(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 65/02 20060101AFI20240228BHJP
F16D 55/2255 20060101ALI20240228BHJP
B61H 5/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
F16D65/02 E
F16D55/2255 103C
F16D55/2255 103F
B61H5/00
F16D65/02 C
(21)【出願番号】P 2020180841
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】内海 崇
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第29515260(DE,U1)
【文献】特開2018-128097(JP,A)
【文献】特開2008-196655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/02
F16D 55/2255
B61H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、
ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、
前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、
台車に固定されるブラケットと、
前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに対して相対回転可能に連結する連結ピンと、
前記連結ピンに貫通されて、前記ボディ又は前記ブラケットとの接触面において滑り摩擦を発生させて、前記ボディの回転を抑制する回転抑制部とを備える
ブレーキキャリパ装置。
【請求項2】
ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、
ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、
前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、
台車に固定されるブラケットと、
前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに対して相対回転可能に支持する連結ピンと、
前記連結ピンの軸方向の端部との接触面において滑り摩擦を発生させて、前記連結ピンの回転を抑制する回転抑制部とを備える
ブレーキキャリパ装置。
【請求項3】
前記回転抑制部は、前記ブラケットの内部に設けられている
請求項1又は2に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項4】
前記回転抑制部は、前記ブラケット又は前記ボディに対して押し付けられることで前記滑り摩擦を発生させる押付部材と、前記押付部材を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材とを有する
請求項1~3のいずれか一項に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項5】
前記押付部材及び前記付勢部材は、前記連結ピンに貫通されている
請求項4に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項6】
前記押付部材と接触して設けられ、前記押付部材の材質よりも柔らかい接触部材を有する
請求項4又は5に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項7】
前記ブラケットは、前記連結ピンの両端を保持し、
前記連結ピンの第1端部の径は、前記第1端部と反対に位置する第2端部の径よりも短く、
前記付勢部材は、前記第1端部の外周に嵌められている
請求項4~6のいずれか一項に記載のブレーキキャリパ装置。
【請求項8】
ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、
ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、
前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、
台車に固定されるブラケットと、
前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに回転可能に連結する連結ピンと、
前記ブラケットの内部に設けられ、前記連結ピンに貫通されて、前記ボディ又は前記ブラケットとの接触面において滑り摩擦を発生させて、前記ボディの回転を抑制する回転抑制部とを備え、
前記回転抑制部は、前記ボディに押し付けられることで前記滑り摩擦を発生させる押付部材と、前記押付部材を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材とを有する
ブレーキキャリパ装置。
【請求項9】
ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、
ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、
前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、
台車に固定されるブラケットと、
前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに対して相対回転可能に支持する連結ピンと、
前記ブラケットの内部に設けられ、前記連結ピンの軸方向の端部との接触面において滑り摩擦を発生させて、前記連結ピンの回転を抑制する回転抑制部とを備え、
前記回転抑制部は、前記ブラケット又は前記ボディに対して押し付けられることで前記滑り摩擦を発生させる押付部材と、前記押付部材を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材とを有する
ブレーキキャリパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキキャリパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉄道車両の車輪と一体に回転するディスクにブレーキパッドを押し付けることにより車輪にブレーキ力を付与するブレーキキャリパ装置が開示されている。ブレーキキャリパ装置は、圧縮空気等の流体により動作するシリンダ装置と、シリンダ装置に接続され、シリンダ装置によりブレーキパッドをディスクに接近及び離間させるように回転するキャリパレバーとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブレーキキャリパ装置は、鉄道車両の走行に伴って台車が車軸に対して傾斜した場合でもディスクとブレーキパッドとが平行な状態に保たれるように、台車に対して回転可能に取り付けられている。しかし、こうした構成では、走行中に発生する振動によってもブレーキキャリパ装置が回転し、ブレーキ力が発生していない非制動時であるにも関わらず、ブレーキパッドがディスクに接触するおそれがある。なお、鉄道車両に限らず、トラック、バス、高所作業車等の産業車両のディスクブレーキ装置に用いられるブレーキキャリパ装置においても同様の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するブレーキキャリパ装置は、ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、台車に固定されるブラケットと、前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに対して相対回転可能に連結する連結ピンと、前記連結ピンに貫通されて、前記ボディ又は前記ブラケットとの接触面において滑り摩擦を発生させて、前記ボディの回転を抑制する回転抑制部とを備える。
【0006】
上記構成によれば、回転抑制部によりボディとブラケットとの相対回転に対して摩擦力が発生して、ボディがブラケットに対して相対回転し難くなるため、ブレーキ非作動時におけるブレーキパッドとディスクとの不要な接触を抑制することができる。また、連結ピンに貫通された回転抑制部により連結ピンの周囲の軸方向の接触面において滑り摩擦が発生して回転が抑制されるため、ボディ又はブラケットの一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0007】
上記課題を解決するブレーキキャリパ装置は、ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、台車に固定されるブラケットと、前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに対して相対回転可能に支持する連結ピンと、前記連結ピンの軸方向の端部との接触面において滑り摩擦を発生させて、前記連結ピンの回転を抑制する回転抑制部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、回転抑制部により連結ピンとの相対回転に対して摩擦力が発生して、ボディがブラケットに対して相対回転し難くなるため、ブレーキ非作動時におけるブレーキパッドとディスクとの不要な接触を抑制することができる。また、回転抑制部により連結ピンの軸方向の端部との接触面において滑り摩擦が発生して回転が抑制されるため、ボディ又はブラケットの軸の一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0009】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記回転抑制部は、前記ブラケットの内部に設けられていることが好ましい。
上記ブレーキキャリパ装置について、前記回転抑制部は、前記ブラケット又は前記ボディに対して押し付けられることで前記滑り摩擦を発生させる押付部材と、前記押付部材を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材とを有することが好ましい。
【0010】
上記ブレーキキャリパ装置について、前記押付部材及び前記付勢部材は、前記連結ピンに貫通されていることが好ましい。
上記ブレーキキャリパ装置について、前記押付部材と接触して設けられ、前記押付部材の材質よりも柔らかい接触部材を有することが好ましい。
上記ブレーキキャリパ装置について、前記ブラケットは、前記連結ピンの両端を保持し、前記連結ピンの第1端部の径は、前記第1端部と反対に位置する第2端部の径よりも短く、前記付勢部材は、前記第1端部の外周に嵌められていることが好ましい。
【0011】
上記課題を解決するブレーキキャリパ装置は、ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、台車に固定されるブラケットと、前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに回転可能に連結する連結ピンと、前記ブラケットの内部に設けられ、前記連結ピンに貫通されて、前記ボディ又は前記ブラケットとの接触面において滑り摩擦を発生させて、前記ボディの回転を抑制する回転抑制部とを備え、前記回転抑制部は、前記ボディに押し付けられることで前記滑り摩擦を発生させる押付部材と、前記押付部材を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材とを有する。
【0012】
上記構成によれば、回転抑制部によりボディとブラケットとの相対回転に対して摩擦力が発生して、ボディがブラケットに対して相対回転し難くなるため、非制動時におけるブレーキパッドとディスクとの不要な接触を抑制することができる。また、連結ピンに貫通された回転抑制部により連結ピンの周囲の軸方向の接触面において滑り摩擦が発生して回転が抑制されるため、ボディ又はブラケットの一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0013】
上記課題を解決するブレーキキャリパ装置は、ブレーキパッドをそれぞれ保持する一対のキャリパレバーと、ディスクを押圧するように前記一対のキャリパレバーを回転させるための力を出力するアクチュエータと、前記一対のキャリパレバーのそれぞれを回転可能に保持するとともに、前記アクチュエータを保持するボディと、台車に固定されるブラケットと、前記キャリパレバーの長手方向に延びる回転軸を中心として前記ボディを前記ブラケットに対して相対回転可能に支持する連結ピンと、前記ブラケットの内部に設けられ、前記連結ピンの軸方向の端部との接触面において滑り摩擦を発生させて、前記連結ピンの回転を抑制する回転抑制部とを備え、前記回転抑制部は、前記ブラケット又は前記ボディに対して押し付けられることで前記滑り摩擦を発生させる押付部材と、前記押付部材を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材とを有する。
【0014】
上記構成によれば、回転抑制部により連結ピンとの相対回転に対して摩擦力が発生して、ボディがブラケットに対して相対回転し難くなるため、ブレーキ非作動時におけるブレーキパッドとディスクとの不要な接触を抑制することができる。また、回転抑制部により連結ピンの軸方向の端部との接触面において滑り摩擦が発生して回転が抑制されるため、連結ピンの軸の一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非制動時におけるブレーキパッドとディスクとの不要な接触を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ブレーキキャリパ装置の第1実施形態の構成を示す斜視図。
【
図2】同実施形態のブレーキキャリパ装置の構成を示す平断面図。
【
図3】同実施形態のブレーキキャリパ装置の構成を示す分解斜視図。
【
図4】同実施形態のブレーキキャリパ装置の構成を示す背面図。
【
図5】同実施形態のブレーキキャリパ装置のブラケットと連結ピンとボディとの構成を示す分解斜視図。
【
図6】同実施形態のブレーキキャリパ装置のブラケットと連結ピンとボディとの構成を示す縦断面図。
【
図7】ブレーキキャリパ装置の第2実施形態の摩擦付与部の構成を示す縦断面図。
【
図8】ブレーキキャリパ装置の第3実施形態の摩擦付与部の構成を示す縦断面図。
【
図9】ブレーキキャリパ装置の第4実施形態の摩擦付与部の構成を示す縦断面図。
【
図10】ブレーキキャリパ装置の第5実施形態の摩擦付与部の構成を示す縦断面図。
【
図11】ブレーキキャリパ装置の第6実施形態の摩擦付与部の構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図6を参照して、ブレーキキャリパ装置の第1実施形態について説明する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、図示しない鉄道車両の台車に取り付けられ、台車の車輪を回転させる車軸と一体に回転する円盤状のディスク11(
図2参照)にブレーキパッド12を押し付けることによりブレーキ力を車輪に付与する。すなわち、ブレーキキャリパ装置20は、ディスク11とともにディスクブレーキ装置を構成する。
【0019】
ブレーキキャリパ装置20は、台車に取り付けられるブラケット21(
図1参照)と、ブラケット21に回転可能に吊り下げられるボディ30と、ボディ30に保持される一対の左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50とを備える。ボディ30は、ブレーキパッド12がディスク11を挟む位置と挟まない位置とに移動可能に一対の左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50のそれぞれを回転可能に保持する。
【0020】
また、ブレーキキャリパ装置20は、圧縮空気の供給と排出とによって左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50がブレーキパッド12を介してディスク11を挟むための力を出力するシリンダ装置15を備える。シリンダ装置15に供給される圧縮空気は、鉄道車両に搭載されるタンクから供給される。シリンダ装置15は、ボディ30に着脱可能に取り付けられている。なお、シリンダ装置15がアクチュエータに相当する。
【0021】
図5に示すように、ブラケット21は、第1ブラケット21Aと第2ブラケット21Bとを備える。第1ブラケット21Aと第2ブラケット21Bとの間には、ボディ30が挟まれる。第1ブラケット21Aとボディ30と第2ブラケット21Bとには連結ピン22が挿入されて、第1ブラケット21Aとボディ30と第2ブラケット21Bとが連結される。ボディ30は、連結ピン22が貫通する基部31を備える。基部31は、台車の車軸の軸方向と直交し、左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50の延在方向に沿う回転軸Pを中心に回転する(
図4参照)。
【0022】
ところで、ブレーキキャリパ装置20は、鉄道車両の走行に伴って台車が傾斜した場合でもディスク11とブレーキパッド12とが平行な状態に保たれるように、台車に対して回転可能に取り付けられている。このため、鉄道車両が走行中に発生する振動によってもブレーキキャリパ装置20が回転し、ブレーキ力が発生していない非制動時であるにも関わらず、ブレーキパッド12がディスク11に接触するおそれがある。
【0023】
そこで、
図5及び
図6に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、ボディ30が回転する際に生じるブラケット21とボディ30との相対移動に伴う摩擦力を増大させる摩擦付与部60を備えている。摩擦付与部60は、第2ブラケット21Bの内部に設けられている。摩擦付与部60は、連結ピン22に貫通され、ボディ30と第2ブラケット21Bとの相対回転に対して連結ピン22の周囲に位置するボディ30の軸方向の接触面において滑り摩擦を発生させる。摩擦付与部60が連結ピン22の回転を抑制する回転抑制部として機能する。摩擦付与部60は、ボディ30に押し付けられることで摩擦力を発生させる押付部材である摩擦リング61を備える。摩擦リング61は、連結ピン22が貫通している。摩擦付与部60は、摩擦リング61を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材としてばね62を備える。ばね62は、3個の皿ばねである。なお、皿ばねの枚数は、必要な付勢力によって1個、2個、4個以上でもよい。ばね62は、連結ピン22が貫通している。
【0024】
ブラケット21は、連結ピン22の両端を保持している。すなわち、第1ブラケット21Aが連結ピン22の第1端部22Aを保持し、第2ブラケット21Bが連結ピン22の第2端部22Bを保持している。連結ピン22の第1端部22Aの径は、第1端部22Aと反対に位置する第2端部22Bの径よりも長い。よって、連結ピン22は、ボディ30の第1ブラケット21A寄りからボディ30に挿入される。連結ピン22の第1端部22Aは、第1ブラケット21Aに圧入されている。連結ピン22は、第2ブラケット21Bに挿入され、ボルト26によって固定される。連結ピン22とボルト26の頭との間にはリング25が挟まれている。ボディ30の第1ブラケット21Aと接触する部分には、第1ブッシュ23が取り付けられている。第1ブッシュ23は、円板状の平面部と円筒状の筒部からなる部材である。第1ブッシュ23の平面部が第1ブラケット21Aと接触する。第1ブッシュ23の材質は、第1ブラケット21Aの材質よりも柔らかい。また、ボディ30の第2ブラケット21B及び摩擦リング61と接触する部分には、第2ブッシュ24が取り付けられている。第2ブッシュ24は、円板状の平面部と円筒状の筒部からなる部材である。第2ブッシュ24の平面部が第2ブラケット21B及び摩擦リング61と接触する。第2ブッシュ24の材質は、第2ブラケット21Bの材質及び摩擦リング61の材質よりも柔らかい。なお、第2ブッシュ24が接触部材に相当する。
【0025】
摩擦付与部60のばね62がボディ30を付勢することで、第2ブラケット21Bはボディ30の基部31から離間する方向へ付勢される。このため、連結ピン22は第2ブラケット21Bとともに引っ張られ、連結ピン22の第1端部22Aに固定される第1ブラケット21Aがボディ30の基部31に押し付けられる。よって、摩擦付与部60がボディ30の第2ブラケット21Bとの接触面に摩擦力を発生させるとともに、第1ブラケット21Aとボディ30との接触面にも摩擦力を発生させることができる。そして、ボディ30がブラケット21に対して回転しようとすると、摩擦リング61と第2ブッシュ24との間にすべり摩擦が発生することで回転が抑制される。
【0026】
図5に示すように、ボディ30は、基部31の下方から左右の左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50に向かって延出して左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50を支持する第1支持部32を備える。ボディ30は、第1支持部32の中央から左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50の長手方向の後方に延出してシリンダ装置15を支持する第2支持部33を備える。第2支持部33は、板状の部材である。ボディ30の基部31、第1支持部32、及び第2支持部33は、一体に成形されている。台車が車軸の軸方向に傾いたとしてもボディ30が回転軸Pを中心に回転するため、ブレーキパッド12をディスク11と常に平行に保つことができる。
【0027】
第1支持部32の左側には、左キャリパレバー40を支持する左側支持部32Aが設けられている。左側支持部32Aには、左キャリパレバー40を回転可能に支持する左側回転ピン35が挿入されている。左側回転ピン35は、左側支持部32Aに対して回転可能である。左側回転ピン35には、シリンダ装置15の駆動力によって操作される操作レバー35Aが固定されている。第1支持部32の右側には、右キャリパレバー50を支持する右側支持部32Bが設けられている。右側支持部32Bには、右キャリパレバー50を回転可能に支持する右側回転ピン36が上側と下側とにそれぞれ挿入されている。右側回転ピン36は、右側支持部32Bに対してそれぞれ回転可能である。
【0028】
図3に示すように、左キャリパレバー40は、一対の左上レバー47と左下レバー48とを備えている。一対の左上レバー47と左下レバー48とは、左側回転ピン35の軸方向において離間し互いに対向する。左キャリパレバー40の先端部には、ブレーキパッド12が取り付けられるパッド取付部材42が2個のパッド回転ピン43により接続されている。パッド回転ピン43は、左上レバー47と左下レバー48とに対して回転可能である。パッド回転ピン43は、パッド取付部材42に固定されている。左上レバー47と左下レバー48とは、左レバー連結ピン46によって連結されている。
【0029】
右キャリパレバー50は、一対の右上レバー57と右下レバー58とを備えている。一対の右上レバー57と右下レバー58とは、右側回転ピン36の軸方向において離間し互いに対向する。右キャリパレバー50の先端部には、ブレーキパッド12が取り付けられるパッド取付部材52が2個のパッド回転ピン53により接続されている。パッド回転ピン53は、右上レバー57と右下レバー58とに対して回転可能である。パッド回転ピン53は、パッド取付部材52に固定されている。右上レバー57と右下レバー58とは、右レバー連結ピン56によって連絡されている。
【0030】
図2に示すように、シリンダ装置15は、ボディ30の第2支持部33に取り付けられている。シリンダ装置15は、常用ブレーキシリンダ70と駐車ブレーキシリンダ80とを備えている。第2支持部33の常用ブレーキシリンダ70と駐車ブレーキシリンダ80とが取り付けられる面は、車軸と垂直な面である。常用ブレーキシリンダ70は、ボディ30の第2支持部33の左側の面に取り付けられている。駐車ブレーキシリンダ80は、ボディ30の第2支持部33の右側の面に取り付けられている。よって、常用ブレーキシリンダ70と駐車ブレーキシリンダ80とは、ボディ30の第2支持部33を挟んで設けられている。なお、第2支持部33の常用ブレーキシリンダ70と駐車ブレーキシリンダ80とが取り付けられる面は、左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50の延出方向と平行であって、ブレーキパッド12の面と平行である。
【0031】
図3に示すように、常用ブレーキシリンダ70と駐車ブレーキシリンダ80とは、各4個のボルトによって第2支持部33に固定されている。常用ブレーキシリンダ70と駐車ブレーキシリンダ80とは、第2支持部33の異なる位置にそれぞれボルトが固定されている。このため、常用ブレーキシリンダ70と駐車ブレーキシリンダ80とは、第2支持部33から別々に着脱することができる。
【0032】
図2に示すように、ボディ30の第2支持部33の中央には、開口33Aが設けられている。開口33Aは、左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50の長手方向に延出する長孔となっている。このため、常用ブレーキシリンダ70及び駐車ブレーキシリンダ80を着脱するときに、開口33Aにおいて左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50の長手方向に移動させることができる。
【0033】
常用ブレーキシリンダ70は、複数のボルトを外すことでボディ30の第2支持部33の左側の面から取り外すことができる。また、駐車ブレーキシリンダ80は、複数のボルトを外すことでボディ30の第2支持部33の右側の面から取り外すことができる。また、隙間調整装置100は、ボルト45及びボルト55を外すことで左キャリパレバー40及び右キャリパレバー50から取り外すことができる。このため、シリンダ装置15や隙間調整装置100を点検や交換するときに容易に着脱することができる。なお、シリンダ装置15を固定するボルトの数量は任意に設定してもよい。
【0034】
常用ブレーキシリンダ70は、第1シリンダ室71と、第1ピストン72と、第1ロッド73と、第1ばね74とを備えている。第1ピストン72は、第1シリンダ室71の中を移動する。第1ロッド73は、第1ピストン72に固定されて第1シリンダ室71から突出する。第1ばね74は、第1ロッド73が第1シリンダ室71に収容される方向に第1ピストン72を付勢する。第1シリンダ室71の第1ばね74が設けられていない側を第1空間75とする。常用ブレーキシリンダ70は、第1シリンダ室71の第1空間75に圧縮空気を供給する第1供給ポート76を備えている(
図3参照)。第1供給ポート76は、第1シリンダ室71の外部に設けられている。常用ブレーキシリンダ70は、第1シリンダ室71の第1空間75に圧縮空気が供給されると第1ピストン72が押されて第1ロッド73が突出する。また、常用ブレーキシリンダ70は、第1シリンダ室71の第1空間75から圧縮空気が排出されると第1ピストン72が第1ばね74に押されて第1ロッド73が第1シリンダ室71に収容される。なお、第1ロッド73が常用ブレーキシリンダ70の出力ロッドに相当する。第1シリンダ室71が常用ブレーキシリンダ70のケースに相当する。
【0035】
駐車ブレーキシリンダ80は、第2シリンダ室81と、第2ピストン82と、第2ロッド83と、第2ばね84とを備えている。第2ピストン82は、第2シリンダ室81の中を移動する。第2ロッド83は、第2ピストン82に固定されて第2シリンダ室81から第1シリンダ室71に突出する。第2ばね84は、第2ロッド83が第2シリンダ室81から突出する方向に第2ピストン82を付勢する。第2シリンダ室81の第2ばね84が設けられていない側を第2空間85とする。駐車ブレーキシリンダ80は、第2シリンダ室81の第2空間85に圧縮空気を供給する第2供給ポート86(
図3参照)を備えている。第2供給ポート86は、第2シリンダ室81の外部に設けられている。駐車ブレーキシリンダ80は、第2シリンダ室81の第2空間85に圧縮空気が供給されると第2ピストン82が押されて第2ロッド83が第2シリンダ室81に収容される。また、駐車ブレーキシリンダ80は、第2シリンダ室81の第2空間85から圧縮空気が排出されると第2ピストン82が第2ばね84に押されて第2ロッド83が第2シリンダ室81から第1シリンダ室71に突出して第1ピストン72を押して第1ロッド73が突出する。なお、第2ロッド83が駐車ブレーキシリンダ80の出力軸に相当する。第2シリンダ室81が駐車ブレーキシリンダ80のケースに相当する。
【0036】
第1シリンダ室71は、開口33Aに突出する第1突出部71Aを備えている。第2シリンダ室81は、開口33Aに突出する第2突出部81Aを備えている。第2突出部81Aには、第2ロッド83が貫通している。第1突出部71Aは、第2突出部81Aの外周に嵌合している。これにより、常用ブレーキシリンダ70の第1ロッド73と駐車ブレーキシリンダ80の第2ロッド83とは、同軸上に位置して、駐車ブレーキシリンダ80の出力が常用ブレーキシリンダ70に伝達される。
【0037】
操作レバー35Aの先端には、回転するローラ35Bが取り付けられている。シリンダ装置15の第1ロッド73の先端には、ローラ35Bを収容するとともに接触する貫通孔である収容部73Aが設けられている。この収容部73Aは、第1ロッド73の直線運動と操作レバー35Aの回転運動とのずれを吸収しつつ、第1ロッド73の駆動力を操作レバー35Aに伝達する。
【0038】
図1及び
図2に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を調整する隙間調整装置100を備えている。隙間調整装置100は、隙間を調整する隙間調整器101と、隙間調整器101に隙間を出力する隙間出力部90とを備えている。隙間出力部90は、シリンダ装置15の第1ロッド73の移動量に応じてワイヤー96を牽引する牽引部91と、ワイヤー96とを備える。隙間調整器101は、左キャリパレバー40の基端部と右キャリパレバー50の基端部とを連結している。左キャリパレバー40と隙間調整器101とは、上下一対のボルト45によって回動可能に連結されている。右キャリパレバー50と隙間調整器101とは、上下一対のボルト55によって回動可能に連結されている。左キャリパレバー40と隙間調整器101とは回転軸44にて回転し、右キャリパレバー50と隙間調整器101とは回転軸54にて回転する。
【0039】
隙間調整装置100は、左キャリパレバー40の基端部と右キャリパレバー50の基端部との距離を調整することでブレーキパッド12とディスク11との隙間を調整する。さらに、隙間調整装置100は、ブレーキパッド12の摩耗によってブレーキパッド12とディスク11との隙間が長くなったときに、左キャリパレバー40の基端部と右キャリパレバー50の基端部との距離を伸長することで、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を短くする。
【0040】
隙間調整装置100は、第1ロッド73の移動量が所定値以上であるときに、牽引部91がワイヤー96を牽引する。すなわち牽引部91は、第1ロッド73が突出して所定値に達すると第1ロッド73が接触することで回転して、ワイヤー96を牽引する。
【0041】
図1に示すように、隙間調整器101は、第1ケース121と、第2ケース122とを備えている。第1ケース121は、一対の左上レバー47と左下レバー48との基端部の間に接続されている。第1ケース121と一対の左上レバー47及び左下レバー48とはボルト45によって回動可能に連結されている。第2ケース122は、一対の右上レバー57と右下レバー58との基端部の間に接続されている。第2ケース122と一対の右上レバー57及び右下レバー58とはボルト55によって回動可能に連結されている。
【0042】
図2に示すように、第1ケース121は、第2ケース122に向かって延出する円筒状の延出部121Aを備えている。第1ケース121には、多角柱状の多角形ロッド123が固定されている。多角形ロッド123は、第1ケース121の延出部121Aの延出方向に設けられている。
【0043】
多角形ロッド123の基端部は、第1ケース121の外部に突出している。多角形ロッド123の基端部には、六角柱に形成された六角部123Bが設けられている。多角形ロッド123の六角部123Bを手動にて回すことにより、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を調整することができる。
【0044】
第2ケース122には、第1ケース121に向かって延出する円柱状のねじ軸124が固定されている。ねじ軸124は、第1ケース121側のみ開口する円柱状の空間124Aを有している。ねじ軸124の空間124Aには、多角形ロッド123が貫通されている。ねじ軸124の第2ケース122に固定されている部分以外の外周には、雄ねじ124Bが設けられている。ねじ軸124は、支持ばね122Aによって支持されている。ねじ軸124の基端部は、六角柱に形成された六角部124Cが設けられている。ねじ軸124の六角部124Cを手動にて回すことにより、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を調整することができる。このため、隙間調整器101の両側から隙間調整が可能であり、1度の隙間調整量が大きくなり、メンテナンス時の調整作業を効率的かつ容易に行うことができる。
【0045】
ねじ軸124の外周には、円筒状の調整ナット125が設けられている。調整ナット125の一部の内壁には、ねじ軸124の雄ねじ124Bと螺合する雌ねじ125Aが設けられている。調整ナット125は、ねじ軸124の雄ねじ124Bに螺合しながらねじ軸124に対して回転する。すなわち、ねじ軸124が多角形ロッド123から離間する方向に移動すると、調整ナット125はねじ軸124の雄ねじ124Bと調整ナット125の雌ねじ125Aとによって回転する。
【0046】
調整ナット125は、第1ケース121の延出部121Aとねじ軸124との間に位置している。調整ナット125の外周には、第1ケース121の延出部121Aの内壁に向かって突出する凸条部125Bが設けられている。調整ナット125と第1ケース121の延出部121Aとの間には、凸条部125Bを調整ナット125の軸方向において第1ケース121側へ付勢する振動対策ばね126が設けられている。振動対策ばね126は、コイルばねであって、調整ナット125の外周に設けられる。調整ナット125の凸条部125Bが振動対策ばね126によって付勢されているので振動による影響を低減することができる。調整ナット125と第1ケース121の延出部121Aとの間には、当接クラッチ127が設けられている。当接クラッチ127は、凸条部125Bが軸方向において左キャリパレバー40側へ押されたときに、凸条部125Bの軸方向に対して垂直な面と接触することで調整ナット125の回転を規制する。また、第2ケース122には、第1ケース121を覆う円筒状のカバー128が固定されている。
【0047】
ねじ軸124の第1ケース寄りには、ワイヤー96が接続されるワイヤー取付部130が取り付けられている。調整ナット125と第1ケース121の延出部121Aとの間には、ワンウェイクラッチ131が設けられている。ワイヤー取付部130は、ワンウェイクラッチ131に固定されている。ワンウェイクラッチ131及びワイヤー取付部130は、一体に回転する。ワンウェイクラッチ131は、隙間調整器101が伸長するための調整ナット125の回転を許容し、隙間調整器101が短縮するための調整ナット125の回転を規制する。ワンウェイクラッチ131には、ばね132が取り付けられている。すなわち、ワイヤー96が牽引部91に牽引されたときには、ワンウェイクラッチ131及びワイヤー取付部130が左側から見て時計回りに回転し、ばね132が圧縮される。一方、ワイヤー96の牽引が解除されると、ばね132の付勢力によりワンウェイクラッチ131及びワイヤー取付部130が調整ナット125とともに逆回転(反時計回りに回転)して隙間調整器101が伸長する。
【0048】
次に、上記ブレーキキャリパ装置20の作用について説明する。まず、
図2を併せて参照して、ブレーキパッド12が摩耗していない状態におけるブレーキキャリパ装置20及び隙間調整装置100の動作について説明する。
【0049】
鉄道車両の走行中においては、鉄道車両の走行に起因する振動に基づいて車輪と台車とが車幅方向(ディスク11の板厚方向)、鉄道車両の上下方向、及び鉄道車両の前後方向に相対移動する。車輪と台車とが相対移動するとき、台車に取り付けられたブラケット21に支持されたボディ30は、ブラケット21の連結ピン22周りの回転が摩擦付与部60によって制限される。摩擦付与部60がボディ30の第2ブラケット21Bとの接触面に摩擦力を発生させるとともに、第1ブラケット21Aとボディ30との接触面にも摩擦力を発生させる。このため、鉄道車両の走行に起因する振動が発生しても、ボディ30は、ブラケット21に対して回転し難い。なお、ブレーキパッド12がディスク11に押されて、左キャリパレバー40又は右キャリパレバー50を介してディスク11からの力をボディ30が受けたときには、ボディ30が連結ピン22周りに回転する。つまり、摩擦付与部60は、振動によってボディ30が連結ピン22周りに回転することを抑制しつつ、ディスク11がブレーキパッド12に接触したときにはボディ30が連結ピン23周りに回転するように調整されている。
【0050】
図2に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキを作動させるときには、シリンダ装置15の常用ブレーキシリンダ70の第1空間75に圧縮空気が供給される。常用ブレーキシリンダ70の第1ロッド73は、第1ピストン72とともに第1シリンダ室71から突出する方向に移動してローラ35Bを介して操作レバー35Aを時計回りに駆動する。このとき、ブレーキパッド12の摩耗が小さく、第1ロッド73の移動量(突出量)が所定値未満であれば、第1ロッド73は牽引部91には接触しない。
【0051】
第1ロッド73が第1シリンダ室71から突出する方向に移動すると、操作レバー35Aは左側回転ピン35とともに時計周りに回転する。左側回転ピン35が時計回りに回転すると、左キャリパレバー40が回転軸44を回転中心として左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する方向に回転して、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。
【0052】
続いて、左側のブレーキパッド12がディスク11に接触した後、左キャリパレバー40はパッド回転ピン43を回転中心として時計回りに回転する。そして、左キャリパレバー40がパッド回転ピン43を回転中心として回転すると、右キャリパレバー50は、回転軸44及び隙間調整器101及び回転軸54を介して右側回転ピン36を回転中心として時計回りに回転して、右側のブレーキパッド12がディスク11に接触する。
【0053】
なお、駐車ブレーキシリンダ80の第2空間85から圧縮空気が排出されて、第2ロッド83が第2シリンダ室81から突出するときには、第2ロッド83が第1ピストン72及び第1ロッド73を押すことで、第1ロッド73が第1シリンダ室71から突出したときと同様に動作する。
【0054】
続いて、ブレーキパッド12が摩耗した状態におけるブレーキキャリパ装置20及び隙間調整装置100の動作について説明する。ブレーキパッド12が摩耗した状態のときも常用ブレーキシリンダ70は圧縮空気の供給によって同様に動作して、第1ロッド73の移動量がブレーキパッド12の摩耗量に応じて増加する。そして、ブレーキパッド12の摩耗量が大きくなり、第1ロッド73の移動量が所定値以上となると、隙間調整装置100が動作する。すなわち、隙間調整器101が伸長して、ブレーキパッド12とディスク11との隙間を短くする。
【0055】
第1ロッド73が所定値以上移動すると、第1ロッド73の先端部が牽引部91に接触して回転することでワイヤー96が牽引される。ワイヤー96が牽引されると、ワイヤー取付部130がワンウェイクラッチ131とともに時計回りに回転する。なお、第1ロッド73の移動量が所定値以上とはブレーキパッド12とディスク11との隙間が規定値以上であることに相当する。
【0056】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、ディスク11を左側のブレーキパッド12と右側のブレーキパッド12とが挟んで隙間調整器101に圧縮力が発生すると、ねじ軸124が短縮方向に調整ナット125を回転させようとする。このとき、調整ナット125は、当接クラッチ127と調整ナット125の凸条部125Bとの摩擦力と、ワンウェイクラッチ131により回転が規制され、ねじ軸124は短縮方向に移動せず、ブレーキキャリパ装置20の挟み力が維持されてブレーキ力が発生する。
【0057】
続いて、ブレーキキャリパ装置20は、常用ブレーキシリンダ70への圧縮空気の供給が停止されてブレーキが解除されると、第1ロッド73が第1シリンダ室71に戻る。そして、第1ロッド73と牽引部91との接触がなくなり、牽引部91によるワイヤー96の牽引が解除される。そして、ワイヤー96の牽引が解除されると、ばね132の付勢力によりワンウェイクラッチ131及びワイヤー取付部130が調整ナット125とともに逆回転(反時計回りに回転)する。このとき、ワンウェイクラッチ131は、伸長する方向には回転しないので、調整ナット125とともに反時計回りに回転する。これにより、隙間調整器101の全長が長くなることで、左キャリパレバー40の基端部と右キャリパレバー50の基端部との距離が長くなり、ブレーキパッド12とディスク11との隙間が短縮される。
【0058】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1)ボディ30とブラケット21との相対回転に対して生じる摩擦力により、ボディ30がブラケット21に対して相対回転し難くなるため、ブレーキ非作動時におけるブレーキパッド12とディスク11との不要な接触を抑制することができる。また、連結ピン22の軸方向の接触面において連結ピン22の周囲で発生する滑り摩擦により回転が抑制される。このため、連結ピン22の周囲においてボディ30又はブラケット21の一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0059】
(2)ブラケット21の内部に摩擦付与部60が設けられるため、ボディ30の体格に影響を与えずに摩擦付与部60を設置することができる。また、ブラケット21は台車に固定される構成があればよいので、摩擦付与部60を設けるための構成を追加することがボディ30よりも容易である。
【0060】
(3)ばね62が摩擦リング61を付勢することで、ボディ30とブラケット21との相対回転に対して抵抗力を確実に与えることができる。
(4)摩耗した場合には第2ブッシュ24を交換することで所望の摩擦力を得ることができるので、ボディ30、ブラケット21、連結ピン22を交換するよりもメンテナンスが容易である。
【0061】
(5)連結ピン22の第2端部22Bを第1端部22Aよりも縮径することで軽量化することができ、この第2端部22Bの外周にばね62を嵌めることで、第1端部22Aにばね62を設けるよりもばね62の径を小さくすることができ、摩擦付与部60を小型化することができる。
【0062】
(第2実施形態)
以下、
図7を参照して、ブレーキキャリパ装置の第2実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置の摩擦付与部60は、連結ピン22の第1端部22A寄りに配置されている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
図7に示すように、摩擦付与部60は、第1ブラケット21Aの内部に設けられている。摩擦付与部60は、連結ピン22に貫通され、ボディ30と第1ブラケット21Aとの相対回転に対して連結ピン22の周囲に位置するボディ30の軸方向の接触面において滑り摩擦を発生させる。摩擦付与部60が連結ピン22の回転を抑制する回転抑制部として機能する。摩擦付与部60は、ボディ30に押し付けられることで摩擦力を発生させる押付部材である摩擦リング61を備える。摩擦リング61は、連結ピン22が貫通している。摩擦付与部60は、摩擦リング61を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材としてばね62を備える。ばね62は、3個の皿ばねである。なお、皿ばねの枚数は、必要な付勢力によって1個、2個、4個以上でもよい。ばね62は、連結ピン22が貫通している。
【0064】
連結ピン22の第1端部22Aの径は、第1端部22Aと反対に位置する第2端部22Bの径よりも短い。よって、連結ピン22は、ボディ30の第2ブラケット21B寄りからボディ30に挿入される。連結ピン22は、第1ブラケット21Aに挿入され、第1ブラケット21Aとリング25を挟んでボルト26によって固定される。ボディ30の第1ブラケット21Aと接触する部分には、第1ブッシュ23が取り付けられている。連結ピン22の第2端部22Bは、第2ブラケット21Bに圧入されている。ボディ30の第2ブラケット21B及び摩擦リング61と接触する部分には、第2ブッシュ24が取り付けられている。なお、第1ブッシュ23が接触部材に相当する。
【0065】
摩擦付与部60のばね62がボディ30を付勢することで、第1ブラケット21Aがボディ30の基部31から離間する方向へ付勢される。このため、第1ブラケット21Aとともに連結ピン22が第1ブラケット21A寄りに引っ張られ、連結ピン22の第2端部22Bに固定される第2ブラケット21Bがボディ30の基部31寄りに押し付けられる。よって、摩擦付与部60がボディ30の第1ブラケット21Aとの接触面に摩擦力を発生させるとともに、第2ブラケット21Bとボディ30との接触面にも摩擦力を発生させることができる。そして、ボディ30がブラケット21に対して回転しようとすると、摩擦リング61と第1ブッシュ23との間にすべり摩擦が発生することで回転が抑制される。
【0066】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(3)に相当する効果に加え、以下の効果を奏する。
(6)摩耗した場合には第1ブッシュ23を交換することで所望の摩擦力を得ることができるので、ボディ30、ブラケット21、連結ピン22を交換するよりもメンテナンスが容易である。
【0067】
(7)連結ピン22の第1端部22Aを第2端部22Bよりも縮径することで軽量化することができ、この第1端部22Aの外周にばね62を嵌めることで、第2端部22Bにばね62を設けるよりもばね62の径を小さくすることができ、摩擦付与部60を小型化することができる。
【0068】
(第3実施形態)
以下、
図8を参照して、ブレーキキャリパ装置の第3実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置の摩擦付与部60は、ボディ30と連結ピンとの間に配置されている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
図8に示すように、ボディ30と第1ブラケット21Aとの間には、第1連結ピン222Aが設けられている。ボディ30と第2ブラケット21Bとの間には、第2連結ピン222Bが設けられている。連結ピン222は、第1連結ピン222Aと第2連結ピン222Bとを備える。ブレーキキャリパ装置20は、ボディ30と第2連結ピン222Bとの相対回転に対して第2連結ピン222Bの軸方向の接触面において滑り摩擦を発生させる摩擦付与部60を備える。摩擦付与部60は、ボディ30の内部に設けられている。摩擦付与部60は、第2連結ピン222Bの軸方向の軸上の接触面において滑り摩擦を発生させる。摩擦付与部60が第2連結ピン222Bの回転を抑制する回転抑制部として機能する。摩擦付与部60は、第2連結ピン222Bに押し付けられることで摩擦力を発生させる押付部材である摩擦リング61を備える。摩擦付与部60は、摩擦リング61を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材としてばね62を備える。ばね62は、3個の皿ばねである。なお、皿ばねの枚数は、必要な付勢力によって1個、2個、4個以上でもよい。
【0070】
第1連結ピン222Aは、第1ブラケット21Aに挿入され、第1ブラケット21Aとボルト26によって固定される。第2連結ピン222Bは、第2ブラケット21Bに挿入され、第2ブラケット21Bとリング25とを挟んでボルト26によって固定される。ボディ30の第1ブラケット21Aと接触する部分には、第1ブッシュ23が取り付けられている。ボディ30の第2ブラケット21Bと接触する部分には、第2ブッシュ24が取り付けられている。
【0071】
摩擦付与部60のばね62が摩擦リング61を付勢することで、摩擦リング61が第2連結ピン222Bに押し付けられている。このため、第2連結ピン222Bとの間で滑り摩擦を発生させることができる。よって、ボディ30が第2ブラケット21Bに対して回転しようとすると、摩擦リング61と第2連結ピン222Bとの間にすべり摩擦が発生することで回転が抑制される。
【0072】
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(3)に相当する効果に加え、以下の効果を奏する。
(8)ボディ30と第2ブラケット21Bとの相対回転に対して生じる摩擦力により、ボディ30が第2ブラケット21Bに対して相対回転し難くなるため、ブレーキ非作動時におけるブレーキパッド12とディスク11との不要な接触を抑制することができる。また、連結ピン222の軸方向の接触面において発生する滑り摩擦により回転が抑制されるため、連結ピン222の軸方向の接触面の一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0073】
(第4実施形態)
以下、
図9を参照して、ブレーキキャリパ装置の第4実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置の摩擦付与部60は、ボディ30と第1連結ピン222Aとの間に配置されている点が上記第3実施形態と異なっている。以下、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
図9に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、ボディ30と第1連結ピン222Aとの相対回転に対して第1連結ピン222Aの軸方向の接触面において滑り摩擦を発生させる摩擦付与部60を備える。摩擦付与部60は、ボディ30の内部に設けられている。摩擦付与部60は、第1連結ピン222Aの軸方向の軸上の接触面において滑り摩擦を発生させる。摩擦付与部60が第1連結ピン222Aの回転を抑制する回転抑制部として機能する。摩擦付与部60は、第1連結ピン222Aに押し付けられることで摩擦力を発生させる押付部材である摩擦リング61を備える。摩擦付与部60は、摩擦リング61を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材としてばね62を備える。ばね62は、3個の皿ばねである。なお、皿ばねの枚数は、必要な付勢力によって1個、2個、4個以上でもよい。
【0075】
摩擦付与部60のばね62が摩擦リング61を付勢することで、摩擦リング61が第1連結ピン222Aに押し付けられている。このため、第1連結ピン222Aとの間で滑り摩擦を発生させることができる。よって、ボディ30が第1ブラケット21Aに対して回転しようとすると、摩擦リング61と第1連結ピン222Aとの間にすべり摩擦が発生することで回転が抑制される。
【0076】
次に、第4実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(3)に相当する効果に加え、以下の効果を奏する。
(9)ボディ30と第1ブラケット21Aとの相対回転に対して生じる摩擦力により、ボディ30が第1ブラケット21Aに対して相対回転し難くなるため、ブレーキ非作動時におけるブレーキパッド12とディスク11との不要な接触を抑制することができる。また、第1連結ピン222Aの軸方向の接触面において発生する滑り摩擦により回転が抑制されるため、連結ピン222の軸方向の接触面の一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0077】
(第5実施形態)
以下、
図10を参照して、ブレーキキャリパ装置の第5実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置の摩擦付与部60は、連結ピン22と第2ブラケット21Bとの間に配置されている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0078】
図10に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、連結ピン22と第2ブラケット21Bとの相対回転に対して連結ピン22の軸方向の接触面において滑り摩擦を発生させる摩擦付与部60を備える。摩擦付与部60は、第2ブラケット21Bの内部に設けられている。摩擦付与部60は、連結ピン22の軸方向の軸上の接触面において滑り摩擦を発生させる。摩擦付与部60が連結ピン22の回転を抑制する回転抑制部として機能する。摩擦付与部60は、連結ピン22に押し付けられることで摩擦力を発生させる押付部材である摩擦リング61を備える。摩擦付与部60は、摩擦リング61を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材としてばね62を備える。ばね62は、3個の皿ばねである。なお、皿ばねの枚数は、必要な付勢力によって1個、2個、4個以上でもよい。
【0079】
連結ピン22の第1端部22Aの径は、第1端部22Aと反対に位置する第2端部22Bの径よりも長い。よって、連結ピン22は、ボディ30の第1ブラケット21A寄りからボディ30に挿入される。連結ピン22の第1端部22Aは、第1ブラケット21Aに圧入されている。連結ピン22の第2端部22Bは、第2ブラケット21Bに圧入されている。つまり、第2ブラケット21Bの内部にばね62及び摩擦リング61を挿入したあと、連結ピン22の第2端部22Bが圧入されることで、摩擦付与部60が設置される。連結ピン22は、ボディ30に固定されている。よって、第2ブラケット21Bに対してボディ30が回転すると、連結ピン22の第2端部22Bと第2ブラケット21Bとの間で滑り摩擦が発生する。
【0080】
次に、第5実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(2),(3)に相当する効果に加え、以下の効果を奏する。
(10)連結ピン22と第2ブラケット21Bとの相対回転に対して生じる摩擦力により、連結ピン22が第2ブラケット21Bに対して相対回転し難くなるため、非制動時におけるブレーキパッド12とディスク11との不要な接触を抑制することができる。また、連結ピン22の軸方向の接触面において発生する滑り摩擦により回転が抑制されるため、連結ピン22の軸方向の接触面の一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0081】
(第6実施形態)
以下、
図11を参照して、ブレーキキャリパ装置の第6実施形態について説明する。この実施形態のブレーキキャリパ装置の摩擦付与部60は、連結ピン22と第1ブラケット21Aとの間に配置されている点が上記第5実施形態と異なっている。以下、第5実施形態との相違点を中心に説明する。
【0082】
図10に示すように、ブレーキキャリパ装置20は、連結ピン22と第1ブラケット21Aとの相対回転に対して連結ピン22の軸方向の接触面において滑り摩擦を発生させる摩擦付与部60を備える。摩擦付与部60は、第1ブラケット21Aの内部に設けられている。摩擦付与部60は、連結ピン22の軸方向の軸上の接触面において滑り摩擦を発生させる。摩擦付与部60が連結ピン22の回転を抑制する回転抑制部として機能する。摩擦付与部60は、連結ピン22に押し付けられることで摩擦力を発生させる押付部材である摩擦リング61を備える。摩擦付与部60は、摩擦リング61を付勢することで摩擦力を発生させる付勢部材としてばね62を備える。ばね62は、3個の皿ばねである。なお、皿ばねの枚数は、必要な付勢力によって1個、2個、4個以上でもよい。
【0083】
連結ピン22の第1端部22Aの径は、第1端部22Aと反対に位置する第2端部22Bの径よりも長い。よって、連結ピン22は、ボディ30の第1ブラケット21A寄りからボディ30に挿入される。連結ピン22の第1端部22Aは、第1ブラケット21Aに圧入されている。連結ピン22の第2端部22Bは、第2ブラケット21Bに圧入されている。つまり、第1ブラケット21Aの内部にばね62及び摩擦リング61を挿入したあと、連結ピン22の第1端部22Aが圧入されることで、摩擦付与部60が設置される。連結ピン22は、ボディ30に固定されている。よって、第1ブラケット21Aに対してボディ30が回転すると、連結ピン22の第1端部22Aと第1ブラケット21Aとの間で滑り摩擦が発生する。
【0084】
次に、第6実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(2),(3)に相当する効果に加え、以下の効果を奏する。
(11)連結ピン22と第1ブラケット21Aとの相対回転に対して生じる摩擦力により、連結ピン22が第1ブラケット21Aに対して相対回転し難くなるため、非制動時におけるブレーキパッド12とディスク11との不要な接触を抑制することができる。また、連結ピン22の軸方向の接触面において発生する滑り摩擦により回転が抑制されるため、連結ピン22の軸方向の接触面の一部のみで摩擦を付与するよりも安定して摩擦を付与することができる。
【0085】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0086】
・上記第1,2,5,6実施形態では、連結ピン22の第1端部22Aの直径と第2端部22Bの直径とを異ならせたが、連結ピン22の第1端部22Aの直径と第2端部22Bの直径とを同じにしてもよい。
【0087】
・上記第1~4実施形態では、ボルト26によって連結ピン22,222をブラケット21に固定したが、連結ピン22,222をブラケット21に固定することができれば、ボルト26を省略してもよい。
【0088】
・上記各実施形態では、第1ブッシュ23を備えたが、第1ブッシュ23を省略してもよい。
・上記各実施形態では、第2ブッシュ24を備えたが、第2ブッシュ24を省略してもよい。
【0089】
・上記各実施形態において、付勢部材であるばね62は皿ばねであったが、押付部材である摩擦リング61を押す力を付与することができるものであれば、皿ばね以外であってもよい。例えば、付勢部材は、コイルばね等の他の種類のばね、Oリング等の弾性部材であってもよい。また、付勢部材を第1永久磁石と、押付部材に取り付けられて第1永久磁石と対向する部分の磁極が第1永久磁石の磁極と同じとなる第2永久磁石とにより構成されてもよい。この場合、第1永久磁石と第2永久磁石との間に発生する斥力により押付部材が押される。
【0090】
・上記各実施形態において、付勢部材を省略してもよい。
・上記各実施形態において、アクチュエータとしてシリンダ装置15を採用したが、アクチュエータはモータ装置等の他の装置を採用してもよい。
【0091】
・上記実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0092】
10 台車
11 ディスク
12 ブレーキパッド
15 シリンダ装置
20 ブレーキキャリパ装置
21 ブラケット
21A 第1ブラケット
21B 第2ブラケット
22 連結ピン
22A 第1端部
22B 第2端部
23 第1ブッシュ
24 第2ブッシュ
25 リング
26 ボルト
30 ボディ
31 基部
32 第1支持部
33 第2支持部
33A 開口
35 左側回転ピン
35A 操作レバー
35B ローラ
36 右側回転ピン
40 左キャリパレバー
42 パッド取付部材
43 パッド回転ピン
44 回転軸
45 ボルト
46 左レバー連結ピン
47 左上レバー
48 左下レバー
50 右キャリパレバー
52 パッド取付部材
53 パッド回転ピン
54 回転軸
55 ボルト
56 右レバー連結ピン
57 右上レバー
58 右下レバー
60 摩擦付与部
61 押付部材としての摩擦リング
62 付勢部材としてのばね
70 常用ブレーキシリンダ
80 駐車ブレーキシリンダ
90 隙間出力部
91 牽引部
96 ワイヤー
97 アウターチューブ
100 隙間調整装置
101 隙間調整器
121 第1ケース
122 第2ケース
123 多角形ロッド
123A 空間
123B 六角部
124 ねじ軸
124A 空間
124B 雄ねじ
124C 六角部
125 調整ナット
125A 雌ねじ
126 振動対策ばね
127 当接クラッチ
128 カバー
130 ワイヤー取付部
131 ワンウェイクラッチ
132 ばね
222 連結ピン
222A 第1連結ピン
222B 第2連結ピン