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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】MEMS素子及び電気回路
(51)【国際特許分類】
   B81B 3/00 20060101AFI20240228BHJP
   H01H 59/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B81B3/00
H01H59/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020154739
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048743
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】山崎 宏明
(72)【発明者】
【氏名】増西 桂
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-511105(JP,A)
【文献】特開2020-035828(JP,A)
【文献】特開2015-213963(JP,A)
【文献】特開平05-259404(JP,A)
【文献】特開2018-074427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 3/00
H01H 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
素子部と、
を備え、
前記素子部は、
前記第1部材に固定された第1固定電極と、
前記第1固定電極と対向する第1可動電極と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第1導電部材と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第2導電部材と、
を含み、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持し、
前記第1導電部材は、ミアンダ構造を有し、
前記第2導電部材は、第1導電領域と第2導電領域とを含み、前記第2導電領域は、前記第1可動電極と前記第1導電領域との間にあり、前記第1可動電極から前記第1導電領域への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第2導電領域の第2幅は、前記第2方向に沿う前記第1導電領域の第1幅よりも小さ
前記第1固定電極から前記第1可動電極への方向において、前記第2導電領域は、前記第1固定電極の端部と重なる、MEMS素子。
【請求項2】
前記第1導電部材は、第1ノッチ部と、第1非ノッチ部と、を含み、前記第1ノッチ部から前記第1非ノッチ部への方向は、前記第1導電部材及び前記第1可動電極を含む第1電流経路に沿い、
前記第1電流経路に対して垂直な第1交差方向に沿う前記第1ノッチ部の長さは、前記第1交差方向に沿う前記第1非ノッチ部の長さよりも短い、請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項3】
第1部材と、
素子部と、
を備え、
前記素子部は、
前記第1部材に固定された第1固定電極と、
前記第1固定電極と対向する第1可動電極と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第1導電部材と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第2導電部材と、
を含み、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持し、
前記第1導電部材は、ミアンダ構造を有し、
前記第2導電部材は、第1導電領域と第2導電領域とを含み、前記第2導電領域は、前記第1可動電極と前記第1導電領域との間にあり、前記第1可動電極から前記第1導電領域への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第2導電領域の第2幅は、前記第2方向に沿う前記第1導電領域の第1幅よりも小さ
前記第1導電部材は、第1ノッチ部と、第1非ノッチ部と、を含み、前記第1ノッチ部から前記第1非ノッチ部への方向は、前記第1導電部材及び前記第1可動電極を含む第1電流経路に沿い、
前記第1電流経路に対して垂直な第1交差方向に沿う前記第1ノッチ部の長さは、前記第1交差方向に沿う前記第1非ノッチ部の長さよりも短い、MEMS素子。
【請求項4】
前記第1固定電極から前記第1可動電極への方向において、前記第1ノッチ部は、前記第1固定電極の端部と重なる、請求項2または記載のMEMS素子。
【請求項5】
前記素子部は、前記第1部材に固定された第2固定電極をさらに含み、
前記第1可動電極は、第1電極領域及び第2電極領域を含み、
前記第1電極領域と前記第1導電部材との間の距離は、前記第2電極領域と前記第1導電部材との間の距離よりも短く、
前記第1電極領域は、前記第1固定電極と対向し、
前記第2電極領域は、前記第2固定電極と対向し、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第2固定電極から離して支持する、請求項1~4のいずれか1つに記載のMEMS素子。
【請求項6】
第1部材と、
素子部と、
を備え、
前記素子部は、
前記第1部材に固定された第1固定電極と、
前記第1固定電極と対向する第1可動電極と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第1導電部材と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第2導電部材と、
を含み、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持し、
前記第1導電部材は、ミアンダ構造を有し、
前記第2導電部材は、第1導電領域と第2導電領域とを含み、前記第2導電領域は、前記第1可動電極と前記第1導電領域との間にあり、前記第1可動電極から前記第1導電領域への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第2導電領域の第2幅は、前記第2方向に沿う前記第1導電領域の第1幅よりも小さ
前記素子部は、前記第1部材に固定された第2固定電極をさらに含み、
前記第1可動電極は、第1電極領域及び第2電極領域を含み、
前記第1電極領域と前記第1導電部材との間の距離は、前記第2電極領域と前記第1導電部材との間の距離よりも短く、
前記第1電極領域は、前記第1固定電極と対向し、
前記第2電極領域は、前記第2固定電極と対向し、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第2固定電極から離して支持し、
前記第2導電部材と前記第1固定電極との間に印加された第1電気信号による局所的な温度上昇により前記第1導電部材及び前記第2導電部材が破断する、MEMS素子。
【請求項7】
前記第1可動電極は、前記第1電極領域と前記第2電極領域との間の第3電極領域をさらに含み、
前記素子部は、前記第1部材に固定された第1支持部、前記第1部材に固定された第2支持部、及び、前記第1部材に固定された第3支持部を含み、
前記第1支持部は、前記第1導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第2支持部は、前記第2導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第3支持部は、前記第3電極領域の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持する、請求項5または6に記載のMEMS素子。
【請求項8】
第1部材と、
素子部と、
を備え、
前記素子部は、
前記第1部材に固定された第1固定電極と、
前記第1固定電極と対向する第1可動電極と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第1導電部材と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第2導電部材と、
を含み、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持し、
前記第1可動電極は、前記第1導電部材と接続された第1接続部と、前記第2導電部材と接続された第2接続部と、を含み、
前記第1接続部から前記第2接続部への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1可動電極の幅は、前記第1可動電極の少なくとも一部において、前記第1接続部から前記第2接続部への向きにおいて増大
前記第1可動電極を流れる電流により前記第1接続部の温度が局所的に上昇して前記第1接続部が破断する、MEMS素子。
【請求項9】
前記第1可動電極の前記少なくとも一部は、前記第1方向に対して傾斜する側部を含む、請求項8に記載のMEMS素子。
【請求項10】
前記素子部は、前記第1部材に固定された第2固定電極をさらに含み、
前記第1可動電極は、第1電極領域及び第2電極領域を含み、
前記第1電極領域と前記第1導電部材との間の距離は、前記第2電極領域と前記第1導電部材との間の距離よりも短く、
前記第1電極領域は、前記第1固定電極と対向し、
前記第2電極領域は、前記第2固定電極と対向し、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第2固定電極から離して支持し、
前記第1電極領域の少なくとも一部は、前記第1方向に対して傾斜する側部を含み、
前記第2方向に沿う前記第1電極領域の幅は、前記第1電極領域の前記少なくとも一部において、前記第1接続部から前記第2接続部への前記向きにおいて増大する、請求項8に記載のMEMS素子。
【請求項11】
前記第1可動電極は、前記第1電極領域と前記第2電極領域との間の第3電極領域をさらに含み、
前記素子部は、前記第1部材に固定された第1支持部、前記第1部材に固定された第2支持部、及び、前記第1部材に固定された第3支持部を含み、
前記第1支持部は、前記第1導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第2支持部は、前記第2導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第3支持部は、前記第3電極領域の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持する、請求項10に記載のMEMS素子。
【請求項12】
請求項1~1のいずれか1つに記載のMEMS素子と、
前記MEMS素子と電気的に接続された電気素子と、
を備えた電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、MEMS素子及び電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スイッチなどにMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子が用いられる。MEMS素子において、安定した動作が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭59-121730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、安定した動作が可能なMEMS素子及び電気回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、MEMS素子は、第1部材と、素子部と、を含む。前記素子部は、前記第1部材に固定された第1固定電極と、前記第1固定電極と対向する第1可動電極と、前記第1可動電極に電気的に接続された第1導電部材と、前記第1可動電極に電気的に接続された第2導電部材と、を含む。前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持する。前記第1導電部材は、ミアンダ構造を有する。前記第2導電部材は、第1導電領域と第2導電領域とを含む。前記第2導電領域は、前記第1可動電極と前記第1導電領域との間にある。前記第1可動電極から前記第1導電領域への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第2導電領域の第2幅は、前記第2方向に沿う前記第1導電領域の第1幅よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子の一部を例示する模式的平面図である。
図3図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図5図5は、MEMS素子の特性を例示するグラフ図である。
図6図6は、第1実施形態に係るMEMS素子の一部を例示する模式的平面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図8図8(a)~図8(c)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図9図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、MEMS素子の特性を例示するグラフ図である。
図13図13は、第2実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図14図14は、実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図15図15は、第3実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図16図16は、実施形態に係るMEMS素子に用いられる制御回路を例示する模式図である。
図17図17は、実施形態に係るMEMS素子に用いられる制御回路を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子の一部を例示する模式的平面図である。
図1(a)は、図1(b)の矢印AR1からみた平面図である。図1(b)は、図1(a)のA1-A2線断面図である。
【0009】
図1(b)に示すように、実施形態に係るMEMS素子110は、第1部材41及び素子部51を含む。第1部材41は、例えば基体である。この例では、第1部材41は、基板41s及び絶縁層41iを含む。基板41sは、例えばシリコン基板である。基板41sは、トランジスタなどの制御素子を含んでも良い。基板41sの上に絶縁層41iが設けられる。例えば、絶縁層41iの上に素子部51が設けられる。実施形態において、第1部材41は、配線など(図示しない)を含んでも良い。配線は、例えば、素子部51と基板41sとを電気的に接続する。配線は、コンタクトビアを含んでも良い。
【0010】
図1(a)及び図1(b)に示すように、素子部51は、第1固定電極11、第1可動電極20E、第1導電部材21及び第2導電部材22を含む。第1固定電極11は、第1部材41に固定される。例えば、第1固定電極11は、絶縁層41iの上に設けられる。
【0011】
第1可動電極20Eは、第1固定電極11と対向する。第1導電部材21は、第1可動電極20Eに電気的に接続される。第2導電部材22は、第1可動電極20Eに電気的に接続される。
【0012】
後述するように、例えば、第2導電部材22と第1固定電極11との間に第1電気信号Sg1(図1(b)参照)が印加されることが可能である。第1電気信号Sg1が印加される前の状態を第1状態(例えば初期状態)とする。図1(a)及び図1(b)は、第1状態を例示している。
【0013】
図1(b)に示すように、第1状態において、第1導電部材21及び第2導電部材22は、第1可動電極20Eを第1固定電極11から離して支持する。例えば、第1状態において、第1固定電極11と第1可動電極20Eとの間に第1間隙g1がある。
【0014】
例えば、第1支持部21S及び第2支持部22Sが設けられる。第1支持部21S及び第2支持部22Sは、第1部材41に固定される。第1支持部21S及び第2支持部22Sは、例えば、導電性である。
【0015】
第1導電部材21の一端が、第1支持部21Sに接続される。第1導電部材21は、第1支持部21Sにより支持される。第1導電部材21の他端が、第1可動電極20Eに接続される。第2導電部材22の一端が、第2支持部22Sに接続される。第2導電部材22は、第2支持部22Sにより支持される。第2導電部材22の他端が、第1可動電極20Eに接続される。この例では、第1支持部21Sと第2支持部22Sとの間に第1可動電極20Eがある。第1支持部21Sと第1可動電極20Eとの間に第1導電部材21がある。この例では、第1可動電極20Eと第2支持部22Sとの間に第2導電部材22がある。
【0016】
図1(a)に示すように、例えば、第1導電部材21は、細線状である。この例では、第1導電部材21は、ミアンダ構造を有する。例えば、第1導電部材21及び第2導電部材22は、ばね部材である。
【0017】
図1(a)に示すように、実施形態においては、第2導電部材22の平面形状は、第1導電部材21の平面形状とは異なる。
【0018】
図2(a)は、第1導電部材21を拡大して例示している。図2(b)は、第2導電部材22を拡大して例示している。
【0019】
図1(a)及び図2(b)に示すように、例えば、第2導電部材22は、第1導電領域22aと第2導電領域22bとを含む。第2導電領域22bは、第1可動電極20Eと第1導電領域22aとの間にある。第1可動電極20Eから第1導電領域22aへの方向を第1方向とする。
【0020】
第1方向は、例えば、X軸方向である。X軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。第1固定電極11から第1可動電極20Eへの方向は、例えば、Z軸方向に沿う。第1方向(X軸方向)と交差する1つの方向を第2方向Dp2とする。第2方向Dp2は、例えば、Y軸方向である。第2方向Dp2は、第1固定電極11から第1可動電極20Eへの方向(Z軸方向)と、第1方向(X軸方向)と、を含む平面と交差する。
【0021】
図2(b)に示すように、第2導電部材22において、第2方向Dp2(例えば、Y軸方向)に沿う幅が、場所によって異なる。第2方向Dp2(例えば、Y軸方向)に沿う第1導電領域22aの幅を第1幅W22aとする。第2方向Dp2に沿う第2導電領域22bの幅を第2幅W22bとする。第2幅W22bは、第1幅W22aよりも小さい。
【0022】
このような構成により、後述するように、安定した動作が可能なMEMS素子を提供できる。
【0023】
例えば、第1導電部材21及び第2導電部材22の幅は、第1可動電極20Eの幅W20(図1(a)参照)よりも小さい。第1導電部材21及び第2導電部材22は、第1可動電極20Eよりも変形し易い。
【0024】
例えば、第1固定電極11と第1可動電極20Eとの間の電位差に応じて、第1固定電極11と第1可動電極20Eとの間の距離(Z軸方向の長さ)が可変である。第1可動電極20Eは、第1固定電極11を基準にして変位可能である。
【0025】
図1(b)に示すように、第1端子T1及び第2端子T2が設けられても良い。第1端子T1は、第1導電部材21と電気的に接続される。第2端子T2は、第2導電部材22と電気的に接続される。例えば、第1状態において、第1端子T1と第2端子T2との間に電流が流れることが可能である。このとき、MEMS素子110は、導通状態(例えばオン状態)である。後述するように、第1導電部材21及び第2導電部材22は、破断されることが可能である。この場合、第1端子T1と第2端子T2との間に電流が流れない。このとき、MEMS素子110は、非導通状態(例えばオフ状態)である。
【0026】
オン状態において、例えば、第1導電部材21及び第1可動電極20Eを含む第1電流経路21cp(図1(a)参照)に電流が流れることが可能である。オン状態において、例えば、第2導電部材22及び第1可動電極20Eを含む第2電流経路22cp(図1(a)参照)に電流が流れることが可能である。
【0027】
MEMS素子110は、ノーマリオンのスイッチ素子として機能することが可能である。
【0028】
素子部51は、第1容量素子31を含んでも良い(図1(b)参照)。第1容量素子31は、例えば、第1導電部材21と電気的に接続される。この例では、第1容量素子31は、第1端子T1と電気的に接続される。素子部51のオン状態またはオフ状態を制御することで、第1容量素子31への電気的な接続が制御できる。
【0029】
図1(b)に示すように、例えば、制御部70が設けられても良い。制御部70は、例えば、第1制御端子Tc1及び第2端子T2と電気的に接続される。第1制御端子Tc1は、第1固定電極11と電気的に接続される。制御部70により、第2導電部材22と第1固定電極11との間に第1電気信号Sg1が印加されることが可能である。第1電気信号Sg1は、電圧信号及び電流信号の少なくともいずれかを含む。
【0030】
例えば、第2導電部材22の電位(例えば、第2端子T2の電位)が固定され、第1固定電極11の電位が、制御部70により、制御可能である。実施形態において、第1固定電極11の電位が実質的に固定され、第2導電部材2の電位が、制御部70により、制御可能でも良い。以下では、1つの例として、第2導電部材22の電位(例えば、第2端子T2の電位)が固定される場合について説明する。この場合、第1固定電極11の電位が制御部70により制御される。第2導電部材2と第1固定電極11との間の電位差の極性は、任意である。
【0031】
第1状態において、第1可動電極20Eの電位は、第2導電部材22の電位と実質的に同じである。第1固定電極11の電位を変化させることで、第1固定電極11と第1可動電極20Eとの間の電位差が変化する。例えば、電位差が大きいと、第1可動電極20Eと第1固定電極11との間の距離が短くなる。これは、例えば、静電力に基づく。電位差が大きくなると、第1可動電極20Eが第1固定電極11と接し、第1可動電極20E及び第1固定電極11を介して、導電部材に電流が流れることが可能である。これにより、導電部材は、破断されることが可能である。これにより、破断前の第1状態と、破断後の第2状態と、が形成可能である。第1可動電極20Eと第1固定電極11とが接する現象は、「プルイン」または「プルダウン」と呼ばれる。「プルイン」または「プルダウン」が生じる電圧は、「プルイン電圧」または「プルダウン電圧」と呼ばれる。
【0032】
MEMS素子110の素子部51は、例えば、OTP(One Time Programmable)素子として機能できる。
【0033】
既に説明したように、実施形態において、第2導電部材22の平面形状は、第1導電部材21の平面形状とは異なる。例えば、第1導電部材21は、細線状であり、ミアンダ構造を有する。一方、第2導電部材22は、上記のような、第1導電領域22a及び第2導電領域22bを含む。第2導電部材22の平面形状が第1導電部材21の平面形状と異なることで、例えば、第1導電部材21の剛性は、第2導電部材22の剛性よりも低くなる。このような構成により、例えば、第1可動電極20Eが第1固定電極11に近づくときに、第1可動電極20Eが傾斜した状態となり易くなる。これにより、第1導電部材21を安定して破断させ、その後、第2導電部材22を安定して破断させることができる。
【0034】
以下、第1状態から第2状態への移行の例について説明する。
図3(a)~図3(c)、図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
これらの図は、第2導電部材22と第1固定電極11との間に第1電気信号Sg1が印加されたときの、素子部51の変化を例示している。既に説明したように、第1電気信号Sg1は、制御部70により供給される。
【0035】
図3(a)に示す第1状態ST1において、第2導電部材22及び第1固定電極11の間に第1電気信号Sg1が印加されない。例えば、第2導電部材22及び第1固定電極11は、例えばフローティング状態FLTである。このとき、第1可動電極20Eは、第1固定電極11から離れている。このような第1状態ST1において、第1端子T1及び第2端子T2との間には、電流が流れることが可能である。第1状態ST1において、素子部51は、導通状態(オン状態)である。第1状態ST1において、第2導電部材22及び第1固定電極11の間の電位差が、プルイン電圧未満でも良い。
【0036】
図3(b)に示すように、例えば、第2端子T2(第2導電部材22)がグランド電位V0に設定され、第1固定電極11に第1電気信号Sg1が印加される。これにより、第1可動電極20Eは、第1固定電極11に近づく。例えば、第1導電部材21と第2導電部材22とが非対称である場合に、第1可動電極20Eが傾斜し易くなる。例えば、第1導電部材21の側の第1可動電極20Eの端部20Epが、第2導電部材22の側の第1可動電極20Eの端部20Eqと比べて、第1固定電極11に近づく。第1導電部材21の側の第1可動電極20Eの端部20Ep、及び、第1導電部材21の第1可動電極20Eの側の端部21pで、電界が集中する。例えば、端部21pが第1固定電極11に接する。例えば、端部20Epが第1固定電極11と接する。これにより、端部20Ep、及び、端部21pにおいて、温度が局部的に上昇し易くなる。温度の上昇は、例えば、ジュール熱による。
【0037】
端部20Ep及び端部21pの少なくともいずれかの温度が局部的に上昇すると、第1導電部材21が破断する。図3(b)に示すように、第1導電部材21に破断部21Bが生じる。破断部21Bにおいて、第1導電部材21が分断される。
【0038】
例えば、図1(a)に示すように、Z軸方向において、第1導電部材21の一部は、第1固定電極11と重なっても良い。例えば、Z軸方向において、第1導電部材21の一部が第1固定電極11と重なっていると、第1可動電極20Eが第1固定電極11に近づいたときに、第1導電部材21のその一部(端部21p)が第1固定電極11と接し易くなる。例えば、電流が、第1導電部材21のその一部(端部21p)と、第1固定電極11と、の間に局所的に流れる。第1導電部材21のその一部(端部21p)に電流が集中することで、第1導電部材21がより安定して破断される。例えば、第1導電部材21の機械的剛性は、第1可動電極20Eの機械的剛性よりも低い。これにより、端部21pが第1固定電極11と接し易くなる。
【0039】
図3(c)に示すように、破断した第1導電部材21は、図3(a)の状態に近づいても良い。これは、例えば、第1導電部材21の弾性による復元力による。図3(c)に示すように、第1可動電極20Eの端部20Epは、第1導電部材21と離れている。
【0040】
図4(a)に示すように、第1電気信号Sg1の印加が継続されているときに、第1可動電極20Eの実質的全体が、第1固定電極11と接しても良い。この状態は、例えば、プルダウン状態である。第1可動電極20Eが第1固定電極11と接すると、第1可動電極20Eが第1固定電極11に固着され、第1可動電極20Eは、第1固定電極11から実質的に離れない場合がある。
【0041】
図4(a)に示すように、第1電気信号Sg1の印加が継続すると、第2導電部材22の一部(第2導電領域22b)の温度が局所的に上昇し、第2導電部材22が破断する。温度の上昇は、例えば、ジュール熱による。上記のように、第2導電領域22bの第2幅W22bが第1導電領域22aの第1幅W22aよりも小さいため、第2導電領域22bの温度が局所的に上昇し易い。これにより、第2導電領域22bまたはその近傍において、破断部22Bが安定して生じる。破断部22Bにおいて、第2導電部材22が分断される。例えば、第2導電部材22の第1可動電極20Eの側の端部の近傍に破断部22Bが形成される。第1電気信号Sg1の印加が終了する。
【0042】
この後、図4(b)に示すように、破断した第2導電部材22は、図3(a)の状態に近づいても良い。これは、例えば、第2導電部材22の弾性による復元力による。図4(b)に示すように、第1可動電極20Eの端部20Eqは、第2導電部材22と離れている。
【0043】
図4(b)に示す第2状態ST2は、第2導電部材22と第1固定電極11との間に第1電気信号Sg1が印加された後の状態である。例えば、第2状態ST2において、第1固定電極11は、例えばフローティング状態FLTである。第1導電部材21及び第2導電部材22の破断は、第1電気信号Sg1の印加が終わった後も継続する。第2状態ST2において、第1端子T1及び第2端子T2との間には、電流が流れない。第2状態ST2において、素子部51は、非導通状態(オフ状態)である。例えば、第2状態ST2において、第2導電部材22は、例えばフローティング状態FLTである。または、第2状態ST2において、第2導電部材22の電位は、第2導電部材22に接続された回路の電位でも良い。
【0044】
このように、実施形態においては、第2導電部材22と第1固定電極11との間に第1電気信号Sg1が印加された後の第2状態ST2において、第1導電部材21及び第2導電部材22の両方が破断状態である。これにより、第1端子T1と第2端子T2との間に流れる電流を安定して遮断することができる。
【0045】
第1導電部材21及び第2導電部材22の一方を破断させる参考例が考えられる。例えば、第1参考例において、第1電気信号Sg1が第1固定電極11に印加されたときに、例えば、第2導電部材22の側の第1可動電極20Eの端部20Eqの温度が、第1導電部材21の側の第1可動電極20Eの端部20Epの温度よりも高くなる。これは、例えば、第1導電部材21及び第2導電部材22の形状、並びに、熱抵抗などの影響による。このような場合、第1電気信号Sg1による電流により、第2導電部材22がジュール熱により破断する。一方、第1導電部材21の他端(第1端子T1)はフローティングである。このため、第1電気信号Sg1が第1固定電極11に印加されたときに第1導電部材21には電流が流れずに、第1導電部材21が破断しない。このような第1参考においても、第1端子T1と第2端子T2との間に流れる電流を遮断できる。
【0046】
第2導電部材22が破断した後の第1参考例においては、第1端子T1は、第1導電部材21及び第1可動電極20Eを介して第1固定電極11と電気的に接続される。例えば、第1固定電極11への第1電気信号Sg1の印加を制御するトランジスタなどが第1固定電極11と接続される場合、第1電気信号Sg1の印加が終了した後も、トランジスタの寄生容量が残る。トランジスタの寄生容量は、第1端子T1の容量に影響を与える。第1参考例においては、このような不要な容量が、素子部51に残存する。残存した容量は、スイッチとして機能する素子部51のオフ状態の電気的特性を不安定にし易い。残存した容量は、例えば、素子部51が組み込まれた回路の信号が高周波である場合に、素子部51の特性を不安定にする。
【0047】
実施形態においては、第2状態ST2において、第1導電部材21及び第2導電部材22が破断状態である。このため、第1端子T1は、第1固定電極11及びトランジスタの寄生容量から分断される。これにより、オフ状態における素子部51の電気的特性が安定である。高周波をスイッチングする場合でも安定したオフ特性を維持できる。実施形態によれば、安定した動作が可能なMEMS素子を提供できる。
【0048】
実施形態において、例えば、第2導電部材22と第1固定電極11との間に第1電気信号Sg1を印加すると、第1導電部材21が破断する。それに続いて、第1電気信号Sg1の印加が継続されることで、第2導電部材22も破断する。第1導電部材21が破断した後で第2導電部材22が破断するまでの途中で、第1電気信号Sg1の印加を終了することもできる。しかしながら、第1電気信号Sg1の印加を継続することで、第2導電部材22が破断できるので、途中で第1電気信号Sg1を終了しなくても良い。
【0049】
図1(a)に示すように、例えば、第1固定電極11から第1可動電極20Eへの方向(Z軸方向)において、第1導電部材21のミアンダ構造の一部が、第1固定電極11の端部11pと重なっても良い。これにより、第2導電領域22b及びその近傍において破断が生じやすくなる。
【0050】
図1(a)に示すように、例えば、第1固定電極11から第1可動電極20Eへの方向(Z軸方向)において、第2導電領域22bは、第1固定電極11の端部11qと重なる。これにより、第2導電領域22b及びその近傍において破断が生じやすくなる。
【0051】
図2(b)に示すように、第1方向(X軸方向)に沿う第1導電領域22aの長さを長さL22aとする。第1方向(X軸方向)に沿う第2導電領域22bの長さを長さL22bとする。この例では、長さL22bは、長さL22aよりも短い。このような構成により、第2導電部材22が安定して第1可動電極20Eを支持でき、第2導電領域22bにおいて、局所的に効率的に温度を上昇させることができる。
【0052】
図2(a)に示すように、第1導電部材21は、第1導電部材21及び第1可動電極20Eを含む第1電流経路21cpに沿う第1長さを有する。第1長さは、長さL21a~L21gの和に対応する。図2(b)に示すように、第2導電部材22は、第2導電部材22及び第1可動電極20Eを含む第2電流経路22cpに沿う第2長さを有する。第2長さは、例えば長さL22aと長さL22bとの和に対応する。この例では、第2長さは、第1長さよりも短い。このような場合、第1導電部材21の剛性は、第2導電部材22の剛性よりも低くなる。これにより、第1導電部材21の特性は、第2導電部材22の特性と非対称になる。
【0053】
図2(a)に示すように、第1導電部材21は、第1電流経路21cpと交差する方向Dp1に沿う幅W1を有する。幅W1は、第1可動電極20Eの幅W20(図1(a)参照)よりも小さい。図1(a)及び図2(b)に示すように、第2導電部材22の第1導電領域22aの、第2電流経路22cpと交差する方向(第2方向Dp2)に沿う第1幅W22aは、幅W20よりも小さい。
【0054】
図5は、MEMS素子の特性を例示するグラフ図である。
図5は、第2導電部材22と第1固定電極11との間に第1電気信号Sg1が印加されたときの、第1導電部材21及び第2導電部材22の温度上昇についてのシミュレーション結果を例示している。シミュレーションにおいて、第1導電部材21は、図1(a)及び図2(a)に例示したミアンダ構造を有する。シミュレーションにおいて、第2導電部材22の第1導電領域22aの第1幅W22aが一定とされ、第2導電部材22の第2導電領域22bの第2幅W22bが変更される。図5の横軸は、第2幅W22bの第1幅W22aに対する比R1である。図5の縦軸は、温度Tmである。図5には、第1導電部材21の第1可動電極20Eの側の端部21pの温度Tm21pと、第2導電部材22の第2導電領域22bの温度Tm22bと、が示されている。
【0055】
図5に示すように、比R1が低くなることで、第2導電領域22bの温度Tm22bが上昇する。比R1が過度に高いと(例えばR1が1)、第2導電領域22bの温度Tm22bの上昇が十分でなく、第2導電領域22bが破断することが困難である。
【0056】
一方、比R1が低くなると、第1導電部材21の第1可動電極20Eの側の端部21pの温度Tm21pが低下するこのため、端部21pが破断し難くなる。
【0057】
実施形態において、例えば、第2幅W22bは、第1幅W22aの0.1倍以上である。例えば、第2幅W22bは、第1幅W22aの0.25倍以上0.7以下が好ましい。第2幅W22bは、第1幅W22aの0.33倍以上0.66倍以下でも良い。これにより、端部21pの温度Tm21pの十分な上昇と、第2導電領域22bの温度Tm2pの十分な上昇と、が得られる。これにより、より安定した動作が可能なMEMS素子を提供できる。
【0058】
図6は、第1実施形態に係るMEMS素子の一部を例示する模式的平面図である。
図6は、実施形態に係るMEMS素子111における第1導電部材21を例示している。MEMS素子111における第1導電部材21の形状以外の構成は、MEMS素子110と同様で良い。
【0059】
図6に示すように、第1導電部材21は、第1ノッチ部21n及び第1非ノッチ部21uを含んでも良い。例えば、第1ノッチ部21nから第1非ノッチ部21uへの方向は、第1導電部材21及び第1可動電極20Eを含む第1電流経路21cpに沿う。
【0060】
第1電流経路21cpに対して垂直な第1交差方向Dx1に沿う第1ノッチ部21nの長さWn1は、第1交差方向Dx1に沿う第1非ノッチ部21uの長さWu1よりも短い。第1ノッチ部21nで、第1導電部材21は破断し易い。
【0061】
例えば、第1ノッチ部21nは、第1可動電極20Eの近くに設けられることが好ましい。これにより、第1可動電極20Eの一部が第1固定電極11に接したときに、第1ノッチ部21nで破断がより生じ易くなる。第1ノッチ部21nと第1可動電極20Eとの間の距離は、短い。例えば、第1ノッチ部21nと第1可動電極20Eとの間の距離は、第1導電部材21及び第1可動電極20Eを含む第1電流経路21cpに沿う、第1導電部材21の長さ(図2(a)における長さL21a~L21gの和)の1/2以下である。第1ノッチ部21nと第1可動電極20Eとの間の距離は、この長さの1/10以下でも良い。第1ノッチ部21nと第1可動電極20Eとの間の距離は、この長さの1/20以下でも良い。第1導電部材21がより破断し易くなる。
【0062】
MEMS素子111においては、第1固定電極11から第1可動電極20Eへの方向(Z軸方向)において、第1ノッチ部21nは、第1固定電極11の端部11pと重なる。第1ノッチ部21nで破断がより生じ易くなる。
【0063】
図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図7(a)は、図7(b)の矢印AR2からみた平面図である。図7(b)は、斜視図である。
【0064】
図7(b)に示すように、実施形態に係るMEMS素子112も、第1部材41及び素子部51を含む。MEMS素子112において、素子部51は、第1固定電極11、第1可動電極20E、第1導電部材21及び第2導電部材22に加えて、第2固定電極12を含む。MEMS素子112における第1固定電極11、第1可動電極20E、第1導電部材21及び第2導電部材22の構成は、MEMS素子110またはMEMS素子111におけるこれらの構成と同様で良い。以下、第2固定電極12の例について説明する。
【0065】
図7(b)に示すように、第2固定電極12は、第1部材41に固定される。第1可動電極20Eは、第1電極領域20Ea及び第2電極領域20Ebを含む。第1電極領域20Eaと第1導電部材21との間の距離は、第2電極領域20Ebと第1導電部材21との間の距離よりも短い。第1電極領域20Eaは、第1導電部材21の側の領域である。第2電極領域20Ebは、第2導電部材22の側の領域である。
【0066】
第1電極領域20Eaは、第1固定電極11と対向する。第2電極領域20Ebは、第2固定電極12と対向する。
【0067】
例えば、制御部70は、第1制御端子Tc1を介して第1固定電極11と電気的に接続されることが可能である。制御部70は、第2制御端子Tc2を介して第2固定電極12と電気的に接続されることが可能である。この例では、制御部70は、第2端子T2を介して第2導電部材22と電気的に接続される。例えば、制御部70により、第2導電部材22と第2固定電極12との間に第2電気信号Sg2が印加されることが可能である。
【0068】
図7(b)は、第1状態ST1に対応する。第1状態ST1は、第2導電部材22と第2固定電極12との間に第2電気信号Sg2が印加される前の状態である。第1状態ST1において、第1導電部材21及び第2導電部材22は、第1可動電極20Eを第2固定電極12から離して支持する。既に説明したように、第1状態ST1において、第1導電部材21及び第2導電部材22は、第1可動電極20Eを第1固定電極11から離して支持する。
【0069】
第2状態ST2は、例えば、第2導電部材22と第2固定電極12との間に第2電気信号Sg2が印加された後の状態である。後述するように、第2状態ST2において、第1導電部材21及び第2導電部材22が破断状態である。
【0070】
図7(a)及び図7(b)に示すように、この例では、第1可動電極20Eは、第1電極領域20Ea及び第2電極領域20Ebに加えて、第3電極領域20Ecを含む。第3電極領域20Ecは、第1電極領域20Eaと第2電極領域20Ebとの間にある。
【0071】
図7(a)に示すように、素子部51は、第1支持部21S、第2支持部22S、第3支持部23Sを含む。この例では、素子部51は、第4支持部24Sをさらに含む。第1~第4支持部21S~24Sは、第1部材41に固定される。
【0072】
第1支持部21Sは、第1導電部材21の少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。第2支持部22Sは、第2導電部材22の少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。第3支持部23Sは、第3電極領域2cの少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。第4支持部24Sは、第3電極領域2cの少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。この例では、第3電極領域20Ecは、第3支持部23Sと第4支持部24Sとの間にある。
【0073】
例えば、第3電極領域20Ecは、第1可動電極20EのX軸方向における中心を含む部分で良い。例えば、第3電極領域20Ecは、第1導電部材21及び第2導電部材22の中央部にある。MEMS素子112においては、第3電極領域20Ecの少なくとも一部が第1部材41から離して支持される。これにより、例えば、第1電極領域20Eaと第1固定電極11との間の距離が短くなったときに、第2電極領域20Ebと第2固定電極12との間の距離が長くなる。より安定して、第1導電部材21及び第2導電部材22の両方が破断し易くなる。
【0074】
この例では、第1可動電極20Eは、第1延在領域28aを含む。第1延在領域28aは、延在方向に沿って延びる。延在方向は、第1電極領域20Eaから第2電極領域20Ebへの方向(この例では、X軸方向)と交差し、第1部材41の表面41aに沿う。この例では、延在方向は、Y軸方向である。
【0075】
第1延在領域28aの一部(例えば端)は、第3電極領域20Ecと接続される。第1延在領域28aの他の一部(例えば別の端)は、第3支持部23Sと接続される。このように、第3支持部23Sは、第1延在領域28aを介して、第3電極領域20Ecの少なくとも一部を第1部材41から離して支持しても良い。
【0076】
この例では、第1可動電極20Eは、第2延在領域28bを含む。上記の延在方向(例えば、Y軸方向)において、第1延在領域28aと第2延在領域28bとの間に、第3電極領域20Ecがある。第4支持部24Sは、第2延在領域28bを介して、第3電極領域20Ecの少なくとも一部を第1部材41から離して支持しても良い。
【0077】
例えば、第3支持部23S及び第4支持部24Sは、第1可動電極20Eと電気的に絶縁されても良い。第1電極領域20Ea、第2電極領域20Eb、第3電極領域20Ec、第1延在領域28a及び第2延在領域28bは、連続的な導電層で良い。第1延在領域28a及び第2延在領域28bは、例えば、トーションばねとして機能しても良い。
【0078】
以下に説明するように、MEMS素子112においては、第1固定電極11及び第2固定電極12が設けられることで、第1導電部材21及び第2導電部材22をより安定して破断させることができる。安定した動作が可能なMEMS素子を提供できる。
【0079】
図8(a)~図8(c)、図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
これらの図は、図7(a)のB1-B2線断面に対応する。
【0080】
図8(a)に示す第1状態ST1において、第2導電部材22、第1固定電極11及び第2固定電極12は、例えばフローティング状態FLT、または、グランド電位V0である。第1状態ST1において、素子部51は、導通状態(オン状態)である。
【0081】
図8(b)に示すように、例えば、第2端子T2(第2導電部材22)がグランド電位V0に設定され、第1固定電極11に第1電気信号Sg1が印加される。第1電極領域20Eaが第1固定電極11に接する。第3電極領域20Ecが第1延在領域28aを介して、第1部材41から離して支持されているため、第2電極領域20Ebと第2固定電極12との間の距離は、拡大する。第1導電部材21の第1可動電極20Eの端部20Epの近傍の温度が局部的に上昇し易くなる。第1導電部材21の第1可動電極20Eの側の端部21pの温度が局部的に上昇する。
【0082】
端部20Ep及び端部21pの温度が局部的に上昇すると、図8(b)に示すように、第1導電部材21が破断し、破断部21Bが形成される。
【0083】
図8(c)に示すように、第1導電部材21の弾性による復元力により、破断した第1導電部材21が、図8(a)の状態に近づいても良い。
【0084】
図9(a)に示すように、例えば、第2端子T2(第2導電部材22)がグランド電位V0に設定され、第2固定電極12に第2電気信号Sg2が印加される。このとき、第1固定電極11は、例えば、グランド電位V0またはハイインピーダンス状態Hi-Zとされる。第2導電部材22の温度が上昇し、第2導電部材22が破断する。破断部22Bにおいて、第2導電部材22が分断される。第2電気信号Sg2の印加が終了する。
【0085】
図9(b)に示すように、第2導電部材22の弾性による復元力により、破断した第2導電部材22は、図9(a)の状態に近づいても良い。
【0086】
図9(c)に示す第2状態ST2において、第2導電部材22、第1固定電極11及び第2固定電極12は、例えばフローティング状態FLTである。第2状態ST2において、素子部51は、非導通状態(オフ状態)である。
【0087】
MEMS素子112においては、第2状態ST2において、第1導電部材21及び第2導電部材22の両方が破断し易い。第1端子T1と第2端子T2との間に流れる電流を安定して遮断することができる。
【0088】
図10(a)及び図10(b)は、実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
これらの図は、MEMS素子112における別の動作を例示している。これらの図は、図8(a)~図8(c)に関して説明した動作が行われた後の動作を例示している。
【0089】
図10(a)に示すように、例えば、第2端子T2(第2導電部材22)がグランド電位V0に設定され、第1固定電極11に第3電気信号Sg3が印加される。例えば、第3電気信号Sg3の絶対値は、第1電気信号Sg1の絶対値よりも大きい。これにより、第2導電部材22が破断する。図10(a)に示すように、第2導電部材22の弾性による復元力により、破断した第2導電部材22は、図8(c)の状態に近づいても良い。
【0090】
図10(b)に示す第2状態ST2において、第2導電部材22、第1固定電極11及び第2固定電極12は、例えばフローティング状態FLTである。第2状態ST2において、素子部51は、非導通状態(オフ状態)である。
【0091】
第3電極領域20Ecの少なくとも一部が第1部材41から離して支持される構成は、第2固定電極12が設けられない構成に適用されても良い。例えば、図1(a)及び図1(b)に例示したMEMS素子110において、MEMS素子112に関して説明した第3電極領域20Ec、第1延在領域28a、第2延在領域28b、第3支持部23S、第4支持部24Sなど(図7(a)参照)が設けられても良い。
【0092】
MEMS素子112において、第3電極領域20Ec、第3支持部23S及び第4支持部24Sが設けられず、第1固定電極11に加えて第2固定電極12が設けられても良い。この場合、第1固定電極11と第2固定電極12とに別の電圧を印加できるため、図8(a)~図10(b)に関して動作が実施できる。安定した動作が可能なMEMS素子を提供できる。
【0093】
(第2実施形態)
図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図11(a)は、図11(b)の矢印AR3からみた平面図である。図11(b)は、斜視図である。
【0094】
図11(b)に示すように、実施形態に係るMEMS素子120も、第1部材41及び素子部51を含む。MEMS素子120において、素子部51は、第1固定電極11、第1可動電極20E、第1導電部材21及び第2導電部材22を含む。この例では、素子部51は、第2固定電極12を含む。第1導電部材21及び第2導電部材22は、第1可動電極20Eを第1固定電極11から離して支持する。
【0095】
図11(a)及び図11(b)に示すように、MEMS素子120においては、第1可動電極20EのY軸方向の幅が、連続的に変化している。MEMS素子120におけるこれ以外の構成は、MEMS素子110~112の構成と同様で良い。MEMS素子120において、第1導電部材21及び第2導電部材22がミアンダ構造を有しても良い。
【0096】
例えば、図11(a)に示すように、MEMS素子120において、第1可動電極20Eは、第1電極領域20Eaと第2電極領域20Ebとの間の第3電極領域20Ecをさらに含んでも良い。この例では、素子部51は、第1~第4支持部21S~24Sを含む。これらの支持部は、第1部材41に固定される。第1支持部21Sは、第1導電部材21の少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。第2支持部2Sは、第2導電部材22の少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。第3支持部23Sは、第3電極領域20Ecの少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。第4支持部24Sは、第3電極領域20Ecの少なくとも一部を第1部材41から離して支持する。第3支持部23Sと第4支持部24Sとの間に第3電極領域20Ecがある。
【0097】
以下、MEMS素子120における第1可動電極20Eの例について説明する。
図11(a)及び図11(b)に示すように、第1可動電極20Eは、第1接続部21C及び第2接続部22Cを含む。第1接続部21Cは、第1導電部材21と接続される。第2接続部22Cは、第2導電部材22と接続される。
【0098】
第1接続部21Cから第2接続部22Cへの方向を第1方向(X軸方向)とする。第1方向と交差する方向を第2方向Dp2とする。第2方向Dp2は、例えば、Y軸方向である。第2方向Dp2に沿う第1可動電極20Eの幅E20は、第1可動電極20Eの少なくとも一部において、第1接続部21Cから第2接続部22Cへの向きにおいて増大する。例えば、幅W20は、第1可動電極20Eの少なくとも一部において、第1接続部21Cから第2接続部22Cへの向きにおいて、連続的に増大する。
【0099】
例えば、第1可動電極20Eの上記の少なくとも一部は、側部20Esを含む。側部20Esは、第1方向(X軸方向)に対して傾斜する。このような側部20Esが設けられることで、幅E20は、第1接続部21Cから第2接続部22Cへの向きにおいて連続的に増大する。
【0100】
例えば、第1電極領域20Eaの少なくとも一部に、上記の側部20Esが設けられる。
【0101】
このような構成により、第1接続部21C(または第1導電部材21)の温度を効果的に局所的に上昇させることができることが分かった。これにより、第1導電部材21及び第1接続部21Cを安定して破断できる。安定した動作が可能なMEMS素子が提供できる。
【0102】
図11(a)に示すように、側部20Esと第1方向(X軸方向)との間の角度を角度θ1とする。MEMS素子120において、角度θ1は、例えば、5度以上85度以下である。後述するように、角度θ1は、62度以下でも良い。例えば、角度θ1は、39度以上62度以下でも良い。
【0103】
図12(a)及び図12(b)は、MEMS素子の特性を例示するグラフ図である。
図12(a)は、角度θ1を変更したときの温度上昇についてのシミュレーション結果を例示している。シミュレーションにおいて、第1導電部材21及び第2導電部材22は、ミアンダ構造を有する。シミュレーションにおいて、側部20Esの角度θ1が変更される。図12(a)の横軸は、角度θ1である。図12(a)の縦軸は、温度Tmである。図12(a)には、第1接続部21Cの温度Tm21C、及び、第2接続部22Cの温度Tm22Cが示されている。
【0104】
図12(a)に示すように、角度θ1が小さくなると、第1接続部21Cの温度Tm21Cが上昇し、第1接続部21C(または第1導電部材21)が破断し易くなる。角度θ1が過度に小さくなると、第2接続部22Cの温度Tm22Cの上昇が十分ではなくなり、第2接続部22C(または第2導電部材22)が破断し難くなる。角度θ1は、39度以上70度以下であることが好ましい。角度θ1は、39度以上62度以下でも良い。より安定した動作が可能なMEMS素子を提供できる。
【0105】
図12(b)は、角度θ1を変更したときの電流密度についてのシミュレーション結果を例示している。図12(b)の横軸は、角度θ1である。図12(a)の縦軸は、電流密度Jである。図12(b)には、第1接続部21Cにおける電流密度J21C、及び、第2接続部22Cにおける電流密度J22Cが示されている。図12(a)に示すように、角度θ1が小さくなると、第1接続部21Cにおける電流密度J21Cが低下する。角度θ1が小さくなると第1接続部21Cの温度Tm21Cが上昇するのは、角度θ1が小さくなるにつれて熱抵抗が大きくなることの効果が大きいと考えられる。
【0106】
図11(a)に示すように、MEMS素子120において、素子部51は、第1固定電極11に加えて、第1部材41に固定された第2固定電極12をさらに含んでも良い。第1可動電極20Eは、第1電極領域20Ea及び第2電極領域20Ebを含む。第1電極領域20Eaと第1導電部材21との間の距離は、第2電極領域20Ebと第1導電部材21との間の距離よりも短い。第1電極領域20Eaは、第1固定電極11と対向する。第2電極領域20Ebは、第2固定電極12と対向する。第1導電部材21及び第2導電部材22は、第1可動電極20Eを第2固定電極12から離して支持する。
【0107】
MEMS素子120において、第1導電部材21は、第1ノッチ部21n及び第1非ノッチ部21u(図6参照)を含んでも良い。例えば、第1ノッチ部21nから第1非ノッチ部21uへの方向は、第1導電部材21及び第1可動電極20Eを含む第1電流経路21cpに沿う(図6参照)。第1電流経路21cpに対して垂直な第1交差方向Dx1に沿う第1ノッチ部21nの長さWn1は、第1交差方向Dx1に沿う第1非ノッチ部21uの長さWu1よりも短い(図6参照)。第1ノッチ部21nで、第1導電部材21は破断し易い。第1固定電極11から第1可動電極20Eへの方向(Z軸方向)において、第1ノッチ部21nは、第1固定電極11の端部11pと重なっても良い(図6参照)。第1ノッチ部21nで破断がより生じ易くなる。
【0108】
図13は、第2実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図13に示すように、実施形態におけるMEMS素子121においても、幅W20は、第1可動電極20Eの少なくとも一部において、第1接続部21Cから第2接続部22Cへの向きにおいて増大する。例えば、幅W20は、第1可動電極20Eの少なくとも一部において、第1接続部21Cから第2接続部22Cへの向きにおいて、連続的に増大する。例えば、第1可動電極20Eの上記の少なくとも一部は、側部20Esを含む。側部20Esは、第1方向(X軸方向)に対して傾斜する。MEMS素子121においては、第1導電部材21は、ミアンダ構造を有する。第2導電部材22は、第1導電領域22aと第2導電領域22bとを含む。第2導電領域22bは、第1可動電極20Eと第1導電領域22aとの間にある。図2(b)に関して説明したように、第2方向Dp2に沿う第2導電領域22bの第2幅W22bは、第2方向Dp2に沿う第1導電領域22aの第1幅W22aよりも小さい。このような構成により、例えば、第2導電領域22bにおいて、破断がより生じ易くなる。図1(a)に関して説明したように、第1固定電極11から第1可動電極20Eへの方向(Z軸方向)において、第2導電領域22bは、第1固定電極11の端部11qと重なっても良い。より破断が生じやすくなる。
【0109】
第1実施形態及び第2実施形態において、第1導電部材21及び第2導電部材22のそれぞれの電気抵抗は、例えば、10Ω以下であることが好ましい。電気抵抗が低いことで、高周波数を含む信号を低い損失で効率的に伝送できる。
【0110】
第1実施形態及び第2実施形態において、例えば、第1導電部材21及び第2導電部材22の少なくともいずれかは、Al、Cu、Au、Ti、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。低い抵抗が得られ、素子部51において、良好な伝送性が得られる。
【0111】
図14は、実施形態に係るMEMS素子を例示する模式的断面図である。
図14は、実施形態に係るMEMS素子125を例示している。図14は、第1状態ST1を例示している。図14に示すように、MEMS素子125は、第1部材41及び素子部51に加え、第2部材42をさらに含む。第1部材41と第2部材42との間に、第1固定電極11及び第1可動電極20Eがある。第1状態ST1において、第1固定電極11と第1可動電極20Eとの間に第1間隙g1がある。第1状態ST1において、第1可動電極20Eと第2部材42との間に第2間隙g2がある。MEMS素子125において、素子部51の構成は、第1実施形態または第2実施形態に関して説明した構成を有して良い。
【0112】
第2部材42は、例えば、キャップである。第1間隙g1及び第2間隙g2があることで、第1可動電極20Eは、Z軸方向に沿って変位できる。第1間隙g1及び第2間隙g2は、例えば、減圧状態でも良い。第1間隙g1及び第2間隙g2に、例えば、不活性ガスが導入されても良い。
【0113】
例えば、第1部材41は、制御回路部41tを含んでも良い。制御回路部41tは、例えば、トランジスタなどのスイッチング素子を含む。制御回路部41tにより、第1固定電極11への第1電気信号Sg1の印加が制御されても良い。
【0114】
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態に係るMEMS素子を例示する模式図である。
図15に示すように、実施形態に係るMEMS素子130は、複数の素子部51を含む。複数の素子部51は、例えば、並列に接続される。複数の素子部51のそれぞれに、制御信号Vppが互いに独立して印加可能である。
【0115】
例えば、複数の素子部51の1つに含まれる第1導電部材21及び第2導電部材22は、複数の素子部51の別の1つに含まれる第1導電部材21及び第2導電部材22と独立して破断可能である。
【0116】
この例では、複数の第1容量素子31が設けられる。複数の第1容量素子31の1つは、複数の素子部51の1つに直列に接続される。MEMS素子130は、複数の素子部51及び複数の第1容量素子31を含む容量素子アレイである。複数の素子部51のいくつかがオフ状態にされることが可能である。複数の素子部51のいくつかがオフ状態にされることで、MEMS素子130の電気容量が変更できる。
【0117】
(第4実施形態)
第4実施形態は、電気回路に係る。上記の図15は、実施形態に係る電気回路210の構成を例示している。図15に示すように、電気回路210は、第1~第3実施形態に係るMEMS素子(例えばMEMS素子130)と、電気素子55と、を含む。電気素子55は、MEMS素子130と電気的に接続される。電気素子55は、抵抗、容量素子、インダクタ素子、ダイオード及びトランジスタよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。電気素子55に含まれる容量素子は、センサを含んでも良い。例えば、電気素子55は、センサ素子を含んでも良い。例えば、電気素子55は、容量型センサ素子を含んでも良い。
【0118】
電気回路210において、MEMS素子(例えばMEMS素子130)は、複数の素子部51を含んでも良い。複数の素子部51の少なくとも1つに含まれる第1導電部材21及び第2導電部材22が破断されることにより、電気回路210の特性が制御可能である。
【0119】
例えば、MEMS素子130が第1容量素子31を含む場合、複数の素子部51の少なくとも1つに含まれる第1導電部材21及び第2導電部材22が破断されることにより、MEMS素子130の電気容量が制御できる。その結果、電気回路210の特性が制御可能である。
【0120】
例えば、電気回路210は、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)に用いられても良い。例えば、電気回路210は、アンテナなどの高周波回路の、インピーダンスマッチング回路に用いられても良い。例えば、電気回路210は、パッシブ型のRFタグに用いられても良い。例えば、電気回路210の電気容量またはインダクタを調整することで、電気回路210の特性を適切に調整できる。例えば、特性が安定した電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)が得られる。例えば、アンテナなどの高周波回路の、インピーダンスマッチング回路において、安定した特性が得られる。例えば、特性が安定した、パッシブ型のRFタグなどが得られる。
【0121】
図16及び図17は、実施形態に係るMEMS素子に用いられる制御回路を例示する模式図である。
図16に示すように、制御回路310は、昇圧回路321、論理回路322、及び、スイッチングマトリクス323を含む。昇圧回路321には、電源電圧Vccが供給される、昇圧回路321は、スイッチングマトリクス323に高電圧Vhを出力する。論理回路322からスイッチングマトリクス323に供給された信号322aに応じて、スイッチングマトリクス323は、複数の制御信号Vppを出力する。複数の制御信号Vppの1つが、複数の素子部51の1つに供給される。
【0122】
図17に示すように、制御回路311は、制御電源324、論理回路322、及び、スイッチングマトリクス323を含む。制御電源324は、例えば、制御電圧源または制御電流源である。制御電源324は、スイッチングマトリクス323に高電圧Vh及び大電流Ihを出力する。論理回路322からスイッチングマトリクス323に供給された信号322aに応じて、スイッチングマトリクス323は、複数の制御信号Vppを出力する。複数の制御信号Vppの1つが、複数の素子部51の1つに供給される。スイッチングマトリクス323は、複数の制御電流Ippを出力しても良い。複数の制御電流Ippの1つが、複数の素子部51の1つに供給される。
【0123】
例えば、制御回路310及び311の少なくとも一部は、例えば、制御部70に含まれる。
【0124】
実施形態は、以下の構成(例えば、技術案)を含んでも良い。
(構成1
第1部材と、
素子部と、
を備え、
前記素子部は、
前記第1部材に固定された第1固定電極と、
前記第1固定電極と対向する第1可動電極と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第1導電部材と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第2導電部材と、
を含み、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持し、
前記第1導電部材は、ミアンダ構造を有し、
前記第2導電部材は、第1導電領域と第2導電領域とを含み、前記第2導電領域は、前記第1可動電極と前記第1導電領域との間にあり、前記第1可動電極から前記第1導電領域への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第2導電領域の第2幅は、前記第2方向に沿う前記第1導電領域の第1幅よりも小さい、MEMS素子。
【0125】
(構成2)
前記第2幅は、前記第1幅の0.1倍以上である、構成1記載のMEMS素子。
【0126】
(構成3)
前記第1方向に沿う前記第2導電領域の長さは、前記第1方向に沿う前記第1導電領域の長さよりも短い、構成1または2に記載のMEMS素子。
【0127】
(構成4)
前記第1固定電極から前記第1可動電極への方向において、前記第2導電領域は、前記第1固定電極の端部と重なる、構成1~3のいずれか1つに記載のMEMS素子。
【0128】
(構成5)
前記第1導電部材は、第1ノッチ部と、第1非ノッチ部と、を含み、前記第1ノッチ部から前記第1非ノッチ部への方向は、前記第1導電部材及び前記第1可動電極を含む第1電流経路に沿い、
前記第1電流経路に対して垂直な第1交差方向に沿う前記第1ノッチ部の長さは、前記第1交差方向に沿う前記第1非ノッチ部の長さよりも短い、構成1~3のいずれか1つに記載のMEMS素子。
【0129】
(構成6)
前記第1固定電極から前記第1可動電極への方向において、前記第1ノッチ部は、前記第1固定電極の端部と重なる、構成5記載のMEMS素子。
【0130】
(構成7)
前記素子部は、前記第1部材に固定された第2固定電極をさらに含み、
前記第1可動電極は、第1電極領域及び第2電極領域を含み、
前記第1電極領域と前記第1導電部材との間の距離は、前記第2電極領域と前記第1導電部材との間の距離よりも短く、
前記第1電極領域は、前記第1固定電極と対向し、
前記第2電極領域は、前記第2固定電極と対向し、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第2固定電極から離して支持する、構成1~6のいずれか1つに記載のMEMS素子。
【0131】
(構成8)
前記第1可動電極は、前記第1電極領域と前記第2電極領域との間の第3電極領域をさらに含み、
前記素子部は、前記第1部材に固定された第1支持部、前記第1部材に固定された第2支持部、及び、前記第1部材に固定された第3支持部を含み、
前記第1支持部は、前記第1導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第2支持部は、前記第2導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第3支持部は、前記第3電極領域の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持する、構成7記載のMEMS素子。
【0132】
(構成9)
前記第1可動電極は、第1電極領域と、第2電極領域と、第3電極領域と、を含み、前記第1電極領域は、前記第1導電部材と前記第2導電部材との間にあり、前記第2電極領域は、前記第1電極領域と前記第2導電部材との間にあり、前記第3電極領域は、前記第1電極領域と前記第2電極領域との間にあり、
前記素子部は、前記第1部材に固定された第1支持部、前記第1部材に固定された第2支持部、及び、前記第1部材に固定された第3支持部を含み、
前記第1支持部は、前記第1導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第2支持部は、前記第2導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第3支持部は、前記第3電極領域の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持する、構成1~6のいずれか1つに記載のMEMS素子。
【0133】
(構成10)
前記第2導電部材と前記第1固定電極との間に第1電気信号が印加される前の第1状態において、前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持し、
前記第2導電部材と前記第1固定電極との間に前記第1電気信号が印加された後の第2状態において、前記第1導電部材及び前記第2導電部材が破断状態である、構成1~9のいずれか1つに記載のMEMS素子。
【0134】
(構成11)
第1部材と、
素子部と、
を備え、
前記素子部は、
前記第1部材に固定された第1固定電極と、
前記第1固定電極と対向する第1可動電極と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第1導電部材と、
前記第1可動電極に電気的に接続された第2導電部材と、
を含み、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第1固定電極から離して支持し、
前記第1可動電極は、前記第1導電部材と接続された第1接続部と、前記第2導電部材と接続された第2接続部と、を含み、
前記第1接続部から前記第2接続部への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1可動電極の幅は、前記第1可動電極の少なくとも一部において、前記第1接続部から前記第2接続部への向きにおいて増大する、MEMS素子。
【0135】
(構成12)
前記第1可動電極の前記少なくとも一部は、前記第1方向に対して傾斜する側部を含む、構成11記載のMEMS素子。
【0136】
(構成13)
前記素子部は、前記第1部材に固定された第2固定電極をさらに含み、
前記第1可動電極は、第1電極領域及び第2電極領域を含み、
前記第1電極領域と前記第1導電部材との間の距離は、前記第2電極領域と前記第1導電部材との間の距離よりも短く、
前記第1電極領域は、前記第1固定電極と対向し、
前記第2電極領域は、前記第2固定電極と対向し、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記第1可動電極を前記第2固定電極から離して支持し、
前記第1電極領域の少なくとも一部は、前記第1方向に対して傾斜する側部を含み、
前記第2方向に沿う前記第1電極領域の幅は、前記第1電極領域の前記少なくとも一部において、前記第1接続部から前記第2接続部への前記向きにおいて増大する、構成11記載のMEMS素子。
【0137】
(構成14)
前記第1可動電極は、前記第1電極領域と前記第2電極領域との間の第3電極領域をさらに含み、
前記素子部は、前記第1部材に固定された第1支持部、前記第1部材に固定された第2支持部、及び、前記第1部材に固定された第3支持部を含み、
前記第1支持部は、前記第1導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第2支持部は、前記第2導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第3支持部は、前記第3電極領域の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持する、構成13記載のMEMS素子。
【0138】
(構成15)
前記第1可動電極は、第1電極領域と、第2電極領域と、第3電極領域と、を含み、前記第1電極領域は、前記第1導電部材と前記第2導電部材との間にあり、前記第2電極領域は、前記第1電極領域と前記第2導電部材との間にあり、前記第3電極領域は、前記第1電極領域と前記第2電極領域との間にあり、
前記素子部は、前記第1部材に固定された第1支持部、前記第1部材に固定された第2支持部、及び、前記第1部材に固定された第3支持部を含み、
前記第1支持部は、前記第1導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第2支持部は、前記第2導電部材の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第3支持部は、前記第3電極領域の少なくとも一部を前記第1部材から離して支持し、
前記第1電極領域の少なくとも一部は、前記第1方向に対して傾斜する側部を含み、
前記第2方向に沿う前記第1電極領域の幅は、前記第1電極領域の前記少なくとも一部において、前記第1接続部から前記第2接続部への前記向きにおいて増大する、構成11記載のMEMS素子。
【0139】
(構成16)
前記第1導電部材は、ミアンダ構造を有し、
前記第2導電部材は、第1導電領域と第2導電領域とを含み、前記第2導電領域は、前記第1可動電極と前記第1導電領域との間にあり、前記第2方向に沿う前記第2導電領域の第2幅は、前記第2方向に沿う前記第1導電領域の第1幅よりも小さい、構成11~15のいずれか1つに記載のMEMS素子。
【0140】
(構成17)
前記第1固定電極から前記第1可動電極への方向において、前記第2導電領域は、前記第1固定電極の端部と重なる、構成16記載のMEMS素子。
【0141】
(構成18)
前記第1導電部材は、第1ノッチ部と、第1非ノッチ部と、を含み、前記第1ノッチ部から前記第1非ノッチ部への方向は、前記第1導電部材及び前記第1可動電極を含む第1電流経路に沿い、
前記第1電流経路に対して垂直な第1交差方向に沿う前記第1ノッチ部の長さは、前記第1交差方向に沿う前記第1非ノッチ部の長さよりも短い、構成16または17に記載のMEMS素子。
【0142】
(構成19)
前記第1固定電極から前記第1可動電極への方向において、前記第1ノッチ部は、前記第1固定電極の端部と重なる、構成18記載のMEMS素子。
【0143】
(構成20)
構成1~19のいずれか1つに記載のMEMS素子と、
前記MEMS素子と電気的に接続された電気素子と、
を備えた電気回路。
【0144】
実施形態によれば、安定した動作が可能なMEMS素子及び電気回路が提供できる。
【0145】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、MEMS素子及び電気回路に含まれる第1部材、素子部、固定電極、可動電極、第1導電部材及び第2導電部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0146】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0147】
その他、本発明の実施の形態として上述したMEMS素子及び電気回路を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのMEMS素子及び電気回路も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0148】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0149】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0150】
11、12…第1、第2固定電極、 11p、11q…端部、 20E…第1可動電極、 20Ea~20Ec…第1~第3電極領域、 20Ep、20Eq…端部、 20Es…側部、 21、22…第1、第2導電部材、 21B、22B…破断部、 21C、22C…第1、第2接続部、 21S~24S…第1~第4支持部、 21cp、22cp…第1、第2電流経路、 21n、22n…第1、第2ノッチ部、 21p…端部、 21u、22u…第1、第2非ノッチ部、 22a、22b…第1、第2導電領域、 28a、28b…第1、第2延在領域、 31…第1容量素子、 41、42…第1、第2部材、 41a…表面、 41i…絶縁層、 41s…基板、 41t…制御回路部、 51…素子部、 55…電気素子、 70…制御部、 110~112、120、121、122、125、130…MEMS素子、 210…電気回路、 310、311…制御回路、 321…昇圧回路、 322…論理回路、 322a…信号、 323…スイッチングマトリクス、 324…制御電源、 AR1~AR3…矢印、 Dp1…方向、 Dp2…第2方向、 Dx1…第1交差方向、 FLT…フローティング状態、 Hi-Z…ハイインピーダンス状態、 Ih…大電流、 Ipp…制御電流、 J21C、J22C…電流密度、 L21a~L21g、L22a、L22b…長さ、 R1…比、 ST1、ST2…第1、第2状態、 Sg1~Sg3…第1~第3電気信号、 T1、T2…第1、第2端子、 Tc1、Tc2…第1、第2制御端子、 Tm…温度、 Tm21C、Tm21p、Tm22C、Tn22b…温度、 V0…グランド電位、 Vcc…電源電圧、 Vh…高電圧、 Vpp…制御信号、 W1…幅、 W20…幅、 W22a、W22b…第1、第2幅、 Wn1、Wu1…長さ、 g1、g2…第1、第2間隙
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