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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/54 20060101AFI20240228BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240228BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
E06B9/54
E06B9/58 A
E06B9/42 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020117561
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022014993
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 真実
(72)【発明者】
【氏名】高山 幸久
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-57232(JP,A)
【文献】特開2004-308170(JP,A)
【文献】特開2018-115472(JP,A)
【文献】特開2004-156393(JP,A)
【文献】実開昭63-122597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/54
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取軸と、
前記巻取軸に対して繰出し及び巻取り可能に取り付けられ、前記巻取軸に対する繰出方向及び巻取方向に沿う一対の縁部のそれぞれにファスナ部材が設けられたスクリーンと、
前記ファスナ部材を抜け止めするストッパ部と、前記スクリーンの前記縁部が摺動可能に挿通されるスリット溝と、を有し、前記スクリーンをスライド可能に保持する一対のガイドレールと、
を備えるスクリーン装置であって、
少なくとも一方の前記ガイドレールの前記ストッパ部から連続するように前記巻取軸との間に設けられ、前記ファスナ部材が摺動可能な補助ガイド部を備え、
前記補助ガイド部は、前記巻取方向に向かって次第に他方のガイドレールから離間する外側方向へと傾斜した第1テーパ部を有する
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーン装置であって、
前記一対のガイドレールが装着される一対の枠材と、
前記巻取軸を軸周りに回転可能に支持し、該巻取軸に巻き取られた前記スクリーンを収納する収納ボックスと、
前記補助ガイド部を有し、前記枠材又は前記収納ボックスに取り付けられた補助ガイド部品と、
を備えることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスクリーン装置であって、
前記枠材は、金属製の押出形材であり、
前記補助ガイド部品は、樹脂製の成形部品である
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のスクリーン装置であって、
前記補助ガイド部は、さらに、前記第1テーパ部と前記ストッパ部との間で前記巻取方向に沿って延在し、前記ファスナ部材の前記ストッパ部から前記第1テーパ部への移動をガイドするテーパ導入部を有することを特徴とするスクリーン装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のスクリーン装置であって、
前記補助ガイド部は、さらに、前記第1テーパ部と前記巻取軸との間に設けられ、前記繰出方向に向かって次第に前記外側方向へと傾斜した第2テーパ部を有することを特徴とするスクリーン装置。
【請求項6】
請求項1に記載のスクリーン装置であって、
前記巻取軸を軸周りに回転可能に支持し、該巻取軸に巻き取られた前記スクリーンを収納する収納ボックスを備え、
前記補助ガイド部は、前記収納ボックスと一体成形されていることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のスクリーン装置であって、
当該スクリーン装置は、前記巻取軸の軸方向が上下方向に沿って配置され、前記スクリーンが横方向にスライドする横引き式であり、
前記補助ガイド部は、前記スクリーンの前記一対の縁部のうち、少なくとも上側の縁部をガイドするように左右方向に沿って配設された上側のガイドレールと前記巻取軸との間に設けられていることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のスクリーン装置であって、
当該スクリーン装置は、前記巻取軸の軸方向が左右方向に沿って配置され、前記スクリーンが上下方向にスライドする上げ下げ式であり、
前記補助ガイド部は、前記スクリーンの前記一対の縁部のうち、少なくとも一方の縁部をガイドするように上下方向に沿って配設されたガイドレールと前記巻取軸との間に設けられていることを特徴とするスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取軸に対して繰出し及び巻取り可能に取り付けられたスクリーンを備えるスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、防虫、遮光、断熱、目隠し等のためのネット等のスクリーンをロール式に巻取るスクリーン装置がある(例えば、特許文献1参照)。この種のスクリーン装置は、巻取軸に繰出し及び巻取り可能に取り付けられたスクリーンと、スクリーンのスライドをガイドする一対のガイドレールと、を備える。スクリーンは、その側縁部にファスナ部材が設けられることで、各ガイドレールに形成されたスリット溝に抜け止めされた状態で摺動可能に挿通されている。ファスナ部材は、例えばスクリーンを左右にスライドさせる横引き式では、スクリーンの上下縁部にファスナ部材が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-179843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなロール式のスクリーン装置において、スクリーンの円滑なスライドを確保するためには、通常使用時にはファスナ部材がスリットの開口面(抜け止め用のストッパ部)に引きずられることを避ける必要がある。そこで、ファスナ部材は、ストッパ部から一定の隙間を介して配置されることが好ましい。
【0005】
ところが、このような構成では、強風等によりスクリーンが負荷を受けてファスナ部材が移動し、上記隙間がファスナ部材の全長方向でばらつきを生じることがある。この状態で、スクリーンが巻取軸に巻き取られると、巻取り時にスクリーンが巻取軸の軸方向に変動する、いわゆる巻きずれを生じることがある。そして、巻きずれを生じたスクリーンを巻取軸から繰出すと、展開されたスクリーンの各所にしわや撓みを生じたり、スクリーンが正確にガイドレールに保持されずに脱落したりする懸念がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、巻取軸に巻取る際のスクリーンの巻きずれの発生を抑制することができるスクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るスクリーン装置は、巻取軸と、前記巻取軸に対して繰出し及び巻取り可能に取り付けられ、前記巻取軸に対する繰出方向及び巻取方向に沿う一対の縁部のそれぞれにファスナ部材が設けられたスクリーンと、前記ファスナ部材を抜け止めするストッパ部と、前記スクリーンの前記縁部が摺動可能に挿通されるスリット溝と、を有し、前記スクリーンをスライド可能に保持する一対のガイドレールと、を備えるスクリーン装置であって、少なくとも一方の前記ガイドレールの前記ストッパ部から連続するように前記巻取軸との間に設けられ、前記ファスナ部材が摺動可能な補助ガイド部を備え、前記補助ガイド部は、前記巻取方向に向かって次第に他方のガイドレールから離間する外側方向へと傾斜した第1テーパ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、巻取軸に巻取る際のスクリーンの巻きずれの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るスクリーン装置を備えた建具の縦断面図である。
図2】スクリーン装置の斜視図である。
図3】スクリーン装置の巻取軸及びその周辺部の構成を示す斜視図である。
図4】スクリーン装置の正面図である。
図5A】ガイドレールに対応した位置でのスクリーン装置の縦断面図である。
図5B】補助ガイド部に対応した位置でのスクリーン装置の縦断面図である。
図6】ガイドレール及び補助ガイド部品の斜視図である。
図7】補助ガイド部品の断面斜視図である。
図8】上枠、ガイドレール、及び補助ガイド部品を枠内側から見た図である。
図9】補助ガイド部によるファスナ部材のガイド動作を模式的に示す側面断面図である。
図10】変形例に係る補助ガイド部によるファスナ部材のガイド動作を模式的に示す側面断面図である。
図11】第2の実施形態に係るスクリーン装置の斜視図である。
図12】スクリーン装置の側面断面図である。
図13】収納ボックスの一方のキャップ及びその周辺部の斜視図である。
図14A】ガイドレールに対応した位置でのスクリーン装置の横断面図である。
図14B】補助ガイド部に対応した位置でのスクリーン装置の横断面図である。
図15】補助ガイド部によるファスナ部材のガイド動作を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るスクリーン装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
先ず、第1の実施形態に係るスクリーン装置10について説明する。図1に示すように、本実施形態のスクリーン装置10は、窓装置12の室内側に設置され、窓装置12と共に建物躯体14に形成された開口部14aを開閉可能に塞ぐ建具16を構成する。スクリーン装置10は、窓装置12の室外側に設置されてもよい。図1では、窓装置12として開き窓を例示しているが、窓装置12は、スライディング窓や上げ下げ窓等でもよい。スクリーン装置10は、窓装置12ではなく、ドア等の室内側或いは室外側に設置されてもよい。
【0012】
スクリーン装置10は、防虫、遮光、断熱、目隠し等のために設置される。図1及び図2に示すように、本実施形態のスクリーン装置10は、ネットや織物等で形成されたスクリーン18を左右方向に繰出し及び巻取り可能な横引きロール式であり、スクリーン18として網戸用のネットを用いている。
【0013】
図1図4に示すように、スクリーン装置10は、枠体20と、枠体20に支持されたスクリーン機構部22と、を備える。
【0014】
枠体20は、スクリーン装置10の建物躯体14に対する取付部であり、スクリーン機構部22を支持している。枠体20は、上下一対の横枠である上枠24及び下枠25と、左右一対の縦枠である収納ボックス26及び側枠27と、を四周枠組みすることで矩形の開口部を形成したものである。
【0015】
本出願において、見込み方向とはスクリーン装置10の室内外方向、つまり室内から室外に向かう方向又はその逆方向(図中に矢印Zで示す方向)をいう。見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な収納ボックス26や側枠27の場合はその長手方向に直交する左右方向(図中に矢印Xで示す方向)をいい、左右方向に長尺な上枠24や下枠25の場合はその長手方向に直交する上下方向(図中に矢印Yで示す方向)をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。枠状部材の内側(内周側)とは、枠体20の枠内部分をいう。枠状部材の外側(外周側)とは、枠体20の建物躯体14側の枠外部分をいう。枠内方向とは、枠体20の枠外側から枠内側に向かう方向をいい、枠外方向とは、枠内方向の逆方向をいう。
【0016】
図2及び図5Aに示すように、上枠24は、例えばアルミニウム等の金属材料や樹脂材料の押出形材である。上枠24は、枠外側に設けられた矩形の中空部24aと、中空部24aの枠内側に設けられた開口溝24bと、を有する。中空部24aは、収納ボックス26及び側枠27との連結部となる。
【0017】
開口溝24bは、枠内方向(下向き)に開口した断面略U字状の溝部であり、スクリーン18の上縁部が配設される。開口溝24bには、後述するガイドレール28及び補助ガイド部品30(図5B参照)が挿入支持される。開口溝24bは、中空部24aの枠内側見込み面と、この枠内側見込み面の見込み方向両端部からそれぞれ枠内方向に突出した一対の突出片24c,24cとで形成されている。各突出片24cの内面、つまり開口溝24bの内側を向いた面には、互いに対向する方向に突出した突起24dがそれぞれ形成されている。
【0018】
下枠25は、上枠24と上下対称構造である以外は同一構造であるため、上枠24と同一の参照符号を付してその具体的な説明は省略する。下枠25の開口溝24bは、枠内方向(上向きに)開口しており、スクリーン18の下縁部が配設される。下枠25の開口溝24bには、後述するガイドレール29及び補助ガイド部品31が挿入支持される。
【0019】
図2図4に示すように、収納ボックス26は、スクリーン18を巻取る巻取軸32が軸周りに回転可能な状態で収納される筒体である。収納ボックス26は、上下方向に沿って延在する側壁26a及び扉体26bと、側壁26a及び扉体26bで囲まれた収納空間Sの上下開口を覆うキャップ26c,26dと、を有する。
【0020】
側壁26a及び扉体26bは、例えばアルミニウム等の金属材料や樹脂材料の押出形材である。側壁26aは、断面略L字状である。扉体26bは、側壁26aの開口を開閉可能に覆う湾曲板である(図2及び図8参照)。扉体26bは、上下方向に沿うヒンジ部26eを介して側壁26aに対して縦開き可能に取り付けられている。収納空間Sは、1つの角部にR形状を有する略矩形の断面形状を有する。巻取軸32は、収納空間Sに収納され、上下方向に沿って延在している。
【0021】
図3に示すように、上側のキャップ26cは、側壁26aの上端小口に取り付けられ、収納空間Sの上部開口を閉塞する。キャップ26cは、下面で巻取軸32の軸受部品を支持する機能も有する。キャップ26cは、樹脂製の成形部品である。キャップ26cは、カバー片34と、装着片35と、を有する。
【0022】
カバー片34は、キャップ26cの枠内側見込み面の室内側端部に設けられ、上枠24の小口端面に面している。カバー片34の上下方向寸法は、上枠24の見付け幅と略同一である。カバー片34は、上枠24の端面と当接し、上枠24の室内側見付け面の一部を覆う。装着片35は、キャップ26cの枠内側見込み面の上面側から上枠24の小口端面に向かって突出した板片である。装着片35の先端側上面には、楔状の係止片35aが突出形成されている。装着片35は、上枠24の小口から中空部24aに挿入され(図5A及び図5B参照)、係止片35aが上枠24の枠外側見込み面に形成された孔部24eの内周面に係止される。装着片35が上枠24と連結されることで、収納ボックス26が上枠24と連結される。
【0023】
図3に示すように、下側のキャップ26dは、上側のキャップ26cと上下対称構造である以外は同一構造であるため、キャップ26cと同一の参照符号を付してその具体的な説明は省略する。キャップ26dは、側壁26aの下端小口に取り付けられ、収納空間Sの下部開口を閉塞する。キャップ26dは、上面で巻取軸32の軸受部品を支持する機能も有する。キャップ26dは、樹脂製の成形部品である。キャップ26dについてもカバー片34及び装着片35を有し、装着片35が下枠25の中空部24aに挿入され(図5A及び図5B参照)、係止片25aが下枠25の枠外見込み面に形成された孔部24e(図示せず)に係止される。これにより収納ボックス26は、キャップ26dを介して下枠25と連結される。
【0024】
図2及び図4に示すように、側枠27は、例えばアルミニウム等の金属材料や樹脂材料の押出形材である。側枠27は、スクリーン機構部22の可動桟36を全閉位置に保持可能である。側枠27は、枠内側を向いて開口した収納溝27aと、室内側見付け面から枠内側に突出したカバー片27bと、を有する。
【0025】
収納溝27aは、側枠27の枠内側見込み面で枠内側を向いて開口した断面矩形状の溝部である。収納溝27aは、可動桟36の側縁部が挿抜可能である。カバー片27bは、側枠27の枠内側見込み面の室内側端部から枠内方向に突出した板片である。カバー片27bは、収納溝27aに側縁部が挿入された可動桟36と側枠27の枠内側見込み面との間の隙間を覆うカバーである。なお、上枠24及び下枠25には、側枠27に突き当たって全閉位置となった可動桟36の上下端部を着脱可能に保持するラッチ部材37が設けられている(図4参照)。
【0026】
側枠27には、上端小口を覆う上側のキャップ38と、下端小口を覆う下側のキャップ39とが装着される。キャップ38,39は、樹脂製の成形部品である。キャップ38,39には、キャップ26c,26dと同様な装着片35が直交するように一対設けられる。キャップ38,39の一方の装着片35は、側枠27の図示しない中空部に小口から挿入され、係止片35aが側枠27の孔部27cと係止される(図2参照)。これによりキャップ38,39が側枠27に装着される。キャップ38,39の他方の装着片35は、枠24,25の中空部24aに小口から挿入され、係止片35aが枠24,25の孔部24eと係止される(図2参照)。これにより側枠27は、キャップ38,39を介して上枠24及び下枠25と連結される。
【0027】
次に、スクリーン機構部22について説明する。スクリーン機構部22は、スクリーン18及びその周辺部品で構成される。図2図5Bに示すように、スクリーン機構部22は、スクリーン18と、巻取軸32と、可動桟36と、上枠24側のガイドレール28及び補助ガイド部品30と、下枠25側のガイドレール29及び補助ガイド部品31と、を備える。
【0028】
本実施形態のスクリーン18は、網戸ネットである。スクリーン18は、収納ボックス26から側枠27に向かって左右方向に繰出し及び巻取り可能であり、これにより枠体20の枠内開口部を開閉する。スクリーン18の基端部は、収納ボックス26内で巻取軸32に固定されている。スクリーン18の先端部は、収納ボックス26の枠内側見込み面に形成された縦長の開口26f(図2参照)を通して枠体20の枠内開口部にある可動桟36に固定されている。スクリーン18の上縁部は、上枠24側のガイドレール28及び補助ガイド部品30へと進退可能な位置にある。スクリーン18の下縁部は、下枠25側のガイドレール29及び補助ガイド部品31へと進退可能な位置にある。
【0029】
図5A及び図5Bに示すように、スクリーン18は、上下縁部のそれぞれにファスナ部材40が取り付けられている。ファスナ部材40は、スクリーン18の縁部でのネットのほつれ等を防止しつつ、ガイドレール28,29に対するスクリーン18の摺動をガイドする。ファスナ部材40は、例えばファスナテープ40aと、抜止部40bとで構成されている。ファスナテープ40aは、樹脂や布で形成されたテープ状部材である。ファスナテープ40aは、スクリーン18の上下縁部に貼り付けられ、スクリーン18の上下縁部を覆うように延在している。抜止部40bは、断面略三角形状の樹脂部品である。抜止部40bは、ファスナテープ40aの先端に設けられ、スクリーン18の縁部に沿って複数並んでいる。抜止部40bは、スクリーン18及びその表面に貼り付けたファスナテープ40aの厚みよりも幅広に形成されている。
【0030】
図3及び図4に示すように、巻取軸32は、収納ボックス26内で上下方向に沿って設置された円筒状部品であり、その軸周りに回転可能に支持されている。巻取軸32の内側には、コイルばね32aが挿入されている。コイルばね32aは、スクリーン18を巻取り時、その付勢力で巻取軸32を巻取方向に回転させる。またコイルばね32aは、スクリーン18の繰出し時や所定の開き位置でスクリーン18に張力を付与し、しわを抑制する。
【0031】
図2図4図5A及び図5Bに示すように、可動桟36は、巻取軸32及び側枠27と平行するように上枠24と下枠25との間に亘って起立し、枠24,25に沿って左右方向に移動可能である。可動桟36には、スクリーン18の先端部が固定されている。可動桟36の上下端部には、それぞれスライドガイド36aが設けられている。各スライドガイド36aは、可動桟36を枠24,25に沿って摺動可能にガイドする。各スライドガイド36aは、断面略U字形状で枠外側に向かって開口している(図5A及び図5B参照)。各スライドガイド36aは、それぞれガイドレール28,29を飲み込んだ状態で、ガイドレール28,29と枠24,25の開口溝24bとの間の隙間に介在している。可動桟36は、左右にスライドすることで、スクリーン18を巻取軸32に対して繰出し及び巻取りすることができる。図2中の参照符号36bは、スクリーン18を巻取軸32に巻取る際に可動桟36のロックを解除するための操作部である。
【0032】
図5A図6及び図7に示すように、上側のガイドレール28は、上枠24の開口溝24b内に取り付けられ、スクリーン18の上縁部を上枠24に沿ってスライド可能に保持している。ガイドレール28は、例えばアルミニウム等の金属材料や樹脂材料の押出形材である。ガイドレール28は、その長手方向の全長が上枠24の全長よりも多少短く、巻取軸32側の端面が上枠24の巻取軸32側の端面よりも側枠27側に後退した位置に配置されている(図4参照)。
【0033】
ガイドレール28は、フランジ部28aと、一対のガイド片28b,28bと、スリット溝28cと、ストッパ部28dと、を有し、断面略T字形状を成している。
【0034】
フランジ部28aは、ガイドレール28の上部で見込み方向に幅広に形成された板部である。フランジ部28aは、上枠24の開口溝24bの底面と、左右の突出片24cの突起24d,24dとで囲まれた空間に上枠24の小口から挿入され、各突起24dで係止される。これによりガイドレール28は、開口溝24bから抜け止めされた上枠24に装着される。
【0035】
各ガイド片28bは、フランジ部28aの枠内側見込み面から垂下され、見込み方向に並んでいる。各ガイド片28bの先端(下端)には、見込み方向に拡幅されたガイド板28eが設けられている。ガイド板28e,28e間の隙間は、他のガイド片28b,28b間の隙間よりも幅狭である。
【0036】
スリット溝28cは、ガイド板28e,28e間に形成された幅狭な隙間で形成されている。スリット溝28cの見込み方向幅は、スクリーン18及びファスナ部材40のファスナテープ40aを摺動可能に挿通可能であって、抜止部40bは挿通不能な寸法に構成されている。スリット溝28cの奥側には、スリット溝28cよりも幅広な可動空間28fが形成されている。可動空間28fは、抜止部40bが枠内外方向(Y方向)及びスクリーン18のスライド方向(X方向)に移動可能な状態で収容される。
【0037】
ストッパ部28dは、ファスナ部材40の抜止部40bをガイドレール28から抜け止めするための部分である。ストッパ部28dは、スリット溝28cの可動空間28f側の開口面(開口縁部)、つまり各ガイド板28eの可動空間28f側の見込み面で形成されている。
【0038】
図5A図6及び図7に示すように、下側のガイドレール29は、下枠25の開口溝24b内に取り付けられ、スクリーン18の下縁部を下枠25に沿ってスライド可能に保持している。このガイドレール29は、上側のガイドレール28と上下対称構造である以外は同一構造であるため、ガイドレール28と同一の参照符号を付してその具体的な説明は省略する。
【0039】
図5B図8に示すように、補助ガイド部品30は、上枠24の開口溝24b内に取り付けられ、ガイドレール28と連続する。補助ガイド部品30は、ガイドレール28と巻取軸32との間に介在し、スクリーン18の上縁部をガイドレール28と巻取軸32との間で受け渡す。補助ガイド部品30は、樹脂製の成形部品である。
【0040】
補助ガイド部品30は、取付部30aと、一対のガイド片30b,30bと、フランジ部30cと、補助ガイド部30dと、を有する。
【0041】
取付部30aは、補助ガイド部品30をガイドレール28に装着するための部分である。取付部30aは、見込み方向で一対の弾性爪42,42と、見込み方向で一対の係止棒43,43と、を有する。弾性爪42と係止棒43とは枠内外方向に並んでいる。各弾性爪42は、各ガイド片30bの外面に設けられ、補助ガイド部品30のガイドレール28側の端面を超えてガイドレール28の見付け面に重なる位置まで突出している。弾性爪42は、弾性変形可能な板片であり、先端に上向きの爪形状部が形成されている。各係止棒43は、弾性爪42と並んでガイドレール28側へと突出した棒体である。
【0042】
図6及び図8に示すように、補助ガイド部品30は、弾性爪42及び係止棒43が、ガイドレール28のフランジ部28aとガイド板28eとの間の対向面間に挿入され、両者がこれら対向面間で突っ張ることでガイドレール28に装着される。つまり取付部30aは、弾性爪42がフランジ部28aの下面を付勢し、係止棒43がガイド板28eの上面に押し付けられ、これによりガイドレール28に取り付けられる。
【0043】
各ガイド片30bは、ガイドレール28の各ガイド片28bと略同一の断面形状を有する。各ガイド片30bは、各ガイド片28bと連続して1本のレールを形成する。各ガイド片30bは、フランジ部30cの一部を形成し、補助ガイド部品30のX方向全長に延びた底板30eの枠内側見込み面から垂下され、見込み方向に近接して並んでいる。各ガイド片30bの先端(下端)には、見込み方向に拡幅されたガイド板30fが設けられている。各ガイド板30fは、ガイドレール28の各ガイド板28eと連続する。各ガイド片30b及び底板30eは、巻取軸32側の一部が上枠24の小口端面から巻取軸32側に張り出した状態で設置される(図4参照)。
【0044】
フランジ部30cは、ガイドレール28のフランジ部28aと略同一の断面形状を有する。フランジ部30cは、ガイドレール28のフランジ部28aと共に、上枠24の開口溝24bの底面と、左右の突出片24cの突起24d,24dとで囲まれた空間に上枠24の小口から挿入され、各突起24dで係止される。これにより補助ガイド部品30は、開口溝24bから抜け止めされた上枠24にも装着される。
【0045】
図5B図7に示すように、補助ガイド部30dは、補助スリット溝44と、補助ストッパ部45と、を有する。補助ガイド部30dは、ガイドレール28のスリット溝28c及びストッパ部28dと巻取軸32との間を連接させる。補助ガイド部30dは、スリット溝28c及びストッパ部28dと、巻取軸32との間でスクリーン18のファスナ部材40を受け渡す。
【0046】
補助スリット溝44は、ガイド板30f,30f間に形成された幅狭な隙間で形成されている。補助スリット溝44は、上枠24のスリット溝28cと連続し、スリット溝28cと同一幅である。補助スリット溝44の奥側には、ガイドレール28の可動空間28fと連続する可動空間44aが形成されている。可動空間44aは、抜止部40bが枠内外方向及びスライド方向に移動可能な状態で収容される。可動空間44aの室内外方向寸法は、可動空間28fと同一である。可動空間44aの枠内外方向寸法は、ガイドレール28に近い部分は可動空間28fと同一であるが、補助ストッパ部45の形状に応じて巻取軸32側に向かって次第に縮小している。
【0047】
補助ストッパ部45は、ファスナ部材40の抜止部40bを補助ガイド部品30から抜け止めするための部分である。補助ストッパ部45は、補助スリット溝44の可動空間44a側の開口面(開口縁部)で形成されている。補助ストッパ部45は、ガイドレール28のストッパ部28dから連続している。補助ストッパ部45は、テーパ導入部45aと、テーパ部45bと、巻取軸導入部45cと、を有する。
【0048】
テーパ導入部45aは、ガイドレール28のストッパ部28dと隣接し、ストッパ部28dと枠内外方向位置が同一位置に設定されたXZ平面である。テーパ導入部45aは、スクリーン18の巻取軸32への巻取動作時、ファスナ部材40をテーパ部45bに円滑に移動させるために設けられている。テーパ導入部45aは省略してもよい。
【0049】
テーパ部45bは、高さの異なるテーパ導入部45aと巻取軸導入部45cとの間を繋ぐように設けられた傾斜面である。テーパ部45bは、ガイドレール28のストッパ部28dから巻取軸32に向かう方向(巻取方向)で、次第に下側のガイドレール29から離間する方向、つまり枠外方向(外側方向)に傾斜している。
【0050】
巻取軸導入部45cは、テーパ部45bと巻取軸32との間に設けられ、ストッパ部28dやテーパ導入部45aよりも枠外側にオフセットした位置に設けられたXZ平面である。巻取軸導入部45cは、スクリーン18を巻取軸32に巻取る際、ファスナ部材40を補助ガイド部品30から巻取軸32へと円滑に移動させるための部分である。巻取軸導入部45cは省略してもよい。
【0051】
巻取軸導入部45cには、Z方向で補助スリット溝44側の一部が補助スリット溝44側へと傾斜した面取り部45dが設けられている(図7参照)。面取り部45dは、スクリーン18を巻取軸32から繰出す際、ファスナ部材40を補助スリット溝44に円滑に進入させるための部分である。補助ガイド部品30は、補助スリット溝44の巻取軸32側の端面にも、補助スリット溝44側へと傾斜した面取り部45eが設けられている(図7参照)。面取り部45eは、スクリーン18を巻取軸32から繰出す際、ファスナ部材40を補助スリット溝44に一層円滑に進入させるための部分である。面取り部45d,45eは省略してもよい。
【0052】
下側の補助ガイド部品31は、下枠25の開口溝24b内に取り付けられ、ガイドレール29と連続する。補助ガイド部品31は、ガイドレール29と巻取軸32との間に介在し、スクリーン18の下縁部をガイドレール29と巻取軸32との間で受け渡す。この補助ガイド部品31は、上側の補助ガイド部品30と上下対称構造である以外は同一構造であるため、補助ガイド部品30と同一の参照符号を付してその具体的な説明は省略する。
【0053】
次に、スクリーン装置10でのスクリーン18の動作及びその作用効果を説明する。
【0054】
スクリーン装置10は、通常使用時には、スクリーン18が上下方向に張られた状態となる。この状態では、スクリーン18の上下縁部、つまり上下のファスナ部材40の抜止部40bは、図5Aに示すようにストッパ部28dよりも枠外側に移動した位置にある。この際の抜止部40bと、ストッパ部28dとの間のクリアランスを隙間Cと呼ぶ。なお、図5Aでは、上側のガイドレール28のストッパ部28dと、上側の抜止部40bとの間に隙間Cを図示しているが、下側のガイドレール28のストッパ部28dcと下側の抜止部40bとの間の隙間も略同一となる。
【0055】
隙間Cが確保されることで、スクリーン装置10は、通常使用時にスクリーン18の上下縁部の抜止部40bがストッパ部28d上に引きずられることが防止される。その結果、スクリーン装置10は、可動桟36を軽い力でスライドさせて円滑なスクリーン18の開閉操作が可能である。また通常時に抜止部40bは、ストッパ部28dとの間に隙間Cを有することで、強風時にスクリーン18が枠内側に引っ張られた際に容易に抜止部40bがスリット溝28cから脱落することもない。
【0056】
他方、スクリーン装置10は、通常使用時に抜止部40bとストッパ部28dとの間に隙間Cを設けているため、スクリーン18が強風を受けた場合等にスクリーン18が枠内側に引き寄せられる場合がある。そうすると、上下の抜止部40bとストッパ部28dとの間の隙間Cが変動し、抜止部40bの枠内外方向位置がファスナ部材40の全長方向(X方向)で波状にばらつくことがある。
【0057】
一般的なスクリーン装置では、このように隙間Cが変動した状態でスクリーン18が巻取軸32に巻取られると、巻取られたスクリーン18が巻取軸32の軸方向で変動し、いわゆる巻きずれを生じる懸念がある。巻きずれを生じると、次にスクリーン18を繰出した際、展開されたスクリーン18の各所にしわや撓みを生じ、或いはスクリーンが巻取軸32から確実にガイドレール28,29に移行できずに脱落する懸念がある。
【0058】
そこで、当該スクリーン装置10は、ガイドレール28,29のストッパ部28dと巻取軸32との間にテーパ部45bを持った補助ガイド部30dを介在させている。すなわちスクリーン18は、図9に示すように展開時に抜止部40bが枠内側に位置ずれしてしまった場合であっても、巻取軸32に巻取られる直前に補助ガイド部30dを通過する。スクリーン18はテーパ部45bを通過する際、抜止部40bが傾斜面に摺動し、次第に枠外側に移動する。これによりスクリーン18は、巻取軸32に巻取られる際は常にストッパ部28dに対して隙間Cを設けた枠内外位置に位置補正される。その結果、スクリーン18は、巻取軸32に巻取られた際に巻きずれを生じることが抑制され、その後の展開時にしわや撓み、或いはガイドレール28,29への移行不良等を生じることが抑制される。テーパ部45bは、ストッパ部28dよりも多少でも枠外側に抜止部40bを移動させることができればよく、抜止部40bを必ずしも隙間Cとなる位置まで移動可能な高さの斜面で構成されなくてもよい。
【0059】
本実施形態のような横引きロール式のスクリーン装置10では、少なくとも上側のガイドレール28と巻取軸32との間に補助ガイド部30dを設ければ、下側のガイドレール29に対する補助ガイド部30d(補助ガイド部品31)は省略してもよい。スクリーン18は、少なくとも上縁部の抜止部40bを枠外側に押し上げることができれば下縁部の抜止部40bはこれに引き寄せられて適正位置付近まで戻り、巻取軸32での巻きずれの発生の抑制効果は十分に得られるからである。
【0060】
本実施形態の補助ガイド部30dは、ガイドレール28,29とは別体の樹脂部品である補助ガイド部品30,31に形成されている。このためアルミニウム等の金属材料や樹脂材料の押出形材でガイドレール28,29や枠24,25を成形した場合であっても、所望の形状の補助ストッパ部45を持った補助ガイド部30dを容易に且つ精度よく構成できる。
【0061】
本実施形態は、ガイドレール28,29とは別体の補助ガイド部品30,31を用いている。そこで、補助ガイド部30dは、テーパ部45bとストッパ部28dとの間にテーパ導入部45aを設けた構成としている。これにより図9に示すようにストッパ部28dを摺動した抜止部40bが、別部品に設けられた補助ガイド部30dのテーパ部45bへとより円滑に移行できる。
【0062】
補助ガイド部30dは、ガイドレール28,29に一体形成してもよい。この場合、補助ガイド部30dは、例えばガイドレール28,29のストッパ部28dの巻取軸32側の端部に枠内側から枠外側への突き上げ加工等を施して形成するとよい。
【0063】
図10に示すように、補助ストッパ部45は、巻取軸導入部45cと巻取軸32との間にテーパ部45f及び巻取軸繰出部45gを備えた構成としてもよい。テーパ部45fは、巻取軸32からガイドレール28のストッパ部28dに向かう方向(繰出方向)で、次第にガイドレール29から離間する方向、つまり枠外方向(外側方向)に傾斜している。巻取軸繰出部45gは、ストッパ部28dと枠内外方向位置が同一位置に設定されたXZ平面である。補助ガイド部品30は、テーパ部45f及び巻取軸繰出部45gをさらに備えることで、巻取軸32からのスクリーン18の繰出し時、スクリーン18が一層円滑に補助ガイド部30dに導入される。
【0064】
また、テーパ部45bによってスクリーン18の枠内外位置が適正化されて巻取軸32に巻き取られた場合であっても、スクリーン18が外力や自重等により巻取軸32の軸方向に下がる可能性もある。この場合も、補助ストッパ部45がテーパ部45f及び巻取軸繰出部45gを備えるとよい。そうすると、図10に示すように巻取軸32で位置が下がったファスナ部材40が、再びテーパ部45fを介して所定の適正位置に戻る。補助ストッパ部45は、巻取軸繰出部45gを省略し、テーパ部45fのみを備えた構成としてもよい。
【0065】
次に、第2の実施形態に係るスクリーン装置10Aについて説明する。第2の実施形態に係るスクリーン装置10Aにおいて、上記第1の実施形態に係るスクリーン装置10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
図11及び図12に示すように、本実施形態のスクリーン装置10Aは、スクリーン18が上下方向にスライドする上げ下げ式である。スクリーン装置10Aも、上記第1の実施形態に係るスクリーン装置10と同様、例えば窓装置12の室内側で建物躯体14に固定される。スクリーン装置10Aは、門形状の枠体50と、枠体50に支持されたスクリーン機構部52と、を備える。
【0067】
枠体50は、左右一対の縦枠54,55と、上枠となる収納ボックス56と、を備える。一方の縦枠54は、第1の実施形態のスクリーン装置10の上枠24及びガイドレール28と同様な機能を有する。図14Aに示すように、縦枠54は、中空部24aと、ガイドレール56aと、を備える。ガイドレール56aは、ガイドレール28,29と同様なスリット溝28cと、ストッパ部28dと、可動空間28fと、を有する。ガイドレール56aには、ファスナ部材40が摺動可能にガイドされる。図14A中の参照符号58は、可動桟36のスライドガイド36aが摺動可能に挿入されるガイド溝である。他方の縦枠55は、一方の縦枠54と左右対称構造である以外は同一構造であるため、縦枠54と同一の参照符号を付してその具体的な説明は省略する。
【0068】
収納ボックス56は、上記した収納ボックス26と設置姿勢が異なる以外は略同一構造である。図11図13に示すように、収納ボックス56は、巻取軸32が軸周りに回転可能に収納され、左右方向に沿って配置された筒体である。収納ボックス56は、側壁26a及び扉体26bと、収納空間Sの左右開口を覆うキャップ26c及びキャップ26dと、を有する。キャップ26c,26dは、装着片35が中空部24aに挿入され、係止片35aが孔部24eに係止されることで、縦枠54,55と連結される。
【0069】
図13に示すように、本実施形態のスクリーン装置10Aでは、補助ガイド部30dがキャップ26c,26dと一体成形されている。図15に示すように、この補助ガイド部30dも、補助スリット溝44及び補助ストッパ部45を備える。なお、本実施形態の補助ストッパ部45は、テーパ部45b及び巻取軸導入部45cを備え、テーパ導入部45aを持たない構成となっている。スクリーン装置10Aにおいても、補助ガイド部30dを単独の補助ガイド部品30,31に形成し、この補助ガイド部品30,31をガイドレール56aやキャップ26c,26dに装着してもよい。一方、上記第1の実施形態に係るスクリーン装置10においても、補助ガイド部30dをキャップ26c,26dに一体成形してもよいし、補助ガイド部品30,31をキャップ26c,26dに装着してもよい。
【0070】
図15に示すテーパ部45bは、縦枠54(55)の可動空間28f内に突出配置され、ストッパ部28dと連続している。図15の構成例では、テーパ部45bの突出端がある程度の段差を持ってストッパ部28dと連続しているが、テーパ部45bは滑らかな傾斜を介してストッパ部28dと連続する構成でもよい。本実施形態においても、補助ストッパ部45は、テーパ導入部45a、テーパ部45f、及び巻取軸繰出部45gの一部又は全部を備えた構成としてもよい。
【0071】
従って、当該スクリーン装置10Aにおいても、スクリーン18は、開かれた状態で、図15に示すように抜止部40bが枠内側に位置ずれした場合であっても、巻取軸32に巻取られる直前に補助ガイド部30dを通過する。これにより当該スクリーン装置10Aにおいても、スクリーン18の左右縁部の抜止部40bの枠内外位置がテーパ部45bで位置補正される。その結果、スクリーン18は、巻取軸32に巻取られた際に軸方向での位置ずれ(巻きずれ)を生じることが抑制される。なお、当該スクリーン装置10Aは、上げ下げ式のため、左右の縦枠54,55のいずれにも補助ガイド部30dを設けておくことが好ましい。
【0072】
本発明の一態様に係るスクリーン装置は、巻取軸と、前記巻取軸に対して繰出し及び巻取り可能に取り付けられ、前記巻取軸に対する繰出方向及び巻取方向に沿う一対の縁部のそれぞれにファスナ部材が設けられたスクリーンと、前記ファスナ部材を抜け止めするストッパ部と、前記スクリーンの前記縁部が摺動可能に挿通されるスリット溝と、を有し、前記スクリーンをスライド可能に保持する一対のガイドレールと、を備えるスクリーン装置であって、少なくとも一方の前記ガイドレールの前記ストッパ部から連続するように前記巻取軸との間に設けられ、前記ファスナ部材が摺動可能な補助ガイド部を備え、前記補助ガイド部は、前記巻取方向に向かって次第に他方のガイドレールから離間する外側方向へと傾斜した第1テーパ部を有することを特徴とする。このような構成によれば、巻取軸に巻取る際に第1テーパ部でスクリーンの縁部の位置を補正することができ、巻きずれの発生が抑制される。
【0073】
前記一対のガイドレールが装着される一対の枠材と、前記巻取軸を軸周りに回転可能に支持し、該巻取軸に巻き取られた前記スクリーンを収納する収納ボックスと、前記補助ガイド部を有し、前記枠材又は前記収納ボックスに取り付けられた補助ガイド部品と、を備える構成としてもよい。そうすると、例えばガイドレールを押出形材で形成した場合であっても、高精度の第1テーパ部を持った補助ガイド部を容易に形成できる。
【0074】
前記枠材は、金属製の押出形材であり、前記補助ガイド部品は、樹脂製の成形部品で構成されてもよい。そうすると、補助ガイド部は、所望の形状に容易に形成できる。また、ガイドレールに対して第1テーパ部を設ける追加加工も不要となり、装置全体の製造効率が向上する。
【0075】
前記補助ガイド部は、さらに、前記第1テーパ部と前記ストッパ部との間で前記巻取方向に沿って延在し、前記ファスナ部材の前記ストッパ部から前記第1テーパ部への移動をガイドするテーパ導入部を有する構成としてもよい。そうすると、ガイドレールのストッパ部を摺動したファスナ部材が、別部品に設けられた補助ガイド部の第1テーパ部へとより円滑に移行できる。
【0076】
前記補助ガイド部は、さらに、前記第1テーパ部と前記巻取軸との間に設けられ、前記繰出方向に向かって次第に前記外側方向へと傾斜した第2テーパ部を有する構成としてもよい。そうすると、巻取軸から補助ガイド部を介してガイドレールへとスクリーンを繰出す際、スクリーンの移動がより円滑となる。
【0077】
前記巻取軸を軸周りに回転可能に支持し、該巻取軸に巻き取られた前記スクリーンを収納する収納ボックスを備え、前記補助ガイド部は、前記収納ボックスと一体成形された構成としてもよい。そうすると、補助ガイド部を容易に設置でき、また部品点数も削減できる。
【0078】
当該スクリーン装置は、前記巻取軸の軸方向が上下方向に沿って配置され、前記スクリーンが横方向にスライドする横引き式であり、前記補助ガイド部は、前記スクリーンの前記一対の縁部のうち、少なくとも上側の縁部をガイドするように左右方向に沿って配設された上側のガイドレールと前記巻取軸との間に設けられた構成としてもよい。そうすると、スクリーンが左右にスライドする横引き式の構成での巻きずれの発生を効果的に抑制できる。
【0079】
当該スクリーン装置は、前記巻取軸の軸方向が左右方向に沿って配置され、前記スクリーンが上下方向にスライドする上げ下げ式であり、前記補助ガイド部は、前記スクリーンの前記一対の縁部のうち、少なくとも一方の縁部をガイドするように上下方向に沿って配設されたガイドレールと前記巻取軸との間に設けられた構成としてもよい。そうすると、スクリーンが上下にスライドする上げ下げ式の構成での巻きずれの発生を効果的に抑制できる。
【0080】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
10,10A スクリーン装置、18 スクリーン、20,50 枠体、22,52 スクリーン機構部、24 上枠、25 下枠、26,56 収納ボックス、26c,26d,38,39 キャップ、27 側枠、28,29,56a ガイドレール、28c スリット溝、28d ストッパ部、30,31 補助ガイド部品、30d 補助ガイド部、32 巻取軸、36 可動桟、40 ファスナ部材、40a ファスナテープ、40b 抜止部、44 補助スリット溝、45 補助ストッパ部、45a テーパ導入部、45b テーパ部、45c 巻取軸導入部、45f テーパ部、45g 巻取軸繰出部、54,55 縦枠
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15