(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】神経調節システムのための制御された灌注及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2020560875
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 US2019013999
(87)【国際公開番号】W WO2019147470
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507029764
【氏名又は名称】メドトロニック アーディアン ルクセンブルク ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,ポール
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-525933(JP,A)
【文献】特開2014-166236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0245577(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 ― 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に(intravascularly)、ヒトの患者の腎血管内の加療部位に配置されるよう構成された、遠位部分を有する細長いシャフト、
前記シャフトの前記遠位部分に沿って、間隔を置いて配置された複数の電極であって、神経調節(neuromodulation)エネルギーを前記加療部位の、又は前記加療部位に隣接する標的神経に送達するよう構成される電極、及び
前記電極に近接する灌注出口(irrigation outlet)
を具備するカテーテルと、
神経調節要素に通信可能に結合されるよう構成されたコントローラであって、さらに、前記電極及び前記加療部位の、又は前記加療部位に隣接する組織のうちの、少なくとも一方のパラメータを監視するよう構成されるコントローラと
を備える神経調節システムであって、
前記灌注出口は、前記監視されるパラメータに対応する前記コントローラからの命令に少なくとも部分的に基づいて、灌注液を第1の方向に向けるよう構成され、
前記コントローラはさらに、
前記パラメータを所定のパラメータプロファイルの範囲と比較し、
前記パラメータが前記範囲内に入る場合、前記電極を通して前記標的神経に神経調節エネルギーを送達するように構成されるエネルギー発生器に、制御アルゴリズムにしたがった電力レベルで神経調節エネルギーを送達させ、
前記パラメータが前記範囲内に入る場合、前記エネルギー発生器に、制御アルゴリズムにしたがった温度及び流量で灌注液を送達させ、且つ
前記パラメータが前記範囲外にある場合、前記制御アルゴリズムを修正し、前記エネルギーならびに、前記灌注液が送達される温度および流量を調整する
よう構成される、神経調節システム。
【請求項2】
前記第1の方向は、前記腎血管の長手方向軸と平行である、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項3】
前記患者の体外にあり、前記複数の電極及び前記コントローラと電気的に結合されたエネルギー発生器と、
前記灌注出口及び前記コントローラと動作可能に結合された灌注ポンプと
をさらに備え、前記コントローラはさらに、前記エネルギー発生器に前記電極を通して神経調節エネルギーを送達させ、前記灌注ポンプに前記灌注出口を通して灌注液を送達させるよう構成される、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項4】
前記パラメータは、前記電極のうちの1つの温度であり、前記コントローラは、前記電極の前記温度が前記範囲外にある場合、前記電力レベルを低下させるよう構成される、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項5】
前記パラメータは、前記電極のうちの1つの温度であり、前記コントローラは、前記電極の前記温度が前記範囲外にある場合、前記電力レベルを一定のまま保持するか、又は前記電力レベルを低下させるよう構成される、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項6】
前記パラメータは、前記電極のうちの1つの温度であり、前記コントローラは、前記電極の前記温度が前記範囲外にある場合、前記灌注液が送達される前記流量を増加させ、かつ前記灌注液が送達される前記温度を低下させるよう構成される、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項7】
血管内に、ヒトの患者の血管内の加療部位に配置されるサイズに作られ、成形された、遠位部分を有する細長いシャフト、
無線周波数(RF)エネルギーを前記加療部位の、又は前記加療部位に隣接する標的神経に送達するよう構成された電極であって、制御アルゴリズムにしたがって前記RFエネルギーを送達するよう構成される電極、及び
前記制御アルゴリズムにしたがって灌注液を放出するよう配置された複数の灌注出口
を具備する神経調節カテーテルと、
前記複数の灌注出口に連結された灌注ポンプであって、前記複数の灌注出口を通して前記灌注液を前記加療部位に送達するよう構成された灌注ポンプと、
前記患者の体外にあり、前記電極及び前記灌注ポンプに結合されたエネルギー発生器であって、前記RFエネルギーを、前記電極を通して前記標的神経に送達するよう構成されるエネルギー発生器と、
前記電極、前記エネルギー発生器、及び前記灌注ポンプに通信可能に結合されたコントローラであって、さらに、前記電極及び前記加療部位の、又は前記加療部位に隣接する組織のうちの、少なくとも一方のパラメータを監視するよう構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラが、前記エネルギー発生器により神経調節エネルギーを送達する電力レベルを増加させる間に、前記コントローラはさらに、前記灌注ポンプが前記灌注液を送達する(i)流量を維持若しくは増加させ、且つ(ii)温度を維持するか若しくは低下させるよう構成され
、
前記コントローラは、前記灌注ポンプによって送達される前記灌注液が最大流量及び/又は最低温度に達したときに、前記エネルギー発生器が神経調節エネルギーを送達する電力レベルを、前記エネルギー発生器が増加させるのを止めるよう構成されるシステム。
【請求項8】
前記複数の灌注出口の第1のサブセットは、前記電極の近位に配置され、灌注出口の前記第1のサブセットはそれぞれ、灌注液を第1の方向に向けるように方向を合わせられる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電極は、第1の電極であり、前記システムは、前記第1の電極から間隔を置いて配置された、前記細長いシャフト上の第2の電極をさらに備え、前記第2の電極は、前記第1の電極と前記細長いシャフトの遠位端との間に配置され、前記第1のサブセットは、前記灌注液が前記第2の電極を冷却するように、前記灌注液を放出するよう構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の灌注出口が、前記細長いシャフト上の、前記電極と前記細長いシャフトの近位部分との間に配置される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の灌注出口はそれぞれ、前記細長いシャフトから径方向外側へ灌注液を向けるように方向を合わせられる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記神経調節カテーテルは、灌注リングをさらに備え、前記複数の灌注出口が前記灌注リング上に配置される、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記パラメータは、前記電極の温度であり、前記コントローラはさらに、前記電極の前記温度を所定の温度プロファイルの範囲内に維持しながら、前記エネルギー発生器が神経調節エネルギーを送達する電力レベルを増加させるよう構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記灌注液の前記流量を増加させた場合にのみ、且つ/又は前記灌注液の前記温度を低下させた場合にのみ、前記電力レベルを増加させるよう構成される、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年4月20日に出願された米国特許出願第15/959,043号、及び2018年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/621,359号の利益を主張し、両出願の全体が本明細書に参照として組み入れられている。
【0002】
[0002]本技術は、灌注神経調節システム及び関連する方法に関する。詳細には、本技術の様々な実施形態は、制御された灌注能力を有する神経調節カテーテルシステム、及びかかるシステムを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]交感神経系(SNS:sympathetic nervous system)は、主に、通常ストレス反応に関連する不随意の身体制御システムである。SNSの線維は、人体のほぼすべての器官系の組織を通って延在し、瞳孔径、腸の運動性、尿量などの特性に影響を与え得る。かかる調節は、恒常性を維持すること、又は身体に環境要因への迅速な反応の準備をさせることにおいて、適応的な有用性を有し得る。しかし、SNSの慢性的な過剰活性化は、多くの疾患状態の進行を促進し得る、よく見られる不適応な応答である。特に、腎SNSの過剰活性化は、不整脈、高血圧、容量過負荷の状態(たとえば心不全)、及び進行性腎疾患の複雑な病態生理の可能性が高い要因として、実験及びヒトで確認されている。
【0004】
[0004]腎臓の交感神経は、構造体の中でもとりわけ、腎血管、傍糸球体装置、及び腎尿細管で終わる。腎交感神経の刺激作用は、たとえばレニン放出の増加、ナトリウム再吸収の増加、及び腎血流の減少を引き起こす可能性がある。こうした腎機能の神経調節構成要素及び他の神経調節構成要素は、交感神経緊張が高まることを特徴とする疾患状態において、かなり刺激される。たとえば、腎交感神経遠心性刺激作用の結果としての腎血流及び糸球体濾過率の低下は、心腎症候群における、腎機能喪失(すなわち、慢性心不全の進行性合併症としての腎機能不全)の基となる可能性が高い。腎交感神経刺激作用の結果を阻止するための薬理学的戦略は、中枢作用性交感神経遮断薬、ベータブロッカ(たとえば、レニン放出を減少させるため)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、及び受容体ブロッカ(たとえば、レニン放出に起因するアンジオテンシンII及びアルドステロン活性化の働きを妨げるため)、及び利尿薬(たとえば、腎交感神経性媒介ナトリウム(renal sympathetic mediated sodium)貯留及び水分貯留に対抗するため)を含む。ただし、こうした薬理学的戦略には、有効性の限界、服薬遵守の問題、副作用などを含む、かなりの制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明の一実施例は、例えば、神経調節システムのための制御された灌注及び関連する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の一実施例は、例えば、神経調節システムのための制御された灌注及び関連する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0005]本技術の実施形態にしたがって構成される、灌注加療デバイスを備える腎神経調節システムを示す、部分的な概略斜視図である。
【
図2A】[0006]本技術の実施形態にしたがって構成される、ガイドワイヤの遠位部分がヒトの患者の血管内に配置された、神経調節カテーテルの部分的な概略側面図である。
【
図2B】[0007]ヒトの患者の血管内で第1の状態にある灌注加療組立体を備える、
図2Aに示される神経調節カテーテルの部分的な概略側面図である。
【
図2C】ヒトの患者の血管内で第2の状態にある灌注加療組立体を備える、
図2Aに示される神経調節カテーテルの部分的な概略側面図である。
【
図2D】[0008]ヒトの患者の血管の長手方向軸を近位方向に見通した状態の、
図2Cに示される第2の状態にある灌注加療組立体の正面図である。
【
図3】[0009]本技術の実施形態にしたがって構成される、ヒトの患者の血管内で展開された状態にある灌注加療組立体を備える、神経調節カテーテルの部分的な概略側面図である。
【
図4】[0010]本技術の実施形態にしたがって構成される、ヒトの患者の血管内で展開された状態にある灌注加療組立体を備える、神経調節カテーテルの部分的な概略側面図である。
【
図5】[0011]本技術の実施形態にしたがって構成される、神経調節システムと組み合わせて使用され得るエネルギー送達アルゴリズムを示すグラフである。
【
図6】[0012]本技術の実施形態にしたがって構成される、神経調節システムを使用して患者に加療するプロセス又は方法の流れ図である。
【
図7】[0013]本技術の実施形態による、
図1のシステムを用いた腎神経の調節及び/又は神経調節治療の評価を示す図である。
【
図8】[0014]交感神経系(SNS)、及び脳がSNSを介して身体と情報伝達するやり方の概念図である。
【
図9】[0015]左腎動脈を囲む腎神経叢を形成する、左腎臓を神経支配する神経の拡大解剖図である。
【
図10】[0016]脳と腎臓との間の神経の遠心性及び求心性伝達を示す、人体の解剖図である。
【
図11】脳と腎臓との間の神経の遠心性及び求心性伝達を示す、人体の概念図である。
【
図12】[0017]ヒトの動脈の脈管構造の解剖図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0018]以下の開示では、制御された灌注能力を有する神経調節カテーテルシステム、及びかかるシステムを使用する方法を説明する。より具体的には、本技術の実施形態にしたがって構成された神経調節システムは、灌注加療組立体を備える神経調節カテーテルを利用する。開示される神経調節システムは、調整された神経調節エネルギー及び灌注液を、患者の血管(たとえば、腎血管)内の加療部位で、灌注加療組立体に送達するよう構成される。開示されるシステムは、たとえば、加療部位における患者の組織特性、加療組立体構成要素の特性、灌注液の特性、エネルギーが現在印加されている電力、及び他の関連するパラメータに基づいて、加療全体を通してのエネルギー送達及び灌注の1つ又は複数のパラメータを調整/修正するよう構成される。
【0009】
[0019]従来の神経調節システム及び方法を使用して、エネルギーが組織に送達される電力を増加させることにより、患者の体内の標的部位における損傷の深さは増大し得る。しかし、かかるエネルギーを送達するために使用される1つの電極(又は複数の電極)の温度もまた、電力が増加するにつれて上昇する。場合によっては、電極の温度が上昇すると、血液の凝固及び血管組織の焦げを引き起こす可能性がある。さらにこの組織のダメージが、下流側の梗塞又は他の望ましくない組織のダメージを含む、他の有害効果を引き起こす可能性がある。このため、いくつかの従来システムは、加療部位に冷却を与え、非灌注カテーテルで経験される有害効果のいくつかを回避するために、灌注を組み込んでいる。それにもかかわらず、灌注焼灼システムは、望ましくない、非灌注カテーテルより大きな損傷を作り出すことが示されており、腎動脈狭窄症、動脈アクセス部位の問題、及び/又はeGFRの大幅な低下を含む、こうした灌注カテーテル使用後の組織のダメージに関連するいくつかの有害効果が文書化されてきた。
【0010】
[0020]従来の灌注カテーテルの使用に関連する有害効果が継続して存在する、いくつかの理由がある。たとえば、こうした従来システムの灌注液は、通常は、制御されないやり方で供給され、流量及び送達タイミングの制御が制限され、注入液の温度の制御が制限される。こうした実施が、加療中に神経調節システムによって取得される温度測定値を歪める可能性がある。具体的には灌注液が、こうした従来システムに、電極温度を、灌注液の温度(たとえば、室温)と患者の体温との間のいずれかで報告させることがあり、電極温度は、加療の過程で(特に電力が増加するにつれて)ますます不正確になる。したがって、多くの状況では、灌注液の使用後にシステムの発生器に送り返されるどんな電極温度情報も、焼灼の進捗状況の測定には信頼性をもって使用され得ない。結果として、こうした従来の灌注システムでは、生成された損傷のサイズ及び加療された組織の状態の観察は、不正確である。この問題は、特定の解剖学的構造体(たとえば、心臓組織)を焼灼する際にはさほど問題ではないが、この制御の欠如は、電気に脆弱な構造体、薄壁の構造体、又は他の動脈構造体の近くで焼灼する場合、特に課題がある。たとえば、腎臓の解剖学的構造は、通常、解剖学的構造体の局所的不均一性において、心臓組織よりより複雑である。したがって、腎除神経を実行するときには、従来の灌注システムで提供され得る制御及びケアよりも高度な制御及びケアが必要である。
【0011】
[0021]従来システム及び技法とは対照的に、本技術の実施形態による神経調節システム及び方法は、調整された神経調節エネルギー及び灌注液を加療部位に送達するよう構成される。いくつかの実施形態では、こうしたシステム及び方法は、加療部位の組織及び/又は神経調節要素の特性(たとえば、温度、インピーダンスなど)を、能動的に監視するよう構成される。該システム及び方法は、この診断情報を使用して、加療の進捗状況を監視し、且つ/又は(i)神経調節処置の制御アルゴリズムに照らして加療部位に印加される神経調節エネルギーの特性(たとえば、種類、電力レベル、持続時間、周波数など)、及び/若しくは(ii)加療部位に送達される灌注液の特性(たとえば、容量、温度、種類、持続時間、速度など)を調節できる。したがって、本技術にしたがって構成されたシステムは、神経調節処置中に損傷の特性のより高度な制御を実現させ、特に血流障害及び/又は低血流のある血管において、神経調節処置が成功する可能性を高めることが期待される。たとえば、本技術の実施形態によるシステム及び方法は、従来システム及び方法の使用後に患者の体内で認められる有害効果なしに、より大きな損傷の深さを実現させることが期待される。
【0012】
[0022]本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細は、
図1A~
図13を参照して本明細書で説明される。実施形態の多くは、血管内腎神経調節用デバイス、システム、及び方法に関して説明されているが、本明細書で説明されているものに加えて、他の用途及び他の実施形態が本技術の範囲に入る。たとえば、本技術の少なくともいくつかの実施形態は、管腔内神経調節、血管外神経調節、非腎臓神経調節、及び/又は神経調節以外の治療での使用に有用であり得る。本明細書に開示されているものに加えて、他の実施形態も本技術の範囲に入ることに留意されたい。さらに、本技術の実施形態は、本明細書で図示された又は説明されたものとは異なる構成、構成要素、及び/又は処置を含んでもよい。さらに、本技術から逸脱することなく、本技術の実施形態が、本明細書で図示された又は説明されたものに追加して構成、構成要素、及び/又は処置を含んでもよいこと、そしてこうした実施形態及び他の実施形態が、本明細書で図示された又は説明された構成、構成要素、及び/又は処置のいくつかがなくてもよいことを、当業者は理解されよう。
【0013】
[0023]本明細書で使用される場合、用語「distal」及び「proximal」は、臨床医又は臨床医の制御デバイス(たとえば、神経調節カテーテルのハンドル)に対する場所又は方向を定義する。用語「distal」及び「distally」は、デバイスの長さに沿って、臨床医又は臨床医の制御デバイスから離れた場所、又は臨床医又は臨床医の制御デバイスから離れる方向を指す。用語「proximal」及び「proximally」は、デバイスの長さに沿って、臨床医又は臨床医の制御デバイスの近傍の場所、又は臨床医又は臨床医の制御デバイスに向かう方向を指す。本明細書で提供される見出しは、便宜上のものに過ぎず、開示された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
A. 神経調節カテーテル及びシステムの選択された実施形態
[0024]
図1は、本技術の実施形態にしたがって構成される神経調節システム100を示す、部分的な概略図である。システム100は、コネクタ101(たとえば、ケーブル)を介してコンソール102に動作可能に結合された加療デバイス110(たとえば、灌注カテーテル)を備え得る。システム100はさらに、コンソール102と一体化された灌注ポンプ104を備え、治療中の、神経調節エネルギー及び灌注液の同時且つ/又は調整された送達を容易にする。
図1に示されるように、加療デバイス110は、近位部分114、近位部分114の近位領域にあるハンドル組立体111、及び近位部分114に対して遠位に延出する遠位部分116を具備する、細長いシャフト112を備え得る。細長いシャフト112は、遠位部分116を血管内(たとえば、腎動脈内)又は別の好適な体腔内(たとえば、尿管内)の加療位置に配置するよう構成され得る。加療デバイス110は、細長いシャフト112の遠位部分116によって担持されるか又は遠位部分116に固定された、加療組立体120をさらに備え得る。加療組立体120は、体腔の壁に少なくとも近接して位置する神経に治療エネルギー又は化合物を送達するよう構成された、1つ又は複数の神経調節要素126(
図1に模式的に示される)を備え得る。いくつかの実施形態では、ハンドル111は、ガイドワイヤ(図示せず)及びアクチュエータ113の遠隔作動によって、加療組立体120を送達状態と展開状態との間で切り替える、アクチュエータ113を備え得る。
【0014】
[0025]コンソール102は、加療デバイス110の動作を制御、監視、提供、又はさもなければ補助するよう構成され得る。たとえば、コンソール102は、神経調節要素126に動作可能に接続され、神経調節要素126を介して加療部位に送達し、神経を変化させるか、ダメージを与えるか、又は破壊するための、治療用の神経調節エネルギー(たとえば、無線周波数(「RF:radiofrequency」)エネルギー、パルス式エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、直接熱エネルギー、又は別の好適な種類のエネルギー)の選択された形態及び大きさを生成するよう構成される、エネルギー発生器を備え得る。
【0015】
[0026]いくつかの実施形態では、コンソール102は、灌注液(たとえば、生理食塩水、蒸留水など)を貯留及び/又は、(コネクタ101及び/又は細長いシャフト112を介して)加療組立体120に送出するよう構成され得る。前述のように、たとえば、コンソール102は、コンソール102から加療デバイス110の加療組立体120に灌注液を移送するための灌注ポンプ104を備える。他の実施形態では、システム100は、神経調節コンソール(図示せず)と、灌注ポンプ104及び/又は灌注液を貯留する貯留容器(図示せず)を具備する、別個の灌注コンソール(図示せず)とを備え得る。こうした実施形態では、神経調節コンソールは、灌注コンソールと通信可能に結合され得る。以下でより詳細に説明されるように、システム100は、神経調節エネルギー及び灌注液の加療組立体120への、同時且つ/又は調整された送達を容易にし得る。組織のダメージ及び/又は関連する有害効果の可能性を低減するために、灌注液は、(i)加療部位の組織、及び/又は(ii)加療組立体120の構成要素を冷却するために使用され得る。
【0016】
[0027]コンソール102は、コネクタ101(たとえば、ケーブル)を介して加療デバイス110に電気的に結合され得る。1本又は複数本の供給ワイヤ(図示せず)は、細長いシャフト112に沿って、又は細長いシャフト112の内腔を通って神経調節要素126まで進み、神経調節エネルギーを神経調節要素126に送出できる。加えて、1本又は複数本の液体供給管腔(図示せず)は、細長いシャフト112に沿って、又は細長いシャフト112の内腔を通って、加療組立体120まで進み得る。液体供給管腔は、灌注液を、加療組立体120内の1つ又は複数の灌注出口(図示せず)に送出できる。
【0017】
[0028]コンソール102はまた、自動制御アルゴリズム150にしたがって、且つ/又は臨床医の制御の下で、神経調節エネルギー及び/又は灌注液を加療組立体120に送達するよう構成され得る。制御アルゴリズム150は、システム100のプロセッサ(図示せず)上で実行され得る。加療組立体120及び/又は加療デバイス110の1つ又は複数のセンサ(たとえば、圧力、温度、インピーダンス、流量、化学、超音波、電磁気など)は、加療部位での患者の組織に関する、且つ/又は加療組立体120の構成要素に関する、診断情報/測定値を生成できる。診断情報は、制御アルゴリズム150のためのフィードバックとして使用され得、システム100が、(たとえば、診断情報の、所定のパラメータプロファイルの範囲との比較に基づいて)制御アルゴリズム150を調整することを可能にし得る。具体的には、システム100は、神経調節要素126に送達される神経調節エネルギーの特性(たとえば、種類、電力レベル、持続時間、周波数など)、及び/又は加療組立体120に送達される灌注液の特性(たとえば、容量、温度、種類、速度、持続時間など)を調整できる。診断情報はまた、コンソール102及び/又はシステム100と結合されたインジケータ105(たとえば、ディスプレイ、ユーザインタフェース、1つ又は複数のLEDなど)などを使って、臨床医にフィードバックを提供できる。たとえば、コンソール102は、ユーザ入力を受信し、且つ/又は診断情報をユーザに提供できる、ユーザインタフェースを有し得る。診断情報からのフィードバックは、臨床医が、加療中及び/又はその直後に(たとえば、患者が依然としてカテーテル挿入されている間に)、印加されたエネルギーの有効性を判断することを可能にし得る。同様に、臨床医は、患者が依然としてカテーテル挿入されている間に、診断情報からのフィードバックに基づいて(たとえば、組織のダメージを回避するために)、加療を繰り返す、一時停止する、且つ/又は終了することを判断できる。したがって、このフィードバックは、臨床医が、現在の加療又はその後の加療の成功の可能性を高め、且つ/又は加療の有害効果を回避することを補助するのに有用であり得る。好適な制御アルゴリズム150に関するさらなる詳細は、
図5を参照して以下で説明される。
【0018】
[0029]システム100は、たとえば、メモリ(図示せず)、記憶デバイス(たとえば、ディスクドライブ)、1つ又は複数の出力デバイス(たとえば、ディスプレイ)、1つ又は複数の入力デバイス(たとえば、キーボード、タッチスクリーンなど)、及び/又は処理回路(図示せず)を具備する、コントローラ106を備え得る。コントローラ106は、制御アルゴリズム150を実行、調節、及び/又は修正するよう構成され得る。たとえば、出力デバイスは、(たとえば、コネクタ101を介して)加療デバイス110と通信し、神経調節要素126への電力を制御し、且つ/又は加療組立体120への灌注液の供給を制御するよう構成され得る。いくつかの実施形態では、出力デバイスはさらに、神経調節要素126及び/又は任意の関連するセンサから、信号を取得するよう構成され得る。表示デバイスは、音声、視覚、又は他の表示など、電力レベル又はセンサデータの表示を提供するよう構成されてもよく、且つ/又は表示デバイスは、情報を別のデバイスに伝達するよう構成されてもよい。
【0019】
[0030]いくつかの実施形態では、コントローラ106は、
図1に示されるように、コンソール102の一部であり得る。追加的に又は別法として、コントローラ106は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルド若しくはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、プログラム可能な家電、デジタルカメラ、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、タブレット、及び/又は任意の好適なコンピューティング環境であり得る。メモリ及び記憶デバイスは、非一時的コンピュータ実行可能命令(たとえば、制御アルゴリズム150、フィードバックアルゴリズムなど)を有し、符号化され得る、コンピュータ可読記憶媒体である。加えて、通信リンク上の信号などの命令、データ構造体、及びメッセージ構造体は、記録されるか又はデータ伝送媒体を介して伝送されてもよく、暗号化されてもよい。インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、2地点間ダイヤルアップ接続、携帯電話ネットワーク、Bluetooth、RFID、及び他の好適な通信チャネルなど、様々な通信リンクが使用され得る。システム100は、1つ又は複数のコンピュータ又は他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールなど、コンピュータ実行可能命令の一般的な範疇で説明され得る。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実施する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造体などを含む。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で必要に応じて組み合わされるか、又は分散され得る。
【0020】
[0031]加療組立体120の神経調節要素126は、血管若しくは管腔の壁の組織内の、又は血管若しくは管腔の壁に少なくとも近接した組織内の、1つ又は複数の神経(たとえば、腎神経)を調節するよう構成され得る。以下でより詳細に説明されるように、神経調節要素126は、1つ又は複数のエネルギー送達要素(たとえば、
図2A~
図4の電極)及び/又は(たとえば、エネルギー送達要素及び/又は加療部位の組織を監視するための)1つ又は複数のセンサを備え得る。たとえば、いくつかの実施形態では、神経調節要素126は、加療デバイス110の遠位部分116に配置された単一のエネルギー送達要素を備え得る。他の実施形態では、神経調節要素126は、2つ以上のエネルギー送達要素を備え得る。エネルギー送達要素は、シャフト112の長さの一部分に沿って互いに間隔をあけて配置された、別々のバンド電極であり得る。電極は、シャフト112の長さに沿った様々な場所で、支持構造体に接着接合され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー送達要素は、好適な導電性材料(たとえば、金、白金、白金とイリジウムとの合金などの金属)から形成され得る。エネルギー送達要素の数、配置構成、形状(たとえば、螺旋及び/若しくはコイル電極)、並びに/又は組成は、変わり得る。神経調節要素126の個々のエネルギー送達要素は、シャフト112の管腔を通って延出する導体又はバイファイラワイヤによって、ハンドル組立体111及び/又はコンソール102と電気的に接続され得る。
【0021】
[0032]複数のエネルギー送達要素を備える実施形態では、エネルギー送達要素は、同時に、選択的に、若しくは順次に独立して電力を送達してもよく(たとえば、単極式で使用され得る)、且つ/又は要素の任意の所望の組合せ間で電力を送達してもよい(たとえば、双極式で使用され得る)。さらに、臨床医は、任意選択で、血管(たとえば、腎動脈)又は他の体腔(たとえば、尿管)内に、必要に応じて、高度にカスタマイズされた損傷を形成するために、どのエネルギー送達要素が電力送達に使用されるかを選択することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、システム100は、神経調節要素126によって、単極電場の送達を可能にするよう構成され得る。かかる実施形態では、中性電極又は分散電極109がコンソール102に電気的に接続され、患者の外面に取り付けられ得る。
【0022】
[0033]
図2A~
図2Cは、本技術の実施形態にしたがって構成される神経調節カテーテル210(たとえば、
図1に示される加療デバイス110)の、部分的な概略側面図である。神経調節カテーテル210は、ヒトの患者の血管V(たとえば、腎動脈)内の加療部位に配置される際の、
図2A~
図2Cでの相異なる配置構成で示されている。神経調節カテーテル210は、ガイドワイヤ215(
図2Aでのみ見える)及びガイドワイヤ215上を血管V内の加療部位まで進み得る、灌注加療組立体220を備える。灌注加療組立体220は、血管Vの壁に近接した神経をたとえば焼灼するために、加療部位で神経調節治療を実行するよう構成される。以下でより詳細に論じられるように、灌注加療組立体220は、加療部位における血管Vの組織及び灌注加療組立体220の構成要素(たとえば、神経調節要素226)を監視するよう構成され得る。たとえば、灌注加療組立体220の1つ又は複数のセンサ(図示せず)は、組織の神経調節加療中に、診断情報、並びに組織及び/又は神経調節要素226の温度に関する測定値を収集するよう構成される。診断情報は、神経調節エネルギー送達特性及び/又は灌注加療組立体220への灌注液送達特性を調節するために、フィードバックとして使用され得る。
【0023】
[0034]ガイドワイヤ215は、血管V内の加療部位に配置されるよう構成された遠位部分218aと、患者の体外へ、ハンドル(たとえば、
図1に示されるハンドル111)又は操作者が(たとえば、
図1に示されるアクチュエータ113を使用して)所望の場所/向きに遠位部分218aを操作することを可能にする他の機構まで延出する近位部分(見えない)とを具備する、細長い部材218を備える。細長い部材218は、神経調節カテーテル210の管腔内に摺動可能に配置されるサイズに作られ得る。他の実施形態では、細長い部材218は、他の好適な構成要素(たとえば、センサ)及び/又は構造を備える。さらに、細長い部材218は、細長い部材の長さに沿って剛性が均一であってもよく、又は細長い部材の長さに沿って剛性が一様でなくてもよい。
【0024】
[0035]
図2Bに最も適切に示されるように、神経調節カテーテル210の細長いシャフト112は、ガイドワイヤ215上を摺動可能に送達されるよう構成される。細長いシャフト112は、血管内に、血管V内の加療部位に配置されるよう構成された遠位部分116と、患者の体外へ、操作者が(たとえば、
図1に示されるアクチュエータ113を使用して)細長いシャフト112の遠位部分116を操作することを可能にするハンドル(たとえば、
図1に示されるハンドル111)又は他の機構まで延出する近位部分114とを備える。
図2B及び
図2Cに示されるように、たとえば、神経調節カテーテル210の灌注加療組立体220は、細長いシャフト112の遠位部分116が少なくともほぼまっすぐな低背の送達配置構成である第1の状態又は配置構成(
図2B)と、遠位部分116が螺旋/弦巻き形状に変形されたか、又はさもなければ拡張された、第2の(たとえば、展開された、拡張された、など)状態又は配置構成(
図2C)との間で変形可能である。いくつかの実施形態では、加療組立体220は、第2の状態に対応する形状記憶を有することができ、ガイドワイヤ215(
図2A)は、ガイドワイヤ215が少なくとも部分的に取り除かれる(たとえば、引き抜かれる)まで、加療組立体220を第1の状態に保持できる。細長いシャフト112の遠位部分116(たとえば、
図2Cに示される、第2の状態で螺旋/弦巻き形状を有する部分)の寸法(たとえば、外径及び長さ)は、遠位部分116がその中を送達されるよう設計されている血管又は他の体腔に適応するよう選択され得る。たとえば、第2の状態にあるとき、細長いシャフト112の遠位部分116の軸方向の長さは、患者の腎動脈(たとえば、典型的には7cm未満)より長くならないよう選択され、典型的な腎動脈の内径(たとえば、約2~10mm)に適応する直径を有し得る。他の実施形態では、細長いシャフト112の遠位部分116は、その内部で遠位部分116が展開されるよう構成される体腔に応じた、他の寸法を有し得る。他の実施形態では、細長いシャフト112の遠位部分116は、他の好適な形状(たとえば、半円形、湾曲、直線など)、サイズ、及び/又は構造を有し得る。他の好適なデバイス及び技法は、たとえば、米国特許第8,777,942号、米国特許第9,084,610号、米国特許第9,060,755号、米国特許第8,998,894号、2011年10月25日に出願されたPCT出願第PCT/US2011/057754号、及び米国特許第8,888,773号に説明されている。前述の出願はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。デバイス及びシステムの非限定的な例は、Symplicity Spyral(商標)多電極RF焼灼カテーテル及びArctic Front Advance(商標)心臓冷凍アブレーションシステムを含む。
【0025】
[0036]
図2B及び
図2Cを一緒に参照すると、灌注加療組立体220は、細長いシャフト112の遠位部分116に沿って間隔をあけて配置された4つの神経調節要素226を備える。しかし、他の実施形態では、灌注加療組立体220は、1つ、2つ、3つ、又は4つを超える神経調節要素226を備えてもよく、且つ/又は1つ又は複数の神経調節要素226を担持するよう構成された複数の支持部材を備えてもよい。図示された実施形態における各神経調節要素226は、電極224(それぞれ第1から第4の電極224a~224dとして個々に識別される)を備える。他の実施形態における神経調節要素226は、より多い、且つ/又はより少ない数の電極224を備え得る。いくつかの実施形態では、神経調節要素226は、加療部位の組織及び/又は加療組立体220の構成要素(たとえば、電極224a~224d)を監視するよう構成される、1つ又は複数のセンサを備え得る。
【0026】
[0037]電極224a~224dは、神経調節エネルギー(たとえば、RFエネルギー)を、加療部位の血管壁Vの組織に、又は少なくとも血管壁Vに近接した組織に送達し、灌注加療組立体220が
図2Cに示される第2の状態にあるとき、組織内の1つ又は複数の神経(たとえば、腎神経)を調節するよう構成される。この状態では、細長いシャフト112の遠位部分116は、血管Vに所望の外向き径方向の力を加え、1つ又は複数の電極224a~224dを血管壁に接触させるよう設計され得る。こうした実施形態及び他の実施形態では、灌注加療組立体220は、パルス式電気エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、超音波エネルギー(たとえば、血管内で送達される超音波及び/若しくは高密度焦点式超音波(HIFU:high-intensity focused ultrasound))、直接熱エネルギー、放射線(たとえば、赤外線、可視光線、及び/若しくはガンマ放射線)、並びに/又は神経を変化させるか、ダメージを与えるか、若しくは破壊する他の好適な種類のエネルギーなど、他の好適な神経調節様式を送達する電極、トランスデューサ、又は他の要素を備え得る。
【0027】
[0038]上記で説明されたように、加療組立体220及び/又は1つ若しくは複数の神経調節要素226は、加療部位並びに/又は加療組立体220の構成要素(たとえば、電極224a~224d及び/若しくは神経調節要素226)の温度などの組織の特性を監視するよう構成された、1つ又は複数のセンサ(図示せず)を備え得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサは、灌注加療組立体の神経調節要素226内(たとえば、電極224a~224d内及び/又は電極224a~224dの近位)に、直接組み込まれ得る。こうした実施形態及び他の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、神経調節カテーテル210の細長いシャフト112に沿った、且つ/又は灌注加療組立体220の神経調節要素226から離れた、様々な位置に配置され得る。1つ又は複数のセンサは、血管Vの組織、及び/又は灌注加療組立体220の神経調節要素226の構成要素に関する診断情報を、測定及び/又は生成するよう構成され得る。たとえば、1つ又は複数のセンサは、温度、圧力、時間、インピーダンス、電力、流速、容積流量、血圧、心拍数、戻りエネルギーのパラメータ、又は神経調節カテーテル210及び/若しくは患者の加療部位の組織の他のパラメータを、連続的且つ/又は定期的に測定できる。これらの測定を通じて、1つ又は複数のセンサは、以下でより詳細に説明されるように、システム100の1つ又は複数のコントローラ106に報告として戻され得る、診断情報を生成する。
【0028】
[0039]
図2B及び
図2Cに最も適切に示されるように、灌注加療組立体220は、細長いシャフト112の遠位部分216にある、1つ又は複数の灌注出口222を備え得る。灌注出口222は、細長いシャフト112に沿って(又は細長いシャフト112の管腔を通って)灌注ポンプ(たとえば、
図1に示される灌注ポンプ)及び/又は貯留容器(図示せず)まで延出する、1本又は複数本の液体供給管腔(図示せず)に連結され得る。上記で説明されたように、灌注液(たとえば、生理食塩水、蒸留水など)は、液体供給管腔を通って加療組立体220に送出され得、灌注出口222を通って加療部位へ放出され得る。このようにして、神経調節カテーテル210は、灌注加療組立体220の構成要素(たとえば、神経調節要素226)及び/又は(たとえば、神経調節加療中の)加療部位の組織を冷却できる。
【0029】
[0040]灌注出口222は、加療組立体220が第2の状態(
図2Cに示される)にあるとき、灌注出口222が所望の向きに配置されるように、細長いシャフト112の周囲の様々な箇所に配置構成され得る(
図2Bに最も適切に示される)。たとえば、灌注出口222は、(
図2C及び
図2Dに示されるように)血管Vの長手方向軸Lに沿って、又は概ね軸Lに沿って、灌注液を遠位方向へ向けるように配置構成され得る。他の実施形態では、灌注出口222は、加療組立体220が第2の状態にあるとき、1つ又は複数の相異なる方向に向くように(たとえば、
図2C及び
図2Dに示される方向と反対側の方向に向くように、血管壁に向くように、且つ/又は血管Vの中心の方へ向くように)向きを合わせられ得る。動作時に、システム100は、灌注出口222を通して、血管Vの壁の近位及び/又は電極224a~224dの近位に、灌注液を放出できる。したがって、灌注出口222から放出された灌注液は、(i)血管壁の組織、及び/又は(ii)灌注出口222の近くの加療組立体220の構成要素へ、冷却作用をもたらし得る。加えて、灌注出口222から放出された灌注液は、血管Vを通って流れる血液によって、血管壁に沿って運ばれ得る。したがって、灌注出口222から放出された灌注液はまた、(i)血管壁の組織、(ii)加療組立体220の構成要素、及び/又は(iii)灌注出口222の下流に配置される神経調節カテーテル210の構成要素にも、冷却作用をもたらし得る。
【0030】
[0041]
図2A~
図2Dに示される灌注出口222は、加療組立体220の電極224a~224dの近位に配置されているが、灌注出口222のうちの1つ又は複数は、他の位置、及び/又は本技術の他の実施形態における相異なる配置構成で配置され得る。たとえば、
図3及び
図4は、本技術の他の実施形態にしたがって構成される、神経調節カテーテル310及び410それぞれの、部分的な概略側面図である。
図3に示されるように、神経調節カテーテル310は、
図2A~
図2Dに示される灌注出口222の位置よりも、細長いシャフト112の近位部分114により近い方にある細長いシャフト112に沿った位置に、灌注出口322(たとえば、
図2A~
図2Dに示される灌注出口222)を有する、灌注加療組立体320を備える。灌注出口322は、細長いシャフト112の周囲に配置され、細長いシャフト112から径方向外側に灌注液を放出するよう構成される。追加的に又は別法として、灌注液が、灌注出口322から、灌注出口322から離れる所望の方向へ排出されるように、灌注出口322は成形されてもよく、且つ/又は灌注出口322に連結された液体供給管腔が、細長いシャフト112内で向きを合わせられてもよい。
【0031】
[0042]他の実施形態では、
図4に示されるように、神経調節カテーテル410は、1つ又は複数の灌注出口422を有する灌注リング/ドーナツ要素430を具備する、灌注加療組立体420を備え得る。灌注リング要素430は、灌注リング430が細長いシャフト112を囲み、血管の内壁に近接するか又は血管の内壁と係合するように、細長いシャフト112から径方向外側へ拡張するよう構成される。図示されるように、1本又は複数本の液体供給管腔434が、(たとえば、細長いシャフト112から)灌注リング要素430内に延出できる。灌注出口422及び/又は液体供給管腔434は、(i)血管Vの長手方向軸Lに沿って灌注液を向けるように方向を合わせられ、(ii)血管壁及び/若しくは別の方向に向くように方向を合わせられ、(iii)灌注を血管壁の方へ向けるよう構成され、並びに/又は(iv)灌注液が灌注リング要素430から、灌注出口422から離れる所望の方向へ排出されるように、成形され、且つ/若しくは灌注リング要素430内で向きを合わせられ得る。
【0032】
[0043]上記で論じられたように、本技術の実施形態にしたがって構成された神経調節カテーテル210、310、及び410は、有線又は無線通信リンクを介して、コンソール102(
図1)の1つ又は複数のコントローラ106に通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、
図1に示される灌注ポンプ104がコンソール102から分離されている実施形態のように、1つ又は複数のコントローラ106は、コンソールから分離され得る。コントローラ106は、直接及び/又はコンソール102を介して、加療組立体220、320、及び420の1つ又は複数の構成要素(たとえば、電極224a~224d)の動作を、開始、終了、及び/又は調整するよう構成され得る。たとえば、コントローラ106は、加療組立体220、320、及び420の1つ又は複数のセンサ(図示せず)からの診断情報を使用して、血管壁の組織及び/又は加療組立体220、320、及び420の構成要素を、連続的又は断続的に監視するよう構成され得る。より具体的には、コントローラ106は、診断情報を使用して、(i)神経調節エネルギーの特性、及び/又は(ii)加療組立体220、320、及び420に送達される灌注液の特性を、(たとえば、制御アルゴリズムにしたがって)調節できる。したがって、コントローラ106は、加療組立体220、320、及び420の1つ又は複数のセンサによって生成された診断情報に少なくとも部分的に基づいて、神経調節カテーテル210、310、及び410の動作を制御、監視、提供、調整、及び/又はさもなければ補助するよう構成され得る。
B. 印加されるエネルギー及び灌注の特性の制御
[0044]上記で論じられたように、本技術の実施形態にしたがって構成される神経調節システム(たとえば、
図1に示されるシステム100)は、調整された神経調節エネルギー(たとえば、RFエネルギー)及び灌注液を、自動化された制御アルゴリズム150にしたがって、且つ/又は臨床医の制御の下で、加療デバイスの加療組立体に送達するよう構成され得る。
図5は、コントローラ106(たとえば、
図1~
図4に示されるコントローラ106)によって実施され得る、自動制御アルゴリズム150の一実施形態を示す。
図5に示されるように、臨床医が加療を開始するとき、制御アルゴリズム150は、コンソール(たとえば、
図1に示されるコンソール102)に、加療部位に印加されるエネルギーの電力を、第1の期間t
1(たとえば、15秒)にわたって、第1の電力レベルP
1(たとえば、5ワット)まで漸進的に調整させる命令を有し得る。電力は、第1の期間中、ほぼ直線的に増加し得る。その結果、コンソールは、ほぼ一定の割合P
1/t
1で電力出力を増加させ得る。別法として、電力は、増加率が可変である場合、非直線的に(たとえば、指数関数的又は放物線状に)増加し得る。
【0033】
[0045]追加的に又は別法として、制御アルゴリズム150は、神経調節エネルギーが加療部位に印加され、調整され、且つ/又は修正される前、最中、及び/又は後に、灌注液の加療部位への送達を調整する命令を有し得る。たとえば、制御アルゴリズム150は、システム(たとえば、コンソール及び/又は灌注ポンプ)に、第1の電力レベルP1まで電力が増加するのに対応する特性を有する、灌注液を送達するよう指示する命令を有し得る。いくつかの実施形態では、命令はシステムに、加療部位への、特定の種類(たとえば、生理食塩水、蒸留水など)及び/又は特定の容量の灌注液を送達するよう指示できる。こうした実施形態及び他の実施形態では、命令はシステムに、(i)指定された温度(たとえば、室温、体温、又は室温を超えるか又は下回る別の温度)の灌注液を送達し、(ii)指定された流量で灌注液を送達し、且つ/又は(ii)指定された持続時間、灌注液を送達するよう指示できる。こうした実施形態及びさらに他の実施形態では、命令はシステムに、電力が調整される(たとえば、増加、減少、及び/又は一定に保持される)につれて、これらの灌注液の特性のいずれかを調整(たとえば、増加、減少、変更、及び/又は終了)するよう指示できる。さらに他の実施形態では、制御アルゴリズム150は、指定された電力レベルに到達するまで、指定された電極温度に到達するまで、且つ/又は指定された時間、灌注液の送達を止める命令を有し得る。
【0034】
[0046]P1及びt1に達すると、制御アルゴリズム150は、所定の時間t2-t1(たとえば、3秒)、新しい時間t2までP1を保持し得る。制御アルゴリズム150は、同様に、t2まで灌注液の特性を一定に保持でき、且つ/又は灌注液の特性を(たとえば、以下でより詳細に説明されるように、加療部位の組織及び/又は加療デバイスの構成要素の、監視されるパラメータに基づいて)調整できる。t2で、電力は、所定の時間t3-t2(たとえば、1秒)にわたって、所定の増分(たとえば、1ワット)だけ、P2まで増加する。制御アルゴリズム150は、システムに、この電力増加に応じて、灌注液の特性を調整するよう指示する命令を有し得る。所定の時間にわたる所定の約1ワットの増分での電力ランプは、最大電力PMAXに達するか、又は他の何らかの条件(たとえば、最大灌注流量/容量、及び/又は最低灌注液温度に達する)が満たされるまで継続し得る。任意選択で、電力は、所望の時間又は所望の合計加療時間まで(たとえば、約120秒まで)、最大電力PMAXで維持され得る。こうした実施形態及び他の実施形態では、コントローラは、たとえば、(i)加療部位の組織及び/又は加療デバイスの構成要素の監視されるパラメータ、及び/又は(ii)神経調節処置の進捗状況に基づいて、灌注液の特性を繰り返し変更できる。
【0035】
[0047]さらに、神経調節処置の前、最中、及び/又は後に、コントローラは(たとえば、加療組立体の1つ又は複数のセンサを使用して)、加療部位の組織、患者、灌注液、及び/又は加療デバイスの構成要素(たとえば、神経調節要素)に対応する、1つ又は複数のパラメータを監視できる。たとえば、コントローラは、温度、時間、インピーダンス、電力、流速、容積流量、血圧、心拍数、戻りエネルギーのパラメータ、及び/又は他のパラメータを、連続的又は定期的に監視できる。コントローラは、診断情報/パラメータの測定値を、神経調節処置の進捗状況、加療デバイス構成要素の状態(たとえば、温度)、及び/又は加療部位の組織の状態に関するフィードバックとして使用できる。いくつかの実施形態では、コントローラは、(i)監視されたパラメータを所定のパラメータプロファイルと突き合わせてチェックし、パラメータが、個々に又は組み合わされて、所定のパラメータプロファイルで設定された範囲に入るかどうかを判断でき、且つ(ii)それに応じて、神経調節エネルギー及び/又は加療部位に送達される灌注液の特性を、調整及び/又は調節できる。たとえば、コントローラは、監視されたパラメータが、特定の神経調節エネルギーの特性及び/又は灌注液の特性を考慮した、所定のパラメータプロファイルによって設定された範囲に入るかどうかをチェックできる。監視されたパラメータが範囲に入る場合、制御アルゴリズム150にしたがって加療を続行できる。しかし、監視されたパラメータが範囲外にある場合、コントローラは、それに応じて制御アルゴリズム150を調整できる。
【0036】
[0048]たとえば、加療部位の組織及び/又は加療デバイスの構成要素(たとえば、神経調節要素)に関する温度測定値が、現在印加されている電力レベルに対して高すぎる場合、コントローラは、制御アルゴリズム150を(たとえば、パラメータがパラメータプロファイルの範囲内になるまで)調節及び/又は修正できる。いくつかの実施形態では、コントローラは、印加される電力を減少、一時停止、及び/若しくは終了させることができ、制御アルゴリズム150のt1、t2、t3などをより長く若しくはより短くでき、且つ/又は、制御アルゴリズム150のデューティサイクル、周波数、若しくは他のパラメータを修正できる。追加的に又は別法として、コントローラは、加療部位に送達される灌注液の特性を変更できる。たとえば、コントローラは、加療部位に送達される灌注液の流量、容量、及び/又は温度を増加及び/又は減少させ得る。こうした実施形態及び他の実施形態では、コントローラは、加療部位で放出される灌注液の種類、及び/又は灌注液が加療部位に供給される持続時間を変更できる。コントローラは、制御アルゴリズム150によって表記される他の事象に応答して、制御アルゴリズム150を調整(たとえば、増加、減少、改変、調節、及び/若しくはさもなければ変更)、又は一定に保持できることが、当業者には理解されよう。たとえば、コントローラは、(i)所定のパラメータプロファイルの範囲外(たとえば、より上及び/若しくは未満)の1つ又は複数のパラメータ、並びに/又は(ii)組織及び/若しくは加療デバイスの構成要素の測定されたパラメータ/特性の突然の、予期しない、且つ/若しくは望ましくない変化(たとえば、パラメータ/特性がパラメータプロファイルの範囲に入っている場合でさえも)に応答して、制御アルゴリズム150を適切に調節できる。システムはまた、コントローラが操作者に特定の状態を警告することを可能にする、様々な可聴且つ視覚的アラームも装備され得る。
【0037】
[0049]いくつかの実施形態では、システムは、コントローラがエネルギー及び/又は灌注液の特性を閾値より上及び/又は閾値未満に調整することを防止する、1つ又は複数の安全閾値を有し得る。たとえば、神経調節エネルギーが指定された電力レベルで、若しくは指定された電力レベルより上で、且つ/又は指定された持続時間より長い間印加されるときに、システムは、コントローラが(i)流量を指定された閾値未満に低下させ、且つ/又は(ii)灌注液の温度を指定された閾値を超えて上昇させることを防止できる。他の実施形態では、システム(たとえば、加療デバイスの神経調節要素の1つ又は複数のセンサ)が、加療デバイスの構成要素及び/又は加療部位の組織に関する不正確な(たとえば、温度の)測定値を報告することを防ぐために、システムは、コントローラが(i)灌注液の流量を指定された閾値を超えて増加させること、及び/又は(ii)灌注液の温度を指定された閾値を下回って低下させることを防止できる。さらに他の実施形態では、システムは、コントローラが神経調節エネルギーの電力レベルを、指定された閾値を超えて増加させることを防止できる(たとえば、加療部位に供給される灌注液の最大流量及び/若しくは最大容量に達したとき、且つ/又は灌注液の最低温度に達したとき)。
【0038】
[0050]このようにして、コントローラは、調整された神経調節エネルギー及び灌注液を加療部位に送達できる。その結果、コントローラは、所望の特性を有する灌注液の制御された、且つ/又は継続的な使用によって、神経調節要素の温度を一定及び/又は所望の範囲内に保持できる。これは、神経調節システムが、治療中の電極温度の上昇に伴う血液の凝固又は血管組織の焦げを引き起こすことなく、血管に印加される神経調節エネルギーの電力を増加させることにより、より深い損傷深度を達成することを可能にする。したがって、治療中に患者に安全に送達され得る最大電力が増加する。具体的には、本技術にしたがって構成された神経調節システムは、エネルギー発生器の最大電力レベルに達せられるまで、最大灌注流量/容量に達せられるまで、最低灌注液温度に達せられるまで、且つ/又はさもなければシステムが、コントローラが電力をさらに増加させるのを(たとえば、事前設定された安全閾値にしたがって)防止するまで、安全に電力が増加されることを可能にする。いくつかの実施形態では、最大灌注流量及び/又は容量は、(i)灌注ポンプの能力、(ii)患者の血液希釈限度(終末器官への十分な血液供給の確保)、(iii)前臨床モデル、一般的なヒトの解剖学的学識、特定の患者の解剖学的構造、及び/若しくは焼灼位置から判断される安全係数、並びに/又は(v)特定の損傷深さの達成によって決定され得る。加えて、神経調節処置全体にわたって、制御された手法で(たとえば、必要な場合にのみ、所望の特性で、且つ/又は通常は従来の灌注システムよりも少ない流量で)灌注液が供給されるので、神経調節処置の進捗状況、加療部位の組織の状態、及び/又は加療デバイスの構成要素の状態に関してコントローラに報告される診断情報は、有意義で正確な状態で保持される。その結果、本技術の神経調節システムは、従来の神経調節システムの使用後に典型的に認められる神経調節加療による組織のダメージ及び有害効果を、より適切に回避できる。
【0039】
[0051]
図6は、本技術の実施形態にしたがって構成される、患者に加療する方法に関するルーチン670を示す流れ図である。ルーチン670は、たとえば、神経調節システムの様々な構成要素(たとえば、コンソール、コントローラ、制御アルゴリズム、灌注ポンプ、及び/若しくは加療デバイス)並びに/又は神経調節システムを操作する臨床医によって実行され得る。ルーチン670は、加療デバイスの加療組立体を、患者の体内の血管内(たとえば、腎動脈内)又は別の好適な体腔内(たとえば、尿管内)に配置するステップである、ブロック671から始まり得る。ルーチン670は、患者の体内の加療部位に加療組立体を展開する(たとえば、ガイドワイヤを引き抜くことによって)ステップをさらに含み得る。
【0040】
[0052]ブロック672において、ルーチン670は、(たとえば、神経調節システムの制御アルゴリズムにしたがって)加療組立体の神経調節要素を使って、神経調節エネルギーを加療部位の組織に送達するステップを含み得る。ブロック673で、ルーチン670は、追加的に又は別法として、加療組立体の灌注出口を通して所望の特性を有する灌注液を送達するステップを含み得る。灌注液の送達は、たとえば、制御アルゴリズムにしたがって制御され得る。たとえば、ルーチン670は、(i)第1の期間の後及び/若しくは第1の期間にわたって第1の電力レベルで神経調節エネルギーを送達し、且つ/又は(ii)電力のランプ波形に対応する、所望の特性(たとえば第1の容量、温度、及び/若しくは流量)を有する第1の種類の灌注液を送達できる。いくつかの実施形態では、ルーチン670は、指定された特性を有する灌注液を送達して、加療組立体の神経調節要素の温度を所望の温度範囲内に保持できる。こうした実施形態及び他の実施形態では、ルーチン670は、神経調節エネルギーが指定された電力レベルに達するまで、且つ/又は加療部位の神経調節要素及び/若しくは組織が指定された温度に達するまで、灌注液の加療部位への送達を止め得る。
【0041】
[0053]いくつかの実施形態では、ルーチン670は、制御アルゴリズムにしたがって、神経調節エネルギーの電力を増加させ続け、且つ/又は加療部位に送達される灌注液の特性を修正し続け得る。たとえば、ルーチン670は、神経調節エネルギーの電力を(たとえば、第2の時間の後に)、第2の電力レベルまで増加させ、神経調節エネルギーを第2の電力レベルで加療部位の組織に印加できる(ブロック672)。さらに、ルーチン670は、この電力の増加に応じて、加療部位に送達される灌注液の特性を調整及び/又は修正できる。たとえば、ルーチン670は、神経調節エネルギーの電力が増加するにつれて、加療部位に送達される灌注液の容量及び/又は流量を増加させ得る(ブロック673)。こうした実施形態及び他の実施形態では、ルーチン670は、灌注液が加療部位に供給される温度を下げることができ、且つ/又は加療部位に供給される灌注液の種類を変更できる(ブロック673)。他の実施形態では、ルーチン670は、(i)灌注液の特性を一定に保ち、(ii)加療部位への灌注液の送達を停止し、並びに/又は(iii)加療部位に供給される灌注液の特性を調整及び/若しくは修正するのを、第2の電力レベルに達するまで、且つ/若しくは神経調節要素が指定された温度に達するまで待つことができる(ブロック673)。
【0042】
[0054]いくつかの実施形態では、ルーチン670は、神経変調システムの最大電力値及び/又は他の安全閾値に達するまで、制御アルゴリズムにしたがって神経変調エネルギー及び/又は灌注液を送達し続け得る(ブロック672及び673)。この時点で、ルーチン670は、灌注液の最大容量及び/又は流量に達した場合、電力の増加を止め得る。追加的に又は別法として、ルーチン670は、灌注液の最低温度に達した場合、且つ/又は神経調節要素の最高温度に達した場合、電力の増加を止め得る。
【0043】
[0055]加療組立体の位置調整及び/又は展開の前、最中、及び/又は後の任意の時点で、ルーチン670は、患者及び/又は神経調節システムの構成要素(たとえば、神経調節要素及び/又は電極)に関する1つ又は複数のパラメータを(たとえば、連続的且つ/又は同時に)監視できる(ブロック674)。たとえば、ルーチン670は、温度、インピーダンス、持続時間、電力、流速、容積流量、血圧、心拍数、戻りエネルギーのパラメータ、並びに/又は加療部位の組織、患者、灌注液、及び/若しくは加療デバイスの神経調節要素の他のパラメータを測定するために、加療デバイスの神経調節要素に又は神経調節要素の近くに配置された、1つ又は複数のセンサを使用できる。ルーチン670は、この診断情報を、神経調節処置の進捗状況(たとえば、加療中に形成された損傷のサイズ及び/若しくは深さ)、加療部位の組織の状態、並びに/又は神経調節システムの構成要素の状態に関するフィードバックとして使用できる。
【0044】
[0056]いくつかの実施形態では、ルーチン670は、診断情報に少なくとも部分的に基づいて、加療部位に印加される神経調節エネルギー及び/又は加療部位に供給される灌注液の1つ又は複数の特性を、調整及び/又は修正するかどうかをそれぞれ判断できる。たとえば、ルーチン670は、診断情報を所定のパラメータプロファイルの範囲と比較して、1つ又は複数のパラメータが、所定のパラメータプロファイルの範囲外であるかどうかを判断できる。特定のパラメータ及び/又は所定の数のパラメータが、パラメータプロファイルの範囲に入る場合、ルーチン670は、制御アルゴリズムにしたがって、神経調節エネルギー及び/又は灌注液を供給し続け得る(ブロック672及び/又は673)。
【0045】
[0057]一方、パラメータの1つ又は複数が所定のパラメータプロファイルの範囲外(たとえば、より上及び/又は未満)にある場合、ルーチン670は、神経調節エネルギー(ブロック675)、及び/又は加療部位に供給される灌注液(ブロック676)の、1つ又は複数の特性を調整及び/又は修正することを決定できる。たとえば、ルーチン670が、加療部位の組織及び/又は神経調節要素の温度は、(たとえば、現在のエネルギー特性、神経調節処置の現在の段階、現在の灌注液の特性、及び/又は安全閾値を考慮した)所定の温度プロファイルの範囲を超えると判断した場合、ルーチン670は、制御アルゴリズムを変更及び/又は修正し、神経調節エネルギーの電力レベルを変更及び/又は修正できる(ブロック675)。いくつかの実施形態では、ルーチン670は、神経調節エネルギーが印加される電力を減少させ得る。他の実施形態では、ルーチン670は、電力レベルを一定に保持でき、且つ/又は電力レベルを、より遅い速度で増加させ得る。追加的に又は別法として、ルーチン670は、制御アルゴリズムを変更及び/又は修正し、灌注液の特性を変更及び/又は修正できる(たとえば、ブロック676)。たとえば、ルーチン670は、(i)加療部位に供給される灌注液の容量及び/若しくは流量を増加させ、(ii)灌注液が加療部位に供給される温度を低下させ、且つ/又は(iii)加療部位に供給される灌注液の種類を変更できる。いくつかの実施形態では、ルーチン670は、(i)神経調節エネルギーの電力、及び/若しくは加療部位に供給される灌注液の温度を増加させ、且つ/又は(ii)1つ又は複数のパラメータが所定のパラメータプロファイルの範囲内に戻った後でのみ、灌注液の容量及び/若しくは流量を減少させ得る。
【0046】
[0058]ルーチン670のステップは、特定の順序で論じられ、示されているが、ルーチン670によって示された方法は、そのように限定されるものではない。他の実施形態では、方法は、異なる順序で実行され得る。たとえば、神経調節システムの1つ又は複数のセンサは、エネルギー及び/又は灌注液が加療部位に送達される前に、神経調節システム及び/又は患者のパラメータを監視できる。他の実施形態では、神経調節エネルギーが加療部位に印加され、且つ/又は調整される前に、灌注液が加療部位に供給され得る。こうした実施形態及び他の実施形態において、神経調節システムでは、加療部位に印加される電力の増加が、(i)加療部位に供給される灌注液の容量及び/若しくは流量を増加させ、且つ/又は(ii)灌注液の温度を低下させることによって進行され、並びに/或いは(i)且つ/又は(ii)と同時に行われる必要があり得る。さらに、完全を期すために、ブロック671~676が示されている。当業者は、示された方法が変更され得ること、及びそれでもなお、本技術のこうした実施形態及び他の実施形態の範囲内に収まり得ることを容易に認識されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、
図6に示される方法の1つ又は複数のステップが、省略及び/又は繰り返され得る。
C. 神経調節デバイス及び関係するシステムの選択された例
[0059]
図7(
図1を追加で参照しながら)は、システム100(
図1)の実施形態による腎神経の調節を示す。神経調節デバイス110は、大腿動脈(図示)、上腕動脈、橈骨動脈、又は腋窩動脈の経皮的アクセス部位などの血管内経路Pを通って、それぞれの腎動脈RA内の標的加療部位へ、腎神経叢RPへのアクセスを可能にする。臨床医は、血管内経路Pの外側から細長いシャフト112の近位部分114を操作することにより、時に曲がりくねっている血管内経路Pを通して細長いシャフト112を進め、細長いシャフト112の遠位部分116(
図1)を遠隔で操作できる。
図7に示される実施形態では、神経調節組立体120は、OTW技法においてガイドワイヤ715を使用して、血管内を加療部位まで送達される。加療部位では、ガイドワイヤ715は、少なくとも部分的に引き抜かれるか又は取り除かれ得、神経調節組立体120は、神経活動を記録し、且つ/又は加療部位にエネルギーを送達するために、展開された配置構成に変形するか、又はさもなければ移動され得る。他の実施形態では、神経調節組立体120は、ガイドワイヤ715の使用の有無にかかわらず、ガイドシース(図示せず)内で加療部位まで送達され得る。ガイドシースは、神経調節組立体120が加療部位にあるときに、少なくとも部分的に引き抜かれるか又は引っ込められ得、神経調節組立体120は、展開された配置構成に変形され得る。他の実施形態では、細長いシャフト112は、それ自体が操縦可能であってもよく、それにより、神経調節組立体120は、ガイドワイヤ715及び/又はガイドシースの助けなしに、加療部位に送達され得る。
【0047】
[0060]画像誘導、たとえば、コンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)、X線透視法、血管内超音波(IVUS:intravascular ultrasound)、光干渉断層撮影(OCT:optical coherence tomography)、心腔内心エコー法(ICE:intracardiac echocardiography)、若しくは別の好適な誘導様式、又はその組合せが、臨床医による神経調節組立体120の位置調整及び操作を支援するために使用され得る。たとえば、X線透視システム(たとえば、フラットパネル検出器、X線、又はCアームを備える)は、標的加療部位を正確に視覚化して識別するために回転し得る。他の実施形態では、加療部位は、IVUS、OCT、並びに/又は標的加療部位を、神経調節組立体120を送達する前に、識別可能な解剖学的構造体(たとえば、脊椎の特徴)及び/若しくは放射線不透過性定規(たとえば、患者の下又は上に配置される)と互いに関係づけ得る、他の好適な画像マッピング様式を使って判断され得る。さらに、いくつかの実施形態では、画像誘導構成要素(たとえば、IVUS、OCT)は、神経調節デバイス110と統合され、且つ/又は神経調節デバイス110と並行して稼働され、神経調節組立体120の位置調節の際の画像誘導を可能にし得る。たとえば、画像誘導構成要素(たとえば、IVUS又はOCT)は、神経調節組立体120に結合され、加療部位に近接する脈管構造の3次元画像を提示し、標的腎血管構造体内での多電極組立体の位置調整又は展開を容易にし得る。
【0048】
[0061]次いで、神経調節要素126からのエネルギーは、腎動脈RAの局所化された局部、及び腎動脈RAの外膜内に、外膜に隣接して、又は外膜に近接して密接に横たわる、腎神経叢RPの隣接する局部に、1つ又は複数の所望の神経調節の効果を誘起するために、標的組織に印加され得る。意図的なエネルギーの印加が、腎神経叢RPのすべて又は少なくとも一部に沿った、神経調節を実現させ得る。神経調節の効果は、概して、少なくとも部分的に、電力、時間、エネルギー送達要素と血管壁との間の接触、及び血管を通る血流の関数である。神経調節の効果は、除神経、熱焼灼、及び/又は非焼灼的熱変化(non-ablative thermal alteration)若しくはダメージ(たとえば、持続的な加熱及び/又は抵抗加熱による)を含み得る。望ましい加熱の効果は、標的の神経線維の温度を所望の閾値より高くして非焼灼的熱変化を実現させること、又はより高温にして焼灼的熱変化を実現させることを含み得る。たとえば、目標温度は、体温(たとえば、約37℃)より高いが非焼灼的熱変化のため約45℃未満であってもよく、又は目標温度は、焼灼的熱変化のため約45℃以上であってもよい。望ましい非熱的神経調節の効果は、神経に伝えられる電気信号を変化させることを含み得る。
【0049】
[0062]低体温効果もまた、神経調節を可能にし得る。たとえば、冷凍治療アプリケータは、加療部位で組織を冷却し、治療上有効な直接的な細胞傷害(たとえば、壊死)、血管の傷害(たとえば、供給する血管にダメージを与えることにより、細胞への栄養素を欠乏させる)、及びその後にアポトーシスを伴う亜致死性低体温症を与えるために使用され得る。冷凍治療での冷却への曝露は、急性の細胞死(たとえば、曝露直後)及び/又は遅延型の細胞死(たとえば、組織の解凍及びその後の過灌流の間)を引き起こし得る。本技術の実施形態は、近接する(たとえば、隣接する)組織が、交感腎神経が存在する深さまで効果的に冷却されるように、腎動脈壁の内面の構造体又はその近くの構造体を冷却することを含み得る。たとえば、冷却する構造体は、それが治療上有効な極低温腎神経調節をもたらす程度まで冷却される。交感腎神経の少なくとも一部を十分に冷却すると、神経信号の伝導を遅らせるか、又は場合によっては遮断し、腎交感神経活動の長期的又は永続的な減少を生じさせることが期待される。
D. 腎神経調節
[0063]腎神経調節とは、腎臓の神経(たとえば、腎臓内又は腎臓に密接に関連する構造体内で終端をなす神経)の、部分的又は完全な不能化又は他の効果的な破壊である。具体的には、腎神経調節は、腎臓の神経線維(たとえば、遠心性及び/又は求心性神経線維)に沿った神経伝達を阻害、低減、及び/又は遮断することを含み得る。かかる活動不能は、長期的(たとえば、永続的又は数カ月間、数年間、若しくは数十年間)又は短期的(たとえば、数分間、数時間、数日間、若しくは数週間)であり得る。腎神経調節は、交感神経の緊張又は駆動の全身的な低下に寄与し、且つ/又は交感神経によって神経支配される、少なくともいくつかの特定の器官及び/若しくは他の身体構造に、恩恵をもたらすことが期待される。したがって、腎神経調節は、全身性交感神経過剰活性又は活動亢進に関連する臨床状態、特に中枢交感神経の過剰刺激に関連する状態の加療に有用であると期待される。たとえば、腎神経調節は、状態の中でもとりわけ高血圧、心不全、急性心筋梗塞、代謝症候群、インスリン抵抗性、糖尿病、左心室肥大、慢性及び末期腎疾患、心不全における不適切な体液貯留、心腎症候群、多発性嚢胞腎疾患、多嚢胞性卵巣症候群、骨粗鬆症、勃起不全、及び突然死を、効果的に加療すると期待されている。
【0050】
[0064]腎神経調節は、加療処置中の1つ又は複数の好適な加療部位で、電気的に誘起されるか、熱的に誘起されるか、化学的に誘起されるか、又は別の好適な手法若しくは手法の組合せで誘起され得る。加療部位は、腎臓の管腔(たとえば、腎動脈、尿管、腎盂、大腎杯、小腎杯、又は別の好適な構造体)内又はさもなければ腎臓の管腔に近接し得る。加療される組織は、腎臓の管腔の壁に少なくとも近接する組織を含み得る。たとえば、腎動脈に関して、加療処置は、腎動脈の外膜内又は外膜に隣接して密接に横たわる腎神経叢内の神経を調節することを含み得る。
【0051】
[0065]腎神経調節は、単独で又は別の加療様式と組み合わせた、冷凍治療による加療様式を含み得る。冷凍治療による加療は、神経機能を調節する手法で、加療部位の組織を冷却することを含み得る。たとえば、交感腎神経の少なくとも一部を十分に冷却すると、神経信号の伝導を遅らせるか、又は場合によっては遮断し、腎交感神経活動の長期的又は永続的な低下を生じさせ得る。この効果は、たとえば、直接的な細胞傷害(たとえば、壊死)、血管又は管腔の傷害(たとえば、供給する血管にダメージを与えることにより、細胞を栄養素不足で餓死させる)、及び/又はその後にアポトーシスを伴う亜致死性低体温症を含み得る、冷凍治療した組織のダメージの結果として生じ得る。冷凍治療での冷却への曝露は、急性の細胞死(たとえば、曝露直後)及び/又は遅延型の細胞死(たとえば、組織の解凍及びその後の過灌流の間)を引き起こし得る。本技術の実施形態による冷凍治療での加療を使用する神経調節は、組織が、交感腎神経が存在する深さまで効果的に冷却されるように、体腔の壁の内面に近接する構造体を冷却することを含み得る。たとえば、いくつかの実施形態では、冷凍治療デバイスの冷却組立体は、治療上有効な極低温腎神経調節をもたらす程度まで冷却され得る。他の実施形態では、冷凍治療による加療様式は、神経調節をもたらすようには構成されていない冷却を含み得る。たとえば、冷却は、極低温又はそれを上回る温度であり得、別の加療様式によって神経調節を制御するために(たとえば、神経調節エネルギーから組織を保護するために)使用され得る。
【0052】
[0066]腎神経調節は、単独で又は別の加療様式と組み合わせた、電極ベース又はトランスデューサベースの加療様式を含み得る。電極ベース又はトランスデューサベースの加療は、神経機能を調節する手法で組織を刺激及び/又は加熱するために、加療位置で組織に電気及び/又は別の形態のエネルギーを送達することを含み得る。たとえば、交感腎神経の少なくとも一部を十分に刺激及び/又は加熱すると、神経信号の伝導を遅らせるか、又は場合によっては遮断し、腎交感神経活動の長期的又は永続的な低下を生じさせ得る。加療位置で組織を刺激及び/又は加熱するために、様々な好適な種類のエネルギーが使用され得る。たとえば、本技術の実施形態による神経調節は、RFエネルギー、パルス式エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、焦点式超音波エネルギー(たとえば、高密度焦点式超音波エネルギー)、又は別の好適な種類のエネルギーを、単独で又は組み合わせて送達することを含み得る。このエネルギーを送達するために使用される電極又はトランスデューサは、単独で、又は多電極アレイ若しくはマルチトランスデューサアレイ内の他の電極若しくは他のトランスデューサと共に使用され得る。さらに、エネルギーは、体内(たとえば、カテーテルベースのアプローチでの脈管構造又は他の体腔内)から、且つ/又は体外から(たとえば、体外に配置されたアプリケータによって)印加され得る。さらに、エネルギーは、非標的組織に隣接する標的組織が、神経調節のための冷却を施されたときに、非標的組織へのダメージを低減するために使用され得る。
【0053】
[0067]焦点式超音波エネルギー(たとえば、高密度焦点式超音波エネルギー)を使用する神経調節は、他の加療様式を使用する神経調節に比べて有益であり得る。焦点式超音波は、体外から送達され得る、トランスデューサベースの加療様式の一例である。焦点式超音波による加療は、撮像(たとえば、磁気共鳴、コンピュータ断層撮影、X線透視、超音波(たとえば、血管内若しくは管腔内)、光干渉断層撮影、又は別の好適な撮像様式)と密接に関連して実行され得る。たとえば、撮像は、加療位置の解剖学的場所を(たとえば、基準点に対する1組の座標として)識別するために使用され得る。次いで、座標は、座標に対応する位置に超音波焦点ゾーンを生成するために、電力、角度、位相、又は他の好適なパラメータを変更するよう構成された焦点式超音波デバイスに入力され得る。焦点ゾーンは、近くの構造体の潜在的に有害な破壊を部分的又は完全に回避しながら、加療位置で治療上有効な加熱を局所化できるほど小さくすることができる。焦点ゾーンを生成するために、超音波デバイスは、超音波エネルギーにレンズを通過させるよう構成されてもよく、且つ/又は超音波エネルギーは、湾曲したトランスデューサ又はフェーズドアレイの複数のトランスデューサ(湾曲した又はまっすぐな)によって生成されてもよい。
【0054】
[0068]電極ベース又はトランスデューサベースの加療での加熱効果は、焼灼及び/又は非焼灼的変化若しくはダメージ(たとえば、持続的な加熱及び/又は抵抗加熱による)を含み得る。たとえば、加療処置は、標的神経線維の温度を、非焼灼的変化を実現させるために第1の閾値を超える標的温度まで、又は焼灼を実現させるために第2のより高い閾値を超えるまで上昇させることを含み得る。標的温度は、ほぼ体温(たとえば、約37℃)より高く、非焼灼的変化では約45℃未満であり得る。標的温度は、焼灼では約45℃より高くなり得る。組織をほぼ体温と約45℃との間の温度に加熱すると、たとえば、標的神経線維又は標的神経線維を灌流する血管若しくは管腔構造体を適度に加熱することにより、非焼灼的変化を誘起できる。血管構造体が影響を受ける場合には、標的神経線維は灌流を拒まれ、神経組織の壊死をもたらし得る。組織を約45℃より高い(たとえば、約60℃より高い)標的温度に加熱すると、たとえば、標的神経線維又は標的線維を灌流する血管若しくは管腔構造体を十分に加熱することにより、焼灼を誘起できる。一部の患者では、標的神経線維、血管、又は管腔構造体を焼灼するのに十分であるが、約90℃未満(たとえば、約85℃未満、約80℃未満、又は約75℃未満)の温度に、組織を加熱することが望ましい場合がある。
【0055】
[0069]腎神経調節は、単独で又は別の加療様式と組み合わせた、化学物質ベースの加療様式を含み得る。化学物質ベースの加療を使用する神経調節は、神経機能を調節する手法で加療位置の組織に、1種又は複数種類の化学物質(たとえば、薬物又は他の薬剤)を送達することを含み得る。化学物質は、たとえば、加療位置に全体的に影響を与えるように、又は他の構造体よりも加療位置の一部の構造体に選択的に影響を与えるように選択され得る。化学物質は、たとえば、グアネチジン、エタノール、フェノール、神経毒、又は神経を変化させるか、ダメージを与えるか、若しくは破壊するよう選択された別の好適な薬剤であり得る。加療位置の組織に化学物質を送達するために、様々な好適な技法が使用され得る。たとえば、化学物質は、体外又は脈管構造若しくは他の体腔内から始まる1本又は複数本の針を通して送達され得る。血管内の例では、カテーテルは、展開前に引っ込められるか、又はさもなければ遮断され得る、複数の針(たとえば、マイクロニードル)を備える治療要素を、血管内に配置するために使用され得る。他の実施形態では、化学物質は、体腔壁を通した単純な拡散、電気泳動、又は別の好適なメカニズムによって、加療位置の組織に導入され得る。同様の技法は、神経調節をもたらすよう構成されていない化学物質を導入するが、むしろ別の加療様式による神経調節を促進するために使用され得る。
E. 関連する解剖学及び生理学
[0070]前述のように、交感神経系(SNS)は、腸神経系及び副交感神経系と共に自律神経系の枝である。交感神経系は常に基礎レベルで活性であり(交感神経の緊張と呼ばれる)、ストレス時により活性になる。神経系の他の部分と同様に、交感神経系は、一連の相互接続された神経細胞を通じて動作する。交感神経細胞は、末梢神経系(PNS:peripheral nervous system)の一部と見なされることが多いが、多くは中枢神経系(CNS:central nervous system)内にある。(CNSの一部である)脊髄の交感神経細胞は、一連の交感神経節を介して末梢交感神経細胞と情報伝達する。神経節内では、脊髄交感神経細胞は、シナプスを介して末梢交感神経細胞につながる。したがって、脊髄交感神経細胞はシナプス前(又は節前)神経細胞と呼ばれ、一方末梢交感神経細胞はシナプス後(又は節後)神経細胞と呼ばれる。
【0056】
[0071]交感神経節内のシナプスでは、節前交感神経細胞は、節後神経細胞のニコチン性アセチルコリン受容体に結合して活性化する化学的伝令である、アセチルコリンを放出する。この刺激に応答して、節後神経細胞は主にノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を放出する。長時間の活性化は、副腎髄質からのアドレナリンの放出を誘発し得る。
【0057】
[0072]放出されると、ノルエピネフリン及びエピネフリンは、末梢組織のアドレナリン受容体に結合する。アドレナリン受容体への結合は、神経細胞及びホルモンの応答を引き起こす。生理学的症状は、瞳孔散大、心拍数増加、時折の嘔吐、及び血圧上昇を含む。汗腺のコリン作動性受容体の結合により、発汗の増加も見られる。
【0058】
[0073]交感神経系は、生物における多くの恒常性メカニズムの上方制御及び下方制御を担当する。SNSの線維は、ほぼすべての器官系の組織を神経支配し、瞳孔径、腸の運動性、尿量など、様々な生理学的特徴に少なくとも何がしかの調節機能を提供する。この反応はまた、副腎髄質で末端となる節前交感神経線維が(他のすべての交感神経線維も)、アセチルコリンを分泌し、アドレナリン(エピネフリン)の分泌を活性化し、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)がより少なくなる、身体の交感神経副腎反応としても知られている。したがって、主に心血管系に作用するこの反応は、交感神経系を通って送信されるインパルスによって直接的に伝達され、また副腎髄質から分泌されるカテコールアミンによって間接的に伝達される。
【0059】
[0074]科学は通常、SNSを、自動調整システム、すなわち意識的な思考の介入なしに動作するシステムとして見る。一部の進化論者は、交感神経系が、行動するため身体にプライミングを与えることを担当するので、交感神経系が初期の生物において、生存を維持するために作用したと示唆している。この準備刺激の一例は、起きる前の瞬間にあり、行動の準備で交感神経の流出が自発的に増加する。
1. 交感神経鎖
[0075]
図8に示されるように、SNSは、脳の身体との情報伝達を可能にする神経のネットワークを提供する。交感神経は、脊柱の内側から発し、中間帯外側細胞柱(又は側角)の脊髄の中央に向かい、脊髄の第1胸節から始まって第2又は第3腰節に伸びると考えられている。その細胞は脊髄の胸部領域及び腰部領域で始まるので、SNSは胸腰椎流出があると言われる。こうした神経の軸索は、前根糸/根を通して脊髄を離れる。軸索は脊髄(感覚)神経節の近くを通過し、そこで脊髄神経の前枝に入る。しかし、体性神経支配とは異なり、軸索は、脊椎傍(脊柱の近くにある)又は脊髄前(大動脈分岐部の近くにある)神経節に接続し、脊柱に並んで延在する、白枝コネクタ(white rami connector)を通って素早く分離する。
【0060】
[0076]標的器官及び腺に到達するために、軸索は体内を長距離移動する必要があり、これを達成するために、多くの軸索は、シナプス伝達によってメッセージを第2の細胞まで中継する。軸索の末端は、空間、すなわちシナプスをわたって、第2の細胞の樹状突起につながる。第1の細胞(シナプス前細胞)は、神経伝達物質をシナプスの間隙をわたって送り、そこで第2の細胞(シナプス後細胞)を活性化する。次いで、メッセージは最終の宛先に伝えられる。
【0061】
[0077]SNS及び末梢神経系の他の構成要素では、こうしたシナプスは、上記で論じられた、神経節と呼ばれる部位で作られる。線維を送る細胞は節前細胞と呼ばれ、一方その線維が神経節を離れる細胞は節後細胞と呼ばれる。前述のように、SNSの節前細胞は、脊髄の第1の胸(T1)節と第3の腰(L3)節との間にある。節後細胞は、神経節にその細胞体があり、節後細胞の軸索を標的器官又は腺に送る。
【0062】
[0078]神経節は、交感神経幹だけでなく、交感神経線維を頭及び胸部器官に送る(上、中、及び下)頸神経節、並びに腹腔及び腸間膜神経節(交感神経線維を腸に送る)も含む。
a. 腎臓の神経支配
[0079]
図9が示すように、腎臓は、腎動脈と密接に結合された腎神経叢(RP)によって神経支配されている。腎神経叢(RP)は、腎動脈を囲み、腎動脈の外膜内に埋め込まれた自律神経叢である。腎神経叢(RP)は、腎臓の実体に到達するまで腎動脈に沿って延在する。腎神経叢(RP)に寄与する線維は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、大動脈腎神経節、及び大動脈神経叢から起始する。腎神経とも呼ばれる腎神経叢(RP)は、主に交感神経構成要素からなる。腎臓の副交感神経支配はない(又は少なくとも最小限)。
【0063】
[0080]節前神経細胞体は、脊髄の中間外側細胞柱内にある。節前軸索は、傍脊椎神経節を通過し(節前軸索は、シナプス形成しない)、より小さい内臓神経となり、最も小さい内臓神経となり、第1腰内臓神経、第2腰内臓神経となり、腹腔神経節、上腸間膜神経節、及び大動脈腎神経節まで進む。節後神経細胞体は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、及び大動脈腎神経節から腎神経叢(RP)に出て、腎脈管構造に分配される。
b. 腎交感神経活動
[0081]メッセージは、双方向の流れでSNSを介して移動する。遠心性メッセージは、身体の様々な部分の変化を同時にトリガできる。たとえば、交感神経系は、心拍数を加速させ、気管支を広げ、大腸の運動性(動き)を減少させ、血管を収縮させ、食道の蠕動を増加させ、瞳孔散大、立毛(鳥肌)、及び発汗(汗をかくこと)を引き起こし、且つ血圧を上昇させ得る。求心性メッセージは、体内の様々な器官及び感覚受容体から他の器官、及び特に脳に信号を伝搬する。
【0064】
[0082]高血圧、心不全、及び慢性腎疾患は、SNS、特に腎交感神経系の慢性活性化から生じる、多くの疾患状態のうちのいくつかである。SNSの慢性的な活性化は、こうした疾患状態の進行を促進する不適応な応答である。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS:renin-angiotensin-aldosterone system)の医薬の取り扱いは、SNSの過剰活性を減らすための積年の、しかしやや効果の薄い手法であった。
【0065】
[0083]上記のように、腎交感神経系は、実験及びヒトの両方において、高血圧、容量過負荷の状態(心不全など)、及び進行性腎疾患の複雑な病態生理の主な要因として特定されている。腎臓から血漿へのノルエピネフリンのオーバフローを測定するために放射性トレーサ希釈法を使用する研究は、本態性高血圧症の患者、特に若い高血圧の被験者における腎ノルエピネフリン(NE:norepinephrine)漏出率の増加を明らかにしており、これは、心臓からのNE漏出の増加に呼応した、初期の高血圧に典型的に見られ、心拍数、心拍出量、及び腎血管抵抗の増加を特徴とする、血行力学的プロファイルと整合している。本態性高血圧は一般に神経原性であり、多くの場合、顕著な交感神経系の過剰活性を伴うことが現在知られている。
【0066】
[0084]この患者群における心臓及び腎臓から血漿へのNEオーバフローの過剰増加によって実証されているように、心腎交感神経活動の活性化は、心不全においてさらに顕著である。この概念と一致するのは、鬱血性心不全患者の全原因による死亡率及び心臓移植に関する、腎交感神経活性化の極めて悲観的な予測値についての最近の実証であり、これは、全体的な交感神経活動、糸球体濾過率、及び左心室駆出分画率とは無関係である。こうした調査結果は、腎交感神経刺激作用を減らすよう設計された加療方式が、心不全患者の生存率を向上させる可能性があるという概念を裏づけている。
【0067】
[0085]慢性腎疾患及び末期腎疾患はどちらも、交感神経の活性化が高まることを特徴とする。末期腎疾患の患者において、中央値を超えるノルエピネフリンの血漿レベルで、全原因による死亡及び心血管疾患による死亡の両方を予測できることが実証されている。これは、糖尿病又は造影剤腎症を罹患する患者にも当てはまる。罹患した腎臓から生じる感覚求心性信号が、この患者群での中心交感神経性流出増加(elevated central sympathetic outflow)開始及び持続の主な要因であることを示唆する説得力のある証拠があり、これは、高血圧、左心室肥大、心室性不整脈、心臓突然死、インスリン抵抗性、糖尿病、代謝症候群などの、慢性交感神経過剰活性のよく知られた有害な結果を生じやすくする。
i. 腎交感神経の遠心性活動
[0086]腎臓への交感神経は、血管、傍糸球体装置、及び腎尿細管で終わる。腎交感神経の刺激作用は、レニン放出の増加、ナトリウム(Na
+)再吸収の増加、及び腎血流の減少を引き起こす。腎機能の神経調整のこうした構成要素は、交感神経緊張が高まることを特徴とする疾患状態でかなり刺激され、明らかに高血圧患者の血圧上昇の原因となる。腎交感神経性遠心性刺激作用の結果としての腎血流及び糸球体濾過率の低下は、通常、患者の臨床状態及び加療により変動する臨床的経過を伴う、慢性心不全の進行性合併症としての腎機能不全である心腎症候群での、腎機能喪失の基となる可能性が高い。腎遠心性交感神経刺激作用の結果を阻止するための薬理学的戦略は、中枢作用性交感神経遮断薬、ベータブロッカ(レニン放出を減少させることが意図された)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、及び受容体ブロッカ(レニン放出に起因するアンジオテンシンII及びアルドステロン活性化の働きを妨げることが意図された)、及び利尿薬(腎交感神経性媒介ナトリウム貯留及び水分貯留に対抗することが意図された)を含む。ただし、現在の薬理学的戦略には、有効性の限界、服薬遵守の問題、副作用などを含む、かなりの制限がある。
ii. 腎感覚求心性神経活動
[0087]腎臓は、腎感覚求心性神経を介して中枢神経系の統合構造体と情報伝達する。「腎損傷」のいくつかの形態は、感覚求心性信号の活性化を誘発し得る。たとえば、腎虚血、1回の拍出量若しくは腎血流の減少、又は多量のアデノシン酵素は、求心性神経伝達の活性化をトリガし得る。
図10及び
図11に示されるように、この求心性伝達は、腎臓から脳への場合もあり、又は(中枢神経系を介した)一方の腎臓から他方の腎臓への場合もある。こうした求心性信号は、一元的に統合され、交感神経の流出の増加をもたらし得る。この交感神経ドライブは腎臓に向けられ、それによってRAASを活性化し、レニン分泌の増加、ナトリウム貯留、容積貯留、及び血管収縮を引き起こす。中心交感神経過剰活性はまた、心臓及び末梢脈管構造などの交感神経によって神経支配されている他の器官及び身体構造にも影響を及ぼし、その結果、交感神経活性化の前述の有害効果が生じ、有害効果のいくつかの側面も血圧上昇の一因となる。
【0068】
[0088]したがって、生理学は、(i)遠心性交感神経を含む組織の調節が、不適切なレニン放出、塩分貯留、及び腎血流の減少を低減するであろうこと、及び(ii)求心性感覚神経を含む組織の調節が、視床下部後部だけでなく対側腎への直接的な影響を通じて、中心交感神経緊張の増加に伴う高血圧及び他の疾患状態への全身的寄与を低減するであろうことを示唆している。求心性腎除神経の中心血圧降下の効果に加えて、心臓及び脈管構造などの、他の様々な交感神経支配された器官への中心交感神経性流出の望ましい減少が期待される。
2. 腎除神経のさらなる臨床的利点
[0089]上記で提示されたように、腎除神経は、高血圧、代謝症候群、インスリン抵抗性、糖尿病、左心室肥大、慢性末期腎疾患、心不全での不適切な体液貯留、心腎症候群、及び突然死などの、全体的な、特に腎交感神経の活動増加を特徴とする、いくつかの臨床状態の加療において有益である可能性が高い。求心性神経信号の減少は、交感神経の緊張/ドライブの全身的な減少に寄与するので、腎除神経は、全身性交感神経活動亢進に関連する他の状態の加療にも役立ち得る。したがって、腎除神経はまた、
図8で特定されたものを含む、交感神経によって神経支配される他の器官及び身体構造にも恩恵をもたらし得る。たとえば、前に論じられたように、中心交感神経のドライブ低下は、代謝症候群及びII型糖尿病の人々を苦しめるインスリン抵抗性を低下させ得る。さらに、骨粗鬆症の患者はまた、交感神経を活性化されており、腎除神経に伴う交感神経ドライブの下方調節の恩恵も受け得る。
3. 腎動脈への血管内アクセスの実現
[0090]本技術によれば、左及び/又は右腎動脈と密接に関連する左及び/又は右腎神経叢(RP)の神経調節は、血管内アクセスによって実現し得る。
図12が示すように、心臓の収縮によって移動した血液は、大動脈によって心臓の左心室から運ばれる。大動脈は胸部を通って下降し、左右の腎動脈に分岐する。腎動脈の下方で、大動脈は、左右の腸骨動脈に、二股に分かれる。左右の腸骨動脈は、それぞれ左右の脚を通って下降し、左右の大腿動脈につながる。
【0069】
[0091]
図13が示すように、血液は静脈に集まり、大腿静脈を通って腸骨静脈及び下大静脈へ入り、心臓に戻る。下大静脈は、左右の腎静脈に分岐する。腎静脈の上方へ、下大静脈が上昇し、血液を心臓の右心房に運ぶ。右心房から、血液は右心室を通って肺に送り込まれ、そこで酸素が加えられる。肺から、酸素が加えられた血液が左心房に運ばれる。左心房から、酸素が加えられた血液は、左心室によって大動脈に戻される。
【0070】
[0092]以下でより詳細に説明されるように、大腿動脈は、鼠径靭帯の中点よりわずかに下の大腿三角の底部でアクセスされ、カニューレが導入され得る。カテーテルは、このアクセス部位を介して大腿動脈に経皮的に挿入され、腸骨動脈及び大動脈を通過し、左腎動脈内又は右腎動脈内のいずれかに置かれ得る。これは、それぞれの腎動脈及び/又は他の腎血管への最小侵襲性アクセスを提供する、血管内経路を含む。
【0071】
[0093]手首、上腕、及び肩の領域は、動脈系へのカテーテル導入のための他の場所を提供する。たとえば、橈骨動脈、上腕動脈、又は腋窩動脈のいずれかのカテーテル治療は、特定の場合に利用され得る。これらのアクセス箇所を通って導入されたカテーテルは、標準的な血管造影法を使用して、左側の鎖骨下動脈を通過し(又は右側の鎖骨下動脈及び腕頭動脈を経由して)、大動脈弓を通過し、下行大動脈を下って、腎動脈に入り得る。
4. 腎脈管構造の性質及び特性
[0094]左及び/又は右腎神経叢(RP)の神経調節は、血管内アクセスを経て、本技術にしたがって、実現できるので、腎脈管構造の性質及び特性は、かかる腎神経調節を実現させるための装置、システム、及び方法の設計に制約を課し、且つ/又は情報を与え得る。こうした性質及び特性のいくつかは、患者集団全体で、且つ/又は特定の患者の体内で時間によって、並びに高血圧、慢性腎疾患、血管疾患、末期腎疾患、インスリン抵抗性、糖尿病、代謝症候群などの疾患状態に応じて、異なり得る。本明細書で説明されているように、こうした性質及び特性は、処置の有効性及び血管内デバイスの特定の設計に関係し得る。対象となる性質は、たとえば、材料的/機械的、空間的、流体力学的/血行力学的、及び/又は熱力学的性質を含み得る。
【0072】
[0095]前に論じられたように、カテーテルは、最小侵襲的な血管内経路を通って、左腎動脈又は右腎動脈のいずれかに経皮的に進み得る。しかし、たとえば、カテーテルを使用して通常アクセスされる他のいくつかの動脈と比較して、腎動脈は非常に曲がりくねっていることが多く、比較的小径な場合があり、且つ/又は長さが比較的短い場合があるので、最小侵襲的な腎動脈へのアクセスは困難であり得る。さらに、腎動脈アテローム性動脈硬化症は、多くの患者、特に心血管疾患の患者によく見られる。腎動脈の解剖学的構造はまた、患者によっても大きく異なる場合があり、それが最小侵襲的なアクセスをさらに難しくする。たとえば、相対的な屈曲度、直径、長さ、及び/又はアテローム斑の負荷、並びに腎動脈が大動脈から分岐する箇所での分岐角度において、患者間でかなりのばらつきが見られ得る。血管内アクセスによって腎神経調節を実現させるための装置、システム、及び方法は、腎動脈に最小侵襲的にアクセスするときに、腎動脈の解剖学的構造のこうした側面及び他の側面、並びに患者集団全体での腎動脈の解剖学的構造のばらつきを考慮する必要がある。
【0073】
[0096]腎動脈のアクセスを難しくすることに加えて、腎臓の解剖学的構造の細部はまた、神経調節装置と腎動脈の管腔表面又は壁との間の安定した接触の確立を難しくする。たとえば、腎動脈内の狭い空間だけでなく動脈の屈曲によって、誘導が妨げられる場合がある。さらに、一貫した接触を確立することが、患者の動き、呼吸、及び/又は心周期のため困難である。というのは、これらの要因が大動脈に対する腎動脈の著しい動きを引き起こすことがあり、心周期が腎動脈を一時的に拡張させ得るからである(すなわち、動脈壁に脈動を引き起こす)。
【0074】
[0097]腎動脈にアクセスし、神経調節装置と動脈の管腔表面との間で安定した接触を円滑にした後でさえも、動脈の外膜内及び外膜の周りの神経は、神経調節装置によって安全に調節される必要がある。腎動脈内から効果的に熱による加療を施すことは、かかる加療に関連する、潜在的な臨床的合併症を考えると、重要なことである。たとえば、腎動脈の内膜及び中膜は、熱傷に対して非常に脆弱である。以下でより詳細に論じられるように、血管内腔を血管の外膜から分離する内膜-中膜の厚さは、標的腎神経が、動脈の内腔表面から数ミリメートル離れている場合があることを意味する。標的腎神経を調節するために、壁が凍結、乾燥、さもなければ望ましくないほど潜在的に影響を受ける程度まで、血管壁を過度に冷却又は加熱することなく、十分なエネルギーが標的腎神経に送達され、又は標的腎神経から熱が取り除かれる必要がある。過度の加熱に関連する潜在的な臨床的合併症は、動脈を流れる血液の凝固による血栓形成である。この血栓が腎臓梗塞を引き起こし、それにより腎臓に不可逆的なダメージをもたらす場合があることを考えると、腎動脈内からの熱による加療は慎重に適用される必要がある。したがって、腎動脈内からのエネルギー印加(たとえば、熱エネルギー加熱)及び/又は組織からの熱除去(たとえば、熱状態冷却)において、加療中に腎動脈に存在する複雑な流体力学及び熱力学的条件、特に加療部位での熱伝達ダイナミクスに影響を与える可能性がある条件は、重要であり得る。
【0075】
[0098]加療位置も臨床効果に影響を与え得るので、神経調節装置はまた、腎動脈内でのエネルギー送達要素の調整可能な位置決め及び再配置を可能にするよう構成される必要がある。たとえば、腎神経が腎動脈の周りに周方向に間隔をあけて配置され得ることを考えると、腎動脈内から全周方向への加療を施すことは魅力的であり得る。いくつかの状況では、連続する周方向の加療によっておそらく生じる周回する損傷が、腎動脈狭窄症に関係する可能性があり得る。したがって、腎動脈の長手方向の次元に沿ったより複雑な損傷の形成、及び/又は複数の加療位置への神経調節装置の再配置が望ましい場合がある。しかし、周方向の焼灼を作り出すことの利点は、腎動脈狭窄症の可能性よりも重要であり得るか、又は特定の実施形態若しくは特定の患者では減じられる可能性があり、周方向の焼灼を作り出すことが目標であり得ることに留意されたい。さらに、神経調節装置の可変的な位置決め及び再配置は、腎動脈が特に曲がりくねっている状況、又は腎動脈の主血管から離れた近位分岐血管があり、特定の位置での加療を難しくしている状況で、有用であると証明できる。腎動脈内のデバイスの操作はまた、腎動脈に接するデバイスによって負わされる機械的傷害も考慮する必要がある。たとえば、挿入すること、操作すること、屈曲部を通り抜けることなどによる動脈内のデバイスの動きは、切開、穿孔、内膜の露出、又は内弾性板の破壊の原因となり得る。
【0076】
[0099]腎動脈を通る血流は、合併症を最小限に抑えるか、又は合併症なしに、短時間一時的に閉塞され得る。しかし、虚血などの腎臓への危害を防ぐために、かなりの時間の閉塞は回避される必要がある。すべての閉塞を回避すること、又は閉塞が該実施形態にとって有益である場合、閉塞の持続時間を、たとえば2~5分に制限することは有益であり得る。
【0077】
[0100]上記の課題(1)腎動脈介入治療、(2)血管壁に対する加療要素の一貫して安定した配置、(3)血管壁を介する加療の効果的な適用、(4)複数の加療位置を可能にするための、加療装置の位置決め及び場合によっては再配置、並びに(5)血流閉塞を回避、又は血流閉塞の持続時間を制限することに基づいて、対象となり得る腎脈管構造の様々な独立した性質、及び依存する性質は、たとえば、(a)血管径、血管の長さ、内膜-中膜の厚さ、摩擦係数、及び屈曲度、(b)血管壁の伸張性、硬さ、及び弾性率、(c)収縮期最高血流速度、拡張終期血流速度だけでなく、平均収縮期-拡張期最高血流速度、及び平均/最大容積血流量、(d)血液及び/若しくは血管壁の比熱容量、血液及び/若しくは血管壁の熱伝導率、並びに/又は血管壁加療部位を通過する血流の熱伝達率及び/若しくは放射熱伝達、(e)呼吸、患者の動き、及び/又は血流の拍動によって誘発される、大動脈に対する腎動脈の動き、そして(f)大動脈に対する腎動脈の分岐角度、を含む。これらの性質は、腎動脈に関してより詳細に議論されることになる。しかし、腎神経調節を実現させるために利用される装置、システム、及び方法に依存して、腎動脈のかかる性質はまた、設計の特性を導き、且つ/又は制約し得る。
【0078】
[0101]上記のように、腎動脈内に位置決めされる装置は、動脈の幾何形状に適合する必要がある。腎動脈血管直径、DRAは、通常は約2~10mmの範囲内にあり、患者集団のほとんどは、DRAが約4mmから約8mmで、平均は約6mmである。大動脈/腎動脈接合部での腎動脈の小孔と腎動脈の遠位分岐部との間の腎動脈血管長、LRAは、通常約5~70mmの範囲内にあり、患者集団のかなりの部分は、約20~50mmの範囲内にある。標的腎神経叢は、腎動脈の外膜内に埋め込まれているので、複合した内膜-中膜の厚さ、IMT(Intima-Media Thickness、すなわち、動脈の管腔表面から標的神経構造体を含む外膜までの、径方向外側の距離)も注目すべきであり、通常約0.5~2.5mmの範囲内にあり、平均約1.5mmである。加療のある一定の深度は、標的神経線維に到達するために重要であるが、加療は、非標的組織及び腎静脈などの解剖学的構造体を回避するために、深すぎてはいけない(たとえば、腎動脈の内壁から>5mm)。
【0079】
[0102]対象となり得る腎動脈のさらなる性質は、呼吸及び/又は血流の拍動によって誘発される、大動脈に関連する腎臓の動きの程度である。腎動脈の遠位端にある患者の腎臓は、頭蓋のように呼吸可動域と共に、10.16センチメートル(4”)も動き得る。これは、大動脈と腎臓とを接続する腎動脈にかなりの動きを与える可能性があり、それにより神経調節装置には、呼吸周期の間、エネルギー送達要素と血管壁との間の接触を維持するための、剛性と柔軟性との独特のバランスが必要となる。さらに、腎動脈と大動脈との間の分岐角度は、患者間で大幅に異なることがあり、また、たとえば、腎臓の動きにより、一患者の中でも動的に変化することもある。分岐角度は、概して、約30°~135°の範囲内にあり得る。
F.さらなる例
[0103]本技術のいくつかの態様が、以下の例で示される。
1.
血管内に、ヒトの患者の腎血管内の加療部位に配置されるよう構成された、遠位部分を有する細長いシャフト、
シャフトの遠位部分に沿って、間隔を置いて配置された複数の電極であって、神経調節エネルギーを加療部位の、又は加療部位に隣接する標的神経に送達するよう構成される電極、及び
電極に近接する灌注出口
を具備するカテーテルと、
神経調節要素に通信可能に結合されるよう構成されたコントローラであって、さらに、電極及び加療部位の、又は加療部位に隣接する組織のうちの、少なくとも一方のパラメータを監視するよう構成されるコントローラと
を備える神経調節システムであって、
灌注出口は、監視されるパラメータに対応するコントローラからの命令に少なくとも部分的に基づいて、灌注液を第1の方向に向けるよう構成される、神経調節システム。
2.
第1の方向は、腎血管の長手方向軸と平行である、例1の神経調節システム。
3.
患者の体外にあり、複数の電極及びコントローラと電気的に結合されたエネルギー発生器と、
灌注出口及びコントローラと動作可能に結合された灌注ポンプと
をさらに備え、コントローラはさらに、エネルギー発生器に電極を通して神経調節エネルギーを送達させ、灌注ポンプに灌注出口を通して灌注液を送達させるよう構成される、例1の神経調節システム。
4.
コントローラはさらに、
パラメータを所定のパラメータプロファイルの範囲と比較し、
パラメータが範囲内に入る場合、エネルギー発生器に、制御アルゴリズムにしたがった電力レベルで神経調節エネルギーを送達させ、
パラメータが範囲内に入る場合、エネルギー発生器に、制御アルゴリズムにしたがった温度及び流量で灌注液を送達させ、且つ
パラメータが範囲外にある場合、制御アルゴリズムを修正し、エネルギー及び灌注液の少なくとも一方の特性を調整する
よう構成される、例3の神経調節システム。
5.
パラメータは、電極のうちの1つの温度であり、特性は、エネルギーが送達される電力レベルであり、コントローラは、電極の温度が範囲外にある場合、電力レベルを低下させるよう構成される、例4の神経調節システム。
6.
パラメータは、電極のうちの1つの温度であり、特性は、エネルギーが送達される電力レベルであり、コントローラは、電極の温度が範囲外にある場合、電力レベルを一定のまま保持するか、又は電力レベルを低下させるよう構成される、例4の神経調節システム。
7.
パラメータは、電極のうちの1つの温度であり、特性は、灌注液が送達される流量又は温度であり、コントローラは、電極の温度が範囲外にある場合、灌注液が送達される流量を増加させるか、又は温度を低下させるよう構成される、例4又は例6の神経調節システム。
8.
血管内に、ヒトの患者の血管内の加療部位に配置されるサイズに作られ、成形された、遠位部分を有する細長いシャフト、
無線周波数(RF)エネルギーを加療部位の、又は加療部位に隣接する標的神経に送達するよう構成された電極であって、制御アルゴリズムにしたがってRFエネルギーを送達するよう構成される電極、及び
制御アルゴリズムにしたがって灌注液を放出するよう配置された複数の灌注出口
を具備する神経調節カテーテルと、
複数の灌注出口に連結された灌注ポンプであって、複数の灌注出口を通して灌注液を加療部位に送達するよう構成された灌注ポンプと、
患者の体外にあり、電極及び灌注ポンプに結合されたエネルギー発生器であって、RFエネルギーを、電極を通して標的神経に送達するよう構成されるエネルギー発生器と、
電極、エネルギー発生器、及び灌注ポンプに通信可能に結合されたコントローラであって、さらに、電極及び加療部位の、又は加療部位に隣接する組織のうちの、少なくとも一方のパラメータを監視するよう構成されるコントローラと
を備えるシステム。
9.
複数の灌注出口の第1のサブセットは、電極の近位に配置され、灌注出口の第1のサブセットはそれぞれ、灌注液を第1の方向に向けるように方向を合わせられる、例8のシステム。
10.
電極は、第1の電極であり、システムは、第1の電極から間隔を置いて配置された、細長いシャフト上の第2の電極をさらに備え、第2の電極は、第1の電極と細長いシャフトの遠位端との間に配置され、第1のサブセットは、灌注液が第2の電極を冷却するように、灌注液を放出するよう構成される、例9のシステム。
11.
複数の灌注出口が、細長いシャフト上の、電極と細長いシャフトの近位部分との間に配置される、例8のシステム。
12.
複数の灌注出口はそれぞれ、細長いシャフトから径方向外側へ灌注液を向けるように方向を合わせられる、例10のシステム。
13.
神経調節カテーテルは、灌注リングをさらに備え、複数の灌注出口が灌注リング上に配置される、例8のシステム。
14.
パラメータは、電極の温度であり、コントローラはさらに、電極の温度を所定の温度プロファイルの範囲内に維持しながら、エネルギー発生器が神経調節エネルギーを送達する電力レベルを増加させるよう構成される、例8のシステム。
15.
コントローラが電力レベルを増加させる間に、コントローラはさらに、灌注ポンプが灌注液を送達する(i)流量を維持若しくは増加させ、且つ/又は(ii)温度を維持するか若しくは低下させるよう構成される、例14のシステム。
16.
コントローラは、灌注液の流量を増加させた場合にのみ、且つ/又は灌注液の温度を低下させた場合にのみ、電力レベルを増加させるよう構成される、例15のシステム。
17.
コントローラは、灌注ポンプによって送達される灌注液が最大流量及び/又は最低温度に達したときに、エネルギー発生器が神経調節エネルギーを送達する電力レベルを、エネルギー発生器が増加させるのを止めるよう構成される、例8のシステム。
18.
ヒトの患者の腎血管内の加療部位に神経調節カテーテルを配置するステップであって、神経調節カテーテルは、1つ又は複数の電極及び1つ又は複数の灌注出口を具備する加療組立体を備えるステップと、
1つ又は複数の電極が加療部位で血管に接触するように、加療組立体を展開するステップと、
制御アルゴリズムにしたがって、1つ又は複数の電極を通して神経調節エネルギーを送達するステップと、
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は加療部位の、若しくは加療部位に近接する血管の組織の温度を監視するステップと、
神経調節エネルギー及び監視された温度に、少なくとも部分的に対応する灌注液を、1つ又は複数の灌注出口を通して送達するステップと
を含む、方法。
19.
制御アルゴリズムにしたがって神経調節エネルギーを送達するステップは、神経調節エネルギーの電力レベルを増加させるステップを含み、灌注液を送達するステップは、増加する電力レベルに対応して、流量を増加させ、且つ/又は温度を低下させた灌注液を送達するステップを含む、例18の方法。
20.
電力レベルが増加している間、1つ又は複数の電極の温度を一定に、且つ/又は許容可能な温度範囲内に維持するステップをさらに含む、例19の方法。
21.
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度を、所定の温度プロファイルの範囲と比較するステップをさらに含み、制御アルゴリズムにしたがって神経調節エネルギーを送達するステップは、
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度が範囲外にある場合、神経調節エネルギーの電力レベルを維持又は減少させるステップ、並びに/或いは
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度が範囲外にある場合、電力レベルをより遅い速度で増加させるステップ
を含む、例18の方法。
22.
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度を、所定の温度プロファイルの範囲と比較するステップをさらに含み、灌注液を送達するステップは、1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度が範囲外にある場合、流量を増加させ、且つ/又は温度を低下させた灌注液を送達するステップを含む、例18の方法。
23.
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度を、所定の温度プロファイルの範囲と比較するステップと、
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度が範囲外にある場合、1つ又は複数の灌注出口を通して灌注液を加療部位に送達するステップと、
1つ若しくは複数の電極の温度及び/又は組織の温度が範囲内にある場合、神経調節エネルギーが送達される電力レベルを増加させるステップと
をさらに含む、例18の方法。
終わりに
[0104]本技術の実施形態の上記の詳細な説明では、網羅的であること、又は本技術を上記に開示された正確な形態に限定することは意図されていない。本技術の特定の実施形態及び本技術の例が、例示する目的で上記に説明されているが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の修正が可能である。たとえば、ステップは所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、異なる順序でステップを実行できる。さらに、本明細書で説明される様々な実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するために組み合わされてもよい。
【0080】
[0105]本技術の特定の実施形態が本明細書で、例示する目的で説明されてきたが、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られた構造及び機能は、詳細に図示されていないか、又は説明されていないことが、上記から理解されよう。文脈上可能である場合、単数又は複数の用語は、それぞれ複数又は単数の用語も含み得る。さらに、「or」という単語が、2つ以上の項目のリストに関して、他の項目とは排他的な単一の項目だけを意味すると明示的に限定されていない限り、かかるリストでの「or」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の項目、(b)リスト内のすべての項目、又は(c)リスト内の項目の任意の組合せを含むものとして解釈されるべきである。文脈上可能である場合、単数又は複数の用語は、それぞれ複数又は単数の用語も含み得る。さらに、用語「comprising」、「including」、「having」及び「with」は、任意のより多数の同じ特徴及び/又はさらなる種類の他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙された特徴を有することを意味するために、全体にわたって使用される。
【0081】
[0106]上記から、本技術から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることも理解されよう。たとえば、本技術の様々な構成要素は、2次構成要素にさらに分割されてもよく、又は本技術の様々な構成要素及び機能は、組み合わされ、且つ/若しくは統合されてもよい。さらに、本技術の特定の実施形態に関連する利点が、そうした実施形態の観点で説明されてきたが、他の実施形態もまたかかる利点を示すことがあり、すべての実施形態が、必ずしもかかる利点が本技術の範囲に入ることを示す必要はない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書に明示的に図示されていないか又は説明されていない他の実施形態を包含できる。