(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ろ過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/66 20060101AFI20240228BHJP
B01D 65/06 20060101ALI20240228BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20240228BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240228BHJP
【FI】
B01D29/38 530A
B01D65/06
B01D71/02
C02F1/44 A
B01D29/38 520Z
(21)【出願番号】P 2020047484
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 智仁
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-193700(JP,A)
【文献】特開平07-214091(JP,A)
【文献】特開昭63-143915(JP,A)
【文献】特開昭61-187909(JP,A)
【文献】実開昭55-172158(JP,U)
【文献】特開平06-015120(JP,A)
【文献】特開平06-165923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04,35/08-37/08
B01D 53/22,61/00-71/82
C02F 1/44
F25B 43/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液をろ過するろ過体と、
前記ろ過体の一次側に設けられて、前記ろ過体を逆洗浄した逆洗液の水圧を受けることで開くスクリーンと、
を備え
、
前記スクリーンは、開いた状態において、前記逆洗液の流れ方向に直交する平面に対して直交する向きに、表面が延在する、ろ過装置。
【請求項2】
前記スクリーンには、逆洗浄が停止されて前記逆洗液の水圧を受けなくなった場合に前記スクリーンを閉じる閉機構が設けられている、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
前記ろ過体は、セラミック製のろ過膜である、請求項1又は請求項2に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記ろ過体は、鉛直方向の上方向側に流れる前記処理液をろ過する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固液分離を行うろ過装置には、ろ過体の上流側に、固形成分を捕集するスクリーンを設ける場合がある。例えば特許文献1には、着脱可能なスクリーンを設ける旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のようなスクリーンを設けた場合、スクリーンが捕集した固形成分を除去するために、スクリーンを取り外して洗浄する必要が生じ、スクリーンの洗浄作業の負荷が高くなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ろ過体にスクリーンを設けた場合に、スクリーンを容易に洗浄可能なろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示のろ過装置は、処理液をろ過するろ過体と、前記ろ過体の一次側に設けられて、前記ろ過体を逆洗浄した逆洗液の水圧を受けることで開くスクリーンと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ろ過体にスクリーンを設けた場合に、スクリーンを容易に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るろ過システムの模式図である。
【
図2】
図2は、逆洗浄する場合の状態を示す図である。
【
図3】
図3は、スクリーンの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(ろ過装置の構成)
図1は、第1実施形態に係るろ過システムの模式図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るろ過システム1は、ろ過装置10と、逆洗水槽20と、気体供給部30と、配管L1、L2と、バルブV1、V2、V3、V4、V5とを備える。
【0011】
ろ過装置10は、ろ過部12と、スクリーン14とを備える。ろ過部12は、ろ過の対象となる処理液W0(原水)をろ過するろ過モジュールである。ろ過部12は、ろ過体12Aと、筐体12Bとを備える。ろ過体12Aは、セラミック製のろ過体である。ろ過体12Aに用いられるセラミックとしては、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、ムライト、スピネル、或いは、これらの混合物などが挙げられる。ろ過体12Aは、一方の端部12Aaから他方の端部12Abまで延在する複数の孔が設けられている。以下、ろ過体12Aの端部12Aaから端部12Abに向かう方向を、Z1方向とし、端部12Abから端部12Aaに向かう方向を、Z2方向とする。Z1方向は、鉛直方向の上方側に向かう方向であり、Z2方向は、鉛直方向の下方側に向かう方向である。なお、ろ過部12は、デッドエンド方式で膜ろ過を実行する構成となっているが、ろ過方式は任意である。ろ過部12の構造も、以上の説明に限られず任意であってよい。また、ろ過体12Aがセラミック製であることは、好ましい一例であり、他の膜でも適用可能である。
【0012】
配管L1は、ろ過体12Aの一次側である端部12Aaに接続されている。本実施形態では、配管L1は、端部12Aaとの接続箇所から分岐しており、以下、一方側に分岐した部分を処理液供給部分L1Aと呼び、他方側に分岐した部分を逆洗液排出部分L1Bと呼ぶ。処理液供給部分L1Aには、バルブV1が設けられており、処理液供給部分L1Aから、処理液W1が流入する。処理液供給部分L1Aには、配管L1を流れる処理液W0に凝集剤を添加する凝集剤添加機構が接続されてもよい。この場合、配管L1には、凝集剤添加機構の接続箇所と端部12Aaの接続箇所との間に、凝集剤を撹拌するインラインミキサが設けられてもよい。逆洗液排出部分L1Bには、バルブV5が設けられており、逆洗液排出部分L1Bから、後述の逆洗液W2(
図2参照)が排出される。
【0013】
配管L2は、筐体12Bの側面12Baに接続されており、バルブV2が設けられている。筐体12Bの側面12Baは、ろ過体12Aの二次側である側面(外周面)12Acに対向しているため、配管L2は、ろ過体12Aの二次側に接続されているともいえる。配管L2からは、ろ過体12Aでろ過された処理液W0であるろ過液W1が流出される。また、配管L2には、逆洗水槽20も接続されている。逆洗水槽20は、処理液W0を排出するラインに対して、分岐して(並列に)配管L2に接続されている。逆洗水槽20は、配管L2を流れるろ過液W1の一部を、ろ過体12Aの逆洗浄用の洗浄液として貯留する。逆洗水槽20には、気体供給部30が接続されている。気体供給部30は、例えば空気などの気体が貯留されるタンクであり、逆洗水槽20内のろ過液W1の液面に向けて気体を供給する。逆洗水槽20と配管L2との間には、バルブV3が設けられており、逆洗水槽20と気体供給部30との間には、バルブV4が設けられる。
【0014】
なお、本実施形態では、逆洗水槽20が貯留するろ過液W1を、逆洗浄用の洗浄液として利用するが、それに限られず、ろ過液W1以外の液体を逆洗浄用の洗浄液として用いてもよい。この場合、逆洗水槽20や気体供給部30を設ける必要はなく、逆洗水槽20や気体供給部30以外の機構を用いて、ろ過体12Aに対して逆洗浄用の洗浄水を供給してよい。
【0015】
スクリーン14は、配管L1内において、ろ過体12Aの一次側に、すなわち、ろ過体12A内での処理液W0の流れ方向におけるろ過体12Aの上流側に、設けられる。
図1の例では、処理液W1はろ過体12A内でZ1方向側に向けて流れるため、スクリーン14は、ろ過体12AのZ2方向側に設けられる。スクリーン14は、ろ過装置10から取り外し可能に構成されていてよい。
【0016】
スクリーン14は、スクリーン部14Aと、枠部14Bと、回転機構14Cと、閉機構14Dとを備える。枠部14Bは、スクリーン部14Aの周囲に設けられる枠体である。スクリーン部14Aは、液体成分を通過させつつ固形物を捕集するスクリーン(フィルタ)を構成する部分である。スクリーン部14Aは、処理液W0に含まれる固形成分を捕集するが、例えばろ過体12Aよりも目が粗く構成されるため、ろ過体12Aの方が、スクリーン部14Aよりも小さな固形成分を捕集可能となっている。
【0017】
スクリーン部14Aと枠部14Bとは、回転機構14Cを介して、配管L1に対して移動可能に(回転可能)に取り付けられている。回転機構14Cは、スクリーン14(スクリーン部14A、枠部14B及び閉機構14D)を回転させて、後述する開状態と閉状態とを切り替えるための機構である。回転機構14Cは、本実施形態では回転軸(軸状部材)であり、配管L1に対して固定されている。回転機構14Cは、スクリーン14の逆洗液排出部分L1B側の端部に設けられており、Z1方向やZ2方向に対して直交する方向に(
図1では紙面に垂直な方向に)延在している。
【0018】
閉機構14Dは、開状態となったスクリーン14を閉状態に戻す機構である。閉機構14Dは、
図1の例では、フロート(浮き)であり、スクリーン14の処理液供給部分L1A側(すなわち回転機構14Cが設けられている側と反対側)の端部に設けられる。ただし、閉機構14Dは、開状態となったスクリーン14を閉状態に戻すことが可能な機構であれば、フロートであることに限られず、例えば、ばねなどの弾性部材であってもよい。
【0019】
(ろ過工程)
ろ過装置10を用いて処理液W0をろ過する場合について、
図1を用いて説明する。処理液W0をろ過する場合、スクリーン14は、閉状態となっている。
図1に示すように、閉状態とは、スクリーン14が、配管L1のろ過体12Aとの接続箇所において、配管L1内の全域にわたって設けられた状態を指す。閉状態は、配管L1内において、処理液供給部分L1Aや逆洗液排出部分L1Bとろ過体12Aとを連通する流路が、スクリーン部14Aの目以外には存在しない状態ともいえる。閉状態においては、スクリーン14の一方側の表面14aが配管L1側(Z2方向側)に位置し、他方側の表面14bがろ過体12A側(Z1方向側)に位置しており、スクリーン14の表面14bが、ろ過体12Aの端部12Aaと対向している。閉状態においては、スクリーン14は、Z1方向(ろ過体12Aにおける処理液W0の流れ方向)やZ2方向(ろ過体12Aにおける後述の逆洗液W2の流れ方向)に対して直交する方向に、表面が延在していることが好ましい。
【0020】
処理液W0をろ過する場合、例えば図示しない制御装置の制御により、バルブV1、V2を開き、バルブV3、V4、V5を閉じて、配管L1の処理液供給部分L1Aに処理液W0を流入させる。処理液W0は、処理液供給部分L1Aから、閉状態のスクリーン部14Aを通って、ろ過体12Aの一次側である端部12Aaに供給される。スクリーン部14Aは、処理液W0に含まれる固形成分の一部を捕集する。処理液W0は、端部12Aaから、ろ過体12Aの孔に浸入し、膜ろ過される。処理液W0は、ろ過体12Aの孔で膜ろ過されて、ろ過体12Aの二次側である側面12Acから、ろ過後のろ過液W1として排出される。側面12Acから排出されたろ過液W1は、配管L2を通って排出される。なお、ろ過を実行している際に、所定時間だけバルブV3を開いて、逆洗水槽20にろ過液W1を貯留してよい。また、ろ過を実行している際に、凝集剤添加機構を制御して、ろ過する前の処理液W0に凝集剤を添加してもよい。
【0021】
(逆洗浄工程)
図2は、逆洗浄する場合の状態を示す図である。ろ過体12Aを逆洗浄する場合、例えば図示しない制御装置の制御により、バルブV1、V2を閉じ、バルブV3、V4、V5を開いて、気体供給部30により逆洗水槽20内のろ過液W1の液面に向けて気体Aを供給する。これにより、ろ過体12Aでのろ過は停止され、逆洗水槽20内に貯留されていたろ過液W1は、気体Aによって加圧されて、逆洗浄用の洗浄水として、配管L2を通ってろ過体12Aの二次側に供給される。ろ過体12Aの二次側に供給されたろ過液W1(逆洗浄用の洗浄水)は、ろ過体12Aに詰まった固形成分と共に、ろ過体12AをZ2方向側に向けて流れて、逆洗液W2(逆洗浄後の濃縮液)として、端部12Aaから配管L1に向けて排出される。
【0022】
閉状態のスクリーン14は、ろ過体12Aから配管L1に向けて排出される逆洗液W2の水圧により、Z2方向側への荷重を受ける。スクリーン14には、逆洗液W2の水圧(逆洗液WによるZ2方向側への荷重)によって、回転機構14Cを回転中心とした方向R1側へのモーメントが作用する。方向R1は、処理液供給部分L1A側から逆洗液排出部分L1B側に向かう方向である。スクリーン14は、このモーメントによって、回転機構14Cを回転中心として方向R1に回転して、閉状態から開状態に切り替わる。このように、スクリーン14は、ろ過体12Aを逆洗浄した逆洗液W2の水圧を受けることで開いて、閉状態から開状態に切り替わる。
【0023】
開状態とは、スクリーン14が、配管L1のろ過体12Aとの接続箇所において、配管L1内の全域にわたって設けられていない状態を指す。開状態は、配管L1内において、処理液供給部分L1Aや逆洗液排出部分L1Bとろ過体12Aとを連通する流路が、スクリーン部14Aの目以外に存在する状態ともいえる。開状態においては、スクリーン14は、表面14aが処理液供給部分L1A内に位置している。開状態においては、スクリーン14の表面は、Z1方向(ろ過体12Aにおける処理液W0の流れ方向)やZ2方向(ろ過体12Aにおける後述の逆洗液W2の流れ方向)に直交する平面に対して、交差する方向に延在していることが好ましい。また、開状態においては、スクリーン14の表面は、Z1方向やZ2方向に直交する平面に対して直交する方向に(すなわちZ1方向やZ2方向に沿って)延在することがより好ましい。また、開状態においては、配管L1内に、配管L1のろ過体12Aの端部12Aaとの接続箇所と逆洗液排出部分L1Bとを連通する隙間Gが形成されることが好ましい。隙間Gは、配管L1内における、ろ過体12Aと逆洗液排出部分L1Bとを連通する、スクリーン部14Aの目以外の流路ともいえる。例えば、スクリーン14の回転機構14Cから回転機構14Cと反対側の端部14cまでの長さD1が、スクリーン14の回転機構14Cから配管L1の内周面のZ2方向側の部分までの長さD2よりも、短いことで、開状態においてこのような隙間Gが形成可能である。
【0024】
逆洗液W2は、開状態のスクリーン部14Aの目や隙間Gを通って、逆洗液排出部分L1B側に排出される。ろ過体12Aから除去されて逆洗液W2に含まれる固形成分は、スクリーン部14Aの目よりも小さいため、スクリーン部14Aの目や隙間Gを通って、逆洗液排出部分L1B側に排出される。また、スクリーン14が捕集していた固形成分は、逆洗液W2の水圧を受けてスクリーン14が開いた際の衝撃で、スクリーン14から取り除かれて、逆洗液W2と共に、逆洗液排出部分L1B側に排出される。さらに言えば、開いた際の衝撃を受けてもスクリーン14に残った固形成分があったとしても、逆洗液W2の流れによって、スクリーン14から除去される。例えば、スクリーン14の表面14a側に残った固形成分は、逆洗液W2の、スクリーン部14Aの目を通って逆洗液排出部分L1B側に流れる水流によって、除去される。また例えば、スクリーン14の表面14b側に固形成分が残っていたとしても、逆洗液W2の、表面14bに沿ってZ2方向側に流れる水流によって除去されて、隙間Gから逆洗液排出部分L1B側に排出される。このように、本実施形態に係るろ過装置10は、ろ過体12Aを逆洗浄するための逆洗液W2によって、ろ過体12Aだけでなく、スクリーン14も逆洗浄することが可能となる。
【0025】
ろ過体12Aの逆洗浄の際には、エアブローも行われるため、逆洗浄の終了時には、配管L1内は満管ではない状態となる。その後、ろ過を再開する際には、配管L1に処理液W0が供給されて、配管L1内では、満管となるように液位が上がってゆく。本実施形態の閉機構14Dは、フロートであるため、配管L1内の処理液W0によって浮力を生じさせ、配管L1内の処理液W0の上昇に伴い、スクリーン14に、方向R1と反対の方向R2側へのモーメントを作用させる。スクリーン14は、このモーメントによって、回転機構14Cを回転中心として方向R2側に回転して、開状態から閉状態に戻る。そのため、本実施形態に係るろ過装置10によると、スクリーン14を閉状態に戻した状態で、ろ過を再開することが可能となる。
【0026】
なお、閉機構14Dは、上述のようにフロートに限られず、ろ過体12Aの逆洗浄が終了して逆洗液W2の水圧を受けなくなった場合に、スクリーン14を閉状態に戻るような機構であればよい。例えば、閉機構14Dが弾性部材である場合には、閉機構14Dは、逆洗液W2の水圧を受けない際にスクリーン14を閉状態とするように、付勢されていることが好ましい。この場合、スクリーン14は、逆洗浄時に、逆洗液W2の水圧を受けて、閉機構14Dの付勢力に逆らって開状態となる。スクリーン14は、逆洗浄が終了して逆洗浄2の水圧を受けなくなったら、すなわちろ過体12Aからの逆洗液W2の排出が終了したら、付勢力によって閉状態に戻る。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係るろ過装置10は、処理液W0をろ過するろ過体12Aと、スクリーン14とを備える。スクリーン14は、ろ過体12Aの一次側に設けられて、ろ過体12Aを逆洗浄した逆洗液W2の水圧を受けることで開く。ここで、ろ過体やスクリーンは、捕集した固形成分を除去するために逆洗浄される。ろ過体については、例えばろ過液W1などの洗浄水を流すことで、取り外すことなく逆洗浄が可能であるが、スクリーンについては、従来、取り外して逆洗浄する必要があり、洗浄作業の負荷が高かった。それに対して、本実施形態に係るスクリーン14は、逆洗液W2の水圧を受けることで開いて、捕集していた固形成分が除去される。そのため、本実施形態に係るろ過装置10によると、ろ過体12Aに逆洗浄用の洗浄水を供給するだけで、ろ過体12Aと共にスクリーン14も逆洗浄することが可能となり、洗浄作業の負荷が抑えられて、スクリーン14を容易に洗浄できる。また、例えば現存のろ過装置に対して大幅な設計変更をすることなく、スクリーン14を取り付けるだけで、本実施形態のろ過装置10を実現することができる。
【0028】
また、スクリーン14は、開状態において、逆洗液W2の流れ方向(Z2方向)に直交する平面に対して交差する向きに、表面が延在する。本実施形態に係るスクリーン14は、開状態においてこのような向きとなることで、表面に沿って逆洗液W2を流すことが可能となり、スクリーン14に付着した固形成分をより適切に除去できる。
【0029】
また、スクリーン14には、閉機構14Dが設けられている。閉機構14Dは、逆洗浄が停止されて逆洗液W2の水圧を受けなくなった場合に、スクリーン14を閉じるよう構成されている。本実施形態に係るスクリーン14は、このような閉機構14Dを設けることで、逆洗浄が終了したら、例えば作業者がスクリーン14を閉じることなく、閉状態に戻ることが可能となるため、ろ過を容易に再開させることが可能となる。
【0030】
また、ろ過体12Aは、セラミック製のろ過膜であり、Z1方向側(鉛直方向の上方向側)に流れる処理液W1をろ過する。本実施形態に係るろ過装置10は、上向流の処理液W1を処理するセラミック膜の鉛直方向下側にスクリーン14を設けるため、例えば浮力の高い固形物をスクリーン14で適切に除去しつつ、スクリーン14を容易に洗浄できる。また、この構成の場合、Z2方向側に向かう下降流で逆洗浄を実施することになるため、エアブローを実施して、ろ過体12Aやスクリーン14をより効果的に逆洗浄することができる。
【0031】
(他の例)
以下、本実施形態のろ過装置10の他の例について説明する。スクリーン14は、逆洗液W2の水圧を受けて開く構成であれば、以上説明した構成に限られない。
図3は、スクリーンの他の例を示す図である。
図3に示すように、スクリーン14は、例えば、複数の回転機構14Cを備えて、異なる方向に回転して開く構成であってもよい。
図3の例では、スクリーン14は、スクリーン部14A1、14A2、枠部14B1、14B2、回転機構14C1、14C2、及び閉機構14D1、14D2を備える。スクリーン部14A1、14A2は、閉状態において、対向する側面同士が接触するように、面内方向(表面に沿った方向)に並ぶ。枠部14B1は、スクリーン部14A1の枠体であり、枠部14B2は、スクリーン部14A2の枠体である。回転機構14C1は、枠部14B1の枠部14B2と反対側の端部に設けられており、スクリーン部14A1及び枠部14B1を、配管L1に対して回転可能に保持している。回転機構14C2は、枠部14B2の枠部14B1と反対側の端部に設けられており、スクリーン部14A2及び枠部14B2を、配管L1に対して回転可能に保持している。閉機構14D1は、枠部14B1に取り付けられ、閉機構14D2は、枠部14B2に取り付けられる。逆洗浄時には、逆洗液W2の水圧を受けて、スクリーン部14A1及び枠部14B1が、回転機構14C1を中心として方向R1に回転して、開状態となる。また、スクリーン部14A2及び枠部14B2は、逆洗液W2の水圧を受けて、回転機構14C2を中心として方向R3に回転して、開状態となる。スクリーン部14A1、14A2は、開状態において、
図2のスクリーン部14Aと同様に、Z1方向やZ2方向に直交する表面に対して交差する方向に延在している。逆洗浄が終了すると、スクリーン部14A1及び枠部14B1と、スクリーン部14A2及び枠部14B2とは、閉機構14D1、14D2によって閉状態に戻る。
【0032】
ろ過装置10は、以上の説明では、上向流の処理液W1をろ過していたが、それに限られず、例えば下降流の処理液W1をろ過してもよい。
図4は、ろ過装置の他の例を示す図である。下降流の処理液W1をろ過する場合、
図4に示すように、配管L1は、ろ過体12Aの端部12Abに接続され、スクリーン14は、ろ過体12Aの端部12Abに設けられ、配管L2は、配管L1よりも端部12Aa側に接続される。ろ過の際には、配管L1からの処理液W0は、スクリーン14を通って、端部12Abからろ過体12Aに供給されて、ろ過体12AをZ2方向側に流れる。また、逆洗浄の際には、逆洗液W2は、ろ過体12AをZ1方向側に流れて、端部12Abから排出される。スクリーン14は、Z1方向に流れる逆洗液W2の水圧を受けて、方向R4側に回転して、開く。スクリーン14は、逆洗液W2の水圧を受けなくなった場合に、例えば弾性体などで構成される図示しない閉機構14Dにより、閉状態に戻る。
【0033】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ろ過システム
10 ろ過装置
12A ろ過体
14 スクリーン
W0 処理液
W1 ろ過液
W2 逆洗液