(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】メイン支持部と、当該メイン支持部に配置された中間支持部と、当該中間支持部に配置されたスケールとを有する装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20240228BHJP
G01D 5/347 20060101ALI20240228BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G01D5/12 Q
G01D5/347 110X
G01D5/245 110W
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020020495
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502149218
【氏名又は名称】エテル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・タミグニオー
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-アンドレ・ザノーニ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ストーン
(72)【発明者】
【氏名】ゴルカ・ガルドス
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-210315(JP,A)
【文献】特開平8-285566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252
G01B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン支持部(12)と、該メイン支持部(12)上に配置された中間支持部(14)と、該中間支持部(14)上に配置されたスケール(16)とを有する装置(10)であって、前記スケール(16)が長手方向(X)に延在しており、前記スケール(16)が、測定目盛り平面(20)に配置された、少なくとも長手方向(X)における位置測定のための測定目盛り(18)を備えている、前記装置において、
前記メイン支持部(12)が、第1の固定要素(22)及び第2の固定要素(24)を備えており、該第1の固定要素(22)及び該第2の固定要素(24)が前記メイン支持部(12)に統合されており、該第1の固定要素(22)及び該第2の固定要素(24)が長手方向(X)に互いに離間して配置されていること、前記第1の固定要素(22)が、第1の位置(P1)で、長手方向(X)において前記中間支持部(14)を前記メイン支持部(12)に対して固定して支持するように形成されていること、前記第2の固定要素(24)が、前記第1の位置(P1)とは異なる第2の位置(P2)で、長手方向(X)において前記メイン支持部(12)に対して自由に移動可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていること、前記装置(10)が、第3の固定要素(26)及び第4の固定要素(28)を備えており、該第3の固定要素(26)及び該第4の固定要素(28)が軸方向(X)に互いに離間して配置されていること、並びに第3の固定要素(26)が、第1の位置(P1)で、長手方向(X)において前記中間支持部(14)に固定して前記スケール(16)を支持するように形成されていること、前記第4の固定要素(28)が、前記第1の位置(P1)及び前記第2の位置(P2)とは異なる第3の位置(P3)で、長手方向(X)において前記中間支持部(14)に対して自由に移動可能に前記スケール(16)を支持するように形成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の固定要素(22)が、前記第1の位置(P1)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第1の位置(P1)に割り当てられた回転軸線(R1)を中心として前記メイン支持部(12)に対して自由に回転可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されており、前記第2の固定要素(24)が、前記第2の位置(P2)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第2の位置(P2)に割り当てられた回転軸線(R2)を中心として前記メイン支持部(12)に対して自由に回転可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記第1の固定要素(22)及び前記第2の固定要素(24)が、それぞれ前記第1の位置(P1)あるいは前記第2の位置(P2)で、前記長手方向(X)に対して垂直に延びる横方向(Y)及び前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)において前記中間支持部(14)を前記メイン支持部(12)に固定して支持するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記第3の固定要素(26)が、前記第1の位置(P1)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第1の位置(P1)に割り当てられた回転軸線(R1)を中心として前記中間支持部(14)に対して自由に回転可能に前記スケール(16)を支持するように形成されており、前記第4の固定要素(28)が、前記第3の位置(P3)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第3の位置(P3)に割り当てられた回転軸線(R3)を中心として前記中間支持部(14)に対して自由に回転可能に前記スケール(16)を支持するように形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記第3の固定要素(26)及び前記第4の固定要素(28)が、それぞれ前記第1の位置(P1)あるいは前記第3の位置(P3)で、前記長手方向(X)に対して垂直に延びる横方向(Y)及び前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)において前記スケール(16)を前記中間支持部(14)に固定して支持するように形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記メイン支持部(12)が複数の別の固定要素(30.1~30.4)を備えており、該別の固定要素(30.1~30.4)が前記メイン支持部(12)に統合されており、前記別の固定要素(30.1~30.4)が、長手方向(X)に分配されて前記第1の固定要素(22)と前記第2の固定要素(24)の間に配置されているとともに、前記第1の位置(P1)及び前記第2の位置(P2)とは異なる複数の別の位置(Q1~Q4)において、長手方向(X)及び該長手方向(X)に対して垂直に延びる横方向(Y)において前記メイン支持部(12)に対して自由に移動可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記別の固定要素(30.1~30.4)が、前記別の位置(Q1~Q4)において、それぞれ前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記別の位置(Q1~Q4)に割り当てられた回転軸線を中心として前記メイン支持部(12)に対して自由に回転可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記別の固定要素(30.1~30.4)が、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)における前記別の位置(Q1~Q4)において、前記中間支持部(14)を前記メイン支持部(12)に固定して支持するように形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記第1の固定要素(22)及び前記第2の固定要素(24)が、前記メイン支持部(12)の互いに対向する端部に配置されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記スケール(16)が、それぞれ前記長手方向(X)に延びる互いに対向する2つの側面(62,64)を有する長方形状の断面を備えており、前記第3の固定要素(26)及び前記第4の固定要素(28)が、前記中間支持部(14)に配置されているとともに、互いに対向する前記側面(62,64)において前記スケール(16)と接触するように形成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記第1の固定要素(22)、前記第2の固定要素(24)、前記第3の固定要素(26)及び/又は前記第4の固定要素(28)が、それぞれ1つのたわみジョイント(32~38)を備えていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記第1の固定要素(22)及び/又は前記第2の固定要素(24)が、それぞれ少なくとも2つの板バネ(32.1~32.4;34.1,34.2)を備えており、各板バネ(32.1~32.4;34.1,34.2)が、測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)において延在していることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記メイン支持部(12)及び前記中間支持部(14)が、同一の熱膨張係数を有していることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記中間支持部(14)及び前記スケール(16)が、異なる熱膨張係数を有していることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項15】
前記スケール(16)が、0~50℃の温度範囲で1.5×10
-6K
-1よりも小さ
い熱膨張係数を有する材料から成っていることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による、メイン支持部と、当該メイン支持部に配置された中間支持部と、当該中間支持部に配置されたスケールとを有する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような位置測定装置は、特に、加工されるべきワークピースに関する工具の相対位置を測定する加工機械において、また、試験対象物の位置及び寸法を算出する座標測定機械において、及び半導体産業においても用いられる。このとき、スケールは、支持部、例えば駆動ユニット(例えばリニアモータ)に直接設けられるか、又はスケールは、駆動ユニットにより駆動される部材に設けられる。位置測定装置の走査ユニットが可動のスケールに対して固定されて第2の物体に配置されており、支持部に対する当該第2の物体の相対位置が測定されるようになっている。
【0003】
位置測定装置についての要求はますます大きくなっている。目下、より高い解像度と、位置測定装置のより高い精度及び再現性とが要求される。支持部に対するスケールの固定点を形成するために、スケールを測定方向における支持部の任意の箇所に位置固定して固定することが知られている。
【0004】
多くの場合には、スケール及び支持部は、異なる熱膨張係数を有する材料から成っている。位置固定された固定は、温度変化時に支持部の強制力がスケールへ及ばないように構成されるべきである。
【0005】
同種の位置測定装置は、特許文献1から知られている。この位置測定装置では、スケールは、支持部本体及び測定標準によって形成されている。このとき、測定標準は、互いに離間した2つのサポート部を介して支持部本体に結合されている。サポート部のうち1つは、支持部本体に測定標準を固定するための固定点を形成している。第2のサポート部は弾性的な固定点を形成しており、その結果、固定されたサポート部を起点とした支持部本体に対する測定標準の熱による長手方向の変位が起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第19512892号明細書
【文献】独国特許出願公開第102008010284号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎となる課題は、コンパクトに構成され、精確な位置測定を可能とする、メイン支持部と、当該メイン支持部に配置された中間支持部と、当該中間支持部に配置されたスケールとを有する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。
【0009】
本発明により形成された装置は、メイン支持部と、当該メイン支持部に配置された中間支持部と、当該中間支持部に配置されたスケールとを含んでいる。スケールは長手方向に延在している。スケールは、測定目盛り平面に配置された、少なくとも長手方向における位置測定のための測定目盛りを備えている。メイン支持部は、第1の固定要素及び第2の固定要素を備えている。第1の固定要素及び第2の固定要素は、メイン支持部に統合されている。第1の固定要素及び第2の固定要素は、長手方向において互いに離間して配置されている。第1の固定要素は、第1の位置で、長手方向において中間支持部をメイン支持部に固定して支持するように形成されている。第2の固定要素は、第1の位置とは異なる第2の位置で、長手方向においてメイン支持部に対して自由に移動可能に中間支持部を支持するように形成されている。装置は、第3の固定要素及び第4の固定要素を備えている。第3の固定要素及び第4の固定要素は、長手方向において互いに離間して配置されている。第3の固定要素は、第1の位置で、長手方向においてスケールを中間支持部に固定して支持するように形成されている。第4の固定要素は、第1の位置及び第2の位置とは異なる第3の位置で、長手方向において中間支持部に対して自由に移動可能にスケールを支持するように形成されている。
【0010】
好ましくは、第1の位置、第2の位置及び第3の位置は、それぞれ互いに異なる長手位置である。
【0011】
第1の固定要素が、第1の位置において、測定目盛り平面に対して垂直に延びて第1の位置に割り当てられた回転軸線を中心としてメイン支持部に対して自由に回転可能に中間支持部を支持するように形成されており、第2の固定要素が、第2の位置において、測定目盛り平面に対して垂直に延びて第2の位置に割り当てられた回転軸線を中心としてメイン支持部に対して自由に回転可能に中間支持部を支持するように形成されていれば、有利である。
【0012】
さらに、メイン支持部が複数の別の固定要素を備えており、別の固定要素がメイン支持部に統合されており、別の固定要素が、長手方向に分配されて第1の固定要素と第2の固定要素の間に配置されているとともに、第1の位置及び第2の位置とは異なる複数の別の位置において、長手方向及び該長手方向に対して垂直に延びる横方向においてメイン支持部に対して自由に移動可能に中間支持部を支持するように形成されていれば、有利である。
【0013】
好ましくは、別の固定要素は、別の位置において、それぞれ測定目盛り平面に対して垂直に延びて別の位置に割り当てられた回転軸線を中心としてメイン支持部に対して自由に回転可能に中間支持部を支持するように形成されている。
【0014】
本発明により、コンパクトに構成された装置によって、一方では、メイン支持部に対するスケールの(局所的な)位置固定された固定が可能であり、他方では、スケールをメイン支持部から二重に結合解除することが可能である。このために、メイン支持部と中間支持部の間の結合解除及び中間支持部とスケールの間の結合解除が設定されている。このとき、結合解除は、それぞれ少なくとも1つの並進自由度、すなわち少なくとも長手方向(測定方向)において行われる。二重の結合解除により、温度変化時にも、メイン支持部からスケールへ強制力が作用しないことが達成される。加えて、中間支持部は断熱要素として用いられ、これにより、メイン支持部からスケールへの直接的な熱伝達が回避される。また、中間支持部を、スケールの破損又は損傷時に容易に交換することが可能である。
【0015】
本発明の有利な形成は、各従属請求項から見て取れる。
【0016】
本発明による装置の詳細及び利点は、添付の図面に基づく実施例の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】メイン支持部と、当該メイン支持部に配置された中間支持部と、当該中間支持部に配置されたスケールとを含む本発明により形成された装置の斜視図である。
【
図3】メイン支持部に統合された第1の固定要素と、メイン支持部に統合された第2の固定要素とを有するメイン支持部の斜視図である。
【
図5】第3の固定要素及び第4の固定要素によって互いに対向する側面に接触可能なスケールの平面図である。
【
図10】メイン支持部に統合された別の固定要素のうち1つの斜視図である。
【
図11】
図1による装置を含む位置固定された基準部分に対するスケールの固定点の位置を測定する測定装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、
図1~
図10に基づき本発明の実施形態を説明する。本発明により形成された装置10は、メイン支持部12と、当該メイン支持部12に配置された中間支持部14と、当該中間支持部14に配置されたスケール16とを含んでいる。スケール16は、長手方向Xに延在しているとともに、測定目盛り平面20に配置された測定目盛り18を備えている。測定目盛り18は、光電的に走査可能なインクリメント目盛りとして、長手方向Xと、更に当該長手方向に対して横方向に延びる第2の横方向Yにおける高精度の位置測定のために形成されている。スケール16は、好ましくは無視できるほど小さな熱膨張係数、特に0~50℃の温度範囲で1.5×10
-6K
-1、特に0.1×10
-6K
-1の熱膨張係数αを有する材料から成っている。このような材料は、ガラスあるいはガラスセラミック(例えばZERODUR(ゼロデュア))又は例えばインバーのような金属である。
【0019】
メイン支持部12及び中間支持部14は、好ましくは約10.5×10-6K-1の熱膨張係数を有する鋼で構成されている。
【0020】
メイン支持部12及び中間支持部14は、それぞれプレート状の構造として形成されている。スケール16は、それぞれ長手方向Xに延びる互いに対向する2つの側面62,64を有する長方形状の断面を備えている(
図5参照)。
【0021】
メイン支持部12、中間支持部14及びスケール16の3つの部材から成る構造が
図1及び
図2に図示されている。個々の構成要素、すなわち、メイン支持部12、中間支持部14及びスケール16は、
図3~
図5に図示されている。
【0022】
図3に示されているように、メイン支持部12は、当該メイン支持部12に統合された第1の固定要素22と、当該メイン支持部12に統合された第2の固定要素24とを備えている。第1の固定要素22及び第2の固定要素24は、長手方向Xにおいて互いに離間して配置されている。また、
図1には、装置10が第3の固定要素26及び第4の固定要素28を備えていることが示されている。第3の固定要素26及び第4の固定要素28は、長手方向Xにおいて互いに離間して配置されている。
図1及び
図5を参照すると、第3の固定要素26及び第4の固定要素28は、中間支持部14に配置されているとともに、互いに対向する側面62,64において互いに接触するように形成されている。
【0023】
第1~第4の固定要素22~28は、一方では、メイン支持部12に対する(局所的な)位置固定されたスケール16の固定に用いられ、他方では、それぞれ少なくとも並進自由度において、すなわち長手方向X(測定方向)においてメイン支持部12からスケール16を二重に結合解除するために用いられる。このために、第1の固定要素22は、第1の位置P1で、長手方向Xにおいて中間支持部14をメイン支持部12に固定して支持するように形成されている。第2の固定要素24は、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2で、長手方向Xにおいてメイン支持部12に対して自由に移動可能に中間支持部14を支持するように形成されている。第3の固定要素26は、第1の位置P1で、長手方向Xにおいてスケール16を中間支持部14に固定して支持するように形成されている。第4の固定要素28は、第1の位置P1及び第2の位置とは異なる第3の位置P3で、長手方向Xにおいて中間支持部14に対して自由に移動可能にスケール16を支持するように形成されている。第1~第3の位置P1~P3は、
図2に明示されているように、好ましくはそれぞれ異なる長手位置、すなわち長手方向Xに沿った位置である。
【0024】
図3に関して、メイン支持部12は、第1及び第2の固定要素22,24(すなわち、メイン支持部12の互いに対向する端部に配置された固定要素)に加えて、メイン支持部12へ統合された複数の別の固定要素30.1~30.4を備えている。
図3に示されているように、別の固定要素30.1~30.4は、長手方向Xにおいて分配されて、第1の固定要素22と第2の固定要素24の間に配置されている。当該別の固定要素は、特に、第1の位置P1及び第2の位置P2とは異なる別の位置Q1~Q4において軸方向Xと当該軸方向Xに対して垂直な横方向Y(すなわち測定目盛り平面20に対して平行)とへ延びるように、メイン支持部12に対して自由に移動可能に中間支持部14を支持するように用いられる。別の位置Q1~Q4は、好ましくは、第1の位置P1と第2の位置P2の間に位置する、それぞれ互いに異なる長手位置、すなわち軸方向Xに沿った位置である。このことは、ここでも
図2において明示されている。
【0025】
有利には、固定要素22,24及び30.1~30.4は、ワイヤカット放電加工法(Drahterodierverfahren)によって製造することが可能である。当該固定要素の製造には、他の一般に知られた加工方法を用いることも可能である。
図3において見て取れるように、固定要素22,24及び30.1~30.4は、メイン支持部12の表面Sにおける凹部によって形成されている。
【0026】
図4に示された中間支持部14は、固定ネジを収容する複数対の凹部52~60を備えている。これにより、一方では、中間支持部14をメイン支持部12に固定することができ、他方では、第3及び第4の固定要素26,28を介してスケール16を中間支持部14に固定することができる。このために、
図5に示されているように、第3及び第4の固定要素26,28は、凹部56,58の対に割り当てられた、固定ネジを収容する凹部46.1,46.2;48.1,48.2の対を備えている。
【0027】
図6~
図10では、第1~第4の固定要素22~28及び別の固定要素30.1~30.4のうち1つ(以下では別の固定要素30)が拡大して図示されている。
図6~
図10の図示は、それぞれたわみジョイント(固体ジョイント)として形成された固定要素22~28,30の機能を説明するためのものである。
【0028】
図6には、第1の固定要素22の斜視図が示されている。第1の固定要素22は、4つの板バネ32.1~32.4を備えている。板バネ32.1~32.4は、たわみジョイント32を形成している。
図6に示されているように、板バネ32.1~32.4は、それぞれメイン支持部12の本体部Gから第1の固定要素22の固定部分42へ延在している。このとき、両板バネ32.1,32.2が横方向Yへ延在している一方、両板バネ32.3,32.4は長手方向Xへ延在している。また、各板バネ32.1~32.4は、測定目盛り平面20に対して垂直に延びる高さ方向Zにおいて延在している。
【0029】
第1の固定要素22の固定部分42は、中間支持部14の凹部52に割り当てられた固定ネジを収容する一対の凹部42.1,42.2を含んでいる。これにより、中間支持部14を第1の固定要素22に固定することが可能である。
【0030】
図2~
図6に関して、第1の固定要素22は、第1の位置P1において、測定目盛り平面20に対して垂直に延びて第1の位置P1に割り当てられた回転軸線R1を中心としてメイン支持部12に対して自由に回転可能に中間支持部14を支持するように形成されている。また、第1の固定要素22は、第1の位置P1において横方向Y及び高さ方向Zに中間支持部14をメイン支持部12に固定して支持するように形成されている。
【0031】
図7には、第2の固定要素24の斜視図が示されている。第2の固定要素24は、2つの板バネ34.1~34.2を備えている。板バネ34.1,34.2は、たわみジョイント34を形成している。
図7に示されているように、板バネ34.1,34.2は、それぞれメイン支持部12の本体部Gから第2の固定要素24の固定部分44へ延在している。このとき、両板バネ34.1,34.2がそれぞれ横方向Yへ延在している。各板バネ34.1,34.2は高さ方向Zへ延在している。
【0032】
第2の固定要素24の固定部分44は、中間支持部14の凹部54に割り当てられた固定ネジを収容する一対の凹部44.1,44.2を含んでいる。これにより、中間支持部14を第2の固定要素24に固定することが可能である。
【0033】
図2~
図7に関して、第2の固定要素24は、第2の位置P2において、測定目盛り平面20に対して垂直に延びて第2の位置P2に割り当てられた回転軸線R2を中心としてメイン支持部12に対して自由に回転可能に中間支持部14を支持するように形成されている。また、第2の固定要素24は、第2の位置P2において横方向Y及び高さ方向Zに中間支持部14をメイン支持部12に固定して支持するように形成されている。
【0034】
図8には、第3の固定要素26の斜視図が示されている。第3の固定要素26は、高さ方向Zに延在するウェブ状の部分36.1を含んでいる。ウェブ状の部分36.1は、たわみジョイント36を形成している。第3の固定要素26は、中間支持部14に固定するための第1の固定部分46と、スケール16の側方での接触のための第2の固定部分66とを含んでいる。第1の固定部分46は、凹部46.1,46.2を含んでいる。当該凹部46.1,46.2は、凹部56における固定ネジのために設けられている。第2の固定部分66は、高さ方向Zに延在する2つの突出部66.1,66.2を含んでいる。当該突出部66.1,66.2は、スケール16の側面62の確実かつ精確な接触のために用いられる。突出部66.1,66.2により、横方向Yに見てそれぞれ突出部66.1,66.2の両側に接着剤が塗布される接着隙間があらかじめ設定されている。これにより、スケール16が第3の固定要素26に固定される。
【0035】
図2~
図8に関して、第3の固定要素26は、第1の位置P1において、第1の位置P1に割り当てられた回転軸線R1を中心として中間支持部14に対して自由に回転可能にスケール16を支持するように形成されている。また、第3の固定要素26は、第1の位置P1において横方向Y及び高さ方向Zにスケール16を中間支持部14に固定して支持するように形成されている。
【0036】
図9には、第4の固定要素28の斜視図が示されている。第4の固定要素28は、2つの支柱38.1,38.2及び1つの先細の部分38.3を含んでいる。支柱38.1,38.2は、先細の部分38.3と共にたわみジョイント38を形成している。第4の固定要素28は、中間支持部14に固定するための第1の固定部分48と、スケール16の側方での接触のための第2の固定部分68とを含んでいる。第1の固定部分48は、凹部48.1,48.2を含んでいる。当該凹部48.1,48.2は、凹部58における固定ネジのために設けられている。第2の固定部分68は、高さ方向Zに延在する2つの突出部68.1,68.2を含んでいる。当該突出部68.1,68.2は、スケール16の側面64の確実かつ精確な接触のために用いられる。突出部68.1,68.2により、横方向Yに見てそれぞれ突出部68.1,68.2の両側に接着剤が塗布される接着隙間があらかじめ設定されている。これにより、スケール16が第4の固定要素28に固定される。
【0037】
図2~
図9に関して、第4の固定要素28は、第3の位置P3において、測定目盛り平面20に対して垂直に延びて第3の位置P3に割り当てられた回転軸線R3を中心として中間支持部14に対して自由に回転可能にスケール16を支持するように形成されている。また、第4の固定要素28は、第3の位置P3において横方向Y及び高さ方向Zに中間支持部14にスケール16を固定して支持するように形成されている。
【0038】
図10には、別の固定要素30の斜視図が示されている。別の固定要素30は、2つのU字状の板バネ40.1~40.2を含んでいる。当該板バネ40.1,40.2は、長手方向Xに延びる対称軸線に対して互いに対称に配置されている。両板バネ40.1,40.2は、共にたわみジョイント40を形成している。
図10に示されているように、板バネ40.1,40.2は、それぞれメイン支持部12の本体部Gから別の固定要素30の対応する固定部分50へ延在している。固定部分50は、固定ネジを収容するそれぞれ1つの凹部50.1,50.2を含んでいる。別の固定要素30の凹部50.1,50.2は、中間支持部14の凹部60に割り当てられている。これにより、中間支持部14を別の固定要素30に固定することが可能である。
【0039】
図2、
図3及び
図10に関して、別の固定要素30.1~30.4は、(
図3に基づいて上述した機能に加えて)別の位置Q1~Q4において、測定目盛り平面20に対してそれぞれ垂直に延びて別の位置Q1~Q4に割り当てられた回転軸線を中心としてメイン支持部12に対して自由に回転可能に中間支持部14を支持するために用いられる。
図10には、別の固定要素30についての当該回転軸線のうち1つ(回転軸線O)のみが例示的に図示されている。
【0040】
図10において別の固定要素30についてのみ例示的に図示されているように、板バネ40.1,40.2は少なくとも高さ方向Zにおいて延在しているため、高さ方向Zにおける中間支持部14の移動は許容されない。したがって、
図2、
図3及び
図10に関して、別の固定要素30.1~30.4は、別の位置Q1~Q4において高さ方向Zに中間支持部14をメイン支持部12に固定して支持するように形成されている。
【0041】
図6~
図9に基づき説明したように、第1~第4の固定要素22~28は、それぞれ1つの並進自由度において、すなわち自由度Xにおいてのみならず、回転自由度においても、すなわち自由度RZにおいても、メイン支持部12からのスケール16の二重の結合解除のために用いられる。加えて、別の固定要素30.1~30.4は、全てのいわゆる面内の自由度、すなわち自由度X,Y及びRZ(
図10参照)における結合解除のために用いられる。
【0042】
図11には、
図1による装置10を含む位置固定された基準部分B(例えば機械ベッド)に対するスケール16の固定点(基準点)の位置を測定する測定装置の平面図が示されている。
図11に示された測定装置においては、2つの別のスケール2,6が設けられており、これらスケールは、位置固定された基準部分Bに固定されている。装置10は、位置固定された基準部分Bに対して横方向に変位可能に支持されている。スケール2が長手方向X及び横方向Yにおける位置特定のための測定目盛りを含む一方、スケール6は、横方向Yのみにおける位置特定のための測定目盛りを含んでいる。スケール2の測定目盛りは、装置10の一端に連結された2つの走査ヘッド4.1,4.2によって走査可能である。スケール6の測定目盛りは、装置10の他端に連結された1つの走査ヘッド8によって走査可能である。3つの走査ヘッド4.1,4.2,8を用いることで、位置固定された基準部分Bに対する基準点の位置(すなわち位置固定された回転点あるいは位置固定された回転軸線R1であって、位置固定はそれぞれメイン支持部12に関する)を算出することが可能である。
【0043】
このために、
図11に示された測定装置により、自由度X,Y,RZにおいて、位置固定された基準部分Bに対する装置10の位置を特定することが可能である。この観点では、特許文献2、特に第1の実施例が参照され、その内容はこれにより本願に取り入れられる。
【0044】
スケール16は、例えばいわゆる1DPlusエンコーダとして形成されている。この観点でも、特許文献2、特に
図2~
図5についての説明が参照される。
【0045】
本発明は、光電的な走査原理に限定されているものではない。測定目盛り18は、特に磁気的にも、又は誘導式にも操作可能に形成されることが可能である。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.メイン支持部(12)と、該メイン支持部(12)上に配置された中間支持部(14)と、該中間支持部(14)上に配置されたスケール(16)とを有する装置(10)であって、前記スケール(16)が長手方向(X)に延在しており、前記スケール(16)が、測定目盛り平面(20)に配置された、少なくとも長手方向(X)における位置測定のための測定目盛り(18)を備えている、前記装置において、
前記メイン支持部(12)が、第1の固定要素(22)及び第2の固定要素(24)を備えており、該第1の固定要素(22)及び該第2の固定要素(24)が前記メイン支持部(12)に統合されており、該第1の固定要素(22)及び該第2の固定要素(24)が長手方向(X)に互いに離間して配置されていること、前記第1の固定要素(22)が、第1の位置(P1)で、長手方向(X)において前記中間支持部(14)を前記メイン支持部(12)に対して固定して支持するように形成されていること、前記第2の固定要素(24)が、前記第1の位置(P1)とは異なる第2の位置(P2)で、長手方向(X)において前記メイン支持部(12)に対して自由に移動可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていること、前記装置(10)が、第3の固定要素(26)及び第4の固定要素(28)を備えており、該第3の固定要素(26)及び該第4の固定要素(28)が軸方向(X)に互いに離間して配置されていること、並びに第3の固定要素(26)が、第1の位置(P1)で、長手方向(X)において前記中間支持部(14)に固定して前記スケール(16)を支持するように形成されていること、前記第4の固定要素(28)が、前記第1の位置(P1)及び前記第2の位置(P2)とは異なる第3の位置(P3)で、長手方向(X)において前記中間支持部(14)に対して自由に移動可能に前記スケール(16)を支持するように形成されていることを特徴とする装置。
2.前記第1の固定要素(22)が、前記第1の位置(P1)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第1の位置(P1)に割り当てられた回転軸線(R1)を中心として前記メイン支持部(12)に対して自由に回転可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されており、前記第2の固定要素(24)が、前記第2の位置(P2)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第2の位置(P2)に割り当てられた回転軸線(R2)を中心として前記メイン支持部(12)に対して自由に回転可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていることを特徴とする上記1.に記載の装置(10)。
3.前記第1の固定要素(22)及び前記第2の固定要素(24)が、それぞれ前記第1の位置(P1)あるいは前記第2の位置(P2)で、前記長手方向(X)に対して垂直に延びる横方向(Y)及び前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)において前記中間支持部(14)を前記メイン支持部(12)に固定して支持するように形成されていることを特徴とする上記1.又は2.に記載の装置(10)。
4.前記第3の固定要素(26)が、前記第1の位置(P1)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第1の位置(P1)に割り当てられた回転軸線(R1)を中心として前記中間支持部(14)に対して自由に回転可能に前記スケール(16)を支持するように形成されており、前記第4の固定要素(28)が、前記第3の位置(P3)において、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記第3の位置(P3)に割り当てられた回転軸線(R3)を中心として前記中間支持部(14)に対して自由に回転可能に前記スケール(16)を支持するように形成されていることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の装置(10)。
5.前記第3の固定要素(26)及び前記第4の固定要素(28)が、それぞれ前記第1の位置(P1)あるいは前記第3の位置(P3)で、前記長手方向(X)に対して垂直に延びる横方向(Y)及び前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)において前記スケール(16)を前記中間支持部(14)に固定して支持するように形成されていることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の装置(10)。
6.前記メイン支持部(12)が複数の別の固定要素(30.1~30.4)を備えており、該別の固定要素(30.1~30.4)が前記メイン支持部(12)に統合されており、前記別の固定要素(30.1~30.4)が、長手方向(X)に分配されて前記第1の固定要素(22)と前記第2の固定要素(24)の間に配置されているとともに、前記第1の位置(P1)及び前記第2の位置(P2)とは異なる複数の別の位置(Q1~Q4)において、長手方向(X)及び該長手方向(X)に対して垂直に延びる横方向(Y)において前記メイン支持部(12)に対して自由に移動可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の装置(10)。
7.前記別の固定要素(30.1~30.4)が、前記別の位置(Q1~Q4)において、それぞれ前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びて前記別の位置(Q1~Q4)に割り当てられた回転軸線を中心として前記メイン支持部(12)に対して自由に回転可能に前記中間支持部(14)を支持するように形成されていることを特徴とする上記6.に記載の装置(10)。
8.前記別の固定要素(30.1~30.4)が、前記測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)における前記別の位置(Q1~Q4)において、前記中間支持部(14)を前記メイン支持部(12)に固定して支持するように形成されていることを特徴とする上記6.又は7.に記載の装置(10)。
9.前記第1の固定要素(22)及び前記第2の固定要素(24)が、前記メイン支持部(12)の互いに対向する端部に配置されていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の装置(10)。
10.前記スケール(16)が、それぞれ前記長手方向(X)に延びる互いに対向する2つの側面(62,64)を有する長方形状の断面を備えており、前記第3の固定要素(26)及び前記第4の固定要素(28)が、前記中間支持部(14)に配置されているとともに、互いに対向する前記側面(62,64)において前記スケール(16)と接触するように形成されていることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の装置(10)。
11.前記第1の固定要素(22)、前記第2の固定要素(24)、前記第3の固定要素(26)及び/又は前記第4の固定要素(28)が、それぞれ1つのたわみジョイント(32~38)を備えていることを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載の装置(10)。
12.前記第1の固定要素(22)及び/又は前記第2の固定要素(24)が、それぞれ少なくとも2つの板バネ(32.1~32.4;34.1,34.2)を備えており、各板バネ(32.1~32.4;34.1,34.2)が、測定目盛り平面(20)に対して垂直に延びる高さ方向(Z)において延在していることを特徴とする上記1.~11.のいずれか1つに記載の装置(10)。
13.前記メイン支持部(12)及び前記中間支持部(14)が、同一の熱膨張係数を有していることを特徴とする上記1.~12.のいずれか1つに記載の装置(10)。
14.前記中間支持部(14)及び前記スケール(16)が、異なる熱膨張係数を有していることを特徴とする上記1.~13.のいずれか1つに記載の装置(10)。
15.前記スケール(16)が、0~50℃の温度範囲で1.5×10
-6
K
-1
よりも小さい、好ましくは0.1×10
-6
K
-1
よりも小さい熱膨張係数を有する材料から成っていることを特徴とする上記1.~14.のいずれか1つに記載の装置(10)。