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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】杭状構造物の運搬・仮置き方法
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/12 20060101AFI20240228BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240228BHJP
   B60P 1/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B60P7/12
B60P3/00 L
B60P1/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020145393
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040604
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】土門 明
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 良介
(72)【発明者】
【氏名】神田 真一
(72)【発明者】
【氏名】玉田 康一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航太郎
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 桂
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-124668(JP,A)
【文献】国際公開第2020/011681(WO,A1)
【文献】実開昭52-050407(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/02
B60P 3/00
B60P 7/12
F03D 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬装置を用いて、杭状構造物を運搬し、仮置き場に仮置きする方法であって、
前記運搬装置は、前記杭状構造物を寝かせた状態で運搬する装置であり、
前記運搬装置は、
荷台昇降用ジャッキを備え、並列に配置されて横方向に連結された複数の多軸台車と、
前記複数の多軸台車上に跨がって固定され、その上面に前記杭状構造物を寝かせてその両端部をはみ出させた状態で載置可能な水平架台と、
前記水平架台上に前記杭状構造物の載置場所を挟んで左右一対設けられ、前記杭状構造物の転落を防止するストッパ機構と、
含んで構成され
前記方法は、
前記仮置き場の床面上に、前記杭状構造物を寝かせた状態でその両端部を載置するための一対の砕石マウンドを構築する砕石マウンド構築工程と、
前記複数の多軸台車の前記水平架台上に前記杭状構造物をその両端部をはみ出させた状態で載置する杭状構造物載置工程と、
前記複数の多軸台車を前記仮置き場まで移動させることにより、前記杭状構造物を運搬し、前記複数の多軸台車をジャッキアップ状態で前記一対の砕石マウンド間に進入させ、前記杭状構造物の両端部を前記一対の砕石マウンドの上方に位置させる運搬・位置決め工程と、
前記複数の多軸台車をジャッキダウンして、前記杭状構造物の両端部を前記一対の砕石マウンド上に預けて仮置きし、前記複数の多軸台車を退出させる仮置き工程と、
を含み、
前記砕石マウンド構築工程では、前記床面上に砕石を積み上げることで、前記一対の砕石マウンドを構築する、杭状構造物の運搬・仮置き方法。
【請求項2】
前記一対の砕石マウンドは、複数本の前記杭状構造物を並べて支持できる大きさである、請求項1に記載の杭状構造物の運搬・仮置き方法。
【請求項3】
前記左右一対のストッパ機構の各々は、前記杭状構造物に対峙するストッパ部材と、このストッパ部材を倒伏及び起立可能な駆動デバイスと、を含んで構成され、
前記左右一対のストッパ機構のストッパ部材は、起立状態で、前記杭状構造物の軸方向に見て、逆ハ字状をなす、請求項1又は請求項2に記載の杭状構造物の運搬・仮置き方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭状構造物の運搬装置、及び、杭状構造物の運搬・仮置き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重量物の運搬装置として、特許文献1~3などに示されているように、多軸台車を用いることが知られている。
多軸台車は、荷台を昇降(ジャッキアップ及びジャッキダウン)させることができる荷台昇降用ジャッキを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4004423号公報
【文献】特許第6061191号公報
【文献】特許第6682332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、重量物を運搬する際は、重量物を寝かせた状態(重心を低くした状態)で運搬するのが一般的である。
【0005】
しかしながら、運搬対象の重量物が杭状構造物の場合、寝かせただけでは、転落するおそれがあり、安全に運搬可能とすることが求められる。
また、仮置き場まで搬送して荷下ろしし、施工までの長い期間、寝かせたまま仮置きすることが求められる場合もある。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑み、杭状構造物を多軸台車を用いて寝かせた状態(横置き状態)で安全に運搬する運搬装置、及び、運搬して仮置きする方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る杭状構造物の運搬装置は、
荷台昇降用ジャッキを備え、並列に配置されて横方向に連結された複数の多軸台車と、
前記複数の多軸台車上に跨がって固定され、その上面に杭状構造物を寝かせてその両端部をはみ出させた状態で載置可能な水平架台と、
前記水平架台上に前記杭状構造物の載置場所を挟んで左右一対設けられ、前記杭状構造物の転落を防止するストッパ機構と、
含んで構成される。
【0008】
本発明に係る杭状構造物の運搬・仮置き方法は、上記の運搬装置を用い、
杭状構造物の仮置き場の床面上に、杭状構造物を寝かせた状態でその両端部を載置するための一対の砕石マウンドを構築する砕石マウンド構築工程と、
前記多軸台車に載置された水平架台上に杭状構造物をその両端部をはみ出させた状態で載置する杭状構造物載置工程と、
前記多軸台車を仮置き場まで移動させることにより、杭状構造物を運搬し、前記多軸台車をジャッキアップ状態で前記一対の砕石マウンド間に進入させ、杭状構造物の両端部を前記一対の砕石マウンドの上方に位置させる運搬・位置決め工程と、
前記多軸台車をジャッキダウンして、杭状構造物の両端部を前記一対の砕石マウンド上に預けて仮置きし、前記多軸台車を退出させる仮置き工程と、
を含む。
砕石マウンド構築工程では、前記床面上に砕石を積み上げることで、前記一対の砕石マウンドを構築する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、杭状構造物を多軸台車を用いて寝かせた状態(横置き状態)で安全に運搬することができ、また安全に仮置きすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】洋上風力発電設備の概略図
図2】本発明の一実施形態として示すモノパイル運搬装置の全体図
図3図2の平面図
図4図2のA-A矢視相当のジャッキアップ状態及びダウン状態の側面図
図5図2のB-B矢視相当の側面図
図6】ストッパ機構の拡大図
図7】仮置き場への搬入時の工程図
図8】仮置き場からの搬出時の工程図
図9】運搬及び仮置きの説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態では、杭状構造物として、洋上風力発電設備用のモノパイルを運搬し、仮置きする。
【0012】
従って、先ず、洋上風力発電設備について、その代表例を、図1の概略図に基づいて説明する。
【0013】
洋上風力発電設備100は、モノパイル1と、トランジッションピース2と、タワー3と、ナセル(発電部)4と、複数のブレード5と、を含んで構成される。
【0014】
モノパイル1は、水底BW以深の地盤(水底地盤)に打ち込まれて、杭基礎(杭状構造物)をなす。モノパイル1の上端は水面DLより上方に位置させてある。
【0015】
トランジッションピース2は、モノパイル1の上端部に接続される鉛直度調整用の塔状構造物で、トランジッションピース2の下端部内周がモノパイル1の上端部外周に嵌合した状態で接続固定される。
【0016】
タワー3は、トランジッションピース2の上端部に立設される。なお、トランジッションピース2の上端部には、タワー3設置用及び発電設備維持管理用のデッキ(足場設備)2dが設けられる。
【0017】
ナセル4は、タワー3の頂部に設置される発電部である。
ブレード5は、ナセル4の水平軸(ロータ軸)の前端部に取付けられて、複数、放射状に配置され、風力により回転してナセル4にて発電を行わせる。
【0018】
上記のような洋上風力発電設備100を港付近の洋上に多数基設置する場合、洋上風力発電設備100の構成部材(モノパイル1、トランジッションピース2、タワー3、ナセル4及びブレード5)を海外から船で全基分搬入して、施工(モノパイル1の打設、トランジッションピース2、タワー3、ナセル4及びブレード5の設置)することが多い。
【0019】
また、基礎施工(モノパイル1の打設とトランジッションピース2の設置)と上部施工(風車部材であるタワー3、ナセル4及びブレード5の設置)とに分ける場合、基礎施工は、全基分のモノパイル1及びトランジッションピース2の搬入後に行うこととなる。
【0020】
しかし、洋上風力発電設備の構成部材は、いずれも重量物であるため、例えばモノパイルの場合、1つの船で3本程度搬入するのが限度である。
従って、全基分の基礎施工用の構成部材(モノパイル1及びトランジッションピース2)を搬入するのに、1~数年かかることもある。
【0021】
従って、全基分の基礎施工用の構成部材が揃った後に、施工する場合、船が着くごとに、構成部材を荷下ろしして、仮置き場まで運搬し、仮置きすることになり、仮置きは数年に及ぶこともある。
【0022】
また、数年後の施工時には、仮置き場から船着き場へ運搬して、洋上風力設備据付船に直接積み込むか、運搬船に積み込んで洋上風力設備据付船に供給することになる。
【0023】
本実施形態は、上記のような場合に、杭状構造物であるモノパイル1を船着き場から仮置き場まで(あるいは仮置き場から船着き場まで)多軸台車で運搬し、仮置きするための、運搬装置、及び、運搬・仮置き方法についての、実施形態である。
モノパイル1は、寝かせた状態(横置き状態)で運搬し、同じく寝かせた状態で仮置きすることが求められる。
【0024】
図2は本発明の一実施形態として示すモノパイル運搬装置の全体図(台車の側方から見た正面図)、図3図2の平面図である。また、図4図2のA-A矢視相当の側面図で、図4(a)はジャッキアップ状態、図4(b)はジャッキダウン状態である。また、図5図2のB-B矢視相当の側面図である。
【0025】
本実施形態では、図4(及び図5)から解るように、3台の多軸台車10を使用し、これらは並列に配置されて、連結材(H形鋼)11により横方向に連結・一体化されている。各多軸台車10は、同軸の一対の車輪10a、10aを、横方向に2組(図4参照)、前後方向に16組(図2参照)有しており、32軸の構成である。各一対の車輪10a、10aは、それぞれの垂直軸回りに旋回可能である。
【0026】
多軸台車10の荷台10bは、荷台昇降用ジャッキ10cにより、昇降(ジャッキアップ及びジャッキダウン)可能である。
なお、図4(a)は荷台10bを上昇させたジャッキアップ状態、図4(b)は荷台10bを下降させたジャッキダウン状態を示している。
【0027】
並列な3台の多軸台車10によりモノパイル1を寝かせた状態(横置き状態)で運搬するため、3台の多軸台車10の荷台10b上に、水平架台12が構築される。
水平架台12は、3台の多軸台車10上に跨がって固定され、その上面にモノパイル1を寝かせてその両端部をはみ出させた状態で載置可能である。
【0028】
本実施形態では、水平架台12は、複数本(本例では5本)の鋼材(H形鋼)13により構成される。これらの鋼材13は、それぞれが、3台の多軸台車10を横断する方向に配置され、互いに、多軸台車10の前後方向に所定の間隔をあけて、平行に配置される。そして、これらの鋼材13は多軸台車10の荷台10b上に固定される。
【0029】
また、多軸台車10の水平架台12上に載置されたモノパイル1の転落を防止するため、水平架台12上に、モノパイル1の載置場所を挟む形で、左右一対のストッパ機構14が設けられる。
【0030】
本実施形態では、ストッパ機構14は、水平架台12を構成する5本の鋼材13のうち、2本の鋼材13に、それぞれ一対設けている。従って、左右一対のストッパ機構14が前後方向に2組設けられる。
【0031】
ストッパ機構14については、図6の拡大図により、更に詳しく説明する。
ストッパ機構14は、モノパイル1の周面に対峙するストッパ部材(ストッパ板)15と、このストッパ部材15を倒伏及び起立可能な駆動デバイスとしての油圧シリンダ16とを含んで構成される。
【0032】
なお、ストッパ部材15は下端側の回動軸15aを中心として回動可能であり、油圧シリンダ16は基端側の回動軸16aを中心として回動可能である。そして、ストッパ部材15の自由端側と油圧シリンダ16の出力ロッド先端とが連結ピン17により連結されている。
【0033】
ここにおいて、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15は、起立状態で、図5に示されるように、モノパイル1の軸方向に見て、逆ハ字状をなす。この状態で、モノパイル1を保持し、転落を防止することができる。
【0034】
なお、モノパイル1とストッパ部材15との間には、適宜、緩衝あるいは隙間調整のため、角材(木製)18などを介在させるようにしてもよい(図6参照)。
【0035】
次にモノパイル1の仮置き場の構成について図7及び図8を参照して説明する。
図7は仮置き場への搬入時の工程図、図8は仮置き場からの搬出時の工程図である。
【0036】
モノパイル1の仮置き場には、モノパイル1を寝かせた状態で、その両端部を支持するため、床面(地面を含む)上に、砕石を積み上げることで、一対のマウンド(砕石マウンド)20、20が設けられる。
【0037】
本実施形態では、一対のマウンド20、20は、4本のモノパイル1を並べて支持できる大きさとしている。従って、32本のモノパイルを仮置きする場合は、8対のマウンドが必要となる。
【0038】
一対のマウンド20、20の間隔は、一対のマウンド20、20間に多軸台車10が進入することができる大きさとする。
【0039】
マウンド20の高さは、多軸台車10がジャッキアップしたときの水平架台12上面の高さより低く(図7(a)参照)、多軸台車10がジャッキダウンしたときの水平架台12上面の高さより高く(図7(b)参照)なるように設定される。
【0040】
従って、多軸台車10がジャッキアップ状態でモノパイル1を搭載して、一対のマウンド20、20間に進入したときに、マウンド20がモノパイル1より低くなり、マウンド20、20の上方にモノパイル1の両端部が位置するようになる(図7(a)参照)。
【0041】
また、一対のマウンド20、20間に進入した多軸台車10がジャッキダウンすると、モノパイル1を一対のマウンド20、20に預けることができ、多軸台車10は空荷状態で一対のマウンド20、20間から退出可能となる(図7(b)参照)。
【0042】
次にモノパイル1の実際の運搬と仮置きについて図9を併せて参照して説明する。
図9は運搬及び仮置きの説明図である。
【0043】
モノパイル1の仮置き場には、その床面上に、モノパイル1を寝かせた状態でその両端部を載置するための一対のマウンド(砕石マウンド)20、20を予め構築する。本工程が、マウンド構築工程に相当する。
【0044】
モノパイル1の運搬船200は、3本程度のモノパイル1を寝かせた状態(横置き状態)で、搬入する。
【0045】
運搬船200が港に着岸すると、クレーンにより、モノパイル1を吊り上げ、船着き場に待機していた多軸台車10の水平架台12上に載置する。本工程が、多軸台車10の水平架台12上にモノパイル1をその両端部をはみ出させた状態で載置するモノパイル載置工程に相当する。これにより、多軸台車10は、モノパイル1を運搬可能となる。
【0046】
モノパイル1を搭載した多軸台車10は、船着き場から走行して、仮置き場へ向かい、モノパイル1を運搬する。そして、多軸台車10は、仮置き場へ到着すると、図7(a)に示されるように、ジャッキアップ状態で、一対のマウンド20、20間に進入する。本工程が、多軸台車10を仮置き場まで移動させることにより、モノパイル1を運搬し、多軸台車10をジャッキアップ状態で一対のマウンド20、20間に進入させ、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20の上方に位置させる運搬・位置決め工程に相当する。
【0047】
そして、進入後、図7(b)に示されるように、ジャッキダウンする、これにより、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20に預けて、仮置きすることができる。この後、多軸台車10は、空荷となり、一対のマウンド20、20間から退出して、次のモノパイル1の運搬のために船着き場へ戻ることができる。本工程が、多軸台車10をジャッキダウンして、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20上に預けて仮置きし、多軸台車10を退出させる仮置き工程に相当する。
【0048】
また、上記では、船着き場から仮置き場へ運搬して仮置きする場合について説明したが、仮置き期間の経過後、施工に先立って、仮置き場から船着き場へ運搬する場合も、一時的には仮置きすることになるので、同様に適用することができる。
【0049】
図8は仮置き場からの搬出時の工程図である。
図8(a)の工程では、多軸台車10は、ジャッキダウン状態で、一対のマウンド20、20間で、これらにより支持されているモノパイル1の下側に進入する。
【0050】
図8(b)の工程では、多軸台車10は、ジャッキアップして、水平架台12によりモノパイル1を持ち上げ、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20から浮かす。これにより、モノパイル1を搬出可能となる。従って、多軸台車10は、モノパイル1を搭載した状態で、一対のマウンド20、20から退出し、船着き場へ向かう。
【0051】
また、図9には、運搬船200により立てたままで搬入したトランジッションピース2を、別の多軸台車50により運搬して、トランジッションピース仮置き場に立てた状態で仮置きする様子なども示されている。
【0052】
なお、上記の説明では、運搬・仮置き対象の杭状構造物を洋上風力発電設備のモノパイルとしたが、本発明はこれに限るものではなく、杭状構造物一般に適用可能である。
【0053】
また、図示の実施形態はあくまで本発明を概略的に例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
なお、出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
杭状構造物を寝かせた状態で運搬する装置であって、
荷台昇降用ジャッキを備え、並列に配置されて横方向に連結された複数の多軸台車と、
前記複数の多軸台車上に跨がって固定され、その上面に前記杭状構造物を寝かせてその両端部をはみ出させた状態で載置可能な水平架台と、
前記水平架台上に前記杭状構造物の載置場所を挟んで左右一対設けられ、前記杭状構造物の転落を防止するストッパ機構と、
を含んで構成されることを特徴とする、杭状構造物の運搬装置。
[請求項2]
前記ストッパ機構は、前記杭状構造物に対峙するストッパ部材と、このストッパ部材を倒伏及び起立可能な駆動デバイスと、を含んで構成され、
前記左右一対のストッパ機構のストッパ部材は、起立状態で、前記杭状構造物の軸方向に見て、逆ハ字状をなすことを特徴とする、請求項1記載の杭状構造物の運搬装置。
[請求項3]
請求項1又は請求項2記載の運搬装置を用いて、杭状構造物を運搬し、仮置き場に仮置きする方法であって、
杭状構造物の仮置き場の床面上に、杭状構造物を寝かせた状態でその両端部を載置するための一対のマウンドを構築するマウンド構築工程と、
前記多軸台車の水平架台上に杭状構造物をその両端部をはみ出させた状態で載置する杭状構造物載置工程と、
前記多軸台車を仮置き場まで移動させることにより、杭状構造物を運搬し、前記多軸台車をジャッキアップ状態で前記一対のマウンド間に進入させ、杭状構造物の両端部を前記一対のマウンドの上方に位置させる運搬・位置決め工程と、
前記多軸台車をジャッキダウンして、杭状構造物の両端部を前記一対のマウンド上に預けて仮置きし、前記多軸台車を退出させる仮置き工程と、
を含むことを特徴とする、杭状構造物の運搬・仮置き方法。
【符号の説明】
【0054】
100 洋上風力発電設備
1 モノパイル
2 トランジッションピース
2d デッキ(足場設備)
3 タワー
4 ナセル(発電部)
5 ブレード
10 多軸台車
10a 車輪
10b 荷台
10c 荷台昇降用ジャッキ
11 連結材
12 水平架台
13 水平架台を構成する鋼材
14 ストッパ機構
15 ストッパ部材
15a 回動軸
16 油圧シリンダ(駆動デバイス)
16a 回動軸
17 連結ピン
18 角材
20 仮置き用のマウンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9