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特許7444690マルチビーム光源駆動装置および当該マルチビーム光源駆動装置を備える画像形成装置ならびにマルチビーム光源駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】マルチビーム光源駆動装置および当該マルチビーム光源駆動装置を備える画像形成装置ならびにマルチビーム光源駆動方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240228BHJP
   G03G 15/043 20060101ALI20240228BHJP
   H01S 5/068 20060101ALI20240228BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240228BHJP
   H04N 1/19 20060101ALI20240228BHJP
   H04N 1/032 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B41J2/47 101M
G03G15/043
H01S5/068
H04N1/113
H04N1/19
H04N1/032
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020075180
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021171940
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】松本 和剛
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-166739(JP,A)
【文献】特開2019-089205(JP,A)
【文献】特開2013-043432(JP,A)
【文献】特開2013-240996(JP,A)
【文献】特開2009-029115(JP,A)
【文献】特開2012-022158(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0003862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0216752(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G03G 15/043
H01S 5/068
H04N 1/113
H04N 1/19
H04N 1/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を有するマルチビーム光源を駆動するマルチビーム光源駆動装置であって、
前記複数の発光素子に個別に対応する複数のアナログ信号である複数の第1制御信号が入力され、当該複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、対応する当該発光素子の発光パワーを制御する駆動手段と、
前記複数の第1制御信号を個別に生成する複数の第1生成手段と、を備え、
前記複数の第1生成手段の一部は、前記複数の発光素子それぞれの個体差に起因する前記発光パワーのバラツキを補正するための第1補正成分を含む前記第1制御信号を生成する補正並行手段であり、
前記補正並行手段は、前記信号レベルを所定レベルとするための所定値と前記第1補正成分を呈するための第1補正値とをデジタル演算により乗算する第1乗算手段と、当該第1乗算手段による乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する第1パルス生成手段と、当該第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで当該第1補正成分を含む前記第1制御信号を生成する第1フィルタ手段と、を有し、
前記複数の第1生成手段のうちの特定の前記発光素子である特定素子に対応する特定生成手段は、前記所定レベルの前記第1制御信号を生成し、
前記複数の第1生成手段のうちの前記特定生成手段以外のそれぞれの当該第1生成手段は、前記補正並行手段として、前記第1補正成分を含む第1制御信号を生成し、
前記特定生成手段は、前記所定値に応じたパルス密度変調信号である第2パルス信号を生成する第2パルス生成手段と、当該第2パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで前記所定レベルの第1制御信号を生成する第2フィルタ手段と、を有する、マルチビーム光源駆動装置。
【請求項2】
回転軸を中心に回転する概略円筒状の感光体ドラムと、前記複数の発光素子のそれぞれから発せられる光ビームを当該感光体ドラムの表面に照射させるとともに当該感光体ドラムの表面に対する当該光ビームの照射位置を当該回転軸に沿う方向へ移動させる偏向手段と、を備える画像形成装置用であり、
前記駆動手段には、前記複数の第1制御信号に加えて、当該複数の第1制御信号とは別のアナログ信号である第2制御信号が入力され、
前記駆動手段は、前記複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、前記対応する発光素子の発光パワーを制御し、併せて、前記第2制御信号の信号レベルに基づいて、前記複数の発光素子それぞれの発光パワーを制御し、
前記第2制御信号は、前記回転軸に沿う方向における前記感光体ドラムの表面に対する前記光ビームの照射強度を均一化するための第2補正成分を含み、
前記所定レベルは、前記感光体ドラムが回転する方向における当該感光体ドラムの表面に対する前記光ビームの照射位置に応じて変化する、請求項1に記載のマルチビーム光源駆動装置。
【請求項3】
前記第2制御信号を生成する第2生成手段をさらに備え、
前記第2生成手段は、前記第2補正成分を含む前記第2制御信号の信号レベルを設定するための第2補正値に応じたパルス密度変調信号である第3パルス信号を生成する第3パルス生成手段と、当該第3パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで当該第2制御信号を生成する第3フィルタ手段と、を有する、請求項に記載のマルチビーム光源駆動装置。
【請求項4】
複数の発光素子を有するマルチビーム光源を駆動するマルチビーム光源駆動装置であって、
回転軸を中心に回転する概略円筒状の感光体ドラムと、前記複数の発光素子のそれぞれから発せられる光ビームを当該感光体ドラムの表面に照射させるとともに当該感光体ドラムの表面に対する当該光ビームの照射位置を当該回転軸に沿う方向へ移動させる偏向手段と、を備える画像形成装置用であり、
前記複数の発光素子に個別に対応する複数のアナログ信号である複数の第1制御信号が入力され、当該複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、対応する当該発光素子の発光パワーを制御する駆動手段と、
前記複数の第1制御信号を個別に生成する複数の第1生成手段と、を備え、
前記複数の第1生成手段の一部または全部は、前記複数の発光素子それぞれの個体差に起因する前記発光パワーのバラツキを補正するための第1補正成分を含む前記第1制御信号を生成する補正並行手段であり、
前記補正並行手段は、前記信号レベルを所定レベルとするための所定値と前記第1補正成分を呈するための第1補正値とをデジタル演算により乗算する第1乗算手段と、当該第1乗算手段による乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する第1パルス生成手段と、当該第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで当該第1補正成分を含む前記第1制御信号を生成する第1フィルタ手段と、を有し、
前記複数の第1制御信号のそれぞれは、前記回転軸に沿う方向における前記感光体ドラムの表面に対する前記光ビームの照射強度を均一化させるための第2補正成分を含み、
前記所定レベルは、前記感光体ドラムが回転する方向における当該感光体ドラムの表面に対する当該光ビームの照射位置に応じて変化し、
前記第1乗算手段は、前記所定値と前記第1補正値とに加えて、前記第2補正成分を呈するための第2補正値を、デジタル演算により乗算する、マルチビーム光源駆動装置。
【請求項5】
前記複数の第1生成手段のうちの特定の前記発光素子である特定素子に対応する特定生成手段は、前記第1補正成分を含まず、前記第2補正成分を含む、前記第1制御信号を生成し、
前記複数の第1生成手段のうちの前記特定生成手段以外のそれぞれの当該第1生成手段は、前記補正並行手段として、前記第1補正成分および前記第2補正成分を含む前記第1制御信号を生成する、請求項に記載のマルチビーム光源駆動装置。
【請求項6】
前記特定生成手段は、前記所定値と前記第2補正値とをデジタル演算により乗算する第2乗算手段と、当該第2乗算手段による乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第4パルス信号を生成する第4パルス生成手段と、当該第4パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで前記第1制御信号を生成する第4フィルタ手段と、有する、請求項に記載のマルチビーム光源駆動装置。
【請求項7】
前記特定生成手段は、前記第2乗算手段による乗算結果に丸め処理を施すことで当該第2乗算手段による乗算結果のデータ長を短縮化する第1丸め処理手段を、さらに有し、
前記第4パルス生成手段は、前記第1丸め処理手段による丸め処理後データに応じたパルス密度変調信号を前記第4パルス信号として生成する、請求項に記載のマルチビーム光源駆動装置。
【請求項8】
前記補正並行手段は、前記第1乗算手段による乗算結果に丸め処理を施すことで当該第1乗算手段による乗算結果のデータ長を短縮化する第2丸め処理手段を、さらに有し、
前記第1パルス生成手段は、前記第2丸め処理手段による丸め処理後データに応じたパルス密度変調信号を前記第1パルス信号として生成する、請求項からのいずれかに記載のマルチビーム光源駆動装置。
【請求項9】
前記所定値と前記第1補正値と前記第2補正値とが記憶される記憶手段を、さらに備える、請求項からのいずれかに記載のマルチビーム光源駆動装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載のマルチビーム光源駆動装置と、
回転軸を中心に回転する概略円筒状の感光体ドラムと、
前記複数の発光素子のそれぞれから発せられる光ビームを当該感光体ドラムの表面に照射させるとともに当該感光体ドラムの表面に対する当該光ビームの照射位置を当該回転軸に沿う方向へ移動させる偏向手段と、を備える、画像形成装置。
【請求項11】
複数の発光素子を有するマルチビーム光源を駆動するマルチビーム光源駆動方法であって、
前記複数の発光素子に個別に対応する複数のアナログ信号である複数の第1制御信号を個別に生成する第1生成ステップと、
前記複数の第1制御信号が入力されると、当該複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、対応する前記発光素子の発光パワーを制御する駆動手段に、当該複数の第1制御信号を入力する第1入力ステップと、を備え、
前記複数の第1制御信号の一部は、前記複数の発光素子それぞれの個体差に起因する前記発光パワーのバラツキを補正するための第1補正成分を含み、
前記第1生成ステップは、前記第1補正成分を含む前記第1制御信号を生成するために、前記信号レベルを所定レベルとするための所定値と当該第1補正成分を呈するための第1補正値とをデジタル演算により乗算する第1乗算ステップと、当該第1乗算ステップによる乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する第1パルス生成ステップと、当該第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで当該第1補正成分を含む第1制御信号を生成する第1フィルタ処理ステップと、を備え
前記複数の第1制御信号のうちの特定の前記発光素子である特定素子に対応する当該第1制御信号は、前記所定レベルの信号であり、
前記複数の第1制御信号のうちの前記特定素子に対応する第1制御信号以外のそれぞれの当該第1制御信号は、前記第1補正成分を含み、さらに、
前記第1生成ステップは、前記特定素子に対応する第1制御信号としての前記所定レベルの信号を生成するために、前記所定値に応じたパルス密度変調信号である第2パルス信号を生成する第2パルス生成ステップと、当該第2パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで当該所定レベルの信号を生成する第2フィルタ処理ステップと、を備える、マルチビーム光源駆動方法。
【請求項12】
複数の発光素子を有するマルチビーム光源を駆動するマルチビーム光源駆動方法であって、
回転軸を中心に回転する概略円筒状の感光体ドラムと、前記複数の発光素子のそれぞれから発せられる光ビームを当該感光体ドラムの表面に照射させるとともに当該感光体ドラムの表面に対する当該光ビームの照射位置を当該回転軸に沿う方向へ移動させる偏向手段と、を備える画像形成装置用のマルチビーム光源駆動方法であり、
前記複数の発光素子に個別に対応する複数のアナログ信号である複数の第1制御信号を個別に生成する第1生成ステップと、
前記複数の第1制御信号が入力されると、当該複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、対応する当該発光素子の発光パワーを制御する駆動手段に、当該複数の第1制御信号を入力する第1入力ステップと、を備え、
前記複数の第1制御信号の一部または全部は、前記複数の発光素子それぞれの個体差に起因する前記発光パワーのバラツキを補正するための第1補正成分を含み、
前記第1生成ステップは、前記第1補正成分を含む前記第1制御信号を生成するために、前記信号レベルを所定レベルとするための所定値と前記第1補正成分を呈するための第1補正値とをデジタル演算により乗算する第1乗算ステップと、当該第1乗算ステップによる乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する第1パルス生成ステップと、当該第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで当該第1補正成分を含む前記第1制御信号を生成する第1フィルタ処理ステップと、を備え、
前記複数の第1制御信号のそれぞれは、前記回転軸に沿う方向における前記感光体ドラムの表面に対する前記光ビームの照射強度を均一化させるための第2補正成分を含み、
前記所定レベルは、前記感光体ドラムが回転する方向における当該感光体ドラムの表面に対する当該光ビームの照射位置に応じて変化し、
前記第1乗算ステップは、前記所定値と前記第1補正値とに加えて、前記第2補正成分を呈するための第2補正値を、デジタル演算により乗算する、マルチビーム光源駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を有するマルチビーム光源を駆動する、マルチビーム光源駆動装置および当該マルチビーム光源駆動装置を備える画像形成装置ならびにマルチビーム光源駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、画像信号に基づく画像を用紙などのシート状の画像記録媒体に形成するための画像形成処理の過程で、感光体の表面に当該画像信号に基づく潜像を形成するための露光処理が行われる。具体的には、光ビームを発する発光素子、たとえば光ビームとしてレーザ光を発するレーザダイオード、を有する光源が、画像信号に基づいて駆動される。この光源から発せられるレーザ光は、概略円筒状の感光体である感光体ドラムの表面(外周面)に照射される。併せて、感光体ドラムは、その中心を軸として回転する。加えて、感光体ドラムの表面に対するレーザ光の照射位置が、当該感光体ドラムの回転軸に沿う方向に移動される。これにより、感光体ドラムの表面に静電気の像である潜像が形成される。このとき、感光体ドラムの回転軸に沿う方向において、いわゆる主走査方向において、当該感光体ドラムの表面に対するレーザ光の照射強度の不均一が生ずる。この主走査方向におけるレーザ光の照射強度の不均一は、シェーディングと呼ばれ、当該主走査方向におけるレーザ光の照射位置の移動を担う偏向手段、とりわけポリゴンミラーなどの各種ミラーおよびfθレンズなどの各種レンズを含む光学系要素、の特性に起因する。このシェーディングを補正する技術の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された技術によれば、シェーディングを補正するための補正値が、予め実験により得られ、メモリに記憶される。このメモリに記憶された補正値は、主走査方向におけるレーザ光の照射位置に応じて、当該メモリから順次読み出される。そして、メモリから読み出された補正値は、DAコンバータによりデジタル信号からアナログ信号に変換された上で、レーザ制御部に入力される。併せて、レーザ制御部には、画像信号が入力される。レーザ制御部は、画像信号に基づいて、光源を駆動するとともに、DAコンバータによる変換後のアナログ信号の信号レベルに基づいて、当該光源の発光パワーを制御する。これにより、画像信号に基づく潜像が形成されつつ、シェーディングが補正される。
【0004】
ここで、DAコンバータによる変換後のアナログ信号には、つまりレーザ制御部による光源の発光パワーの制御に供されるアナログ信号には、当該DAコンバータの動作に起因するリップルが重畳する。このリップルによる影響が、とりわけ潜像への影響が、ひいては最終的に形成される画像への影響が、懸念される。
【0005】
このリップルによる影響を低減するために、特許文献1に開示された技術におけるDAコンバータは、PDM(Pulse Density Modulation)信号出力部と、ローパスフィルタと、を備える。PDM信号出力部は、前述の補正値に応じたパルス密度変調信号を出力し、詳しくは人が視認可能な最大の空間周波数に相当する周期(視認周期)よりも短い単位周期当たりに当該補正値に応じた数のパルスを含むパルス列から成るパルス密度変調信号を出力する。そして、ローパスフィルタは、パルス密度変調信号にローパスフィルタ処理を施すことで、当該パルス密度変調信号の高周波成分をカットしたアナログ信号を出力する。このようなアナログ信号が、つまりパルス密度変調信号にローパスフィルタ処理が施されることにより生成されるアナログ信号が、レーザ制御部による光源の発光パワーの制御に供されることで、当該アナログ信号に重畳するリップルによる影響が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-43432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1には明記されていないが、当該特許文献1に開示された技術における光源は、発光素子を1つのみ有する、いわゆるシングルビーム光源である。これに対して、複数の発光素子を有するマルチビーム光源も、存在する。このマルチビーム光源は、露光処理の高速化および高品質化に有益であり、つまり当該露光処理を含む画像形成処理の高速化および高品質化に有益である。その一方で、マルチビーム光源が採用される場合には、複数の発光素子それぞれの個体差に起因する当該複数の発光素子間の発光パワーのバラツキ、いわゆる相対出力差、を補正する必要がある。この相対出力差を簡素な構成で補正することができれば、より一層有益である。
【0008】
そこで、本発明は、マルチビーム光源を駆動するマルチビーム光源駆動装置および当該マルチビーム光源駆動装置を備える画像形成装置ならびにマルチビーム光源駆動方法において、複数の発光素子の相対出力差を簡素な構成で補正することができる、新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、マルチビーム光源駆動装置に係る第1発明と、当該マルチビーム光源駆動装置を備える画像形成装置に係る第2発明と、マルチビーム光源駆動方法に係る第3発明とを含む。
【0010】
このうちのマルチビーム光源駆動装置に係る第1発明は、複数の発光素子を有するマルチビーム光源を駆動する装置であって、駆動手段と、複数の第1生成手段と、を備える。駆動手段は、複数の第1制御信号の入力を受け付ける。ここで言う複数の第1制御信号とは、複数の発光素子に個別に対応する複数のアナログ信号であり、複数の第1生成手段によって個別に生成される。そして、駆動手段は、複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、対応する発光素子の発光パワーを制御する。ここで、複数の第1生成手段の一部は、補正並行手段である。この補正並行手段は、複数の発光素子それぞれの個体差に起因する当該複数の発光素子間の発光パワーのバラツキ、つまり相対出力差、を補正するための第1補正成分を含む第1制御信号を生成する。具体的には、補正並行手段は、第1乗算手段と、第1パルス生成手段と、第1フィルタ手段と、を有する。第1乗算手段は、第1制御信号の信号レベルを所定レベルとするための所定値と、第1補正成分を呈するための第1補正値と、をデジタル演算により乗算する。そして、第1パルス生成手段は、第1乗算手段による乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する。第1フィルタ手段は、第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、第1補正成分を含む第1制御信号を生成する。
【0011】
なお、複数の第1生成手段のうちの1つは、特定生成手段である。この特定生成手段は、複数の発光素子のうちの特定の発光素子である特定素子に対応し、前述の所定レベルの第1制御信号を生成する。そして、特定生成手段以外のそれぞれの第1生成手段は、補正並行手段として、第1補正成分を含む第1制御信号を生成する。
【0012】
特定生成手段は、第2パルス生成手段と、第2フィルタ手段と、を有する。第2パルス生成手段は、前述の所定値に応じたパルス密度変調信号である第2パルス信号を生成する。そして、第2フィルタ手段は、第2パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、所定レベルの第1制御信号を生成する。
【0013】
本第1発明に係るマルチビーム駆動装置は、たとえば画像形成装置用であり、とりわけ電子写真方式の画像形成装置用である。電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムと、偏向手段と、を備える。感光体ドラムは、概略円筒状であり、その中心を軸として回転する。そして、偏向手段は、複数の発光素子のそれぞれから発せられる光ビームを感光体ドラムの表面に照射させるとともに、この感光体ドラムの表面に対する光ビームの照射位置を当該感光体ドラムの回転軸に沿う方向へ移動させる。その上で、駆動手段は、前述の複数の第1制御信号に加えて、当該複数の第1制御信号とは別のアナログ信号である第2制御信号の入力を受け付ける。そして、駆動手段は、前述の如く複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、対応する発光素子の発光パワーを制御する。併せて、駆動手段は、第2制御信号の信号レベルに基づいて、複数の発光素子それぞれの発光パワーを制御し、つまり全ての発光素子それぞれの発光パワーを一律的に制御する。ここで、第2制御信号は、感光体ドラムの回転軸に沿う方向、いわゆる主走査方向、における当該感光体ドラムの表面に対する光ビームの照射強度を均一化するための第2補正成分を含む。そして、前述の所定レベルは、感光体ドラムが回転する方向、いわゆる副走査方向、における当該感光体ドラムの表面に対する光ビームの照射位置に応じて、変化する。
【0014】
このような構成、詳しくは第2制御信号が要素として含まれる構成、においては、第2生成手段が、さらに備えられる。第2生成手段は、第2制御信号を生成する。具体的には、第2生成手段は、第3パルス生成手段と、第3フィルタ手段と、を有する。第3パルス生成手段は、前述の第2補正成分を含む第2制御信号の信号レベルを設定するための第2補正値に応じたパルス密度変調信号である第3パルス信号を生成する。そして、第3フィルタ手段は、第3パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、第2制御信号を生成する。
【0015】
これとは別に、第2制御信号が要素として含まれない構成、たとえば複数の第1制御信号のそれぞれに第2補正成分が含まれる構成、もあり得る。この場合、補正並行手段は、とりわけ第1乗算手段は、前述の所定値と第1補正値とに加えて、第2補正成分を呈するための第2補正値を、デジタル演算により乗算する。そして、第1パルス生成手段は、第1乗算手段による乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する。その上で、第1フィルタ手段は、第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、第1補正成分および第2補正成分を含む第1制御信号を生成する。
【0016】
このような補正並行手段に対して、特定生成手段は、第1補正成分を含まず、第2補正成分を含む、第1制御信号を生成する。
【0017】
具体的には、特定生成手段は、第2乗算手段と、第4パルス生成手段と、第4フィルタ手段と、を有する。第2乗算手段は、前述の所定値と第2補正値とをデジタル演算により乗算する。そして、第4パルス生成手段は、第2乗算手段による乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第4パルス信号を生成する。第4フィルタ手段は、第4パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、第1補正成分を含まず、第2補正成分を含む、第1制御信号を生成する。
【0018】
このような特定生成手段は、第1丸め処理手段を、さらに有してもよい。この第1丸め処理手段は、第2乗算手段による乗算結果に丸め処理を施すことで、当該第2乗算手段による乗算結果のデータ長を短縮化する。この場合、前述の第4パルス生成手段は、第1丸め処理手段による丸め処理後データに応じたパルス密度変調信号を、第4パルス信号として生成する。
【0019】
また、補正並行手段が、とりわけ第1乗算手段が、前述の如く所定値と第1補正値とに加えて、第2補正成分を呈するための第2補正値を、デジタル演算により乗算する場合には、当該補正並行手段は、第2丸め処理手段を、さらに有してもよい。この第2丸め処理手段は、第1乗算手段による乗算結果に丸め処理を施すことで、当該第1乗算手段による乗算結果のデータ長を短縮化する。そして、前述の第1パルス生成手段は、第2丸め処理手段による丸め処理後データに応じたパルス密度変調信号を、第1パルス信号として生成する。
【0020】
本第1発明においては、記憶手段が、さらに備えられてもよい。この記憶手段は、前述の所定値と第1補正値と第2補正値とを記憶し、とりわけ一括的に記憶する。言い換えれば、所定値と第1補正値と第2補正値とは、1つの(共通の)記憶手段に記憶される。
【0021】
本発明のうちの第2発明に係る画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であって、第1発明に係るマルチビーム光源駆動装置と、感光体ドラムと、偏向手段と、を備える。感光体ドラムは、概略円筒状であり、その中心を軸として回転する。そして、偏向手段は、複数の発光素子のそれぞれから発せられる光ビームを当該感光体ドラムの表面に照射させるとともに、この感光体ドラムの表面に対する光ビームの照射位置を当該感光体ドラムの回転軸に沿う方向へ移動させる。
【0022】
本発明のうちの第3発明に係るマルチビーム光源駆動方法は、複数の発光素子を有するマルチビーム光源を駆動する方法であって、第1生成ステップと、第1入力ステップと、を備える。第1生成ステップにおいては、複数の発光素子に個別に対応する複数のアナログ信号である複数の第1制御信号を、個別に生成する。そして、第1入力ステップにおいては、第1生成ステップにより生成された複数の第1制御信号を、駆動手段に入力する。駆動手段は、複数の第1制御信号が入力されると、当該複数の第1制御信号それぞれの信号レベルに基づいて、対応する発光素子の発光パワーを制御する。ここで、複数の第1制御信号の一部は、複数の発光素子それぞれの個体差に起因する当該複数の発光素子間の発光パワーのバラツキ、つまり相対出力差、を補正するための第1補正成分を含む。このような第1補正成分を含む第1制御信号を生成するために、第1生成ステップは、第1乗算ステップと、第1パルス生成ステップと、第1フィルタ処理ステップと、を備える。第1乗算ステップにおいては、第1制御信号の信号レベルを所定レベルとするための所定値と、第1補正成分を呈するための第1補正値と、をデジタル演算により乗算する。そして、第1パルス生成ステップにおいては、第1乗算ステップによる乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する。第1フィルタ処理ステップにおいては、第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、第1補正成分を含む第1制御信号を生成する。
なお、複数の第1制御信号のうちの特定の発光素子である特定素子に対応する当該第1制御信号は、前記所定レベルの信号である。そして、複数の第1制御信号のうちの特定素子に対応する第1制御信号以外のそれぞれの当該第1制御信号は、第1補正成分を含む。さらに、第1生成ステップは、特定素子に対応する第1制御信号としての所定レベルの信号を生成するために、第2パルス生成ステップと、第2フィルタ処理ステップと、を備える。第2パルス生成ステップにおいては、前述の所定値に応じたパルス密度変調信号である第2パルス信号を生成する。そして、第2フィルタ処理ステップにおいては、第2パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、特定素子に対応する第1制御信号としての所定レベルの信号を生成する。
これとは別に、画像形成装置に適用される場合は、とりわけ前述の電子写真方式の画像形成装置に適用される場合は、複数の第1制御信号のそれぞれは、第2補正成分を含む。この第2補正成分は、感光体ドラムの回転軸に沿う方向、つまり主走査方向、における当該感光体ドラムの表面に対する光ビームの照射強度を均一化するための成分である。この場合、所定レベルは、感光体ドラムが回転する方向における当該感光体ドラムの表面に対する光ビームの照射位置に応じて変化する。そして、前述の第1乗算ステップにおいては、所定値と第1補正値とに加えて、第2補正成分を呈するための第2補正値を、デジタル演算により乗算する。その上で、第1パルス生成ステップにおいては、第1乗算ステップによる乗算結果に応じたパルス密度変調信号である第1パルス信号を生成する。そして、第1フィルタ処理ステップにおいては、第1パルス信号にローパスフィルタ処理を施すことで、第1補正成分および第2補正成分を含む第1制御信号を生成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、マルチビーム光源を駆動するマルチビーム光源駆動装置および当該マルチビーム光源駆動装置を備える画像形成装置ならびにマルチビーム光源駆動方法において、複数の発光素子の相対出力差を簡素な構成で補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の第1実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施例における感光体ドラムを概略的に示す図である。
図3図3は、第1実施例における光源部の電気的な構成を示す図である。
図4図4は、第1実施例における光源部の比較対象の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施例における第1基準信号生成回路の構成を示す図である。
図6図6は、第1実施例における第2基準信号生成回路の構成を示す図である。
図7図7は、第1実施例におけるシェーディング補正信号生成回路の構成を示す図である。
図8図8は、本発明の第2実施例における光源部の電気的な構成を示す図である。
図9図9は、第2実施例における第1基準信号生成回路の構成を示す図である。
図10図10は、第2実施例における第2基準信号生成回路の構成を示す図である。
図11図11は、本発明の第3実施例における光源部の電気的な構成を示す図である。
図12図12は、第3実施例における第1基準信号生成回路の構成を示す図である。
図13図13は、第3実施例における第2基準信号生成回路の構成を示す図である。
図14図14は、本発明の第4実施例における第1基準信号生成回路の構成を示す図である。
図15図15は、第4実施例における第2基準信号生成回路の構成を示す図である。
図16図16は、本発明の第5実施例における第1基準信号生成回路の構成を示す図である。
図17図17は、第5実施例における第2基準信号生成回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、図1に示される複合機(MultiFunction Peripheral:MFP)10を例に挙げて説明する。
【0026】
本第1実施例に係る複合機10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。このため、複合機10は、画像読取部12と、画像形成部14と、制御部16と、補助記憶部18と、通信部20と、操作表示部22と、を備える。これらは、互いに共通のバス30を介して接続される。
【0027】
画像読取部12は、画像読取手段の一例である。すなわち、画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このような画像読取部12は、不図示の原稿が載置される不図示の原稿台を備える。原稿台は、矩形平板状のガラスなどの透明硬質部材により形成される。この原稿台の下方に、不図示の光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを含む画像読取ユニットと、当該画像読取ユニットによる画像読取位置を移動させるための不図示の駆動機構と、が設けられる。そして、原稿台の上方には、当該原稿台に載置された原稿を押さえるための不図示の原稿押さえカバーが設けられる。なお、原稿押さえカバーには、オプション装置である不図示の自動原稿送り装置(Auto Document Feeder:ADF)が設けられることがある。
【0028】
画像形成部14は、画像形成手段の一例である。すなわち、画像形成部14は、画像読取部12から出力される読取画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を不図示の用紙などのシート状の画像記録媒体に形成する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、公知の電子写真方式により行われる。そのために画像形成部14は、概略円筒状の感光体である感光体ドラム14aと、露光手段としての露光装置14bと、を備える。特に、露光装置14bは、光源手段としての光源部14cと、偏向手段としての偏向部14dと、を有する。さらに、光源部14cは、記憶手段としての不揮発性の半導体メモリ、たとえばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)14eと、回路構成手段としての集積回路、たとえばASIC(Application Specific Integrated Circuit)14fと、を有する。併せて、画像形成部14は、不図示の帯電手段としての帯電装置、現像手段としての現像装置、転写手段としての転写装置、定着手段としての定着装置、クリーニング手段としてのクリーニング装置、除電手段としての除電装置などを備える。この画像形成部14による画像形成処理により画像が形成された後の画像記録媒体、言わば印刷物は、不図示の排紙トレイに排出される。なお、図1においては、図示を含む説明の便宜上、感光体ドラム14aと、露光装置14bと、が1つずつ記載されているが、これらは実際には、カラーの画像形成処理の実現のために、たとえばCMYKカラーモデルの4色成分に対応して、4つずつ設けられる。また、帯電装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置、除電装置なども、それぞれ4つずつ設けられる。
【0029】
制御部16は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部16は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU(Central Processing Unit)16a、を有する。併せて、制御部16は、CPU16aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部16bを有する。主記憶部16bは、不図示のROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。このうちのROMには、CPU16aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。RAMは、CPU16aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域やバッファ領域などを構成する。
【0030】
補助記憶部18は、補助記憶手段の一例である。この補助記憶部18には、画像読取部12から出力される読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。このような補助記憶部18は、たとえば不図示のハードディスクドライブを含む。また、補助記憶部18は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性の半導体メモリを含む場合がある。
【0031】
通信部20は、通信手段の一例である。この通信部20は、不図示の通信網と接続されることで、当該通信網を介しての双方向通信を担う。ここで言う通信網としては、LAN(Local Area Network)やインターネット、公衆交換電話網などがある。また、LANには、無線LAN(IEEE_802.11規格に従う無線LAN、いわゆるWi-Fi(登録商標))が含まれる。
【0032】
操作表示部22は、いわゆる操作パネルであり、表示手段の一例としてのディスプレイ22aと、操作受付手段の一例としてのタッチパネル22bと、を有する。ディスプレイ22aは、概略矩形状の表示面を有し、タッチパネル22bは、当該ディスプレイ22aの表示面に重なるように設けられる。なお、ディスプレイ22aは、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)であるが、これに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの他方式のディスプレイであってもよい。そして、タッチパネル22bは、たとえば静電容量方式のパネルであるが、これに限らず、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、操作表示部22は、不図示の発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。併せて、操作表示部22は、不図示の押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチ手段を有する。
【0033】
さて、本第1実施例に係る複合機10によれば、とりわけ画像形成部14によれば、前述の如く電子写真方式による画像形成処理が行われる。すなわち、帯電装置による帯電処理が行われることで、感光体ドラム14aの表面に静電気が与えられる。そして、露光装置14bによる露光処理が行われることで、感光体ドラム14aの表面に潜像が形成される。さらに、現像装置による現像処理が行われることで、感光体ドラム14aの表面の潜像にトナーが付着して、トナー像が形成される。そして、転写装置による転写処理が行われることで、感光体ドラム14aの表面のトナー像が画像記録媒体に転写される。このトナー像が転写された画像記録媒体に対して、さらに定着装置による定着処理が施されることで、当該トナー像が画像記録媒体に定着される。これにより、画像記録媒体に画像が形成される。その後、クリーニング装置によるクリーニング処理が行われることで、感光体ドラム14aの表面に残留しているトナーが取り除かれる。そして、除電装置による除電処理が行われることで、感光体ドラム14aの表面の残留している静電気が除去される。
【0034】
ここで、感光体ドラム14aは、図2に示されるように、その中心を通る直線50を軸として回転し、たとえば矢印52で示される方向へ回転する。この感光体ドラム14aの表面に、露光装置14bの光源部14cから発せられるレーザ光が照射される。併せて、感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置(レーザスポット)が、当該感光体ドラム14aの回転軸50に沿う方向へ、たとえば矢印54で示される方向へ、一定の速度で移動される。この矢印54で示される方向へのレーザ光の照射位置の移動は、露光装置14bの偏向部14dが担う。このため、偏向部14dは、不図示のポリゴンミラーなどの各種ミラーおよびfθレンズなどの各種レンズを含む光学系要素を有する。このように、矢印52で示される方向へ回転する感光体ドラム14aの表面にレーザ光が照射されるとともに、この感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置が矢印54で示される方向へ移動されることで、当該感光体ドラム14aの表面に2次元の潜像が形成される。
【0035】
なお、矢印54で示される方向、つまり感光体ドラム14aの回転軸50に沿う方向は、主走査方向と定義される。そして、矢印52で示される方向、つまり感光体ドラム14aの回転方向は、副走査方向と定義される。因みに、主走査方向における感光体ドラム14aの表面の有効露光領域Raをレーザ光の照射位置が移動するのに要する時間、言わば主走査時間Taは、たとえば約160μsである。一方、副走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置の移動速度(相対速度)は、当該感光体ドラム14aの回転速度により適宜に定められる。
【0036】
また、図示は省略するが、主走査方向における感光体ドラム14aよりも上流側の適当な位置に、レーザ光を検知するためのBD(Beam Detect)センサが配される。このBDセンサから出力されるBD信号に基づいて、主走査方向におけるレーザ光の照射位置が推定され、ひいては当該主走査方向における種々のタイミングが計られる。一方、副走査方向については、たとえば感光体ドラム14aの回転駆動を担う回転駆動手段がステッピングモータである場合には、このステッピングモータを制御するためのモータ制御信号(駆動パルス)に基づいて、当該感光体ドラム14aの回転角位置(回転角度)が求められ、ひいてはレーザ光の照射位置が推定される。もしくは、たとえば感光体ドラム14aの回転角位置を検知するためのロータリエンコーダなどの回転角位置検知手段が設けられる場合には、この回転角位置検知手段から出力される回転角位置検知信号に基づいて、副走査方向におけるレーザ光の照射位置が推定される。
【0037】
光源部14cは、図3に示されるように、モノリシック型のマルチビーム光源100を有する。すなわち、マルチビーム光源100は、複数の、たとえば2つの、発光素子としてのレーザダイオード102および104を含む。これら2つのレーザダイオード102および104は、1つの(共通の)CANパッケージ106に収容される。併せて、CANパッケージ106には、フォトダイオード108が設けられる。このフォトダイオード108は、各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーをモニタするための受光素子であり、これ1つで当該各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーを個別にモニタすることができるように構成される。
【0038】
各レーザダイオード102および104は、次に説明するレーザドライバ110により個別に駆動されることで、個別にレーザ光を発する。すなわち、光源部14cからは、2つのレーザ光が同時に発せられる(ことがある)。これら2つのレーザ光は、感光体ドラム14aの表面に対して副走査方向に隣接して並ぶように照射され、言わば2つのライン(走査線)を形成するように照射される。厳密に言えば、副走査方向において、一方のレーザダイオードである第1レーザダイオード102から発せられるレーザ光が上流側に照射され、他方のレーザダイオードである第2レーザダイオード104から発せられるレーザ光が下流側に、つまり次のラインを形成するように、照射される。
【0039】
レーザドライバ110は、2つのレーザダイオード102および104を個別に駆動することができる2チャンネル対応型の市販の集積回路である。具体的には、レーザドライバ110は、2つの駆動端子LD1およびLD2を備える。これら2つの駆動端子LD1およびLD2は、各レーザダイオード102および104に個別に電力を供給する端子である。そのためにたとえば、一方(第1チャンネル)の駆動端子である第1駆動端子LD1に、第1レーザダイオード102が接続され、詳しくは当該第1レーザダイオード102のアノード端子が接続される。そして、他方(第2チャンネル)の駆動端子である第2駆動端子LD2に、第2レーザダイオード104が接続され、詳しくは当該第2レーザダイオード104のアノード端子が接続される。なお、各レーザダイオード102および104それぞれのカソード端子は、基準電位であるグランドに接続される。
【0040】
併せて、レーザドライバ110は、モニタ端子PDを備える。このモニタ端子PDは、フォトダイオード108から出力されるモニタ信号の入力を受け付ける端子である。このため、モニタ端子PDには、フォトダイオード108が接続され、詳しくは当該フォトダイオード108のカソード端子が接続される。そして、フォトダイオード108のアノード端子は、グランドに接続される。さらに、フォトダイオード108のカソード端子は、換言すればレーザドライバ110のモニタ端子PDは、可変抵抗器120を介して直流の電源ラインVccに接続される。可変抵抗器120は、フォトダイオード108から出力されるモニタ信号の信号レベルを調整するための、換言すれば当該フォトダイオード108の感度を調整するための、手動による調整手段である。
【0041】
加えて、レーザドライバ110は、2つの画像信号入力端子IN1およびIN2を備える。これら2つの画像信号入力端子IN1およびIN2は、画像形成処理(露光処理)に供される画像データに基づく2ライン分の画像信号S1およびS2の入力を個別に受け付ける端子である。これら2つの画像信号入力端子IN1およびIN2は、各駆動端子LD1およびLD2に個別に対応し、つまり各レーザダイオード102および104に個別に対応する。たとえば、一方の画像信号入力端子である第1画像信号入力端子IN1は、第1駆動端子LD1に対応し、つまり第1レーザダイオード102に対応する。そして、他方の画像信号入力端子である第2画像信号入力端子IN2は、第2駆動端子LD2に対応し、つまり第2レーザダイオード104に対応する。なお、各画像信号S1およびS2のそれぞれは、不図示の変調回路により適当に変調された信号であり、たとえばパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号である。
【0042】
また、レーザドライバ110は、2つの出力制御端子Vcnt1およびVcnt2を備える。これら2つの出力制御端子Vcnt1およびVcnt2は、各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーを個別に制御するための2つの基準信号Vref1およびVref2の入力を個別に受け付ける端子である。たとえば、一方の出力制御端子である第1出力制御端子Vcnt1は、第1レーザダイオード102に対応する。この第1出力制御端子Vcnt1には、第1レーザダイオード102の発光パワーを制御するための第1基準信号Vref1が入力される。そして、他方の出力制御端子である第2出力制御端子Vcnt2は、第2レーザダイオード104に対応する。この第2出力制御端子Vcnt2には、第2レーザダイオード104の発光パワーを制御するための第2基準信号Vref2が入力される。厳密に言えば、第1基準信号Vref1は、分圧回路130を介して、詳しくは2つの固定抵抗器132および134から成る第1分圧回路130を介して、第1出力制御端子Vcnt1に入力される。そして、第2基準信号Vref2は、第1分圧回路130と同様(同じ仕様)の分圧回路140を介して、詳しくは2つの固定抵抗器142および144から成る第2分圧回路140を介して、第2出力制御端子Vcnt2に入力される。
【0043】
さらに、レーザドライバ110は、出力電流設定端子RSを備える。この出力電流設定端子RSは、各レーザダイオード102および104に流れる電流(出力電流)を一律的に制御するための出力電流設定信号の入力を受け付ける端子である。この出力電流設定端子RSに入力される出力電流設定信号の信号レベルに応じて、各レーザダイオード102および104に流れる電流が一律的に制御され、ひいては当該各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーが一律的に制御される。本第1実施例においては、出力電流設定信号として、後述するシェーディング補正信号Vshdが、出力電流設定端子RSに入力される。
【0044】
このような構成の光源部14cによれば、レーザドライバ110は、第1画像信号入力端子IN1に入力される言わば第1画像信号S1に基づいて、第1レーザダイオード102を駆動し、詳しくは当該第1レーザダイオード102への電力の供給をオン/オフする。併せて、レーザドライバ110は、第2画像信号入力端子IN2に入力される言わば第2画像信号S2に基づいて、第2レーザダイオード104を駆動し、詳しくは当該第2レーザダイオード104への電力の供給をオン/オフする。
【0045】
そして、レーザドライバ110は、第1出力制御端子Vcnt1に入力される、厳密には第1分圧回路130を介して当該第1出力制御端子Vcnt1に入力される、第1基準信号Vref1の信号(電圧)レベルに基づいて、第1レーザダイオード102の発光パワーを制御する。この第1レーザダイオード102の発光パワーは、第1基準信号Vref1の信号レベルに比例する。併せて、レーザドライバ110は、第2出力制御端子Vcnt2に入力される、厳密には第2分圧回路140を介して当該第2出力制御端子Vcnt2に入力される、第2基準信号Vref2の信号レベルに基づいて、第2レーザダイオード104の発光パワーを制御する。この第2レーザダイオード104の発光パワーは、第2基準信号Vref2の信号レベルに比例する。
【0046】
さらに、レーザドライバ110は、出力電流設定端子RSに入力されるシェーディング補正信号Vshdの信号レベルに基づいて、各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーを一律的に制御する。すなわち、各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーは、シェーディング補正信号Vshdの信号レベルにも比例し、詳しくは一律的に比例する。
【0047】
なお、レーザドライバ110は、APC(Automatic Power Control)機能を有する。このAPC機能によれば、第1基準信号Vref1および第2基準信号Vref2それぞれの信号レベルが一定であり、かつ、シェーディング補正信号Vshdの信号レベルが0Vであるときに、各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーが一定となるように制御される。各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーは、フォトダイオード108によってモニタされ、詳しくは当該フォトダイオード108からモニタ端子PDに入力されるモニタ信号の信号レベルに基づいて認識される。また、フォトダイオード108からのモニタ信号に代えて、前述のBDセンサからのBD信号の信号レベルに基づいて、各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーが認識されることも可能である。
【0048】
このAPC機能は、感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置が主走査方向における有効露光領域Raにないときに、いわゆる主走査方向における無効期間中に、有効化される。そのために、レーザドライバ110は、APC機能の有効化および無効化を指示するイネーブル信号の入力を受け付ける不図示のイネーブル端子を備える。その一方で、APC機能が有効化されているときには、つまり主走査方向における無効期間中は、前述の如くシェーディング補正信号Vshdの信号レベルが0Vである必要がある。したがって、APC機能が有効化されているときには、シェーディング補正信号Vshdによる各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーの一律的な制御が不可能となる。言い換えれば、APC機能が無効化されているときにのみ、いわゆる主走査方向における有効期間中にのみ、シェーディング補正信号Vshdによる各レーザダイオード102および102それぞれの発光パワーの一律的な制御が行われる。
【0049】
ところで、主走査方向においては、感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射強度の不均一が生じ、いわゆるシェーディングが生ずる。このシェーディングは、偏向部14dの特性に起因し、とりわけ前述の光学的要素の特性に起因する。また、副走査方向においても、感光体ドラム14aの表面温度の違い(分布)などに起因して、当該感光体ドラム14aの表面における帯電力や当該表面に対するレーザ光の影響力が変わり、露光処理を含む画像形成処理の質に不均一が生ずることがある。図3に示される構成の光源部14cによれば、これら主走査方向における不均一であるシェーディングと、副走査方向における不均一と、を個別に(独立して)補正することができる。
【0050】
たとえば、シェーディングについては、当該シェーディングを補正するための補正値が、予め実験などにより得られ、EEPROM14eに記憶される。このEEPROM14eに記憶された補正値、言わばシェーディング補正値は、主走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置に応じて、当該EEPROM14eから順次読み出される。そして、EEPROM14eから読み出された補正値は、デジタル信号からアナログ信号に変換される。このアナログ信号が、シェーディング補正信号Vshdとして、レーザドライバ110の出力電流設定端子RSに入力される。このシェーディング補正信号Vshdの信号レベルに基づいて、各レーザダイオード102および104それぞれの発光パワーが一律的に制御される。これにより、シェーディングが補正される。
【0051】
一方、副走査方向における不均一については、当該副走査方向において、感光体ドラム14aの表面温度の違いなどの要因があるとしても、露光処理を含む画像形成処理の質を一定とするための、換言すればそのような結果を奏する、基準値が、予め実験などにより得られる。この言わば副走査基準値もまた、EEPROM14eに記憶される。このEEPROM14eに記憶された副走査基準値は、副走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置に応じて、当該EEPROM14eから読み出される。そして、EEPROM14eから読み出された副走査基準値は、デジタル信号からアナログ信号に変換される。このアナログ信号が、第1基準信号Vref1として、分圧回路130を介してレーザドライバ110の第1出力制御端子Vcnt1に入力される。併せて、第1基準信号Vref1よりも副走査方向における下流側へ1ライン分だけ異なる位置に対応するアナログ信号が、第2基準信号Vref2として、分圧回路140を介してレーザドライバ110の第2出力制御端子Vcnt2に入力される。これにより、第1基準信号Vref1の信号レベルに基づいて、第1レーザダイオード102の発光パワーが制御されるとともに、第2基準信号Vref2の信号レベルに基づいて、第2レーザダイオード104の発光パワーが制御される。この結果、副走査方向における不均一が補正される。
【0052】
なお、第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104が互いに同じ条件で駆動されても、当該第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104それぞれの個体差に起因して、これら両者間で発光パワーのバラツキが生じ、いわゆる相対出力差が生ずることがある。この相対出力差を補正するために、常套的には、たとえば図4に示されるような構成が採用される。すなわち、分圧回路140として、可変抵抗器146を含む構成が採用されることで、当該分圧回路140による分圧比が、つまり第2出力制御端子Vcnt2に入力される第2基準信号Vref2の信号レベルが、変更可能とされる。
【0053】
この図4に示される構成によれば、まず、第1画像信号S1として、信号レベルが一定のテスト用画像信号が、第1画像信号入力端子IN1に入力される。一方、第2画像信号入力端子IN2へは、第2画像信号S2が非入力とされる。併せて、第1基準信号Vref1の信号レベルが、所定のテスト用レベルとされる。一方、第2基準信号Vref2の信号レベルは、0Vとされる。さらに、シェーディング補正信号Vshdの信号レベルが、0Vとされる。この状態で、フォトダイオード108からモニタ端子PDに入力されるモニタ信号の信号レベルが所定のモニタ基準レベルとなるように、可変抵抗器120が調整される。
【0054】
続いて、第2画像信号S2として、前述のテスト用画像信号が、第2画像信号入力端子IN2に入力される。一方、第1画像信号入力端子IN1へは、第1画像信号S1が非入力とされる。併せて、第2基準信号Vref2の信号レベルが、前述のテスト用レベルとされる。一方、第1基準信号Vref1の信号レベルが、0Vとされる。さらに、シェーディング補正信号Vshdの信号レベルが、0Vとされる。この状態で、フォトダイオード108からモニタ端子PDに入力されるモニタ信号の信号レベルが前述のモニタ基準レベルとなるように、分圧回路140を成す可変抵抗器146が調整される。このような要領により、第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104の相対出力差が補正される。
【0055】
しかしながら、図4に示される構成では、図3に示される構成に比べて、可変抵抗器146を含む分圧回路140が採用されることで、つまり当該可変抵抗器146が設けられることで、その分、光源部14c(とりわけ不図示のプリント配線板)が大型化かつ高コスト化する。この不都合を解消するために、本第1実施例においては、図3に示される構成、つまり可変抵抗器146を含まない構成、が採用され、その上で、第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104の相対出力差がデジタル演算により補正される。
【0056】
具体的には、第1基準信号Vref1を生成するために、図5に示されるような第1基準信号生成回路200が設けられる。この第1基準信号生成回路200は、第1副走査基準テーブル202を有する。この第1副走査基準テーブル202には、前述の副走査基準値が、つまり副走査方向において、露光処理を含む画像形成処理の質を一定とするための、当該副走査基準値が、記憶される。すなわち、副走査基準値は、第1副走査基準テーブル202に纏められた状態でEEPROM14eに記憶される。
【0057】
第1副走査基準テーブル202(EEPROM14a)に記憶された副走査基準値は、前述の如く副走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置に応じて、当該第1副走査基準テーブル202から読み出される。そして、第1副走査基準テーブル202から読み出された副走査基準値、言わば第1副走査基準データDref1は、乗算回路204に入力される。なお、第1副走査基準データDref1は、たとえば8bitのデジタル信号である。
【0058】
併せて、乗算回路204には、ダミーデータDdumが入力される。このダミーデータDdumは、第1副走査基準データDref1のデータ長を、後述する第2副走査基準データDref2のデータ長と揃えるためのデータであり、たとえば十進数の“1”を表す7bitのデジタル信号である。このダミーデータDdumは、たとえば前述のASIC14fにより生成される。言い換えれば、ダミーデータDdumを生成するための不図示のダミー生成回路が、ASIC14fにより構成される。なお、ASIC14fは、ダミー生成回路のみならず、光源部14cを含む露光装置14bに必要な種々の回路を構成する。すなわち、ダミー生成回路は、ASIC14fの一部により構成される。
【0059】
乗算回路204は、これに入力される第1副走査基準データDref1とダミーデータDdumとを乗算し、いわゆるデジタル演算により乗算する。このような乗算回路204は、公知の技術により実現されるので、その詳細な説明は省略する。この乗算回路204による乗算後の第1副走査基準データDref1’は、PDM生成回路206に入力される。この乗算回路204による乗算後の第1副走査基準データDref1’は、15bit(=8bit+7bit)のデジタル信号である。なお、乗算回路204もまた、ASIC14fにより構成され、つまり当該ASIC14fの一部により構成される。
【0060】
PDM生成回路206は、これに入力される第1副走査基準データDref1’に応じたパルス列の信号であるPDM信号Pref1を生成する。このようなPDM生成回路206もまた、公知の技術により実現されるので、その詳細な説明は省略する。このPDM生成回路206により生成されたPDM信号Pref1は、フィルタ回路208に入力される。なお、PDM生成回路206もまた、ASIC14fにより構成され、つまり当該ASIC14fの一部により構成される。
【0061】
フィルタ回路208は、たとえば1段または2段以上のRCローパスフィルタ回路であり、当該フィルタ回路208に入力されるPDM信号Pref1にローパスフィルタ処理を施す。これにより、PDM信号Pref1がアナログ信号に変換され、つまり前述の副走査基準値に応じた信号レベルのアナログ信号が生成される。このアナログ信号が、第1基準信号Vref1として、分圧回路130を介してレーザドライバ110の第1出力制御端子Vcnt1に入力される。なお、フィルタ回路208は、RCローパスフィルタ回路に限らず、LCローパスフィルタ回路やアクティブフィルタ回路などであってもよいが、回路構成の簡素さやコストなどの観点から、当該RCローパスフィルタが好適である。
【0062】
また、第2基準信号Vref2を生成するために、図6に示されるような第2基準信号生成回路300が設けられる。この第2基準信号生成回路300は、第2副走査基準テーブル302を有する。この第2副走査基準テーブル302には、第1基準信号生成回路200の第1副走査基準テーブル202と同様、副走査基準値が記憶される。すなわち、副走査基準値は、第1副走査基準テーブル202とは別に、第2副走査基準テーブル302に纏められた状態で、EEPROM14eに記憶される。
【0063】
第2副走査基準テーブル302(EEPROM14e)に記憶された副走査基準値は、前述の如く副走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置に応じて、当該第2副走査基準テーブル302から読み出される。厳密に言えば、第1副走査基準テーブル202から読み出される副走査基準値の次のラインに対応する副走査基準値が、第2副走査基準テーブル302から読み出される。そして、第2副走査基準テーブル302から読み出された副走査基準値、言わば第2副走査基準データDref2は、乗算回路304に入力される。なお、第2副走査基準データDref2は、第1副走査基準データDref1と同様、8bitのデジタル信号である。
【0064】
併せて、第2基準信号生成回路300は、相対出力差補正テーブル306を有する。この相対出力差補正テーブル306には、前述の第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104の相対出力差を補正するための相対出力差補正値が記憶される。この相対出力差補正値は、予め実験により得られる。なお、相対出力差補正テーブル306は、EEPROM14eに記憶される。すなわち、相対出力差補正値は、相対出力差補正テーブル306に纏められた状態で、EEPROM14eに記憶される。
【0065】
相対出力差補正テーブル306(EEPROM14e)に記憶された相対出力差補正値は、第2副走査基準テーブル302からの副走査基準値の読み出しタイミングに同期して、当該相対出力差補正テーブル306から読み出される。そして、相対出力差補正テーブル306から読み出された相対出力差補正値、言わば相対出力差補正データDcrcは、乗算回路304に入力される。なお、相対出力差補正データDcrcは、7bitのデジタル信号である。
【0066】
乗算回路304は、これに入力される第2副走査基準データDref2と相対出力差補正データDcrcとを乗算する。このような乗算回路304もまた、第1基準信号生成回路200の乗算回路204と同様、公知の技術により実現されるので、その詳細な説明は省略する。この乗算回路304による乗算後の第2副走査基準データDref2’は、PDM生成回路308に入力される。この乗算回路304による乗算後の第2副走査基準データDref2’は、15bit(=8bit+7bit)のデジタル信号である。なお、乗算回路304もまた、ASIC14fにより構成される。
【0067】
PDM生成回路308は、これに入力される第2副走査基準データDref2’に応じたパルス列の信号であるPDM信号Pref2を生成する。このようなPDM生成回路308もまた、第1基準信号生成回路200のPDM生成回路206と同様、公知の技術により実現されるので、その詳細な説明は省略する。このPDM生成回路308により生成されたPDM信号Pref2は、フィルタ回路310に入力される。なお、PDM生成回路308もまた、ASIC14fにより構成される。
【0068】
フィルタ回路310は、第1基準信号生成回路200のフィルタ回路208と同様、1段または2段以上のRCローパスフィルタ回路であり、当該フィルタ回路310に入力されるPDM信号Pref2にローパスフィルタ処理を施す。これにより、PDM信号Pref2がアナログ信号に変換され、つまり前述の副走査基準値に相対出力差補正値が加味された信号レベルのアナログ信号が生成される。このアナログ信号が、第2基準信号Vref2として、分圧回路140を介してレーザドライバ110の第2出力制御端子Vcnt2に入力される。
【0069】
さらに、シェーディング補正信号Vshdを生成するために、図7に示されるようなシェーディング補正信号生成回路400が設けられる。このシェーディング補正信号生成回路400は、シェーディング補正テーブル402を有する。このシェーディング補正テーブル402には、前述のシェーディング補正値が記憶される。すなわち、シェーディング補正値は、シェーディング補正テーブル402に纏められた状態で、EEPROM14eに記憶される。
【0070】
シェーディング補正テーブル402(EEPROM14e)に記憶されたシェーディング補正値は、前述の如く主走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置に応じて、当該シェーディング補正テーブル402から順次読み出される。言い換えれば、シェーディング補正テーブル402に記憶されたシェーディング補正値は、第1副走査基準テーブル202および第2副走査基準テーブル302のそれぞれからの副走査基準値の読み出し周期よりも短い周期で、当該シェーディング補正テーブル402から読み出される。そして、シェーディング補正テーブル402から読み出されたシェーディング補正値、言わばシェーディング補正データDshdは、PDM生成回路404に入力される。なお、シェーディング補正データDshdは、たとえば8bitのデジタル信号である。
【0071】
PDM生成回路404は、これに入力されるシェーディング補正データDshdに応じたパルス列の信号であるPDM信号Pshdを生成する。このようなPDM生成回路404もまた、前述の各PDM生成回路206および308と同様、公知の技術により実現されるので、その詳細な説明は省略する。このPDM生成回路404により生成されたPDM信号Pshdは、フィルタ回路406に入力される。なお、PDM生成回路404もまた、ASIC14fにより構成される。
【0072】
フィルタ回路406は、たとえば1段または2段以上のRCローパスフィルタ回路であり、当該フィルタ回路406に入力されるPDM信号Pshdにローパスフィルタ処理を施す。これにより、PDM信号Pshdがアナログ信号に変換され、つまりシェーディング補正値に応じた信号レベルのアナログ信号が生成される。このアナログ信号が、シェーディング補正信号Vshdとして、レーザドライバ110の出力電流設定端子RSに入力される。このフィルタ回路406についても、RCローパスフィルタ回路に限らず、LCローパスフィルタ回路やアクティブフィルタ回路などであってもよいが、回路構成の簡素さやコストなどの観点から、当該RCローパスフィルタが好適である。
【0073】
このように、本第1実施例によれば、第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104の相対出力差がデジタル演算により補正される。したがって、たとえば図4に示される構成におけるような可変抵抗器146が不要であり、その分、光源部14cの小型化および低コスト化が図られる。また、相対出力差を補正するための相対出力差補正値(相対出力差補正テーブル306)は、シェーディング補正値(シェーディング補正テーブル402)などと共通のEEPROM14eに記憶されるので、このこともまた、光源部14cの小型化および低コスト化に大きく貢献する。
【0074】
さらに、本第1実施例によれば、たとえば第1レーザダイオード102の発光パワーの制御に供される第1基準信号Vref1は、第1基準信号生成回路200により生成され、とりわけPDM生成回路206から出力されるPDM信号Pref1にフィルタ回路208によるローパスフィルタ処理が施されることにより生成される。この第1基準信号Vref1には、PDM生成回路206の動作に起因するリップルが重畳するが、このリップルの振幅が小さいことが、詳しくは潜像に特段な影響を与えず、ひいては最終的に形成される画像に特段な影響を与えない程度に小さいことが、実験により確認された。
【0075】
併せて、シェーディング補正信号Vshdも、第1レーザダイオード102の発光パワーの制御に供されるが、このシェーディング補正信号Vshdは、シェーディング補正信号生成回路400により生成され、とりわけPDM生成回路404から出力されるPDM信号Pshdにフィルタ回路406によるローパスフィルタ処理が施されることにより生成される。このシェーディング補正信号Vshdにも、PDM生成回路404の動作に起因するリップルが重畳するが、このリップルの振幅もまた小さいことが、詳しくは潜像および最終的に形成される画像に特段な影響を与えない程度に小さいことが、実験により確認された。
【0076】
そして、第2レーザダイオード104の発光パワーの制御に供される第2基準信号Vref2は、第2基準信号生成回路300により生成され、とりわけPDM生成回路308から出力されるPDM信号Pref2にフィルタ回路310によるローパスフィルタ処理が施されることにより生成される。この第2基準信号Vref2にも、PDM生成回路308の動作に起因するリップルが重畳するが、このリップルの振幅もまた小さいことが、詳しくは潜像および最終的に形成される画像に特段な影響を与えない程度に小さいことが、実験により確認された。
【0077】
併せて、シェーディング補正信号Vshdも、第2レーザダイオード104の発光パワーの制御に供され、このシェーディング補正信号Vshdにも、前述の如くリップルが重畳する。その一方で、このシェーディング補正信号Vshdに重畳されるリップルもまた、潜像および最終的に形成される画像に特段な影響を与えないことが、実験により確認された。
【0078】
なお、本第1実施例におけるレーザドライバ110は、本発明に係る駆動手段の一例である。そして、第1基準信号生成回路200は、本発明に係る第1生成手段の一例であり、とりわけ特定生成手段の一例である。すなわち、第1レーザダイオード102は、本発明に係る特定素子の一例である。そして、第1基準信号生成回路200のPDM生成回路206は、本発明に係る第2パルス生成手段の一例であり、当該第1基準信号生成回路200のフィルタ回路208は、本発明に係る第2フィルタ手段の一例である。また、第1副走査基準テーブル202に記憶される副走査基準値、厳密には副走査方向における各位置に対応する当該副走査基準値は、本発明に係る所定値の一例である。
【0079】
さらに、本第1実施例における第2基準信号生成回路300は、本発明に係る第1生成手段の一例であり、とりわけ補正並行手段の一例である。そして、相対出力差補正テーブル306に記憶される相対出力差補正値は、本発明に係る第1補正値の一例である。また、第2副走査基準テーブル302に記憶される副走査基準値は、前述の第1副走査基準テーブル202に記憶される副走査基準値と同様、本発明に係る所定値の一例である。そして、第2基準信号生成回路300の乗算回路304、PDM生成回路308およびフィルタ回路310は、それぞれ本発明に係る第1乗算手段、第1パルス生成手段および第1フィルタ手段の一例である。
【0080】
加えて、本第1実施例におけるシェーディング補正信号生成回路400は、本発明に係る第2生成手段の一例である。そして、シェーディング補正テーブル402に記憶されるシェーディング補正値は、本発明に係る第2補正値の一例である。また、シェーディング補正信号生成回路400のPDM生成回路404およびフィルタ回路406は、それぞれ本発明に係る第3パルス生成手段および第3フィルタ手段の一例である。
【0081】
本第1実施例においては、第2副走査基準テーブル302から読み出される副走査基準値(Dref2)が、第1副走査基準テーブル202から読み出される副走査基準値(Dref1)の次のラインに対応する値とされたが、これに限らない。たとえば、第2副走査基準テーブル302から読み出される副走査基準値(Dref2)と、第1副走査基準テーブル202から読み出される副走査基準値(Dref1)とは、互いに同じラインに対応する値とされてもよく、つまり同じ値とされてもよい。
【0082】
また、第1基準信号生成回路200の乗算回路204およびPDM生成回路206は、ASIC14fという1つの要素(集積回路)により構成されたが、たとえば互いに別々の要素により構成されてもよい。第2基準信号生成回路300の乗算回路304およびPDM生成回路308についても同様に、ASIC14fにより構成されたが、互いに別々の要素により構成されてもよい。さらに、シェーディング補正信号生成回路400のPDM生成回路404についても、ASIC14fとは別の要素により構成されてもよい。ただし、これらの回路204、206、304、308および404がASIC14fにより構成されることで、光源部14cを含む露光装置14bの小型化および低コスト化が図られる。
【0083】
そして、第1基準信号生成回路200の第1副走査基準テーブル202と、第2基準信号生成回路300の第2副走査基準テーブル302および相対出力差補正テーブル306と、シェーディング補正信号生成回路400のシェーディング補正テーブル402とは、EEPROM14eという1つの記憶手段に記憶されたが、これに限らない。すなわち、これらのテーブル202、302、306および402の一部または全部は、互いに別々の記憶手段に記憶されてもよい。また、記憶手段として、フラッシュメモリなどのEEPROM14a以外の不揮発性の半導体メモリが採用されてもよい。
【0084】
さらに、各テーブル202、302、306および402の一部または全部については、たとえば複合機20の電源がオンされるときに、ASIC14f内の不図示のRAMやレジスタなどの記憶部に記憶されてもよい。そして、ASIC14f内の記憶部に記憶されたそれぞれのテーブル202、302、306または402から、当該それぞれのテーブル202、302、306または402内の値が読み出されてもよい。
【0085】
加えて、第1基準信号生成回路200により生成される第1基準信号Vref1が分圧回路130を介さずに直接的にレーザドライバ110の第1出力制御端子Vcnt1に入力されるように、当該第1基準信号生成回路200が構成されてもよい。この構成によれば、分圧回路130が不要となる。これと同様に、第2基準信号生成回路300により生成される第2基準信号Vref2が分圧回路140を介さずに直接的にレーザドライバ110の第2出力制御端子Vcnt2に入力されるように、当該第2基準信号生成回路300が構成されてもよい。この構成によれば、分圧回路140が不要となる。
【0086】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、説明する。
【0087】
本第2実施例においては、光源部14cが、図8に示されるように構成される。この図8に示される構成によれば、第1実施例(図3)における可変抵抗器120に代えて、固定抵抗器122が設けられる。すなわち、フォトダイオード108の感度が固定される。
【0088】
その上で、第1基準信号生成回路200が、図9に示されるように構成される。この図9に示される構成によれば、第1実施例(図5)におけるダミーデータDdumに代えて、第1補正テーブル220から読み出される第1補正データDcrc1が、乗算回路204に入力される。すなわち、第1補正テーブル220が設けられる。
【0089】
併せて、第2基準信号生成回路300が、図10に示されるように構成される。この図10に示される構成によれば、第1実施例(図6)における相対出力差補正テーブル306に代えて、第2補正テーブル320が設けられる。そして、第2補正テーブル320から読み出される第2補正データDcrc2が、乗算回路304に入力される。
【0090】
なお、本第2実施例におけるこれ以外の構成は、第1実施例と同様である。したがって、本第2実施例における第1実施例と同様の部分には、当該第1実施例におけるのと同一の符号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
【0091】
さて、本第2実施例によれば、前述の如くフォトダイオード108の感度が固定される。その上で、第1基準信号生成回路200は、第1レーザダイオード102を所期のパワーで発光させるとともに、当該第1レーザダイオード102と第2レーザダイオード104との相対出力差を補正することのできる、第1基準信号Vref1を生成する。併せて、第2基準信号生成回路300は、第2レーザダイオード104を所期のパワーで発光させるとともに、当該第2レーザダイオード104と第1レーザダイオード102との相対出力差を補正することのできる、第2基準信号Vref2を生成する。
【0092】
そのために、図9に示される第1基準信号生成回路200については、第1補正テーブル220に、第1補正値が記憶される。この第1補正値は、予め実験により得られる。具体的には、図8に示される構成において、第1画像信号S1として、前述のテスト用画像信号が、レーザドライバ110の第1画像信号入力端子IN1に入力される。一方、第2画像信号入力端子IN2へは、第2画像信号S2が非入力とされる。併せて、第2基準信号Vref2の信号レベルが、0Vとされる。さらに、シェーディング補正信号Vshdの信号レベルが、0Vとされる。この状態で、フォトダイオード108からモニタ端子PDに入力されるモニタ信号の信号レベルが前述のモニタ基準レベルとなるように、第1基準信号Vref1の信号レベルが調整される。このときの第1基準信号Vref1の信号レベルから前述のテスト用レベルが差し引かれたレベルに対応する値が、第1補正値とされる。この第1補正値は、第1補正テーブル220に記憶され、詳しくは当該第1補正テーブル220に纏められた状態でEEPROM14eに記憶される。
【0093】
第1補正テーブル220に記憶された第1補正値は、第1副走査基準テーブル202からの副走査基準値の読み出しタイミングに同期して、当該第1補正テーブル220から読み出される。この第1補正テーブル220から読み出された第1補正値は、前述の第1補正データDcrc1として、乗算回路204に入力される。第1補正データDcrc1は、7bitのデジタル信号である。これ以降は、第1実施例と同様の要領で、第1基準信号Vref1が生成される。
【0094】
そして、図10に示される第2基準信号生成回路300については、第2補正テーブル320に、第2補正値が記憶される。この第2補正値もまた、予め実験により得られる。具体的には、図8に示される構成において、第2画像信号S2として、前述のテスト用画像信号が、レーザドライバ110の第2画像信号入力端子IN2に入力される。一方、第1画像信号入力端子IN1へは、第1画像信号S1が非入力とされる。併せて、第1基準信号Vref1の信号レベルが、0Vとされる。さらに、シェーディング補正信号Vshdの信号レベルが、0Vとされる。この状態で、フォトダイオード108からモニタ端子PDに入力されるモニタ信号の信号レベルが前述のモニタ基準レベルとなるように、第2基準信号Vref2の信号レベルが調整される。このときの第2基準信号Vref2の信号レベルから前述のテスト用レベルが差し引かれたレベルに対応する値が、第2補正値とされる。この第2補正値は、第2補正テーブル320に記憶され、詳しくは当該第2補正テーブル320に纏められた状態でEEPROM14eに記憶される。
【0095】
第2補正テーブル320に記憶された第2補正値は、第2副走査基準テーブル302からの副走査基準値の読み出しタイミングに同期して、当該第2補正テーブル320から読み出される。この第2補正テーブル320から読み出された第2補正値は、前述の第2補正データDcrc2として、乗算回路304に入力される。第2補正データDcrc2もまた、7bitのデジタル信号である。これ以降は、第1実施例と同様の要領で、第2基準信号Vref2が生成される。
【0096】
このような構成の本第2実施例によっても、第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104の相対出力差が補正される。すなわち、第1基準信号生成回路200および第2基準信号生成回路300の両方によるデジタル演算により、相対出力差が補正される。
【0097】
なお、本第2実施例における第1基準信号生成回路200および第2基準信号生成回路300は、いずれも本発明に係る第1生成手段の一例であり、とりわけ補正並行手段の一例である。
【0098】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について、説明する。
【0099】
本第3実施例においては、光源部14cが、図11に示されるように構成される。この図11に示される構成によれば、第1実施例(図3)におけるレーザドライバ110に代えて、つまり出力電流設定端子RSを備えるレーザドライバ110に代えて、当該出力電流設定端子RSを備えないレーザドライバ110aが設けられる。すなわち、本第3実施例においては、シェーディング補正信号Vshdの入力を受け付ける出力電流設定端子RSが存在しない。
【0100】
その上で、第1基準信号Vref1に、シェーディング補正値が盛り込まれ、厳密には当該シェーディング補正値に応じた成分が盛り込まれる。併せて、第2基準信号Vref2にも、シェーディング補正値が盛り込まれ、厳密には当該シェーディング補正値に応じた成分が盛り込まれる。
【0101】
そのために、第1基準信号生成回路200が、図12に示されるように構成される。この図12に示される構成によれば、第1実施例(図5)における構成に加えて、シェーディング補正テーブル230および乗算回路232が設けられる。
【0102】
シェーディング補正テーブル230は、第1実施例(図7)におけるシェーディング補正テーブル402と同様の要素である。すなわち、シェーディング補正テーブル230には、シェーディング補正値が記憶される。厳密に言えば、シェーディング補正値は、シェーディング補正テーブル230に纏められた状態で、EEPROM14eに記憶される。
【0103】
シェーディング補正テーブル230(EEPROM14e)に記憶されたシェーディング補正値は、主走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置に応じて、当該シェーディング補正テーブル230から順次読み出される。このシェーディング補正テーブル230から読み出されたシェーディング補正値、つまりシェーディング補正データDshdは、乗算回路232に入力される。なお、シェーディング補正データDshdは、たとえば8bitのデジタル信号である。
【0104】
乗算回路232には、シェーディング補正データDshdに加えて、乗算回路204による乗算後の第1副走査基準データDref1’が入力される。乗算回路232は、これらシェーディング補正データDshdと第1副走査基準データDref1’とを乗算して、第1基準データDref1”を生成する。この第1基準データDref1”は、つまりシェーディング補正値を含む第1基準データDref1”は、PDM生成回路206に入力される。この第1基準データDref1”は、23bit(=8bit+15bit)のデジタル信号である。これ以降は、第1実施例と同様の要領で、第1基準信号Vref1が生成される。なお、乗算回路232もまた、ASIC14fにより構成される。
【0105】
併せて、第2基準信号生成回路300が、図13に示されるように構成される。この図13に示される構成によれば、第1実施例(図6)における構成に加えて、シェーディング補正テーブル330および乗算回路332が設けられる。
【0106】
シェーディング補正テーブル330は、第1実施例(図7)におけるシェーディング補正テーブル402と同様の要素であり、換言すれば図12におけるシェーディング補正テーブル230と同様の要素である。このシェーディング補正テーブル330には、シェーディング補正値が記憶される。厳密に言えば、シェーディング補正値は、シェーディング補正テーブル330にも纏められた状態で、EEPROM14eに記憶される。
【0107】
シェーディング補正テーブル330(EEPROM14e)に記憶されたシェーディング補正値は、主走査方向における感光体ドラム14aの表面に対するレーザ光の照射位置に応じて、当該シェーディング補正テーブル330から順次読み出される。このシェーディング補正テーブル330から読み出されたシェーディング補正値、つまりシェーディング補正データDshdは、乗算回路332に入力される。なお、シェーディング補正データDshdは、たとえば8bitのデジタル信号である。
【0108】
乗算回路332には、シェーディング補正データDshdに加えて、乗算回路304による乗算後の第2副走査基準データDref2’が入力される。乗算回路332は、これらシェーディング補正データDshdと第2副走査基準データDref2’とを乗算して、第2基準データDref2”を生成する。この第2基準データDref2”は、つまりシェーディング補正値を含む第2基準データDref2”は、PDM生成回路308に入力される。この第2基準データDref2”は、23bit(=8bit+15bit)のデジタル信号である。これ以降は、第1実施例と同様の要領で、第2基準信号Vref2が生成される。なお、乗算回路332もまた、ASIC14fにより構成される。
【0109】
なお、本第3実施例においては、第1実施例におけるようなシェーディング補正信号生成回路400(図7)は設けられない。本第3実施例におけるこれ以外の構成は、第1実施例と同様である。したがって、本第3実施例における第1実施例と同様の部分には、当該第1実施例におけるのと同一の符号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
【0110】
このように、本第3実施例においては、出力電流設定端子RSを備えないレーザドライバ110aが、採用される。そのために、第1基準信号Vref1および第2基準信号Vref2のそれぞれにシェーディング補正値が盛り込まれる。このような構成の本第3実施例によっても、主走査方向における不均一であるシェーディングが補正されるとともに、副走査方向における不均一が補正され、さらに、第1レーザダイオード102および第2レーザダイオード104の相対出力差が補正される。
【0111】
本第3実施例における第1基準信号生成回路200の乗算回路232、PDM生成回路206およびフィルタ回路208は、それぞれ本発明に係る第2乗算手段、第4パルス生成手段および第4フィルタ手段の一例である。
【0112】
また、本第3実施例においても、第2実施例におけるのと同様の技術が適用されてもよい。すなわち、本第3実施例においても、第1基準信号生成回路200および第2基準信号生成回路300の両方により、相対出力差を補正するためのデジタル演算が行われてもよい。
【0113】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について、説明する。
【0114】
本第4実施例は、第3実施例の改良例であり、とりわけ第1基準信号生成回路200および第2基準信号生成回路300の改良例である。
【0115】
具体的には、第3実施例における第1基準信号生成回路200(図12)の構成では、PDM生成回路206の動作に起因するリップルが、潜像に影響し、ひいては最終的に形成される画像に影響する虞がある。これと同様に、第3実施例における第2基準信号生成回路300(図13)の構成でも、PDM生成回路308の動作に起因するリップルが、潜像および最終的に形成される画像に影響する虞がある。
【0116】
より具体的に説明すると、第3実施例における第1基準信号生成回路200(図12)では、23bitというデータ長の第1基準データDref1”がPDM生成回路206に入力される。これに対して、たとえば第1実施例における第1基準信号生成回路200(図5)では、15bitというデータ長の第1副走査基準データDref1’がPDM生成回路206に入力される。ここで、PDM生成回路206は、これに入力されるデータのデータ長に応じた分解能を持ち、換言すればそのような構成とする。すなわち、第3実施例(図12)におけるPDM生成回路206は、第1実施例(図5)におけるPDM生成回路206よりも高い分解能を持つ。
【0117】
その一方で、PDM生成回路206の分解能が高いほど、とりわけ当該PDM生成回路206により生成されるPDM信号Pref1の単位時間当たりのパルス数が少ないほど(そうなるようなデータがPDM生成回路206に入力されるときに)、当該PDM信号Pref1のパルス幅が大きくなる。このようなパルス幅の大きいPDM信号Pref1を、フィルタ回路208により忠実にアナログ信号に変換するには、当該フィルタ回路208として、時定数の大きいものが必要となる。
【0118】
ところが、第3実施例における第1基準信号生成回路200(図12)のフィルタ回路208の時定数は、シェーディング補正値の変化に合わせなければならないことから、たとえば第1実施例におけるシェーディング補正信号生成回路400のフィルタ回路406の時定数と同様の小さい値とする必要があり、つまり第1実施例における第1基準生成信号生成回路200(図5)のフィルタ回路208の時定数よりも小さい。このため、第3実施例における第1基準信号生成回路200(図12)では、PDM生成回路206により生成されるPDM信号Pref1を、フィルタ回路208により忠実にアナログ信号に変換することができない場合がある。そのような場合に、比較的に大きな振幅のリップルが発生し、このリップルが、潜像および最終的に形成される画像に影響する虞がある。
【0119】
このことは、第3実施例における第2基準信号生成回路300(図13)についても、同様である。
【0120】
そこで、本第4実施例においては、第1基準信号生成回路200が、図14に示されるように構成される。この図14に示される構成によれば、第3実施例における第1基準信号生成回路200(図12)に加えて、2つの丸め処理回路240および242が設けられる。これらの丸め処理回路240および242もまた、ASIC14fにより構成される。
【0121】
一方の丸め処理回路240は、2つの乗算回路204および232の間に設けられる。この丸め処理回路240には、乗算回路204による乗算後の第1副走査基準データDref1’が、つまり15bitというデータ長の第1副走査基準データDref1’が、入力される。丸め処理回路240は、これに入力される第1副走査基準データDref1’に公知の丸め処理を施すことで、たとえば4ビットの丸め幅で半数切り上げ処理を施すことで、当該第1副走査基準データDref1’のデータ長を15bitから11bitに短縮化する。すなわち、丸め処理回路240は、第1副走査基準データDref1’の最上位ビットから12ビット目が“1”である場合に、当該最上位ビットから11ビット目に“1”を加算した上で、当該最上位ビットから12ビット目以下(つまり下位4ビット)を切り捨てる。一方、第1副走査基準データDref1’の最上位ビットから12ビット目が“0”である場合には、丸め処理回路240は、そのまま当該最上位ビットから12ビット目以下を切り捨てる。この丸め処理回路240による丸め処理後の第1副走査基準データaDref1’が、乗算回路232に入力される。
【0122】
乗算回路232は、これに入力されるシェーディング補正データDshdと丸め処理後の第1副走査基準データaDref1’とを乗算して、第1基準データDref1”を生成する。この第1基準データDref1”は、他方の丸め処理回路242に入力される。なお、第1基準データDref1”のデータ長は、19bit(=8bit+11bit)である。
【0123】
丸め処理回路242は、これに入力される第1基準データDref1”に丸め処理を施すことで、たとえば8ビットの丸め幅で半数切り上げ処理を施すことで、当該第1基準データDref1”のデータ長を19bitから11bitに短縮化する。すなわち、丸め処理回路242は、第1基準データDref1”の最上位ビットから12ビット目が“1”である場合に、当該最上位ビットから11ビット目に“1”を加算した上で、当該最上位ビットから12ビット目以下(つまり下位8ビット)を切り捨てる。一方、第1基準データDref1”の最上位ビットから12ビット目が“0”である場合には、丸め処理回路242は、そのまま当該最上位ビットから12ビット目以下を切り捨てる。この丸め処理回路242による丸め処理後の第1基準データaDref1”が、PDM生成回路206に入力される。
【0124】
このように、データ長が短縮化された第1基準データaDref1”がPDM生成回路206に入力されることで、当該PDM生成回路206の分解能の低減が図られる。この結果、PDM信号Pref1のパルス間隔が狭められ、時定数の小さいフィルタ回路208であっても、当該PDM信号Pref1を忠実にアナログ信号に変換することができる。これにより、前述のリップルの振幅が抑えられ、当該リップルによる潜像および最終的に形成される画像への影響が確実に(皆無な程度にまで)抑制される。
【0125】
これと同様に、第2基準信号生成回路300については、図15に示されるように構成される。この図15に示される構成によれば、第3実施例における第2基準信号生成回路300(図13)に加えて、2つの丸め処理回路340および342が設けられる。
【0126】
一方の丸め処理回路340は、2つの乗算回路304および332の間に設けられる。この丸め処理回路340には、乗算回路304による乗算後の第2副走査基準データDref2’が、つまり15bitというデータ長の第2副走査基準データDref2’が、入力される。丸め処理回路340は、これに入力される第2副走査基準データDref2’に丸め処理を施すことで、詳しくは第1基準信号生成回路300の丸め処理回路240と同様の半数切り上げ処理を施すことで、当該第2副走査基準データDref2’のデータ長を15bitから11bitに短縮化する。この丸め処理回路340による丸め処理後の第2副走査基準データaDref2’が、乗算回路332に入力される。
【0127】
乗算回路332は、これに入力されるシェーディング補正データDshdと丸め処理後の第2副走査基準データaDref2’とを乗算して、第2基準データDref2”を生成する。この第2基準データDref2”は、他方の丸め処理回路342に入力される。なお、第2基準データDref2”のデータ長は、19bit(=8bit+11bit)である。
【0128】
丸め処理回路342は、これに入力される第2基準データDref2”に丸め処理を施すことで、詳しくは第1基準信号生成回路300の丸め処理回路242と同様の半数切り上げ処理を施すことで、当該第2基準データDref2”のデータ長を19bitから11bitに短縮化する。この丸め処理回路342による丸め処理後の第2基準データaDref2”が、PDM生成回路308に入力される。
【0129】
このように、データ長が短縮化された第2基準データaDref2”がPDM生成回路308に入力されることで、当該PDM生成回路308の分解能の低減が図られる。この結果、前述のリップルによる潜像および最終的に形成される画像への影響が確実に抑制される。
【0130】
なお、本第4実施例における、とりわけ第1基準信号生成回路200(図14)における、2つの丸め処理回路240および242は、本発明に係る第1丸め処理手段の一例である。これら2つの丸め処理回路240および242は、それぞれ4ビットおよび8ビットという丸め幅を有するが、これらの丸め幅の値(ビット数)は、特段に限定されない。ただし、いずれの丸め幅も、第1基準信号生成回路200により最終的に生成される第1基準信号Vref1に影響しない程度の値に設定されるのが、たとえば雑音成分を排除する程度の値に設定されるのが、肝要である。また、いずれか一方の丸め処理回路240または242のみが設けられてもよいが、リップルの影響を低減しつつ、所期の第1基準信号Vref1が得られるようにするには、本第4実施例の如く2つの丸め処理回路240および242が設けられるのが(つまり分散して丸め処理が施されるのが)、望ましい。さらに、各丸め処理回路240および242は、ASIC14fにより構成されたが、互いに別々の要素により構成されてもよい。加えて、各丸め処理回路240および242のそれぞれによる丸め処理として、半数切り上げ処理が採用されたが、丸め幅に応じた下位のビットを単に切り捨てる、切り捨て処理が採用されてもよい。
【0131】
そして、第2基準信号生成回路300(図15)における、2つの丸め処理回路340および342は、本発明に係る第2丸め処理手段の一例である。これら2つの丸め処理回路340および342についても、第1基準信号生成回路200における2つの丸め処理回路240および242と同様、それぞれの丸め幅は限定されず、また、いずれか一方が設けられてもよく、さらには、互いに別々の要素により構成されてもよい。加えて、各丸め処理回路340および342のそれぞれによる丸め処理として、半数切り上げ処理に代えて、切り捨て処理が採用されてもよい。
【0132】
このような本第4実施例においても、第2実施例におけるのと同様の技術が適用されてもよい。すなわち、本第4実施例においても、第1基準信号生成回路200および第2基準信号生成回路300の両方により、相対出力差を補正するためのデジタル演算が行われてもよい。
【0133】
[第5実施例]
次に、本発明の第5実施例について、説明する。
【0134】
本第5実施例は、第4実施例のさらなる改良例であり、とりわけ第1基準信号生成回路200および第2基準信号生成回路300のさらなる改良例である。
【0135】
具体的には、本第5実施例においては、第1基準信号生成回路200が、図16に示されるように構成される。この図16に示される構成によれば、第4実施例における第1基準信号生成回路200(図14)に加えて、第1加算手段としての加算回路250が設けられる。この加算回路250もまた、ASIC14fにより構成される。
【0136】
より具体的には、加算回路250は、シェーディング補正テーブル230と乗算回路232との間に設けられる。そして、加算回路250には、シェーディング補正テーブル230から読み出されたシェーディング補正データDshdが入力される。併せて、加算回路250には、十進数で“255”という値を表す加算データDaddが入力される。なお、加算データDaddは、ASIC14fにより生成される。言い換えれば、加算データDaddを生成するための不図示の加算データ生成回路が、ASIC14fにより構成される。
【0137】
加算回路250は、これに入力されるシェーディング補正データDshdと加算データDaddとを加算し、言わばシェーディング補正データDshdに1ビット分のゲタを履かせる。このような加算回路250は、公知の技術により実現されるので、その詳細な説明は省略する。この加算回路250による加算後のシェーディング補正データDshd’が、つまり9bitのデータ長とされたシェーディング補正データDshd’が、乗算回路232に入力される。これ以降は、第4実施例と同様の要領で、第1基準信号Vref1が生成される。ただし、本第5実施例における丸め処理回路242は、9ビットの丸め幅で丸め処理を行う。
【0138】
これと同様に、本第5実施例における第2基準信号生成回路300は、図17に示されるように構成される。この図17に示される構成によれば、第4実施例における第2基準信号生成回路300(図15)に加えて、第2加算手段としての加算回路350が設けられる。この加算回路350もまた、ASIC14fにより構成される。
【0139】
より具体的には、加算回路350は、シェーディング補正テーブル330と乗算回路332との間に設けられる。そして、加算回路350には、シェーディング補正テーブル330から読み出されたシェーディング補正データDshdが入力される。併せて、加算回路350には、前述の加算データDaddが入力される。
【0140】
加算回路350は、これに入力されるシェーディング補正データDshdと加算データDaddとを加算する。この加算回路350による加算後のシェーディング補正データDshd’が、つまり9bitのデータ長とされたシェーディング補正データDshd’が、乗算回路332に入力される。これ以降は、第4実施例と同様の要領で、第2基準信号Vref2が生成される。ただし、本第5実施例における丸め処理回路342は、9ビットの丸め幅で丸め処理を行う。
【0141】
このような構成の本第5実施例によれば、シェーディング補正データDshdに1ビット分のゲタが履かせられることで、シェーディング補正の分解能が高くなり、たとえば第4実施例の2倍になる。この結果、第4実施例に比べて、より高精度なシェーディング補正が実現される。
【0142】
なお、加算データDaddの値は、十進数の“255”という値に限らず、つまり1ビット分の値に限らない。ただし、この加算データDaddの値が大きいほど、シェーディング補正が可能な幅(レンジ)が小さくなるので、このことを考慮して、当該加算データDaddの値が定められることが、肝要である。
【0143】
また、本第5実施例においても、第2実施例におけるのと同様の技術が適用されてもよい。すなわち、本第5実施例においても、第1基準信号生成回路200および第2基準信号生成回路300の両方により、相対出力差を補正するためのデジタル演算が行われてもよい。
【0144】
さらに、第1実施例~第3実施例においても、本第5実施例と同様の技術が適用されてもよい。すなわち、第1実施例~第3実施例においても、本第5実施例におけるのと同様の加算回路が設けられることで、より高精度なシェーディング補正が実現されるように構成されてもよい。
【0145】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0146】
たとえば、マルチビーム光源100として、2つのレーザダイオード102および104を有するものを例示したが、これに限らない。すなわち、3つ以上のレーザダイオードを有するマルチビーム光源についても、本発明を適用することができる。
【0147】
また、レーザダイオード以外の発光素子を有するマルチビーム光源についても、本発明を適用することができる。
【0148】
さらに、本発明は、複合機10に限らず、コピー機やプリンタなどの当該複合機10以外の画像形成装置にも、適用することができる。
【0149】
そして、本発明は、マルチビーム光源駆動装置として提供することもできるし、マルチビーム光源駆動方法として提供することもできる。
【符号の説明】
【0150】
10 … 複合機
14 … 画像形成部
14a … 感光体ドラム
14b … 露光装置
14c … 光源部
14d … 偏向部
100 … マルチビーム光源
102、104 … レーザダイオード
110、110a … レーザドライバ
200 … 第1基準信号生成回路
206、308、404 … PDM生成回路
208、310、406 … フィルタ回路
300 … 第2基準信号生成回路
232、304、332 … 乗算回路
240、242、340、342 … 丸め処理回路
400 … シェーディング補正信号生成回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17