境界条件等の設定に用いられる。
【0039】
記憶部102は、HDDまたはSSD等の公知の記憶装置である。シミュレーション装置1がシミュレーションの対象とするロボット2について、ロボット2の外形を表す形状データとそのロボット2を動作させる制御プログラム、その他の各種制御のデータ、演算結果等を記憶する。
【0040】
出力部103は、シミュレーション装置1のI/Oインターフェイスであり、シミュレーション装置1に接続された表示装置104にCPU100の演算結果を出力し、演算結果を操作者が認識しやすいように視覚化し表示する。
【0041】
表示装置104は、液晶ディスプレイなどの電子ディスプレイを用いて構成されている。以下に、
図4を用いて表示装置104の表示画面30の説明をする。表示画面30は現状状態表示部31と延びきらせた状態表示部32とを備える。
【0042】
現状状態表示部31は、ロボット2の関節部の第1軸から第6軸の現状の回動角度位置及び回動可動範囲を棒グラフ(スライダー)によって表示し視覚化することで、操作者がロボット2の現状状態を視覚により認識しやすくしている。ロボット2の姿勢の現状状態を検知する図示しないセンサまたは操作装置等からのデータ信号が入力部101を介し、ロボット2の現状状態の情報として記憶部102に蓄積される。
【0043】
第1棒グラフ33は、第1軸12の現状の回動角度位置を示すスライダー33aと現状の回動可動範囲を示す帯状部33bとを備えるとともに、第1軸12の現状回動角度の数値表示部33cを備える。第2棒グラフ34は、第2軸14の現状の回動角度位置を示すスライダー34aと現状の回動可動範囲を示す帯状部34bとを備えるとともに、第2軸14の現状回動角度の数値表示部34cを備える。現状回動角度とは、各軸の関節部の回動角度の基準角度(例えば、回動角度0°)からの回動角度である(以下、同様。)。
【0044】
第3棒グラフ35は、第3軸16の現状の回動角度位置を示すスライダー35aと現状の回動可動範囲を示す帯状部35bとを備えるとともに、第3軸16の現状回動角度の数値表示部35cを備える。第4棒グラフ36は、第4軸18の現状の回動角度位置を示すスライダー36aと第4軸18の現状回動角度の数値表示部36cを備える。
【0045】
第5棒グラフ37は、第5軸20の現状の回動角度位置を示すスライダー37aと第5軸20の現状回動角度の数値表示部37cを備える。第6棒グラフ38は、第6軸22の現状の回動角度位置を示すスライダー38aと第6軸22の現状回動角度の数値表示部38cを備える。
【0046】
延びきらせた状態表示部32の第7棒グラフ39、第8棒グラフ40、第9棒グラフ41は、三軸直交座標系における、X軸上、Y軸上、Z軸上のそれぞれの現状状態から延びきらせた状態までの距離を表示する。ロボット2のロボット中心25のX軸上、Y軸上、Z軸上での許容可動範囲は予め入力部101を介して記憶部102に記憶される。
【0047】
延びきらせた状態表示部32では、ロボット2の現状状態のロボット中心25の位置から延びきらせた状態のロボット中心25の位置に至るまでの距離、すなわち、第1位置から第2位置までの差分量をも表示する。第1位置とは現状状態のロボット2のロボット中心25の位置であり、第2位置とは延びきらせた状態のロボット2のロボット中心25の位置である。
【0048】
第7棒グラフ39において、スライダー39aが現状状態のロボット2のロボット中心25のX座標(X1)を指し、帯状部39bはロボット中心25のX軸上での可動範囲を示す。更に第7棒グラフ39において、数値表示部39cはX軸上プラス方向への現状状態から延びきらせた状態までのX方向の距離を示し、数値表示部39dはX軸上マイナス方向への現状状態から延びきらせた状態までの距離を示す。
【0049】
ここで、X軸上マイナス方向への現状状態から延びきらせた状態までの距離とは、ロボット2の現状状態から最大限度に縮んだ状態までの距離をX軸上に投影した距離をいう。なお、本実施例におけるロボット2の最大限度に縮んだ状態とは、ロボット2の第3軸16の関節部の回動角度及び第5軸20の関節部の回動角度が最小になった状態をいう。以下に述べるY軸、Z軸についても同様である。
【0050】
第8棒グラフ40において、スライダー40aが現状状態のロボット2のロボット中心25のY座標(Y1)を指し、帯状部40bはロボット中心25のY軸上での可動範囲を示す。更に第8棒グラフ40において、数値表示部40cはY軸上プラス方向への現状状態から延びきらせた状態までのY方向の距離を示し、数値表示部40dはY軸上マイナス方向への現状状態から延びきらせた状態までの距離を示す。
【0051】
第9棒グラフ41において、スライダー41aが現状状態のロボット2のロボット中心25のZ座標(Z1)を指し、帯状部41bはロボット中心25のZ軸上での可動範囲を示す。更に第9棒グラフ41において、数値表示部41cはZ軸上プラス方向への現状状態から延び切らせた状態までのZ方向の距離を示し、数値表示部41dはZ軸上マイナス方向への現状状態から延びきらせた状態までの距離を示す。
【0052】
図5の上段図はロボット2の現状状態を模式的に示し、
図5の下段図はロボット2の延びきらせた状態を模式的に示している。ロボット2の延びきらせた状態とは、第4腕部23の傾斜角度を現状状態のまま維持しロボット2の第3軸16の回動角度が180°の場合をいう。
【0053】
第1腕部15の長さを「a」、第2腕部19の長さを「b」、第3腕部21と第4腕部23の合計長さを「c」とする。ロボット2の先端部24は第4腕部の先端に設けられている。ロボット2の現状状態におけるロボット中心25の位置(第1位置)を三軸直交座標系の座標G(X1,Y1,Z1)とし、ロボット2の延びきらせた状態のロボット中心25の位置(第2位置)を三軸直交座標系の座標H(X2,Y2,Z2)とする。なお、シミュレーションの対象となるロボット2の直交座標系は先端部24を原点O(0,0,0)としている。
【0054】
ロボット2の延びきらせた状態では、第3軸16における関節部の回動角度は180°であり、第1腕部15と第2腕部19が一直線となる。被加工物の加工点は変わらない。従って、現状状態の先端部24と延びきらせた状態の先端部24とでは位置は変わらないので、どちらも原点O(0,0,0)である。
【0055】
さらに、
図5の上段図に示すロボット2の現状状態と
図5の下段図に示すロボット2の延びきらせた状態とでは、第4腕部23の傾斜角度は変わらない。従って、ロボット2の現状状態と延びきらせた状態とでは第5軸20の位置は変わらない。
【0056】
図5の下段図に示すロボット2において、上記した条件を踏まえ、第3軸16の回動角度を「180°」、第1腕部15の長さ「a」、第2腕部19の長さ「b」、第3腕部21と第4腕部23の合計長さ「c」に基づいて、順運動学計算により延びきらせた状態のロボット2の第2軸14と第5軸20の回動角度が算出できる。
【0057】
延びきらせた状態のロボット2の第2軸14と第5軸20の回動角度の算出結果から、延びきらせた状態のロボット2のロボット中心25の座標H(X2,Y2,Z2)が算出できる。そして、現状状態のロボット中心25から延びきらせた状態のロボット中心25までの距離α(
図5参照)を算出することができる。この距離αは、現状状態のロボット2が延びきらせた状態に至るまでのロボット中心25の移動距離であり、レイアウトのシミュレーションにおける基準姿勢から延びきり姿勢に至るまでのロボット中心25の移動距離に相当する。
【0058】
次に、
図6を用いて、第1位置(G(X1,Y1,Z1))から第2位置(H(X2,Y2,Z2))までの距離αについて説明する。第1位置から第2位置までの距離αを求める式を以下の式(1)に示す。距離αのX軸上、Y軸上、Z軸上にそれぞれ投影した場合の距離を求める式(2)、(3)、(4)を以下に示す。式(1)乃至式(4)、及び記憶部102に予め記憶されたロボット2のロボット中心25のX軸上、Y軸上、Z軸上での許容可動範囲に基づいて、延びきらせた状態表示部32の表示を行う。
【0059】
【0060】
次に、
図3を用いてシミュレーション装置1のシステム構成についてより詳細に説明する。シミュレーション装置1は、仮想の空間の中でロボット2の姿勢を変化させて、その駆動領域を視覚化し模擬し確認する。角度範囲取得部110は、本実施例に係る6個の軸関節部を備えたロボット2の駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーション装置であってシミュレーションの対象となるロボット2の6個の軸関節部のそれぞれの図示しないアクチュエータの回動可動範囲を取得する。この回動可動範囲は、入力部101を介して外部より予め記憶部102に蓄積される。
【0061】
第1位置取得部120は、シミュレーションの対象となるロボット2の現状状態における、ロボット2のロボット中心25の位置を第1位置として直交座標系座標G(X1,Y1,Z1)を取得する。この第1位置の座標G(X1,Y1,Z1)の情報は、ロボット2の各腕部及び各胴部が各軸に対して回動する既知の手段、および各腕部及び各胴部の回動状態の情報をシミュレーション装置1に出力する手段により取得する。ロボット2の図示しないセンサまたは操作装置等から入力部101を介し、ロボット2の現状状態の情報として記憶部102に蓄積する。
【0062】
第1位置角度取得部130は、ロボット2の現状状態の第1位置における6個の軸関節部のそれぞれの回動角度を取得する。この回動角度は、6個の軸間接部のそれぞれについて図示しない操作装置等からのデータ信号が入力部101を介し、ロボット2の現状状態の情報として記憶部102に蓄積される。
【0063】
或いは、ロボット2の現状状態の第1位置の三軸直交座標系における座標G(X1,Y1,Z1)、第1腕部15の長さ「a」、第2腕部19の長さ「b」、及び第3腕部21と第4腕部23との合計長さ「c」に基づいて逆運動学計算を用いて第2軸14、及び第3軸16、第5軸20のそれぞれの関節部の回動角度を取得することができる。
【0064】
なお、操作者より予め与えられる第1軸12の関節部の回動角度1個について、逆運動学計算により算出された第2軸14、第3軸16、及び第5軸20のそれぞれの関節部の回動角度は複数組の解が算出されるため、ロボット2の取り得る姿勢についても複数パターン存在することになる。
【0065】
第2位置取得部140は、ロボット2の第3軸16の回動角度を180°として関節部を延びきらせた状態にした場合のロボット2のロボット中心25の位置を第2位置として三軸直交座標系の座標H(X2、Y2、Z2)を取得する。第2位置は、ロボット2の図示しない操作装置等から入力部101を介し、記憶部102に蓄積される。
【0066】
第2位置角度取得部150は、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する。この回動角度は、6個の軸間接部のそれぞれについて図示しない操作装置等からのデータ信号が入力部101を介し、ロボット2の現状状態の情報として記憶部102に蓄積される。
【0067】
距離算出部160は、ロボット2の第1位置のロボット中心25と第2位置のロボット中心25との間の三軸直交座標系における空間距離を算出する。距離算出部160における空間距離の算出に際し、立体座標系は三軸直交座標系であって、三軸直交座標系の各軸平面方向における平面視の距離から空間距離は算出される。
【0068】
距離算出部160は、ロボット2のロボット中心25の第1位置及び第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、ロボット2のロボット中心25の現状状態の第1位置G(X1,Y1,Z1)と延びきらせた状態の第2位置H(X2,Y2,Z2)との間の距離(GH)を上記した式(1)を用いて算出する。距離(GH)は上記の空間距離に相当する。更に、上記した式(2)、(3)、(4)を用いて、距離(GH)をX軸上、Y軸上、Z軸上に投影した距離(GA)、距離(AB)、距離(BH)としてそれぞれ算出する。
【0069】
表示処理部170は、ロボット2のロボット中心25の第2位置における6軸の軸関節部のそれぞれの角度と、ロボット2の現状状態におけるロボット中心25の第1位置における6軸の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、距離算出部160の算出結果に基づいて、第1位置のロボット中心25から第2位置のロボット中心25に至るまでの距離(GH)を空間距離として表示する。
【0070】
表示処理部170における空間距離の表示に際し、第1位置のロボット中心25から第2位置のロボット中心25に至るまでの差分量(α。
図5参照。)も表示される。表示処理部170における空間距離の表示は、
図4に示す棒グラフとしての表示である。
【0071】
続いて、
図7のロボット駆動領域シミュレーションのフローチャートを用い、本発明のロボット駆動領域シミュレーション方法をロボット駆動領域シミュレーションプログラムとともに説明する。本発明のロボット駆動領域シミュレーション方法は、ロボット駆動領域シミュレーションプログラムに基づいて、シミュレーション装置1のCPU100により実行される。
【0072】
当該ロボット駆動領域シミュレーションプログラムは、
図3のCPU100に対して、角度範囲取得機能、第1位置取得機能、第1位置角度取得機能、第2位置取得機能、第2位置角度取得機能、距離算出機能、表示処理機能等の各種機能を実行させる。これらの各機能は図示の順に実行される。なお、各機能は前述のシミュレーション装置1の説明と重複するため、詳細は省略する。
【0073】
角度範囲取得機能は、複数の軸関節部を備えた多関節ロボット2の駆動領域をシミュレーションするロボット駆動領域シミュレーション装置1であって、多関節ロボット2の複数の軸関節部のそれぞれの回動可動範囲を取得する(角度範囲取得ステップS110)。
【0074】
第1位置取得機能は、多関節ロボット2の現状状態における、多関節ロボット2のロボット中心25の位置を第1位置として取得する(第1位置取得ステップS120)。第1位置角度取得機能は、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する(第1位置角度取得ステップS130)。
【0075】
第2位置取得機能は、多関節ロボット2の複数の軸関節部のそれぞれの可動域を延びきらせた状態における、多関節ロボット2のロボット中心25の位置を第2位置として取得する(第2位置取得ステップS140)。第2位置角度取得機能は、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を取得する(第2位置角度取得ステップS150)。
【0076】
距離算出機能は、第1位置及び第2位置をそれぞれ立体座標系に投影して、第1位置のロボット中心25と第2位置のロボット中心25との間の立体座標系における空間距離を算出する(距離算出ステップS160)。距離算出部における空間距離の算出に際し、立体座標系は三軸直交座標系であって、三軸直交座標系の各軸平面方向における平面視の距離から空間距離は算出される。
【0077】
表示処理機能は、第2位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度と、第1位置における複数の軸関節部のそれぞれの角度を表示するとともに、第1位置のロボット中心25から第2位置のロボット中心25に至るまでの空間距離を表示する(表示処理ステップS170)。
【0078】
上述した本発明に係る実施の形態によれば以下のことが可能となる。すなわち、多関節ロボット2の現状状態の第1位置と、延び切らせた状態の第2位置との空間距離を算出し、表示装置104に空間距離を表示できるので、多関節ロボット2の現状状態から延び切らせた状態までの許容距離を視覚化することができる。
【0079】
さらに、空間距離を、三次元座標空間における2点間の距離として三平方の定理を利用することで容易に算出することができる。さらに、第1位置のロボット中心25と第2位置のロボット中心25との差分量(α)は、多関節ロボット2の現状状態から延び切らせた状態までのロボット中心25の移動許容量であり、この移動許容量を表示部に表示することで、多関節ロボット2の操作者はより直感的に多関節ロボット2を模擬操作することができる。
【0080】
さらに、空間距離の表示を棒グラフにすることで、多関節ロボット2の操作者はより直感的に模擬操作することができる。更に上記した空間距離をX軸上、Y軸上、Z軸上にそれぞれ投影し、現状状態から延びきらせ状態までの距離をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれについて操作者は認識することができ、ロボット2の模擬操作がより容易にすることができる。
【0081】
さらに、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれについて、延びきらせた状態への許容可動範囲を棒グラフで表示するので、操作者はより直感的にロボット2の模擬操作をすることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ロボット駆動領域シミュレーション装置
2 ロボット
3 工具
11 基部
12 第1軸
13 下胴部
14 第2軸
15 第1腕部
16 第3軸
17 上胴部
18 第4軸
19 第2腕部
20 第5軸
21 第3腕部
22 第6軸
23 第4腕部
24 先端部
25 ロボット中心
30 表示画面
31 現状状態表示部
32 延びきらせた状態表示部
33 第1棒グラフ
34 第2棒グラフ
35 第3棒グラフ
36 第4棒グラフ
37 第5棒グラフ
38 第6棒グラフ
39 第7棒グラフ
40 第8棒グラフ
41 第9棒グラフ
33a、34a、35a、36a、37a、38a、39a、40a、41a スライダー
33b、34b、35b、39b、40b、41b 帯状部
33c、34c、35c、36c、37c、38c、39c、40c、41c 数値表示部
39d、40d、41d 数値表示部
100 CPU
101 入力部
102 記憶部
103 出力部
104 表示装置
110 角度範囲取得部
120 第1位置取得部
130 第1位置角度取得部
140 第2位置取得部
150 第2位置角度取得部
160 距離算出部
170 表示処理部
S110 角度範囲取得ステップ
S120 第1位置取得ステップ
S130 第1位置角度取得ステップ
S140 第2位置取得ステップ
S150 第2位置角度取得ステップ
S160 距離算出ステップ
S170 表示処理ステップ