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特許7444854レーザー加工ヘッドで使用するためのガスシールド装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】レーザー加工ヘッドで使用するためのガスシールド装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/14 20140101AFI20240228BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20240228BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20240228BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/21 A
B23K26/082
G02B26/10 104Z
G02B26/10 C
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021510667
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019049130
(87)【国際公開番号】W WO2020047454
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】62/725,028
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユーリー・ヴィー・マークショフ
(72)【発明者】
【氏名】ニキット・エヌ・ナイール
(72)【発明者】
【氏名】フランク・エル・ダビューク
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ・グラポフ
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-077586(JP,U)
【文献】特開昭63-171290(JP,A)
【文献】特開平09-056724(JP,A)
【文献】特開昭48-057861(JP,A)
【文献】実開昭57-016281(JP,U)
【文献】特開平06-190582(JP,A)
【文献】特表2018-520007(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04240189(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/043457(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/14
B23K 26/21
B23K 26/082
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー加工ヘッドで使用するためのガスシールド装置であって、
ネックの第1の端部から第2の端部に延在する中央開口部を画定するネックであって、前記中央開口部は、前記第1の端部から前記第2の端部を通りワークピースへ通過するレーザービームを受け入れるよう構成された、ネックと、
前記ネックがシールドプレートの第1の側から延在し、かつ前記シールドプレートが前記中央開口部の周囲に円周方向に延在するように前記第2の端部に近接する前記ネックに結合されるシールドプレートであって、前記第1の側の反対側の前記シールドプレートの第2の側に複数のガス出口を含むシールドプレートと、
を備え、
前記複数のガス出口は、前記シールドプレートの前記第1の側に配置されている少なくとも1つのガス入口に流体的に結合され、
前記複数のガス出口は、複数の位置で前記ワークピースの表面に向かう方向にガスの流れを導くよう構成され、前記ワークピースに向かって前記シールドプレートを通過する移動するレーザービームを囲むガスの層流を送達するように配置され、
前記シールドプレートは、前記少なくとも1つのガス入口を前記複数のガス出口に流体的に結合するガス拡散領域を画定し、前記ガス拡散領域は複数のガス出口にわたって延びる、ガスシールド装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガス入口が前記ネックの上部に配置されている、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項3】
シールドガスを前記第2の側の前記複数のガス出口に分配するための、前記少なくとも1つのガス入口に結合された少なくとも1つのガス分配管をさらに含む、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項4】
前記ネックは、少なくとも1つの冷却通路および前記冷却通路に連結された少なくとも1つの冷却入口/出口を含み、冷却液体が前記冷却通路を通り流れることができる、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項5】
前記シールドプレートが円形形状である、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項6】
前記シールドプレートの直径が100mm~150mmの範囲である、請求項に記載のガスシールド装置。
【請求項7】
前記シールドプレートは、前記ネックおよび前記中央開口部と同軸である、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項8】
前記ネックは、レーザー加工ヘッドに結合するために、前記ネックの前記第1の端部に加工ヘッド結合機構を含む、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項9】
前記複数のガス出口は、前記シールドプレートの中央部分から前記シールドプレートの外側部分に外向き延在する線状パターンを形成している、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項10】
前記中央開口部の直径は、10mm~60mmの範囲である、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項11】
前記ガス拡散領域は、前記少なくとも1つのガス入口および前記ガス出口の間に多孔質材料を含む、請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項12】
シールドされたレーザー溶接ヘッドであって、
ファイバーレーザーの出力ファイバーに結合され、レーザービームを限られた視野内のみで移動させるよう構成された走査レーザー溶接ヘッド装置と、
前記レーザー溶接ヘッド装置に結合されたガスシールド装置と、
を備え、
前記ガスシールド装置は、
ネックの第1の端部から第2の端部に延在する中央開口部を画定するネックであって、前記中央開口部は、前記第1の端部から前記第2の端部を通りワークピースへ通過する移動レーザービームを受け入れるよう構成された、ネックと、
前記ネックがシールドプレートの第1の側から延在し、かつ前記シールドプレートが前記中央開口部の周囲に円周方向に延在するように前記ネックに結合されるシールドプレートであって、前記第1の側の反対側の前記シールドプレートの第2の側に複数のガス出口を含むシールドプレートと、
を備え、
前記複数のガス出口は、前記シールドプレートの前記第1の側に配置されている少なくとも1つのガス入口に流体的に結合され、
前記複数のガス出口は、複数の位置で前記ワークピースの表面に向かう方向にガスの流れを導くよう構成され、前記ワークピースに向かって前記シールドプレートを通過する移動するレーザービームを囲むガスの層流を送達するように配置され、
前記シールドプレートは、前記少なくとも1つのガス入口を前記複数のガス出口に流体的に結合するガス拡散領域を画定し、前記ガス拡散領域は複数のガス出口にわたって延びる、シールドされたレーザー溶接ヘッド。
【請求項13】
前記限られた視野が、約1°~2°の走査角度によって画定される、請求項12に記載のレーザー溶接ヘッド。
【請求項14】
前記レーザー溶接ヘッド装置が、
コリメータと、
前記コリメータからの平行レーザービームを受け入れ、かつ前記限られた視野内で第1および第2の軸にビームを移動するよう構成された少なくとも第1および第2可動ミラーと、
前記ビームが移動する間、前記ワークピースに対して前記レーザービームを集束するよう構成された焦点レンズと、
を備える、請求項12に記載のレーザー溶接ヘッド。
【請求項15】
前記可動ミラーがガルバノメーターミラーである、請求項14に記載のレーザー溶接ヘッド。
【請求項16】
前記可動ミラーが30mmx30mm未満の寸法の限られた視野内のみで前記平行レーザービームを移動させるよう構成されている、請求項14に記載のレーザー溶接ヘッド。
【請求項17】
レーザー溶接システムであって、
出力ファイバーを含むファイバーレーザーと、
前記ファイバーレーザーの出力ファイバーに結合され、レーザービームを限られた視野内のみで移動させるよう構成された走査レーザー溶接ヘッドと、
前記レーザー溶接ヘッドに結合されたガスシールド装置であって、
ネックの第1の端部から第2の端部に延在する中央開口部を画定するネックであって、前記中央開口部は、前記第1の端部から前記第2の端部を通りワークピースへ通過する移動レーザービームを受け入れるよう構成された、ネックと、
前記ネックがシールドプレートの第1の側から延在し、かつ前記シールドプレートが前記中央開口部の周囲に円周方向に延在するように前記ネックに結合されるシールドプレートであって、前記シールドプレートは、前記第1の側の反対側の前記シールドプレートの第2の側に複数のガス出口を含み、
前記複数のガス出口は、前記シールドプレートの前記第1の側に配置されている少なくとも1つのガス入口に流体的に結合され、
前記複数のガス出口は、複数の位置で前記ワークピースの表面に向かう方向にガスの流れを導くよう構成され、前記ワークピースに向かって前記シールドプレートを通過する移動するレーザービームを囲むガスの層流を送達するように配置された、シールドプレートと、
を備えるガスシールド装置と、
少なくとも前記ファイバーレーザーおよび限られた視野内での前記レーザービームの動きを制御するための制御システムと、
を備える、レーザー溶接システム。
【請求項18】
前記ファイバーレーザーがイッテルビウムファイバーレーザーを含む、請求項17に記載のレーザー溶接システム。
【請求項19】
前記ファイバーレーザーが複数のレーザービームを送達するための複数の出力ファイバーを含む、請求項17に記載のレーザー溶接システム。
【請求項20】
前記制御システムは、ウォブルパターンを提供するために前記移動レーザービームの動きを前記限られた視野内で制御するよう構成されている、請求項17に記載のレーザー溶接システム。
【請求項21】
前記複数のガス出口の数は、前記少なくとも1つのガス入口の数よりも多い、請求項1に記載のガスシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により本明細書に完全に組み込まれる、「レーザー処理ヘッドで使用するためのガスシールド装置」と題された、2018年8月30日に出願された米国仮出願第62/725,028号の利益を主張するものである。
【0002】
技術分野
本開示は、レーザー加工、より具体的には、レーザー加工ヘッドと共に使用するためのガスシールド装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバーレーザーのようなレーザーは、多くの場合、溶接等の材料処理用途で使用される。従来のレーザー溶接ヘッドには、レーザー光をコリメートするためのコリメータと、溶接対象領域にレーザー光を集束させるための焦点レンズが含まれる。ビームは、たとえば近接場走査または「ウォブラー」技術を使用して、2つの構造の溶接を容易にするためにさまざまなパターンで移動することができる。回転プリズム光学系を使用してビームを回転させて回転またはスパイラルパターンを形成し、XYステージ上で溶接ヘッド全体を回転または移動させてジグザグパターンを形成するなど、さまざまな手法を使用してビームを移動することができる。ビームをより迅速かつ正確に移動させるための別の技術には、例えば、一般に所有されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる特許文献1および特許文献2に詳細に開示されているように、可動ミラーを使用してビームにウォブルパターンを提供することが含まれる。
【0004】
このような不活性または半不活性ガス等のシールドガスは、しばしば、酸素や水蒸気等の大気中のガスから溶接領域を保護するために、および/または溶接プルームを抑制するために、レーザー溶接中に使用される。従来のガスシールドは、例えば、図15に示されるように、単一のノズルを使用して、レーザー溶接領域にガスの流れを適用する。図16に示すような同軸ノズルは、溶接ヘッドに付属品として取り付けられ、溶接部位にシールドガスを供給することができる。このようなシールドは、図15のノズルがレーザー溶接ヘッドから分離されているため、図15および図16のノズルが十分な大きさのシールド効果を提供しない場合があるため、不十分である可能性がある。
【0005】
例えば、レーザー光を走査する際にウォブルパターンを提供するために、または特定の溶接の用途のために、より大きな遮蔽効果が必要とされる場合がある。たとえば、アルミニウム、銅、チタンなどの合金を溶接する場合、これらの合金は酸素、窒素、二酸化炭素と非常に反応性が高いため、より優れたシールドが必要である。これらの熱い金属が空気から十分に保護されていないと、溶接によって構造が脆くなり、溶接継手の機械的特性が低下し、シームが変色する可能性がある。特にチタンは、空気中のガスと非常に反応性が高いため、350℃を超える温度で保護する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2016/0368089号明細書
【文献】国際公開第2017/139769号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様において、ガスシールド装置は、レーザー加工ヘッドで使用するために提供される。ガスシールド装置は、ネックの第1の端部から第2の端部まで延びる中央開口部を規定するネックを含む。中央開口部は、第1の端部から第2の端部を通過してワークピースに到達するレーザービームを受け入れるように構成されている。シールドプレートは、ネックがシールドプレートの第1の側から延在し、シールドプレートが中央開口部の周りに円周方向に延在するように、第2の端部に近接するネックに結合されている。シールドプレートは、シールドプレートの第2の側に複数のガス出口を含み、これらは、少なくとも1つのガス入口に流体的に結合され、複数の場所でワークピースの表面に向かう方向にガスの流れを向けるように構成される。
【0008】
本開示の別の態様において、シールドされたレーザー溶接ヘッドは、ファイバーレーザーの出力ファイバーに結合され、限定された視野内でレーザービームを移動させるように構成された走査レーザー溶接ヘッド装置を含み、ガスシールド装置がレーザー溶接ヘッド装置に結合されている。ガスシールド装置は、ネックの第1の端部から第2の端部まで延びる中央開口部を規定するネックを含む。中央開口部は、第1の端部から第2の端部を通過してワークピースに到達する移動レーザービームを受け入れるように構成されている。シールドプレートは、ネックがシールドプレートの第1の側から延在し、シールドプレートが中央開口部の周りに円周方向に延在するようにネックに結合されている。シールドプレートは、第1の側の反対側の第2の側に複数のガス出口を含み、これらは、少なくとも1つのガス入口に流体的に結合され、複数の場所でワークピースの表面に向かう方向にガスの流れを向けるように構成される。
【0009】
本発明のさらなる態様において、レーザー溶接システムは、出力ファイバーを含むファイバーレーザーと、ファイバーレーザーの出力ファイバーに結合され、限定された視野内でレーザービームを移動するよう構成された走査レーザー溶接ヘッドと、レーザー溶接ヘッドに結合されたガスシールド装置とを含む。ガスシールド装置は、ネックの第1の端部から第2の端部まで延びる中央開口部を規定するネックを含む。中央開口部は、第1の端部から第2の端部を通過してワークピースに到達する移動レーザービームを受け入れるように構成されている。シールドプレートは、ネックがシールドプレートの第1の側から延在し、シールドプレートが中央開口部の周りに円周方向に延在するようにネックに結合されている。シールドプレートは、第1の側の反対側の第2の側に複数のガス出口を含み、これらは、少なくとも1つのガス入口に流体的に結合され、複数の場所でワークピースの表面に向かう方向にガスの流れを向けるように構成される。
【0010】
これらおよび他の特徴および利点は、図面と共に以下の詳細な説明を読むことによって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態と一致する、ガスシールド装置を有するレーザー溶接ヘッドを含むシステムの概略ブロック図である。
図2】本開示の実施形態と一致する、ウォブリング動作を目的とした二重ミラーによって提供される比較的狭い移動範囲を有する集束レーザービームの概略図である。
図3A】本開示の実施形態と一致する、ビーム移動用の二重ミラーを含む溶接ヘッドによって生成することができる異なるウォブルパターンを示す概略図である。
図3B】本開示の実施形態と一致する、ビーム移動用の二重ミラーを含む溶接ヘッドによって生成することができる異なるウォブルパターンを示す概略図である。
図3C】本開示の実施形態と一致する、ビーム移動用の二重ミラーを含む溶接ヘッドによって生成することができる異なるウォブルパターンを示す概略図である。
図3D】本開示の実施形態と一致する、ビーム移動用の二重ミラーを含む溶接ヘッドによって生成することができる異なるウォブルパターンを示す概略図である。
図4】コリメータモジュール、ウォブラーモジュール、およびコアブロックモジュールが共に組み立てられ、集束ビームを放出するレーザー溶接ヘッドの例示的な実施形態の斜視図である。
図5】コリメータモジュール、ウォブラーモジュール、およびコアブロックモジュールが共に組み立てられ、集束ビームを放出するレーザー溶接ヘッドの例示的な実施形態の斜視図である。
図6】本開示の一実施形態と一致する、ガスシールド装置の底面斜視図である。
図7図6に示すガスシールド装置の側面図である。
図8図6に示すガスシールド装置の底面図である。
図9図6に示すガスシールド装置の上面斜視図である。
図10図6に示すガスシールド装置の断面斜視図である。
図11図6に示すガスシールド装置の断面側面図である。
図12A】本開示の実施形態と一致する、ガス分配管に結合されたガスシールド装置の上面斜視図を示す写真である。
図12B】本開示の実施形態と一致する、ガス分配管に結合されたガスシールド装置の底面斜視図を示す写真である。
図13A】本開示の別の実施形態と一致する、ガス分配管に結合されたガスシールド装置の上面斜視図を示す写真である。
図13B】本開示の別の実施形態と一致する、ガス分配管に結合されたガスシールド装置の底面斜視図を示す写真である。
図14図13Aおよび図13Bに示されるガスシールド装置の側面斜視図である。
図15】単一のノズルを使用する従来のガスシールドの概略図である。
図16】シールドガスを溶接部位に同軸に供給するための従来の同軸ノズルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態と一致するガスシールド装置は、より大きな金属の領域を遮蔽するためのより大きなガス遮蔽領域にシールドガスを拡散および分配するために、溶接ヘッドのようなレーザー加工ヘッドと共に使用することができる。ガスシールド装置は、レーザー加工ヘッドに結合してレーザービームとともに移動し、同軸に配置されて、溶接のすべての方向でより大きなシールド効果を提供することができる。ガスシールド装置は、空気中のガスとの反応性が高いチタンまたは他の金属を溶接するため、及び/又はより大きな溶接領域(例えば、レーザービームがウォブリング動作される)に対して特に有用である。
【0013】
いくつかの実施形態では、ガスシールド装置は、可動ミラーを有するレーザー溶接ヘッドと共に使用することができ、ウォブルパターンなどの溶接動作を実行する。可動ミラーは、たとえば1~2°の走査角度で定義される比較的小さな視野内で1つまたは複数のビームのウォブリング運動を提供する。可動ミラーは、ガルボコントローラを含む制御システムによって制御可能なガルバノミラーであってもよい。制御システムはまた、例えば、ワークピースに対するビームの位置および/またはミラーの1つに近接する熱的条件などの溶接ヘッドの感知された状態に応答して、ファイバーレーザーを制御するために使用され得る。
【0014】
図1を参照すると、レーザー溶接システム100は、レーザービーム118をワークピース102に送達するためのファイバーレーザー112の出力ファイバー111に(例えば、コネクター111aによって)結合されたレーザー溶接ヘッド110と、少なくとも1つのガス分配管152を介してガス源151に結合されるガスシールド装置150とを含む。ガスシールド装置150は、一般に、レーザービーム118と同軸とすることができ、ワークピース102へレーザービーム118が通過することを可能にすると同時に、シールドガス153をレーザービーム118の周りおよび溶接領域全体に拡散および分配することができる。詳細については、以下に記載される。シールドガス153は、不活性ガスおよび半不活性ガスなど、溶接またはレーザー加工で使用される任意のシールドガスを含み得る。
【0015】
レーザー溶接ヘッド110は、例えば、溶接ビード106を形成してシーム104を溶接することによって、ワークピース102上の溶接を実行するために使用される。レーザー溶接ヘッド110および/またはワークピース102は、シーム104の方向に沿って互いに対して移動することができる。レーザー溶接ヘッド110は、少なくとも1つの軸に沿って、例えば、シーム104の長さに沿って、ワークピース102に対して溶接ヘッド110を移動させるための移動ステージ114上に配置され得る。追加的または代替的に、ワークピース102は、レーザー溶接ヘッド110に対してワークピース102を移動させるための移動ステージ108上に配置され得る。
【0016】
ファイバーレーザー112は、近赤外スペクトル範囲(例えば、1060~1080nm)のレーザーを生成することができるイッテルビウムファイバーレーザーを含んでいてもよい。イッテルビウムファイバーレーザーは、いくつかの実施形態では最大1kW、他の実施形態では最大50kWの高出力のレーザービームを生成することができるシングルモードまたはマルチモード連続波イッテルビウムファイバーレーザーであり得る。ファイバーレーザー112の例には、IPGフォトニクスコーポレーションから入手可能なYLR SMシリーズまたはYLR HPシリーズレーザーが含まれる。ファイバーレーザー112はまた、2015年8月13日に出願された「マルチビームファイバーレーザーシステム」と題された国際出願第PCT/US2015/45037号に開示されているタイプのようなマルチビームファイバレーザーを含み得る。
【0017】
レーザー溶接ヘッド110は、一般的に、出力ファイバー111からのレーザービームをコリメートするコリメータ122と、平行ビーム116を反射して移動させるための少なくとも第1および第2の可動ミラー132、134と、集束ビーム118をワークピース102に集束し、送達するための焦点レンズ142とを含む。図示の実施形態では、固定ミラー144はまた、コリメートされたレーザービーム116を第2の可動ミラー134から焦点レンズ142に向けるために使用される。コリメータ122、可動ミラー132、134、焦点レンズ142および固定ミラー144は、以下でより詳細に説明されるように、共に結合され得る別個のモジュール120、130、140で提供され得る。レーザー溶接ヘッド110は、例えば、光が第2のミラー134から焦点レンズ142に向かって反射されるようにミラー132、134が配置されている場合、固定ミラー144なしで構築することもできる。
【0018】
可動ミラー132、134は、平行ビーム116を移動させ、集束ビーム118をワークピース102に対して少なくとも二つの異なる垂直軸2,4で移動させるために、異なる軸131,133回りに旋回可能である。可動ミラー132、134は、方向を素早く反転させることができるガルボモーターによって可動であるガルバノミラーであり得る。他の実施形態では、ステッピングモーターなどの他の機構を使用してミラーを動かすことができる。レーザー溶接ヘッド110に可動ミラー132、134を使用することにより、溶接ヘッド110全体を動かす必要がなく、回転プリズムを使用することなく、ビームウォブリングの目的でレーザービーム118を正確に、制御可能かつ迅速に動かすことができる。
【0019】
溶接ヘッド110の実施形態において、可動ミラー132、134は、図2に示すように、10°未満、より具体的には約1~2°走査角α内でビーム118を旋回させることによって、比較的小さな視野(例えば30x30mm未満)内のみでビーム118を移動することができ、それによってビームをゆらすことができる。対照的に、従来のレーザースキャンヘッドは、一般に、はるかに広い視野(たとえば、50x50mmより大きく250x250mmの大きさ)内でレーザービームを移動させ、より広い視野と走査角度に対応するように設計されている。したがって、レーザー溶接ヘッド110に比較的小さな視野のみを提供するための可動ミラー132、134の使用は、直観に反し、ガルボスキャナーを使用する場合に広い視野を提供するという従来の通念に反する。視野と走査角度を制限することは、例えば、より速い速度を可能にし、レンズなどのより安価な部品での使用を可能にし、エアナイフおよび/またはガスアシストアクセサリなどの付属品での使用を可能にすることによって、溶接ヘッド110でガルボミラーを使用するときに利点を提供する。
【0020】
溶接ヘッド110の例示的な実施形態におけるより小さな視野および走査角度のために、第2のミラー134は、第1のミラー132と実質的に同じサイズであり得る。対照的に、従来のガルボスキャナーは、一般に、より大きな視野とスキャン角度を提供するために、より大きな第2のミラーを使用し、より大きな第2のミラーは、少なくとも1つの軸の移動速度を制限する場合がある。したがって、溶接ヘッド110内のより小さなサイズの第2のミラー134(例えば、第1のミラー132とほぼ同じサイズ)は、大きな走査角度を提供する従来のガルボスキャナーのより大きなミラーと比較して、ミラー134がより速い速度で移動することを可能にする。
【0021】
焦点レンズ142は、レーザー溶接ヘッドで使用することが知られており、例えば、100mmから1000mmの範囲の様々な焦点距離を有する焦点レンズを含み得る。従来のレーザースキャンヘッドは、Fシータレンズ、視野平坦化レンズ、テレセントリックレンズなど、はるかに大きな直径(たとえば、直径33mmのビームに対して直径300mmのレンズ)の多要素走査レンズを使用してより広い視野内にビームの焦点を合わせる。可動ミラー132、134は、比較的狭い視野内でビームを移動させるので、より大きな多要素走査レンズ(例えば、Fシータレンズ)は必要とされず、使用されない。本開示と一致する溶接ヘッド110の一例の実施形態では、直径50mmの平凸F300焦点レンズを使用して、約15×5mmの視野内で移動するために直径約40mmのビームを集束させることができる。より小さな焦点レンズ142の使用はまた、エアナイフおよび/またはガスアシストアクセサリなどの追加の付属品を溶接ヘッド110の端部で使用することを可能にする。従来のレーザースキャンヘッドに必要なより大きな走査レンズは、このような付属品の使用を制限していた。
【0022】
レーザービームを分割して溶接用の少なくとも2つのビームスポットを提供するためのビームスプリッタなどの他の光学部品もレーザー溶接ヘッド110に使用することができる(例えば、溶接のいずれかの側に)。追加の光学部品はまた、回折光学系を含み得、コリメータ122とミラー132、134との間に配置され得る。
【0023】
保護窓146は、溶接プロセスによって生成されるデブリからレンズ及び他の光学系を保護するために、レンズ142の前方に設けられていてもよい。保護窓146はまた、ガスシールド装置150に統合されるか、またはガスシールド装置150によって置き換えられ得る。可動ミラーを有するレーザー溶接ヘッド110は、ガスシールド装置150および他の既存のレーザー溶接付属品などの溶接ヘッド付属品と共に使用することができる。
【0024】
レーザー溶接システム100の例示された実施形態はまた、例えば、ビーム118の前の位置でシーム104を検出および位置特定するための、カメラなどの検出器(図示せず)を含む。カメラ/検出器は、溶接ヘッド110の片側に配置されてもよく、または溶接ヘッド110を通して向けられて、シーム104を検出および位置特定することができる。ガスシールド装置150による遮光のために必要とされる場合があるように、追加の光源(図示せず)をカメラと共に使用することができる。
【0025】
レーザー溶接システム100の例示された実施形態は、例えば、 溶接ヘッド110において感知された条件、シーム104の検出された位置、および/またはレーザービーム118の移動および/または位置に応答して、ファイバーレーザー112、可動ミラー132、134、および/または移動ステージ108、114の位置決めを制御するための制御システム160をさらに含む。レーザー溶接ヘッド110は、熱状態を感知するために、第1および第2の可動ミラー132、134それぞれに近接する第1および第2の熱センサ162、164などのセンサを含み得る。制御システム160は、可動ミラー132、134に近接する熱状態を監視するためのデータを受信するために、センサ162、164に電気的に接続されている。制御システム160はまた、例えば、シーム104の検出された位置を表す、カメラ/検出器(図示せず)からデータを受信することによって、溶接動作を監視することができる。
【0026】
制御システム160は、例えば、レーザーを遮断すること、レーザーパラメーター(例えば、レーザー出力)を変更すること、または他の任意の調整可能なレーザーパラメーターを調整することによって、ファイバーレーザー112を制御することができる。制御システム160は、レーザー溶接ヘッド110における感知された状態に応答して、ファイバーレーザー112を停止させることができる。感知された状態は、センサ162、164の一方または両方によって感知され、高出力レーザーによって引き起こされた高温または他の状態をもたらすミラーの誤動作を示す熱状態であり得る。
【0027】
制御システム160は、安全インターロックをトリガーすることによってファイバーレーザー112を遮断させることができる。安全インターロックは、出力ファイバー111とコリメータ122との間に構成され、出力ファイバー111がコリメータ122から切断された場合に安全インターロック状態がトリガーされ、レーザーが遮断される。図示の実施形態では、レーザー溶接ヘッド110は、安全インターロック機能を可動ミラー132、134まで延長するインターロック経路166を含む。インターロック経路166は、出力ファイバー111と制御システム160との間に延在し、制御システム160が、レーザー溶接ヘッド110で検出された潜在的に危険な状態に応答して安全インターロック状態をトリガーすることを可能にする。この実施形態では、制御システム160は、一方または両方のセンサ162、164によって検出された所定の熱状態に応答して、インターロック経路166を介して安全インターロック状態をトリガーすることができる。
【0028】
制御システム160はまた、レーザー112をオフにすることなく、ビーム118の動きまたは位置に応答して、レーザーパラメータ(例えば、レーザー出力)を制御することができる。可動ミラー132、134の1つがビーム118を範囲外にまたは遅く動かす場合、制御システム160は、レーザーによる損傷を回避するために、ビームスポットのエネルギーを動的に制御するためにレーザー出力を低減することができる。制御システム160は、マルチビームファイバレーザーにおけるレーザービームの選択をさらに制御することができる。
【0029】
制御システム160はまた、例えば、集束ビーム118の位置を修正して、シーム104を検出、追跡、および/またはシーム104に従うために、カメラ/検出器からのシーム104の検出された位置に応答して、可動ミラー132、134の位置決めを制御することができる。制御システム160は、カメラ/検出器からのデータを使用してシーム104の位置を識別し、次いで、ビーム118がシーム104と一致するまでミラー132、134の一方または両方を動かすことによってシーム104を見つけることができる。制御システム160は、ミラー132、134の一方または両方を動かすことによってシーム104を追跡し、溶接を実行するためにビーム118がシームに沿って移動する際にビームがシーム104と一致するように、ビーム118の位置を連続的に調整または修正することができる。制御システム160はまた、以下でより詳細に説明されるように、溶接中のウォブリング運動を提供するために、可動ミラー132、134の一方または両方を制御することができる。
【0030】
制御システム160は、このようにレーザーとミラーの両方を共に制御するために、共に動作するレーザー制御とミラー制御の両方を含む。制御システム160は、例えば、ファイバーレーザーおよびガルボミラーを制御する際に使用することが知られているハードウェア(例えば、汎用コンピュータ)およびソフトウェアを含むことができる。既存のガルボ制御ソフトウェアを使用することができ、例えば、ガルボミラーを本明細書に記載されるように制御できるように変更することができる。制御システム160は、ガス源151をさらに制御して、例えば、ガス分配管152を通ってガスシールド装置150に供給されるシールドガスの圧力を制御することができる。
【0031】
図3A図3Dは、シーム304の攪拌溶接を実行するために使用され得るウォブルパターンの例を示している。本明細書で使用する場合、「ウォブル」とは、10°未満の走査角度によって定義される比較的小さな視野内でのレーザービームの往復運動(たとえば、2つの軸内)を指す。図3Aおよび図3Bは、それぞれ、シーム304に沿って連続して形成される円形パターンおよび図8のパターンを示す。図3Cおよび図3Dは、シーム304に沿って形成される、ジグザグパターンおよび起伏のあるパターンをそれぞれ示す。特定のウォブルパターンが示されているが、他のウォブルパターンは本開示の範囲内である。レーザー溶接ヘッド110において可動ミラーを使用することの1つの利点は、様々な異なるウォブルパターンに従ってビームを動かすことができることである。
【0032】
図4および図5は、走査型レーザー溶接ヘッド410の例示的な実施形態をより詳細に示している。1つの特定の実施形態が示されているが、本明細書に記載のレーザー溶接ヘッドおよびシステムおよび方法の他の実施形態は、本開示の範囲内である。図4に示されるように、レーザー溶接ヘッド410は、コリメータモジュール420、ウォブラーモジュール430、およびコアブロックモジュール440を含む。ウォブラーモジュール430は、上記のように第1および第2の可動ミラーを含み、コリメータモジュール420とコアブロックモジュール440との間に結合されている。
【0033】
コリメータモジュール420は、レーザー溶接ヘッドで使用することが知られているタイプなどのコリメータレンズの固定対を備えたコリメータ(図示せず)を含むことができる。他の実施形態では、コリメータは、ビームスポットサイズおよび/または焦点を調整することができる可動レンズなどの他のレンズ構成を含み得る。ウォブラーモジュール430は、異なる垂直軸の周りでガルボミラー(図示せず)を移動させるための第1および第2のガルバノメーター(図示せず)を含み得る。レーザー走査ヘッドでの使用が知られているガルバノメーターを使用することができる。ガルバノメーターは、ガルボコントローラー(図示せず)に接続することができる。ガルボコントローラは、ガルバノメーターを制御するハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができ、ミラーの動きを制御し、したがってレーザービームの動きおよび/または位置決めを制御することができる。既知のガルボ制御ソフトウェアを使用することができ、本明細書に記載の機能、例えば、シーム検出、ウォブラーパターン、およびレーザーとの通信を提供するように変更することができる。コアブロックモジュール440は、ウォブラーモジュール430から受信したビームを焦点レンズに、次にワークピースに向け直す固定ミラー(図示せず)を含むことができる。
【0034】
図4および図5は、モジュール420、430、440のそれぞれが共に結合され、集束ビーム418を放出する、組み立てられたレーザー溶接ヘッド410を示している。コリメータモジュール420に結合されたレーザービームはコリメートされ、平行ビームは、ウォブラーモジュール430に向けられる。ウォブラーモジュール430は、ミラーを使用して平行ビームを移動し、移動する平行ビームをコアブロックモジュール440に向ける。次に、コアブロックモジュール440は、移動ビームを集束し、集束ビーム418は、ワークピース(図示せず)に向けられる。
【0035】
図6図12を参照すると、ガスシールド装置600の例示的な実施形態が示され、より詳細に説明されている。ガスシールド装置600のこの実施形態は、走査レーザービーム(例えば、上記のように)をワークピースに通過させるためのネック610と、シールドガスを溶接領域のワークピースに拡散および分配するためのネック610に結合されたガスシールドプレート620とを含む。ネック610は、第1の端部611から第2の端部613まで延びる中央開口部612を規定し、走査レーザービームがシールドプレート620を通ってシールドプレート620の反対側のワークピースに向けられることを可能にするように構成される。シールドプレート620は、第2の端部613に近接するネック610に結合され、シールドプレート620が走査レーザービームを受け入れる中央開口部612と同軸になるように、中央開口部612の周りに円周方向に延びる。ネック610の中央開口部612は、約10~60mmの範囲の直径を有し得る。
【0036】
本実施の形態では、シールドプレート620は、第1の表面621上の1つまたは複数のガス入口622と、第1の表面621の反対側であり、使用中にワークピースに面する第2の表面623上の複数のガス出口624とを含む。シールドプレート620は、ガス入口622を複数のガス出口624に流体的に結合するガス拡散領域626を規定する。一実施形態では、ガス拡散領域626は、Scotch-Brite(商標)General Purpose Scour Padsの名前で3Mから入手可能な不織布パッドなどの多孔質材料、またはガス出口624から層流分布を提供することができる任意の他の拡散材料を含み得る。
【0037】
図11の矢印によって示されるように、シールドガスは、ガス入口622を通過してガス拡散領域626に入り、次にガス出口624からワークピース602に向かって、例えば、ワークピース602の表面に実質的に垂直な方向に通過する。このように、シールドプレート620およびガス出口624は、シールドガスを拡散し、処理または溶接領域にシールドガスの層流を提供するように設計および構成されている。
【0038】
図示した実施形態に示すように、ガス出口624は、シールドプレート620の第2の側623の実質的な部分にわたって離間されて、少なくともレーザービームの走査領域および処理または溶接領域を含む比較的広い領域にわたってシールドガスを分配することができる。シールドプレート620の一例は、約100mm~150mm、より具体的には約100mm、約125mm、または約150mmの範囲の直径を有し得る。シールドプレート620は、円形ディスクとして示されているが、多角形および長方形の形状を含むがこれらに限定されない他の形状も企図されている。同軸構成を提供することにより、レーザービームに対して任意の方向の溶接領域で良好なシールドが可能になる。
【0039】
ガス出口624のそれぞれは、例えば、約0.2~5.0mmの範囲の直径を有する比較的小さな穴または開口部であり得る。ガス出口624は、シールドガスの層流を作り出すために適切な拡散を提供するために、シールドプレート620の第2の側623にパターンで分配される。図示の実施形態では、パターンは、シールドプレート620の中央部分(例えば、中央開口部612に近接する)からシールドプレート620の外側部分まで延びる線状に配置されたガス出口624を含む。同心円および放射状線を含むがこれらに限定されない、ガス出口624の他のパターンも企図される。ガス出口624はまた、ガスシールドプレート620の第2の表面623全体に実質的に均等に分配され得る。
【0040】
図示の実施形態は、シールドプレート620の第1の表面621の周りに実質的に均等に分布された4つのガス入口622を示しているが、ガス入口622の他の数および位置が企図されている。他の実施形態では、ガス入口622はまた、ネック610などの他の場所にあり得る。ガス入口622は、例えば、図12Aおよび図12Bに示されるように、ガス管630に結合することができる。ガス入口とガス出口のサイズ、数、位置、およびガス圧力は、目的の層流を提供するために変更することができる。図12Bに示されるように、中央開口部612を規定する下部ネック部分616は、シールドプレート620を超えて延びることができる。
【0041】
ガスシールド装置600は、本明細書に記載の走査型レーザー溶接ヘッド400、または他の任意のレーザー溶接ヘッドまたはレーザー加工ヘッドに結合することができる。ガスシールド装置600のこの実施形態は、レーザー加工ヘッドと同軸に結合することができる。ガスシールド装置600は、例えば、図16に示すように、既存の同軸ノズルで使用されるものと同様の結合機構650を使用して、レーザー加工ヘッドに同軸に結合することができる。ガスシールド装置600をレーザー加工ヘッドに結合することにより、ガスシールド装置600およびより大きな遮蔽効果は、走査レーザービームと共に移動することができ、2つの別個の装置を制御する必要性を回避する。
【0042】
ガスシールド装置1300の別の実施形態は、図13A図13Bおよび14に示されている。この実施形態では、ガスシールド装置1300は、ガスシールドプレート1320と、1つまたは複数の冷却通路を含むネック1310とを含み、過熱することなく連続動作を可能にする水(または他の液体)冷却機能を提供する。1つまたは複数の冷却入口/出口1340は、ネック1310の上部1318に結合されて、水または他の冷却液体が冷却通路に出入りすることを可能にする。この実施形態では、ネック1310は、中央開口部1312を規定し、ガスシールドプレート1320は、上記の実施形態と同様に、複数のガス出口1324を規定する。
【0043】
ガスシールド装置1300のこの実施形態では、ガス入口1322もまた、ネック1310の上部1318に配置され、ガス通路は、ネックを通って、シールドプレート1320の底部にあるガス出口1324に通じている。上記のように、結合機構1350を使用して、ネック1310の上部1318を溶接ヘッドに結合することができる。下部ネック部分1316はまた、中央開口部1312を規定し、シールドプレート1320の底部から延びる。
【0044】
冷却通路およびガス通路を収容するために、ガスシールド装置1300のネック1310は、上記の実施形態よりも大きな直径を有する。一例では、ネック1310の直径は、約76.2mm、シールドプレート1320の直径は、約128mm、ネック1310の上部1318の直径は、約95mm、結合機構1350の直径は、約39.5mm、および下部ネック部分1316の直径は、約42mmである。この実施形態では、ネック1310は、冷却およびガス通路がそれらの間に配置された、外管および内管(図示せず)を含み得る。内管は、ステンレス鋼(つまり、アルミニウムではない)でできている場合がある。
【0045】
したがって、本明細書に開示される実施形態と一致するガスシールド装置は、レーザー処理領域の周りのより広い領域にわたって効果的なガス遮蔽を提供し、これは、酸素または窒素に敏感であるか、または酸素または窒素と反応する材料を用いたウォブル溶接用途に特に有利である。
【0046】
本発明の原理は本明細書で説明されてきたが、この説明は例としてのみ行われ、本発明の範囲に関する限定としてではないことが当業者によって理解されるべきである。本明細書に示され、説明される例示的な実施形態に加えて、本発明の範囲内で他の実施形態が企図される。当業者による改変および置換は、本発明の範囲内であると見なされ、以下の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0047】
100 レーザー溶接システム
102 ワークピース
104 シーム
106 溶接ビード
108 移動ステージ
110 溶接ヘッド
111 出力ファイバー
112 ファイバーレーザー
114 移動ステージ
116 平行ビーム
118 レーザービーム
122 コリメータ
132 第1の可動ミラー
134 第2の可動ミラー
142 焦点レンズ
144 固定ミラー
146 保護窓
150 ガスシールド装置
151 ガス源
152 ガス分配管
153 シールドガス
160 制御システム
162 第1の熱センサ
164 第2の熱センサ
166 インターロック経路
304 シーム
410 走査型レーザー溶接ヘッド
420 コリメータモジュール
430 ウォブラーモジュール
440 コアブロックモジュール
600 ガスシールド装置
602 ワークピース
610 ネック
611 第1の端部
612 中央開口部
613 第2の端部
616 下部ネック部分
620 シールドプレート
621 第1の表面
622 ガス入口
623 第2の表面
624 ガス出口
626 ガス拡散領域
630 ガス管
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16