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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】スクリュープレスおよびその運転方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/17 20060101AFI20240228BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20240228BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20240228BHJP
   B01D 24/44 20060101ALI20240228BHJP
   B01D 29/94 20060101ALI20240228BHJP
   B30B 9/16 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B01D29/30 501
B01D29/42 520
B30B9/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020020342
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021122815
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-10-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】森本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】市川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】板山 倫也
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-142874(JP,A)
【文献】特開2018-051582(JP,A)
【文献】特開平10-216988(JP,A)
【文献】実公昭54-042302(JP,Y2)
【文献】特開昭61-176500(JP,A)
【文献】米国特許第03802566(US,A)
【文献】国際公開第2008/134913(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/00-37/04
C02F11/00-11/20
B30B9/00-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体含有物が投入されるろ過筒と、
前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、
前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、
前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、
前記第2スクリューによって形成されたプラグケーキを切断するケーキ切断構造体とを備え、
前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリューの第2スクリュー軸の外面に設けられ、かつ前記第2スクリューのスクリュー羽根よりも下流側に配置されており、
前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリュー軸の径方向外側に突出する少なくとも1つの突起部を備えており、
前記突起部は、前記第2スクリュー軸と平行に延びる板状の形状を有している、スクリュープレス。
【請求項2】
前記スクリュープレスは、前記プラグケーキに背圧を加えるための背圧部材を有していない、請求項に記載のスクリュープレス。
【請求項3】
前記突起部は、鋭角形状の断面を持つ上流側縁部を有している、請求項に記載のスクリュープレス。
【請求項4】
前記突起部は、前記第2スクリュー軸の外面に対して下流側に傾斜する上流側縁部を有している、請求項に記載のスクリュープレス。
【請求項5】
液体含有物が投入されるろ過筒と、
前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、
前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、
前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、
前記第2スクリューによって形成されたプラグケーキを切断するケーキ切断構造体とを備え、
前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリューの第2スクリュー軸の外面に設けられ、
前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリュー軸の径方向外側に突出する少なくとも1つの突起部を備えており、
前記突起部は、前記第2スクリュー軸の軸方向および周方向において異なる位置に取り付け可能である、スクリュープレス。
【請求項6】
液体含有物が投入されるろ過筒と、
前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、
前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、
前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、
前記第2スクリューによって形成されたプラグケーキを切断するケーキ切断構造体とを備え、
前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリューの第2スクリュー軸の外面に設けられ、
前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリュー軸の径方向外側に突出する少なくとも1つの突起部を備えており、
前記ケーキ切断構造体は、リング部材をさらに備えており、
前記リング部材は、前記第2スクリュー軸の外面に取り付けられており、
前記突起部は、前記リング部材に接続されている、スクリュープレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥などの液体含有物を圧搾して該液体含有物から液体を分離するスクリュープレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水処理場、し尿処理場などの液体処理施設から排出される汚泥(液体含有物)を圧搾して、該汚泥から水を分離する(すなわち、脱水する)装置として、スクリュープレスが知られている。このスクリュープレスは、スクリーン(多孔板)から形成されたろ過筒と、ろ過筒の内部に配置されたスクリューとを備える。スクリューは、ろ過筒と同心状に配置されたスクリュー軸と、スクリュー軸の外面に固定されたスクリュー羽根と、を有している。スクリュー軸に連結された回転機構によって、スクリュー羽根を回転させることにより、ろ過筒に投入された汚泥を圧搾し、脱水する。ろ過筒の下流側開口端には、汚泥を堰き止める背圧板が配置され、この背圧板により、回転するスクリュー羽根により送られてくるケーキ(脱水された汚泥)を滞留させ、プラグケーキ(栓)を形成する。このプラグケーキが後から送り込まれるケーキに背圧を加えて、ケーキをさらに圧搾することにより、ろ過筒内の汚泥の含水率を低下させる。
【0003】
特許文献1には、二軸型のスクリュープレスが開示されている。このタイプのスクリュープレスは、ろ過筒内に直列に配列された第1スクリューと第2スクリューを備えている。これら第1スクリューと第2スクリューはそれぞれ別々の駆動装置によって異なる速度で回転することが可能に構成されている。したがって、第1スクリューと第2スクリューの回転速度を制御することで、背圧板を設けることなく、ろ過筒内にプラグケーキを形成し、ろ過筒内の汚泥を圧搾することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-51582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背圧板がないスクリュープレスでは、プラグケーキは第2スクリューと一体に回転し、第2スクリューから剥離しにくい。しかも、含水率が低いプラグケーキは、大きな塊となってシュートに落下し、シュートやコンベヤなどを閉塞させることがある。さらに、塊状のプラグケーキがホッパなどの容器に収容されると、プラグケーキの堆積物内に多くの隙間が形成され、堆積物の見かけ体積が大きくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、ろ過筒から排出されたプラグケーキを小さな断片に分解することができるスクリュープレスおよびその運転方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、液体含有物から液体を分離するスクリュープレスを使用した液体含有物の処理方法であって、ろ過筒に液体含有物を投入し、前記ろ過筒内で前記ろ過筒と同心状に配置されたスクリューを回転させることによって、前記ろ過筒内の前記液体含有物を前記ろ過筒の排出口に向かって移送して、前記スクリューのスクリュー軸の周りにプラグケーキを形成し、前記スクリューを回転させることによって、前記プラグケーキを前記スクリュー軸の外面に設けられたケーキ切断構造体に向かって移送し、前記ケーキ切断構造体によって前記プラグケーキを切断しながら、前記切断したプラグケーキを前記ケーキ切断構造体の下流側に送る、方法が提供される。
【0008】
一態様では、前記ケーキ切断構造体は、前記スクリュー軸の径方向外側に突出する少なくとも1つの突起部を備えている。
一態様では、前記スクリューは、第1スクリューと、前記第1スクリューの下流側に配置された第2スクリューを有しており、前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリューのスクリュー軸の外面に設けられており、前記スクリュー軸の周りにプラグケーキを形成する工程は、前記第1スクリューを回転させることによって、前記ろ過筒内の液体含有物を前記第2スクリューに移送して、前記第2スクリューのスクリュー軸の周りにプラグケーキを形成する工程を含み、前記プラグケーキを前記ケーキ切断構造体に向かって移送する工程は、前記第2スクリューのスクリュー軸の周りに前記プラグケーキが形成された状態で、前記第2スクリューを回転させることで、前記プラグケーキを前記ケーキ切断構造体に向かって移送する工程を含む。
一態様では、前記プラグケーキを切断する工程は、前記ケーキ切断構造体によって、前記プラグケーキに前記スクリューの回転方向の力を加えながら、前記プラグケーキを前記スクリュー軸の軸方向に切断する工程を含む。
【0009】
一態様では、液体含有物が投入されるろ過筒と、前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、前記第2スクリューによって形成されたプラグケーキを切断するケーキ切断構造体とを備え、前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリューの第2スクリュー軸の外面に設けられている、スクリュープレスが提供される。
【0010】
一態様では、前記スクリュープレスは、前記プラグケーキに背圧を加えるための背圧部材を有していない。
一態様では、前記ケーキ切断構造体は、前記第2スクリュー軸の径方向外側に突出する少なくとも1つの突起部を備えている。
一態様では、前記突起部は、板状の形状を有している。
一態様では、前記突起部は、鋭角形状の断面を持つ上流側縁部を有している。
一態様では、前記突起部は、前記第2スクリュー軸の外面に対して下流側に傾斜する上流側縁部を有している。
一態様では、前記突起部は、前記第2スクリュー軸の軸方向および周方向において異なる位置に取り付け可能である。
一態様では、前記ケーキ切断構造体は、リング部材をさらに備えており、前記リング部材は、前記第2スクリュー軸の外面に取り付けられており、前記突起部は、前記リング部材に接続されている。
一態様では、前記突起部は、複数の突起部であり、前記複数の突起部は、前記第2スクリュー軸の周方向に配列されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ろ過筒から排出されたプラグケーキは、ケーキ切断構造体によって切断されながら、ケーキ切断構造体によってスクリューから剥離される。プラグケーキはケーキ切断構造体によって小さな断片に分解されるので、排出シュートやコンベヤの閉塞を防止することができる。特に、本発明によれば、切断されたプラグケーキは、背圧部材から背圧が加えられないので、後続のプラグケーキがろ過筒の内面にこびりつきにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】スクリュープレスの一実施形態を示す模式図である。
図2図1に示すケーキ切断構造体を示す側面図である。
図3】ケーキ切断構造体の他の実施形態を示す側面図である。
図4図4(a)および図4(b)は、突起部の変形例を上から見た図である。
図5】突起部の他の変形例を横から見た図である。
図6】ケーキ切断構造体の他の実施形態を示す側面図である。
図7図6のA-A線断面図である。
図8図1に示される第2スクリューの概略断面図である。
図9図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。
図10図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。
図11図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、スクリュープレスの一実施形態を示す模式図である。図1に示されるスクリュープレスは、円筒状のスクリーンケーシング(ろ過筒)1と、スクリーンケーシング1内で、該スクリーンケーシング1と同心状に配置され、汚泥(液体含有物)を所定の移送方向Dに移送する第1スクリュー3および第2スクリュー4と、第1スクリュー3を回転させる第1回転機構7と、第1スクリュー3とは独立に第2スクリュー4を回転させる第2回転機構20と、を備えている。
【0014】
スクリーンケーシング1は、パンチングメタルなどのスクリーン(多孔板)から形成されている。スクリーンケーシング1は、その上流側端部に、汚泥の投入口2を有している。投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥は、回転する第1スクリュー3および第2スクリュー4によりスクリーンケーシング1内で所定の移送方向Dに移送される。さらに、スクリュープレスは、第1回転機構7と第2回転機構20の動作を制御する制御部6を有する。
【0015】
第2スクリュー4は、第1スクリュー3とは独立に回転可能なように、第1スクリュー3に連結されている。第1スクリュー3および第2スクリュー4は、スクリーンケーシング1および排出シュート33をそれぞれ貫通して延びている。排出シュート33は、スクリーンケーシング1に接続されている。この排出シュート33に、後述するプラグケーキがスクリーンケーシング1から排出される。
【0016】
第2スクリュー4の軸方向の長さは、第1スクリューの軸方向の長さよりも短い。第1スクリュー3は、汚泥の移送方向Dにおける下流側に向かってその径が徐々に大きくなる円錐台形状(テーパ形状)の第1スクリュー軸3Aと、第1スクリュー軸3Aの外面に固定された第1スクリュー羽根3Bとを有している。第2スクリュー4は、円筒形状の第2スクリュー軸4Aと、第2スクリュー軸4Aの外面4Eに固定された第2スクリュー羽根4Bを有している。
【0017】
第2スクリュー4の第2スクリュー軸4Aは、第1スクリュー軸3Aと同心状に配置される。第2スクリュー軸4Aの外径は第1スクリュー軸3Aの最大径と同一である。第2スクリュー軸4Aは、排出シュート33の壁33Aを貫通して延びている。
【0018】
スクリーンケーシング1の上流側の端部は閉塞壁8によって密封されている。第1スクリュー軸3Aの一方の端部(移送方向Dにおける上流側端部)はこの閉塞壁8を貫通して延びている。この閉塞壁8には、該閉塞壁8と第1スクリュー軸3Aとの間の隙間をシールする水封装置10が設置されている。
【0019】
第1スクリュー軸3Aの上流側端部は、第1スクリュー3を回転させるための第1回転機構7に連結されている。第2スクリュー軸4Aの下流側端部は、第2スクリュー4を回転させるための第2回転機構20に連結されている。第1回転機構7および第2回転機構20の具体的構成は、特に限定されない。例えば、第1回転機構7および第2回転機構20のそれぞれは、電動機とトルク伝達機構(例えばスプロケットとチェーン、または歯車と旋回軸受)との組み合わせを備えてもよい。
【0020】
本実施形態では、第2回転機構20は、インバータを有する電動機(図示せず)を駆動源として備えている。制御部6は、第2回転機構20の回転速度および回転方向を制御することが可能に構成されている。第2回転機構20は、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは独立して回転させることが可能である。なお、第1回転機構7も、その回転速度および回転方向を変更可能なインバータを有する電動機を駆動源として備えてもよい。
【0021】
第1スクリュー羽根3Bは、第1スクリュー軸3Aの軸方向に沿って螺旋状に延びており、第2スクリュー羽根4Bは、第2スクリュー軸4Aの軸方向に沿って螺旋状に延びている。第1スクリュー羽根3Bが固定されている第1スクリュー3の部分と、第2スクリュー羽根4Bが固定されている第2スクリュー4の部分を合計した長さは、スクリーンケーシング1の軸方向の長さと同一か、または長い。
【0022】
スクリーンケーシング1の内面と第1スクリュー羽根3Bとの間には微小な隙間が形成されており、第1スクリュー羽根3Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。同様に、スクリーンケーシング1の内面と第2スクリュー羽根4Bとの間には微小な隙間が形成されており、第2スクリュー羽根4Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。スクリーンケーシング1の上流側端部に形成された投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥を、回転する第1スクリュー羽根3Bおよび第2スクリュー羽根4Bによって排出シュート33に向かって(すなわち、移送方向Dに)移送することができる。
【0023】
本実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向(すなわち、螺旋方向)は、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向とは逆である。したがって、投入口2から投入された汚泥を、排出シュート33へ送り出すときは、図1に示されるように、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは逆方向に回転させることになる。
【0024】
第2スクリュー羽根4Bの巻き方向を、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向と同一にしてもよい。この場合、投入口2から投入された汚泥を、排出シュート33へ送り出すときは、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同方向に回転させることになる。
【0025】
図1に示されるように、スクリーンケーシング1は、第1スクリュー3が配置された脱水領域1Aと、第2スクリュー4が配置されたプラグ形成領域1Bとに分割される。脱水領域1Aで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第1スクリュー羽根3Bと、第1スクリュー軸3Aとによって形成される。この移送空間の断面積は、図1に示されるように、汚泥の移送方向Dに沿って漸次減少する。したがって、投入口2から投入された汚泥がこの移送空間を第1スクリュー羽根3Bによって移送されるに従って、汚泥は圧搾され、脱水される。スクリーンケーシング1のスクリーン(多孔板)を通過したろ液は、スクリーンケーシング1の下方に配置されたろ液受け38によって集められる。ろ液受け38には、ドレイン39が接続されており、ろ液受け38によって集められたろ液は、ドレイン39を介してスクリュープレスから排出される。
【0026】
プラグ形成領域1Bで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第2スクリュー羽根4Bと、第2スクリュー軸4Aとによって形成される。図1に示されるように、この移送空間の断面積は一定である。プラグ形成領域1Bでは、脱水領域1Aで脱水された汚泥(すなわち、ケーキ)によって、プラグケーキが形成される。
【0027】
互いに独立して回転することができる第1スクリュー3および第2スクリュー4を備えたスクリュープレスは、背圧部材を用いることなく、スクリーンケーシング1内にプラグケーキを形成することができる。したがって、本実施形態のスクリュープレスは、プラグケーキに背圧を加えるための背圧板などの背圧部材を有していない。プラグケーキを形成する方法については後述する。
【0028】
スクリュープレスは、第2スクリュー4によって形成されたプラグケーキを切断するケーキ切断構造体40をさらに備えている。このケーキ切断構造体40は、第2スクリュー軸4Aの外面4Eに設けられている。より具体的には、ケーキ切断構造体40は、第2スクリュー軸4Aの外面4Eに設けられた複数の突起部41を備えている。これら突起部41は、第2スクリュー軸4Aの径方向外側に突出している。複数の突起部41は、第2スクリュー軸4Aの周方向に配列されている。各突起部41は、板状の形状を有しており、第2スクリュー軸4Aの軸方向と平行に配置されている。一実施形態では、後述するように、各突起部41は、第2スクリュー軸4Aの軸方向に対して傾いてもよい。
【0029】
図2は、図1に示すケーキ切断構造体40を示す側面図である。図2に示されるように、突起部41は、第2スクリュー4と一体に回転し、第2スクリュー4の回転によって第2スクリュー4の軸方向に送られてくるプラグケーキGを切断しながら、第2スクリュー4から剥離する。
【0030】
第2スクリュー4の回転速度と、プラグケーキGの回転速度との間には差がある。すなわち、第2スクリュー4の回転方向のベクトルは、プラグケーキGを第2スクリュー4の軸方向に送るベクトルと、プラグケーキGを第2スクリュー4の周方向に回転させるベクトルに分解される。プラグケーキGを第2スクリュー4の周方向に回転させるベクトルは、第2スクリュー4の回転方向のベクトルよりも小さいので、第2スクリュー4の回転速度と、プラグケーキGの回転速度との間には差が生じる。結果として、突起部41は、プラグケーキGに第2スクリュー4の回転方向の力を加えながら、プラグケーキGを第2スクリュー軸4Aの軸方向に切断することができる。
【0031】
このようにして、突起部41は、スクリーンケーシング1から出た円筒状のプラグケーキGを第2スクリュー4の軸方向に切断しながら、プラグケーキGを第2スクリュー4の周方向に裂くことができる。すなわち、突起部41は、プラグケーキGを切断することで小さな断片に分解し、プラグケーキGに周方向に力を加えることで、プラグケーキGを第2スクリュー4から剥離する。本実施形態によれば、プラグケーキGは小さな断片に分割されるので、排出シュート33やコンベヤの閉塞を防止することができる。
【0032】
突起部41の数は特に限定されないが、プラグケーキGをある程度細かく切断するために、少なくとも2つの突起部41が設けられることが好ましい。本実施形態では、4つの突起部41が、第2スクリュー4の周方向に沿って等間隔に配列されている。一実施形態では、1つの突起部41のみを設けてもよい。
【0033】
上述したように、本実施形態では、プラグケーキGに背圧を加えるための背圧部材は設けられていない。したがって、突起部41は、第2スクリュー4の回転によって送られるプラグケーキGを切断しながら、切断されたプラグケーキGは後続のプラグケーキによって突起部41の下流側に送られる。具体的には、突起部41は、プラグケーキGを切断しながら、切断されたプラグケーキGは背圧部材から背圧を加えられない状態で(切断されたプラグケーキGの排出が阻害されない状態で)、第2スクリュー軸4Aの軸方向に送られる。
【0034】
従来のスクリュープレスのように、スクリーンケーシング1から出たプラグケーキに背圧部材によって背圧を加えると、背圧がスクリーンケーシング1内のプラグケーキに加わり、スクリーンケーシング1の内面にプラグケーキがこびりつくことがある。本実施形態によれば、切断されたプラグケーキは背圧部材から背圧が加えられないので、後続のプラグケーキがスクリーンケーシング1の内面にこびりつきにくい。
【0035】
本実施形態では、突起部41は、第2スクリュー軸4Aの軸方向と平行であるが、プラグケーキを切断することができる限りにおいて、図3に示すように、突起部41は第2スクリュー4の軸方向に対して傾いてもよい。プラグケーキを切断しやすくするために、図4(a)および図4(b)に示すように、各突起部41は、鋭角形状の断面を持つ上流側縁部41aを有してもよい。さらに図5に示すように、各突起部41は、第2スクリュー軸4Aの外面4Eに対して下流側に傾斜した上流側縁部41aを有してもよい。このような上流側縁部41aを有する突起部41は、プラグケーキを容易に切断することができる。
【0036】
図6は、ケーキ切断構造体40の他の実施形態を示す側面図であり、図7図6のA-A線断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図1および図2を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0037】
本実施形態では、ケーキ切断構造体40は、第2スクリュー軸4Aの外面4Eに配置されたリング部材45と、リング部材45に接続された突起部41と、リング部材45を第2スクリュー軸4Aに固定するための締結具としてのボルト48およびナット49を有している。ケーキ切断構造体40は、第2スクリュー軸4Aの外面4Eに着脱可能に取り付けられている。
【0038】
リング部材45は、2つの半円環部材45A,45Bを有している。半円環部材45Aの両端には、ボルト48が通過可能な孔(図示せず)を有する2つの当接部材50Aが接続されている。同様に、半円環部材45Bの両端には、ボルト48が通過可能な孔(図示せず)を有する2つの当接部材50Bが接続されている。当接部材50Aは半円環部材45Aと一体であってもよく、または溶接などの公知の接合技術により半円環部材45Aに接合されてもよい。同様に、当接部材50Bは半円環部材45Bと一体であってもよく、または溶接などの公知の接合技術により半円環部材45Bに接合されてもよい。
【0039】
当接部材50A,50B同士が互いに接触した状態で、半円環部材45A,45Bは第2スクリュー軸4Aの外面4Eに配置される。ボルト48は当接部材50A,50Bの孔を貫通し、ボルト48はナット49に螺合している。ボルト48とナット49によって締結された2つの当接部材50A,50Bは、ケーキ切断構造体40の複数の突起部41のうちの1つを構成する。別の突起部41は、半円環部材45A,45Bの外周面に接続(固定)されている。
【0040】
ボルト48およびナット49を緩めると、ケーキ切断構造体40の全体を、第2スクリュー軸4A上でその軸方向に移動させることができる。所望の位置に移動させた当接部材50A,50Bをボルト48およびナット49により締結すると、ケーキ切断構造体40の位置を固定することができる。このようにして、ケーキ切断構造体40の突起部41は、第2スクリュー軸4Aの軸方向および周方向において異なる位置に取り付け可能である。
【0041】
図8は、図1に示される第2スクリュー4の概略断面図である。第2スクリュー軸4Aは、中空構造を有している。図8に示されるように、第1スクリュー軸3Aの他方の端部(移送方向Dにおける下流側端部)には、円筒形状の第2スクリュー軸4Aに挿入される縮径部3Cが形成されている。縮径部3Cを第1スクリュー軸3Aに形成することによって、第1スクリュー軸3Aには、その軸方向と垂直な壁面3Dが形成される。縮径部3Cは、円筒形状の第2スクリュー軸4Aに挿入され、第2スクリュー軸4Aの内壁4Cに固定されたすべり軸受30,31に回転可能に支持されている。このような構成で、第1スクリュー3は、第2スクリュー4と回転可能に連結される。第2スクリュー軸4Aの上流側端部は、上記すべり軸受30,31を介して第1スクリュー軸3Aに回転可能に支持されている。
【0042】
図8に示されるように、第1スクリュー軸3Aの縮径部3Cが第2スクリュー軸4の内部に挿入された状態で、第2スクリュー軸4Aの上流側端部は、第1スクリュー軸3Aの壁面3Dと接触している。一実施形態では、第2スクリュー軸4Aの上流側端部と第1スクリュー軸3Aの壁面3Dとの間に、わずかな隙間が形成されてもよい。この場合、スクリーンケーシング1内の汚泥がすべり軸受30と縮径部3Cとの間の隙間を通過することを阻止するシール構造(例えば、ラビリンス構造)を、すべり軸受30および/または縮径部3Cに設けてもよい。
【0043】
図8に示されるように、第2スクリュー羽根4BのピッチP1は、第1スクリュー羽根3BのピッチP2よりも小さい(すなわち、P1<P2)。さらに、第2スクリュー羽根4Bは、その巻数が3巻き未満である。図1に示される第2スクリュー羽根4Bの巻数は、2巻きである。
【0044】
次に、図1に示されるスクリュープレスの運転方法について、図9乃至図11を参照して説明する。図9乃至図11は、図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。以下の説明は、図1に示す実施形態に係るスクリュープレスの運転方法であるが、図6および図7を参照して説明した他の実施形態に係るスクリュープレスの運転方法にも同様に適用することができる。
【0045】
図9に示されるように、制御部6は、第2スクリュー4を停止させた状態で、第1回転機構7を駆動させて第1スクリュー3を回転させる。次いで、投入口2から汚泥(液体含有物)をスクリーンケーシング1内に投入する。投入口2から投入された汚泥は、回転する第1スクリュー羽根3Bによって第2スクリュー4に向かって(すなわち、移送方向Dに)移送される。
【0046】
第1スクリュー3が配置される脱水領域1Aでは、汚泥が移送される空間の断面積は、移送方向Dに沿って漸次減少する。したがって、脱水領域1Aを移送されるに従って汚泥は圧搾され、汚泥に含まれる水はスクリーンケーシング1によってろ過される。スクリーンケーシング1の内面に堆積した汚泥の層は、回転する第1スクリュー羽根3Bによって掻き取られるので、脱水領域1Aにおけるスクリーンケーシング1の内面(ろ過面)は常に良好な状態に維持される。
【0047】
汚泥がスクリーンケーシング1の脱水領域1Aを移送される間に、汚泥は脱水されてケーキとなり、第2スクリュー4が配置されたプラグ形成領域1Bに送り込まれる。図9に示されるように、運転当初は、第2スクリュー4は回転していない(すなわち、停止している)ので、プラグ形成領域1B内のケーキは排出シュート33に排出されず、該プラグ形成領域1Bに滞留する。ケーキは第2スクリュー4上に徐々に蓄積され、脱水領域1Aからプラグ形成領域1Bに移送される汚泥(以下、「後続のケーキ」と称する)によって第2スクリュー羽根4Bに押し付けられる。プラグ形成領域1B内のケーキは、第2スクリュー羽根4Bによって移動を妨げられることで圧搾され、低含水率のケーキとなる。この低含水率のケーキが、後続のケーキの移動を妨げるプラグケーキを形成する。第2スクリュー軸4Aの周りに形成されたプラグケーキによって、後続のケーキには背圧が加えられ、該後続のケーキはさらに圧搾される。プラグ形成領域1Bでプラグケーキから分離された水は、上記ろ液受け38によって集められ、ドレイン39を介してスクリュープレスから排出される。
【0048】
スクリュープレスの運転が継続されるにしたがって、プラグケーキは、第2スクリュー軸4Aの全周に亘って均一に形成される。その結果、図9に示されるように、後続のケーキを確実に堰き止めるプラグケーキが第2スクリュー軸4Aの周りに形成される。したがって、後続のケーキの含水率が高い場合でも、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキによって、後続のケーキを確実に堰き止めることができるので、後続のケーキの片流れを防止することができる。この「片流れ」とは、プラグケーキよりも高い含水率を有する後続のケーキがプラグ形成領域1Bをそのまま通過して排出シュート33に排出されてしまうことを意味する。
【0049】
図10に示されるように、プラグケーキが形成された後、制御部6は、第2スクリュー4を第1スクリュー3の回転方向とは逆方向に回転させ、第2スクリュー羽根4Bによってプラグケーキを少しずつ排出シュート33に送り出す(すなわち、排出する)。このように、プラグケーキの形成とプラグケーキの排出とが連続的に行なわれるので、常にプラグ形成領域1Bにプラグケーキが存在する状態で、スクリュープレスを運転することができる。
【0050】
第2スクリュー4上のプラグケーキは、後続のケーキに背圧を加えながら、第2回転機構20よって回転される第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4Bによってケーキ切断構造体40に送られる。ケーキ切断構造体40の突起部41は、第2スクリュー4と一体に回転しながら、プラグケーキを切断し、プラグケーキを第2スクリュー4から剥離させる。切断されたプラグケーキは、排出シュート33に排出される。
【0051】
制御部6は、第2スクリュー4の回転速度を変更することによって、排出シュート33に排出されるプラグケーキの量を調整することができる。より具体的には、制御部6が第2スクリュー4の回転速度を低下させると、プラグケーキの排出量が減少し、制御部6が第2スクリュー4の回転速度を増加させると、プラグケーキの排出量が増加する。プラグケーキの排出量が減少すると、後続のケーキが脱水領域1Aに滞留して、該後続のケーキに加えられる背圧が増加する。したがって、制御部6が第2スクリュー4の回転速度を低下させることにより、後続のケーキの含水率を低下させることができる。一実施形態では、第2スクリュー4の回転と停止とを交互に繰り返す間欠運転を行うことにより、後続のケーキに加えられる背圧を調整してもよい。
【0052】
このように、本実施形態では、第2スクリュー4を第1スクリュー3の回転方向とは逆向きに回転させることにより、低含水率のプラグケーキをスクリーンケーシング1から除去することができる。さらに、本実施形態によれば、スクリーンケーシング1の排出側端部には、背圧板などの抵抗体を設ける必要がない。したがって、プラグケーキをスクリーンケーシング1から円滑に排出シュート33に排出することができる。さらに、背圧板や背圧板の作動機構が不要であるため、スクリュープレスを安価に製作することが可能になる。
【0053】
第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4BのピッチP1(図8参照)は、第1スクリュー3の第1スクリュー羽根3BのピッチP2よりも小さい(すなわち、P1<P2)。このように、第2スクリュー羽根4BのピッチP1を第1スクリュー羽根3BのピッチP2よりも小さくすると、第2スクリュー4が1回転する間に排出シュート33に排出されるプラグケーキの移送距離が短くなるので、脱水領域1A内のケーキに加えられる背圧をより細やかに調整することが可能になる。
【0054】
一般的な一軸型スクリュープレスでは、円筒形状に圧搾されたプラグケーキが硬くなりすぎると、この硬化したプラグケーキがスクリーンケーシングを閉塞させ、スクリーンケーシングから排出できなくなる。さらに、この硬化したプラグケーキがスクリューと供回りしてしまう。その結果、スクリュープレスの運転が継続できなくなる。本実施形態の二軸型スクリュープレスでは、第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4Bの巻き方向は、第1スクリュー3の第1スクリュー羽根3Bの巻き方向とは逆である。したがって、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキを排出シュート33に排出するときは、図10に示されるように、第2スクリュー4を、第1スクリュー3の回転方向と逆方向に回転させる。第2スクリュー4とは逆方向に回転する第1スクリュー3によってケーキがプラグケーキに押し付けられると、第2スクリュー4の回転方向とは逆方向の力がプラグケーキに加えられる。その結果、プラグ形成領域1B内のプラグケーキと第2スクリュー4との供回り、および/または脱水領域1A内のケーキと第1スクリュー3との供回りが防止されるので、汚泥に高い背圧を加えながら、スクリュープレスを運転することが可能になる。
【0055】
第2スクリュー羽根4Bの巻数が3巻き以上であると、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキを排出シュート33に移送する時間が長くなる。プラグケーキの粘性が高い場合は、プラグケーキが第2スクリュー4と供回りするおそれがある。本実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻数が3巻未満であるので、プラグケーキを短時間でスクリーンケーシング1から排出することができる。したがって、スクリュープレスで脱水される汚泥が高い粘性を有している場合でも、プラグケーキが第2スクリュー4とともに回転する前に、プラグケーキをスクリーンケーシング1から排出することができる。第2スクリュー羽根4Bの巻数が1巻きである場合は、プラグケーキが後続のケーキによって排出シュート33に押し出されて、後続のケーキに効果的に背圧を加えることができなくなるおそれがある。したがって、第2スクリュー羽根4Bの巻数は、2巻き以上で3巻き未満が好ましい。
【0056】
図11に示されるように、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向に回転させてもよい。第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向に回転させると、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキが脱水領域1Aに向かって押し出され、脱水領域1Aのケーキにより大きな背圧を加えることができる。その結果、汚泥の脱水効率を向上させることができる。
【0057】
第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向に長時間回転させると、脱水領域1A内のケーキが第1スクリュー3と供回りするおそれがある。したがって、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向にある程度の時間だけ回転させた後で、第2スクリュー4の回転方向を、第1スクリュー3の回転方向とは逆向きに戻す(図10参照)。本実施形態のスクリュープレスは、プラグケーキの排出を妨げる背圧板のような抵抗体を有していないので、第2スクリュー4は、スクリューコンベアのように、プラグケーキを円滑に排出シュート33に排出することができる。このように、制御部6が第2スクリュー4の回転方向を変更することにより、脱水領域1Aで第1スクリュー3により圧搾される汚泥に加えられる背圧を調整することができる。プラグケーキを排出シュート33に確実に排出するために、第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4Bの後端がスクリーンケーシング1の開口端部から突出するように構成してもよい。
【0058】
制御部6が第2スクリュー4の回転速度および回転方向を変更することにより、従来のスクリュープレスでは達成することができない低含水率にまで汚泥を脱水することができる。すなわち、第2スクリュー4を停止させた状態で、第1スクリュー3を回転させてプラグケーキを第2スクリュー軸4Aの周りに形成する。次いで、第2スクリュー4を正方向(第1スクリュー3の回転方向とは逆方向)に回転させてプラグケーキを排出シュート33に排出しながら、スクリーンケーシング1内の汚泥を圧搾して脱水処理を行う。汚泥の脱水処理中に、第2スクリュー4を逆方向(第1スクリュー3の回転方向と同一方向)に回転させて、脱水領域1A内のケーキをさらに低含水率にまで脱水させ、その後、第2スクリュー4を正方向に回転させて、低含水率のプラグケーキを排出シュート33に排出するようにしてもよい。このような第2スクリュー4の回転方向を変更する動作は、汚泥の性状に応じた間隔で定期的に行なうことが好ましい。
【0059】
一実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向は、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向と同一であってもよい。この場合は、投入口2から投入された汚泥を、排出シュート33へ送り出すときは、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは同一方向に回転させることになる。プラグケーキを短時間でスクリーンケーシング1から排出するために、第2スクリュー羽根4Bの巻数は3巻未満である。さらに、第2スクリュー羽根4Bの巻数は、後続のケーキに効果的に背圧を加えるために、2巻き以上であることが好ましい。
【0060】
上述した実施形態のスクリュープレスは、液体含有物の一例である汚泥から液体である水を分離するために用いられているが、このスクリュープレスを汚泥以外の液体含有物から液体を分離するために用いてもよい。例えば、果実、油等の食品の処理、および古紙の再生処理などの工業製品の処理にも、上述の実施形態に係るスクリュープレスを用いることができる。食品の処理では、果実、種子などの原料(液体含有物)を圧搾して、果汁、油などの液体を原料から分離するためにスクリュープレスが用いられる。古紙の再生処理では、古紙を水および薬品などの液体と混合して、古紙を繊維状物質にほぐす。スクリュープレスは、繊維状物質と液体の混合物(液体含有物)を圧搾して、繊維状物質を混合物から分離するために用いられる。
【0061】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0062】
1 スクリーンケーシング(ろ過筒)
1A 脱水領域
1B プラグ形成領域
2 投入口
3 第1スクリュー
3A 第1スクリュー軸
3B 第1スクリュー羽根
3C 縮径部
3D 壁面
4 第2スクリュー
4A 第2スクリュー軸
4B 第2スクリュー羽根
6 制御部
7 第1回転機構
8 閉塞壁
10 水封装置
20 第2回転機構
33 排出シュート
38 ろ液受け
39 ドレイン
40 ケーキ切断構造体
41 突起部
45 リング部材
45A,45B 半円環部材
48 ボルト
49 ナット
50A,50B 当接部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11