(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】電子デバイスで使用するためのポリマー
(51)【国際特許分類】
C08L 79/08 20060101AFI20240228BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240228BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240228BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240228BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C08L79/08
C08G73/10
C08J5/18 CFG
C09K11/06 680
H05B33/02
(21)【出願番号】P 2021506713
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(86)【国際出願番号】 US2019045399
(87)【国際公開番号】W WO2020033471
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン シー.オーマン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ヘンリー ハワード ジュニア
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105601919(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105504281(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104744268(CN,A)
【文献】特開平03-279350(JP,A)
【文献】特開昭60-032827(JP,A)
【文献】特開昭60-250031(JP,A)
【文献】特開2017-219848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 79/08
C08G 73/00-73/26
C08J 5/18
H05B 33/00-33/28、44/00、45/60
H10K 50/00-99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式I
【化1】
(式中、
R
aは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、
R
bは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上の芳香族ジアミン残基を表し、
30~100モル%のR
bは、式II
【化2】
(式中、
R
1及びR
2は、出現毎に同一であり又は異なり、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
a及びbは、同一であり又は異なり、1~4の整数であり、
c及びdは、同一であり又は異なり、1又は2であり、
*は結合の点を示す)を有する)の繰り返し単位構造を有するポリアミド酸と、
(b)130℃より高い沸点を有する高沸点非プロトン性溶媒と、
を含む、液体組成物。
【請求項2】
30~100モル%のR
bは、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び式IIFからなる群から選択される式を有する、請求項1に記載の組成物。
【化3】
【化4】
【請求項3】
30~100モル%のR
bは、式IIA-1、式IIB-1、式IIC-1、式IID-1、式IIE-1、及び式IIF-1からなる群から選択される式を有する、請求項1に記載の組成物
【化5】
【化6】
(式中、
R
3及びR
4は、同一であり又は異なり、
ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択される)。
【請求項4】
式IV
【化7】
(式中、
R
aは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、
R
bは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上の芳香族ジアミン残基を表し、
30~100モル%のR
bは、式II
【化8】
(式中、
R
1及びR
2は、出現毎に同一であり又は異なり、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
a及びbは、同一であり又は異なり、1~4の整数であり、
c及びdは、同一であり又は異なり、1又は2であり、
*は結合の点を示す)を有する)の繰り返し単位構造を有する、ポリイミド。
【請求項5】
30~100モル%のR
bは、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び式IIFからなる群から選択される式を有する、請求項4に記載のポリイミド。
【化9】
【化10】
【請求項6】
30~100モル%のR
bは、式IIA-1、式IIB-1、式IIC-1、式IID-1、式IIE-1、及び式IIF-1からなる群から選択される式を有する、請求項4に記載のポリイミド
【化11】
(式中、
R
3及びR
4は、同一であり又は異なり、
ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択される)。
【請求項7】
請求項4に記載の、式IVの繰り返し単位を含む、ポリイミドフィルム。
【請求項8】
請求項4に記載の、式IVの繰り返し単位を有する、ポリイミドフィルムを含む少なくとも1つの層を有する、有機電子デバイス。
【請求項9】
前記層は、デバイス基板、カラーフィルターシート用基板、カバーフィルム、及びタッチスクリーンパネルからなる群から選択されるデバイス構成要素において使用される、請求項8に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願の利益の主張
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2018年8月7日出願の米国仮特許出願第62/715,422号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、新規なポリマー化合物に関する。本開示は、このようなポリマー化合物及びこれらの材料を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスを調製する方法に更に関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロニクス用途において使用するための材料は、これらの構造的、光学的、熱的、電子的及び他の特性に関して厳密な要件を有することが多い。商業的エレクトロニクス用途の数が増え続けるにつれて、要件特性の幅及び特異性は、新規の且つ/又は改善された特性を備える材料の革新を強く求めている。ポリイミドは、多様なエレクトロニクス用途において広範に使用されてきたポリマー化合物の一部類を指す。それらは、適切な特性を有していれば、電子ディスプレイデバイスのガラスのための柔軟な代替品として機能し得る。これらの材料は、これらの電力消費量が穏当であること、軽量であること及び層が平面であることが効果的な実用性にとって極めて重要な特性である液晶ディスプレイ(「LCD」)の構成要素として機能することができる。このようなパラメータを重視する電子ディスプレイデバイスの他の使用には、デバイス基板、カラーフィルターシート用基板、カバーフィルム、タッチスクリーンパネル及び他のものが含まれる。
【0004】
いくつかのこれらの構成要素は、有機発光ダイオード(「OLED」)を有する有機電子デバイスの構築及び作動でも重要である。OLEDは、これらの高い電力変換効率及び広範囲のエンドユーザーへの適用可能性のために、多数のディスプレイ用途にとって前途有望である。それらは、携帯電話、タブレット型端末、ハンドヘルド型/ラップトップ型コンピューター及び他の市販製品において一層多く使用されている。これらの用途は、低い電力消費量に加えて、大量の情報量、フルカラー及び高速のビデオ速度反応時間を備えるディスプレイを求めている。
【0005】
ポリイミドフィルムは、一般的に、十分な熱安定性、高いガラス転移温度及びこのような使用に値する機械的靭性を備えている。また、一般的に、ポリイミドは、繰り返し曲げても曇りが発生しないため、柔軟なディスプレイの用途では、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)のような他の透明基板よりも多くの場合に好まれる。
【0006】
しかしながら、ポリイミドの従来の褐色は、光透過性に重点が置かれているため、カラーフィルター及びタッチスクリーンパネルなどの一部のディスプレイ用途で使用できない。更に、一般的には、ポリイミドは、剛性であり、芳香族性の高い材料であり、そのポリマー鎖は、フィルム/コーティングが形成される際にフィルム/コーティングの面内で配向する傾向がある。これにより、フィルムの平行方向及び垂直方向の屈折率の差(複屈折)が生じ、ディスプレイの性能に悪影響を与える可能性のある光遅延(optical retardation)が生じる。ポリイミドがディスプレイ市場で更なる用途を見出す場合、望ましい特性を維持するために溶液が必要であると同時に、光透過性を改善し、褐色及び光遅延をもたらす複屈折を低減することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、電子デバイスでの使用に適したポリマー材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
式Iを有するポリアミド酸が提供される。
【0009】
【0010】
(式中、
Raは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、
Rbは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上の芳香族ジアミン残基を表し、
30~100モル%のRbは、式II
【0011】
【0012】
(式中、
R1及びR2は、出現毎に同一であり又は異なり、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
a及びbは、同一であり又は異なり、0~4の整数であり、
c及びdは、同一であり又は異なり、1又は2であり、
*は結合の点を示す)を有する)。
【0013】
(a)式Iを有するポリアミド酸(polyamic acid)と、(b)高沸点非プロトン性溶媒とを含む組成物が更に提供される。
【0014】
繰り返し単位が式IVの構造を有するポリイミドが更に提供される。
【0015】
【0016】
(式中、Ra及びRbは、式Iで定義された通りである)。
【0017】
式IVの繰り返し単位を含むポリイミドフィルムが更に提供される。
【0018】
ポリイミドフィルムを調製するための1つ以上の方法が更に提供され、この場合、ポリイミドフィルムは、式IVの繰り返し単位を有する。
【0019】
電子デバイスにおけるガラスのための柔軟な代替品が更に提供され、この場合、ガラスのための柔軟な代替品は、式IVの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムである。
【0020】
式IVの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムを含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスが更に提供される。
【0021】
OLEDなどの有機電子デバイスが更に提供され、この場合、有機電子デバイスは、本明細書に開示されるガラスのための柔軟な代替品を含む。
【0022】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的且つ説明的なものに過ぎず、添付の特許請求の範囲において規定されるように、本発明を限定するものではない。
【0023】
本明細書に示される概念の理解を促進するために添付の図において実施形態が例示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ガラスのための柔軟な代替品として機能し得るポリイミドフィルムの1つの実施例の例示を含む。
【
図2】ガラスのための柔軟な代替品を含む電子デバイスの1つの実施例の例示を含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図中の対象物は、簡潔且つ明確にするために例示されたものであり、必ずしも縮図として描かれたものではないことは、当業者に明らかである。例えば、図中の対象物の一部の寸法は、実施形態の理解の向上を助けるために、他の対象物に対して誇張されている場合がある。
【0026】
以下に詳細に記載されるように、式Iを有するポリアミド酸が提供される。
【0027】
(a)式Iを有するポリアミド酸と、(b)高沸点非プロトン性溶媒とを含む組成物が更に提供される。
【0028】
以下に詳細に記載されるように、繰り返し単位が式IVの構造を有するポリイミドが更に提供される。
【0029】
ポリイミドフィルムを調製するための1つ以上の方法が更に提供され、この場合、ポリイミドフィルムは、式IVの繰り返し単位を有する。
【0030】
電子デバイスにおけるガラスのための柔軟な代替品が更に提供され、この場合、ガラスのための柔軟な代替品は、式Iの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムである。
【0031】
式IVの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムを含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスが更に提供される。
【0032】
OLEDなどの有機電子デバイスが更に提供され、この場合、有機電子デバイスは、本明細書に開示されるガラスのための柔軟な代替品を含む。
【0033】
多くの態様及び実施形態が上に記載されてきたが、例示的であるに過ぎず、限定的ではない。本明細書を読んだ後、当業者であれば、他の態様及び実施形態が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを認識する。
【0034】
任意の1つ以上の実施形態の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。詳細な記載は、初めに、用語の定義と明確化を扱い、次に式Iの繰り返し単位構造を有するポリアミド酸、式IVの繰り返し単位構造を有するポリイミド、ポリイミドフィルムを調製するための方法、電子デバイス、最後に、実施例を扱う。
【0035】
1.用語の定義及び明確化
後述の実施形態の詳細を扱う前に、いくつかの用語について定義又は明確化する。
【0036】
「用語の定義及び明確化」において使用するように、R、Ra、Rb、R’、R’’及び任意の他の変量は、総称であり、式中で定義される変量と、同一であり得る又は異なり得る。
【0037】
用語「整列層」は、液晶デバイス(LCD)製造プロセス中に1つの優先方向においてLCDガラスに対して摩擦される結果として分子を各プレートの最も近くに整列させる、液晶デバイス内の有機ポリマーの層を意味することが意図されている。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」には、分岐状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。特に明記しない限り、この用語は、環状基を含むことも意図されている。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、secブチル、tertブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。用語「アルキル」は、置換及び非置換の両方の炭化水素基を更に含む。一部の実施形態では、アルキル基は、一置換、二置換及び三置換され得る。置換アルキル基の一例は、トリフルオロメチルである。他の置換アルキル基は、本明細書に記載された1つ以上の置換基から形成される。特定の実施形態では、アルキル基は、1~20の炭素原子を有する。他の実施形態では、この基は、1~6の炭素原子を有する。この用語は、ヘテロアルキル基を含むことが意図されている。ヘテロアルキル基は、1~20の炭素原子を有することができる。
【0039】
用語「非プロトン性」は、酸性水素原子が欠如する溶媒の一部類を指し、このため、水素供与体として作用することができない。一般的な非プロトン性溶媒には、アルカン、四塩化炭素(CCl4)、ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)及び多数のその他の溶媒が含まれる。
【0040】
用語「芳香族化合物」は、4n+2の非局在化π電子を有する少なくとも1つの不飽和環状基を含む有機化合物を意味することが意図されている。この用語は、炭素及び水素原子のみを有する芳香族化合物並びに環状基内の炭素原子の1つ以上が窒素、酸素、硫黄等などの別の原子によって置換されているヘテロ芳香族化合物の両方を包含することが意図されている。
【0041】
用語「アリール」又は「アリール基」は、芳香族化合物から1つ以上の水素(「H」)又は重水素(「D」)を除去することによって形成される部位である。アリール基は、単環(単環式)であり得る、又は一緒に縮合又は共有結合によって結合した複数環(二環式以上)を有し得る。「炭化水素アリール」は、芳香環中に炭素原子のみを有する。「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香環中に1つ以上のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、炭化水素アリール基は、6~60の環炭素原子を有し、一部の実施形態では6~30の環炭素原子を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、4~50の環炭素原子を有し、一部の実施形態では4~30の環炭素原子を有する。
【0042】
用語「アルコキシ」は、基-OR(式中、Rは、アルキルである)を意味することが意図されている。
【0043】
用語「アリールオキシ」は、基-OR(式中、Rは、アリールである)を意味することが意図されている。
【0044】
特に明記しない限り、全ての基は、置換又は非置換であり得る。アルキル又はアリールなどであるが、これらに限定されない任意選択的に置換された基は、同一であり得る又は異なり得る1つ以上の置換基で置換され得る。適切な置換基には、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R’’)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)2-、-C(=O)-N(R’)(R’’)、(R’)(R’’)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)s-アリール(式中、s=0~2である)又は-S(O)s-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)が含まれる。R’及びR’’は、それぞれ独立して、任意選択的に置換されているアルキル、シクロアルキル又はアリール基である。特定の実施形態では、R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に環系を形成することができる。置換基は、架橋基でもあり得る。
【0045】
用語「アミン」は、塩基性窒素原子を孤立電子対と共に含有する化合物を意味することが意図されており、この場合「孤立電子対」は、別の原子と共有されていない1組の2価電子を意味する。用語「アミノ」は、官能基-NH2、-NHR又は-NR2(式中、Rは、出現毎に同一であり又は異なり、アルキル基又はアリール基であり得る)を指す。用語「ジアミン」は、2つの塩基性窒素原子を関連する孤立電子対と共に含む化合物を意味することが意図されている。用語「芳香族ジアミン」は、2つのアミノ基を有する芳香族化合物を意味することが意図されている。用語「屈曲ジアミン」は、2つの塩基性窒素原子及び関連する孤立電子対が、対応する化合物又は官能基、例えばm-フェニレンジアミン:
【0046】
【0047】
の対称の中心の周りに非対称に配置されているジアミンを意味することが意図されている。
【0048】
用語「芳香族ジアミン残基」は、芳香族ジアミン内の2つのアミノ基に結合した部位を意味することが意図されている。用語「芳香族ジイソシアネート残基」は、芳香族ジイソシアネート化合物内の2つのイソシアネート基に結合した部位を意味することが意図されている。下記ではこれについて更に例示する。
【0049】
【0050】
用語「ジアミン残基」及び「ジイソシアネート残基」は、それぞれ2つのアミノ基又は2つのイソシアネート基に結合した部位を意味することが意図されており、その部位は、脂肪族又は芳香族であり得る。
【0051】
用語「b*」は、黄色/青色反対色を表すCIELab色空間におけるb*軸を意味することが意図されている。黄色は、プラスのb*値によって表され、青色は、マイナスのb*値によって表される。測定されたb*値は、特に溶媒の選択が高温処理条件に曝露された材料で測定される色に影響を及ぼし得るため、溶媒によって影響を受ける可能性がある。これは、溶媒の固有の特性及び/又は様々な溶媒に含まれる低レベルの不純物に関連する特性の結果として発生し得る。特定の溶媒は、特定の用途のために所望のb*値を達成するために事前選択されることが多い。
【0052】
用語「複屈折」は、ポリマーフィルム又はコーティング内の異なる方向における屈折指数の差を意味することが意図されている。この用語は、通常、x軸又はy軸(面内)及びz軸(面外)屈折指数間の差を指す。
【0053】
用語「電荷輸送」は、層、材料、部材又は構造に言及している場合、このような層、材料、部材又は構造が、比較的効率良く且つ小さい電荷損失で、このような層、材料、部材又は構造の厚さを通したこのような電荷の移動を促進することを意味することが意図されている。正孔輸送材料は、正電荷を促進し、電子輸送材料は、負電荷を促進する。発光材料は、いくつかの電荷輸送特性も有し得るが、用語「電荷輸送層、材料、部材又は構造」は、その一次機能が発光である層、材料、部材又は構造を含むことを意図されていない。
【0054】
用語「化合物」は、化学結合を切断せずに物理的手段によって原子をこれらの相当する分子から分離することができない、原子を更に含む分子から構成される非帯電物質を意味することが意図されている。この用語は、オリゴマー及びポリマーを含むことが意図されている。
【0055】
用語「線形熱膨張係数(CTE又はα)」は、温度の関数として材料が膨張又は収縮する量を規定するパラメータを意味することが意図されている。線形熱膨張係数は、1℃当たりの長さの変化として表示され、一般的にはμm/m/℃又はppm/℃の単位で表示される。
α=(ΔL/L0)/ΔT
本明細書に開示される測定されたCTE値は、第1又は第2の加熱スキャン中に既知の方法により作成される。材料の相対膨張/収縮特性についての理解は、電子デバイスの作製及び/又は信頼性における重要な検討すべき事項である可能性がある。
【0056】
用語「ドーパント」は、ホスト材料を含む層内において、このような材料が存在しない層の電子的特性又は放射線の放出、受容又はフィルタリングの波長と比較して、その層の電子的特性又は放射線の放出、受容又はフィルタリングの目標の波長を変化させる材料を意味することが意図されている。
【0057】
それが層又は材料に言及する場合の用語「電気活性」は、デバイスの動作を電子的に促進する層又は材料を示すことが意図されている。電気活性材料の例としては、電荷は電子又は正孔のいずれでもあり得る、電荷を導く、注入する、輸送する、又は阻止する材料、或いは、放射線を発する、又は放射線を受けるときに電子-正孔対の濃度の変化を示す材料が挙げられるが、これらに限定されない。不活性材料の例としては、平坦化材料、絶縁材料及び環境バリア材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
用語「引張り伸び」又は「引張り歪み」は、それが、印加された引張り応力下で破断する前に材料で発生する長さの増加率を意味することが意図されている。それは、例えば、ASTM法D882によって測定できる。
【0059】
接頭辞「フルオロ」は、基中の1つ以上の水素原子がフッ素で置換されていることを示すことが意図されている。
【0060】
用語「ガラス転移温度(又はTg)」は、材料が硬質状態、ガラス状態又は脆性状態から柔軟性又は弾性である状態に突然変化する場合の非晶質ポリマー又は半結晶ポリマーの非晶質領域内で不可逆性変化が発生する温度を意味することが意図されている。微視的には、ガラス転移は、正常なコイル状の動きのないポリマー鎖が自由に回転するようになり、相互に通過できる場合に発生する。Tgは、示差走査熱量測定法(DSC)、熱機械分析法(TMA)又は動的機械分析法(DMA)又は他の方法を使用して測定され得る。
【0061】
接頭辞「ヘテロ」は、1つ以上の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示す。一部の実施形態では、ヘテロ原子は、O、N、S又はこれらの組み合わせである。
【0062】
用語「高沸点」は、130℃超の沸点を示すことが意図されている。
【0063】
用語「ホスト材料」は、ドーパントが添加される材料を意味することが意図されている。ホスト材料は、電子的特性、或いは放射線を発する、受容する又はフィルタリングする能力を有しても又は有していなくてもよい。一部の実施形態では、ホスト材料は、より高い濃度で存在する。
【0064】
用語「等温重量損失」は、その等温安定性に直接的に関連する材料の特性を意味することが意図されている。等温重量損失は、一般的に熱重量分析(TGA)によって関心対象の定温で測定される。高い熱安定性を有する材料は、一般的に所望の期間に渡って必要とされる使用温度又は加工温度で極めて低いパーセントの等温重量損失を示すため、従って強度の大きい消失、脱ガス及び/又は構造の変化を伴わずにこれらの温度での用途に使用され得る。
【0065】
用語「液体組成物」は、材料が溶解して溶液を形成する液体媒体、材料が分散されて分散体を形成する液体媒体、或いは材料が懸濁されて懸濁液又は乳化液を形成する液体媒体を意味することが意図されている。
【0066】
用語「基質」は、その上に1つ以上の層が、例えば、電子デバイスを形成する際に配置される基礎を意味することが意図されている。非限定的な例としては、ガラス、シリコン及び他のものが挙げられる。
【0067】
用語「1%のTGA重量損失」は、分解(吸収水を排除すること)に起因して元のポリマー重量の1%が失われる温度を意味することが意図されている。
【0068】
用語「光遅延(又はRTH)」は、平均面内屈折指数と面外屈折指数との間の差(即ち複屈折)を意味することが意図されており、次いでこの差にフィルム又はコーティングの厚さが掛けられる。典型的には、光遅延は、特定の周波数の光に対して測定され、単位は、ナノメートルで報告される。
【0069】
用語「有機電子デバイス」又は場合により「電子デバイス」は、本明細書では1つ以上の有機半導体層又は材料を含むデバイスを意味することが意図されている。
【0070】
用語「粒子含量」は、溶液中に存在する不溶性粒子の数又は計数を意味することが意図されている。粒子含量の測定は、溶液自体において又はこれらのフィルムから調製された製品原材料(部品、フィルム等)において実施できる。この特性は、様々な光学方法を使用して評価することができる。
【0071】
用語「光活性」は、(発光ダイオード又は化学セルでのような)印加電圧によって活性化されたときに発光する、(ダウンコンバート燐光体デバイスでのような)光子の吸収後に発光する、又は(光検出器又は光起電力セルでのような)輻射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧を使用して又は使用せずに信号を生成する材料又は層を指す。
【0072】
用語「ポリアミド酸溶液」は、イミド基を形成するための分子内環化の能力を有するアミド酸単位を含むポリマーの溶液を指す。
【0073】
用語「ポリイミド」は、1つ以上の多官能性カルボン酸成分と1つ以上の1級ポリアミン又はポリイソシアネートとの反応から生じる縮合ポリマーを指す。これらは、ポリマー骨格の主鎖に沿った直鎖状又は複素環式単位としてイミド構造-CO-NR-CO-を含む。一部の実施形態では、ポリイミドは、1つ以上の二官能性カルボン酸成分と1つ以上の1級ジアミン又はジイソシアネートとの反応から生じる。
【0074】
用語「満足できる」は、材料の特性又は特徴に関する場合、特性又は特徴が使用中の材料に対する全ての要件/要求を満たすことを意味することが意図されている。例えば、窒素中の3時間に渡る350℃での1%未満の等温重量損失は、本明細書に開示したポリイミドフィルムに関連して、「満足できる」特性の非限定的例であると見なすことができる。
【0075】
用語「ソフトベーク」は、コーティングされた材料が加熱されて溶媒を取り去り、フィルムを固化させる、エレクトロニクス製造において一般に使用されるプロセスを意味することが意図されている。ソフトベークは、コーティングされた層又はフィルムをその後の熱処理のための調製工程として、一般的に90℃~110℃の温度でホットプレート上又は排気装置付きオーブン内で実施される。
【0076】
用語「基板」は、剛性又は柔軟性のいずれかであり得、ガラス、ポリマー、金属又はセラミック材料又はこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない1つ以上の材料の1つ以上の層を含み得る基礎材料を指す。基板は、電子部品、電子回路又は導電部材を含んでいても又は含んでいなくてもよい。
【0077】
用語「シロキサン」は、基R3SiOR2Si-を指し、この場合、Rは、出現毎に同一であり又は異なり、H、C1~20アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである。一部の実施形態では、Rアルキル基中の1つ以上の炭素は、Siで置換されている。
【0078】
用語「シロキシ」は、基R3SiO-を指し、この場合、Rは、出現毎に同一であり又は異なり、H、C1~20アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである。
【0079】
用語「シリル」は、基R3Si-を指し、この場合、Rは、出現毎に同一であり又は異なり、H、C1~20アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである。一部の実施形態では、Rアルキル基の1つ以上の炭素は、Siで置換されている。
【0080】
用語「スピンコーティング」は、平坦な基板に均一な薄いフィルムを堆積するために使用されるプロセスを意味することが意図されている。一般的に、少量のコーティング材料が基板の中央に塗布され、基板は、低速で回転している又はまったく回転していない。基板は、次に遠心力によってコーティング材料を均一に広げるために特定の速度で回転させられる。
【0081】
用語「レーザー粒子計数器試験」は、ポリアミド酸及び他のポリマー溶液の粒子含量を評価し、これによって試験溶液の代表的試料が5インチのシリコンウェハー上にスピンコーティングされ、ソフトベーク/乾燥させるために使用される方法を指す。このように調製されたフィルムは、任意の数の標準的測定技術によって粒子含量について評価される。このような技術には、当技術分野において公知であるレーザー粒子検出及び他のものが含まれる。
【0082】
用語「引張り弾性率」は、フィルムのような材料における応力(単位面積当たりの力)と歪み(比例変形)との間の初期の関係を規定する固体材料の剛性の尺度を意味することが意図されている。一般的に使用される単位は、ギガパスカル(GPa)である。
【0083】
用語「テトラカルボン酸成分」は、以下のいずれか1つ以上を意味することが意図されている:テトラカルボン酸、テトラカルボン酸一無水物、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸モノエステル、及びテトラカルボン酸ジエステル。
【0084】
用語「テトラカルボン酸成分残基」は、テトラカルボン酸成分の4つのカルボキシ基に結合した部位を意味することが意図されている。下記ではこれについて更に例示する。
【0085】
【0086】
用語「透過率」は、反対側で検出可能であるようにフィルムを通過するフィルムに衝突する所与の波長の光のパーセントを指す。可視領域(380nm~800nm)内の光透過率測定値は、本明細書に開示されたポリイミドフィルムの使用中の特性を理解するために最も重要であるフィルム色の特徴を特徴付けるために特に有用である。
【0087】
用語「黄色度指数(又はYI)」は、標準と比較した黄色度の大きさを指す。YIのプラスの値は、黄色の存在及び大きさを示す。マイナスのYIを備える材料は、青色がかって見える。特に高温での重合プロセス及び/又は硬化プロセスについて、YIが溶媒依存性であり得ることにも留意しなければならない。溶媒としてDMACを使用して導入された色の大きさは、例えば、溶媒としてNMPを使用して導入される色の大きさと異なる場合がある。これは、溶媒の固有の特性及び/又は様々な溶媒に含有される低レベルの不純物に関連する特性の結果として発生し得る。特定の溶媒は、特定の用途のために所望のYI値を達成するために事前選択されることが多い。
【0088】
以下に示されるように置換基の結合が1つ以上の環を通過する構造において、
【0089】
【0090】
置換基Rが1つ以上の環上の任意の利用可能な位置で結合し得ることが意味される。
【0091】
語句「に隣接した」は、デバイスにおける層を指すために使用されるとき、1つの層が別の層の直接隣りにあることを必ずしも意味しない。他方、語句「隣接したR基」は、化学式において隣り同士であるR基(即ち結合によって連結した原子上にあるR基)を指すために使用される。典型的な隣接したR基は、以下に示される。
【0092】
【0093】
本明細書では、特に明示的に述べられる、又は使用に関連して反対のことが示されない限り、本明細書の主題の実施形態が、特定の特徴又は要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなる、又はそれらによって又はそれらから構成されると述べられる又は記載される場合、明示的に述べられた又は記載されたものに加えて1つ以上の特徴又は要素が実施形態で存在し得る。本明細書の開示された主題の代わりの実施形態は、特定の特徴又は要素から本質的になると記載されるが、その実施形態では、操作の原理又は実施形態の際立った特性を実質的に変更する特徴又は要素は、その中に存在しない。本明細書の記載された主題の更なる代わりの実施形態は、特定の特徴又は要素からなると記載されるが、その実施形態又はその実態のない変形形態では、具体的に述べられた又は記載された特徴又は要素のみが存在する。
【0094】
更に、明確にそれとは反対のことが述べられない限り、「又は」は、包括的な又はを意味し、排他的な又はを意味しない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真である(又は存在する)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽である(又は存在しない)且つBが真である(又は存在する)並びにA及びBが両方とも真である(又は存在する)。
【0095】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び成分を記載するために使用される。これは、便宜上及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためになされているに過ぎない。この記述は、1つ又は少なくとも1つを含むと解釈されなければならず、且つそれが別の意味を有することが明らかでない限り、単数は、複数も含む。
【0096】
元素の周期表の縦列に相当する族番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition(2000-2001)に見られるように、「新表示法」規約(“New Notation”convention)を使用する。
【0097】
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載するものと同様の又は均等な方法及び材料を、本発明の実施形態の実施又は試験において使用することができるが、適切な方法及び材料について以下に記載する。本明細書に記載された全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は、特定の節が引用されるのでなければ、これらの全体を参照により本明細書に援用するものとする。不一致がある場合、定義を含む本明細書が優先される。更に、材料、方法及び実施例は、例示に過ぎず、限定的であることは意図されていない。
【0098】
本明細に記載されていない範囲について、特定の材料、処理動作及び回路に関する多くの詳細は、従来通りであり、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電力及び半導体部材技術の教科書及び他の情報源に見出すことができる。
【0099】
2.式Iの繰り返し単位構造を有するポリアミド酸
本明細書に記載のポリアミド酸は、式I
【0100】
【0101】
(式中、
Raは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、
Rbは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上の芳香族ジアミン残基を表し、
30~100モル%のRbは、式II
【0102】
【0103】
(式中、
R1及びR2は、出現毎に同一であり又は異なり、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
a及びbは、同一であり又は異なり、0~4の整数であり、
c及びdは、同一であり又は異なり、1又は2であり、
*は結合の点を示す)を有する)の繰り返し単位を有する。
【0104】
式Iの一部の実施形態では、Raは、単一のテトラカルボン酸成分残基を表す。
【0105】
式Iの一部の実施形態では、Raは、2つの異なるテトラカルボン酸成分残基を表す。
【0106】
式Iの一部の実施形態では、Raは、3つの異なるテトラカルボン酸残基を表す。
【0107】
式Iの一部の実施形態では、Raは、4つの異なるテトラカルボン酸残基を表す。
【0108】
式Iの一部の実施形態では、Raは、1つ以上のテトラカルボン酸二無水物残基を表す。
【0109】
適切な芳香族テトラカルボン酸二無水物の例には、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、4,4’-ヘキサフルオロイソ-プロピリデンビスフタル酸二無水物(6FDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-ビスフェノールA二無水物(BPADA)、ヒドロキノンジフタル酸無水物(HQDEA)、エチレングリコールビス(トリメリット酸無水物)(TMEG-100)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(DTDA)、4,4’-ビスフェノールA二無水物(BPADA)等及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。これらの芳香族二無水物は、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R’’)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)2-、-C(=O)-N(R’)(R’’)、(R’)(R’’)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)s-アリール(式中、s=0~2である)又はS(O)s-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)を含む当技術分野で知られている基で任意選択的に置換されることができる。R’及びR’’は、それぞれ独立して、任意選択的に置換されているアルキル、シクロアルキル又はアリール基である。特定の実施形態では、R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に環系を形成することができる。置換基は、架橋基でもあり得る。
【0110】
式Iの一部の実施形態では、Raは、PMDA、BPDA、6FDA、及びBTDAからなる群から選択されるテトラカルボン酸二無水物からの1つ以上の残基を表す。
【0111】
式Iの一部の実施形態では、Raは、PMDA残基を表す。
【0112】
式Iの一部の実施形態では、Raは、BPDA残基を表す。
【0113】
式Iの一部の実施形態では、Raは、6FDA残基を表す。
【0114】
式Iの一部の実施形態では、Raは、BTDA残基を表す。
【0115】
式Iの一部の実施形態では、Raは、PMDA残基及びBPDA残基を表す。
【0116】
式Iの一部の実施形態では、Raは、PMDA残基及び6FDA残基を表す。
【0117】
式Iの一部の実施形態では、Raは、PMDA残基及びBTDA残基を表す。
【0118】
式Iの一部の実施形態では、Raは、BPDA残基及び6FDA残基を表す。
【0119】
式Iの一部の実施形態では、Raは、BPDA残基及びBTDA残基を表す。
【0120】
式Iの一部の実施形態では、Raは、6FDA残基及びBTDA残基を表す。
【0121】
式Iにおいて、30~100モル%のRbは、上記に示されるように、式IIを有するジアミン残基を表す。式Iの一部の実施形態では、40~100モル%のRbは、式IIを有し、一部の実施形態では、50~100モル%、一部の実施形態では、60~100モル%、一部の実施形態では、70~100モル%、一部の実施形態では、80~100モル%、一部の実施形態では、90~100モル%、一部の実施形態では、100%のRbを有する。
【0122】
式IIの一部の実施形態では、a=0である。
【0123】
式IIの一部の実施形態では、a=1である。
【0124】
式IIの一部の実施形態では、a=2である。
【0125】
式IIの一部の実施形態では、a=3である。
【0126】
式IIの一部の実施形態では、a=4である。
【0127】
式IIの一部の実施形態では、a>0である。
【0128】
式IIの一部の実施形態では、b=0である。
【0129】
式IIの一部の実施形態では、b=1である。
【0130】
式IIの一部の実施形態では、b=2である。
【0131】
式IIの一部の実施形態では、b=3である。
【0132】
式IIの一部の実施形態では、b=4である。
【0133】
式IIの一部の実施形態では、b>0である。
【0134】
式IIの一部の実施形態では、a=bである。
【0135】
式IIの一部の実施形態では、a=b=0である。
【0136】
式IIの一部の実施形態では、a=b=1である。
【0137】
式IIの一部の実施形態では、c=1である。
【0138】
式IIの一部の実施形態では、c=2である。
【0139】
式IIの一部の実施形態では、d=1である。
【0140】
式IIの一部の実施形態では、d=2である。
【0141】
式IIの一部の実施形態では、c=dである。
【0142】
式IIの一部の実施形態では、c=d=1である。
【0143】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1はFである。
【0144】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、C1~8アルキルであり、一部の実施形態では、C1~3アルキルである。
【0145】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、C1~8フルオロアルキルアルキルであり、一部の実施形態では、C1~3フルオロアルキルである。
【0146】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、C1~8パーフルオロアルキルアルキルであり、一部の実施形態では、C1~3パーフルオロアルキルアルキルである。
【0147】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、C1~8アルコキシである。
【0148】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、C3~18シリルである。
【0149】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、C3~18シロキシである。
【0150】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、F及びフルオロアルキルからなる群から選択される。
【0151】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、F及びパーフルオロアルキルからなる群から選択される。
【0152】
式IIの一部の実施形態では、a>0であり、少なくとも1つのR1は、F、メチル、及びトリフルオロメチルからなる群から選択される。
【0153】
式IIの一部の実施形態では、a>0、b>0、及びR1=R2である。
【0154】
b>0の場合、R1の上記の実施形態は全て、R2に等しく適用される。
【0155】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIAを有する。
【0156】
【0157】
(式中、R1、R2、a、b、c、d、及び*は、式IIについて上記で定義された通りである)。
【0158】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIAのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0159】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIA-1を有する。
【0160】
【0161】
(式中、
R3及びR4は、同一であり又は異なり、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
*は結合の点を示す)。
【0162】
式IIA-1の一部の実施形態では、R3=Hである。
【0163】
式IIA-1の一部の実施形態では、R4=Hである。
【0164】
式IIA-1の一部の実施形態では、R3=R4である。
【0165】
式IIA-1の一部の実施形態では、R3=R4=Hである。
【0166】
式IIのR1の上記の実施形態は全て、式IIA-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0167】
式IIA-1の一部の実施形態では、R3は、F、C1~5フルオロアルキル、及びC1~5フルオロアルコキシからなる群から選択される。
【0168】
式IIA-1の一部の実施形態では、R4は、F、C1~5フルオロアルキル、及びC1~5フルオロアルコキシからなる群から選択される。
【0169】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIBを有する。
【0170】
【0171】
(式中、R1、R2、a、b、c、d、及び*は、式IIについて上記で定義された通りである)。
【0172】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIBのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0173】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIB-1を有する。
【0174】
【0175】
(式中、
R3及びR4は、同一であり又は異なり、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
*は結合の点を示す)。
【0176】
式IIA-1の式R3及びR4の上記の実施形態は全て、式IIB-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0177】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IICを有する。
【0178】
【0179】
(R1、R2、a、b、c、d、及び*は、式IIについて上記で定義された通りである)。
【0180】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IICのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0181】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIC-1を有する。
【0182】
【0183】
(式中、
R3及びR4は、同一であり又は異なり、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
*は結合の点を示す)。
【0184】
式IIA-1のR3及びR4の上記の実施形態は全て、式IIC-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0185】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIDを有する。
【0186】
【0187】
(式中、R1、R2、a、b、c、d、及び*は、式IIについて上記で定義された通りである)。
【0188】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIDのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0189】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IID-1を有する。
【0190】
【0191】
(式中、
R3及びR4は、同一であり又は異なり、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
*は結合の点を示す)。
【0192】
式IIA-1のR3及びR4の上記の実施形態は全て、式IID-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0193】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIEを有する。
【0194】
【0195】
(式中、R1、R2、a、b、c、d、及び*は、式IIについて上記で定義された通りである)。
【0196】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIEのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0197】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIE-1を有する。
【0198】
【0199】
(式中、
R3及びR4は、同一であり又は異なり、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
*は結合の点を示す)。
【0200】
式IIA-1のR3及びR4の上記の実施形態は全て、式IIE-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0201】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は式IIFを有する。
【0202】
【0203】
(式中、R1、R2、a、b、c、d、及び*は、式IIについて上記で定義された通りである)。
【0204】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIFのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0205】
式IIの一部の実施形態では、ジアミン残基は、式IIF-1を有する。
【0206】
【0207】
(式中、
R3及びR4は、同一であり又は異なり、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
*は結合の点を示す)。
【0208】
式IIA-1のR3及びR4の上記の実施形態は全て、式IIF-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0209】
式IIの上記の実施形態のいずれも、それらが相互に排他的でない限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、R1がC1~3アルキルである実施形態は、R2がC1~3アルキルである実施形態、a=b=1である実施形態、及びc=d=1である実施形態と組み合わせることができる。当業者であれば、これらの実施形態が相互に排他的であることを理解し、従って、本出願によって考えられる実施形態の組み合わせを容易に決定できるであろう。
【0210】
式Iの一部の実施形態では、30~100モル%のRbは、式IIIを有するジアミンからの残基を表す。
【0211】
【0212】
(式中、
R1及びR2は、出現毎に同一であり又は異なり、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
a及びbは、同一であり又は異なり、0~4の整数であり、
c及びdは、同一であり又は異なり、1又は2である)。
【0213】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIIのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0214】
式Iの一部の実施形態では、30~100モル%のRbは、式IIIAを有するジアミンからの残基を表す。
【0215】
【0216】
(式中、R1、R2、a、b、c、及びdは、式IIIで定義された通りである)。
【0217】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIIAのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0218】
式Iの一部の実施形態では、30~100モル%のRbは、式IIIA1-を有するジアミンからの残基を表す。
【0219】
【0220】
(式中、R3及びR4は、式IIA-1で定義された通りである)。
【0221】
式IIA-1のR3及びR4の上記の実施形態は全て、式IIIA-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0222】
式Iの一部の実施形態では、30~100モル%のRbは、式IIIBを有するジアミンからの残基を表す。
【0223】
【0224】
(式中、R1、R2、a、b、c、及びdは、式IIIで定義された通りである)。
【0225】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIIBのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0226】
式Iの一部の実施形態では、30~100モル%のRbは、式IIIB-1を有するジアミンからの残基を表す。
【0227】
【0228】
(式中、R3及びR4は、式IIA-1で定義された通りである)。
【0229】
式IIA-1のR3及びR4の上記の実施形態は全て、式IIIB-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0230】
式Iの一部の実施形態では、30~100モル%のRbは、式IIIC、式IIID、式IIIE、及び式IIIFから選択される式を有するジアミンからの残基を表す。
【0231】
【0232】
(式中、R1、R2、a、b、c、及びdは、式IIIで定義された通りである)。
【0233】
式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IIIC、式IIID、式IIIE、及び式IIIFのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0234】
式Iの一部の実施形態では、30~100モル%のRbは、式IIIC-1、式IIID-1、式IIIE-1、及び式IIIF-1から選択される式を有するジアミンからの残基を表す。
【0235】
【0236】
(式中、R3及びR4は、式IIA-1で定義された通りである)。
【0237】
式IIA-1のR3及びR4の上記の実施形態は全て、式IIIC-1、式IIID-1、式IIIE-1、及び式IIIF-1のR3及びR4に等しく適用される。
【0238】
式IIIを有するジアミンのいくつかの例を以下に示す。
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
式Iの一部の実施形態では、Rbは、式IIを有するジアミン残基及び少なくとも1つの更なるジアミン残基を表す。
【0244】
式Iの一部の実施形態では、Rbは、式IIを有するジアミン残基及び1つの更なるジアミン残基を表す。
【0245】
式Iの一部の実施形態では、Rbは、式IIを有するジアミン残基及び2つの更なるジアミン残基を表す。
【0246】
式Iの一部の実施形態では、Rbは、式IIを有するジアミン残基及び3つの更なるジアミン残基を表す。
【0247】
一部の実施形態では、更なる芳香族ジアミンは、p-フェニレンジアミン(PPD)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-トリジン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(o-トリジン)、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル(HAB)、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、o-トリジンスルホン(TSN)、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(TMPD)、2,4-ジアミノ-1,3,5-トリメチルベンゼン(DAM)、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(3355TMB)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(22TFMB又はTFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビスアニリン(Bis-M)、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビスアニリン(Bis-P)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-ODA)、m-フェニレンジアミン(MPD)、3,4’-オキシジアニリン(3,4’-ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3、3’-DDS)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド(ASD)、2,2-ビス[4-(4-アミノ-フェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-フェニル]スルホン(m-BAPS)、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3’-ビス(4-アミノ-フェノキシ)ベンゼン(APB-133)、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4’-ジアミノベンズアニリド(DABA)、メチレンビス(アントラニル酸)(MBAA)、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン(DA5MG)、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシペニル)]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-A-AF)、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-AP-AF)、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-AT-AF)、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル(6BFBAPB)、3,3’5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(TMMDA)など及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0248】
式Iの一部の実施形態では、Rbは、式IIを有するジアミン残基及び少なくとも1つの更なるジアミン残基を表し、この場合、更なる芳香族ジアミンは、PPD、4,4’-ODA、3,4’-ODA、TFMB、Bis-A-AF、Bis-AT-AF、及びBis-Pからなる群から選択される。
【0249】
式Iの一部の実施形態では、一無水物モノマーから生じる部位は、末端保護基として存在する。
【0250】
一部の実施形態では、一無水物モノマーは、無水フタル酸など及びその誘導体からなる群から選択される。
【0251】
一部の実施形態では、一無水物は、総テトラカルボン酸組成物の5モル%までの量で存在する。
【0252】
式Iの一部の実施形態では、モノアミンモノマーから生じる部位は、末端保護基として存在する。
【0253】
一部の実施形態では、モノアミンモノマーは、アニリンなど及びその誘導体からなる群から選択される。
【0254】
一部の実施形態では、モノアミンは、総アミン組成物の5モル%までの量で存在する。
【0255】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて100,000超の重量平均分子量(MW)を有する。
【0256】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて150,000超の重量平均分子量(MW)を有する。
【0257】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて200,000超の分子量(MW)を有する。
【0258】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて250,000超の重量平均分子量(MW)を有する。
【0259】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて300,000超の重量平均分子量(MW)を有する。
【0260】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて100,000~400,000の重量平均分子量(MW)を有する。
【0261】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて200,000~400,000の重量平均分子量(MW)を有する。
【0262】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて250,000~350,000の重量平均分子量(MW)を有する。
【0263】
一部の実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィーに基づいて200,000~300,000の重量平均分子量(MW)を有する。
【0264】
ポリアミド酸の上記の実施形態のいずれも、それらが相互に排他的でない限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、RaがPMDA残基を表す実施形態は、Rbが式IIB-1を有する実施形態と組み合わせることができる。
【0265】
全体的なポリアミド酸組成物は、当技術分野で一般的に使用される表記法を介して指定することができる。例えば、100%のODPAであるテトラカルボン酸成分と90モル%のBis-P及び10モル%のTFMBであるジアミン成分を有するポリアミド酸は次のように表される:
ODPA//Bis-P/22TFMB 100//90/10。
【0266】
また、(a)式Iの繰り返し単位を有するポリアミド酸と、(b)高沸点非プロトン性溶媒とを含む液体組成物が提供される。また、液体組成物は、本明細書で「ポリアミド酸溶液」と呼ばれる。
【0267】
一部の実施形態では、高沸点非プロトン性溶媒は、150℃以上の沸点を有する。
【0268】
一部の実施形態では、高沸点非プロトン性溶媒は、175℃以上の沸点を有する。
【0269】
一部の実施形態では、高沸点非プロトン性溶媒は、200℃以上の沸点を有する。
【0270】
一部の実施形態では、高沸点非プロトン性溶媒は、極性溶媒である。一部の実施形態では、溶媒は、20超の誘電率を有する。
【0271】
高沸点非プロトン性溶媒のいくつかの例には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ-ブチロラクトン、ジブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0272】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、NMP、DMAc、及びDMFからなる群から選択される。
【0273】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、NMPである。
【0274】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、DMAcである。
【0275】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、DMFである。
【0276】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、γ-ブチロラクトンである。
【0277】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、ジブチルカルビトールである。
【0278】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、ブチルカルビトールアセテートである。
【0279】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートである。
【0280】
液体組成物の一部の実施形態では、溶媒は、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートである。
【0281】
一部の実施形態では、上記で指定された高沸点非プロトン性溶媒の2つ以上が液体組成物で使用される。
【0282】
一部の実施形態では、更なる共溶媒が液体組成物で使用される。
【0283】
一部の実施形態では、液体組成物は、99重量%を超える高沸点非プロトン性溶媒における1重量%未満のポリアミド酸である。
【0284】
一部の実施形態では、液体組成物は、95~99重量%の高沸点非プロトン性溶媒における1~5重量%のポリアミド酸である。
【0285】
一部の実施形態では、液体組成物は、90~95重量%の高沸点非プロトン性溶媒における5~10重量%のポリアミド酸である。
【0286】
一部の実施形態では、液体組成物は、85~90重量%の高沸点非プロトン性溶媒における10~15重量%のポリアミド酸である。
【0287】
一部の実施形態では、液体組成物は、80~85重量%の高沸点非プロトン性溶媒における15~20重量%のポリアミド酸である。
【0288】
一部の実施形態では、液体組成物は、75~80重量%の高沸点非プロトン性溶媒における20~25重量%のポリアミド酸である。
【0289】
一部の実施形態では、液体組成物は、70~75重量%の高沸点非プロトン性溶媒における25~30重量%のポリアミド酸である。
【0290】
一部の実施形態では、液体組成物は、65~70重量%の高沸点非プロトン性溶媒における30~35重量%のポリアミド酸である。
【0291】
一部の実施形態では、液体組成物は、60~65重量%の高沸点非プロトン性溶媒における35~40重量%のポリアミド酸である。
【0292】
一部の実施形態では、液体組成物は、55~60重量%の高沸点非プロトン性溶媒における40~45重量%のポリアミド酸である。
【0293】
一部の実施形態では、液体組成物は、50~55重量%の高沸点非プロトン性溶媒における45~50重量%のポリアミド酸である。
【0294】
一部の実施形態では、液体組成物は、50重量%の高沸点非プロトン性溶媒における50重量%のポリアミド酸である。
【0295】
ポリアミド酸溶液は、任意選択的にいくつかの添加剤のいずれか1つを更に含み得る。このような添加剤は、それらが所望のポリイミド特性に悪影響を及ぼさない限り、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、結合剤(例えば、シラン)、無機充填材又は様々な強化剤であり得る。
【0296】
ポリアミド酸溶液は、成分(即ち、モノマー及び溶媒)の導入に関して様々な利用可能な方法を使用して調製することができる。ポリアミド酸溶液を生成するいくつかの方法は以下を含む:
(a)ジアミン成分及び二無水物成分が事前に一緒に混合され、次いで混合物が撹拌されている間に溶媒に少しずつ添加される方法。
(b)溶媒がジアミン成分及び二無水物成分の撹拌混合物に添加される方法。(上記の(a)とは反対に)
(c)ジアミンが溶媒に排他的に溶解され、次いで反応速度を制御することを可能にするような比で二無水物がそれに添加される方法。
(d)二無水物成分が溶媒に排他的に溶解され、次いで反応速度を制御することを可能にするような比でアミン成分がそれに添加される方法。
(e)ジアミン成分及び二無水物成分が溶媒に別個に溶解され、次いでこれらの溶液が反応器内で混合される方法。
(f)過剰なアミン成分を含むポリアミド酸及び過剰な二無水物成分を含む別のポリアミド酸が事前に形成され、次いで特にノンランダムコポリマー又はブロックコポリマーを作成できるような方法にて反応器内で相互に反応される方法。
(g)アミン成分及び二無水物成分の特定部分が最初に反応され、次いで残留ジアミン成分が反応される又はその逆である方法。
(h)成分が部分的に又は全体として任意の順序で溶媒の一部又は全部のいずれかに添加され、更に任意の成分の一部又は全部が溶媒の一部又は全部の溶液として添加され得る方法。
(i)二無水物成分の1つをジアミン成分の1つと最初に反応させて第1のポリアミド酸を生じさせる方法。次いで、他方の二無水物成分を他方のアミン成分と反応させると、第2のポリアミド酸が生じる。次いで、フィルム形成の前に、いくつかの方法のいずれか1つでポリアミド酸を組み合わせる。
【0297】
一般的に言えば、ポリアミド酸溶液は、上記に開示されたポリアミド酸溶液調製方法のいずれか1つから得ることができる。
【0298】
次いで、粒子含量を減らすために、ポリアミド酸溶液を1回以上濾過することができる。このような濾過溶液から生成されたポリイミドフィルムは、減少した数の欠陥を示し、これにより、本明細書に開示されたエレクトロニクス用途における優れた性能をもたらし得る。濾過効率の評価は、ポリアミド酸溶液の代表的試料が5インチのシリコンウェハー上にキャストされるレーザー粒子計数器試験によって行うことができる。ソフトベーク/乾燥後、フィルムは、商業的に利用可能であり且つ当技術分野において公知である機器上での任意の数のレーザー粒子計数技術によって粒子含量について評価される。
【0299】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、レーザー粒子計数器試験によって測定されるように、40粒子未満の粒子含量をもたらすように調製及び濾過される。
【0300】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、レーザー粒子計数器試験によって測定されるように、30粒子未満の粒子含量をもたらすように調製及び濾過される。
【0301】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、レーザー粒子計数器試験によって測定されるように、20粒子未満の粒子含量をもたらすように調製及び濾過される。
【0302】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、レーザー粒子計数器試験によって測定されるように、10粒子未満の粒子含量をもたらすように調製及び濾過される。
【0303】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、レーザー粒子計数器試験によって測定されるように、2粒子から8粒子の粒子含量をもたらすように調製及び濾過される。
【0304】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、レーザー粒子計数器試験によって測定されるように、4粒子から6粒子の粒子含量をもたらすように調製及び濾過される。
【0305】
ポリアミド酸溶液の例示的な調製が実施例に示されている。
【0306】
3.式IVの繰り返し単位構造を有するポリイミド
式IVの繰り返し単位構造を有するポリイミドが提供される。
【0307】
【0308】
(式中、
Raは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、
Rbは、出現毎に同一であり又は異なり、1つ以上の芳香族ジアミン残基を表し、
30~100モル%のRbは、式II
【0309】
【0310】
(式中、
R1及びR2は、出現毎に同一であり又は異なり、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、シリル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びシロキシからなる群から選択され、
a及びbは、同一であり又は異なり、0~4の整数であり、
c及びdは、同一であり又は異なり、1又は2であり、
*は結合の点を示す)を有する)。
【0311】
式IのRa及びRbの上記の実施形態は全て、式IVのRa及びRbに等しく適用される。
【0312】
式Iに適用されるように式IIのR1、R2、a、b、c、及びdの上記の実施形態は全て、式IVに適用されるように式IIのR1、R2、a、b、c、及びdに等しく適用される。
【0313】
ポリイミドは、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリイソイミド、及びポリアミド酸塩など、任意の適切なポリイミド前駆体から作成できる。
【0314】
また、上記のように、ポリイミドが式IVの繰り返し単位構造を有するポリイミドフィルムが提供される。
【0315】
ポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体を基板にコーティングし、続いてイミド化することによって作成することができる。これは、熱変換プロセス又は化学変換プロセスによって達成することができる。
【0316】
更に、ポリイミドが適切なコーティング溶媒に可溶である場合、それは、適切なコーティング溶媒に溶解され、ポリイミドとしてコーティングされた、すでにイミド化されたポリマーとして提供することができる。
【0317】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、面内熱膨張係数(CTE)は、50℃~200℃で、45ppm/℃未満であり、一部の実施形態では、30ppm/℃未満であり、一部の実施形態では、20ppm/℃未満であり、一部の実施形態では、10ppm/℃未満であり、一部の実施形態では、5ppm/℃未満であり、一部の実施形態では、0ppm/℃~15ppm/℃であり、一部の実施形態では、0ppm/℃~10ppm/℃であり、一部の実施形態では、0ppm/℃~5ppm/℃である。
【0318】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、ガラス転移温度(Tg)は、300℃超の温度で硬化されたポリイミドフィルムの場合、250℃超、一部の実施形態では、300℃超、一部の実施形態では、350℃超である。
【0319】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、1%TGA重量損失温度は、350℃超、一部の実施形態では、400℃超、一部の実施形態では、450℃超である。
【0320】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、引張り弾性率は、1.5GPa~15.0GPa、一部の実施形態では、1.5GPa~12.0GPaである。
【0321】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、破断伸びは、10%超である。
【0322】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、633nmでの複屈折は、0.15未満、一部の実施形態では、0.10未満、一部の実施形態では、0.05未満である。
【0323】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、ヘイズは、1.0%未満、一部の実施形態では、0.5%未満である。
【0324】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、400nmでの透過率は、40%超、一部の実施形態では、50%超、一部の実施形態では、60%超である。
【0325】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、430nmでの透過率は、60%超、一部の実施形態では、70%超である。
【0326】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、450nmでの透過率は、70%超、一部の実施形態では、80%超である。
【0327】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、550nmでの透過率は、70%超、一部の実施形態では、80%超である。
【0328】
ポリイミドフィルムの一部の実施形態では、750nmでの透過率は、70%超、一部の実施形態では、80%超、一部の実施形態では、90%超である。
【0329】
ポリイミドフィルムの上記の実施形態のいずれも、それらが相互に排他的でない限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0330】
4.ポリイミドフィルムの調製方法
一般的に、ポリイミドフィルムは、化学又は熱変換によってポリイミド前駆体から調製することができる。一部の実施形態では、フィルムは、化学又は熱変換プロセスによって、対応するポリアミド酸溶液から調製される。本明細書に開示されるポリイミドフィルムは、特に電子デバイスにおけるガラスの柔軟な代替物として使用される場合、熱変換プロセスによって調製される。
【0331】
一般的に、ポリイミドフィルムは、化学又は熱変換プロセスによって対応するポリアミド酸溶液から調製することができる。本明細書に開示されるポリイミドフィルムは、特に電子デバイスにおけるガラスのための柔軟な代替品として使用される場合、化学変換プロセスに対して、熱変換又は修飾熱変換プロセスによって調製される。
【0332】
化学変換プロセスは、米国特許第5,166,308号明細書及び米国特許第5,298,331号明細書に記載されており、これらは、参照によりその全体が組み込まれる。このようなプロセスでは、変換用化学薬品がポリアミド酸溶液に添加される。本発明において有用であることが見出された変換用化学薬品には、(i)1つ以上の脱水剤、例えば脂肪酸無水物(酢酸無水物等)及び酸無水物、並びに(ii)1つ以上の触媒、例えば脂肪族3級アミン(トリエチルアミン等)、3級アミン(ジメチルアニリン等)及び複素環式3級アミン(ピリジン、ピコリン、イソキノリン等)が含まれるが、これらに限定されない。材料を脱水する無水物は、典型的には、ポリアミド酸溶液中に存在するアミド酸基の量の僅かにモル過剰で使用される。使用する酢酸無水物の量は、典型的には、ポリアミド酸の1当量当たり約2.0~3.0モルである。一般的には、同等量の3級アミン触媒が使用される。
【0333】
熱変換プロセスは、ポリアミド酸キャスト溶液をポリイミドに変換させるために変換用化学薬品(即ち、触媒)を使用しても又は使用しなくてもよい。変換用化学薬品が使用される場合、プロセスは、修飾熱変換プロセスであると考えられ得る。両方のタイプの熱変換プロセスにおいて、溶媒のフィルムを乾燥させること及びイミド化反応を実施することの両方のため、フィルムを加熱するために熱エネルギーのみが使用される。一般的に本明細書に開示されたポリイミドフィルムを調製するために、変換用触媒を用いる又は用いない熱変換プロセスが使用される。
【0334】
特定の方法パラメータは、関心対象の特性を産生するのがフィルム組成だけではないことを考えて事前に選択される。むしろまた、硬化温度及び温度傾斜プロファイルが、本明細書に開示された意図される使用のために最も所望される特性の達成において重要な役割を果たす。ポリアミド酸は、任意のその後の加工工程(例えば、機能的ディスプレイを生成するために必要とされる無機層又は他の層の堆積)の温度又はそれより高い、最も高い温度であるが、ポリイミドの著しい熱分解/変色が発生する温度より低い温度でイミド化されなければならない。イミド化のために特に高い加工温度が使用される場合は、不活性雰囲気が一般的に好ましいことも言及しておかなければならない。
【0335】
本明細書に開示されたポリアミド酸/ポリイミドのためには、300℃を超えるその後の加工温度が必要とされる場合は、典型的には、300℃~320℃の温度が使用される。適正な硬化温度を選択することは、熱特性と機械特性の最善のバランスを達成する十分に硬化したポリイミドを可能にする。この極めて高い温度のために、不活性雰囲気が必要とされる。典型的には、オーブン内の100ppm未満の酸素レベルが使用されなければならない。極めて低い酸素レベルは、ポリマーの著しい分解/変色を伴わずに最も高い硬化温度が使用されることを可能にする。イミド化プロセスを加速する触媒は、約200℃~300℃の硬化温度でより高レベルのイミド化を達成するのに効果的である。この手法は、柔軟なデバイスがポリイミドのTg未満の上限硬化温度を用いて調製される場合に、任意選択的に使用され得る。
【0336】
各潜在的硬化工程における時間の量は、更に重要なプロセス検討事項である。一般的に、最高温度での硬化のために使用される時間は、最小に維持されなければならない。320℃の硬化のためには、例えば、硬化時間は不活性雰囲気下で1時間位までであり得るが、より高い硬化温度では、この時間は熱分解を回避するために短縮されなければならない。一般的に、温度が高いほど、時間はより短縮される。当業者であれば、特定の最終使用のためにポリイミドの特性を最適化するために温度と時間の間のバランスを認識するであろう。
【0337】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、熱変換プロセスによってポリイミドフィルムに変換させられる。
【0338】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが50μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0339】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが40μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0340】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが30μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0341】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが20μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0342】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが10μm~20μmの間であるように基質にコーティングされる。
【0343】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが15μm~20μmであるように基質にコーティングされる。
【0344】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが18μmであるように基質にコーティングされる。
【0345】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが10μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0346】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、近接モード(proximity mode)にてホットプレート上でソフトベークされるが、この場合、窒素ガスがホットプレートのすぐ上にコーティングされた基質を保持するために使用される。
【0347】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、フルコンタクトモードにてホットプレート上にソフトベークされるが、この場合、コーティングされた基質は、ホットプレート表面と直接接触させられる。
【0348】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、近接モード及びフルコンタクトモードの組み合わせを用いてホットプレート上でソフトベークされる。
【0349】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、80℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0350】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、90℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0351】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、100℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0352】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、110℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0353】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、120℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0354】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、130℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0355】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、140℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0356】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、10分超の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0357】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、10分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0358】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、8分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0359】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、6分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0360】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、4分の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0361】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、4分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0362】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、2分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0363】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、2つの事前選択された時間間隔に渡り、2つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者は、同一であり得る又は異なり得る。
【0364】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、3つの事前選択された時間間隔に渡り、3つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0365】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、4つの事前選択された時間間隔に渡り、4つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0366】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、5つの事前選択された時間間隔に渡り、5つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0367】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、6つの事前選択された時間間隔に渡り、6つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0368】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、7つの事前選択された時間間隔に渡り、7つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0369】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、8つの事前選択された時間間隔に渡り、8つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0370】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、9つの事前選択された時間間隔に渡り、9つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0371】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、10の事前選択された時間間隔に渡り、10の事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0372】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、80℃超である。
【0373】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、100℃に等しい。
【0374】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、100℃超である。
【0375】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、150℃に等しい。
【0376】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、150℃超である。
【0377】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、200℃に等しい。
【0378】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、200℃超である。
【0379】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、250℃に等しい。
【0380】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、250℃超である。
【0381】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、300℃に等しい。
【0382】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、300℃超である。
【0383】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、350℃に等しい。
【0384】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、350℃超である。
【0385】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、400℃に等しい。
【0386】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、400℃超である。
【0387】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、450℃に等しい。
【0388】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、450℃超である。
【0389】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分である。
【0390】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、5分である。
【0391】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、10分である。
【0392】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、15分である。
【0393】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、20分である。
【0394】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、25分である。
【0395】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、30分である。
【0396】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、35分である。
【0397】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、40分である。
【0398】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、45分である。
【0399】
熱変換プロセスの一部では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、50分である。
【0400】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、55分である。
【0401】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、60分である。
【0402】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、60分超である。
【0403】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分~60分である。
【0404】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分~90分である。
【0405】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分~120分である。
【0406】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリイミドフィルムを調製するための方法は、順に以下の工程:上記のポリアミド酸溶液を基質にコーティングする工程と、コーティングされた基質をソフトベークする工程と、ソフトベークされたコーティングされた基質を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程とを含み、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0407】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリイミドフィルムを調製するための方法は、順に以下の工程:上記のポリアミド酸溶液を基質にコーティングする工程、コーティングされた基質をソフトベークする工程、ソフトベークされたコーティングされた基質を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程からなり、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0408】
熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリイミドフィルムを調製するための方法は、順に以下の工程:上記のポリアミド酸溶液を基質にコーティングする工程、コーティングされた基質をソフトベークする工程、ソフトベークされたコーティングされた基質を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程から本質的になり、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0409】
典型的には、本明細書に開示されたポリアミド酸溶液/ポリイミドは、ディスプレイ製造プロセスの残りを通して加工を容易にするために支持ガラス基板上にコーティング/硬化される。ディスプレイ製造業者によって決定されるプロセス内のある時点において、ポリイミドコーティングは、機械的又はレーザーリフトオフ(laser lift off)プロセスによって支持ガラス基板から取り除かれる。これらのプロセスは、ガラスから堆積されたディスプレイ層を伴うフィルムとしてポリイミドを分離し、柔軟フォーマットを可能にする。多くの場合、堆積層を伴うこのポリイミドフィルムは、ディスプレイのその後の製作のための支持体を提供するために、次いでより厚さのある、しかし依然として柔軟なプラスチックフィルムに接着される。
【0410】
変換触媒が、一般的に、このような変換触媒が存在しない場合に可能であるよりも低い温度でイミド化反応を引き起こす修飾熱変換プロセスも提供される。
【0411】
一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、修飾熱変換プロセスによってポリイミドフィルムに変換される。
【0412】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒を更に含む。
【0413】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、3級アミンからなる群から選択される変換触媒を更に含む。
【0414】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、イソキノリン、1,2-ジメチルイミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-イミダゾール、3,5-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、2,5-ジメチルピリジン、5-メチルベンズイミダゾール等からなる群から選択される変換触媒を更に含む。
【0415】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、変換触媒は、ポリアミド酸溶液の5重量%以下で存在する。
【0416】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、変換触媒は、ポリアミド酸溶液の3重量%以下で存在する。
【0417】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、変換触媒は、ポリアミド酸溶液の1重量%以下で存在する。
【0418】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、変換触媒は、ポリアミド酸溶液の1重量%で存在する。
【0419】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒としてトリブチルアミンを更に含む。
【0420】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒としてジメチルエタノールアミンを更に含む。
【0421】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒としてイソキノリンを更に含む。
【0422】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒として1,2-ジメチルイミダゾールを更に含む。
【0423】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒として3,5-ジメチルピリジンを更に含む。
【0424】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒として5-メチルベンズイミダゾールを更に含む。
【0425】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒としてN-メチルイミダゾールを更に含む。
【0426】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒として2-メチルイミダゾールを更に含む。
【0427】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒として2-エチル-4-イミダゾールを更に含む。
【0428】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒として3,4-ジメチルピリジンを更に含む。
【0429】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、変換触媒として2,5-ジメチルピリジンを更に含む。
【0430】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが50μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0431】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが40μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0432】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが30μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0433】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが20μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0434】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが10μm~20μmであるように基質にコーティングされる。
【0435】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが15μm~20μmであるように基質にコーティングされる。
【0436】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが18μmであるように基質にコーティングされる。
【0437】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベーク厚さが10μm未満であるように基質にコーティングされる。
【0438】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、近接モードにてホットプレート上でソフトベークされるが、この場合、窒素ガスがホットプレートのすぐ上にコーティングされた基質を保持するために使用される。
【0439】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、フルコンタクトモードにてホットプレート上にソフトベークされるが、この場合、コーティングされた基質は、ホットプレート表面と直接接触させられる。
【0440】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、近接モード及びフルコンタクトモードの組み合わせを用いてホットプレート上でソフトベークされる。
【0441】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、80℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0442】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、90℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0443】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、100℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0444】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、110℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0445】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、120℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0446】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、130℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0447】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、140℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0448】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、10分超の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0449】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、10分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0450】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、8分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0451】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、6分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0452】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、4分の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0453】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、4分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0454】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、コーティングされた基質は、2分未満の合計時間に渡りソフトベークされる。
【0455】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、2つの事前選択された時間間隔に渡り、2つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者は、同一であり得る又は異なり得る。
【0456】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、3つの事前選択された時間間隔に渡り、3つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0457】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、4つの事前選択された時間間隔に渡り、4つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0458】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、5つの事前選択された時間間隔に渡り、5つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0459】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、6つの事前選択された時間間隔に渡り、6つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0460】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、7つの事前選択された時間間隔に渡り、7つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0461】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、8つの事前選択された時間間隔に渡り、8つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0462】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、9つの事前選択された時間間隔に渡り、9つの事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0463】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた基質は、その後、10の事前選択された時間間隔に渡り、10の事前選択された温度で硬化され、それらの後者のそれぞれは、同一であり得る又は異なり得る。
【0464】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、80℃超である。
【0465】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、100℃に等しい。
【0466】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、100℃超である。
【0467】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、150℃に等しい。
【0468】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、150℃超である。
【0469】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、200℃に等しい。
【0470】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、200℃超である。
【0471】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、220℃Cに等しい。
【0472】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、220℃超である。
【0473】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、230℃に等しい。
【0474】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、230℃超である。
【0475】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、240℃に等しい。
【0476】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、240℃超である。
【0477】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、250℃に等しい。
【0478】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、250℃超である。
【0479】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、260℃に等しい。
【0480】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、260℃超である。
【0481】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、270℃に等しい。
【0482】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、270℃超である。
【0483】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、280℃に等しい。
【0484】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、280℃超である。
【0485】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、290℃に等しい。
【0486】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、290℃超である。
【0487】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、300℃に等しい。
【0488】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、300℃未満である。
【0489】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、290℃未満である。
【0490】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、280℃未満である。
【0491】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、270℃未満である。
【0492】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、260℃未満である。
【0493】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された温度は、250℃未満である。
【0494】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分である。
【0495】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、5分である。
【0496】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、10分である。
【0497】
修飾変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、15分である。
【0498】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、20分である。
【0499】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、25分である。
【0500】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、30分である。
【0501】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、35分である。
【0502】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、40分である。
【0503】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、45分である。
【0504】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、50分である。
【0505】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、55分である。
【0506】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、60分である。
【0507】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、60分超である。
【0508】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分~60分である。
【0509】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分~90分である。
【0510】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、事前選択された時間間隔の1つ以上は、2分~120分である。
【0511】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリイミドフィルムを調製するための方法は、順に以下の工程:変換化学物質を含む上記のポリアミド酸溶液を基質にコーティングする工程と、コーティングされた基質をソフトベークする工程と、ソフトベークされたコーティングされた基質を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程と含み、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0512】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリイミドフィルムを調製するための方法は、順に以下の工程:変換化学物質を含む上記のポリアミド酸溶液を基質にコーティングする工程、コーティングされた基質をソフトベークする工程、ソフトベークされたコーティングされた基質を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程からなり、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0513】
修飾熱変換プロセスの一部の実施形態では、ポリイミドフィルムを調製するための方法は、順に以下の工程:変換化学物質を含む上記のポリアミド酸溶液を基質にコーティングする工程、コーティングされた基質をソフトベークする工程、ソフトベークされたコーティングされた基質を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程から本質的になり、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0514】
5.電子デバイス
本明細書に開示されたポリイミドフィルムは、例えば、OLED及びLCDディスプレイ等の電子ディスプレイデバイス内のいくつかの層で使用するために好適であり得る。このような層の非限定的な例としては、デバイス基板、タッチパネル、カラーフィルターシート用基板、カバーフィルムなどが挙げられる。各用途のための特定の材料の特性要件は、固有であり、本明細書に開示されたポリイミドフィルムのための適切な組成及び加工条件によって対応することができる。
【0515】
一部の実施形態では、上記で詳細に説明したように、電子デバイスにおけるガラスの柔軟な代替品は、式IVの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムである。
【0516】
一部の実施形態では、上記で詳細に説明したように、式IVの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムを含む少なくとも1つの層を有する有機電子デバイスが提供される。
【0517】
本明細書に記載された少なくとも1つの化合物を含む1つ以上の層を有することから恩恵を受け得る有機電子デバイスは、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、照明デバイス、照明器具又はダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスプロセスによって信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光導電セル、フォトレジスター、フォトスイッチ、フォトトランジスター、光電管、赤外検出器、バイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電力デバイス又は太陽電池)、(4)1つの波長の光をより長い波長の光に変換するデバイス(例えば、ダウンコンバート燐光体デバイス)、及び(5)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスター又はダイオード)を含むが、これらに限定されない。本発明による組成物の他の使用には、メモリ記憶デバイスのためのコーティング材料、帯電防止フィルム、バイオセンサー、電気化学デバイス、固体電解質コンデンサー、二次電池等のエネルギー貯蔵デバイス及び電磁遮蔽用途が含まれる。
【0518】
本明細書に記載されたガラスのための柔軟な代替品として作用できるポリイミドフィルムの1つの例を
図1に示す。柔軟なフィルム100は、本開示の実施形態に記載した特性を有し得る。一部の実施形態では、ガラスのための柔軟な代替品として作用し得るポリイミドフィルムは、電子デバイスに含まれている。
図2は、電子デバイス200が有機電子デバイスである場合を示している。デバイス200は、基板100、アノード層110及び第2電気コンタクト層、カソード層130並びにこれらの間の光活性層120を有する。任意選択的に、更なる層が存在し得る。アノード層に隣接するのは、緩衝層と言われることもある正孔注入層(図示していない)であり得る。正孔注入層に隣接するのは、正孔輸送材料を含む正孔輸送層(図示していない)であり得る。カソード層に隣接するのは、電子輸送材料を含む電子輸送層(図示していない)であり得る。選択肢として、デバイスは、アノード110の隣に1つ以上の更なる正孔注入層又は正孔輸送層(図示していない)及び/又はカソード130の隣に1つ以上の更なる電子注入層又は電子輸送層(図示していない)を使用し得る。110~130の層は、個別に及びまとめて有機活性層と言われる。存在していてもしていなくてもよい更なる層には、カラーフィルター、タッチパネル及び/又はカバーシートが含まれる。これらの層の1つ以上は、基板100に追加して、本明細書に開示されたポリイミドフィルムから作製することもできる。
【0519】
図2を参照して、異なる層が本明細書で更に考察される。しかしながら、この考察は、他の構成にも同様に当てはまる。
【0520】
一部の実施形態では、異なる層は、以下の範囲の厚さを有する:基板100、5~100ミクロン、アノード110、500~5,000Å、一部の実施形態では1,000~2,000Å、正孔注入層(図示していない)、50~2,000Å、一部の実施形態では200~1,000Å、正孔輸送層(図示していない)、50~3,000Å、一部の実施形態では200~2,000Å、光活性層120、10~2,000Å、一部の実施形態では100~1,000Å、電子輸送層(図示していない)、50~2,000Å、一部の実施形態では100~1,000Å、カソード130、200~10,000Å、一部の実施形態では300~5,000Å。層厚さの所望の比は、使用される材料の正確な性質に依存する。
【0521】
一部の実施形態では、有機電子デバイス(OLED)は、本明細書に開示したガラスのための柔軟な代替品を含む。
【0522】
一部の実施形態では、有機電子デバイスは、基板、アノード、カソード及びこれらの間の光活性層を含み、1つ以上の更なる有機活性層を更に含む。一部の実施形態では、更なる有機活性層は、正孔輸送層である。一部の実施形態では、更なる有機活性層は、電子輸送層である。一部の実施形態では、更なる有機活性層は、正孔輸送層及び電子輸送層の両方である。
【0523】
アノード110は、正電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。アノードは、例えば、金属、混合金属、合金、金属酸化物、又は混合金属酸化物を含む材料から作製することができ、又は導電性ポリマー及びその混合物であり得る。適切な金属には、11族金属、4族、5族及び6族の金属並びに8~10族の遷移金属が含まれる。アノードが光透過性である場合、インジウム錫酸化物などの12族、13族及び14族金属の混合金属酸化物が一般的に使用される。アノードはまた、“Flexible light-emitting diodes made from soluble conducting polymer”,Nature vol.357,pp477 479(11 June 1992)に記載されるようにポリアニリンなどの有機材料を含み得る。アノード及びカソードの少なくとも1つは、生成された光を観察することができるように少なくとも部分的に透明でなければならない。
【0524】
任意の正孔注入層は、正孔注入材料を含み得る。用語「正孔注入層」又は「正孔注入材料」は、電気的導体又は半導体材料を意味することが意図され、限定されないが、有機電子デバイスにおいて、下位層の平坦化、電荷輸送及び/又は電荷注入特性、酸素又は金属イオン等の不純物の捕捉及び有機電子デバイスの性能を促進又は改善するための他の態様を含めた1つ以上の機能を有し得る。正孔注入材料は、ポリマー、オリゴマー又は小分子であり得、溶液、分散体、懸濁液、乳化液、コロイド状混合物又は他の組成物の形態であり得る。
【0525】
正孔注入層は、多くの場合、プロトン酸がドープされる、ポリアニリン(PANI)又はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリマー材料で形成され得る。プロトン酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)等であり得る。正孔注入層120は、銅フタロアシアニン及びテトラチアフルバレン-テトラシアノキノジメタン系(TTF-TCNQ)などの電荷移動化合物等を含み得る。一部の実施形態では、正孔注入層120は、導電性ポリマー及びコロイド形成ポリマー酸の分散物から作製される。このような材料は、例えば、公開された米国特許出願公開第2004-0102577号明細書、米国特許出願公開第2004-0127637号明細書及び米国特許出願公開第2005-0205860号明細書に記載されている。
【0526】
他の層は、正孔輸送材料を含み得る。正孔輸送層のための正孔輸送材料の例は、例えば、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837-860,1996,by Y.Wangに要約されている。正孔輸送小分子及び正孔輸送ポリマーの両方を使用することができる。一般的に使用される正孔輸送分子には、これらに限定されないが、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニル-アミノ)-トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4’’-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)-トリフェニルアミン(MTDATA)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(TPD)、4,4’-ビス(カルバゾル-9-イル)ビフェニル(CBP)、1,3-ビス(カルバゾル-9-イル)ベンゼン(mCP)、1,1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’ビス(4-メチルフェニル)-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)-[1,1’-(3,3’-ジメチル)ビフェニル]-4,4’-ジアミン(ETPD)、テトラキス(3-メチルフェニル)-N,N,N’,N’-2,5-フェニレンジアミン(PDA)、α-フェニル4-N,N-ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p-(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4-(N,N-ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル](4-メチルフェニル)メタン(MPMP)、1フェニル-3-[p-(ジエチルアミノ)スチリル]-5-[p-(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2-トランス-ビス(9H-カルバゾル-9-イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TTB)、N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス-(フェニル)ベンジジン(α-NPB)、及びポルフィリン化合物、例えば銅フタロアシアニンが含まれる。一般的に使用される正孔輸送ポリマーには、これらに限定されないが、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、及びポリピロールが含まれる。上述したものなどの正孔輸送分子をポリスチレン及びポリカーボネートなどのポリマー中にドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。一部の場合、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン-フルオレンコポリマーが使用される。一部の場合、ポリマー及びコポリマーは、架橋性である。架橋性正孔輸送ポリマーの例は、例えば、公開された米国特許出願公開第2005-0184287号明細書及び公開されたPCT出願国際公開第2005/052027号パンフレットに見出すことができる。一部の実施形態では、正孔輸送層は、テトラフルオロ-テトラシアノキノジメタン及びペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸-3,4,9,10-二無水物などのp型ドーパントがドープされる。
【0527】
デバイスの用途に応じて、光活性層120は、(発光ダイオード又は発光電気化学セルでのような)印加電圧によって活性化される発光層、(ダウンコンバート燐光体デバイスでのような)光を吸収しより長い波長を有する光を放射する材料の層、或いは(光検出器又は光起電力デバイスでのような)輻射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧を使用して又は使用せずに信号を生成する材料の層であり得る。
【0528】
一部の実施形態では、光活性層は、光活性材料を有する発光性化合物を含む化合物を含む。一部の実施形態では、光活性層は、ホスト材料を更に含む。ホスト材料の例としては、クリセン、フェナントレン、トリフェニレン、フェナントロリン、ナフタレン、アントラセン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フェニルピリジン、カルバゾール、インドロカルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾジフラン及び金属キノリネート錯体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ホスト材料は、重水素化されている。
【0529】
一部の実施形態では、光活性層は、(a)380~750nmに発光極大を有するエレクトロルミネセンスの能力があるドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。適切な第2ホスト化合物は、上述されている。
【0530】
一部の実施形態では、光活性層は、(a)380~750nmに発光極大を有するエレクトロルミネセンスの能力があるドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物だけを含むが、この場合、操作の原理又は層の際立った特性を実質的に変化させるであろう更なる材料は存在しない。
【0531】
一部の実施形態では、光活性層中の重量に基づいて、第1ホストは、第2ホストよりも高い濃度で存在する。
【0532】
一部の実施形態では、光活性層中の第1ホスト対第2ホストの重量比は、10:1~1:10の範囲内にある。一部の実施形態では、この重量比は、6:1~1:6の範囲内にあり、一部の実施形態では5:1~1:2の範囲内にあり、一部の実施形態では3:1~1:1の範囲内にある。
【0533】
一部の実施形態では、ドーパント対全ホストの重量比は、1:99~20:80の範囲内にあり、一部の実施形態では5:95~15:85の範囲内にある。
【0534】
一部の実施形態では、光活性層は、(a)赤色発光ドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。
【0535】
一部の実施形態では、光活性層は、(a)緑色発光ドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。
【0536】
一部の実施形態では、光活性層は、(a)黄色発光ドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。
【0537】
任意の層は、電子輸送を促進すると共にまた、層界面での励起子の消滅を防ぐための閉じ込め層としても役立つように機能することができる。好ましくは、この層は、電子移動度を促進し、励起子消滅を低減する。
【0538】
一部の実施形態では、このような層は、他の電子輸送材料を含む。任意の電子輸送層において使用され得る電子輸送材料の例としては、トリス(8-ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(p-フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、テトラキス-(8-ヒドロキシキノラト)ハフニウム(HfQ)及びテトラキス-(8-ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)等の金属キノレート誘導体を含む金属キレート化オキシノイド化合物、並びに2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(TAZ)及び1,3,5-トリ(フェニル-2-ベンゾイミダゾール)ベンゼン(TPBI)等のアゾール化合物、2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリン等のキノキサリン誘導体、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DPA)及び2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DDPA)等のフェナントロリン、トリアジン、フラーレン並びにこれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、電子輸送材料は、金属キノレート及びフェナントロリン誘導体からなる群から選択される。一部の実施形態では、電子輸送層は、n-ドーパントを更に含む。N-ドーパント材料は、周知である。n-ドーパントには、これらに限定されないが、1族及び2族金属、1族及び2族金属塩、例えばLiF、CsF、及びCs2CO3、1族及び2族金属有機化合物、例えばLiキノレート、及び分子n-ドーパント、例えばロイコ染料、金属錯体、例えばW2(hpp)4(式中、hpp=1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド-[1,2-a]-ピリミジンである)及びコバルトセン、テトラチアナフタセン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、複素環ラジカル又はジラジカル、及び複素環式ラジカル又はジラジカルのダイマー、オリゴマー、ポリマー、ジスピロ化合物及び多環が含まれる。
【0539】
任意の電子注入層が電子輸送層に渡り堆積されることができる。電子注入材料の例には、これらに限定されないが、Li含有有機金属化合物、LiF、Li2O、Liキノレート、Cs含有有機金属化合物、CsF、Cs2O、及びCs2CO3が含まれる。この層は、下にある電子輸送層、上にあるカソード又は両方と反応し得る。電子注入層が存在する場合、堆積された材料の量は、一般的に1~100Å、一部の実施形態では1~10Åの範囲内にある。
【0540】
カソード130は、電子又は負電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有する任意の金属又は非金属であり得る。カソード用の材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、稀土類元素及びランタニド、並びにアクチニドを含む12族金属から選択され得る。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム及びマグネシウム等の材料並びに組み合わせを使用することができる。
【0541】
有機電子デバイスにおいて他の層を有することが知られている。例えば、注入される正電荷の量を制御するため及び/又は層のバンドギャップ整合を提供するための、或いは保護層として機能するための層(図示していない)は、アノード110と正孔注入層(図示していない)との間に存在し得る。銅フタロアシアニン、オキシ窒化ケイ素、フルオロカーボン、シランなどの当技術分野で公知の層、又は例えばPtなどの金属の極薄層を使用することができる。代わりに、アノード層110、活性層120又はカソード層130の一部又は全てを表面処理して、電荷キャリア輸送効率を増加させることができる。構成層のそれぞれの材料の選択は、好ましくは、高いエレクトロルミネセンス効率を有するデバイスを提供するために発光体層中の正電荷及び負電荷のバランスを取ることによって決定される。
【0542】
それぞれの機能性層は、2つ以上の層から構成され得ることが理解される。
【0543】
デバイス層は、一般的に、気相堆積、液相堆積及び熱転写を含む任意の堆積技術又は技術の組み合わせによって形成され得る。ガラス、プラスチック及び金属等の基板を使用することができる。例えば、熱蒸発、化学気相堆積等の従来の気相堆積技術を用いることができる。有機層は、コーティング、浸漬コーティング、ロールツーロール技術、インクジェット印刷、連続ノズル印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等を含むが、これらに限定されない従来のコーティング又は印刷技術を用いて、適切な溶媒における溶液又は分散物から塗布することができる。
【0544】
液相堆積方法について、特定の化合物又は関連する部類の化合物のための適切な溶媒は、当業者であれば容易に決定することができる。一部の用途のために、化合物は、非水溶媒に溶解されることが望ましい。このような非水溶媒は、C1~C20アルコール、エーテル及び酸エステルのように比較的極性であり得る、或いはC1~C12アルカン又はトルエン、キシレン、トリフルオロトルエン等などの芳香族化合物のように比較的非極性であり得る。新規化合物を含む液体組成物を、本明細書に記載される溶液又は分散物のいずれかとして生成するのに使用するための他の適切な液体には、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、芳香族炭化水素(置換及び非置換トルエン及びキシレン等)、トリフルロトルエン等、極性溶媒(テトラヒドロフラン(THP)、N-メチルピロリドン等)、エステル(酢酸エチル等)、アルコール(イソプロパノール)、ケトン(シクロペンタトン)並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。エレクトロルミネセンス材料のための適切な溶媒は、例えば、公開されたPCT出願国際公開第2007/145979号パンフレットに記載されている。
【0545】
一部の実施形態では、デバイスは、正孔注入層、正孔輸送層及び光活性層の液相堆積により、且つ柔軟な基板へのアノード、電子輸送層、電子注入層及びカソードの気相堆積により作製される。
【0546】
デバイスの効率は、デバイス内の他の層を最適化することによって改良され得ることが理解される。例えば、Ca、Ba又はLiF等のより効率的なカソードを使用することができる。動作電圧の低下をもたらす又は量子効率を増加させる成形基板及び新規な正孔輸送材料も適用できる。様々な層のエネルギーレベルを調整し、エレクトロルミネセンスを促進するために更なる層を加えることもできる。
【0547】
一部の実施形態では、デバイスは、順に、以下の構造:基板、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、電子注入層、カソードを有する。
【0548】
本明細書に記載されたものと同様の又は均等な方法及び材料は、本発明の実施又は試験において使用できるが、適切な方法及び材料を以下に記載する。更に、材料、方法及び実施例は、例示のためのものに過ぎず、限定することを意図されていない。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0549】
本明細書に記載する概念は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない以下の実施例において更に例示される。
【0550】
実施例1
この実施例は、式III、具体的には式IIIA-1を有するジアミン:4,4’-(ナフタレン-2,6-ジイル)ビス(3-(トリフルオロメチル)アニリン)、化合物1の調製を示している。
【0551】
【0552】
凝縮器と磁気攪拌機を備えた2Lの3口丸底フラスコに、2,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ナフタレン(33g、0.087モル)、トルエン(660mL)、4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)アニリン(52.1g、0.217モル)、2M Na2CO3溶液(396mL)及び第4級アンモニウム塩Aliquat-336(3.3mL)を、25℃でアルゴン下にて順次加えた。得られた混合物をアルゴンガスで10分間パージし、Pd(PPh3)4(10g、0.009モル)を加え、再度アルゴンガスで10分間パージした。反応混合物を85℃で撹拌した。16時間後、反応混合物を30℃に冷却し、セライト(登録商標)珪藻土のパッドを通して濾過し、パッドをトルエンで洗浄した(2×40mL)。有機層を分離し、水層をトルエンで抽出した(2×150mL)。合わせた有機層を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、石油エーテル中の15%EtOAcを使用するシリカゲル(230-400メッシュ)カラムクロマトグラフィーによって精製し、続いて10%EtOH/CHCl3で洗浄して、UPLCによる95.82%の純度の生成物30gを得た。1,4-ジオキサンからの再結晶(2回)による更なる精製により、16.1g(42%)の生成物を、UPLCによる99.98%の純度のオフホワイトの固体として得た。融点:198~201℃
【0553】
実施例2
この実施例は、式Iを有するポリアミド酸を含む液体組成物の調製を示す。ポリアミド酸は、組成物BPDA/PMDA//化合物1 97/3//100を有した。
【0554】
窒素の注入口と排出口、機械式攪拌機、及び熱電対を備えた反応フラスコに、化合物1と1-メチル-2-ピロリドン(NMP)を入れた。混合物を窒素下、室温で攪拌して、化合物1を溶解した。その後、3,3’4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)をジアミンの攪拌溶液に少しずつゆっくりと加え、続いてピロメリット酸二無水物(PMDA)を少しずつ加えた。二無水物の添加が完了した後、更なるNMPを使用して、容器及び反応フラスコの壁から残っている全ての二無水物粉末を洗い流した。二無水物が溶解して反応し、ポリアミド酸(PAA)溶液を撹拌した。
【0555】
ポリマー溶液の最終粘度は、固形分は10%である、25℃で11,080cpsであった。
【0556】
フラスコの内容物は、2リットルのHDPEボトル内に注入し、固くキャップを閉め、後に使用するために冷蔵庫内に保管した。
【0557】
実施例3
この実施例は、式IVを有するポリイミドフィルムの調製を示している。
【0558】
実施例3からのポリアミド酸溶液の一部分を、Whatman PolyCap HD 0.45μm絶対フィルターに通してEFD Nordsen分注用シリンジバレル内へ加圧濾過した。このシリンジバレルをEFD Nordsen分注装置に取り付け、数mLのポリマー溶液を6インチのシリコンウェハーに塗布しスピンコーティングした。スピン速度は、約18μmの所望のソフトベーク厚さを得るために変動させた。ソフトベークは、コーティングされたウェハーを約110℃に設定されたホットプレートに最初に近接モード(ホットプレートのちょうど表面からウェハーを保持するための窒素フロー)で置くことによってコーティング後に達成され、その後、ホットプレート表面に直接接触した。ソフトベークしたフィルムの厚さは、ウェハーからコーティングの区域を取り除くことによってTencor粗面計(profilometer)で測定し、次いでウェハーのコーティングされた領域とコーティングされていない領域との差を測定することによって測定した。スピンコーティング条件は、ウェハー表面全体に渡って所望の約15μmの均一なコーティングを得るために必要に応じて変動させた。
【0559】
その後、スピンコーティング条件が決定され、いくつかのウェハーがコーティングされ、ソフトベークされ、次いでこれらのコーティングされたウェハーをTempress管状炉に配置した。炉を閉じた後、窒素パージを適用し、炉を2.5℃/分で100Cまで上昇させ、そこで約30分間保持して、窒素で完全にパージし、次いで温度を2℃/分で200℃に上げ、そこで30分間保持した。次に、温度を4℃/分で320℃に上げ、そこで60分間保持した。この後、加熱を停止し、温度をゆっくりと周囲温度に戻した(外部冷却なし)。その後、ウェハーを炉から取り出し、ウェハーの辺縁の周囲からコーティングをナイフで引っ掻くことによってウェハーからコーティングを取り除き、次いで水にウェハーを少なくとも数時間に渡り浸漬して、ウェハーからコーティングを除いた。得られたポリイミドフィルムを乾燥させ、次いで様々な特性測定に供した。
【0560】
ポリイミドフィルムは、厚さ11.4μmであり、以下の特性を有した。
引張り弾性率=10.9GPa
破断伸び=23.4%
CTE(第1の測定)=3.4ppm/℃
CTE(第2の測定)=1.4ppm/℃
492.6℃で1.0%のTGA重量損失
450nmでの透過率=61%
550nmでの透過率=79%
750nmでの透過率=85%
【0561】
実施例4
この実施例は、式III、具体的には式IIIB-1を有するジアミン:4,4’-(ナフタレン-1,5-ジイル)ビス(3-(トリフルオロメチル)アニリン)、化合物17の調製を示している。
【0562】
【0563】
工程1:ナフタレン-1,5-ジイルビス(トリフルオロメタンスルホナート):
機械式攪拌機、内部温度計、及び窒素バブラーを備えた20Lの4口丸底フラスコに、室温で、ジクロロメタン(10000mL)におけるナフタレン-1,5-ジオール(500g、3124.0ミリモル)とピリジン(1259mL、15620.0ミリモル)を入れた。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1320mL、7810.0ミリモル)を5~10℃で4時間かけて滴下した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物の添加が完了した後、反応混合物を室温で撹拌した。16時間後、反応混合物を10~15℃で水(5000mL)に注ぎ、30分間撹拌した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×5000mL)で抽出した。合わせた有機相を1N HCl(7500mL)及び水(5000mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。エタノール(2500mL)を粗固体に加え、室温で30分間撹拌した。固体材料を室温で濾過することにより収集し、真空下で乾燥させて、ナフタレン-1,5-ジイルビス(トリフルオロメタンスルホネート)(1190g、90%)を灰色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.15(d,J=8.8Hz,2H),7.69(t,J=7.6Hz,2H),7.61(dd,J=0.8Hz及び7.6Hz,2H);UPLC:99.24%の純度。
【0564】
工程2:1,5-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ナフタレン:
機械式攪拌機、凝縮器、内部温度計、及び窒素バブラーを備えた20Lの4口丸底フラスコに、室温で、1,4-ジオキサン(5470mL)におけるナフタレン-1,5-ジイルビス(トリフルオロメタンスルホネート)(547.0g、1290.2ミリモル)、ビス(ピナコラート)ジボロン(721.0g、2838.5ミリモル)及び酢酸カリウム(760g、7741.5ミリモル)を入れた。反応混合物をアルゴンで15分間パージし、次いでPdCl2(dppf).DCM(53g、64.5ミリモル)を反応混合物に加え、アルゴンで再び10分間パージした。反応混合物を90~95℃に加熱した。4時間後、反応混合物を室温に冷却し、セライト(登録商標)の床(bed)を通して濾過し、床をジクロロメタン(2500mL)で洗浄した。合わせた濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、黒色の固体を得た。エタノール(2188mL)を固体に加え、室温で30分間撹拌した。固体材料を濾過により収集し、真空下で乾燥させて、1,5-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ナフタレン(402g、82%)を灰色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.89(dd,J=1.2Hz及び8.0Hz,2H),8.07(dd,J=1.2Hz及び6.8Hz,2H),7.53(dd,J=6.8Hz及び8.4Hz,2H),1.42(s,24H);UPLC:97.95%の純度。
【0565】
工程3:4,4’-(ナフタレン-1,5-ジイル)ビス(3-(トリフルオロメチル)アニリン):
機械式攪拌機、内部温度計、及び窒素バブラーを備えた3Lの4口丸底フラスコに、トルエン(800mL)における1,5-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ナフタレン(40.0g、105.2ミリモル)、4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)アニリン(63.1g、263.4ミリモル)、2M炭酸ナトリウム水溶液(480mL)及びAliquat-336(4mL)を入れた。反応混合物をアルゴンで15分間パージし、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12.1g、10.5ミリモル)を加え、アルゴンのパージを更に10分間続けた。反応混合物を110~120℃に加熱した。16時間後、反応混合物を室温に冷却し、トルエン(650mL)で希釈し、セライト(登録商標)の床を通して濾過し、床をトルエン(100mL)で洗浄した。有機層を分離し、水(250mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗残留物を得た。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液として10~15%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、その後エタノール-クロロホルム(1:9)を使用して共沈させて固体を得た。固体を1,4-ジオキサン(200mL)に溶解し、
1,4-ジオキサン(100mL)における4N HClを0~5℃で加え、室温で1時間撹拌を続けた。得られた固体を濾過により収集し、エタノール-酢酸エチル(3:7)で洗浄し、真空下で乾燥させて塩酸塩を得た。5%KOH溶液(210mL)を酢酸エチル(500mL)における塩に0~5℃で加え、室温で1時間撹拌を続けた。酢酸エチル層を分離し、水とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、4,4’-(ナフタレン-1,5)-ジイル)ビス(3-(トリフルオロメチル)アニリン)(15.87g、34%)をオフホワイトの固体として得た。融点:270~273℃、FT-IR:1258.50cm-1(C-F)、
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.45(d,J=7.6Hz,2H),7.37-7.30(m,4H),7.20(d,J=8.4Hz,2H),7.12(d,J=2.4Hz,2H),6.92(dd,J=2.4Hz及び8.0Hz,2H),3.94(s,4H);19F NMR(376MHz,CDCl3)δ:-58.78;GCMS:446.2 [M]+
;UPLC:2つのアトロプ異性体の混合物として99.95%の純度。
【0566】
一般的な説明又は実施例において上述した作業の全てが必要であるわけではなく、特定の作業の一部は、必要でない場合があり、1つ以上の更なる作業は、記載されている作業に加えて行われ得ることに留意されたい。更にまた、作業を列挙した順序は、必ずしも作業が行われる順序ではない。
【0567】
上記の本明細書において、本概念は、特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、様々な修飾形態及び変更形態が、以下の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを当業者であれば理解されるであろう。従って、本明細書及び図は、限定的な意味ではなく、例示に関連し、全てのこのような修飾形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0568】
利益、他の利点及び問題の解決策が特定の実施形態に関して前述された。しかしながら、利益、利点及び問題の解決策、並びに任意の利益、利点又は解決策を生じ得る又はより強調させ得る任意の特徴は、任意の又は全ての請求項の重要である、必要とされる、又は不可欠である特徴として解釈されない。
【0569】
明確にするために、特定の特徴は、別の実施形態に関連して本明細書において記載され、又単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解されるべきである。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載された様々な特徴は、個別に又は任意の部分的な組み合わせでも提供され得る。本明細書において指定された様々な範囲の数値の使用は、記載範囲内の最小値及び最大値が両方とも「約」という語によって先行されるかのように近似値として記載されている。この方法では、記載範囲の上下のわずかな変動は、範囲内の数値と実質的に同じ結果を達成するために使用できる。また、これらの範囲の開示は、1つの値の成分の一部が、異なる値の成分の一部と混ぜられるときに生じ得る小数値を含む、最小平均値と最大平均値との間のあらゆる値を含む連続した範囲であることが意図されている。更に、より広い及びより狭い範囲が開示されるとき、1つの範囲からの最小値を別の範囲からの最大値と一致させることは、本発明の予想内であり、その逆も同様である。