(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ルームランプモジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20240228BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240228BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 Z
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2020009634
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】古橋 杏子
(72)【発明者】
【氏名】木村 恒人
(72)【発明者】
【氏名】松下 健治
(72)【発明者】
【氏名】國方 翔太
(72)【発明者】
【氏名】國立 忠秀
(72)【発明者】
【氏名】金森 勝美
(72)【発明者】
【氏名】小林 健太郎
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-079502(JP,A)
【文献】実開平05-053310(JP,U)
【文献】特開平06-152219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
H01Q 1/22
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体の基材と、前記基材の一方の面に直接積層され、電波を受信するアンテナ素子と、前記基材の他方の面に直接積層された、前記アンテナ素子のグランド部と、を有する基板より構成されたアンテナと、
光を照射するランプと
、
を備え、
前記ランプの上方位置に前記アンテナを備えており、前記ランプは前記グランド部と直接対向しており、
前記グランド部は、前記ランプからの光を車室側に反射するリフレクタを兼用するルームランプモジュール。
【請求項2】
誘電体の基材と前記基材の一方の面に直接積層され、電波を受信するアンテナ素子とを有する基板と、前記基材の他方の面に直接密着したリフレクタと、により構成されたアンテナと、
光を照射するランプと
、
を備え、
前記ランプの上方位置に前記アンテナを備えており、前記ランプは前記リフレクタと直接対向しており、
前記ランプからの光を車室側に反射する前記リフレクタは、前記アンテナ素子のグランド部を兼用するルームランプモジュール。
【請求項3】
前記アンテナ素子及び前記グランド部は、導電材の印刷パターンによって形成されている、請求項1記載のルームランプモジュール。
【請求項4】
前記アンテナ素子は導電材の印刷パターンによって形成され、前記リフレクタは導電金属材より形成されている、請求項2記載のルームランプモジュール。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、樹脂製又はガラス製の車両ルーフの下方に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載のルームランプモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを組み込んだルームランプモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ルームランプモジュールは、ランプとランプの光を車室側に反射するリフレクタとを備え、車両ルーフの下方に配置される(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、車両ルーフは、軽量化等の理由によって樹脂製のものが提案されている。樹脂製の車両ルーフでは、金属製の車両ルーフとは異なり電波を通す。そのため、アンテナを樹脂製の車両ルーフの下方に配置されたものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4368878号公報
【文献】特開2008-182523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、例えば、車両ルーフの下方にルームランプモジュールとアンテナを設置する場合には、ルームランプモジュールとアンテナのトータルとしての部品点数を削減したいという要請がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、アンテナを組み込んだものにあって、部品点数を削減可能なルームランプモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るルームランプモジュールは、電波を受信するアンテナ素子と、前記アンテナ素子のグランド部と、光を照射するランプとを備え、前記グランド部は、前記ランプからの光を車室側に反射するリフレクタを兼用する。
【0008】
本発明の他の態様に係るルームランプモジュールは、光を照射するランプと、前記ランプからの光を車室側に反射するリフレクタとを備え、前記リフレクタは、前記アンテナ素子のグランド部を兼用する。
【0009】
アンテナは、基板より構成されており、前記基板は、誘電体の基材と、前記基材の一方の面に配置された前記アンテナ素子と、前記基材の他方の面に配置された前記グランド部とを有することが好ましい。
【0010】
アンテナは、基板と前記リフレクタより構成されており、前記基板は、誘電体の基材と、前記基材の一方の面に配置された前記アンテナ素子とを有し、前記基材の他方の面に前記リフレクタが配置されていることが好ましい。
【0011】
前記アンテナ素子は、樹脂製又はガラス製の車両ルーフの下方に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンテナを組み込んだものにあって、部品点数を削減可能なルームランプモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るルームランプモジュールの斜視図である。
【
図2】第1実施形態を示し、(a)はルームランプモジュールの側面図、(b)はルームランプモジュールの要部拡大断面図である。
【
図3】第2実施形態に係るルームランプモジュールの斜視図である。
【
図4】第3実施形態に係るルームランプモジュールの斜視図である。
【
図5】第4実施形態を示し、(a)はルームランプモジュールの側面図、(b)はルームランプモジュールの要部拡大図である。
【
図6】第5実施形態に示し、(a)はルームランプモジュールの側面図、(b)はルームランプモジュールの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて実施形態に係るルームランプモジュールを詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るルームランプモジュール10は、
図1及び
図2に示すように、車両ルーフ2(
図2に示す)とルーフトリム3(
図2に示す)の間の空間を利用して配置されている。つまり、ルームランプモジュール10は、車両ルーフ2の下方位置に配置されている。ルームランプモジュール10は、上方から見て車両ルーフ2の中央位置に配置されている。車両ルーフ2は、車両ボディの一部であり、電波を通す樹脂製又はガラス製である。ルーフトリム3には、開口部3aが設けられ、この開口部3aよりルームランプモジュール10からの光が車室内に照射される。以下、ルームランプモジュール10の構成を説明する。
【0016】
ルームランプモジュール10は、ランプハウジング11と、ランプハウジング11の底面に配置された2つの端子12と、2つの端子12間に配置されたランプ13と、ランプハウジング11の底面の開口に配置されたレンズ14とを備えている。2つの端子12は、いずれか一方がバネ端子であり、2つの端子12はバネ力によってランプ13を保持し、2つの端子12にランプ13が電気的に接続されている。2つの端子12には、電線16がそれぞれ接続されている。
【0017】
ルームランプモジュール10は、ランプ13の上方位置にアンテナ20を備えている。つまり、ルームランプモジュール10は、アンテナ20を組み込んだ構成である。
【0018】
アンテナ20は、扁平方形状の基板21より構成された平面アンテナである。アンテナ20は、図示省略されているが、ランプハウジング11に固定されている。
【0019】
基板21は、誘電体の基材22と、基材22の車両ルーフ2側の面(一方の面)に配置されたアンテナ素子23と、基材22のランプ13側の面(他方の面)に配置されたグランド部24とを有する。アンテナ素子23とグランド部24は、導電材の印刷パターンによって形成されている。
【0020】
基材22の車両ルーフ2側の面(一方の面)には、給電線26aが配置されている。給電線26aは、一端がアンテナ素子23に接続され、他端側が同軸電線26の芯線(図示せず)に接続されている。給電線26aは、導電材の印刷パターン又は電線によって形成されている。
【0021】
アンテナ素子23は、電波を受信するパッチアンテナ素子である。アンテナ素子23は、方形状であり、受信電波の周波数帯域に基づいた寸法に形成されている。アンテナ素子23は、基材22のアンテナ素子23の領域以外をマスキングして導電材を印刷したり、基材22の全面に導電材を印刷し、アンテナ素子23の領域を残して導電材をエッチングしたりして作製する。
【0022】
グランド部24は、基材22のランプ13側の面の全域に亘って形成されている。グランド部24は、アンテナ素子23のグランドとして機能するが、ランプ13の光を車室側に反射するリフレクタを兼用している。
【0023】
同軸電線26の芯線(図示せず)は、給電線26aを介してアンテナ素子23に接続されている。同軸電線26の外部導体(図示せず)は、グランド部24に接続されている。同軸電線26の外部導体(図示せず)は、ランプ13のグランド側の端子12にも接続されている。
【0024】
以上説明したように、第1実施形態に係るルームランプモジュール10は、電波を受信するアンテナ素子23と、アンテナ素子23のグランド部24と、光を照射するランプ13とを備えている。そして、グランド部24は、ランプ13からの光を車室側に反射するリフレクタを兼用する。
【0025】
従って、アンテナ20を組み込んだルームランプモジュール10にあって、アンテナ素子23の反射板となるグランド部24がランプ13からの光を反射するリフレクタを兼用するため、部品点数の削減になる。又、車両ルーフ2の下方にアンテナ20とルームランプモジュール10を設置する場合にあって組付け工数の削減にもなる。
【0026】
アンテナ20は、基板21より構成されており、前記基板21は、誘電体の基材22と、前記基材22の一方の面に配置された前記アンテナ素子23と、前記基材22の他方の面に配置された前記グランド部24とを有する。
【0027】
従って、アンテナ20が平面アンテナで構成されるため、ルームランプモジュール10の小型化が可能である。
【0028】
アンテナ素子23は、樹脂製又はガラス製の車両ルーフ2の下方に配置されている。2020年の5Gサービス開始が開始される。5Gは、高速で大容量のデータ通信実現のために3.6~6GHz又は28GHzといった高い周波数帯での通信となる。特に28GHzにおいては、直進性が高く減衰しやすいため、建物などの遮蔽物の後ろに回り込みができないだけでなく大気、雨などによっても減衰してしまう問題点がある。そのため、車両に取り付けるアンテナ20の位置として車両自身が遮蔽物にならないよう、最も広い範囲の電波を受信しやすいのが車両ルーフ2であるため、電波の受信性能の向上を図ることができる。
【0029】
アンテナ素子23は、上方から見て車両ルーフ2の中央位置に配置されている。車両ルーフ2の中でも中央位置が最も電波を受信しやすいため、電波の受信性能の向上を図ることができる。
【0030】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るルームランプモジュール10は、
図3に示すように、第1実施形態と比較するに、アンテナ素子23がアレー状に配置されている点のみが相違する。
【0031】
他の構成は、第1実施形態と同様にあるため、重複説明を省略する。図面において、第1実施形態と同一構成箇所には第1実施形態と同じ符号を付して明確化を図る。
【0032】
この第2実施形態では、第1実施形態の効果に加え、アンテナ20の指向性を制御できる。
【0033】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るルームランプモジュール10は、
図4に示すように、第1実施形態と比較するに、複数の基板21がランプ13を囲むように配置されている。つまり、複数の基板21は、ランプ13の上方位置と、ランプ13の両側の側方位置とに配置されている。尚、基板21をランプ13の下方以外の全方位を囲むように配置しても良い。
【0034】
他の構成は、第1実施形態と同様にあるため、重複説明を省略する。図面において、第1実施形態と同一構成箇所には第1実施形態と同じ符号を付して明確化を図る。
【0035】
(第4実施形態)
第4実施形態に係るルームランプモジュール10は、
図5に示すように、電波を通す樹脂製又はガラス製の車両ルーフ2とルーフトリム3の間の空間を利用して配置されている。つまり、ルームランプモジュール10は、車両ルーフ2の下方位置に配置されている。ルームランプモジュール10は、上方から見て車両ルーフ2の中央位置に配置されている。
【0036】
ルームランプモジュール10は、前記第1実施形態と同様に、ランプハウジング11と2つの端子12とランプ13とレンズ14とを備えている。しかし、ルームランプモジュール10は、前記第1実施形態と異なり、ランプハウジング11に支持されたリフレクタ15を備えていると共に前記第1実施形態と構成の異なる基板21Aを備えている。
【0037】
リフレクタ15は、上面部15aと4つの側面部15bを有し、ランプ13の下方以外の全方位を囲んでいる。リフレクタ15は、導電金属材より形成され、ランプ13からの光を車室側に反射する。リフレクタ15の上面部15aには、基板21Aが密着して配置されている。リフレクタ15は、アンテナ素子23の反射板となるグランド部を兼用している。
【0038】
アンテナ20は、前記第1実施形態とは異なり、基板21Aと上記したリフレクタ15とから構成されている。基板21Aは、誘電体の基材22と基材22の車両ルーフ2側の面(一方の面)に配置されたアンテナ素子23及び給電線26aを有し、第1実施形態の基板21のようなグランド部を有していない。そして、基材22のランプ13側の面(他方の面)がリフレクタ15に密着して配置されている。
【0039】
以上説明したように、第4実施形態に係るルームランプモジュール10は、電波を受信するアンテナ素子23と、光を照射するランプ13と、ランプ13からの光を車室側に反射するリフレクタ15とを備えている。そして、リフレクタ15は、アンテナ素子23の反射板となるグランド部を兼用する。
【0040】
従って、アンテナ20を組み込んだルームランプモジュール10にあって、ランプ13からの光を反射するリフレクタ15がアンテナ素子23の反射板となるグランド部を兼用するため、部品点数の削減になる。又、車両ルーフ2の下方にアンテナ20とルームランプモジュール10を設置する場合にあって組付け工数の削減にもなる。
【0041】
アンテナ20は、基板21Aとリフレクタ15より構成されている。基板21Aは、誘電体の基材22と、基材22の一方の面に配置されたアンテナ素子23とを有し、基材22の他方の面にリフレクタ15が配置されている。
【0042】
従って、アンテナ20が平面アンテナで構成されるため、ルームランプモジュール10の小型化が可能である。又、リフレクタ15の面積は、基板21の面積より十分に大きいために、アンテナ20のグランド部としての面積を大きくすることができる。
【0043】
この第4実施形態では、リフレクタ15は、上面部15aと4つの側面部15bを有し、ランプ13の下方以外の全方位を囲む構成であるが、ランプ13の上面部にのみ配置された平板形状のものであっても良い。又、リフレクタ15は、曲面形状でも良い。
【0044】
(第5実施形態)
第5実施形態に係るルームランプモジュール10は、
図6に示すように、前記第4実施形態と同様に、ランプハウジング11と2つの端子12とランプ13とレンズ14とリフレクタ15とを備えている。リフレクタ15は、導電金属材より形成されている。
【0045】
また、ルームランプモジュール10は、アンテナ20を有し、アンテナ20は前記第1実施形態と同じ構成の基板21によって構成されている。そして、基板21のグランド部24とリフレクタ15の上面部が導電性の接着剤30によって接続されている。
【0046】
図面において、第1実施形態と同一構成箇所には第1実施形態と同じ符号を付して明確化を図る。
【0047】
以上説明したように、この第5実施形態に係るルームランプモジュール10では、リフレクタ15がアンテナ20のグランド部としても機能するため、アンテナ20のグランド部としての面積を大きくすることができる。又、車両ルーフ2にルームランプモジュール10を組付ける前に、基板21とリフレクタ15を接着剤30で接着して一体化しておけば、ルームランプモジュール10の組付け作業性を向上させることができる。
【0048】
(変形例)
前記各実施形態において、ランプハウジング11及び/又は基板21上にアンテナ20の増幅回路などを配置しても良い。
【0049】
前記各実施形態において、アンテナ20は、平面アンテナ(パッチアンテナ、アレーアンテナ)であるが、平面アンテナ以外であっても良い。
【0050】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
2 車両ルーフ
10 ルームランプモジュール
13 ランプ
15 リフレクタ
20 アンテナ
21、21A 基板
22 基材
23 アンテナ素子
24 グランド部