(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】携帯型情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20240228BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G06F1/16 312L
H05K5/02 V
(21)【出願番号】P 2021189517
(22)【出願日】2021-11-22
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】清野 哲史
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119470(JP,A)
【文献】特開2007-208335(JP,A)
【文献】特開2016-076045(JP,A)
【文献】特開2008-250835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジによって回動可能に連結され、かつ、制御基板が収容される第2筐体と、を含む筐体と、
前記第1筐
体に設けられるとともに、第1磁極および第2磁極を有し、磁束を生じさせる磁石と、
前記第2筐
体に設けられるとともに、前記第1筐体が前記第2筐体に対して閉じられた閉状態に前記筐体がある際に、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向する対向方向から見て、前記磁石とは重ならないように配される磁気センサと、を備え、
前記第1磁極と前記第2磁極とを結ぶ直線は、前記閉状態において前記磁束が前記磁気センサを貫通するように、前記閉状態において前記対向方向に対して傾いて
おり、
前記第1筐体は、前記ヒンジに連結された第1接続端部と、前記第1接続端部の反対側に位置する第1開口端部と、ディスプレイと、前記ディスプレイを取り囲む環状のベゼルと、を有し、
前記ベゼルは、前記第1開口端部に沿って延在する第1ベゼルと、前記第1接続端部に沿って延在する第2ベゼルと、前記第1ベゼルと前記第2ベゼルとを接続する一対の第3ベゼルと、を含み、
前記磁石は、前記ディスプレイに垂直な面直方向において前記第2ベゼルと重なるように配置されている、携帯型情報処理装置。
【請求項2】
前記第1磁極と前記第2磁極とを結ぶ直線は、前記閉状態において前記対向方向に直交する、請求項1に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記筐体が開状態である際に前記磁石と前記磁気センサとの間に位置して、前記磁気センサを前記磁束から遮蔽する磁気遮蔽部材を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項4】
前記磁石の形状は、直方体状である、請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯型情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ディスプレイおよびディスプレイを取り囲むベゼルを有する第1筐体と、第1筐体に対してヒンジによって回動可能に連結される第2筐体と、を含む筐体を備える携帯型情報処理装置が開示されている。この携帯型情報処理装置は、第1筐体に設けられた磁石と、第2筐体に設けられた磁気センサと、を備える。磁石と磁気センサとは、筐体が閉状態である際に互いに対向するように配されている。この構成によれば、筐体が閉状態である際に、磁石が生じさせる磁束(磁力線)が磁気センサを貫通し、磁気センサが当該磁束を検知する。当該検知により、携帯型情報処理装置は、筐体が現在閉状態および開状態のいずれにあるかを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、デザイン性の観点から、狭額縁構造を有する携帯型情報処理装置が求められている。言い換えれば、携帯型情報処理装置において、ベゼルの幅を小さくすることが求められている。しかしながら、このような狭額縁構造を有する携帯型情報処理装置においては、磁石や磁気センサ等の種々の部品を配置するためのスペースが小さくなりやすい。このため、磁石と磁気センサとを対向させる従来の構造の採用が困難な場合があり、磁石および磁気センサの配置に工夫を要する場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、狭額縁構造においても筐体の開閉を判断できる携帯型情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る携帯型情報処理装置は、第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジによって回動可能に連結され、かつ、制御基板が収容される第2筐体と、を含む筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体の一方に設けられるとともに、第1磁極および第2磁極を有し、磁束を生じさせる磁石と、前記第1筐体および前記第2筐体の他方に設けられるとともに、前記第1筐体が前記第2筐体に対して閉じられた閉状態に前記筐体がある際に、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向する対向方向から見て、前記磁石とは重ならないように配される磁気センサと、を備え、前記第1磁極と前記第2磁極とを結ぶ直線は、前記閉状態において前記磁束が前記磁気センサを貫通するように、前記閉状態において前記対向方向に対して傾いている。
【0007】
本発明の上記態様によれば、磁石や磁気センサを配置するためのスペースが小さい等の理由により、筐体が閉状態である際に磁石と磁気センサとを対向させることが困難な場合においても、磁石が生じさせる磁束を磁気センサに貫通させることができる。これにより、磁気センサが当該磁束を検知できる。したがって、筐体が閉状態である際に磁石と磁気センサとが対向しない場合であっても、携帯型情報処理装置は、筐体が現在閉状態および開状態のいずれにあるかを判断することができる。
【0008】
ここで、第1磁極と前記第2磁極とを結ぶ直線は、前記閉状態において前記対向方向に直交してもよい。
【0009】
この場合、磁石を筐体内に配置するための設計をより単純にすることができる。
【0010】
また、前記筐体は、前記筐体が開状態である際に前記磁石と前記磁気センサとの間に位置して、前記磁気センサを前記磁束から遮蔽する磁気遮蔽部材を有してもよい。
【0011】
この場合、筐体が開状態である際に磁束が磁気センサを貫通することが防止され、磁気センサの誤作動が防止される。
【0012】
また、前記磁石の形状は、直方体状であってもよい。
【0013】
この場合、磁束の向きの制御がより容易となる。
【0014】
また、前記磁石は、前記第1筐体に設けられ、前記磁気センサは、前記第2筐体に設けられてもよい。
【0015】
この場合、例えば第1筐体に磁気センサが設けられている場合と比較して、磁気センサと制御基板とを電気的に接続する配線部材のサイズを抑えることができる。これにより、筐体の小型化を実現しやすくなる。
【0016】
また、前記第1筐体は、前記ヒンジに連結された第1接続端部と、前記第1接続端部の反対側に位置する第1開口端部と、ディスプレイと、前記ディスプレイを取り囲む環状のベゼルと、を有し、前記ベゼルは、前記第1開口端部に沿って延在する第1ベゼルと、前記第1接続端部に沿って延在する第2ベゼルと、前記第1ベゼルと前記第2ベゼルとを接続する一対の第3ベゼルと、を含み、前記磁石は、前記ディスプレイに垂直な面直方向において前記第2ベゼルと重なるように配置されていてもよい。
【0017】
この場合、例えば磁石が第1ベゼルと重なるように配置されている場合と比較して、磁気センサと制御基板との間の距離を短くすることができる。これにより、磁気センサと制御基板とを接続する配線部材のサイズをさらに抑えることができ、筐体の小型化をより実現しやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、狭額縁構造においても筐体の開閉を判断可能な携帯型情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る携帯型情報処理装置の開状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る第1筐体の一部を拡大して示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る第2筐体の一部を拡大して示す図である。
【
図4】閉状態にある筐体の一部を拡大して示す図である。
【
図6】変形例に係る携帯型情報処理装置を示す図である。
【
図7】180°開いた状態にある筐体の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る携帯型情報処理装置1について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、携帯型情報処理装置1は、第1筐体10と、第2筐体20と、を含む筐体Cを備える。第1筐体10と第2筐体20とは、ヒンジ30によって連結されている。
【0021】
第1筐体10には、板状のディスプレイ40が収容される。第1筐体10は、ディスプレイ筐体10とも称される。第1筐体10は、板状の背カバー11と、背カバー11の外周縁に立設された周壁12と、周壁12に沿って配置される環状のベゼル13と、を有する。
【0022】
第2筐体20には、制御基板(マザーボード)80が収容される。第2筐体20は、システム筐体20やベース筐体20とも称される。第2筐体20は、不図示のキーボード等を有していてもよい。第2筐体20は、第1筐体10に対して、ヒンジ30が有する回転軸Oまわりに相対的に回動可能に連結されている。言い換えれば、第1筐体10および第2筐体20は、ヒンジ30によって、互いに開閉可能に連結されている。
【0023】
以降、説明を容易とするために、第1筐体10が第2筐体20に対して閉じられている状態を、「(筐体Cの)閉状態」と称する場合がある。また、第1筐体10が第2筐体20に対して開いている状態を、「(筐体Cの)開状態」と称する場合がある。
【0024】
なお、本実施形態に係る携帯型情報処理装置1は、いわゆるクラムシェル型のノートパソコンであるが、その他の種類の携帯型情報処理装置1を採用してもよい。例えば、携帯型情報処理装置1は、折り畳み可能なスマートフォン、ゲーム機等であってもよい。
【0025】
(方向定義)
ここで、本実施形態では、ヒンジ30の回転軸Oに平行な方向(回転軸方向)をX方向、軸方向X、または第1方向Xと称する。第1方向Xは、第1筐体10においてディスプレイ40が延在する一方向でもある。第1方向Xにおける一方の向きを、+Xの向きまたは右方と称する。+Xの向きとは反対の向きを、-Xの向きまたは左方と称する。回転軸Oに直交する方向を、径方向と称する。径方向に沿って、回転軸Oに接近する向きを、径方向内側と称し、回転軸Oから離反する向きを、径方向外側と称する。第1方向Xからみて、回転軸Oまわりに周回する方向を、周方向と称する。
また、第1筐体10において、ディスプレイ40に垂直な方向をY方向、または面直方向Yと称する。面直方向Yは、筐体Cが閉状態である場合において、第1筐体10と第2筐体20とが対向する方向(対向方向Y)でもある。面直方向Yに沿って、背カバー11からディスプレイ40に向かう向きを、+Yの向き、前方、または手前側と称する。+Yの向きとは反対の向きを、-Yの向き、後方、または奥側と称する。また、第1筐体10において、第1方向Xおよび面直方向Yの双方に直交する方向を、Z方向または第2方向Zと称する。第2方向Zは、先述した径方向のうちの一方向でもある。第2方向Zに沿って径方向外側を+Zの向きと称し、径方向内側を-Zの向きと称する場合がある。
【0026】
先述の通り、第1筐体10は、背カバー11と、周壁12と、環状のベゼル13と、を有する。本実施形態において、背カバー11は、第1方向Xに延びる辺および第2方向Zに延びる辺を有する矩形の板状に形成されている。周壁12は、背カバー11の外周縁から前方に向けて延びている。第1筐体10は、全体として、前方に向けて開口した扁平な箱状に形成されている。
【0027】
第1筐体10は、ヒンジ30に連結された第1接続端部10bと、第1接続端部10bの反対側に位置する第1開口端部10aと、を有する。
図1の例において、第1接続端部10bは、第1筐体10の径方向外側に位置する端部に該当する。第1接続端部10bは、第1方向Xに延在している。第1開口端部10aは、第1筐体10の径方向内側に位置する端部に該当する。第1開口端部10aは、第1方向Xに延在している。
【0028】
ベゼル13は、周壁12の前端を覆っている。また、ベゼル13は、面直方向Yからみて、ディスプレイ40を取り囲んでいる。ベゼル13は、第1ベゼル13aと、第2ベゼル13bと、一対の第3ベゼル13cと、を含む。第1ベゼル13aおよび第2ベゼル13bは、第1方向Xに延在している。第1ベゼル13aおよび第2ベゼル13bは、第2方向Zにおいて互いに離間している。第1ベゼル13aは、第2ベゼル13bの上方に位置する。つまり、第1ベゼル13aは、第1筐体10の第1開口端部10aに沿って延在している。第2ベゼル13bは、第1筐体10の第1接続端部10bに沿って延在している。一対の第3ベゼル13cの各々は、第2方向Zに延在している。一対の第3ベゼル13cは、第1ベゼル13aの第1方向Xにおける両端部と第2ベゼル13bの第1方向Xにおける両端部とを接続している。本実施形態において、第1~第3ベゼル13a~13cの各々は、第1方向Xおよび第2方向Zに延在する平板状に形成されている。
【0029】
ヒンジ30は、第1筐体10と第2筐体20とを、互いに開閉可能に連結する。また、本実施形態に係るヒンジ30は、筐体Cが180°以上開くことが可能なように構成されている。なお、筐体Cが開閉可能であれば、ヒンジ30の構成は特に限定されず、公知の構成から適宜選択される。
【0030】
ディスプレイ40は、電気信号を光信号に変換することで、映像を表示するデバイスである。ディスプレイ40としては、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を採用できる。また、携帯型情報処理装置1は、ディスプレイ40と電気的に接続され、ディスプレイ40に表示される映像を管理するディスプレイ基板(不図示)を収容していてもよい。
【0031】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る第1筐体10は、磁石50を収容している。
図2に示すように、磁石50は、第1磁極51および第2磁極52を有し、磁束M(磁力線、磁場)を生じさせる(
図5も参照)。各磁極51、52は、磁石50の両端に位置し、鉄を吸引する力(磁力)が最も強い点である。本実施形態において、第1磁極51はS極であり、第2磁極52はN極である。ただし、第1磁極51がN極であり、第2磁極52がS極であってもよい。本実施形態において、磁石50として、直方体形状を有する永久磁石が用いられているが、磁石50の構成はこれに限られない。磁石50として、例えば、円柱形状を有する永久磁石のほか、電磁石等を用いることもできる。また、本実施形態に係る磁石50は、面直方向Yからみて、第1筐体10の第2ベゼル13bと重なるように配置されている。
【0032】
図1および
図3に示すように、本実施形態に係る第2筐体20は、磁気センサ60を収容している。磁気センサ60は、磁気センサ60を貫通する磁束(磁力線、磁場)を検出する。より詳しくは、磁気センサ60は、磁気センサ60を貫通する磁束を電気信号に変換する。磁気センサ60としては、例えばホールセンサを用いることができる。ただし、磁束を検知可能であれば磁気センサ60の種類は特に限定されず、公知のセンサから適宜選択される。また、本実施形態に係る磁気センサ60は、制御基板80上に設けられている。特に、
図3の例においては、制御基板80が径方向内側にむけて突出する突出部81を有しており、突出部81上に磁気センサ60が設けられている。ただし、磁気センサ60と制御基板80とは互いに離間していてもよい。この場合、磁気センサ60と制御基板80とが不図示の配線部材等によって電気的に接続されていてもよい。
【0033】
制御基板80は、磁気センサ60と電気的に接続されている。制御基板80は、磁気センサ60による磁束Mの検知結果に基づき、筐体Cが現在閉状態および開状態のいずれにあるか判断する。
【0034】
図4に示すように、閉状態において、磁石50と磁気センサ60とは、対向方向Y(面直方向Y)から見て互いに重ならない。言い換えれば、閉状態において、磁石50と磁気センサ60とは、対向方向Yから見てずれている。
図4の例について、より具体的には、磁気センサ60は、磁石50の右方に位置し、かつ、磁石50の径方向外側(+Z側)に位置する。
【0035】
図5に示すように、磁石50の第1磁極51と第2磁極52とを結ぶ直線MOは、対向方向Yに対して傾いている。言い換えれば、磁石50の中心軸線MOは、対向方向Yに対して傾いている。さらに言い換えれば、磁石50が生じさせる磁束Mの中心軸線MOは、対向方向Yに対して傾いている。特に、
図5の例においては、第1磁極51と第2磁極52とを結ぶ直線(磁石50の中心軸線)MOは、対向方向Yに直交している。より具体的には、第1磁極51と第2磁極52とが第1方向Xにおいて並ぶことで、直線MOは第1方向Xに延びている。ここで、
図5に示すように、磁石50が生じさせる磁束Mは、放射状に湾曲した形状を有する。より具体的には、磁束Mは、磁石50から離反する向きにおいて漸次直線MOから離反するように湾曲している。このため、磁石50の直線MOが第1方向Xに延びていることで、閉状態において、磁束Mの少なくとも一部は、磁気センサ60を貫通する。
【0036】
なお、第1磁極51と第2磁極52とを結ぶ直線(磁石50の中心軸線)MOの対向方向Yに対する傾きの大きさおよび傾きの方向は、磁束Mの少なくとも一部が磁気センサ60を貫通する範囲内において、適宜変更可能である。例えば、第1磁極51と第2磁極52とが径方向(第2方向Z)において並び、直線MOが径方向(第2方向Z)に延びていてもよい。あるいは、磁石50の中心と磁気センサ60の中心とを結ぶ線分と、直線MOと、がなす角が45°以下となるように、磁石50の向きが調整されてもよい。また、直線MOの傾きの大きさおよび傾きの方向は、磁石50と磁気センサ60との間の位置関係、磁石50の形状や磁気特性等によって決まる磁束Mの形状、および磁気センサ60が有する指向性等を考慮して決定されてもよい。また、
図6の変形例に示すように、直線MOは対向方向Yに直交していなくてもよい。
【0037】
図1および
図3に示すように、本実施形態に係る第2筐体20は、磁気遮蔽部材70を収容している。磁気遮蔽部材70は、例えば強磁性体等の磁性材料によって形成された板であり、磁束(磁力線、磁場)を遮蔽する。
図7に示すように、本実施形態に係る磁気遮蔽部材70は、筐体Cが180°開いた状態である場合に、磁石50と磁気センサ60との間に位置する。これにより、磁気遮蔽部材70は、磁気センサ60を、磁石50が生じさせる磁束Mから遮蔽する。なお、筐体Cが180°開いた状態である際に磁気センサ60を磁束Mから遮蔽することができれば、磁気遮蔽部材70と磁石50との間の位置関係、および磁気遮蔽部材70と磁気センサ60との間の位置関係は特に限定されない。例えば、第2筐体20の厚み方向(対向方向Y)から見て、磁気センサ60が磁気遮蔽部材70に覆われていてもよい。あるいは、磁気遮蔽部材70が第1筐体10内に設けられていてもよい。この場合、面直方向Yから見て、磁石50が磁気遮蔽部材70に覆われていてもよい。
【0038】
次に、以上のように構成された携帯型情報処理装置1の作用について説明する。
【0039】
近年では、デザイン性の観点から、狭額縁構造を有する携帯型情報処理装置が求められている。言い換えれば、携帯型情報処理装置において、ベゼルの幅(第2ベゼル13bの第2方向Zにおける寸法等)を小さくすることが求められている。しかしながら、このような狭額縁構造を有する携帯型情報処理装置においては、磁石や磁気センサ等の種々の部品を配置するためのスペースが小さくなりやすい。このため、例えば、筐体が閉状態である際に磁石と磁気センサとが対向する設計を採用することが困難となる場合がある。
【0040】
これに対して本実施形態に係る携帯型情報処理装置1は、第1磁極51と第2磁極52とを結ぶ直線MOが、対向方向Yに対して傾いている。言い換えれば、磁石50が生じさせる磁束Mの中心軸線MOが、対向方向Yに対して傾いている。この構成により、閉状態において磁石50と磁気センサ60とを対向させることが困難な場合においても、磁石50が生じさせる磁束Mを磁気センサ60に貫通させることができる。したがって、閉状態において磁石50と磁気センサ60とが対向しない場合であっても、磁気センサ60は磁石50を検知し、携帯型情報処理装置1は筐体Cが現在開状態および閉状態のいずれにあるかを判断することができる。
【0041】
また、狭額縁構造を有する携帯型情報処理装置においては、筐体を180°以上開いた際に、磁石と磁気センサとが接近する場合がある。この場合、筐体が開状態であるにもかかわらず磁石が生じさせる磁束が磁気センサを貫通し、磁気センサが誤作動を起こす可能性がある。
【0042】
これに対して本実施形態に係る携帯型情報処理装置1は、筐体Cが開状態である場合に磁気センサ60を磁束Mから遮蔽する磁気遮蔽部材70を有している。これにより、筐体Cが開状態である際に磁束Mが磁気センサ60を貫通することが防止され、磁気センサ60の誤動作が防止される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯型情報処理装置1は、第1筐体10と、第1筐体10に対してヒンジ30によって回動可能に連結され、かつ、制御基板80が収容される第2筐体20と、を含む筐体Cと、第1筐体10の第2筐体20の一方に設けられるとともに、第1磁極51および第2磁極52を有し、磁束Mを生じさせる磁石50と、第1筐体10および第2筐体20の他方に設けられるとともに、筐体Cが閉状態である際に、第1筐体10と第2筐体20とが対向する対向方向Yから見て、磁石50とは重ならないように配される磁気センサ60と、を備え、第1磁極51と第2磁極52とを結ぶ直線MOは、閉状態において磁束Mが磁気センサ60を貫通するように、閉状態において対向方向Yに対して傾いている。
【0044】
この構成により、磁石50や磁気センサ60を配置するためのスペースが小さい等の理由により、筐体Cが閉状態である際に磁石50と磁気センサ60とを対向させることが困難である場合においても、磁石50が生じさせるMを磁気センサ60に貫通させることができる。これにより、磁気センサ60が磁束Mを検知できる。したがって、筐体Cが閉状態である際に磁石50と磁気センサ60とが対向しない場合であっても、携帯型情報処理装置1は、筐体Cが現在閉状態および開状態のいずれにあるかを判断することができる。
【0045】
また、第1磁極51と第2磁極52とを結ぶ直線MOは、閉状態において対向方向Yに直交する。この構成により、磁石50を筐体C内に配置するための設計をより単純にすることができる。
【0046】
また、筐体Cは、開状態である際に磁石50と磁気センサ60との間に位置して、磁気センサ60を磁束Mから遮蔽する磁気遮蔽部材70を有する。この構成により、筐体Cが開状態である際に磁束Mが磁気センサ60を貫通することが防止され、磁気センサ60の誤作動が防止される。
【0047】
また、磁石50の形状は、直方体状である。この構成により、磁束Mの向きの制御がより容易となる。
【0048】
また、磁石50は、第1筐体10に設けられ、磁気センサ60は、第2筐体20に設けられる。この構成により、例えば第1筐体10に磁気センサ60が設けられている場合と比較して、磁気センサ60と制御基板80とを電気的に接続する配線部材のサイズを抑えることができる。これにより、筐体Cの小型化を実現しやすくなる。
【0049】
また、第1筐体10は、ヒンジ30に連結された第1接続端部10bと、第1接続端部10bの反対側に位置する第1開口端部10aと、ディスプレイ40と、ディスプレイ40を取り囲む環状のベゼル13と、を有し、ベゼル13は、第1開口端部10aに沿って延在する第1ベゼル13aと、第1接続端部10bに沿って延在する第2ベゼル13bと、第1ベゼル13aと第2ベゼル13bとを接続する一対の第3ベゼル13cと、を含み、磁石50は、ディスプレイ40に垂直な面直方向Yにおいて第2ベゼル13bと重なるように配置されている。この構成により、例えば磁石50が第1ベゼル13aと重なるように配置されている場合と比較して、磁気センサ60と制御基板80との間の距離を短くすることができる。これにより、磁気センサ60と制御基板80とを接続する配線部材のサイズをさらに抑えることができ、筐体Cの小型化をより実現しやすくなる。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば、磁石50が第2筐体20に収容され、磁気センサ60が第1筐体10に収容されていてもよい。この場合、磁気センサ60と制御基板80とを電気的に接続する配線部材が、ヒンジ30を通過するように配置されていてもよい。
【0052】
磁気センサ60と制御基板80とは、無線通信により接続されていてもよい。
【0053】
磁石50が第1筐体10に収容されている場合、磁石50は、面直方向Yから見て第2ベゼル13bと重なるように配置されていなくてもよい。つまり、磁石50は、面直方向Yから見て第1ベゼル13aや第3ベゼル13cと重なるように配置されていてもよい。
【0054】
また、磁石50は第1筐体10の内部に収容されていなくてもよい。例えば、磁石50はベゼル13に露出していてもよい。磁気センサ60についても、同様に第2筐体20の外部に露出していてもよい。
【0055】
また、ヒンジ30は、筐体Cが180°以上開くことが可能なように構成されていなくてもよい。言い換えれば、筐体Cが開く最大角は、180°未満であってもよい。
【0056】
また、前記実施形態において、磁気遮蔽部材70は筐体が180°開いた際に磁気センサ60を磁束Mから遮蔽すると説明したが、例えば、筐体が180°以外の角度で開いている際に、磁気センサ60を磁束Mから遮蔽するように構成されていてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…携帯型情報処理装置 10…第1筐体 10a…第1開口端部 10b…第1接続端部 13…ベゼル 13a…第1ベゼル 13b…第2ベゼル 13c…第3ベゼル 20…第2筐体 30…ヒンジ 40…ディスプレイ 50…磁石 51…第1磁極 52…第2磁極 60…磁気センサ 70…磁気遮蔽部材 80…制御基板 C…筐体 M…磁束 MO…直線 Y…面直方向(対向方向)