(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】水浄化システム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 1/22 20060101AFI20240228BHJP
B01D 1/28 20060101ALI20240228BHJP
B01D 3/08 20060101ALI20240228BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20240228BHJP
C02F 1/08 20230101ALI20240228BHJP
【FI】
B01D1/22 B
B01D1/28
B01D3/08
B01D5/00 Z
C02F1/08
(21)【出願番号】P 2020570412
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(86)【国際出願番号】 US2019021043
(87)【国際公開番号】W WO2019173535
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520343010
【氏名又は名称】ビタリー スティーヴン
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ビタリー スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ビタリー ジャック
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-503373(JP,A)
【文献】米国特許第02734023(US,A)
【文献】米国特許第03764483(US,A)
【文献】特表2013-530835(JP,A)
【文献】米国特許第06908533(US,B1)
【文献】米国特許第03136707(US,A)
【文献】米国特許第03190817(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 1/00-30
B01D 3/00-42
B01D 5/00
B63J 1/00
C02F 1/04-18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染水から汚染物質を除去して飲料水を生成するための処理装置であって、
a) 少なくとも1つの密封されたハウジングに取り付けられたボイラー凝縮器アセンブリと圧縮機ユニットと、
b) 熱伝導性材料の薄壁で形成された少なくとも1つの円筒形シェルであって、各シェルは、頂部、底部、内側、ボイラー表面および外側、凝縮器表面を有し、各シェルは、回転縦軸を中心に回転する、円筒形シェルを含むボイラー凝縮器アセンブリと、
c) 汚染水を水源から各内部、ボイラー表面に向けるように配置された汚染水入口であって、ボイラー凝縮器アセンブリが回転するとき、各シェルは十分な回転速度で回転するため、内側、ボイラー表面に到達した汚染水は内側、ボイラー表面に押し付けられ、水が内側、ボイラー表面で沸騰するまたは、沸騰せず、蒸気にならない汚染水は廃水になる汚染水入口と、
d) 低圧入口および高圧出口を備えた圧縮機を有する圧縮機ユニットと、
e) 各シェルの内部、ボイラー表面と連絡している圧縮機の前記低圧入口であって、圧縮機入口により、圧縮機は内側、ボイラー表面からの蒸気の圧力を上げるように適合し、並びに、各シェルの外側、凝縮器表面と連絡している圧縮機の前記高圧出口であって、シェルの外側、凝縮器表面で蒸気が飲料水として凝縮し、凝縮からのエネルギーが熱を伝達し、各シェルの温度を十分に上昇させて、内側、ボイラー表面で水を沸騰させる圧縮機出口と、
f) 外側、凝縮器表面から凝縮水を除去するために、外側、凝縮器表面に接触するように配置された少なくとも1つのワイパーと、
を含む処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、前記少なくとも1つの密封されたハウジングが、上部領域および下部領域を有するハウジング、上部領域に取り付けられている圧縮機ユニット、下部領域に取り付けられているボイラー凝縮器アセンブリ、並びにボイラー凝縮器アセンブリの上にある圧縮機ユニットを含む処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の処理装置であって、前記少なくとも1つの密封されたハウジングは、単一のハウジングであり、モーターが、前記単一のハウジングの外側に取り付けられ、前記モーターは、少なくとも1つのハウジングの外側に第1の回転部材を有していて、前記モーターに動作可能に接続された磁気カプラをさらに備え、単一のハウジングの内部に取り付けられた第2の回転部材を有していて、前記圧縮機に動作可能に接続された第2回転部材を備える処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の処理装置であって、少なくとも2つの同心シェルをさらに備えていて、各シェルは、少なくとも1つの他のシェルに動作可能に接続されているため、前記シェルが一緒に回転する処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の処理装置であって、前記少なくとも1つのシェルの内部のボイラー表面と接触する少なくとも1つのボイラーワイパーをさらに備える処理装置。
【請求項6】
請求項1記載の処理装置であって、沸騰および凝縮する蒸気の通過を遮断する少なくとも1つの回転蒸気シールをさらに備える処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の処理装置であって、前記圧縮機を出る蒸気の圧力を、ボイラー表面の内側で沸騰させたときの蒸気の圧力よりも高い圧力に上昇させるように構成された前記圧縮機、高圧蒸気を低圧蒸気から分離する少なくとも1つのシールと、ボイラー凝縮器アセンブリの回転に伴って回転するように取り付けられたチャネルを含む前記少なくとも1つのシールと、回転軸から離れて延びる遠位部分、及び遠位部分の反対側の近位部分を有する前記チャネルと、液体、回転軸から離れて前記チャネル内に延在する固定ディスクを含み、前記チャネル内の液体を互いに流体連絡する第1の部分および第2の部分に分割し、第1の部分は低圧蒸気に曝され、第2の部分は高圧蒸気に曝され、チャネルの回転が液体をチャネルの遠位部分に保持する前記チャネルと、シェルが回転するとき、液体の第1部分と第2部分をディスクの両側に維持するだけの、近位部分から遠位部分まで十分な長さを有する前記チャネルを含む処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の処理装置であって、前記汚染水入口は、前記チャネルの近位部分の近くに汚染水を導くための少なくとも1つのシールのチャネルの近くに配置された端部を有する処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の処理装置であって、これは、前記少なくとも1つのシェルと回転軸との間にある第1のフレームワークアセンブリと、前記第1のフレームワークアセンブリと前記少なくとも1つのシェルの沸騰表面との間に沸騰チャンバを作成する前記第1のフレームワークアセンブリと、前記少なくとも1つのシェルの上にある前記沸騰チャンバ内の蒸気の流れを遮断するが、前記少なくとも1つのシェルの下にある前記沸騰チャンバ内の蒸気の流れを可能にするために取り付けられた前記第1のフレームワークアセンブリと、前記少なくとも1つのシェル及び回転軸の半径方向外向きに取り付けられた第2のフレームワークアセンブリ回転軸と、第2のフレームワークアセンブリと前記少なくとも1つのシェルの外側、凝縮器表面との間に凝縮器チャンバを形成する第2のフレームワークアセンブリと、蒸気が前記少なくとも1つのシェルから前記凝縮器チャンバに流れることを可能にするが、前記少なくとも1つのシェルの下にある前記凝縮器チャンバ内で蒸気が流れることを阻止するために取り付けられた第2のフレームワークアセンブリを含む処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の処理装置であって、これにより、前記少なくとも1つの密封されたハウジングが単一のハウジングであり、1つのキャニスタが前記単一のハウジングの少なくとも一部を取り囲み、前記単一のハウジングと前記キャニスタとの間に空間を形成し、前記キャニスタは汚染水源に接続されている処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の処理装置であって、ボイラー凝縮器アセンブリの回転に伴って回転するように取り付けられたチャネルを含む第2のシールと、回転軸から離れて延びる遠位部分と、遠位部分の反対側の近位部分を含む前記チャネルと、液体を収納する前記チャネルと、回転軸から離れてチャネル内に延び、チャネル内の液体を、互いに流体通信する第1の部分と第2の部分に分割する固定ディスクと、低圧蒸気に曝される前記第1の部分と、高圧蒸気に曝される前記第2の部分と、第1および第2の部分が液体で満たされているときに、内側、ボイラー表面蒸気からの廃水が近位部分を通過するように配置される前記第2のシールを含み、チャネルの回転が水をチャネルに導く処理装置。
【請求項12】
請求項1の処理装置であって、真水出口と、外側、凝縮器表面から除去された真水を受け入れるように配置された一端を有する前記真水出口と、前記真水出口の他方の端に取り付けられて、真水の圧力を少なくとも周囲圧力まで上げる真水加圧手段とをさらに含む処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の処理装置であって、真水ピトーポンプを含む前記真水加圧手段と、真水出口から真水を受け取る回転チャンバを含む真水ピトーポンプと、回転チャンバ内の両端を有するピトー管とを含み、前記ピトー管の第1の端は真水に面して、回転チャンバが回転するときに、真水が回転チャンバ内を移動してピトー管内の真水の圧力を上げ、前記ピトー管の第2の端は処理装置の外側に伸びているため、真水は少なくとも周囲圧力で流れることを特徴とする処理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の処理装置であって、廃水出口と、外側、凝縮器表面から除去された廃水を受け入れるように配置された前記廃水出口と、廃水の圧力を、少なくとも周囲圧力まで上げるために廃水出口の他端に取り付けられた廃水加圧手段とをさらに含む処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の処理装置であって、廃水ピトーポンプを含む前記廃水加圧手段と、廃水出口から廃水を受け取る回転チャンバを含む廃水ピトーポンプと、回転チャンバ内の両端を有するピトー管とを含み、前記ピトー管の第1の端は回転チャンバ内で廃水に面していて、回転チャンバが回転するときに、ピトー管内の廃水が回転チャンバ内を移動してピトー管内の廃水の圧力を上げ、前記ピトー管の第2の端は処理装置の外側に延びていて、廃水が少なくとも周囲圧力で流れることができることを特徴とする処理装置。
【請求項16】
請求項12に記載の処理装置であって、真水出口に接続された真水ピトーポンプと、回転軸を中心に回転するチャンバを含む真水ピトーポンプと、真水出口からの真水を受け取る前記真水ピトーポンプと、2つの端がある回転チャンバ内のピトー管とをさらに含み、前記ピトー管の第1の端は回転チャンバ内の動く真水に面していて、回転チャンバが回転するとき、ピトー管内の真水の圧力が上昇し、前記ピトー管の第2の端は処理装置の外側に延びていて、真水は少なくとも周囲圧力で流れることができることを特徴とし、処理装置は、廃水出口と、廃水出口に接続している廃水ピトーポンプと、回転軸を中心に回転するチャンバを含む廃水ピトーポンプと廃水出口からの廃水を受け取るピトーポンプと、2つの端がある回転チャンバ内にあるピトー管とをさらに含み、前記ピトー管の第1の端は回転チャンバ内の動く廃水に面していて、回転チャンバが回転するとき、ピトー管内の廃水の圧力が上昇し、ピトー管の第2の端は処理装置の外側に延びていて、廃水は少なくとも周囲圧力で流れることができることを特徴とし、真水チャンバの回転軸は、廃水チャンバの回転軸と平行であることを特徴とする処理装置。
【請求項17】
請求項1の処理装置であって、前記圧縮機ユニットは圧縮機ハウジングを有し、圧縮機は圧縮機ハウジングに取り付けられていて、圧縮機ハウジングは、基部、円筒形外壁及び頂部を有し、円筒形外壁は、圧縮機により加圧された蒸気が円筒形外壁から流出するように開口部を有することを特徴とする処理装置。
【請求項18】
請求項17に記載の処理装置であって、前記密封されたハウジングは、下部ハウジングプレート、上部ハウジングプレート、及び下部ハウジングプレートと上部ハウジングプレートとの間に延びる外壁を含み、処理装置は、圧縮機ハウジングの基部と下部ハウジングプレートとの間の圧縮機ハウジングサポートをさらに含み、圧縮機ハウジングサポートは、ボイラー外側表面から圧縮機への蒸気の経路において少なくとも1つの開口部を有することを特徴とする処理装置。
【請求項19】
請求項1に記載の処理装置であって、1つのモーターと、運動を前記モーターから前記圧縮機に、また前記ブロワーから前記少なくとも1つのシェルに伝達するためのトランスミッションとをさらに含む処理装置。
【請求項20】
請求項19に記載の処理装置であって、前記トランスミッションは、互いに動作可能に接続された様々な直径の歯車を含み、前記歯車は、前記ボイラー凝縮器アセンブリの回転速度よりも大きい回転速度で前記圧縮機を回転させるようなサイズであることを特徴とする処理装置。
【請求項21】
請求項1に記載の処理装置であって、センターポストをさらに含み、前記ボイラー凝縮器アセンブリは、
円筒形側壁、ドーム及びディスク形状のベアリングサポート、前記センターポストの近くの内側と前記内側から離間した外側とを有する前記ベアリングサポート、前記ベアリングサポートの前記外側から直立して延びる円筒壁と、
ハブであって、ベアリングサポートの近くに、前記ハブに取り付けられていて、離間している少なくとも1つのアームを含み、センターポストの周りを回転するように取り付けられている前記ハブと、
センターポストに固定され、シェルの内側、ボイラー表面からの廃水の経路の位置にある前記少なくとも1つのシェルの下に取り付けられたダイバータと、
ダイバータを貫通する少なくとも1つの開口部を有し、各開口部は、ハブとベアリングサポートの内側との間の空間の上に配置されたダイバータを貫通することを特徴とするダイバータと、
を含む処理装置。
【請求項22】
請求項1の処理装置であって、ボイラー凝縮器アセンブリは、
円筒形側壁、ドーム及びディスク形状のベアリングサポート、センターポストの近くの内側と前記内側から離間した外側とを有する前記ベアリングサポート、前記ベアリングサポートの前記外側から直立して延びる円筒壁と、
シェルの回転軸に対して半径方向外向きに取り付けられたフレームワークアセンブリで、前記フレームワークアセンブリとシェルの外側、凝縮器表面との間に凝縮器チャンバを作成する前記フレームワークアセンブリと、
前記シェルの前記底部から遠く、前記シェルの前記頂部に近い、角度の付いたブレースを有する前記フレームワークアセンブリと、
前記フレームワークアセンブリから水を受け取るように配置された前記円筒形側壁の開口部と、
円筒形側壁の開口部から水を受け取るように配置されたチャネルと、
を含む処理装置。
【請求項23】
請求項1に記載の処理装置であって、前記少なくとも1つの密封されたハウジングに作用する熱源をさらに備える処理装置。
【請求項24】
請求項1に記載の処理装置であって、前記圧縮機は、圧縮機を出る蒸気の圧力を、それが前記内側、ボイラー表面で沸騰したときの蒸気の圧力よりも高い圧力に上昇させる処理装置であって、
a)高圧蒸気を低圧蒸気から分離する少なくとも1つのシールであって、ボイラー凝縮器アセンブリの回転に伴って回転するように取り付けられたチャネルを含む前記少なくとも1つのシールと、回転軸から離れて延びる遠位部分と遠位部分の反対側の近位部分とを有する前記チャネルと、液体を含む前記チャネルと、回転軸から離れて前記チャネル内に延在し、前記チャネル内の液体を互いに流体連絡する第1の部分および第2の部分に分割する固定ディスクと、低圧蒸気に曝される前記第1の部分と、高圧蒸気に曝される前記第2の部分とを含み、これにおいて、前記チャネルの回転は液体を前記チャネルの遠位部分に保持し、前記チャネルは近位部分から遠位部分まで十分な長さを有し、前記シェルが回転するとき、液体の第1部分と第2部分をディスクの両側に維持し、
b)前記チャネルに液体を供給するために、汚染水源から少なくとも1つのシールまで延びるチューブを含む処理装置。
【請求項25】
汚染水から汚染物質を除去するための処理装置は、
a) 汚染水が近真空で沸騰し、気圧が最高で大気圧以上になる、近真空から大気圧以上までを保持することができる密封されたハウジングと、
b) 前記密封されたハウジングに取り付けられたボイラー凝縮器ユニットであって、回転縦軸の周りを回転するように取り付けられた熱伝導性材料のシェルを少なくとも1つ有し、各シェルは、回転縦軸にほぼ平行であり、各シェルは、回転縦軸に面する内側のボイラー表面と、回転縦軸とは反対に面する外側、凝縮器表面を有することを特徴とするボイラー凝縮器ユニットと、
c) ボイラー凝縮器ユニット内を流れて、各シェルの内側、ボイラー表面に到達する汚染水源であって、各シェルの内側、ボイラー表面は、前記密封されたハウジング内の真空圧で内側、ボイラー表面から汚染水を沸騰させて、少なくとも一部の汚染水を蒸気に変換することを特徴とする汚染水源と、
d) 低圧側と高圧側を有する圧縮機であって、圧縮機は各シェルの内側、ボイラー表面で沸騰した蒸気を受け入れるように取り付けられており、蒸気の圧力を低圧側から高圧側に上昇させ、蒸気が各シェルの外側、凝縮器表面に当たって外側、凝縮器表面で凝縮するように、高圧の蒸気を各シェルの外側、凝縮器に導くように取り付けられた圧縮機と、
e)シェルの回転軸に対して半径方向外向きに取り付けられたフレームワークアセンブリであって、前記フレームワークアセンブリとシェルの外側、凝縮器表面との間に凝縮器チャンバを作成する前記フレームワークアセンブリと、
f) 各シェルを回転させるために各シェルに動作可能に接続されたモーターと、
g) 少なくとも1つの凝縮器表面と接触して配置された少なくとも1つのワイパーであって、外側、凝縮器表面が少なくとも1つのワイパーを越えて回転するときに、外側、凝縮器表面から凝縮物を除去する前記少なくとも1つのワイパーと、
h) 少なくとも1つのボイラー表面と接触して配置された少なくとも1つのワイパーと、内側、ボイラー表面が少なくとも1つのワイパーを越えて回転するときに、沸騰流体を薄膜化し、内側、ボイラー表面から廃水を除去する前記少なくとも1つのワイパーと、
を含む処理装置。
【請求項26】
汚染水から汚染物質を除去するためのプロセスであって、
a) 周囲温度で水が沸騰する近真空圧力までハウジングを真空引きするステップと、
b) ハウジングに取り付けられたボイラー凝縮器シェルを回転縦軸の周りで回転させるステップであって、これにおいて、ボイラー凝縮器シェルは、内側、ボイラー表面と外側、凝縮器表面とを有し、内側、ボイラー表面は外側、凝縮器表面よりも回転縦軸に近いステップと、
c) ボイラー凝縮器シェル内での沸騰から発生する蒸気を圧縮機に送るステップと、
d) 圧縮機内の蒸気の圧力を上げるステップと、
e) 高圧蒸気を圧縮機からボイラー凝縮器シェルの外側に導き、それによって蒸気がボイラー凝縮器シェルの外側で凝縮し、凝縮が熱エネルギーをボイラー凝縮器シェルに伝達されるステップと、
f) ボイラー凝縮器シェルの外側から凝縮液の少なくとも一部をワイプするステップと、
g) ボイラー凝縮器シェルから凝縮液を回収するステップと、
h) 内側、ボイラー表面から沸騰しなかった汚染水を回収するステップと、
を含むプロセス。
【請求項27】
請求項26に記載のプロセスであって、ハウジングを真空引きする前に、大気圧の蒸気をハウジングに注入することをさらに含むプロセス。
【請求項28】
汚染水から飲料水を得るための処理装置であって、
a) 近真空を保持できる真空ハウジングと、
b) 真空ハウジング内の前記近真空にさらされる真空ハウジング内のボイラー凝縮器アセンブリであって、回転縦軸の周りで一緒に回転する熱伝導性材料の少なくとも2つの同心的に取り付けられたシェルを含み、
前記少なくとも2つの同心的に取り付けられたシェルの各シェルは、内側、ボイラー表面と外側、凝縮器表面を有するボイラー凝縮器アセンブリと、
c) 真空ハウジングに取り付けられた圧縮機であって、低圧側及び高圧側を有し、各シェルの内側のボイラー表面で沸騰した蒸気を受け入れるように取り付けられていて、外側の凝縮器表面にぶつかる蒸気が、各シェルの外側の凝縮器表面で凝縮するように、高圧蒸気を各シェルの外側、凝縮器表面に導くように取り付けられている圧縮機と、
d) 汚染水源から、各シェルの内側、ボイラー表面に十分近い少なくとも1つの出口まで延びる入口であって、入口を出る汚染水は、各シェルの内側、ボイラー表面に到達し、各シェルの内側、ボイラー表面は、ハウジング内の真空圧であるボイラー表面から来る汚染水を沸騰させることができ、汚染水を蒸気に変換することを特徴とする入口と、
e) 圧縮機を通過する蒸気の温度を十分に上昇させて、シェルの内側、ボイラー表面で水を沸騰させるのに十分なエネルギーを各シェルに供給する前記圧縮機と、
f) 圧縮機とシェルを回転させるために、各シェルと圧縮機に動作可能に接続されたモーターと、
g) 各シェルの外側、凝縮器表面と接触し、少なくとも凝縮水の一部を除去する、少なくとも1つの凝縮器ワイパーと、
を含む処理装置。
【請求項29】
請求項28に記載の処理装置であって、各シェルの内側、ボイラー表面に接触し、そこで少なくとも水を拡散させる少なくとも1つのボイラーワイパーをさらに備える処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.分野:低コストで効率的な水浄化システム及びプロセスは、廃水又は他の汚染された水並びに他の液体を処理し、塩水を脱塩する。
【背景技術】
【0002】
2.関連出願:本出願は、2018年3月6日に提出された「水浄化システム及びプロセス」というタイトルの仮出願第62/639,399号に対する優先権を主張する。
【0003】
3.技術分野の状態:出願人の特許第6,695,951号(2004年)は、蒸留及び逆浸透(RO)を使用するものを含む先行技術の水浄化システムを記載する。また、この特許は、第’951号特許に先行するシステムの高いエネルギー及び資本コストについても説明する。出願人は、これらの説明と、’951号特許の残りを参考として援用する。
【0004】
国連は、1人当たり毎日20~50リットルの水を飲み、調理し、掃除するための基本的な必要を満たすことを示唆している。国連の報告によると、少なくとも18億人が糞便で汚染された飲料水源を使用していることを示唆している。毎日6,000人近くの子供が、予防可能な水と衛生関連疾患のために亡くなっている。より良い飲料水源を持つ世界人口の割合は、過去15年間で76%から90%以上に増加したものの、水不足は依然として数百万人に影響を及ぼしている。
【0005】
出願人らの第’951号特許は、廃水又は他の汚染された水及び塩水から安全な飲料水を生成するためのシステムを教示している。特許システムは、回転する薄いボイラー凝縮器シェルからの低圧低温沸騰に依存するが、これに限定されない。回転は、「遠心」力すなわち回転体を回転中心から遠ざける見かけの外向きの力を利用する。回転力によって流体層が薄くなり、熱伝導が向上する。このシステムは、熱力学的熱伝導の増大により、従来のシステムよりも少ない熱エネルギー消費で水を沸騰させることができる。このシステムは、凝縮器からの凝縮水の除去を遠心力で支援し、凝縮も向上させる。
【0006】
低温で動作することにより、汚染物質が、有害な化学反応を引き起こす可能性のある温度より低く保たれる。その反応は、ボイラーの熱伝導係数を減少させるスケールの蓄積を形成する。低温運転は、汚染物質が蒸気になり、沸騰した水蒸気と共に凝縮器に移動することを防止する。また、遠心力は、溶解及び懸濁した汚染物質が水蒸気と共に凝縮器に向かって移動することを防止するのにも役立つ。なぜなら、これらの遠心力により、汚染物質は廃棄物の流れに保持され、ボイラー表面に沿うように導かれ、そこから排水の一部として処理装置を出るからである。
【0007】
出願人の先の特許に記載されたシステムは複雑である。それらの資本コストは、従来の蒸留又はROシステムよりも低い場合があるが、各ユニットは、開発途上国の人々又はグループが持つ財産に対して相対的に高額になる場合がある。また、政府及びNGO資金は、すべての開発国でこれらのシステムの使用をサポートするのには不十分である可能性がある。
【0008】
また、多くの人のためにきれいな水を提供するために設計された大規模なシステムでは、水を分配するためのインフラストラクチャーが必要になることもある。システムがそれを稼働させるための電気へのアクセスできる場所にあるとしても、システムの所有者は、水を住宅、アパート、企業、政府機関、病院、学校又は共同放水口に供給するためのポンプ、バルブ、水道管、パイプ、及び他のコンポーネントを必要とする。また、集中型システムは政治的な統制を受け、テロリスト、犯罪者、及び政敵のターゲットになり得る。人々や家族は、自ら小型で複雑でない水浄化装置を使用することができ、集中型の水分配システムに結びつけられたより大きなシステムに依存することがない。
【0009】
第’951号特許は、ボイラー壁を自動的に清掃するサブシステム及びジェットスプレーノズルを備える。個々のユーザーがユニットを分解して、コンポーネントをすばやく清掃又は交換し、長いダウンタイムなしに再び稼働させることができるようにシステムが設計されているため、第’951号特許は清掃システムの必要性を回避できる。システムの所有者が自身のシステムを整備できない場合でも、システムを修復できる人が近隣に少なくとも1人いる可能性が高い。第’951号特許の他のサブシステムの一部は、個人が所有する小型の装置には不要な場合もある。
【0010】
第’951特許のボイラー凝縮器の薄い壁は高効率を実現したが、機械加工や成形にはコストがかかる可能性がある。先行特許のシステムは、同心の壁を有し、同一空間でより大きな出力を提供することができる。その設計はまた、同量の清浄水の出力に対して、配列されたユニットが占める面積が少なくて済む。通常、人が生活又は作業するために有している空間は小型のユニットには十分であるため、新しい各ユニットが占める空間はそれほど重要ではないかもしれない。
【0011】
ボイラー凝縮器の薄い壁に高い熱伝導率を有する金属を使用することは、重要である。壁の厚さは0.004インチ~0.015インチ(約0.10 mm~0.38 mm)である(単位変換値は概数である)。壁を厚くすることは可能だが、材料コストが増加し、伝導熱伝導が妨げられる。標準的な従来型ボイラーの壁の場合、鋼の熱伝導率は、約25 Btu/(ft. x hr. x °F) ≒ (43 W/m ℃)である。アルミニウムの熱伝導率は5倍高く、136 Btu/(ft. x hr. x °F) ≒ (235 W/m ℃)である。熱伝導率は温度や合金材料により異なるため、これらの数値は概数である。アルミニウムを陽極酸化処理して、非常に薄い(約6.35 x 10-6 mm)の保護酸化膜を形成することができる。膜は制御されない腐食及び酸化を防止し、導電性を低下させる。銅の熱伝導率はアルミニウムの約2倍だが、アルミニウムは安価であり(通常、銅価格の約1/4)、銅より入手可能で、軽量であり、形成が容易である。
【0012】
処理装置がオフの場合、過剰な流体及び汚染物質を排出することが役に立つことがある。それにより、ボイラー凝縮器の壁で汚染物質が乾燥したり、処理装置内で藻類や菌類が増殖したりすることを防止することができる。温風を循環させることや、処理装置を真空引きすることも、乾燥を促進する。
【0013】
システムは通常の交流電力を使用することができるが、低電力しか必要でないため、太陽光発電直流電力、12VDC車両バッテリー、又は他の電源を使用することが可能である。
【0014】
アルミニウム飲料缶(頂部又は底部を有しない)を製造するために使用される従来のプロセスで、ボイラー凝縮器壁を形成することができる。米国の会社は、毎年約1,000億(1 x 1011)のアルミニウム飲料缶を製造している。
【0015】
出願人のシステムは、衝撃押出形成による薄肉のアルミニウム円筒を使用することができる。このプロセスでは、閉じた円筒形状のダイに取り付けられたアルミニウムのディスク又はスラグを使用する。缶製造では、アルミニウムは通常、少量のマグネシウム及びマンガンで合金化される。パンチがスラグに衝突し、これによりアルミニウムがパンチの周りに流れ、円筒形状の缶を形成する。追加の処理により、缶は完成する。
【0016】
他のプロセスでもアルミニウム缶を製造できる。カッピングプレスは、板状アルミニウムから円形のディスクを切断して、浅いカップにする。一連のリングにより、カップの高さを伸ばす。カップが公称高さに達すると、頂部が切断され、カップは同じ高さになる。この場合も、追加の処理により缶が完成する。
【0017】
壁の厚さ0.004インチ(0.10 mm)の12オンス(335 ml)のアルミニウムソフトドリンク及びビール缶が、北米では標準である。標準的な缶の直径は約2.6インチ(6.6cm)である。欧州の標準的な飲料缶はより小型で、容量は330 ml(11.2オンス)である。ただし、サイズの異なるアルミ製の飲料缶も存在する。ビールメーカーは、16オンス(473 ml)、24オンス(710 ml)及び25オンス(740 ml)の缶でビールを販売しているが、いわゆる「エナジードリンク」は、小型の250 ml(8.5オンス)缶を使用する。特に北米以外では、他のサイズの缶を使用していることもある。このプロセスのためにより大型の缶(高さ及び直径)を使用すれば、スループットを増加させることができる。
【0018】
缶は安価であるので、小型の水浄化システムのボイラー凝縮器壁に、アルミニウム飲料缶(頂部と底部を有しない)を使用できる。缶はきわめて容易に入手できるため、それらの缶を使用すると、システムの製造コストを下げることができる。
【0019】
また、標準的な押出プロセス(すなわち、アルミニウムを一連のダイに通す)で、出願人のシステム用の薄肉のアルミニウム円筒を作成することができる。この方法を使用することにより、衝撃押出により形成される底部を切断する必要がなくなるものの、出願人のシステム及びプロセスは、頂部及び底部が切断された「使用済み」の缶を使用することができる。毎年製造される数十億の缶の一部を使用することは、安価で薄肉のアルミニウム円筒が即座に入手できるので、好適である。ただし、アルミニウム缶は、平均で70%のリサイクル金属を含有することがある、最もリサイクルされている消費者製品である。缶をリサイクルすること、リサイクルされた、又は新しいアルミニウムを使用することは、出願人のシステムの壁を製造するのに有益である。
【0020】
選択された直径及び長さの円筒形シェルを製作するための別の可能な方法は、厚さ0.004インチ~0.015インチ(約0.10 mm~0.38 mm)の薄板アルミニウムを使用して、専用の円筒形状の金型に巻き付けることである。それを、シームでわずかにシェルを重ね合わせて、スポット溶接又は接着することができる。
【0021】
どのような方法でアルミニウム円筒を製作するのであれ、適切な直径と高さを備える新品の円筒を製作するのが、おそらく、使用済みのアルミニウム飲料缶を使用するよりよいだろう。複数円筒を有するシステムには、異なる直径の円筒が必要である。このシステムは、出願人のシステムのために特に製作された円筒を必要とすることがある。
【0022】
真空容器に作用する外気圧は、海面位で14.7 psia(101 kPa)である。壁に対して内向きに作用する粉砕力に抵抗するのに必要な壁厚は、真空容器の直径に比例して増加する。容器の直径が比較的小さいために、真空下での総体積が小さい場合、真空チャンバの外壁を薄くすることができ、外気圧の下で潰れることなく、軽量の材料を使用できる。リブ付きハウジングを使用すると、壁の厚さを減らすことができる。このより小型のシステムは、第’951号特許が教示するシステムに優る利点を提供できる。
【0023】
第’951号特許が教示するように、ボイラー表面に対する流体の厚さを最小にすると、流体への熱伝導を大幅に改善することができる。ボイラー壁を十分速く回転させることにより、向心力“g”は、ボイラーシェル表面に、流体の薄い、ほぼ均一な膜、例えば約0.001インチ~0.002インチ(0.025 mm~0.051 mm)の膜を形成させる。
【発明の概要】
【0024】
「汚染水」は、望ましくない成分を含む水又は他の液体(「水」と「液体」は相互に交換可能である)を意味する。塩は人が水を飲むことを妨げるので、塩水は汚染水である。
【0025】
出願人の小型で低コストの処理装置は塩水、廃水、又は他の汚染水を飲料水に変換する。この処理装置は、2つの主要なサブシステム、すなわちボイラー凝縮器ユニットと圧縮機ユニットから構成される。両方とも、0.5 psia(約3.5 kPa 又は1.0 in-Hg)の低圧下で、対応する80°F(約26.7℃)の入口水温で動作する。入口水温が異なると、飽和温度-圧力に応じた異なる動作圧力が発生する。「真空」が使用される場合、それは高真空ではなく、低圧力を意味する。
【0026】
ボイラー凝縮器ユニットは、1つ以上の薄肉シェル、好ましくはアルミニウムのシェルを備える。シェルは、ボイラー凝縮器ユニット内で中程度の速度で一緒に回転する。各円筒形シェルは、ボイラー側に内側表面を有する。シェルの各外側表面は、凝縮器側にある。シェルの回転により、汚染水は各シェルの内部すなわちボイラー側に移動し、薄膜を形成する。ワイパーがボイラー側に接触又は近接していると、薄膜の形成が促進される。この入口汚染水は、シェルの内側表面上で(蒸発熱により)沸騰する。これは、処理装置圧力が初期真空ポンプダウン状態から入口水の一定の飽和圧力(典型的には周囲温度)まで上昇するからである。ボイラー側からの蒸発蒸気は、圧縮機に流入する。圧縮された蒸気は、シェルの凝縮器表面に流れ、そこで凝縮する。蒸気から液体への相転移(凝縮の熱)は、凝縮器表面に熱エネルギーを提供する。そのエネルギーは、凝縮器側からボイラー側へシェルを横切って移動する。凝縮器側の凝縮熱は、ボイラー側での蒸発熱(に、処理装置のさらなるエントロピー損失及び少量の非効率損失を足したもの)をもたらす。
【0027】
各シェルの外側にある低摩擦ワイパーは、シェルからの凝縮水の除去を促進し、新たな凝縮水の形成のための露出表面を残すことができる。これにより、凝縮熱伝導係数が大幅に向上し、全体的な熱力学効率が改善され、製造される真水の単位質量当たりに必要なエネルギーが減少する。内側及び外側のワイパーにより、全体的な熱伝導係数が上昇し、従来型の蒸留熱伝導機構の係数を上回る。ワイパーはさらに自動機械機構として動作し、沸騰及び凝縮壁表面を清掃して、粒子の堆積及び腐食から保護する。
【0028】
圧縮機及びボイラー凝縮器ユニットは、互いに蒸気連通している。両者は同じハウジング内に設置することができるが、両者を、間隔が空いた独立したハウジングに設置する場合には、ダクトにより蒸気連通させるのでもよい。近真空での沸騰は蒸気を生成し、蒸気は圧縮機の上流端に向かって流れる。このシステムは、入ってくる汚染水をすべて沸騰させるわけではない。一部は沸騰面に残り、その後濃縮廃水として沸騰面から流出する。これは、回収率=(流出する体積/流入する体積)である。「廃水」という用語は、水中に残っている汚染物質も含む。流入する水を沸騰させるので、廃水中の汚染物質の濃度は、流入する汚染水より高い。通常、圧縮機は蒸気の圧力を約0.04 psiaから0.15 psia(周囲の入口温度で)に上昇させるが、より高い又はより低い圧力の増加の方が有利な場合がある。圧縮機からの蒸気はシェルの凝縮器表面に送られ、そこで凝縮して真水になる。出願人の装置の構造は、真水を回収し、シェルのボイラー側から来る蒸気を圧縮機に、次いでシェルの凝縮器側に導く。また、構造は真水と廃水を貯蔵用の出力ポンプに導く。
【0029】
シェルの回転は沸騰熱伝導係数を上昇させることにより、低圧沸点を高める。回転はまた、凝縮水(及び凝縮熱伝導係数)を向上させる。これは、凝縮水が凝縮器の表面から流れ落ちて、新鮮な蒸気が凝縮器の表面に、より効率的かつ迅速に到達するためである。ワイパーは、ボイラーの表面に薄膜を形成し、凝縮器の表面から凝縮水を除去し、熱力学的熱伝導係数とシステムのスループットも向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ハウジング内の凝縮器アセンブリの上にあるブロワーアセンブリが設置される水浄化システムの断面図である。
【
図2】水浄化システムのボイラー凝縮器アセンブリの断面図である。
【
図3】水浄化システムのブロワーアセンブリの断面図である。
【
図4】
図1の凝縮器アセンブリとボイラーアセンブリ間にある回転シールの断面図である。
【
図5】低圧水浄化システムから廃棄物及び真水を除去するための水浄化システムのポンピングシステムの概略図である。
【
図6】キャニスタに設置されている水浄化システムの断面図である。
【
図7】水浄化システムの入口及び出口の断面図である。
【
図8】ボイラー凝縮器アセンブリのマルチシェルバージョンの断面図である。
【
図10】水浄化システムのマルチシェルバージョンの断面立面図である。
【
図11】水浄化システムのマルチシェルバージョンの下側部分を拡大した(
図10からの)断面立面図である。
【
図12】マルチシェルバージョンのボイラー凝縮器シェル及びそれに対応する構造の断面透視図である。
【
図13】水浄化システムのボイラー凝縮器アセンブリの半分の断面立面図である。
【
図15】凝縮器アセンブリ及びそのアセンブリの出力パイロットポンプへの接続の断面透視図である。
【
図16】部分的な断面透視図であり、ボイラー凝縮器アセンブリ、下部回転シール、及び真水排出ポンプ駆動機構と組み合わされた構造を示す。
【
図17】ボイラー及び凝縮器ワイパーアセンブリを含む、ボイラー凝縮器アセンブリの部品の分解組立図である。
【
図18】上向きに見た断面透視図であり、4つの同心固定ボイラーワイパーサポート及び汚染水を回転シェルに供給する構造を示す。
【
図19】下向きに見た透視図であり、4つの同心固定ボイラーワイパーサポートと、汚染水を回転シェルに供給する構造を示す。
【
図20】下向きに見た断面透視図であり、回転凝縮器シェルの凝縮器表面と組み合わされたワイパーの4つの同心固定サポートを示す。
【
図21】出願人のボイラー凝縮器アセンブリと共に使用することができるピトーポンプの断面透視図である。
【
図22】別の向きから見た、
図21のピトーポンプの別の断面透視図である。
【
図23】ピトーポンプの可動部品を回転させるための下部アセンブリ構造の断面図である。
【
図24】出願人のボイラー凝縮器アセンブリで使用されるベアリングサポートの断面透視図である。
【
図25】ボイラー凝縮器ユニットの透視図であり、シェル、及びそれに組み込まれている、4つの同心ボイラー凝縮器チャンバを形成する構造を示す。
【
図26】ボイラー凝縮器シェルの下にある出願人の装置の下部の透視断面図である。
【
図27】出願人の装置の下部ダイバータの透視図である。
【
図28】出願人の下部真空ハウジングの内部を示す断面図である。
【
図29】沸騰及び圧縮に関するブロック図フローチャートである。
【
図30】プロセスのための温度エントロピーのグラフである。
【
図31】処理装置の別のバージョンの平面図である。
【
図33】
図31の処理装置と共に使用するシェルの断面透視図である。
【
図34】圧縮機が取り除かれた状態での、
図31の処理装置の断面透視図である。
【
図35】
図31の処理装置の部分的な断面透視図であり、シェルのドライブの詳細を示す。
【
図36】
図31の処理装置の部分的な正面断面図であり、シェル及び下部シールのドライブの詳細を示す。
【
図37】
図31の処理装置の部分的な正面断面図であり、上側シールの詳細を示す。
【
図38】
図31の処理装置と共に使用される1つのピトーポンプの断面透視図である。
【
図39】正面断面図であり、
図31の処理装置用のピトーポンプのためのマウンティングを示す。
【
図40】ピトーポンプアセンブリのドライブコンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
1つ又は複数の図面のコンポーネントへの言及は、コンポーネントがそれらの図でのみ見えることを意味しない。参照番号の混雑を避けるために、一部のコンポーネントは、それらが表示されるすべての図で番号が付けられているとは限らない。
【0032】
図1-9のボイラー凝縮器とブロワー圧縮機ユニット:
図1の水浄化システム10は、2つの主要なコンポーネントから構成される。(a)ボイラー凝縮器ユニット100及び(b)ブロワー又は圧縮機ユニット200である。
図1、2、3及び6を参照。2つのユニットは、共通のハウジング内で水平に並べて、又は
図1に示すように、上下に並べて取り付けることができる。コンポーネントを並べて配置し、ダクト又は他の通路で接続すると、コンポーネント間を移動する蒸気から熱損失と圧力降下が発生する可能性があるが、内部部品へのアクセスが容易になる場合がある。ただし、コンポーネントを同じハウジングに配置すると、熱損失と圧力降下が減少する。「ハウジング」への言及は、複数のコンポーネントを格納する1つのハウジング又は複数のハウジングを指す。
【0033】
プロセスは、0.5 psia(約 3.5 kPa又は26トール)まで低下した圧力の下で発生する。本出願では、この圧力を「真空」又は「近真空」と呼び、他の低圧力でも受容可能である。プロセスは0.5 psia未満の圧力を使用できるが、より低い圧力で動作するユニットはより堅牢である必要があり、構築及び動作させるにはコストがかかる。蒸気密度は、圧力が低いほど低くなり、質量流量が減少する。
【0034】
ボイラー凝縮器ユニットを同じハウジング内の圧縮機ユニットの下に設置すると、漏れの場所が最小限に抑えられ、熱損失が減少する。図面の処理装置は、許容差の小さい低コストの部品を使用する場合でも、システムに大きな漏れを発生させることなく、低圧を維持できる。これは、わずかな圧力変動(漏れ)に対するプロセスの感度が、通常、より高い真空を持つ従来の真空チャンバの要件よりもはるかにゆるいために可能である。
【0035】
システムを定期的にポンプダウンすると、所望の圧力条件を更新できる。通常、更新されたポンプダウンは、たまにしか必要でなく、おそらく1日に1回もしくは2回、又は週に1回である。必要なポンプダウンには数分しかかからない。
【0036】
説明は3つの水源に言及する。(1)入ってくる汚染水、(2)処理された飲料水(「真水」とも呼ばれる)、及び(3)廃水である。汚染水を処理して、飲料水を得ると、廃水が残る。「汚染水」には、複数の水域から取られた微生物や塩分を含む水など、多くの液体が含まれる。井戸水には、農薬、肥料、重金属、壊れた浄化槽から流出した汚染物質や、その他の化学物質が含まれている可能性がある。一部の政府又は民間の水供給システムは、汚染物質がほとんどない水を供給することもあるが、消費者は水が汚染されていることに気付くことがある。
【0037】
ボイラー凝縮器ユニットへの水の供給:
図1のシステムは、汚染された水源14(概略図)に接続する。水源は、残りのコンポーネントから離すことができる。例えば、水源が、住居、アパート又はオフィスの外にある55ガロン(208 l)のドラム缶、水槽、タンク又はその他の水源であることもある。処理装置の内部動作圧力は低いため、汚染水を処理装置に移動させるのに大きな圧力水頭を用意する必要はない。通常の低圧動作条件(約0.5 psia)では、30フィート以上(34フィートは高真空)の圧力水頭が入口ポンプなしで実用的である。これらの条件下では、スロットルバルブ(ニードルバルブ)のみで、入口流を所望の入口流量に調整できる。汚染水源が処理装置から34フィート超高いところにある場合、1つのポンプで必要な圧力を供給できる。
【0038】
汚染水源が大規模でより離れたところにある場合、手動ポンプ又は動力ポンプ付きのシステムの近くに汚水槽を設置することができる。汚水槽を補充する必要がある場合、このポンプは動作する可能性がある。水を汚水槽に移動させるためにポンプを利用できない場合、水源から容器で水を運ぶことができる。
【0039】
バルブ16(
図1)は、ライン又は管(図示せず)を通る、水源からボイラー凝縮器ユニット100への液体の流れを調整する。通常、水には、低圧ボイラー凝縮器ユニットに流入する程度の圧力があるため、単純なピンチ弁で十分である。ただし、圧力水頭は、汚水槽が充満しているか、空かによって変動する。バルブが詰まった場合や摩耗した場合には、ユーザーはバルブを調整することができる。コンピューター制御でもバルブを開閉できるが、より高度なシステムでは流量に応じてバルブを調整できる。
【0040】
水源からの水には、水源からボイラー凝縮器ユニット100までの間で固形物を混じることがあるため、洗浄のためにコンポーネントにアクセスできると役に立つ。処理装置から上流にトラップ(図示せず)を設置すると、砂及び他の重量物又は溶解しない汚染物質を捕獲することができる。粒子が問題を惹起する可能性は低い。粒子は、処理装置にほとんど、又は全く影響を与えないで、処理装置から汚染水流に流れこむ。バルブ16は、粒子状汚染物質に対して最も敏感なコンポーネントである可能性が高いが、バルブを開いてから所望の流量条件にリセットすると、バルブが洗浄される。特定の条件下では、プラスチック又はタイゴン(登録商標)チューブに安価な圧縮ピンチバルブを使用することができる。
【0041】
ボイラー凝縮器ユニットへのブロワーユニットの取り付け:ブロワーすなわち圧縮機ユニット200は、
図1のハウジング280内のボイラー凝縮器ユニット100の上に取り付けられる。
図1のハウジングは直径1フィート(約30 cm)だが、その直径は、シェル110及びシェルを囲む部品の直径により異なる。
【0042】
ハウジング280は、プラスチックの材料コストと製造コストが低いために、プラスチックにすることも可能だが、代わりに非腐食性金属を使用してもよい。プラスチックは透明なので、動作中の内部コンポーネントを見ることができる。ハウジングの壁には、内部が近真空のときに、ハウジングの外部に作用する大気圧の押しつぶす力に抵抗できる十分な厚さと強さが必要である。ハウジングにリブを使用すると、強度が増加し、ハウジングの重量と材料コストを削減できる。
【0043】
ハウジングセクション182と282は、複合ハウジング280の頂部と底部の間の中程で、相互に接続する。
図1を参照。ただし、その接続は、複合ハウジングの頂部又は底部に近くてもよい。図面がコンポーネントの頂部と底部を示す仕方ゆえに、処理装置の頂部と底部が示されているが、処理装置は必ずしも垂直である必要はなく、水平又は他の向きで取り付けてもよい。
【0044】
ボイラー凝縮器ハウジングセクション182とブロワーハウジングセクション282は、複合ハウジング280を構成する。
図1を参照。前者はボイラー凝縮器ユニット100を覆い、後者はブロワーユニット200を覆う。2つのハウジングセクションは多くの方法で接続することができる。ただし、
図1では、ブロワーハウジングセクション282のスレッド284は、ボイラー凝縮器ハウジングセクション182のスレッド184と嵌合する。溝187のOリング186は、2つのハウジングユニット間の漏れのないシールを強化する。図面に記載されているシステムは、溝に取り付けられた多くのOリングを使用する。明細書にはすべてのOリングや溝が記載されているわけではなく、図面でもすべてのOリングや溝の番号が記載されているわけではない。図面にはOリング及び溝に番号が振られていないが、当業者は、図面中の多くの溝、特により小型の溝、シートOリングを尊重するだろう。
【0045】
動作中、複合ハウジング280の内部は、約0.5 psia(約3.5 kPa)の近真空の下にある。シングルねじ接続184/284は漏れが発生しうる唯一の領域だが、Oリングシールを備えるシングル接続の設計では、漏れが減少する、又はなくなる。1つ又は複数の外部クランプ(図示せず)をスレッドで構造に固定して、最初にクランプを動かさないで、ユーザーがハウジングセクション182及び282を誤って外さないようにすることができる。また、クランプはシールを向上させるかも知れない。クランプを取り外し、ハウジングセクションを外した後、複合ハウジング280内のコンポーネントにアクセスできる。
【0046】
ブロワー:ブロワーすなわち圧縮機ユニット200は、多段ブロワー210を搭載する。
図1を参照。ブロワーを駆動するモーターは、ハウジング280の内側に設置することができるが、蒸気に曝され、ハウジングに熱変動を発生させることがあり得る。さらに、電源はハウジングを通ってモーターまで延在していなければならない。そのため、出願人はモーター274をモーターハウジング275に取り付ける。
図1を参照。モーターは、電源(図示せず)から電力を受ける。
【0047】
シャフトが通るブロワーハウジングセクション282がシールを必要としないように、モーターシャフトはハウジングセクションを貫通しない。このようなシール、特に回転シールは、摩擦と潜在的な真空漏れの原因となる。
図1のシステムでは、磁気的に結合されたドライブを使用して、漏れの可能性を回避できる。モーター274は、ブロワーハウジングセクション282の外側に隣接する外側の磁気カプラー276を回転させ、外側の磁気カプラーからの磁力は、内側の磁気カプラー277を回転させる。モーターは、配置と動作条件により異なるものの、約2,000 rpmで回転する。このようなモーターは、通常の動作中に比較的少ない電力しか使用しない。
図1のシステムは、1つのモーター274を使用して、ブロワー210及びシェル110を駆動するが、複数の個別のモーターを使用することもできる。
【0048】
他の設備を動作させるモーターを有するユーザーは、専用モーター274の代わりに、そのモーターの出力を使用することもできる。風力タービン又は水車のような別の回転エネルギー源を、他の構造、特に所望の回転数で出力を提供する他の構造を備えるシステムのためのモーターとして動作させることができる。ただし、このような外部システムは、単純で効率的な高速電気モーターの代わりに使用するには、複雑すぎるかも知れない。
【0049】
ブロワーハウジング282の内側に取り付けられた部品は、取付構造を有する。内部磁気カプラー277は、シャフト278(
図1)に取り付けられ、それを回転させる。シャフトはギヤ又はプーリー279を回転させ、ギヤ又はプーリー279は、ベルト212を駆動して、ギヤ又はプーリー214を回転させる。明細書では、ギヤ、プーリー及び他の円形ドライバを「ギヤ」と呼ぶが、歯がない場合もある。ギヤ214は、ブロワー210のドライブシャフト216に接続し、それを回転させる。ベアリング218及び219などのベアリングは、回転のためにドライブシャフトを支持する。ベアリング220及び221もシャフト278を支持する。図面に表示されていない、又は本文に記載されていない場合でも、回転部品には通常、摩擦を減少させるためのベアリングがある。ベルト212などのベルトは、摩擦によってそのギヤもしくはプーリーを駆動するために平坦もしくはV字形でありこともあり、又は歯付きギヤもしくはプーリーを駆動するために歯付きでありこともある。
【0050】
ギヤ214はギヤ279の直径の約4分の1であってもよい。これにより、ギヤ214は、ギヤ279の4倍速で回転する。モーター274が2,000rpmで回転する場合、ギヤ214は8,000rpmで回転する。シャフト216は、ギヤ214からブロワー210内に延び、そこでブロワーを自身と同じ回転数で回転させる。ギヤの直径を変更すると、適切なブロワー回転数に到達するための機械的な利点が変わる。
【0051】
ギヤトレーン、摩擦ドライブ又は他のドライブは、下記のベルト212及び別のベルト104に取って代わることができる。ベルトドライブは、他のドライブよりも静かで、コストも低く、交換も容易である。その低コストにより、所有者は1つのベルトが破損したときのために、手元にいくつか交換用ベルトを持つことができる。
【0052】
シャフト278(
図1)は、ブロワーフレーム211とベアリング221を貫通する。ただし、ブロワーフレームの外側にオフセットすることもできる。シャフトは延びて、ギヤ102内に入る。シャフトの回転はギヤ102を回転させ、ギヤ102はベルト104を介してギヤ106を回転させる。以下に説明する追加の構造によって、回転ギヤ106はボイラー凝縮器シェル110を回転させる。それもまた、以下で説明する。ギヤ102と106の相対的な直径及びそれらの機械的利益により、ボイラー凝縮器シェルが約250 rpmで回転する。参考までに、250 rpmで回転する半径13 cmのシェルは、約9.1 g(約89 m/sec
2)の遠心力を生み出す。1システムの半径13 cmのシェルが250 rpmで回転する必要があるわけではない。おそらくもっとゆっくり回転しても構わない。
【0053】
図1のギヤ279、214、102及び106の直径は必ずしも正確な比率ではないが、それらの直径により、シェル110が回転するのよりずっと速くブロワー210は回転する。例えば、ブロワーが8,000 rpmで回転し、シェルが250 rpmは回転する。コンポーネントの回転数を、ブロワーの仕様、シェルの直径、処理パラメーター、他の要因に合わせて変更することができる。
【0054】
インサート230は、複合ハウジング280内に取り付けられる。2つの部品、すなわちブロワー210を取り囲む上部インサート232と、ボイラー凝縮器ユニット100を取り囲む下部サポート234とは、複合ハウジングサポートインサートを形成する。下部メンバーは、ボイラー凝縮器ユニットハウジングセクション182の基部185に取り付けられ、上部メンバーは下部メンバーの上に設置される。
図1を参照。
【0055】
下部メンバーの頂部にあるOリング285などの構造材を、上部メンバーの底部にある構造材に取り付けると、メンバー同士が接合し、それらの相対的位置が変わらないようになり、ブロワーが発生させる圧力差により低圧シールが作り出される。Oリング285はハードシールを作り出す必要はない。Oリング285により、メンバー234と232を隣り合うように配置される。H型リングの使用が可能である。このようなリング(図示せず)は断面がH形であり、一方の溝が上を向き、他方の溝は下を向いている。上部サポート232の壁は上向きの溝に取り付けられ、下部サポート234の壁は下向きの溝に取り付けらる。
【0056】
ボイラー凝縮器ユニット:ボイラー凝縮器ユニット100のシェル110は、下部構造サポートインサート234及び下部ハウジングセクション182内で回転する。下部インサート234は、ベアリング132(
図1及び2)などの構造を有することもある。その構造は、サポートインサート234からある角度で上に延びる。エクステンションリング112は、シェル110の外側からある角度で下を向いている。エクステンションリングとベアリングサポートの位置は揃っている(
図1、2及び4)。ベアリングサポートは、サポートインサート234に沿って環状に間隔を空けて配置される。回転のためにシェルを支持するベアリングサポートも、連続リングであってもよい。また、エクステンションリングは、シェルから間隔を空けて置いた複数のエクステンションに分割してもよい。両方とも連続にしてもよい。ベアリング131は各ベアリングサポート132に取り付けられていて、シェル110上のエクステンション112はベアリングに着座している。ベアリングの間隔、サイズ及びエクステンション112との相互作用が、シェルの重量を支え、その角速度(例えば250 rpm)での回転を維持する必要がある。シェルの直径がより大きかったり小さかったりすれば、シェルは異なる角速度で回転する。
【0057】
ボイラー凝縮器シェル110は、ドーム121の下にある円筒形セクション120を含む。図面のドームには、湾曲部分の後ろにかなりの垂直部分があるが、円筒形セクションを高くすることで、垂直部分は短くすることができる。これにより、ドームの下部を円筒形セクションの一部にできるのと同様に、円筒形セクションの上部をドームの一部にすることができる。
【0058】
シェルの材料は、アルミニウムのような熱伝導性金属であることが望ましい。衝撃押出成形で、シェルのアルミニウム、円筒壁及びドームを形成することができるが、他の製造技術を使用することもできる。アルミニウムは低コストであるため、銅やその他の良導体よりも好ましい材料になるだろう。ドームの中心には傾斜したドライバ109を受け止めるくぼみ122があってもよい。ベアリング108(
図1)で支持されるシャフト107は、傾斜したドライバを回転させる。傾斜したドライバがくぼみに係合するため、シャフト107が回転して、ドライバが回転し、その結果シェルが回転する。
【0059】
傾斜したドライバ109は、くぼみ122の歯と噛み合う歯を持っていて、傾斜したドライバとくぼみが噛み合う。ドライバとくぼみは、スプライン又は歯のない他の部品により接続できる。また、摩擦でドライバを回転用のくぼみに固定することができる。図中のドライバ109などの傾斜したドライバは、整備及び修理のための組み立て及び分解を容易にする。
【0060】
ベルトドライブ、ギヤ及びシャフトは、
図1の1つのモーター274が、ブロワー210及びシェル110を回転させることを可能にする。前述のコンポーネントは、異なる角速度でのコンポーネントの回転を可能にし、ブロワーユニット200及びボイラー凝縮器ユニット100の別個の機能に対応する。ただし、他の駆動構造により、モーター274並びにそれに組み込まれたシャフト、ギヤ及びプーリーは回転シェルに接続される。
【0061】
システムの動作:ハウジング280は、最初に約0.1 psia~0.3 psia(0.69 kPa~2.07 kPa)にまで真空引きしなければならない。チューブ310(
図1)は、真空ポンプ(図示せず)に接続して、ハウジング内の圧力を蒸気の低圧まで下げる。ポンプが最初にハウジングの真空引きをした後、真空ポンプは時折動作するだけで、圧力を0.5 psia (3.5 kPa)近くに維持する。チューブは、ハウジングが真空下にあるとき、ハウジング内に延びる数少ない部品の1つである。固定チューブとハウジングの間のシール及びチューブ真空ポンプのシールは、所望の圧力を維持する。チューブ310と真空ポンプの間のバルブ(図示せず)は、真空ポンプがオフのとき、ユニットを遮断する。
【0062】
水源14及びバルブ16からの汚染水は、ボイラー凝縮器シェル110(
図1及び2)内の排出管140の中に流入する。処理装置の初期圧力が0.1 psia~0.3 psia(0.69 kPa~2.07 kPa)であり、初期の入口汚染水が流入すると、処理装置の圧力は、急速に入口温度(80°F(約26.7℃))に対応する0.5 psia(3.5 kPa)飽和圧力まで上昇する。
図1のチューブは真っ直ぐだが、曲げれば、真っ直ぐなチューブと位置が揃っていないエレメントと接続できる。たとえば、排出管のベンド140aを参照(
図7)。水をシェルの内部のボイラー表面に導くように、エレメントを取り付ける。これらのエレメントには複数のノズル(図示せず)がある。排出管に沿って小型の穴が間隔を置いて配置されているような単純なものでもよい。それらは、汚染水をシェルの内部又はボイラー表面114に導く。穴又はノズルを十分に大きくすると、目詰まりの可能性を減らすことができる。流入する汚染水も、チューブの頂部140から流出する可能性がある。シェルが回転することにより、シェルの内側表面114に沿って水が散布され、ベーン又はプロペラ様の構造144が回転し、シェルが水を散布する。汚染水がベーン又はプロペラにぶつかると、ベーン又はプロペラはシェルの内側表面に向けて散水する。
【0063】
シェル110の回転により水にかかる慣性力は、シェルの内側表面114に水の薄膜を形成する。水膜の厚さは真水の製造に影響を及ぼす。薄膜が薄すぎると、ドライスポットが形成され、有効な熱伝導率が低下し、水から蒸気への変換が行われない可能性がある。薄膜が厚すぎると、熱伝導が損なわれる。
【0064】
シェル110の内側表面114は真空下にある。以下は温度と追加の熱源の詳細である。0.5 psiaでは、真水は約27℃(約80°F)で沸騰するが、水の塩分濃度と汚染物質は沸点に影響を与える。圧力の関数として水の沸点を比較するグラフとチャートは、http://wwwengineer-ingtoolboxcom/boiling-point-water-d_926htmlにあるものなど、入手可能である。
【0065】
水はシェル110の内側表面114上で沸騰する。水が不揮発性汚染物質を含んでいない限り、蒸気に不純物は混じっていない。結果として生じる蒸気は、シェル110の底部116に移動する。下部サポートインサート234は、開口部117(
図1及び2)のような開口部を有し、蒸気をハウジング280と上部及び下部サポートインサート232及び234の間の空間118に流入させる。
【0066】
汚染水がシェル110の内側表面114に沿って沸騰すると、純粋な蒸気は表面から移動する。シェルの表面に水を押し付ける遠心力は、蒸気をシェルの内側表面に押し戻さないが、塩や汚染物質のような不揮発性物質は、表面114に沿って残留し、汚染水と共に移動する。さらに、シェル110の適度な速度の回転によって引き起こされる慣性力は、不揮発性物質をシェルの内側表面に保ち、やがて不揮発性物質はシェル110の底部に排出される。蓄積した塩や汚染物質は、残留している液体の水と共に、ボイラーの壁に沿って流れる。
【0067】
システムが処理するほとんどの汚染水には、石油やその他の溶存ガスのような凝縮性揮発性物質は含まれない。ただし、溶存O2、N2及びCO2は、システム温度では凝縮しない。それら溶存ガスの存在はシステム内の圧力を上げる可能性があり、圧力を所望のレベルに下げるために、時々真空ポンプダウンを行うことが必要になることがある。汚染水に揮発性物質が含まれる場合、出願人のシステムが水を処理する前に揮発性物質を除去することが望ましい。
【0068】
シェル110から出る蒸気は、空間118を通って上向きに流れ、ブロワー210の上流の低圧端に向かって移動する。ブロワーは蒸気の圧力と温度を上げ、このエネルギーを与えられた蒸気をシェルの外側表面113に向ける。ブロワーから出る蒸気の熱は、3つの異なる部分から構成される。1)顕熱上昇(温度計で測定可能):沸騰飽和温度を超える過熱蒸気である。2)潜熱:沸騰飽和時の相転移エネルギーにより閉じ込められたエネルギーである。及び3)圧力上昇エネルギー:これは、ブロワー圧力が高い凝縮器飽和温度まで高まったことから生じた。潜熱と圧力上昇エネルギーにより、ボイラーと凝縮器間で使用可能な温度が
【数1】
上昇し、プロセスを駆動する。その結果、凝縮器内で相転移が生じ(蒸気から液体へ)、凝縮器からボイラーへの熱伝導が生じる。高効率な相転移熱伝導が発生しうる(約5,000 Btu/hr-°F-ft
2)ようになるまで、過熱蒸気を凝縮器チャンバ内で飽和温度(凝縮器での高効率相転移熱伝導により約500 Btu/hr-°F-ft
2)まで冷却しなければならないことに留意する。相転移熱伝導は、温度が過熱状態から凝縮器内の飽和温度(及び圧力)まで低下したときに発生する。これは、ブロワーからの圧力増加により昂進する。これは処理装置を駆動する潜熱エネルギー熱伝導である。
【0069】
蒸気液体飽和条件におけるボイラーと凝縮器の間の温度差
【数2】
は、クラジウス・クラペイロン式により計算される。
【数3】
この方程式で、
【数4】
はガス定数、
【数5】
は気化熱(流体から気体へ)、
【数6】
は飽和時のボイラーと凝縮器の温度差、
【数7】
はボイラーと凝縮器の間にあるブロワーによって生成される圧力差、そしてp
b とT
bは、それぞれボイラーの圧力と温度である。動作温度T
b又は温度差
【数8】
を大幅に増加させることなく、熱伝導係数を最大化する方法又は技術が有利である。ボイラー凝縮器の回転による薄膜の沸騰と凝縮、及びこれらの表面をワイプして薄く均一な液体表面を維持すると、このような大きな熱伝導係数が可能になる。以下はワイプの詳細である。
【0070】
シェルの表面で水を沸騰させると、表面から水に熱エネルギーが移動する。沸騰は、同じ温度で液体から蒸気に相を変化させる。その相転移には、ボイラーと凝縮器の間の過熱蒸気温度上昇による小規模な顕熱エネルギーの上昇よりもはるかに多くのエネルギー(気化熱)が必要である。出願人のシェル110を横切る液体水への熱伝導は、沸騰チャンバ内で沸騰を引き起こし、それがシェルの温度を冷却する。しかし、一定温度の入力給水の連続的な流れがボイラー内に注入されてさらに蒸発するため、シェルは定常状態の温度に維持される。ボイラー内の蒸発によりシェルの温度は低くなる傾向があるが、それがシェル外側表面113で凝縮する蒸気から移動する継続的な熱流束により拮抗され、その結果、シェルは常に定常状態温度に維持される。
【0071】
沸騰プロセスを駆動するのに必要な追加エネルギーは、蒸気に蓄えられたブロワー圧縮エネルギーから来る。そのエネルギーは、凝縮駆動エネルギーの熱を提供する。追加されたエネルギーはシェル全体に行き渡り、連続的な沸騰(気化熱エネルギー)を引き起こす。例として、ボイラー飽和圧力
【数9】
(3.45 kPa)、及び気液飽和温度差
【数10】
(1.66℃)で、入口ボイラー温度
【数11】
(26.7℃)を検討する。ブロワーエネルギーは上述の温度差を作り、それは凝縮器圧力上昇
【数12】
psia (0.345 kPa)を生じさせる。80°Fでの沸騰エネルギー(気化熱)は1,096.1 Btu/lb(2,550 J/g)であり、83°Fでの凝縮エネルギー(凝縮熱)(つまり80°+3°) (28.3℃)は1,097.4 Btu/lb (2,553 J/g)である。水の温度を1°F (1.8℃)上昇させるのに必要なのは約1 Btu/lb (2.24 J/g)で、蒸気の温度を1°F (1.8℃)上昇させるのに必要なのは約0.43 Btu/lb (1 J/g)である。入口の水を沸騰させるのに必要な巨大な気化エネルギー (1,096.1 Btu/lbすなわち2,550 J/g)は、凝縮プロセス中に放出される同様に大きな凝縮エネルギーの熱(1,097.4 Btu/lb (2,553 J/g))によって供給される。
【0072】
シェルの温度は、シェルの低熱質量(流入水の熱容量に対応する小規模な熱容量)のために、急速に流入する水の温度と等しくなる。シェルの初期温度が入力水より高い場合、熱が入力水に伝導されることにより、シェルは急速に入力水と同じ温度まで冷却される。ユニットの内部圧力はわずかに上昇するが、開始圧力(たとえば0.3 psia)が入力水の飽和圧力(たとえば0.5 psia)より小さい場合、プロセスはすぐに0.5 psia飽和圧力に等しくなる。シェルの温度が入力水温より低い場合、シェルの温度は急速に上昇する。沸騰しない入力水は、廃水の一部として排出されるが、シェルの温度は流入水の温度と等しくなる。
【0073】
プロセスが開始すると、内圧は流入する流体の飽和圧力未満(例えば、0.5psia未満、約0.3psia以下)に低下する。入力水が80°Fの場合、水はすぐに沸騰し、内圧が飽和圧力(0.5 psia)に上昇する。ユニット圧力が入力水の飽和圧力を下回っている(0.3 psia対0.5 psia)ため、沸騰が始まる。沸騰プロセスが始まると、凝縮器内の凝縮した真水からの熱伝導がシェルのボイラー表面に熱を伝達するため、沸騰が継続する。
【0074】
初期内部圧力が流入流体の飽和圧力を超えていた場合、処理装置は動作しない。ただし、初期内圧が流入流体の飽和圧力を下回っている場合、プロセスはすぐに開始される。運転中、流入流体の温度をユニットの内部動作圧力より低くさせる(つまり、飽和温度を低下させ、そのために飽和圧力を低下させる)ことがないようにすることが重要である。そうしないと、プロセスは停止する。出願人は、プロセスは停止しないように、流入流体の温度を一定(又は一定近く)に維持する。
【0075】
プロセスが停止した場合、内部圧力が「新しい」より低い飽和圧力を下回るまで真空ポンプをオンにすると、プロセスがすぐに開始され、動作し続ける。ユニットの初期開始圧力が入力液体の飽和圧力(例えば0.5 psia)と等しい場合、入力液体の一部がボイラーチャンバ内で蒸発し、圧縮機によって圧縮されて凝縮するため、ユニットは動作し続ける動作が開始され、沸騰プロセスが継続する。開始時の内部圧力が飽和圧力と等しい場合、ユニットが最大能力まで安定するのに時間がかかるが、じきにユニットは均衡状態になる。ただし、ユニットは非凝縮性ガスが存在していて、それがユニット内の圧力の一部を占めているために効率的に動作しない場合、短時間、間欠的に真空ポンプダウンして、そのガスを除去する。
【0076】
これらの要因により、流入流体の動作飽和圧力より低い圧力でユニットを始動させることが望ましい。流入温度が80°Fで飽和圧力が0.5 psiaの場合、0.5 psiaより低い圧力(例えば、<0.3 psia)で装置を起動すると、これらの問題が解決する。入口温度(それゆえ圧力)がユニットの内部動作圧力を下回ると、真空ポンプが短時間動作して、ユニットの内部動作圧力を流入流体の飽和圧力以下に下げる。次いで、プロセスはすぐに動作に戻り、再び安定する。
【0077】
図29は、沸騰段階及び圧縮段階に関するブロック図フローチャートであり、
図10は、プロセス中の温度とエントロピーに関するグラフである。
図30において、汚染水は、温度T
1及び圧力P
Bの状態1で処理装置(ボイラー)に入る。水が沸騰すると、状態1は状態2に変わるが、同じ入口温度T
1(T
2 = T
1)のままである。しかし、そのエントロピーは(液体状態から蒸気状態へ)増加する。濃縮廃水は、温度T
6のときに処理装置から排出される。そのときT
6 = T
1である。蒸気はブロワーの入口に移動し、そこで圧縮機は蒸気を圧縮する。圧力及び温度は圧力P
C及び温度T
3に上昇する。それは過熱状態であり、飽和温度T
4を超えている(差はΔT
SHである)。過熱蒸気がその顕熱エネルギーを凝縮器に移転すると、その温度はT
3からT
4に低下する。この飽和蒸気は、沸騰蒸気よりも温度と圧力が高く、蒸気から純粋液体への相転移により、高効率相転移熱伝導を通して、その潜熱エネルギー(ΔT
BC)を伝導する。蒸気のエントロピーは、純粋な留出物への相転移中に減少し、凝縮器内の飽和蒸気の温度T
4と同じであるT
5で処理装置を出る。汚染された入力液体に塩が存在する場合、追加熱エネルギー量が沸点上昇ΔT
BPRを上回らなければならないことに留意する。そのため、合計温度差はΔT
tot = ΔT
BC + ΔT
BPRである
蒸気がより高い圧力及び温度でブロワー210を出ると、蒸気はシェル110の側面113に接触する。沸騰はシェルの内側表面から発生するため、ボイラー表面114は、シェルの外側表面からエネルギーを伝達し、シェルの温度は凝縮蒸気の温度より低くなる。蒸気は、ブロワーによって供給されたエネルギーにより、温度と圧力が上昇した。より高い温度の蒸気がシェルのより低い温度の外側表面に接触すると、蒸気は凝縮して液体の水になる。凝縮器表面での蒸気から液体への相転移は、シェルに熱エネルギーを戻す。その熱エネルギーはシェルの内側表面の液体水に移動し、汚染液体を沸騰させる。シェルは常に凝縮蒸気及び液体凝縮水より低温であるため、シェル外側表面上の蒸気のより高い圧力と温度は、外側表面から来る凝縮液体の低温沸騰を妨げる。
【0078】
流入汚染水から抽出されるすべての水を飲料水とすることは、必要でない場合や、望ましくない場合がある。ボイラー凝縮器ユニット100のシェル110内に入る汚染水の一部は沸騰するが、沸騰しない汚染水は汚染物質を含む廃液として残る。残留汚染水、及び非沸騰水から抽出された汚染物質は、重力と遠心力によってシェルの底部116に向かって下向きに流れる。汚染物質と廃水は、シェル110の内壁の底部に到達すると、ボイラー凝縮器ハウジングセクション182の内側のエッジ119及び基部185に沿って集まる。
【0079】
ボイラー凝縮器ユニット100からブロワーユニット200に蒸気を通過させるための穴117(
図1及び2)などの開口部は、234の底部近くと基部185近くにある。汚染物質と廃水が穴を通過しないように穴の位置を決めることは重要である。と言うのも、汚染物質と廃水がシェルを出るとき、遠心力により外向きに放出されるからである。あるいは、構造を追加して、放出された水が穴に達しないようにすることもできる。基部185は傾斜しているため(
図1及び2の左側下部)、汚染物質と廃水は出口160に集まる。
【0080】
清浄な水を注入するか、入口140を通してボイラー凝縮器シェル110内に時々蒸気を注入すると、シェルの内部を清浄にすることができる。処理装置が使用されていないときに、処理装置内部から海水や藻類が含まれる水を定期的に除去すると、ユーザーによるシェルの交換が必要になるまでの時間が長くなる。
【0081】
プロセスを開始する前で、かつ処理装置を真空引きする前に、ボイラー凝縮器シェル110に大気圧で蒸気を注入すると、非凝縮性空気(主にO2、N2、Ar及びCO2)が凝縮性水蒸気に置き換わり、システムが動作するとき、水蒸気だけが残る。このオプションの場合、出願人は蒸気を生成するための小型外部ヒーターを使用することができる。ヒーターは短時間しか動作しないため、電気使用量に悪影響を与えるほどの電力を消費することはない。
【0082】
ワイパー:1つ以上の内部ワイパーが、ボイラー凝縮器ユニット100のシェル110の内側に設置され、シェルの内側表面114まで延在する。
図1及び2の場合、内部ワイパー170は、入口チューブ140の周囲に設置される。ワイパーは複数のストラット172を有し、各ストラットは可撓性ワイパーブレード174を備えることができる。ワイパーブレードの外縁は、シェルの内側表面に接触する。シェルの周りにワイパーを等間隔に配置すると、ワイパーからシェルへの小さな力のバランスが保たれる。ワイパーブレードは、汚染物質や汚染水に接触すると、それを除去し、落下させる。ワイパーとシェルの間の摩擦を減らすために、ワイパーはテフロン(登録商標)又は他の低摩擦材料で形成又はコーティングすることができる。
【0083】
シェル110の内側表面に接触するワイパーブレード174による圧力は、すべての液体を取り除く必要はない。ガラス表面から一時的に完全に水を除去する車両のフロントガラスワイパーとは異なり、ワイパーブレード174は汚染液体のすべてをシェルの内側表面から除去するのではない。そうではなく、ワイパーは流体膜をさらに薄くして、沸騰熱伝導係数を大幅に高めるのである。過剰な液体が重力とワイパーによってボイラーチャンバから流出するまで、ボイラーワイパーは、ボイラー表面の薄膜状の流体を連続的に再分配する。ワイパーブレードは、シェルの内側からすべての水を取り除くのではないので、内側を強く押すことはなく、ワイパーとシェルの間の摩擦を克服するために使用されるシステムの電力が多く増加することはない。ボイラーワイパーをこのように設置することで、ボイラー内側表面にスケールやスラッジが蓄積することを防止することにより、沸騰壁面を清浄に保つ。従って、ボイラーワイパーには2つの有益な機能がある。1つは液膜を均一に薄くして、熱力学的な熱伝導を強化することであり、もう1つはボイラーの壁面を継続的に洗浄することである。
【0084】
ワイパーはまた、シェル110の凝縮器外側表面113から水を除去することができる。蒸気が外側表面で凝縮すると、水はより多くの蒸気が凝縮するにつれて成長し、液滴を形成する。液滴が十分な質量を持っている場合、シェルの回転による遠心力が液滴を放出する。ただし、表面張力が凝縮水をシェルに保持する。シェルの外側表面用の外部ワイパー176(
図1及び2)がサポート177に取り付けられ、前記サポートは下部サポートインサート234に接続される。凝縮器ワイパーは、遠心力がシェルの外側表面から除去できない凝縮水を除去する。凝縮水を除去すると、凝縮熱伝導率が向上する。遠心力が即座に、又は効率的に除去できない凝縮液を、シェルの外側表面から除去することにより、シェルの金属表面のより多くの部分から液体がなくなり、蒸気に曝されるようになり、その結果、凝縮が大幅に効率的になる。
【0085】
図1及び2のすべての内部ワイパーブレード170は同じレベルにあるため、それらはシェル110の内側表面の同じ領域に接触する。それらが異なる領域に接触するように、それらを垂直方向に間隔を空けて設置してもよい。外部ワイパーブレード176も、垂直方向に間隔を空けることができる。
【0086】
複数のワイパーをシェルの回転軸に対してある角度で取り付けるか、1つのワイパーをシェルの表面110に沿って湾曲した、もしくは螺旋状の経路が形成されるように取り付ける。ボイラー表面に沿って汚染水を散布する内部ワイパー170を、ワイパーの表面が、シェルが回転するにつれて、ボイラー表面に沿って引きずられるように、角度を付けて取り付けてもよい。凝縮器表面から凝縮水を除去するための外部ワイパー176は、鋭いエッジをシェルの回転の方に向けていて、凝縮水を凝縮器表面に散布する。
【0087】
ワイパー摩擦抵抗に関する類似の懸念は、内部ワイパー170及び外部ワイパー176にも当てはまる。ワイパーブレードからの圧力が増加するにつれて、シェル110の回転の維持に、より多くのエネルギーが必要とされるようになる。出願人は、13.75インチ(34.93 cm)のシェルが100 rpm(約2 g)で回転する場合、それぞれ4オンス(1.1 N)の力(抵抗係数0.11)で凝縮器シェルを押す、間隔を置いて設置された4つのテフロン(登録商標)凝縮器ワイパーは、約0.9 Wの回転摩擦電力損失を発生させると推定する。ボイラーワイパーに関しても類似の損失が発生する。4つのテフロンボイラーワイパーも想定すると、ボイラーワイパー及び凝縮器ワイパーから発生する回転摩擦抵抗による電力損失は、全部で約1.8 Wである。しかし、ワイパーは総熱伝導係数を少なくとも10倍に増加させる可能性がある。ワイパーを使用することによるシステムパフォーマンスの向上は、ワイパーを使用するための小規模なエネルギーの損失を上回る。
【0088】
シェル110の凝縮器外側表面113から来る真水が、シェルの周りの領域178に集まる。
図1、2及び4を参照。次に、水は出口179に流入する。領域178の底部にある環状ディスク130は、水を下部サポートインサート234に向けるように角度が付けられている。水が出口に流入するように、出口はサポートインサート234の近くに設置してもよい。
【0089】
蒸気シールの回転:シェル110の内部と外部の圧力は異なる。圧力が異なる領域を分離するゴム又はプラスチックのシールは、シェルが回転するときに、特にシェルが大型である場合、又はシェルの回転が速い場合、大きな摩擦損失を引き起こす可能性がある。回転部品間のシールも摩耗し、コストがかかり、定期的な保守が必要である。このことは、組み立ての容易さと信頼性に影響する。
【0090】
図1、2及び4のシールは、従来型回転蒸気間シールの問題を回避しようとしている。シール190(
図4で最も分かりやすく示されている)は、環状ディスク130の内側端から上向きに延びる垂直突起191と、垂直突起の頂部から外向きに延びる水平突起192とを含む。ディスクは、下部サポートインサート234の内側に延在する。
【0091】
チャネル189(
図4)は、シェル110から外向きに伸びるリング193、リングの端から下向きに伸びるフープ194、及びフープの底部から内向きに伸びる突起195(すべて一緒に回転Uチャネルを形成)を含む。チャネル189は、遠位端を有し、静止ディスク192は、回転チャネル189の近位端を通って延びる。
図4を参照。チャネルで回収された水197は、チャネルがシェルと一緒に回転するため、シェル110の回転速度である約100 rpmで回転する。回転が水に遠心力を生じさせ、その結果、水がフープ194のチャネルの遠位端に向かって遠位方向に散布される。シェルの外部凝縮器側の蒸気の圧力は、シェルの第1の側の領域198に作用し、シェルの内部ボイラー側からの蒸気の圧力は、水の第2の側の領域199に作用する圧縮機からのより高い圧力により、水は、チャネル内の回転する流体に逆らって、ボイラーからのより低い圧力に向かって移動する。回転による遠心力が、圧力差に抗して、流体をチャネル内に保持する。
図4は、圧力差に応じた水の配置を示す。コンポーネントの設計は、圧力差が水に作用する遠心力に打ち勝つことを防ぎ、チャネル内の空間196に残留している水が、異なる圧力間の蒸気シールになる。
【0092】
回転する水の深さΔR(上述)に延在する固定ディスクにより「切断」されている、水で満たされた回転Uチャネルを回転させることによって引き起こされる圧力を、密度ρに対する液体圧pはp=ρgrによって与えられることに着目して計算する。チャネルは速度ωで回転するため、閉じ込められた水に作用する求心力gは半径rと共に変化する。圧力差は
【数13】
である。この関係を積分することにより、回転シールから可能な全差圧が得られ、
【数14】
が得られる。水よりも密度の高い流体に対してシールを使用する場合、シール圧力は線形に増加する。そのため、シール圧力ポテンシャルは、回転速度(ω)に対して二次関数的に増加し、液体シールチャネルの深さ(ΔR)又はシール半径(R
2)の増加に対して線形的に増加する。シールチャネルの深さ半径(ΔR)を倍にしても、システム全体の直径は(R
2と比較して)ほとんど増加しないが、シール圧力能力は2倍になる。
【0093】
ハウジングからの飲料水及び廃水の除去:出口179の飲料水及び出口160の廃水(
図1、2及び7)は、処理装置の外で、大気圧(海面位で14.7 psia (101 kPa))において回収しなければならない。ただし、出口の上流端の低圧は水が出口から流出することを防ぐ。処理装置が近真空で動作している場合、処理装置から廃水と真水飲料水を除去するには、吸引ポンプの圧力水頭が不十分である。水を出口から押し出すのに、従来型容積式ポンプを使用すると、このシステムでは望ましくない多くのエネルギーが必要となる。また、空気を入れずに、水を排出する必要がある。少量の外気でも、内部圧力と動作条件を変化させる。
【0094】
出願人は、複合真水及び廃水排出ポンプシステム300のための選択肢の一つとして、容積ブラダーポンプを使用することができる。
図5はブラダーポンプを図式的に示す。ブラダーを交互に加圧して液体を大気圧水頭に押し出すことにより、真水と廃水を同時に移動させる。処理装置から真水と廃水を除去するための他の手段について以下で説明する。
【0095】
出口160(
図1、2、5及び7)から来る廃水及び汚染物質は、チャンバ302のポンプシステム300に流入する。
図5を参照。Oリング308で密封されている2つの部分に分かれているハウジング部材304と306が、チャンバを形成する。出口160は、ハウジング部材304上のフィッティング310に密封される。出口及びチャンバが同じ低圧力、すなわち近真空であるため、水は出口からチャンバ302に流入することができる。バネ仕掛けのヒンジプレート312又は別のプレート状の部材は、ハウジング部材304に取り付けられており、通常、
図5のように開いているので、チャンバ302への重力による水の流れを妨げない。膨張可能で収縮可能なブラダー320がチャンバ302に取り付けられている。ブラダーは、膨張するとチャンバの大部分を占めるが、収縮すると小さな容積しか占めない。
【0096】
ブラダー320が収縮すると、チャンバ302からの廃水及び汚染物質が出口導管322(
図5)内に重力によって流れ込むことができる。出口導管は、フィッティング324に密封される。可撓性のある自己密封「リード」バルブ330又は別のタイプのチェックバルブは、出口導管を閉じる。バルブの上の圧力は、処理装置の圧力と同じで、近真空だが、バルブの下の圧力は大気圧である。バルブ330のようなリードバルブは、ヘリウムで満たされたマイラーバルーンのバルブのようなものであってもよい。バルーンに使用される安価なバルブは、ヘリウムで満たされたバルーンを数週間満たす。空気中のO
2, N
2, Ar及びCO
2の分子は、出願人のシステムのバルブの反対側において問題を発生させるが、ヘリウムのより小さい分子は一方向弁に対してもっと大きな問題を発生させる。ブラダーポンプ内の液体水と水蒸気は、リードバルブの上流側を密封して、バルブからの空気漏れを防ぐのにも役立つ。
【0097】
ブラダー320が膨張すると、それはヒンジプレート312を押し上げて、出口160からチャンバ302への入口を閉じる。ヒンジプレートを閉じると逆流が防止され、近真空下にあるハウジング280と出口160(
図1)をチャンバ302(
図5)から分離する。ブラダーの膨張により、チャンバ内の有効容積が減少し、油圧が出口導管322の周囲圧力より高くなる(
図5)。これにより、廃水及び汚染物質はバルブ330を通過し、処分のために出口導管から排出される。リードバルブ330又は別のチェックバルブは、チャンバ302への空気の逆流を防止する。ブラダーの膨張は、チェック/リードバルブからの逆力に打ち勝つために、大気圧以上の圧力を提供する必要がある。
【0098】
出口179から真水を除去するためのシステムは、廃水除去システムのようなものである。出口とチャンバは同じ近真空であるため、真水はチャンバ342に流れ込むことができる。常時開のバネ式ヒンジプレート352は、重力で供給される真水を遮断しない。チャンバ342内のブラダー360は収縮して小容量のみを占めるため、チャンバの残りの部分は出口179からの水で満たされる。ブラダーが膨張すると、真水がチャンバからリードバルブ360を通り過ぎて、出口導管362を通って真水貯蔵部に押し出される。
【0099】
断続的かつ制御された小型ポンプ-真空ポンプ配置は、ブラダー320及び360を膨張及び収縮させる。ブラダー320及び360は可撓性を有するが、チャンバ302及び342の壁は、ブラダーが過剰に膨らんで飛び出すことを防ぐ。チャンバ370は、チャンバ内を端から端まで移動できるピストン372を含む。圧縮ばね374は、ピストンを「上」に押す(
図5)。ピストンが上にあるとき、真空ポンプ380は空気をブラダー320からチューブ388を通って吸い込み、またブラダー360からチューブ386を通って吸い込み、両ブラダーをしぼんだ状態にすることができる。ブラダーがしぼむと、出口160からの廃水及び出口179からの真水は、それぞれのチャンバ302又は342に流れ込むことができる。真空ポンプがオフになると、圧力ポンプ376が動作することができる。その圧力はチューブ378を通って、ピストンを「下」に押し、チューブ386及び388をポンプの圧力にさらす。加圧された空気はブラダーに流入して、ブラダーを膨張させ、その結果、スプリングバルブ312及び352が閉じ、廃水及び真水がそれぞれの出口に押し込まれる。
【0100】
ポンプシステム300のコンポーネントは低コストであることが可能であり、液体を汲み出すために必要なエネルギーは少ない。電気を節約するために、圧力ポンプ376と真空ポンプ380のいずれも継続的に動作しない。その代わり、チャンバ302及び342の一方又は両方が所定のレベルまで満たされていることをセンサが判断したときに、ポンプシステムは断続的に動作することが可能である。
【0101】
ハウジング及び他の内部コンポーネント上の結露の制限:システムは、一定範囲の温度において、流入してくる汚染水を処理することができる。システムは処理装置内部で近真空状態で動作するため、周囲圧力(海面位から高高度まで)は重要ではない。シェル110の内側表面から沸騰する水の温度、並びにハウジング280及び他のコンポーネントの内側表面の温度に応じて、蒸気は、ハウジングの内側表面及び他のコンポーネント上で早期に凝縮する可能性がある。早期の凝縮は、システム効率と飲用水のスループットを低下させる。早期の凝縮は、蒸気の相転移エネルギーが凝縮熱からシェルに移動することを妨げ、凝縮エネルギーがシェルの外側、凝縮器表面113に到達することができないため、凝縮エネルギーをボイラーに返し、回収することができなくなる。ハウジング表面の凝縮水は、飲料水として除去されない。
【0102】
シェル110の外側表面113で凝縮して離れる蒸気は、環境条件が影響を与えるハウジングの温度によって変化する。温度は約60~110°F(約16~43℃)になる可能性がある。暖かい日で、ハウジング280が十分暖かい場合、望ましくない凝縮はほとんど又はまったく生じない。寒冷時には、望ましくない表面でより多くの蒸気が凝縮する。
【0103】
小さな電気ヒーターでハウジング280を加熱することは可能だが、電気ヒーターは非効率であり、ハウジング温度を適切な範囲に維持するための制御を必要とする可能性がある。電気ヒーターを使用する代わりに、汚染源14(
図1)からの水は、ハウジング280の温度を適切な範囲に維持できる。温度維持のために水を使用するには、キャニスタ400のハウジングマウントのハウジングとコンポーネントを使用する。
図6を参照。モーター274とモーターハウジング275は、ハウジング280(
図1)の外側にあり、キャニスタの外側にある。ハウジングへのアクセスのために、キャニスタは上部402と下部404の2つの部品で作られていてもよい。キャニスタの部品は、リム406及び407で接続する。2つのリム間のOリング408は、シールとして機能する。リムはさまざまな方法で一緒に固定することができ、キャニスタはリムなしで取り付けることができる。リムを使用する場合、リムの周りのクランプ又はボルトは、リムを一緒に保持することができる。また、2つのハーフは、上部402と下部404(ハウジング182と282と同様)の端部でスレッドにより一緒にねじ込むことができる。キャニスタ内の水圧は上昇しないため、2つのハーフ402と404の間のシールは堅牢である必要がない。
【0104】
入口412は、ハウジング280とキャニスタ400の間の空間を満たす汚染水の水源に接続する。空間は狭くても構わない。例えば、約0.25インチ(0.6 cm)の幅でよい。空間を満たすのに、大量の水は必要でない。オプションの小型モーター駆動プロペラ416(
図6)で、水を循環させることができる。キャニスタ400内部の断熱材として使用される汚染水は、出口410から出て、入力給水として入口管140に導かれる。小型ポンプ(図示せず)は、キャニスタ400内の水を循環させて、汚染水源に戻し、入口412とキャニスタ400の間の温度を一定に維持する。
【0105】
キャニスタ400内部の汚染水を使用すると、ハウジング282及びハウジング280の他の構造の温度が、処理中の水温と一致するため、ハウジング壁及び他のコンポーネントの温度が、入力汚染給水と熱平衡になり、ハウジング内部又は他のコンポーネント表面での蒸気の凝縮を防止又は少なくとも制限する。
【0106】
加熱空気の代わりに汚染水をキャニスタ400内で使用することは、使用電力量を減らし得るものの、加熱空気を使用することは依然として許容可能である。水を循環させるための入口及び出口410及び412並びにプロペラ416を有する代わりに、ヒーターファンがキャニスタの外側から空気を引き入れて温めてもよい。ファンは、空気を循環させてハウジング280全体を温める。温める必要がある場合、制御装置はヒーターファンを動作させることができる。
【0107】
ハウジングやその他の内部コンポーネントの結露を制限するための
図6のコンポーネントは、他の図の装置と共に役立つが、他の図ではそのようなコンポーネントは示されておらず、それら他の図で装置を説明する明細書では、コンポーネントの組み込みについては説明されていない。
【0108】
ハウジングコンポーネントの修理又は交換:ハウジング280内部のアクセスにより、処理装置の内部部品を洗浄、修理、及び維持することができる。ハウジングがキャニスタ400(
図6)内にある場合、まずキャニスタの2つのセクション402及び404を分離する。次に、2つのハウジングセクション182及び282(
図1及び6)を分離する。別の簡単な構成では、182(402と同様)を囲む密封円筒形シェル、及び282(404と同様)を囲む別の密封円筒シェルを作成し、それぞれのフランジスレッド184及び284で密封する必要がある。チューブで402と404の間の流れを接続することが必要である。
【0109】
上部サポートインサート232をOリング285及び下部サポートインサート234から外すことにより、下部ハウジングセクション182からサポートインサート230を取り外すことができる。
図1を参照。そうすることにより、ブロワー210及びシャフト278に結合しているコンポーネントを取り外すことができる。シェル110のくぼみ122から角度の付いたドライバ109を取り外すと、ボイラー凝縮器ユニット100にアクセスできる。
【0110】
次に、シェル110を持ち上げる。ディスク192を可撓性にすることにより、シール190(
図4)の水平突起193及びディスク195が、シェルの取り外し及び挿入を妨害することが防止される。可撓性はそれらのシーリング機能を損なってはならない。ワイパー170及び176(
図1、2及び6)は損傷しやすいことがある。組み立て/分解中、円筒形状の工具を挿入して、外部ワイパー176を伸長させ、シール190にクリアランスを設けると、シェルが取り外しやすくなる。シェルを取り外すと、チューブ140は140a(
図7に示す)と同様の簡単な接続解除で分離できる。
【0111】
下部サポートインサート234を含むボイラー凝縮器ユニット全体は、シェル110のみを取り外す代わりに、1つのユニットとして取り外せる。そうすることで、シェルと下部サポートインサート234を一緒に取り外して、ワークベンチ上で個別に組み立て/分解できる。そのためには、真水出口179、及び下部ハウジング185からの汚染水入口チューブ140に、クイックディスコネクトフィッティングを使用する必要がある。クイックディスコネクトフィッティングは、
図6に示すフィッティングに類似していてもよい。
【0112】
図7の入口チューブ140aは湾曲していてもよく、その底部はグロメットシール141上に載っていてもよい。グロメットシールの頂部及び入口チューブの底部はテーパーされている。10°未満のテーパーで十分である。真水出口179は、グロメットシール180の頂部のテーパーと係合するための同様のテーパーを有する。廃水出口チューブ160は、水入口チューブと同様のテーパーを有し、テーパー付き端部は、テーパー付きグロメットシール171と係合する。チューブ310は真空ポンプを処理装置に接続するが、特別な真空コネクターを必要とする場合がある。それは、
図7の310と161の間に示されている。アウトレットチューブと真空チューブはボイラー凝縮器ユニット100まで延びていないため、
図7の構造を必要としない場合がある。注
図7は、
図5のブラダー配置を示していない。ブラダーは、真水及び廃水の出口に取り付けることができる。
【0113】
適切な保守は、ボイラー凝縮器ユニット100全体を取り外して、それを新品のユニットと交換することを求めることがある。ボイラー凝縮器ユニットシェル110、並びに万一ワイパー174及び176だけを交換できるように処理装置の部品を配置すると、保守が困難になる場合がある。取り扱いにより、薄いシェルやワイパーのようなその他の部品が損傷し、ユニットの効率が低下したり、動作しなくなったりする可能性がある。熟練技術者が、ボイラー凝縮器ユニットと下部サポートインサートを交換し、交換した部品でシステムをテストして、部品がすべて許容範囲内で機能することを確認できる。入口給水140及び真水出口179へのクイックディスコネクトアタッチメントが存在する場合、ボイラー凝縮器システム100全体を、1つの組み立てられたユニットとしての外部供給ポート284と共に取り外すこともできる。
【0114】
ボイラー凝縮器ユニット100及びブロワー圧縮機ユニット200は、
図1の同じハウジング280内にある。ボイラー凝縮器ユニットを回転シェル及びブロワー圧縮機ユニットと共に別個のハウジングに取り付けることは、代替案であり得るが、導管又は接続通路は、一方のハウジングのシェルのボイラー表面から他方のハウジングのブロワーに蒸気を運ぶために必要である。他方のハウジング内の高圧蒸気を第1ハウジング内のシェルの凝縮器表面に戻すために、少なくとも別の1つの導管が必要である。これらの導管を備えたシステムでは、温度と圧力の損失を克服するために、より多くのエネルギーが必要になる可能性がある。これは効率が悪く、エネルギー投入量の単位あたりの飲料水が少なくなる。真空下に2つのハウジングがあると、より多くのシールも必要になるが、それは真空漏れの原因となる。このような漏れから保護するには、より堅牢な構造が必要であり、システムのコストが増加する。
【0115】
マルチシェル構造:出願人の第’951号特許は、複数の同心ボイラー凝縮器シェルを有し、これはまた、所与のサイズの処理装置におけるシステムスループットを増加させることができる。この出願の
図8は、マルチシェル装置の1つのバージョンのコンポーネントを示している。マルチシェルボイラー凝縮器構造の一部のコンポーネントは、
図1のシングルシェル設計でも使用できる。
【0116】
マルチシェル設計のボイラー凝縮器アセンブリ600は、真空ハウジング(図示せず)内にハウジング601(
図8)を含む。
図8のハウジング601は、4つの同心の離間したボイラー凝縮器シェル610、620、630及び640を保持するが、出願人の処理装置は、より多い又はより少ないシェルを有することができる。シェルは薄く、アルミニウムのような高熱伝導性金属である。
【0117】
左側からの第1及び第2のシェル610及び620のみが、
図8の拡大部分である
図9に見える。各ボイラー凝縮器シェル(
図9)の左側表面は、シェルの回転軸602に面し、汚染水が近真空で沸騰する表面であるため、内側すなわちボイラー側である。各シェルの外側の右側面は、シェルの外側又は凝縮器側である。
【0118】
出願人の
図11のマルチシェル水浄化システムは、
図8のシステムとは異なるが、多くの部品は類似している。他の図面への参照は、
図8の特徴を理解するのに役立ち得る。ハウジング601は閉じていない。そのドーム604は、開口部606及び736を有することができる(
図8)。ハウジングは、固定センターポスト650の中心並びに円筒形シェル610、620、630及び640の中心で、軸602を中心に回転する。
図1のシェルを駆動する同様のモーターとギヤの配置は、ハウジング601を回転させる部品を示しているが、
図8はモーター又はギヤを示していない。ドームは、傾斜したドライバ609を受け入れるくぼみ608を含む。ドライバは、くぼみにそれを固定して、ハウジングにより確実な駆動を提供する構造を有することができる。
【0119】
センターポスト650は、装置の基部(
図8又は9には示されていない)又は真空ハウジングの基部に固定される。明細書がセンターポストに対して配置されたコンポーネントを比較する場合、センターポストからより遠いところにあるコンポーネントを遠位に取り付けられていると言い、センターポストの近くにあるコンポーネントを近位に取り付けられていると言う。2、3、4又はそれ以上の固定ストラット(
図8及び9は2つのストラット654及び658のみを示す)は、センターポストから外向きに伸長し、センターポストに固定されている。好ましくは、それらはセンターポストの周りに等間隔で配置される(例えば、90°離間した4つのストラット)。それらはプラスチック又は金属であってもよい。
図8及び9は、蒸気又は液体が通過できる開口部656及び660を有することができるが、ストラットの間隔も開口部を提供するため、ストラット内の必要な別個の開口部を減らす、又はなくすことができる。
【0120】
単純化するために、かつ適切な場合であれば、この説明は、1つのボイラー凝縮器シェル、ここではシェル620(
図8のセンターポスト650から右へ2番目、
図9の最も左)に限定される。それらの直径を除いて、他のボイラー凝縮器シェル及びそれに組み込まれたコンポーネントは、シェル620及びそれに組み込まれた部品に似ている。それらは同様に機能するが、表面積と慣性力が異なるため、処理される汚染水の量も異なる。シェル640は外側にあるため、外側のシェル640に組み込まれたコンポーネントは、他のシェルの隣のコンポーネントとは異なる場合がある。
【0121】
環状フレームワークアセンブリ710は、下部リング712、角度付きブレース716、及び上部リング718を含む。下部リングの自由端714は、シェル620(
図8)に取り付けられ、上部リングの自由端718は、隣接するシェル630(
図8に示されている)に取り付けられる。フレームワークアセンブリは、プラスチック又は金属であってよい。ボイラーチャンバ628は、シェル、例えばシェル630と、そのフレームワークアセンブリ710との間の内部空間を含む。他の3つのボイラーチャンバは、シェルとその左にあるフレームワークアセンブリとの間にある。
図8の4つのボイラーチャンバは互いに平行であるため、4つのボイラーチャンバ間に直接流路接続が存在し、それらは同じ近真空のボイラー圧力を共有する。
【0122】
環状フレームワークアセンブリも凝縮器チャンバを形成する。アセンブリ711(
図8及び9のアセンブリ710の外側(右)にあるアセンブリ)としてのフレームワークは、凝縮チャンバ732の凝縮側730を形成する。ボイラーチャンバと同様に、凝縮器チャンバは互いに平行である。それらの間に接続が存在し、それらは同じ凝縮器圧力を共有する。ただし、ボイラーチャンバと凝縮器チャンバの圧力は、ブロワー圧縮機によって生成されるΔP
BC Cの量だけ異なる。
【0123】
アセンブリ710及び711(
図8)のような環状フレームワークアセンブリは、チューブ状のフィクスチャーである。ワイパーを保持するサポート626及び627は、固定式で静止している。それらはいずれも、ボイラーチャンバ628を出る蒸気の流路を妨害せず、凝縮器チャンバ732へと入る蒸気流路を妨害しない。これらの蒸気経路は、完全にハウジング601の周りの自由空間にある。
【0124】
薄い金属製のボイラー凝縮器シェル610、620、630及び640、並びに710(
図8)などの非金属フレームワークアセンブリは、半径方向のサポートストラットがなくても、堅牢なボイラー凝縮器構造を作り出す。シェル610、620、630、640を互いに相対的に配置するための放射状のブレースを使用することは可能だが、それらの場所によっては、ブレースが固定ワイパーブレード624及び750と干渉する可能性がある。ワイパーは重要なので、
図8及び9の設計は、剛性を得るために、放射状ブレースではなく、フレームワークアセンブリに依存する。
【0125】
図1の水源14などの水源からの汚染水は、供給口670を通ってボイラー凝縮器ユニットに入る(
図8及び9)。そこから、水は多岐管672に流れ込み、4つのチューブ674、676、678及び680に分岐する。他のセットのチューブは、シェルの周囲に配置できる。矢印671は、入口の水の流路を示している。各チューブには1つ以上のノズルがある。単純化するために、出願人は、それらの説明をチューブ676の端部のノズル690及びそれに関連するボイラー凝縮器シェル620に限定する。他のボイラー凝縮器シェル及びそれらに関連するノズルは同様に動作する。供給口に入る水の圧力水頭は、ノズルが水を内壁に向けて適切に噴射するのに十分でなければならない。ボイラーチャンバは低圧(近真空)にあるため、これは問題にはならない。一方、入口給水670は大気圧下にある(そしてニードルバルブによって絞られる)。チューブ674、676、678及び680は、最初に多岐管672に流入する入口水ではなく、供給口670に直接接続することができる。
【0126】
汚染水を処理する前に、真空ハウジングは真空引きされる。
図1及び2のシングルシェルに関して、真空引きを開始する前に、大気圧で蒸気をマルチシェルハウジング600に注入すると、非凝縮性空気が蒸気と交換され、システムが動作するときに水蒸気のみが残る。次に、真空ポンプ(
図8及び9には図示せず)が、蒸気及び残留空気を真空ハウジングから真空引きする。ボイラーと凝縮器のアセンブリが静止したままで、システムが動作していない間は、通常、初期の真空引きが行われる。
【0127】
ボイラーと凝縮器の間の液体-蒸気シールは、
図1、2及び4のシール190のようなものであり、以下で詳細に説明する。入口水が流れているときに自動的に満たされるシールの密封に関しては、ボイラー凝縮器アセンブリ601の回転によって決まる。ボイラー凝縮器アセンブリ内にある空気と蒸気は、ボイラー凝縮器アセンブリが静止していて、入口給水が流れていないとき、初期の真空引き中にシールを両方向に通過する。ボイラーチャンバと凝縮器チャンバの間の直接の均一圧力接続は、初期の真空引き中にも存在する。
【0128】
一定の蒸気圧状態を維持するため、及びそれが電力ドレインにならないようにするために、最初の真空引き後に真空ポンプをオフにする。真空引き後、蒸気圧平衡が確立される。真空ポンプは、内部処理装置圧力が、入口の蒸気飽和温度又はトラップされた非凝縮性ガス(O2、N2、Ar、CO2など)の許容できない蓄積に基づく動作条件を超えると、断続的に動作する場合がある。また、このシステムでは、小規模の真空漏れを克服するために、時折、後で真空引きが必要になる場合がある。
【0129】
通常の起動手順は以下のように始まる。
1)真空ポンプを始動して、処理装置を大気圧以下に真空引きする。
2)真空ポンプと処理装置の間のバルブを閉じ、真空ポンプをシャットダウンする。
3)ブロワーの回転を開始し、動作速度まで上げる
4)最高で動作速度までのボイラー凝縮器アセンブリの回転の開始(ブロワーの開始時に発生する可能性がある)
5)出力真水ポンプと出力廃水ポンプをオンにする(以下で説明)、並びに
6)汚染水の入口を開いて、所望の流れの状態にする。
【0130】
入口給水がアセンブリボイラー凝縮器に流入した後、水はチューブ676を通って流れ、ノズル690(
図8及び9)を含め、各ボイラーシェルに供給するために分配される。水は、シェル620の内部又はボイラー表面622及び他のシェルの内側表面に到達する。ボイラー凝縮器ハウジング601及びそのシェルの回転によって生成される遠心力により、水がボイラー表面上に薄膜を形成する。さらに、重力により、水が各シェルの頂部にあるノズルから下向きに流れる。チューブに沿ってノズルを垂直方向に間隔を空けると、ボイラー表面のより多くの面積により迅速かつ均一に水を供給することができる。
【0131】
水は近真空沸騰を開始し、結果として生じる蒸気はブロワーに移動する。
図8及び9はブロワーを示していないが、それは
図1のブロワー200、
図10のブロワー1210、及び他の図の他のブロワーと同様でよい。他の図の説明では、蒸気のブロワーへの経路について説明している。
【0132】
ワイパー624のようなオプションのワイパーは、遠心力と協働して、シェル620のボイラー表面622(
図8及び9)を含むシェルの内側表面に沿って汚染水を広げるのに役立つ。ボイラーワイパーは、円筒形状のボイラーワイパーサポート626に取り付けられる。このサポートは、ストラット658から上向きに延びる。
図1及び2のワイパー174及び176のように、
図8及び9のボイラーワイパー624は、摩擦を減少させるために、テフロン(登録商標)のような、又はテフロンもしくは他の低摩擦材料でコーティングされた他の材料のような低摩擦材料で形成される。
【0133】
外部凝縮器ワイパーは、凝縮器外側表面に接触することがある。凝縮器ワイパー632(
図8)は、円筒形サポート627に取り付けられており、これはストラット654に接続している。他のワイパー(番号なし)も同様のサポートに取り付けられている。凝縮器ワイパーは、各シェルの表面623のような凝縮器表面に接触し、遠心力がシェルの外側表面からまだ移動させていない凝縮水を除去する。比較的きれいな凝縮器表面を残すことにより、蒸気は、それまでに堆積した凝縮水に遭遇する代わりに、より冷たい金属表面のより多くに接触することができる。
【0134】
円筒形状のボイラーワイパーサポート626のストラット658への接続、円筒形凝縮器ワイパーサポート627のストラット 654への接続、及びストラットのセンターポスト650への接続は、堅牢なアセンブリを作成する。
図17、18及び19は、以下で説明されるが、
図8及び9の部品とは異なる場合がある。ただし、図面はアセンブリがどのようにして堅牢かを示す。
【0135】
図8は、各シェルに対して1つのボイラーワイパーと1つの凝縮器ワイパーだけを示し、各ワイパーはそのシェルのほぼ全体の高さにまで延びている。システムは、間隔を空けたサポート上に多くのワイパーを持つことができる。単一の各ワイパーは、個別のワイパーに分割することもできる。ワイパーが適切に配置されている場合、シェルが回転すると、少なくとも1つのワイパーがシェルの内側表面全体に接触する。各ワイパーは、次のワイパーに水を供給するように角度を付けることもできる。ワイパーも重なり合っていてもよい。各シェルの表面に沿っている単一の湾曲した又は螺旋状のワイパーを使用することができる。
【0136】
動作:処理装置を真空引きした後、汚染水は水源からチューブ676を通ってノズル690から出る。水がボイラー凝縮器シェル620のボイラー表面622を含む各ボイラーシェルに供給される(
図8及び9)。表面は約0.5 psiaの近真空である。ボイラー凝縮器の内壁にある汚染水の薄膜は、低圧で沸騰する。アセンブリ710などのフレームワークアセンブリは、沸騰チャンバ(例えば、チャンバ628)からの矢印708(
図8の底部近く)に向かって蒸気を導く。次に、蒸気はサポートインサート740の外側に沿って、上向きに矢印709の経路をたどる。サポートインサートは、真空チャンバハウジングの内壁(図示せず)から離間されている。
【0137】
シェル620のボイラー内側622からの蒸気は、サポートインサート740の外側に沿って上向きに移動した後、ブロワー又は圧縮機ユニット(
図8には示さず)に到達する。ブロワーは蒸気を圧縮する。
図8のコンポーネントの上に取り付けられるブロワーは、
図1のブロワー200に類似している。
図8(及び他の図)のマルチシェルバージョンで使用されるブロワーは、圧縮蒸気をシングルシェルにのみ供給するブロワー200(
図1)より大きな能力を有していてよい。シャフト607、角度付きドライバ609及びハウジング601を回転させる構造は、ブロワーを回転させる構造に接続することができ、動作可能である。
【0138】
ブロワーでの圧縮に続いて、蒸気は、わずかに増加した圧力Δpを有し、これは蒸気の温度ΔTを上昇させる。通常の動作条件下で、一般的な圧力上昇Δpは1~4インチ(H2O)(約0.04 psia~0.15 psia(0.25 kPa~1.0 kPa))で、対応する温度上昇ΔTは約2°F~9°F(約1℃~5℃)である。蒸気分子に作用するブロワーコンポーネントの相互作用も、蒸気の温度をわずかに上昇させる。
【0139】
高温及び高圧のブロワーからのブロワーからの蒸気は、ドーム内の開口部606及び開口部、例えば656、又はストラット654間の空間を通過する。
【0140】
蒸気の温度は、ブロワーを介してその圧力が上昇するにつれて、2°F~9°F上昇するので、凝縮表面は蒸気よりも低温である。汚染水の液体から蒸気への相転移のため、凝縮器の表面も蒸気よりも低温である。相転移からのエネルギーは、シェルの外側表面から汚染水に熱を伝達する。これにより、沸騰が発生し、各シェルの温度が低下する(一定温度の入口給水の継続的な補充を除く)。
【0141】
シェルの回転により引き起こされる遠心力は、今や液体となった水をシェル620の凝縮器表面623(
図8)から排出することができるが、表面張力は凝縮器表面上に凝縮水の一部又は大部分を保持することができる。蒸気は、凝縮水が残っている凝縮器の表面に直接接触することはできないが、蒸気が凝縮器の表面に接触することは、蒸気が凝縮熱を、ボイラー側を蒸発させるのに十分なほど凝縮器シェルに伝達するために重要である。凝縮水を除去すると、凝縮の熱伝導係数と全体的な熱力学的効率がすぐに向上する。従って、出願人は、凝縮器ワイパーブラケット627に取り付けられたワイパー632を使用して、凝縮水を凝縮器表面から投擲する。
【0142】
ワイパーブレードによって強化される、沸騰液体に対する、回転により引き起こされる慣性力からの沸騰液体の連続的な薄化は、おそらく、従来の沸騰蒸留よりも桁違いに沸騰熱伝導係数を高める。同様に、凝縮器のワイパーによって強化された凝縮水を放出する遠心力は、凝縮のために新しく露出した金属表面を作成するのに役立つ。それはまた、凝縮器の熱伝導係数を一桁以上押し上げるはずである。出願人らのシステムは、
【数15】
の熱伝導値を有するはずであり、従来型ボイラー凝縮器システムの値はこれの1/10以下である。
【0143】
遠心力によって、又は外部ワイパー632によって凝縮器表面623から放出された凝縮水は、
図8の,右側すなわち外側、凝縮器表面623にあるフレームワークアセンブリ711に接触する。フレームワークアセンブリがハウジング601及びシェルを含む多くの内部部品と共に回転するため、フレームワークアセンブリは凝縮水を上向きにフレームワークの上に導く。
図8及び9の矢印717を参照。次に、水はハウジング601の開口部736(
図8の右側)を通って放出される。
【0144】
表面623のような凝縮器表面で蒸気の相を液体水に変えると、凝縮器表面からの凝縮熱によって熱エネルギーが伝達され、熱がシェル620のようなシェルに熱を伝達する。凝縮により、水を沸騰表面622で沸騰させた熱エネルギーの大部分が回復される。ブロワー(
図8には示されていない)は、蒸気圧縮エネルギーにおいて、この熱エネルギーを生成し、蒸気温度がいくらか上昇する。凝縮中、このエネルギーはシェルに転送され、シェルの内側表面で沸騰を引き起こす唯一のエネルギー源として機能する。ブロワーによる蒸気温度の上昇は、沸騰表面622での沸騰を駆動するのに必要な熱を発生させる。システムは、汚染水を沸騰させるのに使用したエネルギーから、圧縮機のエントロピー及び小規模な熱力学非効率損失並びにプロセスを駆動するのに必要な少量の余剰熱エネルギー(ΔT)を差し引いた残りを回収する。
【0145】
表面622(
図8)などのボイラー表面に到達する汚染水の少なくとも一部は、液体のままであり、沸騰しない。それは、入力汚染水からの汚染物質を含む廃水になる。廃水は沸騰壁面に沿って下向きに流れ、シェル620の底部に到達する。出口の遠心力と重力により、廃水は共通の廃水出口に送られる(
図8には示されていないが、
図1の廃水出口のようであってもよい)。
【0146】
シール:シールは、チャンバ732のような凝縮チャンバのブロワーからの圧縮蒸気と、チャンバ628のような沸騰チャンバの圧力との圧力差を保持しなければならない。各固定ボイラーと凝縮チャンバ壁との間の密封要件は低圧なので、各固定チャンバの製造及び組立時のシーリング要件は厳しくない。通常の動作では、圧力差Δpは約0.04 psia~0.15 psiaになる。
図4のシール190のような原理を使用する2つの回転シールは、その圧力差を保持する。
【0147】
第1のシール760(
図8の左上の部分)は、センターポスト650に固定されたディスク762を含む。ディスクは、環状チャネル部材771(断面がU字形)内に延びる。環状チャネル部材は、シェル610の頂部近くに取り付けられ、シェルと共に回転する。それは汚染水770のような液体を保持する。センターポスト650を通過するチャネル、及びチャネルからシールの環状チャネル部材(図示せず)へ行くチューブは、シールのための汚染水を提供することができる。表面622のようなボイラー表面から沸騰した蒸気と、ブロワーからの圧縮蒸気との圧力差(Δp)は、回転シール内の液体に様々な圧力を及ぼす。圧力差は、回転シールのチャネル部材771内に高さの異なる柱を作り出す。
図8では、ディスク762の上にある液体770に対する圧力は、ブロワーからの圧力により、ディスクの下の圧力を超える。圧力差は水柱770を変位させるが、チャネル部材はシステム動作中に回転する。ディスク762の上下の液体に作用する遠心力により、シールを通る蒸気の流れを防ぐのに十分な液体がディスクの上下に保たれる。
【0148】
別の回転シールであるシール784も同様の原理で動作する。ディスク786は、ストラット658から外向きに延び、ハウジング601の底部(
図8の右側)で環状チャネル部材787内に入る。ディスクの上の環状チャネル部材の液体794は、シェル620のボイラー側622のようなシェルのボイラー側から低圧蒸気に曝される。ブロワーからの高圧蒸気は、ディスクの下にある液体に作用するので、液体は
図8の液体794の位置のような位置に集まる。ハウジングの回転により遠心力が生じ、これにより液体がディスク786の上下に押し付けられ、液体がチャネル部材内に保持される。液体は低圧蒸気から高圧蒸気を密封する。シール784はセンターポスト650からより遠いため、シール784の有効半径は、シール760の半径より大きい。そのため、シール784内の液体にかかる慣性力は、シール760内の液体への慣性力より大きい。
【0149】
入口670から出てくる水はまた、2つの液体-蒸気シール760及び784に同時に供給される。センターポスト650を通るチャネル、及びそのチャネルから各シールの環状チャネル部材(図示せず)へ行くチューブは、汚染水を提供することができる。チューブは、シールが水を必要とする場合にのみ水が流れるように制御できる。個別に制御されるフィラーチューブからシールのチャネルを充填する方法は他にもある。他のオプションには、シールに残っている他の液体又はグリースを環状チャネルに事前に充填することが含まれる。水の流れを使用し、チャネルがいっぱいになると、ボイラー凝縮器アセンブリの回転が自動的にチャネルを作動させる。2つのシールの容量を超える水は、ボイラーチャンバにオーバーフローする。
【0150】
シールが遮断することができる蒸気圧力の差は、液体の密度(ρ)、固定ディスク762又は786の両側の液体の高さの差(Δr)、並びにチャネルの液体にかかる慣性力によって決まる。慣性力は、回転速度(ω)及びチャネルから回転軸602までの半径の関数である。環状チャネル部材771を適切に設計すれば、回転蒸気シールを達成するのに必要な許容圧力差(Δp)及び動作回転速度(ω)に対する可撓性が得られる。
【0151】
ボイラー凝縮器ハウジングのサポート:ハウジング601及びその内部ボイラー凝縮器アセンブリは、センターポスト650の回転軸602の周りを回転する。
図8を参照。サポートインサート740上の角度付きサポート812に取り付けられているベアリング810は、ハウジング601の回転を可能にする。角度付きサポートは45°の向きであってよい。120°間隔で配置された3つのこのようなベアリングとサポートを使用できる。ベアリング810は、傾斜サポートリング822に取り付けられたベアリング820と相互作用し合う。サポートリングは、45°に傾斜している傾斜サポート812と相補的であってよい。ベアリングは、
図8の位置でハウジングを支持し、その回転を可能にする。
【0152】
ハウジング601及びその内部ボイラー凝縮器アセンブリ(ボイラー凝縮器シェル、ベアリング、シール、ワイパー、入口給水及び中心軸を含む)は、交換又は保守のために、
図8の動作方向からユニットとして取り外し可能であってよい。
【0153】
システムはまた、1つ、2つ又はそれ以上のボイラー凝縮器シェルとコンポーネントを受け入れるハウジングを使用することができる。これらの変動により、飲料水の処理量が異なる。シェルの数が異なる場合に選択された圧縮機は、さまざまな動作条件、つまり増加した蒸気流量に対応するための回転速度で動作できる。
【0154】
図10~28に示されているマルチシェル装置:
図10及び11、及び
図12~28の詳細は、ブロワーとその関連構造に結合されたマルチシェルボイラー凝縮器設計を示している。
【0155】
真空ハウジング:ボイラー凝縮器ユニット1000は、真空ハウジング1002に取り付けられる。真空ハウジングは、一緒に取り付けて密封する上部部品1003及び底部又は下部部品1004(
図11)を有することができる。ねじ切りされたアタッチメント1208を使用することができ、Oリング1006のような様々なシール部品をアタッチメントに着座させることができる。ユーザーは、ハウジングの頂部と底部を分離することにより、ボイラー凝縮器アセンブリにアクセスできる。真空ハウジングの直径は約1フィート(約30 cm)で、そのサイズの出願人の装置は、毎日40ガロン(約150リットル)を生成する。他のサイズも可能である。
【0156】
真空ハウジング1002の上部部品1003及び下部部品1004は、
図10では同じサイズだが、一方の高さが他方の高さよりも大きくてもよい。真空ハウジングはプラスチック、金属、ガラスのいずれでもかまいないが、選択された厚さの材料は、ハウジングの内部が約0.5 psiaの動作圧力にあるとき、外部の大気圧によってつぶれないだけの十分な強度を有することが必要である。プラスチックは低コストで軽量なので、プラスチックが好まれるかもしれない。ハウジングをガラス又は透明なプラスチックにすると、ユーザーがハウジング内部を見ることができる。装置は、特にプロトタイプ用のシステム計装用のケーブル配線を可能にするために、真空ハウジングを通る密封可能な開口部(図示せず)を有してもよい。ワイヤレス監視も可能である。
【0157】
ブロワー圧縮機ユニット:ブロワーユニット1200は、ブロワーハウジング1212の上部に取り付けられた多段ブロワー1210を含む。
図10を参照。モーター1214(
図10に図式的に示される)は、真空ハウジング1002の外側に取り付けられ、外部電源(図示せず)に接続することができる。モーター1214のような小型電気モーターは非常に効率がよく、電力をほとんど無駄にしない。モーター1214は、ドーム1220の上にあるブロワーハウジング1212の上部の中央に取り付けられる。
図10及び11を参照。システムの他の部分へのモーターの接続は、その場所の選択に影響する。
図10の中心位置を、
図1のモーター274の位置と比較する。モーターは磁気カプラーを使用して、真空ハウジング内の部品を回転させる。それは、下部磁気カプラー1224を回転させるカットアウト1222内の上部磁気カプラー1216を回転させる。
【0158】
モーターは、真空ハウジング1002の内部に取り付けることができる。ここまでの段落で説明したようなトランスミッションを使用する代わりに、装置は、移動又は回転する部品に隣接する別個の小型電気モーターを使用してもよい。モーターは内部条件から保護することができるが、ハウジング内に取り付けられた個別のモーターは、それでも電気への接続を必要とする。電池を使用すると、時間及び電池交換の費用がかかる場合がある。ワイヤレス充電を使用する充電式バッテリーは、真空ハウジングを通るワイヤーの使用を回避できるが、ワイヤレス充電式バッテリーは高価である。
【0159】
下部磁気カプラー1224はシャフト1230(
図10)を回転させ、これはギヤ1232を回転させる。上記ギヤは、ベルト又はチェーンを介して関連ギヤを駆動する。プーリー及び組み合わされた駆動ベルトを使用することもできる。これらは、摩擦、ギヤからギヤへの伝達、及び部品間で回転を伝達するその他の機構によって回転を伝達する。ギヤ1232は、駆動ベルト(
図10では図示省略)を介してギヤ1234を回転させる。後者のギヤはシャフト1236に接続して回転し、前記シャフトはギヤ1238を回転させる。ギヤ1238はドライブベルト1240を介してギヤ1242を回転させる。ギヤ1242はブロワーシャフト1246に固定されていて、シャフトはブロワー1210の部品を回転させる。1250、1252、1254及び1256などのベアリングは、回転用のシャフト1230及び1246を支持する。他のベアリングが他の回転部品を支持する場合もある。フランジ1260及び1261(
図10)は、バランスホイールゾーンとして機能し、ドライブシャフト1246を支持し、動作しているブロワー部品を保持する。
【0160】
ギヤ又はプーリーは、モーター1214の速度とは異なる速度でブロワーを回転させるためのトランスミッションとして機能するような大きさにする。ギヤの直径の選択の仕方により、ギヤの機械的利益及びブロワーの速度が影響を受ける。ギヤ1232、1234、1238及び1242は、
図10では必ずしも縮尺どおりではないが、シェル1010が回転するよりもはるかに速くブロワー1210を回転させる直径、例えばシェルが250rpmであるのに対してブロワーが8000rpmであるようにする直径を有する。ギヤの直径を選択すると、ブロワーの速度からボイラー凝縮器ハウジングの速度への速度の変化に対応できる。異なる直径のギヤを使用すると、ブロワーの仕様、シェルの直径、処理パラメーター、及びその他の要因を考慮して、コンポーネントの回転速度を変更することができる。
【0161】
また、ブロワーシャフト1246(
図10)の回転は、ギヤ1262を回転させ、これは、接続ベルト(図示せず)を介して、シャフト1264に付いているギヤ1263を回転させる。シャフト1264の回転は、ギヤ1266を回転させ、ギヤ1268を回転させる。ギヤは中間シャフト1270に取り付けられ、回転する(
図11)。シャフト1270とギヤ1268の回転により、ボイラー凝縮器のドーム1220及び残りのボイラー凝縮器ハウジング1008が回転する。ベアリング1078(
図11)は、回転摩擦を制限する。
【0162】
ボイラー凝縮器ユニット:ボイラー凝縮器アセンブリ1000は、一緒に入れ子になっている3つの主要なサブアセンブリを有する。
図17を参照。ノズルワイパーサポートアセンブリ1015(
図12及び17)は、
図17の下部にある。そのアセンブリは、シェルサブアセンブリ1119内に入れ子になっている。凝縮器ワイパーサブアセンブリ1154は、シェルサブアセンブリに入れ子になっている。ドーム1220はボイラー凝縮器アセンブリの頂部にあり、下部ベアリングサポート1063は底部近くにある。
【0163】
ボイラー凝縮器アセンブリ1000は、ボイラー凝縮器ハウジング1008に取り付けられる。
図10、11及び他の図を参照。ボイラー凝縮器アセンブリは、1つ以上の同心の間隔をあけたボイラー凝縮器シェルを保持する。そのボイラー凝縮器シェルは、
図8のシェルと似ているが、
図1~8のシェルを有する構造は異なることがある。
図10、11、12、13、15、17及び18は4つのシェル1010、1020、1030及び1040を示しているが、ボイラー凝縮器ハウジング1008の直径、シェルの間隔、及び真空ハウジング1002のサイズにより、装置が有するシェルの数は変動する。シェルは、アルミニウムなどの薄くて高熱伝導性の金属であるが、高い熱伝導率を有する他の材料であっても構わない。シェルは、他のコンポーネントの厚さに比べて断面が非常に薄いため、
図10と11を含む図面では線として表示されるが、
図14の拡大された2つのシェル1020及び1030を参照。
【0164】
ボイラー凝縮器アセンブリ1000の回転要素は、シェル1010、1020、1030及び1040、並びにシェルを支持するフレームワークアセンブリを含む。フレームワークアセンブリなどの2つは、アセンブリ1110と1111である。シェル及びフレームワークアセンブリは、センターポスト1050を介して垂直軸1052を中心に回転する。ワイパー円筒1016、1026、1036及び1046(
図19)は固定されている。それらは、汚染水をシェルの沸騰面に導くためのチューブ1090、1091、1092及び1093を支持する。ボイラー表面のワイパー円筒は、オプションのボイラーワイパーも支持している。凝縮器ワイパーを支持する凝縮器ワイパー円筒1156、1157、1158及び1159(
図19)も固定されている。
図12及び13を参照。これらの固定部品は、センターポスト、又はセンターポストに固定された部品に対して固定されている。
【0165】
上部ナット1079(
図11)は、ドーム1220を押し下げる。これにより、ベアリング1078が、ナットの外側とドームの上向き突起1053との間に固定される。ナットはまた、上部ストラット1054(
図11、12及び20)を押し下げて、ストラットと凝縮器ワイパーアセンブリをセンターポストに固定する。中間ナット1055はセンターポスト1050にねじ込まれ、ブッシュ1194及び1195を押し下げる(
図12)。後者は、ノズルワイパーサポートアセンブリ1015(
図12及び17)のストラット1058と係合する。上部及び中間ナットと、それらが凝縮器ワイパーアセンブリ及びノズルワイパーサポートアセンブリと係合することにより、ボイラー凝縮器ユニット1000が堅牢になる。
【0166】
シェルの沸騰表面:(断面図で)ボイラー凝縮器アセンブリの右側のみを示す
図13などの図では、各ボイラー凝縮器シェルの左側表面は、固定されたセンターポスト1050の中心にある回転軸1052に面していて、シェルの内側すなわちボイラー側である。回転軸の左側にあるシェルの少なくとも一部を示す図では、表示されている各シェルの右側が内側又はボイラー側になる。
図14では、表面1022は、シェル1020の内側のボイラー表面である。他のシェルには、対応するボイラー内部表面がある。シェル1020(
図14)の右側又は外側表面1033は、シェルの外側又は凝縮器側である。他のシェルには対応する凝縮器側があり、それらは番号付けされていない場合がある。
【0167】
ボイラー凝縮器アセンブリ1000を取り付けるためのボイラー凝縮器ハウジング1008は、円筒形状の側壁1062、ドーム1220(
図10、11、13及び15)及びベアリングサポート1063を含む。ベアリングサポートは、基部(
図10、11、13及び24)として機能する。円筒形状の側壁とベアリングサポートは、スレッド1084で一緒にねじ込まれるか、又は他の方法で取り付けられる。
図16及び24を参照。ドームは下向きに湾曲し、そのスレッドは側壁1062に係合する。
図12のスレッド1086を参照。円筒形状の側壁とドーム又はベアリングサポートは、他の接続部を使用して結合できる。ドームとベアリングサポートの形状も異なる場合がある。
【0168】
ボイラー凝縮器ハウジング1008は密封されていない。ドーム1220(
図12)の開口部1061は、ドームの領域の多く又は大部分を占めることがある。開口部は、ブロワーユニット1200からの蒸気がボイラー凝縮器ハウジング1008に入ることを可能にし、大型の開口部はあらゆる圧力降下を制限する。ベアリングサポートポート1063もその中心1095の近くで開いている(
図24)。液体と蒸気の流れについては、以下で説明する。
【0169】
ドライバ1074は、シャフト1270(
図10及び11)の底部に取り付けられる。ドライバは、ボイラー凝縮器ハウジング1008を、ハウジングの円筒形シェル1010、1020、1030及び1040と共に、軸1052の周りで回転させる。ドライバは、ドーム1220のフィッティング1053のくぼみ1064に係合している(
図11及び12)。後者はねじ接続を示している。ばね1098は、ドライバ1074を継手1053に押し込むことができる。ドライバ及びくぼみは、ねじ接続ではない、互いに係合するための他の構造を有することができる。ドライバの構造は、くぼみ又はフィッティングに取り付けられている配置に噛み合っている。非円形の形状、スプライン、溝、又は他のアタッチメントも、フィッティングとドームがシャフト1270を中心に回転することを防止するために、ドームとハウジングを確実に駆動する。
【0170】
センターポスト1050の頂部のフィッティング1053は、センターポストの周りのベアリング1078(
図11及び12)の回転のためにドーム1220を支持する。センターポストは、真空ハウジング1002の底部1009の円筒形状のエクステンション1007を通って延びる(
図10、11及び15)。センターポストの底部にねじ込まれたナット1011は、センターポストを真空ハウジングに固定する。ベアリングサポート1063は、回転するボイラー凝縮器ユニットハウジングの基部として機能する。ベアリング1087(
図11、15及び16)は、固定されたセンターポストの周りのベアリングサポートの回転を容易にする。
【0171】
ベアリングサポート1063(
図15及び24)は、垂直部分1108及び水平部分1109を備えたL字形(断面図)のセンターハブ1109を有する。垂直部分は、ベアリング1087に接触しており、ベアリングはセンターポスト1050の外側に取り付けられている。センターポストは、肩部1141から上方に延びるより小さい直径領域を有する(
図16)。センターハブの水平部分はベアリングを垂直に支える。ボイラー凝縮器ユニット1000の上部にあるドーム1220及びボイラー凝縮器ユニットの底部にあるベアリングサポート1063は、ボイラー凝縮器ユニットを、センターポスト1050の周りで回転できるように、支持する。
図24を参照。ベアリングサポートについては以下で詳細に説明する。この構成により、シャフト1070が回転するとき、ドーム1220、ベアリングサポート1063、及び円筒形状の側壁1062が固定されたセンターポストの周りを回転することができる。
【0172】
固定された上部セットと下部セットのストラット1054及び1058(
図10、11、12及び13)は、センターポストから外向きに延びる。
図15、16、18及び19を参照。それらはすべてのストラットを示しているわけではない。ストラットの各セットには、2つ、3つ、4つ又はそれ以上のストラットが含まれる場合がある(
図17、18、19を参照)。
【0173】
汚染水のシステムへの流れ:
図1の供給源14のような供給源からの汚染水は、センターポスト1050(
図11、15及び16)の供給口1070を通過し、給水入力の頂部の近くにある1つ以上のダクト1071を通って、ボイラー凝縮器アセンブリに入る。供給口は、水源に取り付けるためのフィッティング1069(
図11及び15)を有することが可能である。汚染水の発生源からの圧力水頭は、水をダクトまで上昇させる。各ダクトは、供給口1070からセンターポスト1050を通り、出口1072を介して半径方向に延びる。ボイラー凝縮器ハウジング1008が回転すると、遠心力が水を、ダクトと出口から少なくとも1つの下部ストラットの下にある多岐管に導く。4つの短いチューブ1080、1081、1082および1083(
図11、13および15)は、多岐管内の水の中まで伸びている。短いチューブは、それぞれ長いチューブ1090、1091、1092及び1093に接続している。多岐管内の水にかかる、回転により生成された圧力水頭は、4つのチューブに圧力水頭を生み出し、水を押し上げ、長いチューブ内に導く(
図10、11、13及び15)。
【0174】
多岐管1073は、図面ではストラット1058の下に取り付けられるが、他のストラットも多岐管を有することができる。遠心力とワイパーが流入する水を各シェルの周りの薄膜へと広げるので、出願人は、各シェルに対して半径方向に整列したチューブのセットを備えた単一の多岐管を使用できる。対応するチューブと4つのダクト1071を備えた4つの下部ストラットのそれぞれの下に1つずつ、90°間隔で配置された4つの多岐管が、汚染水をより均一に分配する。
【0175】
長いチューブ1090、1091、1092及び1093は、円筒形サポート1016、1026、1036及び1046から外向きに延びるバルジ1094などのバルジを通って延びていてもよい(
図18及び19)。
図17の分解組立図は、ノズル-ワイパーサポートアセンブリ1015と他のコンポーネントとの関係を示している。円筒形サポートは、ストラット1058などのストラットと組み合わされて、堅牢な固定ノズルサポートサブアセンブリ1015を形成する。1つの成形プラスチック片で、円筒形サポート及びストラットを含むサポートサブアセンブリを形成することができる。
【0176】
多岐管の必要性をなくすために、4つの短いチューブを出口1072に直接接続することもできる。これにより、遠心力は圧力水頭を発生させ、水を短いチューブ1080、1081、1082及び1083に導く。短いチューブは、長いチューブ1090、1091、1092及び1093(
図13及び18で最も分かりやすく示されている)に接続する別個の要素であってもよく、またそれぞれの長いチューブの一体部品であってもよい。
【0177】
多岐管1073、短いチューブ1080、1081、1082及び1083並びに長いチューブ1090、1091、1092及び1093内の汚染水に対する遠心力によって生じる圧力は、水を長いチューブの頂部から押し出す。水がチューブの外側の回転シェルの内側表面に当たり、遠心力がシェルの内部沸騰面で水を掴む。長いチューブの頂部をシェルに向けて傾けると、水がシェルに導かれる。また、それぞれの長いチューブの長径に沿う1つ以上のノズルは、そのシェルに向けて水を噴霧することができる。
【0178】
図19は、円筒形サポート1016、1026、1036及び1046の周りに90°おきに間隔を空けた他のセットのチューブを示す。より多くの又はより少ないチューブを使用してもよい。バルジ1094の外側が十分に外向きに延びている場合、それはワイパーとして機能する可能性があるが、硬すぎるために、シェルに力をかけすぎて摩擦が発生する可能性がある。
図19のバルジには、スロット1095のような細長いスロットがあり、可撓性ワイパーをつかむことができる。
図19は、シェルの沸騰表面用の可撓性ワイパーを示していないが、これらのワイパーは凝縮器の表面に作用するワイパー1150に類似している(
図20)。ワイパーは、ワイパーとそのシェルの間の摩擦を減らすために、テフロン(登録商標)、他の低摩擦材料、又はテフロンもしくは他の低摩擦材料でコーティングされた別の材料で作成してもよい。ワイパーは湾曲していても真っ直ぐでもよく、シェルのボイラー内側表面のほぼ全長にわたっている。システムは、ボイラー又は凝縮器の各表面に複数のワイパーを使用できる。
図19を参照。ワイパーに角度を付けること又はワイパーを重ね合わせることも有効である。スロット1097などの2番目のスロットにより、反対方向を向いた可撓性ワイパーを取り付けることができる。これにより、ボイラー凝縮器ユニットが反対方向に回転した場合に、ワイパーがボイラー表面の汚染水に影響を与えることができる。
【0179】
環状フレームワークアセンブリ:このシステムには、環状フレームワークアセンブリも含まれている。それらは、(1)円筒形シェル1010、1020、1030及び1040と取り付けられたコンポーネントを支持し、(2)沸騰シェル表面から蒸気を導き、(3)蒸気を凝縮器表面に導き、(4)シェルの対抗する側の間の圧力差を維持し、なおかつ(5)回転コンポーネントを堅牢にする。シェルサブアセンブリ1119のフレームワークアセンブリ(
図17及び25)は、
図8のフレームワークアセンブリに似ている。各シェルには、シェルと一緒に回転する、対応するフレームワークアセンブリがある(
図13、14、25で最もよく分かりやすく示されている)が、ここではシェル1020及び1030の両側のアセンブリのみを説明する。
【0180】
環状フレームワークアセンブリ1111は、シェル1020及び1030と取り付けられている。それは、下部リング1112、角度付きブレース1111及び上部リング1118を含む。下部リングは、シェル1020に取り付けられ、上部リングは、隣接するシェル1030に取り付けられる(
図13、14及び25)。シェル1040は、フレームワークアセンブリ1110の頂部から垂下する。この配置は、ボイラーチャンバの底部、シェルのボイラー表面とそのボイラー表面に最も近いフレームワークアセンブリとの間の空間を開いたままにする。沸騰した蒸気がその開かれた空間を流れる。この構成はまた、圧縮された蒸気がシェルの沸騰表面に到達することを防ぎながら、圧縮機/ブロワー1200から圧縮された蒸気がシェルの反対側の凝縮器表面に到達することを可能にする。また、フレームワークアセンブリは、シェルの両側の圧力を、下部ボイラー圧力及び圧縮機から来る高い圧力に維持する。
【0181】
シェル1040の外側にフレームワークアセンブリはない。代わりに、円筒壁1120のリム1088は、リム1088の下から下向きかつ内向きに突出する。
図25を参照。シェル1040の底部は、下向きの突起に取り付けられている。フレームワークアセンブリとシェルは単一ユニット1119を形成する(
図25を参照)ドーム1067、ベアリングサポート1063(以下で説明)及び円筒壁1120の回転により、フレームワークアセンブリ及びそれらが組み込まれているシェルが、固定センターポスト1050を介して軸1052を中心に回転する。
【0182】
沸騰表面とその隣接するフレームワークアセンブリ、例えばシェル1030の表面1032とフレームワークアセンブリ1111との間の回転軸1052に面する空間は、沸騰チャンバ(例えば、
図14が最もよく分かりやすいチャンバ1128)である。沸騰した汚染水からの蒸気は、最初、シェルの沸騰面から離れる。遠心力は沸騰面に沿って汚染水を保持するが、その力は蒸気に影響を与えない。
【0183】
蒸気を生成するシェルのボイラー表面:システムは、動作中、近真空圧力(約0.5 psia)下にある。チューブ1096を出る汚染水は、シェル1030の内側表面又はボイラー表面1032に到達する(
図14で最もよく分かりやすく示されている)。ハウジング1000とそのシェルの回転によって引き起こされる遠心力により、各沸騰面に水が薄膜を形成する。重力は水をシェルの頂部1032から下向きに流す。ワイパー1024(
図14)などのオプションのワイパーは、遠心力及び重力と共働して、汚染水をシェル1030のボイラー内側表面1032に沿って薄膜に拡散させる。(
図14)ストラット1058のようなストラット及び他のストラットの他のブレース1057は、円筒1016(
図19)のようなボイラー円筒を固定する。ワイパーは、長いチューブに取り付けることもできる。
【0184】
近真空(約0.5 psia)では、各ボイラー凝縮器シェルの内側、ボイラー表面(例えば、シェル1030の表面1032)が沸騰して、水蒸気をボイラー表面の内部から遠ざける。すべての汚染水が沸騰するわけではない。不揮発性の汚染物質は、沸騰しない汚染水を含む溶液中に残る。十分な量の汚染水が残留し、重力及びワイパー1024などのワイパーからの力が、汚染物質を廃水としてボイラー表面に沿って下向きに押しやる(
図14)。廃水は、ボイラー表面の下部と下部ストラット1058を通過するときにファンアウトする。凝縮器ワイパー円筒1156、1157及び1158(
図20)の底部は、それぞれのシェル1020、1030及び1040の下部より下に延びている。出口にかかる遠心力が廃水を外向きに導き、それは隣接する円筒形のワイパーサポートの底部に当たり、その運動エネルギーを失い、上部ダイバータ1400の傾斜面1402に落ちる(
図15及び16)。固定されている上部ダイバータは、ストラット1058のようなストラットの下にあるセンターポスト1050の周りに固定されている。
【0185】
アウターシェル1040は、シェルの外側に円筒形状のワイパーサポートを有していない。アウターシェルからの廃水は、上部ダイバータ1400(
図15)の曲面1406の上部に噴霧される。面が湾曲しているために、廃水はダイバータの傾斜面1402に向かう。3つの円筒形状のワイパーサポートと曲面からの廃水は、上部ダイバータの傾斜面に沿って内側に流れ、上部ダイバータ(
図15)にある開口部1744のような開口部に到達する。
【0186】
ベアリングサポート1063は、固定されている上部ダイバータ1400(
図11、15及び16)の下にあるセンターポストの下部の周りを回転するように取り付けられている。ベアリングサポートは、ねじ切りされた上部1084(
図15、16及び24)を備えた直立した円筒壁1100を含む。直立した円筒壁は、傾斜した円盤状のセクション1101を備える湾曲した交差部1102から上向きに延在している。
図24を参照。ベアリングサポートの中央領域とその水平面1101は、センターポスト1050から離れており、開口部1744のような上部ダイバータの開口部の下にはない。ベアリングサポートポートの中央部分1104は、垂下する円筒壁1107からセンターハブ1105まで、一般に内向きに開いている。
図15、24及び26を参照。開口部1744の位置は、ダイバータの開口部を通って流れる廃水がベアリングサポートの水平面を逃す原因となる。
【0187】
短くて幅広のアーム1106(
図16及び24)は、円筒壁1107及びベアリングサポート1063のセンターハブ1105を接続する。アームは、傾斜面1117を有し、それは廃水にぶつかり、アームがベアリングサポートと共に回転するとき、廃水を下向きに加速する。延長リング1125のオプションの短いプレート1117(
図16、23及び24)も、それが回転するとき、水を押し下げる。延長リングは、垂下円筒壁1107の一部として形成するか、又は別個に製造して垂下円筒壁に取り付けることができる。
【0188】
固定回収リング1410は、ベアリングサポート1063(
図16及び26)の下に取り付けられる。回収リングは、センターポスト1050に固定された内部ハブ1412を有する。アーム(図示せず)は、コレクターボウル1414をインナーハブに取り付けてインナーハブとコレクターボウルの間にスペース1415を作るために外向きに延びる。コレクターボウルは、ディスク1418(
図16及び26)から上方に延びるアウターリム1416を含む。突起1420は、ディスク内部から下向きに延びる。ベアリングサポートのセンター部分1104を通って流れ落ちる廃水は、インナーハブとコレクターボウルの間の空間1415を通って流れる。コレクターボウルのディスク1418は中心に向かって下に傾斜しているため、ディスクに到達し、直接空間1415を通って流れない廃水は、ディスクに沿って内側に空間1415に流入する。
【0189】
ベルト1700(
図11、15、16及び23)は、ギヤ1770を回転させる。ベルトは、リング1730の周りに延在し、それはベアリングサポート1063の下に延在する。
図23を参照。
【0190】
各沸騰チャンバの底部は開いており、蒸気を下向きに流すことができる。4つのボイラーチャンバ間に直接接続が存在するため、それらは同じ近真空圧力を共有する。すべての沸騰チャンバからの蒸気は、領域1027に移動し、それを通過する(
図15及び16)。断面図では、コンポーネントが領域の大部分の空間を占めているように見えるが、領域には蒸気のための十分な空きスペースがある。
【0191】
外側同心円筒1188及び内側同心円筒1187は、固定されており、ボイラー凝縮器アセンブリの周囲を囲んでいる。
図10、11、12、13、15、16、23及び26を参照する。空間を空けて同心円筒を配置すると、チャネル1190が作成される。円筒1187と1188の底部には、蒸気が通過する窓を作成するために、円筒の周囲に足がある。
図16及び23の窓1189を参照する。外側同心円筒1188の頂部は、H型ガスケット1191(
図11)内に延びる。
【0192】
シェルのボイラー表面から来る領域1027の蒸気は、窓1189を通って、外側同心円筒1188と真空ハウジング1002との間のチャネル1029に流入する(
図10、11、12、13、15及び16)。チャネル1029から、蒸気はブロワーハウジング1212の頂部カバー1217の開口部(図示せず)を通って、ブロワー1210の下部圧力(頂部)側のブロワー入口1218(
図10及び11)に移動する。
【0193】
ブロワーハウジング1212の側壁1202は、頂部カバー1217及び基部1205(
図10)に取り付けられる。部品間のねじ接続1208を使用することができるが、それらは異なるように取り付けることができる。ねじ接続は、保守を容易にする。Oリング1203及び1204並びに振動ダンパー1209は、ブロワー1210と側壁との間に取り付けることができる。ブロワーハウジングの基部の円筒形状の延長部1206は、
図10で下向きに延びる。円筒形状の延長部の底部は、外側同心円筒1188の頂部にあるH型環状リング1191と係合する。
図10、11及び12を参照。
【0194】
ブロワーは、蒸気を圧縮し、ブロワーハウジング基部1206(
図12)の出口開口部1226を通して蒸気を導く。ブロワーでの圧縮により、蒸気圧力Δpが増加する。それにより、
【数16】
(ここにおいて、kは定数、Pは圧力、Tは温度─ゲイ-リュサックの法則)であるため、蒸気温度ΔTが上昇する。
【0195】
標準的な圧力上昇Δpは、0.04 psia~0.14 psia(0.28 kPa~0.97 kPa)であり、対応する温度上昇ΔTは、通常の動作条件で、約2°F~13°F(約1℃~5℃)である。高圧蒸気は、ブロワー1210からドーム1220の開口部1061を通ってボイラー凝縮器ハウジング1008に流入する。
【0196】
アセンブリ1110(
図10、11、13及び14)のような環状フレームワークアセンブリが、シェルを支持する。フレームワークアセンブリは、堅牢なストラットのようなフィクスチャーである。ワイパーを支持するサポートポート1026及び1156などの支持円筒も堅牢である。薄い金属製ボイラー凝縮器シェル1010、1020、1030及び1040(
図10及び11)、および1110(
図10及び11)のような非金属製フレームワークアセンブリは、放射状のサポートストラットがなくても、硬いボイラー凝縮器構造を形成する。シェル1010、1020、1030及び1040の間の放射状ブレースは、固定ワイパーブレード1024及び1150と干渉することがある。ワイパーは重要なので、
図10及び11の設計は、フレームワークアセンブリ次第である。
【0197】
アセンブリ1110のようなフレームワークアセンブリはまた、凝縮器から、チャンバ1028のような沸騰チャンバへの蒸気の流れ、及びシェルの沸騰表面にぶつかる蒸気の流れを防ぐ。代わりに、圧縮された蒸気は、フレームワークアセンブリの反対側を流れて、各シェルの外側又は凝縮器側に到達する。シェル1030の外側へのアセンブリ1111のようなフレームワークアセンブリが、フレームワークアセンブリとシェル1030の凝縮器側との間に凝縮器チャンバ1031を形成する。フレームワークアセンブリは、チャンバ1028のようなボイラーチャンバを出る沸騰蒸気の流路を妨げず、またチャンバ1124のような凝縮器チャンバへの蒸気流路に入ることを妨げない。これらの蒸気流路は、すべてハウジング1000の周囲の自由空間にある。
【0198】
ボイラーチャンバ、例えばチャンバ1028と同様に、チャンバ1124などの凝縮器チャンバもまた平行であり、同じ近真空圧力である。しかしながら、沸騰チャンバ内の圧力は、凝縮チャンバ内の圧力よりも低い。
【0199】
汚染水が表面1032のようなボイラー表面から沸騰すると、シェル1030は熱エネルギーを汚染水に伝達する。シェルから汚染水への熱伝導により、各シェルの熱エネルギーが失われ、温度が低下する。薄いシェルの高い熱伝導係数は、シェルの外側表面の温度も下げる。凝縮器の表面に到達する蒸気は、ブロワーを介した圧力上昇により高温である。凝縮器の表面1033に到達する「暖かい」蒸気が、比較的冷たい表面に遭遇すると、蒸気が凝縮して真水になる。
【0200】
凝縮器表面1173で蒸気の相が液体水に変化すると、熱エネルギーが凝縮熱から凝縮器表面に移動し、熱がシェル1020のようなシェルに移動する。凝縮により、沸騰面1022で水を沸騰させた熱エネルギーが回復される。この熱エネルギーと凝縮中のエネルギー移動は、シェルの温度を上げて、沸騰面1022で沸騰熱を発生させる唯一のエネルギー源である。システムは、汚染水を沸騰させるために使用されたエネルギーから、凝縮器の熱力学的非効率による損失、及びプロセスを駆動するために必要な少量の余剰熱エネルギー(ΔT)を差し引いたエネルギーを回収する。
【0201】
シェルの回転によって生じる遠心力が、凝縮器の表面から凝縮水を弾き飛ばす可能性があるが、表面張力は凝縮器の表面に凝縮水を保持する可能性がある。凝縮器の表面に残る凝縮水が、蒸気が熱伝導の高い凝縮器の表面に接触することを制限又は妨害するがゆえに、凝縮水を除去すると、凝縮と全体的な効率がすぐに向上する。
【0202】
表面張力によって凝縮器表面上に保持された凝縮水の除去を促進するために、各凝縮器の表面、例えば表面1032は、1つ以上のワイパーを有する。凝縮器ワイパーアセンブリ1154(
図17及び20)は、4つのワイパーサポートシリンダ1156、1157、1158及び1159を含み、これらはストラット1054から垂下する。(
図20は上向きである。ストラットはボイラー凝縮器の頂部近くにある。
図10及び11を参照。)固定されている円筒は、各シェルの外側、凝縮器表面にある。
【0203】
ワイパー1150のような凝縮器ワイパーは、凝縮器表面1173に接触して、表面から凝縮水を投げ落とす。外部ワイパーは、フィッティング1153(
図20)などのフィッティングに取り付けられており、それらは、円筒1152の突起1153のような内向きの突起である。ワイパーは、ワイパーフィッティングのスロットに取り付ける。
図20は、ワイパーフィッティングを90°ごとに示しており、ワイパーは、所望のフィッティングに取り付けることができる。各ワイパーは1つの部品であってもよいし、2つ以上のワイパーを含んでいてもよい。各ワイパーの垂直エッジは、シェルが回転するのと同じ方向に外向きに伸びるか、又はワイパーが水に到達すると、シェルの水を「カットスルー」する反対方向に伸びる。ワイパーはフレームワークアセンブリから間隔を置いて配置され、リング1112などの下部リングに到達しない。
【0204】
遠心力及びワイパーによって凝縮器表面1173から投げ出された真水凝縮水は、フレームワークアセンブリ1111上の隆起部1037などの環状フレームワークアセンブリの螺旋状の隆起部に接触する。
図11、13、14及び25を参照。各フレームワークアセンブリは、図面では1つの連続した隆起部を有するが、各フレームワークアセンブリは、2つ以上の隆起部を有することが可能である。隆起部は連続している必要はなく、断続的でもよい。フレームワークアセンブリが、螺旋状の隆起部と結合した軸1022を中心に回転することにより、凝縮水は上向きに及びフレームワークアセンブリを超えて排出される。螺旋状の隆起部がなくても、フレームワークアセンブリの角度によって真水が上向きに押し上げられる。凝縮水がフレームワークアセンブリの頂部に到達すると、遠心力によって水がドーム1220の内壁1176に向かい、開口部1177を介して外向きに放出される(
図12)。水は外側の同心円筒1188に噴霧され、そこで回転運動エネルギーを失い、外側と内側の同心円筒1188と1187との間のチャネル1190を下向きに流れる。チャネル1190の底部から、水はピトーポンプ1712の頂部にある環状溝1775に流れ込む(
図11及び15)。溝は傾斜しており、開口部1707の上方にあるより深い部分はピトーポンプ1712に入る。詳細は以下で説明する。
【0205】
真水及び廃水の除去:
図5の装置から廃水及び真水を除去するためのブラダーシステムは、
図10及び11の装置からそれらを除去することができる。そのシステムは、真空チャンバの真空を押す外部の大気圧を克服し、廃水と真水を除去を可能にしました。
図5で説明したように、従来のポンプはかなりのエネルギーを使用し、外気の真空チャンバへの侵入を許す恐れがある。
【0206】
図5のブラダーシステムの代わりに、
図10及び11並びに添付の図の処理装置は、ピトーポンプ(「ピトー管ポンプ」とも呼ばれる)を使用し、飲料水と廃水の圧力を上昇させる。B・スキアヴェッロ、「特別な目的のポンプピトー、進行するキャビティ、空気動作式ダイヤフラム、及び油圧動作式ダイヤフラムに関するチュートリアル」、第14回国際ポンプユーザーシンポジウムの議事録、www.911metallurgist.comで入手可能。この論文は参考文献に含まれている。ピトーポンプは遠心ポンプの一種だが、通常、回転するピトー管を使用して、送出される液体を通過させる。出願人は反対を行う。出願人はチャンバ内で水を回転させ、水はチャンバ内のピトー管に遭遇する。ピトーポンプの圧力水頭は、チューブアームの半径、ピトー管の開口部の面積、及び液体の速度の関数である。出願人のポンプの構造の詳細については、以下で説明する。
【0207】
2つのピトーポンプ1712及び1722は、装置から真水及び廃水を別々に圧送する。個別のモーターで各ポンプを稼働させることも、1つのモーターで両方のポンプを稼働させることも可能だが、
図10及び11の装置はモーター1214に依存しており、それがブロワーに動力を供給し、シェルを回転させ、以下で説明するギヤ及びプーリーを介してピトーポンプに動力を供給する
真水ピトーポンプ1712用のベアリング1726及び1727は上部シャフト1724を支持し、ベアリング1728及び1729は下部シャフト1725を支持する(
図11、15及び16)。上部シャフトの底部は、真空ハウジング1002の底壁1004の上にある上部磁気ホイール1738に取り付けられる(
図11、15及び16)。上部磁気ホイールを回転させるコンポーネントについては、以下で説明する。上部磁気ホイールの回転による磁気により、下部磁気ホイール1739が回転する。底壁はプラスチックであるため、上部磁気ホイールの磁気が下部磁気ホイールを駆動する。
【0208】
上部及び下部ホイール1738並びに1739の間の磁力はまた、真水ピトーポンプ1712を真空チャンバ1000の底部1004に固定する。同様に、上部及び下部ホイール1738及び1739の磁石は、廃水ピトーポンプ1722を真空ポンプ1000の底部1004に固定するのに十分な力を発揮する。真水ピトーポンプの溝1466と1467のそれぞれのOリングと、廃水ピトーポンプにあるOリング溝のOリング(番号省略)は、真空チャンバの下側に接続するポンプを密封する。
【0209】
ギヤ又はプーリー1770は、上部シャフト1724に取り付けられる。
図11、15及び16を参照。上部シャフト、そのギヤ及びベアリング1726及び1727を含むシャフト-サポートアセンブリは、「偏心した」同心円である。ボルト(図示せず)はシャフト1746及び1747を貫通してプレート1749と1750を一緒に固定する。
図16を参照。プレートは、ベアリング1726及び1727並びにギヤ1770を一緒に固定する。プレート1749上の上部ボス1752は着座し、下部ダイバータ1740のキャビティ1753内で回転することができる。下部ダイバータ1740は、内側同心円筒1187に向かう下部ダイバータを密封するOリング1438を有する(
図10、11、16及び26)。下部ダイバータの内側部分1743は上向きに延び(
図15、16及び26)、垂直部分の内側には1194でねじ切りされており、フィッティング1192(
図16及び26)を固定する。下部ダイバータ1740(
図23)から延びる3つのポスト1447、1448及び1449は、真空ハウジング1002の基部1004に接して下部ダイバータを支持するための足として機能する。
【0210】
シャフト、ギヤ及びベアリングがプレート1749及び1750の中心にないため、上部シャフト1724は偏心している。回転プレート1749及び1750は、シャフト、ギヤ及びベアリングを横方向に動かす。上部磁気ホイール1738は、円筒形状のボウル1783内にある(
図16及び28)。これらの図が示すように、ボウル内のホイールの位置決めを可能にするために、ボウルの直径は磁気ホイールの直径よりも大きい。
図15と16の磁気ホイールとボウルの間の空間に留意する。
【0211】
廃水用のピトーポンプ1722及びポンプに動力を供給するためのコンポーネントは、真水用のピトーポンプ1712を動作させるものと同様である。上部シャフト1724及び下部シャフト1725は、それぞれの組のベアリング1754と1756及びベアリング1758と1759の間で回転する(
図11)。上部磁気ホイール1768は上部シャフトに取り付けられ、下部磁気ホイール1769は下部シャフトに取り付けられる。上部磁気ホイールの回転は、下部磁気ホイールの回転を引き起こす。
【0212】
ギヤ又はプーリー1771は、上部シャフト1724並びにベアリング1756及び1757(
図15)に取り付けられる。真水ピトーポンプ1712のシャフトサポートアセンブリと同様に、このアセンブリも中心から外れている。シャフト1773及び1774は、プレート1749及び1750(
図15)をギヤ1771並びにベアリング1756及び1757と共にプレート間に取り付ける。プレート1749上の上部ボス1779は着座し、下部ダイバータ1740のキャビティ1780内で回転することができる。下部ダイバータのキャビティ1753と1780も、
図27に表示されている。
【0213】
上部シャフト1746、ギヤ1771、並びにベアリング1756及び1757は、プレート1749及び1750の中心にない。ピボットプレート1749及び1750は、シャフト、ギヤ及びベアリングを動かす。上部磁気ホイール1768は円筒形状のボウル1784に取り付けられている(
図15)。ボウルの直径は、磁気ホイールの直径より大きいため、ホイールをボウル内に配置できる。
【0214】
ベルト1700(
図15及び16)は、廃水ピトーポンプ1722のギヤ1771を介してシャフト1756を回転させる。
図15のシャフト1725の周りのサポートのようなサポート1436及び1437は、相互に力を釣り合わせるために一緒に締め付ける。スロット1440及び1442を通って延びるボルト(図示せず)を、サポートと一緒に固定する。ホイール1768と1769の磁気結合により、上部シャフト1454とそのホイール1768の回転が、下部ホイール1769と下部シャフト1755に回転を伝達する。
【0215】
組立中、駆動ベルト1700は、ベアリングサポート1436の下にあるギヤ1771上で緩められている(
図15及び23)。ベルトはまた、真水ピトーポンプ1712の上部シャフト1724のギヤ1770を通過する。ピボットプレート1750及び1738並びにプレート1723及び1437は、それぞれのギヤ1770及び1754を駆動ベルトの適切な締付位置に移動させる。駆動ベルトがその適切な張力であるとき、ねじ(図示せず)はプレート1750及び1738並びにプレート1723及び1437を下部ダイバータ1740(
図15、16及び23)に固定する。
図27は、ねじ穴1785、1786、1787及び1788を示す。下部のダイバータは薄いため、ねじ穴を、特にダイバータの頂部にあるねじ穴を補強することが望ましいことがある。
【0216】
上述の偏心配置の代わりに、アイドラー又はテンショナプーリーなどのコンポーネントは、駆動ベルトの張力を調整及び整備することができる。
【0217】
真水ピトーポンプ1712のプレート1749及び1750、ギヤ1770、並びに上部シャフト1754を動かすと、上部磁気ホイール1738の位置が変わる。2つの磁石が自己整合するように、ピトーポンプを回転させることができるのでないと、上部ホイールは下部磁気ホイール1739と位置合わせできないことがある。上部駆動磁石を囲む円筒形ボウル1783(
図16及び28)の直径が磁石の直径よりも大きい場合、自己整合が行われることがある。図面はそれらの比率を示している。廃水ピトーポンプ1722並びに磁気ホイール1768及び1769の類似した構造により、廃水ポンプのコンポーネントの自動整合も行われることがある。
【0218】
真空ハウジング1000(
図10、11、15及び16)の基部1004の下にある、ポンプハウジング1703(
図11、15、21及び22)内に真水マウント用のピトーポンプ1712がある。ピトーポンプ1712は、下部シャフト1725が駆動する回転キャビティ1717を含む。下部シャフトは、ベルト1700回転を介して、ギヤ1770を回転させる。それは、シャフト1724、1対の磁気ホイール1738及び1739、並びにシャフト1725を回転させる。パイロットポンプ内にあるピトー管1715は、直立セクション1716を含む。この直立セクションは、プレート1705から、開口部1741を通り、ポンプキャビティ1718内まで延在する。ピトー管1716は、キャビティの内壁1718の近くに延在する水平な湾曲部分1717を有する。ピトー管は円形開口部1719まで延在する。この開口部はテーパーされていることがある。
【0219】
ピトーポンプの回転キャビティ1717は、真空ハウジング1000内では近真空圧力下にある。キャビティ回転は、キャビティ内に回収された水を回転させる。真水がキャビティに流れ込み方については、以下で説明する。ベーン1704(
図22)は、キャビティ内の水がキャビティ壁の1718の速度又はその近傍で回転するのに役立つ。回転する水はピトー管の開口部1719に遭遇し、ピトー管1715に流れ込み、そこの圧力が増加する。キャビティの回転速度と曲線部分1717と開口部1719の半径を設計することにより、水圧は大気圧(14.7 psia又は約101 kPa)以上に上昇する。水の圧力が大気圧より高いために、水はピトー管の直立セクション1716を通って流れ、開口部1741(
図21及び22)から出て、容器(図示せず)に回収することができる。
【0220】
図5のバルブ330及び331のようなリードバルブ又は別のタイプのチェックバルブは、開口部1741の下流に取り付けることで、ピトーポンプがオフの場合又は真水が存在しない場合、大気圧の空気がピトーポンプを通って処理装置に逆流することを防ぐことができる。ピトーポンプの設計は、チェックバルブによる圧力降下を考慮する必要があるが、チェックバルブによる圧力降下を克服するために圧力を5又は10 psiaを上げるために使用されるエネルギーは、システムの効率と電力使用量に大きな影響を与えない。
【0221】
ピトーポンプ1712は、以下のように真水を受け取る。真空ハウジング1000の底部1002の基部1004は、2つの傾斜したリング溝1430及び1432を有する(
図28)。1430は真水を回収し、内輪溝1432は廃水を回収する。両方のリング溝は傾斜している。開口部1431は外側リング溝の低点にあり、開口部1433は内側溝1432の低点にある。ピトーポンプも傾斜したリング溝を有する。開口部1431は、真水を真水ピトーポンプ1712の頂部の周りの傾斜したリング溝1465に排出する。開口部1433は、廃水をピトーポンプ1722のリング溝1469に排出する。
【0222】
真水ピトーポンプ1712の傾斜リング溝1465は円形であり、それにより、外側溝1430の開口部1431は、ピトーポンプの角度方向にかかわらず、ピトーポンプの傾斜したリング溝の一部の上にある。ポンプの傾斜したリングの溝1465は、Oリングの溝1466及び1467の間にある。
図11、15及び21を参照。Oリングは、ピトーポンプと、真空ハウジング1000の下部1002の基部1004の下側との間にシールを形成する。リング溝及びOリング溝は、ピトーポンプの上面に成形してもよい。ポンプのリング溝は、開口部1707の上の低点で傾斜する。リング溝に流入する真水は、溝の低点を探し、開口部1707に流れ込み、真水ピトーポンプに流れ込む。
【0223】
廃水ピトーポンプ1722は、他方のピトーポンプ1712と同じ性能であってもよい。それは、傾斜リング溝1469(
図11及び15)を有し、その一部は、真空ハウジング1000の下部1002内の開口部1433と位置が揃っている(
図28)。(
図28)。開口部1433は、真空ハウジングの内側リング溝1432(
図28)の低点にある。ピトーポンプの傾斜したリング溝1469は、ピトーポンプの角度方向にかかわらず、開口部1433の下にある。傾斜リング溝1469内のピトーポンプの低点は、ピトーポンプに通じる開口部1745にある。
図11及び15を参照。
【0224】
廃水ピトーポンプ1722の場合、開口部1744を通って流れる廃水は、廃水ピトーポンプの周りのチャネル1745に到達する(
図11及び15)。チャネル1745の廃水の水頭によって水圧が上昇すると、廃水は入口1459を通過する(
図11)。導管内の水からの圧力により、水はピトーポンプのチャンバ1772に送られる。チャンバは、真水用のピトーポンプ1712の回転チャンバ1717などのコンポーネントを使用して回転する(
図11、15及び21)。チャンバの回転により、廃水が回転して、ピトー管1781に移動する。水はピトー管内で14.7 psia以上に加圧され、出口1782から出る。チェックバルブ(図示せず)は、水が出口に戻ることを防ぐことができる。
【0225】
下部ハウジング1002内のピトーポンプ1712及び1722の角度方向は、ギヤ1770及び1771の横方向位置に応じて変化する。上部シャフト1724、ギヤ1770並びにベアリング1756及び1757の偏心配置、並びに上部シャフト1754、ギヤ1771並びにベアリング1756及び1757の偏心配置が調整された後、駆動ベルト1700、ピトーポンプ1712及び1722は磁気により自動的にセンターに位置し、上部磁気ディスク1738は下部ディスク1739に位置合わせされ、磁気ディスク1768はディスク1769に位置合わせされる(
図11及び13)。各ピトーポンプの角度位置に関係なく、それぞれのピトーポンプ内の傾斜リング溝1775と1469は、常に上流側の真水又は廃水の水源の下にあるため、液体はピトーポンプの入口に流れ込む。
【0226】
シール:動作中、シールは、チャンバ1124のような凝縮チャンバ内のブロワーからの圧縮蒸気と、チャンバ1038のような沸騰チャンバ内の圧力との圧力差を閉じ込める。圧力差が小さいため、シール要件は厳格ではない。通常の動作では、圧力差Δpは約0.04 psia~0.14 psia(約28 kPa~97 kPa)になる。前述した他の設計と同様に、出願人は、
図4のシール190のような特別な回転シールを使用して、その圧力差を保持する。
【0227】
第1又は上部シール1160は、センターポスト1050に固定されたリング1162(
図11、12、13及び25)を含む。リングは、最も内側のシェル1010の頂部にあるチャネル部材1164内に延びる。チャネル部材はシェルと一緒に回転する。そうでない場合は、供給口1070に流れ込むはずの汚染水を、センターポストを通して、別の導管1165に迂回させることにより、チャネル部材は汚染水で満たされる。
図13を参照。導管1165の頂部は、タイゴン(登録商標)の短片又は他の適切な可撓性ポリマーチューブ1166と交差する。このチューブはシールのチャネル部材1164に流れ込み、それを満たす。処理装置が動作していて、シールが満たされている場合、ユーザーはシールへの流れを阻止できる。シールからのオーバーフローは処理のためにシェル1010のボイラー側に流れるため、汚染水を常にシールに流入させることは許容できるはずである。特に、システムが1つのシェルのみを使用する場合、システムはチューブ1090などのチューブ及びそれらの関連構造をなくし、上部シールからのオーバーフロー汚染水を使用することができる。汚染水のシールへの流量が変更されることもある。
【0228】
ボイラー表面1022から沸騰した蒸気と、ブロワーからの圧縮蒸気との圧力差(Δp)は、回転シールの液体に異なる圧力を及ぼす。圧力差により、回転シールのチャネル部材1171に高さの異なる水柱が作成される(
図13を参照)。ブロワーがその圧力を上げた後は、蒸気からの圧力により、リング1162(
図11及び13)の上の液体への圧力は、リングの下の圧力よりも大きい。圧力差は水柱を変位させるが、システム動作中、チャネル部材は回転するので、遠心力がリング1162の上と下の液体に作用して、液体をチャネル部材内に保持する。十分な液体がリングの上と下に残り、蒸気がシールを通過することを防ぐ。
【0229】
下部すなわち第2の回転シール1181(
図10、11、13及び15)は、同様の原理で動作する。固定リングは、水を保持するチャネルに延びている。リングの上と下の圧力は異なる。チャネルの回転により、チャネル内の水に遠心力が発生する。リングの上と下の圧力差により、リングの上と下の水に異なる力が加わるが、水にかかる遠心力により、水が強制的にチャネルに流入し、チャネル内に水が保持される。水は蒸気がシールを超えて通過することを妨げる。
【0230】
下部シール1181の構造は、下部ダイバータ1740(
図15及び16)の垂直サポート1743と環状フィッティング1192との間にピン留めされたリング1186を含む。垂直サポートポート及び環状フィッティングは、1194で一緒にねじ込まれる。リングは外向きに延びて、回転するベアリングサポート1063の底部でチャネル部材1185内に入る。
図16及び26を参照。出願人は、センターポスト1050を通る導管1165と、下部ダイバータ1740を通る小さな穴1174(
図24)との間を通る1つ以上の短いタイゴン又は他の適切な可撓性ポリマーチューブ(図示せず)を使用して、水をチャネルに追加する。チューブから流出する廃水は、チャネル部材1185に流入する。
【0231】
図16は、環状継手1192を通る単一の導管を示すが、この継手は、チャネル部材1185の離間した位置に廃水を提供するためにいくつかの導管を有し得る。その場合、下部ダイバータ1740は、それぞれがタイゴンチューブに取り付けられる複数の穴を有し得る。チューブの各部分は、継手1192の導管1195などの導管に接続する。廃水は、チューブを通って、リング1175の開口部1174を通って流れる(
図23)。
【0232】
リング上のチャネル部材内の水は、ブロワーからの高圧蒸気であるリング下の水よりも、シェル1020のボイラー側1022のようなシェルのボイラー側からの低圧蒸気に遭遇する。ベアリングサポートの回転による遠心力により、リング1186の上下に液体が押し出され、液体がチャネル部材に保持され、シールが作成される。下部シール1181の有効半径は上部シール1160の半径よりも大きいため、シール1181の液体にかかる慣性力は、シール1160の液体にかかる慣性力よりも大きくなる可能性がある。2つのシールの設計は、異なる半径と慣性力を考慮する。
【0233】
密封することができる蒸気圧の差は、液体密度(ρ)(70°F(21℃)の水に対して1g/cm2よりわずかに小さい)、固定リング1162又は1162の両側の液体高さの差(Δr)、並びにチャネル内の液体に加えられる慣性力により決まる。慣性力は、回転速度(ω)及びチャネルから回転軸1052までの半径の関数である。チャネル部材1171及び1185の適切な設計が、回転蒸気シールを実現するために必要な許容圧力差(Δp)及び動作回転速度(ω)を提供する。
【0234】
下部回転シール1181は、処理装置が動作している間に汚染水を受け入れ、その結果、いくらかの水が下部シールから溢れる。オーバーフローした汚染水は、下部ダイバータ1740の上面1793に流れる。この表面は傾斜しており、オーバーフローした水を穴1794に向けるように輪郭が作られている(
図26)。スタンドオフチューブ1451(
図23及び26)は、穴1794の下にあるダイバータから下向きに突出する。周囲のリング1452は、スタンドオフチューブと下部ダイバータの底部との間にシールを形成する。過剰な汚染水がスタンドオフチューブに流れ込む。スタンドオフチューブは、処理装置全体を真空引きすることによりプロセスの近真空状態を作り出すための下部ハウジングの底部へのポートである。
【0235】
スタンドオフチューブの上部が近真空圧力にあり、圧力が大気圧(14.7 psia)である場所の外側に流れることができないため、システムが動作している間、スタンドオフチューブ1451を通って流れる汚染水は直接排水できない。システムが動作しておらず、内部圧力が大気圧のときに、スタンドオフチューブを排水すると、システム内の水分を除去できる。スタンドオフチューブをバルブに排出し、バルブの下流につながるチューブをS字型にすることができる。S字型は、液体と真空の流れを防ぐトラップとして機能する。
【0236】
また、小規模な圧力増加を考慮して、スタンドオフチューブを真空ポンプに接続して、真空ハウジングの真空引きをし、時々真空を適用する。S字型のドレーンチューブに水が溜まった場合、真空ポンプは動作しない。液体がドレーンチューブの内部に溜まった場合、ユーザーはバルブ(図示せず)を閉じ、チューブを取り外してから脱液する。
【0237】
出願人は、スタンドオフチューブ1451の下流に容器を設置することができる。容器は排出された水を捕らえるが、容器に通じるチューブは排出された水の上方に留まる。スタンドオフチューブと容器との間にバルブが設けられる。チューブが、真空ポンプを、排水された水の上方にある容器に接続する。真空ハウジングに追加の真空が必要な場合、スタンドオフチューブ間のバルブが開く。真空ポンプへのチューブとスタンドオフチューブは容器内の水の上方にあるため、真空ポンプはスタンドオフチューブを通して直接真空引きをすることができる。容器に水が多すぎると、スタンドオフチューブへのバルブが閉じ、容器からの排水チューブの2番目のバルブが開いて、容器から排水する。
【0238】
システムの操作:動作が始まる前に、真空チャンバ1002が真空引きされる。スタンドオフチューブ1451は、真空ポンプに取り付けられて、真空ハウジング1008内の圧力を近真空、約0.5 psiaに下げる。チューブは、真空と大気圧の間でハウジングを通過する数少ない部品の1つである。従って、チューブとハウジングの間のシールは、真空に十分なものでなければならない。システムは、初期の真空引きの間は動作しない可能性があるため、ボイラー凝縮器ハウジング1008及びブロワー1210は静止したままである。このシステムはまた、ボイラー凝縮器アセンブリ1000が回転するときにのみ密封する真空シール(以下で説明する)を使用してもよい。ハウジング内の空気と蒸気は、最初の真空引きのときにシールを通過する。チャンバ1028のようなボイラーチャンバおよびチャンバ1031のような凝縮器チャンバは、最初の真空引き時に、同時に真空である。
【0239】
モーター1214が動作してブロワー/圧縮機1200を回転させる。シールは液体と共に再起動され、チャンバ1124のような凝縮器チャンバと、ボイラーチャンバアセンブリ1000のチャンバ1128(
図14)のようなボイラーチャンバ(
図14)との間にあるブロワーによって生じた低蒸気圧差を密封する。
【0240】
真空ポンプは、真空チャンバがその通常の動作の近真空圧力に到達すると、停止する。流入する汚染水には、溶存O2、N2、Ar、CO2又はその他の非凝縮性ガスが含まれている可能性がある。水が沸騰すると、非凝縮性ガスは蒸気の成分になるが、凝縮せずに蒸気中に残る。それらの存在は内部圧力を増加させる。すなわち、真空を減少させる。所望の真空を維持するために、システムの動作中に時折、後に、真空引きが必要になる場合がある。
【0241】
スタンドオフチューブが、ハウジングを真空引きするために使用されていない場合、それは、流入する汚染水が下部回転シール1181を溢れさせないための排水チューブとして機能することがある。過剰な汚染水は、下部ダイバータ1740の頂面に滴下する。ダイバータの頂面は水を開口部1744(
図26)に導き、開口部の位置はスタンドオフチューブ1451の位置と揃っている。
【0242】
ハウジング1000及びその内部ボイラー凝縮器アセンブリ(ベアリング、シール、ワイパー、入口フィード及び中心軸を含む)は、その
図10及び11から動作方向を見て、交換又は保守のために、ユニットとして取り外し可能にすることができる。
【0243】
システムはまた、1つ、2つ又はそれ以上のボイラー凝縮器シェル及びコンポーネントを格納するハウジングを使用することができる。そのような変動により、飲料水のスループットの量は変動する。シェルの数が異なる場合に選択される圧縮機は、一定範囲の動作条件、すなわち増加した蒸気流量に対応するための回転速度で動作することができる必要がある。
【0244】
液体にかかる回転によって生じた慣性力により、さらにはワイパーブレードにより、沸騰液体を連続的に薄くすることにより、沸騰熱伝導係数が従来の沸騰蒸留よりも一桁以上増加する。同様に、慣性力は凝縮器の表面から凝縮水を放出し、ワイパーブレードは慣性力が放出しない液体を除去する。これらの組み合わされた動作は、凝縮のための新鮮な露出した金属表面を作成する。これにより、凝縮器の熱伝導係数が1桁以上向上するはずである。出願人のシステムの熱伝導値は、
【数17】
である。1 Btu/hr ≒0.29 Wである。熱伝導値は、従来のボイラー凝縮器システムの値よりも約1桁大きい。
【0245】
図31~39は、処理装置の別のバージョンを示している。図面は単一のボイラー/凝縮器シェルを示している。ただし、システムを変更して複数のシェルを使用することもできる。このバージョン1500の大部分のコンポーネントは、ハウジング1502内にある(
図31)。ハウジングは、上部ハウジングプレート1504、ハウジング円筒壁1506及び底部ハウジングプレート1508を含む。ハウジング円筒壁の上部及び底部は、ハウジングプレートの溝1510及び1512に着座する。Oリング1514と1516が溝に収まり、ハウジングの内部が密封される。ハウジングは真空ポンプ(図示せず)に接続し、ハウジング内の圧力を近真空にまで低下させる。真空ポンプは、初期の真空引き中にのみ動作するが、流入する汚染水に溶存O
2、N
2又はCO
2が含まれる場合、時々動作する場合がある。これらのガスは凝縮しないため、圧力が上がる可能性がある。ハウジング内の圧力を低下させ、所望のレベルに戻すために、真空ポンプが時々動作することが必要な場合がある。
【0246】
ブロワー/圧縮機1520は、ハウジング1502(
図31)内に取り付けられる圧縮機ハウジング1560(
図31)の内部にある。3段圧縮機1520は、圧縮機ハウジング1560(
図31)内に固定されており、それは、頂部及び底部の円筒壁1595及び1590を備えた円筒形サポート1568から形成されている。Oリング1562及び1564は、圧縮機からの圧縮蒸気の逆流を防ぐ。頂部と底部の円筒壁が上部と下部の圧縮機ハウジング1520に取り付けられている3段圧縮機は、3つのローター1522、1524、1526を備えていて、それらは、それぞれステータ1528、1530、1532に取り付けられている。3段圧縮機は、処理装置のこのバージョンに適合しているため使用されているが、異なる段数でも使用可能である。ブロワーモーター1540は、圧縮機のローターを回転させる。モーターは、大気圧に開放されているモーターハウジング1542内に取り付けられている。モーターは、磁石1546と1548を含む磁気カップリングを介して圧縮機シャフト1544を回転させる。モーターはシャフト1550を回転させ、そのシャフトは磁石1546に接続して回転させる。磁石1546を回転させると、磁石1548が回転し、その磁石は圧縮機シャフト1538に取り付けられていて、それを回転させる。エアギャップ1552と1554が磁石を取り囲んでいて、磁石に作用する他の構造からの摩擦を防ぐ。磁石の使用は、圧縮機シャフトの周りにある従来型のゴム又はプラスチックシールによって発生しうる漏れを防止する。
【0247】
圧縮機シャフト1538の頂部1544は、ベアリングサポート1558内にある上部ベアリング1556を通って延びる。1つ以上のピン又はねじ(図示せず)は、ベアリングサポートをブロワー1520の頂部に固定することができる。下部ベアリングサポート1574は、ベアリング1576を保持する。上部及び下部ベアリング1556及び1576により、圧縮機シャフトは自由に回転できる。シャフトの頂部1544にあるバランスリングナット1578が、シャフト1544と圧縮機1520のローター1522、1524及び1526との回転バランスを取る。モーターは、選択した構成と動作条件に応じて、約2,000 rpmで回転する。これらの小型モーターは効率がよく、通常は電力をほとんど浪費しない。
【0248】
沸騰/凝縮器シェル上での水蒸気の沸騰及び凝縮については、後で説明する。説明を圧縮機1520及びその関連構造に限定すると、矢印1580は、シェルから圧縮機への蒸気経路を示す。下部円筒形サポート1590は、間隔を空けた蒸気通過窓1592を有する。窓を通過する蒸気は、圧縮機1520を通過する蒸気よりも低い圧力である。
図31は、全部は示していないものの、8個のそのような窓を有する。窓からの蒸気は、開口部1594を通って圧縮機に進み、これにより、蒸気の圧力が上昇する。
【0249】
圧縮機1520は、蒸気の圧力Δpを0.04 psiaから0.14 psia(0.28 kPaから0.97 kPa)に上昇させることができる。対応する温度上昇ΔTは、通常の動作条件下で約2°F~13°F(約1℃~5℃)になる。高圧蒸気はブロワー1210から頂壁1570の開口部1596を通って流れる。そこから、蒸気は矢印1598に続く経路に沿って流れる。
【0250】
蒸気は、シェル1600の凝縮器表面1602に接触する。汚染水は、以下で説明するように、ボイラー表面1604から沸騰する。凝縮器側の蒸気凝縮によってシェル全体に伝達される熱は、ボイラー側で沸騰と相転移を引き起こす唯一のエネルギー源である。沸騰した蒸気が薄膜化された廃水から蒸発するにつれて、熱エネルギーは、蒸気の凝縮から熱エネルギーがシェルを横切って伝達されるのと同じ速度で除去される。蒸発率(1日当たりのガロン又はリットル/時間)は、ブロワーによって生成される追加の圧縮エネルギーによって生成される余剰温度差(ΔTBC)に線形に比例し、これにより制御される。シェルの温度は、入力廃水の一定温度に固定されたままである。シェルは、ブロワーを出る圧縮蒸気よりも低温である。これにより、シェル凝縮器の表面で結露が発生する。シェル1600もまた、例えば0.004インチ~0.015インチ(約0.10mm~0.38mm)と薄く、熱伝導率の高い材料で形成されている。圧縮機1520からのより高温の蒸気がより低温の凝縮器表面に接触すると、蒸気が相転移し、表面で純水として凝縮する。凝縮器表面の凝縮水を除去するためのワイパー、及び純水を回収するためのコンポーネントについては、後で説明する。
【0251】
汚染水は、入口1610から処理装置に入る。入口は、タイゴン(登録商標)チューブ1614又は別の導管に接続する。
図31の入口は、他の構造に干渉しないさまざまな円周位置に配置できる。チューブは1616で上向きに伸び、曲げ1618で下向きに曲がって、上部シール1620に入る。シールは、シール190により使用されるのに類似した主構を使用する(
図4)。
【0252】
ベンドトップ1616の端部から来る汚染水は、ブレード1628の下にあるチャネル1616の底部1624に流入する。シール1620は、ブロワーサポート円筒1568(
図31)から外向きに延在し、チャネルがこの円筒の軸の周りを回転する。ブレードの下にある汚染水は、ブレードを超えて流れて、チャネルの頂部1624に流れ込む。シェルの回転による遠心力により、汚染水が外に押し出される(
図31の左側)。チャネル1616の頂部1622は、圧縮機1520からの蒸気のより高い圧力を受けるため、ブレードの上に作用する力の和すなわち圧力と遠心力の和は、ブレードの下に作用する遠心力のみよりも大きい。チャネル1616のサイズ及びブレード1638の長さは、ブレードの上にある水の内側エッジがブレードの外側エッジを通過することを防ぎ、従って、シェルが回転するときにシール1620がシールを維持する。段落[0124]は、シールの数学について説明している。
【0253】
ブレードの上にある水の「プラグ」を含むチャネル1622は、ブレードの下のチャネル1616よりも長い。従って、入ってくる水はシールから溢れる。チャネル1616の内部は、シェル1600のボイラー表面1604の頂部近くに配置されており、そのため、水のオーバーフローが広がり沸騰表面に到達できる。「遠心」力により、汚染水が沸騰表面に保持され、重力と遠心力が汚染水を沸騰面に沿って広げる。
【0254】
汚染水の一部の水は沸騰し、その結果生じる蒸気は純水になる。沸騰しない汚染水の残渣は、液体の廃水として残り、そこでは、水蒸気が汚染水を出るときに、汚染物質でより濃縮される。シェル1600の頂部にある汚染水の重力と遠心力により、廃水はシェルの底部に向かって下向きに流れる。
【0255】
廃水は下部シール1630に到達し、ブレード1632に接触し、このブレードはシェル1600を超えて半径方向内向きに延びる。
図32を参照。廃水は、シールの上部1634のブレードの外縁の周りを流れ、シールの下部1636に入る。シェルの回転による遠心力により、ブレードの上下の廃水がプラグを形成する。シールの下部は、シェルのボイラー表面からのより低い圧力の影響を受けるシールの上部よりも、圧縮機からのより高い圧力下にある。水に対する遠心力は廃水のプラグを形成し、シールとして機能し、蒸気がシールを通って流れることを防ぐ。
【0256】
完全なシールはより多くの廃水を受け入れることができないので、シールの上部1634の廃水の内縁の位置はボイラー表面と合う。廃水は、シェル1600の内側で半径方向に延びるブレードの内径部分から流れ出る。廃水の流れを容易にするために、ブレードは、ブレードの内径上で下向きに角度を付けることができる。
【0257】
上部シール1620と同様に、下部シール1630の頂部と底部は、異なる圧力(頂部はボイラーからの圧力の下にあり、底部は圧縮機からのより高い圧力の下にある)を受ける。シールのサイズ、シールの上部1634及び下部1636の長さ、ならびにブレード1632の長さは、シェル1600が回転するとき、水がシールを通って流れないように設計されている。
【0258】
ブレード1632から流出する廃水は、下部円筒形サポート1568の底部にある開口部1638のカットアウトを通過する。
図31は、8個のそのような開口部を有するが、すべてが
図31に示されているわけではない。廃水は、下部円筒形サポート1590及び圧縮機ハウジング1560の円筒壁1568の間に集まり、廃水出口1640に流れ込むことができる。出口から出る廃水の除去については以下で説明する。
【0259】
シェル1600のボイラー表面1604から沸騰した純粋な水蒸気に戻ると、蒸気は、圧縮機1520を通って矢印1580によって示される経路をたどる。
図32は矢印の続きを示す。蒸気は、サポート1595の頂部にある切り欠き1646を通過する。サポート構造1648は、ワイパーがシェルの凝縮器表面1602に面するようにし、接触させる。ワイパーについては以下で説明する。凝縮器の表面で凝縮する蒸気は、液滴を形成し、液滴はシェルの回転慣性力により表面から飛散するが、凝縮器の表面には少なくともいくらかの薄い凝縮水が保持される。表面張力はこの凝縮水をシェルに保持する。ワイパーはシェルから凝縮水を除去し、新しい凝縮水を形成するために、金属表面を露出させる。これにより、凝縮熱伝導係数が大幅に上昇し、熱力学効率が全体的に向上し、その結果、処理装置が使用する、生産する真水の単位質量当たりのエネルギーが減少する。
【0260】
外部ワイパー1650が、ワイパーサポート1648に取り付けられている。
図31及び32では、8つのワイパーは、凝縮器表面1602の長さ方向に垂直に延びる。各外部ワイパーは、凝縮器表面と接触する内向きのワイパーブレード1652を有する。処理装置の他のバージョンと同様に、ワイパーブレードは角度を付けたり、セクションに分割したりすることができる。ワイパーブレードと凝縮器表面の間の摩擦を減らすために、ブレードはテフロン(登録商標)又は他の低摩擦材料で形成することができる。外部ワイパーは、凝縮器表面に面する平らな表面の代わりに鋭いエッジを付けることもできる。汚染水をボイラーの表面に沿って広げる内部ワイパーは、
図31と
図32には示されていないが、追加できる。
【0261】
水処理装置の他のバージョンでは、1つのモーターを使用してすべての回転部品を駆動する。このバージョンは2つの別個のモーターを使用し、一方のモーター1540は圧縮機を駆動し、他方のモーター1660はシェルの回転及び他の構造を駆動する。モーター1660は、
図35と36で最も分かりやく示されている。
【0262】
モーター1660は、下部外側ハウジングプレート1508の下に取り付けられる。モーターはシャフト1662を回転させ、それは下部磁気カプラー1664を回転させる。ボルト1666は、磁気カプラーをシャフトに固定する。上部磁気カプラー1670は、ハウジングプレート1508のスロット1672に取り付けられる。スロットには、磁気カプラーの間に薄い壁1674がある。ボルト1676は、上部磁気カプラーをシャフト1680に固定する。シャフト1680は、上部磁気カプラーからベアリング1684及び1686を介して上向きに伸び、ドライバ1682に取り付けられていて、それを回転させる。
【0263】
ドライバがシェル1600を回転させることを説明する前に、シェルサブアセンブリ(
図33)について説明する。シェルサブアセンブリ1690は、薄い高熱伝導シェルと、上部シェル1692サポート及び下部1694シェルサポートを含み、それらはシェルの剛性を増加させる。下部シェルサポートの円形リム1696はシェルの底部に取り付けられ、上部シェルサポートの相補的円形リム1698はシェルの上部に取り付けられる。リムは、シェルをよりよく支持するために、小さなショルダー1701及び1702を持つことができる。
図36及び37を参照する。
【0264】
また、上部シェルサポート1692は、ブレード1628を受け入れる上部回転Uチャネルシール1620の構造を形成する(
図31、32及び37)。リップ1704及びリム1706は、シール受容リングベアリング1708の上にある(
図31及び37)。ベアリングの右側は固定されており、上部シェルサポートがシェルと一緒に回転すると、左側が回転する。上部リングベアリングサポート1712及び1714は固定されている。発泡体の環状片1716は、上部外側ハウジングプレート1504と上部リングベアリングサポートとの間にある。
図37は、シェルの凝縮器側とボイラー側の間のOリング1718も示している。そのOリングは、それらの間の蒸気の流れを防止する。固定リングサポート1726は、接着剤で固定されるか、又は別の方法で上部シールのブレード1628に取り付けられる。止めねじ1720は、固定リングサポートを圧縮機ハウジング1560の円筒壁1568に固定する。
【0265】
下部シェルサポート1694(
図31、32、33及び36)は、上部シェルサポート1692との類似点を有する。リム1696は、シェル1600(
図36)の底部に取り付けられる。リムは下部シール1630の頂部にある。ベアリングサポート1722はベアリング1724を支持する。ベアリングの外側は固定されているが、内部は回転する。下部シールの下の構造1726の外側は、ベアリング1724の頂部を受け、構造の内側は、下部シェルサポートの周りに延在する環状リング1730である。
【0266】
シェルモーター1660が磁気カプラー1664及び1670を介してドライバ1682を回転させると、ドライバは環状リング1730の垂直面に係合して、シェル1600及びそれに対応する構造を回転させる。ドライバ1682の外側は、環状リングとドライバとの間の滑りを防止するために、摩擦が大きいゴム又は他の物質にしてもよい。歯とギヤなどのドライブと環状リングの間の他の接続が考えられるが、出願人は摩擦ドライブがより静かであると考える。
【0267】
また、
図36は固定リングサポート1726を示す。蒸気がシェルの凝縮器側とボイラー側との間を流れることを防止するOリング1728。止めねじ1732は、固定リングサポートと圧縮機ハウジング1560の円筒壁1568とを一緒に取り付けることができる。
【0268】
汚染水入口1610及び廃水出口1640について説明してきた。シェルの凝縮器表面1602及び凝縮器ワイパー1650からの真水は、矢印1734の経路に従って下向きに真水出口1736に流れる。ただし、出口の端は大気圧なので、処理装置内の真空は、廃水が廃水出口1640を通って流れること、又は真水が真水出口1736を通って流れることを防止する。出願人は、ピトーポンプ1740及び1742(
図39)を使用して、真水及び廃水を、出口を通して引き出す。ピトーポンプは、
図10及び11のポンプ1712及び1722と同様である。
図39のピトーポンプは、同一の水平軸を中心に回転するように取り付けられているが、
図10と11のポンプのように垂直軸を中心に回転するなど、別の方法で取り付けることもできる。
【0269】
ピトーポンプ1740及び1742は十分に類似しているので、ポンプ1740のみを説明する。当業者はポンプ1742を変更することができ、またそれは必要である。
【0270】
ピトーポンプ1740用のハウジングは、基部1746と、基部に取り付けられた円筒形状の上部ハウジング1748とを含む。
図38を参照。溝1750は、Oリング(図示せず)を受け取り、基部と上部ハウジングを密封する。磁気カプラーの一方の側1752は、回転シャフト1754が凹部1756内で回転するように取り付けられている。ベアリングサポート構造1762によって支持されているベアリング1758及び1760は、回転のためにシャフトを支持する。1つ以上のねじ1764が、ベアリングサポート構造を円筒形状の上部ハウジングに取り付ける。
【0271】
ピトーポンプ1740は、空間1772に回転キャビティ1770を含む(
図38)。ワッシャー1774は回転キャビティ内にあり、ねじ1776はワッシャー1774を介してシャフト1774に回転キャビティを取り付ける。シャフトの回転によりキャビティ1770が回転する。
【0272】
回転キャビティ1770は、ハウジング1502内において、近真空の圧力である。真水出口1736(
図31)からの水は、ピトー管入口1778(
図38)に流入する。入口1778と回転キャビティ1770の圧力は同じで、近真空であり、圧力差によって流れが妨げられることはない。キャビティ1770の回転により、そこに集められた水がキャビティと共に回転し、遠心力により水が回転キャビティの外側1782に押し付けられる。ベーン1780は、キャビティ内の水がキャビティ壁の速度1718、又はその近傍の速度で回転することを助ける。
【0273】
ピトー管1786は、プレート1768を通って、回転キャビティ1770内に延びる直立セクション1778を有する。直立セクションは湾曲して、水平な湾曲セクション1788内に入る。
図38が示すように、湾曲セクションの円形の開口端1790は、キャビティの内壁1718の近傍にある。開放端はテーパー状であってもよく、その位置は、回転キャビティの軸と揃っているべきである。
【0274】
キャビティ1770及びキャビティ内の水が回転すると、水はピトー管の開放端1790に到達し、ピトー管1786に流れ込み、これにより圧力が増加する。キャビティの回転速度並びに曲線部分1778及び開口部1790の半径が適切に設計されている場合、水圧は大気圧(14.7 psia又は約101 kPa)に上昇する可能性がある。水圧が大気圧を超えると、水はピトー管の直立部分1786を通り、開口部1792を通り、容器又は他のコレクター(図示せず)に流れ込むことができる。
【0275】
理想的には、真水出口1736(
図31)は、真水ピトーポンプ1740の入口1778と接続するように配置される。廃水出口1640(
図31)はまた、廃水ピトーポンプ1742の入口と接続するように配置される。タイゴン(登録商標)又は他のチューブは、真水と廃水を、それらの出口から、それぞれのピトーポンプ入口への出口に運ぶことができる。
【0276】
図39は、ピトーポンプ1740及び1742がピトーポンプアセンブリ1800に一緒にどのように取り付けられるかを示す。このアセンブリは、真水ピトーポンプ1740に対応する左側(
図39)プレート1802及び廃水ピトーポンプ1742に関連する右側プレート1804を含む。他のファスナー1808、1810、1812及び1814のねじは、プレートをセンタープレート1806の反対側に取り付ける。各端1820及び1822は、処理装置の底部に取り付けることができる(
図39には示されていない)。
【0277】
センタープレート1806は、センター溝1826を有する。回転シェル1600(
図31)も駆動するモーター1660は、一方の側1828に取り付けられる。センター溝1826と位置が揃う第1プーリー1830は、シャフト(図示されていない)センタープレートを貫通する。モーターが第1プーリーを回転させる。第1プーリーの周りのベルト1834は、溝内のシャフト1838上の第2プーリー1832まで延びる。
図39は第2プーリーを示していないが、それを示す
図40を参照する。モーター1660がディスク1682を回転させ、シェルサブアセンブリ1690を回転させるように、
図39及び40のコンポーネントを配置することができる。必要に応じて、モーターの回転を伝達して、ディスク及びピトーポンプを回転させる機構を設置することができる。
【0278】
ベアリング1840及び1842は、回転のためのシャフト1838を支持する。
図40を参照。シャフトの左側は、磁気カプラーの1つの側面1844に接続して回転させる。磁気カプラーの他端1752(
図38、39及び40)は、壁1846(
図40)の反対側にある。説明したように、その側は回転キャビティ1770を回転させる。また、シャフト1838は廃水ピトーポンプ1742の回転キャビティを回転させる。
【0279】
他の実施形態と同様に、ピトーポンプ1740からの出口1792などのピトーポンプからの出口は、
図5のバルブ330及び331のようなリードバルブ(図示せず)又は別のタイプのチェックバルブを有することができる。それらは、ピトーポンプに真水又は廃水がない場合、又はポンプがオフの場合に、大気圧の空気がピトーポンプを通って処理装置に逆流することを防ぐことができる。それらは、リードバルブ又はチェックバルブ(5又は10 psia)を介した圧力降下である可能性があるため、ピトーポンプの設計では圧力降下を考慮する必要がある。圧力を5又は10 psia上げるためのエネルギーは、システムの効率と電力使用量に大きな影響を与えない。
【0280】
処理装置は、様々な場所での圧力及び温度を測定するためのセンサーを備えることができる。製品モデルにはセンサーが含まれていない場合がある。これらのセンサーは、テストバージョンではより役立つ場合がある。
図40には4つのセンサーがあり、センサー1850と1852は、処理装置のボイラー側と凝縮器側の間の圧力差を計算するために使用される。センサー1854はシェルのボイラー側の温度を測定し、センサー1858は凝縮器側の温度を測定する。センサー1856はボイラー側の圧力を測定する。センサーはワイヤレスでコンピューターに接続できる。
【0281】
ハウジングが真空引きされているとき、内部構造が完全な真空引きを妨げるか、又は遅くすることがある。一部のエリアは完全に真空引きすることができない場合がある。ワイパーサポート1648と円筒壁1506(
図31)との間の領域はその一例である。処理装置は、シェル1600の凝縮器表面1602とワイパーサポート1648の外側との間に、蒸発均等化通路1880を備えることが可能である。通路は、ワイパーサポートの両側の真空を等しくすることを可能にする。
【0282】
処理装置は、保守及びクリーニングのために定期的な分解を必要とする場合がある。時間が経つにつれて、汚染物質がシェル、特にボイラー表面1604に蓄積する可能性がある。ピトー管1740と出口1792を通過する廃水通路も汚染物質で詰まる可能性がある。組み立て、修理、清掃、再組み立てを容易にするために、これらのタスクに向くようにコンポーネントを設計することができる。
【0283】
ワイパーサポート1648は、U字形シール1654及び1656(
図31)の開放端内にまで延びる。U字型シールのもう一方の端は、処理装置ハウジング1500の頂部1502及び底部1508に接触する。上部及び底部は、U字形シールの他端を受け入れるための溝を備えることができる。円筒壁1568はまた、U字形シール1658及び1659に取り付けられてもよい(
図32)。
【0284】
図1と異なり、また上部と下部ハウジングコンポーネントの間に延在するサポートを使用する他の実施形態と異なり、
図31の実施形態は、内部コンポーネントを支持するために上部と下部ハウジングエンドプレートの間にあるセンターシャフトサポートを使用しない。内部コンポーネントを支持する構造は自己支持型であるため、その構造は有利である。それらは、サブシステムとして外側円筒形ハウジング1500内に「配置」できる。これにより、外部円筒1506並びに上部及び下部ハウジングプレート1049及び1596に、より薄い材料を使用できる。製造エラーから生じる、又は真空によって引き起こされるハウジングのたわみにより生じるハウジング及び内部部品の許容誤差の変動は、内部コンポーネントの不一致を回避する。ハウジングのたわみは、内部部品の許容誤差の変動又はストレスに耐えられない。
【0285】
図31の実施形態は、組み立て又は交換のために外側円筒ハウジングサブシステムに挿入された自給式ボイラー/凝縮器サブシステムユニットを備えた別個の外側ハウジングサブシステムとして構築される。外側ハウジングは、頂部がねじ込み式の蓋又は同様の仕組みを備えていて、底部がワンピースで密封されていてもよい。ボイラー凝縮器サブシステムには、ボイラー凝縮器ベアリング、ボイラー凝縮器シェル(シングル又はマルチシェル)、ボイラー凝縮器ワイパー(シングルシェル又はマルチシェルのための内側及び外側ワイパー)、ボイラー凝縮器ディバイダ(各ボイラー凝縮器チャンバの間)、及びベアリング、ワイパー及び入口給水管を保持する固定ボイラー凝縮器頂部及び底部サポート構造が含まれる。このことは、ボイラー凝縮器サブシステムを外部で組み立て、保守用の交換可能なモジュール式アイテムにすることを可能にする。
【0286】
このボイラー凝縮器サブシステムの底部固定支持構造は、真空ハウジング1508の底部に固定される。また、ブロワーサブシステム1520は、外側ハウジングに設置され、クランプで所定の場所に固定されて、ブロワーサブシステムを支持する支持構造を有する独立したユニットである。真水及び廃液の出力水流は、低圧条件下で浄化器の底部から出て、外部ピトーポンプサブシステムに流れ込む。ピトーポンプは真水及び廃水の出力を加圧し、その結果それらは大気条件下へと出る。チェックバルブ又はリードバルブは、処理装置への逆流を防ぐ。別個のモーター又はベルトシステムがピトーポンプを駆動する。ピトーポンプは、並べて設置することも、一直線上に設置することも可能である。
【0287】
この説明は、例示的であり、限定的ではなく、単なる一例である。この出願書類は例を示し、例の説明をしているが、当業者は明らかに、変更、改造又は修正を加えることができることに気づくだろう。多くの例には、メソッド動作又はシステム要素の特定の組み合わせが含まれるが、これらの動作とそれらの要素を他の方法で組み合わせて、同じ目的を達成することができる。1つの実施形態でのみ説明された動作、要素及び特徴は、他の実施形態における同様の役割から除外されることを意図していない。
【0288】
「複数性」は、2つ以上を意味する。項目の「セット」には、そのような項目の1つ以上が含まれる。記載された説明又は特許請求の範囲における「comprising(含む)」、「including(含む)」、「carrying(担う)」「having(有する)」「containing(含む)」「involving(含む)」及び類似の用語は制限がなく、すなわち、「を含むがそれらに限定されるものではない」を意味する。「consisting of(からなる)」及び「consisting essentially of(本質的にからなる)」という移行句のみが、請求項に関する閉鎖又は半閉鎖移行句である。請求項内の「1番目」、「2番目」、「3番目」などの順序を表す用語は、それ自体では、ある請求項要素の優先順位、優先権、又は他の要素に対する順序、方法の行為が実行される時間的順序を含意しないそうではなく、それらは単にある名前を持つ1つの請求項要素を同じ名前を持つ別の要素から(順序の用語を使用して)区別するためのラベルである。「又は」のような代替選択肢は、列挙された項目の1つ以上の組み合わせを含む。