(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】非接触充電装置及び非接触充電装置の適合方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20240228BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240228BHJP
B60L 53/122 20190101ALN20240228BHJP
B60L 53/22 20190101ALN20240228BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/12
B60L53/122
B60L53/22
(21)【出願番号】P 2020001615
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義信
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-124026(JP,A)
【文献】特開2019-213267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
H02J 50/12
B60L 53/122
B60L 53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電ユニットに設けられた送電コイルから受電ユニットに設けられた受電コイルへ非接触で送電する非接触充電装置であって、
前記送電ユニットは、
電源からの入力電力を所定周波数の交流電力に変換するインバータと、
前記インバータの出力側に設けられた送電側LC共振部と、
前記インバータと前記送電側LC共振部との間に設けられた可変リアクタンスを含む送電側フィルタ回路と、
を有し、
前記受電ユニットは、
前記受電コイルを含む受電側LC共振部と、
前記受電側LC共振部で受電した所定周波数の交流電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記受電側LC共振部と前記整流回路との間に設けられた、前記受電コイルの最低地上高に応じたキャパシタンスのコンデンサを有する受電側フィルタ回路と、
を有
し、
前記非接触充電装置の前記受電コイルは車両に搭載される受電コイルであって、
前記受電コイルの最低地上高が低い場合の前記コンデンサのキャパシタンスを、前記最低地上高が高い場合の前記コンデンサのキャパシタンスよりも小とすることを特徴とする非接触充電装置。
【請求項2】
送電ユニットに設けられた送電コイルから車両に設けられた受電ユニットに設けられた受電コイルへ非接触で送電する非接触充電装置の適合方法であって、
前記送電ユニットは、
電源からの入力電力を所定周波数の交流電力に変換するインバータと、前記インバータの出力側に設けられた送電側LC共振部と、前記インバータと前記送電側LC共振部との間に設けられた可変リアクタンスを含む送電側フィルタ回路とを有し、
前記車両に設けられた前記受電ユニットは、
前記受電コイルを含む受電側LC共振部と、前記受電側LC共振部で受電した所定周波数の交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記受電側LC共振部と前記整流回路との間に設けられた、コンデンサを有する受電側フィルタ回路とを有し、
前記受電コイルの前記コンデンサは、前記車両の最低地上高に応じたキャパシタンスと
し、
前記受電コイルの前記コンデンサを、前記車両の最低地上高に応じたキャパシタンスとすることのみによって、前記非接触充電装置の充電電力が制限されることを抑制することを特徴とする非接触充電装置の適合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触充電装置及び非接触充電装置の適合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたバッテリ等の蓄電装置を車両外部から電力を供給して充電する充電装置として、送電ユニットに設けられた送電コイルから受電ユニットの受電コイルへ非接触で送電し、蓄電装置を充電する非接触充電装置が知られている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触充電装置では、最低地上高の異なる車種で、地面に設置された送電ユニットの送電コイルと、車両の底面に設置された受電ユニットの受電コイルとの距離が近すぎた場合に、充電電力が制限されてしまい、十分な充電性能が得られないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、最低地上高の異なる車種でも充電電力が制限させることを抑制できる非接触充電装置及び非接触充電装置の適合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に非接触充電装置は、送電ユニットに設けられた送電コイルから受電ユニットに設けられた受電コイルへ非接触で送電する非接触充電装置であって、前記送電ユニットは、電源からの入力電力を所定周波数の交流電力に変換するインバータと、前記インバータの出力側に設けられた送電側LC共振部と、前記インバータと前記送電側LC共振部との間に設けられた可変リアクタンスを含む送電側フィルタ回路と、を有し、前記受電ユニットは、前記受電コイルを含む受電側LC共振部と、前記受電側LC共振部で受電した所定周波数の交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記受電側LC共振部と前記整流回路との間に設けられた、前記受電コイルの最低地上高に応じたキャパシタンスのコンデンサを有する受電側フィルタ回路と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る非接触充電装置及び非接触充電装置の適合方法は、受電ユニットに車両の最低地上高に応じたキャパシタンスのコンデンサを有するフィルタ回路を設けたことによって、最低地上高の異なる車種でも充電電力が制限させることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る非接触充電装置が適用される電力伝送システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、電力伝送システムにおいて、充電設備と車両との間で非接触電力伝送を行うための構成を示した図である。
【
図3】
図3(a)は、コイル地上高に応じたキャパシタンスのコンデンサを用いた場合でのコイル地上高と充電電力との関係を示したグラフである。
図3(b)は、コイル地上高によらず同じキャパシタンスのコンデンサを用いた場合でのコイル地上高と充電電力との関係を示したグラフである。
【
図4】
図4(a)は、コイル地上高に応じたキャパシタンスのコンデンサを用いた場合でのコイル地上高と送電コイル電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。
図4(b)は、コイル地上高に応じたキャパシタンスのコンデンサを用いた場合でのコイル地上高とインバータ電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。
【
図5】
図5(a)は、コイル地上高によらず同じキャパシタンスのコンデンサを用いた場合でのコイル地上高と送電コイル電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。
図5(b)は、コイル地上高によらず同じキャパシタンスのコンデンサを用いた場合でのコイル地上高とインバータ電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る非接触充電装置及び非接触充電装置の適合方法の実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係る非接触充電装置10が適用される電力伝送システムの全体構成図である。なお、
図1中の矢印F,B,U,Dは、車両を基準とする方向を示しており、矢印Fは「前方」、矢印Bは「後方」、矢印Uは「上」、矢印Dは「下」を示している。実施形態に係る非接触充電装置10が適用される電力伝送システムは、充電設備1及び車両2によって構成されている。
【0011】
充電設備1は、送電ユニット100と、送電ユニット100へ電力を供給する交流電源400とを備える。送電ユニット100は地面3(例えば、駐車場の床面)に設置されている。交流電源400の例としては、家庭用電源(例えば、電圧200[V]、周波数50[Hz]の交流電源)が挙げられる。
【0012】
車両2は、受電ユニット200と、受電ユニット200が受電した電力によって充電される蓄電装置300と、受電ユニット200が受電する電力を制御する車両ECU(図示せず)とを備える。受電ユニット200は、車両2の底面に設置された蓄電装置300の下面(路面側)に設けられている。
【0013】
車両2は、蓄電装置300に蓄えられた電力のみを用いて走行可能な電気自動車であってもよいし、蓄電装置300に蓄えられた電力とエンジン(図示せず)の出力との両方を用いて走行可能なハイブリッド車であってもよい。
【0014】
送電ユニット100は、車両2の受電ユニット200が送電ユニット100に対向するように車両2の位置合わせが行なわれた状態において、受電ユニット200へ磁界を通じて非接触で送電するように構成されている。受電ユニット200は、送電ユニット100からの電力を非接触で受電する。
【0015】
以下、車両2の車輪設置面である地面3から受電ユニット200の受電コイルまでの高さ(受電コイルの最低地上高)を、「コイル地上高H」と称する。本実施形態では、車両2のコイル地上高Hが、車両2の最低地上高と一致する。送電ユニット100の表面に設けられた送電コイルと、受電ユニット200の表面に設けられた受電コイルとの距離であるコイル間距離Zは、コイル地上高Hに応じて変わる。コイル地上高Hが大きくなるほどコイル間距離Zも大きくなる。なお、
図1においては、送電ユニット100の上端が地面3よりも車両2側に突出しており、送電ユニット100の表面に設けられた送電コイルが地面3よりも高い位置に位置しているが、これに限定されるものではない。例えば、送電コイルの上端が地面3とほぼ同じ高さとなるように送電ユニット100を地面3に設置し、送電ユニット100の表面に設けられた送電コイルと地面3とが同じ高さに位置するようにしてもよい。
【0016】
上記の送電コイル及び受電コイルは、それぞれ
図2に示す送電コイル101及び受電コイル201である。
図2は、充電設備1と車両2との間で非接触電力伝送を行うための構成を示す図である。
図1に示した送電ユニット100及び受電ユニット200は、
図2に示すような構成を有する。
【0017】
図2を参照して、送電ユニット100は、交流電源400から受ける電力に所定の電力変換処理を行うことにより送電用電力を得て、その送電用電力を受電ユニット200へ非接触で送電するように構成されている。そして、受電ユニット200が送電ユニット100から受電した電力によって蓄電装置300が充電される。
【0018】
送電ユニット100は、前記電力変換処理を行う電力変換部と、前記非接触送電を行う送電側LC共振部であるLC共振部111と、電力変換部等を制御する送電ECU(図示せず)とを備える。前記電力変換部は、AC/DCコンバータ130、インバータ120、及び、送電側フィルタ回路であるフィルタ回路112を含む。LC共振部111は、インバータ120の出力側に設けられ、送電コイル101及びコンデンサ102が直列に接続されて構成されている。
【0019】
AC/DCコンバータ130は、交流電源400から受ける電力を整流及び変圧してインバータ120へ出力する。AC/DCコンバータ130は、例えば交流電源400から受ける電力を400[V]に昇圧して、電圧400[V]の直流電力をインバータ120へ出力する。
【0020】
インバータ120は、AC/DCコンバータ130からの入力電力を所定の大きさ及び周波数の交流電力に変換してLC共振部111へ出力するように構成されている。インバータ120の出力電力は、フィルタ回路112を通じてLC共振部111へ供給される。インバータ120は、所定の周波数範囲において出力電力の周波数(以下、単に「出力周波数」とも称する)を変更可能に構成されている。インバータ120を構成する各スイッチング素子は、送電ECUからの駆動信号に従って制御される。
【0021】
フィルタ回路112は、コンデンサ103及び可変リアクタンス104を含む。コンデンサ103はLC共振部111に並列に接続され、可変リアクタンス104はLC共振部111に直列に接続されている。コンデンサ103及び可変リアクタンス104によって、ローパスフィルタとして機能するLCフィルタが形成される。このLCフィルタによって電磁ノイズが低減される。
【0022】
LC共振部111は、送電コイル101の周囲に生成される磁界を通じて、受電ユニット200のLC共振部211へ非接触で送電する。LC共振部111は直列共振回路である。
【0023】
受電ユニット200は、受電側LC共振部であるLC共振部211と、受電側フィルタ回路であるフィルタ回路212と、整流回路206と、平滑用のコンデンサ207とを含む。
【0024】
LC共振部211は、受電コイル201及びコンデンサ202が直列に接続されて構成されている。送電開始に先立ち、送電コイル101と受電コイル201とは鎖交磁束を生じるように位置合わせされる。そして、磁気共鳴により送電コイル101から受電コイル201へ電力が送られる。受電コイル201は、送電ユニット100の送電コイル101から非接触で受電する。
【0025】
フィルタ回路212は、コンデンサ203,205及びインダクタ204を含む。コンデンサ203,205及びインダクタ204によって、ローパスフィルタとして機能するLCフィルタが形成される。このLCフィルタによって受電時に発生する電磁ノイズが低減される。コンデンサ203は、インダクタ204よりもLC共振部211側でLC共振部211に並列に接続されている。コンデンサ205は、インダクタ204よりも整流回路206側でLC共振部211に並列に接続されている。
【0026】
整流回路206は、受電コイル201によって受電された交流電力を整流して蓄電装置300側へ出力する。整流回路206の出力側には平滑用のコンデンサ207が設けられている。コンデンサ207は、整流回路206によって整流された直流電力を平滑化する。
【0027】
受電ユニット200の出力電力、すなわち、コンデンサ207によって平滑化された直流電力は、充電リレー500を介して蓄電装置300に供給される。充電リレー500は、車両ECU(図示せず)によってON/OFF制御され、受電ユニット200による蓄電装置300の充電時にON(導通状態)にされる。
【0028】
蓄電装置300は、再充電可能な直流電源である。蓄電装置300は、例えば二次電池(リチウムイオン電池やニッケル水素電池等)を含んで構成されている。蓄電装置300は、受電ユニット200から供給される電力を蓄えて、車両駆動装置(走行用モータ及び駆動回路等)へ電力を供給する。
【0029】
ここで、非接触充電システムにおいては、最低地上高の異なる車種に受電ユニット200を設けた場合、充電電力が制限されてしまう場合がある。その理由としては、例えば、最低地上高が低い車種へ受電ユニット200を設けると、送電ユニット100と受電ユニット200とのコイル間距離Zが近くなり過ぎるため、送電ユニット100のインバータ120が過電流となってしまうからである。この過電流の要因(2次要因)は、コイル結合係数が大きくなることによって、インバータ120の出力インピーダンスが低下するためである。
【0030】
そして、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果、インバータ周波数と、送電コイル101及び受電コイル201の共振周波数と、フィルタ回路112,212の共振周波数とが一致する場合、送電ユニット100のインバータ120から出力されるインバータ電流は、受電ユニット200のフィルタ回路212を構成するコンデンサ203のコンデンサンス(静電容量)に比例する。そのため、インバータ120から出力されるインバータ電流は、最低地上高が低い車種の場合に、受電ユニット200のコンデンサ203のキャパシタンスを小さくすることによって低減され、過電流を抑制できることがわかった。
【0031】
そこで、本実施形態においては、受電ユニット200のフィルタ回路212を構成するコンデンサ203のキャパシタンスを、最低地上高(コイル地上高H)に応じて異ならせる。例えば、セダンのような最低地上高(コイル地上高H)が低い車種の場合と、SUVなどの最低地上高(コイル地上高H)が高い車種の場合とで、車両の製造時において最低地上高(コイル地上高H)に応じたキャパシタンスのコンデンサ203を用いる。これにより、最低地上高(コイル地上高H)が低い車種の場合に、インバータ120の出力インピーダンスが増大してインバータ電流が低減され、インバータ120が過電流になることを抑制することができる。よって、実施形態に係る非接触充電装置10では、最低地上高(コイル地上高H)が異なる車種であっても、充電電力が制限されることを抑制することができる。
【0032】
図3(a)は、コイル地上高Hに応じたキャパシタンスのコンデンサ203を用いた場合でのコイル地上高Hと充電電力との関係を示したグラフである。
図3(b)は、コイル地上高Hによらず同じキャパシタンスのコンデンサ203を用いた場合でのコイル地上高Hと充電電力との関係を示したグラフである。なお、
図3(a)及び
図3(b)では、送電ユニット100の送電コイル101と地面3とが同じ高さに位置しており、コイル地上高Hとコイル間距離Zとを同じにしている。また、
図3(a)及び
図3(b)において、Z1及びZ2は、「SAE J2954規格」により定義されたクラスであって、Z1クラスはコイル間距離Zが100[mm]~150[mm]であり、Z2クラスはコイル間距離Zが140[mm]~210[mm]である。
【0033】
図3(a)では、Z1クラスでのコンデンサ203のキャパシタンスを242.5[nF]とし、Z2クラスでのコンデンサ203のキャパシタンスを429[nF]としている。これにより、
図3(a)からわかるように、コイル地上高Hに応じたキャパシタンスのコンデンサ203を用いることにより、コイル地上高Hが100[mm]から210[mm]まで充電電力が安定しており、コイル地上高Hによって充電電力が制限させることを抑制することができる。
【0034】
一方、
図3(b)では、Z1クラス及びZ2クラス共にコンデンサ203のキャパシタンスを384[nF]としている。これにより、
図3(b)からわかるように、少なくともコイル地上高Hが低いとき(100[mm])にインバータ120の過電流によって充電電力が0[W]となり給電停止となって、充電を行うことができない。
【0035】
図4(a)は、コイル地上高Hに応じたキャパシタンスのコンデンサ203を用いた場合でのコイル地上高Hと送電コイル電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。
図4(b)は、コイル地上高Hに応じたキャパシタンスのコンデンサ203を用いた場合でのコイル地上高Hとインバータ電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。なお、
図4(a)及び
図4(b)では、送電ユニット100の送電コイル101と地面3とが同じ高さに位置しており、コイル地上高Hとコイル間距離Zとを同じにしてシミュレーションを行っている。また、
図4(a)及び
図4(b)において、Z1クラスでのコンデンサ203のキャパシタンスを242.5[nF]とし、Z2クラスでのコンデンサ203のキャパシタンスを429[nF]としている。
【0036】
コイル地上高Hに応じたキャパシタンスのコンデンサ203を用いた構成では、コイル地上高Hが低い(100[mm])ときに、受電ユニット200のフィルタ回路212を構成するコンデンサ203のキャパシタンスを小さくすることによって、送電ユニット100のインバータ120の出力インピーダンスが増加し、インバータ電流を抑制することができることがわかる。
【0037】
図5(a)は、コイル地上高Hによらず同じキャパシタンスのコンデンサ203を用いた場合でのコイル地上高Hと送電コイル電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。
図5(b)は、コイル地上高Hによらず同じキャパシタンスのコンデンサ203を用いた場合でのコイル地上高Hとインバータ電流との関係をシミュレーションによって求めたグラフである。なお、
図5(a)及び
図5(b)では、送電ユニット100の送電コイル101と地面3とが同じ高さに位置しており、コイル地上高Hとコイル間距離Zとを同じにしてシミュレーションを行っている。また、
図5(a)及び
図5(b)では、Z1クラス及びZ2クラス共にコンデンサ203のキャパシタンスを384[nF]としている。
【0038】
コイル地上高Hによらず同じキャパシタンスのコンデンサ203を用いた構成では、コイル地上高Hが低い(100[mm])ときに、送電ユニット100のインバータ120の過電流が原因で給電を行うことができないことがわかる。
【0039】
以上のように、実施形態に係る非接触充電装置10は、車両の最低地上高(コイル地上高H)に応じたキャパシタンスのコンデンサ203を有するフィルタ回路212を受電ユニット200に設けたことによって、最低地上高(コイル地上高H)の異なる車種でも充電電力が制限させることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 充電設備
2 車両
3 地面
100 送電ユニット
101 送電コイル
102,103,203,205,207 コンデンサ
104 可変リアクタンス
111 LC共振部
112,212 フィルタ回路
120 インバータ
130 AC/DCコンバータ
200 受電ユニット
204 インダクタ
206 整流回路
211 LC共振部
300 蓄電装置
400 交流電源
500 充電リレー