IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリニティ工業株式会社の特許一覧

特許7444678塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム
<>
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図1
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図2
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図3
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図4
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図5
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図6
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図7
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図8
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図9
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図10
  • 特許-塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】塗装設備における塗料カートリッジの装着位置補正システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/00 20180101AFI20240228BHJP
   B05B 12/14 20060101ALI20240228BHJP
   B25J 9/00 20060101ALI20240228BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20240228BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20240228BHJP
   B05B 3/10 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
B05B12/00 Z
B05B12/14
B25J9/00 Z
G05B19/42 U
G05B19/4155 S
B05B3/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020061365
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021159797
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000110343
【氏名又は名称】トリニティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】服部 吉起
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-105803(JP,A)
【文献】特開2018-047544(JP,A)
【文献】国際公開第2019/088237(WO,A1)
【文献】特開2015-202428(JP,A)
【文献】特開2006-334576(JP,A)
【文献】特開2019-081233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 5/00-5/16
12/00-16/80
B05D 1/00-7/26
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/416
19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームの先端に塗装機が取り付けられた産業用塗装ロボットと、
前記塗装機に着脱可能な塗料カートリッジが装着される複数のストッカを有し、前記ストッカに装着されている前記塗料カートリッジに対して複数色の塗料を選択的に充填可能な塗料充填装置と、
使用済みの前記塗料カートリッジを前記塗装機から取り外して前記塗料充填装置の前記ストッカに装着するとともに、前記塗料が充填された使用前の前記塗料カートリッジを前記ストッカから取り外して前記塗装機に装着する搬送装置と
を塗装領域内に設置してなる塗装設備において、前記塗装機に前記塗料カートリッジを装着する位置を補正するシステムであって、
前記搬送装置は、
互いに直交する3軸方向に駆動可能な3つの電動アクチュエータからなり、垂直方向に沿って駆動するZ軸用電動アクチュエータをX軸用電動アクチュエータ及びY軸用電動アクチュエータに支持させた構造の駆動装置と、
前記Z軸用電動アクチュエータの可動部に設けられ、前記塗料カートリッジを把持可能なチャック装置と、
前記Z軸用電動アクチュエータの前記可動部に設けられ、前記塗装機における塗料カートリッジ装着部位の位置を読み取る画像センサと、
前記画像センサにより読み取った前記塗料カートリッジ装着部位の位置を基準として前記チャック装置のXY軸方向の位置ズレ量を検出し、補正量を算出する位置ズレ補正量算出手段と、
前記補正量に基づいて前記X軸用電動アクチュエータ及び前記Y軸用電動アクチュエータを駆動して前記塗料カートリッジを適切な装着位置に移動させた後、前記Z軸用電動アクチュエータを駆動して前記塗料カートリッジを前記塗装機に装着する駆動制御手段と
を備えたことを特徴とする、塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【請求項2】
前記3つの電動アクチュエータはそれぞれ防爆構造及び制振機構を有するとともに、前記画像センサは防爆構造を有することを特徴とする請求項1に記載の塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【請求項3】
前記可動部において前記チャック装置よりも高い位置には、センサ支持ブラケットが突設され、前記画像センサは、斜め下方を向く状態で前記センサ支持ブラケットに支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【請求項4】
前記位置ズレ補正量算出手段が検出した位置ズレ量が所定値を超える場合に位置調整の必要を警告する通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【請求項5】
前記塗料カートリッジは、内部にタンクを有する本体と、前記本体の下端中央部に突設されたフィードチューブとを含んで構成され、前記塗料カートリッジ装着部位は、前記塗装機の上端面側に突設され、前記塗料カートリッジ装着部位の中心部にはフィードチューブ挿通孔が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装設備において、塗装機に塗料カートリッジを装着する位置を補正するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ボディの塗装設備(塗装ライン)では、塗装色の異なる自動車ボディが混在して搬送されるため、自動車ボディに応じた色替塗装を可能にする技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、図10図11に示されるように、塗装設備101は、産業用塗装ロボット102、塗料充填装置(図示略)及び搬送装置103を備える。産業用塗装ロボット102は、アーム104の先端に塗装機105を取り付けた構造を有する。塗料充填装置は、塗装機105に着脱可能な塗料カートリッジ106が装着される複数のストッカ(図示略)を有し、ストッカに装着されている塗料カートリッジ106に対して塗料を充填する。そして、搬送装置103は、使用済みの塗料カートリッジ106を塗装機105から取り外してストッカに装着するとともに、塗料が充填された使用前の塗料カートリッジ106をストッカから取り外して塗装機105に装着することにより、塗料カートリッジ106を交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-130530号公報(図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、塗装機105に塗料カートリッジ106を装着する際には、まず、産業用塗装ロボット102のアーム104を駆動して塗装機105を所定位置で停止させるとともに、搬送装置103を駆動して塗料カートリッジ106を所定位置で停止させる。なお、塗装機105及び塗料カートリッジ106の停止位置は、エンコーダーに設定された位置(エンコーダー設定値)により決定される。そして、この状態で、搬送装置103を駆動して、塗装機105に塗料カートリッジ106を装着する。
【0005】
ところが、塗装作業において、塗装機105の移動、停止、姿勢変更などの動作を繰り返し行うのに伴い、同じ制御を行ったとしても、塗装機105の停止位置に数mm程度の位置ズレA1が生じることがある。この場合、塗料カートリッジ106が例えば図10図11に示すフィードチューブ107を有していると、塗装機105の内部にフィードチューブ107の先端部が接触してしまうため、塗装機105に塗料カートリッジ106を装着することができない(ドッキング不良)。その結果、塗装ラインが停止してしまい、生産性が低下してしまうという問題がある。また、フィードチューブ107の接触に起因して、フィードチューブ107が摩耗、損傷してしまうため、早期の部品交換が必要になり、ランニングコストが上昇するという問題もある。さらに、塗装機105に塗料カートリッジ106を装着する位置を確認して調整する作業を定期的に行う必要があるため、メンテナンスコストが上昇するという問題もある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗装機に塗料カートリッジを装着する位置を補正することにより、生産性を向上させつつコスト低減を図ることができる塗料カートリッジの装着位置補正システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、アームの先端に塗装機が取り付けられた産業用塗装ロボットと、前記塗装機に着脱可能な塗料カートリッジが装着される複数のストッカを有し、前記ストッカに装着されている前記塗料カートリッジに対して複数色の塗料を選択的に充填可能な塗料充填装置と、使用済みの前記塗料カートリッジを前記塗装機から取り外して前記塗料充填装置の前記ストッカに装着するとともに、前記塗料が充填された使用前の前記塗料カートリッジを前記ストッカから取り外して前記塗装機に装着する搬送装置とを塗装領域内に設置してなる塗装設備において、前記塗装機に前記塗料カートリッジを装着する位置を補正するシステムであって、前記搬送装置は、互いに直交する3軸方向に駆動可能な3つの電動アクチュエータからなり、垂直方向に沿って駆動するZ軸用電動アクチュエータをX軸用電動アクチュエータ及びY軸用電動アクチュエータに支持させた構造の駆動装置と、前記Z軸用電動アクチュエータの可動部に設けられ、前記塗料カートリッジを把持可能なチャック装置と、前記Z軸用電動アクチュエータの前記可動部に設けられ、前記塗装機における塗料カートリッジ装着部位の位置を読み取る画像センサと、前記画像センサにより読み取った前記塗料カートリッジ装着部位の位置を基準として前記チャック装置のXY軸方向の位置ズレ量を検出し、補正量を算出する位置ズレ補正量算出手段と、前記補正量に基づいて前記X軸用電動アクチュエータ及び前記Y軸用電動アクチュエータを駆動して前記塗料カートリッジを適切な装着位置に移動させた後、前記Z軸用電動アクチュエータを駆動して前記塗料カートリッジを前記塗装機に装着する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする、塗料カートリッジの装着位置補正システムをその要旨とする。
【0008】
請求項1に記載の発明では、塗装機に塗料カートリッジを装着するにあたり、画像センサで読み取った塗装機側の塗料カートリッジ装着部位の位置を基準として、塗料カートリッジ側のチャック装置のXY軸方向の位置ズレ量を検出して補正量を算出する。そして、補正量に基づいてX軸用電動アクチュエータ及びY軸用電動アクチュエータを駆動して、塗料カートリッジを適切な装着位置に移動させる。その結果、塗料カートリッジと塗料カートリッジ装着部位との位置ズレが解消されるため、塗装機に塗料カートリッジを確実に装着することができる。ゆえに、塗料カートリッジの装着不良に起因する塗装設備の停止を防止できるため、生産性を向上させることができる。また、両者の位置ズレに起因する、塗料カートリッジと塗装機(塗料カートリッジ装着部位)との接触が回避されるため、両者の接触に起因する接触部分の摩耗や損傷が軽減される。その結果、早期の部品交換が不要になるため、ランニングコストを低減させることができる。さらに、塗料カートリッジ装着部位の位置ズレ量を確認して調整する作業の頻度を低減できるため、メンテナンスコストの低減も可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記3つの電動アクチュエータはそれぞれ防爆構造及び制振機構を有するとともに、前記画像センサは防爆構造を有することをその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、3つの電動アクチュエータ及び画像センサが防爆構造を有するため、塗料ミストが充満する環境での使用に適している。また、3つの電動アクチュエータは、防爆構造を有することで重くなっているため、停止時に揺れが収まりにくい。なお、請求項2では、各電動アクチュエータが制振機構を有するため、制振機構によって各電動アクチュエータの揺れを抑えることができる。よって、各電動アクチュエータを素早く移動させたとしても確実に停止させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記可動部において前記チャック装置よりも高い位置には、センサ支持ブラケットが突設され、前記画像センサは、斜め下方を向く状態で前記センサ支持ブラケットに支持されていることをその要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、画像センサを斜め下方に向けた状態で支持するセンサ支持ブラケットが、Z軸用電動アクチュエータの可動部においてチャック装置よりも高い位置に配置される。その結果、画像センサの向きが鉛直方向に対して鋭角をなすため、画像センサは、塗料カートリッジ装着部位の直上に近い位置から塗料カートリッジ装着部位を読み取ることが可能となる。従って、読み取った塗料カートリッジ装着部位の形状が変形してしまう、といった斜め撮影に起因する問題を最小限に抑えることができるため、画像センサの読み取り精度が向上する。また、画像センサを支持するセンサ支持ブラケットがチャック装置より高い位置に配置されることから、画像センサを、産業用塗装ロボットに取り付けられた塗装機から離すことができるため、塗料ミストの付着による画像センサの汚れを防止することができる。しかも、画像センサは、Z軸用電動アクチュエータに直接取り付けられるのではなく、Z軸用電動アクチュエータの可動部に突設されたセンサ支持ブラケットを介してZ軸用電動アクチュエータに取り付けられる。その結果、Z軸用電動アクチュエータを含む3つの電動アクチュエータの搬送時の振動(搬送揺れ)が画像センサに伝わりにくくなるため、画像センサが読み取った塗料カートリッジ装着部位にブレが生じにくくなる。即ち、画像センサを上記した態様で上記した位置に取り付けることにより、塗料カートリッジ装着部位の位置を画像センサを用いて高精度で読み取ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記位置ズレ補正量算出手段が検出した位置ズレ量が所定値を超える場合に位置調整の必要を警告する通知手段をさらに備えることをその要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、チャック装置のXY軸方向の位置ズレ量が所定値を超える場合に、位置調整の必要があることを警告するようになっているため、位置調整の必要性を作業者に対して確実に気付かせることができる。その結果、位置ズレ量の異常に対して迅速に対応することが可能となる。
【0015】
なお、通知手段としては、例えば、位置調整の必要性を発光(点灯・点滅等)にて警告するランプ等の発光手段、位置調整の必要性を音声(警告音等)にて警告するアラーム等の音声出力手段、位置調整の必要性を表示(文字、記号、絵等)にて警告する液晶式表示装置等の表示手段、などが挙げられる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記塗料カートリッジは、内部にタンクを有する本体と、前記本体の下端中央部に突設されたフィードチューブとを含んで構成され、前記塗料カートリッジ装着部位は、前記塗装機の上端面側に突設され、前記塗料カートリッジ装着部位の中心部にはフィードチューブ挿通孔が配置されていることをその要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、位置ズレ補正量算出手段や駆動制御手段等によって、塗料カートリッジと塗料カートリッジ装着部位との位置ズレが解消されている。このため、塗料カートリッジを構成するフィードチューブの先端部と塗料カートリッジ装着部位にあるフィードチューブ挿通孔の内周面との接触が回避される。その結果、フィードチューブの接触に起因するフィードチューブの摩耗や損傷が軽減されるため、早期の部品交換が不要になり、ランニングコストの低減が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、請求項1~5に記載の発明によると、塗装機に塗料カートリッジを装着する位置を補正することにより、生産性を向上させつつコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態における塗料カートリッジの装着位置補正システムを示す概略構成図。
図2】塗装設備を示す側面図。
図3】塗装設備を示す正面図。
図4】塗装機及び塗料カートリッジを示す断面図。
図5】塗料カートリッジ装着部位を斜め上方から見たときの状態を示す概略図。
図6】塗料カートリッジ、Z軸用電動アクチュエータ、チャック装置及び画像センサを示す側面図。
図7】塗料カートリッジ、Z軸用電動アクチュエータ、チャック装置及び画像センサを示す正面図。
図8】塗装設備での塗装時の処理を示すフローチャート。
図9】被写体(塗料カートリッジ装着部位)の位置ズレ量の判定方法を示すイメージ図。
図10】従来技術における塗装設備の問題点を示す概略側面図。
図11】従来技術における塗装設備の問題点を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
図1図3に示されるように、本実施形態における塗料カートリッジ21の装着位置補正システム1は、塗装設備10において、塗装機14に塗料カートリッジ21を装着する位置を補正するシステムである。装着位置補正システム1は、一部が張り出した状態で、自動車ボディを塗装するための塗装ライン内に設けられる。塗装設備10は、産業用塗装ロボット11、塗料充填装置31及び搬送装置40を塗装領域(図示略)内に設置してなり、塗装ラインに組み込まれている。
【0022】
産業用塗装ロボット11は、本体部12と、本体部12から延びるアーム13と、アーム13の先端に取り付けられる塗装機14とを備えている。塗装機14を構成する機体15の下面側には、回転霧化頭16が回転可能に設けられている。一方、機体15の上端面には、円筒状をなす塗料カートリッジ装着部位17(図5参照)が突設されている。塗料カートリッジ装着部位17には、塗料が充填された塗料カートリッジ21が着脱可能に装着されている。なお、塗料カートリッジ21は、内部にタンク(図示略)を有する本体22と、本体22の上端中央部に突設された突出部23と、本体22の下端中央部に突設されたフィードチューブ24とを含んで構成されている。一方、塗料カートリッジ装着部位17の中心部には、フィードチューブ挿通孔18が配置されている。なお、塗料カートリッジ21内の塗料は、フィードチューブ24を通過して回転霧化頭16に供給される。そして、回転霧化頭16が回転することにより、塗料が霧化されて自動車ボディに噴霧される。
【0023】
図1図3に示されるように、塗料充填装置31は、塗料カートリッジ21が装着される複数のストッカ32を有している。塗料充填装置31は、ストッカ32に装着されている塗料カートリッジ21に対して複数色の塗料を選択的に充填可能となっている。
【0024】
また、搬送装置40は、使用済みの塗料カートリッジ21を塗装機14から取り外して塗料充填装置31のストッカ32に装着するとともに、塗料が充填された使用前の塗料カートリッジ21をストッカ32から取り外して塗装機14に装着するための装置である。搬送装置40は、駆動装置41、チャック装置51a,51b及びビジョンセンサ61(画像センサ)を備えている。
【0025】
図1図3に示されるように、駆動装置41は、互いに直交する3軸方向に駆動可能な3つの電動アクチュエータ(X軸用電動アクチュエータ42a、Y軸用電動アクチュエータ42b、Z軸用電動アクチュエータ42c)からなる。駆動装置41は、垂直方向に沿って駆動するZ軸用電動アクチュエータ42cを、水平方向に沿って駆動するX軸用電動アクチュエータ42a及びY軸用電動アクチュエータ42bに支持させた構造を有している。なお、X軸用電動アクチュエータ42a及びY軸用電動アクチュエータ42bは、産業用塗装ロボット11よりも高い位置に設置されている。一方、Z軸用電動アクチュエータ42cは、産業用塗装ロボット11とほぼ同じ高さにあるものの、上端が塗装機14及びチャック装置51a,51bよりも高い位置に設置されている。
【0026】
詳述すると、X軸用電動アクチュエータ42aは、X軸方向(図2では左右方向)に沿って延びるレール部43aを備えており、レール部43aには、同レール部43aの延出方向に移動するスライダ部44aが設けられている。X軸用電動アクチュエータ42aは、レール部43aを、複数の支持柱71を介してフレーム70の天井部72に支持させた構造を有している。また、Y軸用電動アクチュエータ42bは、Y軸方向(図3では左右方向)に沿って延びるレール部43bを備えており、レール部43bには、同レール部43bの延出方向に移動するスライダ部44bが設けられている。Y軸用電動アクチュエータ42bは、レール部43bを、支持柱73を介してX軸用電動アクチュエータ42aのスライダ部44aに支持させた構造を有しており、水平方向に沿って駆動するようになっている。さらに、Z軸用電動アクチュエータ42cは、Z軸方向(図2図3では上下方向)に沿って延びるレール部43cを備えており、レール部43cには、同レール部43cの延出方向に移動するスライダ部44c(可動部)が設けられている。Z軸用電動アクチュエータ42cは、Y軸用電動アクチュエータ42bのスライダ部44bに支持させた構造を有しており、垂直方向に沿って移動するようになっている。また、各レール部43a~43cの側部には、スライダ部44a~44cを移動させるためのモータ(図示略)が取り付けられている。なお、各モータは、それぞれ防爆構造を有している。
【0027】
また、各電動アクチュエータ42a~42cは、それぞれ制振機構を有している。本実施形態の制振機構は、X軸用電動アクチュエータ42aの振動を打ち消すような波形で、レール部43aに取り付けられたモータを駆動させることにより、X軸用電動アクチュエータ42aの揺れを抑える制御(制振制御)を行う。また、制振機構は、Y軸用電動アクチュエータ42bの振動を打ち消すような波形で、レール部43bに取り付けられたモータを駆動させることにより、Y軸用電動アクチュエータ42bの揺れを抑える制御(制振制御)を行う。さらに、制振機構は、Z軸用電動アクチュエータ42cの振動を打ち消すような波形で、レール部43cに取り付けられたモータを駆動させることにより、Z軸用電動アクチュエータ42cの揺れを抑える制御(制振制御)を行う。
【0028】
図1図3図6図7に示されるように、Z軸用電動アクチュエータ42cのスライダ部44cには、一対のチャック装置51a,51bが並列に設けられている。各チャック装置51a,51bは、図3から見たときに左右一対となっており、それぞれが塗料カートリッジ21を把持可能となっている。各チャック装置51a,51bは、シリンダ52と、互いに接離可能な一対の挟持部材53とを備えている。なお、両挟持部材53が互いに接近した場合、塗料カートリッジ21の突出部23を挟持する挟持状態となる一方、両挟持部材53が互いに離間した場合には、塗料カートリッジ21を挟持しない開放状態となる。
【0029】
また、各チャック装置51a,51bの上端には、図6図7に示されるバネユニット54(衝撃吸収手段)が取り付けられている。また、本実施形態では、一方のチャック装置51bで塗料カートリッジ21を把持したままの状態で、もう一方のチャック装置51aでドッキング動作を行うようになっている。なお、バネユニット54は、コイル状をなす4本の圧縮バネ55と、Z軸用電動アクチュエータ42cのスライダ部44cに固定される支持板56と、チャック装置51aのシリンダ52に接続される接続板57とを備えている。そして、圧縮バネ55の両端は、支持板56と接続板57とにそれぞれ当接している。よって、塗料カートリッジ21を塗装機14に装着する際にチャック装置51aに加わる衝撃は、圧縮バネ55が収縮することによって吸収される。
【0030】
図1図3図6図7に示されるように、Z軸用電動アクチュエータ42cのスライダ部44cには、上記のビジョンセンサ61が設けられている。ビジョンセンサ61は、塗装機14における塗料カートリッジ装着部位17の位置を読み取る機能を有している。詳述すると、スライダ部44cに取り付けられたバネユニット54には、センサ支持ブラケット62が突設されている。センサ支持ブラケット62は、チャック装置51aよりも高い位置であって、スライダ部44cとほぼ同じ高さに配置されている。そして、センサ支持ブラケット62にはビジョンセンサ61が取り付けられている。よって、本実施形態のビジョンセンサ61は、左右一対のチャック装置51a,51bのうち、ドッキング専用のチャック装置51aに取り付けられており、チャック装置51aとともに移動可能となっている。また、ビジョンセンサ61は、鉛直方向に対して角度θ1だけ斜め下方を向く状態で、センサ支持ブラケット62に支持されている。なお、本実施形態のビジョンセンサ61は防爆構造を有している。
【0031】
次に、塗装設備10の電気的構成について説明する。
【0032】
図1に示されるように、塗装設備10は、設備全体を統括的に制御する制御装置80を備えている。制御装置80は、CPU81、メモリ82及び入出力ポート83等からなる周知のコンピュータにより構成されている。CPU81は、塗料充填装置31、X軸用電動アクチュエータ42a、Y軸用電動アクチュエータ42b、Z軸用電動アクチュエータ42c、チャック装置51a,51b及びビジョンセンサ61に電気的に接続されており、各種の駆動信号によってそれらを制御する。
【0033】
次に、塗装設備10での塗装時の処理を説明する。
【0034】
まず、未塗装状態の自動車ボディをコンベア(図示略)上に載置する。なお、コンベア上に載置された自動車ボディは、コンベアの下流側に移動して、塗装設備10内に搬入される。そして、自動車ボディが塗装設備10の塗装領域に到達すると、CPU81は、塗料が充填された使用前の塗料カートリッジ21が装着されている複数のストッカ32の中から1つのストッカ32を選択する。さらに、CPU81は、X軸用電動アクチュエータ42a及びY軸用電動アクチュエータ42bに駆動信号を出力し、選択したストッカ32の上方にチャック装置51aを移動させる制御を行う。
【0035】
次に、CPU81は、Z軸用電動アクチュエータ42cに駆動信号を出力し、Z軸用電動アクチュエータ42cのスライダ部44cをレール部43cの下降端まで下降させる制御を行う。さらに、CPU81は、チャック装置51aに駆動信号を出力し、選択したストッカ32に装着されている塗料カートリッジ21の突出部23を、チャック装置51aを構成する一対の挟持部材53に挟持させる制御を行う。そして、CPU81は、Z軸用電動アクチュエータ42cに駆動信号を出力し、スライダ部44cをレール部43cの上昇端に上昇させる制御を行う。この時点で、使用前の塗料カートリッジ21が塗装機14から取り外される。
【0036】
次に、CPU81は、チャック装置51aに挟持されている塗料カートリッジ21を塗装機14に装着させる制御を行う。詳述すると、まず、CPU81は、X軸用電動アクチュエータ42a及びY軸用電動アクチュエータ42bに駆動信号を出力し、原点位置(図示略)に存在する産業用塗装ロボット11の塗装機14の上方にチャック装置51aを移動させる制御を行う。そして、CPU81は、スライダ部44cがレール部43cの上昇端にない場合に、Z軸用電動アクチュエータ42cに駆動信号を出力し、スライダ部44cをレール部43cの上昇端に上昇させる制御を行う。
【0037】
次に、CPU81は、塗装機14に塗料カートリッジ21を装着する位置を補正する制御を行う。詳述すると、CPU81は、図8に示されるステップS1において、ビジョンセンサ61に駆動信号を出力し、塗装機14における塗料カートリッジ装着部位17の位置(ロボット原点位置)をビジョンセンサ61に読み取らせる制御を行う。具体的に言うと、まず、ビジョンセンサ61は、円筒状をなす塗料カートリッジ装着部位17の外周部分を読み取り、読み取った円C1(図5参照)外径を検出し、検出した外径に基づいて円C1の中心座標O1(図5参照)を読み取る。次に、CPU81は、ビジョンセンサ61からの読取信号に基づいて、円C1の中心座標O1を読み取れたか否かを判定する。そして、中心座標O1を読み取れた場合、CPU81は、読み取りの結果を「OK」と判定する。それに対して、中心座標O1を読み取れなかった場合、CPU81は、読み取りの結果を「NG」と判定する。なお、読み取りの判定基準は、中心座標O1の読み取りバラツキとの相関を確認したうえで、適宜変更可能である。
【0038】
さらに、CPU81は、ビジョンセンサ61により読み取った塗料カートリッジ装着部位17(被写体)の位置を基準として、塗料カートリッジ装着部位17の位置ズレ量(換言すると、チャック装置51aのXY軸方向の位置ズレ量)を検出する。そして、検出した位置ズレ量が、許容範囲内にあるか否かを判定する。具体的に言うと、まず、ビジョンセンサ61は、塗料カートリッジ装着部位17の外周部分を読み取り、読み取った円C2(図9参照)の中心座標O2(図9参照)を読み取る。なお、本実施形態では、真円ではない円C2も「円」と言うものとする。次に、CPU81は、中心座標O2のX座標と、仮想円C3(図9参照)の中心座標O3(図9参照)のX座標との位置ズレ量X1(図9参照)が、第1の基準値内であるか否かを判定する。なお、仮想円C3は、原点位置(初期位置)に存在する際における、塗装機14の塗料カートリッジ装着部位17の開口端面17aを示すものであり、エンコーダー設定値に基づいて決定される。また、本実施形態では、真円ではない仮想円C3も「円」と言うものとする。また、CPU81は、中心座標O2のY座標と中心座標O3のY座標との位置ズレ量Y1(図9参照)が第1の基準値内であるか否かを判定する。そして、位置ズレ量X1,Y1の少なくとも一方が第1の基準値外である場合、CPU81は、被写体の位置ズレ量を「NG」と判定する。一方、位置ズレ量X1,Y1がともに第1の基準値内である場合、CPU81は、位置ズレ量X1,Y1がともに第2の基準値内であるか否かを判定する。なお、第2の基準値は、第1の基準値よりも小さい値である。この場合、位置ズレ量X1,Y1がともに第2の基準値内であったとしても、位置ズレ量X1,Y1の少なくとも一方が第2の基準値外であったとしても、CPU81は、被写体の位置ズレ量を「OK」と判定する。なお、許容範囲内にあるか否かの判定基準となる位置ズレ量X1,Y1は、実際の塗装機14とのドッキング検証の結果に基づいて適宜変更可能である。
【0039】
そして、ステップS1において、読み取りの結果が「NG」と判定された場合、または、位置ズレ量X1,Y1の少なくとも一方が第1の基準値外であることで被写体の位置ズレ量が「NG」と判定された場合、CPU81は、ステップS2の処理へ移行し、異常が発生しているとして塗装設備10を停止させる制御を行う。また、CPU81は、ビジョンセンサ61に駆動信号を出力し、「NG」と判定された画像を履歴として記憶させる制御を行う。その後、異常が解消されると、CPU81は、ステップS3において、異常を解除させる制御を行い、ステップS1の処理を再度実行させる(再読み取り(モード再起動))。なお、リトライ設定がある場合、CPU81は、ステップS2,S3の処理へ移行することなく、ステップS1の処理を再度実行させる。
【0040】
また、ステップS1において、読み取りの結果が「OK」と判定され、位置ズレ量X1,Y1の少なくとも一方が第2の基準値外であるものの、位置ズレ量X1,Y1がともに第1の基準値内であることで被写体の位置ズレ量が「OK」と判定された場合、CPU81はステップS4の処理へ移行する。そして、CPU81は、同CPU81にフィードバックされた位置ズレ量X1,Y1(換言すると、チャック装置51aのXY軸方向の位置ズレ量)に基づいて補正量を算出する。即ち、CPU81は、『位置ズレ補正量算出手段』としての機能を有している。
【0041】
また、CPU81は、図8に示されるステップS5の処理へも移行し、位置ズレ量X1,Y1(換言すると、チャック装置51aのXY軸方向の位置ズレ量)が所定値を超えている(即ち、第2の基準値外である)として、通知手段であるアラーム(図示略)を作動させる制御を行う。これにより、産業用塗装ロボット11(塗装機14)やビジョンセンサ61等の位置調整の必要があることが作業者に警告される。また、CPU81は、ビジョンセンサ61に駆動信号を出力し、位置調整の必要があることを警告する画像を履歴として記憶させる制御を行う。
【0042】
そして、作業者は、アラームが作動した要因を調整して改善する作業を行う。その後、アラームの発生要因となる異常が解消されると、CPU81は、ステップS3において異常を解除させる制御を行い、ステップS1の処理を再度実行させる。
【0043】
さらに、ステップS1において、読み取りの結果が「OK」と判定され、位置ズレ量X1,Y1がともに第2の基準値内であることで被写体の位置ズレ量が「OK」と判定された場合、CPU81はステップS4の処理へ移行する。そして、CPU81は、同CPU81にフィードバックされた位置ズレ量X1,Y1(チャック装置51aのXY軸方向の位置ズレ量)に基づいて補正量を算出する。
【0044】
そして、CPU81は、補正量が算出された場合に、算出された補正量に基づいて、X軸用電動アクチュエータ42a及びY軸用電動アクチュエータ42bに駆動信号を出力し、塗料カートリッジ21を位置ズレ量X1,Y1分だけ移動させて適切な装着位置に移動させる。次に、CPU81は、Z軸用電動アクチュエータ42cに駆動信号を出力し、Z軸用電動アクチュエータ42cのスライダ部44cをレール部43cの下降端まで下降させる制御を行う。この時点で、使用前の塗料カートリッジ21が塗装機14の塗料カートリッジ装着部位17に装着(ドッキング)される。即ち、CPU81は、『駆動制御手段』としての機能を有している。
【0045】
次に、CPU81は、チャック装置51aに駆動信号を出力し、チャック装置51aを構成する一対の挟持部材53による、塗料カートリッジ21の突出部23の挟持を解除させる制御を行う。さらに、CPU81は、Z軸用電動アクチュエータ42cに駆動信号を出力し、スライダ部44cをレール部43cの上昇端に上昇させる制御を行う。
【0046】
その後、産業用塗装ロボット11に取り付けられている塗装機14に駆動信号を出力し、塗装機14から自動車ボディに対して塗料を吹き付ける制御を行う。その結果、自動車ボディの表面に塗膜が形成される。
【0047】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0048】
(1)本実施形態の塗料カートリッジ21の装着位置補正システム1では、塗装機14に塗料カートリッジ21を装着するにあたり、ビジョンセンサ61で読み取った塗装機14側の塗料カートリッジ装着部位17の位置を基準として、塗料カートリッジ21側のチャック装置51aのXY軸方向の位置ズレ量を検出して補正量を算出する。そして、補正量に基づいてX軸用電動アクチュエータ42a及びY軸用電動アクチュエータ42bを駆動して、塗料カートリッジ21を適切な装着位置に移動させる。その結果、塗料カートリッジ21と塗料カートリッジ装着部位17との位置ズレが解消されるため、塗装機14に塗料カートリッジ21を確実に装着することができる。ゆえに、塗料カートリッジ21の装着不良に起因する塗装設備10の停止を防止できるため、生産性を向上させることができる。また、塗料カートリッジ21のフィードチューブ24と塗料カートリッジ装着部位17の内周面との接触が回避されるため、両者の接触に起因する接触部分の摩耗や損傷が軽減される。その結果、早期の部品交換が不要になるため、ランニングコストを低減させることができる。さらに、塗料カートリッジ装着部位17の位置ズレ量を確認して調整する作業の頻度を低減できるため、メンテナンスコストの低減も可能となる。
【0049】
(2)本実施形態では、ビジョンセンサ61を斜め下方に向けた状態で支持するセンサ支持ブラケット62が、Z軸用電動アクチュエータ42cのスライダ部44cにおいてチャック装置51aよりも高い位置に配置される。その結果、ビジョンセンサ61のレンズ面から焦点(チャック装置51aの下方に位置する塗料カートリッジ装着部位17)までの高さ(焦点距離)が大きくなり、ビジョンセンサ61の向きが鉛直方向に対して鋭角(角度θ1)をなすようになる。このため、ビジョンセンサ61は、塗料カートリッジ装着部位17の直上に近い位置から塗料カートリッジ装着部位17を読み取ることが可能となる。従って、読み取った塗料カートリッジ装着部位17の形状が、本来は円形状であるにもかかわらず楕円形状になってしまうため、ビジョンセンサ61の読み取りミスが生じやすい、といった斜め撮影に起因する問題を最小限に抑えることができる。
【0050】
(3)例えば、ビジョンセンサ61を、塗装設備10外(具体的には、フレーム70の柱部74の上端部付近)の位置(図2の領域R1参照)に取り付けることが考えられる。また、ビジョンセンサ61を、フレーム70の天井部72において、塗料カートリッジ装着部位17(チャック装置51a)の直上位置(図2の領域R2参照)と、塗料充填装置31のストッカ32群の直上位置(図2の領域R3)とにそれぞれ取り付けることが考えられる。しかし、ビジョンセンサ61を領域R1に取り付ける場合には、塗料カートリッジ装着部位17及びストッカ32群のいずれか一方の位置しか読み取ることができないという問題がある。また、ビジョンセンサ61を領域R2,R3に取り付ける場合には、2つのビジョンセンサ61が必要になるため、塗装設備10の製作コストが上昇してしまうという問題がある。しかも、領域R2内のビジョンセンサ61と塗料カートリッジ装着部位17との間にY軸用電動アクチュエータ42bやチャック装置51a等が位置するため、領域R2内のビジョンセンサ61で塗料カートリッジ装着部位17の位置を読み取ることは困難である。一方、本実施形態のビジョンセンサ61は、Z軸用電動アクチュエータ42cのスライダ部44cに突設されたセンサ支持ブラケット62に対して斜め下方を向く状態で支持されているため、上記の問題を解消することができる。
【0051】
(4)本実施形態では、各電動アクチュエータ42a~42cが有する制振機構が、スライダ部44a~44cを移動させるためのモータの駆動態様を制御することにより、電動アクチュエータ42a~42cの揺れを抑えるようになっている。このため、各電動アクチュエータ42a~42cが制振機構を有していたとしても、電動アクチュエータ42a~42cは重くならずに済む。
【0052】
(5)本実施形態では、一方のチャック装置51aがドッキング専用のものであり、もう一方のチャック装置51bが、ドッキング状態にあるものを取り外して返却する返却専用のものである。従って、ドッキング専用のチャック装置51aを用いて使用前の塗料カートリッジ21を塗料充填装置31のストッカ32から取り外す作業と、返却専用のチャック装置51bを用いて使用済みの塗料カートリッジ21をストッカ32に装着する作業とを、ほぼ同時に行うことができるため、塗料カートリッジ21の交換作業を効率良く行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
【0054】
・上記実施形態のビジョンセンサ61は、塗料カートリッジ装着部位17の位置を基準としてチャック装置51aのXY軸方向の位置ズレ量を検出するものであった。しかし、ビジョンセンサ61は、塗料の漏れ等に起因する汚れを検出する機能や、塗料カートリッジ21や塗装機14の破損等の他の異常を検出する機能をさらに有していてもよい。
【0055】
・上記実施形態の搬送装置40は、ドッキング専用のチャック装置51aと返却専用のチャック装置51bとを備えていた。しかし、返却専用のチャック装置51bを省略し、ドッキング専用のチャック装置51aに返却の機能も持たせるようにしてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、両方のチャック装置51a,51bにそれぞれバネユニット54が取り付けられていた。しかし、ドッキング専用のチャック装置51aのみにバネユニット54を取り付けてもよいし、返却専用のチャック装置51bのみにバネユニット54を取り付けてもよい。なお、バネユニット54は省略されていてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、塗料充填装置31、X軸用電動アクチュエータ42a、Y軸用電動アクチュエータ42b、Z軸用電動アクチュエータ42c、チャック装置51a,51b及びビジョンセンサ61の制御を1つのCPU81で制御していたが、各制御を別々のCPUで行うように構成してもよい。
【0058】
・上記実施形態は、自動車ボディを塗装するための塗装設備10において、塗料カートリッジ21の装着位置を補正するシステムに具体化するものであったが、バンパーなどの自動車部品やそれ以外の部品を塗装する塗装設備において、塗料カートリッジ21の装着位置を補正するシステムに具体化してもよい。
【0059】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0060】
(1)請求項3において、前記センサ支持ブラケットは、前記Z軸用電動アクチュエータのスライダ部に突設されていることを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0061】
(2)請求項2において、前記3つの電動アクチュエータは制振制御を行うことを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0062】
(3)請求項1乃至5のいずれか1項において、左右一対の前記チャック装置が並列で設けられ、一方の前記チャック装置で前記塗料カートリッジを把持したままの状態で、もう一方の前記チャック装置でドッキング動作を行うことを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0063】
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、左右一対の前記チャック装置が並列で設けられ、一方の前記チャック装置はドッキング専用のものであり、もう一方の前記チャック装置は、ドッキング状態にあるものを取り外して返却する返却専用のものであることを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0064】
(5)技術的思想(4)において、前記画像センサは、左右一対の前記チャック装置のうち、ドッキング専用の前記チャック装置に取り付けられていることを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0065】
(6)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記X軸用電動アクチュエータ及び前記Y軸用電動アクチュエータは、前記産業用塗装ロボットよりも高い位置に設置され、前記Z軸用電動アクチュエータは、前記塗装機及び前記チャック装置よりも高い位置に設置されていることを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0066】
(7)請求項3において、前記画像センサは、前記チャック装置とともに移動可能であるとともに、斜め下方を向いて配置されていることを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0067】
(8)請求項3において、前記センサ支持ブラケットは、前記チャック装置よりも高い位置であって、前記Z軸用電動アクチュエータのスライダ部とほぼ同じ高さに位置していることを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【0068】
(9)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記装着位置補正システムは、一部が張り出した状態で塗装ライン内に設けられることを特徴とする塗料カートリッジの装着位置補正システム。
【符号の説明】
【0069】
1…装着位置補正システム
10…塗装設備
11…産業用塗装ロボット
13…アーム
14…塗装機
17…塗料カートリッジ装着部位
18…フィードチューブ挿通孔
21…塗料カートリッジ
22…本体
24…フィードチューブ
31…塗料充填装置
32…ストッカ
40…搬送装置
41…駆動装置
42a…電動アクチュエータとしてのX軸用電動アクチュエータ
42b…電動アクチュエータとしてのY軸用電動アクチュエータ
42c…電動アクチュエータとしてのZ軸用電動アクチュエータ
44c…Z軸用電動アクチュエータの可動部としてのスライダ部
51a,51b…チャック装置
61…画像センサとしてのビジョンセンサ
62…センサ支持ブラケット
81…位置ズレ補正量算出手段及び駆動制御手段としてのCPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11