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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】身体支持追従装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/60 20160101AFI20240228BHJP
【FI】
A61B90/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020119907
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016914
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】594191434
【氏名又は名称】東朋テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 喜光
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅士
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-291363(JP,A)
【文献】特開2014-204793(JP,A)
【文献】特開2016-185225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の身体の一部を載置するホルダと、
複数の関節を有し、前記ホルダを少なくとも上下方向に可動な状態で支持するアームユニットと、
前記アームユニットに接続され、前記ホルダに載置された前記作業者の身体の一部により作用する重力に対する反力を前記ホルダに作用させるカウンタウェイトを有するバランス機構と、
複数の前記関節に対応して設けられ、前記関節の動きを規制したロックモードと前記関節の動きの規制を解除したフリーモードとを切り替えるための複数のブレーキと、
複数の前記関節に対応して設けられ、前記関節の回転状態を検出するエンコーダと、
前記作業者の足による操作入力を受ける指示入力装置と、
前記指示入力装置に対する操作入力がされていない場合に前記ロックモードに切り替え前記指示入力装置に対する操作入力がされた場合に前記フリーモードに切り替える制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記エンコーダの検出結果に基づく前記アームユニットの回転速度が、前記フリーモード中に少なくとも前記アームユニットの前記ホルダ側が跳ね上がる方向において所定値以上となった場合に前記ロックモードに切り替える処理を行う、
身体支持追従装置。
【請求項2】
前記アームユニットの回転速度の所定値は、通常作業時において想定される作業者が腕を動かす速度を上回る速度に設定されている、
請求項1に記載の身体支持追従装置。
【請求項3】
作業者の身体の一部を載置するホルダと、
複数の関節を有し、前記ホルダを少なくとも上下方向に可動な状態で支持するアームユニットと、
前記アームユニットに接続され、前記ホルダに載置された前記作業者の身体の一部により作用する重力に対する反力を前記ホルダに作用させるカウンタウェイトを有するバランス機構と、
複数の前記関節に対応して設けられ、前記関節の動きを規制可能な複数のブレーキと、
前記作業者の足による操作入力を受ける指示入力装置と、
前記指示入力装置の入力に基づき前記ブレーキを動作及び解除する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記指示入力装置に対する入力の検出に基づき、前記ブレーキを動作させて前記関節の動きを規制した待機モードと、前記ブレーキを動作させて前記関節の動きを規制したロックモードと、前記ブレーキを解除して前記関節の動きを可能にするフリーモードと、を切替可能であって、
前記待機モード中に前記指示入力装置に対する操作入力及び操作解除を検出した場合に前記フリーモードに切り替えずに前記ロックモードに切り替える処理と、
前記ロックモード中に前記指示入力装置に対する操作入力を検出した場合に前記フリーモードに切り替える処理と、を実行可能である、
身体支持追従装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ロックモード中に前記指示入力装置に対する操作がされないまま所定時間を経過した場合に前記待機モードに切り替える処理を更に行う、
請求項3に記載の身体支持追従装置。
【請求項5】
複数の前記関節に対応して設けられ、前記関節の回転状態を検出するエンコーダを更に備え、
前記制御装置は、前記エンコーダの検出結果に基づく前記アームユニットの回転速度が、前記フリーモード中に少なくとも前記アームユニットの前記ホルダ側が跳ね上がる方向において所定値以上となった場合に前記待機モードに切り替える処理を実行可能である、
請求項3又は4に記載の身体支持追従装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、身体支持追従装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば脳神経外科手術等のように緻密な手作業が要求される作業において、作業者の腕を支持するための身体支持追従装置がある。身体支持追従装置は、作業者の腕を載置するホルダと、そのホルダを支持するアームユニットと、を備えている。アームユニットは、複数のアームがそれぞれ関節を介して連結されており、各アームが関節を支点に回転することで、ホルダに載置された作業者の腕の動きに追従して移動する。
【0003】
身体支持追従装置の動作モードは、ブレーキが動作した状態のロックモードと、ブレーキの動作が解除された状態のフリーモードがある。この動作モードの切り替えは、作業者がホルダを意図的に押圧する入力指示により行われる。しかしながら、作業者が腕をホルダに押圧する操作は、その操作に習熟度が必要であるため、より安全にかつ容易に動作モードの切り替えを行いたいとの要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-185225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動作モードの切り替え操作をより安全にかつ容易に行うことができる身体支持追従装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の身体支持追従装置は、作業者の身体の一部を載置するホルダと、複数の関節を有し、前記ホルダを少なくとも上下方向に可動な状態で支持するアームユニットと、前記アームユニットに接続され、前記ホルダに載置された前記作業者の身体の一部により作用する重力に対する反力を前記ホルダに作用させるカウンタウェイトを有するバランス機構と、複数の前記関節に対応して設けられ、前記関節の動きを規制したロックモードと前記関節の動きの規制を解除したフリーモードとを切り替えるための複数のブレーキと、複数の前記関節に対応して設けられ、前記関節の回転状態を検出するエンコーダと、前記作業者の足による操作入力を受ける指示入力装置と、前記指示入力装置に対する操作入力がされていない場合に前記ロックモードに切り替え前記指示入力装置に対する操作入力がされた場合に前記フリーモードに切り替える制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記エンコーダの検出結果に基づく前記アームユニットの回転速度が、前記フリーモード中に少なくとも前記アームユニットの前記ホルダ側が跳ね上がる方向において所定値以上となった場合に前記ロックモードに切り替える処理を行う。
【0007】
また、実施形態の身体支持追従装置は、作業者の身体の一部を載置するホルダと、複数の関節を有し、前記ホルダを少なくとも上下方向に可動な状態で支持するアームユニットと、前記アームユニットに接続され、前記ホルダに載置された前記作業者の身体の一部により作用する重力に対する反力を前記ホルダに作用させるカウンタウェイトを有するバランス機構と、複数の前記関節に対応して設けられ、前記関節の動きを規制可能な複数のブレーキと、前記作業者の足による操作入力を受ける指示入力装置と、前記指示入力装置の入力に基づき前記ブレーキを動作及び解除する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記指示入力装置に対する入力の検出に基づき、前記ブレーキを動作させて前記関節の動きを規制した待機モードと、前記ブレーキを動作させて前記関節の動きを規制したロックモードと、前記ブレーキを解除して前記関節の動きを可能にするフリーモードと、を切替可能であって、前記待機モード中に前記指示入力装置に対する操作入力及び操作解除を検出した場合に前記フリーモードに切り替えずに前記ロックモードに切り替える処理と、前記ロックモード中に前記指示入力装置に対する操作入力を検出した場合に前記フリーモードに切り替える処理と、を実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による身体支持追従装置の概略構成を表す斜視図
図2】第1実施形態によるアームユニットの概略構成を示す図
図3】第1実施形態による身体支持追従装置について、制御装置の概略構成の一例を示すブロック図
図4】第1実施形態による身体支持追従装置について、動作モードの変化の一例を示す図
図5】第1実施形態による身体支持追従装置について、アームユニットの形状変化の一例を示す図
図6】第1実施形態による身体支持追従装置について、制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャート
図7】第2実施形態による身体支持追従装置について、動作モードの変化の一例を示す図
図8】第2実施形態による身体支持追従装置について、制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1に示す身体支持追従装置1は、例えば脳神経外科手術等のように緻密な手作業が要求される作業において、医師等の作業者の腕を支持することで、負担を軽減して作業を支援するための装置である。なお、身体支持追従装置1の用途は、脳神経外科手術に限定されず、また、医療分野にも限定されない。本実施形態では、図1における紙面の左手前側が作業対象側であって身体支持追従装置1の前側となり、図1における紙面の右奥側が作業者側であって身体支持追従装置1の後側となる。
【0011】
身体支持追従装置1は、ホルダ10、アームユニット20、バランス機構30、ベース部40、指示入力装置50、及び制御装置60を備えている。ホルダ10は、作業者の腕が載置されてその腕を支持するためのものであり、作業者側から作業対象者側へ向かって長尺状に形成されている。ホルダ10は、長手方向に直交する断面が略U字形状であり、載置された腕を左右両側から挟み込んで保持する。また、ホルダ10は、アームユニット20に取り外し可能な方法により取り付けられている。
【0012】
アームユニット20は、ホルダ10を少なくとも上下方向に可動な状態で支持する機能を有する。アームユニット20は、図2に示すように、複数この場合3つのアーム部211、212、213と、複数この場合5つの関節221、222、223、224、225を備え、5自由度に構成されている。各関節221~225は、2つ以上の部材を接合するものであり、関節に接続している一方の部材に対して、他方の部材を、いずれか一つの回転軸を中心に回転可能にする。
【0013】
アームユニット20は、各関節221~225の相互作用によって各アーム部211~213を相互に連動して動作させることにより、ホルダ10に載置された作業者の腕の移動に追従して形状を変化させることができる。なお、本実施形態において、各アーム部211~213を、ベース部40から先端側つまりホルダ10側へ向かって順に、第1アーム部211、第2アーム部212、及び第3アーム部213と称する。
【0014】
また、アームユニット20は、複数この場合4つのエンコーダ231、232、233、234と、複数この場合4つのブレーキ241、242、243、244と、を備えている。なお、本実施形態において、各エンコーダ231~234を、ベース部40から先端側へ向かって順に、第1エンコーダ231、第2エンコーダ232、第3エンコーダ233、及び第4エンコーダ234と称する。そして、ブレーキ241~244は、ベース部40から先端側へ向かって順に、第1ブレーキ241、第2ブレーキ242、第3ブレーキ243、及び第4ブレーキ244と称する。
【0015】
各エンコーダ231~234及び各ブレーキ241~244は、第5関節225以外の各関節221~224に対応して設けられている。各エンコーダ231~234は、例えば光学式のロータリーエンコーダで構成されており、対応する各関節221~224の回転状態を検出する機能を有する。ここで、回転状態とは、回転方向、回転位置、及び回転速度等の物理量を示す。また、各ブレーキ241~244は、例えば電磁ブレーキで構成されており、制御装置60からの指示を受けて、対応する各関節221~224の動きの規制及びその規制の解除を行う。
【0016】
第1アーム部211は、棒状部材であり、第1関節221と、第2関節222と、を含んで構成される。第1アーム部211は、第1関節221を介してベース部40に鉛直軸を中心として回転可能に取り付けられている。
【0017】
また、第1関節221には、第1エンコーダ231と、第1ブレーキ241と、が設けられている。この場合、第1エンコーダ231は、第1関節221の回転状態を検出する。つまり、第1エンコーダ231は、第1アーム部211の回転方向と回転速度とを検出することができる。また、第1ブレーキ241は、制御装置60からの指示に応じて、関節221の動きを規制する。
【0018】
第2アーム部212は、2本の横棒271、272が上下方向に一定間隔を保った状態で配置されており、第2関節222と、第3関節223と、を含んで構成された平行リンク機構である。また、第2アーム部212の横棒271の一端は、第2関節222を介して第1アーム部211と水平軸を中心として回転可能に接続されている。ここで、水平軸とは、図2における紙面に直交する方向である。
【0019】
第2関節222には、第1関節221と同様に、第2エンコーダ232と、第2ブレーキ242と、が設けられている。第2エンコーダ232は、第2関節222の回転状態を検出する。つまり、第2エンコーダ232は、第1アーム部211に対する第2アーム部212の回転方向と回転速度とを検出することができる。また、第2ブレーキ242は、制御装置60からの指示に応じて、第2関節222の動きを規制する。
【0020】
第3アーム部213は、2本の横棒281、282が上下方向に一定間隔を保った状態で配置されており、第3関節223と、第4関節224と、を含んで構成された平行リンク機構である。第3アーム部213の横棒281の一端は、第2アーム部212の横棒271の他端と、第3関節223を介して水平軸を中心として回転可能に接続されている。
【0021】
第3関節223には、第1関節221と同様に、第3エンコーダ233と、第3ブレーキ243と、が設けられている。第3エンコーダ233は、第3関節223の回転状態を検出する。つまり、第3エンコーダ233は、第2アーム部212に対する第3アーム部213の回転方向と回転速度とを検出することができる。また、第3ブレーキ243は、制御装置60からの指示に応じて、第3関節223の動きを規制する。第3アーム部213の横棒281の他端は、水平軸を中心として回転可能な第4関節224と、鉛直軸を中心として回転可能な第5関節225と、を介してホルダ10に接続されている。
【0022】
第4関節224には、第1関節221と同様に、第4エンコーダ234と、第4ブレーキ244と、が設けられている。第4エンコーダ234は、第4関節224の回転状態を検出する。つまり、第4エンコーダ234は、第3アーム部213に対するホルダ10の回転方向と回転速度とを検出することができる。また、第4ブレーキ244は、制御装置60からの指示に応じて、第4関節224の動きを規制する。
【0023】
第5関節225には、ブレーキは設けられておらず、ホルダ10を鉛直軸方向に対する回転を規制する構成は備えていない。そのため、各ブレーキ241、242、243、244が動作することによりアームユニット20の動きが規制された状態であっても、作業者はホルダ10の角度を自由に調整することができる。
【0024】
バランス機構30は、バネ311、312と、カウンタウェイト32と、を備えている。バネ311は、第2アーム部212における2本の横棒271、272間に設けられている。バネ312は、第3アーム部213における2本の横棒281、282間に設けられている。各バネ311、312のうちバネ311は、第2関節222を支点にして第2アーム部212を第1アーム部211側へ回動させる方向へ付勢する。また、バネ312は、第3関節223を支点にして第3アーム部213を第2アーム部212側へ回動させる方向へ付勢する。
【0025】
カウンタウェイト32は、ホルダ10に載置された作業者の腕により作用する重力に対する反力をホルダ10に作用させる機能を有する。カウンタウェイト32は、第2アーム部212と接続しており、第2アーム部212と一体的に動作可能に構成されている。この場合、カウンタウェイト32は、第2関節222を基準として、第2アーム部212とは反対側つまり第2アーム部212の後側に突出している。そして、カウンタウェイト32は、その自重によって、第2アーム部212に対して第2アーム部212が上昇する方向に付勢する。
【0026】
このようにして、バランス機構30は、バネ311、312の弾性力及びカウンタウェイト32によってアームユニット20を上方へ持ち上げようとする力と、ホルダ10に載置された作業者の腕の重量及びアームユニット20の自重によってアームユニット20を下方へ押し下げようとする力との均衡を図る。これにより、身体支持追従装置1は、アームユニット20のホルダ10に載置された作業者の腕を一定位置に支持することができる。
【0027】
このとき、バネ311、312とカウンタウェイト32からアームユニット20に加わる付勢力の方が、ホルダ10と作業者の自重、及びアームユニット20の自重との和からなる力よりも多少大きくなるように設定されている。これにより、作業者の腕とホルダ10とが確実に接触した状態でホルダ10は作業者の腕に追従移動することができる。さらに、ホルダ10に載置した作業者の腕に対して反力を作用させた状態で腕を支持することで、作業者の腕に対する負荷を低減することができる。なお、バランス機構30は、これに限らず、バネ311、312を有さない構成、すなわちカウンタウェイト32によってバランスを保つように構成されていてもよい。これにより、アームユニット20の構成をより簡易にすることができる。この場合、カウンタウェイト32からアームユニット20に加わる付勢力によって、ホルダ10に載置された作業者の腕の重量及びアームユニット20の自重によってアームユニット20を下方へ押し下げようとする力との均衡が図られる。
【0028】
ベース部40は、アームユニット20を支持しており、キャスタ41を備えていることにより、床上を移動可能としている。また、ベース部40には、例えばLED等の光源を有した表示灯70が設けられている。表示灯70は、制御装置60の指示に応じて点灯及び消灯する。例えば各ブレーキ241~244が動作した場合、表示灯70が点灯することによって各ブレーキ241~244が動作したことを作業者に報知する。
【0029】
指示入力装置50は、作業者の足による操作入力を受ける機能を有する。指示入力装置50は、例えばモーメンタリー型のフットスイッチで構成することができる。また、指示入力装置50は、図1に示すように、作業者の踏み込みによる操作を受けるペダル51を有している。指示入力装置50は、作業者によってペダル51が踏み込まれると、制御装置60に対して操作信号を出力する。そして、制御装置60は、指示入力装置50から操作信号を受けると、各ブレーキ241~244の動作を解除し、各関節221~224の動きの規制を解除する。
【0030】
一方、作業者がペダル51から足を離して指示入力装置50に対する踏み込みによる操作を解除すると、制御装置60は、各ブレーキ241~244を動作させて、各関節221~224の動きを規制して各アーム部211~213を制止させる。このようにして、作業者は指示入力装置50を操作することで各アーム部211~213を作業者の腕の動きに追従して移動させることができる。なお、ペダル51を足で押圧する力に応じて、つまりペダル51の踏み込み量に応じて、各ブレーキ241~244の制動力の増減を制御する構成としてもよい。
【0031】
制御装置60は、身体支持追従装置1全体の制御を司る。図3に示すように、制御装置60は、例えばCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。なお、制御装置60を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0032】
制御装置60は、各エンコーダ231~234、各ブレーキ241~244、指示入力装置50、表示灯70、及びロックスイッチ71と電気的に接続されている。制御装置60は、各エンコーダ231~234による検出信号や指示入力装置50からの操作信号を受信し、その信号に基づき、各ブレーキ241~244を制御する。
【0033】
制御装置60は、例えば図示しないモード設定機能、速度取得機能、ブレーキ制御機能、力検出機能、角度検出機能、報知機能を備えている。制御装置60の記憶領域に記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、上記の各機能をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、各機能のうち少なくとも一部をハードウェアにより実現する構成としてもよい。
【0034】
本実施形態の場合、身体支持追従装置1の動作モードは、ロックモードとフリーモードと、がある。制御装置60は、モード設定機能によって身体支持追従装置1をいずれかの動作モードに設定することができる。ロックモードは、ブレーキ241~244を動作させて、関節221~224の動きを規制するモードである。このロックモードは、作業者がホルダ10上に腕を載置し、作業を行う場合を想定している。つまり、ロックモードが設定されていることにより、作業者は、ホルダ10の位置が固定された状態で作業を行うことができる。
【0035】
フリーモードは、ブレーキ241~244の全部又は一部を動作させないことにより、関節221~224が動作可能となるモードである。このフリーモードは、作業者がホルダ10を腕の動きに追従移動させることにより、作業位置を変更する場合を想定している。
【0036】
制御装置60は、図4に示すように、作業者がペダル51を足で踏み込むことによって指示入力装置50が操作された場合、動作モードをフリーモードに切り替える。一方、制御装置60は、作業者がペダル51から足を離すことによって指示入力装置50の操作が解除された場合、動作モードをロックモードに切り替える。このように、作業者は、足による指示入力装置50の操作を介して身体支持追従装置1の動作モードの切り替えを行うことができる。
【0037】
ここで、従来構成において、アームユニットの動作を規制するためのブレーキは、アームユニットに対するクリック操作等、つまり内部の制御によって行われていた。そのため、従来構成は、作業者の意図しない操作が入力され難い構成となっていた。これに対し、本実施形態の場合、ブレーキ241~244の動作を指示するための指示入力装置50は、上述したように作業者の足によって操作される。この場合、指示入力装置50は作業者の足元付近に露出しているため、作業者が意図せず指示入力装置50を誤操作してしまうおそれがある。さらに、例えばロックモードとフリーモードを頻繁に切り替えて作業を行う場合には、作業者は常に指示入力装置50に足を乗せた状態で作業を行うことが想定される。つまり、作業者が指示入力装置50への入力を常に行うことができる状態にあるため、作業者による指示入力装置50への誤操作の可能性が高まる。
【0038】
ここで、指示入力装置50が操作されると、動作モードがフリーモードに設定され、ブレーキ241~244による関節221~224の動きの規制が解除される。このとき、例えば作業者がホルダ10に腕を載置していない、つまりホルダ10に対して下方へ向かう外力が作用していないと、カウンタウェイト32に対抗する力が作用しないため、アームユニット20のホルダ10側が跳ね上がる方向へ移動する。本実施形態でホルダ10側が跳ね上がる方向とは、図5に示すように、アームユニット20のホルダ10側が関節222を支点として上方へ向かって回動する方向を示す。そして、何ら対策を講じていない場合、アームユニット20は上方の動作限界位置に至るまで回転移動して最終的に停止するが、この際アームユニット20には過度な負荷が発生し身体支持追従装置1の故障を招く原因となり得る。さらに、アームユニット20が跳ね上がる際に作業者や周辺装置に接触等する可能性があり極めて危険である。
【0039】
そこで、本実施形態の場合、制御装置60は、各エンコーダ231~234の検出結果に基づくアームユニット20の回転速度が、フリーモード中に少なくともアームユニット20のホルダ10側が跳ね上がる方向において所定値以上となった場合にロックモードに切り替える処理を含めることができる。これにより、例えば作業者が腕をホルダ10に載置していない状態で作業者が誤って指示入力装置50を操作してしまった場合や作業者によって指示入力装置50に対する入力が維持されている状態で作業者の腕がホルダ10から離れてしまった場合に、ホルダ10が上方へ向かって跳ね上がる動きを抑えることができる。この結果、身体支持追従装置1の安全性の向上を図ることができる。ここで、アームユニット20の回転速度の所定値は、通常作業時において想定される作業者が腕を動かす速度を上回る速度に設定することが好ましい。これにより、作業者の作業時の安全性を向上しつつ、身体支持追従装置1の操作性を損なうことがない。ここで、通常作業とは身体支持追従装置1を用いて行う手術等の作業を意味する。
【0040】
なお、制御装置60は、図3に示すように、ロックスイッチ71と電気的に接続されている。ロックスイッチ71が押下されると、通常の処理とは別の処理により、動作モードは強制的にロックモードに設定される。すなわち、ブレーキ241~244が動作し、各関節221~224の動きが規制された状態となる。
【0041】
以下では、図6も参照して制御装置60による処理について説明する。
身体支持追従装置1の電源が入ると、図6に示すように、まずステップS11にて、制御装置60は、動作モードをロックモードに設定する。そして、制御装置60は、処理をステップS12に移行させる。なお、第5関節225にはブレーキがないため、ロックモード中であっても作業者はホルダ10の角度を調整することが可能である。
【0042】
制御装置60は、ステップS12において、指示入力装置50が操作されたか否かを判断する。この場合、制御装置60は、例えば指示入力装置50のペダル51に対して所定量以上の力による踏み込みを行う操作が行われ、かつ、その操作が一定時間以上維持された場合に、指示入力装置50に対して操作が入力されたと判断する。制御装置60は、指示入力装置50に対する操作を検出しない場合(ステップS12でNO)、ステップS12を繰り返し待機する。一方、制御装置60は、指示入力装置50に対する操作を検出した場合(ステップS12でYES)、ステップS13に処理を移行させる。
【0043】
制御装置60は、ステップS13において、身体支持追従装置1の動作モードを、ロックモードからフリーモードに切り替える。その後、制御装置60は、ステップS14において、各エンコーダ231~234の検出結果に基づくアームユニット20の回転速度が、アームユニット20のホルダ10側が跳ね上がる方向において所定値未満であるか否かを判断する。アームユニット20の回転速度は、全てのエンコーダ231~234の検出結果に基づいて算出する構成に限らない。すなわち、第2アーム部212は、他のアームに比べて長く、また、カウンタウェイト32が設けられてカウンタウェイト32の重量が直接作用するため、跳ね上がりの際にホルダ10の移動速度に与える影響が大きい。そこで、制御装置60は、複数の関節221、222、223、224、225のうち、跳ね上がりに最も影響を与える第2関節222の回転速度のみつまり第2エンコーダ232の検出結果のみに基づいて、ホルダ10の跳ね上がりを判断する構成であってもよい。これにより、制御装置60の処理負担を軽減することができ、身体支持追従装置1の低消費電力化を図ることができる。
【0044】
アームユニット20の回転速度が所定値以上である場合(ステップS14でNO)、制御装置60はステップS15に処理を移行させる。そして、制御装置60は、ステップS15において指示入力装置50に対して現在入力されている操作検出を解除する。すなわち、制御装置60は、指示入力装置50に対する入力が維持されていても、当該入力を無効化する。その後、制御装置60は、ステップS11に処理を戻し、動作モードをロックモードに切り替える。そして、制御装置60は、指示入力装置50に入力操作が再度行われたこと、つまり、作業者が指示入力装置50から足を離して入力を物理的に解除し、その後、再び指示入力装置50に入力操作が行われたことを検出すると(ステップS12でYES)、ステップS13へ処理を移行し動作モードをフリーモードに切り替える。
【0045】
つまり、制御装置60は、フリーモード中においてアームユニット20のホルダ10側が上方へ跳ね上がったと判断した場合、指示入力装置50に対する入力操作の有無にかかわらず動作モードをロックモードに設定する。このとき、制御装置60は、指示入力装置50に対して現在入力されている入力操作を無効化するため、仮に作業者が指示入力装置50への押圧を継続していたとしても動作モードがロックモードに設定された後に、作業者が指示入力装置50へ再度入力操作をしない限りフリーモードに切り替わることがない。すなわち、動作モードが作業者の意図していない状態でロックモードからフリーモードに移行されることを防ぐことができる。
【0046】
一方、アームユニット20の回転速度が所定値未満である場合(ステップS14でYES)、制御装置60はステップS16に処理を移行させる。制御装置60は、ステップS16において、指示入力装置50の操作が維持されているか否かを判断する。制御装置60は、指示入力装置50に対する操作解除を検出した場合(ステップS16でNO)、ステップS11に処理を移行させる。つまり、作業者の足がペダル51から離れた場合、動作モードはロックモードに設定される。その後、制御装置60は、ステップS11以降の処理を繰り返す。一方、制御装置60は、指示入力装置50に対する操作が維持されている場合(ステップS16でYES)、ステップS14に処理を移行させ、ステップS14以降の処理を繰り返す。
【0047】
上記した実施形態によれば、身体支持追従装置1は、ホルダ10、アームユニット20、バランス機構30、ブレーキ241、242、243、244、エンコーダ231、232、233、234、指示入力装置50、及び制御装置60を備えている。ホルダ10は、作業者の身体の一部を載置する機能を有する。アームユニット20は、複数の関節221、222、223、224、225を有し、ホルダ10を少なくとも上下方向に可動な状態で支持する。バランス機構30は、アームユニット20に接続され、カウンタウェイト32を有する。カウンタウェイト32は、ホルダ10に載置された作業者の体の一部により作用する重力に対する反力をホルダ10に作用させる。
【0048】
ブレーキ241、242、243、244は、複数の関節221、222、223、224に対応して設けられ、関節221、222、223、224の動きを規制したロックモードと関節221、222、223、224の動きの規制を解除したフリーモードとを切り替える機能を有する。エンコーダ231、232、233、234は、複数の関節221、222、223、224に対応して設けられ、関節221、222、223、224の回転状態を検出する機能を有する。指示入力装置50は、作業者の足による操作入力を受ける機能を有する。この場合、指示入力装置50は、例えばフットスイッチによって構成される。
【0049】
制御装置60は、指示入力装置50に対する操作入力がされていない場合にロックモードに切り替えることができる。また、制御装置60は、指示入力装置50に対する操作入力がされた場合にフリーモードに切り替えることができる。これによれば、作業者は、指示入力装置50に対する作業者の足による操作によって身体支持追従装置1の動作モードの切り替えを行うことができる。これにより、作業者が腕をホルダ10に対する押圧することで動作モードを切り替える操作に比べて動作モードの切り替え操作に習熟度を必要とせず、作業者は容易に身体支持追従装置1の動作モードを変更することができる。このとき、アームユニット20の動きは、作業者による指示入力装置50の操作に連動する。したがって、作業者はアームユニット20の挙動を確実に認識できるため、より円滑に作業を行うことができる。
【0050】
さらに、制御装置60は、エンコーダ231、232、233、234の検出結果に基づくアームユニット20の回転速度が、フリーモード中に少なくともアームユニット20のホルダ10側が跳ね上がる方向において所定値以上となった場合にロックモードに切り替える処理を行う。これによれば、例えば作業者がホルダ10に腕を載置していない状態、つまりホルダ10に対して下方へ向かうが外力が作用していない状態で作業者が指示入力装置50を誤って操作してしまいアームユニット20のホルダ10側が上方に跳ね上がるように動作した場合に、アームユニット20の動きを最小限に抑えることができる。これにより、アームユニット20が跳ね上がることによって作業者や周辺装置に接触する等の不具合の発生を未然に防止することができる。したがって、身体支持追従装置1の安全性の向上を図ることができる。
【0051】
また、アームユニット20の回転速度の所定値は、通常作業時において想定される作業者が腕を動かす速度を上回る速度に設定されている。通常作業とは、身体支持追従装置1を用いて行う手術等の作業を意味する。これによれば、通常作業時において、作業者が意図的に腕を動かしている際に、制御装置60によってアームユニット20が跳ね上がる動作をしたと誤って判断されることを回避することができるため、身体支持追従装置1の操作性を損なうことがなく、作業者は身体支持追従装置1を用いて円滑に作業を行うことができる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態の身体支持追従装置1は、構成は第1実施形態と同様であるが、身体支持追従装置1の動作モードが異なる。本実施形態の身体支持追従装置1の動作モードは、ロックモードとフリーモードとに加えて、待機モードが追加されている。待機モードは、ブレーキ241~244を動作させて、関節221~224の動きを規制するモードである。この場合、ロックモードと待機モードとの相違は、ロックモードの状態で指示入力装置50に操作が入力されるとフリーモードに切り替わるが、待機モードの状態で指示入力装置50に操作が入力されてもフリーモードに切り替わらない点にある。
【0053】
具体的には、制御装置60は、図7に示すように、指示入力装置50が操作されていない場合、動作モードを待機モードに設定する。制御装置60は、作業者がペダル51を足で踏み込みその後足を離すことによって、指示入力装置50に対する操作入力とその後の操作解除とを検出すると、動作モードをロックモードに切り替える。そして、制御装置60は、ロックモードにおいて指示入力装置50が操作されない状態で所定時間T経過した場合、動作モードを待機モードに切り替える。
【0054】
所定時間Tは、例えば1秒~25.5秒程度の範囲内で設定することができる。この場合、通常作業においては、操作性や安全性等を鑑みると約2秒で設定することが好ましい。なお、所定時間Tは、これに限らず、作業内容等に応じて適宜設定されれば良い。また、制御装置60は、待機モード中に作業者がペダル51を足で踏み込むことによって指示入力装置50の操作が維持、つまり作業者がペダル51を踏み続けている状態が所定時間T維持された場合、動作モードを待機モードに切り替える構成としても良い。この場合、制御装置60は、指示入力装置50に対する現在の操作入力を無効化すなわちその操作入力の検出を解除する。
【0055】
ロックモードとフリーモードとの動作モードの遷移は、第1実施形態と同様である。すなわち、制御装置60は、ロックモード中に作業者がペダル51を足で踏み込むことによって指示入力装置50が操作された場合、動作モードをロックモードからフリーモードに切り替える。一方、制御装置60は、フリーモード中に作業者がペダル51から足を離すことによって指示入力装置50の操作が解除された場合、動作モードをフリーモードからロックモードに切り替える。そして、本実施形態において、制御装置60は、フリーモード中にアームユニット20のホルダ10側が跳ね上がる動作を検出した場合、動作モードを、フリーモードからロックモードを経由せずに直接待機モードに切り替える。
【0056】
このように、本実施形態の場合、身体支持追従装置1に電源が投入された直後又は指示入力装置50が一定期間操作されていない初期の動作モードとして待機モードが設定されている。そして、フリーモードへの切り替えは、待機モードからロックモードを介して行われる。すなわち、作業者はフリーモードに設定する場合、待機モードにおいて指示入力装置50を操作及び操作解除をしてロックモードに切り替えた後に、所定時間T内に再度指示入力装置50を操作する必要がある。これにより、例えば作業者が意図せず指示入力装置50を誤操作してしまい、作業者の意図に反してアームユニット20の姿勢が変化してしまう可能性を極めて低減することができる。このような構成は、腕の位置を長時間同じ位置に保って行うような作業を行う場合により有効である。
【0057】
以下、第2実施形態における制御装置60の処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態のいずれの処理形態を行うかについては、作業者が適宜選択可能であればよい。
身体支持追従装置1の電源が入ると、図8に示すように、まずステップA11にて、制御装置60は、動作モードを待機モードに設定する。そして、制御装置60は、処理をステップA12に移行させる。制御装置60は、ステップA12において、指示入力装置50が操作及び操作解除されたか否かを判断する。すなわち、制御装置60は、待機モードを基準として、指示入力装置50に対して1回目の操作の入力及び操作解除がされたか否かを判断する。制御装置60は、指示入力装置50に対する1回目の操作入力及び操作解除を検出しない場合(ステップA12でNO)、ステップA12を繰り返し待機する。一方、制御装置60は、指示入力装置50に対する操作及び操作解除を検出した場合(ステップA12でYES)、ステップA13に処理を移行させる。
【0058】
制御装置60は、ステップA13において、身体支持追従装置1の動作モードを、待機モードからロックモードに切り替える。その後、制御装置60は、ステップA14において、ロックモードに切り替わってから所定時間Tが経過したか否かを判断する。つまり、制御装置60は、ロックモードが所定時間T維持された否かを判断する。
【0059】
ロックモードに切り替わってから所定時間Tが経過した場合(ステップA14でYES)、制御装置60はステップA15に処理を移行させる。そして、制御装置60は、ステップA15において指示入力装置50に対して現在入力されている操作検出を解除する。すなわち、制御装置60は、指示入力装置50に対する入力が維持されていても、当該入力を無効化する。その後、制御装置60は、ステップA11に処理を戻し、動作モードを待機モードに切り替える。この場合、制御装置60は、指示入力装置50に入力操作及び操作解除が再度行われたこと、つまり、作業者が指示入力装置50から足を離して入力を物理的に解除し、その後、再び指示入力装置50に入力操作及び操作解除が行われたことを検出すると(ステップA12でYES)、ステップA13へ処理を移行し動作モードをロックモードに切り替える。
【0060】
一方、制御装置60は、ロックモードに切り替わってから所定時間Tが経過していない場合(ステップA14でNO)、ステップA16に処理を移行させる。そして、制御装置60は、ステップA16において、指示入力装置50に対する再操作、この場合、待機モードを基準として指示入力装置50に対する2回目の操作を検出したか否かを判断する。制御装置60は、ステップA16において、指示入力装置50に対する入力操作を検出していない場合(ステップA16でNO)、ステップA14へ処理を戻す。
【0061】
一方、制御装置60は、ステップA16において、指示入力装置50に対する入力操作を検出した場合すなわち待機モードを基準として指示入力装置50に対する2回目の操作を検出した場合(ステップA16でYES)、ステップA17へ処理を移行し、動作モードを、ロックモードからフリーモードに切り替える。その後、制御装置60は、ステップA18において、各エンコーダ231~234の検出結果に基づくアームユニット20の回転速度が、アームユニット20のホルダ10側が跳ね上がる方向において所定値未満であるか否かを判断する。
【0062】
アームユニット20の回転速度が所定値以上である場合(ステップA18でNO)、制御装置60はステップA15に処理を移行させる。そして、制御装置60は、ステップA15において指示入力装置50に対して現在入力されている操作検出を解除する。すなわち、制御装置60は、指示入力装置50に対する入力が維持されていても、当該入力を無効化する。その後、制御装置60は、ステップA11に処理を戻し、動作モードを待機モードに切り替える。そして、制御装置60は、指示入力装置50に入力操作及び操作解除が再度行われたこと、つまり、作業者が指示入力装置50から足を離して入力を物理的に解除し、その後、再び指示入力装置50に入力操作及び操作解除が行われたことを検出すると(ステップA12でYES)、ステップA13へ処理を移行し動作モードをロックモードに切り替える。
【0063】
一方、アームユニット20の回転速度が所定値未満である場合(ステップA18でYES)、制御装置60はステップA19に処理を移行させる。制御装置60は、ステップA19において、指示入力装置50の操作が維持されているか否かを判断する。制御装置60は、指示入力装置50に対する操作解除を検出した場合(ステップA19でNO)、ステップA13に処理を移行させる。つまり、作業者の足がペダル51から離れた場合、動作モードはロックモードに設定される。その後、制御装置60は、ステップA13以降の処理を繰り返す。一方、制御装置60は、指示入力装置50に対する操作が維持されている場合(ステップA19でYES)、ステップA18に処理を移行させ、ステップA18以降の処理を繰り返す。
【0064】
このように、本実施形態の場合において、制御装置60は、待機モードを基準として、所定時間内に複数回連続して、この場合、2回連続して指示入力装置50に対する入力操作を検出すると、ロックモードを経由してフリーモードに切り替える。また、制御装置60は、フリーモード中にアームユニット20の跳ね上がる動作を検出すると、ロックモードを経由せずに直接待機モードに切り替える。
【0065】
以上説明した第2実施形態によれば、制御装置60は、指示入力装置50に対する入力の検出に基づき、ブレーキ241~244を動作させて関節221~224の動きを規制した待機モードと、ブレーキ241~244を動作させて関節221~224の動きを規制したロックモードと、ブレーキ241~244を解除して関節221~224の動きを可能にするフリーモードと、を切替可能である。また、制御装置60は、待機モード中に指示入力装置50に対する操作入力及び操作解除を検出した場合にフリーモードに切り替えずにロックモードに切り替える処理を実行可能である。そして、制御装置60は、ロックモード中に指示入力装置50に対する操作入力を検出した場合にフリーモードに切り替える処理を実行可能である。
【0066】
これによれば、待機モードからフリーモードに直接的に動作モードが切り替わることがない。つまり、作業者が誤って指示入力装置50を操作した場合に動作モードがロックモードに切り替わる可能性を極めて低減することができる。これにより、作業時において、作業者は指示入力装置50の操作に対する意識をする必要がなくなるため、作業者はより効率的に作業に取り掛かることができる。
【0067】
また、制御装置60は、ロックモード中に指示入力装置50に対する操作がされないまま所定時間Tを経過した場合に待機モードに切り替える処理を更に行う。すなわち、動作モードが待機モードからロックモードに切り替わり、所定時間T内に再度指示入力装置50に対する操作が行われない限りフリーモードに切り替わることがない。これによっても、作業者が誤って指示入力装置50を操作した場合に動作モードがロックモードに切り替わる可能性を極めて低減することができる。よって、作業者が意図せず指示入力装置50を誤操作してしまい、作業者の意図に反してアームユニット20の姿勢が変化してしまう可能性を低減することができる。
【0068】
そして、制御装置60は、エンコーダ231~234の検出結果に基づくアームユニット20の回転速度が、フリーモード中に少なくともアームユニット20のホルダ10側が跳ね上がる方向において所定値以上となった場合に待機モードに切り替える処理を実行可能である。
【0069】
これによれば、上記した第1実施形態と同様の作用効果が得られる。更に、例えばアームユニット20が跳ね上がった場合に、作業者が驚いて再度、誤ってペダル51を踏み込んでしまった場合であっても、待機モードからロックモードに切り替わるだけなので、アームユニット20が再び跳ね上がってしまうことを抑制できる。すなわち、待機モードからフリーモードに切り替えるためには、作業者は、所定時間内にペダル51を複数回この場合2回踏み込むという通常とは異なった動作を行う必要がある。アームユニット20が跳ね上がった場合であっても、作業者の更なる誤操作を抑制することができ、これにより安全性の向上を図ることができる。
【0070】
また、作業者は、フリーモード中にペダル51の踏み込みを解除してロックモードに切り替え、その後、所定時間内に再度ペダル51を踏み込むことで、再度フリーモードに切り替えることができる。これにより、作業者は、ロックモードとフリーモードとを頻繁に切り替えるような作業を行う場合であっても、指示入力装置50に対する1回の操作毎にロックモードとフリーモードとの相互の切り替えを行うことができる。したがって、待機モードを追加したことにより操作性を損なうことを抑制できる。これらの結果、本実施形態によれば、操作性を維持しつつ安全性の向上を図ることができる。
【0071】
なお、本発明の実施形態は、上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0072】
図面中、1は身体支持追従装置、10はホルダ、20はアームユニット、221、222、223、224、225は関節、231、232、233、234はエンコーダ、241、242、243、244はブレーキ、30はバランス機構、32はカウンタウェイト、50は指示入力装置、60は制御装置、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8