(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 31/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H02P31/00
(21)【出願番号】P 2020073871
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182313(JP,A)
【文献】特開2008-264178(JP,A)
【文献】特開平09-136580(JP,A)
【文献】特開2004-351978(JP,A)
【文献】特開2001-118154(JP,A)
【文献】特開2020-058123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00-15/02
19/00-31/00
H02H1/00-3/253
3/32-3/52
99/00
H02P4/00
25/08-25/098
29/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタを通じて結合された第1プリント基板と第2プリント基板とを有するモータ駆動装置であって、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、電力を保持する電力保持部と、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記コネクタを介して前記電力保持部から前記電力を受け、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたことを判定するための判定用データが書き込まれている揮発性メモリと、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記判定用データが消失している場合に、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定する判定部と、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定された場合に、モータに対する駆動電流の出力を停止する出力停止部
と、
を備える、モータ駆動装置。
【請求項2】
コネクタを通じて結合された第1プリント基板と第2プリント基板とを有するモータ駆動装置であって、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、電力を保持する電力保持部と、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記コネクタを介して前記電力保持部から前記電力を受け、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたことを判定するための判定用データが書き込まれている揮発性メモリと、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記判定用データが消失している場合に、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定する判定部と、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定された場合に、警告する警告部と、
を備え、
前記警告部は、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定される前に、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合の解除を許可する許可信号を受けた場合には、警告しない、モータ駆動装置。
【請求項3】
コネクタを通じて結合された第1プリント基板と第2プリント基板とを有するモータ駆動装置であって、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、電力を保持する電力保持部と、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記コネクタを介して前記電力保持部から前記電力を受け、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたことを判定するための判定用データが書き込まれている揮発性メモリと、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記判定用データが消失している場合に、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定する判定部と、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定された場合に、警告する警告部と、
を備え、
前記警告部は、警告後に、暗証情報を受けた場合には、警告を停止する、モータ駆動装置。
【請求項4】
請求項2
または3に記載のモータ駆動装置であって、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定された場合に、モータに対する駆動電流の出力を停止する出力停止部を備える、モータ駆動装置。
【請求項5】
請求項
1または4に記載のモータ駆動装置であって、
前記出力停止部は、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定される前に、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合の解除を許可する許可信号を受けた場合には、前記駆動電流の出力を停止しない、モータ駆動装置。
【請求項6】
請求項
1または
4に記載のモータ駆動装置であって、
前記出力停止部は、前記駆動電流の出力の停止後に、暗証情報を受けた場合には、前記駆動電流の出力の停止を解除する、モータ駆動装置。
【請求項7】
請求項
1~
6のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記モータ駆動装置を制御する上位制御装置と通信する通信部を備え、
前記通信部は、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたと判定された場合に、その旨を前記上位制御装置に通知する、モータ駆動装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、
前記電力保持部は、前記第1プリント基板および前記第2プリント基板の一方に配置され、前記揮発性メモリは、前記第1プリント基板および前記第2プリント基板の他方に配置される、モータ駆動装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、
前記第1プリント基板は、第1コネクタを通じて中継プリント基板と結合され、前記第2プリント基板は、第2コネクタを通じて前記中継プリント基板と結合され、
前記揮発性メモリは、前記電力保持部から前記第1コネクタおよび前記第2コネクタを介して供給される前記電力を受ける、モータ駆動装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、
前記電力保持部は、前記モータ駆動装置が作動していても停止していても前記電力を前記揮発性メモリに供給する、モータ駆動装置。
【請求項11】
請求項1~1
0のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、
前記電力保持部は、電池である、モータ駆動装置。
【請求項12】
請求項1~1
1のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、
外部電源から供給される外部電力に基づいて、前記電力保持部を充電する充電部を備える、モータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを駆動するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ駆動装置の回路が1枚のプリント基板に搭載されると、プリント基板の面積が大型化する傾向にある。このため、モータ駆動装置の回路が複数のプリント基板に分割される場合がある。
【0003】
下記の特許文献1には、制御回路が実装されたプリント基板(制御基板)と、パワー回路が実装されたプリント基板(パワー基板)とを有するモータ駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モータ駆動装置には、パワー基板に実装されたパワー回路のパワー素子等の電子部品や、パワー素子を冷却するヒートシンク等の様々な部品がある。これらの部品は劣化や疲労するものであるため、当該部品を交換する場合がある。この場合、意図しない者により部品が交換されると、修理品がすぐ壊れてしまう品質上の問題、あるいは、製造メーカの修理ビジネス上の損失等が生じることが懸念される。
【0006】
しかし、意図しない者により部品が交換されたか否かを判断することは困難である。一方で、部品を交換する場合には、コネクタを通じて結合されたプリント基板同士の結合を解除することが必要である。したがって、本発明者は、プリント基板同士の結合が解除されていることを判定可能であれば、意図しない者によりモータ駆動装置が分解された形跡を捉えることができると考えた。
【0007】
そこで、本発明は、モータ駆動装置が分解された形跡を捉え得るモータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、
コネクタを通じて結合された第1プリント基板と第2プリント基板とを有するモータ駆動装置であって、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、電力を保持する電力保持部と、
前記第1プリント基板または前記第2プリント基板に配置され、前記コネクタを介して前記電力保持部から前記電力を受け、前記第1プリント基板と前記第2プリント基板との結合が解除されたことを判定するための判定用データが書き込まれている揮発性メモリと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、判定用データの有無を調べることで、モータ駆動装置が分解された形跡を捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態のモータ駆動装置の構成を示す概略図である。
【
図2】変形例1のモータ駆動装置の構成を示す概略図である。
【
図3】変形例2のモータ駆動装置の構成を示す概略図である。
【
図4】変形例3のモータ駆動装置の構成を示す概略図である。
【
図5】変形例4のモータ駆動装置の構成を示す概略図である。
【
図6】変形例5のモータ駆動装置の構成を示す概略図である。
【
図7】変形例6のモータ駆動装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について、好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0012】
図1は、実施形態のモータ駆動装置10の構成を示す概略図である。モータ駆動装置10は、外部電源から供給される電力である外部電力に基づいて、モータを駆動するものである。モータ駆動装置10は、外部電源から外部電力が供給されているときに作動し、当該外部電力が供給されていないときには停止する。モータ駆動装置10は、第1プリント基板12、第2プリント基板14およびコネクタ16を有する。
【0013】
第1プリント基板12は、電子回路等を実装した第1のプリント回路板である。電子回路として、例えば、パワー素子やトランス等を有するパワー回路がある。
【0014】
第2プリント基板14は、電子回路等を実装した第2のプリント回路板である。電子回路として、例えば、IC(Integrated Circuit)等を有する制御回路がある。
【0015】
コネクタ16は、第1プリント基板12と第2プリント基板14とを電気的に結合するものである。コネクタ16は、第1プリント基板12に実装される第1コネクタ部16Aと、第2プリント基板14に実装される第2コネクタ部16Bとを有する。第1コネクタ部16Aと第2コネクタ部16Bとが接続されることで、第1プリント基板12と第2プリント基板14とが電気的に結合される。
【0016】
第1プリント基板12には電力保持部20が配置され、第2プリント基板14には揮発性メモリ22および判定部24が配置される。
【0017】
電力保持部20は、電力を保持するものである。電力保持部20は、第1プリント基板12に実装されている。電力保持部20は、コンデンサであってもよく、1次電池であってもよく、2次電池であってもよい。電力保持部20は、当該電力保持部20に保持された電力を、コネクタ16を介して揮発性メモリ22に供給する。なお、電力保持部20は、モータ駆動装置10が作動していても停止していても、揮発性メモリ22に電力を供給する。
【0018】
揮発性メモリ22は、電力が供給されないと記憶しているデータを保持できない性質のメモリである。揮発性メモリ22は、第2プリント基板14に実装されている。揮発性メモリ22は、ROM(Read Only Memory)であってもよく、RAM(Random access memory)であってもよい。揮発性メモリ22は、電力保持部20からコネクタ16を介して電力を受ける。
【0019】
揮発性メモリ22には、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたことを判定するための判定用データが記憶される。判定用データは、揮発性メモリ22の初期値とは異なるデータであり、例えば、モータ駆動装置10の出荷試験時、あるいは、メンテナンス時等に揮発性メモリ22に記憶される。
【0020】
揮発性メモリ22は、上記のように、電力保持部20からコネクタ16を介して電力を受けている。このため、コネクタ16を通じて結合される第1プリント基板12と第2プリント基板14とが分離された場合、揮発性メモリ22に対する電力保持部20からの電力が遮断される。この場合、揮発性メモリ22のデータはリセットされて初期値に戻るため、判定用データは消失している。つまり、揮発性メモリ22が初期値に戻っていることと、揮発性メモリ22に記憶された判定用データが消失していることとは同義となる。したがって、判定用データの有無を調べることで、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたことの判定が可能である。
【0021】
判定部24は、判定用データを用いて第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたか否かを判定するものである。判定部24は、揮発性メモリ22が配置されたプリント基板(第2プリント基板14)に配置される。判定部24は、判定用データが消失していない場合には、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されていないと判定する。一方、判定部24は、判定用データが消失している場合には、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定する。これにより、揮発性メモリ22に対する判定用データの有無を調べる外部機器をモータ駆動装置10に接続しなくても、当該モータ駆動装置10が分解された形跡を捉えることができる。なお、判定部24は、モータ駆動装置10の起動時等の所定時期に一時的に判定してもよく、モータ駆動装置10の起動時から常時的に判定し続けてもよい。
【0022】
〔変形例〕
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。
【0023】
(変形例1)
図2は、変形例1のモータ駆動装置10の構成を示す概略図である。
図2では、上記の構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の説明と重複する説明は省略する。
【0024】
本変形例では、警告部26が新たに備えられる。警告部26は、判定部24の判定結果に応じて警告するものである。警告部26は、第2プリント基板14に実装されている。なお、警告部26は、第1プリント基板12に実装されてもよい。
【0025】
警告部26は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定された場合に、警告する。モータ駆動装置10が表示部を有している場合、警告部26は、警告メッセージを表示することで警告してもよい。モータ駆動装置10がスピーカを有している場合、警告部26は、警告メッセージを出力することで警告してもよい。モータ駆動装置10が発光部を有している場合、警告部26は、発光部を点滅させることで警告してもよい。また、表示部、スピーカおよび発光部の少なくとも1つを備えた外部機器がモータ駆動装置10に接続される場合、警告部26は、外部機器に作動信号を送信することで警告してもよい。
【0026】
警告部26は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定された場合に警告することで、モータ駆動装置10が分解されたことに起因する異常が生じる可能性を告げ知らせることができる。
【0027】
(変形例2)
図3は、変形例2のモータ駆動装置10の構成を示す概略図である。
図3では、上記の構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の説明と重複する説明は省略する。
【0028】
本変形例では、出力停止部28が新たに備えられる。出力停止部28は、判定部24の判定結果に応じて、モータに対する駆動電流の出力を停止するものである。出力停止部28は、第2プリント基板14に実装されている。なお、出力停止部28は、第1プリント基板12に実装されてもよい。
【0029】
出力停止部28は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定された場合、モータ駆動装置10が作動していても、モータに対して駆動電流の出力を停止する。これにより、モータ駆動装置10が分解されたことに起因してモータの駆動が異常になることを未然に防止することができる。
【0030】
なお、駆動電流は、パワー素子やトランス等を有するパワー回路で生成される。パワー回路は、第1プリント基板12または第2プリント基板14に実装されており、モータ駆動装置10が作動しているときに外部電源から供給される外部電力に基づいて駆動電流を生成する。
【0031】
(変形例3)
図4は、変形例3のモータ駆動装置10の構成を示す概略図である。
図4では、上記の構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の説明と重複する説明は省略する。
【0032】
本変形例では、通信部30が新たに備えられる。通信部30は、判定部24の判定結果に応じて、モータ駆動装置10を制御する上位制御装置32と通信するものである。通信部30は、第2プリント基板14に実装されている。なお、通信部30は、第1プリント基板12に実装されてもよい。
【0033】
通信部30は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定された場合に上位制御装置32と通信し、当該判定されたことを上位制御装置32に通知する。これにより、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除された場合に対応する処理等を実行する契機を、上位制御装置32に与えることができる。
【0034】
なお、上位制御装置32は、モータ駆動装置10を制御するものであってもよく、当該モータ駆動装置10と、モータ駆動装置10以外の他の1台以上のモータ駆動装置とを制御するものであってもよい。上位制御装置32の具体例として、例えば、CNC(Computerized Numerical Control)装置がある。
【0035】
(変形例4)
図5は、変形例4のモータ駆動装置10の構成を示す概略図である。
図5では、上記の構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の説明と重複する説明は省略する。
【0036】
本変形例では、充電部34が新たに備えられる。充電部34は、電力保持部20を充電するものである。充電部34は、電力保持部20と同じ第1プリント基板12に実装されている。なお、充電部34は、電力保持部20と異なる第2プリント基板14に実装されてもよい。なお、充電部34が実装される場合、1次電池等の充電不能な電力保持部20は省かれる。
【0037】
充電部34は、外部電源から供給される外部電力に基づいて、電力保持部20を充電する。これにより、電力保持部20から電力がなくなることを抑制することができる。したがって、電力保持部20から電力が供給されなくなることで判定用データが揮発性メモリ22から消失することを抑制することができる。この結果、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたか否かを適切に判定することができる。
【0038】
なお、電力保持部20は、外部電源から揮発性メモリ22に外部電力が供給されていないときに限り、揮発性メモリ22に電力を供給してもよい。これにより、電力保持部20から電力がなくなることを抑制することができる。外部電力が供給されていないときに限り電力保持部20の電力を揮発性メモリ22に供給する場合、モータ駆動装置10では、外部電力から内部電力を生成する電力生成部と、揮発性メモリ22とが接続される。この場合、モータ駆動装置10が作動しているときには、電力生成部から出力される内部電力が揮発性メモリ22に供給される。なお、電力生成部と、揮発性メモリ22とは、コネクタ16を介して接続してもよく、当該コネクタ16を介さずに接続してもよい。
【0039】
(変形例5)
図6は、変形例5のモータ駆動装置10の構成を示す概略図である。
図6では、上記の構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の説明と重複する説明は省略する。
【0040】
本変形例では、警告部26および外部インターフェースコネクタ36が新たに備えられる。外部インターフェースコネクタ36は、警告部26に対して出力装置38を接続するためのものである。外部インターフェースコネクタ36は、警告部26と同じ第2プリント基板14に実装されている。なお、外部インターフェースコネクタ36は、警告部26とは異なる第1プリント基板12に実装されてもよい。
【0041】
出力装置38は、外部インターフェースコネクタ36を介して警告部26に許可信号S1または暗証情報S2を出力可能なものである。許可信号S1は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合の解除を許可する信号である。暗証情報S2は、第三者が知り得ない秘密の情報であり、予め警告部26に登録される。
【0042】
出力装置38は、上位制御装置32であってもよく、上位制御装置32以外の外部機器であってもよい。外部機器として、外部インターフェースコネクタ36に接続されたことを契機として許可信号S1または暗証情報S2を出力可能な可搬型機器が採用されてもよい。可搬型機器が外部機器として採用された場合、外部インターフェースコネクタ36に可搬型機器を接続する簡易な操作で、警告部26に許可信号S1または暗証情報S2を出力することができ、利便性が向上する。
【0043】
警告部26は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定された場合に警告する。これにより、モータ駆動装置10が分解されたことに起因する異常が生じる可能性を告げ知らせることができる。
【0044】
一方、警告部26は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定される前に許可信号S1を受けた場合には、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定されても、警告しない。これにより、許可信号S1を出力可能な正規者を対象として、モータ駆動装置10を分解させることができるとともに、正規者によるモータ駆動装置10の分解後に警告が生じることを未然に防止することができる。
【0045】
他方、警告部26は、警告後に、暗証情報S2を受けた場合には、警告を停止する。これにより、暗証情報S2を知り得る正規者の点検後等に警告を解除することができ、また、第三者が正規者になりすまして警告を解除することを防止することができる。なお、警告部26は、警告後に、暗証情報S2を受けた場合に、警告を停止するとともに判定用データを揮発性メモリ22に記憶してもよい。
【0046】
本変形例では、警告部26は、上記の出力停止部28に置き換えられてもよい。すなわち、出力停止部28は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定された場合、モータ駆動装置10が作動していても、モータに対して駆動電流の出力を停止する。これにより、モータ駆動装置10が分解されたことに起因してモータの駆動が異常になることを未然に防止することができる。
【0047】
一方、出力停止部28は、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたと判定される前に許可信号S1を受けた場合には、駆動電流の出力を停止しない。これにより、許可信号S1を出力可能な正規者を対象として、モータ駆動装置10を分解させることができるとともに、正規者によるモータ駆動装置10の分解後にモータが駆動しなくなることを未然に防止することができる。
【0048】
他方、出力停止部28は、駆動電流の出力の停止後に、暗証情報S2を受けた場合には、当該駆動電流の出力の停止を解除する。これにより、暗証情報S2を知り得る正規者の点検後等に駆動電流の出力の停止を解除することができ、また、第三者が正規者になりすまして駆動電流の出力の停止を解除することを防止することができる。なお、出力停止部28は、駆動電流の出力の停止後に、暗証情報S2を受けた場合に、当該駆動電流の出力の停止を解除するとともに判定用データを揮発性メモリ22に記憶してもよい。
【0049】
(変形例6)
図7は、変形例6のモータ駆動装置10の構成を示す概略図である。
図7では、上記の構成と同等の構成に対して同一の符号が付されている。なお、本変形例では、上記の説明と重複する説明は省略する。
【0050】
本変形例では、中継プリント基板40が新たに備えられる。中継プリント基板40は、第1プリント基板12と第2プリント基板14とを中継するプリント回路板である。第1プリント基板12は、第1コネクタ42を通じて中継プリント基板40と結合され、第2プリント基板14は、第2コネクタ44を通じて中継プリント基板40と結合される。
【0051】
第1コネクタ42および第2コネクタ44は、実施形態と同様に、第1コネクタ部16Aおよび第2コネクタ部16Bを有する。第1コネクタ42の第1コネクタ部16Aと第2コネクタ部16Bとが接続されることで、第1プリント基板12と中継プリント基板40とが電気的に結合される。また、第2コネクタ44の第1コネクタ部16Aと第2コネクタ部16Bとが接続されることで、中継プリント基板40と第2プリント基板14とが電気的に結合される。中継プリント基板40があることで、第1プリント基板12の面と、第2プリント基板14の面とが交差状態または平行状態になるように、第1プリント基板12と第2プリント基板14とを柔軟に配置することができる。
【0052】
本変形例では、揮発性メモリ22は、電力保持部20から第1コネクタ42および第2コネクタ44を介して供給される電力を受ける。このため、第1コネクタ42または第2コネクタ44を通じて中継プリント基板40と結合される第1プリント基板12および第2プリント基板14の少なくとも一方が分離された場合、揮発性メモリ22に対する電力が遮断される。この場合、揮発性メモリ22のデータはリセットされて初期値に戻るため、揮発性メモリ22に記憶された判定用データは消失している。したがって、本変形例の場合であっても、実施形態と同様に、判定用データの有無を調べることで、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたことの判定が可能である。
【0053】
(変形例7)
電力保持部20は第2プリント基板14に実装されていてもよく、揮発性メモリ22は第1プリント基板12に実装されていてもよく、判定部24は第1プリント基板12に実装されていてもよい。電力保持部20と揮発性メモリ22とが同じプリント基板(第1プリント基板12または第2プリント基板14)に実装されてもよい。
【0054】
なお、電力保持部20と揮発性メモリ22とが同じプリント基板に実装される場合であっても、揮発性メモリ22に対する電力保持部20からの電力はコネクタ16を経由することを要する。揮発性メモリ22に対する電力保持部20からの電力がコネクタ16を経由していれば、第1プリント基板12と第2プリント基板14とが分離された場合に、揮発性メモリ22に対する電力が遮断され、判定用データが消失する。
【0055】
したがって、電力保持部20と揮発性メモリ22とが同じプリント基板に実装されていても、判定用データの有無を調べることで、第1プリント基板12と第2プリント基板14との結合が解除されたことの判定が可能である。
【0056】
なお、変形例6の場合、揮発性メモリ22に対する電力保持部20からの電力が第1コネクタ42および第2コネクタ44を経由していれば、電力保持部20と揮発性メモリ22とが同じプリント基板に実装されてもよい。
【0057】
(変形例8)
実施形態の判定部24は省かれてもよい。判定部24が省かれた場合であっても、揮発性メモリ22に対する判定用データの有無を調べる外部機器をモータ駆動装置10に接続することで、モータ駆動装置10が分解された形跡を捉えることができる。
【0058】
(変形例9)
上記の実施形態および変形例1~8は、矛盾の生じない範囲で任意に組み合わされてもよい。
【0059】
〔発明〕
上記の実施形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0060】
本発明は、コネクタ(16)を通じて結合された第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)とを有するモータ駆動装置(10)である。モータ駆動装置(10)は、第1プリント基板(12)または第2プリント基板(14)に配置され、電力を保持する電力保持部(20)と、第1プリント基板(12)または第2プリント基板(14)に配置され、コネクタ(16)を介して電力保持部(20)から電力を受け、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたことを判定するための判定用データが書き込まれている揮発性メモリ(22)と、を備える。
【0061】
コネクタ(16)を通じて結合される第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)とが分離された場合、揮発性メモリ(22)に対する電力保持部(20)からの電力が遮断される。この場合、揮発性メモリ(22)の判定用データは消失している。したがって、判定用データの有無を調べることで、モータ駆動装置(10)が分解された形跡を捉えることができる。
【0062】
モータ駆動装置(10)は、第1プリント基板(12)または第2プリント基板(14)に配置され、判定用データが消失している場合に、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたと判定する判定部(24)を備えてもよい。これにより、揮発性メモリ(22)に対する判定用データの有無を調べる外部機器をモータ駆動装置(10)に接続しなくても、当該モータ駆動装置(10)が分解された形跡を捉えることができる。
【0063】
モータ駆動装置(10)は、第1プリント基板(12)または第2プリント基板(14)に配置され、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたと判定された場合に、警告する警告部(26)を備えてもよい。これにより、モータ駆動装置(10)が分解されたことに起因する異常が生じる可能性を告げ知らせることができる。
【0064】
警告部(26)は、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたと判定される前に、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合の解除を許可する許可信号(S1)を受けた場合には、警告しない。これにより、許可信号(S1)を出力可能な正規者を対象として、モータ駆動装置(10)を分解させることができるとともに、正規者によるモータ駆動装置(10)の分解後に警告が生じることを未然に防止することができる。
【0065】
警告部(26)は、警告後に、暗証情報(S2)を受けた場合には、警告を停止してもよい。これにより、暗証情報(S2)を知り得る正規者の点検後等に警告を解除することができ、また、第三者が正規者になりすまして警告を解除することを防止することができる。
【0066】
モータ駆動装置(10)は、第1プリント基板(12)または第2プリント基板(14)に配置され、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたと判定された場合に、モータに対する駆動電流の出力を停止する出力停止部(28)を備えてもよい。これにより、モータ駆動装置(10)が分解されたことに起因してモータの駆動が異常になることを未然に防止することができる。
【0067】
出力停止部(28)は、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたと判定される前に、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合の解除を許可する許可信号(S1)を受けた場合には、駆動電流の出力を停止しなくてもよい。これにより、許可信号(S1)を出力可能な正規者を対象として、モータ駆動装置(10)を分解させることができるとともに、正規者によるモータ駆動装置(10)の分解後にモータが駆動しなくなることを未然に防止することができる。
【0068】
出力停止部(28)は、駆動電流の出力の停止後に、暗証情報(S2)を受けた場合には、駆動電流の出力の停止を解除してもよい。これにより、暗証情報(S2)を知り得る正規者の点検後等に駆動電流の出力の停止を解除することができ、また、第三者が正規者になりすまして駆動電流の出力の停止を解除することを防止することができる。
【0069】
モータ駆動装置(10)は、第1プリント基板(12)または第2プリント基板(14)に配置され、モータ駆動装置(10)を制御する上位制御装置(32)と通信する通信部(30)を備え、通信部(30)は、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたと判定された場合に、その旨を上位制御装置(32)に通知してもよい。これにより、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除された場合に対応する処理等を実行する契機を、上位制御装置(32)に与えることができる。
【0070】
電力保持部(20)は、第1プリント基板(12)および第2プリント基板(14)の一方に配置され、揮発性メモリ(22)は、第1プリント基板(12)および第2プリント基板(14)の他方に配置されてもよい。これにより、電力保持部(20)が配置されるプリント基板側にパワー回路を実装し、揮発性メモリ(22)が配置されるプリント基板側に制御回路を実装することができる。
【0071】
第1プリント基板(12)は、第1コネクタ(42)を通じて中継プリント基板(40)と結合され、第2プリント基板(14)は、第2コネクタ(44)を通じて中継プリント基板(40)と結合され、揮発性メモリ(22)は、電力保持部(20)から第1コネクタ(42)および第2コネクタ(44)を介して供給される電力を受けてもよい。中継プリント基板(40)があることで、第1プリント基板(12)の面と、第2プリント基板(14)の面とが交差状態または平行状態になるように、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)とを柔軟に配置することができる。
【0072】
電力保持部(20)は、モータ駆動装置(10)が作動していても停止していても電力を揮発性メモリ(22)に供給してもよい。これにより、電力保持部(20)から電力が供給されなくなることで判定用データが揮発性メモリ(22)から消失することを抑制することができる。この結果、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたか否かを適切に判定することができる。
【0073】
電力保持部(20)は、電池であってもよい。これにより、比較的大容量の電力を保持することができる。
【0074】
モータ駆動装置(10)は、外部電源から供給される外部電力に基づいて、電力保持部(20)を充電する充電部(34)を備えてもよい。これにより、電力保持部(20)から電力がなくなることを抑制することができる。したがって、電力保持部(20)から電力が供給されなくなることで判定用データが揮発性メモリ(22)から消失することを抑制することができる。この結果、第1プリント基板(12)と第2プリント基板(14)との結合が解除されたか否かを適切に判定することができる。
【符号の説明】
【0075】
10…モータ駆動装置 12…第1プリント基板
14…第2プリント基板 16…コネクタ
20…電力保持部 22…揮発性メモリ
24…判定部 26…警告部
28…出力停止部 30…通信部
32…上位制御装置 34…充電部
36…外部インターフェースコネクタ 38…出力装置
40…中継プリント基板 42…第1コネクタ
44…第2コネクタ