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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】電子機器、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/44 20180101AFI20240228BHJP
【FI】
G06F9/44
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020135774
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032212
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 晃一
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/008109(WO,A1)
【文献】特開2020-109927(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109284147(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/44 -9/445
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のオペレーティングシステムを搭載するコンピュータ本体に接続されて通信を行い所定の機能を発揮するために用いられる電子機器であって、
前記コンピュータ本体に対して第1通信規格に基づき通信を行う第1通信部と、
前記コンピュータ本体に対して第2通信規格に基づき通信を行う第2通信部と、
前記第1通信部から取得する第1通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を分類して判定する判定処理部と、
前記判定処理部により判定された前記オペレーティングシステムの種別に対応する動作モードを設定する設定処理部と、
前記第2通信部による前記コンピュータ本体に対する通信に基づいて、前記設定処理部により設定される動作モードにより前記所定の機能を制御する制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記コンピュータ本体との間の前記第2通信規格に基づく通信を前記第1通信規格に変換して前記第1通信部に対して通信を中継する通信中継装置をさらに備える、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記コンピュータ本体と通信を行う接続先を前記第1通信部と前記第2通信部との間で切り替える接続先切替部をさらに備え、
前記接続先切替部は、
前記判定処理部が前記オペレーティングシステムの種別を第1分類に分類して判定する前に、前記接続先を前記第1通信部に切り替え、
前記判定処理部が前記オペレーティングシステムの種別を前記第1分類に分類して判定した後、かつ前記判定処理部が前記オペレーティングシステムの種別を第2分類に分類して判定する前に、前記接続先を前記第2通信部に切り替える、
請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記判定処理部は、前記第1通信部から取得する前記第1通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を第1分類に分類して判定した後に、さらに前記第2通信部から取得する第2通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を第2分類に分類して判定する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1通信パラメータはTTL(Time to Live)の値である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1通信規格はイーサーネット規格である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1通信規格はTCP/IPプロトコルを利用するものである、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第2通信パラメータは、Set Feature Reportパラメータと、Device Modeパラメータとを含む、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2通信規格はUSB規格である、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2通信規格はHIDプロトコルを利用するものである、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記電子機器は、タッチパネル装置であって、
前記動作モードは、タッチペンによる入力を検出可能な第1動作モード、指による入力を検出可能な第2動作モード、およびタッチペン及び指による入力を検出可能な第3動作モードのうちの少なくとも2つの動作モードを含む、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
所定のオペレーティングシステムを搭載するコンピュータ本体に接続されて通信を行い所定の機能を発揮するために用いられる電子機器であって、前記コンピュータ本体に対して第1通信規格に基づき通信を行う第1通信部と、前記コンピュータ本体に対して第2通信規格に基づき通信を行う第2通信部とを備える電子機器の制御方法であって、
前記第1通信部から取得する第1通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を分類して判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより判定された前記オペレーティングシステムの種別に対応する動作モードを設定する設定ステップと、
前記第2通信部による前記コンピュータ本体に対する通信に基づいて、前記設定ステップにより設定される動作モードにより前記所定の機能を制御する制御ステップと、
を一又は複数のプロセッサーにより実行する制御方法。
【請求項13】
所定のオペレーティングシステムを搭載するコンピュータ本体に接続されて通信を行い所定の機能を発揮するために用いられる電子機器であって、前記コンピュータ本体に対して第1通信規格に基づき通信を行う第1通信部と、前記コンピュータ本体に対して第2通信規格に基づき通信を行う第2通信部とを備える電子機器を制御するプログラムであって、
前記第1通信部から取得する第1通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を分類して判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより判定された前記オペレーティングシステムの種別に対応する動作モードを設定する設定ステップと、
前記第2通信部による前記コンピュータ本体に対する通信に基づいて、前記設定ステップにより設定される動作モードにより前記所定の機能を制御する制御ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ本体にケーブル、無線等で接続されて利用される電子機器が提供されている。このような電子機器には、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、及びタッチパネル装置などの入力機器、並びに、ディスプレイ、プロジェクター、ヘッドホン、スピーカー、及びプリンターなどの出力機器、並びに、ルーター等のネットワーク機器が含まれる。
【0003】
所定のオペレーティングシステム(OS)を搭載するコンピュータを前記電子機器に接続して前記電子機器の機能を利用する場合、オペレーティングシステムの種別に依存して、前記電子機器の機能の一部又は全部が利用できない問題が生じる。一例としてタッチパネル装置を挙げると、Android(登録商標)、Linux(登録商標)の旧バージョンのオペレーティングシステムでは、タッチペン(ペンデジタイザ)を利用できない又は正常に動作しない問題が生じる。また、例えばUbuntu(登録商標)のバージョン17.10~18.04、MacOS(登録商標)のバージョン10.15では、タッチペンを利用できない問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-178739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、コンピュータ本体に接続されて利用される電子機器では、オペレーティングシステムの種別に応じて利用可能な機能が異なる。このため、ユーザーは、このような電子機器において利用可能な機能に対応する動作モードを自ら設定しなければならず利便性が悪い。
【0006】
ここで、特許文献1には、DNSサーバにネットワークを介して、照会名を含むクエリを発信する複数の端末の情報を推定する装置であり、照会名ごとに複数の端末に搭載されたソフトウェア種別を予め登録する照会名登録手段と、端末から発信されたクエリを収集し蓄積するクエリ収集手段と、蓄積された各クエリに含まれる照会名を抽出し、照会名登録手段を用いて当該クエリに対応するソフトウェア種別を識別するソフトウェア種別識別手段とを有する端末情報推定装置が開示されている。しかし、前記装置では、照会名ごとに複数の端末に搭載されたソフトウェア種別を予め登録することを前提としており、登録が行われていない端末に対しては適用することができず、利便性が十分ではない。
【0007】
本発明の目的は、コンピュータ本体に接続されて利用される電子機器において、コンピュータ本体のオペレーティングシステムに対応する電子機器の機能に対応する動作モードを簡易に設定することが可能な電子機器、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様に係る電子機器は、所定のオペレーティングシステムを搭載するコンピュータ本体に接続されて通信を行い所定の機能を発揮するために用いられる電子機器であって、前記コンピュータ本体に対して第1通信規格に基づき通信を行う第1通信部と、前記コンピュータ本体に対して第2通信規格に基づき通信を行う第2通信部と、前記第1通信部から取得する第1通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を分類して判定する判定処理部と、前記判定処理部により判定された前記オペレーティングシステムの種別に対応する動作モードを設定する設定処理部と、前記第2通信部による前記コンピュータ本体に対する通信に基づいて、前記設定処理部により設定される動作モードにより前記所定の機能を制御する制御部と、を備える。
【0009】
本発明の他の態様に係る制御方法は、所定のオペレーティングシステムを搭載するコンピュータ本体に接続されて通信を行い所定の機能を発揮するために用いられる電子機器であって、前記コンピュータ本体に対して第1通信規格に基づき通信を行う第1通信部と、前記コンピュータ本体に対して第2通信規格に基づき通信を行う第2通信部とを備える電子機器の制御方法であって、前記第1通信部から取得する第1通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を分類して判定する判定ステップと、前記判定ステップにより判定された前記オペレーティングシステムの種別に対応する動作モードを設定する設定ステップと、前記第2通信部による前記コンピュータ本体に対する通信に基づいて、前記設定ステップにより設定される動作モードにより前記所定の機能を制御する制御ステップと、を一又は複数のプロセッサーにより実行する方法である。
【0010】
本発明の他の態様に係るプログラムは、所定のオペレーティングシステムを搭載するコンピュータ本体に接続されて通信を行い所定の機能を発揮するために用いられる電子機器であって、前記コンピュータ本体に対して第1通信規格に基づき通信を行う第1通信部と、前記コンピュータ本体に対して第2通信規格に基づき通信を行う第2通信部とを備える電子機器を制御するプログラムであって、前記第1通信部から取得する第1通信パラメータに基づいて前記オペレーティングシステムの種別を分類して判定する判定ステップと、前記判定ステップにより判定された前記オペレーティングシステムの種別に対応する動作モードを設定する設定ステップと、前記第2通信部による前記コンピュータ本体に対する通信に基づいて、前記設定ステップにより設定される動作モードにより前記所定の機能を制御する制御ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンピュータ本体に接続されて利用される電子機器において、コンピュータ本体のオペレーティングシステムに対応する電子機器の機能に対応する動作モードを簡易に設定することが可能な電子機器、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るコンピュータシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るコンピュータシステムにおいて利用されるOS種別情報の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るコンピュータシステムにおいて利用される動作モード情報の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態1に係るコンピュータシステムにおいて実行される動作制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態2に係るコンピュータシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、本発明の実施形態2に係るコンピュータシステムにおいて実行される動作制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施形態に係るコンピュータシステムにおいて表示される動作モード選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0014】
本発明の電子機器は、所定のオペレーティングシステムを搭載するコンピュータ本体に接続されて通信を行い所定の機能を発揮するために用いられる。前記電子機器は、コンピュータ本体にケーブル、無線等で接続されて利用される。前記電子機器は、例えば、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、及びタッチパネル装置などの入力機器、並びに、ディスプレイ、プロジェクター、ヘッドホン、スピーカー、及びプリンターなどの出力機器、並びに、ルーター等のネットワーク機器である。本実施形態では、前記電子機器の一例として、タッチパネル装置を挙げて説明する。
【0015】
本発明のコンピュータ本体は、所定のオペレーティングシステム(OS)を搭載し、当該OSにより前記電子機器の機能を実現する。前記OSは、例えばWindows、Mac、Android、Linux(何れも登録商標)など複数の種別に分類される。また、前記各OSには、バージョンごとに異なる複数のOSが含まれる。
【0016】
例えば、コンピュータ本体にWindowsOSが搭載されている場合には、タッチパネル装置は、ユーザーの指によるタッチ入力と、タッチペンによるタッチ入力とを受け付け可能な動作モードの機能を実現する。また例えば、コンピュータ本体にMacOSが搭載されている場合には、タッチパネル装置は、タッチペンによるタッチ入力を受け付け可能な動作モードの機能を実現する。
【0017】
このように、タッチパネル装置は、前記OSの種別に応じて利用可能な機能が異なる。本実施形態では、前記OSの種別に対応するタッチパネル装置の機能に対応する動作モードを簡易に設定することを可能にする構成を備える。以下、本発明の具体的構成について説明する。
[実施形態1]
【0018】
[コンピュータ本体20]
図1は、実施形態1に係るコンピュータシステム1の構成を示す図である。コンピュータシステム1は、コンピュータ本体20とタッチパネル装置10とを備えている。コンピュータ本体20とタッチパネル装置10とは、ケーブル等によりデータ通信可能に接続されている。
【0019】
コンピュータ本体20は、オペレーティングシステム(OS)21と、USB通信制御回路基板22と、Ether通信制御回路基板23とを備えている。
【0020】
OS21は、所定のオペレーティングシステムであり、予めコンピュータ本体20にインストールされている。
【0021】
USB通信制御回路基板22は、コンピュータ本体20をタッチパネル装置10との間でUSB通信規格(本発明の第2通信規格の一例)に従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。前記USB通信規格では、例えばHIDプロトコルを利用したデータ通信を行う。
【0022】
Ether通信制御回路基板23は、コンピュータ本体20をタッチパネル装置10との間でイーサーネット通信規格(本発明の第1通信規格の一例)に従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。前記イーサーネット通信規格では、例えばTCP/IPプロトコルを利用したデータ通信を行う。
【0023】
[タッチパネル装置10]
タッチパネル装置10は、タッチ制御部11と、USB通信制御回路基板12と、Ether通信制御回路基板13と、記憶部14と、タッチパネル15と、制御装置16とを備えている。
【0024】
USB通信制御回路基板12は、タッチパネル装置10をコンピュータ本体20との間でUSB通信規格(本発明の第2通信規格の一例)に従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。前記USB通信規格では、例えばHIDプロトコルを利用したデータ通信を行う。タッチパネル装置10のUSB通信制御回路基板12と、コンピュータ本体20のUSB通信制御回路基板22とは、ケーブルN1により互いに接続されている。USB通信制御回路基板12は、本発明の第2通信部の一例である。
【0025】
Ether通信制御回路基板13は、タッチパネル装置10をコンピュータ本体20との間でイーサーネット通信規格(本発明の第1通信規格の一例)に従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。前記イーサーネット通信規格では、例えばTCP/IPプロトコルを利用したデータ通信を行う。タッチパネル装置10のEther通信制御回路基板13と、コンピュータ本体20のEther通信制御回路基板23とは、ケーブルN2により互いに接続されている。Ether通信制御回路基板13は、本発明の第1通信部の一例である。
【0026】
タッチパネル15は、タッチパネル15の入力面に対するユーザーの指、タッチペンによるタッチ入力などを受け付け可能な表示パネル付きタッチパネルである。タッチパネル15は、赤外線方式のタッチパネルであってもよいし、静電容量方式のタッチパネルであってもよいし、感圧式のタッチパネルであってもよい。タッチパネル15は、表示パネルの前面に配置されてもよいし、表示パネルに内蔵されてもよい。
【0027】
記憶部14は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部14は、OS種別情報D1及び動作モード情報D2などのデータを含む。図2は、OS種別情報D1の一例を示す図であり、図3は、動作モード情報D2の一例を示す図である。
【0028】
OS種別情報D1は、オペレーティングシステムの種別に応じた情報である。例えば、図2に示すOS種別情報D1には、通信パラメータである「TLL値(Time To Live)」と、OS21の種別とが対応付けられて登録されている。前記TLL値とは、端末間をLAN接続する際に送信されるパケットに含まれるタイマー値であり、通信経路の安定度を示す指標である。通信経路の途中で中継機器を経由するごとに1つずつ減算され、「0」になるとパケットが破棄(通信不可)となる。前記TLL値はOS21の種別によって異なる値となるため、図2に示すように、前記TLL値に基づいてOS21を、「Linux/Mac/Android」、「Windows」、「その他」の3つ(第1分類)に大別することができる。前記TLL値は、本発明の第1通信パラメータの一例である。
【0029】
動作モード情報D2は、タッチパネル装置10で機能することが可能な動作モードに関する情報である。図3に示す動作モード情報D2には、複数の動作モードと、各動作モードを実現可能なOS種別とが対応付けられて登録されている。前記動作モードには、「通常モード」、「タッチ専用モード」、「ペン専用モード」、「マウスモード」などが含まれる。前記通常モードは、ユーザーの指によるタッチ入力と、タッチペンによるタッチ入力とを受け付け可能な動作モードである。前記タッチ専用モードは、ユーザーの指によるタッチ入力のみを受け付け可能な動作モードである。前記ペン専用モードは、タッチペンによるタッチ入力のみを受け付け可能な動作モードである。前記マウスモードは、ユーザーのマウス操作による入力のみを受け付け可能な動作モードである。各動作モードには、一又は複数のOS種別が対応付けられている。
【0030】
本発明の動作モードは、タッチペンによる入力を検出可能な「ペン専用モード」(第1動作モード)、ユーザーの指による入力を検出可能な「タッチ専用モード」(第2動作モード)、およびタッチペン及び指による入力を検出可能な「通常モード」(第3動作モード)のうちの少なくとも2つの動作モードを含む。
【0031】
なお、他の実施形態として、OS種別情報D1及び動作モード情報D2などの情報の一部又は全部が、コンピュータ本体20、又は、タッチパネル装置10からアクセス可能なサーバに記憶されてもよい。この場合、タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20又は前記サーバから前記情報を取得して、後述の動作制御処理(図4参照)などの各処理を実行してもよい。
【0032】
また、記憶部14には、タッチ制御部11及び制御装置16に後述の動作制御処理(図4参照)を実行させるための動作制御プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記動作制御プログラムは、USB、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、タッチパネル装置10に電気的に接続されるUSBドライブ、CDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部14に記憶される。また、前記動作制御プログラムは、タッチパネル装置10からアクセス可能なサーバからダウンロードされて、記憶部14に記憶されてもよい。
【0033】
タッチ制御部11及び制御装置16は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、タッチ制御部11及び制御装置16は、前記ROM又は記憶部14に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりタッチパネル装置10を制御する。なお、タッチ制御部11及び制御装置16は、タッチパネル装置10を統括制御する一つの制御部と捉えることができる。
【0034】
制御装置16は、OS種別判定処理部161と、出力処理部162とを備える。
【0035】
OS種別判定処理部161は、コンピュータ本体20に搭載されたOS21の種別を判定する。具体的には、OS種別判定処理部161は、Ether通信制御回路基板13から取得する所定の通信パラメータに基づいてOS21の種別を第1分類に分類して判定する。例えば、OS種別判定処理部161は、Ether通信制御回路基板13からTLL値を取得すると、図2のOS種別情報D1を参照して、前記TLL値に対応するOS21の種別を判定する。
【0036】
例えば、コンピュータシステム1の電源がON状態になると、制御装置16がコンピュータ本体20のEther通信制御回路基板23とタッチパネル装置10のEther通信制御回路基板13とをLAN通信(TCP/IPプロトコル通信)によりPingコマンドによる接続先の端末検出を行う。具体的には、制御装置16は、TCP/IPプロトコルにおけるPingコマンドを実行して、コンピュータ本体20からecho応答メッセージを受信する。制御装置16は、前記echo応答メッセージに含まれる前記TTL値を取得し、図2のOS種別情報D1を参照して、前記TLL値に対応するOS21の種別を判定する。
【0037】
前記TLL値が「62~64」の場合、OS種別判定処理部161は、コンピュータ本体20のOS21が「Linux/Mac/Android」の何れかであると判定する。また、例えば、前記TLL値が「126~128」の場合、OS種別判定処理部161は、コンピュータ本体20のOS21が「Windows」であると判定する。また、例えば、前記TLL値が「253~255」の場合、OS種別判定処理部161は、コンピュータ本体20のOS21が「その他」であると判定する。
【0038】
ここで、前記TLL値が「62~64」の場合には、OS種別判定処理部161は、さらに、USB通信制御回路基板12から取得する通信パラメータに基づいてOS21の種別を第2分類に分類して判定する。例えば、OS種別判定処理部161は、タッチパネル15の動作モード(タッチモード)を制御する制御パラメータである「Set Feature Report」と「Device Mode」とに基づいて、OS21が「Mac」であるか、又は「Android」であるかを判定する。具体的には、OS種別判定処理部161は、前記制御パラメータに「Set Feature Report」が含まれない場合に、OS21を「MacOSバージョン10.15」と判定する。また、OS種別判定処理部161は、前記制御パラメータに「Set Feature Report」が含まれ、かつ「Device Mode」が「マルチタッチモード」である場合に、OS21を「Android」と判定する。また、OS種別判定処理部161は、前記制御パラメータに「Set Feature Report」が含まれ、かつ「Device Mode」が「マルチタッチモード」でない場合に、OS21を「MacOSバージョン~10.14」と判定する。
【0039】
このように、OS種別判定処理部161は、Ether通信制御回路基板13から取得する第1通信パラメータ(TLL値)に基づいてOS21の種別を第1分類に分類して判定(第1判定処理)した後に、さらにUSB通信制御回路基板12から取得する第2通信パラメータ(「Set Feature Report」、「Device Mode」)に基づいてOS21の種別を第2分類に分類して判定(第2判定処理)する。「Set Feature Report」及び「Device Mode」は、本発明の第2通信パラメータの一例である。
【0040】
ここで、前記第1分類は、前記TLL値に応じたOS21の種別であり、例えば「Linux/Mac/Android」、「Windows」、及び「その他」が含まれる。また、前記第2分類は、前記制御パラメータ(「Set Feature Report」、「Device Mode」)に応じたOS21の種別であり、例えば「Android」、「MacOSバージョン10.15」、及び「MacOSバージョン~10.14」が含まれる。
【0041】
出力処理部162は、OS種別判定処理部161による判定結果をタッチ制御部11に出力する。具体的には、出力処理部162は、判定されたOS21の種別情報をタッチ制御部11に出力する。
【0042】
タッチ制御部11は、設定処理部111と、タッチ入力処理部112とを備える。タッチ制御部11は、USB通信制御回路基板12を介してUSB通信規格に従ったデータ通信を利用してコンピュータ本体20のOS21に基づき、タッチパネル15の動作を制御する。具体的には、タッチ制御部11は、USB通信制御回路基板12によるコンピュータ本体20に対する通信に基づいて、設定処理部111により設定される動作モードにより所定の機能(タッチ検出機能)を制御する。タッチ制御部11は、本発明の制御部の一例である。
【0043】
設定処理部111は、タッチパネル15の動作モードを設定する。具体的には、設定処理部111は、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別に対応する動作モードを設定する。
【0044】
例えば、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別が「Windows」である場合、設定処理部111は、図3の動作モード情報D2を参照して「Windows」に対応する「通常モード」を特定し、特定した「通常モード」をタッチパネル15の動作モードに設定する。また例えば、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別が「Androidバージョン~5」である場合、設定処理部111は、図3の動作モード情報D2を参照して「Androidバージョン~5」に対応する「タッチ専用モード」を特定し、特定した「タッチ専用モード」をタッチパネル15の動作モードに設定する。また例えば、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別が「MacOSバージョン10.15」である場合、設定処理部111は、図3の動作モード情報D2を参照して「MacOSバージョン10.15」に対応する「ペン専用モード」を特定し、特定した「ペン専用モード」をタッチパネル15の動作モードに設定する。また例えば、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別が「MacOSバージョン~10.14」である場合、設定処理部111は、図3の動作モード情報D2を参照して「MacOSバージョン~10.14」に対応する「マウスモード」を特定し、特定した「マウスモード」をタッチパネル15の動作モードに設定する。
【0045】
タッチ入力処理部112は、設定処理部111により設定される動作モードによりタッチパネル15の機能を制御する。具体的には、タッチ入力処理部112は、ユーザーの指、タッチペンなどによりタッチ入力されたタッチパネル15の入力面上の入力位置(位置座標)を検出する。具体的には、タッチ入力処理部112は、例えばタッチペンがタッチパネル15に接触した位置を、タッチペンが入力した前記入力面上の位置座標として検出する。
【0046】
前記動作モードが「通常モード」に設定された場合、タッチ入力処理部112は、ユーザーの指によるタッチ入力と、タッチペンによるタッチ入力とを検出する。また、前記動作モードが「タッチ専用モード」に設定された場合、タッチ入力処理部112は、ユーザーの指によるタッチ入力のみを検出する。また、前記動作モードが「ペン専用モード」に設定された場合、タッチ入力処理部112は、タッチペンによるタッチ入力のみを検出する。また、前記動作モードが「マウスモード」に設定された場合、タッチ入力処理部112は、ユーザーのマウス操作による入力のみを検出する。
【0047】
また、タッチ入力処理部112は、検出したタッチ入力の位置座標の情報を、USB通信制御回路基板12を介して、USB通信規格に従ったデータ通信によりコンピュータ本体20に送信する。
【0048】
[動作制御処理]
以下、図4を参照しつつ、実施形態1に係るタッチパネル装置10のタッチ制御部11及び制御装置16によって実行される動作制御処理について説明する。なお、タッチ制御部11及び制御装置16は、タッチパネル装置10を統括制御する一つの制御部と捉えることができる。以下では、前記制御部よって実行される動作制御処理について説明する。
【0049】
なお、本発明は、前記動作制御処理に含まれる一又は複数のステップを実行する動作制御方法(本発明の制御方法)の発明として捉えることができ、ここで説明する当該動作制御処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記動作制御処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは前記制御部によって前記動作制御処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーによって当該動作制御処理における各ステップが分散して実行される動作制御方法も他の実施形態として考えられる。
【0050】
先ずコンピュータシステム1の電源がON状態になると(S11)、前記制御部は、タッチパネル装置10をコンピュータ本体20との間でイーサーネット通信規格に従ったデータ通信を確立する(S12)。
【0051】
次にステップS13において、前記制御部(OS種別判定処理部161)は、コンピュータ本体20に搭載されたOS21の種別を判定する。具体的には、前記制御部は、Ether通信制御回路基板13から取得するTLL値に基づいてOS21の種別を第1分類に分類して判定する第1判定処理を実行する。例えば、前記制御部は、Ether通信制御回路基板13からTLL値を取得して、図2のOS種別情報D1を参照して、前記TLL値に対応するOS21の種別を判定する。ステップS13は、本発明の判定ステップの一例である。
【0052】
前記TLL値が「126~128」の場合、前記制御部は、OS21が「Windows」であると判定する(S15)。また前記TLL値が「253~255」の場合、前記制御部は、OS21が「その他」であると判定する(S16)。ステップS15、S16の後、処理はステップS24に移行する。
【0053】
一方、前記TLL値が「62~64」の場合、前記制御部は、OS21が「Linux/Mac/Android」の何れかであると判定し、処理がステップS17に移行する。
【0054】
ステップS17では、前記制御部は、タッチパネル装置10をコンピュータ本体20との間でUSB通信規格に従ったデータ通信を確立する。
【0055】
次にステップS18において、前記制御部(OS種別判定処理部161)は、USB通信制御回路基板12から取得する通信パラメータに基づいてOS21の種別を第2分類に分類して判定する第2判定処理を実行する。例えば、前記制御部は、タッチパネル15の動作モードを制御する制御パラメータである「Set Feature Report」と「Device Mode」とに基づいて、OS21が「Mac」であるか、又は「Android」であるかを判定する。ステップS18は、本発明の判定ステップの一例である。
【0056】
ステップS19において、前記制御部は、前記制御パラメータに「Set Feature Report」が含まれるか否かを判定する。前記制御パラメータに「Set Feature Report」が含まれない場合(S19:No)、前記制御部は、OS21を「MacOSバージョン10.15」と判定する(S20)。前記制御パラメータに「Set Feature Report」が含まれる場合(S19:Yes)、処理はステップS21に移行する。
【0057】
ステップS21では、前記制御部は、「Device Mode」が「マルチタッチモード」であるか否かを判定する。「Device Mode」が「マルチタッチモード」である場合(S21:Yes)、前記制御部は、OS21を「Android」と判定する(S22)。一方、「Device Mode」が「マルチタッチモード」でない場合(S21:No)、前記制御部は、OS21を「MacOSバージョン~10.14」と判定する(S23)。ステップS20、S22、S23の後、処理はステップS24に移行する。
【0058】
ステップS24において、前記制御部(設定処理部111)は、タッチパネル15の動作モードを設定する。具体的には、前記制御部は、図3の動作モード情報D2を参照して、判定したOS21の種別に対応する動作モードを設定する。ステップS24は、本発明の設定ステップの一例である。
【0059】
次にステップS25において、前記制御部(タッチ入力処理部112)は、設定した動作モードによりタッチパネル15の機能を制御する。具体的には、前記制御部は、設定した動作モードに応じたタッチ入力の位置座標を検出して、当該位置情報をコンピュータ本体20に送信する。ステップS25は、本発明の制御ステップの一例である。以上のようにして、前記動作制御処理が実行される。
【0060】
以上説明したように、実施形態1に係るタッチパネル装置10は、所定のオペレーティングシステム(OS)を搭載するコンピュータ本体20に接続されて通信を行い、タッチ入力を検出する機能を発揮する。また、タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20に対してイーサーネット通信規格に基づき通信を行うEther通信制御回路基板13と、コンピュータ本体20に対してUSB通信規格に基づき通信を行うUSB通信制御回路基板12とを備える。また、タッチパネル装置10は、Ether通信制御回路基板13から取得する第1通信パラメータ(TLL値)に基づいてOS21の種別を分類して判定し、判定したOS21の種別に対応する動作モードを設定する。また、タッチパネル装置10は、USB通信制御回路基板12から取得する第2通信パラメータ(「Set Feature Report」、「Device Mode」)に基づいてOS21の種別を分類して判定し、判定したOS21の種別に対応する動作モードを設定する。そして、タッチパネル装置10は、USB通信制御回路基板12によるコンピュータ本体20に対する通信に基づいて、当該動作モードによるタッチ入力の検出処理を実行する。
【0061】
これにより、コンピュータ本体20に接続されて利用されるタッチパネル装置10において、コンピュータ本体20のOS21に対応するタッチパネル装置10の機能に対応する動作モードを簡易に設定することが可能となる。よって、ユーザーは、タッチパネル装置10において利用可能な機能に対応する動作モードを自ら設定する必要がなくなるため、利便性を向上させることができる。
【0062】
[実施形態2]
図5は、実施形態2に係るコンピュータシステム1の構成を示す図である。以下では、前記実施形態1に係るコンピュータシステム1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
コンピュータ本体20は、オペレーティングシステム(OS)21と、USB通信制御回路基板22とを備えている。すなわち、実施形態2のコンピュータ本体20では、Ether通信制御回路基板23(図1参照)が省略されている。
【0064】
タッチパネル装置10は、タッチ制御部11と、USB通信制御回路基板12と、Ether通信制御回路基板13と、記憶部14と、タッチパネル15と、制御装置16と、通信中継装置17とを備えている。すなわち、実施形態2のタッチパネル装置10では、実施形態1のタッチパネル装置10にさらに通信中継装置17が追加されている。
【0065】
通信中継装置17は、通信変換部171と、接続先切替部172とを備えている。通信中継装置17は、コンピュータ本体20のUSB通信制御回路基板22と、タッチパネル装置10のUSB通信制御回路基板12及びEther通信制御回路基板13との間に配置され、コンピュータ本体20とタッチパネル装置10との通信を中継する。通信中継装置17とコンピュータ本体20のUSB通信制御回路基板22とは、ケーブルNにより接続されている。
【0066】
接続先切替部172は、コンピュータ本体20と通信を行う接続先を、USB通信制御回路基板12とEther通信制御回路基板13との間で切り替える。接続先切替部172は、タッチ制御部11の指示に従って前記接続先を切り替える。
【0067】
通信変換部171は、コンピュータ本体20との間のUSB通信規格に基づく通信をイーサーネット通信規格に変換してEther通信制御回路基板13に対して通信を中継する。
【0068】
タッチ制御部11は、設定処理部111と、タッチ入力処理部112と、接続先切替処理部113とを備えている。
【0069】
接続先切替処理部113は、接続先切替部172に前記接続先を切り替える切替指示を出力する。具体的には、接続先切替処理部113は、OS種別判定処理部161がOS21の種別を第1分類に分類して判定する前に、前記接続先をEther通信制御回路基板13に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する。すなわち、接続先切替処理部113は、OS種別判定処理部161がTLL値に基づいてOS21の種別を前記第1分類に分類して判定する第1判定処理を実行する前に、前記接続先をEther通信制御回路基板13に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する。これにより、接続先切替部172は、OS種別判定処理部161がOS21の種別を第1分類に分類して判定する前に、コンピュータ本体20とEther通信制御回路基板13とを通信可能に接続する。
【0070】
コンピュータ本体20とEther通信制御回路基板13とが接続されると、OS種別判定処理部161は、通信変換部171によるUSB通信からイーサーネット通信への通信変換を経て、Ether通信制御回路基板13から取得するTLL値に基づいてOS21の種別を第1分類に分類して判定する。例えば、OS種別判定処理部161は、Ether通信制御回路基板13からTLL値を取得すると、図2のOS種別情報D1を参照して、前記TLL値に対応するOS21の種別を判定する。
【0071】
前記TLL値が「62~64」の場合には、OS種別判定処理部161は、さらに、USB通信制御回路基板12から取得する通信パラメータに基づいてOS21の種別を前記第2分類に分類して判定する。具体的には、接続先切替処理部113は、OS種別判定処理部161がOS21の種別を前記第1分類に分類して判定した後、かつOS種別判定処理部161がOS21の種別を第2分類に分類して判定する前に、前記接続先をUSB通信制御回路基板12に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する。すなわち、接続先切替処理部113は、OS種別判定処理部161がUSB通信制御回路基板12から取得する通信パラメータに基づいてOS21の種別を分類して判定する第2判定処理を実行する前に、前記接続先をUSB通信制御回路基板12に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する。これにより、接続先切替部172は、OS種別判定処理部161がOS21の種別を第2分類に分類して判定する前に、コンピュータ本体20とUSB通信制御回路基板12とを通信可能に接続する。
【0072】
コンピュータ本体20とUSB通信制御回路基板12とが接続されると、OS種別判定処理部161は、通信中継装置17を介してUSB通信制御回路基板12から取得する制御パラメータ(「Set Feature Report」、「Device Mode」)に基づいてOS21の種別を第2分類に分類して判定する。
【0073】
このように、OS種別判定処理部161は、通信中継装置17(通信変換部171)を介してEther通信制御回路基板13から取得する第1通信パラメータ(TLL値)に基づいてOS21の種別を第1分類に分類して判定(第1判定処理)した後に、さらに通信中継装置17を介してUSB通信制御回路基板12から取得する第2通信パラメータ(「Set Feature Report」、「Device Mode」)に基づいてOS21の種別を第2分類に分類して判定(第2判定処理)する。
【0074】
出力処理部162は、OS種別判定処理部161による判定結果をタッチ制御部11に出力する。具体的には、出力処理部162は、判定されたOS21の種別をタッチ制御部11に出力する。
【0075】
タッチ制御部11は、USB通信制御回路基板12を介してUSB通信規格に従ったデータ通信を利用してコンピュータ本体20のOS21に基づき、タッチパネル15の動作を制御する。タッチ制御部11は、設定処理部111と、タッチ入力処理部112とを備える。
【0076】
設定処理部111は、タッチパネル15の動作モードを設定する。具体的には、設定処理部111は、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別に対応する動作モードを設定する。
【0077】
[動作制御処理]
以下、図6を参照しつつ、実施形態2に係るタッチパネル装置10のタッチ制御部11及び制御装置16によって実行される動作制御処理について説明する。以下では、前記実施形態1に係る動作制御処理(図4参照)と同一の処理ステップには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
先ずコンピュータシステム1の電源がON状態になると(S11)、前記制御部(接続先切替処理部113)は、コンピュータ本体20と通信を行う接続先をEther通信制御回路基板13に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する(S121)。すなわち、前記制御部は、TLL値に基づいてOS21の種別を分類して判定する第1判定処理を実行する前に、前記接続先をEther通信制御回路基板13に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する。これにより、接続先切替部172は、コンピュータ本体20とEther通信制御回路基板13とを通信可能に接続する。
【0079】
次にステップS13において、前記制御部(OS種別判定処理部161)は、コンピュータ本体20に搭載されたOS21の種別を判定する。具体的には、前記制御部は、通信変換部171を介してEther通信制御回路基板13から取得するTLL値に基づいてOS21の種別を前記第1分類に分類して判定する第1判定処理を実行する。例えば、前記制御部は、Ether通信制御回路基板13からTLL値を取得して、図2のOS種別情報D1を参照して、前記TLL値に対応するOS21の種別を判定する。
【0080】
ここで、前記TLL値が「62~64」の場合、前記制御部は、OS21が「Linux/Mac/Android」の何れかであると判定し、処理がステップS171に移行する。
【0081】
ステップS171では、前記制御部は、コンピュータ本体20と通信を行う接続先をUSB通信制御回路基板12に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する。すなわち、前記制御部は、USB通信制御回路基板12から取得する通信パラメータに基づいてOS21の種別を分類して判定する第2判定処理を実行する前に、前記接続先をUSB通信制御回路基板12に切り替える切替指示を接続先切替部172に出力する。これにより、接続先切替部172は、コンピュータ本体20とUSB通信制御回路基板12とを通信可能に接続する。
【0082】
次にステップS18において、前記制御部(OS種別判定処理部161)は、通信中継装置17を介いてUSB通信制御回路基板12から取得する通信パラメータに基づいてOS21の種別を分類して判定する第2判定処理を実行する。例えば、前記制御部は、タッチパネル15の動作モードを制御する制御パラメータである「Set Feature Report」と「Device Mode」とに基づいて、OS21が「Mac」であるか、又は「Android」であるかを判定する。以降の処理は、前記実施形態1に係る動作制御処理(図4参照)と同一である。
【0083】
以上説明したように、実施形態2に係るタッチパネル装置10は、所定のオペレーティングシステム(OS)を搭載するコンピュータ本体20に接続されて通信を行い、タッチ入力を検出する機能を発揮する。タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20に対してイーサーネット通信規格に基づき通信を行うEther通信制御回路基板13と、コンピュータ本体20に対してUSB通信規格に基づき通信を行うUSB通信制御回路基板12とを備える。また、タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20と通信を行う接続先をEther通信制御回路基板13とUSB通信制御回路基板12との間で切り替える。具体的には、タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20とEther通信制御回路基板13とを接続して、Ether通信制御回路基板13から取得する第1通信パラメータ(TLL値)に基づいてOS21の種別を分類して判定し、判定したOS21の種別に対応する動作モードを設定する。また、タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20とUSB通信制御回路基板12とを接続して、USB通信制御回路基板12から取得する第2通信パラメータ(「Set Feature Report」、「Device Mode」)に基づいてOS21の種別を分類して判定し、判定したOS21の種別に対応する動作モードを設定する。そして、タッチパネル装置10は、USB通信制御回路基板12によるコンピュータ本体20に対する通信に基づいて、当該動作モードによるタッチ入力の検出処理を実行する。
【0084】
このように、タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20と通信を行う接続先をEther通信制御回路基板13とUSB通信制御回路基板12との間で切り替えて、異なる通信パラメータ(前記TLL値、前記制御パラメータ(「Set Feature Report」、「Device Mode」))を利用してコンピュータ本体20のオペレーティングシステム(OS)を判定する判定処理(前記第1判定処理、前記第2判定処理)を実行する。これにより、コンピュータ本体20に接続されて利用されるタッチパネル装置10において、コンピュータ本体20のOS21に対応するタッチパネル装置10の機能に対応する動作モードを簡易に設定することが可能となる。よって、ユーザーは、タッチパネル装置10において利用可能な機能に対応する動作モードを自ら設定する必要がなくなるため、利便性を向上させることができる。
【0085】
[変形例]
本発明は上述の各実施形態に限定されない。例えば、タッチパネル装置10は、前記実施形態1及び前記実施形態2のそれぞれにおいて、さらに、ユーザーによる前記動作モードを選択する操作を受け付け可能な構成を備えてもよい。例えば図7に示すように、タッチパネル装置10は、動作モードを選択する選択画面を表示パネルに表示して、ユーザーの選択操作を受け付ける。タッチパネル装置10は、ユーザーにより選択された動作モードに設定する。
【0086】
ここで、タッチパネル装置10は、コンピュータ本体20のオペレーティングシステム(OS)に対応する動作モードのみを選択可能に前記選択画面に表示させてもよい。例えば、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別が「Windows」である場合、タッチ入力処理部112は、ユーザーの指によるタッチ入力と、タッチペンによるタッチ入力とを検出することが可能である。この場合、タッチパネル装置10は、「通常モード」、「タッチ専用モード」、「ペン専用モード」、及び「マウスモード」を選択可能に前記選択画面に表示させる。
【0087】
一方、例えば、OS種別判定処理部161により判定されたOS21の種別が「Mac」である場合、タッチ入力処理部112は、タッチペンによるタッチ入力と、ユーザーのマウス操作による入力を検出することが可能である。この場合、タッチパネル装置10は、「ペン専用モード」及び「マウスモード」のみを選択可能に前記選択画面に表示させる。
【0088】
前述した各実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味及び前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0089】
1 :コンピュータシステム
10 :タッチパネル装置
11 :タッチ制御部
12 :USB通信制御回路基板
13 :Ether通信制御回路基板
14 :記憶部
15 :タッチパネル
16 :制御装置
17 :通信中継装置
20 :コンピュータ本体
22 :USB通信制御回路基板
23 :Ether通信制御回路基板
111 :設定処理部
112 :タッチ入力処理部
113 :接続先切替処理部
161 :OS種別判定処理部
162 :出力処理部
171 :通信変換部
172 :接続先切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7