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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】物品移動装置及び物品移動レーン
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/08 20060101AFI20240228BHJP
   A47F 1/12 20060101ALI20240228BHJP
   B65G 39/12 20060101ALI20240228BHJP
   B65G 13/11 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A47F3/08
A47F1/12
B65G39/12
B65G13/11
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020064130
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021159317
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】田島 一雄
(72)【発明者】
【氏名】櫛間 信彦
(72)【発明者】
【氏名】早田 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】冨塚 曜
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-340180(JP,A)
【文献】国際公開第2016/052650(WO,A1)
【文献】特開2000-316680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00-3/14
A47F 11/00-11/10
B65G 13/00-13/12
B65G 21/00-21/22
B65G 39/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー本体と前記ローラー本体の軸線方向に沿う軸部とを有するローラー部材と、
前記ローラー部材を前記軸線方向が前後方向に交差するように且つ前記ローラー本体を回動自在に配置可能なローラー配置部が形成されたローラー支持部材と、
前記ローラー支持部材に対して着脱可能に形成され、前記ローラー支持部材に装着したときに前記ローラー支持部材に配置された前記ローラー部材の前記ローラー本体の上端部が上方に突出するように前記ローラー本体が貫通するローラー貫通孔が形成されたローラー保持部材と、
を備え、
前記ローラー保持部材を前記ローラー支持部材に装着した状態において前記ローラー支持部材に対する前記ローラー保持部材の移動を規制する移動規制部が前後方向に沿って設けられ、
前記ローラー支持部材は、前後方向に沿って設けられた第1側壁部を有し、
前記ローラー保持部材は、前後方向に沿って設けられ、前記ローラー保持部材を前記ローラー支持部材に装着した状態において前記第1側壁部と向き合う第2側壁部を有し、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか一方に、上下方向に突出する第1挿入凸部が設けられ、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか他方に、前記第1挿入凸部を上下方向で挿入可能な第2挿入凹部が形成され、
前記第1挿入凸部の前後方向での寸法は、前記第2挿入凹部の前後方向での幅と同等であり、
前記ローラー保持部材を前記ローラー支持部材に装着した状態において、
上側に凸状に前後方向でたわんだときに、前記第1挿入凸部の先端部又は基端部の何れか一方の端部と前後方向で前記第1挿入凸部と隣り合う前記第2挿入凹部の内壁部の上下方向の基端部及び先端部のうちの前記一方の端部とは異なる端部とが互いに密着し、
下側に凸状に前後方向でたわんだときに、前記第1挿入凸部の先端部又は基端部の何れか他方の端部と前後方向で前記第1挿入凸部と隣り合う前記第2挿入凹部の内壁部の上下方向の基端部及び先端部のうちの前記他方の端部とは異なる端部とが互いに密着し
前記移動規制部は前記第1挿入凸部及び第2挿入凹部で構成されている、
物品移動装置。
【請求項2】
前記ローラー支持部材は、底壁部を備え
前記第1側壁部は、前記底壁部の前後方向に沿う側端に設けられ、
前記ローラー保持部材は、上壁部を備え
前記第2側壁部は、前記上壁部の前後方向に沿う側端に設けられ、
前記第1側壁部に、上方に突出する第1挿入凸部と、下方又は幅方向で中央側に凹む第1挿入凹部とが前後方向で交互に設けられ、
前記第2側壁部に、下方に突出するとともに前記第1挿入凹部に挿入可能な第2挿入凸部と、上方又は幅方向で中央側に凹むとともに前記第1挿入凸部を挿入可能な第2挿入凹部とが前後方向で交互に設けられ、
前記移動規制部は前記第1挿入凸部、前記第1挿入凹部、前記第2挿入凸部及び前記第2挿入凹部で構成されている、
請求項1に記載の物品移動装置。
【請求項3】
前記第1挿入凸部及び前記第2挿入凸部の一方又は両方に、幅方向の中央側に突出する爪部が設けられ、
前記第1挿入凹部及び前記第2挿入凹部の一方又は両方に、前記爪部が係合可能な係合凹部が形成され、
前記移動規制部は前記爪部及び前記係合凹部を含む、
請求項2に記載の物品移動装置。
【請求項4】
前記ローラー支持部材は、底壁部を備え
前記第1側壁部は、前記底壁部の前後方向に沿う側端に設けられ、
前記ローラー保持部材は、上壁部を備え
前記第2側壁部は、前記上壁部の前後方向に沿う側端に設けられ、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか一方に、上下方向に突出する前記第1挿入凸部が設けられ、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか他方に、前記第1挿入凸部を上下方向で挿入可能な第2挿入凹部が形成され、
前記移動規制部は前記第1挿入凸部及び前記第2挿入凹部で構成されている、
請求項1に記載の物品移動装置。
【請求項5】
前記移動規制部が前記第1側壁部及び前記第2側壁部の前後方向の全体にわたって設けられている、
請求項から4の何れか一項に記載の物品移動装置。
【請求項6】
前記ローラー支持部材及び前記ローラー保持部材の各々の前後方向の最小寸法は、前記ローラー支持部材及び前記ローラー保持部材の各々の幅方向の最大寸法よりも大きい、
請求項1から5の何れか一項に記載の物品移動装置。
【請求項7】
前記ローラー支持部材の前記底壁部の幅方向に沿う前端に設けられた第1前壁部及び前記ローラー支持部材の前記底壁部の幅方向に沿う後端に設けられた第1後壁部と、前記ローラー保持部材の前記上壁部の幅方向に沿う前端に設けられた第2前壁部及び前記ローラー保持部材の前記上壁部の幅方向に沿う後端に設けられた第2後壁部と、の少なくとも一方を備え、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の各々の幅方向の最小寸法は、前記第1前壁部及び前記第2前壁部の少なくとも一方の前後方向の最大寸法よりも大きく、前記第1後壁部及び前記第2後壁部の少なくとも一方の前後方向の最大寸法よりも大きい、
請求項から6の何れか一項に記載の物品移動装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の物品移動装置を備える、
物品移動レーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品移動装置及び物品移動レーンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人手不足によってレストランや食品製造工場等で省人化や無人化が検討されている。省人化されたレストランや食品製造工場では、食材(物品)を水平方向に対して傾斜したレーンで、調理加工が行われる上流から利用者への提供場所や梱包・搬送作業場所の下流に移動させる。このように移動対象の物品を水平方向に対して傾斜したレーンで上流即ち高い方から下流即ち低い方に移動させるための構成として、コンビニエンスストアーやスーパー等の店舗で複数の商品等の物品を陳列するために用いられている陳列装置を適用できる。
【0003】
陳列装置は、複数のローラーを備え、購入者から遠い後側から購入者に近い前側に移動するにしたがって下降するように適度に傾斜した状態で陳列棚本体に設けられている。複数のローラーの軸線方向は、物品が移動する前後方向に対して直交している。複数の物品は、陳列装置の複数のローラーの周面を跨ぐとともに前後方向に沿って並べられている。例えば、購入者が前側に載置された物品を陳列装置から取り除くと、物品が取り除かれたことによって生じる空間に、後側の別の物品が複数のローラーの周面上をすべりながら自然に移動する。例えば、特許文献1には、箱状枠体(ローラー支持部材)と、箱状枠体に収容された複数のローラーと、ローラーの上端部を上方に突出させるように窓孔(貫通孔)が形成されるとともに、上方から箱状枠体に装着されたカバー体(ローラー保持部材)と、を備えた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-000260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている装置では、箱状枠体とカバー体との接続部分がローラーの軸線方向に直交する前後方向の前端部又は後端部に、ローラーの軸線方向に沿って設けられている。特許文献1に開示されている装置以外の他の陳列装置このような構成では、複数のローラーの周面上をすべりながら前後方向に沿って移動する物品が箱状枠体とカバー体との接続部分で摩擦によって止まってしまう、又は移動速度の変化によって姿勢を崩す、或いは転倒してしまう。このような挙動は、物品の移動不良につながる虞があった。移動不良は、レストランや食品製造工場のように長いレーンに適用するために複数の装置を前後方向に連結すると、箱状枠体とカバー体との接続部分での物品の移動不良の影響は大きい。また、前述の構成では、前後方向(即ち、長手方向)のたわみに対して、箱状枠体とカバー体とが互いに離れる方向に力がかかり、カバー体が箱状枠体から外れて複数のローラーが散在する虞があった。
【0006】
本発明は、物品を前後方向に円滑に移動させるとともに、前後方向のたわみに柔軟に対応する物品移動装置及び当該物品移動装置を備えた物品移動レーンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品移動装置は、ローラー本体と前記ローラー本体の軸線方向に沿う軸部とを有するローラー部材と、前記ローラー部材を前記軸線方向が前後方向に交差するように且つ前記ローラー本体を回動自在に配置可能なローラー配置部が形成されたローラー支持部材と、前記ローラー支持部材に対して着脱可能に形成され、前記ローラー支持部材に装着したときに前記ローラー支持部材に配置された前記ローラー部材の前記ローラー本体の上端部が上方に突出するように前記ローラー本体が貫通するローラー貫通孔が形成されたローラー保持部材と、を備える。前記ローラー保持部材を前記ローラー支持部材に装着した状態において前記ローラー支持部材に対する前記ローラー保持部材の移動を規制する移動規制部が前後方向に沿って設けられ、前記ローラー支持部材は、前後方向に沿って設けられた第1側壁部を有し、前記ローラー保持部材は、前後方向に沿って設けられ、前記ローラー保持部材を前記ローラー支持部材に装着した状態において前記第1側壁部と向き合う第2側壁部を有し、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか一方に、上下方向に突出する第1挿入凸部が設けられ、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか他方に、前記第1挿入凸部を上下方向で挿入可能な第2挿入凹部が形成され、前記第1挿入凸部の前後方向での寸法は、前記第2挿入凹部の前後方向での幅と同等であり、前記ローラー保持部材を前記ローラー支持部材に装着した状態において、上側に凸状に前後方向でたわんだときに、前記第1挿入凸部の先端部又は基端部の何れか一方の端部と前後方向で前記第1挿入凸部と隣り合う前記第2挿入凹部の内壁部の上下方向の基端及び先端のうちの前記一方の端部とは異なる端部とが互いに密着し、下側に凸状に前後方向でたわんだときに、前記第1挿入凸部の先端部又は基端部の何れか他方の端部と前後方向で前記第1挿入凸部と隣り合う前記第2挿入凹部の内壁部の上下方向の基端部及び先端部のうちの前記他方の端部とは異なる端部とが互いに密着し、前記移動規制部は前記第1挿入凸部及び第2挿入凹部で構成されている。
【0008】
上述の物品移動装置において、前記ローラー支持部材は、底壁部を備え、前記第1側壁部は、前記底壁部の前後方向に沿う側端に設けられ、前記ローラー保持部材は、上壁部を備え、前記第2側壁部は、前記上壁部の前後方向に沿う側端に設けられてもよい。前記第1側壁部に、上方に突出する第1挿入凸部と、下方又は幅方向で中央側に凹む第1挿入凹部とが前後方向で交互に設けられ、前記第2側壁部に、下方に突出するとともに前記第1挿入凹部に挿入可能な第2挿入凸部と、上方又は幅方向で中央側に凹むとともに前記第1挿入凸部を挿入可能な第2挿入凹部とが前後方向で交互に設けられ、前記移動規制部は前記第1挿入凸部、前記第1挿入凹部、前記第2挿入凸部及び前記第2挿入凹部で構成されてもよい。
【0009】
上述の物品移動装置において、前記第1挿入凸部及び前記第2挿入凸部の一方又は両方の先端に、幅方向中央側に突出する爪部が設けられ、前記第1挿入凹部及び前記第2挿入凹部の一方又は両方に、前記爪部が係合可能な係合凹部が形成され、前記移動規制部は前記爪部及び前記係合凹部を含んでもよい。
【0010】
上述の物品移動装置において、前記ローラー支持部材は、底壁部を備え、前記第1側壁部は、前記底壁部の前後方向に沿う側端に設けられてもよい。前記ローラー保持部材は、上壁部を備え、前記第2側壁部は、前記上壁部の前後方向に沿う側端に設けられてもよい。前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか一方に、上下方向に突出する前記第1挿入凸部が設けられ、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の何れか他方に、前記第1挿入凸部を上下方向で挿入可能な第2挿入凹部が形成され、前記移動規制部は前記第1挿入凸部及び前記第2挿入凹部で構成されてもよい。
【0011】
上述の物品移動装置において、前記移動規制部が前記第1側壁部及び前記第2側壁部の前後方向の全体にわたって設けられてもよい。
【0012】
上述の物品移動装置において、前記ローラー支持部材及び前記ローラー保持部材の各々の前後方向の最小寸法は、前記ローラー支持部材及び前記ローラー保持部材の各々の幅方向の最大寸法よりも大きくてもよい。
【0013】
上述の物品移動装置において、前記ローラー支持部材の前記底壁部の幅方向に沿う前端に設けられた第1前壁部及び前記ローラー支持部材の前記底壁部の幅方向に沿う後端に設けられた第1後壁部と、前記ローラー保持部材の前記上壁部の幅方向に沿う前端に設けられた第2前壁部及び前記ローラー保持部材の前記上壁部の幅方向に沿う後端に設けられた第2後壁部と、の少なくとも一方を備え、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の各々の幅方向の最小寸法は、前記第1前壁部及び前記第2前壁部の少なくとも一方の前後方向の最大寸法よりも大きく、前記第1後壁部及び前記第2後壁部の少なくとも一方の前後方向の最大寸法よりも大きくてもよい。
【0014】
本発明に係る物品移動レーンは、上述の物品移動装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、物品を前後方向に円滑に移動させるとともに、前後方向のたわみに柔軟に対応する物品移動装置及び当該物品移動装置を備えた物品移動レーンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る第1実施形態の物品移動装置の斜視図である。
図2図1に示す物品移動装置の分解斜視図である。
図3図1に示すX1-X1線で矢視した物品移動装置の断面図である。
図4図1に示す物品移動装置を備える物品移動レーンの斜視図である。
図5図1に示す物品移動装置のたわみに対応する様子を示す側面図である。
図6図1に示す物品移動装置のたわみに対応する様子を示す側面図である。
図7】本発明に係る第2実施形態の物品移動装置の斜視図である。
図8】本発明に係る第3実施形態の物品移動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
[物品移動装置]
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の物品移動装置10Aは、板状に形成され、複数のローラー部材20と、ローラー支持部材50と、ローラー保持部材100と、を備える。以下の説明では、物品移動装置10Aに載せられた不図示の物品が移動する前方、即ち手前側を「前」とし、物品が移動する後方、即ち奥側を「後」とする。前と後とを結ぶ方向を「前後方向D1」とする。前後方向D1を含む面内で前後方向D1に直交する方向を幅方向D2とし、前後方向D1に沿って前から見たときに幅方向D2の左側を左とし、前後方向D1に沿って前から見たときに幅方向D2の右側を右とする。前後方向D1及び幅方向D2に直交し、鉛直方向と平行な方向を上下方向D3とし、上下方向D3において物品移動装置10Aの設置床面に近い方を下とし、上下方向D3において物品移動装置10Aの設置床面から遠い方を上とする。図2は、複数のローラー部材20と、ローラー支持部材50と、ローラー保持部材100と、を上下方向で分解してしめした図である。
【0018】
物品移動装置10Aの移動対象の物品は、例えば食器やトレイ等に収容された食品や弁当であるが、特にこれらに限定されない。物品移動装置10Aは、ローラー部材20のローラー本体22の周面24上に物品が載置されることによって、物品を前後方向D1に沿って移動可能とするための装置である。
【0019】
図2に示すように、ローラー部材20は、円柱状に形成されたローラー本体22と、ローラー本体22の軸線方向J22の端面26、26の各々から軸線方向J22に沿って突出する軸部32と、を備える。ローラー本体22は、軸部32に固定され、軸部32に対しては回転しない。ローラー本体22の直径及び軸線方向J22の長さは、物品の重量や底面積等を勘案して適切に設定され、特定値に限定されない。軸部32の直径及び軸線方向J22の長さは、特に限定されるものではなく、ローラー支持部材50に形成される後述のローラー配置部77の形状等を考慮して適切に設定され、特定値に限定されない。
【0020】
ローラー本体22と軸部32とは、互いに一体に形成されている。ローラー本体22及び軸部32の材質は、物品がローラー本体22の周面24上をすべるときの摩擦係数、及び軸部32がローラー配置部77のローラー支持部材50で回転するときの摩擦係数を考慮して選定され、適度な弾性強度を有する材質が好ましい。軸部32の静摩擦係数は、ローラー支持部材50及びローラー保持部材100の材質の静摩擦係数に対して0.1以上0.5以下程度であることが好ましい。静摩擦係数は、ISO 8295で測定した値を示す。適度な弾性強度及び摩擦特性を有するローラー本体22及び軸部32の材質として、例えばポリアセタール樹脂(POM)等が挙げられる。
【0021】
ローラー支持部材50は、物品移動装置10Aの底部を構成し、平面視で略矩形状に形成されている。ローラー支持部材50の前後方向D1の寸法(最小寸法)SL50は、ローラー支持部材50の幅方向D2の寸法(最大寸法)SP50よりも大きい。物品移動装置10Aにおいて、寸法SL50は、幅方向D2で略一定であるが、幅方向D2で変化する場合は最小寸法を意味する。寸法SP50は、前後方向D1で略一定であるが、前後方向D1で変化する場合は最大寸法を意味する。ローラー支持部材50は、底壁部52と、底壁部52の前後方向D1に沿う側端53に設けられた側壁部(第1側壁部)54と、隔壁部62と、複数の区画壁部64を備える。
【0022】
側壁部54は、底壁部52の側端53から上方に突出している。底壁部52の上面55及び側壁部54において物品移動装置10Aの幅方向D2の中央側に向く側面56に囲まれた空間70に、複数のローラー部材20が配置されている。図2では、各々の軸線方向J22を幅方向D2に平行に向けた複数のローラー部材20は、前後方向D1で12行且つ幅方向D2で2列に配置されている。このような配置では、ローラー部材20の軸線方向J22は、少なくとも前後方向D1に交差する方向に延び、例えば前後方向D1に直交している。但し、図2に示す複数のローラー部材20の配置及び数は、本実施形態の一例であり、特に限定されない。
【0023】
ローラー支持部材50における空間70は、隔壁部62及び区画壁部64によって、複数のローラー部材20の配置及び数に合わせて複数の領域に区画されている。第1実施形態では、隔壁部62は、底壁部52の幅方向D2の中央に設けられ、前後方向D1に沿って延び、底壁部52の上面55から上方に突出している。隔壁部62によって区画され、底壁部52の上面55と側壁部54の側面56と側面56に幅方向D2で向き合う隔壁部62の側面63に囲まれた空間に、複数の区画壁部64が前後方向D1に沿って互いに間隔をあけて設けられている。区画壁部64の前後方向D1の大きさは、上端から下端に進むに従って大きくなっている。つまり、前後方向D1で隣り合う区画壁部64同士の前後方向D1の間隔は、下方に進むに従って小さくなっている。
【0024】
上述の構成によって、ローラー支持部材50における空間70は、前後方向D1で互いに向き合う区画壁部64の後側の側面66と前側の側面65及び幅方向D2で互いに向き合う隔壁部62の側面63と側壁部54の側面56に囲まれた空間72に区画されている。ローラー支持部材50には、配置されるローラー部材20と同じ数の空間72が形成されている。空間72の前後方向D1の最大寸法は、ローラー本体22の直径よりも大きい。空間72の幅方向D2の最大寸法は、ローラー本体22の軸線方向J22の長さよりも大きく、且つローラー部材20の全体の軸線方向J22の長さよりも小さい。
【0025】
各々のローラー部材20は、1つの空間72に割り当てられ、配置されている。ローラー部材20が空間72に配置されている状態で、ローラー本体22の上下方向D3で軸部32よりも下の下部27は、空間72内に収容されている。同状態で、ローラー本体22の下端は、ローラー支持部材50の底壁部52の上面55よりも上方に位置している。同状態で、2つの軸部32、32のうち、一方の軸部32は、物品移動装置10Aの幅方向D2の中央側に位置し、隔壁部62の上面67に上方から接している。同状態で、2つの軸部32、32のうち、他方の軸部32は、物品移動装置10Aの幅方向D2の両側に位置し、側壁部54の上面57に上方から接している。隔壁部62の幅方向D2の寸法は、軸線方向J22での軸部32の長さの2倍の長さよりも大きい。このような構成によって、空間72に配置されていると、軸部32が側壁部54及び隔壁部62に接した状態で、ローラー部材20は、軸線方向J22及び幅方向D2を中心とする周方向に回動自在である。ローラー部材20を前述のように回動自在に配置可能なローラー配置部77は、側壁部54及び隔壁部62で構成され、空間72を含む。
【0026】
物品移動装置10Aでは、幅方向D2で隔壁部62よりも左側に区画された第1列の複数のローラー部材20の前後方向D1の中心は、隔壁部62よりも右側に区画された第2列の複数のローラー部材20の前後方向D1の中心と略重なっている。即ち、物品移動装置10Aでは、第1列の複数のローラー部材20と第2列の複数のローラー部材20とが方形配列で配置されている。
【0027】
1つの空間72を形成する底壁部52には、貫通孔78が形成されている。貫通孔78の平面視での形状は、トラック形状である。貫通孔78が形成されていることによって、ローラー支持部材50が軽量化されている。
【0028】
ローラー保持部材100は、物品移動装置10Aの上部を構成し、平面視で略矩形状に形成されている。ローラー保持部材100の前後方向D1の寸法(最小寸法)SL100は、ローラー保持部材100の幅方向D2の寸法(最大寸法)SP100よりも大きい。物品移動装置10Aにおいて、寸法SL100は、幅方向D2で略一定であるが、幅方向D2で変化する場合は最小寸法を意味する。寸法SP100は、前後方向D1で略一定であるが、前後方向D1で変化する場合は最大寸法を意味する。ローラー保持部材100は、上壁部112と、上壁部112の前後方向D1に沿う側端113に設けられた側壁部(第2側壁部)114と、前壁部(第2前壁部)152と、後壁部(第2後壁部)154と、を備える。上壁部112には、複数のローラー貫通孔120が形成されている。前壁部152は、上壁部112の前端151から下方に突出している。後壁部154は、上壁部112の後端153から下方に突出している。
【0029】
各々のローラー貫通孔120は、上壁部112を上下方向D3に貫通している。平面視でローラー保持部材100の上壁部112は、ローラー支持部材50の底壁部52と同じ形状を有する。側壁部114は、上壁部112の側端113から下方に突出している。図1及び図2に示すようにローラー保持部材100をローラー支持部材50に装着した状態(以下、単に「装着状態」という場合がある)では、上下方向D3でローラー保持部材100の側壁部114は、ローラー支持部材50の側壁部54と向き合い、互いに嵌合している。
【0030】
ローラー支持部材50の側壁部54には、複数の突出部80及び複数の挿入凸部(第1挿入凸部)81と、複数の挿入凹部(第1挿入凹部)85とが前後方向D1で交互に形成されている。突出部80は、物品移動装置10Aの幅方向D2の外方に向く側面58から、幅方向D2の外方に突出している。突出部80は、前後方向D1で等間隔をあけて配置されている。突出部80の突出方向の先端には、上方に突出する挿入凸部81が設けられている。挿入凸部81において物品移動装置10Aの幅方向D2の外側を向く側面83は、平面視で幅方向D2の外方に向かって凸となる湾曲面で形成されている。挿入凸部81において物品移動装置10Aの幅方向D2の中央側を向く側面84は、平面視で前後方向D1に沿って直線状に形成されている。前後方向D1において、挿入凸部81の中心は、空間72の中心と重なっている。挿入凸部81の側面84の上端(先端)には、物品移動装置10Aの幅方向D2の中央側に突出する爪部82が設けられている。
【0031】
前後方向D1では、隣り合う挿入凸部81、81の間に、挿入凹部(第1挿入凹部)85が形成されている。つまり、前後方向で隣り合う挿入凸部81の間に、介在している。挿入凹部85は、挿入凸部81の側面83よりも幅方向D2の中央側に凹んでいる。前後方向D1で隣り合う挿入凸部81、81の前後方向D1の間隔は、挿入凸部81の前後方向D1の寸法よりも大きい。即ち、挿入凹部85の前後方向D1の寸法は、挿入凸部81の前後方向D1の寸法よりも大きい。
【0032】
ローラー保持部材100の側壁部114には、複数の挿入凸部(第2挿入凸部)131と、複数の挿入凹部(第2挿入凹部)135とが前後方向D1で交互に形成されている。挿入凸部131は、側壁部114の底面119よりも下方に突出している。挿入凸部131において物品移動装置10Aの幅方向D2の外側を向く側面133は、平面視で幅方向D2の外方に向かって凸となる湾曲面で形成されている。挿入凹部135は、側壁部114において幅方向D2の外方に向く側面118よりも幅方向D2の中央側に凹んでいる。
【0033】
挿入凸部131の前後方向D1の寸法は、前後方向D1で隣り合う挿入凸部81、81の前後方向D1の間隔と略同じである。前後方向D1で隣り合う挿入凸部131、131の前後方向D1の間隔は、挿入凸部81の前後方向D1の寸法と略同じであり、挿入凹部85の前後方向D1の間隔と略同じであり、挿入凸部131の前後方向D1の寸法よりも小さい。ローラー支持部材50の複数の挿入凸部81は、ローラー保持部材100の複数の挿入凹部135に挿入可能に形成されている。ローラー保持部材100の複数の挿入凸部131は、ローラー支持部材50の複数の挿入凹部85に挿入可能に形成されている。
【0034】
複数の挿入凹部135の上端部には、下方よりもさらに物品移動装置10Aの幅方向D2の中央側に凹む係合凹部140が形成されている。係合凹部140の各方向の寸法は、ローラー支持部材50の爪部82の寸法に適度の余裕を付与した寸法に設定されている。
【0035】
ローラー支持部材50の側壁部54の幅方向D2の寸法(最小寸法)SP54及びローラー保持部材100の側壁部114の幅方向D2の寸法(最小寸法)SP114は、ローラー保持部材100の前壁部152の前後方向D1の寸法(最大寸法)SL152よりも大きく、且つ後壁部154の前後方向D1の寸法(最大寸法)SL154よりも大きい。なお、ローラー支持部材50では、突出部80及び挿入凸部81が側壁部54とともに側壁全体として機能するため、「側壁部54の幅方向D2の寸法」は、側壁部54と突出部80と挿入凸部81の幅方向D2の合計寸法を意味する。また、寸法SP54、SP114は、前後方向D1で略一定であるが、前後方向D1で変化する場合は最大寸法を意味する。寸法SL152、SL154は、幅方向D2で略一定であるが、幅方向D2で変化する場合は最大寸法を意味する。
【0036】
物品移動装置10Aの装着状態では、図1に示すように、ローラー支持部材50の複数の挿入凸部81がローラー保持部材100の複数の挿入凹部135に挿入されるとともに、図3に示すように、複数の爪部82が複数の係合凹部140に係合している。また、物品移動装置10Aの装着状態では、図1に示すように、ローラー保持部材100の複数の挿入凸部131がローラー支持部材50の複数の挿入凹部85に挿入されている。装着状態では、複数の空間72の開口縁と複数のローラー貫通孔120とが重なり、複数のローラー貫通孔120の開口端は複数の空間72の開口縁よりも内側に位置している。図1及び図3に示すように、装着状態では、複数のローラー本体22の上端部30がローラー保持部材100の上壁部112の上面117よりも上方に突出している。つまり、装着状態の物品移動装置10Aでは、ローラー保持部材100の複数のローラー貫通孔120にローラー部材20のローラー本体22の周面24が露出している。
【0037】
前述のように複数の挿入凸部81を複数の挿入凹部135に挿入する挿入動作とその逆の抜出動作、複数の爪部82を複数の係合凹部140に係合させる係合動作とその逆の解除動作、及び複数の挿入凸部131を複数の挿入凹部85に挿入する挿入動作とその逆の抜出動作によって、ローラー保持部材100は、ローラー支持部材50に対して着脱可能に形成されている。
【0038】
物品移動装置10Aの装着状態では、各ローラー部材20の軸部32の周面が側壁部54の上面57又は隔壁部62の上面67に常に接する。基本的には、ローラー本体22の前後方向D1での移動は、前後方向D1で隣り合う区画壁部64同士の間で規制されている。ローラー本体22の幅方向D2での移動は、幅方向D2で隣り合う側壁部54と隔壁部62との間で規制されている。ローラー本体22の幅方向D2での移動は、幅方向D2で隣り合う側壁部54と隔壁部62との間で規制されている。ローラー本体22の上下方向D3での移動は、ローラー配置部77の周囲のローラー支持部材50とローラー保持部材100との間で規制されている。ローラー本体22の周面24は、いずれの部材等とも隙間をあけて配置されている。ローラー部材20は、物品が周面24をすべる際に生じる摩擦によって軸線方向J22を中心とする周方向に回動する。
【0039】
物品移動装置10Aの装着状態では、ローラー支持部材50に対するローラー保持部材100の前後方向D1での移動は、ローラー保持部材100の複数の挿入凹部135に挿入されたローラー支持部材50の複数の挿入凸部81、及びローラー支持部材50の複数の挿入凹部85に挿入されたローラー保持部材100の複数の挿入凸部131によって規制されている。同じく装着状態では、ローラー支持部材50に対するローラー保持部材100の上下方向D1での移動は、ローラー保持部材100の複数の係合凹部140に挿入されたローラー支持部材50の複数の爪部82によって規制されている。つまり、物品移動装置10Aは、ローラー支持部材50に対するローラー保持部材100の移動を規制する移動規制部200として、複数の挿入凸部81、131、挿入凹部85、135、及び爪部82と係合凹部140を含む。
【0040】
[物品移動レーン]
図4に示すように、本発明に係る第1実施形態の物品移動レーン500は、1つ以上の第1実施形態の物品移動装置10Aと、側板502、502と、を備える。物品移動レーン500では、物品PPを移動させる全長及び幅寸法に合わせて所定の行列数のローラー部材20が組み合わされている。物品移動レーン500の後部は、前部よりも高い位置に配置されている。側板502、502は、物品PPが物品移動装置10Aから逸脱しないようにするために、物品移動装置10Aの幅方向D2の両側に設けられ、物品移動装置10Aよりも上方に延びている。物品移動レーン500では、後部(即ち、上流側)の物品移動装置10Aのローラー部材20のローラー本体22の周面24上に物品PPの載せると、物品PPが複数のローラー本体22の周面24上をすべりながら、前後方向D1に沿って前方へと自然に移動する。
【0041】
[作用効果]
以上説明した第1実施家形態の物品移動装置10Aは、ローラー部材20と、ローラー支持部材50と、ローラー保持部材100と、を備える。ローラー部材20は、ローラー本体22とローラー本体22の軸線方向J22に沿う軸部32と、を有する。ローラー支持部材50には、ローラー部材20を軸線方向J22が前後方向D1に直交(交差)するように、且つ軸線方向J22を中心とする周方向にローラー本体22を回動自在に配置可能なローラー配置部77が形成されている。ローラー保持部材100は、ローラー支持部材50に対して着脱可能に形成されている。ローラー保持部材100には、ローラー支持部材50に装着した装着状態においてローラー部材20のローラー本体22の上端部30が上方に突出するようにローラー本体が上下方向D3で貫通するローラー貫通孔120が形成されている。装着状態において、ローラー支持部材50に対するローラー保持部材の移動を規制する移動規制部200は、前後方向D1に沿って設けられ、物品移動装置10Aの幅方向の両側の側壁部に設けられている。
【0042】
物品移動装置10Aでは、移動規制部200によって装着状態におけるローラー支持部材50に対するローラー保持部材100の前後方向D1、幅方向D2及び上下方向D3の移動が規制される。移動規制部200は、前後方向D1に沿って形成されているので、物品の移動方向に交差しない。物品移動装置10Aによれば、従来の装置のように、前後方向D1である程度の寸法を有する移動規制部を物品の移動領域を横断するように設けずに済み、物品がローラー部材20のローラー本体22の周面24に接しない非接触部分を減らし、物品を前後方向D1に沿って円滑に移動させることができる。また、移動規制部200が前後方向D1に沿って形成されていることによって物品移動装置10Aの前後方向の強度が高まり、前後方向D1のたわみを抑えることができる。例えばローラー支持部材50及びローラー保持部材100の形状を調節し、これらの部材をPOM等のように適度な弾性強度を有する材質で形成すれば、前後方向D1のたわみによる材質の劣化や内部破壊等を極力抑え、たわみに対してより柔軟に対応できる。
【0043】
物品移動装置10Aにおいて、ローラー支持部材50は、底壁部52と、側壁部(第1側壁部)54と、備える。側壁部54は、底壁部52の前後方向D1に沿う側端53に設けられている。ローラー保持部材100は、上壁部112と、側壁部(第2側壁部)114と、を備える。側壁部114は、上壁部112の前後方向D1に沿う側端113に設けられるとともに、装着状態において上下方向D3で側壁部54と向き合う。ローラー支持部材50の側壁部54には、挿入凸部(第1挿入凸部)81と、挿入凹部(第1挿入凹部)85とが前後方向D1で交互に形成されている。挿入凸部81は、側壁部54から上方に突出している。挿入凹部85は、挿入凸部81の側面83よりも幅方向D2で物品移動装置10Aの中央側に凹んでいる。ローラー保持部材100の側壁部114には、挿入凸部(第2挿入凸部)131と、挿入凹部(第2挿入凹部)135とが前後方向D1で交互に形成されている。挿入凸部131は、側壁部114よりも下方に突出するとともに、挿入凹部85に挿入可能に形成されている。挿入凹部135は、側壁部114の側面133よりも幅方向D2で物品移動装置10Aの中央側に凹み、挿入凸部81を挿入可能に形成されている。移動規制部200は、複数の挿入凸部81、131、挿入凹部85、135で構成されている。
【0044】
物品移動装置10Aでは、挿入凸部81の挿入凹部135への挿入、及び挿入凸部131の挿入凹部85への挿入によって、ローラー保持部材100がローラー支持部材50に装着される。装着状態では、例えば図5に示すように、物品移動装置10Aが上側に凸状に前後方向D1でたわんだ場合、挿入凸部81の下端部(上下方向の先端部又は基端部の何れか一方の端部、例えば、基端部)と前述の挿入凸部81に前後方向D2の両側で隣り合う挿入凸部131の下端部(内壁部の上下方向の基端部又は先端部のうちの前記一方の端部とは異なる端部、例えば、先端部)とが近付き、互いに密着し物品移動装置10Aの過度のたわみを抑えられる。このとき、挿入凸部81の上端部(上下方向の先端部又は基端部の何れか他方の端部、例えば、先端部)と前述の挿入凸部81に前後方向D2の両側で隣り合う側壁部114の上端部(内壁部の上下方向の基端部又は先端部のうちの他方の端部とは異なる端部、例えば、基端部)とは互い離れ、わずかな隙間SSが生じる。例えば図6に示すように、物品移動装置10Aが下側に凸状に前後方向D1でたわんだ場合、挿入凸部81の上端部と前述の挿入凸部81の前後方向D2の両側で隣り合う側壁部114の上端部とが近付き、互いに密着し、物品移動装置10Aの過度のたわみを抑えられる。このとき、挿入凸部81の下端部と前述の挿入凸部81に前後方向D2の両側で隣り合う挿入凸部131の下端部とは互い離れ、わずかな隙間SSが生じる。前述のように移動規制部200において前後方向D1のたわみに対し、密着部分と隙間SSとが生じる。側壁部54、114が1種類の材質や部材のみで形成されている場合、前述の密着部分や隙間SSが生じる箇所に該当する部分で材質や部材の内部に応力や歪みがかかり、その回数が重なると材質や部材の内部破壊を招く虞がある。側壁部54、114が1種類の材質や部材のみで形成されている装置に比べて、物品移動装置10Aによれば、密着部分で前後方向D1での過度のたわみを抑えるとともに、ローラー支持部材50及びローラー保持部材100の材質に加わる応力集中の発生を隙間SSで分散させ、たわみに対して柔軟に対応できる。
【0045】
上述説明したように、挿入凸部81の側面83及び挿入凸部131の側面133が平面視で幅方向D2の外方に向かって凸となる湾曲面で形成されていると、移動規制部200において前後方向D1のたわみに対し、密着部分での応力集中が効果的に抑えられる。
【0046】
物品移動装置10Aにおいて、挿入凸部81の先端には、幅方向D2の中央側に突出する爪部82が設けられている。挿入凹部135には、爪部82が係合可能な係合凹部140が形成されている。移動規制部200は、爪部82及び係合凹部140を含む。
【0047】
物品移動装置10Aでは、装着状態において爪部82が係合凹部140に係合しているので、図5及び図6に示すように前後方向D1においてたわむ方向に外力や負荷がかかった場合、爪部82と係合凹部140とが密着部分になり、たわみを戻す方向の反力を生じさせ、爪部82及び係合凹部140が形成されていない場合よりも前後方向D1でのたわみを抑えることができる。また、爪部82及び係合凹部140が形成された物品移動装置10Aによれば、ローラー保持部材100がローラー支持部材50から脱落することを防止できる。
【0048】
物品移動装置10Aにおいて、移動規制部200は、ローラー支持部材50の側壁部54及びローラー保持部材100の側壁部114の前後方向D1全体にわたって設けられている。
【0049】
物品移動装置10Aによれば、前後方向D1全体にわたって側壁部54、144の強度を高めることができる。また、物品移動装置10Aによれば、前後方向D1のたわみに対して側壁部54、144の全体に応力を分散させ、柔軟に対応できる。また、物品移動装置10Aによれば、前後方向D1のどこで切断してもローラー支持部材50に対するローラー保持部材100の移動を規制できる。
【0050】
物品移動装置10Aでは、ローラー支持部材50の前後方向D1の寸法SL50及びローラー保持部材100の前後方向D1の寸法SL100は、ローラー支持部材50の幅方向D2の寸法SP50及びローラー保持部材100の幅方向D2の寸法SP100よりも大きい。物品移動装置10Aによれば、設置対象の物品移動レーン500の大きさが前後方向D1で異なる場合であっても、適当な寸法に切断して使用できるため、汎用性が高まり、コスト削減を図ることができる。
【0051】
物品移動装置10Aでは、ローラー保持部材100は、上壁部112の幅方向D2に沿う前端151に設けられた前壁部(第2前壁部)152、及び上壁部112の幅方向D2に沿う後端153に設けられた後壁部(第2後壁部)154を備える。ローラー支持部材50の側壁部54の幅方向D2の寸法SP54及びローラー保持部材100の側壁部114の幅方向D2の寸法SP114は、ローラー保持部材100の前壁部152前後方向D1の寸法SL152よりも大きく、ローラー保持部材100の後壁部154の前後方向D1の寸法SL154よりも大きい。
【0052】
物品移動装置10Aによれば、幅方向D2でローラー本体22が露出しない領域よりも、前後方向D1でローラー本体22が露出しない領域を小さくすることができ、前後方向D1での物品のすべりへの影響を抑え、物品を複数のローラー本体22の周面24上で円滑に移動させることができる。
【0053】
第1実施家形態の物品移動レーン500は、1つ以上の物品移動装置10Aを備え、物品移動装置10Aで上述説明した内容と同様の作用効果を奏する。
【0054】
(第2実施形態)
次いで、本発明に係る第2実施形態の物品移動装置10Bについて説明する。以下では、物品移動装置10Bの構成のうち、第1実施形態の物品移動装置10Aとは異なる内容について説明し、物品移動装置10Aと同じ構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、第2実施形態の物品移動レーンは、第1実施形態の物品移動レーン500の物品移動装置10Aを以下に説明する物品移動装置10Bに替えたものである。
【0055】
図7に示すように、物品移動装置10Bでは、幅方向D2で隔壁部62よりも左側に区画された第1列の複数のローラー部材20の前後方向D1の中心は、隔壁部62よりも右側に区画された第2列の前後方向D1で隣り合うローラー部材20の略中間に位置している。即ち、物品移動装置10Bでは、第1列の複数のローラー部材20と第2列の複数のローラー部材20とが前後方向D1で互い違いに配置され、所謂千鳥配列で配置されている。
【0056】
物品移動装置10Bでは、ローラー支持部材50及びローラー保持部材100の各々の第1列の前端部と第2列の前端部の前後方向D1の位置を揃えるために、第1列の前端部でローラー部材20が露出しない部分の寸法は、前後方向D1で、同じく第1列でローラー部材20が露出している部分同士の間隔よりも大きい。同様に、第2列の後端部でローラー部材20が露出しない部分の寸法は、前後方向D1で、第2列でローラー部材20が露出している部分同士の間隔よりも大きい。但し、第1列及び第2列でローラー部材20が露出しない部分は、第2列及び第1列でローラー部材20が露出している部分と幅方向D2で隣り合うので、物品の前後方向D1での移動は妨げられない。
【0057】
第2実施家形態の物品移動装置10B及び物品移動レーンは、第1実施形態の物品移動装置10A及び物品移動レーン500で上述説明した内容と同様の作用効果を奏する。
【0058】
(第3実施形態)
次いで、本発明に係る第3実施形態の物品移動装置10Cについて説明する。以下では、物品移動装置10Cの構成のうち、第1実施形態の物品移動装置10Aとは異なる内容について説明し、物品移動装置10Aと同じ構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、第3実施形態の物品移動レーンは、第1実施形態の物品移動レーン500の物品移動装置10Aを以下に説明する物品移動装置10Cに替えたものである。
【0059】
図8に示すように、物品移動装置10Cでは、複数のローラー部材20は、幅方向D2で1列に配置されている。物品移動装置10Cでは、第1実施形態で説明した隔壁部62が設けられないので、ローラー部材20の軸部32、32(図8では、ローラー支持部材50及びローラー保持部材100の間に隠れている)は、物品移動装置10Cの幅方向D2の両側に位置し、ローラー支持部材50の幅方向D2の両側の側壁部54、54の上面57、57に上方から接している。
【0060】
第3実施家形態の物品移動装置10C及び物品移動レーンは、第1実施形態の物品移動装置10A及び物品移動レーン500で上述説明した内容と同様の作用効果を奏する。
【0061】
以上、本発明に係る実施形態の物品移動装置及び物品移動レーンについて説明したが、本発明に係る実施形態の物品移動装置及び物品移動レーンは、上記例示した実施形態に限定されな。本発明に係る実施形態の物品移動装置及び物品移動レーンの構成は、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において変更可能である。
【0062】
例えば、複数の挿入凸部(第1挿入凸部)81と、複数の挿入凹部(第1挿入凹部)85とがローラー支持部材50の隔壁部62の上面67に前後方向D1で交互に形成されてもよい。その場合、装着状態のローラー保持部材100において隔壁部62の上面67に上下方向D3で向き合う面に、複数の挿入凸部(第2挿入凸部)131と、複数の挿入凹部(第2挿入凹部)135とが前後方向D1で交互に形成されている。
【0063】
例えば、複数の挿入凸部(第1挿入凸部)81及び挿入凸部(第2挿入凸部)131の何れか一方のみが設けられ、その一方を挿入可能な複数の挿入凹部(第1挿入凹部)85及び複数の挿入凹部(第2挿入凹部)135の何れかが形成されてもよい。
【0064】
例えば、本発明に係る物品移動装置では、ローラー支持部材50の底壁部52の幅方向D2に沿う前端に、上方に突出する前壁部(第1前壁部)が設けられ、底壁部52の幅方向D2に沿う後端に、上方に突出する後壁部(第1後壁部)が設けられ、ローラー保持部材100には前壁部152及び後壁部154が設けられてなくてもよい。また、上述の実施形態で説明したようにローラー保持部材100には前壁部152及び後壁部154が設けられたうえで、ローラー支持部材50に前壁部及び後壁部が設けられてもよい。ローラー支持部材50の前壁部とローラー保持部材100の前壁部152とが互いに接する、或いは互いに嵌合可能であってもよく、ローラー支持部材50の後壁部とローラー保持部材100の後壁部154とが互いに接する、或いは互いに嵌合可能であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10A、10B、10C…物品移動装置
20…ローラー部材
22…ローラー本体
50…ローラー支持部材
52…底壁部
54…側壁部(第1側壁部)
81…挿入凸部(第1挿入凸部)
82…爪部
85…挿入凹部(第1挿入凹部)
100…ローラー保持部材
112…上壁部
114…側壁部(第2側壁部)
131…挿入凸部(第2挿入凸部)
135…挿入凹部(第2挿入凹部)
140…係合凹部
200…移動規制部
500…物品移動レーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8